説明

複数の揮発性物質を散布するための散布装置

揮発性物質を散布するための散布装置は、ハウジングと、中に揮発性物質を含む複数の容器を含む。この装置は、ハウジングから出る2つまたはそれより多くの空気流を生成または許容する手段と、空気流の速度または通路を調節するスイッチも含む。複数の容器は、揮発性物質の一部を1つまたは複数の空気流に乗せられるように、ハウジングに接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に揮発性物質散布装置に関し、より具体的には複数の揮発性物質を選択的に散布する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香剤、臭気除去化合物、殺虫剤などの揮発性物質の散布装置は、散布のためにエアロゾル型または噴霧器型の装置を利用してきた。他のこのような装置は、揮発性物質の散布を助けるために1台もしくはそれより多くの加熱器および/または空気流を生成するファンを、代替的にあるいは追加的に使用してきた。
【0003】
一例では、拡散装置は芳香剤を散布するために2台の加熱器を含む。この装置は、ハウジングと、コンセントに差し込むためにハウジングから延出するプラグと、中に芳香剤を有する2つの容器と、容器から延出しそこから芳香剤を吸収する芯(wick)とを含む。加熱器はそれぞれ1本の芯に隣接するように配置され、各芯を加熱して芳香剤を蒸発させる。任意で、内部ソフトウェアによって制御されるCPUが初めに2台の加熱器のうちの第1番目を所定の時間だけ作動させることもできる。その時間が終了すると、CPUは第1の加熱器の作動を止めて第2の加熱器を作動させる。
【0004】
他の拡散装置は、カートリッジを受け取るためのキャビティを有するハウジングを含む。このカートリッジは一般に、回転可能なディスクに配置された複数の香り要素(scent element)を有する。ハウジングには送風機が取り付けられており、香り要素を通りハウジングの開口から外へと流れる空気流を生成する。ハウジングはさらに、回転可能なディスクを回転させることでそこに配置された種々の香り要素を空気流にさらす回転手段を含む。この装置は第1の香りを所定の時間だけ拡散し、その後ディスクを第2の香りまで回転させてこの第2の香りを所定の時間だけ拡散する。最後の香り要素を拡散しディスクをホーム位置へと回転させるまでこのプロセスを繰り返す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態によると、揮発性物質を散布する散布装置は、ハウジングと、中に揮発性物質を含む複数の容器を含む。この装置は、ハウジングから出る2つまたはそれより多くの空気流を生成する手段と、空気流の速度または通路を調節するスイッチも含む。複数の容器は、揮発性物質の一部を1つまたは複数の空気流に乗せられるように、ハウジングに接続される。
【0006】
別の実施形態によると、複数の揮発性物質を散布する散布装置は、ハウジングと、揮発性物質を含む、ハウジングに装着された複数の容器とを含み、容器はそこから延出する芯を有する。この装置は、ハウジングから出る複数の空気流を生成すべくハウジングに配置された複数のファンを含み、芯は複数の空気流へと延出する。複数のファンそれぞれに関連付けられたスイッチが、ファンの速度を制御するための、ファンに供給される電力のパラメータを制御する。
【0007】
さらに別の実施形態によると、2つまたはそれより多くの揮発性物質を散布する方法は、2つまたはそれより多くの空気流を生成するステップと、各空気流の速度または通路を選択的に制御するステップとを含む。この方法は、揮発性物質を空気流に乗せるステップをさらに含む。
【0008】
本発明の他の態様や利点は、以下の詳細な説明を検討することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1つの実施形態に係るハウジング内に配置された容器を有する拡散装置を示す斜視図である。
【図2】図1の実施形態の拡散装置の正面図である。
【図3】図2の線3−3にほぼ沿って切り取った断面図であり、断面の背後にある部分は明確にするために省略されている。
【図4】部分的に切り取られた装置のハウジングの上部分を示す、図1〜3の実施形態の正面図である。
【図5A】本発明の別の実施形態の等角図である。
【図5B】本発明のさらに別の実施形態の上面図である。
【図6A】本発明のさらなる実施形態の等角図である。
【図6B】調節可能なパネルを含む本発明の1つの実施形態の等角図である。
【図7A】加熱素子を含む本発明の1つの実施形態の等角図である。
【図7B】加熱素子を含む本発明の別の実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の散布装置は、ハウジングと、このハウジングの内部または容器の中身をハウジングから出る空気流に乗せられるならばハウジングの外部に配置される複数の容器を含むのが好ましい。適当な容器は、例えばグレード(GLADE)(登録商標)、プラグイン(PLUGINS)(登録商標)、オフ(OFF)(登録商標)、レイド(RAID)(登録商標)というブランド名で、ウィスコンシン州ラシーンにあるエス.シー.ジョンソンアンドサンインコーポレイテッドから種々の処方で市販されている。容器は、装置のキャビティに配置されるのが好ましい。本発明では、追加の容器が含まれるとより好ましい。追加の容器は、ハウジングの内側もしくは外側、または内側と外側の両方に装着されてもよいし、別個の容器もしくは容器のセットとしてハウジングから分離して設けられてもよい。別個の容器または容器のセットは、自立型のラックまたは箱などに梱包されているのが好ましい。自立型かもしくはハウジングに装着されるかまたはこれら両方が可能となるように、追加の容器を構成および/または梱包するとより一層好ましい。さらに、装置は取り外し可能に装着された複数のモジュールを含むことができ、各モジュールは、1つまたは複数の容器を含み容器の中身を散布する1つまたは複数の空気流を生成する手段を有する独立した散布装置である。
【0011】
さらに、ハウジングは、1つまたは複数の開口を画定する、外側へと延出する部材または構造体の形態の装着部材を含むことができ、所与の容器がこの部材に対して相補的な構造であることによって、容器をハウジングに装着できる。ハウジングの装着部材は、ハウジングの内側にあっても外側にあってもよい。
【0012】
容器は、ハウジングから簡単に取り外せるのが好ましい。装着部材は、相補的な嵌め合い、または例えばクランプ、スナップ、締まりばめを画定する構造、ねじ切りされたねじによる装着、適当な接着剤などの他の固定手段のいずれかを形成するあらゆる適当な形態をとることができる。さらに別の実施形態では、容器は取り外しできないようにしっかりとハウジングに固定される。このような実施形態では容器を詰め替えられることが好ましく、その場合詰め替え材料は各容器の元々の中身と同じでも違ってもよい。或いは、本発明は固定された容器と取り外し可能な容器の両方を含む。
【0013】
容器は、その全てまたは一部が揮発性物質を含むのが好ましい。さらに、ここに説明するような適当な揮発性特徴を有する他に、好ましい物質は、臭気、気分(mood)、薬剤運搬、殺虫特徴、虫よけなどに関する、ユーザにインパクトを与える特徴も有する。臭気に関しては、揮発性物質は(a)芳香剤をある領域に誘導できてもよいし、(b)ある領域に存在する臭気を減少または排除できてもよい。好ましい揮発性物質は、香水、香油、香りのする液体、香りのするゲル、アロマテラピー物質、芳香剤、殺虫剤を制限なく含む。特定の揮発性物質は、以下の化学物質、すなわちエステル類、アルデヒド類、アルコール類、芳香族有機化合物、酸素または酵素ベースの脱臭剤、トランスフルトリン(transfluthrin)、テフルトリン(tefluthrin)、バポスリン(vaporthrin)を含む害虫防除組成物の任意の1つまたは複数のを制限なく含むことができる。最も一般的な芳香物質は、揮発性の精油である。この芳香物質は、合成的に作られた物質でもよいし、ベルガモット(Bergamot)、ビターオレンジ(Nitter Orange)、レモン、マンダリン(Mandarin)、キャラウェイ(Caraway)、シダーリーフ(Cedar Leaf)、オレンジ、オレガノ(Oreganum)、プチグレン(Petitgrain)、ホワイトシダー(White Cedar)、パチョリ(Patchouli)、ラバンジン(Lavandin)、ネロリ(Neroli)、純バラの油などの天然由来の油でもよい。
【0014】
容器内の物質は完全に揮発性でなくてもよく、材料のうち幾つかは不揮発性でもよいが、ここで使用する「揮発性物質」という用語は、本発明の文脈で使用されている容器に含まれる物質のことをいう。ある容器内の物質は、1つの実施形態では、揮発性物質を安定させるために実質的に不揮発性の物質を含んでもよい。安定化物質の例としては、不活性マトリックスまたはゲルが制限なく含まれる。
【0015】
本発明の文脈で使用される「実質的に揮発性」という用語によって、目的に応じた健康な嗅神経細胞または他の感覚神経系の機能を有する人間が、容器に含まれる物質が好ましくは周囲室温と周囲圧力で空気流に乗っているときに、少なくとも容器に含まれる揮発性物質の効果を知覚または経験することが意図される。周囲室温と周囲圧力は約22℃〜28℃で海抜ゼロの気圧であることが好ましく、一般に温度または高度が高いと中に含まれる物質の揮発性は高くなり、温度または高度が低いと揮発性は低くなる。逆に、ここで使用される「実質的に不揮発性」という用語は、本発明の熱源を含む実施形態で加熱されたとしても周囲室温や周囲圧力では大気において簡単には検出されない物質のことをいう。
【0016】
本発明の文脈で使用される揮発性物質は、人間が居住しているかまたは家畜が飼育されているあらゆる高度において周囲室温で空気流にさらされたときに感じられることが好ましい。しかしながら、使用されている揮発性物質が海抜ゼロまたはその付近で最適に使用されるように意図された散布特徴を有するとより好ましい。別の実施形態では、利用される揮発性物質は潜水艇または航空機で最適に使用されるように意図された散布特徴を有する。さらに別の実施形態は、例えば高度約1000mよりも高いような高い高度で最適に使用されるように意図された散布特徴を有する揮発性物質を含む。このような物質は、海抜ゼロ以下で用いられる物質よりも揮発性が低いことが好ましい。したがってこのような種々の条件下でユーザが揮発性物質の散布をカスタマイズできる能力は、上述のように用いる物質を変えること、かつ/またはユーザが散布の強さを例えば制御可能なファンおよび/または加熱素子を用いて調節できることに一部依存する。
【0017】
揮発性物質を有効に散布するためには、これを空気流にさらす必要がある。表面積が増えるように物質を処理した後にさらすことが好ましい。例えば、よく知られている原理や噴霧器または圧電液体アトマイザーといった道具を使用して、物質をエアロゾル化または霧化する(すなわち、小さな粒子にする)ことができる。したがって1つの実施形態では、揮発性物質を小さな粒子にして空気流に乗せ、エアロゾルとして本発明のハウジングから出すことができる。別の実施形態では、液体またはエアロゾルいずれかの形態の揮発性物質を大気へと蒸発させる。さらに別の実施形態では、容器に含まれる物質の揮発度を上のような特徴に影響を与えることが知られている薬剤によって調節する。本発明によって有用に散布されるあらゆる所与の物質は、知られているかまたは知りうる程度の揮発性を有する。当該技術分野の当業者ならば、揮発度を使用して揮発性の低い物質のエアロゾル化を高めるように、またその逆の場合も行えるように、本発明を構成するであろう。すなわち、より高いレベルの揮発性を有する液状またはゲル状の物質からの蒸発を可能にする一方で、より低いレベルの揮発性を有する物質をエアロゾル化することでこの物質を蒸発させ易くする。さらに、揮発性物質を加熱してその揮発性を上のように高めるために加熱素子を使用することができる。このような検討は、揮発性の判定方法、物質の適切な効果のための濃度判定方法、上記の種々の方法の実施方法であるため、当該技術分野でよく理解されている。
【0018】
好ましくは流体管を使用し、流体管を使用せずに揮発性物質が容器から空気流へと直接流れる場合に比べて揮発性物質を空気流の通路に運搬する速度を上げる。流体管は、揮発性物質を容器から空気流に移す役目を果たす任意の構造体である。流体管の例としては、(a)チューブのような中空で路を構成した構造体、(b)互いに流体連通可能な一連の凹部または空洞からなる金属またはセラミック製の構造体のような区分された構造体、(c)吸収構造体、が制限なく含まれる。より具体的には、流体管は硬く、好ましくは柔軟性があり、より好ましくは吸収性のある物質からなる。
【0019】
好ましい流体管は、芯、すなわち繊維の束であるか、または緩くよられ、編まれ、織られた、天然繊維もしくは合成繊維からなるコード、テープ、管である。以下にさらに説明するように、流体連通可能な一連のコンパートメントまたは芯は、この構造体が毛管作用によって揮発性物質を移動させ易くできるならば、有機物質からなっても無機物質からなってもよい。
【0020】
利用の際、芯は容器内の揮発性物質に直接的または間接的に接触して配置される。間接接触は、以下にさらに説明するように、揮発性物質が容器から空気流に隣接する位置へと流れるための通路を提供する第2の流体管を使用することによって実行できる。いずれにせよ、芯は容器に対して近位の端で揮発性物質に接触するのが好ましい。芯の露出した遠位端は揮発性物質源から延出し、1つまたは複数の空気流に配置される。この構造によって、揮発性物質を容器から芯へ、そして芯からハウジング内の空気流へ運搬することができ、空気流はハウジングから周囲環境へと出る。
【0021】
芯が容器に間接的に接触する実施形態では、揮発性物質を容器から芯に運搬するために第2の流体管を使用する。例えば、揮発性物質を容器から芯に運搬するためにプラスチックチューブを使用することができ、その場合、容器はハウジングの内側に含まれても外側に含まれてもよい。或いは、チューブは揮発性物質を二次的な容器または保持タンクに運搬し、そして芯に運搬してもよい。そして揮発性物質は上述のように空気流に入ることができる。
【0022】
好ましい芯の材料には、合成繊維または天然繊維いずれかの繊維布、多孔質セラミックス、プラスチック、金属が制限なく含まれる。一般に、輸送や保管時に芯を保護し所望されるまで揮発性物質の蒸発または散布を防ぐために、容器と芯を配置したものと追加のキャップまたは他のカバーを組み合わせたものをユーザが入手可能とできる。
【0023】
1つの実施形態では、揮発性物質の蒸発と散布を助けるために、装置は芯の露出した末端部分を通過する空気流を形成するように位置する複数のファンまたはポンプを含むのが好ましい。ファンまたはポンプは、例えば軸方向プロペラ型ファン、遠心型のかご形送風機、ぜん動ポンプを含めた、空気流の生成に適したあらゆる種類のものでよい。装置は複数のファンを含むのが好ましい。一例として図3および4に示すファンは速度可変式の遠心ファンで、空気流の方向はファンブレードの軸に対して放射状の方向である。芯が複数のファンが生成する空気流にさらされるように容器をハウジングに配置するのが好ましく、その場合、空気流は芯を通って送られ、複数の容器に対して整列した複数の通気孔を通って装置から出る。所望すれば、通気孔は調節できるようにルーバー状に位置することができる。各ファンは、対応する1本の芯に主として向けられる空気流を形成するように配置されるのが好ましい。各ファンは、独立してオン・オフしたり調節できたりするように配線されるのが好ましい。ファンの速度を独立して制御できるとより好ましい。これにより、人が散布したい所望の揮発性物質と散布の強さまたは速度を選択することができる。電圧、電流などのファンに供給される電力のパラメータを調節する、すなわち速度を上げるべく供給されたパラメータを上げたり、速度を下げるかまたはファンをオフにすべくパラメータを下げたりすることによって、ファンを制御できる。ファンへの電力は連続的でも断続的でもよい。断続的な一例として、パルス幅モードの動作による稼動がある。各ファンの制御のためにこれに関連付けられたスイッチがあり、このスイッチは、複数のファンを制御する単一のスイッチまたは複数のファンを制御する複数のスイッチのいずれかを含む。
【0024】
別の実施形態では、通気孔からハウジングへと空気を吸い込み、そして芯の周りまたは付属の空気フィルターを通る逆の空気流を生成するように、1つまたは複数のファンを調節することができる。ファンはそれぞれ装置を出入りする空気流を生成するように調節可能であることが好ましく、その場合ハウジングは種々の容器やフィルターを装着するための適切な装着手段を有する。ハウジングは流入口および流出口を含むのがより好ましく、その場合ファンは、流入口を通ってハウジングに入り、そして1つまたは複数の空気フィルターを通る空気流を生成するように構成される。次いでろ過された空気は揮発性物質に浸された芯を通り、空気流は1つまたは複数の流出口を通ってハウジングから出る。流入口および流出口のサイズ、構成、数は、1つまたは複数の空気フィルターと芯を通る適当な空気流を提供するように調節することができる。この構成によって、ユーザは周囲環境において空気の循環とろ過の両方を実行することができ、また1台の多目的装置を使用して芳香剤などの揮発性物質を散布することができる。
【0025】
別の実施形態では、少なくとも1台のファン、1つまたは複数の空気路、1つまたは複数のバッフル(baffle)の組み合わせによって複数の空気流を生成する。このバッフルによって、ファンからの単一の空気流を複数の容器または芯のそれぞれに関連付けられる複数の空気流に分割することができる。この空気流は、ファンを回転させて空気流を異なる通路に向けることによって、またはファンを静止させたままで通気孔またはバッフルを開閉することで空気流を選択的に分割することによって、バッフルまたは空気路によって画定された異なる空気通路を流れるようにすることができる。したがって、ファンに供給される電力を直接制御するのではなく、通気孔またはバッフルの開閉などによって空気流の方向を間接的に制御するために、別個の制御手段を使用することができる。ファンに供給される電力と空気流の方向の両方を制御するために単一の制御手段を使用できると好ましい。
【0026】
さらに、ファンと、ここで明示的または暗示的に説明する電力を要するあらゆる他の構成要素の稼動のために装置に電力を供給するあらゆる適当な電源によって、装置に電力を与えることができる。例えば、バッテリー、太陽エネルギー、(装置のプラグを標準的な壁のコンセントに差し込むことによる)家庭用電流が必要な電源を提供することができる。バッテリーおよび/または装置のプラグを標準的な壁のコンセントに差し込むための電力入力部によって、装置に電力を与えるのが好ましい。装置が120Vまたは240Vで電力を受け取れるとより好ましい。
【0027】
装置は、ユーザが無線信号またはケーブル型接続によって複数の揮発性物質の散布を遠隔から選択的に制御できるようにした、スイッチ(または複数のスイッチ)と通信するための通信ポートを含むこともできる。通信ポートは無線信号を発現したりこれに応答したりするとより好ましく、その場合ユーザは無線インターネット、無線遠隔制御などによってコンピュータを介して装置を制御することができる。
【0028】
さらに、ハウジングは追加の詰め替え容器またはディスプレイ容器を保持するためのホルダーを含むのが好ましい。1つの実施形態では、ホルダーは適切に寸法を取った開口を有する装着式のプレートであり、容器はこれに着座する。ホルダーは、容器のキャップまたは容器の他の何らかの部分に係合するハウジング上の係合構造を含むのがより好ましい。より好ましいホルダーは、梱包やユーザの好みを考慮し、装置のサイズを最小にすべくハウジングとほぼ同一平面の構造である。他の種類のホルダーもハウジングに取り外し可能に装着可能であり、例えば消費者が利用可能な詰め替え容器のパッケージをクリップ、磁石、または他の適当な装着形態によってハウジングに取り外し可能に装着することができる。
【0029】
機械分野の当業者はここに説明する本発明の実施形態を難なく理解し、利用可能な技術やパーツを使用してこのような実施形態を作成できる。多数の実施形態についてのさらなる説明を提供するために、本明細書では一連の図面が以下の説明と共に提供されている。このような図面は、図面によって示される実施形態を例示することを目的としており、本発明の範囲を制限することは意図していない。
【0030】
図1〜4に示す本発明の実施形態をより具体的に参照すると、装置10はハウジング12と複数の容器14を含み、各容器は装着部材16を介してハウジングに配置されており、各容器は揮発性物質18と芯20を含む。各芯20の第1即ち近位の端22は容器14に含まれた揮発性物質18に接触し、第1即ち近位の端に対向する各芯の第2即ち遠位の端24は容器の上部分26を超えて延出する。ハウジングは、かご形ファン28のような複数のファンを含む。各容器14はファンに関連付けられ、各芯20は各ファンが生成する空気流の通路に配置され、空気流は1つまたは複数の通気孔30を通ってハウジング12から出る。さらに、ハウジング12は1つまたは複数の通気孔52を含むことができ、ファン28はこの通気孔から空気流をハウジングへと引き込み、付属の空気フィルター54を通す。ろ過された空気は芯20を通り、通気孔30からハウジング12の外へ出る。
【0031】
複数のスイッチ32がハウジング12に配置されており、オン・オフしたり、オンしているファンの速度および/または方向を調節したりすることによって、対応して位置するファン28制御する。複数のファン28を同時にオンしてもよいし、ユーザが単一の揮発性物質18または複数の揮発性物質を選択的に散布したり、また散布の強さも調節したりできるように、各ファンの速度をそれぞれ独立して調節してもよい。ホルダー34がプレート36または係合構造38の形態で含まれ、追加の容器または詰め替え容器を保持する。さらに、ハウジング12は標準的な壁のコンセントから電力を受け取るための電力入力部40を含む。ユーザが装置10を遠隔制御できるように、通信ポート42もハウジング12に配置されている。通信ポート42は、例えば無線インターネットを介して無線信号またはセルラー信号に応答することができてもよいし、コンピュータまたは他の遠隔装置へのケーブル接続を含んでもよい。
【0032】
図5Aおよび5Bは、本発明のさらなる実施形態をハウジング12と共に示しており、そこでは単一の空気流が中に揮発性物質を含む容器14から延出する複数の芯20を通過する。この空気流は、例えば軸方向プロペラファン、かご形送風機、ぜん動ポンプなどのあらゆる適切な装置によって生成することができる。図5Aでは、ハウジング12は単一の空気流を生成するために使用する軸方向プロペラファン42を含み、複数の容器14がハウジング12から出るときの空気流に直列に配置される。図5Bは別の実施形態を示し、そこでは単一のファン42が別個の空気路46を画定する複数のバッフル44を介してハウジング12から出るときに分割される空気流を生成する。1つの容器が各空気路に関連付けられるのが好ましいが、他の実施形態では、複数の容器および/または芯を各空気路に関連付けることもできる。
【0033】
図6A、6B、7A、7Bは、ユーザが複数の容器に含まれる揮発性物質の散布を選択的に制御できるようにした種々の実施形態を示す。図6Aおよび6Bは、空気流にさらされる芯の表面積を増やしたり減らしたりすることで散布を調節する実施形態を示す。図7Aおよび7Bは、1つまたは複数の加熱素子を使用して散布を調節する実施形態を示す。図6A〜7Bの実施形態はそれぞれ、単独でまたは図1〜5Bの実施形態もしくは揮発性物質を含む容器の中身を1つまたは複数の制御可能な空気流に乗せることができるようにしたあらゆる他の適当な構成と組み合わせて使用できるように構成することができる。
【0034】
図6Aに示す1つの実施形態では、ハウジング12は揮発性物質を含む容器14から延出する芯20の上を通過する空気流を生成するファン42を含む。芯20および/または容器14を空気流に対して移動させ、揮発性物質の散布を調節する。芯および/または容器は、例えばラチェットまたはギヤメカニズム(これらの詳細は本発明の完全な理解には必要ない)などのあらゆる適切な手段によって移動させることができる。散布の強さを強めるには、容器14と芯20を空気流のほうへと動かし(点線で示す)、より広い表面積の芯を空気流にさらす。或いは、容器14と芯20を空気流から外れるように動かしてより狭い表面積の芯を空気流にさらすことで、散布の強さを弱める。芯が空気流の直接の通路から完全に外れるように容器14と芯20を動かし、ユーザが揮発性物質の散布を再度所望するまで散布を実質的に知覚できない量まで減らして揮発性物質の無駄を最小限にすることができる。図6Aは、単一の容器と芯の空気流への移動、またこれから外れる移動を示しているが、例えば図1〜5Bに示すように複数の容器を使用するのが好ましく、その場合は各容器または芯の位置を1つまたは複数の空気流に対して調節する。
【0035】
図6Bは本発明の別の実施形態を示し、そこでハウジング12は、ファン42によって生成される空気流が芯20を通ってハウジングから出るときにこの空気流が通る空気通路のサイズを制御する調節可能なパネル48を含む。本実施形態は2枚のパネル48を利用し、このパネルは互いに近づくように移動して空気通路のサイズを小さくし、また互いから離れるように移動して空気通路のサイズを大きくする(点線で示す)ことができる。一般に、より狭い空気通路は、空気流の直接路にさらされる芯20の表面積を狭くすることによって、揮発性物質の散布を減らす。或いは、広い空気通路は、空気流にさらされる芯20の表面積を広くすることによって、揮発性物質の散布を増やす。調節可能なパネル48を、例えば図1〜4または図5Bの実施形態のように複数の空気流と複数の容器と共に使用するのが好ましい。さらに、調節可能なパネル48を図6Aの実施形態のように移動可能な芯20と共に使用し、揮発性物質の散布をさらに制御することもできる。
【0036】
さらなる実施形態では、散布装置は散布をカスタマイズできるように揮発性物質を加熱するための1つまたは複数の加熱素子を含む。図7Aおよび7Bでは、ファン42が生成する空気流が芯を通ってハウジング12から出るときに、加熱素子50が芯20に熱を加えて揮発性物質の散布を調節するように位置しているのが好ましい。この加熱素子50は電気抵抗特性を持つ環状の素子であることが好ましいが、加熱素子は、例えばプリントされた導電性インクまたは導電性ポリマーからなる、平らなプレートまたは細長い柱状の要素のような、熱生成に適したあらゆる形状と種類でよい。図7Aでは、容器14と芯20は加熱素子50に対して移動し、より広い表面積の芯を加熱する(点線で示す)ことで散布を増やしたり、より狭い表面積の芯を加熱することで散布を減らしたりする。容器と芯を移動させるメカニズムは、図6Aの実施形態で使用するメカニズムと同じでもよいし違ってもよい。ただし図6Aと同様に、概して容器14と芯20の移動によって空気流にさらされる芯の表面積が変化する。図7Bでは、加熱素子50は芯20により多くの熱を加えて散布を増やすべく芯に近づくように移動し、また芯により少ない熱を加えて散布を減らすべく芯から離れるように移動する(点線で示す)ように調節される。ユーザが散布をさらにカスタマイズできるように、加熱素子50が加える熱の強さと持続時間も制御可能であると好ましい。加熱素子を既述の実施形態のいずれかのように複数の容器と共に使用するのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
ここに開示した実施形態は、複数の揮発性物質の選択的な散布を行うように実施可能である。複数の空気流を使用して所望の揮発性物質を選択的に散布し、この空気流の速度および通路は制御可能で、所望の揮発性物質の強さや選択を制御する。
【0038】
当業者にとっては、上記の説明から考えれば本発明に対する多数の変形例は明らかであろう。したがってこの説明は例示目的のみと解釈すべきもので、当業者が本発明を作成して使用し、また本発明を実施する最良の形態を教示できるようにする目的で提示されている。添付の特許請求の範囲内にある全ての変形例に対する独占権を保有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
中に揮発性物質を含む複数の容器と、
前記ハウジングから出る2つまたはそれより多くの空気流を生成する手段と、
前記空気流の速度または通路を調節するスイッチと、を含む揮発性物質を散布する散布装置であって、
前記複数の容器が、前記揮発性物質の一部が1つまたは複数の空気流に乗れるように前記ハウジングに接続される、散布装置。
【請求項2】
前記空気流生成手段がファン、ポンプ、送風機、空気路、バッフルからなる群から選択される、請求項1記載の散布装置。
【請求項3】
前記空気流生成または許容手段に供給される電力のパラメータを制御するために1つまたは複数のスイッチを利用する、請求項2記載の散布装置。
【請求項4】
前記1つまたは複数のスイッチが前記空気流を間接的に制御する、請求項3記載の散布装置。
【請求項5】
前記ハウジングに接続されるパネルをさらに含み、前記空気流が前記パネルの開閉によって許容されたり遮断されたりする、請求項1記載の散布装置。
【請求項6】
容器当たり少なくとも1本の芯をさらに含み、前記芯は各容器から延出する、請求項1記載の散布装置。
【請求項7】
前記ハウジングに入る空気を遮るように配置される少なくとも1つの空気フィルターをさらに含む、請求項6記載の散布装置。
【請求項8】
前記ハウジングが、前記芯に対して整列し前記ハウジングから出る空気流の方向を制御するように構成される複数の通気孔を含む、請求項6記載の散布装置。
【請求項9】
前記芯と空気流が互いに対して移動可能である、請求項6記載の散布装置。
【請求項10】
揮発性物質が加熱されるように揮発性物質に隣接して配置される複数の加熱素子をさらに含む、請求項6記載の散布装置。
【請求項11】
前記ハウジングが、追加の容器または詰め替え容器のためのホルダーを含む、請求項1記載の散布装置。
【請求項12】
前記ハウジングが、前記スイッチと通信するための通信ポートを含む、請求項1記載の散布装置。
【請求項13】
ハウジングと、
前記ハウジングに装着され、揮発性物質を含み、芯がそこから延出する複数の容器と、
前記ハウジングから出る複数の空気流を生成すべく前記ハウジングに配置される複数のファンであって、前記芯が前記複数の空気流へと延出するファンと、
前記複数のファンそれぞれに関連付けられ、前記ファンに供給される電力のパラメータを制御することでその速度を制御するスイッチと、を含む複数の揮発性物質を散布する散布装置。
【請求項14】
所与の空気流に対して1つの容器が関連付けられるように、前記複数の芯それぞれの一部が空気流に関連付けられる、請求項13記載の散布装置。
【請求項15】
前記ハウジングが少なくとも1つの流入口と少なくとも1つの流出口を含む、請求項13記載の散布装置。
【請求項16】
前記流入口に関連付けられた少なくとも1つの空気フィルターをさらに含む、請求項15記載の散布装置。
【請求項17】
前記ハウジングが、前記ファンに供給される電力のパラメータを制御するための通信ポートを含む、請求項13記載の散布装置。
【請求項18】
前記ハウジングが追加の容器または詰め替え容器を保持するためのホルダーを含む、請求項13記載の散布装置。
【請求項19】
揮発性物質が加熱されるように揮発性物質に隣接して配置される1つまたは複数の加熱素子をさらに含む、請求項13記載の散布装置。
【請求項20】
2つまたはそれより多くの空気流を生成するステップと、
各空気流の速度または通路を選択的に制御するステップと、
前記揮発性物質を前記空気流に乗せるステップと、を含む2つまたはそれより多くの揮発性物質を散布する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公表番号】特表2010−502288(P2010−502288A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526739(P2009−526739)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/019173
【国際公開番号】WO2008/027537
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】