説明

複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定方法および測定装置

【課題】
ライトヘッドの書込感度幅より狭いトラック幅を持つDTM等に対してデータの読み書きをしてライトヘッドの書込感度幅及び/又はリードヘッドの読出感度幅とを容易に測定することができる複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定方法を提供することにある。
【解決手段】
この発明は、ディスクリートトラック方式あるいはビットパターンド方式の磁気記録媒体の半径方向に所定の速度Kでヘッドに所定のトラックあるいはこれに隣接するトラックを斜めに横断させてライトヘッドによりテストデータを書込み、リードヘッドによりトラックに斜めに記録されたテストデータを読出してヘッドのトラック走査時間に対する読出電圧についての読出特性のプロファイルを得て、リードヘッドのテストデータ走査時間に対して所定の移動速度Kを掛けることによりヘッドの半径方向の移動距離を得て書込感度幅を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定方法および測定装置に関し、詳しくは、MR(磁気抵抗効果)ヘッドと薄膜インダクティブヘッドとからなる複合磁気ヘッドの特性検査において、薄膜インダクティブヘッド(ライトヘッド)の書込感度幅より狭いトラック幅を持つディスクリートトラック方式の磁気記録媒体(ディスクリートトラックメディア(DTM))に対してデータの読み書きをしてライトヘッドの書込感度幅とMRヘッド(リードヘッド)の読出感度幅とを容易に測定することができるような複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定方法および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HDD(ハードディスク駆動装置)は、現在では自動車製品や家電製品、音響製品の分野にまで浸透し、3.5インチから1.8インチに、さらには1.0インチ以下のハードディスク駆動装置が各種製品に内蔵され、使用されている。それによりHDDの低価格化と大量生産化が求められ、しかもその記憶容量は大きいことにこしたことはない。
前記のような要請に応えるために最近実用化に至った超高密度記録の垂直磁気記憶方式の磁気ディスクメディアが前記の分野で採用され、急速に普及しつつある。
【0003】
垂直磁気記憶方式の磁気ディスクメディアは、TMR(トンネル磁気抵抗)ヘッドあるいはGMR(ジャイアント磁気抵抗)ヘッドを持つ複合磁気ヘッドが使用され、ヘッドとの距離が10ナノ以下に設定され、その距離が制御される記憶媒体である。
このような磁気ディスクメディアは、一般的にはガラス基板が用いられ、ガラス基板の上に軟磁性層が形成され、その上に磁性層が設けられる。そして、この磁性層がエッチングされることで溝を介したディスクリートなトラックがディスクサブストレート(なおここでのディスクサブストレートとはデータの読出/書込を行うHDDに搭載される磁気ディスクに対してその材料としてその前段階にある各種のディスク基板を指している。)に形成される。
トラック間を隔絶する溝のエッチングは、凹凸を持つフォトレジスト膜を介して行われる。フォトレジスト膜の凹凸は、ナノインプリントリソグラフィ法によりディスクサブストレートの磁性層にフォトレジスト膜を塗布してフォトレジスト膜の上から凹凸を持つスタンパを押付けることで形成される。この凹凸のフォトレジスト膜を介してドライエッチングにより形成されるディスクリートなトラックの幅は100nm以下であり、トラック間を隔絶する溝には後工程で非磁性体が充填される。
このような技術は、すでに公知である(特許文献1,2)。
【0004】
この種の磁気ディスクは、ディスクリートトラック方式の磁気記録媒体(DTM)と呼ばれ、数年後には、2.5インチで1テラビット/(インチ)を越える超高密度記録が可能な技術として現在注目されている。さらに、ディスクリートトラックをトラック方向において微細に磁区分割したビットパターンドメディア(BPM)もすでに実用化の段階に入っている。
HDDに使用される従来の磁気ディスクは、媒体全面に一様に磁性膜が形成されているので、従来の磁気ディスクは、ライトヘッドによりテストデータ(テストバースト信号)を任意のトラックに記録することが容易にできる。したがって、リードヘッドをディスク半径方向に連続的に移動させてトラックに記録されたテストデータをリードすることで、トラックを横断するリードヘッドの移動距離に対する読出電圧特性、すなわち読出特性のプロファイル(波形)が容易に得られる。この読出特性のプロファイルが得られれば、ライトヘッドの書込感度幅とリードヘッドの読出感度幅とが磁気ヘッド検査における複合磁気ヘッドの特性パラメータとして容易に測定でき、それにより複合磁気ヘッドの評価あるいは検査をすることができる。
【0005】
図6は、ライトヘッドの書込感度幅とリードヘッドの読出感度幅とを磁気ヘッドの特性パラメータとして測定する従来の測定方法についての説明図である。
図6では、テストデータの書込感度幅Waで所定のトラックに複合磁気ヘッド(ライトヘッド)によるテストデータの書込みがすでに完了しているものとする。そこで、次にテストデータの読出段階に入り、複合磁気ヘッド(リードヘッド)がディスクの半径方向に沿って図面左側から右方向に移動して所定のトラックを横断してテストデータを読出す。
図6の(1)の位置では、MRヘッド(リードヘッド)の読出感度幅Wbの右端がテストデータの書込感度幅Waの左端に対応している。このときからMRヘッドのギャップ(Cbはその中心線)がライトヘッドにより書込まれたテストデータ(その左端)を読出せる状態なる。ただし、このときには読出電圧はいまだ0(ゼロ)である。
ここでは、簡単に説明するために、MRヘッドの読出電圧は、[mV]単位ではなく、テストデータの最大読出電圧を1として、数値“0”から“1”の範囲の比として説明する。なお、それぞれヘッドの感度幅Wa,Wbは、それぞれのギャップの幅により決定される。ライトヘッド(薄膜インダクティブヘッド)の書込感度幅Waは、従来数μm程度であったが、DTMでは、ライトヘッドの書込感度幅が50nm〜80nm程度となり、トラック幅が50nmか、それ以下となっている。しかも、DTMが回転するときに形成されたトラックには偏心がある。そのため、たとえ、ライトヘッドの書込感度幅が実質的にトラック幅に近いものであったとしても、データの記録状態としてはライトヘッドの書込感度幅よりトラック幅が実質的に狭くなってしまう問題がある。
【0006】
ところで、(2)の位置ではMRヘッドの読出感度幅WbがWb/2だけ書込感度幅Wa側に入り込んでいる。このときには右側の読出感度幅WbのうちのWb/2分が書込感度幅Wa上にある。このときの読出電圧は、一様にテストデータが書込まれているとすれば0.5となる。さらに右側へとMRヘッドが移動して(3)の位置では、読出感度幅Wbの全体が書込感度幅Wa上にある。そこで、このときの読出電圧は最大の1.0となる。 そして、Wa>Wbのときは、幅(Wa−Wb)の範囲では電圧が1.0のままとなって読出電圧は平坦になる。したがって、MRヘッドが(4)の位置での読出電圧は1.0である。その結果、全体としては下側に実線で示すような中央部に平坦部を持つ読出電圧特性のプロファイル(波形)を得ることができる。なお、この種のヘッドパラメータの測定方法についてはすでに公知である(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−012119号公報
【特許文献2】特開2007−149155号公報
【特許文献3】特開2000−231707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
DTMのようにライトヘッドの書込感度幅Waよりトラック幅が狭くなると、リードヘッドを半径方向に移動させてもリードヘッドは、書込感度幅で決定される書込領域全体を横断することができなくなる。そのため図6のような読出電圧特性のプロファイルが得られない問題がある。また、リードヘッドの読出感度幅もDTMではトラック幅に近くなるので、図6に示すような中央部に平坦部を持つプロファイルにはならない。したがって、ライトヘッドの書込感度幅とリードヘッドの読出感度幅とを測定することが難しくなる。
この発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決するものであって、ライトヘッドの書込感度幅より狭いトラック幅を持つDTM等に対してデータの読み書きをしてライトヘッドの書込感度幅及び/又はリードヘッドの読出感度幅とを容易に測定することができる複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定方法を提供することにある。
この発明の他の目的は、DTM等に対してデータの読み書きをしてライトヘッドの書込感度幅及び/又はリードヘッドの読出感度幅とを容易に測定することができる複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するための第1の発明の複合磁気ヘッドの書込及び/又は読出幅の測定方法あるいは測定装置の構成は、DTM、BPMあるいはその他の凹凸パターンの記録層を有する回転する磁気記録媒体の所定のトラックからサーボ情報を読出してオントラックさせるオントラックサーボ制御の状態で磁気記録媒体の半径方向に所定の速度Kで複合磁気ヘッドに所定のトラックを斜めに横断させるとともにライトヘッドにより所定のトラックにテストデータを書込み、
オントラックサーボ制御の状態で複合磁気ヘッドを所定のトラックに位置決めしてリードヘッドにより所定のトラックからテストデータを読出し、
リードヘッドの読出信号に基づいてリードヘッドのトラック走査時間に対する読出電圧についての読出特性のプロファイルを得て、
リードヘッドのテストデータ走査時間に対して所定の移動速度Kを掛けることによりテストデータに対する複合磁気ヘッドの半径方向の相対的な移動距離を得て書込感度幅を算出するものである。
また、第2の発明は、DTM、BPMあるいはその他の凹凸パターンの記録層を有する回転する磁気記録媒体の前記所定のトラックにオントラックサーボ制御の状態で前記複合磁気ヘッドを位置決めして前記複合磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の半径方向に所定の速度Kで前記所定のトラックから隣接するトラックを斜めに横断させるとともに前記ライトヘッドにより前記隣接するトラックに前記テストデータを書込み、隣接するトラックからテストデータを読出して、第1の発明と同様に読出特性のプロファイルを得て、書込感度幅を算出するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、DTMあるいはBPM等の半径方向に所定の速度Kでヘッドに所定のトラックあるいはこれに隣接するトラックを斜めに横断させてライトヘッドによりテストデータを書込み、リードヘッドによりトラックに斜めに記録されたテストデータを読出してヘッドのトラック走査時間に対する読出電圧についての読出特性のプロファイルを得る。そして、リードヘッドのテストデータ走査時間に対して所定の移動速度Kを掛けることによりテストデータに対するヘッドの半径方向の相対的な移動距離を得て書込感度幅を算出する。
トラックに斜め書きされたテストデータは、ライトヘッドが半径方向に移動して書込まれたものであるので、ヘッドの半径方向の移動速度に応じて斜めの角度が変化する。
ライトヘッドの半径方向の移動速度に応じてトラックに記録されたテストデータは、記録領域の前側の境界線と後ろ側の境界線が斜めになる。前側の境界線は、ライトヘッドによる書込み感度幅に応じた記録領域の先頭部分の記録軌跡であり、後ろ側の境界線は、ライトヘッドによる書込み感度幅に応じた記録領域の後ろ部分の記録軌跡である。
そこで、トラックに斜め書きされたテストデータを前側の境界線から後ろ側の境界線までリードヘッドが走査すると、半径方向に移動するテストデータの書込み感度幅の全域を走査したことになる。
【0011】
ここで、半径方向に移動して記録されたテストデータ側を固定側と考えると、リードヘッドによるテストデータの走査は、テストデータに対して相対的に半径方向に移動して読出す関係にある。このときのリードヘッドのテストデータに対する半径方向の相対的な移動量は、テストデータに対する走査時間が対応する。
書込時と読出時の磁気記録媒体の1回転の速度が変化しない限りは、磁気記録媒体の回転方向のライトヘッドでテスト信号を書くときの速度とリードヘッドでテスト信号を読出すときの速度とは同じである。そのためリードヘッドとライトヘッドとの回転方向の走査時間と走査位置とは同じになるが、記録されたテストデータは、ライトヘッドの走査とともに半径方向に移動しているので、リードヘッドが半径方向に移動するテストデータを読出す関係においては、半径方向のテストデータの移動とリードヘッドの走査時間とに依存している。
【0012】
後者場合、テストデータに対するリードヘッドの走査位置は、テストデータ側を固定と考えたときには、リードヘッドが相対的に半径方向に移動していることになる。そこで、リードヘッドがテストデータを横断したときには読出特性のプロファイルを得る従来の場合のテストデータとリードヘッドの関係と同じ条件になる。
なお、リードヘッドの走査時間に半径方向の移動速度Kを掛けると半径方向のリードヘッドの相対的な移動距離を算出することができる。
これにより、従来と同様に複合磁気ヘッドの半径方向の移動距離に対する読出電圧についてのの読出特性プロファイルを得ることができる。
その結果、ライトヘッドの書込感度幅よりトラック幅が狭くなるようなDTMあるいはこれと同様なBPMであっても従来の磁気ディスクと同様にライトヘッドの書込感度幅とリードヘッドの読出感度幅を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、この発明の複合磁気ヘッドの書込及び/又は読出幅の測定方法を適用した一実施例のMR複合磁気ヘッドの書込及び/又は読出幅測定装置のブロック図、
【図2】図2は、検査磁気ヘッドの読出特性測定処理のフローチャートの説明図、
【図3】図3(a)は、ONトラックサーボ状態で記録された斜め書きテストデータの説明図、図3(b)は、測定された読出特性のプロファイルと従来の磁気ヘッドに対応する読出特性近似のプロファイルの説明図、
【図4】図4は、テストデータがトラックに傾斜しかつ横断する状態で書込まれたときの読出特性プロファイルについての説明図、
【図5】図5は、検査対象の磁気ヘッドがアクセスするディスクリートトラックメディア(DTM)のトラックについての部分説明図、そして、
【図6】図6は、ライトヘッドの書込感度幅とMRヘッドの読出感度幅とを磁気ヘッドの特性パラメータとして測定する従来の測定方法についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、10は、磁気ヘッドテスターであり、1は、DTM(ディスクリートトラックメディア)であって、スピンドル2に着脱可能に挿着されている。スピンドル2に隣接してヘッドキャリッジとしてXYステージ3が設けられ、XYステージ3は、Xステージ3aとYステージ3bからなる。
なお、DTM1は、スピンドル2に装着されたときにスピンドル2の回転中心に対してディスクリートトラックが偏心をもったディスクである。通常のDTMは、スピンドル2の回転中心に対してDTM1の中心が、そしてDTM1の中心に対してこれに形成されたディスクリートトラックの中心がそれぞれに偏心している。そこで、これら偏心を段階的に補正しない限り、スピンドルの回転中心に対してディスクに形成されたトラックは偏心を持つことになる。そのため、スピンドル2に装着されたDTM1は、通常は、2トラック分以上の偏心が必ず発生するといってよい。そのため、ONトラックサーボ制御(後述)をしない限り、トラックを複合磁気ヘッド9(以下ヘッド9)がトレースすることはできない。
【0015】
Xステージ3aは、DTM1の半径方向(以下単に半径方向)の移動ステージである。これは、MRヘッド(リードヘッド)と薄膜インダクティブヘッド(ライトヘッド)を有する特性検査の対象となる複合磁気ヘッド9(以下ヘッド9)を搭載するピエゾステージ4をYステージ3bを介してDTM1の半径方向に移動する。
Yステージ3bは、このXステージ3a上に搭載され、ヘッド9に対してスキュー調整のための移動を行うステージである。このYステージ3b上にヘッド9のX方向の位置を微調整するピエゾステージ4が搭載されている。
ピエゾステージ4は、移動ベース4aとカートリッジ取付ベース4b、そしてピエゾアクチュエータ5とからなり、移動ベース4aの先端側にはヘッドカートリッジ取付ベース4bが結合されている。移動ベース4aは、Yステージ3bにピエゾアクチュエータ5を介して搭載され、カートリッジ取付ベース4bをX軸に沿って移動させる。
これにより、ピエゾアクチュエータ5が駆動されることでカートリッジ取付ベース4bがX方向に移動してDTM1の半径方向のヘッド位置の微調整がヘッドカートリッジ6を介して行われる。なお、X方向は、DTM1の中心を通る半径方向に一致している。
【0016】
ヘッドカートリッジ6は、カートリッジ取付ベース4bにピエゾアクチュエータ7を介して搭載され、ヘッドカートリッジ6には、サスペンションスプリング8が固定されている。このピエゾアクチュエータ7は、ヘッドカートリッジ6の内部に設けられていてもよい。このような場合には、サスペンションスプリング8とヘッドカートリッジ6のサスペンションスプリング8の取付け台との間に搭載され、サスペンションスプリング8を介してヘッド9を半径方向に移動させることができる。この場合の方がピエゾアクチュエータ7が駆動する質量が小さくなるので、ONトラックサーボ制御の応答性を向上させることができる。
【0017】
サスペンションスプリング8の先端側にはヘッド9が搭載されている。ヘッド9は、DTM1のX軸方向に沿う半径方向に移動してDTM1のトラックをシークしてそのトラックの1つに位置決めされてデータをそのトラックから読出し、あるいはそのトラックにデータを書込む、いわゆるヘッドアクセス動作をする。
ヘッドカートリッジ6は、ヘッド9をヘッドキャリッジに装着するものであって、ヘッド9を着脱可能に搭載し、内部には読出アンプと書込アンプ等が設けられている。読出アンプは、MRヘッドから読出信号を受けてそれを増幅してデータ読出回路15に出力するとともにサーボ位置決め制御回路11に送出する。
サーボ位置決め制御回路11は、目標位置電圧発生回路と、サーボ電圧復調・位置電圧演算回路、誤差電圧発生回路、カートリッジ側のピエゾアクチュエータ7用の位相補償フィルタ処理回路,ピエゾアクチュエータドライバ等からなり、セクタ対応に設けられたサーボ情報を読出して、サーボ情報に応じてヘッド9が位置決めされた目標トラックにONトラック状態になるようにサーボ制御(ONトラックサーボ制御)をする。
なお、サーボ情報は、通常、トラック幅Wのトラックに対して半径方向に順次W/4つづずれて設けられたA相,B相,C相,D相の4相のバースト信号からなる。
【0018】
データ読出回路15は、MRヘッドからの読出信号をヘッドカートリッジ6に設けられた読出アンプから受けて、二値化してデータ処理・制御装置20に送出する。16は、ヘッドアクセス制御回路であって、データ処理・制御装置20からの制御信号を受けてXYステージ3とピエゾアクチュエータ5とを駆動してヘッド9を目標となる所定のトラックに位置決めする。
17はデータ書込回路、18はテストデータ生成回路である。テストデータ生成回路18は、データ処理・制御装置20により制御されて所定のテストデータを作成してそれをデータ書込回路17に送出する。データ書込回路17は、受けたテストデータに従って書込信号を生成して、ヘッドカートリッジ6に設けられた書込アンプを駆動し、ヘッド9の薄膜インダクティブヘッドを介して所定のトラックにデータを書込む。
【0019】
図5は、検査対象の磁気ヘッドがアクセスするDTMの部分説明図であって、DTM1全体の1/4円の部分を示してある。
DTM1には、各セクタ対応にサーボエリア1aが設けられている。このサーボエリア1aにはトラック位置情報、ONトラック位置決めのためのサーボ情報(サーボバースト信号)、セクタ番号などが記録されている。その後に各ディスクリートトラック1bが形成され、各ディスクリートトラック1bの間には非磁性体1cが充填されている。
ディスクリートトラック1bは、テストデータ等が書き込まれるデータエリア1eを構成している。ディスクリートトラック1bのトラック幅は、50nm〜60nm程度である。これに対してヘッド9の書込感度幅Waは、現在のところ60nmか、それ以上である。
図1に戻り、データ処理・制御装置20は、MPU21とメモリ22、インタフェース23、CRTディスプレイ24、そしてキーボード等により構成され、これらがバスにより相互に接続されている。そして、メモリ22には、ヘッドアクセスプログラム22a、トラック幅に亙るトラックへのテストデータ傾斜書込プログラム22b、読出特性プロファイル採取プログラム22c、そして読出特性近似のプロファイル生成プログラム22d等が記憶されている。
【0020】
図2は、検査磁気ヘッドの読出特性測定処理のフローチャートの説明図である。
MPU21は、ヘッドアクセスプログラム22aを実行してインタフェース23を介してヘッドアクセス制御回路16の所定のレジスタにR方向の移動距離r[mm]を設定してヘッドアクセス制御回路16を起動する。
レジスタにR方向の移動距離r[mm]が設定されることにより、ヘッドアクセス制御回路16によりXステージ3aが駆動されて基準点あるいは所定のトラック位置からr[mm]分、粗動移動し、さらにピエゾステージ4が駆動されてヘッド9が距離rに向かって微動移動して目標トラックに位置決めされる(ステップ101)。これにより、ヘッド9が基準点あるいは所定のトラック位置から目標トラックに位置決めされる。
そして、MPU21は、ONトラック位置決め制御として、サーボ位置決め制御回路11を起動してヘッド9が目標トラックにONトラックサーボ状態で位置決めされるようにサーボ位置決め制御回路11にピエゾアクチュエータ7を駆動させる(ステップ102)。
【0021】
次に、MPU21は、トラックを斜めに横断してテストデータを書込むテストデータ傾斜書込プログラム22bをコールして実行する。これの実行においてMPU21は、ONトラックサーボ制御の状態のままで、まずヘッドアクセスプログラム22aをコールしてこれを実行して目標トラックの後側にヘッド9をシフトする。そして、ヘッド9をシフトた状態でMPU21は、前側に向かって半径方向に所定の速度Kでヘッド9のシークを開始し(ステップ103)、これとともにテストデータの書込を開始する(ステップ104)。なお、この場合、逆に目標トラックの前側に位置決めして後側に向かって半径方向に所定の速度Kでヘッド9のシークを開始してもよい。
このときの、目標トラックの前側あるいは後側へのヘッド9のシフト位置決めは、インタフェース23を介してヘッドアクセス制御回路16の所定のレジスタにR方向の移動距離−X[nm]あるいは+X[nm]を設定することによりヘッドアクセス制御回路16がピエゾアクチュエータ5を駆動することでなされる。
【0022】
次の所定の速度Kでのシークは、前記のシフト位置決めに続いて、MPU21がヘッドアクセスプログラム22aを実行してインタフェース23を介してヘッドアクセス制御回路16の所定のレジスタにR方向の移動距離P[nm]を、図1に示すスピンドル2のロータリエンコーダによって発生したインデックス信号IND(あるいは1周の開始セクタ信号)を待って設定し、この移動距離P[nm]の設定を繰り返して設定することで行われる。この設定に応じてヘッドアクセス制御回路16は、ピエゾアクチュエータ5を駆動してヘッド9を半径方向に所定の速度Kでシークさせる。
このとき同時にMPU21は、テストデータ傾斜書込プログラム22bの実行においてテストデータ書込処理をしてデータ書込回路17を起動し、インデックス信号IND(あるいは1周の開始セクタ信号)に同期させて速度Kのシークに対応して目標のトラックからテストデータを書き込む。これにより、テストデータは、トラックに対して斜めに書き込まれていく。
MPU21は、斜めに横断させて1トラック分を越える距離分半径方向にヘッド9を移動させて薄膜インダクティブヘッドによるテストデータのトラック1周分の書込みを終了して半径方向のヘッド9の移動を停止する(ステップ105)。これによりテストデータ傾斜書込プログラム22bの処理を終了する
【0023】
ここでは、説明を単純化するためにDTM1が1回転したときに1トラック分の距離を半径方向にヘッドが移動するものとし、その1回転の時間をTとして以下説明する。
このときのヘッド9が後ろ側から手前側に移動して目標トラックを横断したときの目標トラックの記録状態を示すのが、図3(a)である。TRが目標トラックである。図3(a)に示すようにトラックTRの手前から後ろ側あるいは後ろ側から手前側にヘッド9が半径方向に移動すると、目標トラックTRにはテストデータTDが斜めに書込まれる。
なお、ヘッド9が手前から後ろ側に移動して目標トラックを横断したときの記録状態は図3(a)において図面の左右が入れ替わり裏返しの状態になる。
テストデータTDは、ヘッド9の半径方向の移動速度KとDTM1の回転速度に応じて所定の角度で目標トラックTRに対して傾斜して書き込まれる。このとき、DTM1が1回転する時間Tは、ライトヘッドが目標トラックTRを横断する時間になる。そこで、K=D/Tとして半径方向の移動速度Kを得ることができる。ただし、Dは、トラック幅である。
【0024】
テストデータの書込み終了後にMPU21は、読出特性プロファイル採取プログラム22cをコールする。
MPU21は、テストデータ傾斜書込プログラム22bの処理に続いて読出特性プロファイル採取プログラム22cを実行して、これの実行において、まずヘッドアクセスプログラム22aをコールしてこれを実行してトラックTRを目標トラックにしてこれにヘッド9をシークさせて目標トラックにヘッド9を位置決めする(ステップ106)。この位置決め後にMPU21は、サーボ位置決め制御回路11を起動してヘッド9をこのトラックにONトラックサーボ位置決めをして(ステップ107)、傾斜書込されたテストデータTDの読出をする(ステップ108)。次に、MPU21は、1回転の時間をTとしてこれを基準とするトラック1周の走査時間に対する読出電圧についてのヘッド9の読出特性のプロファイルの生成をする(ステップ109)。
その結果、図3(b)に示す読出特性のプロファイル12が得られる。
次に、MPU21は、読出特性プロファイル12の最大読出電圧値を検出する(ステップ110)。次に、このときの平坦部の読出電圧を最大電圧として、それを1.0として測定値の読出電圧を最大電圧値に対する比に変換する。そして最大値の読出信号のレベルを100%として、50%の読出信号のレベルに対応するヘッド9(ライトヘッド)のトラック走査方向の走査時間(横軸)の幅Aを算出し、このAに従ってK×Aを書込感度幅Waとして算出してメモリ22の所定の領域に記憶する(ステップ111)。ただし、Kは、ヘッド9の半径方向の移動速度である。
【0025】
以下、書込感度幅Waについて詳細に図4を参照して説明する。
なお、図4は、テストデータがトラックに傾斜しかつ横断する状態で書込まれたときの読出特性プロファイルについての説明図である。
図4に示すように、薄膜インダクティブヘッド(ライトヘッド)による書込感度幅Waで書込まれるテストデータの記録領域は、点線で示す縦の長方形Wrであるとする。この長方形Wrが目標トラックTRを斜め上方に向かって半径方向には移動速度Kで移動して目標トラックTRをディスク1回転で横断する。
これに対してMRヘッド(リードヘッド)は、目標トラックTRの中心位置のラインLに沿ってテストデータTDの記録領域をディスクの回転に応じて走査していき、テストデータTDを読出す。
ここでは、テストデータTDの記録領域が傾斜書込されているので、MRヘッドとテストデータTDとは本来の読出状態とはθ傾いた関係にある。そのため、テストデータの読出電圧レベルが所定の比率で落ちることにはなるが、半径方向の長方形Wr(書込感度幅Wa)の移動に対応してMRヘッドがそこに書込まれたテストデータを読出すことになる。
【0026】
左側の傾斜線L1とのクロス点PLにおけるMRヘッドとテストデータTDとの関係は、従来と同様にMRヘッドが長方形Wrに半分だけ入った状態になっている。同様に、右側の傾斜線L2とのクロス点PRにおけるMRヘッドとテストデータTDとの関係は、従来と同様にMRヘッドが長方形Wrから半分だけ出た状態になっている。傾斜線L1,L2による境界線が斜めになっているが、MRヘッドが記録トラックへ入る入り方、そして出る出方の関係は、同じである。MRヘッド(リードヘッド)のトラック走査方向の幅1nm程度と狭いので、θ傾いた関係にあってもほとんど影響されない。
ここで、クロス点PLからクロス点PRまでMRヘッドがテストデータTDを走査したときのクロス点PLからクロス点PRとの間の長方形Wrを見てみると、長方形Wrの頭の先からお尻まで全領域がMRヘッドによりトレースされていることが分かる。
したがって、MRヘッドが傾斜したテストデータTDを読出すことで、その読出信号により従来と同様な読出特性プロファイルを得ることができる。
テストデータは、ディスク1回転分の時間Tを経てトラック半径方向にトラック幅分ライトヘッドを移動して記録されているので、テストデータTDの端から端までの時間Tに着目する。
【0027】
ここで、半径方向の移動速度Kにより1回転分の時間Tがトラック幅Dに対応する移動量となっているので、テストデータTDを固定側と考えたときにリードヘッドの走査時間は、トラック幅Dと時間Tとの関係でテストデータTDに対するリードヘッドの半径方向の相対的な移動距離に換算して算出することができる。
そこで、MRヘッドによるテストデータTDの読出は、テストデータTD記録領域に半径方向の移動速度KでMRヘッドが左側の傾斜線L1から侵入していくと考えることができる。右側の傾斜線L2では、逆にテストデータTD記録領域からMRヘッドが移動速度Kで順次抜け出していくと考えることができる。
これにより、読出特性のプロファイル12の50%のところのリードヘッド(MRヘッド)の走査時間Aを得て、書込感度幅Waは、半径方向の移動量としてWa=D・A/T=K・Aにより算出できる。
このようにして得られる図3(b)に示す読出特性のプロファイル12は、図6に示すような従来の波形データとは異なり、理想的な平坦部を持つ読出電圧特性のプロファイルにはなっていない。その理由として、リードヘッドとテストデータTDとが本来の読出状態に対してθ傾いた関係にあること、そして、読出特性のプロファイル12のような特性は、トラック幅とMRヘッドの幅とが近づいた関係でMRヘッドの読出がライトヘッドによる端部の磁化状態に影響されて十分な読出ができないと考えられる。
【0028】
そこで、図3(b)の読出特性プロファイル12における両サイドの曲線から頭部中央部に平坦部を持つ従来と同様な読出特性近似のプロファイル13を次に得る(ステップ110)。
すなわち、MPU21は、読出特性プロファイル採取プログラム22cの実行終了後にプロファイル生成プログラム22dをコールし、これを実行する。これにより、MPU21は、両サイドの曲線に対して指定されたスライスレベルの間の曲線、例えば、スライスレベルを20%と80%として20%から80%の間の曲線に対する接線S1,S2を求めて読出特性プロファイル12の両サイドを曲線を接線S1,S2に置き換えた読出特性近似のプロファイル13を生成する。
そこで、MPU21は、この読出特性近似のプロファイル13において、接線S1,S2が0%のレベルのライン(横軸)に交わる点を点B1,点B2とし、100%のレベルのラインに交わる点を点C1,点C2とし、これらの各点をトラック走査方向方向(横軸)の座標値によりぞれぞれ求めて(ステップ113)、点B1から点B2あるいはその逆のヘッド9のトラック方向の走査時間をBとし、点C1から点C2あるいはその逆のヘッド9のトラック方向の走査時間をCとしてMRヘッドの読出感度幅WbをWb=K・(B−C)/2により算出する(ステップ114)。
【0029】
ここで、読出特性近似のプロファイル13における(B−C)は、この波形の両端部の傾斜部分の半径方向における幅の和である。図6で説明したように、この傾斜部分うち図面左側は、MRヘッドがテストデータの書込領域に入り初めてから完全に入り込むまでのMRヘッドの半径方向の移動距離である。これは、MRヘッドの読出幅Wbに相当する。また、図面右側は、逆にMRヘッドがテストデータの書込領域に抜け初めてから抜け切るまでのMRヘッドの半径方向の移動距離であり、これもMRヘッドの読出幅Wbに相当する。
このようなリードヘッドによるテストデータの両サイドの曲線に対する読出関係は、図6で示した従来の読出電圧プロファイルを得るときの関係が維持されている。そこで、両サイドを曲線を接線S1,S2に置き換えた読出特性近似のプロファイル13は、従来の読出特性プロファイルに近い特性になっている。
このような傾斜が前後にあるので、ここでは、K・(B−C)/2により平均値を得て読出感度幅Wbとしている。
【0030】
ところで、前記の実施例では、DTM1の1回転の時間Tの走査においてライトヘッドが幅Dの目標トラックTRを横断する例である。
しかし、一般的には、ライトヘッドが所定の移動速度Kでm回転にnトラック分(ただし、mは、1以上の整数,n>=m)の距離を移動し、このときの速度Kは、K=n・D/(m・T)である。DTM1の1回転の時間Tにおいてライトヘッドが幅n・D/m分半径方向に移動することになる。
そこで、50%のところのリードヘッドの走査時間Aとした場合に、このときの1トラックにおけるリードヘッドの半径方向の移動量は、(n・D/m)・A/Tとなる。ここで、K=n・D/(m・T)であるので、リードヘッドの半径方向の移動量は、すなわち書込感度幅Waは、前記と同じようにWa=K・Aとなり、1回転分の時間Tをかけてトラック半径方向にトラック幅分移動した場合と同じ結果となる。
言い換えれば、書込時と読出時の磁気記録媒体の1回転の速度が変化しない限りは、磁気記録媒体の回転方向のライトヘッドでテスト信号を書くときの速度とリードヘッドでテスト信号を読出すときの速度とは同じである。そのためリードヘッドとライトヘッドとの回転方向の走査時間と走査位置とは同じになるが、記録されたテストデータは、リードヘッドの走査とともに半径方向に移動しているので、リードヘッドがテストデータを読出すときには、半径方向のテストデータの移動とリードヘッドの走査時間とが関係してくる。
【0031】
また、上記の場合、読出特性近似のプロファイル13の両サイドの曲線に対する接線S1,S2は、両サイドの曲線の近似直線を求めるものである。そこで、接線S1,S2を求めることに換えて、両サイドの近似直線は、20%から80%の間の曲線を直線近似して得てもよく、あるいはこの範囲の測定値に最小二乗法を適用して得てもよい。
さらに、ステップ112の書込感度幅Waの算出は、読出特性プロファイル12ではなく、読出特性近似のプロファイル13において読出感度幅Wbとともに求めてもよい。
また、読出特性近似のプロファイル13の両端部にある曲線の範囲を決定する20%,80%のスライスレベルは、一例であって、この発明は、50%の前後の測定値を含む曲線の範囲で近似直線を求めればよい。しかも、その範囲は、20%から80%に限定されるものではない。ここで、50%の前後の測定値の曲線を含める理由は、この範囲がMRヘッドがテストデータの書込領域に半分入った状態にあって、前後の記録状態にもっとも影響を受けることがない状態でテストデータを読出しているからである。しかも、この状態は、テストデータの記録状態が断片的ではあるが、MRヘッドと記録情報との関係が従来の磁気ヘッドの読出特性を得るときとの関係に近い。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上説明してきたが、実施例では、複合磁気ヘッドを目標のトラックの手前あるいは後ろに移動させてから複合磁気ヘッドを回転するDTM1の半径方向に所定の速度Kで手前から後ろあるいは後ろから手前に移動させている。しかし、この発明は、目標トラックに位置決めした後に隣接トラックに向かって半径方向にシークして隣接トラックに傾斜状態でテストデータを1トラック幅か、それ以上記録するようにしても隣接トラックにテストデータを傾斜書込できるので、同様に読出特性プロファイルを得ることができる。この場合には、目標トラックに換えて隣接トラックからテストデータを読出すことになる。
また、実施例におけるDTMは、一例であって、BPM(ビットパターンドメディア)あるいはその他の凹凸パターンの記録層を有する磁気記録媒体にもこの発明は適用できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0033】
1…DMT、2…スピンドル、
3…XYステージ、3a…Xステージ、3b…Yステージ、
4…ピエゾステージ、4a…移動ベース、4b…カートリッジ取付ベース、
5,7…ピエゾアクチュエータ、6…ヘッドカートリッジ、
8…サスペンションスプリング、9…磁気ヘッド、
9a…MRヘッド、9b…インダクティブヘッド、
10…磁気ディスクテスター、11…サーボ位置決め制御回路、
12…読出特性プロファイル、13…読出特性近似のプロファイル、
16…ヘッドアクセス制御回路、17…データ書込回路、
18…テストデータ生成回路、20…データ処理・制御装置、
21…MPU、22…メモリ、22a…ヘッドアクセスプログラム、
22b…トラックへのデータ傾斜書込プログラム、
22c…読出特性プロファイル採取プログラム、
22d…読出特性近似のプロファイル生成プログラム、
23…インタフェース、24…CRTディスプレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライトヘッドとリードヘッドを有する複合磁気ヘッドの読出特性を得て前記ライトヘッドの書込感度幅あるいは前記リードヘッドの読出感度幅とを測定する複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定方法において、
ディスクリートトラック方式、ビットパターンド方式あるいはその他の凹凸パターンの記録層を有する回転する磁気記録媒体の所定のトラックからサーボ情報を読出してオントラックさせるオントラックサーボ制御の状態で前記磁気記録媒体の半径方向に所定の速度Kで前記複合磁気ヘッドに前記所定のトラックを斜めに横断させるとともに前記ライトヘッドにより前記所定のトラックにテストデータを書込み、
前記オントラックサーボ制御の状態で前記複合磁気ヘッドを前記所定のトラックに位置決めして前記リードヘッドにより前記所定のトラックから前記テストデータを読出し、
前記リードヘッドの読出信号に基づいて前記リードヘッドのトラック走査時間に対する読出電圧についての読出特性のプロファイルを得て、
前記リードヘッドの前記テストデータ走査時間に対して前記所定の移動速度Kを掛けることにより前記書込感度幅を算出する複合磁気ヘッドの幅及び/又は読出幅の測定方法。
【請求項2】
前記複合磁気ヘッドによる前記所定のトラックの斜めの横断は、前記所定のトラックに前記オントラックサーボ制御の状態で前記複合磁気ヘッドを位置決めし、
その後、前記複合磁気ヘッドを前記所定のトラックの手前あるいは後ろに移動させ、
その後、前記複合磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の半径方向に前記所定の速度Kで前記手前から後ろあるいは後ろから手前に移動させることによる請求項1記載の複合磁気ヘッドの幅及び/又は読出幅の測定方法。
【請求項3】
前記書込感度幅は、前記読出特性のプロファイルにおける読出レベルが50%のところの前記テストデータ走査時間に対して前記所定の移動速度Kを掛けることにより得る請求項1記載の複合磁気ヘッドの幅及び/又は読出幅の測定方法。
【請求項4】
さらに前記読出特性のプロファイルにおける両サイドの曲線から両サイドの近似直線をそれぞれに得て、これら両サイドの近似直線に基づいて前記読出特性のプロファイルから頭部中央部に平坦部を持つ読出特性近似のプロファイルを得て、
この読出特性近似のプロファイルからに基づいて前記読出感度幅を算出する請求項1記載の複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定方法。
【請求項5】
前記磁気記録媒体は、ディスクリートトラック方式のものであって、トラック幅が前記ライトヘッドの書込感度幅に等しいかこれより狭いものである請求項4記載の複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定方法。
【請求項6】
前記複合磁気ヘッドは、前記リードヘッドがMRヘッドであり、前記ライトヘッドが薄膜インダクティブヘッドであって、前記近似直線は、前記読出特性のプロファイルにおいて最大読出レベルに対して50%の読出レベルを含む前記両サイドの曲線部分に対して接線の算出、直線近似あるいは最小二乗法による近似により算出される請求項5記載の複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定方法。
【請求項7】
前記近似直線は、前記最大読出レベルに対して読出レベルが20%から80%の範囲の前記両サイドの曲線部分に基づいて算出される請求項6記載の複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定方法。
【請求項8】
前記両サイドの近似直線が前記読出特性のプロファイルにおいて読出レベル0%のラインに交わるそれぞれの交点を点B1,点B2とし、読出レベル100%のラインにと交わるそれぞれの交点を点C1,点C2としたときに、点B1から点B2まであるいはその逆の前記複合磁気ヘッドの前記半径方向の移動距離をBとし、点C1から点C2まであるいはその逆の前記複合磁気ヘッドの前記半径方向の移動距離をCとしたときに、
前記MRヘッドの前記読出感度幅は、(B−C)/2により算出される請求項6記載の複合磁気ヘッドの書込幅及び/又は読出幅の測定方法。
【請求項9】
ライトヘッドとリードヘッドを有する複合磁気ヘッドの読出特性を得て前記ライトヘッドの書込感度幅あるいは前記リードヘッドの読出感度幅とを測定する複合磁気ヘッドの幅及び/又は読出幅の測定方法において、
ディスクリートトラック方式、ビットパターンド方式あるいはその他の凹凸パターンの記録層を有する回転する磁気記録媒体の所定のトラックからサーボ情報を読出してオントラックさせるオントラックサーボ制御の状態で前記複合磁気ヘッドを前記所定のトラックに位置決めして前記複合磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の半径方向に所定の速度Kで前記複合磁気ヘッドに前記所定のトラックから隣接するトラックを斜めに横断させるとともに前記ライトヘッドにより前記隣接するトラックに前記テストデータを書込み、
前記オントラックサーボ制御の状態で前記複合磁気ヘッドを前記隣接するトラックに位置決めして前記リードヘッドにより前記隣接するトラックから前記テストデータを読出し、
前記リードヘッドの読出信号に基づいて前記リードヘッドのトラック走査時間に対する読出電圧についての読出特性のプロファイルを得て、
前記リードヘッドの前記テストデータ走査時間に対して前記所定の移動速度Kを掛けることにより前記テストデータに対する前記複合磁気ヘッドの半径方向の相対的な移動距離を得て前記書込感度幅を算出する複合磁気ヘッドの幅及び/又は読出幅の測定方法。
【請求項10】
前記複合磁気ヘッドによる前記隣接するトラックの斜めの横断は、前記磁気記録媒体の1回転で前記所定のトラックから前記隣接するトラックを越える距離分、半径方向に前記複合磁気ヘッドを移動させることによる請求項9記載の複合磁気ヘッドの幅及び/又は読出幅の測定方法。
【請求項11】
前記書込感度幅は、前記読出特性のプロファイルにおける読出レベルが50%のところの前記テストデータ走査時間に対して前記所定の移動速度Kを掛けることにより得る請求項10記載の複合磁気ヘッドの幅及び/又は読出幅の測定方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項記載の複合磁気ヘッドの幅及び/又は読出幅の測定方法を用いる複合磁気ヘッドの書込/読出幅測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−277336(P2009−277336A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56304(P2009−56304)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】