説明

複数の光学要素のための枢動担持装置を有する顕微鏡

【課題】
担持装置に配された光学要素を簡単かつ確実に交換することができる顕微鏡の提供。
【解決手段】
交換可能な複数の光学要素のための担持装置が可逆的に挿入可能に配設された顕微鏡において、前記担持装置は、枢軸の周りで枢動的に挿脱可能に構成された枢動トレイ装置(10)として構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能な複数の光学要素のための担持装置が可逆的に挿入可能に配設された顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
特殊な顕微鏡検査方法のために、交換可能な複数の光学要素が固定されるとともに、可逆的に挿入可能(挿脱可能)であることを意図して構成された特殊な担持装置を顕微鏡に設けるのが通常である。このため、専門的能力を有する顕微鏡の使用者であれば、顕微鏡をその特別な使用目的に適合させることができる。そのため、例えば、蛍光顕微鏡には、1又は複数のキューブ状蛍光装置(Fluoreszenzwuerfel)が配されるとともに、キャリッジ(Schlitten)により取り出し可能な担持装置が設けられるのが通常である。また、この担持装置は、付加的に、顕微鏡光路ないしその光軸に対し摺動可能又は回動可能に配設されることもよくある。このため、その都度行われる実際の使用目的に対し適切なキューブ状蛍光装置の選択及びその顕微鏡光路への挿入が可能となる。
【特許文献1】DE 203 13 678 U1
【特許文献2】DE 44 04 286 C2
【特許文献3】DE 36 10 692 C2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特殊な使用目的ないし検査の準備のために、この担持装置を顕微鏡から取り出し、他のキューブ状蛍光装置を装填することも当業者には良く知られている。
【0004】
この場合、この取り出し可能な担持装置の原理は、例えばカラーフィルタ、ホフマン(Hoffmann)・モジュレータ等のモジュレータ、摺動可能な鏡胴レンズ等の他の種類の光学要素に対しても適用することができる。交換可能な複数の光学要素のための取り出し可能なそのような担持装置を有する顕微鏡の場合、引出トレイの案内形態に対し特別な要求がある。通常は、例えば精密な鳩尾形案内手段が使用される。しかしながら、引出トレイのスライド挿入の際に不適正な傾き(誤傾動)が生じる危険があるので、実際上、困難が生じる。その場合、引出トレイは、顕微鏡から完全に取り出されると、光学要素を交換するために利用者によって作業テーブルに置かれる。その際、光学要素は、埃に塗れたり汚染ないし破損したり、或いは紛失したりすることさえある。引出トレイがモータ駆動により調整可能とされるべき場合は、更に、モータ及び力伝達系に関する構造上の問題も生じる。というのは、引出トレイは、顕微鏡から完全に取り出された後、再び正確に調整されて装填され、モータ及び伝達系と力結合(形状ないし面間の摩擦による結合)的態様で結合されなければならないからである。
【0005】
それゆえ、本発明の課題は、簡単かつ確実な光学要素の交換を可能とし同時に取り扱いが改善された、交換可能な複数の光学要素のための可逆的に(正確かつ確実に)挿入可能に(挿脱可能に)構成された担持装置を有する顕微鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一視点により、交換可能な複数の光学要素のための担持装置が可逆的に挿入可能に配設された顕微鏡が提供される。この顕微鏡において、前記担持装置は、枢軸の周りで枢動的に挿脱可能に構成された枢動トレイ装置(ないし旋回引出装置)として構成されることを特徴とする(形態1・基本構成)。
【発明の効果】
【0007】
本発明の独立請求項1により、上記課題に対応した効果が上述のとおり達成される。即ち、本発明の顕微鏡では、担持装置に配された光学要素を簡単かつ確実に交換することができ、当該担持装置の取り扱いも容易である。
更に、各従属請求項により、付加的な効果が後述のとおりそれぞれ達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、上記基本構成を形態1として示すがこれらは従属請求項の対象でもある。
(形態1) 上掲。
(形態2) 上記形態1の顕微鏡において、前記光学要素の交換時、常に、前記枢動トレイ装置と機械的に接触状態にあるよう構成されることが好ましい。
(形態3) 上記形態1又は2の顕微鏡において、前記枢動トレイ装置上に、前記複数の光学要素が配されるよう構成された、顕微鏡光路に対し横方向(ないし直交方向)に摺動可能なスライダ及び/又は前記複数の光学要素が配されるよう構成された回動ディスクが配されることが好ましい。
(形態4) 上記形態3の顕微鏡において、前記スライダの摺動によって及び/又は前記回動ディスクの回動によって、少なくとも1つの光学要素を顕微鏡光路に挿入可能にする挿入手段を有することが好ましい。
(形態5) 上記形態4の顕微鏡において、前記挿入手段は、少なくとも1つのモータを有することが好ましい。
(形態6) 上記形態3又は4の顕微鏡において、前記スライダ上における及び/又は前記回動ディスク上における及び/又は顕微鏡光路に対する、少なくとも1つの光学要素の実際の位置を検出する検出手段を有することが好ましい。
(形態7) 上記形態1又は3の顕微鏡において、前記複数の光学要素は、絞り、キューブ状蛍光装置、フィルタ、モジュレータ及び/又は顕微鏡光路の結像又は照明光学要素として構成されることが好ましい。
(形態8) 上記形態7の顕微鏡において、前記キューブ状蛍光装置は、励起フィルタ、ビームスプリッタ及び吸収フィルタを含むことが好ましい。
(形態9) 上記形態1の顕微鏡において、前記枢動トレイ装置は、枢動的に挿入された状態では、顕微鏡筐体表面と面一になる部分を有するよう構成されることが好ましい。
(形態10) 上記形態9の顕微鏡において、枢動的に挿入された状態で顕微鏡筐体表面と面一となる前記枢動トレイ装置の部分には、該枢動トレイ装置を直接引き出すための係合凹部(Griffmulde)及び/又は掴持凸部(Griff)が形成されることが好ましい。
(形態11) 上記形態1の顕微鏡において、顕微鏡自体及び/又は前記枢動トレイ装置に、該枢動トレイ装置を引き出すための作動手段が配されることが好ましい。
(形態12) 上記形態11の顕微鏡において、前記作動手段は、機械的な押しボタン又は電気的なキーとして構成されることが好ましい。
(形態13) 上記形態1の顕微鏡において、前記作動手段は、前記枢動トレイ装置の枢動的引き出しを引き起こす機械的又は電気的な補助装置を活性化するよう構成されることが好ましい。
(形態14) 上記形態1の顕微鏡において、前記補助装置は、予め付勢されたレバーであって、当該レバーの係止ボルトの係止作用が解除されたとき、前記枢動トレイ装置の対向受けが解放されるよう構成されたレバーとして構成されることが好ましい。
(形態15) 上記形態1の顕微鏡において、前記枢動トレイ装置に及び/又は前記枢軸に、該枢動トレイ装置を枢動的に排出する弾性(バネ)要素が配されることが好ましい。
(形態16) 上記形態14の顕微鏡において、前記枢動トレイ装置に及び/又は前記枢軸に、該枢動トレイ装置の前記対向受けの解放後に該枢動トレイ装置を枢動的に排出する弾性(バネ)要素が配されることが好ましい。
(形態17) 上記形態1の顕微鏡において、前記枢動トレイ装置に、該枢動トレイ装置の枢動的挿脱の際の枢動運動を緩和する緩衝要素が配されることが好ましい。
(形態18) 上記形態1の顕微鏡において、前記枢動トレイ装置に、顕微鏡光路の目的部分の観察を可能とする内部観察(窓)装置が配されることが好ましい。
(形態19) 上記形態18の顕微鏡において、前記内部観察(窓)装置は、顕微鏡光路の目的部分を可視化する散乱ディスクを含むことが好ましい。
【0009】
本発明の顕微鏡は、担持装置が、光学要素の交換ないし装着の際、常に、顕微鏡架台と結合した状態に維持され、かつその枢動的挿入がガイドされるため特別な挿入(装填)条件を顧慮する必要がないという点でとりわけ有利である。とりわけ蛍光装置へのアクセスが困難な倒立顕微鏡の場合、本発明の枢動トレイ装置は、蛍光ユニットの取り扱いに顕著な利点を提供する。フィルタ、モジュレータ、鏡胴レンズ及びその他の光学要素を担持するために枢動トレイ装置を使用する場合も、調整が常に保証された状態で簡単かつ確実な取り扱いの利点を享受することができる。
【0010】
枢動トレイ装置に複数の光学要素を配するために、枢動トレイ装置上には、複数の光学要素が配されるよう構成された(顕微鏡光路に対し)横方向(ないし直交方向)に摺動可能なスライダ又は前記複数の光学要素が配されるよう構成された回動ディスクが配される。スライダは、枢動トレイ装置に対し摺動可能なようにかつ当該スライダに固定ないし取り付けられた複数の光学要素のうちの1つが選択的に顕微鏡光路に配され得るように、(複数の)案内要素(Fuehrungselementen)とともに枢動トレイ装置(上)に配される。全く同様に、回動軸を有する回動ディスクは、その回転によって当該回動ディスクに配された複数の光学要素のうちの1つが選択的に顕微鏡光路に対し挿脱可能なように枢動トレイ装置に組み込まれる。スライダ又は回動ディスクは、何も備えられていない即ち光学要素が配されていない1つ又は複数又は全ての位置ないし部位(開口)を有することができる。この自由な開口は、同様に、その使用目的に応じて、目標を定めてないし選択的に顕微鏡光路に配し、当該部位において顕微鏡光路が光学要素を通過しないようにすることができる。
【0011】
顕微鏡には、選択された光学要素を顕微鏡光路に配することができるようにするためにスライダの摺動及び/又は回動ディスクの回動を引き起こすよう構成された手段を備えることができる。この手段は、(複数の)機械的構成要素ないし伝動要素、或いは少なくとも1つのモータを含むことができる。
【0012】
スライダ上及び/又は回動ディスク上における少なくとも1つの光学要素又は全ての光学要素の実際の位置ないし顕微鏡光路に対する少なくとも1つの又は全ての光学要素の(実際の)位置を求める検出手段を有すると更に好ましい。この(位置)情報は、表示装置を介して利用者に提示することができる。
【0013】
顕微鏡光路及び光学要素を塵及び散光(外光)から保護するために、枢動トレイ装置は、その外方を指向する部分が、当該枢動トレイ装置が(顕微鏡に)枢動的に挿入された状態で顕微鏡筐体の表面と面一になるよう(顕微鏡筐体との間に隙間が生じないよう)構成されると都合がよい。このようにして、枢動トレイ装置は、枢動的挿脱の際に、常にそれ自身のカバー(面一部材ないし密閉封止部材)を連行することとなる。
【0014】
枢動トレイ装置を開くために、顕微鏡筐体の表面と面一になる枢動トレイ装置のこの外側部分(ないしカバー)には、顕微鏡の利用者の操作により枢動トレイ装置を(顕微鏡から)枢動的に引き出すことを可能とする係合凹部(Griffmulde)又は掴持凸部(Griff)を形成することができる。尤も、枢動トレイ装置を開くために、作動手段(Betaetigungsmittel)を備えると有利であることが分かる。作動手段は、例えば、ボタンないしノブ(Knopf)又はレバー又は電気的キーとすることができる。更に、作動手段には、作動手段によって活性化されて枢動トレイ装置の枢動的引出しを引き起こす機械的又は電気的補助装置を配することもできる。補助装置は、例えば、枢動トレイ装置の係止を解除する弾性要素(バネ要素)によって予め付勢された機械要素又は電気的に制御可能な要素であり得る。
【0015】
更に有利な一実施形態では、枢動トレイ装置は、弾性要素による係止の解除後、能動的に(自動的に)枢動的に引き出される。光学要素及び光学要素が配される保持装置を保護するために、枢動トレイ装置は、枢動トレイ装置の枢動運動(の衝撃)を緩和する緩衝要素を備えることができる。このようにして、枢動トレイ装置の枢動的引出しの際に、その終端位置においてソフトな当接が引き起こされる。
【0016】
以下に、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例は発明の理解の容易化のためのものであり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において当業者により実施可能な付加・置換等の適用を排除することは意図していない。また、特許請求の範囲に付した図面参照符号も発明の理解の容易化のためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。これらの点に関しては、補正・訂正後においても同様である。
【実施例】
【0017】
図1は、顕微鏡筐体(脚部)(Stativ)2、光軸4を有する照明アーム3、及び顕微鏡筐体2の内部に延在する結像光路(不図示)を含んで構成される顕微鏡1を示す。結像光路の要素として、光軸4に配される顕微鏡対物レンズ(不図示)を有する対物レンズターレット5、及び接眼レンズ7を有する鏡筒6が記載されている。顕微鏡ステージ8は、被検対象の載置に使用される。高さ調整及び従って被検対象に対する対物レンズのピント合せは、Z方向駆動つまみ9によって行われる。
【0018】
対物レンズターレット5の下方には、枢動トレイ装置10として構成された光学要素(複数)の担持装置が配される。図1には、この枢動トレイ装置10が顕微鏡筐体2に完全に枢動的に挿入されている様子が示されている。枢動トレイ装置10の外側の部分(外部を指向する部分)は、(この完全に挿入された状態で、)粉塵や外光(散光:Streulicht)が内部に侵入することがないように、顕微鏡筐体の表面と(隙間なく)面一となるよう構成される。押しボタン11は、枢動トレイ装置10を開くための作動手段として使用される。このため、例えば係合凹部(Griffmulde)として構成される手動操作式の係合手段(Eingriff)を設ける必要がなくなるので、枢動トレイ装置10の外側表面(外部を指向する面ないし部分)の面一性をとりわけ良好にすることができる。そして、枢動トレイ装置10は、押しボタン11を押圧した後自動的に枢動的に開くことができる。
【0019】
顕微鏡の利用者のための付加的な補助手段として、顕微鏡光路に旋回的に配された光学要素が適正な位置に存するか否かを検査することを可能とする内部観察(窓)装置12が設けられる。このため、例えば、内部観察(窓)装置12は、その中央部に、顕微鏡光路の目的部分を可視化する散乱ディスクを含むことができる。
【0020】
図2は、図1について既に説明した各要素を有する顕微鏡1を示す。尤も、図2では、枢動トレイ装置10が枢軸の周りで横方向に枢動されてその一部が(顕微鏡筐体から)枢動的に引き出されている様子が示されている。枢動トレイ装置10の上面には、複数のキューブ状蛍光装置14を担持する回動ディスク13が配されている。詳細については、以下に図3及び図4を用いて詳しく説明する。
【0021】
図3は、Z方向駆動つまみ9の上方における顕微鏡筐体2の横断面図である。この図から、枢動トレイ装置10と枢動トレイ装置10に配された複数の光学要素を明確に見出すことができる。枢動トレイ装置10上には、複数のキューブ状蛍光装置14が配された回動ディスク13が取り付けられている。回動ディスク13は、顕微鏡光路において選択された1つのキューブ状蛍光装置14を光軸4に対して位置調整し中心を合せることができるように回動軸15の周りで回動可能に構成されている。枢動トレイ装置10を開くために、顕微鏡筐体2には押しボタン11が配されている。そのため、枢動トレイ装置10は、それ自体が利用者によって(手動で)操作されるのではなく、顕微鏡筐体2に配された押しボタン11が押圧される。そして、押しボタン11は、予め付勢されたレバー16を作動し、該レバー16の係止ボルト17は、枢動トレイ装置10の対向受け18を解放する。その結果、枢動トレイ装置10は、(その一部が)顕微鏡筐体2から枢動的に引き出される。
【0022】
図4は、図3と同じ部分の断面図であるが、枢動トレイ装置10(の一部)が顕微鏡筐体2から枢動的に引き出されている様子を示す。図3のものと同じ構成要素には同じ図面参照符号が付されている。枢動トレイ装置10がその枢動的引出運動の際に終端位置において衝撃が生じないようにするために、従って場合によっては光学要素又は当該光学要素が配される保持装置(回動ディスク等)に損傷が生じないようにするために、図示の有利な一実施例の場合では、枢動的引出運動が緩和される。このため、枢動トレイ装置10が枢動的な引出しが完了した状態におけるその終端位置に至るまで緩和された運動状態で枢動的引出運動ができるように、枢動トレイ装置に対して係合・作用するよう構成された回動緩和(緩衝)要素19が設けられる。枢動トレイ装置10の自動的な枢動的引出運動のためのエネルギは、枢動トレイ装置10の枢軸21を取り囲むように配される予め付勢されたゼンマイバネ(弾性要素)(Spiralflachfeder)20から得られる。枢動トレイ装置10の突起23は、バネ末端係合部22の連行係合要素(Mitnehmer)として作動する。
【0023】
(目的の)キューブ状蛍光装置14に対する適切なアクセスを可能にするために、図示の有利な一実施例では、枢動トレイ装置10が通常の枢動角だけ枢動された終端位置にある状態で、回動ディスク13はキューブ状蛍光装置受容装置24と共に更に少々回動できるように構成される。更に、キューブ状蛍光装置受容装置24には、結合されるべきキューブ状蛍光装置14の各々に対応してフライス盤等による切削等によってノッチ25が形成され、顕微鏡筐体2には個々のノッチ25に嵌り込むことができるように構成された係止突起26が固定的に組み込まれる。そして、交換されるべきキューブ状蛍光装置14に対応するノッチ25に係止突起26が嵌り込むまで、キューブ状蛍光装置受容装置24の回動軸でもある回動ディスク13の回動軸15の周りでキューブ状蛍光装置受容装置24を回転することにより、回動ディスク13は回転されて予め規定された停止位置ないしストッパ(Anschlag)に到達する。この停止位置は、顕微鏡の利用者が交換されるべきキューブ状蛍光装置14に適切にアクセスできるような位置である。図4には、引出線によって符号14が付された交換されるべきキューブ状蛍光装置に対応する引出線によって符号25が付されたノッチに、引出線によって符号26が付された係止突起が嵌り込み、このため当該キューブ状蛍光装置14が(図2に示したような)利用者によるアクセスに適合された位置にもたらされている様子が示されている。キューブ状蛍光装置受容装置24へのキューブ状蛍光装置14の結合は、例えば、鳩尾式嵌合機構又は技術水準から既知のその他の係止機構によって実現することができる。
【0024】
図4に示したような枢動トレイ装置10ないし回動ディスク13の枢動的引出状態において、レバー16の係止ボルト17が枢動的引出位置対向受け27と係合することにより、枢動トレイ装置10の係止が新たに生成される。また、枢動トレイ装置10を閉じることによって、回動ディスク13は回転ないし旋回されて係止位置(回動ディスク13に配されている複数のキューブ状蛍光装置14等の光学要素の1つ(のとりわけ中心)が光軸4に配されるような回動ディスク13の位置:Rastposition)に再び戻る。これによって、ゼンマイバネ(弾性要素)20は再び付勢される。
【0025】
枢動トレイ装置10は、堅固な機械的係止装置28に至るまで枢動的に閉じられる。係止装置28に到達した後、レバー16の係止ボルト17は、再び、枢動トレイ装置10の対向受け18と係合し、枢動トレイ装置10はその位置で位置固定される。
【0026】
本発明の有利な一実施例では、枢動トレイ装置10は、枢動的に挿入された状態では、三点載置部に載置されるため、極めて安定的な載置と、当該載置によるキューブ状蛍光装置ないしフィルタブロック(Filterbloecke)14の適正な位置再現性即ちフィルタブロック14の光軸4に対する光学的位置調整が保証される。更に、複数のキューブ状蛍光装置14が配された回動ディスク13がモータ的に駆動されると有利であることが判明している。このため、回動ディスク13の駆動は、この実施例では顕微鏡筐体2に固定的に取り付けられた駆動ピニオンを備えたモータ29によって行われる。また、エネルギの供給機構は複雑にはなるが、モータ29を枢動トレイ装置自体に配することも可能である。
【0027】
キューブ状蛍光装置14の実際の位置の検出は、同様に顕微鏡筐体2に固定的に取り付けられ、回動ディスク13に結合されたエンコーダディスク31を読み取るセンサボード(Sensor-Platine)30によって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】複数の光学要素のための枢動トレイ装置が枢動的に挿入されている様子を示した本発明の顕微鏡の一例。
【図2】複数の光学要素のための枢動トレイ装置が枢動的に引き出されている様子を示した本発明の顕微鏡の一例。
【図3】枢動トレイ装置が枢動的に挿入されている顕微鏡の一例の中央部分の一断面。
【図4】枢動トレイ装置が枢動的に引き出されている顕微鏡の一例の中央部分の一断面。
【符号の説明】
【0029】
1 顕微鏡
2 顕微鏡筐体(脚部)
3 照明アーム
4 光軸
5 対物レンズターレット
6 鏡筒
7 接眼レンズ
8 顕微鏡ステージ
9 Z方向駆動つまみ
10 枢動トレイ装置
11 押しボタン
12 内部観察(窓)装置
13 回動ディスク
14 キューブ状蛍光装置
15 回動ディスク13の回動軸
16 レバー
17 係止ボルト
18 対向受け
19 回動緩和要素
20 ゼンマイバネ(弾性要素)
21 枢動トレイ装置10の枢軸
22 バネ末端係合部
23 突起
24 キューブ状蛍光装置受容装置
25 ノッチ
26 係止突起
27 枢動的引出位置対向受け
28 枢動トレイ装置10のための係止装置
29 モータ
30 センサボード
31 エンコーダディスク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能な複数の光学要素のための担持装置が可逆的に挿入可能に配設された顕微鏡において、
前記担持装置は、枢軸の周りで枢動的に挿脱可能に構成された枢動トレイ装置(10)として構成されること
を特徴とする顕微鏡。
【請求項2】
前記光学要素の交換時、常に、前記枢動トレイ装置(10)と機械的に接触状態にあるよう構成されること
を特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記枢動トレイ装置(10)上に、前記複数の光学要素が配されるよう構成された、顕微鏡光路に対し横方向に摺動可能なスライダ及び/又は回動ディスク(13)が配されること
を特徴とする請求項1又は2に記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記スライダの摺動によって及び/又は前記回動ディスク(13)の回動によって、少なくとも1つの光学要素を顕微鏡光路に挿入可能にする挿入手段を有すること
を特徴とする請求項3に記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記挿入手段は、少なくとも1つのモータを有すること
を特徴とする請求項4に記載の顕微鏡。
【請求項6】
前記スライダ上における及び/又は前記回動ディスク上における及び/又は顕微鏡光路に対する、少なくとも1つの光学要素の実際の位置を検出する検出手段を有すること
を特徴とする請求項3又は4に記載の顕微鏡。
【請求項7】
前記複数の光学要素は、絞り、キューブ状蛍光装置(14)、フィルタ、モジュレータ及び/又は顕微鏡光路の結像又は照明光学要素として構成されること
を特徴とする請求項1又は3に記載の顕微鏡。
【請求項8】
前記キューブ状蛍光装置(14)は、励起フィルタ、ビームスプリッタ及び吸収フィルタを含むこと
を特徴とする請求項7に記載の顕微鏡。
【請求項9】
前記枢動トレイ装置(10)は、枢動的に挿入された状態では、顕微鏡筐体表面と面一になる部分を有するよう構成されること
を特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項10】
枢動的に挿入された状態で顕微鏡筐体表面と面一となる前記枢動トレイ装置(10)の部分には、該枢動トレイ装置(10)を直接引き出すための係合凹部及び/又は掴持凸部が形成されること
を特徴とする請求項9に記載の顕微鏡。
【請求項11】
顕微鏡自体及び/又は前記枢動トレイ装置(10)に、該枢動トレイ装置(10)を引き出すための作動手段が配されること
を特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項12】
前記作動手段は、機械的な押しボタン(11)又は電気的なキーとして構成されること
を特徴とする請求項11に記載の顕微鏡。
【請求項13】
前記作動手段は、前記枢動トレイ装置(10)の枢動的引き出しを引き起こす機械的又は電気的な補助装置を活性化するよう構成されること
を特徴とする請求項11又は12に記載の顕微鏡。
【請求項14】
前記補助装置は、予め付勢されたレバー(16)であって、当該レバー(16)の係止ボルト(17)の係止作用が解除されたとき、前記枢動トレイ装置(10)の対向受け(18)が解放されるよう構成されたレバー(16)として構成されること
を特徴とする請求項13に記載の顕微鏡。
【請求項15】
前記枢動トレイ装置(10)に及び/又は前記枢軸に、該枢動トレイ装置(10)を枢動的に排出する弾性要素(20)が配されること
を特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項16】
前記枢動トレイ装置(10)に及び/又は前記枢軸に、該枢動トレイ装置(10)の前記対向受け(18)の解放後に該枢動トレイ装置(10)を枢動的に排出する弾性要素(20)が配されること
を特徴とする請求項14に記載の顕微鏡。
【請求項17】
前記枢動トレイ装置(10)に、該枢動トレイ装置(10)の枢動的挿脱の際の枢動運動を緩和する緩衝要素(19)が配されること
を特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項18】
前記枢動トレイ装置(10)に、顕微鏡光路の目的部分の観察を可能とする内部観察装置(12)が配されること
を特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項19】
前記内部観察装置(12)は、顕微鏡光路の目的部分を可視化する散乱ディスクを含むこと
を特徴とする請求項18に記載の顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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