説明

西ナイルウィルスを検出するための、組成物および方法

【課題】臨床試験を行う研究室の必要性に特に適合したWNVスクリーニングアッセイを提供する。
【解決手段】第1の態様は、核酸検出用のハイブリダイゼーションアッセイプローブであり、塩基の標的相補的配列を有するプローブ配列を含み、検出しようとする核酸に相補的でない1つ以上の塩基配列を任意に含む。塩基の標的相補的配列は、特定の配列またはその相補体内に含まれた12〜87個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在を、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れており、ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、100塩基までの長さを有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2002年10月16日出願の米国仮特許出願第60/418,891号;2002年11月25日出願の米国仮特許出願第60/429,006号;および2003年2月24日出願の米国仮特許出願第60/449,810号の利益を主張する。これら先行出願の開示全体は、参照として本明細書に組み込まれている。
発明の分野
本発明は、バイオテクノロジーの分野に関する。より具体的には、本発明は、西ナイルウィルスなどのフラビウィルスの核酸検出のための診断アッセイに関する。
発明における政府の権利
本明細書に開示された本発明のある一定の態様は、合衆国国立衛生研究所の国立心肺血液研究所との契約N01−HB−07148下で政府の支持によってなされた。本発明のこれらの態様において、米国政府はある一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
西ナイルウィルス(WNV)は、第一に鳥類およびアカイエカに感染し、ヒトおよびウマが付随的宿主として働くRNAウィルスである。鳥−蚊−鳥サイクルにおけるウィルスの拡大は、成体蚊が出現する早春に始まり秋まで続く。このタイミングは、晩夏と初秋にピークとなるヒトの疾患発生率と一致する。このウィルスは、1999年ニューヨークで初めて検出されて以来、米国の大部分に急速に拡散した。
【0003】
実際、最近のヒトWNV感染に関し、2002年初めの9ヵ月間、32の州およびコロンビア特別区において、研究所で確認された合計2500以上の症例が報告された。合計120件以上のヒトの死亡が報告されており、その平均年齢は79才である。さらに、米国では、WNV感染によるほぼ5000羽のカラスの死亡とほぼ4000羽の他の鳥の死亡が報告されている。WNV感染が検出された3000匹以上の哺乳動物のうち、99%超がウマであった。また、WNV陽性蚊の池がほぼ3400箇所あることも報告されている。
【0004】
このウィルスによるヒト感染の多くは、臨床上明らかではない。全体として、150件の感染のうち1件のみが骨髄炎(脊髄の炎症)または脳炎(脳の炎症)などの重篤な神経疾患をもたらす。WNV感染と関連してより一般的に報告される、一般に3日〜6日間続くより軽い症状としては、倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、眼痛、筋肉痛、発疹およびリンパ節症をしばしば伴う突然の発熱が挙げられる。WNVの潜伏期は正確には知られていないが、恐らく3日〜14日の範囲であると思われる。1999年ニューヨーク発生時の100万人当たりの発病率の分析により、19才までの人に較べて少なくとも80才の人における重篤な神経疾患発生率が40倍以上高いことが示された。このように、より重篤な神経疾患にとって、高齢は重要な危険因子である。
【0005】
蚊からの伝染の他に、伝染は、輸血や臓器移植に関連していた。例えば、2002年中に米国では、単一のドナーから臓器移植された4人のレシピエントが西ナイルウィルスに感染した。レシピエントのうち3人が脳炎を発病し、この3人のうち1人がその結果死亡した。4人目のレシピエントでは脳炎はなく、ウィルス感染の軽い症状が発現したが、このウィルスに関する試験では、やはり陽性であった。自動車事故で負傷したこの臓器ドナーは、死亡する前に血液製剤の輸血を多数受けていた。彼女が、その自己前に疾患を有していたかどうかは不明であり、彼女の血液サンプルは、いずれの輸血前に採取されたものにおいても西ナイルウィルスの証拠は示されなかった。別の例では、母乳にWNVを含有した授乳婦と、男性の肝臓移植患者が双方とも、共通のドナーから輸血を受け、双方とも西ナイルウィルス感染を発現した。そのドナーの保存血液サンプルは、WNVに関する試験で陽性であり、やはり、この感染ウィルスの共通源を示唆した。
【0006】
西ナイルウィルスは、分類学上、フラビウィルス属下、フラビビリダエ(Flaviviridae)科に分類される一本鎖プラスセンスRNAウィルスである。したがって、このウィルスは、ヒトの脳炎、すなわち、日本脳炎、セントルイス脳炎、マーレーバレー脳炎、およびクンジン(Kunjin)ウィルス(西ナイルウィルスのオーストラリアサブタイプ)に関連する医学的に重要な幾つかのウィルスを含む日本脳炎ウィルス血清複合体のメンバーである。このウィルスのゲノムサイズは、およそ11kbである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
WNVに関する核酸に基づく試験は記載されている。例えば、Shiら、J.Ckin.Microbiol.39:p.1264(2001)に、WNV核酸に関するリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイを記載している。Lanciottiら、J.Clin.Microbiol.38:p.4066(2001)に、ヒト標本、蚊の池、および鳥類組織標本におけるWNV RNAの検出に関するTaqManに基づくアッセイを記載している。これらのPCRベースの試験が利用できるにも係らず、臨床試験を行う研究室の必要性に特に適合したWNVスクリーニングアッセイに対する必要性は依然として存在している。この方法は、多数の臨床的および提供された血液サンプルまたは組織サンプルの試験に必要とされ得る高スループットスクリーニングを特に提供するものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明の第1の態様は、核酸検出用のハイブリダイゼーションアッセイプローブに関する。このハイブリダイゼーションアッセイプローブは、塩基の標的相補的配列を有するプローブ配列を含み、検出しようとする核酸に相補的でない1つ以上の塩基配列を任意に含む。塩基の標的相補的配列は、配列番号101の配列またはその相補体内に含まれた12〜87個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在を、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。一般に、本発明のハイブリダイゼーションアッセイプローブは、100塩基までの長さを有することができる。1つの好ましい実施形態において、塩基の標的相補的配列は、配列番号102の配列またはその相補体内に含まれた12〜69個の連続的塩基からなり、RNAおよびDNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。さらにより好ましくは、前記ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、検出しようとする核酸に相補的でない任意の塩基配列を含む。さらに一層好ましくは、前記ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、検出可能な標識を含む。例えば、前記プローブは、発蛍光団部分および消光因子部分を含み得る。そのような一例において、前記ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、分子ビーコンであり得る。分子ビーコンの例としては、配列番号179、配列番号180または配列番号181のいずれか1つからなる塩基の標的相補的配列を挙げることができる。本発明のハイブリダイゼーションアッセイプローブの他の好ましい実施形態によると、塩基の標的相補的配列が、配列番号102の配列またはその相補体内に含まれた12〜69個の連続的塩基からなり、RNAおよびDNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、または20%までの塩基の差異を考慮に入れる場合、このプローブ配列は、検出しようとする核酸に相補的でない任意の塩基配列を含まない。さらにより好ましくは、本発明のハイブリダイゼーションアッセイプローブは、69塩基までの長さを有し、さらに一層好ましくは、検出可能な標識を含む。他の好ましい実施形態によれば、塩基の標的相補的性配列は、配列番号103の配列またはその相補体内に含まれた18〜52個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。さらにより好ましくは、前記プローブ配列は、検出しようとする核酸に相補的でない任意の塩基配列を含まないが、さらに検出可能な標識を含み得る。この検出可能な標識は、化学発光標識か、または蛍光標識であり得る。代替の実施形態によれば、前記ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、配列番号103の配列またはその相補体内に含まれた18〜52個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの差異を考慮に入れたものであり、52塩基までの長さを有する。この場合、塩基の標的相補的配列は、配列番号103の配列またはその相補体内に含まれた18〜22個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものであり、このハイブリダイゼーションアッセイプローブは、22塩基までの長さを有することができる。一実施形態において、本発明のプローブは、配列番号116の配列を有することができる。他の実施形態において、前記プローブ配列は、配列番号114、配列番号111、配列番号110、配列番号109、配列番号108、配列番号107または配列番号106のいずれかであり得る。
【0009】
本発明の他の態様は、生物学的サンプルに存在し得る標的核酸配列増幅用キットに関する。本発明のキットは、3’末端標的相補的配列を有する第1のプライマーを含み、増幅すべき標的核酸配列に相補的でない第1プライマー上流配列を任意に含む。この第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号73の配列またはその相補体内に含まれた22個の連続的塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。また、前記キットは、3’末端標的相補的配列を有する第2のプライマーを含み、増幅しようとする標的核酸配列に相補的でない第2プライマー上流配列を任意に含む。この第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号59の配列またはその相補体内に含まれた18個の連続的塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。本発明のキットの1つの好ましい実施形態において、第1プライマーおよび第2プライマーは各々、長さが60塩基までである。他の好ましい実施形態において、第1プライマーの3’末端標的相補的配列および第2プライマーの3’末端標的相補的配列は各々、長さが35塩基までである。この場合、第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、長さが24塩基までであることが好ましい。あるいは、さらに他の好ましい実施形態によれば、第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、長さが35塩基までであり得、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、長さが22塩基までであり得る。第1プライマーの長さが、24塩基までである場合、第2プライマーの3’末端標的相補的配列の長さが22塩基までであることが極めて好ましい。さらにより好ましくは、第1プライマーは、T7 RNAポリメラーゼに対するプロモーター配列などの第1プライマー上流配列を含む。本発明のキットの他の好ましい実施形態によれば、第1プライマーの3’末端標的相補的配列の長さが、24塩基までであり、第2プライマーの3’末端標的相補的配列の長さが、22塩基までの場合、第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号75、配列番号76および配列番号77のうちのいずれかであることが好ましく、また、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号60、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70および配列番号71のうちのいずれかであることが好ましい。他の好ましい実施形態によれば、第1プライマーの3’末端標的相補的配列の長さが、24塩基までであり、第2プライマーの3’末端標的相補的配列の長さが、35塩基までの場合、第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号74の配列またはその相補体内に含まれた22個の連続的塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。この場合、第2プライマーの3’末端標的相補的配列の長さは、22塩基までであり得る。あるいは、第1プライマーは、T7RNAポリメラーゼに対するプロモーター配列などの第1プライマー上流配列を含み得る。
【0010】
本発明の他の態様は、核酸検出用のハイブリダイゼーションアッセイプローブに関する。本発明のハイブリダイゼーションアッセイプローブは、塩基の標的相補的配列を有するプローブ配列を含み、検出しようとする核酸に相補的でない1つ以上の塩基配列を任意に含む。塩基の標的相補的配列は、配列番号99の配列またはその相補体内に含まれた10〜20個の連続的塩基からなり、RNAおよびDNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。最後に、本発明のハイブリダイゼーションアッセイプローブは、100塩基までの長さを有することができる。1つの好ましい実施形態において、前記ハイブリダイゼーションアッセイプローブの長さは、30塩基までである。さらにより好ましくは、前記プローブ配列は、検出しようとする核酸に相補的でない1つ以上の塩基配列を任意に含む。この実施形態の第1の変法によれば、さらに検出可能な標識が含まれる。この実施形態の第2の変法によれば、さらに発蛍光団部分および消光因子部分が含まれ、前記ハイブリダイゼーションアッセイプローブは分子ビーコンである。ハイブリダイゼーションアッセイプローブの長さが30塩基までである異なる実施形態において、前記プローブ配列は、配列番号99の配列またはその相補体内に含まれた10〜20個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものであり、WNV核酸に相補的でない任意の塩基配列を含まない。より好ましくは、前記ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、20塩基までの長さを有する。ハイブリダイゼーションアッセイプローブの長さが30塩基までである一定の実施形態において、塩基の標的相補的配列は、配列番号99の配列またはその相補体内に含まれた19〜20個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。この実施例の第1の好ましい変法によれば、プローブ配列は、配列番号99の配列またはその相補体内に含まれた19〜20個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの差異を考慮に入れたものであり、検出しようとする核酸に相補的でない任意の塩基配列を含まない。この実施例の第2の好ましい変法によれば、ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、化学発光標識または蛍光標識などの検出可能な標識をさらに含む。この実施例の第3の好ましい変型によれば、塩基の標的相補的配列は、配列番号99の配列またはその相補体内に含まれた19〜20個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものであり、ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、20塩基までの長さを有する。プローブ配列は、配列番号100であり得る。ハイブリダイゼーションアッセイプローブの長さが30塩基までであり、プローブ配列が検出しようとする核酸に相補的でない任意の塩基配列を含む場合の異なる実施形態によれば、塩基の標的相補的配列は、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169または配列番号170のいずれかであり得る。
【0011】
本発明の他の態様は、生物学的サンプル中に存在し得る標的核酸配列の増幅用キットに関する。前記キットは、3’末端標的相補的配列を含む第1プライマーを含み、増幅しようとする標的核酸配列に相補的でない第1プライマー上流配列を任意に含む。第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号52内に含まれた22個の連続的塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。前記キットはさらに、3’末端標的相補性配列を含む第2プライマーを含み、増幅しようとする標的核酸配列に相補的でない第2プライマー上流配列を任意に含む。第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号41内に含まれた22個の連続的塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。好ましい一実施形態において、第1プライマーおよび第2プライマーは、各々60塩基までの長さである。異なる好ましい一実施形態において、第1プライマーの3’末端標的相補的配列および第2プライマーの3’末端標的相補的配列は各々、35塩基までの長さである。この場合、第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、26塩基までの長さであることが好ましい。第1プライマーの3’末端標的相補的配列および第2プライマーの3’末端標的相補的配列が各々、35塩基までの長さである、異なる好ましい実施形態によれば、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、23塩基までの長さであり得る。さらに他の実施形態において、第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、26塩基までの長さであり、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、23塩基までの長さであることが好ましい。この実施形態の第1の好ましい変法によれば、第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号53、配列番号54および配列番号55よりなる群から選択でき、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50および配列番号51よりなる群から選択できる。この実施形態の第2の好ましい変法によれば、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、23塩基までの長さである。この場合、第1プライマーは、T7RNAポリメラーゼに対するプロモーター配列などの第1プライマー上流配列を含み得る。
【0012】
本発明の他の態様は、核酸を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイプローブに関する。本発明のハイブリダイゼーションアッセイプローブは、塩基の標的相補的配列を含み、検出しようとする核酸に相補的でない1つ以上の塩基配列を含むプローブ配列を任意に有する。塩基の標的相補的配列は、配列番号95の配列またはその相補体内に含まれた13〜37個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。一般的に言って、ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、100塩基までの長さを有し得る。好ましい一実施形態において、ハイブリダイゼーションアッセイプローブの長さは、37塩基までである。より好ましくは、ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、検出すべき核酸に相補的でない任意の塩基配列を含む。さらにより好ましくは、ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、さらに検出可能な標識を含む。例えば、ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、さらに発蛍光団部分および消光因子部分を含み得る。この場合、ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、分子ビーコンであり得る。本発明のハイブリダイゼーションアッセイプローブの異なる一実施形態において、プローブ配列は、配列番号95の配列またはその相補体内に含まれた13〜20個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものであり、検出しようとする核酸に相補的でない任意の塩基配列を含まない。ハイブリダイゼーションアッセイプローブの長さが37塩基までであるさらに他の実施態様によれば、塩基の標的相補的配列は、配列番号95の配列またはその相補体内に含まれた20個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものであり、検出しようとする核酸に相補的でない任意の塩基配列を含まない。さらにより好ましくは、ハイブリダイゼーションアッセイプローブはさらに、化学発光標識または蛍光標識などの検出可能な標識を含む。さらに他の好ましい実施態様によれば、ハイブリダイゼーションアッセイプローブの長さが37塩基までであり、かつ塩基の標的相補性配列が、配列番号95の配列またはその相補体内に含まれた13〜20個の連続的塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物
、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れた場合、プローブ配列は、検出しようとする核酸に相補的でない任意の塩基配列を含まず、ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、20塩基までの長さを有する。例えば、プローブ配列は、配列番号98であり得る。一般的に言って、ハイブリダイゼーションアッセイプローブの長さが37塩基までの場合、塩基の標的相補的配列は、例えば、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、または配列番号158のいずれか1つであり得る。
【0013】
本発明の他の態様は、生物学的サンプル中に存在し得る標的核酸配列の増幅用キットに関する。本発明のキットは、3’末端標的相補的配列を含む第1プライマーを含み、増幅すべき標的核酸配列に相補的でない第1プライマー上流配列を任意に含む。第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号16内に含まれた20個の連続的塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。前記キットはさらに、長さが30塩基までの3’末端標的相補的配列を含む第2プライマーを含み、増幅しようとする標的核酸配列に相補的でない第2プライマー上流配列を任意に含む。第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号1内に含まれた20個の連続的塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。好ましい一実施形態において、第1プライマーおよび第2プライマーは、各々60塩基までの長さである。異なる好ましい一実施形態において、第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、35塩基までの長さである。この実施形態の第1の好ましい変法によれば、第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、24塩基までの長さである。この実施形態の第2の好ましい変法によれば、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、24塩基までの長さである。さらに他の好ましい実施形態において、第1プライマーの3’末端標的相補的配列が24塩基までの長さである場合、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、好ましくは24塩基までの長さである。代替の実施形態において、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、26塩基までの長さであり、配列番号2内に含まれた20個の連続的塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。この実施形態の第1の好ましい変法によれば、第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、24塩基までの長さである。この実施形態の第2の好ましい変型によれば、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、24塩基までの長さである。好ましくは、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、24塩基までの長さである。さらにより好ましくは、第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号24、配列番号25、配列番号26または配列番号28のいずれか1つである。第1プライマーの3’末端標的相補的配列が、24塩基までの長さであり、第2プライマーの3’末端標的相補的配列が、26塩基までの長さであり、配列番号2内に含まれた20個の連続的塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたある一定の実施形態において、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14または配列番号15のいずれか1つである。あるいは、第1プライマーの3’末端標的相補的配列が、配列番号24、配列番号25、配列番号26または配列番号28のいずれか1つである場合、第2プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14または配列番号15のいずれか1つであり得る。極めて好ましい一実施形態によれば、第1プライマーは、T7RNAポリメラーゼに対するプロモーター配列などの第1プライマー上流配列を含む。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
核酸を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
該プローブは、
標的相補的塩基配列、および必要に応じて、
検出しようとする該核酸に相補的でない1つ以上の塩基配列
を含むプローブ配列
を含み、
ここで、該標的相補的塩基配列が、配列番号101の配列またはその相補体内に含まれた12〜87連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容しており、
ここで、該ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、100塩基までの長さを有する、ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目2)
項目1に記載のハイブリダイゼーションプローブであって、上記標的相補的塩基配列が、配列番号102の配列またはその相補体内に含まれた12〜69の連続塩基からなり、RNA等価物とDNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容している、ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目3)
上記ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、検出すべき上記核酸に相補的でない上記必要に応じた1つ以上の塩基配列を含む、項目2に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目4)
検出可能な標識をさらに含む項目3に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目5)
上記ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、発蛍光団部分、消光因子部分をさらに含み、分子ビーコンである項目3に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目6)
上記標的相補的塩基配列が、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号182または配列番号183のいずれか1つからなる、
項目5に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目7)
上記プローブ配列が、検出すべき上記核酸に相補的でない上記任意の1つ以上の塩基配列を含まない項目2に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目8)
上記ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、69塩基までの長さを有する、項目7に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目9)
検出可能な標識をさらに含む、項目8に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目10)
項目2に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、上記標的相補的塩基配列が、配列番号103の配列またはその相補体内に含まれた18〜52連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容する、ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目11)
上記プローブ配列が、検出しようとする上記核酸に相補的でない上記必要に応じた1つ以上の塩基配列を含まない、項目10に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目12)
検出可能な標識をさらに含む、項目11に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目13)
上記検出可能な標識が、化学発光標識および蛍光標識よりなる群から選択される、項目12に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目14)
上記ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、52塩基までの長さを有する、項目10に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目15)
項目14に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
上記標的相補的塩基配列が、配列番号103の配列またはその相補体内に含まれた18〜22連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在および10%までの塩基の差違を考慮に入れたものであり、上記ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、22塩基までの長さを有する、
ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目16)
上記プローブ配列が、配列番号116からなる、項目1に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目17)
上記プローブ配列が、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111および配列番号114よりなる群から選択される、項目15に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目18)
生物学的サンプルに存在し得る標的核酸配列を増幅するためのキットであって、
該キットは、
第1のプライマーおよび
第2のプライマー
を備え、
該第1のプライマーは、3’末端標的相補的配列、および、必要に応じて、増幅される該標的核酸配列に相補的でない第1プライマー上流配列を含み、
該第1プライマーの3’末端標的相補的配列は、配列番号73に含まれた22連続塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容し;そして
該第2のプライマーは、3’末端標的相補的配列、および、必要に応じて、増幅される上記標的核酸配列に相補的でない第2プライマー上流配列を含み、
該第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列は、配列番号59に含まれた18連続塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容する、
キット。
(項目19)
上記第1プライマーおよび上記第2プライマーが、各々60塩基までの長さである、項目18に記載のキット。
(項目20)
上記第1プライマーの3’末端標的相補的配列、および第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、各々35塩基までの長さである、項目18に記載のキット。
(項目21)
上記第1プライマーの3’末端標的相補的配列が、24塩基までの長さである項目20に記載のキット。
(項目22)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、22塩基までの長さである項目20に記載のキット。
(項目23)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、22塩基までの長さである項目21に記載のキット。
(項目24)
上記第1プライマーが、上記第1プライマー上流配列を含む項目23に記載のキット。
(項目25)
上記第1プライマー上流配列が、T7RNAポリメラーゼに対するプロモーター配列を含む、項目24に記載のキット。
(項目26)
項目23に記載のキットであって、
上記第1プライマーの3’末端標的相補的配列が、配列番号75、配列番号76および配列番号77よりなる群から選択され、
上記第2プライマーの3’末端標的相補的配列が、配列番号60、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70および配列番号71よりなる群から選択される、
キット。
(項目27)
項目21に記載のキットであって、
上記第1プライマーの3’末端標的相補的配列が、配列番号74に含まれた22連続塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容する、
キット。
(項目28)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、22塩基までの長さである項目27に記載のキット。
(項目29)
上記第1プライマーが、上記第1プライマー上流配列を含む項目27に記載のキット。
(項目30)
上記第1プライマー上流配列が、T7RNAポリメラーゼに対するプロモーター配列を含む項目29に記載のキット。
(項目31)
核酸を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
該プローブは、標的相補的塩基配列、および、必要に応じて、
検出しようとする核酸に相補的でない1つ以上の塩基配列
を含むプローブ配列を含み、
該標的相補的塩基配列が、配列番号99の配列またはその相補体内に含まれた10〜20連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容し、
ここで、該ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、100塩基までの長さを有する、
ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目32)
上記ハイブリダイゼーションアッセイプローブの長さが、30塩基までである、
項目31に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目33)
上記プローブ配列が、検出しようとする上記核酸に相補的でない必要に応じた1つ以上の塩基配列を含む、項目32に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目34)
検出可能な標識をさらに含む、項目33に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目35)
上記ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、発蛍光団部分、消光因子部分をさらに含み、分子ビーコンである項目33に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目36)
項目31に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
上記プローブ配列が、配列番号99の配列またはその相補体内に含まれた10〜20連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容しており、かつ
上記WNV核酸に相補的でない上記任意の1つ以上の塩基配列を含まない、
ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目37)
上記ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、20塩基までの長さを有する、項目36に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目38)
項目32に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
上記標的相補的塩基配列が、配列番号99の配列内またはその相補体内に含まれた19〜20連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容する、
ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目39)
項目38に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
上記プローブ配列が、配列番号99の配列またはその相補体内に含まれた19〜20連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容し、検出すべき核酸に相補的でない必要に応じた1つ以上の塩基配列を含まない、
ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目40)
検出可能な標識をさらに含む、項目38に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目41)
上記検出可能な標識が、化学発光標識および蛍光標識よりなる群から選択される、
項目40に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目42)
項目38に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
上記標的相補的塩基配列が、配列番号99の配列またはその相補体内に含まれた19〜20連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容し、
ここで、該ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、20塩基までの長さを有する、ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目43)
上記標的相補的塩基酸配列が、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169および配列番号170よりなる群から選択される、項目33に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目44)
上記プローブ配列が、配列番号100である項目42に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目45)
生物学的サンプルに存在し得る標的核酸配列を増幅するためのキットであって、
該キットは、
第1のプライマーおよび
第2のプライマー
を備え、
該第1のプライマーは、3’末端標的相補的配列、および、必要に応じて、
、増幅される上記標的核酸配列に相補的でない第1プライマー上流配列を含み、
該記第1プライマーの3’末端標的相補的配列が、配列番号52に含まれた22連続塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容し;そして、
該第2のプライマーは、3’末端標的相補的配列、および必要に応じて、増幅される標的核酸配列に相補的でない第2プライマー上流配列を含み
該第2プライマーの3’末端標的相補的配列が、配列番号41に含まれた22連続塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容する、
キット。
(項目46)
上記第1プライマーおよび上記第2プライマーが、各々60塩基までの長さである、項目45に記載のキット。
(項目47)
上記第1プライマーの3’末端標的相補的配列および上記第2プライマーの3’末端標的相補的配列が、各々35塩基までの長さである、項目45に記載のキット。
(項目48)
上記第1プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、26塩基までの長さである、項目47に記載のキット。
(項目49)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、23塩基まである、項目47に記載のキット。
(項目50)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、23塩基までの長さである、項目48に記載のキット。
(項目51)
項目50に記載のキットであって、
上記第1プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、配列番号53、配列番号54および配列番号55よりなる群から選択され、
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、配列番号42、配列番号47、配列番号48、配列番号43、配列番号49、配列番号44、配列番号45、配列番号50、配列番号51、および配列番号46よりなる群から選択される、
キット。
(項目52)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、23塩基までの長さである、項目48に記載のキット。
(項目53)
上記第1プライマーが、上記第1プライマー上流配列を含む、項目52に記載のキット。
(項目54)
上記第1プライマー上流配列が、T7RNAポリメラーゼに対するプロモーター配列を含む、項目53に記載のキット。
(項目55)
核酸を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
該ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、
標的相補的塩基配列、および必要に応じて、
検出しようとする上記核酸に相補的でない1つ以上の塩基配列
を含むプローブ配列を含み、
該標的相補的塩基配列が、配列番号95の配列またはその相補体内に含まれた13〜37連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容し、
ここで、該ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、100塩基までの長さを有する、ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目56)
上記ハイブリダイゼーションアッセイプローブの上記長さが、37塩基までである項目55に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目57)
上記ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、検出しようとする上記核酸に相補的でない上記任意の1つ以上の塩基配列を含む、項目56に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目58)
検出可能な標識をさらに含む、項目57に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目59)
上記ハイブリダイゼーションアッセイプローブが、発蛍光団部分、消光因子部分をさらに含み、分子ビーコンである、項目57に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目60)
項目55に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
上記プローブ配列が、配列番号95の配列またはその相補体内に含まれた13〜20連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の相違の存在を許容し、検出しようとする核酸に相補的でない上記任意の1つ以上の塩基配列を含まない、
ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目61)
項目56に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
上記標的相補的塩基配列が、配列番号95の配列内またはその相補体内に含まれた13〜20連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在および10%までの塩基の差違を許容し、
ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目62)
項目61に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
上記プローブ配列が、配列番号95の配列内またはその相補体内に含まれた20連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容し、検出すべき核酸に相補的でない上記任意の1つ以上の塩基配列を含まない、
ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目63)
検出可能な標識をさらに含む項目61に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目64)
上記検出可能な標識が、化学発光標識および蛍光標識よりなる群から選択される、項目63に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目65)
項目61に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
上記標的相補的塩基配列が、配列番号95の配列内またはその相補体内に含まれた13〜20連続塩基からなり、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在および10%までの塩基の差違を考慮に入れたものであり、上記プローブ配列は、検出しようとする核酸に相補的でない上記任意の1つ以上の塩基配列を含まず、該ハイブリダイゼーションアッセイプローブは、20塩基までの長さを有する、ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目66)
項目57に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブであって、
上記標的相補的塩基配列が、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、および配列番号158よりなる群から選択される、
ハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目67)
上記プローブ配列が、配列番号98である項目65に記載のハイブリダイゼーションアッセイプローブ。
(項目68)
生物学的サンプルに存在し得る標的核酸配列を増幅するためのキットであって、
該キットは、
第1プライマーおよび
第2プライマー
を備え、
該第1プライマーは、3’末端標的相補的配列、および必要に応じて、増幅される上記標的核酸配列に相補的でない第1プライマー上流配列を含み、
該第1プライマーの3’末端標的相補的配列が、配列番号16に含まれた20連続塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容し;そして
該第2のプライマーは、30塩基までの長さの3’末端標的相補的配列、および必要に応じて、増幅される上記標的核酸配列に相補的でない第2プライマー上流配列を含み、
該第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、配列番号1内に含まれた20連続塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の差違の存在を許容する、
を含むキット。
(項目69)
上記第1プライマーおよび上記第2プライマーが、各々60塩基までの長さである、項目68に記載のキット。
(項目70)
上記第1プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、35塩基までの長さである、項目68に記載のキット。
(項目71)
上記第1プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、24塩基までの長さである、項目70に記載のキット。
(項目72)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、24塩基まである、項目70に記載のキット。
(項目73)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、24塩基までの長さである、項目71に記載のキット。
(項目74)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、26塩基までの長さであり、配列番号2に含まれた20連続塩基を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび10%までの塩基の相違の存在を許容する、項目70に記載のキット。
(項目75)
上記第1プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、24塩基までの長さである、項目74に記載のキット。
(項目76)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、24塩基までの長さである、項目74に記載のキット。
(項目77)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、24塩基までの長さである、項目75に記載のキット。
(項目78)
上記第1プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、配列番号24、配列番号25、配列番号26および配列番号28よりなる群から選択される項目75に記載のキット。
(項目79)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号13および配列番号15よりなる群から選択される、項目75に記載のキット。
(項目80)
上記第2プライマーの上記3’末端標的相補的配列が、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号13および配列番号15よりなる群から選択される、項目78に記載のキット。
(項目81)
上記第1プライマーが、上記第1プライマー上流配列を含む、項目80に記載のキット。
(項目82)
上記第1プライマー上流配列が、T7RNAポリメラーゼに対するプロモーター配列を含む項目81に記載のキット。

定義
以下の用語は、特に本明細書に反する言明がなされない限り、本開示のために以下の意味を有する。
【0014】
本明細書に用いられる「生物学的サンプル」とは、ヒト、動物または環境サンプルから得られた任意の組織またはポリヌクレオチド含有物質である。本発明による生物学的サンプルとしては、末梢血液、血漿、血清または他の体液、骨髄または他の器官、生検組織または生物学的起源の他の物質が挙げられる。生物学的サンプルは、組織または細胞構造を崩壊させ、それによって酵素、緩衝液、塩類、界面活性剤などを含有し得る溶液中に細胞内成分を放出させるために処理できる。
【0015】
本明細書で用いられる「ポリヌクレオチド」とは、配列内に存在でき、ポリヌクレオチドと相補的配列を有する第2の分子とのハイブリダイゼーションを妨害しない任意の合成ヌクレオチドアナログまたは他の分子と一緒のRNAまたはDNAのいずれかを意味する。
【0016】
本明細書で用いられる「検出可能な標識」とは、検出できるか、または検出可能な応答を導くことのできる化学種である。本発明による検出可能な標識は、直接的または間接的にポリヌクレオチドプローブに結合することができ、ラジオアイソトープ、酵素類、ハプテン類、染料または検出可能な色を付与する粒子(例えば、ラテックスビーズまたは金属粒子)などの発色団、発光化合物(例えば、生物発光部分、りん光部分または化学発光部分)および蛍光化合物が挙げられる。
【0017】
「均一検出可能標識」とは、標識が標的配列にハイブリダイゼーションしたプローブ上にあるかどうかを測定することによって均一な様式で検出できる標識を言う。すなわち、均一検出可能標識は、標識または標識プローブのハイブリダイゼーションした形体をハイブリダイゼーションしていない形体から取り出すことなく検出できる。WNV核酸を検出するために標識プローブを用いる場合は、均一検出可能標識が好ましい。均一標識の例は、Arnoldら、米国特許第5,283,174号;Woodheadら、米国特許第5,656,207号;およびNelsonら、米国特許第5,658,737号により詳細に記載されている。均一アッセイに使用するための好ましい標識としては、化学発光化合物(例えば、Woodheadら、米国特許第5,656,207号;Nelsonら、米国特許第5,658,737号;およびArnold,Jr.ら、米国特許第5,639,604号を参照)が挙げられる。好ましい化学発光標識は、標準的AEまたはその誘導体(例えば、ナフチルAE、オルト−AE、1−または3−メチル−AE、2,7−ジメチル−AE、4,5−ジメチル−AE、オルト−ジブロモ−AE、オルト−ジメチル−AE、メタ−ジメチル−AE、オルト−メトキシ−AE、オルト−メトキシ(シンナミル)−AE、オルト−メチル−AE、オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−メタ−ジフルオロ−AE、および2−メチル−AE)などのアクリジニウム(「AE」)化合物である。
【0018】
「均一アッセイ」とは、特定のプローブハイブリダイゼーションの程度を測定する前に、ハイブリダイゼーションしていないプローブからハイブリダイゼーションしたプローブの物理的分離を必要としない検出操作を言う。本明細書に記載されているものなどの例示的均一アッセイでは、適切な標識にハイブリダイゼーションすると蛍光シグナルを発する分子ビーコンまたは他の自己報告プローブ、ハイブリッド二本鎖で存在しなければ化学的手段で選択的に破壊できる化学発光アクリジニウムエステル標識および当業界の通常の技術者に周知の他の均一検出可能標識を使用することができる。
【0019】
本明細書で用いられる「増幅」とは、標的核酸配列、その相補体またはその断片の複数のコピーを得るためのインビトロ操作を言う。
【0020】
「標的核酸」または「標的」とは、標的核酸配列を含む核酸を意味する。一般に、増幅される核酸配列は、2つの逆に配置されたプライマーの間に配置され、各プライマーに完全に相補的な標的核酸部分を含むことになる。
【0021】
「標的核酸配列」または「標的配列」または「標的領域」とは、一本鎖核酸分子のヌクレオチド配列の全てまたは部分を含む特定のデオキシリボヌクレオチド配列またはリボヌクレオチド配列およびそれに相補的なデオキシリボヌクレオチド配列またはリボヌクレオチド配列を意味する。
【0022】
「転写関連増幅」とは、RNAポリメラーゼを用いて核酸テンプレートから複数のRNA転写体を生産する任意のタイプの核酸増幅を意味する。「転写媒介増幅」(TMA)と称される転写関連増幅の一例では、一般にRNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、三リン酸デオキシリボヌクレオシド、三リン酸リボヌクレオシドおよびプロモーターテンプレート相補性オリゴヌクレオチドが用いられ、任意に1種以上のオリゴヌクレオチドアナログを含み得る。TMAの変法は、Burgら、米国特許第5,437,990号;Kacianら、米国特許第5,399,491号および米国特許第5,554,516号;Kacianら、国際公開第93/22461号;Gingerasら、国際公開第88/01302号;Gingerasら、国際公開第88/10315号;Malekら、米国特許第5,130,238号;Urdeaら、米国特許第4,868,105号および米国特許第5,124,246号;McDonoughら、国際公開第94/03472号;およびRyderら、国際公開第95/03430号に詳細に開示されているとおり、当業界に周知である。Kacianらの方法は、本明細書に開示されたタイプの核酸増幅操作を行う上で好ましい。
【0023】
本明細書で用いられる「オリゴヌクレオチド」または「オリゴマー」は、少なくとも2つ、一般に約5つから約100の間の化学的サブユニットの高分子鎖であり、各サブユニットはヌクレオチド塩基部分、糖部分およびサブユニットを線状の空間配置につなぐ結合部分を含む。一般的なヌクレオチド塩基部分は、グアニン(G)、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)およびウラシル(U)であるが、水素結合できる他の希少な、または修飾されたヌクレオチド塩基は当業者によく知られている。オリゴヌクレオチドは、任意に糖部分、塩基部分および骨格構成要素、いずれかのアナログを含み得る。本発明の好ましいオリゴヌクレオチドは、約10残基から100残基の範囲のサイズに入る。オリゴヌクレオチドは、天然源から精製できるが、種々の周知の酵素的または化学的方法のいずれかを用いて合成されることが好ましい。
【0024】
本明細書に用いられる「プローブ」は、ハイブリダイゼーションを促進する条件下で、核酸内、好ましくは増幅された核酸内の標的配列に特異的にハイブリダイゼーションし、検出可能なハイブリッドを形成するオリゴヌクレオチドである。プローブは、任意にプローブの一端または両端に付加され得るか、または内部にあり得る検出可能部分を含有し得る。標的ポリヌクレオチドと組み合わせるプローブのヌクレオチドは、プローブの配列内の検出可能部分の場合のように厳密に連続的である必要はない。検出は、直接的(すなわち、標的配列または増幅核酸に直接ハイブリダイゼーションするプローブから生じる)でもよいし、また、間接的(すなわち、プローブを標的配列または増幅核酸に結合させる中間分子構造にハイブリダイゼーションするプローブから生じる)でもよい。プローブの「標的」は、一般に標準的な水素結合(すなわち塩基対合)を用いて、プローブオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に特異的にハイブリダイゼーションする増幅核酸配列内に含まれる配列である。プローブは、標的特異的配列および任意に、検出すべき標的配列に非相補的な他の配列を含み得る。これらの非相補的配列は、プロモーター配列、制限エンドヌクレアーゼ認識部位またはプローブの三次元立体配座に寄与する配列(例えば、Lizardiら、米国特許第5,118,801号および米国特許第5,312,728号)を含み得る。「十分に相補的な」配列は、プローブの標的特異的配列に完全には相補的でない標的配列に対するプローブオリゴヌクレオチドの安定なハイブリダイゼーションを可能にする。
【0025】
本明細書に用いられる「増幅プライマー」は、標的核酸またはその相補体にハイブリダイゼーションして、核酸増幅反応に寄与するオリゴヌクレオチドである。例えば、増幅プライマー、またはより簡単に「プライマー」は、任意にテンプレート核酸にハイブリダイゼーションすることができ、DNAポリメラーゼ活動によって伸長できる修飾オリゴヌクレオチドであり得る。一般にプライマーは、下流WNV相補的配列を有し、WNV核酸に相補的でない上流配列を任意に有する。任意の上流配列は、例えば、RNAポリメラーゼプロモーターとして働き得るか、または制限エンドヌクレアーゼ開裂部位を含有し得る。
【0026】
「実質的に相同な」、「実質的に相当している」または「実質的に相当する」とは、対象オリゴヌクレオチドが参照塩基配列(RNA等価物およびDNA等価物を除く)に存在する少なくとも10塩基連続領域に対して、少なくとも70%相同、好ましくは少なくとも80%相同、より好ましくは少なくとも90%相同、最も好ましくは少なくとも100%相同である、少なくとも10塩基連続領域を含む塩基配列を有することを意味する。当業者は、標的配列に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを許容する一方、許容できないレベルの非特異的ハイブリダイゼーションを防ぐ種々のパーセンテージの相同性で、ハイブリダイゼーションアッセイ条件に対してなし得る修飾を容易に理解するであろう。類似の程度は、2つの配列を作り上げているヌクレオ塩基の順序を比較することによって決定され、構造の違いが相補的塩基との水素結合を防げないという条件で、2つの配列間に存在し得る他の構造の違いは考慮に入れない。2つの配列間の相同性の程度は、比較されている少なくとも10の連続塩基の各セットに存在する塩基誤対合の数によっても表すことができ、それは0〜2塩基の違いの範囲であり得る。
【0027】
「実質的に相補的」とは、対象オリゴヌクレオチドが標的核酸配列(RNA等価物およびDNA等価物を除く)に存在する少なくとも10塩基連続領域に対して、少なくとも70%相補的、好ましくは少なくとも80%相補的、より好ましくは少なくとも90%相補的、最も好ましくは少なくとも100%相補的である、少なくとも10塩基連続領域を含む塩基配列を有することを意味する。当業者は、標的配列に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを許容する一方、許容できないレベルの非特異的ハイブリダイゼーションを防ぐ種々のパーセンテージの相補性で、ハイブリダイゼーションアッセイ条件に対してなし得る修飾を容易に理解するであろう。相補性の程度は、2つの配列を作り上げているヌクレオ塩基の順序を比較することによって決定され、構造の違いが相補的塩基との水素結合を防げないという条件で、2つの配列間に存在し得る他の構造の違いは考慮に入れない。2つの配列間の相補性の程度は、比較されている少なくとも10の連続塩基の各セットに存在する塩基誤対合の数によっても表すことができ、それは0〜2塩基の違いの範囲であり得る。
【0028】
「十分に相補的」とは、一連の相補的塩基との間の水素結合により、他の塩基配列にハイブリダイゼーションできる連続的核酸塩基配列を意味する。相補的塩基配列は、標準的塩基対合(例えば、G:C、A:TまたはA:U対合)を用いて、オリゴヌクレオチドの塩基配列における各位置で相補的であり得るか、または、標準的水素結合を用いて相補的でない1つ以上の残基(非塩基「ヌクレオチド」を含む)を含有し得るが、全体の相補的塩基配列が、適切なハイブリダイゼーション条件下で、他の塩基配列と特異的にハイブリダイゼーションできる。連続的塩基は、オリゴヌクレオチドが特異的にハイブリダイゼーションすることが意図されている配列に対して、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約100%相補的である。適切なハイブリダイゼーション条件は、当業者によく知られており、塩基配列組成に基づいて容易に予想できるか、または従来の試験(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー所在、1989年)の§§1.90−1.91、7.37−7.57、9.47−9.51および11.47−11.57、特に9.50−9.51、11.12−11.13、11.45−11.47および11.55−11.57を参照)を用いて、経験的に決定できる。
【0029】
「捕捉オリゴヌクレオチド」とは、塩基対合ハイブリダイゼーションによって標的配列と、固定オリゴヌクレオチドとを特異的に結合するための手段を提供する少なくとも1つの核酸オリゴヌクレオチドを意味する。捕捉オリゴヌクレオチドは、2つの結合領域、すなわち、通常、同一オリゴヌクレオチド上に連続している標的配列結合領域と固定プローブ結合領域を含むことが好ましいが、捕捉オリゴヌクレオチドは、1つ以上のリンカーによって共に結合している2つの異なるオリゴヌクレオチド上に存在している標的配列結合領域と固定プローブ結合領域を含み得る。例えば、固定プローブ結合領域は、第1のオリゴヌクレオチド上に存在でき、標的配列結合領域は、第2のオリゴヌクレオチド上に存在でき、2つの異なるオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドの配列に、特異的にハイブリダイゼーションする配列を含む第3のオリゴヌクレオチドであるリンカーによる水素結合によって結合している。
【0030】
「固定プローブ」または「固定核酸」とは、直接的に、または間接的に、捕捉オリゴヌクレオチドを固定支持体に結合する核酸を意味する。固定プローブは、結合した標的配列をサンプル中の非結合物質から分離することを促進する固体支持体に結合したオリゴヌクレオチドである。
【0031】
「分離」または「精製」とは、生物学的サンプルの1種以上の成分を、前記サンプルの1種以上の他の成分から取り出すことを意味する。サンプル成分は、一般に水溶液相における核酸を含むが、それはまた、蛋白質、炭水化物、脂質および標識プローブも含み得る。分離工程または精製工程では、サンプル中に存在する他の成分の好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%が除去される。
【0032】
「RNA等価物およびDNA等価物」または「RNA等価塩基およびDNA等価塩基」とは、同一の相補塩基対ハイブリダイゼーション特性を有するRNAやDNAなどの分子を意味する。RNA等価物およびDNA等価物は、異なる糖部分(すなわち、リボース対デオキシリボース)を有し、RNAではウラシル、DNAではチミンの存在によって異なり得る。RNA等価物とDNA等価物との間の違いは、相同性の違いに寄与しない。なぜならば、前記等価物は、特定の配列に対して、同程度の相補性を有しているからである。
【0033】
「本質的に〜からなる」とは、本発明の基本的および新規な特徴を実質的に変化させることのない追加の成分(単数または複数)、組成物(単数または複数)または方法工程(単数または複数)を、本発明の組成物またはキットまたは方法に含み得ることを意味する。このような特徴としては、全血または血漿などの生物学的サンプルにおいてWNV核酸を選択的に検出する能力が挙げられる。本発明の基本的および新規な特徴に、実質的な影響を及ぼす成分(単数または複数)、組成物(単数または複数)または方法工程(単数または複数)は、いずれもこの用語には含まれない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、WNV核酸内の標的領域を検出するために使用できる種々のポリヌクレオチド(太い横線で表されている)を示す略図である。以下の核酸の位置が、標的領域に相対的に示されている。「捕捉オリゴヌクレオチド」とは、増幅前に標的核酸にハイブリダイゼーションし、それを捕捉するために用いられる核酸を言い、ここで「T]は、相補的配列(示していない)を有する固定オリゴヌクレオチドをハイブリダイゼーションするために用いられる尾部配列を言う。「非T7プライマー」および「T7プロモータープライマー」は、TMAを実施するために用いられる2種の増幅プライマーを表し、ここで「P」は、T7プロモータープライマーのプロモーター配列を示し、「プローブ」とは、増幅核酸を検出するために用いられるプローブを言う。
【図2】図2は、相対的光単位(y軸)に対する投入標的(x軸)の増加濃度で測定された特異的プローブハイブリダイゼーションシグナルを表す一連の線グラフを示す。前記操作に用いられる標的オリゴヌクレオチドは、配列番号148(黒丸)、配列番号150(黒ひし形)、配列番号151(黒四角)、および配列番号152(黒三角)を有した。
【図3】図3は、リアルタイム核酸増幅反応内へ投入されたWNV標準量(x軸)および背景閾値上に測定された蛍光シグナル(y軸)に関する線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な説明
本明細書に開示されるのは、血液、血清、血漿または他の体液または組織などの生物学的サンプルにおける西ナイルウィルス(WNV)などのフラビウィルス類の核酸を選択的に検出するための組成物、方法およびキットである。本発明のプローブ、プライマーおよび方法は、診断的適用において、または提供血液および血液製品または感染性粒子を含有し得る他の組織のスクリーニング用に使用することができる。
序論および概論
本発明は、生物学的サンプルにおけるWNV核酸の検出に特に有用な組成物(核酸捕捉オリゴヌクレオチド、増幅オリゴヌクレオチドおよびプローブ類)、方法およびキットを含む。そのような利用にとって適切なオリゴヌクレオチド配列をデザインするために、診断アッセイにおいて試剤として働き得るウィルスゲノムの候補領域を同定するために、公知のWNV核酸配列をまず比較した。これらの比較の結果、図1に概略的に示されている捕捉オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブを用いて、検出のための標的として、WNVゲノムの3つの異なる領域を選択した。捕捉、増幅および増幅した配列の検出における使用に好適な合成オリゴヌクレオチドをデザインするための出発点として、比較された配列間に比較的少ない変異体しか含有しない配列の部分を選択した。
【0036】
これらの分析に基づき、下記に示された捕捉オリゴヌクレオチド、増幅プライマーおよびプローブ配列をデザインした。当業界における通常の技術者は、下記の種々のプライマーに基づくインビトロ増幅法において、WNVまたは他のフラビウィルス標的に特異的なT7プロモーター配列を有する、または有さない任意のプライマー配列を、プライマーとして使用できることを理解するであろう。本明細書に開示された配列を有するオリゴヌクレオチドは、WNV核酸を検出するためのアッセイにおいて、代替の機能を果たし得ることもまた考慮される。例えば、代替の検出アッセイにおいて、本明細書に開示された捕捉オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションプローブとして働くことができ、本明細書に開示されたハイブリダイゼーションプローブは、増幅プライマーとして使用でき、また本明細書に開示された増幅プライマーは、ハイブリダイゼーションプローブとして使用できる。
【0037】
本明細書に開示された増幅プライマーは、幾つかの単位複製配列種が、標的特異的プライマーの1組から製造できる複合増幅反応の構成要素として、特に考慮される。例えば、本明細書に開示された一定の好ましいWNV特異的プライマーは、それらのアッセイの感度を実質的に損なうことなく、非関連ウィルスのポリヌクレオチドを増幅することのできる複合増幅反応に用いることができると考えられる。これらの非関連ウィルスの具体例としては、HIV−1、HIV−2、HCVおよびHBVが挙げられる。
有用な増幅法
本発明に関連する有用な増幅法としては、転写媒介増幅(TMA)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、標準置換増幅(SDA)および自己複製ポリヌクレオチド分子とMDV−1 RNAやQ−ベータ酵素などの複製酵素を用いる増幅法が挙げられる。これらの種々の増幅技術を実施するための方法は各々、米国特許第5,399,491号、欧州特許出願公開第0 525 882号、米国特許第4,965,188号、米国特許第5,455,166号、米国特許第5,472,840号およびLizardiら、BioTechnology 6:p.1197(1988)に見ることができる。核酸増幅反応をどのように実施するかを記載しているこれらの文献の開示は、参照として本明細書に組み込まれている。
【0038】
本発明の極めて好ましい実施形態において、WNV核酸は、TMAプロトコルを用いて増幅される。このプロトコルによれば、DNAポリメラーゼ活性を提供する逆転写酵素は、内在性RNアーゼH活性もまた有する。この操作に用いられるプライマーの1つは、増幅しようとする標的核酸の1本鎖に相補的な配列の上流に位置するプロモーター配列を含む。増幅の第1工程において、プロモーター−プライマーは、規定された部位においてWNV標的RNAにハイブリダイゼーションする。逆転写酵素は、プロモーター−プライマーの3’末端から伸長することによって、標的RNAの相補的DNAコピーを創製する。反対鎖プライマーと新たに合成されたDNA鎖との相互作用後、逆転写酵素によりDNAの第2の鎖が、プライマーの末端から合成され、それによって、二本鎖DNA分子が創製される。RNAポリメラーゼは、この二本鎖DNAテンプレートにおけるプロモーター配列を認識し、転写を開始する。新たに合成されたRNA単位複製配列の各々は、再びTMA過程に入り、複製の新ラウンドのためのテンプレートとして働き、それによってRNA増幅の指数関数的拡大に至る。DNAテンプレートの各々が、RNA単位複製配列の100〜1000コピーを作製できるため、この拡大により、1時間未満に100億の単位複製配列の製造をもたらすことができる。この全過程は自己触媒的であり、一定の温度において実施される。
プライマーの構造的特徴
上記に示したように、「プライマー」とは、核酸増幅反応に寄与することのできる、任意に修飾されたオリゴヌクレオチドを言う。好ましいプライマーは、テンプレート核酸にハイブリダイゼーションすることができ、DNAポリメラーゼ活性によって伸長できる3’末端を有するものである。このプライマーの5’領域は、標的核酸配列に対して非相補的であり得る。この5’非相補的領域が、プロモーター配列を含む場合、それは「プロモーター−プライマー」と称される。プライマーとして機能できる任意のオリゴヌクレオチド(すなわち、標的配列に対して特異的にハイブリダイゼーションし、DNAポリメラーゼ活性によって伸長できる3’末端を有するオリゴヌクレオチド)が、5’プロモーター配列を含むように修飾でき、プロモーター−プライマーとして機能し得ることを、当業者は理解するであろう。同様に、任意のプロモーター−プライマーは、プロモーター配列を除去するかまたはプロモーター配列なしで合成することによって改変され得、そしてなおプライマーとしての機能を有し得る。
【0039】
プライマーのヌクレオチド塩基部分は、その修飾塩基部分が、G.A.C.TまたはUとの非共有的会合を形成する能力を保持する限り、かつ少なくとも1つの修飾ヌクレオチド塩基部分またはアナログが、一本鎖核酸とハイブリダイゼーションすることを立体的に妨げられない限り、修飾することができる(例えば、プロピン基の付加により)。有用なプローブの化学的組成物に関連して下記に示されるように、本発明によるプライマーの窒素性塩基は、従来の塩基(A、G、C、T、U)、それらの公知のアナログ(例えば、その塩基部分としてヒポキサンチンを有するイノシンまたは「T」;The Biochemistry of the Nucleic Acids p.5−36、Adamsら編集、第11版、1992年を参照)、プリン塩基またはピリミジン塩基の公知の誘導体(例えば、N−メチルデオキシガウノシン、デアザ−またはアザ−プリン類ならびにデアザ−またはアザ−ピリミジン類、5位または6位に置換基を有するピリミジン塩基類、2位、6位または8位に変更または代替置換基を有するプリン塩基類、2−アミノ−6−メチルアミノプリン、O−メチルグアニン、4−チオピリミジン類、4−アミノ−ピリミジン類、4−ジメチルヒドラジン−ピリミジン類およびO−アルキル−ピリミジン類(Cook、国際公開第93/13121号を参照)および骨格がポリマーの1つ以上の残基に対して窒素性塩基を含まない「非塩基性」残基(Arnoldら、米国特許第5,585,481号を参照)であり得る。プライマー骨格を含む一般的な糖部分としては、リボースおよびデオキシリボースが挙げられるが、2’−O−メチルリボース(OMe)、ハロゲン化糖、および他の修飾糖部分もまた使用し得る。通常、プライマー骨格の結合基は、リン含有部分、最も一般的には、ホスホジエステル結合であるが、例えば、ホスホロチオエート類、メチルホスホネート類および「ペプチド核酸」(PNA)に見られるペプチド様結合などの非リン含有結合などの他の結合もまた、本明細書に開示されたアッセイにおける使用が意図されている。
【0040】
有用なプローブ標識システムおよび検出可能部分
特異的核酸ハイブリダイゼーションのために使用できる、本質的に任意の標識および検出システムを、本発明に関連させて使用できる。有用な標識の集合のうちでも、放射標識、酵素、ハプテン類、結合オリゴヌクレオチド類、化学発光分子、蛍光部分(単独でまたは「消光因子」部分と組合わせて)、および電気的検出法に従うことのできるレドックス活性部分が挙げられる。好ましい化学発光分子としては、均一保護アッセイに関連させて使用されるArnoldら、米国特許第5,283,174号によって開示されたタイプおよび単一反応において複数の標的を定量化するアッセイに関連させて使用されるWoodheadら、米国特許第5,656,207号に開示されたタイプのアクリニジウムエステル類が挙げられる。これらの特許文書内に含まれた開示は、参照として本明細書に組み込まれている。好ましい電気的標識と検出法は、米国特許第5,591,578号と米国特許第5,770,369号、および公表された国際特許出願公開第98/57158号に開示されており、それらの開示は、参照として本明細書に組み込まれている。本明細書における標識として有用なレドックス活性部分としては、Cd、Mg、Cu、Co、Pd、Zn、FeおよびRuなどの遷移金属が挙げられる。
【0041】
本発明によるプローブにとって特に好ましい検出可能標識は、均一アッセイシステム(すなわち、混合物において、結合した標識プローブは、未結合標識プローブに比して、安定性または示差分解などの検出可能な変化を示す)において検出可能である。蛍光標識および電気的検出可能標識などの他の均一検出可能標識が本発明の実践における使用に意図されるが、均一アッセイにおける使用に好ましい標識は、化学発光化合物(例えば、Woodheadらによる米国特許第5,656,207号に;Nelsonらによる米国特許第5,658,737号に;またはArnoldらによる米国特許第5,639,604号に記載されているような)である。特に好ましい化学発光標識としては、標準AE、またはナフチルAE、オルト−AE、1−または3−メチル−AE、2,7−ジメチル−AE、4,5−ジメチル−AE、オルト−ジブロモ−AE、オルト−ジメチル−AE、メタ−ジメチル−AE、オルト−メトキシ−AE、オルト−メトキシ(シンナミル)−AE、オルト−メチル−AE、オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−メタ−ジフルオロ−AE、および2−メチル−AEなどの標準AEの誘導体などのアクリジニウムエステル(「AE」)化合物が挙げられる。
【0042】
幾つかの適用においては、検出前に先ず非ハイブリダイゼーションプローブを除去する必要なしに試験サンプル中のプローブ、すなわち標的二本鎖の検出を促進するために、少なくともある程度の自己相補性を示すプローブが望ましい。例えば、接合領域によって繋げられ、予め決められたハイブリダイゼーションアッセイ条件下で互いにハイブリダイゼーションする明確な自己相補性領域(作製された「標的結合ドメイン」および「標的閉鎖ドメイン」)を含むように、「分子灯」と称される構造がデザインされる。変性条件に曝露されると、この分子灯の2つの相補的領域(完全または部分的に相補的であり得る)は変化して、標的結合ドメインを、予め決められたハイブリダイゼーションアッセイ条件が回復した時に、標準配列に対するハイブリダイゼーションにとって利用可能なものにする。標的結合ドメインが、標的閉鎖ドメインにわたる標的配列に対するハイブリダイゼーションに有利に働くように、分子灯がデザインされる。分子灯の標的結合ドメインおよび標的閉鎖ドメインは、分子灯が標的核酸にハイブリダイゼーションする場合とは反対に、分子灯が自己ハイブリダイゼーションする場合には、異なるシグナルが生じ、それによって非ハイブリダイゼーションプローブに会合した実行可能標識を有する非ハイブリダイゼーションプローブの存在下、試験サンプル中のプローブ、すなわち標識二本鎖の検出を可能にするように配置された相互作用標識(例えば、蛍光/消光因子)を含む。分子灯は、米国特許第6,361,945号に十分記載されており、その開示は、参照として本明細書に組み込まれている。
【0043】
本発明と関連させて使用できる自己相補的ハイブリダイゼーションアッセイプローブの他の例は、一般に「分子ビーコン」と称される構造である。分子ビーコンは、標的相補的配列を有する核酸分子、標的核酸配列の不在下、閉鎖配座において、プローブを保持する親和対(または核酸アーム)、およびプローブが閉鎖配座にある場合に相互作用する標識対を含む。標的核酸と標的相補的配列のハイブリダイゼーションによって、親和対のメンバーが分離し、それによりプローブは、開放配座に移行する。開放配座への移行は、例えば、発蛍光団および消光因子(例えば、DABCYLおよびEDANS)であり得る標識対の相互作用減少によって検出可能である。分子ビーコンは、米国特許第5,925,517号に十分記載されており、その開示は、参照として本明細書に組み込まれている。WNV特異的核酸配列を検出する上で有用な分子ビーコンは、本明細書に開示されたプローブ配列のいずれかの一端に、発蛍光団を含む第1の核酸アームと消光因子部分を含む第2の核酸アームを付加することによって創製できる。この立体配置において、本明細書に開示されたWNV特異的プローブ配列は、生じる分子ビーコンの標的相補的「ループ」部分として働く。
【0044】
分子ビーコンは、検出可能な標識の相互作用的対によって標識化されることが好ましい。標識の相互作用的対のメンバーとして好ましい検出可能標識の例は、FRETまたは非FRETエネルギー転移機構によって、互いに相互作用する。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)は、熱エネルギーへの変換なしに、また、供与体と受容体とが運動衝突に入らずに、原子間距離よりもかなり大きな距離にわたる、発色団間での共鳴相互作用による、吸収部位から、前記分子または分子系の利用部位までのエネルギー量子の無放射伝達に関与する。「供与体」は、最初にエネルギーを吸収する部分であり、「受容体」は、その後エネルギーが転移される部分である。FRETの他に、供与体から受容体分子へ励起エネルギーを転移し得る、他の少なくとも3つの「非FRET」エネルギー転移過程がある。
【0045】
FRET機構によるものであろうと、非FRET機構によるものであろうと、1つの標識によって放射されたエネルギーが、第2の標識によって受容または吸収される得るほど、2つの標識が十分近接して保持されている場合、この2つの標識は、互いに「エネルギー転移関係」にあると言われる。これは、例えば、分子ビーコンが幹体二本鎖の形成により、閉鎖状態に維持され、プローブの1つのアームに付加している発蛍光団からの蛍光放射が、反対側のアーム上の消光因子部分によって消光される場合である。
【0046】
本発明の分子ビーコンにとって極めて好ましい標識部分は、発蛍光団および蛍光消光部分(すなわち「消光因子」)を有する第2の部分を含む。特徴的シグナルは、特定の波長の蛍光である可能性が高いが、代わりに可視光シグナルでもあり得る。蛍光が関与する場合、放射における変化は、FRET、または放射エネルギー転移または非FRET様式によることが好ましい。閉鎖状態において相互作用標識対を有する分子ビーコンが、適切な周波数の光によって刺激される場合は、非常に低いものであり得る第1のレベルで蛍光シグナルが生じる。この同じサンプルプローブが開放状態にあって適切な周波数の光によって刺激される場合は、発蛍光団と消光因子部分とは、互いに十分に分離しているため、それらの間のエネルギー転移は実質的に妨げられる。その条件下では、消光因子部分は、発蛍光団からの蛍光を消光できない。発蛍光団が適切な波長の光エネルギーによって刺激される場合、第1のレベルよりも高い第2のレベルの蛍光シグナルが生じる。2つの蛍光レベル間の相違は検出でき、測定できる。この様式で発蛍光団と消光因子部分を用いると、分子ビーコンは「開放」配座においては「オン」にあるだけであり、容易に検出可能なシグナルを発することにより、プローブが標的に結合していることを示す。プローブの配座状態は、標識部分間の相互作用を調節することにより、プローブから生じるシグナルを変える。
【0047】
FRETと非FRETとの区別を意図しない、本発明に関連させて使用し得る供与体/受容体標識対の例としては、フルオレセイン/テトラメチルローダミン、IAEDANS/フルオレセイン,EDANS/DABCYL、クマリン/DABCYL、フルオレセイン/フルオレセイン、BODIPY FL/BODIPY FL、フルオレセイン/DABCYL、ルシファーイエロー/DABCYL、BODIPY/DABCYL、エオシン/DABCYL、エリトロシン/DABCYL、テトラメチルローダミン/DABCYL、テキサスレッド/DABCYL、CY5/BH1、CY5/BH2、CY3/BH1、CY3/BH2およびフルオレセイン/QSY7染料が挙げられる。当業界における通常の技術者は、供与体染料と受容体染料とが異なる場合、エネルギー転移は、受容体の蛍光増感の現れによって、または供与体蛍光の消光によって検出できる。供与体種と受容体種とが同じ場合、エネルギーは、生じる蛍光脱分極によって検出できる。DABCYL染料やQSY7染料などの非蛍光受容体は、直接的(すなわち、非増感)受容体励起から生じる背景蛍光の潜在的問題を除く点で有利である。供与体−受容体対の1メンバーとして使用できる好ましい発蛍光団部分としては、フルオレセイン染料、ROX染料およびCY染料(CY5など)が挙げられる。供与体−受容体対の他のメンバーとして使用できる極めて好ましい消光因子部分としては、Biosearch Technologies社(カリフォルニア州ノバト所在)から入手できるDABCYL部分およびBLACK HOLE QUENCHER部分が挙げられる。
【0048】
合成法ならびに核酸に標識を結合する方法および標識を検出する方法は、当業界に周知である(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー所在、1989年)、10章;Nelsonら、米国特許第5,658,737号;Woodheadら、米国特許第5,656,207号;Hoganら、米国特許第5,547,842号;Arnoldら、米国特許第5,283,174号;Kourilskyら、米国特許第4,581,333号)、およびBeckerら、欧州特許出願公開第0747 706号を参照。
プローブの化学組成
本発明によるプローブは、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドアナログを含み、それに共有結合した検出可能標識を任意に担持し得る。プローブのヌクレオシドまたはヌクレオシドアナログは、窒素性ヘテロ環式塩基または塩基アナログを含み、ここでヌクレオシドは、例えば、ホスホジエステル結合によって共に結合してポリヌクレオチドを形成する。したがって、プローブは従来のリボ核酸(RNA)および/またはデオキシリボ核酸(DNA)を含み得るが、これらの分子の化学的アナログもまた含み得る。プローブの「骨格」は、1つ以上の糖−ホスホジエステル結合、ペプチド−核酸結合(Hyldig−Nielsenら、国際公開第95/32305号によって記載されるとおり、時には、「ペプチド核酸」と称される)、ホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合、またはそれらの組合わせなど、当業界に知られている種々の結合からなり得る。プローブの糖部分は、リボースまたはデオキシリボースのいずれか、または、例えば、2’−O−メチルリボースと2’ハロゲン化物置換基(例えば、2’−F)などの、公知の置換基を有する類似化合物であり得る。窒素性塩基は、従来の塩基(A、G、C、T、U)、それらの公知のアナログ(例えば、イノシンまたは「I」;The Biochemistry of the Nucleic Acids p.5−36、Adamsら、第11版、1992年を参照)、プリンまたはピリミジン塩基の公知の誘導体(例えば、N−メチルデオキシガウノシン、デアザ−またはアザ−プリン類、およびデアザ−またはアザ−ピリミジン類、5位または6位に置換基を有するピリミジン塩基、2位、6位または8位に置換基の変更または交替を有するプリン塩基、2−アミノ−6−メチルアミノプリン、O−メチルグアニン、4−チオ−ピリミジン類、4−アミノ−ピリミジン類、4−ジメチルヒドラジンピリミジン類およびO−アルキルピリミジン類(Cook、国際公開第93/13121号を参照)ならびに骨格が、ポリマーの1つ以上の残基に関して窒素性塩基を含まない「非塩基性」残基(Arnoldら、米国特許第5,585,481号を参照)であり得る。プローブは、RNAおよびDNAに見られる従来の糖、塩基および結合のみを含み得るか、または従来の構成要素と置換基の双方(例えば、メトキシ骨格を介して結合した従来の塩基、または従来塩基と1つ以上の塩基アナログを含む核酸)を含み得る。
【0049】
種々の長さと塩基組成のオリゴヌクレオチドプローブが、WNV核酸の検出に使用し得るが、本発明における好ましいプローブは、100ヌクレオチドまでの長さ、より好ましくは60ヌクレオチドまでの長さを有する。本発明のオリゴヌクレオチドにとって好ましい長さは、10塩基から100塩基の長さ、より好ましくは15塩基と50塩基との間の長さ、さらにより好ましくは15塩基と30塩基との間の長さの範囲にある。しかしながら、下記に記載された特異的なプローブ配列もまた、核酸クローニングベクターまたは転写体または他のより長い核酸において提供でき、やはり、WNV核酸の検出に使用することができる。
増幅プライマーの選択およびWNVに特異的な検出プローブ
増幅プライマーおよび所望の特徴を有するプローブをデザインするための有用な指針を本明細書に記載している。WNV核酸を増幅し、探査するための最適部位は、各々が約15塩基長よりも長く連続配列が約200塩基以内である2つ、好ましくは3つの保存領域を含む。1組のプライマー類またはプロモーター−プライマー類で見られる増幅の程度は、オリゴヌクレオチドがそれらの相補的配列にハイブリダイゼーションする能力および酵素的に延長されるそれらの能力などの幾つかの要因に依存する。ハイブリダイゼーション反応の程度および特異性は、多くの要因に影響されるため、それらの要因の操作が、特定のオリゴヌクレオチドが、その標的に完全に相補的であっても、なくてもその正確な感度および特異性を決定することになる。アッセイ条件変化による効果は、当業者に公知であり、Hoganら、米国特許第5,840,488号によって記載され、その開示は、参照として本明細書に組み込まれている。
【0050】
標的核酸配列の長さ、したがって、プライマー配列またはプローブ配列の長さは重要となり得る。幾つかの場合では、所望のハイブリダイゼーション特性を有するプライマー類またはプローブ類を生じる特定の標的領域からの位置や長さの異なる幾つかの配列があり得る。核酸が、ハイブリダイゼーションする上で完全に相補的とは限らない可能性はあるが、完全に相同な塩基配列の最長の伸長が通常、主にハイブリッドの安定性を決定することになる。
【0051】
増幅プライマーおよびプローブは、オリゴヌクレオチド:非標的核酸(すなわち、標的核酸と類似の配列を有する核酸)ハイブリッドの安定性を最小化するように配置される必要がある。増幅プライマーおよび検出プローブは、標的配列と非標的配列との間を識別できることが好ましい。プライマーおよびプローブのデザインにおいては、これらのTM値の差を、できる限り大きくする必要がある(例えば、少なくとも2℃、好ましくは少なくとも5℃)。
【0052】
非特異的伸長(プライマー−二量体または非標的複製)の程度もまた、増幅効率に影響し得る。このため、プライマーは、低い自己相補性または交差相補性を、特に配列の3’末端において有するように選択される。擬似プライマー伸長を減少させるために、長いホモポリマー域とGC高含量は避ける。デザインのこの点で、商品として入手できるコンピュータソフトウェアが助けとなり得る。入手できるコンピュータプログラムとしては、MacDNASIS(商標)2.0(Hitachi Software Engineering American社)およびOLIGOバージョン6.6(Molecular Biology Insights;コロラド州カスケード所在)が挙げられる。
【0053】
当業界における通常の技術者は、ハイブリダイゼーションが、水素結合した二本鎖を形成するため、相補的核酸の2本の一本鎖の会合を含むことを理解するであろう。2本の鎖のうちの1本が全体的にまたは部分的に、あるハイブリッドに含まれる場合、その鎖は、新しいハイブリッド形成に、より少ない寄与しかできないであろうことが暗示される。関心対象配列の相当大きな部分が一本鎖であるようにプライマーとプローブをデザインすることにより、ハイブリダイゼーションの速度と程度を大きく増加させ得る。標的が組み込まれたゲノム配列である場合は、二本鎖形態が当然生じることになる(ポリメラーゼ連鎖反応の産物での場合のように)。これらの二本鎖標的は当然プローブとのハイブリダイゼーションを阻害し、ハイブリダイゼーション工程前に変性が必要である。
【0054】
ポリヌクレオチドがその標的にハイブリダイゼーションする率は、標的結合領域における標的二次構造の熱的安定性の尺度である。ハイブリダイゼーション率の標準測定値は、1リットル当たりのヌクレオチドモル数に秒を掛けて測定されるC1/2である。したがって、これは、プローブ濃度に、その濃度で最大のハイブリダイゼーションの50%が生じる時間を掛けたものである。この値は、一定時間の間に一定量の標的に対して、種々の量のポリヌクレオチドをハイブリダイゼーションすることによって決定される。C1/2は、当業界における通常の技術者に周知の標準的操作によって、グラフを用いて見出される。
好ましい増幅プライマー
増幅反応を実施する上で有用なプライマーは、標的結合に寄与せず、また、増幅操作または検出操作に実質的に影響しないと考えられる無関係な配列の存在に適合させるために、種々の長さを有し得る。例えば、本発明による増幅反応の実施に有用なプロモーター−プライマーは、WNV標的核酸にハイブリダイゼーションする少なくとも最少の配列およびその最少配列の上流に位置するプロモーター配列を有する。しかし、標的結合配列とプロモーター配列との間の配列挿入により、増幅反応におけるプライマーの有用性を損なうことなく、プライマーの長さが変化し得る。さらに、増幅プライマーと検出プローブの長さは、これらのオリゴヌクレオチドの配列が、所望の相補的配列をハイブリダイゼーションする最少必須条件を満たす限り、選択の問題となる。
【0055】
表1および表2は、5’非コード領域において、WNV核酸を増幅するためのプライマーとして使用されたオリゴヌクレオチド配列の特定例を示す。表1は、核酸の一本鎖上でWNV配列に相補的であったプライマーの配列を示す。表1に示された例示的プライマーは全て、配列番号1の配列内に含まれた標的相補的配列を有する。好ましいプライマーの異なるサブセットは、配列番号2または配列番号3の配列内に含まれた標的相補的配列を有する。増幅操作に使用されるプライマーのうちの1つが、これらのドメインのうちの1つに入る標的相補的配列を有することが好ましい。表2は、本発明の開発中に使用されたWNV標的相補的プライマーおよびプロモーター−プライマーに関する完全配列の双方の配列を示す。表2に示された例示的プライマーは全て、配列番号16の配列内に含まれた標的相補的配列を有し、これは現在、増幅操作に使用されるプライマーの1つにとって好ましいものである。特に、表1および表2におけるオリゴヌクレオチド配列は、WNV核酸の反対鎖に相補的である。
【0056】
WNVの5’非コード領域の増幅に有用なプライマーは、ヌクレオチドアナログを含み得る。例えば、配列番号4のプライマーと配列番号5のプライマーとは、11位においてアデニン残基がヒポキサンチン塩基アナログに置換されていることで、互いに異なっている。同様に、配列番号6のプライマーと配列番号7のプライマーもこの塩基アナログの存在により異なっており、配列番号21と配列番号22によって同定された反対鎖プライマーも同様である。これは、プライマー内のヌクレオ塩基が修飾塩基またはヌクレオ塩基アナログにより、どのように置換できるかを示している。
【0057】
【表1】

【0058】
表2は、ウィルスゲノムの5’非コード領域におけるWNV核酸配列の増幅に使用されたWNV標的相補的オリゴヌクレオチド配列および対応するプロモーター−プライマー配列を示す。上記で示されたように、プロモーター−プライマーは全て、それらの3’末端にWNV標的配列に相補的な配列およびそれらの5’末端にT7プロモーター配列を含んだ。表2の配列番号29〜40によって同定されたプライマーは、各々、配列番号17〜28として同定されたWNV相補的プライマーに対応するプロモーター−プライマーである。
【0059】
【表2】

【0060】
5’非コード領域におけるWNV配列の増幅に好ましいプライマーの組は、WNV標的配列にハイブリダイゼーションする第1のプライマー(表2に掲載されたプライマーのうちの1つなど)および第1プライマーの伸長産物の配列に相補的な第2プライマー(表1に掲載されたプライマーのうちの1つなど)を含む。極めて好ましい実施形態において、第1プライマーは、その5’末端にT7プロモーター配列を含むプロモーター−プライマーである。
【0061】
表3と表4は、ウィルスゲノムの3000領域におけるWNV核酸を増幅するためのプライマーとして使用されたオリゴヌクレオチド配列の特定例を示す。表3は、核酸の一本鎖上でWNV配列に相補的であったプライマーの配列を示す。表3に示された例示的プライマーは全て、配列番号41の配列内に含まれた標的相補的配列を有し、これは現在、増幅操作に使用されるプライマーの1つにとって好ましいものである。表4は、本発明の開発中に使用されたWNV標的相補的プライマーおよびプロモーター−プライマーに関する完全配列の双方の配列を示す。表4に示された例示的プライマーは全て、配列番号52の配列内に含まれた標的相補的配列を有し、これは現在、増幅操作に使用されるプライマーの1つにとって好ましいものである。特に、表3および表4におけるオリゴヌクレオチド配列は、WNV核酸の反対鎖に相補的である。
【0062】
WNVの3000領域の増幅に有用なプライマーは、ヌクレオチドアナログを含み得る。例えば、配列番号42、配列番号47および配列番号48のプライマーは、プライマー配列内の異なる個々の位置で、既存の塩基がヒポキサンチン塩基アナログに置換されていることで互いに異なっている。同様に配列番号43のプライマーと配列番号49のプライマーも、この塩基アナログの存在によって異なっており、配列番号45と配列番号50と配列番号51によって同定されたプライマーも同様である。これはプライマー内のヌクレオ塩基が、修飾塩基またはヌクレオ塩基アナログによって置換し得ることを例示している。
【0063】
【表3】

【0064】
表4は、ウィルスゲノムの3000領域におけるWNV核酸配列の増幅に使用されたWNV標的相補的オリゴヌクレオチド配列および対応するプロモーター−プライマー配列を示す。上記で示されたように、プロモーター−プライマーは全て、それらの3’末端にWNV標的配列に相補的な配列およびそれらの5’末端にT7プロモーター配列を含んだ。
【0065】
【表4】

【0066】
ウィルスゲノムの3000領域におけるWNV配列の増幅に好ましいプライマーの組は、WNV標的配列にハイブリダイゼーションする第1のプライマー(表4に掲載されたプライマーのうちの1つなど)および第1プライマーの伸長産物の配列に相補的な第2プライマー(表3に掲載されたプライマーのうちの1つなど)を含む。極めて好ましい実施形態において、第1プライマーは、その5’末端にT7プロモーター配列を含むプロモーター−プライマーである。
【0067】
表5と表6は、ウィルスゲノムの3’非コード領域におけるWNV核酸を増幅するためのプライマーとして使用されたオリゴマー配列の特定例を示す。表5は、核酸の一本鎖上でWNV配列に相補的であったプライマーの配列を示す。表5に示された例示的プライマーは全て、配列番号59の配列内に含まれた標的相補的配列を有し、これは現在、増幅操作に使用されるプライマーの1つにとって好ましいものである。表6は、本発明の開発中に使用されたWNV標的相補的プライマーおよびプロモーター−プライマーに関する完全配列の双方の配列を示す。表6に示された例示的プライマーは全て、配列番号72の配列内に含まれた標的相補的配列を有する。好ましいプライマーの異なるサブセットは、配列番号73または配列番号74の配列内に含まれた標的相補的配列を有する。増幅操作に使用されるプライマーのうちの1つが、これらのドメインのうちの1つに入る標的相補的配列を有することが好ましい。特に、表5および表6におけるオリゴヌクレオチド配列は、WNV核酸の反対鎖に相補的である。
【0068】
WNVの3’非コード領域の増幅に有用なプライマーは、ヌクレオチドアナログを含み得る。例えば、配列番号60のプライマーと配列番号61のプライマーとは、1位においてチミン塩基がヒポキサンチン塩基アナログに置換されていることで、互いに異なっている。同様に、配列番号64のプライマーと配列番号65のプライマーもこの塩基アナログの存在により異なっており、この場合は、シトシンが置換を受けている。同様に、配列番号83と配列番号82のWNV相補的プライマー配列は、対応するプロモーター−プライマー配列と共に、やはりヒポキサンチン塩基アナログ置換基を含む。これはプライマー内のヌクレオ塩基が、修飾塩基またはヌクレオ塩基アナログによって置換し得ることをさらに例示している。
【0069】
【表5】

【0070】
表6は、ウィルスゲノムの3’非コード領域におけるWNV核酸配列の増幅に使用されたWNV標的相補的オリゴヌクレオチド配列および対応するプロモーター−プライマー配列を示す。上記で示されたように、プロモーター−プライマーは全て、それらの3’末端にWNV標的配列に相補的な配列およびそれらの5’末端にT7プロモーター配列を含んだ。
【0071】
【表6】

【0072】
3’非コード領域におけるWNV配列の増幅に好ましいプライマーの組は、WNV標的配列にハイブリダイゼーションする第1のプライマー(表6に掲載されたプライマーのうちの1つなど)および第1プライマーの伸長産物の配列に相補的な第2プライマー(表5に掲載されたプライマーのうちの1つなど)を含む。極めて好ましい実施形態において、第1プライマーは、その5’末端にT7プロモーター配列を含むプロモーター−プライマーである。表6における配列番号84〜92によって同定されるプライマーは、それぞれ配列番号75〜83として同定されるWNV相補的プライマーに対応するプロモーター−プライマーである。
好ましい検出プローブ
本発明の他の態様は、WNV核酸を検出するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用できるオリゴヌクレオチドに関する。WNVの核酸に存在する標的核酸配列を増幅する方法は、単位複製配列をを検出するためのさらなる任意の工程を含み得る。WNV核酸を検出するためのこの操作は、緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、標的核酸配列またはその相補体に優先的にハイブリダイゼーションし、それによって、検出用に安定なプローブ:標的二本鎖を形成するハイブリダイゼーションアッセイプローブに試験サンプルを接触させるための工程を含む。次に、試験サンプル中のWNV核酸の有無を表示するものとして、試験サンプル中に、ハイブリッドが存在しているかどうかを決定する工程がある。これは、プローブ:標的二本鎖の検出を含み、好ましくは均一アッセイシステムを含む。
【0073】
WNV核酸配列の検出に有用なハイブリダイゼーションアッセイプローブは、WNV標的核酸配列に実質的に相補的な塩基の配列を含む。したがって、本発明のプローブは、WNV標的核酸配列の1本の鎖またはその相補体にハイブリダイゼーションする。これらのプローブは、標的核酸領域の外側にWNV核酸に相補的であってもなくてもよい追加の塩基を任意に有し得る。
【0074】
好ましいプローブは、塩濃度が0.6〜0.9Mの範囲の場合に約60℃に相当する緊縮条件下で、標的核酸に十分相同性であってハイブリダイゼーションする。好ましい塩としては、塩化リチウムが挙げられるが。塩化ナトリウムやクエン酸ナトリウムなどの他の塩もハイブリダイゼーション溶液中に使用できる。高緊縮ハイブリダイゼーション条件の例は、0.48Mリン酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウムおよび各々1mM EDTAとEGTAによるか、もしくは0.6M LiCl、1%ラウリル硫酸ナトリウム、60mMコハク酸リチウムおよび各々10mMのEDTAとEGTAによるか、のいずれかで提供される。
【0075】
本発明によるプローブは、WMVゲノムの3つの異なるドメインのうちの1つに相補的な、またはそれに対応する配列を有する。下記で繰り返されるとおり、これらのドメインは:(1)5’非コード領域/カプシド領域、(2)3000領域、および(3)3’非コード領域であった。WNV核酸配列の検出に好ましい一定のプローブは、標的相補的塩基配列と共に、10〜100ヌクレオチドの範囲の長さにある、検出すべき核酸に相補的でない任意の塩基配列を含むプローブ配列を有する。WNV核酸配列の検出に好ましい一定の特異的プローブは、12〜87ヌクレオチド、10〜20ヌクレオチド、13〜37ヌクレオチド、または17〜23ヌクレオチドの長さの範囲の標的相補的配列を有する。もちろん、これらの標的相補的配列は、線状配列であり得るか、または分子ビーコンの構造中に含まれ得るか、または検出しようとするWNV標的配列に相補的でない1つ以上の任意の核酸配列を有する他の構造体中に含まれ得る。上記に示したように、プローブは、DNA、RNA、DNAとRNAの組合わせ、核酸アナログから作製し得るか、または1つ以上の修飾ヌクレオシド(例えば、リボフラノシル部分に対して2’−O−メチル置換を有するリボヌクレオシド)を含有し得る。
【0076】
簡単に述べると、本発明に関連して関心対象の標的核酸の検出に好ましいプローブは、幾つかの一定のプローブドメインの1つ以上の中に含まれる配列、またはそれの相補体を含み、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、10%までの誤対合塩基、さらには20%までの誤対合塩基を考慮に入れたものである。例えば、5’非コード領域において、WNV核酸などのフラビウィルス核酸の検出に好ましいハイブリダイゼーションアッセイプローブは、配列番号93の配列中に、または配列番号94または配列番号95によって規定されたサブドメインのうちの1つの中に含まれる標的相補的塩基配列を含み得る。3000領域において、WNV核酸などのフラビウィルス核酸の検出に好ましいハイブリダイゼーションアッセイプローブは、配列番号99の配列内に含まれる標的相補的塩基配列を含む。3’非コード領域において、WNV核酸などのフラビウィルス核酸の検出に有用な好ましいハイブリダイゼーションアッセイプローブは、配列番号101の配列中に、または配列番号102または配列番号103によって規定されたサブドメインの中に含まれる標的相補的塩基配列を含む。検出すべき核酸配列に相補的でない任意の配列が、プローブの標的相補的配列に結合し得る。
【0077】
プローブの標的相補的塩基配列を含有する規定された標的領域から有用なプローブ配列を識別できる塩基差異の許容性について特に言及すると、配列番号114の配列(Tによって占められる)を有するプローブの12位は、配列番号101、配列番号102および配列番号103によって規定されたドメイン配列(これら全ては対応する位置にCを有する)における対応する位置と異なることに注意する必要がある。
【0078】
本発明による一定の好ましいプローブは、検出可能な標識を含む。一実施形態において、この標識は、非ヌクレオチドリンカーによってプローブに結合したアクリジニウムエステルである。例えば、検出プローブは、実際には、米国特許第5,585,481号;および米国特許第5,639,604号、特に10欄6行目から11欄3行目まで、ならびに実施例8において記載されているリンカーによって付加される化学発光アクリジニウムエステル化合物によって標識化できる。これらの特許文献に含まれた開示は、参照として本明細書に組み込まれている。
【0079】
表7は、3つのWNV標的領域の各々から、WNV単位複製配列を検出するために用いられる幾つかのハイブリダイゼーションプローブの塩基配列を示す。WNV核酸配列を検出するための代替プローブが、WNVの反対センス鎖にハイブリダイゼーションできるため、本発明は、この表に示された配列に相補的なオリゴヌクレオチドも含む。
【0080】
【表7】

【0081】
上記に示したように、本発明のハイブリダイゼーションプローブのヌクレオ塩基配列にとっての骨格として、任意の数の異なる骨格構造が使用できる。極めて好ましい一定の実施において、WNV単位複製配列の検出に用いられるプローブ配列は、メトキシ骨格、または核酸骨格における少なくとも1つのメトキシ結合を含む。
捕捉オリゴヌクレオチドの選択と利用
好ましい捕捉オリゴヌクレオチドは、固体支持体上に固定するための標的として働く第2の配列(すなわち、「尾部」配列)に共有結合している、WNV配列に相補的な第1の配列(すなわち、「WNV標的配列」)を含む。捕捉オリゴヌクレオチドの塩基配列に結合する任意の骨格が使用できる。一定の好ましい実施形態において、捕捉オリゴヌクレオチドは、骨格内に少なくとも1つのメトキシ結合を含む。捕捉オリゴヌクレオチドの好ましくは3’末端である尾部配列は、相補的塩基配列にハイブリダイゼーションして、ハイブリダイゼーションした標的WNV核酸を、生物学的サンプルにおける他の成分よりも優先的に捕捉するための手段を提供するために使用される。
【0082】
尾部配列には、相補的塩基配列にハイブリダイゼーションする任意の塩基配列を使用できるが、ハイブリダイゼーションする配列は、約5〜50ヌクレオチド残基の範囲であることが好ましい。特に好ましい尾部配列は、実質的にホモポリマー性であり、約10から約40のヌクレオチド残基、より好ましくは、約14から約30残基を含む。本発明による捕捉オリゴヌクレオチドは、WNV標的ポリヌクレオチドに特異的に結合する第1の配列および固体支持体に固定されたオリゴ(dT)伸長部に特異的に結合する第2の配列を含み得る。
【0083】
図1に例示された構成要素を用い、生物学的サンプル中のWNV配列を検出するためのあるアッセイは、捕捉オリゴヌクレオチドを用いて、捕捉された標的領域を増幅する工程、および先ず、増幅された核酸に含まれる配列に、標識プローブをハイブリダイゼーションし、次いで、結合した標識プローブから生じるシグナルを検出する工程を含む。
【0084】
捕捉工程では、捕捉オリゴヌクレオチドを用いることが好ましいが、この場合、ハイブリダイゼーション条件下で、捕捉オリゴヌクレオチドの一部は、標的核酸内の配列に特異的にハイブリダイゼーションし、尾部は、サンプルの他の成分からの標的領域の分離を可能にするリガンドなどの結合対(例えば、ビオチン−アビジン結合対)の一構成要素として働く。捕捉オリゴヌクレオチドの尾部は、固体支持体粒子に固定された相補的配列にハイブリダイゼーションする配列であることが好ましい。先ず、捕捉オリゴヌクレオチドと標的核酸とは、溶液相ハイブリダイゼーション動力学を利用するために、溶液中にあることが好ましい。ハイブリダイゼーションによって、捕捉オリゴヌクレオチド:標的核酸の二本鎖が生じ、これは、相補的固定化配列に対する捕捉オリゴヌクレオチド尾部のハイブリダイゼーションにより、固定プローブを結合させることができる。したがって、ハイブリダイゼーション条件下で標的核酸、捕捉オリゴヌクレオチドおよび固定プローブを含む二本鎖が形成する。好ましくは、固定プローブは、反復的配列であり、より好ましくは、尾部配列に相補的であり、固体支持体に結合した、ホモポリマー性配列(例えば、ポリ−A、ポリ−T、ポリ−Cまたはポリ−G)である。例えば、捕捉オリゴヌクレオチドの尾部がポリ−A配列を含むならば、固定プローブはポリ−T配列を含むことになるが、相補的配列の任意の組合せを使用し得る。捕捉オリゴヌクレオチドは、標的にハイブリダイゼーションする塩基配列と、固定プローブにハイブリダイゼーションする尾部塩基配列との間に位置する1つ以上の塩基である「スペーサー」残基もまた含有し得る。標的核酸:捕捉オリゴヌクレオチド複合体の結合には、任意の固体支持体を使用し得る。有用な支持体は、溶液中で遊離しているマトリクスまたは粒子のいずれか(例えば、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、ポリアクリレート、混合ポリマー、ポリスチレン、シランポリプロピレンおよび好ましくは磁気的誘引物質)であり得る。固定プローブを固体支持体に結合させる方法は周知である。前記支持体は、標準的方法(例えば、遠心分離、磁気粒子の磁気的誘引など)を用いて、溶液から回収できる粒子であることが好ましい。好ましい支持体は、常磁性単分散粒子(すなわち、±約5%の均一サイズ)である。
【0085】
効果的に、標的核酸:捕捉オリゴヌクレオチド:固定プローブの複合体を回収することにより、標的核酸と凝縮し(生物学的サンプル中のその濃度と相対的に)、生物学的サンプル中に存在し得る増幅阻害物質から標的核酸を精製する。捕捉された標的核酸は1回以上洗浄でき、さらに例えば、標的核酸:捕捉オリゴヌクレオチド:固定プローブの複合体を有する前記粒子を、洗浄溶液中に再懸濁してから、上記のとおり、洗浄溶液から結合複合体を有する前記粒子を回収することにより、前記標的を精製する。好ましい実施形態において、捕捉オリゴヌクレオチドを標的核酸に連続的にハイブリダイゼーションし、次いで捕捉オリゴヌクレオチドの尾部を固定相補的配列(例えば、国際公開第98/50583号に記載されたもの)にハイブリダイゼーションさせるハイブリダイゼーション条件に調整することによって、捕捉工程を実施する。捕捉工程および任意の清浄工程を完了した後に、標的核酸を増幅することができる。取り扱い工程数を制限するために、標的核酸は、任意に捕捉オリゴヌクレオチドから遊離せずに増幅できる。
【0086】
有用な捕捉オリゴヌクレオチドは、誤対合配列が、増幅すべき配列を含有するWNV核酸にハイブリダイゼーションする限り、上記に示した配列に対する誤対合を含んでもよい。本明細書に記載された各捕捉オリゴヌクレオチドは、その3’末端でポリ−(dA)尾部に結合した、表8に示されたWNV相補的配列とポリ−(dA)尾部との間に挿入された任意の3つのチミジンヌクレオチドも含んだ。3つのチミジンヌクレオチドの存在は、捕捉操作の成功にとって、本質的ではないと考えられる。3つのチミジンヌクレオチドとポリ−(dA)尾部とは、DNA前駆体を用いて合成されたが、オリゴヌクレオチドの捕捉オリゴヌクレオチドのWNV相補的部分は、2’−OMeヌクレオチドアナログを用いて合成された。
【0087】
【表8】

【0088】
WNVポリヌクレオチド配列の増幅と検出にとって好ましい方法
本発明の好ましい方法は、下記に示される実施例によって記載され、例示されている。図1は、WNVゲノムの標的領域(太い横線によって示されている)に使用され得る1つの系を概略的に示している。この系は、4種のオリゴヌクレオチド(短い実線によって示されている)を含む。すなわち、生物学的サンプル中に存在する標的領域内のWNV配列に特異的にハイブリダイゼーションする配列、および標的領域を捕捉するために、固体支持体上に固定された相補的配列にハイブリダイゼーションする尾部(「T」)を含む1種の捕捉オリゴヌクレオチド;標的領域におけるWNV配列に特異的にハイブリダイゼーションする配列および二本鎖になった場合、T7TNAポリメラーゼに対する機能的プロモーターとして働くT7プロモーター配列(「P」)を含む1種のT7プロモーター−プライマー;T7プロモーター−プライマーを用いて、標的領域配列から作製された第1鎖cDNAに特異的にハイブリダイゼーションする配列を含む1種の非T7プライマー;および前記2種のプライマーを用いて増幅される標的領域の一部に、特異的にハイブリダイゼーションする配列を含む1種の標識プローブである。
【0089】
上記に示されたように、2種のプライマーを用いて捕捉された標的領域の増幅は、通常の当業者に周知されている公知の種々の核酸増幅反応のいずれかによって達成できる。好ましい実施形態において、TMAなどの転写関連増幅が採用される。このような実施形態において、標的核酸の単一コピーから多くの核酸鎖が生じ、したがって、増幅された配列に結合している検出プローブによって、標的の検出が可能となる。1種の核酸テンプレートから複数のRNA転写体を産出するために、転写関連増幅では、溶液中適切な塩類および緩衝剤と共に、2種のプライマー(1種は、RNAポリメラーゼに対する、図1で「P」と表示されているプロモーター配列を含むため、プロモーター−プライマーと称される)、2種の酵素(逆転写酵素およびRNAポリメラーゼ)および基質(三リン酸デオキシリボヌクレオシド、三リン酸リボヌクレオシド)を用いることが好ましい。
【0090】
図1について述べると、転写媒介増幅時、捕捉された標的核酸は、T7プロモーター−プライマーとして示される第1プライマーにハイブリダイゼーションする。標的DNAをテンプレートとして用い、逆転写酵素を用いて、T7プロモーター−プライマーから相補的DNA鎖を合成する。非T7プライマーとして示される第2プライマーは、新たに合成されたDNA鎖にハイブリダイゼーションし、逆転写酵素の作用によって伸長してDNA二本鎖を形成し、それによって二本鎖T7プロモーター領域を形成する。次いでT7 RNAポリメラーゼが、この機能的T7プロモーターを用いることによって、複数のRNA転写体を生成させる。cDNA合成工程後、TMAの自己触媒機構は、RNA転写体をテンプレートとして使用し、反復的ハイブリダイゼーション工程と重合化工程を用いてさらに転写体を生成させ、それによって標的領域に特異的な核酸配列を増幅する。
【0091】
検出工程では、上記の増幅RNA転写体または単位複製配列に特異的に結合する、少なくとも1種の検出プローブを用いる。この検出プローブは、均一検出システムを用いて検出できる標識で標識化されることが好ましい。例えば、標識プローブは、上記のとおり、化学発光シグナルが生じ、検出し得るアクリジニウムエステル化合物によって標識化できる。あるいは、標識プローブは、発蛍光団部分または発蛍光団部分と消光因子部分を含み得る。分子ビーコンは、均一検出システムに使用し得るそのような標識プローブの一実施形態である。
WNV核酸検出用キット
本発明は、ウィルス核酸テンプレートを用いて、ポリヌクレオチド増幅反応を実施するためのキットも含む。一定の好ましいキットは、標的相補的塩基配列を含み、検出すべき標的を増幅するためのプライマーまたは他の副次的オリゴマーを任意に含む。他の好ましいキットは、インビトロ増幅反応において、標的核酸を増幅するために使用し得る1対のオリゴヌクレオチドプライマーを含む。典型的キットは、増幅されるWNV核酸配列の反対鎖に相補的な第1および第2増幅オリゴヌクレオチドを含む。前記キットは、1種以上のオリゴヌクレオチド検出プローブをさらに含み得る。本発明によるさらに他のキットは、増幅前に、WNVテンプレート核酸を他の種から精製するための捕捉オリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0092】
本発明の一般的原理は、以下の非限定的実施例を参照することにより、より十分に理解できるであろう。
【0093】
実施例1は、後にWNV核酸検出用アッセイに使用されたハイブリダイゼーションプローブの幾つかを同定した操作を記載している。より具体的には、以下の操作により、3つの異なるWNVドメインのうちの1つに対応する核酸にハイブリダイゼーションすることのできたプローブを確認した。これらのドメインは、(1)5’非コード領域/カプシド領域(5’NC/C)、(2)3000領域(NS1/NS2a領域)および3’非コード領域(3’NC)であった。6種の合成オリゴヌクレオチドが、プローブに結合するための標的として働いた。
実施例1
WNV検出用オリゴヌクレオチドプローブ
表9に示された配列を有する合成WNV標的オリゴヌクレオチドは、RNA構造を模倣するために、2’−OMeヌクレオチドアナログを用い、標準的な実験室操作によって調製した。これらの合成WNV標的をハイブリダイゼーションするためのプローブは、表7に示された配列を有し、やはり2’−OMeヌクレオチドアナログを用いて調製した。
【0094】
【表9】

【0095】
ハイブリダイゼーション反応は、約2x10RLU/ピコモルの比活性を有する約1x10RLUのAE標識プローブおよび約0.5ピコモルの合成WNV標的オリゴヌクレオチドを含んだ。陰性コントロール反応ではWNV標的オリゴヌクレオチドを除いた。表7に掲載したプローブは各々、米国特許第5,585,481号および米国特許第5,639,604号に記載された操作に従って、内部に配置された非ヌクレオチドリンカーによってオリゴヌクレオチド構造に結合されたAE部分により標識化され、これらの特許の開示は、参照として上記明細書に組み込まれている。配列番号96のプローブ上のリンカーは、5位と6位との間、あるいは9位と10位との間、あるいは13位と14位との間、あるいは16位と17位との間に配置した。配列番号97のプローブ上のリンカーは、9位と10位との間に配置した。配列番号98のプローブ上のリンカーは、6位と7位との間、あるいは9位と10位との間、あるいは11位と12位との間に配置した。配列番号100のプローブ上のリンカーは、6位と7位との間、あるいは9位と10位との間、あるいは11位と12位との間、あるいは13位と14位との間に配置した。配列番号105のプローブ上のリンカーは、12位と13位との間、あるいは13位と14位との間に配置した。配列番号106のプローブ上のリンカーは、14位と15位との間に配置した。配列番号107のプローブ上のリンカーは、6位と7位との間、あるいは7位と8位との間に配置した。配列番号108のプローブ上のリンカーは、6位と7位との間、あるいは12位と13位との間に配置した。配列番号109のプローブ上のリンカーは、5位と6位との間、あるいは11位と12位との間に配置した。配列番号110のプローブ上のリンカーは、11位と12位との間に配置した。配列番号111のプローブ上のリンカーは、9位と10位との間、あるいは10位と11位との間、あるいは12位と13位との間、あるいは13位と14位との間に配置した。配列番号112のプローブ上のリンカーは、7位と8位との間、あるいは8位と9位との間、あるいは10位と11位との間、あるいは11位と12位との間に配置した。配列番号113のプローブ上のリンカーは、7位と8位との間、あるいは8位と9位との間、あるいは9位と10位との間に配置した。配列番号114のプローブ上のリンカーは、6位と7位との間に配置した。配列番号115のプローブ上のリンカーは、12位と13位との間、あるいは13位と14位との間、あるいは15位と16位との間に配置した。配列番号116のプローブ上のリンカーは、5位と6位との間、あるいは10位と11位との間、あるいは12位と13位との間に配置した。これら種々のリンカー位置の全ての使用により、この標識方法の多用性が確認された。プローブハイブリダイゼーションは、約300mM LiClおよび約0.75%(w/v)ラウリル硫酸リチウムを含む50μl容量のコハク酸塩緩衝液中、62℃で15分間実施した。ハイブリダイゼーション反応後、63μlの0.15Mテトラホウ酸ナトリウム(pH8.5)および1%TRITON X−100(Union Carbide社、コネチカット州ダンベリー所在)を加えた。これらの混合物を、先ず62℃で10分間温置して、未ハイブリダイゼーションプローブに結合した化学発光標識を不活化してから、ハイブリダイゼーションシグナルの読取り前に、4℃までしばらく冷却した。各サンプル中のハイブリダイゼーションしたプローブによる化学発光は、1mM硝酸および0.1%(v/v)過酸化水素の自動注入、続いて1N水酸化ナトリウム含有溶液の注入用に構成されたLUMISTAR GALAXY発光ミクロプレート読取り機(BMG Labtechnologies社;ノースカロライナ州ダーハム所在)を用いてアッセイした。この化学発光に関する結果を相対光単位(RLU)において測定した。この操作による代表的結果は、3つの異なる標的領域各々に関して、表10にまとめている。この表に示された数値は、1つまたは2つの試験(各試験が4回の反復試験を含んだ)から算出した平均シグナル/ノイズ比(S/N平均)を示す。
【0096】
【表10】

【0097】
表10に示された結果は、前記操作において試験された各プローブが、WNV標的配列との相互作用の後に、強いハイブリダイゼーションシグナルを与えることを示した。この表に示された数値は、ヌクレオ塩基の5位と6位との間に標識を結合させた配列番号96および配列番号109のプローブ、ヌクレオ塩基の6位と7位との間に標識を結合させた配列番号104および配列番号108のプローブ、ヌクレオ塩基の9位と10位との間に標識を結合させた配列番号97および配列番号100のプローブ、ヌクレオ塩基の10位と11位との間に標識を結合させた配列番号111および配列番号116のプローブ、ヌクレオ塩基の11位と12位との間に標識を結合させた配列番号98および配列番号110のプローブ、ヌクレオ塩基の12位と13位との間に標識を結合させた配列番号105のプローブ、およびヌクレオ塩基の14位と15位との間に標識を結合させた配列番号106のプローブに関するものである。しかしながら、前記操作に使用されたプローブは全て、合成標的の少なくとも1つにハイブリダイゼーションされた場合、10よりもかなり大きなS/N値を与えた。実際、本明細書に記載された任意のプローブに結合した任意の検出可能標識の位置を変化させることができ、やはり本発明の範囲内に入る。具体的に上記のいずれか1箇所に位置した標識を有する各プローブが、本発明のプローブの好ましい実施形態となる。
【0098】
表10に数値結果は示されていないが、その他のプローブもまた試験され、非常に良好な結果で合成WNV標的核酸にハイブリダイゼーションすることが示された。より具体的には、配列番号112の配列を有するプローブと、CUUUGUUCACCCAGUCCUCCUG(配列番号194)の配列を有する合成WNV標的とのハイブリダイゼーションにより、約1100の高さのシグナル/ノイズ比が得られた。配列番号113の配列を有するプローブと、同じ合成標的配列とのハイブリダイゼーションにより、約1050の高さのシグナル/ノイズ比が得られた。115の配列を有するプローブと、ACAUGGAUCACUUCGCGGCUUUG(配列番号196)の配列を有する合成WNV標的とのハイブリダイゼーションにより、約1480の高さのシグナル/ノイズ比が得られた。7位と8位にリンカーを配置させた配列番号107の配列を有するプローブと、CCAGUCCUCCUGGGGUUGAGUCGCAGGGCA(配列番号193)の配列を有する合成WNV標的とをハイブリダイゼーションさせると、約1000のシグナル/ノイズ比が得られた。したがって、前記各プローブ配列が、本発明の好ましい実施形態を表し、本明細書に記載された伸長プローブドメインの少なくとも1つに入る。
【0099】
さらに他のハイブリダイゼーションプローブを同じ操作によって試験すると、良好な結果が得られることが判明した。ここでもやはり、全てのプローブと標的は、2’−OMeヌクレオチドアナログを用いて合成された。プローブは、上記の非ヌクレオチドリンカーによってプローブに結合させた化学発光アクリジニウムエステル標識によって標識化された。より具体的には、11位と12位との間にリンカーを配置させたCCCTGCGACTCAACCCC(配列番号189)の配列を有するプローブを、配列番号193の配列を有する合成WNV標的にハイブリダイゼーションさせると、約180のシグナル/ノイズ比が得られた。13位と14位にリンカーを配置させたCCTGCGACTCAACCCC(配列番号190)の配列を有するプローブを、配列番号193の配列を有する合成WNV標的にハイブリダイゼーションさせると、約160のシグナル/ノイズ比が得られた。11位と12位にリンカーを配置させたCCTGCGACTCAACCC(配列番号191)の配列を有するプローブを、配列番号193の配列を有する合成WNV標的にハイブリダイゼーションさせると、約190のシグナル/ノイズ比が得られた。7位と8位との間または8位と9位との間のいずれかに標識を配置させたAGGAGGACTGGGTGAACAA(配列番号192)の配列を有するプローブを、GAUCACUUCGCAGCUUUGUUCACCCAGUCCUCCUGG(配列番号195)の配列を有する合成WNV標的にハイブリダイゼーションさせると、約200のシグナル/ノイズ比が得られた。やはり、前記各プローブ配列が、本発明の好ましい実施形態を表し、本明細書に記載された伸長プローブドメインの少なくとも1つに入る。
【0100】
WNV標的配列と、実質的に相補的なハイブリダイゼーションプローブとの間の誤対合の許容性は、上記のプローブ農地の1つおよび天然変異体配列を表す合成標的の回収物を用いて示された。より具体的には、配列番号111の上記AE標識プローブを含有するサンプルをジーンバンク登録番号AF297856(配列番号150)、AF260969(配列番号151)およびAF297847(配列番号152)によって同定されたウィルス配列の実質的に相補的な部分を含む合成標的オリゴヌクレオチドにハイブリダイゼーションした。各標的は、異なった位置における標識ハイブリダイゼーションプローブに誤対合し、その誤対合の位置で、前記プローブと標的とは相補的でないことを意味した。配列番号148の標準標的は、前記プローブに完全に相補的であるため、陽性コントロールとして用いた。各標的にハイブリダイゼーションするプローブの能力は、上記の操作により、標的投入レベルの関数として評価した。
【0101】
図2に示すように、ハイブリダイゼーションプローブは、このプローブ配列に完全には相補的ではない標的を明らかに検出した。この緊縮試験により、ハイブリダイゼーションプローブと、その標的との間の誤対合は、標的を検出するプローブの能力を損なうことなく容認され得ることが証明された。実際、本発明のプローブは、標的を検出するプローブの能力を実質的に損なうことなく、標的に対する10%まで、さらには20%までの塩基対合を含み得ることが許容される。言い換えると、本発明のハイブリダイゼーションプローブに含まれた標的相補的塩基配列は、10%まで、またはさらに20%までの塩基位置において、それが由来した伸長ドメイン配列と異なってもよいことが許容される。したがって、WNVの検出に有用なハイブリダイゼーションプローブおよびプライマーは、規定された長さの範囲を有する標的相補的塩基配列を有し、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログおよび他の場合には、前記プローブまたはプライマー配列を含む規定された配列に比して、約10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を含み得ることが許容される。例えば、上記の変異体フラビウィルス配列の1つを検出する上で有用なハイブリダイゼーションプローブは、配列番号103または配列番号111の配列またはそれらの相補体内に含まれた18連続塩基からなる標的相補的塩基配列を有し得、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在、および10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。
【0102】
表7に示された配列を有するハイブリダイゼーションアッセイプローブは、引き続き、増幅プライマーおよび捕捉オリゴヌクレオチドの範囲が、生物学的サンプル中のWNV核酸を検出し得ることを証明するために使用された。RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログ置換の存在を考慮に入れて、これらの配列、またはそれらの相補体を有するプローブは、各々本発明の特に好ましい実施形態を表している。
【0103】
また、本発明により有用なプライマーは、他の場合には相補的標的に対する塩基誤対合の存在に関して柔軟性を示す。これは、核酸増幅の増幅機構では、引き続く増幅サイクルにおいて結合する相補的プライマーに対する正確な対合を含む第1の単位複製配列生成のために、一時的なプライマー結合のみを必要とするからである。したがって、また、ハイブリダイゼーションプローブ配列における塩基の差異、または誤対合の許容性と同様に、WNVなどのフラビウィルスの核酸増幅に有用なプライマーは、規定された長さの範囲内の3’末端標的相補的塩基配列を有し、RNA等価物、DNA等価物、ヌクレオチドアナログの存在および他の場合には、前記プライマー配列を含む規定された配列に比して、10%まで、またはさらに20%までの塩基の差異を考慮に入れたものである。
【0104】
WNV核酸の増幅に好ましいプライマーの組合わせは、核酸テンプレート源として、WNVウィルス粒子を使用した一連の操作において同定された。プロモーター−プライマーおよび反対鎖プライマーは、下記の方法を用いた組合わせにおいてスクリーニングされた。これらの操作は、具体的に転写媒介増幅(TMA)プロトコルを用いて実施されたが、本明細書に開示されたプライマーは、単位複製配列を生成するために通常のレベルの当業者に周知である代替のインビトロ核酸増幅法によって使用し得る。
【0105】
実施例2は、西ナイルウィルスの5’非コード領域に対する有用な増幅プライマーを同定した方法を記載している。
実施例2
増幅プライマーの同定
プライマーの対の組を使用した増幅反応において、ウィルスライセートが、WNVテンプレート配列源として働いた。TMA反応が、本質的にKacianらによる米国特許第5,399,491号に記載されたとおりに実施されたが、この米国特許の開示は、参照として上記本明細書に組み込まれている。各プロモーター−プライマーは、WNV相補的配列の上流に、T7プロモーター配列AATTTAATACGACTCACTATAGGGAGA(配列番号153)を含んだ。増幅反応は、種々のプライマー組合わせに関して、WNVテンプレート源としてNY99WNV株のウィルスライセートの1:10,000希釈液の5μlまたは1.4μlのいずれか(反応液は1PFUウィルス当量未満を含んだ)、および100μlの反応緩衝液中10ピコモルの各プライマーを用いて実施された。ウィルスライセートは、コロラド州フォートコリンズ所在、ベクター−ボーン感染疾患局、感染疾患国立センター、疫病管理センターより入手した。核酸は、テンプレートが、HIV特異的オリゴヌクレオチドではなくて、WNV特異的オリゴヌクレオチドを用いて捕捉されたこと以外は本質的に国際公開特許出願第US2000/18685号に開示された操作に従って、増幅前に標本処理と標的捕捉を受けた。テンプレート核酸源として、5μlのウィルスライセートを用いて実施された試験に関して、各々、2.5ピコモル/反応の濃度で配列番号117、配列番号118および配列番号119の配列または配列番号120、配列番号126および配列番号130の配列を有する捕捉オリゴヌクレオチドの組を組合わせて用いた。標的核酸とプライマーとを60℃に10分間加熱してから、プライマーのアニーリングを促進するために42℃に冷却した。次いで前記化合物に、マロニーマウス白血球ウィルス(MMLV)逆転写酵素(5,600/単位)およびT7RNAポリメラーゼ(3,500単位/反応)を加えた。最終増幅反応液は、50mMトリスHCl(pH8.2から8.5)、35mM KCl、4mM GTP、4mM ATP、4mM UTP、4mM CTP、1mM dATP、1mM dTTP、1mM dCTP、1mM dGTP、20mM MgCl、20mM N−アセチル−L−システイン、および5%(w/v)グリセロールを含んだ。42℃で1時間の温置後、全体で100μlの増幅反応液を、配列番号98(表10を参照)のプローブを用いて、本質的に実施例1に記載されたとおりのハイブリダイゼーションアッセイに供した。より具体的には、前記プローブをアクリジニウムエステルにより、約2x10RLU/ピコモルの比活性へと標識してから、各ハイブリダイゼーション反応に関して、2x10RLUと等価な量で使用した。試験は、10回の反復試験を用いて行われた。陽性結果として判断されるには、プローブハイブリダイゼーションを示している化学発光シグナルが、アッセイにおいて50,000RLUを超過したことが必要であるか、またはシグナル対ノイズ比(バックグラウンドノイズは、陰性増幅コントロール反応において測定された)が少なくとも10であったことが必要である。
【0106】
表11および表12は、5μlならびに14μlのウィルスライセートに含まれたWMVテンプレート量および増幅プライマーの種々の組合せを用いて各々実施された増幅操作の結果を示す。表の最終欄の結果は、この操作に用いられた陽性試験数および反復試験数を示している。
【0107】
【表11−1】

【0108】
【表11−2】

【0109】
表11に示された結果は、プライマーの組合わせの多くが、1反応当たり1PFUのウィルス当量より低いテンプレート濃度でさえ、極めて高レベルのWNV検出性を与えることを示した。本明細書に提供された結果において、低いけれども測定可能レベルのWNV検出性を与えるプライマーの組合わせでも、WNVテンプレートの増幅に成功したことを示し、WNV核酸増幅アッセイの有用な構成要素としての組合せを確立した。WNV核酸の1本の鎖に相補的なプライマーの各々が、WNV核酸の反対鎖に相補的なプライマーのうちの少なくとも1つと対合でき、高感度増幅に基づくアッセイが得られることを、これらの操作の結果が示したことは重要である。
【0110】
【表12】

【0111】
表12に提供された結果は、上記捕捉オリゴヌクレオチド、プローブおよびプライマーが、極めて低濃度の投入テンプレートでWNV核酸検出用の高感度アッセイに使用され得る方法をさらに例示する。
【0112】
実施例3は、西ナイルウィルスの3000領域の核酸を増幅するのに有用なプライマーを同定した方法を記載する。
実施例3
増幅プライマーの同定
WNVの3000領域に特異的なプライマー類の対セットを使用する増幅反応は、表4に示されたWNV相補的配列を有するプロモーター−プライマーを、表3に示された配列を有する反対鎖プライマーと組合わせて用いたことを除いて、本質的に実施例2で記載されたとおり実施した。増幅反応は、上記ウィルスのライセートの1:10,000希釈液の5μlまたは1.4μl(各反応は1PFU未満のウィルス当量を含有した)を用いて種々のプライマーの組合わせについて実施した。核酸は、配列番号117、配列番号118および配列番号119の標的相補的配列または配列番号120、配列番号126、および配列番号130の標的相補的配列を含んだ捕捉オリゴヌクレオチドの組合せを用いて、実施例2に従って標本処理を受けた。各捕捉オリゴヌクレオチドを、標的捕捉工程において2〜5ピコモル/反応の濃度で用いた。標的核酸およびプライマーは、60℃で10分間加熱してから、42℃に冷却し、増幅反応を上記のとおり実施した。増幅反応の終結時に、全反応容量を、配列番号100(表10参照)の配列を有するプローブを用いてハイブリダイゼーションアッセイに供した。より具体的には、前記プローブを、アクリジニウムエステルにより約2x10RLU/ピコモルの比活性に標識し、次いで約1x10
から1x10RLUに等しい量で各ハイブリダイゼーション反応に用いた。試験は、10回の反復試験を用いて実施した。陽性結果として判定するためには、プローブハイブリダイゼーションを示す化学発光シグナルが、一アッセイにおいて50,000RLUを超過していなければならない。
【0113】
表13は、WNVの3000領域の核酸を増幅させるために、プライマーの異なる組合わせを用いて実施された増幅操作からの結果を示している。表の最終欄の結果は、この操作で用いられた陽性試験数および反復試験数を示している。それに反する指示がなされない限り、ウィルス核酸源として5μlのWNVライセートを用いて全ての反応を実施した。
【0114】
【表13】

【0115】
表13に示された結果は、掲載されたプライマー組合わせの多くが、WNV核酸の増幅を含んだ高感度アッセイを創製するのに有用であることを示した。実際、投入テンプレートのいくらかの濃度におけるWNV核酸増幅のために、1本の鎖に相補的な任意の掲載プライマー類が、反対鎖に相補的な任意の掲載プライマーと組合わせて使用できることが考慮されている。
【0116】
実施例4は、西ナイルウィルスの3’非コード化領域の核酸を増幅するのに有用なプライマーを同定した方法を記載する。
実施例4
増幅プライマーの同定
WNVの3’非コード化領域に特異的なプライマーの対セットを使用する増幅反応は、表6に提供されたWNV相補的配列を有するプロモーター−プライマーを、表5に示された配列を有する反対鎖プライマー類と組合わせて用いたことを除いて、本質的に前記実施例で記載されたとおり実施した。増幅反応は、上記ウィルスのライセートの1:10,000希釈液の1.4μlまたは0.14μl(各反応は1PFU未満のウィルス当量を含有した)を用いて種々のプライマーの組合わせについて実施した。核酸は、配列番号118、配列番号119および配列番号120の標的相補的配列を有する捕捉オリゴヌクレオチド類を組合せて用い、各々が2〜5ピコモル/反応の濃度で標本処理を受けた。標的核酸およびプライマーを、60℃で10分間加熱してから、42℃に冷却し、増幅反応を上記のとおり実施した。増幅反応の終結時に、全反応容量を、配列番号104(表10参照)の配列を有するプローブを用いてハイブリダイゼーションアッセイに供した。より具体的には、前記プローブを、アクリジニウムエステルにより約2x10RLU/ピコモルの比活性に標識し、次いで約1x10から1x10RLUに等しい量で各ハイブリダイゼーション反応に用いた。試験は、10回の反復試験を用いて実施した。陽性結果として判定するためには、プローブハイブリダイゼーションを示す化学発光シグナルが、一アッセイにおいて50,000RLUを超過していなければならない。
【0117】
表14は、プライマー類の異なる組合わせを用いて実施された増幅操作からの結果を示している。表の最終欄の結果は、この操作で用いられた陽性試験数および反復試験数を示している。
【0118】
【表14】

【0119】
表14に示された結果は、掲載されたプライマー組合わせが、WNV核酸の増幅を含んだ高感度アッセイを創製するのに有用であることを示した。実際、投入テンプレートの幾らかの濃度におけるWNV核酸を増幅するために、1本の鎖に相補的な任意の掲載プライマーが、反対鎖に相補的な任意の掲載プライマーと組合わせて使用できることが考慮されている。
【0120】
とりわけ、1つの例を除く全てにおいて、表14に掲載された反対鎖プライマーと組合わせて用いられた他のプロモーター−プライマーは、示された標的投入濃度で0陽性試験/10回反復試験を与えた。より具体的には、以下のオリゴヌクレオチドによって得られたWNV相補的配列を含んだT7プロモーター−プライマーは、上記に示した条件を用いて表14に掲載された反対鎖プライマーの各々:配列番号82、配列番号83、配列番号80および配列番号81と組合わせて試験した場合、好結果を得なかった。全てのプライマーが等価であるならば、これらのプライマーを用いた場合、測定可能な結果を予想できたであろうが、そうではなかった。特別の感度を有する増幅操作を実施するのに有用なプライマーは、配列番号73および配列番号74の極めて好ましいドメイン内に含まれていた。
【0121】
前記アッセイデザインにおける汎用性をさらに立証するために、さらなる操作を実施して、1つ以上の同センスプライマーが、アッセイ感度を損なうことなく増幅反応に使用できる方法を示した。実際、前記アッセイにおいて1つ以上の同センスプライマーを使用する能力は、WNV遺伝子変異体を検出する一方法を表している。
【0122】
3’非コード化領域におけるWNVを増幅し、検出する反応は、以下の小さな修飾をして実質的に上記のとおり実施した。この操作に使用された捕捉オリゴヌクレオチドには、配列番号134、配列番号131および配列番号127の標的相補的配列を含んだ。配列番号76の標的相補的配列を含んだプロモーター−プライマーは、増幅反応の全てに存在した。表に示された結果を除いて、全ての反応は、WNV核酸の同じ鎖にハイブリダイゼーションした同じセンスの第2プライマーと組合わせて、配列番号64の配列を有するプライマーを含んだ。一例として、配列番号76の標的相補的配列を含んだ配列番号68の配列を有するプライマーおよび配列番号85のプロモーター−プライマーを、第3プライマーの不在下でWNV核酸を増幅させるために使用した。単位複製配列生成を検出するために配列番号111の配列を有するプローブを、全ての場合に使用した。反応は、10回の反復試験で実施し、上記ウィルスライセートの1:10,000希釈液の0.33μlを用いてプライムした(1反応当たりウィルス標的のほぼ10〜20コピー)。陽性結果として判定するためには、プローブハイブリダイゼーションを示す化学発光シグナルが、一アッセイにおいて50,000RLUを超過していなければならない。とりわけ、これらの試験は、HIV−1内部コントロールテンプレートおよびWNV標的の増幅または検出に実質的に影響を及ぼさないプライマーをさらに含んだ。
【0123】
表15に示された結果は、被験プライマー組合わせの各々が、WNV核酸の増幅および検出を容易にすることを示した。
【0124】
【表15】

【0125】
前記アッセイデザインにおける汎用性をさらに例示するために、捕捉オリゴヌクレオチドの同じセット用い、WNV単位複製配列を生成するための複数プライマーを用いるが、検出工程では異なるハイブリダイゼーションプローブを用いて他の方法を実施した。より具体的には、この操作に使用された捕捉オリゴヌクレオチドは、配列番号134、配列番号131および配列番号127の標的相補的配列を含んだ。配列番号76のWNV相補的配列を有するプロモーター−プライマーを、配列番号64および配列番号68の配列を有する反対鎖プライマー類と組合わせて使用した。増幅反応は、テンプレート源として上記ウィルスライセートの1.4μlを用いて実施した。1つは配列番号107の配列を有し、他は配列番号114の配列を有する2つの異なるプローブのうちのいずれかを用いて検出反応を実施した。これらのプローブの各々は上に記載されている。これらの操作結果は、配列番号107のプローブを用いて10/10陽性、また、配列番号114のプローブを用いて18/18陽性を得た。このことにより、ハイブリダイゼーションプローブの有用性が確認され、さらに高感度アッセイを得るために、増幅および検出操作の要素を、組合わせできる方法を立証した。とりわけ、試験を受ける生物学的サンプルが、僅かに異なる方法によって調製された場合でも、配列番号114のプローブは、他の方法において、並はずれて再現性のある結果を得ることが判った。上記のとおり、配列番号114のプローブ配列は、配列番号101、配列番号102および配列番号103により規定されたプロ−ブドメインに含まれた対応する配列とは僅かに異なる。
【0126】
以下の実施例では、候補となるWNV捕捉オリゴヌクレオチドを試験するために使用される方法を記載する。この操作で記載されたWNV特異的標的捕捉、増幅プライマー、プローブに加えて、前記反応により、HIV−1、HCVおよびHBV検体に特異的な捕捉オリゴヌクレオチドを含む効果を試験した。
実施例5
種々の捕捉オリゴヌクレオチドを用いるWNV標的配列の検出
上記操作に使用されたWNVライセートの一定分量を、約4ピコモルの各捕捉オリゴヌクレオチドおよびポリ−(dT14)に共有結合した約40μgの0.7〜1.05μ常磁性粒子(Seradyn、インディアナ州インディアナポリス所在)を含有する400μlの溶解/捕捉試剤に分散した。この操作に使用された捕捉オリゴヌクレオチドは、表8に掲げた配列を有した。溶解/捕捉試剤は、HIV−1内部増幅コントロールテンプレート、HIV−1、HCVならびにHBV特異的捕捉オリゴヌクレオチド類、および294mMラウリル硫酸リチウム、730mM塩化リチウムならびに50mM水酸化リチウムを含有する100mM HEPES緩衝液をさらに含んだ。上記のとおり、5’−TTT−3’スペーサー配列を、表8に示された各捕捉オリゴヌクレオチドに関して、WNV相補的配列とオリゴ−(dA)尾部領域との間に挿入する。この混合物を55〜60℃に約15〜30分間加熱してから、室温に冷却してハイブリダイゼーションさせる。磁場をかけて、Wangによって米国特許第4,895,650号に記載されたものなどの操作を用いて、固定化された捕捉オリゴヌクレオチドおよびWNV DNAを含有する粒子複合体を採取する。この粒子を、1mlの洗浄用緩衝液(10mM HEPES、6.5mM
NaOH、1mM EDTA、0.3%(v/v)エタノール、0.02%(w/v)メチル−パラベン、0.01%(w/v)プロピル−パラベン、150mM NaCl、0.1%(w/v)ラウリル硫酸ナトリウム)で2回洗浄した。次いで洗浄した粒子を、実施例2で記載された75μlの増幅剤に再懸濁した。この試剤は、塩類、ヌクレオチド類、リボヌクレオチド類、WNV特異的プライマー類を含んだ。幾つかの試験ではさらに、HIV−1内部コントロールテンプレートを増幅できるプライマー類を含んだ。次に、WNV標的核酸を増幅して、増幅産物を、配列番号98(表10参照)のハイブリダイゼーションプローブを用いて実施例1で本質的に記載された、均一保護アッセイを用いて検出した。内部コントロール単位複製配列に特異的なプローブ、またはWNV単位複製配列に特異的なプローブとハイブリダイゼーションした場合に陽性シグナルを示した反応を、有効な反応として評価した。WNV単位複製配列の存在が陽性と考えられる有効な操作のためには、プローブハイブリダイゼーションを示す化学発光シグナルは、一アッセイにおいて50,000RLUを超過していなければならない。
【0127】
表16は、WNV特異的捕捉オリゴヌクレオチド(類)の同一性およびWNV配列を効率的に増幅し、検出するシステム能力に関連するサンプル結果を提供している。増幅反応において陽性結果を達成するためには、WNV捕捉オリゴヌクレオチドは、増幅プライマー類およびプローブ(類)と協同的に作用して、WNVテンプレート核酸を捕捉し、WNVテンプレート核酸を増幅し、次に増幅された核酸を検出できていなければならない。
【0128】
とりわけ、この操作に使用され、表16に掲載されたプロモーター−プライマー類は、T7プロモーターを含んだ完全配列により同定されている。しかしながら、プロモーター−プライマーのWNV相補的部分は、ポリメラーゼ連鎖反応などの代替のプロトコルによる任意のプロモーター配列との増幅反応を実施するための本質的な配列を表すことを理解するべきである。したがって、表16に掲載されたプライマーの幾つかは、任意のプロモーター配列を有し、任意のプロモーターを含まない対応するプライマーは、本質的なWNV相補的配列を表すことを理解するべきである。これら後者のWNV相補的配列は、WNV核酸を増幅するための反対鎖プライマー類と関連して有用である。
【0129】
【表16】

【0130】
表16に示された結果により、単独に、または組合わせて試験された実質的に全ての捕捉オリゴヌクレオチドが、WNV検出アッセイに有用であることを確認した。
【0131】
前述の実施例に用いられたNY99株のように、西ナイルウィルスのウガンダ株は、公知の100株以上の西ナイルウィルスのうちの一株である。配列決定および系統学的分析に基づいて、公知のウィルスは、2つの系列−系列1および系列2に分けられている。無症候性またはヒトの軽度熱性症例から単離された系列2株は、系列1株よりもいくらか毒性が弱いことが疫学的データにより示されている。系列1株は、ヒト脳炎症例および致死性のあった伝染病を伴っている。
【0132】
上記増幅システムの重要な利点は、西ナイルウィルスのウガンダ株の「熟達パネル」を用いて立証された(系列2株の一例)。通常レベルの当業技術者は、この株が、米国内で顕著であるNY99株(系列1株の例)に対して核酸レベルでわずかに関連しているのみであることを認識するであろう。したがって、アッセイが、WNYのNY99およびウガンダ株の双方を検出できるかどうかは、臨床設定に有用な高緊縮試験であることを示している。
【0133】
実施例6は、西ナイルウィルスのウガンダ株が、NY99株を検出した同じアッセイにより検出されたことを証明するために使用された方法を記載している。
実施例6
西ナイルウィルスのウガンダ株の増幅および検出
ヒト血清誘導体の800μlから1,000容量にWNVウガンダ株の既知量を含有するサンプルの熟達度パネルは、Boston Biomedica社(マサチューセッツ州)から入手した。このパネルは、各々がWNVウガンダ株RNAの0、30、100、1,000または10,000コピー/mlを含有する複数のメンバーから構成された。標的捕捉操作、増幅操作および検出操作を、本質的に前述の実施例に記載されたとおり実施した。この実施例において、配列番号120、配列番号130および配列番号126の標的相補性配列を有する捕捉オリゴヌクレオチド類を、互いに組合わせて使用した。予備的方法において、ウィルスRNAの10,000コピー/mlを含有するパネルメンバーのうちの1つが、ウィルス核酸の10、30、100または300コピーのいずれかを含有した一連の希釈液を創製するために使用された。増幅および検出反応を、表17に掲載されたオリゴヌクレオチド試剤を用いて実施した。本例において、配列番号98の配列を有するプローブ上の標識は、11位と12位との間に配置され;配列番号100の配列を有するプローブ上の標識は、9位と10位との間に配置され;配列番号104の配列を有するプローブ上の標識は、6位と7位との間に配置される。パネルメンバーを、予め希釈することなく試験に用いた場合、500μlの一定分量を、標的の3000領域を増幅した反応に用い、パネルメンバーの残りの容量を(500μl未満の量)を、3’非コード化領域を増幅した反応に用いた。希釈していないパネルメンバーの容量に制限があることから、試験は、これら2つの領域に限定された。陽性結果は、シグナル対ノイズ比が少なくとも10である場合に評価された。
【0134】
【表17】

【0135】
表18は、本操作からの数値結果を示している。単一標的濃度で実施された反応の各シリーズに関する結果の中の精度は、変動係数(%CV)を算出することにより決定された。
【0136】
【表18】

【0137】
表18に示された結果は、WNVウガンダ株における3つの異なる標的領域の各々が、NY99株を増幅し、検出するために使用された同じオリゴヌクレオチド試剤を用いる高感度様式で増幅され、検出され得ることを確認した。種々の増幅システムの各々は、30コピー/mlに至るまで100%のサンプルにウィルス核酸を検出した。3000領域および3’非コード化領域における標的を検出するシステムでは、10コピー/mlに至るまで100%のサンプルにウィルス核酸を検出した。種々の希釈液の0.5mlサンプルを、検出操作に使用したことから、ウィルスRNAコピー数/反応は、ウィルスRNAコピー数/mlの二分の一であった。サンプル源が10コピー/mlのウィルスRNAを含んだ場合に、ウィルス標的が検出されたことを示す陽性結果は、このアッセイが5コピーのウィルスRNAを検出することを意味した。とりわけ、3000領域および3’非コード化領域における核酸を増幅した反応は、低い%CVの読取りが有利に得られ、それにより増幅反応において高レベルの精度が示された。
【0138】
【表19】

【0139】
表19の結果は、西ナイルウィルスの3000領域および3’非コード化領域における配列を増幅し、検出するためのアッセイが、擬似陰性結果を与えることなく、15コピー/反応に至るまで、またはそれ以下でウガンダ株のウィルスRNA標的を検出することを示した。これらの知見は、表18に示された結果と一致した。
【0140】
本明細書に記載されたオリゴヌクレオチド類を、高感度アッセイを与えるために組合わせできる方法をさらに例示するために、西ナイルウィルスのウガンダ株を増幅し、検出するための異なる組み合わせの捕捉オリゴヌクレオチド、プライマーおよびプローブを使用した。配列番号117、配列番号134および配列番号128の標的相補的配列を含んだ捕捉オリゴヌクレオチド類が使用されたこと、配列番号85のプロモータープライマーが配列番号76の標的相補的配列を含んだこと、反対鎖プライマーが配列番号64の配列を有すること、配列番号111の配列を有する上記オリゴヌクレオチドがプローブとして使用されたこと以外、上記のものと同様の操作を使用した。さらに前記ウィルスの3、1、0.3および0.1コピー/mlを含有するサンプルは、アッセイ感度を正確に定量化するためのデータを作成するために20回の反復試験を行った。95%および50%検出レベルを算出するために、SAS(登録商標)Systemソフトウェア(バージョン8.02)(ノースカロライナ州カリー所在)におけるプロビット関数を用いる回帰解析を用いた。無効な反応は、再試験せず、また、分析感度の解析に含ませなかった。
【0141】
【表20】

【0142】
表20に示された結果により、西ナイルウィルスのウガンダ株が、増幅アッセイにおいて優れた感度で検出されることを示した。より具体的には、核酸増幅アッセイ、および約4〜7コピー/反応に相当する量の7〜13ウィルスコピー/mlに至るまでの結果の解析により、エンドポイント検出システムを用いた95%検出が予測された。
【0143】
上記の検体検出システムの多用性をさらに例示するために、単位複製配列生成を、「リアルタイム」増幅操作における時間の関数としてモニタした。増幅反応に含まれた単位複製配列特異的分子ビーコンは、単位複製配列合成の連続モニタリングの手段を提供した。時間と共に増加した蛍光発光により、分子ビーコンにハイブリダイゼーションし、プローブの「開放」配座への検出可能な遷移を引き起こした単位複製配列の生成を示した。
【0144】
分子ビーコンは、標的相補的配列を有する核酸分子、標的の不在下で相補的塩基対合による「幹」構造(すなわち、「閉鎖」配座)を形成するために相互作用する親和性対(または核酸「アーム」)、およびプローブが閉鎖配座内にある場合に相互作用する標識の対になったセットを含む。通常レベルの当業者は、分子ビーコンの構造内に含まれた標的相補的配列が、一般にプローブの一本鎖「ループ」領域の形態にあることを理解するであろう。標的核酸とプローブの標的相補的配列とのハイブリダイゼーションは、親和性対のメンバーを分離させ、それによってプローブが開放配座にシフトする。このシフトは、例えば、発蛍光団および消光剤因子あり得る標識対のメンバー間での相互作用が減じることから検出可能である。分子ビーコンは、米国特許第5,925,517号に十分に記載され、この特許文献の開示は、参照として本明細書に組み込まれている。
【0145】
(1)5’非コード化領域、(2)3000領域、および(3)3’非コード化領域から誘導された単位複製配列に特異的な分子ビーコンを用いて得られた時間依存性の結果を解析するために、商品として入手できるソフトウェアを使用した。これらの解析結果により、図3に例示されるとおり、増幅反応に含まれた標的コピー数と、蛍光シグナルがバックグラウンド閾値を超えた時間(すなわち、バックグラウンド超の「出現時間」)との間で実質的に直線関係を示した。下記に提供された結果により確認されたように、これらの方法は、極めて広範囲にわたり検体標的量を定量化するために有用であった。より具体的には、検体ポリヌクレオチド類の既知量を、較正標準として用いる場合、測定された出現時間と標準プロットとを比較することにより、試験サンプルに存在する検体量を決定することが可能である。
【0146】
下記の操作に用いられた増幅反応が、増幅と検出とが同時に行われるように一定温度で、別個の検出工程の中断なしで操作されるという事実は、上記分子ビーコンに対して厳密な要件を課す。より具体的には、この方法を成功させるためには、分子ビーコンが、指数関数的増幅機構におけるテンプレートとして単位複製配列の引き続く使用を阻害することなく、単位複製配列に結合することが要求される。実際、増幅反応が、分子ビーコンの存在下で効率的に進行できたという知見により、プローブとその標的との相互作用は、増幅反応を不可逆的に阻害しなかったか、または害さなかったことを示した。
【0147】
実施例7は、TMA反応における時間依存性単位複製配列生成をモニタリングするために、各々が相互に作用する発蛍光団/消光因子対で標識された、分子ビーコンプローブを使用した方法を記載している。この実施例に記載された分子ビーコンは、増幅核酸産物の1本の鎖のみにハイブリダイゼーションしたが、相補的プローブ配列もまた、反対核酸鎖にハイブリダイゼーションすることが予想され、それゆえ本発明の範囲内に入るであろう。
実施例7
単位複製配列生成のリアルタイムモニタリング
種々のWNV単位複製配列に結合特異性を有する分子ビーコンを、Perkin−Elmer(カリフォルニア州フォスターシティー所在)EXPEDITEモデル8909自動化シンセサイザ上で3’消光因子結合制御ポアガラス(CPG)および5’発蛍光団標識ホスホラミダイトを用いる標準的固相亜リン酸トリエステル化学により合成した。フルオレセインを蛍光団として用い、DABCYLを、分子ビーコン構築のための消光因子として用いた。全ての分子ビーコンは、2’−メトキシヌクレオチドアナログを用いて構築された。CPGおよびホスホラミダイト試薬は、Glen Research社(バージニア州スターリング所在)から購入した。合成後、プローブを脱保護し、濃水酸化アンモニウム(30%)を用いて60℃で2時間処理することにより固体支持体マトリクスから開裂した。次いで、このプローブを、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて精製し、次いで通常レベルの当業技術者に知られている標準的な方法を用いるHPLCにより精製した。
【0148】
リアルタイムの増幅法に用いられた核酸標的は、既知濃度のインビトロ合成のRNA転写体であった。3種のインビトロ合成WNV標的(5’非コード化領域標的、3000領域標的、および3’非コード化領域標的)は、対応する配列、または各プライマーに相補的な配列を含んだWNVゲノム部分を含有した。分子ビーコンを、約0.2ピコモル/μl(4ピコモル/反応)の濃度で用いた。WNV核酸を増幅する反応は、1.5x10テンプレートコピー/反応のような低さから5x10テンプレートコピー/反応のような高さまでを用いて実施された。
【0149】
実施例2で本質的に記載されたとおり、塩類と試剤、標的ポリヌクレオチド、および分子ビーコンを含んだ15μlの緩衝液を含有するチューブを先ず、蒸発を防ぐために15μlの不活性油で覆った。次いで前記チューブを、乾熱ブロック中、60℃で10分間温置してプライマーアニーリングを促進した。WNV標的の5’非コード化領域を増幅させるプライマー類は、配列番号28(配列番号40のプロモーター−プライマーの配列内に含有)および配列番号10の標的相補的配列を有した。WNV標的の3000領域を増幅させるプライマー類は、配列番号53(配列番号56のプロモーター−プライマーの配列内に含有)および配列番号47の標的相補的配列を有した。WNV標的の3’非コード化領域を増幅させるプライマー類は、配列番号76(配列番号85のプロモーター−プライマーの配列内に含有)および配列番号64と配列番号68の双方の標的相補的配列を有した。60℃の温置ステップ後、チューブを42℃の熱ブロックに移してから、10分間温置した。MMLV逆転写酵素およびT7 RNAポリメラーゼ酵素の双方を含んだ5マイクロリットルの一定分量の酵素試剤は、反復ピペッタを用いて各チューブに加えた。チューブを簡単に渦巻かせてから、予め42℃に加温したROTORGENE−2000(Corbett Research;オーストラリア国シドニー所在)ロータに移した。増幅反応は、42℃で実施し、蛍光読取りは、30秒毎にとり、この結果は、ROTORGENE−2000装置で包まれた標準的ソフトウェアを用いてリアルタイムで解析した。
5’非相補的領域における増幅
表21は、5’非コード化領域に相当する単位複製配列の生成をモニタリングするために用いられた分子ビーコンのループ部分に含まれたWNV標的相補的配列を提供している。とりわけ、配列番号158の標的相補的ループ配列の第9位(A残基により占められる)は、西ナイルウィルのスウガンダ株の単位複製配列産物に誤対合された。この方法に使用されたWNV特異的分子ビーコンは全て、RNA等価物およびDNA等価物の存在を考慮に入れたものであり、配列番号93および配列番号95の配列内に含有した13〜15連続ヌクレオチドを含んだ標的相補的配列を有した。表21に示された標的相補的配列は、分子ビーコンのループ領域に独立して取り込まれた。
【0150】
【表21】

【0151】
表21に示されたWNV相補的配列を含んだ分子ビーコンの完全配列は、表22にある。配列番号162を除いて、各分子ビーコンには、表21にあるWNV標的相補的配列に付加した5’CCGAGアーム配列、および3’CUCGGアーム配列を含んだ。配列番号162の配列を有する分子ビーコンは、プローブのループ部分に付加した5’GGCACアーム配列および3’GUGCCアーム配列を含んだ。とりわけ、配列番号161の配列を有する分子ビーコンのループ部分は、WNV標的相補的配列およびWNV標的に相補的でないその3’に付加した単一C残基を含んだ。全ての場合において、WNV相補的配列は、分子ビーコン構造内のループ領域として配置された。したがって、配列番号161の配列を有する分子ビーコンのループ配列の最終位置(C残基により占められる)は、単位複製配列の標的配列に誤対合され、配列番号163の配列を有する分子ビーコンのループ配列の第9位置(AC残基により占められる)は、西ナイルウィルのスウガンダ株の単位複製配列産物に誤対合された。この方法に使用された各分子ビーコンは、その5’末端にフルオレセイン発蛍光団、およびその3’末端にDABCYL消光因子部分を含んだ。相補的アーム構造に相当する配列は、表22の下線部により表されている。
【0152】
【表22】

【0153】
表23〜25に示された結果により、WNV特異的分子ビーコンのうちの1つを含んだ増幅反応が、望ましくは、検出可能性の閾値レベルに到達するまでの時間と共に増加する蛍光シグナルを生じることが確認された。WNVテンプレートの種々の量が、種々の操作で種々のプローブ類を試験するために使用されるので、これらの操作の結果は、同様の標的量が分類される別々の表に提供される。全ての結果は、二重反復試験または三重反復試験で実施された反応に基づいた。本操作で試験された単独分子ビーコンを除いて(データは示さず)、各プローブは、少なくともいくらかのレベルの時間依存性検体検出性を与えた。蛍光標識の完全性または非機能性プローブの場合のプローブ合成を確認する試みがなされなかったので、このプローブが良好な結果を与えなかった理由は定められなかった。
【0154】
この操作で試験された種々の分子ビーコンが、リアルタイムアッセイフォーマットにおいていくらか異なった挙動を示したことは重要である。例えば、配列番号155の標的相補的配列を有する分子ビーコンを含んだ反応によって、高い標的数の極めて迅速な検出、および被験投入標的濃度の十分な範囲にわたる対数プロット上で蛍光シグナルと標的量との間に強い直線関係を得た(図3を参照)。このプローブを用いて得られた出現時間の読取りに関する変動係数(複数CV)は、3.3%以下であり(表23を参照)、それによって、データポイント間で極めて高い精度を示した。配列番号158の標的相補的配列を有する分子ビーコンを含んだ反応は、いくらか遅い検出動態を示したが、有利な点としては、互いに低い標的濃度を見分けることができた(表24を参照)。プローブ類のこれらの特性は、配列番号155および配列番号158の標的相補的配列を含有する分子ビーコンを用いて反応を並べて実施した場合に再現性があった。表24に示されたとおり、32.2分により、WNVテンプレートの15および1.5x10コピーを含んだ反応に関して出現時間が識別され、また、配列番号158の標的相補的配列を含有する分子ビーコンを用いた場合、10.7分により、WNVテンプレートの15および150コピーを含んだ反応に関して時間出現が十分に識別された。このプローブを用いた直線関係の標的コピー数と出現時間との勾配は、標的の低濃度範囲で特に有利であったことが明白であろう。配列番号157の標的相補的配列を有する分子ビーコンを含んだ反応は、投入標的コピー数と出現時間との間で実質的に直線関係を生じたが、配列番号158の標的相補的配列を含んだプローブと比較すると、いくらかより低い勾配を示した。配列番号156の標的相補的配列を有する分子ビーコンを含んだ反応は、約4コピー/反応という低いWNV標的濃度を用いて実施し(表25を参照)、図3に例示されたものなど、プロット上の4〜4.23x10の範囲で測定された出現時間と標的コピー数との間で、強いがやはりいくらか低い直線関係を示した。実際、ほぼ6分の違いにより、配列番号156の標的相補的配列を含むプローブを用いた場合のこれら極端な状態で実施された反応に関する出現時間の測定が識別された。
【0155】
【表23】

【0156】
【表24】

【0157】
【表25】

【0158】
3000領域における増幅
表26は、3000領域に相当する単位複製配列生成をモニタリングするために用いられた分子ビーコンのループ部分に含まれたWNV標的相補的配列を示している。WNV特異的分子ビーコンは全て、ヌクレオチドアナログおよびRNA等価物とDNA等価物の存在を考慮に入れたものであり、配列番号99に含有した10〜20連続塩基を含んだ標的相補的配列を有した。表26に示された標的相補的配列は、分子ビーコンのループ領域に独立して取り込まれた。
【0159】
【表26】

【0160】
表26に示されたWNV相補的配列を含んだ分子ビーコンの完全配列は、表27にある。各分子ビーコンには、そのWNV標的相補的配列に付加した5’CCGAGアーム配列、および3’CUCGGアーム配列を含んだ。この方法に使用された各分子ビーコンは、その5’末端にフルオレセイン発蛍光団、およびその3’末端にDABCYL消光因子部分を含んだ。相補的アーム構造に相当する配列は、表27の下線部により表されている。
【0161】
【表27】

【0162】
表28に示された結果により、WNV特異的分子ビーコンのうちの1つを含んだ増幅反応が、望ましくは、検出可能性の閾値レベルに到達するまでの時間と共に増加する蛍光シグナルを生じることが確認された。やはり、種々の分子ビーコンは、リアルタイムアッセイフォーマットにおいていくらか異なる挙動を示した。例えば、配列番号167の標的相補的配列を有する分子ビーコンを含んだ反応は、極めて迅速な検出動態、および被験投入標的濃度の十分な範囲にわたる対数プロット上で蛍光シグナルと標的量との間に強い直線関係を与えた。このプローブを用いて得られた出現時間の読取りに関する変動係数(複数CV)は、1.8%以下であり、それにより、データポイント間で極めて高い精度を示した。配列番号165の標的相補的配列を有する分子ビーコンを含んだ反応は、披験標的投入濃度の十分な範囲にわたりいくらか直線性の低い種々の応答特性を示した。しかしながら、このプローブを用いて得られた数値結果の従来の曲線調整により、高濃度の投入標的と比較した場合、低濃度の投入標的においては、実質的により大きな勾配で0.99よりも大きなR値を有する曲線を生じたことが判明した。このことは、低い標的コピー数間の小さな差異の定量化をより正確にさせる利点がある。
【0163】
【表28】

【0164】
3’非相補的領域における増幅
表29は、3’非コード化領域に相当する単位複製配列の生成をモニタリングするために用いられた分子ビーコンのループ部分に含まれたWNV標的相補的配列を示している。この方法で試験された分子ビーコン内に含有した標的相補的配列は、RNA等価物およびDNA等価物の存在を考慮に入れ、配列番号101の配列内、より好ましくは、配列番号102の配列内、またはさらにより好ましくは、配列番号103の配列内もしくはTAGACGGTGCTGCCTGCG(配列番号178)の配列内に含有した12〜18連続ヌクレオチド類を含んだ。
【0165】
表29に示された標的相補的配列は、分子ビーコンのループ領域に独立して取り込まれた。
【0166】
【表29】

【0167】
表29に示されたWNV相補的ループ配列を含んだ分子ビーコンの完全配列は、表30にある。各分子ビーコンには、WNV標的相補的配列に付加した5’CCGAGアーム配列、および3’CUCGGアーム配列を含んだ。さらにこの方法に使用された各分子ビーコンは、その5’末端にフルオレセイン発蛍光団、およびその3’末端にDABCYL消光因子部分を含んだ。
【0168】
【表30】

【0169】
表31に示された結果により、WNV特異的分子ビーコンのうちの1つを含んだ増幅反応が、望ましくは、検出可能性の閾値レベルに到達するまでの時間と共に増加する蛍光シグナルを生じることが確認された。とりわけ、表31に示された幾つかの結果は、種々の実験で得られた。それにもかかわらず、配列番号182の標的相補的配列を含んだものなど、幾つかのプローブは、迅速な動態によりWNV標的を都合よく検出したが、一方、配列番号179の標的相補的配列を含んだものなどの他のプローブは、より遅い検出動態を示したことが明白であろう。
【0170】
【表31】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−15687(P2011−15687A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174042(P2010−174042)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【分割の表示】特願2005−501484(P2005−501484)の分割
【原出願日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【出願人】(500506530)ジェン−プロウブ インコーポレイテッド (58)
【Fターム(参考)】