説明

複数の殻を有するマイクロカプセル及びそれらの調製方法

【課題】複数の殻を有するマイクロカプセル及びそれらの調製方法
【解決手段】その少なくとも一つが、殻物質の二つの成分の複合コアセルベートから形成された、複数の殻を有するシングルコア及びマルチコアマイクロカプセルが提供される。該複合コアセルベートは、各殻において同じであっても異なってもよい。また、該マイクロカプセルを製造するための方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の殻を有するマイクロカプセル、マイクロカプセルの調製方法、及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセルは、スターチ、ゼラチン、脂肪、ポリサッカリド、蝋又はポリアクリル酸のような殻物質の薄いコーティングの内部の個体小粒子又は液体粒子である。それらは、例えば、遊離流動粉としての液体又は圧縮された固体を調製するために、反応性の物質を分離するために、毒性を減少させるために、酸化に対して保護するために及び/又は酵素、香り、栄養、薬等のような物質の放出速度を制御するために、使用される。
【0003】
理想的には、マイクロカプセルは、良好な機械的強度(例えば、破裂耐性)を有し、マイクロカプセルの殻は酸化に対する良好なバリヤーを提供する。
【0004】
これらの要求を満たす典型的なアプローチは、マイクロカプセルの壁の厚さを増すことである。しかし、この結果、マイクロカプセルの添加容量が望ましくなく減少する。即ち、マイクロカプセルの「ペイロード」が、これはマイクロカプセル中に封入された添加物質の量を、マイクロカプセルの総量で除したものであるが、減少する。エマルジョンのスプレー乾燥によって調製されたそのような「シングルコア」マイクロカプセルの典型的なペイロードは、約25-50%の範囲にある。
【0005】
この問題に対する他のアプローチは、「マルチコア」マイクロカプセルとして知られているものを作ることである。これらのマイクロカプセルは、通常、殻物質がコア物質の個々の粒子を被覆するようにコア物質のエマルジョンをスプレー乾燥することによって形成され、次いで、これは凝集しクラスターを形成する。典型的なマルチコアマイクロカプセルを、図1の従来技術に示す。マルチコアマイクロカプセル10は、複数のコア12を含む。コア12は、殻物質14の比較的連続的なマトリクスの至る所に分散している、取り込まれた固体又は液滴の粒子の形体である。結果として、殻物質の添加物質に対する割合が高くなり、従って、マルチマイクロカプセルのペイロードが低くなる。さらにその上、そのようなマイクロカプセルの、添加物質に対する殻物質の割合の高さにも関わらず、その殻物質は分布が不十分である。図1の従来技術で示したように、コア12の多くが、マイクロカプセルの表面16に非常に近い。この表面のコアは、従って、破裂に対し又は酸化から十分に保護されていない。
【0006】
周知のマイクロカプセルは、従って、ペイロードも不十分であり、そこに堆積する添加物質の適切な含有及び保護がされていない。さらにその上、これらのマイクロカプセルが一般に単一の工程で調製されるため、酸化耐性、湿度耐性及び食味マスキングのような複数の機能を単一のマイクロカプセルに組み入れるのは困難である。
【発明の開示】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
一つの側面から、本発明は下記を具備するマルチコアマイクロカプセルを提供する:
(a)第一のマイクロカプセルの集塊(agglomeration)、各第一のマイクロカプセルは、コア及び該コアを囲む第一の殻を具備する;(b)該集塊を囲む第二の殻;及び、(c)該第二の殻を囲む第三の殻;該第一、第二及び第三の殻の少なくとも一つが、複合コアセルベートを含む。
【0009】
他の側面から、本発明は、下記を具備するシングルコアマイクロカプセルを提供する:(a)コア;(b)該コアを囲む第一の殻;及び、(c)該第一の殻を囲む第二の殻;該第一及び第二の殻の少なくとも一つは、複合コアセルベートを含む。
【0010】
マルチコア又はシングルコアのマイクロカプセルの何れの場合も、全ての殻が複合コアセルベートを含むことが好ましく、これはそれぞれの殻で同一であっても又は異なってもよい。例えば、1〜20の付加的な殻は、マイクロカプセルにさらなる強度を与え得る。
【0011】
他の側面から、本発明は複数の殻を有するマイクロカプセルを製造する方法を提供する。該方法は、下記を具備する:複数の殻を有するマイクロカプセルを製造する方法であって、該方法は、(a)下記から成る群から選択されるマイクロカプセルを準備すること:(i)第一のマイクロカプセルのそれぞれがコア及び該コアを囲む第一の殻を含む第一のマイクロカプセルの集塊;及び前記集塊を囲む第二の殻:を具備するマルチコアマイクロカプセル;及び(ii)コア;及び該コアを囲む第一の殻:を具備するシングルコアマイクロカプセル;(b)前記マイクロカプセルを、殻物質の第一及び第二のポリマー成分と、水溶液中で混合すること;(c)前記第一及び第二のポリマー成分を含む殻物質を形成するために、pH、温度、濃度及び混合スピードの少なくとも一つを調整すること、該殻物質は前記マイクロカプセルを被う付加的な殻を形成する;ここで、前記第一の殻、前記第二の殻及び前記付加的な殻の少なくとも一つは、複合コアセルベートを含む。
【好ましい態様の詳細な説明】
【0012】
本出願は、2002年11月4日に出願した米国仮特許出願番号60/423,363の優先権を主張し、その全てを本明細書に参考として援用する。
【0013】
<コア物質>
本発明においては、マイクロカプセルに封入され得る任意のコア物質が有用である。実際、ある態様においては、商業的に入手可能なマイクロカプセルが得て、それから本発明の方法に従ってさらに処理される。
【0014】
最初のマルチコアマイクロカプセルを、水溶液を関与させるここに記載した方法に従って調製する場合、そのコア物質は実質的に、水溶液に完全には溶解しない任意の物質である。好ましくは、コアは固体、疎水性液、又は固体と疎水性液の混合物である。コアは、さらに好ましくは、疎水性液、例えばグリース、油、又はそれらの混合物である。典型的な油は、魚油、植物油、鉱物油、それらの誘導体又はそれらの混合物である。添加物質は、精製されたか又は部分的に精製された油性物質、例えば脂肪酸、トリグリセリド、又はそれらの混合物を含んでよい。オメガ-3脂肪酸、例えばα-リノレン酸(18:3n3)、オクタデカテトラエン酸(18:4n3)、エイコサペンタエン酸(20:5n3)(EPA)、及びドコサヘキサエン酸(22:6n3)(DHA)、及びそれらの誘導体及びそれらの混合物が好ましい。多くのタイプの誘導体が当業者には知られている。適切な誘導体の例は、エステル、例えば、植物ステロールエステル、分枝鎖又は非分枝鎖のC1-C30アルキルエステル、分枝鎖又は非分枝鎖のC2-C30アルケニルエステル又は分枝鎖又は非分枝鎖のC3-C30シクロアルキルエステル、特に、植物ステロールエステル及びC1-C6アルキルエステルである。油の好ましい原料は、水産生物(例えば、アンチョビ、キャプリーヌ(capelin)、大西洋のタラ、大西洋のニシン、大西洋のサバ、大西洋のメンヘーデン、サケ、イワシ、サメ、マグロ等)及び植物(例えば、アマ、野菜、藻類等)に由来する油である。
【0015】
コアは、生物学的に活性な物質、例えばトコフェロール、抗酸化剤又はビタミンのような物質であってもなくてもよいが、本発明のマイクロカプセルは、生物学的に活性な物質、例えば、薬剤、栄養上のサプリメント、香料、抗酸化剤又はそれらの混合物などが特に適切である。
【0016】
<殻物質>
コアセルベーションは、相分離現象であり、均一なポリマー溶液が二相にコアセルベートされる。一つはポリマーに富む相であり、コアセルベートと呼ばれる。他方は、ポリマーが乏しい相、即ち、溶媒である。複合コアセルベートは、二つの反対の電荷をもつポリマーの相互作用によって起こる。
【0017】
好ましくは、正に帯電したポリマー成分「A」は、負に帯電したポリマー成分「B」と相互作用する。例えば、正に帯電したA型ゼラチン(「成分A」)は、負に帯電したポリホスフェート(「成分B」)と複合コアセルベートを形成する。研究されている他の系は、ゼラチン/アラビアゴム、ゼラチン/ペクチン、ゼラチン/カルボキシメチルガーゴム及びタンパク質/アラビアゴムである。
【0018】
成分Aは、好ましくはA型ゼラチン、キトサンなどであるが、他のポリマーも成分Aとして考えられる。成分Bは、好ましくはB型ゼラチン、ポリホスフェート、アラビアゴム、アルギナート、カラゲナン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、又はそれらの混合物である。
【0019】
二つのポリマー成分の電荷密度に加えて、複合コアセルベーションは、ポリマーの分子量、それらの割合、イオン強度、pH及び媒体の温度のような他の要因に依存する(J. Microencapsulation , 2003 , Vol. 20, No. 2: 203-210)。
【0020】
成分A:成分Bのモル比は、通常は成分のタイプに依存するが、典型的には1:5〜15:1である。例えば、A型ゼラチン及びポリホスフェートがそれぞれ成分A及びBとして用いられる場合、成分A:成分Bのモル比は、好ましくは8:1〜12:1であり;A型ゼラチンとB型ゼラチンがそれぞれ成分A及びBとして用いられる場合は、成分A:成分Bのモル比は、好ましくは2:1〜1:2であり;A型ゼラチンとアルギナートがそれぞれ成分A及びBとして用いられる場合、成分A:成分Bのモル比は好ましくは3:1〜5:1である。
【0021】
複合コアセルベーションを用いるマイクロカプセル化の適切な方法の一つは、3工程を含む:1)添加物質を、複合コアセルベートの少なくとも一つの成分の系に分散させる;2)温度、pH、コロイド濃度、混合スピード等の条件が制御された下で、ポリマー成分に由来するコアセルベートを析出させて殻を形成する;及び、3)マイクロカプセル上に析出したコアセルベートを架橋することによって、殻を硬化させる(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 6th edition. 2001, Vol. A16. pp.575-588)。
【0022】
複合コアセルベートを含まない何れの殻も、マイクロカプセルの周囲に付加的な殻を形成し得る任意の物質から形成されることができる。付加的な殻物質は、典型的には、少なくとも一つのポリマー成分を含む。ポリマー成分の例は、これに限らないが、タンパク質、例えばゼラチン、ダイズタンパク、乳漿タンパク、及び乳タンパク、ポリホスフェート、ポリサッカリド及びそれらの混合物を含む。好ましいポリマー成分は、ゼラチンA、ゼラチンB、ポリホスフェート、アラビアゴム、アルギナート、キトサン、カラゲナン、ペクチン、セルロース又はセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)又はそれらの混合物である。特に好ましいA型ゼラチンの形体は、ブルーム強度50-350であり、さらに好ましくはブルーム強度約275である。
【0023】
殻物質は、所望の機能性を与えるために、例えば、蝋、脂肪酸及び油等のような脂質をも含み得る。脂質を殻物質に組み入れることによって、水及び酸素に対する殻の不透過性が改良される。この目的のために好ましい脂質は、蜜蝋である。これらの脂質は、固体、半固体、又は液体形体であってよい。
【0024】
<加工助剤>
加工助剤は、殻物質に含めてもよい。加工助剤は様々な理由のために用いられ得る。例えば、それらは、マルチコアマイクロカプセルを形成する際に、第一のマイクロカプセルの凝集作用を促進させるために、マイクロカプセルのサイズ及び形を制御するために、及び/又は抗酸化剤として作用させるために用いられる。抗酸化剤の性質は、処理(例えばコアセルベーション及び/又はスプレー乾燥)の間、及びそれらが形成された後のマイクロカプセル中(例えば、容易に酸化する添加物質の有効期間を延長するため)の何れでも有用である。多くの機能を遂行する、少ない加工助剤を用いることが好ましい。例えば、アスコルビン酸又はその塩は、第一のマイクロカプセルの凝集を促進させるため、マイクロカプセルのサイズと形を制御するため、及び抗酸化剤として作用させるために用いられ得る。アスコルビン酸又はその塩は、バッチサイズ(即ち、総重量)に対して、好ましくは、約100 ppm〜約10,000 ppm、さらに好ましくは約1000 ppm〜約5000 ppmの量で用いられる。アスコルビン酸ナトリウム又はアスコルビン酸カリウムのようなアスコルビン酸の塩が、この容量において特に好ましい。他の加工助剤は、これに限定されないが、緩衝剤及び/又はそれらの塩、例えばリン酸、酢酸、クエン酸等を含む。
【0025】
<マイクロカプセルの構造>
一つの態様において、本発明のマイクロカプセルは、通常は図2に示した構造を有する。図2は、本発明の多工程方法に従って調製されたマルチコアマイクロカプセルを示している。第一のマイクロカプセルは、第一の殻20に囲まれたコア18を備える(即ち、添加物質)。第一のマイクロカプセルは凝集し、それらの間のスペース22は、通常、第一の殻20と同じ成分の付加的な殻物質によって少なくとも部分的に充填されているが、第一のマイクロカプセルの幾つかの間には空隙があってもよい。第一のマイクロカプセルの集塊は、第二の殻に4によって囲まれる。
【0026】
第二の殻24を備えるマルチコアマイクロカプセルは、ここに記載する方法及び実施例で例証する方法に従って調製することができ、或いは、2003年4月8日に出願の国際出願番号PCT/CA2003/000520に対応する、2002年4月11日に出願した継続中の出願、米国特許出願番号10/120,621であって、その両者の開示が参考として本願明細書に援用されるものに記載される概して同様の技術によって調製され得る。これらのマルチコアマイクロカプセルは、空隙22中の付加的な殻物質に支持され、第二の殻24に囲まれた第一のマイクロカプセルの気泡様構造が極めて堅固であり、高いペイロードを有する、即ち、
マルチコアマイクロカプセルの総量に対するコアの総量比が非常に高い、例えば、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90%またはそれ以上である破裂耐性構造のために、特に有用である。これは、殻20及び24が同じ成分であり、単一の工程で形成される場合に、「1工程」方法と呼ばれる。殻20及び24が異なる成分である場合、該方法は2工程を含む。
【0027】
商業的に入手可能なマルチコアマイクロカプセルを開始物質として用いてもよい。例として、ヌ−メガイングレディエントPty.Ltd.(Queensland , AU)によって製造されているドリフォルム(Driphorm)(TM)Hi−DHA(TM)マイクロカプセル化マグロ油が挙げられる。
【0028】
本発明に従って、第三の殻26がマルチコアマイクロカプセル上に形成される場合、3工程方法が取られる。第三の殻26はマイクロカプセルをさらに強化し、また、殻24のものとは異なる性質を有する殻を提供するために都合よく用いられ得る。例えば、異なるポリマー成分が第三の殻26に取り込まれてもよい。それに加えて、またはその代わりに、湿気又は酸素不透過性等を増大させるために、脂質が殻26に取り込ませてもよい。これらの性質は、特定の目的に対する要求によって、第三の殻26よりむしろ第二の殻24に(或いは、第二の殻24と同様に第三の殻26にも)導入してもよい。付加的な殻は、図2には示していないが、本発明の方法と技術によって、第三の殻26の周囲に形成されてもよい。例えば、N個の付加的な殻が加えられることができ、ここでNは1〜20の整数である。
【0029】
殻20、24及び26及び、任意の付加的な殻の少なくとも一つは、上記のように複合コアセルベートを含む。好ましくは、少なくとも二つの殻が複合コアセルベートを含む。より好ましくは、全ての殻が複合コアセルベートを含む。例えば、次の殻が複合コアセルベートを含む:(a)殻20;(b)殻24;(c)殻26;(d)殻20及び24;(e)殻20及び26;(f)殻24及び26;又は(g)殻20、24及び26。付加的な殻もまた、複合コアセルベートを含むことが好ましい。
【0030】
再び図2を参照すると、第一のマイクロカプセル(即ち、第一の殻20によって囲まれているコア18)は、典型的に、約40 nm〜約10 nmの平均直径を有し、さらに好ましくは約0.1 μm〜約5μm、より好ましくは平均直径約1〜2μmを有する。最終的なマルチコアマイクロカプセル、即ち、第三の殻26を含むマイクロカプセルは、通常、平均直径約1μm〜約2000μmを有し、さらに典型的には約20μm〜約1000μm、さらに特には約20μm〜約100μm、及びさらに特には約50μm〜約100μmの平均直径を有する。
【0031】
図2において、第二の殻24と第三の殻26は、別々の層として示した。これは、それらの殻が異なる殻物質で形成された場合である。この場合、たとえそれらの見かけが異なっていなくても、それらは異なる成分を有し、別々の、異なる層として表すことが出来る。しかし、第二の殻24と第三の殻26が同じ殻物質で形成された場合、それらは、図3に示したように、第二の殻24と第三の殻26を組み合わせた厚さを有する、単一で連続的な層を形成するように合体することができる。図3に示したように、第二及び第三の殻が同じ成分である場合、それらを隔てる分離した境界はない。これは、先行する殻と同じ成分である第四又は付加的な殻を有する本発明のマイクロカプセルにおいても当てはまる。
【0032】
本発明はまた、複数の殻を有するシングルコアマイクロカプセルを調製するためにも有用である。開始物質として有用であるシングルコアマイクロカプセルは、商業的に入手可能である。例えば、ギボウダン・フレーバー・コーポ(Givaudan Flavors Corp.)(Cincinnati , Ohio , USA)によるマイクロカプセル化された香料、及び、ワトソンフード(Watson Food Co. Inc.,)(West Haven, CT., USA)によるマイクロカプセル化されたミネラル及びビタミンが含まれる。或いは、ここに記載したような複合コアセルベーション方法、例えば、さらなる凝集工程なしで第一のマイクロカプセルを調製することによって製造される。図4は、本発明に従った複数の殻を有するシングルコアマイクロカプセルを示す。コア18は、第一の殻20と第二の殻24によって囲まれている。付加的な殻は、図4には示していないが、本発明の方法及び技術によって、第二の殻24の周囲に形成されることができる。例えば、N個の付加的な殻が加えられることができ、ここでNは、1〜20の整数である。
【0033】
マルチコアマイクロカプセルのように、シングルコアマイクロカプセルの殻20及び24は、同じ成分又は異なる成分から成ってよい。殻20及び24及び任意の付加的な殻の少なくとも一つが、上記したように複合コアセルベートを含む。好ましくは、少なくとも二つの殻が複合コアセルベートを含む。より好ましくは、全ての殻が複合コアセルベートを含む。例えば、次の殻が複合コアセルベートを含み得る:(a)殻20;(b)殻24;(c)殻20及び24。付加的な殻もまた、複合コアセルベートを含むことが好ましい。
【0034】
シングルコアマイクロカプセルは、マルチコアマイクロカプセルと同程度の大きさであってよい。例えば、図4のシングルコアマイクロカプセルの第二の殻24の外部直径は、約1μm〜約2000μmであってよい。さらに典型的には、約20μm〜約1000μmであり、さらに特には、約20μm〜約100μm、さらに特には、約50μm〜約100μmである。
【0035】
それらが同じ成分である場合、シングルコアマイクロカプセルの第一の殻20と第二の殻24(及び任意の付加的な殻)は、図5に示したように、併合されて単一の連続層を形成し得る。これは、1工程方法で行われ得る。
【0036】
<方法>
本発明の工程によって付加的な殻が加えられ得るシングル又はマルチコアマイクロカプセルは、商業的な原料から得ることが出来る。特に好ましい態様において、出願人の継続中の2002年4月11日に出願した米国特許出願番号10/120,621、及び、2003年4月8日に出願した対応する国際出願番号PCT/CA2003/000520(その両者の開示は、参考として本明細書に援用される)に従って調製されたマルチコアマイクロカプセルが用いられる。そのようなマイクロカプセルは、例えば、以下の1工程方法で調製されることができる。
【0037】
添加物質(即ち、コア物質)と、殻物質のポリマー成分の水溶性混合物を形成する。水溶性混合物は、機械的混合物、懸濁液又はエマルジョンであってよい。液体添加物質を用いる場合、特に疎水性液の場合は、水溶性混合物は添加物質とポリマー成分のエマルジョンであることが好ましい。
【0038】
さらに好ましい側面において、第一のポリマー成分は水溶液、好ましくは抗酸化剤のような加工助剤と共に提供される。従って添加物質は、該水溶性混合物中に例えば、ホモジナイザーを用いて分散される。添加物質が疎水性液の場合、第一の殻の形成を始める添加物質の個々の液滴の周囲に、堆積し始める第一のポリマー成分の画分中に、エマルジョンが形成される。添加物質が固体粒子の場合、第一の殻の形成を始める個々の粒子の周囲に、堆積し始める第一のポリマー成分の画分中に、懸濁液が形成される。この時点で、もう一つの第二のポリマー成分の水溶液が、この水溶性混合物に加えられてよい。
【0039】
水溶性混合物中の添加物質の液滴又は粒子は、好ましくは、平均直径が、100μmより小さく、さらに好ましくは50μmより小さく、より好ましくは25μmより小さい。平均直径が10μmより小さく、又は5μmより小さく、又は3μmより小さく、又は1μmより小さい添加物質の液滴又は粒子が用いられる。粒子サイズは、当該分野で既知の典型的な装置、例えば、クールター(TM)LS230粒子サイズアナライザー(Miami , Florida . USA.)を用いて測定してよい。
【0040】
水溶性混合物中で得られる殻物質のポリマー成分の量は、典型的には、マイクロカプセルの第一及び外部の殻の双方を形成するのに十分である。好ましくは、添加物質は、水溶性混合物の重量の約1%〜約15%の量で提供され、より好ましくは約3重量%〜約8重量%で、さらに好ましくは約6重量%で提供される。
【0041】
複合コアセルベートは、必要であれば、pH、温度、濃度、混合スピード、又はそれらの組み合わせを、第一のマイクロカプセルを形成する添加物質の液滴又は粒子の周囲に、複合コアセルベートの第一の殻の形成を促進させるために調整する。マルチコアマイクロカプセルの場合、第一のマイクロカプセルの凝集が生じて、所望のサイズ又は形での別々の凝集塊が形成する。
【0042】
pHは、溶液中の水素イオンの濃度を表すものである。そのようなイオンは、複合コアセルベーションに関する成分A及びポリマーBのイオン化平衡に影響し、これにより、複合コアセルベートの形成に影響する。pHは、成分Aポリマーが正味の正電荷を有し、成分Bポリマーが正味の負電荷を有するように調整される。従って、pH調製は、用いられる殻物質のタイプに依存する。
【0043】
例えば、A型ゼラチンがポリマー成分である場合、ゼラチン分子は、pH9〜10辺りのそれらのゼロ電荷点(pzc)で、殆ど等しい正電化と負電荷(即ち、正味ゼロの極性電荷)を有する。溶液のpHがpzc値より低い場合にのみ、ポリマーは正味の正電化を有し、これは、負電荷成分B(例えば、アラビアゴム、ポリホスフェート、アルギナート等)と相互作用する。
【0044】
A型ゼラチンの場合、pHは、好ましくは3.5〜5.0の値に調整され、より好ましくは4.0〜5.0に調整される。この範囲から大きくずれると、ゼラチンに基づく複合体は、マイクロカプセル上の殻よりむしろ冷却中にゲルを形成する。混合物のpHが、所望の範囲で始まると、pH調整はわずかであるか又は必要なくなる。
【0045】
成分A及びBのモル比は、溶液中のゲル粒子の形成というよりもむしろ、マイクロカプセル上の殻の形成に有利であるよう調整される。適切なモル比は上記の「殻物質」において説明している。
【0046】
水溶性混合物中の成分A及びBの濃度もまた、複合コアセルベートの形成に影響し、それ故に調整される。典型的には、成分A及びBの総濃度は、水溶性混合物の重量に対し、1%〜20%、好ましくは2〜10%、及びさらに好ましくは3〜6%で変動する。例えば、A型ゼラチンが成分Aとして用いられる場合、A型ゼラチンの濃度は、好ましくは水溶性混合物の重量に対し1〜15%であり、より好ましくは2〜6重量%であり、さらに好ましくは2〜4重量%である。同様に、ポリホスフェートが成分Bとして用いられる場合、その水溶性混合物中の濃度は、好ましくは、水溶性混合物の重量に対して0.01〜0.65%であり、さらに好ましくは0.13〜0.17重量%であり、より好ましくは0.13〜0.26重量%である。
【0047】
水溶性混合物の最初の温度は、好ましくは約40℃〜約60℃、より好ましくは約50℃に設定される。
【0048】
混合スピードは、マイクロカプセルの表面上における、複合コアセルベートの堆積に影響する。混合スピードが遅すぎる場合、水溶性混合物の攪拌が不十分で、望ましくない大きなマイクロカプセルが形成され得る。反対に、混合スピードが速すぎた場合、高い剪断力が生じ、殻物質がマイクロカプセル上で形成するのを妨げる。その代わり、ゲル粒子は溶液中に形成する。混合スピードは、好ましくは100及び1500 rpmの間であり、より好ましくは400及び1000 rpmの間であり、さらに好ましくは600及び800 rpmの間である。特定の混合パラメータは、用いる装置のタイプに依存する。当該分野で周知の様々なタイプの混合装置を使用することができる。軸流インペラー、例えば、ライトニン(Lightnin)(TM)A310又はA510が特に有用である。
【0049】
この点で、外殻のための物質を混合物中に添加し、次いで水溶性混合物を、制御された冷却速度、及び、外殻を形成するための第一のマイクロカプセルのコーティングを許す混合パラメータの下で冷却する。殻物質のゲル化点より上の温度で外殻の形成を制御することが都合よい。この段階において、外殻を厚くするために及び/又は所望の機能を提供するための異なる層の殻を有するマイクロカプセルを提供するために、それが同種であれ異種のものであれ、さらなるポリマー成分をさらに添加することも可能である。温度は、約5℃〜約10℃、好ましくは約5℃に達するまでは、約1℃/10分の速度で低下されることが好ましい。外殻は、第一のマイクロカプセル又は凝集塊を封入して、マイクロカプセルの強固な被包性集塊を形成する。
【0050】
この時点で、外殻及び第一の殻の双方において、殻物質を架橋することによってマイクロカプセルの硬性をさらに増加させるために、また、殻を水溶性及び非水溶性(例えば油)媒体に対して不溶にするために、架橋剤が加えられる。適切な任意の架橋剤を用いることができ、架橋剤の選択は、殻物質の選択にいくぶん依存する。好ましい架橋剤は、酵素的な架橋剤(例えば、トランスグルタミナーゼ)、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド又はグルテルアルデヒド)、タンニン酸、ミョウバン、有機又は無機のカルシウム塩又はカリウム塩、或いはそれらの混合物である。マイクロカプセルが、生物活性物質を生物体に輸送するために用いられる場合、架橋剤は非毒性であるか又は毒性が十分に低いことが好ましい。用いる架橋材のタイプ及び量は、殻物質のタイプに依存し、所望の構造的硬性を大体提供するように調整されてよい。例えば、A型ゼラチンが殻物質に用いられる場合、トランスグルタミナーゼが、マイクロカプセル懸濁液の重量に対して、約0.2%〜約2.0%の量で、好ましくは約1.0%の量で、都合よく用いることができる。通常、当該分野の技術者には、簡単な実験によって、如何なる場合であっても必要な量を日常的に決定することができる。
【0051】
この時点で、マルチコアマイクロカプセルが生成されている。これらのマイクロカプセル又は他のマイクロカプセルは、次に、上記のような付加的な殻層を加えられるために、本発明の方法に従って処理される。好ましくは、付加的な殻は、マイクロカプセルの外殻が形成された後、又は架橋工程の前に加えられる。さらに特には、殻物質の第一及び第二のポリマー成分は、例えば40〜60℃、好ましくは50℃付近の水溶液に溶解する。pHは、この段階で制御又は調整されてよい。前もって調製されたマイクロカプセルは、この混合物と組み合わせられる。或いは、マイクロカプセルは、第一の殻物質のポリマー成分の水溶液と組み合わせられ、次いで、第二の殻物質のポリマー成分の水溶液が加えられる。次いで、殻物質のポリマー成分が、マイクロカプセルを付加的な殻で囲みコーティングする複合コアセルベートを形成するように、pH、温度、濃度、混合スピード又はそれらの組み合わせを、上記のように調整することができる。上記で論じたように、加工助剤を、油、蝋、樹脂又は脂肪のような疎水性物質として取り込ませても良い。次いで、新しい外殻を上記のように架橋する。付加的な殻層を形成するこれらの付加的な工程は、マイクロカプセル上に適切な数の付加的な殻を構築するために必要なだけ繰り返してよい。
【0052】
最後に、マイクロカプセルを水で洗浄し及び/又は乾燥し、遊離の流動粉を提供することができる。乾燥は、当該分野で既知の種々の方法、例えば凍結乾燥、エタノール又はスプレー乾燥による乾燥などによって実施することができる。スプレー乾燥は、マイクロカプセルを乾燥するために特に好ましい方法である。スプレー乾燥技術は、「スプレー乾燥ハンドブック」(K. Masters, 5th edition, Longman Scientific Technical UK, 1991)に開示されており、その開示は本明細書に参考として援用される。
【0053】
<使用>
本発明の方法によって調製されるマイクロカプセルは、遊離の流動粉としての液体又は圧縮された固体を調製するために、物質を貯蔵するために、反応性物質を分離するために、物質の毒性を減少させるために、物質を酸化から保護するために、物質を特異的な環境に輸送するために、及び/又は物質の放出速度を制御するために、用いることが出来る。特に、マイクロカプセルは、栄養学的又は医学的目的のために、生物活性物質を生物体に輸送するために用いることができる。生物学的活性物質は、例えば、栄養サプリメント、香料、薬剤及び/又は酵素である。生物体は、好ましくは、哺乳類であり、より好ましくはヒトである。生物活性物質を含むマイクロカプセルは、例えば、食物又は飲料または薬剤輸送システム中に含まれてよい。栄養サプリメントをヒトに処方するための、本発明のマイクロカプセルの使用は、特に好ましい。
【0054】
本発明のマイクロカプセルは、マイクロカプセルが食物又は他の製剤に取り込まれた間に、破損することを減少させまたは防ぐことを補助する、良好な破裂強度を有する。さらにその上、マイクロカプセルの殻は、水溶性及び非水溶性(例えば、油)媒体の双方に不溶性であるように処方され、マイクロカプセルを調製する間、長期間の貯蔵の間、及び/又はマイクロカプセルを製剤媒体、例えば食物、飲料、栄養製剤又は薬学的製剤に取り込ませる間、添加物質の酸化及び/又は劣化を減少させるか又は防ぐことを補助する。
【0055】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0056】
[実施例1]
比較のためのマルチコアマイクロカプセルを、一工程方法によって調製した(第一及び第二の殻が、同じ成分ゼラチン及びポリホスフェートを有する)
54.5グラムのA型ゼラチン275ブルーム(等電点約9)を、0.5%のアスコルビン酸ナトリウムを含む脱イオン水600グラムと、50℃で完全に溶解するまで攪拌しながら混合した。5.45グラムのポリリン酸ナトリウムを、0.5%のアスコルビン酸ナトリウムを含む脱イオン水104グラムに溶解した。30%のエイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA)及び20%のドコサヘキサエン酸エチルエステル(DHA)(オーシャン・ニュートリエント・カナダ株式会社から入手可能)を含む90グラムの魚油濃縮物を、高速ポリトロン(TM)ホモジナイザー、5,500 rpm、6分間の処理により、1.0%の抗酸化剤(混合性の天然トコフェロール)とともにゼラチン溶液中に分散した。水中油エマルジョンが形成した。油滴サイズは、クールター(TM)LS230粒子サイズアナライザーで測定した平均サイズが約1μmの狭い分布を有した。このエマルジョンを、0.5%のアスコルビン酸ナトリウムを含む50℃の脱イオン水700グラムで希釈した。次いで、ポリリン酸ナトリウム溶液をこのエマルジョンに加え、ライトニン(TM)攪拌機で600 rpmで混合した。次いで、10%水溶性酢酸溶液で、pHを4.5に調整した。pH調整の間、及び、pH調整の後の冷却工程で、ゼラチン及びポリホスフェートから形成されたコアセルベートが油滴を覆い第一のマイクロカプセルが形成した。冷却は、ゼラチン及びポリホスフェートのゲル化点より上で行い、第一のマイクロカプセルは凝集を開始して、攪拌下でかたまりを形成する。混合物をさらに冷却すると、水相に残っていたポリマーが、第一のマイクロカプセルのかたまりをさらに覆い、外殻を有する平均サイズ50μmのマイクロカプセルの被包性集塊を形成する。一旦、温度が5℃まで冷却されると、50%のグルテルアルデヒド(gluteraldehyde) 2.7グラムを該混合物に加え、さらに殻を強化した。この混合物を、室温まで温め、12時間攪拌し続けた。最後に、このマイクロカプセル懸濁液を水で洗浄した。この洗浄された懸濁液を、次いでスプレー乾燥し、遊離流動粉を得た。62%のペイロードを得た。
【0057】
[実施例2]
異なる組成を有する第一及び第二の殻の両者における、ゼラチン及びポリホスフェートによる二工程方法。
【0058】
工程A:15.6グラムのA型ゼラチン275ブルーム(等電点約9)を0.5%アスコルビン酸ナトリウムを含む172グラムの脱イオン水と、50℃で完全に溶解するまで攪拌して混合した。1.56グラムのポリリン酸ナトリウムを、0.5%アスコルビン酸ナトリウムを含む脱イオン水29.7グラムに溶解した。30%のエイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA)と、20%のドコサヘキサエン酸エチルエステル(DHA)(オーシャン・ニュートリエント・カナダ株式会社から入手可能)を含む69グラムの魚油を、1.0%の抗酸化剤(混合性の天然トコフェロール)とともに、高速ポリトロン(TM)ホモジナイザー、6,100 rpm、4分間によってゼラチン溶液中に分散した。水中油エマルジョンが形成した。油滴サイズは、クールター(TM)LS230粒子サイズアナライザーで測定して、平均サイズが約1μmの狭い分布を有した。このエマルジョンを、0.5%アスコルビン酸ナトリウムを含む、50℃の脱イオン水319グラムで希釈した。ポリリン酸ナトリウム溶液を、次いで、このエマルジョン中に加え、ライトニン(TM)攪拌機で600 rpmで混合した。次いで、pHを、10%水溶性リン酸水溶液で4.5に調整した。pH調整の間、及びpH調整に続く冷却工程において、ゼラチン及びポリホスフェートから形成されたコアセルベートが、油滴を覆い第一のマイクロカプセルが形成し、次いで、該第一のマイクロカプセルが凝集を始め、攪拌下でかたまりを形成した。この工程のペイロードは80%を得た。
【0059】
工程B: 41.8グラムのA型ゼラチン275ブルーム(等電点約9)を、0.5%アスコルビン酸ナトリウムを含む脱イオン水460gに、完全に溶解するまで50℃で攪拌しながら溶解して、ゼラチン溶液を調製した。4.18グラムのポリリン酸ナトリウムを、0.5%アスコルビン酸ナトリウムを含む79.5グラムの脱イオン水に溶解してポリリン酸ナトリウム溶液を調製した。ゼラチン及びポリホスフェート溶液を組み合わせ、混合物を形成し、該混合物のpHを、10%リン酸水溶液で4.7に調整した。
【0060】
工程C:工程Bの混合物を、工程Aにおいて形成されたかたまりの混合物に添加した。攪拌下で冷却し、ゼラチン及びポリホスフェートにコアセルベートを形成させ、工程Aで形成されたかたまりに外殻を形成させた。このように形成されたマイクロカプセルは、平均サイズが60μmであった。一旦、温度を5℃まで冷却し、50%のグルテルアルデヒド2.1グラムを該混合物中に添加し、殻をさらに強化した。次いで、この混合物を室温まで温め、12時間の間攪拌を続けた。最後に、該マイクロカプセル懸濁液を水で洗浄した。この洗浄された懸濁液を、次いでスプレー乾燥し、遊離の流動粉を得た。ペイロードは59%を得た。
【0061】
[実施例3]
第二の殻にゼラチン及びアルギナートを有する二工程方法。
【0062】
工程A:実施例2における工程Aと同様である。
【0063】
工程B:23.0グラムのA型ゼラチン275ブルーム(等電点約9)を、脱イオン水371グラムに、完全に溶解するまで50℃で攪拌しながら溶解して、ゼラチン溶液を調製した。3.00グラムのアルギン酸ナトリウムを、503.8グラムの脱イオン水に溶解して、アルギン酸ナトリウム(ISPアルギナート)溶液を調製した。ゼラチン及びアルギン酸ナトリウム溶液をあわせて混合物を形成した。該混合物のpHを、10%のリン酸水溶液で5.00に調整した。
【0064】
工程C:工程Bの混合物を、工程Aで形成されたかたまりの混合物に加えた。攪拌しながら冷却し、ゼラチンとアルギナートにコアセルベートを形成させ、工程Aにおいて形成されたかたまりを覆い外殻を形成させた。このように形成されたマイクロカプセルは、平均サイズ約80μmを有した。一旦、温度を5℃まで冷却し、2.1グラムの50%グルテルアルデヒドを該混合物に加え、さらに殻を強化させた。次いで、この混合物を室温まで温め、12時間攪拌し続けた。最後に、該マイクロカプセル懸濁液を、水で洗浄した。洗浄された懸濁液を、スプレー乾燥し、遊離の流動粉を得た。ペイロード53%を得た。
【0065】
[実施例4]
第二の殻に蝋及びアルギナートを取り込ませ、第三の殻にアルギナートを取り込ませた、3工程方法
工程A:20.0グラムのA型ゼラチン275ブルーム(等電点約9)を、0.5%アスコルビン酸ナトリウムを含む220.1グラムの脱イオン水に、50℃で完全に溶解するまで攪拌して混合した。2.00グラムのポリリン酸ナトリウムを、38.0グラムの脱イオン水に溶解した。30%のエイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA)及び20%のドコサヘキサエン酸エチルエステル(DHA)(オーシャン・ニュートリエント・カナダ株式会社から入手可能)を含む88.0グラムの魚油濃縮物を、高速ポリトロン(TM)ホモジナイザー、6,100 rpm、4分間の処理により、1.0%の抗酸化剤(混合性の天然トコフェロール)とともにゼラチン溶液中に分散した。水中油エマルジョンが形成した。油滴サイズは、クールター(TM)LS230粒子サイズアナライザーで測定した平均サイズが約1μmの狭い分布を有した。このエマルジョンを、50℃の脱イオン水408.6グラムで希釈した。次いで、ポリリン酸ナトリウム溶液をこのエマルジョンに加え、ライトニン(TM)攪拌機で600 rpmで混合した。次いで、10%水溶性リン酸溶液で、pHを4.5に調整した。pH調整の間、及び、pH調整の後の冷却工程で、ゼラチン及びポリホスフェートから形成されるコアセルベートが油滴を覆い第一のマイクロカプセルを形成し、次いで、第一のマイクロカプセルが集塊し始めて、攪拌下で塊を形成した。この工程で80%のペイロードを得た。
【0066】
工程B:8.6グラムのA型ゼラチン275ブルーム(等電点約9)を、94.5グラムの脱イオン水に、65℃で完全に溶解するまで攪拌して溶解し、ゼラチン溶液を調製した。65℃で溶解する蜜蝋25.8グラムを、高速ポリトロン(TM)ホモジナイザー、6,100 rpm、4分間の処理でゼラチン溶液に乳化した。水中蝋エマルジョンが形成した。2.3グラムのアルギン酸ナトリウムを、192グラムの脱イオン水に溶解させてアルギン酸ナトリウムを調製し、エマルジョンに加え、該混合物のpHを、10%リン酸水溶液で4.7に調整した。次いで、この混合物を工程Aのかたまりの混合物中に、800 rpmで攪拌しながら加え、冷却してゼラチン−アルギナート−蝋複合性物質に、工程Aにおいて形成されたかたまりを覆わせてマイクロカプセルを形成させた。この工程で60%のペイロードを得た。
【0067】
工程C:23.1グラムのゼラチン及び2.3グラムのアルギン酸ナトリウムを、384.9グラムの脱イオン水に、50℃で完全に溶解するまで攪拌しながら溶解して、溶液を調製した。この混合物のpHを、10%リン酸水溶液で4.5に調整し、次いで、この混合物を工程Bで形成されたマイクロカプセル混合物に800 rpmの攪拌下で加えた。冷却して、ゼラチン−アルギナート物質に、工程Bで形成されたマイクロカプセル上でコーティングを形成させた。一旦、温度を5℃まで冷却し、1.5グラムのトランスグルタミナーゼを該混合物に加えて、殻を架橋させた。この混合物を室温まで温め、12時間攪拌を続けた。最後に、このマイクロカプセル懸濁液を、スプレー乾燥し、遊離の流動粉を得た。52%の最終ペイロードを得た。
【0068】
[実施例5]
第二の殻に蝋及びアルギナートを有するマルチコアマイクロカプセルの2工程方法
工程A:13.0グラムのA型ゼラチン275ブルーム(等電点約9)を、0.5%アスコルビン酸ナトリウムを含む143.0グラムの脱イオン水と、50℃で完全に溶解するまで攪拌して混合した。1.3グラムのポリリン酸ナトリウムを、24.7グラムの脱イオン水に溶解した。18%のエイコサペンタエン酸(EPA)及び12%のドコサヘキサエン酸(DHA)(オーシャン・ニュートリション・カナダ Ltd.より入手可能)を含む57.2グラムの魚油を、1.0%の抗酸化剤(混合性天然トコフェロール)と共に、高速ポリトロン(TM)ホモジナイザー、8,000 rpm、4分間の処理により、ゼラチン溶液に分散した。水中油エマルジョンが形成した。油滴サイズは、クールター(TM)LS230粒子サイズアナライザーで測定して、平均サイズが約1μmの狭い分布を有した。このエマルジョンは、50℃、266.0グラムの脱イオン水で希釈した。次いで、ポリリン酸ナトリウム溶液をこのエマルジョンに加え、ライトニン(TM)攪拌機で350 rpmで混合した。次いで、10%水溶性リン酸溶液で、pHを4.4に調整した。pH調整の間、及び、pH調整の後の冷却工程で、ゼラチン及びポリホスフェートから形成されるコアセルベートが油滴を覆い、第一のマイクロカプセルを形成し、次いで、第一のマイクロカプセルが集塊し始め、攪拌下で塊を形成した。この工程で80%のペイロードを得た。
【0069】
工程B:7.05グラムのA型ゼラチン275ブルーム(等電点約9)を、77.9グラムの脱イオン水に、70℃で完全に溶解するまで攪拌して溶解し、ゼラチン溶液を得た。70℃で溶解した7.05グラムの蜜蝋を、高速ポリトロン(TM)ホモジナイザー、8,000 rpm、4分間の処理でこのゼラチン溶液に乳化した。水中蝋エマルジョンが形成した。7.62グラムのアルギン酸ナトリウムを、630グラムの脱イオン水に溶解させてアルギン酸溶液(45℃)を調製し、エマルジョンに加え、該混合物のpHを、10%リン酸水溶液で5.3に調整した。次いで、この混合物を工程Aのかたまりの混合物中に、450 rpmで攪拌しながら加え、続いてこの混合物のpH値を4.9に調整し、冷却してゼラチン−アルギナート−蝋複合性物質に、工程Aにおいて形成されたかたまりを覆わせてマイクロカプセルを形成させた。一旦、温度を5℃まで低下し、3.8グラムのトランスグルタミナーゼをこの混合物に添加して、殻を架橋させた。次いでこの混合物を室温まで温め、600 rpmで12時間攪拌した。最後に、このマイクロカプセル懸濁液をスプレー乾燥し、遊離の流動粉を得た。最終的なペイロード57%を得た。
【0070】
[実施例6]
マイクロカプセルの評価
実施例1〜5のマイクロカプセルの画像を、それぞれ図6〜10に示した。略同じペイロード(60%)において、2工程方法で調製されたマイクロカプセル(図7)は、1工程方法で調製されたもの(図6)より、より厚い外殻を有することが明らかである。3工程方法で調製され、脂質を含む複合性の殻を有するマイクロカプセル(図9)は、第二の殻に取り込まれた脂質の液滴及び接近して凝集した油性コアを明らかに示している。
【0071】
乾燥状態において促進された酸化安定度は、実施例1〜4のそれぞれで調製されたマイクロカプセル粉を酸素ボンベ中(Oxipres(TM), MIKROLAB AARHUS A/S, Denmark)に、初期酸素圧5 barで、65℃の一定温度でおくことによって評価した。カプセル化された魚油が酸化し始めるとき、酸素圧が低下し、誘発期間または時間が測定された。誘発期間が長期であれば、そのマイクロカプセルの内容物は酸化に対してより保護されていると言える。
【0072】
誘発期間を表1に示す。本発明に従って、2工程方法で製造されたマイクロカプセルは、1工程方法で製造されたもの(41時間)よりも長い誘発期間(50〜56時間)を有する。これは、酸化安定性で、22.0%、37.6%の増加に変換される。
【表1】

【0073】
本明細書において記載した刊行物はすべて、それぞれ個々の刊行物が参考として援用されることを特定して個別に表示されているかに関わらず、本明細書に援用される。何れの刊行物の引用も、その刊行物が従来技術であるとことを承認するものとして解釈されるべきではない。
【0074】
前述の発明が、理解を明快にする目的のために、説明及び実施例によって詳細に記載されたが、従属請求項の精神及び範囲からはずれることなく、ある種の変化又は改変が可能であることが、本明細書の示唆の見地から、当該分野の技術者には用意に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】典型的な従来技術のマルチコアマイクロカプセルを示す。
【図2】複数の殻を有するマルチコアマイクロカプセルが提供される本発明の実施態様を示す。
【図3】複数の殻を有するマルチコアマイクロカプセルが提供される本発明の実施態様を示す。
【図4】、複数の殻を有するシングルコアマイクロカプセルが提供される本発明の実施態様を示す。
【図5】複数の殻を有するシングルコアマイクロカプセルが提供される、本発明の実施態様を示す。
【図6】比較のための調製された、1工程方法で調製されたマルチコアマイクロカプセル(ペイロード62%)の写真。
【図7】本発明に従った、2工程方法で調製されるマルチコアマイクロカプセル(ペイロード59%)の写真。
【図8】本発明に従って2工程方法で調製された、外殻にアルギナートが取り込まれたマルチコアマイクロカプセル(ペイロード53%)の写真。
【図9】液体及びアルギナートが内殻に取り込まれ、ゼラチン及びポリホスフェートが外殻を形成する、3工程によって調製されたマルチマイクロカプセルの写真。
【図10】液体及びアルギナートが第二の殻に取り込まれた、2工程方法で調製されたマルチコアマイクロカプセルの写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコアマイクロカプセルであって、
(a)第一のマイクロカプセルの集塊(agglomeration)、各第一のマイクロカプセルは、コア及び該コアを囲む第一の殻を具備する;
(b)前記集塊を囲む第二の殻;及び
(c)前記第二の殻を囲む第三の殻;
を具備し、前記第一、第二、及び第三の殻の少なくとも一つが、複合コアセルベートを含む、マルチコアマイクロカプセル。
【請求項2】
前記第一、第二、及び第三の殻のそれぞれが、複合コアセルベートを含む、請求項1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項3】
前記第一、第二、及び第三の殻のそれぞれが、同じ複合コアセルベートを含む、請求項1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項4】
前記第一、第二、及び第三の殻の少なくとも一つが、他の殻の一つを形成する複合コアセルベートと異なる複合コアセルベートを含む、請求項1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項5】
前記複合コアセルベートが、タンパク質、ポリホスフェート、ポリサッカリド、アラビアゴム、アルギナート、キトサン、カラゲナン、ペクチン、セルロース及びセルロース誘導体:から成る群から選択される少なくとも一つのポリマー成分を含む、請求項1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項6】
前記タンパク質が、A型ゼラチン、B型ゼラチン、ダイズタンパク、乳漿タンパク、乳タンパク、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項5に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項7】
前記第一、第二、及び第三の殻の少なくとも一つが、Aゼラチンと、B型ゼラチン、ポリホスフェート、アラビアゴム、アルギナート、キトサン、カラゲナン、ペクチン及びカルボキシメチルセルロースから成る群から選択される少なくとも一つのポリマー成分との間の複合コアセルベートを含む、請求項1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項8】
前記第一、第二及び第三の殻の少なくとも一つが、Aゼラチンとポリホスフェートの複合コアセルベートである、請求項1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項9】
前記第三の殻を囲む少なくとも一つの付加的な殻をさらに具備する、請求項1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項10】
前記第三の殻を囲む前記少なくとも一つの付加的な殻は、複合コアセルベートを含む、請求項9に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項11】
前記第一、第二及び第三の殻の少なくとも一つが抗酸化剤を含む、請求項1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項12】
前記第一、第二及び第三の殻の少なくとも一つが、蝋、油、樹脂、及び脂肪から成る群から選択される一以上の疎水性成分を含む、請求項1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項13】
前記第一、第二及び第三の殻の少なくとも一つが、架橋剤によって架橋された複合コアセルベートを含む、請求項1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項14】
前記コアは、マルチコアマイクロカプセルの総質量の少なくとも50%を含む、請求項
1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項15】
約1μm〜約2000μmの外側平均直径を有し、前記第一の殻が約40nm〜約10μmの平均直径を有する、請求項1に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項16】
シングルコアマイクロカプセルであって、
(a)コア;
(b)前記コアを囲む第一の殻;及び
(c)前記第一の殻を囲む第二の殻;
を具備し、前記第一及び第二の殻の少なくとも一つが、複合コアセルベートを含む、シングルコアマイクロカプセル。
【請求項17】
前記第一及び第二の殻が何れも複合コアセルベートを含む、請求項16に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項18】
前記第一及び第二の殻が、同じ複合コアセルベートを含む、請求項16に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項19】
前記第一及び第二の殻が、異なる複合コアセルベートを含む、請求項16に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項20】
前記複合コアセルベートが、タンパク質、ポリホスフェート、ポリサッカリド、アラビアゴム、アルギナート、キトサン、カラゲナン、ペクチン、セルロース及びセルロース誘導体:から成る群から選択される少なくとも一つのポリマー成分を含む、請求項16に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項21】
前記タンパク質が、A型ゼラチン、B型ゼラチン、ダイズタンパク、乳漿タンパク、乳タンパク、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項20に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項22】
前記第一及び第二の殻の少なくとも一つが、Aゼラチンと、B型ゼラチン、ポリホスフェート、アラビアゴム、アルギナート、キトサン、カラゲナン、ペクチン及びカルボキシメチルセルロースから成る群から選択される少なくとも一つのポリマー成分との間の複合コアセルベートを含む、請求項16に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項23】
前記第一及び第二の殻の少なくとも一つが、Aゼラチンとポリホスフェートの複合コアセルベートを含む、請求項16に記載のシングルコアマイクロカプセル
【請求項24】
前記第二の殻を囲む少なくとも一つの付加的な殻をさらに具備する、請求項16に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項25】
前記第二の殻を囲む前記少なくとも一つの付加的な殻は、複合コアセルベートを含む、請求項24に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項26】
前記第一及び第二の殻の少なくとも一つが、抗酸化剤を含む、請求項16に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項27】
前記第一及び第二の殻の少なくとも一つが、蝋、油、樹脂、及び脂肪から成る群から選択される少なくとも一つの疎水性成分を含む、請求項16に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項28】
前記第一及び第二の殻の少なくとも一つが、架橋剤によって架橋された複合コアセルベートを含む、請求項16に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項29】
前記コアは、該マイクロカプセルの総質量の少なくとも60%を含む、請求項
16に記載のマルチコアマイクロカプセル。
【請求項30】
約1μm〜約2000μmの外側平均直径を有する、請求項16に記載のシングルコアマイクロカプセル。
【請求項31】
複数の殻を有するマイクロカプセルを製造する方法であって、該方法は、
(a)下記から成る群から選択されるマイクロカプセルを準備すること:
(i)第一のマイクロカプセルのそれぞれがコア及び該コアを囲む第一の殻を含む第一のマイクロカプセルの集塊;及び前記集塊を囲む第二の殻:を具備するマルチコアマイクロカプセル;及び
(ii)コア;及び該コアを囲む第一の殻:を具備するシングルコアマイクロカプセル;
(b)前記マイクロカプセルを、殻物質の第一及び第二のポリマー成分と、水溶液中で混合すること;
(c)前記第一及び第二のポリマー成分を含む殻物質を形成するために、pH、温度、濃度及び混合スピードの少なくとも一つを調整すること、該殻物質は前記マイクロカプセルを被う付加的な殻を形成する;
ここで、前記第一の殻、前記第二の殻及び前記付加的な殻の少なくとも一つは、複合コアセルベートを含む、
を具備する方法。
【請求項32】
前記全ての殻が、複合コアセルベートを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
工程(b)において、前記マイクロカプセルが、前記第一及び第二のポリマー成分の殻物質の両方を含む水溶液と混合される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
工程(b)において、前記マイクロカプセルが、最初に、前記殻物質の第一のポリマー成分を含む水溶液と混合され、次いで、得られた混合物を前記殻物質の第二のポリマー成分を含む第二の水溶液と混合される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
下記工程をさらに具備する、請求項31に記載の方法;
(d)工程(c)で得られた前記マイクロカプセルを、殻物質の第三及び第四のポリマー成分と水溶液中で混合すること;
(e)前記第三及び第四のポリマー成分を含む殻物質を形成するために、pH、温度、濃度及び混合スピードの少なくとも一つを調整し、該殻物質は、さらに前記マイクロカプセルを被う付加的な殻を形成する。
【請求項36】
前記付加的な殻は、複合コアセルベートを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記殻物質の第三及び第四のポリマー成分が、前記殻物質の第一及び第二のポリマー成分と同一である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記殻物質の第三及び第四のポリマー成分は、前記殻物質の第一及び第二のポリマー成分と同一でない、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記第一及び第二のポリマー成分は、
タンパク質、ポリホスフェート、ポリサッカリド、アラビアゴム、アルギナート、キトサン、カラゲナン、ペクチン、セルロース及びセルロース誘導体:から成る群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記タンパク質が、A型ゼラチン、B型ゼラチン、ダイズタンパク、乳漿タンパク、乳タンパク、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第一のポリマー成分が、A型ゼラチンを含み、前記第二のポリマー成分がB型ゼラチン、ポリホスフェート、アラビアゴム、アルギナート、キトサン、カラゲナン、ペクチン又はカルボキシメチルセルロースを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
工程(b)において、前記マイクロカプセルを抗酸化剤と混合することをさらに具備する、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
前記付加的な殻を架橋剤によって架橋するさらなる工程を具備する、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
工程(b)において、前記マイクロカプセルを、蝋、油、樹脂、及び脂肪から成る群から選択される少なくとも一つの疎水性成分と混合することをさらに具備する、請求項31に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも一つの付加的な殻を前記マイクロカプセルに加えるために、工程(d)及び(e)を1〜20回繰り返すことを具備する、請求項35に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−506410(P2006−506410A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548984(P2004−548984)
【出願日】平成15年11月4日(2003.11.4)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001699
【国際公開番号】WO2004/041251
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(502390201)オーシャン・ニュートリション・カナダ・リミテッド (7)
【Fターム(参考)】