説明

複帯材層を使用して特にプリント回路用の金属層をもつプラスチック積層品を製造する方法

特にプリント回路を用途とする、積層体(11〜14)からなる積層品(10)であるプラスチック積層品の製造方法である。各積層品両面の金属層を、へび状に設けた2つの連続帯材(20、30)から形成する。各積層体(11〜14)を形成すると、金属層は各積層体の上下層になる。これら2つの帯材の端部を電流発生源(50)に接続することによって形成した電熱素子によって各積層体(11〜14)を吸熱加熱する。

【発明の詳細な説明】
複帯材層を使用して特にプリント回路用の金属層を もつプラスチック積層品を製造する方法 本発明は金属層を使用したプラスチック積層品の製造方法に関する。
プラスチック積層品は、一般的には、紙、織物、ファイバーグラス等のある種の基体に複数層のプラスチック材料をプレス成形などして製造されている。
プラスチック材料としては、フェノール、メラミン、エポキシ、ポリエステル、シリコン、フルオリドなどが使用できる。
プリント回路を製造する場合、通常は銅からなる金属層をプレス成形時に基体の片側か両側に接合する。
複数の積層体からなる積層品を形成する。各積層体はプラスチック材料を含浸した多数のシートと、積層体外側にそれぞれ設けた銅層とからなる。各積層体間にステンレススチールなどの金属シートを設けた状態で、積層品を熱及び圧力を同時に作用させるマルチプレート式プレスする。
冷却段を含む熱サイクルが終了するごとに、各積層体が密接したコンパクトで一体化した積層品が得られる。このような製法に適したプレスは構造が複雑で、生産量が低い。理由はいくつかあり、第1は複数のプレートを使用していることであり、第2はよく制御された精密な工程で同時に熱及び圧力を作用させる必要があることであり、第3は積層品中の各積層体全体に均一に熱を伝熱により作用させる必要があることである。また、これら積層体のうちで、加熱プレートに接触するのは上下の積層体だけである。
プレス構造が複雑だけでなく、多数の加熱プレートが存在しているため、積層体のプレスへの脱着操作が遅くなる。また、償却コストに問題があるため、運転コストに問題が出てくる。
特に、熱が内部の積層体に届くまでにある程度の距離が必要なため、積層体からなる積層品への加熱プレートからの熱量の伝達が大きく阻害される。このため、装置コスト及び運転コストの両者が高くなり、材料の浪費が生じ、加工時間が長くなるなどの理由により、製品価格が高くなる。
本発明は上記問題を解決すると同時に、以下に述べるような作用効果を実現するものである。
本発明の目的は、それぞれがプレプレグなどからなる絶縁性の高いプレート(以下、プレプレグと呼ぶ)と、このプレプレグの両側に設けた特に銅からなる金属層とで構成した積層体からなる積層品を形成することによって特にプリント回路用のプラスチック積層品を製造する方法を提供することにある。
ステンレススチールなどからなるシート(以下、単にシートと呼ぶ)を積層体間に設ける。
このようにした得た積層品をプレスに装着して、熱及び圧力を同時に作用させて、積層品を完成する。
本発明の場合には、2つの層を2つの連続帯材から構成する。第1帯材の第1部分は、第1積層体の第1面に設ける。
第2帯材の場合には、その第1部分を第1積層体のプレプレグの第2面に設け、第2部分については、シートを設け、180°の曲げを形成した衡 該シートの第2面に設ける。
第1帯材の第2部分については、第1部分に続く第2積層体のプレプレグの第2面に設け、そして第3部分については、第2シートを設け、180°の曲がりを形成した後、該シートの第2面に設ける。
第2帯材の第3部分については、180°の曲がりを形成した後、第3積層体のプレプレグの第2面に設ける。このような加工を積層品全体を通じて行い、帯材間に電気絶縁層を形成保持する。これれら2つの帯材の最初の端部と最後の端部は適当な電流発生源に接続する。
このように、十分な圧力を積層品に加え、電流発生源の回路を閉じると、それぞれ積層体の両面に整合する2つの帯材の各部分が電熱素子として作用し、各層を密接させ、プラスチック積層品が得られる。高い電気絶縁性を与える層をシート・連続帯材間に設ける。帯材は好ましくは銅から構成する。
一つの好ましい実施例では、積層品の同じ側に2つの帯材の端部が現れるようにして、電流発生源への接続を容易にする。
これら2つの帯材の場合、180°の曲がりが積層品の片側及び反対側に交互に現れるようにするのが有利である。一つの実施例では、上下を支持・案内ピンで接合したプレートをもつダイに装着する。
加工に必要な圧力は上記ダイを冷間プレスかオートクレーブに装着することによって得られる。
本発明は多数の長所をもつものである。プレスにより熱・圧力を同時に作用させる必要がないため、十分な圧力を発生できるならば、望む積層品の種類に応じて、簡単な各種容量のプレスを使用することができる。
加熱も各積層体個々の内部で生じ、しかもすべての積層体を短時間のうちに所定温度に加熱できる。熱量は少量でも多量でもよい。積層品内部まで加熱するにはかなりの部分を加熱する必要がある従来プレスに比較した場合、加熱速度をはるかに速くすることができる。
従来の積層品端部のプレートを加熱する方式と本発明による吸熱加熱方式を組みあわせて使用すると、加熱時間がかなり短くなるので、生産性が高くなる。加工工程も短時間ですむだけでなく、簡単になるため、廃棄物がすくなくなり、しかもコストも低くなる。
本発明の特徴及び目的は、添付図面について説明する以下の実施例から明らかになるはずである。
図1は、冷間プレスに装着した状態にある、銅からなる帯材をへび状に設けて形成した金属層をもつ積層体からなる積層品を示す図である。
プレス100のプレート101及び102との間に設けた積層品10は、積層体11〜14からなり、各積層体はエポキシ樹脂含浸ファイバーグラス層15で構成する。
電気絶縁層を介在させたスチールシート40〜44を積層体間に設ける。下部プレート102に設けたシート40はその上に絶縁材料層18をもち、この上に第1銅帯材20の第1部分21を設ける。そして、この上に、プレプレグ層15を設け、さらに、第2銅帯材30の第1部分31及び電気絶縁材料層18を設ける。このようにして、第1積層体11を形成する。
次に、シート41と絶縁層18を設ける。第2帯材に鋭い180°の曲がり22を付けた後、該層上に帯材の部分33を設ける。次に、プレプレグ15の第2層15を設け、この上に、180°の曲がりを付けた後、第1帯材20の第2部分23を設けて、第2積層体12を形成する。絶縁層18の後に、ステンレススチールの第3シート42を設け、さらに別な絶縁層18を設ける。
帯材20にさらに180°の曲がり24を付け、その第3部分をシート42に設ける。
第2の180°の曲がり34を付けた後、プレプレグ層15の第3層上に第2帯材30を設けて、積層体13を形成する。
最後に、第1帯材20の端部26を積層体から出すとともに、第2帯材30の端部36を出す。
積層体形成を開始すると、帯材が接合部分19、29及びリード線51に接続する。
それぞれ接合部分19、29、27及び37によって、そしてリード線51及び52によって電流発生源50に接続する。
プレス100を始動すると、同時に電気回路を閉じると、帯材20及び30が加熱素子として作用し、矢印で示すように、熱が積層体11〜14に達する。
次に、吸熱加熱を伴うプレス成形が生じる。

【特許請求の範囲】
1.それぞれがプレプレグ(15)などからなる絶縁性の高いプレート(以下、プレプレグと呼ぶ)と、このプレプレグの両側に設けた特に銅からなる金属層(20〜25)とで構成した積層体からなる積層品を形成することによって特にプリント回路用のプラスチック積層品を製造するさいに、ステンレススチールなどからなるシート(40〜44)(以下、単にシートと呼ぶ)を積層体間に設け、得られた積層品をプレスに装着して、熱及び圧力を同時に作用させて、プラスチック積層品を製造する方法において、 2つの金属層を2つの連続帯材(20、30)から構成し、第1帯材(20)
の第1部分(21)を第1積層体(11)のプレプレグ(15)の第1面に設け、第2帯材(30)の第1部分((31)を第1積層体(11)のプレプレグ(15)の第2面に設け、第2部分(33)を、シート(41)を形成し、180°の曲がりを形成した後、該シート(41)の第2面に設け、第1帯材(20)
の第2部分(23)を、第2積層体(12)のプレプレグ(15)の第2面に設け、第3部分(25)を、第2シート(42)を設け、180°の曲がりを形成した後、該シート(42)の第2面に設け、第2帯材(30)の第3部分(35)を、180°の曲がりを形成した後、第3積層体(13)のプレプレグ(15)の第2面に設け、このような加工を積層体(11〜14)からなる積層品(10)
全体を通じて行い、帯材(20、30)間に電気絶縁層を形成保持し、2つの帯材(20、30)の最初の端部と最後の端部は適当な電流発生源(50)に接続して、十分な圧力を積層体(11〜14)からなる積層品(10)に加え、電流発生源(50)の電気回路を閉じると、それぞれ積層体(11〜14)の両面に整合する2つの帯材(20、30)の各部分が電熱素子として作用し、各層(15、20、30)を密接させ、プラスチック積層品を得ることを特徴とするプラスチック積層品の製造方法。
2.電気絶縁性の高い層(18)をシート(40〜44)と連続帯材(10、30)との間に設けることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製造方法。
3.帯材(20、30)が銅からなることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製造方法。
4.帯材(20、30)の両端が積層品(10)の同じ側に現れるようにして、電流発生源(50)への接続を容易にしたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製造方法5.2つの帯材(20、30)に積層体(11〜14)からなる積層品(10)
の片側及び反対側に交互に現れるように形成したことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製造方法。
6.該積層品(10)を冷間プレス(100)内に装着することによって積層体(1〜14)からなる積層品(10)に加える圧力を決定することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製造方法。
7.該積層品(10)をオートクレーブ内に装着することによって積層体(1〜14)からなる積層品(10)に加える圧力を決定することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製造方法。
8.積層体からなる各積層品(10)を支持・案内ピンによって接合した上下プレートをもつダイ内に装着し、加工に必要な圧力を該ダイを冷間プレス内に装着することによって決定することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製造方皮9.積層体からなる各積層品(10)を支持・案内ピンによって接合した上下プレートをもつダイ内に装着し、加工に必要な圧力を該ダイをオートクレーブ内に装着することによって決定することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表平8−506289
【公表日】平成8年(1996)7月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−517856
【出願日】平成5年(1993)3月31日
【国際出願番号】PCT/IT93/00030
【国際公開番号】WO94/17976
【国際公開日】平成6年(1994)8月18日
【出願人】
【氏名又は名称】チェダル エッセ.エレ.エレ.