複合機および複合機の管理システム
【課題】 複数の機能を有する画像形成装置の使用可能な機能をユーザが容易に把握できる。
【解決手段】 制御部10は、読み込まれた信号から各機構が正常に動作しているか否かを判断し(ステップSa2)、障害が発生している機構があった場合(ステップSa2;YES)には、判定表から動作不可能な機能を抽出する。制御部10は、装置情報(機械ナンバ、機械名、各機能の使用可能/不能,不能の場合には障害が発生した日時等)を生成し、クライアントPCA,PCBに送信する(ステップSa6)。
【解決手段】 制御部10は、読み込まれた信号から各機構が正常に動作しているか否かを判断し(ステップSa2)、障害が発生している機構があった場合(ステップSa2;YES)には、判定表から動作不可能な機能を抽出する。制御部10は、装置情報(機械ナンバ、機械名、各機能の使用可能/不能,不能の場合には障害が発生した日時等)を生成し、クライアントPCA,PCBに送信する(ステップSa6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機能のうち、障害が発生した場合に、使用可能な機能を把握することのできる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ機能や、プリンタ機能、ファックス機能、コピー機能を備えたいわゆる複合機が知られている。従来、この種の複合機においては、一部の機能、例えばスキャナ機能だけに障害が発生しても、プリンタ機能も含む機器全体を停止させていた。そのため、スキャナ機能を使わないジョブ、例えば、外部のクライアント(パーソナルコンピュータ)からの印刷信号を受けて印刷するプリント機能さえも実行できなかった。
【0003】
このため、一部の機能に障害が発生して当該機能が無効になった場合でも、残った使用可能な機能のみを動作できるようにした技術が知られている(特許文献1参照)。この技術では、各機能における障害の有無を検知するとともに、障害が検知された場合、障害が検知された機能のみを無効とし、機能が無効になった場合に機能が無効にされた経歴(縮退履歴)を蓄積し、この蓄積された縮退履歴を当該複合機の表示部と遠隔地のサービスセンターとに通知するようになっている。
【特許文献1】特開2002−264455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、ネットワークに接続されたクライアント端末を操作するユーザが、使用しようとする複合機の障害の有無を把握するためには、当該複合機の表示部をわざわざ確認しなければならず、非常に面倒であった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の機能を有する複合機の障害の有無をユーザが簡単に把握することのできる複合機およびその管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る複合機は、複数の機能の各々について障害の有無を検知する検知手段と、前記検知手段により機能の障害が検知された場合、障害が検知された機能を使えなくする機能縮退手段と、前記機能縮退手段により使えなくされた機能を示す縮退情報を記憶する縮退情報記憶手段と、前記縮退情報記憶手段に記憶された縮退情報に基づき、使えない状態の機能を示す装置情報をネットワークに接続されたクライアント端末に通知する通知手段とを備えたことを特徴とする。
本発明において、多数の機構を有し、これらの機構を組み合わせることにより前記複数の機能を実行する構成が好ましい。
また、前記複数の機能は、スキャナ機能、プリンタ機能、ファックス機能、コピー機能を含む構成が好ましく、前記多数の機構は、画像読取機構、画像印刷機構、シート搬送機構、ネットワーク通信機構を含む構成が好ましい。
さらに、前記装置情報には、障害の度合いに応じて修理要請を促すメッセージを添付する構成としても良い。
また、本発明は、ネットワークを介して少なくとも2以上接続されるとともに、複数の機能を有する複合機の管理システムであって、前記複合機は、複数の機能の各々について障害の有無を検知する検知手段と、前記検知手段により機能の障害が検知された場合、障害が検知された機能を使えなくする機能縮退手段と、前記機能縮退手段により使えなくされた機能を示す縮退情報を記憶する縮退情報記憶手段と、前記縮退情報記憶手段に記憶された縮退情報に基づき、使えない状態の機能を示す装置情報を他の複合機に通知する通知手段と、他の複合機から取得した他の装置情報と自装置の装置情報とから複合機毎に管理情報として生成する管理情報生成手段と、前記管理情報を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の機能のうち、使用可能な機能については、ユーザが操作するクライアント端末で確認できるので、ユーザに面倒なことを強いることを少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合機が適用されるシステム全体を示すブロック図である。ここで、実施形態に係る複合機は、機能として、スキャナ機能、プリンタ機能、ファックス機能、コピー機能を有する。
この図に示すように、LAN(ローカルエリアネットワーク)には、複合機xxx、複合機yyy、複合機zzz、クライアントPCAおよびPCBが接続されている。LANに接続された各装置にはIPアドレスが割り当てられ、各装置間で通信可能な状態となっている。クライアントPCA,PCBは、パーソナルコンピュータであり、図示は省略されているがコンピュータ本体や、表示部、操作部(キーボード、マウス等)を具備している。
【0008】
複合機xxxは、画像読取機構1、画像印刷機構2、シート搬送機構3、ネットワーク通信機構4、外部インターフェース5、HDD(ハードディスク)6、および、これら機構の動作を制御する制御部10のほか、各機構1〜4の動作状態、特に障害の有無を検出して、その検出信号を出力する各種センサ7を有する。
画像読取機構1は、複合機にセットされた原稿の画像を読取り、原稿画像に応じた画像データに変換して、画像印刷機構2へ出力したり、HDD6に記憶させたりする。画像印刷機構2には、画像読取機構1で読取った画像データ、他のファクシミリ装置から送られたファクシミリデータ、ユーザ端末などから送られた文字データやイメージデータを印刷するプリンタエンジンが内蔵されている。シート搬送機構3は、給紙カセット(図示せず)に収容されたシート(紙)を一枚ずつ画像印刷機構2に搬送するものである。
ネットワーク通信機構4は、前述した外部インターフェース5或いはモデム等が該当し、LAN、公衆回線網(図示せず)等に当該装置を接続するものである。外部インターフェース5は、当該複合機xxx自身をLANに接続するためのものであり、通信ポート等に相当する。
【0009】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11や、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13等から構成される。ここで、ROM12には、複合機において各部を制御するためのプログラムや、後述する装置情報通知処理を実行するためのプログラム、各種センサ7による検出信号から画像読取機構1、画像印刷機構2、シート搬送機構3およびネットワーク通信機構4が正常に動作しているか否かを監視するプログラム等が格納されている。さらに、ROM12には、機構に発生した障害から使用不能な機能を抽出する判定表(図2,参照)も記憶されている。
CPU11は、これらのプログラムをROM12から読み出して実行することにより各機構の動作を制御する。RAM13は、CPU11によるプログラムの実行の際にワークエリアとして使用される。
【0010】
ここで、図2の判定表を参照しつつ、画像読取機構1、画像印刷機構2、シート搬送機構3およびネットワーク通信機構4の各機構と、スキャナ機能、プリンタ機能、ファックス機能およびコピー機能の各機能との関係について説明する。
この判定表は、機能毎に、必須の機構を「○」で、任意の機構「×」であることを示す。この表に示されるように、コピー機能では、画像読取機構1、画像印刷機構2およびシート搬送機構3が必須であり、ネットワーク通信機構4が任意である。このため、画像読取機構1、画像印刷機構2またはシート搬送機構3のいずれか1つでも障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。
また、プリンタ機能では、画像読取機構1が任意であり、画像印刷機構2、シート搬送機構3およびネットワーク通信機構4が必須である。このため、コピー機構は、画像印刷機構2、シート搬送機構3またはネットワーク通信機構4のいずれか1つでも障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。
スキャナ機構(読取り)は、画像読取機構1だけが必須であり、他の機構は任意である。したがって、スキャナ機構(読取り)は、画像読取機構1に障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。
スキャナ機構(送信)は、ネットワーク通信機構4だけが必須であり、他の機構は任意である。したがって、スキャナ機構(送信)は、ネットワーク通信機構4に障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。
また、ファックス機能(受信)では、画像読取機構1が任意であり、画像印刷機構2、シート搬送機構3およびネットワーク通信機構4が必須である。このため、ファックス機能(受信)は、画像印刷機構2、シート搬送機構3またはネットワーク通信機構4のいずれか1つでも障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。ファックス機能(送信)では、画像読取機構1およびネットワーク通信機構4が必須であり、画像印刷機構2およびシート搬送機構3が任意である。このため、ファックス機能(受信)は、画像読取機構1またはネットワーク通信機構4の一方に障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。
【0011】
換言すれば、この判定表から判ることは、例えば、画像読取機構1のみに障害が発生した場合に使用可能な機能は、プリンタ機能、スキャナ機能(送信)およびファックス機能(受信)である、ということである。同様に、画像印刷機構2のみに障害が発生した場合に、使用可能な機能は、スキャナ機能(読取および送信)およびファックス機能(送信)である。また、シート搬送機構3のみ障害が発生した場合に使用可能な機能は、スキャナ機能(読取と送信)およびファックス機能(送信)であり、ネットワーク通信機構4のみに障害が発生した場合に使用可能な機能は、コピー機能およびスキャナ機能(読取)である。さらに、複数の機構に障害が同時に生じている場合、例えば、画像印刷機構2およびシート搬送機構3に障害が生じている場合に、使用可能な機能は、スキャナ機構(読取および送信)およびファックス機能(送信)である。
このような判定表を用いると、ある機構に障害が生じたときに、使用可能な機能・使用不可能な機能を導くことが可能となる。
なお、他の複合機yyy,zzzについても、複合機xxxと同様に構成されている。
【0012】
次に、図3の流れ図に基づいて管理システムの動作について説明する。
図3に示した処理は、複合機xxxの電源を投入することにより処理を開始する。まず、電源が投入されると、CPU11は、LANを介して接続される他の装置のIPアドレスを取得し、RAM13に記憶する。
続いて、CPU11は、各種センサ7から送信される検出信号を読み込んで、各機構における障害の有無を判断する(ステップSa1)。
ここで、障害がありと判断した機構があれば、図2に示した判定表から動作不可能となる機能を導いて当該機能を無効化する。換言すれば、使用可能な機能を縮退する。そして、CPU11は、使用可能な機能を縮退しなかった場合(ステップSa2の「NO」)、処理手順をステップSa1に戻して、障害の有無の判断を継続する。一方、使用可能な機能を縮退した場合(ステップSa2の「YES」)、使用不可能とした機能に対応した縮退情報を生成し(ステップSa3)、この縮退情報をRAM13に記憶する(ステップSa4)。
例えば、画像読取機構1に障害が発生した場合、当該機構を必須とするコピー機能、スキャナ機能(読取)およびファックス機能(送信)が使用不可能となるので、CPU11は、使用不可能な機能を示す情報を縮退情報としてRAM13に記憶する。
さらに、CPU11は、縮退情報を含めて装置情報を生成する(ステップSa5)。具体的には、装置情報には、機械ナンバ、機械名、各機能の使用可能/不能,不能の場合には障害が発生した日時等が含まれる。
【0013】
次に、CPU11は、生成した装置情報をクライアントPCA,PCBに送信する(ステップSa6)。その後、CPU11は、ステップSa1以降の処理を続ける。
これにより、クライアントPCA,PCBでは、複合機xxxから送信された装置情報を受け取り、表示部に表示する。具体的には、図4のような形式でクライアントPCの表示部に表示される。この表示を見たユーザは、複合機xxxが現在使用可能な機能を認識する。
【0014】
本実施形態に係る複合機においては、各機構に障害が発生しているか否かをセンサからの検出信号で識別し、障害が発生していた場合、この機構の障害によって使用不可能になる機能を導いた上で、機能の使用可能/不可能を表した装置情報をクライアントPCに送信する。これにより、この装置情報を受け取ったクライアントPCユーザは、当該装置の使用可能な機能を容易に把握することができる。従って、ユーザは、利用しようとする複合機の装置情報をリアルタイムで知ることができ、わざわざ複合機の設置場所まで出向いて装置の状況を調べる手間が省け、使用勝手を向上できる。
なお、クライアントPCA,PCBへの送信は、障害が発生した場合に送信するようにしたが、クライアントPCA,PCBからの要求により送信するようにしてもよい。
【0015】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、LANに管理PCが接続されており、複合機に発生した障害の状況から修理要請が必要な場合には、その旨のメッセージを不可した装置情報を管理者PCに送信する点に特徴がある。なお、本実施形態において、前述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0016】
図5ないし図7を参照しつつ、第2実施形態について説明する。
図5に示すように、LANには、管理者が使用する管理PCが接続されている。また、制御部10のROM12には、第1実施形態で述べたプログラムに加えて、装置情報の送信先を設定するプログラムも格納されると共に、送信先を決めるための基準項目が記憶されている。具体的に、基準項目とは、ユーザによって修理不可能な障害、例えば紙詰まり、トナー交換等を簡易な作業で修理できる障害を除いた障害のことである。
【0017】
次に、図6の流れ図を参照しつつ、第2実施形態に係るシステムの動作について説明する。なお、ステップSa1〜Sa5までは、第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
CPU11は、ステップSa5において縮退情報を含めた装置情報を生成した後、生成した装置情報を送信する先を設定する処理を行う(ステップSb1)。具体的には、障害の発生した機構が予めROM12に記憶された基準項目と一致するか否か判断し、一致した場合、即ちユーザが修理不可能な障害である場合には、その障害と修理を促す旨のメッセージを装置情報に添付し、管理PCのIPアドレスを送信先として送信する。なお、基準項目はユーザが修理不可能な機能、ユーザが修理不可能な機構、ユーザが修理不可能な部位としてもよいことは勿論である。
【0018】
これにより、管理PCでは、複合機xxxから送信された装置情報を受け取り、表示部に表示する。具体的には、図7に示すような形式で管理PCの表示部に表示される。他のPCとの表示の違いは、下欄に添付された修理を促すメッセージ、例えば「画像読取機構に障害が発生しています。修理を依頼してください。」にある。この表示を見た管理者は、早々にサービスセンタに修理依頼を発することができ、効果的に修理回復を図ることができる。
なお、修理を促すメッセージを添付した装置情報は、管理PCに送信することに限らず、ユーザが使用するクライアントPCに送信してもよいことは勿論である。
【0019】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、各複合機間で装置情報の送受信を行い、複合機毎に各装置情報から生成した管理情報を共有した点に特徴がある。なお、本実施形態において、前述した実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0020】
図8ないし図10を参照しつつ、第3実施形態について説明する。
システムの構成は、第1実施形態の図1と同様であるので、その説明は省略する。ただし、各複合機間で装置情報の送受信を行い、互いの装置情報から共通の管理情報を生成し、装置毎にこの管理情報を記憶している点で異なる。
【0021】
次に、図8の流れ図を参照しつつ、第3実施形態に係るシステムの動作について説明する。
複合機xxxのCPU11は、第1実施形態で述べた装置情報通知処理を行い、複合機xxxの装置情報を生成する(ステップSc1)。一方、複合機yyyのCPU11は、同様の処理を行い、複合機yyyの装置情報を生成する(ステップSc2)。
その後、一方の複合機は他方の複合機に向けて互いに装置情報を送信する(ステップSc3,4)。
【0022】
複合機xxxのCPU11は、受信した複合機yyyの装置情報と自機の装置情報とを照合して管理情報を生成し、RAM13に記憶する(ステップSc5)。同様に、複合機yyyのCPU11は、受信した複合機xxxの装置情報と自機の装置情報とを照合して管理情報を生成し、RAM13に記憶する(ステップSc6)。なお、この装置情報は、互いに同じ装置情報から生成されるため同一の内容となる。
なお、この図8では、複合機zzzの処理については省略している。
【0023】
ここで、管理情報の例を図9に示す。図9に示される装置情報は、複合機xxxでは、プリンタが使用不可で、スキャナおよびFAXが使用可能な場合であり、複合機yyyでは、使用不可の機能はなく、複合機zzzでは、FAXが使用不可で、スキャナおよびプリンタが使用可能な場合である。
各装置情報を照合することにより、複合機xxxのプリンタ機能を補うのに複合機yyyが指定され、複合機zzzのFAX機能を補うのに複合機yyyが指定され、それぞれ回避策として付加された管理情報が生成される。
【0024】
説明を図8に戻す。管理情報がそれぞれ複合機xxx、yyyに記憶された状態において、クライアントPCAが複合機xxxに対してプリントを依頼する(ステップSd1)。このプリント依頼を受けた複合機xxxのCPU11は、管理情報を参照して複合機xxxのプリント機能が使用可能か否かを判断する(ステップSd2)。図9に示す管理情報では、複合機xxxのプリンタ機能は不可となっているため、プリンタ機能の回避策である複合機yyyにプリント依頼を行う(ステップSd3)。複合機xxxからプリント依頼を受けた複合機yyyは、クライアントPCAのプリント依頼を、複合機xxxを経由して受けることになる。
【0025】
一方、複合機xxxのCPU11は、クライアントPCAのユーザに依頼を受けたプリントを複合機yyyで代わりに受けたことを報知するため変更情報を生成し(ステップSd4)、クライアントPCAに向けて変更情報を送信する(ステップSd5)。
クライアントPCAでは、受信した変更情報を表示部で表示する(ステップSd6)。この例の場合、図10に示すように、回避策に「複合機yyyで印字します」といったようなメッセージを付加して表示する。これにより、クライアントPCAのユーザは、複合機xxxに依頼したプリントが複合機yyyでプリントされることを把握できる。
【0026】
このように、本実施形態においては、障害により一部の機能が使用不可になった場合でも、使用不可になった機能を他の複合機の機能で補うことにより、ユーザは作業を中断することがなくなり、作業効率の低下を最小限に抑えることができる。
【0027】
なお、第3実施形態では、複合機を3台として記載したが、多数の場合には、複合機の装置情報から回避テーブルを作成し、この回避テーブルにより回避策を設定するようにしてもよい。具体的には、回避テーブルは、複合機の設置場所を考慮し、使用不可の機能が発生した複合機の近くに位置する他の複合機を代理させるようにすればよい。また、他の複合機に代理させるだけでなく、ユーザによる軽易な作業により修理可能な場合には、そのメッセージ(例えば、「紙詰まり、操作パネルの指示に従って対処して下さい。」)を回避策として回避テーブルに記憶しておけばよい。
また、第3実施形態では、複合機xxxが複合機yyyにプリント依頼を行うようにしたが、図11に示すように、複合機xxxは複合機yyyにプリント依頼を行わず、変更情報をクライアントPCAに送信し(ステップSd5)、クライアントPCAから直接複合機yyyにプリント依頼を行う(ステップSd7)ようにしてもよい。
【0028】
上述した第1から第3実施形態では、機能が使用可能か否かの判断を、機構が正常に動作しているか否かにより判断するようにしたが、本発明はこれに限らず、機能の動作状況を検知して機能が正常に動作しているか否か、機構を構成する部位の動作状況を検知して機能が正常に動作しているか否かを判断するようにしてもよい。
また、実施形態では、4つの機能を有する複合機で説明したが、コピー機能、ファックス機能、プリンタ機能或いはスキャナ機能を少なくとも2つ以上有する装置であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る複合機が接続されたシステムを示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に用いられる判定表である。
【図3】第1実施形態による装置情報通知処理を示す流れ図である。
【図4】第1実施形態による装置情報を例示した図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る複合機が接続されたシステムを示すブロック図である。
【図6】第2実施形態による装置情報通知処理を示す流れ図である。
【図7】第2実施形態による装置情報を例示した図である。
【図8】本発明の第3実施形態による動作を示す流れ図である。
【図9】第3実施形態による装置情報を例示した図である。
【図10】第3実施形態による変更情報を例示した図である。
【図11】本発明の第3実施形態の変形例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0030】
xxx,yyy,zzz…複合機、PCA,PCB…クライアント、1…画像読取機構、2…画像印刷機構、3…シート搬送機構、4…ネットワーク通信機構、10…制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機能のうち、障害が発生した場合に、使用可能な機能を把握することのできる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ機能や、プリンタ機能、ファックス機能、コピー機能を備えたいわゆる複合機が知られている。従来、この種の複合機においては、一部の機能、例えばスキャナ機能だけに障害が発生しても、プリンタ機能も含む機器全体を停止させていた。そのため、スキャナ機能を使わないジョブ、例えば、外部のクライアント(パーソナルコンピュータ)からの印刷信号を受けて印刷するプリント機能さえも実行できなかった。
【0003】
このため、一部の機能に障害が発生して当該機能が無効になった場合でも、残った使用可能な機能のみを動作できるようにした技術が知られている(特許文献1参照)。この技術では、各機能における障害の有無を検知するとともに、障害が検知された場合、障害が検知された機能のみを無効とし、機能が無効になった場合に機能が無効にされた経歴(縮退履歴)を蓄積し、この蓄積された縮退履歴を当該複合機の表示部と遠隔地のサービスセンターとに通知するようになっている。
【特許文献1】特開2002−264455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、ネットワークに接続されたクライアント端末を操作するユーザが、使用しようとする複合機の障害の有無を把握するためには、当該複合機の表示部をわざわざ確認しなければならず、非常に面倒であった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の機能を有する複合機の障害の有無をユーザが簡単に把握することのできる複合機およびその管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る複合機は、複数の機能の各々について障害の有無を検知する検知手段と、前記検知手段により機能の障害が検知された場合、障害が検知された機能を使えなくする機能縮退手段と、前記機能縮退手段により使えなくされた機能を示す縮退情報を記憶する縮退情報記憶手段と、前記縮退情報記憶手段に記憶された縮退情報に基づき、使えない状態の機能を示す装置情報をネットワークに接続されたクライアント端末に通知する通知手段とを備えたことを特徴とする。
本発明において、多数の機構を有し、これらの機構を組み合わせることにより前記複数の機能を実行する構成が好ましい。
また、前記複数の機能は、スキャナ機能、プリンタ機能、ファックス機能、コピー機能を含む構成が好ましく、前記多数の機構は、画像読取機構、画像印刷機構、シート搬送機構、ネットワーク通信機構を含む構成が好ましい。
さらに、前記装置情報には、障害の度合いに応じて修理要請を促すメッセージを添付する構成としても良い。
また、本発明は、ネットワークを介して少なくとも2以上接続されるとともに、複数の機能を有する複合機の管理システムであって、前記複合機は、複数の機能の各々について障害の有無を検知する検知手段と、前記検知手段により機能の障害が検知された場合、障害が検知された機能を使えなくする機能縮退手段と、前記機能縮退手段により使えなくされた機能を示す縮退情報を記憶する縮退情報記憶手段と、前記縮退情報記憶手段に記憶された縮退情報に基づき、使えない状態の機能を示す装置情報を他の複合機に通知する通知手段と、他の複合機から取得した他の装置情報と自装置の装置情報とから複合機毎に管理情報として生成する管理情報生成手段と、前記管理情報を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の機能のうち、使用可能な機能については、ユーザが操作するクライアント端末で確認できるので、ユーザに面倒なことを強いることを少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合機が適用されるシステム全体を示すブロック図である。ここで、実施形態に係る複合機は、機能として、スキャナ機能、プリンタ機能、ファックス機能、コピー機能を有する。
この図に示すように、LAN(ローカルエリアネットワーク)には、複合機xxx、複合機yyy、複合機zzz、クライアントPCAおよびPCBが接続されている。LANに接続された各装置にはIPアドレスが割り当てられ、各装置間で通信可能な状態となっている。クライアントPCA,PCBは、パーソナルコンピュータであり、図示は省略されているがコンピュータ本体や、表示部、操作部(キーボード、マウス等)を具備している。
【0008】
複合機xxxは、画像読取機構1、画像印刷機構2、シート搬送機構3、ネットワーク通信機構4、外部インターフェース5、HDD(ハードディスク)6、および、これら機構の動作を制御する制御部10のほか、各機構1〜4の動作状態、特に障害の有無を検出して、その検出信号を出力する各種センサ7を有する。
画像読取機構1は、複合機にセットされた原稿の画像を読取り、原稿画像に応じた画像データに変換して、画像印刷機構2へ出力したり、HDD6に記憶させたりする。画像印刷機構2には、画像読取機構1で読取った画像データ、他のファクシミリ装置から送られたファクシミリデータ、ユーザ端末などから送られた文字データやイメージデータを印刷するプリンタエンジンが内蔵されている。シート搬送機構3は、給紙カセット(図示せず)に収容されたシート(紙)を一枚ずつ画像印刷機構2に搬送するものである。
ネットワーク通信機構4は、前述した外部インターフェース5或いはモデム等が該当し、LAN、公衆回線網(図示せず)等に当該装置を接続するものである。外部インターフェース5は、当該複合機xxx自身をLANに接続するためのものであり、通信ポート等に相当する。
【0009】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11や、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13等から構成される。ここで、ROM12には、複合機において各部を制御するためのプログラムや、後述する装置情報通知処理を実行するためのプログラム、各種センサ7による検出信号から画像読取機構1、画像印刷機構2、シート搬送機構3およびネットワーク通信機構4が正常に動作しているか否かを監視するプログラム等が格納されている。さらに、ROM12には、機構に発生した障害から使用不能な機能を抽出する判定表(図2,参照)も記憶されている。
CPU11は、これらのプログラムをROM12から読み出して実行することにより各機構の動作を制御する。RAM13は、CPU11によるプログラムの実行の際にワークエリアとして使用される。
【0010】
ここで、図2の判定表を参照しつつ、画像読取機構1、画像印刷機構2、シート搬送機構3およびネットワーク通信機構4の各機構と、スキャナ機能、プリンタ機能、ファックス機能およびコピー機能の各機能との関係について説明する。
この判定表は、機能毎に、必須の機構を「○」で、任意の機構「×」であることを示す。この表に示されるように、コピー機能では、画像読取機構1、画像印刷機構2およびシート搬送機構3が必須であり、ネットワーク通信機構4が任意である。このため、画像読取機構1、画像印刷機構2またはシート搬送機構3のいずれか1つでも障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。
また、プリンタ機能では、画像読取機構1が任意であり、画像印刷機構2、シート搬送機構3およびネットワーク通信機構4が必須である。このため、コピー機構は、画像印刷機構2、シート搬送機構3またはネットワーク通信機構4のいずれか1つでも障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。
スキャナ機構(読取り)は、画像読取機構1だけが必須であり、他の機構は任意である。したがって、スキャナ機構(読取り)は、画像読取機構1に障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。
スキャナ機構(送信)は、ネットワーク通信機構4だけが必須であり、他の機構は任意である。したがって、スキャナ機構(送信)は、ネットワーク通信機構4に障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。
また、ファックス機能(受信)では、画像読取機構1が任意であり、画像印刷機構2、シート搬送機構3およびネットワーク通信機構4が必須である。このため、ファックス機能(受信)は、画像印刷機構2、シート搬送機構3またはネットワーク通信機構4のいずれか1つでも障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。ファックス機能(送信)では、画像読取機構1およびネットワーク通信機構4が必須であり、画像印刷機構2およびシート搬送機構3が任意である。このため、ファックス機能(受信)は、画像読取機構1またはネットワーク通信機構4の一方に障害が発生すると、他の機構に障害がなくても動作不可能となる。
【0011】
換言すれば、この判定表から判ることは、例えば、画像読取機構1のみに障害が発生した場合に使用可能な機能は、プリンタ機能、スキャナ機能(送信)およびファックス機能(受信)である、ということである。同様に、画像印刷機構2のみに障害が発生した場合に、使用可能な機能は、スキャナ機能(読取および送信)およびファックス機能(送信)である。また、シート搬送機構3のみ障害が発生した場合に使用可能な機能は、スキャナ機能(読取と送信)およびファックス機能(送信)であり、ネットワーク通信機構4のみに障害が発生した場合に使用可能な機能は、コピー機能およびスキャナ機能(読取)である。さらに、複数の機構に障害が同時に生じている場合、例えば、画像印刷機構2およびシート搬送機構3に障害が生じている場合に、使用可能な機能は、スキャナ機構(読取および送信)およびファックス機能(送信)である。
このような判定表を用いると、ある機構に障害が生じたときに、使用可能な機能・使用不可能な機能を導くことが可能となる。
なお、他の複合機yyy,zzzについても、複合機xxxと同様に構成されている。
【0012】
次に、図3の流れ図に基づいて管理システムの動作について説明する。
図3に示した処理は、複合機xxxの電源を投入することにより処理を開始する。まず、電源が投入されると、CPU11は、LANを介して接続される他の装置のIPアドレスを取得し、RAM13に記憶する。
続いて、CPU11は、各種センサ7から送信される検出信号を読み込んで、各機構における障害の有無を判断する(ステップSa1)。
ここで、障害がありと判断した機構があれば、図2に示した判定表から動作不可能となる機能を導いて当該機能を無効化する。換言すれば、使用可能な機能を縮退する。そして、CPU11は、使用可能な機能を縮退しなかった場合(ステップSa2の「NO」)、処理手順をステップSa1に戻して、障害の有無の判断を継続する。一方、使用可能な機能を縮退した場合(ステップSa2の「YES」)、使用不可能とした機能に対応した縮退情報を生成し(ステップSa3)、この縮退情報をRAM13に記憶する(ステップSa4)。
例えば、画像読取機構1に障害が発生した場合、当該機構を必須とするコピー機能、スキャナ機能(読取)およびファックス機能(送信)が使用不可能となるので、CPU11は、使用不可能な機能を示す情報を縮退情報としてRAM13に記憶する。
さらに、CPU11は、縮退情報を含めて装置情報を生成する(ステップSa5)。具体的には、装置情報には、機械ナンバ、機械名、各機能の使用可能/不能,不能の場合には障害が発生した日時等が含まれる。
【0013】
次に、CPU11は、生成した装置情報をクライアントPCA,PCBに送信する(ステップSa6)。その後、CPU11は、ステップSa1以降の処理を続ける。
これにより、クライアントPCA,PCBでは、複合機xxxから送信された装置情報を受け取り、表示部に表示する。具体的には、図4のような形式でクライアントPCの表示部に表示される。この表示を見たユーザは、複合機xxxが現在使用可能な機能を認識する。
【0014】
本実施形態に係る複合機においては、各機構に障害が発生しているか否かをセンサからの検出信号で識別し、障害が発生していた場合、この機構の障害によって使用不可能になる機能を導いた上で、機能の使用可能/不可能を表した装置情報をクライアントPCに送信する。これにより、この装置情報を受け取ったクライアントPCユーザは、当該装置の使用可能な機能を容易に把握することができる。従って、ユーザは、利用しようとする複合機の装置情報をリアルタイムで知ることができ、わざわざ複合機の設置場所まで出向いて装置の状況を調べる手間が省け、使用勝手を向上できる。
なお、クライアントPCA,PCBへの送信は、障害が発生した場合に送信するようにしたが、クライアントPCA,PCBからの要求により送信するようにしてもよい。
【0015】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、LANに管理PCが接続されており、複合機に発生した障害の状況から修理要請が必要な場合には、その旨のメッセージを不可した装置情報を管理者PCに送信する点に特徴がある。なお、本実施形態において、前述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0016】
図5ないし図7を参照しつつ、第2実施形態について説明する。
図5に示すように、LANには、管理者が使用する管理PCが接続されている。また、制御部10のROM12には、第1実施形態で述べたプログラムに加えて、装置情報の送信先を設定するプログラムも格納されると共に、送信先を決めるための基準項目が記憶されている。具体的に、基準項目とは、ユーザによって修理不可能な障害、例えば紙詰まり、トナー交換等を簡易な作業で修理できる障害を除いた障害のことである。
【0017】
次に、図6の流れ図を参照しつつ、第2実施形態に係るシステムの動作について説明する。なお、ステップSa1〜Sa5までは、第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
CPU11は、ステップSa5において縮退情報を含めた装置情報を生成した後、生成した装置情報を送信する先を設定する処理を行う(ステップSb1)。具体的には、障害の発生した機構が予めROM12に記憶された基準項目と一致するか否か判断し、一致した場合、即ちユーザが修理不可能な障害である場合には、その障害と修理を促す旨のメッセージを装置情報に添付し、管理PCのIPアドレスを送信先として送信する。なお、基準項目はユーザが修理不可能な機能、ユーザが修理不可能な機構、ユーザが修理不可能な部位としてもよいことは勿論である。
【0018】
これにより、管理PCでは、複合機xxxから送信された装置情報を受け取り、表示部に表示する。具体的には、図7に示すような形式で管理PCの表示部に表示される。他のPCとの表示の違いは、下欄に添付された修理を促すメッセージ、例えば「画像読取機構に障害が発生しています。修理を依頼してください。」にある。この表示を見た管理者は、早々にサービスセンタに修理依頼を発することができ、効果的に修理回復を図ることができる。
なお、修理を促すメッセージを添付した装置情報は、管理PCに送信することに限らず、ユーザが使用するクライアントPCに送信してもよいことは勿論である。
【0019】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、各複合機間で装置情報の送受信を行い、複合機毎に各装置情報から生成した管理情報を共有した点に特徴がある。なお、本実施形態において、前述した実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0020】
図8ないし図10を参照しつつ、第3実施形態について説明する。
システムの構成は、第1実施形態の図1と同様であるので、その説明は省略する。ただし、各複合機間で装置情報の送受信を行い、互いの装置情報から共通の管理情報を生成し、装置毎にこの管理情報を記憶している点で異なる。
【0021】
次に、図8の流れ図を参照しつつ、第3実施形態に係るシステムの動作について説明する。
複合機xxxのCPU11は、第1実施形態で述べた装置情報通知処理を行い、複合機xxxの装置情報を生成する(ステップSc1)。一方、複合機yyyのCPU11は、同様の処理を行い、複合機yyyの装置情報を生成する(ステップSc2)。
その後、一方の複合機は他方の複合機に向けて互いに装置情報を送信する(ステップSc3,4)。
【0022】
複合機xxxのCPU11は、受信した複合機yyyの装置情報と自機の装置情報とを照合して管理情報を生成し、RAM13に記憶する(ステップSc5)。同様に、複合機yyyのCPU11は、受信した複合機xxxの装置情報と自機の装置情報とを照合して管理情報を生成し、RAM13に記憶する(ステップSc6)。なお、この装置情報は、互いに同じ装置情報から生成されるため同一の内容となる。
なお、この図8では、複合機zzzの処理については省略している。
【0023】
ここで、管理情報の例を図9に示す。図9に示される装置情報は、複合機xxxでは、プリンタが使用不可で、スキャナおよびFAXが使用可能な場合であり、複合機yyyでは、使用不可の機能はなく、複合機zzzでは、FAXが使用不可で、スキャナおよびプリンタが使用可能な場合である。
各装置情報を照合することにより、複合機xxxのプリンタ機能を補うのに複合機yyyが指定され、複合機zzzのFAX機能を補うのに複合機yyyが指定され、それぞれ回避策として付加された管理情報が生成される。
【0024】
説明を図8に戻す。管理情報がそれぞれ複合機xxx、yyyに記憶された状態において、クライアントPCAが複合機xxxに対してプリントを依頼する(ステップSd1)。このプリント依頼を受けた複合機xxxのCPU11は、管理情報を参照して複合機xxxのプリント機能が使用可能か否かを判断する(ステップSd2)。図9に示す管理情報では、複合機xxxのプリンタ機能は不可となっているため、プリンタ機能の回避策である複合機yyyにプリント依頼を行う(ステップSd3)。複合機xxxからプリント依頼を受けた複合機yyyは、クライアントPCAのプリント依頼を、複合機xxxを経由して受けることになる。
【0025】
一方、複合機xxxのCPU11は、クライアントPCAのユーザに依頼を受けたプリントを複合機yyyで代わりに受けたことを報知するため変更情報を生成し(ステップSd4)、クライアントPCAに向けて変更情報を送信する(ステップSd5)。
クライアントPCAでは、受信した変更情報を表示部で表示する(ステップSd6)。この例の場合、図10に示すように、回避策に「複合機yyyで印字します」といったようなメッセージを付加して表示する。これにより、クライアントPCAのユーザは、複合機xxxに依頼したプリントが複合機yyyでプリントされることを把握できる。
【0026】
このように、本実施形態においては、障害により一部の機能が使用不可になった場合でも、使用不可になった機能を他の複合機の機能で補うことにより、ユーザは作業を中断することがなくなり、作業効率の低下を最小限に抑えることができる。
【0027】
なお、第3実施形態では、複合機を3台として記載したが、多数の場合には、複合機の装置情報から回避テーブルを作成し、この回避テーブルにより回避策を設定するようにしてもよい。具体的には、回避テーブルは、複合機の設置場所を考慮し、使用不可の機能が発生した複合機の近くに位置する他の複合機を代理させるようにすればよい。また、他の複合機に代理させるだけでなく、ユーザによる軽易な作業により修理可能な場合には、そのメッセージ(例えば、「紙詰まり、操作パネルの指示に従って対処して下さい。」)を回避策として回避テーブルに記憶しておけばよい。
また、第3実施形態では、複合機xxxが複合機yyyにプリント依頼を行うようにしたが、図11に示すように、複合機xxxは複合機yyyにプリント依頼を行わず、変更情報をクライアントPCAに送信し(ステップSd5)、クライアントPCAから直接複合機yyyにプリント依頼を行う(ステップSd7)ようにしてもよい。
【0028】
上述した第1から第3実施形態では、機能が使用可能か否かの判断を、機構が正常に動作しているか否かにより判断するようにしたが、本発明はこれに限らず、機能の動作状況を検知して機能が正常に動作しているか否か、機構を構成する部位の動作状況を検知して機能が正常に動作しているか否かを判断するようにしてもよい。
また、実施形態では、4つの機能を有する複合機で説明したが、コピー機能、ファックス機能、プリンタ機能或いはスキャナ機能を少なくとも2つ以上有する装置であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る複合機が接続されたシステムを示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に用いられる判定表である。
【図3】第1実施形態による装置情報通知処理を示す流れ図である。
【図4】第1実施形態による装置情報を例示した図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る複合機が接続されたシステムを示すブロック図である。
【図6】第2実施形態による装置情報通知処理を示す流れ図である。
【図7】第2実施形態による装置情報を例示した図である。
【図8】本発明の第3実施形態による動作を示す流れ図である。
【図9】第3実施形態による装置情報を例示した図である。
【図10】第3実施形態による変更情報を例示した図である。
【図11】本発明の第3実施形態の変形例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0030】
xxx,yyy,zzz…複合機、PCA,PCB…クライアント、1…画像読取機構、2…画像印刷機構、3…シート搬送機構、4…ネットワーク通信機構、10…制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能の各々について障害の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段により機能の障害が検知された場合、障害が検知された機能を使えなくする機能縮退手段と、
前記機能縮退手段により使えなくされた機能を示す縮退情報を記憶する縮退情報記憶手段と、
前記縮退情報記憶手段に記憶された縮退情報に基づき、使えない状態の機能を示す装置情報をネットワークに接続されたクライアント端末に通知する通知手段と
を備えたことを特徴とする複合機。
【請求項2】
多数の機構を有し、これらの機構を組み合わせることにより前記複数の機能を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の複合機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の複合機であって、
前記複数の機能は、スキャナ機能、プリンタ機能、ファックス機能、コピー機能を含む
ことを特徴とする複合機。
【請求項4】
請求項2に記載の複合機であって、
前記多数の機構は、画像読取機構、画像印刷機構、シート搬送機構、ネットワーク通信機構を含む
ことを特徴とする複合機。
【請求項5】
請求項1または2記載の複合機であって、
前記装置情報には、障害の度合いに応じて修理要請を促すメッセージを添付する
ことを特徴とする複合機。
【請求項6】
ネットワークを介して少なくとも2以上接続されるとともに、複数の機能を有する複合機の管理システムであって、
前記複合機は、
複数の機能の各々について障害の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段により機能の障害が検知された場合、障害が検知された機能を使えなくする機能縮退手段と、
前記機能縮退手段により使えなくされた機能を示す縮退情報を記憶する縮退情報記憶手段と、
前記縮退情報記憶手段に記憶された縮退情報に基づき、使えない状態の機能を示す装置情報を他の複合機に通知する通知手段と、
他の複合機から取得した他の装置情報と自装置の装置情報とから複合機毎に管理情報として生成する管理情報生成手段と、
前記管理情報を報知する報知手段と
を備えたことを特徴とする複合機の管理システム。
【請求項1】
複数の機能の各々について障害の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段により機能の障害が検知された場合、障害が検知された機能を使えなくする機能縮退手段と、
前記機能縮退手段により使えなくされた機能を示す縮退情報を記憶する縮退情報記憶手段と、
前記縮退情報記憶手段に記憶された縮退情報に基づき、使えない状態の機能を示す装置情報をネットワークに接続されたクライアント端末に通知する通知手段と
を備えたことを特徴とする複合機。
【請求項2】
多数の機構を有し、これらの機構を組み合わせることにより前記複数の機能を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の複合機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の複合機であって、
前記複数の機能は、スキャナ機能、プリンタ機能、ファックス機能、コピー機能を含む
ことを特徴とする複合機。
【請求項4】
請求項2に記載の複合機であって、
前記多数の機構は、画像読取機構、画像印刷機構、シート搬送機構、ネットワーク通信機構を含む
ことを特徴とする複合機。
【請求項5】
請求項1または2記載の複合機であって、
前記装置情報には、障害の度合いに応じて修理要請を促すメッセージを添付する
ことを特徴とする複合機。
【請求項6】
ネットワークを介して少なくとも2以上接続されるとともに、複数の機能を有する複合機の管理システムであって、
前記複合機は、
複数の機能の各々について障害の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段により機能の障害が検知された場合、障害が検知された機能を使えなくする機能縮退手段と、
前記機能縮退手段により使えなくされた機能を示す縮退情報を記憶する縮退情報記憶手段と、
前記縮退情報記憶手段に記憶された縮退情報に基づき、使えない状態の機能を示す装置情報を他の複合機に通知する通知手段と、
他の複合機から取得した他の装置情報と自装置の装置情報とから複合機毎に管理情報として生成する管理情報生成手段と、
前記管理情報を報知する報知手段と
を備えたことを特徴とする複合機の管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−94046(P2006−94046A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275973(P2004−275973)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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