説明

複合材料およびそれを用いた装飾品

【課題】溝を形成することにより文字装飾などを施した場合であっても、長期にわたり、その品質を保持できる耐食性に優れた装飾品を提供する。
【解決手段】本発明は、第1の金属を主成分とする第1相21と、第2の金属を含む第2相22と、を備えた複合材料2に関する。この複合材料2では、表面20に向うほど第2相22の占める割合が小さくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料に関する。本発明はさらに、溝を形成することにより文字彫刻などを施した装飾品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指輪などの装飾品においては、溝を形成することにより文字彫刻が施されることがあり、ホワイトゴールド、ピンクゴールド、プラチナなどの単色材料が汎用されているが、このような単色材料に対して文字彫刻を施したとしても、文字が認識しにくいという問題がある。
【0003】
文字彫刻を施す方法としては、図10(a)および図10(b)に示したように、発色の異なる色の複数の金属材料層90,91,92を貼り合わせたクラッド材9に、金属材料層の表面または内部を露出させるように溝93を形成することにより、表面94と溝93の底面95との色の相違によるコントラストにより文字の認識させる方法も提案されている。これに類似する例として、Au層とPt層の二重構造のクラッド材を形成するとともに、片方の層に貫通溝を形成することで色のコントラストを形成したものがある(たとえば特許文献1参照)。このような方法では、単色材料に文字彫刻を施す場合に比べて、文字が認識しやすくなるといった利点がある。
【特許文献1】特開平3−284211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の金属材料層90〜92を貼り合わせたクラッド材9では、隣接する金属材料層90〜92相互の組成が異なるため、イオン化傾向の相違に基づく電池効果により、彫刻部分(溝93)が腐食しやすいという問題がある。彫刻部分(溝93)が腐食した場合には、装飾品は体裁の悪いものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面では、複合部材として、第1の金属を主成分とする第1相と、第2の金属を含む第2相と、を備えており、表面に向うほど前記第2相の占める割合が小さくなっていることを特徴とする。
【0006】
さらに、前記第1の金属がPt、前記第2の金属がCuとAuとの金属間化合物であって、X線回折分析の回折角2θ=36〜44°の範囲において、前記第2の金属全体のピーク強度が、前記第1の金属のピークの強度の2〜40倍である領域と、1倍以下である領域とを有することを特徴とする。
【0007】
さらに、前記第2の金属がAuCuであることを特徴とする。
【0008】
さらに、前記第1相と前記第2相との間にAuが存在していることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記第2相は前記金属間化合物を主成分とするマトリクス中にAuが分散したものであることを特徴とする。
【0010】
さらに、また、本発明の第2の側面では、装飾品として、 表面に溝を形成した装飾品であって、少なくとも一部を、請求項1及び6のいずれかに記載の複合材料により形成したことを特徴とする。
【0011】
さらに、前記溝の内壁及び底部の表面に前記第2相が露出していることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記溝は、最大深さが最小幅よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
さらに、前記装飾品の表面を平面視したとき、前記溝よりも該溝以外の部分の方が、占める面積割合が少ない領域があることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記溝は、上部開口から底部に向って幅寸法が小さくなるように形成されていることを特徴とする。
【0015】
さらに、前記溝の深さは、表面から0.1mm以上であることを特徴とする。
【0016】
さらに、前記溝の横断面は三角波状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の複合材料では、表面に向うほど前記第2相の占める割合が小さくなっているため、表面にむかうほど第2相の色味の影響が小さくなっている。そのため、本発明の複合材料では、内部から表面に向けて連続的に色の異なったものとなっている。
【0018】
このような複合材料により少なくとも一部が形成され、表面に溝を有する装飾品では、
溝の底部が溝の開口部周辺とは色の異なる領域を露出させることとなる。その結果、溝の開口部の周辺部と底部とでは、第2相の占める割合(色)が異なったものとなるため、そのコントラストによって溝(文字彫刻)を適切に認識しやすくなる。
【0019】
さらに、本発明は、前記第1の金属がPt、前記第2の金属がCuとAuとの金属間化合物であって、X線回折分析の回折角2θ=36〜44°の範囲において、前記第2の金属全体のピーク強度が、前記第1の金属のピークの強度の2〜40倍である領域と、1倍以下である領域とを有することで、コントラストによって溝(文字彫刻)をより適切に認識しやすくなる。
【0020】
さらに、本発明は、前記金属間化合物がAuCuであることで、安定したコントラストによって溝(文字彫刻)を適切に認識しやすくなる。
【0021】
前記第1相と前記第2相との間にAuが存在していることで、PtとCuとの反応を抑制することができ、これにより、表面についてはPtCuによる金属白色だが、内部では未反応のAuCuなどによるピンク色を有する複合材料を得易くなる。
【0022】
さらに、本発明は、前記第2相は前記金属間化合物を主成分とするマトリクス中にAuが分散したものであることで、Cuの腐食がAuによって遮られるため、耐食性を向上させやすくなる。
【0023】
さらに、本発明は、前記溝の内壁及び底部の表面に前記第2相が露出していることで、例えば赤色系統の発色を強調しやすくなる。
【0024】
さらに、本発明は、前記溝は、最大深さが最小幅よりも小さいことで、溝の底部の認識が容易となるため、適切に溝(文字彫刻)を認識しやすくなる。
【0025】
さらに、前記装飾品の表面を平面視したとき、前記溝よりも該溝以外の部分の方が、占める面積割合が少ない領域があることで、装飾品全面、例えば赤色系統の発色を強調しやすくなる。
【0026】
さらに、前記溝は、上部開口から底部に向って幅寸法が小さくなるように形成されていることで、幅広い角度で、溝からの反射光を維持しやすくなる。
【0027】
さらに、本発明は、前記溝の深さは、表面から0.1mm以上であることで、表面(溝の開口部の周辺)と溝の底部との間について、溝(文字彫刻)を適切に認識可能なコントラストを与えやすくなる。
【0028】
さらに、本発明は、前記溝の横断面は三角波状であることで、溝内部で多重反射させて、長波長側で比較的反射率の高い赤色を強調しやすくなる。
【0029】
また、本発明の装飾品では、固溶状態が異なるものの、全体が第1および第2金属を含んだ同様な組成となり、溝の深さ方向についての組成変化がほとんどないものとなり、そのため、第1および第2金属として適切な組み合わせを選択すれば、電池効果に起因する腐食を抑制しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下においては、本発明の一実施形態に係る装飾品および複合材料について、指輪を例にとって図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明の一実施形態に係る複合材料の適用対象である装飾品、あるいは本発明の一実施形態に係る装飾品は、指輪に限定されるものではない。
【0031】
例えば、図1(a)および図1(b)に示した指輪1は、全体が複合材料2によって形成されたものであり、文字部10が形成されたものである。文字部10は、図2に示したように溝11により構成されている。図3に示したように、溝11は、上部開口12および平坦な底面13を有しており、上部開口12から底面13に向うほど幅寸法が小さくなっている。
【0032】
溝11の深さDは、1mm以上であり、溝11の最少幅Wよりも小さくされており、最少幅Wに対する深さDの比率は、たとえば0.3以上1.0以下とされている。もちろん、溝11の底面13は、必ずしも平坦な面とする必要はなく、また溝11の深さDは、最少幅W以上であってもよい。このような溝11は、ブラストや加工ドリルによる切削などにより形成しやすくなる。
【0033】
図2および図4に示したように、複合材料2は、たとえば、第1相21、第2相22および第3相23を有している。なお、本発明において第3相は必須ではないが、存在することが好ましい。
【0034】
第1相21は、複合材料2の母材となるものであり、第1の金属を主成分としている。第1の金属としては、たとえばプラチナ(Pt)または金(Au)が使用される。第1相21中に含まれる第1の金属の総量は、たとえば全組成の25質量%以上75質量%以下とされている。このような範囲に第1の金属の総量を設定することにより、第2相22によって所望の色を発色させつつ、Ptなどの第1の金属の金属光沢を有する複合材料2としやすくなる。
【0035】
第1相21のPtなどの第1の金属の質量は、EDS(エネルギー分散型X線分析)半定量分析によって計算することができる。すなわち、表面から数μmの深さ領域より発生する特性X線を検出して各元素の分析を行い、そのピーク強度から組成を計算することができる。
【0036】
図1(a)および図1(b)に示した指輪1は、リング状の部分の全体が複合材料20によって形成され、図11に示したように、複合材料20は、第1相21、第2相22を有している。図12は第1相21におけるPtについてEDSマッピングしたもの、図13は第2相22におけるCuについてEDSマッピングしたもの、図14は同じくAuについてEDSマッピングしたものである。図17は図11の複合部材をXRD分析したときの金属間化合物のプロファイルであり、丸印はPt、三角印はPtCu、四角印はAuCuのピークを示している。
【0037】
本発明の一実施形態に係る複合材料によれば、前記第1の金属がPt、前記第2の金属がCuとAuとの金属間化合物であって、X線回折分析の回折角2θ=36〜44°の範囲において、前記第2の金属全体のピーク強度が、前記第1の金属のピークの強度の2〜40倍である領域と、1倍以下である領域とを有することが好ましい。
【0038】
図18で示すと、内部側では未反応のAuCuの存在や、3AuCuPd→AuCu+2Au+3Pdのような反応が進んで、AuCuの金属間化合物が多くなることからピンク発色が強くなる。一方、表面側では、完全に溶融してしまい金属白色の合金が多くなること(ここで表面近くでは金型に接するため高温になり、ほとんどのCuはPtCuとして存在するので、金属白色となりやすい)、あるいはAuCu+3Pt→3PtCu+AuおよびCuAuPd+Pt→PtCu+AuPdのような反応が進んで、ピンク発色の金属間化合物が低減されるため、金属白色を示す傾向がある。
【0039】
つまり、CuがAuとの金属間化合物を優先して形成することができ、PtCuが低減されることになるので、優れたピンク発色を示しやすくなる。また、Cu単体としての存在比率が低減され、耐食性にも優れたものを得ることが可能となる。
【0040】
さらに本発明の一実施形態によれば、前記金属間化合物がAuCuであることが好ましい。Cuが金属間化合物として存在していれば、単なる合金よりも化学的に安定であり、耐食性も好ましいものになる。なお、前記金属間化合物はAuCuであっても構わない。
【0041】
さらに本発明の一実施形態によれば、前記第1相と前記第2相との間にAuが存在していることが好ましい。これにより第2相内部のCuを耐食性の高いAuで囲い込むとともに、CuとPtとの反応を抑制することができ(図19(b)参照)、また、第2相内部でのAuCuの形成を優先することが可能であるため、よりピンク発色を強調しやすくなる。
【0042】
さらに本発明の一実施形態によれば、前記第2相は前記金属間化合物を主成分とするマトリクス中にAuが分散したものであることが好ましい。これにより第2相の内部をAuが網目状に囲い込むことになり(図19(c)参照)、腐食の進行を遮断しやすくなるので、第2相22の耐食性も向上する。例えば図5において、第2相22中の暗部が、分散しているAuとして見受けられる。
【0043】
さらに本発明の一実施形態によれば、Pt25〜75質量%、Cu15〜46質量%、Au9〜25質量%、Pd1〜4質量%であることが好ましい。Pt25〜75質量%とされていることが好ましく、PtとCuとの間の電池効果を低減するとともに、ピンク発色とすることが容易となる。さらに、Cu15〜46質量%であれば、同様にPtとCuとの間の電池効果を低減し、ピンク発色とするのが容易となる。さらに、Au9〜25質量%であれば、CuとPtとの反応によるPtCuの形成を抑制することができ、優れたピンク発色を得やすくな。さらに、Pd1〜4質量%であれば、第2相内部での電池効果を抑制した優れた複合材料を得やすくなる。
【0044】
ここで、第2相22におけるCuの質量は、第1相21におけるPtの質量を測定する場合と同様に、EDS半定量分析によって計算することができる。すなわち、表面から数μmの深さ領域より発生する特性X線を検出して、各元素分析を行い、そのピーク強度から組成を計算することができる。
【0045】
複合材料20はその表面において第2相22の一部が露出するためにピンク色となる。これは真空プラズマ焼結を用いることで、複合材料20の全体が金属間化合物とはなっていないからである。一方、鋳造法によって得られる複合材料では、全体が金属間化合物となり、ピンク発色させることは容易ではない。
【0046】
また、第2相22の一部は表面に露出しており、このような露出部の直径(平均値)は、40〜110μmであるのが好ましく、複合材料20がピンク色となり易く、長期間にわたって使用していても露出部が酸化されてしまう可能性が低い。なお、第2相22の平均結晶粒径は、第1相21の平均結晶粒径を測定する場合と同様の手法により算出すればよい。
【0047】
次に、本発明の一実施形態の複合材料20の製造方法を、放電プラズマ焼結法により指輪1を形成する場合を例にとって説明する。
【0048】
まず、Ptを含むPt粉末と、Cuを含むCu粉末とを所定割合で混合して混合粉末とする。Pt粉末としては、たとえば平均粒径が40〜110μm、純度が99.9%以上のものを使用するのが好ましい。Cu粉末としては、たとえば平均粒径が40〜110μm、純度が99.9%以上のものを使用するのが好ましい。
【0049】
複合材料20にPt以外の貴金属を添加するには、Ptと他の金属との合金またはCuと他の金属との合金を使用してもよく、またPt粉末およびCu粉末の他に、貴金属粉末を混合してもよい。
【0050】
次いで、混合粉末を焼結金型内に充填してリング形状に成形した後、この成形体に対して、真空雰囲気中で、たとえば焼成温度が200℃〜500℃、4V〜20Vの低電圧でパルス状電流を印加する。これにより、成形体の粒子の間隙において、放電プラズマが瞬間的に発生し、成形体が焼結される。
【0051】
ここで、成形体を形成するときの成形圧力は、たとえば300〜500MPaとされ、複合材料20に気孔が発生することを低減するものであり、原料充填により応力集中を起こしづらい。焼成温度を200℃〜500℃とするのは、焼結不良および過焼成を低減するためであり、いずれの場合も焼結体が脆くなることを低減するものである。一方、印加パルス電圧を4V〜20Vとするのは、成形体の間隙において充分な放電を起こし、目的とするプラズマ状態が達成するとともに、異常放電が生じる可能性を低くするためであり、いずれの場合も目的とする組成状態が得られ易くなる。
【0052】
このような放電プラズマ焼結法では、高エネルギー密度とジュール熱を広く応用することにより、電力消費量が少なく効率の良い焼結が可能となる。そのため、昇温・保持時間を含めた焼結時間は、概ね5〜20分程度の比較的短時間となり、鋳造法のように、材料全体が金属間化合物となることもなく、Ptを主成分とする第1相21に、Cuを主成分とする複数の第2相22を分散させたものとしやすくなる。
【0053】
図7に示した時計5は、ベルト50の少なくとも表層が複合材料層とされている。ベルト50は、全体が本発明の一実施形態の複合材料により形成されていてもよく、芯材の表面を本発明の一実施形態の複合材料により被覆したものであってもよい。時計5においては、側縁51が本発明の複合材料により形成されていてもよく、この場合にも、側縁51は、全体が本発明の一実施形態の複合材料により形成されていてもよく、芯材の表面を本発明の一実施形態の複合材料により被覆したものであってもよい。ベルト50または側縁51において芯材の表面に複合材料層を形成する場合には、複合材料層の厚みは、たとえば0.03〜0.1μmとされる。
【0054】
図8に示したメガネ8は、フレーム60の少なくとも表層が複合材料層とされている。フレーム60は、全体が本発明の一実施形態の複合材料により形成されていてもよく、芯材の表面を本発明の一実施形態の複合材料により被覆したものであってもよい。フレーム60において芯材の表面に複合材料層を形成する場合には、複合材料層の厚みは、たとえば0.03〜0.1μmとされる。
【0055】
本発明の一実施形態は、上述した指輪、時計およびメガネに限らず、他の装飾品の一部または全部として適用することが可能である。本発明の一実施形態を適用可能な他の装飾品としては、たとえばペンダント、ネックレス、ブレスレット、万年筆などの文房具類、食器、置物、ゴルフクラブ、携帯電話、あるいはボタンなどを挙げることができる。
【0056】
例えば、第2相22は、第2の金属を主成分とするものであり、第3相23中に存在した状態で、第1相21中に分散されている場合もある。第2相22は、表面20に向うほど占有割合が小さくなっている。第2の金属としては、たとえば銅(Cu)、金(Au)または銅金合金(CuAu)が使用される。
【0057】
第2相22中に含まれる第2の金属の総量は、複合材料2の全組成の25質量%以上60質量%以下とするのが好ましく、複合材料2を十分に発色させ、Ptなどの比率が相対的に大きくなって、Ptの金属光沢を発揮させやすくなる。
【0058】
第2相22のCuの質量は、第1相21のPtの質量を測定する場合と同様に、EDS半定量分析によって計算することができる。
【0059】
また、第3相23が存在する場合は、第1の金属と第2の金属との金属間化合物を含むものであり、第1相21中に配置されている。この場合、第3相23は、表面20に向うほど占有割合が大きくなっている。例えば、指輪1(複合材料2)では、内部から表面20にむかうほど、第2相22の占有割合が小さくなる一方で、第3相23の占有割合が大きくなっているため、表面20から内部にむかうほど第2相22の色味の影響が大きくなるように表面20から内部にむけて連続して色が変化する。
【0060】
ここで、第2相22および第3相23の占有割合は、たとえば走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察される100μm四方の領域において、第2相22および第3相23の占める面積の割合として把握することができる。SEMによる断面観察においては、断面に対して金蒸着を行なわずに、電子反射像によって結晶相を観察するのが好ましい。そうすれば、第1相21と第2相22との区別を確実にしやすくなるため、第2相22のおよび第3相23の占有割合を適切に算出することができる。
【0061】
一方、指輪1(複合材料2)には文字部10(溝11)が設けられている。この溝11は、表面20から内部に向けた深さを有するものである。そのため、溝11の上部開口12の周りと溝11の底面13とを比較した場合、溝11の底面13のほうが第2相22の色味が大きくなる。そのため、溝11の周りと溝11の底面13とでは色彩が異なったものとなる。
【0062】
たとえば第1の金属(第1相21)としてPt、第2の金属(第2相22)としてAuを含むようにすれば、表面20が白色で、内部に向うほど黄色が濃くなる。この場合、白地に黄色の文字部10が形成されることとなる。また、第1の金属(第1相21)としてPt、第2の金属(第2相22)としてCuAuを含むようにすれば、表面20が白色で、内部に向うほどピンク色が濃くなって白地にピンク色の文字部10が形成されることとなる。さらに、第1の金属(第1相21)としてAu、第2の金属(第2相22)としてCuを含むようにすれば、表面20が黄色で、内部に向うほど赤色が濃くなって、黄色地に赤色の文字部10が形成されることとなる。
【0063】
このような複合材料2により形成された指輪1では、表面20と文字部10(溝11の底面13)とのコントラストにより、文字部10を適切に認識することができる。とくに、溝11の深さDを表面20から0.1mm以上とすれば、表面20と底面13との間について、溝11(文字部10)を適切に認識可能なコントラストを与えやすくなる。また、溝11を深さDが最小幅Wよりも小さくなるように形成し、あるいは上部開口12から底面13に向って幅寸法が小さくなるように形成すれば、溝11の底面13の認識が容易となるため、適切に溝11(文字部10)を認識しやすくなる。また、溝11の底面13を平坦な面とすれば、底面13での光の反射量が多くなって底面13の色が強調されるため、文字部10を適切に識別しやすくなる。
【0064】
複合材料2により形成された指輪1ではさらに、表面20から内部に向けて固溶状態が異なるものの、全体が第1および第2金属を含んだ同様な組成(第1の金属と第2の金属との比率が略同様)とされており、溝11の深さ方向についての組成変化はほとんどない。そのため、第1および第2金属として適切な組み合わせを選択すれば、電池効果に起因する腐食を抑制しやすくなる。
【0065】
本発明の一実施形態の装飾品は、前記装飾品の表面において、前記溝が占める領域よりも、前記溝以外の部分が占める領域の方が少なくすることで、発色する領域がひろがるので赤色が強調される。
【0066】
さらに、前記溝の内壁及び底部の表面に前記第2相が露出し、さらに第2相の断面が研磨によって露出し、鏡面になっていれば、第2相で赤色光が選択的に反射されて、赤い色相が増すことになる。例えば、図20において、(a)は長波長がAu,Ag,Cu,Ptなどの金属のパイプ中を多重反射して進む模式図であり、(b)は短波長がAu,Ag,Cu,Ptなどの金属のパイプ中を多重反射して進む模式図であるが、(a)のように長波長は反射を繰り返しても減衰せずに光が進行し易いが、(b)のように短波長は反射を繰り返すと比較的早く減衰し明度が低くなる。これは金属の反射率依存性が長波長ほど高い傾向があるからである。
【0067】
そして、前記溝の断面が三角波状であれば、最も効率的に表面加工しやすいとともに、溝以外の部分が占める面積割合が少ない領域を得易く、多重反射して特定の色相を強調することが可能になる。例えば、図21において、光Aの光路のように第1相21のみで反射する場合だけでも、短波長は減衰し長波長の光がより多く出射するが、さらに光Bの光路のように第2相22も介して反射すれば、さらに短波長は減衰し長波長の光として出射しやすくなる。またさらに光Cの光路のように第2相22を複数回介して反射する場合では、さらに短波長は減衰し長波長の光として出射することになる。よって全体的に輝度は低下するものの、赤色の色相は増すことになる。
【0068】
次に、本発明の一実施形態の複合材料2の製造方法を、放電プラズマ焼結法により指輪1のリング状部分を形成する場合を例にとって説明する。
【0069】
指輪1を放電プラズマ焼結法により形成する場合には、図5に示した焼結装置3が用いられる。焼結装置3は、一対の電極30,31の間に直流パルス電圧を印加したときに、成形体32における粒子間に生じる放電の熱エネルギーを利用して成形体32を焼結するものである。
【0070】
焼結装置3は、成形体32の形状を規定するための超硬ダイ33を備えている。この超硬ダイ33は、分割内型34、パンチ35A,35Bおよび中子36を有しており、分割内型34の内部に、パンチ35A,35Bおよび中子36を挿通することにより、材料粉末を収容するための空間が規定されている。分割内型34は、型合わせ状態で外観形状においてテーパ状を呈するものであり、テーパ状の空間を有する外型37によって外套することにおより、型合わせ状態が維持される。
【0071】
パンチ35A,35Bは、超硬質スペーサ38A,38Bおよびグラファイトスペーサ39A,39Bを介して圧力よび電流が供給されるものであり、導体により形成されている。
【0072】
このような焼結装置3を用いて指輪1を形成する場合には、まず分割内型34を型合わせ状態で、その内部に中子36およびパンチ35Bを収容しておき、これらによって形成される円筒状の空間に所定量の原料粉末を供給する。
【0073】
原料粉末としては、第1の金属としてのPt粉末あるいはAu粉末と、第1の金属とは異なる金属種である第2の金属としてのCu粉末、Au粉末あるいはCuAu粉末と、を混合したものが用いられる。
【0074】
第1の金属のための金属粉末としては、たとえば粒径が40〜110μm以下のものが使用され、第2の金属のための金属粉末としても、たとえば粒径が40〜110μm以下のものが使用される。
【0075】
第1の金属の粉末と、第2の金属の粉末との混合は、たとえば乳鉢において、あるいはMA(メカニカルアロイング)によって行なうことが可能である。原料粉末における第1の金属の粉末と第2の金属の粉末との混合比は、50質量%以上60質量%以下とされる。
【0076】
次いで、分割内型34の内部にパンチ35Aを挿入するとともに外型37により分割内型34を締め付け、これを超硬質スペーサ38A,38Bの間にセットする。さらに超硬質スペーサ38A,38B間に圧力を付与し、パンチ35A,35Bによって原料粉末を圧縮・成形する。
【0077】
ここで、成形体23を形成するときの成形圧力は、たとえば300MPa以上500MPa以下とされる。成形圧力がこの範囲であれば、複合材料2に気孔が発生することにより脆くなることが低減でき、原料充填の応力集中により金型が破損することも低減できる。
【0078】
このようにして得られる成形体32に対しては、真空雰囲気中で成形体23に圧力を付与したまま、一対の電極30,31を介して直流パルス電圧を印加する。このようにして直流パルス電圧を印加することにより、成形体32の粒子の間隙において、放電プラズマが瞬間的に発生し、成形体32が焼結される。
【0079】
ここで、直流パルス電圧は、たとえば4V以上20V以下とされる。印加パルス電圧を4V以上20V以下とするのは、印加パルス電圧がこの範囲であれば成形体の間隙において充分な放電が起きやすく、目的とするプラズマ状態が達成可能である。また、異常放電が生じる可能性が少なくなるため、目的とする組織状態が得られ易くなる。
【0080】
成形体32の焼成条件は、昇温速度が20℃/分以上70℃/分以下、焼成温度が350℃以上400℃以下、焼成時間が5分以上20分以下とされる。このような焼結条件により成形体32を焼結することにより、焼結不良および過焼成となることもなく、第1相21中に第2相22配置させ、また第3相23中に第2相22を存在させやすくなる。また、放電プラズマ焼結法では、高エネルギー密度とジュール熱を広く応用することにより、電力消費量が少なく効率の良い焼結が可能となる。そのため、昇温・保持時間を含めた焼結時間は、概ね5〜20分程度の比較的短時間でよいため、鋳造法のように、材料全体が金属間化合物となることも殆どない。そのため、指輪1は、表面20に向うほど、第2相22の占める割合を小さくし、第3相23が占める割合が大きくしやすくなる。
【0081】
本発明の一実施形態は、上述した実施の形態には限定されず、種々に変更可能であるが、第3相の存在は必須ではない。また、指輪1では、第1相22の第1の金属としてPtまたはAuを使用し、第2の金属としてCu、AuまたはCuAuを使用する場合を例示したが、第1の金属と第2の金属との組み合わせを入れ替えてもよい。
【0082】
次に、装飾品の一部に複合材料層を形成した例について、図6に示した指輪を例にとって説明する。
【0083】
図6に示した指輪4は、芯材40の表面を複合材料層41によって被覆したものである。
【0084】
芯材40は、主として指輪4の形状を規定するものであり、たとえば内径が13〜22mm、外径が15〜24mm、厚みが2〜10mmのリング状に形成されている。このような芯材40は、たとえば鋳造法あるいは押し出し成形法により形成しやすくなる。芯材40を形成するための材料としては、貴金属および卑金属をいずれをも使用することができる。ただし、材料コストなどを考慮する必要がある場合は、Ag、Feおよびそれらを含む合金を使用しても良い。
【0085】
複合材料層41は、図1を参照して説明した指輪1と同様に図2および図4に示した組成状態を有する複合材料2により形成されている。すなわち、複合材料層41は、例えば、第2相22を配置した第3相23を、第1相21中に配置した組織状態とされている(図4参照)。複合材料層41の厚みは、たとえば0.03〜0.1μmとされている。
【0086】
このような指輪4は、予め形成しておいた芯材40を、材料粉末によってインサートした成形体を形成した後に、この成形体を放電プラズマ焼結法により焼成することにより形成しやすくなる。
【0087】
このようにして得られる指輪4においても、図2および図4に示した組織状態の複合材料2からなる複合材料層41が表面側に形成される。
【0088】
次に、本発明の一実施形態に係る装飾品の他の例について、図7ないし図9を参照して説明する。
【0089】
図7に示した時計5は、ベルト50の少なくとも表層が先に説明した指輪1,4(図1、図2および図6参照)と同様な組成および組織状態を有する複合材料層とされている。ベルト50は、全体が本発明の一実施形態の複合材料により形成されていてもよく、芯材の表面を本発明の一実施形態の複合材料により被覆したものであってもよい。時計5においては、側縁51が本発明の一実施形態の複合材料により形成されていてもよく、この場合にも、側縁51は、全体が本発明の一実施形態の複合材料により形成されていてもよく、芯材の表面を本発明の一実施形態の複合材料により被覆したものであってもよい。ベルト50または側縁51において芯材の表面に複合材料層を形成する場合には、複合材料層の厚みは、たとえば0.03〜0.1μmとされる。
【0090】
時計5は、ベルト50および側縁51などの形状については種々に変更可能であり、図示した以外の形態の時計についても本発明を適用可能である。
【0091】
図8に示したメガネ6は、フレーム60の少なくとも表層が先に説明した指輪1,4(図1、図2および図6参照)と同様な組成および組織状態の複合材料層とされている。フレーム60は、全体が本発明の一実施形態の複合材料により形成されていてもよく、芯材の表面を本発明の一実施形態の複合材料により被覆したものであってもよい。フレーム60において芯材の表面に複合材料層を形成する場合には、複合材料層の厚みは、たとえば0.03〜0.1μmとされる。
【0092】
メガネ6は、フレーム60などの形状については種々に変更可能であり、図示した以外の形態のメガネについても本発明を適用可能である。
【0093】
図9に示した万年筆7は、ペン先70の少なくとも一方の表層が先に説明した指輪1,4(図1、図2および図6参照)と同様な組成および組織状態の複合材料層とされている。ペン先70は、全体が本発明の一実施形態の複合材料により形成されていてもよく、芯材の表面を本発明の一実施形態の複合材料により被覆したものであってもよい。ペン先70において芯材の表面に複合材料層を形成する場合には、複合材料層の厚みは、たとえば0.03〜0.1μmとされる。万年筆7においては、ペン先70に加えて、あるいはペン先70に代えて、クリップ71などの他の部位における少なくとも表層を、複合組織層として形成してもよい。
【0094】
万年筆7は、ペン先70およびクリップ71などの形状については種々に変更可能であり、図示した以外の形態の万年筆についても本発明を適用可能である。
【0095】
本発明の一実施形態は、上述した指輪、時計、メガネおよび万年筆に限らず、他の装飾品の一部または全部として適用可能である。本発明を適用可能な他の装飾品としては、たとえば食器、置物、ベルトのバックル、ゴルフクラブ、携帯電話、あるいはボタンなどを挙げることができる。
【0096】
本発明の一実施形態の装飾品については、溝形状および組成の異なるリング状の試料を準備して、断面状態、色の変化、コントラストおよび耐食性を以下のように評価することができる。
【実施例】
【0097】
本実施例においては、複合材料からなる試料の断面における組織状態、複合材料の色、耐食性を評価した。
(試料の作製)
まず、混合粉末を、図5に示した焼結装置に仕込んで、放電プラズマ焼結法により焼成することにより外径25mm、内径が20mmであるリング状に形成する。
【0098】
次いで、リング状部材に文字彫りを施し、本実施例で使用する試料とするが、文字彫りは、リング状部材表面にシールでマスキングをしてからガラスブラストを高圧で吹き付けて表面エッチングし、マスキングされていない部分については溝で文字が彫られるようにする。
【0099】
なお、組成としてはPt50Au17.5Cu30Pd2.5で統一し、焼成時間を適時調節した。すなわち、表面側のピーク比を内部側よりも上げようとする場合、より高温で長時間焼結させればよく、内部側のピーク比と差をつけるためには、昇温速度を早くすればよい。
(組織状態の評価)
試料の組織状態は、第1相21、第2相22(図2参照)の存在および組成をSEM写真(SEM:日本電子製JSM−6700F、Tilt:0°、蒸着:なし、加速電圧:15kV、倍率:3000倍、観察像:反射電子組成像)で観察し、元素毎のEDSマッピング(EDAX:genesis2000、Tilt:0°、蒸着:なし、加速電圧:25kV、standard/SUTW)をすることにより行なった。X線回折分析の条件は、XRD(スペクトリクス株式会社製PW3050、2θ=35°〜90°、ステップサイズ0.1°、スキャンステップ時間6秒、オフセット0°、発散スリットサイズ(DS)2°、受光スリットサイズ(RS)0.3°、測定温度25℃、ターゲットCu、X線出力設定40kV、50mA、ゴニオメータ半径230mm、フォーカス−DS間距離100mm)で実施した。
【0100】
第1、2相21、22の存在は、SEM観察により行ない、組成はEDS半定量分析を行なうことにより確認した。
(色の評価)
Labの分析装置として、コニカミノルタ社製分光測定計CM−508dを用い、JIS Z 8729に準じて測定した結果を表1に示した。
(コントラストの評価)
コントラストの評価は、任意の5名によるモニタ試験により行なう。より具体的には、文字彫りを施した試料について、蛍光灯の下、目視で文字を認識できる時間を測定した。
(耐食性の評価)
試料の耐食性は、バフ研磨した試料を人口汗に半浸漬させて40±5℃の雰囲気にて30分間放置した後に変色の度合い、表面の状態を目視により確認することにより行なう。
【0101】
人口汗は、食塩9.2g/リットル、硫化ナトリウム0.8g/リットル、尿素1.7g/リットル、アンモニア水0.18ミリリットル/リットル、ショ糖0.22g/リットル、乳酸1.1ミリリットル/リットル、純水1リットルにより作製する。
【0102】
全く変化がないと認められるものは◎、使用可能な範囲のものは○、使用不可のものは×とした。
【0103】
以上のような評価方法で本願発明の断面状態、色とコントラストおよび耐食性について検査した結果を表1に示す。
【0104】
【表1】

【0105】
試料番号9は、表面と内部のピーク比が1.1の場合であるが、コントラスト以外については十分な結果となっている。
【0106】
試料番号1は、内部のピーク比が1の場合であるが、Lab、コントラスト、耐食性とも十分な結果とはいえない。これは全体的にAuCuが少なく、未反応のCuが多いためである。
【0107】
試料番号6は、内部のピーク比が41の場合であるが、Lab以外は十分な結果となっている。これはCu単体が少なくなりすぎ赤い色相が低下して、所望のLabから外れたものである。
【0108】
試料番号10は、表面部と内部のピーク比がともに4の場合であるが、コントラスト以外は十分な結果となっている。
【0109】
その他の実施例については、Lab、コントラスト、耐食性を同時に満足し、特に試料番号10、11のように、Auが第1相と第2相との間に介在する場合、または、Auが第2相の金属間化合物内に網目状に分散するものについては、優れた耐食性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1(a)は本発明の一実施形態に係る装飾品の一例である指輪の全体斜視図であり、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線に沿う断面図である。
【図2】図1(a)のII−II線に沿う断面の一例を、組織状態として表した模式図である。
【図3】図1に示した装飾品における文字部(溝)を拡大して示した断面図である。
【図4】図4(a)は図2における仮想線で囲んだ領域の切断線Aに沿う断面を模式的に示したものであり、図4(b)は図2における仮想線で囲んだ領域の切断線Bに沿う断面を模式的に示したものであり、図4(c)は図2における仮想線で囲んだ領域の切断線Cに沿う断面を模式的に示したものである。
【図5】本発明に係るリングの製造に使用する焼結装置を説明するための模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る装飾品の一例である指輪の他の例を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る装飾品の一例である時計を示す正面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る装飾品の一例であるメガネを示す全体斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る装飾品の一例である万年筆を示す全体斜視図である。
【図10】(a)および(b)は、従来の文字彫刻の例を説明するための断面図である。
【図11】本発明の一実施形態の複合材料におけるSEM写真の電子反射像である。
【図12】本発明の一実施形態の複合材料におけるSEM写真のPtのEDSマッピングである。
【図13】本発明の一実施形態の複合材料におけるSEM写真のCuのEDSマッピングである。
【図14】本発明の一実施形態の複合材料におけるSEM写真のAuのEDSマッピングである。
【図15】本発明の一実施形態の複合材料におけるCu分布の模式図である。
【図16】本発明の一実施形態の複合材料におけるAu分布の模式図である。
【図17】本発明の一実施形態の複合材料におけるXRDの金属間化合物ピークのチャートである。
【図18】本発明の一実施形態の複合材料における焼成時の表面側と内部側での反応を示すものである。
【図19】(a)は本発明の一実施形態の複合材料の焼成前を示す模式図、(b)は本発明の一実施形態の複合材料の焼成前を示す模式図、(c)は本発明の一実施形態の複合材料の焼成前を示す模式図である。
【図20】(a)は長波長がAu,Ag,Cu,Ptのパイプ中を多重反射して進む模式図であり、(b)は短波長がAu,Ag,Cu,Ptのパイプ中を多重反射して進む模式図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る三角波状の表面加工をした装飾品における多重反射の光路を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0111】
1,4 指輪
11 溝
12 (溝の)上部開口
13 (溝の)底面
2 複合材料
20 表面
21 第1相
22 第2相
23 第3相
41 複合材料層(複合材料領域)
5 時計
6 メガネ
7 万年筆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属を主成分とする第1相と、第2の金属を含む第2相と、を備えており、表面に向うほど前記第2相の占める割合が小さくなっていることを特徴とする複合材料。
【請求項2】
前記第1の金属がPt、前記第2の金属がCuとAuとの金属間化合物であって、X線回折分析の回折角2θ=36〜44°の範囲において、前記第2の金属のピーク強度が、前記第1の金属のピークの強度の2〜40倍である領域と、1倍以下である領域とを有することを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記第2の金属がAuCuであることを特徴とする請求項2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記第1相と前記第2相との間にAuが存在していることを特徴とする請求項2または3に記載の複合材料。
【請求項5】
前記第2相は前記金属間化合物を主成分とするマトリクス中にAuが分散したものであることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の複合材料。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の複合材料から成り、且つ、表面に溝を有する部分を少なくとも備えた装飾品。
【請求項7】
前記溝の内壁及び底部の表面に前記第2相が露出していることを特徴とする請求項6に記載の装飾品。
【請求項8】
前記溝は、最大深さが最小幅よりも小さいことを特徴とする請求項6または7に記載の装飾品。
【請求項9】
前記装飾品の表面を平面視したとき、前記溝よりも該溝以外の部分の方が、占める面積割合が少ない領域があることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の装飾品。
【請求項10】
前記溝は、上部開口から底部に向って幅寸法が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の装飾品。
【請求項11】
前記溝の深さは、表面から0.1mm以上であることを特徴とする請求項6ないし10のいずれかに記載の装飾品。
【請求項12】
前記溝の横断面は三角波状であることを特徴とする請求項6ないし11のいずれかに記載の装飾品。













【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図17】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2009−52133(P2009−52133A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115030(P2008−115030)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】