説明

複合炭化水素流からのアルキル化アリールホスフィット組成物を生成するための方法

ヒドロキシアリールを複合炭化水素流の少なくとも1種のオレフィンと反応させることによるヒドロキシアリール化合物のアルキル化方法。複合炭化水素流は好ましくは、クラッキングされた炭化水素供給原料流のフラクション又はパラフィン系供給原料の脱水素化の反応生成物を含有する。複合炭化水素流のオレフィンは好ましくは、分枝オレフィン、例えばイソブチレン又はイソアミレンである。当該アルキル化組成物は液体ホスフィット組成物を生成するのに適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合炭化水素流からのアルキル化アリールを生成することに関する。さらに、本発明はポリマー用ホスフィット抗酸化剤の生成におけるアルキレート組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は2009年7月31日付けで出願された米国仮出願第61/230,658号の35USC 119(e)に基づく利益を主張するものであり、その記載を引用して組入れる。
アルキル化ヒドロキシアリール化合物はPClとの反応によるホスフィット化合物の製造に使用され、これは「LIQUID PHOSPHITE BLENDS AS STABILIZER」と題する米国出願第11/787,531号に記載されており、この出願の全体を引用して本明細書に組み入れる。このような有機ホスフィットはポリオレフィン及びエラストマー用の二次抗酸化剤として使用される。
【0003】
通常、アルキル化ヒドロキシアリールは、任意に適当な触媒の存在下でオレフィンとヒドロキシアリールとの反応によって合成されている。実質的に純粋なオレフィンによるヒドロキシアリールのアルキル化は広く知られている方法である。ナフサなどの炭化水素供給流の流体接触クラッキング又はスチームクラッキングによるクラッキング及び引続く炭化水素供給流のフラクションの一つの単離操作は、C〜Cオレフィンのような精製低級オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン及びアミレンの製造を可能にする。クラッキングから得られる高級オレフィンの異性体は急速にその数を増加し、同様の単離を実施困難にする。供給流からのC〜Cオレフィンを分離するための処理工程は価格を高め、また総製造時間を短縮する。
【0004】
フラクションは一般に、1,3−ブタジエン、イソブテン、1−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、ブタン、イソブタン、ビニルアセチレン、エチルアセチレン及び1,2−ブタジエンの混合物を含有する。Cフラクションから純粋なオレフィン異性体を得るためには、種々の処理工程がしばしば要求される。例えば、1,3−ブタジエンを水素化により除去すると、主要成分としてのイソブテン、n−ブテン及びブタンを含有する複合炭化水素流が残される。しかしながら、複合炭化水素流の蒸留によるイソブテンの分離は諸成分の沸点が近接することから困難である。イソブテンは形状選択型単離によって、又は化学反応によってラフィネートから除去してもよい。このような化学反応として、水和、酸イオン交換樹脂上におけるイソブテンへのメタノールの付加及びイソブテンのオリゴマー化又は重合が挙げられる。最初の二種の化学反応は可逆性であり、また実質的に精製されたイソブテンを得る場合に使用される。酸イオン交換樹脂上におけるイソブテンへのメタノールの付加はメチル−t−ブチル−エーテル(MTBE)を生成する。しかしながら、健康及び環境問題がMTBEによって、特に地下水汚染を最低にすることに関連して存在する。これらの化学反応後、C複合炭化水素流の残存成分は抽出蒸留によって、異なる実質的に精製されたオレフィン及び飽和化合物に分離してもよい。
【0005】
米国特許第4,914,246号は、残渣から由来する熱分解されたイオウ含有石油蒸留物のオレフィン成分の選択的アルキル化により生成されるモノアルキルフェノールを含有する組成物を開示している。このオレフィン成分は線状C〜C12オレフィンである。
【0006】
米国特許第4,568,778号は、無機固形酸触媒又は酸性イオン交換樹脂触媒の存在下でのイソアミレンとフェノールとの反応によるt−アミルフェノールの製造方法を開示している。イソアミレンはイソプレン−抽出Cフラクションの水素化によって得られる。
【0007】
エチレンの二量化及びプロペンの不均化反応はオレフィン、特にブテンを得るための別の商業的に利用できる合成経路である。しかしながら、エチレンの二量化は先ず、主要成分として1−ブテン及び2−ブテンを生成する。
【0008】
慣用の方法の観点から、アルキル化ヒドロキシアリールの製造に利用されるオレフィンの効果的な供給源、特に例えばポリオレフィン及びエラストマー用の二次抗酸化剤として使用してもよいアルキルアリールホスフィットの製造に使用してもよいアルキル化ヒドロキシアリールの製造に使用される効果的な供給源に対する要求が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の観点において、本発明はホスフィット組成物を生成するための方法に関し、当該方法は、ヒドロキシアリール化合物を複合炭化水素流中のオレフィンと反応させる工程であって、それにより2種又はより多いアルキル化ヒドロキシアリール化合物を含有するアルキレート組成物を生成する工程、及び、この2種又はより多いアルキル化ヒドロキシアリール化合物を三ハロゲン化リンと反応させる工程であって、それによりホスフィット組成物を生成する工程、を含む。一態様において、複合炭化水素流は分枝オレフィン45〜95重量%及び飽和化合物0.5〜20重量%含有する。複合炭化水素流はまた、その他の異性体、例えば線状オレフィンを含有することがある。生じるホスフィット組成物は少なくとも2種の異なるホスフィットを含有し、周囲条件で液体である。少なくとも2種の異なるホスフィットは次の成分を含有する:トリス(ジアルキルアリール)ホスフィット、トリス(モノアルキルアリール)ホスフィット、ビス(ジアルキルアリール)モノアルキルアリールホスフィット、及びビス(モノアルキルアリール)ジアルキルアリールホスフィット。
【0010】
第二の観点において、本発明は少なくとも2種のホスフィットを含有するホスフィット組成物を生成するための方法に関し、この方法は、(a)少なくとも1種のオレフィン及び少なくとも1種の飽和化合物を含有する複合炭化水素流を用意する工程;(b)反応混合物中で2種又はより多いアルキル化ヒドロキシアリールの生成に有効な条件下で、ヒドロキシアリールを複合炭化水素流と接触させる工程;(c)反応混合物から当該少なくとも1種の飽和化合物を分離する工程;並びに、(d)当該2種又はより多いアルキル化ヒドロキシアリールを三ハロゲン化リンと反応させる工程であって、それによりホスフィット組成物を生成する工程、を含む。好ましくは、生じるホスフィット組成物は周囲条件で液体である。
【0011】
第三の観点において、本発明はホスフィット組成物を生成するための統合反応システムに関し、この反応システムは、(a)少なくとも1種のオレフィンを含有する複合炭化水素流を生成するための石油化学精製システム;(b)石油化学精製システムと流体連絡しているアルキレート合成反応器であって、そこでアルキレート組成物を生成するのに有効な条件下で、複合炭化水素流からのオレフィンを1種又はより多いヒドロキシアリールと反応させる、アルキレート合成反応器;及び(c)アルキレート合成反応器と流体連絡しているホスフィット合成反応器であって、そこで液体ホスフィット組成物を生成するのに有効な条件下で、触媒を使用し又は使用せず、アルキレート組成物を三ハロゲン化リンと反応させる、ホスフィット合成反応器、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は添付する非制限的な図からさらに良好に理解されるであろう:
【0013】
【図1】図1は本発明の一態様に従うホスフィット組成物を生成するための連続反応システムを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
[序論]
本発明は複合炭化水素流中に含有されるオレフィンによる、ヒドロキシアリール、例えばフェノール又はクレゾールのアルキル化方法に関する。アルキレート組成物を生成するのに有効な条件下で、複合炭化水素からの少なくとも1種のオレフィン、好ましくは少なくとも1種の分枝オレフィンをヒドロキシアリールと反応させる。好ましくは、オレフィンは複合炭化水素流から単離せず、代わりに複合炭化水素流中に含有されてもいる飽和成分の存在下でヒドロキシアリールと反応させる。場合により、これらの飽和成分は生成するアルキレート組成物から容易に分離される。アルキレート組成物は次いで、以下で説明するように、リン化合物と反応させてもよく、それにより、以下でまた説明するように、液体ホスフィット組成物を生成する。本発明の方法は複合炭化水素流からのオレフィンの分離に付随する処理工程及び相当する費用を有利に減少させる。
【0015】
一態様において、複合炭化水素流は石油供給源、例えば原油及び/又は天然ガスから得られる。別の態様において、本発明は石油化学精製システム、アルキル化システム及び好ましくはホスフィット合成システムを含む統合反応システムに関する。図1は本発明の一態様に従う統合反応システム100を例示している。図1に示されているように、複合炭化水素流102は石油供給源101により用意される。一態様において、複合炭化水素流102は同一炭素原子数を有する少なくとも1種の飽和化合物及び少なくとも1種のオレフィン(例えば、ブチレン又はアミレン)を包含する複数種の成分を含有する。統合反応システム100において、石油供給源101は石油化学精製システムを含むことができ、他方、別の態様において、石油供給源101はアルキレート貯蔵槽を含むことができる。一態様において、複合炭化水素流102及びヒドロキシアリール流103はアルキル化反応器104に向けられており、この反応器において、任意に触媒の存在下で、これらをヒドロキシアリールのアルキル化に有効な条件下で反応させる。好ましくは、反応は2種又はより多いアルキル化ヒドロキシアリールを含有するアルキレート組成物106を生成する。上記したように、複合炭化水素流102からの飽和化合物はアルキル化工程中にアルキル化反応器104から排出システム105を経て遊離される。
【0016】
一態様において、アルキレート組成物106及びPCl等のリンハロゲン化物はホスフィット合成反応器108に向けられ、ここでホスフィット組成物110を生成するのに有効な条件下で、任意に触媒の存在下で、アルキレート組成物106はPClと接触する。好ましくは、ホスフィット組成物110は2種又はより多いアルキルアリールホスフィット(以下で説明する)を含有する。一態様において、HClが副生成物として生成され、HCl流109中の反応混合物から遊離される。
【0017】
別の態様において(示されていない)、複合炭化水素流はパラフィン系供給原料の脱水素化の反応生成物であってもよい。脱水素化はパラフィン系供給原料からオレフィンを得る広く知られている方法である。このような態様において、反応生成物は少なくとも1種のオレフィン及び少なくとも1種の飽和化合物を含有し、例えば複合炭化水素流である。脱水素化の条件は好ましくは、反応生成物がオレフィンを含有するようにすべきである。脱水素化条件の例を以下に示す。パラフィン系供給原料として、一般に、C〜C18アルカン、例えばC〜Cアルカン又はC〜Cアルカンが挙げられる。脱水素化は250〜800℃、例えば400〜700℃、又は555〜700℃の温度において、15.0KPa未満、例えば5.0KPa未満、又は1.0KPa未満の低圧下で、起こってもよい。一態様において、脱水素化温度はパラフィンのオレフィンへの変換に影響を及ぼし、また規定範囲外の温度はオレフィンの生成量を減少させることがある。場合により、脱水素化に触媒を使用してもよい。触媒を使用する場合、触媒は不活性化を回避するために熱的に安定であるべきである。一態様において、触媒はクロム−アルミナ触媒、アルミナ及びクロムオキシドを含む触媒組成物、貴金属触媒、例えばニッケル(Ni)触媒、パラジウム(Pd)触媒、及び白金(Pt)触媒、並びに遷移触媒、例えば鉄(Fe)触媒、バナジウム(V)触媒、クロム(Cr)触媒、及びマンガン(Mn)触媒を含む。このリストが排他的ではないことは勿論のことである。一態様において、触媒は水又は水蒸気の不存在下で使用する。
【0018】
別の態様において、複合炭化水素流は不純なオレフィンを含有する。
【0019】
[複合炭化水素流]
本明細書で使用されているものとして、「複合炭化水素流」の用語は少なくとも1種の分枝オレフィン及び1種の線状オレフィン並びに飽和化合物を含有する炭化水素の混合物を表す。一態様において、炭化水素の大部分、例えば少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%又は少なくとも95重量%は同一数の炭素原子を有する。炭素原子数は炭素原子2〜18個、例えば炭素原子3〜8個、又は炭素原子4〜6個で変化してもよい。一態様において、複合炭化水素流の炭化水素は少なくとも2個の炭素原子、例えば3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子、又は18個までの炭素原子を有する。好ましくは、複合炭化水素流はC炭化水素及び/又はC炭化水素の混合物である。
【0020】
複合炭化水素流はさらに、主要炭化水素に比較して、炭素原子数が多い又は炭素原子数が少ない成分を少量で含有してもよい。この少量成分は炭化水素の総量の10重量%まで、例えば8重量%まで、又は5重量%までであってもよい。
【0021】
好ましい態様において、石油供給源に由来する複合炭化水素流の場合、フラクションを得るのに使用されるクラッキングの方式、並びにクラッキング条件の苛酷度及び供給流は各成分の相対量を決定する。分枝オレフィンを生成するクラッキング条件が好適である。例えば、低苛酷条件下でのナフサのスチームクラッキングは同一供給流の流体接触クラッキングに比較しさらに多いイソブテンを有するCフラクションをもたらす。同様に、脱水素化条件はまた、各成分の相対量に影響を及ぼすことがある。
【0022】
一態様において、複合炭化水素流中の成分の相対量を重量パーセント(重量%)で表1に示す。
【表1】

【0023】
好ましくは、複合炭化水素流はジエンを実質的に含有していない。一態様において、複合炭化水素流はジエンを500wppm未満の量、例えば100wppm未満の量、又は検出できない量で含有する。一態様において、複合炭化水素流はクラッキング処理から得られるフラクションであってもよく、又は処理されたフラクション、例えばクラッキング後の初期に分離されるフラクションであってもよい。一例として、処理されたフラクションは1,3−ブタジエンを除去することによって初期に分離されてもよく、これによりC複合炭化水素流が得られる。
【0024】
複合炭化水素流の成分はそれぞれ、1種又はより多い異性体を含有してもよいと考えられる。一態様において、複合炭化水素流は少なくとも2種の異なる異性体、例えば少なくとも3種の異なる異性体、又は少なくとも5種の異なる異性体を含有する。例えば、C炭化水素複合流が使用される場合、分枝オレフィン成分はイソブチレンを含有してもよい。別の例として、C炭化水素複合流が使用される場合、分枝オレフィン成分は少なくとも2種の異なる異性体、すなわち2−メチルブテン−2又は一般的にイソアミレンと称される2−メチルブテン−1を含有してもよい。
【0025】
例示的態様において、複合炭化水素流は、表2に示されているように、C主要成分及びC少量成分を有する。
【表2】

【0026】
[アルキル化方法]
一態様において、ヒドロキシアリールを、複合炭化水素流からの少なくとも1種のオレフィン、例えば少なくとも2種のオレフィン、又は少なくとも3種のオレフィンと反応させる。好ましくは、ヒドロキシアリールは少なくとも1個のヒドロキシル及び6〜18個の炭素原子を有する芳香族部分、例えばフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、9−フェナントロール、インダノール、カテコール、レゾルシノール、アントラセン−2−オール、4−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、キシレノール、クレゾール(例えば、o−、m−及び/又はp−クレゾール)、及びその誘導体であり、好ましくはフェノールである。好ましい態様において、少なくとも1種のオレフィンは分枝オレフィン、例えばイソブチレン又はイソアミレンを含有する。さらに別の態様において、ヒドロキシアリールを複合炭化水素流中の少なくとも2種のオレフィンと反応させるが、その成分の1種は分枝オレフィンである。複合炭化水素流中のオレフィン(1種又は複数)対ヒドロキシアリール(1種又は複数)の重量比は好ましくは、1:1〜6:1、例えば1.1:1〜2:1又は1.25:1〜1.4:1の範囲である。
【0027】
一態様において、線状オレフィン又は飽和化合物を包含するその他の成分、例えば分枝オレフィンではない成分はヒドロキシアリールと反応しない。条件に応じて、線状オレフィンは飽和化合物に比較して高度にまで反応してもよい。しかしながら、この反応は典型的に好ましくない。一般に、線状オレフィン及び/又は飽和化合物はアルキル化反応を通過する。
【0028】
アルキル化方法用の条件は広く変えてもよいが、好ましい態様の中では、フェノールとオレフィンとの反応は不活性雰囲気(例えば、窒素下)において60〜160℃、例えば70〜145℃又は80〜140℃の温度で起こってもよい。この反応は好ましくは、0.2〜10気圧、例えば0.2〜5気圧又は0.2〜4気圧の圧力で行う。バッチ式反応の場合、反応時間は1〜12時間、例えば2〜10時間又は3〜5時間続いてもよい。連続式反応の場合、滞在時間は0.1〜5時間、例えば0.2〜4時間又は0.5〜1時間であってもよい。アルキル化は好ましくは、触媒の存在下で行う。触媒として、例えば酸性クレイ触媒、カチオンイオン交換樹脂、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸(トリフリック酸)及びホスホタングステン酸等のブレンステッド酸化合物、又はBF等のルイス酸、からなる群から選択してもよい。適当な市販酸性クレイ触媒は、Fulcat(商標)22B(Rockwood Additives)が挙げられる。一態様において、本発明で有用なスルホン酸型カチオン−交換樹脂触媒は、例えばスルホン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマー、フェノールホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、又はベンゼンホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂であり得る。本発明で有用なカチオン交換樹脂として、例えば強酸イオン交換樹脂のスチレン−ジビニルベンゼン型,例えばDowex(商標)50WX4、Dowex 50WX2、Dowex M−31、Dowex Monospere M−31、Dowex DR−2030及びDowex Monosphere DR−2030触媒(Dow Chemical)が挙げられる。他の適当な樹脂として、Amberlyst(商標)15、Amberlyst 131、Amberlyst 35、Amberlyst 36及びA21(Rhom and Hass、Dowの子会社);Diaion(商標)WA30、Diaion SK104、Diaion SK1B、Diaion PK208、Diaion PK212及びDiaion PK216(Mitsubishi);Tulsion(商標)T−38、Tulsion T−62、Tulsion T−66、Tulsion T−3825及びTulsion T−3830(Thermax);Lewatit(商標)K1131、Lewatit K1221、Lewatit K1261及びLewatit SC104(Sybron Chemicals);Indion(商標)180及びIndion 225(Ion Exchange(India)Limited);及びPurolite(商標)CT−175、Purolite(商標)CT−169及びPurolite(商標)CT−275(Purolite)が挙げられる。
【0029】
一態様において、温和な触媒、例えばアルミニウム−含有触媒、例えば塩化アルミニウム又はアルミニウムフェノレートも使用される。一態様において、アルミニウムをフェノールに溶解することによって、このような触媒をアルキル化反応の間に系中で作ってもよい。
【0030】
一態様において、バッチ式アルキレート合成はポット型反応器で行われる。別の態様において、アルキレート合成は連続型反応器において連続式に行われる。連続式方法の場合、アルキル化反応は任意に、触媒の全部ではなくても大部分を含有する液相及びアルキル化アリール化合物を含有する有機相を形成する極性溶媒、水を用いてクエンチされ、これらは蒸留によって除去されてもよい。連続式方法を固体触媒の固定床上で行う場合、クエンチ工程は不必要であることがある。
【0031】
この方法の一つの観点において、オレフィンと反応しない遊離フェノール系化合物の全てが、例えば70〜160℃の温度及び1〜10mbarの圧力における蒸留により、反応生成物の混合物から除去されてもよい。
【0032】
本発明の態様に従い、ヒドロキシアリールと複合炭化水素流からのオレフィンとの反応は、反応生成物の混合物をもたらす。このアルキレート組成物は、例えばp−アルキル化フェノール5〜95重量%、例えば10〜70重量%又は30〜65重量%及びo,p−ジアルキル化フェノール5〜95重量%、例えば10〜70重量%又は30〜65重量%を含有してもよい。
【0033】
一態様において、ヒドロキシアリールはオルト及びパラ位置で複合炭化水素流からの成分によってアルキル化してもよい。別の態様において、ヒドロキシアリールはオルト及びパラ位置でジアルキル化する。パラ位置が好ましく、パラ位置でモノ又はジ置換されるヒドロキシアリールの量は、少なくとも85重量%、例えば少なくとも90重量%又は少なくとも95重量%ある。同様に、あるとしても、オルト位置でモノ置換されるヒドロキシアリールがわずかしかないのが好ましい。好ましくは、ヒドロキシアリールは3重量%未満、例えば2重量%未満又は1.0重量%未満の量でオルト位置がモノ置換される。
【0034】
ヒドロキシアリールはトリ置換されていてもよいが、存在するものとして、数少ないヒドロキシアリールがトリ置換されていると好ましい。例えば、ある態様において、ヒドロキシアリールの3%より少ない割合、例えば2%より少ない割合又は1%より少ない割合がトリ置換されている。一態様において、ホスフィット組成物はトリ置換ヒドロキシアリールを実質的に含有していない。
【0035】
一態様において、複合炭化水素流中の飽和化合物はアルキル化処理中に反応せず、生成物アルキレート組成物から分離され、例えば容易に分離される。飽和化合物はアルキレート組成物中のアルキレートに比較して高い蒸気圧を有することから、飽和化合物の実質的全部、例えば少なくとも80重量%、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%はアルキル化処理の間に気化させると好ましく、従ってアルキル化反応の間のアルキレート組成物から排気されてもよい。さらに別の態様において、アルキレート組成物からいかなる残留未反応成分も完全に除去するために、小規模の蒸留工程が望ましいこともある。この処理の一つの観点において、複合炭化水素流からのオレフィンと反応しない全部の遊離ヒドロキシアリール、例えば遊離フェノールを、上記のとおりにして除去してもよい。
【0036】
有利には、複合炭化水素流中のオレフィンをヒドロキシアリールと反応させてアルキレート組成物を生成することによって、精製オレフィンの使用に付随する製造費用を減少又は省略し得る。具体例の中で、アルキレート合成処理装置を石油化学精製設備と統合してもよく、それにより処理時間並びに輸送及び貯蔵費用をさらに減少する。このような統合反応システムはまた、精製オレフィンの使用に付随する貯蔵及び輸送費用を省略又は減少させる。好ましくは、統合反応システムは1種又はより多いフラクションから複合炭化水素流を生成する石油化学精製システム及び前記のとおりのアルキレート合成反応器を含む。更なる態様において、本明細書に記載したようなホスフィット合成反応器が、石油化学精製システム及びアルキル化システムと統合される。
【0037】
加えて、飽和炭化水素の存在下でのアルキル化は選択性を増大させる。慣用のアルキル化システム、特にCアルキル化システムに付随する問題の一つは、ブチレンが高められた温度及び圧力下で二量化し、種々のC化合物を生成する望ましくない傾向があることである。これは下記反応スキームに示されているように、望ましくない「重質」副生成物を導くヒドロキシアリールとアルキル化するかもしれない。同様に、この反応はCオレフィンの場合にも予測されたであろう。
【化1】

【0038】
特にCアルキル化システムにおける飽和成分の存在下でのヒドロキシアリールのアルキル化の利点の一つは、オレフィンの二量化を効果的に減少させ、所望のアルキレート生成物に対する選択性の増加をもたらすことにある。これは下記例1で実証される。ある好ましい態様において、例えば二量体やその他の「重質」アルキル基によりアルキル化されるヒドロキシアリールは1.0モル%未満、例えば0.5モル%未満又は0.4モル%未満であってもよい。
【0039】
[液体ホスフィット組成物の合成]
本発明はまた、複合炭化水素流を用いることによって得られるアルキル化組成物から液体ホスフィット組成物を生成するための方法に関する。一態様において、前記アルキレート組成物合成方法から任意に形成されるアルキレート組成物をさらに、触媒を使用しては又は使用せず、三ハロゲン化リンと反応させて液体ホスフィット組成物を生成する。三ハロゲン化リンは好ましくは、三塩化リン及び三臭化リンから選択する。触媒を使用する場合、触媒はピリジン、N,N−ジメチルドデシルアミン、ジラウリルメチルアミン、トリアルキルアミン及びその塩酸塩からなる群から選択されてもよい。アルキレート組成物(すなわち、アルキル化フェノール化合物)対三ハロゲン化リンのモル比は好ましくは、3:1〜5:1、例えば3:1〜4:1又は3.1〜3.7:1である。
【0040】
アルキル化フェノールと三ハロゲン化リンとの反応は、不活性雰囲気(例えば、窒素)下において5〜70℃、例えば40〜70℃又は50〜70℃の温度で行ってもよい。三ハロゲン化リンは反応器に充填されてもよく、次いでそこにアルキレート組成物が添加されてもよい。この場合、アルキレート組成物中への三ハロゲン化リンの添加の間、温度は70℃又はそれ以下に保持することが好ましく、これにより三ハロゲン化リンの還流が防止される。三ハロゲン化リンの添加後、温度は任意に、10分〜12時間、例えば30分〜10時間又は1時間〜3時間にわたり保持される。反応は好ましくは、0.8〜4気圧、例えば0.9〜3気圧又は1〜2気圧の圧力下で行われる。任意に、アルキレート組成物が反応器に装充填されてもよく、次いでそこに三ハロゲン化リンが添加されてもよい。次いで、温度を70℃〜250℃、例えば80℃〜225℃又は90℃〜200℃の範囲の傾斜温度に傾斜付けしてもよい。好ましくは、反応は10分〜12時間、例えば30分〜10時間又は1時間〜3時間にわたり傾斜温度に保持される。反応は好ましくは、0.01〜0.5気圧、例えば0.03〜0.4気圧又は0.04〜0.1気圧の減圧下で行われる。反応時間の間、塩化水素又は臭化水素ガスが発生するだろうが、これらのガスを、圧力を約0.05気圧まで減圧することによって又は反応混合物から窒素などの不活性ガスを掃去することによって、放出してもよい。一つの観点において、このようなガスの除去は、反応混合物中の総クロライド含有量が50wppm未満、例えば25wppm未満又は10wppm未満になるまで行われてもよい。
【0041】
この方法の一つの観点において、三ハロゲン化リンと反応しない全部の遊離ヒドロキシアリール、例えばクレゾール又はフェノールを、反応温度を275℃まで、例えば250℃まで、又は225℃まで高めることによって0.0001〜0.1気圧の圧力で減圧下に遊離させてもよい。一態様において、掻き取り膜分子(Short−Path)、蒸留釜、掻き取り膜蒸発器(WFE)、薄膜蒸発器、又は類似の装置を使用し、遊離ヒドロキシアリールをさらに除去してもよい。
【0042】
一態様において、ホスフィット組成物の生成工程が、1種又はより多い中性溶媒中で起こってもよい。使用してよい代表的溶媒として、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、ヘプタン、クロロホルム及びベンゼンが挙げられる。
【0043】
一態様において、本発明の液体ホスフィット組成物は直接化学反応で得られ、この場合、アルキル化フェノールのモル比は周囲条件で液体であるホスフィット組成物が生成されるように調整される。このようなホスフィット組成物の生成に使用してもよい反応方法の一つの反応式は下記のとおりである。
【化2】


式中、各Rは独立して、下記定義のとおりのR、R及びRである。少量の別種のアルキル化フェノール、例えばオルト−置換モノアルキル化フェノールが上記反応式で追加の反応剤として包含されることがあり、このような場合、追加の派生ホスフィットが生成されることがあるが、明確にするために、これら追加の反応剤及び生成物はこの反応から省略されていることに留意されたい。
【0044】
[ホスフィット]
一態様において、本発明は一般に、埋封法(embodied methods)によって生成される下記構造式で表される少なくとも2種の異なるホスフィットを含有する組成物に関し、当該組成物は周囲条件で液体である:
【化3】


式中、R、R及びRは独立して、アルキル化アリール基から選択される。「周囲条件」の用語は室温、例えば25℃及び1気圧の圧力を意味する。
【0045】
本発明の化合物中に存在するアリール部分は好ましくは、炭素原子6〜18個をする芳香族部分、例えばフェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラシル、ビフェニル、ターフェニル、o−クレシル、m−クレシル、p−クレシルなどであり、好ましくはフェニルである。芳香族部分はそれぞれ、少なくとも1個のC〜C18、例えばC〜C10又はC〜Cアルキル基により置換されているが、いかなるCアルキル基によって置換されている芳香族部分もないことが好ましい。アリール部分のアルキル置換基(1個又は複数)は直鎖又は分枝C〜C18アルキル、例えばC〜Cアルキル、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、Cアルキル、又はCアルキルから選択される。好ましくは、アルキル置換基(1個又は複数)はC〜C10アルキルではなく、例えばCアルキルではない。アルキル置換基として、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル(好ましくないが)、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル及びその異性体が挙げられてもよい。最も好ましくは、アルキル基(1個又は複数)はブチル、特にsec−ブチル、t−ブチル及びアミル基、特にsec−アミル、t−アミル及びneo−アミルから選択される。上記したように、好ましい態様において、アルキル部分はノニルを包含しない。このことはホスフィット組成物が好ましくは、ノニル置換アリールホスフィット化合物を50wppm未満、例えば10wppm未満又は5wppm未満の量で含有することを意味し、最も好ましくは検出可能なノニル置換アリールホスフィット化合物を含有しない。さらに、ホスフィット組成物は好ましくは、ノニルフェノールを50wppm未満、例えば10wppm未満又は5wppm未満の量で含有し、最も好ましくは検出可能なノニルフェノールを含有しない。最も好ましくは、アルキル基(1個又は複数)は独立して、プロピル、ブチル、特にイソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、アミル、特にsec−アミル、t−アミル、neo−アミル及びドデシルから選択される。
【0046】
好ましい態様において、ホスフィット組成物は、トリス(ジアルキルアリール)ホスフィット、トリス(モノアルキルアリール)ホスフィット、ビス(ジアルキルアリール)モノアルキルアリールホスフィット、及びビス(モノアルキルアリール)ジアルキルアリールホスフィットからなる群から選択される少なくとも2種の異なるホスフィット、例えば少なくとも3種の異なるホスフィット、又は少なくとも4種の異なるホスフィットを含有する。従って、ホスフィット組成物は、少なくとも1個の多置換芳香族部分を有する少なくとも1種のホスフィット、例えばビス(ジアルキルアリール)モノアルキルアリールホスフィット、ビス(モノアルキルアリール)ジアルキルアリールホスフィット又はトリス(ジアルキルアリール)ホスフィットを含有する。一つの観点において、ホスフィット組成物として、その各アリール部分がモノ置換されている少なくとも1種のホスフィット化合物、例えばトリス(モノアルキルアリール)ホスフィットが挙げられる。
【0047】
一態様において、ホスフィット組成物はα位置に水素原子を有するアルキル基により置換されているアリール基を有するホスフィット化合物を実質的に含有していない。すなわち、好ましい態様において、アリール部分の少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%は、三級α−炭素を有するアルキル基、最も好ましくはt−ブチル及び/又はt−アミルにより置換されている。t−ブチルはCフラクションの複合炭化水素流中のイソブチレンから誘導してもよく、及びt−アミルはCフラクションの複合炭化水素流中のイソアミレンから誘導してもよい。
【0048】
一態様において、R、R及びRは独立して、下記構造式で表されるアルキル化アリール基から選択される:
【化4】


式中、R、R及びRは独立して、水素及びC〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、及びその異性体、例えばイソプロピル、t−ブチル、t−アミル、neo−アミルからなる群から選択され、但しR、R及びRの少なくとも1個は水素ではなく、例えばR、R及びRの少なくとも1個はC〜Cアルキルである。一態様において、R及びRは水素であり、及びRは水素ではなく、例えばRはC〜Cアルキルである。一態様において、R及びRは水素ではなく、例えばR及びRは独立してC〜Cアルキルから選択され、及びRは水素である。一態様において、オルトアルキル基、例えばR及びRのどちらか、又は両方はα−水素原子を有していない。例えば、オルトアルキル基、例えばR及びRのどちらか、又は両方はt−ブチル及びt−アミルからなる群から選択される三級α−炭素原子を有する。
【0049】
一態様において、R及びRは独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル及びその異性体からなる群から選択され、及びRは水素である。別の態様において、R及びRは水素であり、及びRは独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル及びその異性体からなる群から選択される。これらの態様の一つの観点において、少なくとも1個のR、R及びRはC又はCアルキルであり、最も好ましくはt−ブチル又はt−アミルである。
【0050】
種々の任意の態様において、R、R及びRに関連するアルキル化アリール基を表3に示す。本発明のホスフィット組成物は、これらの化合物のいずれか2種又はより多くを、当該ホスフィット組成物が周囲条件で液体であるのに充分な量で含有してもよい。
【表3】

【0051】
一態様において、R、R及びRは独立して、下記構造式で表されるアルキル化アリール基から選択される:
【化5】


式中、R、R及びRは上記定義のとおりであり、及びRは水素又はメチルであり、但しR、R5、及びRの中の1個はメチルであり、及びR、R、R及びRの中の少なくとも2個は水素ではない。例えば、このようなホスフィットは、1種又はより多いアルキル化クレゾール化合物、例えば1種又はより多いアルキル化オルト−、メタ−及び/又はパラ−クレゾールを、本明細書にさらに詳細に説明するとおりに、PClと反応させることによって生成されてもよい。
【0052】
本発明の好ましい態様において、ホスフィット組成物は少なくとも2種のホスフィットを含有し、当該ホスフィットは、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスフィット、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスフィット、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィット、ビス(4−t−ブチルフェニル)−2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスフィット、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4−t−ブチルフェニルホスフィット、ビス(2−t−ブチルフェニル)−2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスフィット、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−2−t−ブチルフェニルホスフィット、トリス(4−t−アミルフェニル)ホスフィット、トリス(2−t−アミルフェニル)ホスフィット、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスフィット、ビス(4−t−アミルフェニル)−2,4−ジ−t−アミルフェニルホスフィット、ビス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)−4−t−アミルフェニルホスフィット、ビス(2−t−アミルフェニル)−2,4−ジ−t−アミルフェニルホスフィット、及びビス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)−2−t−アミルフェニルホスフィットからなる群から選択される。
【0053】
ある態様において、ホスフィット組成物は、TNPPに等しいか又はTNPPより多く、例えば少なくとも4.5mol%、例えば少なくとも4.8mol%又は少なくとも5.1mol%の総リン含有量を有する。範囲に関し、ホスフィット組成物の総リン含有量は、ホスフィット組成物中の全リン含有化合物の総モル数に基づき、例えば4.5〜10.0mol%、例えば4.8〜8.0mol%又は5.1〜6.0mol%の範囲であってもよい。
【0054】
上記したように、好ましい態様において、ホスフィット組成物は以下の少なくとも2種を含有し、当該ホスフィット組成物は周囲条件で液体である:トリス(ジアルキルアリール)ホスフィット、トリス(モノアルキルアリール)ホスフィット、ビス(ジアルキルアリール)モノアルキルアリールホスフィット、及びビス(モノアルキルアリール)ジアルキルアリールホスフィット。これらのホスフィット組成物中に含有される各ホスフィット成分の相対量は、ホスフィット組成物それ自体が周囲条件で液体であるかぎり幾分、変化してもよい。範囲に関し、例えばホスフィット組成物は好ましくは、トリス(モノアルキルアリール)ホスフィット、例えばトリス(4−t−アミルフェニル)ホスフィットを、20〜70重量%、例えば15〜55重量%又は37〜54重量%の量で、及びビス(モノアルキルアリール)ジアミルアリールホスフィット、例えばビス(4−t−アミルフェニル)−2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスフィットを、15〜60重量%、例えば31〜50重量%又は34〜45重量%の量で含有する。場合により、ホスフィット組成物はさらに、トリス(ジアルキルアリール)ホスフィット及び/又はビス(ジアルキルアリール)モノアルキルアリールホスフィットを含有する。存在する場合、トリス(ジアルキルアリール)ホスフィット、例えばトリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスフィットは好ましくは、0.1〜20重量%、例えば0.3〜5重量%又は0.5〜1重量%の量で存在する。存在する場合、ビス(ジアルキルアリール)モノアルキルアリールホスフィット、例えばビス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)−4−t−アミルフェニルホスフィットは、好ましくは2〜20重量%、例えば4〜20重量%又は5〜10重量%の量で存在する。別段の記載がないかぎり、重量パーセント(重量%)はホスフィット組成物中の全ホスフィット成分の総重量に基づく。
【0055】
これらのホスフィット組成物の重量比に関し、ホスフィット組成物は任意に、1:4〜7:3、例えば2:5〜3:2又は3:5〜6:5の、トリス(モノアルキルアリール)ホスフィット対ビス(モノアルキルアリール)ジアルキルアリールホスフィット、(ジアルキルアリール)モノアルキルアリールホスフィット及びトリス(ジアルキルアリール)ホスフィットの組合せの重量比を有する。ホスフィット組成物は任意に、1:6〜3:2、例えば1:3〜1:1又は1:2〜3:2の、ビス(モノアルキルアリール)ジアルキルアリールホスフィット対トリス(モノアルキルアリール)ホスフィット、ビス(ジアルキルアリール)モノアルキルアリールホスフィット及びトリス(ジアルキルアリール)ホスフィットの組合せの重量比を有する。ホスフィット組成物は任意に、1:50〜2:5、例えば1:30〜1:5又は1:20〜1:9の、ビス(ジアルキルアリール)モノアルキルアリールホスフィット対トリス(モノアルキルアリール)ホスフィット、ビス(モノアルキルアリール)ジアルキルアリールホスフィット及びトリス(ジアルキルアリール)ホスフィットの組合せの重量比を有する。ホスフィット組成物は任意に、1:10,000〜2:5、例えば1:5,000〜1:20又は1:1000〜1:100の、トリス(ジアルキルアリール)ホスフィット対ビス(モノアルキルアリール)ジアルキルアリールホスフィット、ビス(ジアルキルアリール)モノアルキルアリールホスフィット及びトリス(モノアルキルアリール)ホスフィットの組合せの重量比を有する。
【0056】
好ましい態様において、ホスフィット組成物はトリス(ジ−C〜Cアルキルアリール)ホスフィット、トリス(C〜Cアルキルアリール)ホスフィット、ビス(ジ−C〜Cアルキルアリール)C〜Cアルキルアリールホスフィット、及びビス(C〜Cアルキルアリール)ジ−C〜Cアルキルアリールホスフィットの少なくとも2種を含有する。好ましくは、組成物はこれらのホスフィットをそれぞれ、下記量で含有する:トリス(ジ−C〜Cアルキルアリール)ホスフィットを30〜50重量%、トリス(C〜Cアルキルアリール)ホスフィットを30〜50重量%、ビス(ジ−C〜Cアルキルアリール)C〜Cアルキルアリールホスフィットを5〜15重量%、及びビス(C〜Cアルキルアリール)ジ−C〜Cアルキルアリールホスフィットを4重量%未満。
【0057】
上記したように、本発明のホスフィット組成物として、モノアルキル化及びジアルキル化されているアリール部分を有するホスフィット化合物の組成物が挙げられる。
【0058】
好ましくは、ホスフィット組成物はアルキル化されているか、又はアルキル化されていないかにかかわらず、フェノール系化合物(例えば、フェノール、クレゾール又はキシレノール)を低レベルで含有するか、又は実質的に含有していない。ホスフィット組成物中に含有されている場合、本明細書において、このような化合物を「遊離フェノール系化合物」と称する。量に関し、ホスフィット組成物は好ましくは、ホスフィット組成物の総重量に基づき、5重量%未満、例えば3重量%未満又は1重量%未満の量で遊離フェノール系化合物を含有する。例えば、いかなる遊離フェノール系化合物も蒸留によって除去してもよい。遊離フェノール系化合物の極低レベルを、例えば掻き取り膜分子(Short−Path)、蒸留釜、掻き取り膜蒸発器(WFE)、薄膜蒸発器、又は類似の装置を使用することによって達成してもよい。量に関し、ホスフィット組成物は、ホスフィット組成物の総重量に基づき、0.5重量%未満、例えば0.2重量%未満又は0.1重量%未満の量で遊離フェノール系化合物を含有してもよい。
【0059】
別の態様において、少量の遊離フェノール系化合物は、例えば粘度減少剤として有益であることもある。従って、一態様において、ホスフィット組成物は、少量の遊離フェノール系化合物を、ホスフィット組成物の総重量に基づき、例えば1〜4重量%、例えば2〜3重量%の量で含有する。
【0060】
さらに、ホスフィット組成物は、未置換アリール部分を有するホスフィット化合物、例えばトリフェニルホスフィット、ビス(フェニル)アルキルフェニルホスフィット又はビス(アルキルフェニル)フェニルホスフィットを実質的に含有していないことが好ましい。量に関し、ホスフィット組成物は好ましくは、ホスフィット組成物の総重量に基づき、2重量%未満、例えば1重量%未満又は0.5重量%未満の量で、少なくとも1個の未置換アリール部分を有するホスフィット化合物を含有する。
【0061】
好ましい態様の中で、ホスフィット組成物は1種又はより多い加水分解安定剤を包含する。好適な安定剤として、下記構造式で表されるアミンが挙げられる:
【化6】


式中、xは1、2又は3であり;Rは水素及び直鎖又は分枝C〜Cアルキルからなる群から選択され、並びにRは直鎖又は分枝C〜C30アルキルからなる群から選択される。Rは好ましくは、直鎖又は分枝C〜Cアルキル、例えばメチル又はエチルからなる群から選択される。好ましくは、Rは直鎖又は分枝C〜C20アルキル、例えば直鎖又は分枝C10〜C20アルキル又は直鎖又は分枝C12〜C18アルキルからなる群から選択される。一態様において、xは1であり、及びRは直鎖又は分枝C〜C20アルキル、例えばC12〜C18アルキルである。一態様において、xは2であり、及びRは直鎖又は分枝C10〜C20アルキル、例えばC12〜C18アルキルである。
【0062】
一つの観点において、アミンはトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン及びテトライソプロパノールエチレンジアミンからなる群から選択される。
【0063】
別の観点において、アミンはオクチル−ビス(2−エタノール)アミン、ノニル−ビス(2−エタノール)アミン、デシル−ビス(2−エタノール)アミン、ウンデシル−ビス(2−エタノール)アミン、ドデシル−ビス(2−エタノール)アミン、トリデシル−ビス(2−エタノール)アミン、テトラデシル−ビス(2−エタノール)アミン、ペンタデシル−ビス(2−エタノール)アミン、ヘキサデシル−ビス(2−エタノール)アミン、ヘプタデシル−ビス(2−エタノール)アミン、オクタデシル−ビス(2−エタノール)アミン、オクチル−ビス(2−プロパノール)アミン、ノニル−ビス(2−プロパノール)アミン、デシル−ビス(2−プロパノール)アミン、ウンデシル−ビス(2−プロパノール)アミン、ドデシル−ビス(2−プロパノール)アミン、トリデシル−ビス(2−プロパノール)アミン、テトラデシル−ビス(2−プロパノール)アミン、ペンタデシル−ビス(2−プロパノール)アミン、ヘキサデシル−ビス(2−プロパノール)アミン、ヘプタデシル−ビス(2−プロパノール)アミン、オクタデシル−ビス(2−プロパノール)アミン及びその異性体からなる群から選択される。市販されているアミンとして、Akzo Nobel Polymersにより製造されているArmostat(商標)300及びArmostat 1800が挙げられる。
【0064】
追加の加水分解安定剤として、エポキシ、例えばDrapex(商標)39、Drapex 392、Drapex 4.4及びDrapex 6.8(Chemtura Corp.)として市販されているエポキシド化大豆油(ESBO)又はStabaxol(商標)P(Rhein Chemie)として市販されているポリカルボジイミドが挙げられる。
【0065】
アミンは、ホスフィット組成物の総重量に基づき、0.01〜5重量%、例えば0.1〜1.5重量%又は0.2〜0.8重量%の量で存在してもよい。
【0066】
上記したように、本ホスフィット組成物は周囲条件で液体である。本明細書で使用されているものとして、「液体」の用語は、ホスフィット組成物が反復凍結/解凍サイクル後に液体のまま留まらない「準−安定液体」である場合とは反対に、このようなサイクル後に液体のまま留まることを意味する。凍結/解凍サイクルは次のとおりに定義される:1)周囲温度の組成物が0.5時間攪拌される;2)攪拌された組成物が次いで、約5℃で3日間かけて凍結する;3)凍結した組成物が次いで、周囲温度に戻されて周囲温度で3日間保持される。工程3の完了時点で組成物を固体状態について、例えば結晶について検査する。工程1〜3の完了は1回の凍結/解凍サイクルであると定義される。
【0067】
上記したように、ホスフィット組成物が室温において液体の物理学的形態であることは本発明の特徴である。このことは固形ホスフィット組成物の数種の例でホスフィット組成物の成分が周囲条件下で別々の固体であるという従来技術の教示から明らかに驚くべきことである(例えば、JP59030842;WO9303092;CA2,464,551を見よ)。対照的に、本発明では、ホスフィット組成物は個別の成分が固体であるにもかかわらず液体である。本発明の範囲内の数種の異なる組成物の融点を表4に示す。
【表4】

【0068】
本ホスフィット組成物の粘度はそこに含有されている各種ホスフィット化合物の相対量に応じて変化してもよい。ある例示的な態様において、ホスフィット組成物は11,000cSt未満、例えば7,300cSt未満、5,000cSt未満、3,000cSt未満又は2850cSt未満の粘度を有する。これらの粘度は30℃で測定される。範囲に関し、組成物の粘度は1cSt〜15,000cSt、例えば100cSt〜12,000cSt、500cSt〜10,000cSt、500cSt〜6,500cSt、500cSt〜5,000cSt、500cSt〜3,000cSt、1,000cSt〜4,000cSt、1,500cSt〜3,500cSt、2,000cSt〜3,000cSt、又は2,000cSt〜2,800cStの範囲であってもよい。これらの粘度は30℃で測定される。
【0069】
[安定剤]
上記したように、安定化量又は有効量の本発明のホスフィット組成物を、各種のポリマー用の二次抗酸化剤として使用してもよい。本明細書で使用されているものとして、「安定化量」及び「有効量」の用語は、本発明のホスフィット組成物を含有するポリマー組成物が、本発明のホスフィット組成物を含有しない類似のポリマー組成物と比較して、その物理的性質又は着色物性のいずれかの点で改善された安定性を示す場合を意味する。改善された安定性の例として、例えば溶融処理、天候、及び/又は空気、熱、光、及び/又はその他の要素への長期野外暴露による、分子量減少や色劣化などに対する改善された安定性が挙げられる。一例において、改善された安定性は、黄変指数(YI)により測定される薄い初期色及び溶融ポリマーのメルトフロー速度の一方若しくは両方の形で又は天候への更なる耐性の形で得られ、それらは例えば、安定剤添加剤なしの組成物と比較した場合の初期黄変指数により又は黄変及び色変化への耐性により、測定される。
【0070】
本明細書に記載の添加剤及び安定剤は好ましくは、組成物の安定性を改善するのに有効な量で存在する。前記ホスフィット組成物の1種を利用する場合、組成物は一般に、当該ホスフィット組成物及びその他の安定剤や添加剤の重量を含めたポリマーの総重量に基づき約0.001〜約5重量%、例えば約0.0025〜約2重量%又は約0.005〜約1重量%の量で存在する。本発明のホスフィット組成物は、特に高温処理の間、多回の押し出し処理後でさえも、メルトインデックス及び/又は色の比較的僅かな変化しかせずに、樹脂を安定化する。
【0071】
本発明はさらに、基材ポリマー(例えば、ポリマー樹脂)及び前記本発明のホスフィット組成物いずれかを含有する安定化された熱可塑性プラスチックに関する。ポリマー樹脂はポリオレフィンなどのポリマーであってもよく、及び本液体ホスフィット組成物は、例えばヒンダードフェノール、芳香族アミン、ヒドロキシルアミン、ラクトン及びチオエーテルなどの補助安定剤と共に使用されてもよい。すなわち、本発明のホスフィット組成物によって安定化される熱可塑性プラスチックは、フェノール系抗酸化剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、紫外線光吸収剤、ホスフィット、ホスホニット、脂肪酸のアルカリ金属塩、ハイドロタルサイト、金属酸化物、エポキシド化大豆油、ヒドロキシルアミン、三級アミンオキシド、ラクトン、三級アミンオキシドの熱反応生成物及びチオ相乗剤からなる群から選択される1種又はより多い追加の安定剤又は安定剤混合物を任意に含有してもよい。
【0072】
一態様において、ポリマー又はポリマー樹脂の総重量パーセントに基づき、安定化性組成物中の各成分の量を表5に示す。
【表5】

【0073】
本発明のホスフィット組成物又は生じる安定化ポリマー組成物は任意にまた、一次抗酸化剤、例えば下記化合物を含有する:
【0074】
(i)アルキル化モノフェノール、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2,6−ビス(α−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール。市販されているアルキル化モノフェノールとして、Chemtura Corp.により製造されているNaugard(商標)431及びLowinox(商標)624が挙げられる。その他のフェノール化合物、例えばBHEBなども市販されている。
【0075】
(ii)アルキル化ヒドロキノン、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミル−ヒドロキノン、及び2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール。市販されているアルキル化ヒドロキノンとして、Chemtura Corp.により製造されているLowinox AH25が挙げられる。
【0076】
(iii)ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば2,2’−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオ−ビス−(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、及び4,4’−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)。市販されているヒドロキシル化チオジフェニルエーテルとして、Chemturaにより製造されているLowinox TBM6及びLowinox TBP6が挙げられる。
【0077】
(iv)アルキリデン−ビスフェノール、例えば2,2’−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−(α−メチルシクロへキシル)フェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−(アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)−4−ノニル−フェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1’−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェノール)ブタン、1,1’−ビス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ジ−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール)、1,1,3−トリス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ドデシル−メルカプトブタン、エチレングリコール−ビス−(3,3−ビス−(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−ブチレート)−ジ−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、及びジ−(2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチル−ベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル)テレフタレート。市販されているアルキリデン−ビスフェノールとして、Chemturaにより製造されているLowinox 22M46、Lowinox WSP、Lowinox 44B25、Naugard 536、Naugawhite(商標)及びLowinox 22IB46が挙げられる。
【0078】
(v)ベンジル化合物、例えば1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−メルカプト−アセテート、ビス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオール−テレフタレート、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、ジオクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、モノエチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートのカルシウム塩、1,3,5−トリス−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート。市販されているベンジル化合物として、Chemturaにより製造されているAnox(商標)IC−14、Anox 330及びLowinox 1790が挙げられる。
【0079】
(vi)アシルアミノフェノール、例えば4−ヒドロキシラウリン酸アニリド、4−ヒドロキシステアリン酸アニリド、2,4−ビス−オクトルメルカプト−6−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−s−トリアジン、及びオクチル−N−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−カルバメート。
【0080】
(vii)ベータ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオン酸の、1価又は多価アルコール、例えばメタノール、ジエチレングリコール、オクタデカノール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、チオジエチレングリコール、ジ−ヒドロキシエチルシュウ酸ジアミドとのエステル。このようなフェノールとして、テトラキス[メチレン{3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシシアヌレート}]メタンもまた挙げられる。市販されているエステルとして、Chemturaにより製造されているAnox 20、Anox 1315、Lowinox GP45、Naugalube 38、Naugalube 531、Anox PP18、Naugard PS48及びNaugard XL−1が挙げられる。
【0081】
(viii)ベータ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロピオン酸の、1価又は多価アルコール、例えばメタノール、ジエチレングリコール、オクタデカノール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、チオジエチレングリコール、ジヒドロキシエチルシュウ酸ジアミドとのチオエステル。市販されているチオエステルとして、Chemturaにより製造されているNaugalube(商標)15及びAnox 70が挙げられる。
【0082】
(ix)ベータ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオン酸のアミド、例えばN,N’−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサメチレン−ジアミン、N,N’−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヒドラジン、N,N’−ヘキサメチレン ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、及び1,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン。市販されているアミドとして、Chemturaにより製造されているLowinox HD98及びLowinox MD24が挙げられる。
【0083】
(x)その他のフェノール系抗酸化剤として、下記フェノールが挙げられる。ポリマー性フェノール、例えば4−メチルフェノールの、ジシクロペンタジエン及びイソブチレンとの反応生成物。ChemturaのLowinox CPLとして市販されている。アルキリデン−ポリ−フェノール、例えば1,3−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチル−フェニル)−ブタン(Lowinox CA22;Chemtura)。チオフェノール、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール(Irganox(商標)565;Ciba)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール(Irganox 1520;Ciba);4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール(Irganox 1726;Ciba)。ヒドロキシルアミン、例えばビス(オクタデシル)ヒドロキシルアミン(Irgastab(商標)FS042;Ciba)。エステルフェノールとして、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)ブタン酸]グリコールエステル(Hostanox(商標)O3;Clariant Chemicals)が挙げられる。さらに他のフェノールとして、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート(Sumilizer GS;Sumitomo Chemical)が挙げられる。
【0084】
一態様において、安定化性組成物は、テトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシアヌレート)メタン(Anox 20)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(Anox IC−14)、1,3,5−トリス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(Lowinox 1790)、オクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Anox PP18)、ビス(オクタデシル)ヒドロキシルアミン(Irgastab FS−042)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(Anox 330)、2,6−ビス(α−メチルベンジル)−4−メチルフェノール(Naugalube 431)、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸(Anox 1315)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチル−フェノール(BHEB)、及びその混合物からなる群から選択されるフェノール系化合物の1種及び本明細書で定義される液体ホスフィット組成物を含有する。
【0085】
本ホスフィット組成物及び/又は生じる安定化ポリマー組成物はまた任意に、1種又はより多いUV吸収剤及び/又は光安定剤、例えば下記化合物を含有する。
【0086】
(i)2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、例えば5’−メチル−、3’,5’−ジ−tert−ブチル−、3’,5’−ジ−tert−アミル−、5’−tert−ブチル−、5’−tert−アミル−、5’(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−、5−クロロ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−、5−クロロ−3’−ジ−tert−ブチル−5’−メチル−、3’−sce−ブチル−5’−tert−ブチル−4’−オクトキシ−、3’,5’−ジ−tert−アミル−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)−誘導体。市販されている2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾールとして、Chemturaにより製造されているLowilite(商標)26、Lowilite 27、Lowilite 28、Lowilite 29、Lowilite 35、Lowilite 55及びLowilite 234が挙げられる。
【0087】
(ii)2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン、例えば4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクトキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、2,4−ジヒドロキシ−、4,2’,4’−トリヒドロキシ−及び2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−誘導体。2−ヒドロキシ−ベンゾフェノンの例として、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−エトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン及び2−ヒドロキシ−4−プロポキシベンゾフェノンが挙げられる。市販されている2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾールとして、Chemturaにより製造されているLowilite 20、Lowilite 22、Lowilite 20S及びLowilite 24が挙げられる。
【0088】
(iii)置換及び未置換安息香酸のエステル、例えばフェニルサリチレート、4−tert−ブチルフェニル−サリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス−(4−tert−ブチルベンゾイル)−レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート及びヘキサデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート。
【0089】
(iv)UV吸収剤及び光安定剤はまた、アクリレート、例えばアルファ−シアノ−ベータ、ベータ−ジフェニルアクリル酸−エチルエステルまたイソオクチルエステル、アルファ−カルボメトキシ−桂皮酸メチルエステル、アルファ−シアノ−ベータ−メチル−p−メトキシ−桂皮酸メチルエステル又はブチルエステル、アルファ−カルボメトキシ−p−メトキシ−桂皮酸メチルエステル、N−(ベータ−カルボメトキシ−ベータ−シアノ−ビニル)−2−メチル−インドリンを含有してもよい。
【0090】
(v)ニッケル化合物はまた、適当なUV吸収剤及び光安定剤である。ニッケル化合物の例として、n−ブチルアミン、トリエタノールアミン又はN−シクロヘキシル−ジエタノールアミンなどの追加のリガンドを任意に含有する、ニッケルと2,2’−チオ−ビス(4−(1,1,1,3−テトラメチルブチル)−フェノール)の錯体(1:1又は1:2錯体等)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルリン酸モノアルキルエステル−例えばメチル、エチル又はブチルエステル−のニッケル塩、2−ヒドロキシ−4−メチル−ペンチルウンデシルケトオキシム等のケトオキシム化合物のニッケル錯体、追加のリガンドを任意に含有する1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシ−ピラゾールのニッケル錯体が挙げられる。市販されているニッケル化合物として、Chemturaにより製造されているLowilite Q84(2,2’−チオビス(4−tert−オクチル−フェノレート))−N−ブチルアミン−ニッケル(II))が挙げられる。
【0091】
(vi)立体ヒンダードアミンはまた、UV吸収剤及び光安定剤として使用してもよい。立体ヒンダードアミン、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−セバケート、n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)エステル、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N’−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−s−トリアジンとの縮合生成物、トリス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−ニトリロトリアセテート、テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラ−カルボン酸、1,1’−(1,2−エタンジイル−ビス−(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)。このようなアミンとして、ヒンダードアミンから誘導されるヒドロキシルアミン、例えばジ−(1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート;1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾキシピペリジン;1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナモイルオキシ)−ピペリジン;及びN−(1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−イプシロンカプロラクタムが挙げられる。市販されているヒンダードアミンとして、Chemturaにより製造されているLowilite 19、Lowilite 62、Lowilite 77、Lowilite 92及びLowilite 94が挙げられる。
【0092】
(vii)シュウ酸ジアミド、例えば4,4’−ジオクチルオキシ−オキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5’,5’−ジ−tert−ブチルオキサニリド、2,2’−ジ−ドデシルオキシ−5’,5’−ジ−tert−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチル−オキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−オキサラミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エチルオキサニリド及びその2−エトキシ−2’−エチル−5,4−ジ−tert−ブチルオキサニリドとの混合物及びo−及びp−メトキシ並びにo−及びp−エトキシ−ジ置換オキサニリドとの混合物。
【0093】
本発明のポリマー樹脂及びホスフィット組成物はまた、例えば1種又はより多い下記化合物を含む1種又はより多い追加の添加剤を包含してもよい:
【0094】
(i)金属失活剤、例えばN,N’−ジフェニルシュウ酸ジアミド、N−サリチラル−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロフェニルプロピオニル)−ヒドラジン、サルチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス−ベンジリデン−シュウ酸ジヒドラジド。
【0095】
(ii)追加の二次抗酸化剤、例えば追加のホスフィット及び/又はホスホニット、例えばトリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニル−フェニル)ホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリスリトールジホスフィット、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィット、トリステアリルソルビトールトリホスフィット、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィット、及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホニット。市販されている二次抗酸化剤として、Chemturaにより製造されているNaugalube TPP、Alkanox(商標)240、Ultranox(商標)626、Naugard P、Weston(商標)399、Weston TNPP、Weston 430、Weston 618F、Weston 619F、Weston DPDP、Weston DPP、Weston PDDP、Weston PTP、Weston TDP、Weston TLP、Weston TPP、及びWeston TLTTP(トリラウリルトリチオホスフィット);Dover Chemicalにより製造されているDoverphos(商標)4、Doverphos 4−HR、Doverphos 4−HR Plus、Doverphos HiPure4、及びDoverphos S−9228;及びClariant Chemicalsにより製造されているHostanox PEPQが挙げられる。
【0096】
(iii)過酸化物スカベンジャー、例えばベータチオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチル又はトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾール又は2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、亜鉛−ジブチルジチオカルバメート、ジオクタデシルジスルフィッド、ペンタエリスリトールテトラキス−(ベータ−ドデシルメルカプト)−プロピオネート。
【0097】
(iv)ポリアミド安定剤、例えばヨウ化物及び/又はリン化合物と組合わせた銅塩や二価マンガンの塩もまた、ポリマー樹脂及び/又はホスフィット組成物中に包含されてもよい。
【0098】
(v)塩基性補助安定剤、例えばメラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、ハイドロタルサイト、高級脂肪酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えばCaステアレート、カルシウムステアロイルラクテート、カルシウムラクテート、Znステアレート、Znオクトエート、Mgステアレート、Naリシノールエート及びKパルミレート、アンチモンピロカテコレート又は亜鉛ピロカテコレート。市販されている補助安定剤として、Chemituraにより製造されているMark(商標)6045、Mark 6045ACM、Mark 6055、Mark 6055ACM、Mark 6087ACM、Mark 6102、Mark CE345、Mark CE350及びMark CE387;及びKisuma Chemicalsにより製造されているDHT−4A(商標)が挙げられる。
【0099】
(vi)成核剤及び清澄剤、例えば4−tert−ブチル安息香酸の金属塩、アジピン酸、ジフェニル酢酸、ソルビトール及びその誘導体、ナトリウムベンゾエート及び安息香酸。
【0100】
(vii)アミンオキシプロパノエート誘導体、例えばメチル−3−(N,N−ジベンジルアミノオキシ)プロパノエート;エチル−3−(N,N−ジベンジルアミノオキシ)プロパノエート;1,6−ヘキサメチレン−ビス(3−N,N−ジベンジルアミノオキシ)プロパノエート;メチル−(2−(メチル)−3−(N,N−ジベンジルアミノオキシ)プロパノエート);オクタデシル−3−(N,N−ジベンジルアミノオキシ)プロパン酸;テトラキス(N,N−ジベンジルアミノオキシ)エチルカルボニルオキシメチル)メタン;オクタデシル−3−(N,N−ジエチルアミノオキシ)プロパノエート;3−(N,N−ジベンジルアミノオキシ)プロパン酸カリウム塩;及び1,6−ヘキサメチレンビス(3−(N−アリル−N−ドデシルアミノオキシ)プロパノエート)。
【0101】
(viii)その他の添加剤、例えば可塑剤、潤滑剤、乳化剤、顔料、蛍光増白剤、防炎加工剤、静電防止剤、発泡剤及びチオ相乗剤、例えばジラウリルチオジプロピオネート又はジステアリルチオジプロピオネート。
【0102】
任意に、ポリマー又はポリマー系樹脂は、充填剤及び強化剤、例えば炭酸カルシウム、シリケート、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物及び金属水酸化物、カーボンブラック及びグラファイトを5〜50重量%、例えば10〜40重量%又は15〜30重量%の量で包含してもよい。
【0103】
本発明はまた、安定化ポリマーに関し、これらのポリマーにおいて、成分の1種は本発明の液体ホスフィット組成物であり、他はポリマー、例えばポリオレフィン、ポリビニルクロライドなど、又はポリマー系樹脂を含有する。
【0104】
このような液体ホスフィット組成物によって安定化されるポリマーは当技術で既知のポリマーのいずれかであってよく、例えばポリオレフィンホモポリマー及びコポリマー、熱可塑性プラスチック、ゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアレキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、スチレン性ポリマー及びコポリマー、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、ポリアミド、ポリアセタール、ハライド−含有ポリマー、並びに生分解性ポリマーであることができる。異なるポリマーの混合物、例えばポリフェニレンエーテル/スチレン性樹脂ブレンド、ポリビニルクロライド/ABS又はその他の耐衝撃性改良ポリマー、例えばメタアクリロニトリル及びα−メチルスチレン含有ABS、並びにポリエステル/ABS又はポリカーボネート/ABS及びポリエステル+数種の別種の耐衝撃性改良剤をまた、使用してもよい。このようなポリマーは市販されているか、又は当技術で周知の手段によって作られてもよい。しかしながら、本発明の安定剤組成物は、熱可塑性ポリマー、例えばポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル及びスチレン性ポリマーにおいて特に有用である。これは熱可塑性ポリマーがしばしば、極端な温度で処理及び/又は使用されるからである。
【0105】
本発明の液体ホスフィット組成物と組合わせて使用されるポリマーは、Ziegler−Natta、シングル−サイト、メタロセン又はPhillips型触媒を含む各種触媒を用いる溶液、高圧、スラリー及び気体相を含む種々の重合方法を用いて生成される。本液体ホスフィット組成物とともに使用するのに有用な非限定的ポリマーとして、エチレン系ポリマー、例えば線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高密度ポリエチレン、実質的に線状の長鎖分枝鎖を有するポリマー及び低密度ポリエチレン;及びプロピレン系ポリマー、例えばアタクチック、イソタクチック及びシンジオタクチックポリプロピレンポリマー及びプロピレンランダム、ブロック又はインパクトコポリマーなどのプロピレンコポリマーを含むポリプロピレンポリマーが挙げられる。
【0106】
ポリマー、典型的なエチレン系ポリマーは、0.86g/cc〜0.97g/ccの範囲、さらに好ましくは0.88g/cc〜0.965g/ccの範囲、さらに好ましくは0.900g/cc〜0.96g/ccの範囲、さらにより好ましくは0.905g/cc〜0.95g/ccの範囲、さらにまた好ましくは0.910g/cc〜0.940g/ccの範囲、最も好ましくは0.915g/ccより高く、好ましくは0.920g/ccより高く、最も好ましくは0.925g/ccより高い密度を有する。本発明の方法によって生成されるポリマーは典型的に、1.5〜約15、特に2〜約10、さらに好ましくは約2.2〜約8、さらにより好ましくは約2.2〜5、最も好ましくは2.5〜4の重量平均分子量対数平均分子量(Mw/Mn)の分子量分布を有する。Mw/Mn比は当技術で周知のゲル透過クロマトグラフィー技術によって測定され得る。一態様における本発明のポリマーはASTM−D−1238−Eにより測定して、0.01dg/分〜1000dg/分、さらに好ましくは約0.01dg/分〜約100dg/分、さらにより好ましくは約0.1dg/分〜約50dg/分、最も好ましくは約0.1dg/分〜約10dg/分の範囲のメルトインデックス(MI)又は(I2)を有する。一態様における本発明のポリマーは、10〜25未満、さらに好ましくは約15〜25未満のメルトインデックス比(I21/I2)(I21はASTM−D−1238−Fにより測定)を有する。好ましい態様における本発明のポリマーは、好ましくは25以上、さらに好ましくは30以上、さらにより好ましくは40以上、さらにまた好ましくは50以上、最も好ましくは65以上のメルトインデックス比(I21/I2)(I21はASTM−D−1238−Fにより測定)を有する。
【0107】
本発明の液体ホスフィット組成物とともに使用されるポリマーはフィルム、シート及び繊維押出成形及び同時押出成形、並びに吹込成形、射出成形及び回転成形などの成形技術で有用である。フィルムとしては、同時押出成形により又は積層により形成される吹込フィルム又はキャストフィルムが挙げられ、これらのフィルムは収縮フィルム、粘着性フィルム、伸縮フィルム、封止性フィルム、延伸フィルム、スナックパッケージ、重質バッグ、雑貨袋、焼上げ及び冷凍食品用パッケージ、医療用パッケージ、工業用ライナー、膜などとして、食品接触及び食品非接触用途において有用である。フィルター、オムツ布地、医療用衣料、地盤用シートなどの作るために織物形態又は不織形態で使用するために、繊維として、溶融紡糸、溶液紡糸及び溶融吹込み繊維処理が挙げられる。押出成形物品として、医療用管、ワイヤ及びケーブルコーティング、地盤用膜(geomembranes)、並びにポンドライナー(pond liners)が挙げられる。成形物品として、ボトル、タンク、大口径中空物品、硬質食品容器及び玩具などの形態の単層及び多層積層構造物が挙げられる。上記に加えて、液体ホスフィット組成物は各種のゴム系製品、例えばタイヤ、バリヤなどに使用される。
【0108】
一態様において、液体ホスフィット組成物は、飲料品、食品及びその他のヒト消費物品と接触して使用されるポリマー、好ましくはポリオレフィンに使用するのに適しており、及び/又は是認される。
【0109】
モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン−1、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロペンテン又はネオボルネンなどのシクロオレフィンのポリマー、ポリエチレン(任意に架橋され得る)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及び線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用してもよい。これらのポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)及び異なる種類のポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)もまた、使用してもよい。モノオレフィンとジオレフィンとの相互コポリマー又は別種のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレン、LLDPE及びそのLDPEとLDPEとの混合物、プロピレン/ブテン−1、エチレン/へキセン、エチレン/エチルペンテン、エチレン/ヘプテン、エチレン/オクテン、プロピレン/イソブチレン、エチレン/ブタン−1、プロピレン/ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、エチレン/アルキルアクリレート、エチレン/アルキルメタアクリレート、エチレン/ビニルアセテート(EVA)又はエチレン/アクリル酸コポリマー(EAA)及びそれらの塩(イオノマー)及びエチレンとプロピレン及びジエン、例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデンノルボルネンとのターポリマー、並びにこのようなコポリマーの混合物及びそれらの前記ポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレンプロピレン−コポリマー、LDPE/EVA、LDPE/EAA、LLDPE/EVA及びLLDPE/EAAもまた、有用である。
【0110】
オレフィンポリマーは、例えば任意に支持体、例えばMgCl、クロム20塩及びその複合体、シリカ、シリカ−アルミナなどの上でZiegler−Natta触媒の存在下でのオレフィンの重合によって生成されてもよい。オレフィンポリマーはまた、クロム触媒又はシングルサイト触媒、例えばTi及びZrのような金属のシクロペンタジエン錯体などのメタロセン触媒を用いて生成されてもよい。当業者が容易に認識できるように、本発明で用いられるポリエチレンポリマー、例えばLLDPEは、例えば1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンコモノマーなどの種々のコモノマーを含有し得る。
【0111】
ポリマーとしてまた、スチレン性ポリマーが挙げられてもよく、例えばポリスチレン、ポリ−(p−メチルスチレン)、5ポリ−(α−メチルスチレン)、スチレン又はp−メチルスチレンとジエン又はアクリル系誘導体とのコポリマー、例えばスチレン/ブタジエン(SBR)、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アルキルメタアクリレート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/マレイミド、スチレン/ブタジエン/エチルアクリレート、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート、スチレンコポリマーと別種のポリマーからの、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーからの高衝撃耐性混合物、及びスチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンがある。
【0112】
スチレン性ポリマーとしてはまた、追加として又は代替として、スチレン又はα−メチルスチレンのグラフトコポリマーが挙げられてもよく、例えばポリブタジエン上のスチレン、ポリブタジエン−スチレン又はポリブタジエン−アクリロニトリル上のスチレン;ポリブタジエン及びそのコポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル(又はメタアクリロニトリル);ポリブタジエン上のスチレン及び無水マレイン酸又はマレイミド;ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸又はマレイミド;ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタアクリレート;ポリブタジエン上のスチレン及びアルキルアクリレート又はメタアクリレート;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル、ポリアクリレート又はポリメタアクリレート上のスチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル、並びにそれらと上記スチレンコポリマーとの混合物がある。
【0113】
適当なゴムとして、天然ゴム及び合成ゴムの両方、並びにその組合せが挙げられる。合成ゴムとして、例えば熱可塑性ゴム、エチレン/アルファ−オレフィン/非共役ポリエン(EPDM)ゴム、エチレン/アルファ−オレフィン(EPR)ゴム、スチレン/ブタジエンゴム、アクリル系ゴム、ニトリルゴム、ポリイソブレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、アクリロニトリル/ブタジエン(NBR)ゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム、イソブチレン−イソプレンコポリマーなどが挙げられるが、これらに制限されない。熱可塑性ゴムとして、SIS、溶液およエマルジョンSBSなどが挙げられる。
【0114】
ニトリルポリマーもまた、本発明のポリマー組成物に有用である。それらとして、アクリロニトリル及びその類縁体のホモポリマー及びコポリマーが挙げられ、例えばポリメタアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル/ブタジエンポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートポリマー、アクリロニトリル/アルキルメタアクリレート/ブタジエンポリマー、及びスチレン性のものに関し上記で引用した種々のABS組成物がある。
【0115】
アクリル酸、メタアクリル酸、メチルメタアクリル酸及びエタアクリル酸並びにそのエステルなどのアクリル酸化合物を基材とするポリマーもまた使用してもよい。このようなポリマーとして、そのアクリロニトリル型モノマーの全部又は一部の代わりに、アクリル酸エステル又はアクリル酸アミドを有する、ポリメチルメタアクリレート及びABS型グラフトコポリマーが挙げられる。アクロレイン、メタアクロレイン、アクリルアミド及びメタアクリルアミドなどの別種のアクリル型モノマーを含むポリマーもまた、使用してもよい。
【0116】
ハロゲン含有ポリマーもまた、本発明のホスフィット混合物により安定化されてもよい。それらとして、例えばポリクロロプレン、エピクロロヒドリンホモ−及びコポリマー、ポリビニルクロライド、ポリビニルブロミド、ポリビニルフルオリド、ポリビニリデンクロライド、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ素化ポリビニリデン、臭素化ポリエチレン、塩素化ゴム、ビニルクロライド−ビニルアセテートコポリマー、ビニルクロライド−エチレンコポリマー、ビニルクロライド−プロピレンコポリマー、ビニルクロライド−スチレンコポリマー、ビニルクロライド−イソブチレンコポリマー、ビニルクロライド−ビニリデンクロライドコポリマー、ビニルクロライド−スチレン−無水マレイン酸ターポリマー、ビニルクロライド−スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ビニルクロライド−ブタジエンコポリマー、ビニルクロライド−イソプレンコポリマー、ビニルクロライド−塩素化プロピレンコポリマー、ビニルクロライド−ビニリデンクロライド−ビニルアセテートターポリマー、ビニルクロライド−アクリル酸エステルコポリマー、ビニルクロライド−マレイン酸エステルコポリマー、ビニルクロライド−メタアクリル酸エステルコポリマー、ビニルクロライド−アクリロニトリルコポリマー及び内部可塑化(intermally plasticized)ポリビニルクロライドなどのポリマーが挙げられる。
【0117】
その他の有用なポリマーとして、環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、例えばポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はそのビスグリシジルエーテルとのコポリマー;ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン及びコモノマーとしてエチレンオキシドを含有するポリオキシメチレン;ABSを含有するメタアクリロニトリル、アクリレート又は熱可塑性ポリウレタンにより修飾されているポリアセタール;ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、並びにポリフェニレンオキシドとポリスチレン又はポリアミドとの混合物;ポリカーボネート及びポリエステル−カーボネート;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン;並びにジカルボン酸及びジオールから、及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンから誘導されるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロール−シクロヘキサンテレフタレート、ポリ−2−(2,2,4(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン)テレフタレート及びポリヒドロキシベンゾエート;並びにヒドロキシル末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロックコポリエーテルエステルが挙げられる。
【0118】
ビスアミン及びジカルボン酸から、及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されるポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12及び4/6、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンビスアミンとアジピン酸との縮合により得られる芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンビスアミン及びイソフタル酸又は/及びテレフタル酸及び任意に、修飾剤としてエラストマーから生成されるポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミドが有用であってもよい。前記ポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー又は化学的結合エラストマー又はグラフトエラストマーとの、又はポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールとの、及びEPDM又はABSにより修飾されているポリアミド又はコポリアミドとの追加のコポリマーを使用してもよい。
【0119】
別の態様において、ポリマーは生分解性ポリマー又は堆肥化可能ポリマーを含む。生分解性ポリマーは、その分解が、例えば細菌、カビ及び藻類などの天然産生微生物の作用の結果である、ポリマーである。堆肥化可能ポリマーは施肥中に生物学的プロセスによって分解を受け、別種の堆肥化可能物質と矛盾しない割合でCO、水、無機化合物及びバイオマスを生成するポリマーである。典型的には、生分解性又は堆肥化可能ポリマーは植物源に由来し、また合成により生成される。生分解性又は堆肥化可能ポリマーの例として、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、及びそのコポリマーが挙げられる。生分解性又は堆肥化可能ポリマーはまた、植物のデンプンと慣用の石油基材ポリマーとのブレンドに由来してもよい。例えば、生分解性ポリマーをポリオレフィンとブレンドしてもよい。
【0120】
ポリオレフィン、ポリアルキレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル及びスチレン性ポリマー及びその混合物はさらに好適であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテルホモポリマー、ポリスチレン、高衝撃耐性ポリスチレン、ポリカーボネート及びABS型グラフトコポリマー並びにその混合物は特に好適である。
【0121】
一態様において、液体ホスフィット組成物は添加され、天然及び合成ワックス、例えばn−パラフィンワックス、クロロパラフィン、α−オレフィンワックス、微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、アミドワックス及びFisher−Tropschワックスを安定化する。これらのワックスはキャンドルを作るために適してもよい。
【0122】
本安定剤は、ポリマーの成形物品の製造に先立つ任意の都合の良い段階で慣用の技術によりポリマー中に容易に入れられてもよい。例えば、安定剤を乾燥粉末形態でポリマーと混合してもよく、又は安定剤の懸濁液又はエマルジョンをポリマーの溶液、懸濁液又はエマルジョンと混合してもよい。本発明の安定化された組成物は任意にまた、各種の慣用の添加剤、例えば従来開示されている添加剤又はその混合物を約0.001〜約5重量%、例えば約0.0025〜約2重量%又は約0.05〜約0.25重量%の量で含有してもよい。
【0123】
本発明の安定剤は、ポリマーが多回の押出し処理を受けることがある場合でも、特に高温処理におけるメルトインデックス及び/又は色の変化に対するポリマー組成物の安定性を有利に助長する。本発明の安定剤は、ポリマーの成形物品の製造に先立つ任意の都合の良い段階で慣用の技術によりポリマー中に容易に入れられてもよい。例えば、安定剤を乾燥粉末形態でポリマーと混合してもよく、又は安定剤の懸濁液又はエマルジョンをポリマーの溶液、懸濁液又はエマルジョンと混合してもよい。
【0124】
本発明の組成物は種々の方法により調製され得る。例えば成分を組成物に望まれる追加の材料の全部と緊密に混合する方法が挙げられる。適当な方法として、溶液ブレンド及び溶融ブレンドが挙げられる。市販のポリマー処理装置では溶融ブレンド装置が有利であることから、溶融処理法は一般に好適である。このような溶融複合方法に使用される装置の例として、同回転及び逆回転押出機、単一スクリュー押出機、ディスクパックプロセッサー及び種々のその他の押出装置が挙げられる。ある場合では、複合された材料をダイの小型排出孔を経て押出機から排出し、次いで生成する溶融した樹脂のストランドを水浴に通すことよって冷却させる。冷却されたストランドは、パッケージ用に、また追加の操作用に小型ペレットに細断され得る。
【0125】
成分の全部が、まず加工システムに添加されてもよく、又はその代わりに、或種の添加剤が、相互に又はポリマー若しくはポリマー樹脂の一部と予備混合してもよく、それにより安定剤コンセントレートを作る。その上、少なくとも1個の排出口を使用し、溶融した材料を排出させる(大気圧又は減圧において)と有利であることもある。当業者は不当な追加の実験を伴うことなく、ブレンド時間及び温度、並びに成分の添加場所及び順序を調整することができるだろう。
【0126】
本発明の安定剤は、その成形物品への加工に先立ち、慣用の技術によってポリマー中に容易に入れられてもよいことから、当該安定剤は最終物品に局所的に適用することによって適用することも可能である。物品は本安定剤化合物及びポリマーを含有することができ、また例えばヘッドランプカバー、屋根ふきシート、電話カバー、航空機内装、ビル内装、コンピューター及び業務機器外装、自動車部品、並びに家庭用器具に加工してもよい。これらの物品は押出成形、射出成形、回転成形、圧縮及びその他の方法によって作られてもよい。これは特に、本安定剤が、例えば溶融紡糸処理の間の紡糸仕上げ操作によって繊維に局所的に適用されるような繊維用途で有用な場合もある。本発明のホスフィット組成物はポリマー安定化に加えて用途を有してもよい。例えば、ホスフィット組成物を反応させ、新しい派生製品を形成することが望まれる場合もあり、これらは追加の用途を有してもよい。エステル交換法、例えばHechenbleikner等による米国特許第3,056,823号(この特許を引用して本明細書に組み入れる)に記載されている方法を使用してもよい。詳細には、Hechenbleikner等により開示された方法として、少量だが触媒有効量の金属アルコレート又は金属フェノレートの存在下でのモノヒドロキシ炭化水素によるトリアリールホスフィットのエステル交換が挙げられる。汚染を回避するために、エステル交換させる特定のアルコールのアルコレートを使用する。予備生成されたアルコレートを使用する代わりに、アルコレートを、例えばトリアリールホスフィットの添加に先立ち、アルコールに金属、例えばナトリウム、カリウム又はリチウムを添加することによって系中で生成することもできる。モノアルコール及びトリアリールホスフィットは、トリアリールホスフィット1モルあたりアルコール3モルのモル比で反応する。
【0127】
さらなる苦労なしで、当業者は本明細書の記載を用いて本発明を充分な範囲にまで利用できるものと信じる。下記実施例を挙げることによって、当業者が特許請求されている発明の実施のための追加の指針を提供する。提供する実施例は、本出願の教示に寄与する作業を代表しているにすぎない。従って、これらの実施例は特許請求の範囲に定義されている本発明をなんらかの様相で制限することを意図しない。
【実施例】
【0128】
本発明は下記の非制限的実施例に照らしてさらに良好に理解されるだろう。
【0129】
(例1及び2)
[純粋オレフィンによるアルキル化(比較)]
例1及び2のそれぞれにおいて、Julaboヒーター/冷却用サーキュレーター浴を経る循環油の手段によって加熱される1リットル5口−ジャケット付容器に、(i)100rpmで攪拌するPTFEパドルブレードを備えた攪拌集成用具を完備した頭上攪拌機;(ii)Liebigコンデンサー;及び(iii)デジタルサーモカップルを装備した。
【0130】
この容器に溶融したフェノール150グラム(1.59mol)を窒素下で充填し、次いで100℃に加熱した。フェノールが100℃になった時点で、この容器にトリフリック酸25.2μL(0.28mmol)を充填した。2−メチルプロペン177グラム(3.15mol)を4時間かけて均一速度で焼結ガラスフリットを経てフェノールの表面より下に導入した。2−メチルプロペンレクチャーボトルをPVC管系を用いてガラスフリットに連結した。2−メチルプロペン添加が完了したら、反応を100℃の油温度で数時間にわたり維持した。
【0131】
(例3及び4)
[オレフィン/飽和化合物混合物によるアルキル化]
例1及び2に記載の方法を反復した。ただし、2−メチルプロペンとブタン350グラム(3.15mol)との混合物を使用した。ブタンレクチャーボトルからのガスラインを2−メチルプロペンレクチャーボトルからガスライン中に継いだ(T−ピース使用)。これによりガスは、それらが導入される前に、反応容器に混合され得た。表6に示されているように、遅れて溶出する副生成物(>20.5分の滞留時間を伴う種類)の量の減少を純粋オレフィンによるアルキル化と比較した。
【表6】

【0132】
例1及び2で、ブタンで希釈された2−メチルプロペンを比べると、変換率又は選択率の割合に対する有害な作用は確認されなかった。加えて、ブタンで希釈された2−メチルプロペンは「重質」副生成物の量の減少に関し陽性の効果を有していた。すなわち、廃棄物の量を減少させた。これは、表6に示されているように、GCにより示される遅れて溶出する副生成物(>20.5分の滞留時間を伴う種類)の量の減少によって実証された。
【0133】
理論に拘束されることなく、ブタンによる2−メチルプロペンの希釈によって、二量化の割合が減少し、従って生成されるジイソブチレンの量もまた減少した。これは、望ましくない「重質」副生成物の量の減少を導いた。多分、例えばプロパンやペンタンなどの反応温度で気体である任意の不活性物質によって2−メチルプロペンを希釈した場合にも、同一の利益が生じるものと予測される。
【0134】
本発明にわたる原理から逸脱することなく多くの変更及び修正ができることに照らして、発明に与えられるべき保護範囲の理解には、添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスフィット組成物を生成するための方法であって、
ヒドロキシアリール化合物を複合炭化水素流中のオレフィンと反応させる工程であって、それにより2種又はより多いアルキル化ヒドロキシアリール化合物を含有するアルキレート組成物を生成する工程、及び、
この2種又はより多いアルキル化ヒドロキシアリール化合物を三ハロゲン化リンと反応させる工程であって、それによりホスフィット組成物を生成する工程、
を含み、当該ホスフィット組成物は少なくとも2種の異なるホスフィットを含有しており、及び周囲条件で液体である、
方法。
【請求項2】
オレフィンが分枝オレフィンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複合炭化水素流中に分枝オレフィンが45〜95重量%存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
さらに複合炭化水素流が飽和化合物を含有している、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複合炭化水素流中に飽和化合物が0.5〜20重量%存在する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複合炭化水素流がクラッキングされた炭化水素供給原料流のフラクションから誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複合炭化水素流がパラフィン系供給原料の脱水素化の反応生成物から誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複合炭化水素流が同一の炭素原子数を有する炭化水素を少なくとも80重量%含有している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
炭素原子数が2〜18炭素である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ヒドロキシアリール化合物がフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、9−フェナントロール、インダノール、カテコール、レゾルシノール、アントラセン−2−オール、4−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、キシレノール、クレゾール、及びその誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
さらに、複合炭化水素流の未反応成分を反応混合物から分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも2種の異なるホスフィットが、
トリス(ジアルキルアリール)ホスフィット、
トリス(モノアルキルアリール)ホスフィット、
ビス(ジアルキルアリール)モノアルキルアリールホスフィット、及び、
ビス(モノアルキルアリール)ジアルキルアリールホスフィット
を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも2種の異なるホスフィットが、
20〜70重量%の量のトリス(モノアルキルアリール)ホスフィット、
15〜60重量%の量のビス(モノアルキルアリール)ジアルキルアリールホスフィット
0.1〜20重量%の量のトリス(ジアルキルアリール)ホスフィット、又は
2〜20重量%の量のビス(ジアルキルアリール)モノアリールホスフィット
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも2種のホスフィットを含有するホスフィット組成物を生成するための方法であって、
(a)少なくとも1種のオレフィン及び少なくとも1種の飽和化合物を含有する複合炭化水素流を用意する工程、
(b)反応混合物中で2種又はより多いアルキル化ヒドロキシアリールを生成するのに有効な条件下で、ヒドロキシアリールを複合炭化水素流と接触させる工程、
(c)反応混合物から当該少なくとも1種の飽和化合物を分離する工程、並びに、
(d)当該2種又はより多いアルキル化ヒドロキシアリールを三ハロゲン化リンと反応させる工程であって、それによりホスフィット組成物を生成する工程、
を含み、当該ホスフィット組成物は周囲条件で液体である、
方法。
【請求項15】
ホスフィット組成物を生成するための統合反応システムであって、
(a)少なくとも1種のオレフィンを含有する複合炭化水素流を生成するための石油化学精製システム、
(b)石油化学精製システムと流体連絡しているアルキレート合成反応器であって、そこでアルキレート組成物を生成するのに有効な条件下で、複合炭化水素流からのオレフィンを1種又はより多いヒドロキシアリールと反応させる、アルキレート合成反応器、及び、
(c)アルキレート合成反応器と流体連絡しているホスフィット合成反応器であって、そこで液体ホスフィット組成物を生成するのに有効な条件下で、触媒を使用し又は使用せず、アルキレート組成物を三ハロゲン化リンと反応させる、ホスフィット合成反応器、
を備える、統合反応システム。

【図1】
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【公表番号】特表2013−500967(P2013−500967A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522873(P2012−522873)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/041772
【国際公開番号】WO2011/014351
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】