覆蓋の接合構造
【課題】人が乗るなどして覆蓋上に荷重がかかっても覆蓋と覆蓋との継ぎ目部分の止水状態を安定して保つことができる上、覆蓋の構造が複雑にならず、コストがかからず、施工作業性がよい覆蓋の接合構造の提供。
【解決手段】覆蓋1aの高さHの係合突条12の上面に厚みTのシール材3aを貼着した状態で、カバー部材2をH>D-Tを満足する深さDの係合凹溝23内に両係合突条12が嵌まり込むように被せて、覆蓋1aと覆蓋1aの継ぎ目部分をカバーした。また、ビス4の先端が、覆蓋本体11を貫通しないように、ビス4をカバー部材2のカバー本体部21から側壁部22を貫通するようにねじ込んで覆蓋1aと、覆蓋1aとを連結固定するとともに、シール材3aを止水状態となるように係合突条12の上面とカバー本体部21との間で圧縮した。
【解決手段】覆蓋1aの高さHの係合突条12の上面に厚みTのシール材3aを貼着した状態で、カバー部材2をH>D-Tを満足する深さDの係合凹溝23内に両係合突条12が嵌まり込むように被せて、覆蓋1aと覆蓋1aの継ぎ目部分をカバーした。また、ビス4の先端が、覆蓋本体11を貫通しないように、ビス4をカバー部材2のカバー本体部21から側壁部22を貫通するようにねじ込んで覆蓋1aと、覆蓋1aとを連結固定するとともに、シール材3aを止水状態となるように係合突条12の上面とカバー本体部21との間で圧縮した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、機械やポンプが収容されるピットの上部開口や、水処理施設の処理槽となるピットの上部開口を覆うように並設される覆蓋の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上部開口を有するピットなどは、上部開口から雨水、害を及ぼす薬剤、異物などがピット内に入り込まないように覆蓋によって上部から覆われるようになっている(特許文献1参照)。
また、機械やポンプを収容するピットや、浄水場の処理水槽などのようにピット内に雨水や薬液等が入ると困るようなピットの上部開口を上記覆蓋で覆う場合においては、前後に離間する蓋受け部間に架設され且つ互いに左右に隣接する第1及び第2の覆蓋同士の接合構造において、第1の覆蓋の第2覆蓋側の左右側縁には、上方に突出する第1の凸部が前後方向ほぼ全長に亘って設けられており、第2の覆蓋の第1覆蓋側の左右側縁には、下方に突出する第2の凸部が設けられており、第2の凸部は、第1の凸部の内側方で第1の覆蓋上に配設され、第1の凸部の内側部と第2の凸部の内側部とが対向している構造など、覆蓋に上から荷重が加わっても覆蓋間に隙間の発生がなく、覆蓋と覆蓋との継ぎ目部分から雨水や薬液等の水槽1内への混入を防止することができるようにした覆蓋の接合構造などいろいろな接合構造が先に提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−88739号公報
【特許文献2】特開2003−313934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献2で提案された覆蓋の接合構造では、いずれも覆蓋自体の構造が複雑化し、覆蓋のコストアップが生じたり、覆蓋と覆蓋とを接合する際に、覆蓋を吊り降ろすだけでなく、一方の覆蓋を他方の覆蓋方向に微妙に方向を調整しながらスライドさせるなどしたりしなければならず、作業性に問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、人が乗るなどして覆蓋上に荷重がかかっても覆蓋と覆蓋との継ぎ目部分の止水状態を安定して保つことができる上、覆蓋の構造が複雑にならず、コストがかからず、施工作業性がよい覆蓋の接合構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる覆蓋の接合構造は、複数の覆蓋が、それぞれ長手方向の両端部をピット周縁部に下方から受けられ、隣接する覆蓋の短手方向の側面がほぼ突き合った状態に並んで配置されてピットの上部開口が覆われるとともに、隣接する覆蓋と覆蓋の端部同士を上方からシール材を介してカバー部材で覆う覆蓋の接合構造であって、前記覆蓋が、短手方向端部に、覆蓋の上方に突出する高さHの係合突条を有し、前記カバー部材が、下方に開口する深さDの係合凹溝を有し、前記シール材が、無負荷のとき厚みTを有し、かつ、前記高さH,深さD及び厚みTが、H>D−Tを満足しているとともに、前記カバー部材の係合凹部内に、隣接する2つの覆蓋の係合突条が係合され、前記カバー部材の上面から覆蓋に向かって打ち込まれたビスまたは釘によって両覆蓋がカバー部材によって連結固定され、前記シール材が、カバー部材の係合凹溝の底と、係合突条の上面との間で圧縮されていることを特徴としている。
【0007】
本発明において、ほぼ突き合ったとは、隣接する覆蓋の短手方向の端面同士が完全に密着する場合だけでなく、端面間に少し隙間が形成されている場合も含むことを意味する。
また、上記端面間の隙間は、余り大きくなるとカバー部材の幅も大きくしなければならないため、50mm以下とすることが好ましい。
【0008】
本発明の覆蓋の接合構造は、特に限定されないが、より確実なシール性を確保できるように、ビスまたは釘が、覆蓋を非貫通状態で覆蓋に打ち込まれる構成やシール材を非貫通状態で覆蓋に打ち込まれる構成や、覆蓋の係合突条に隣接する部分が、他の部分から段状に高くなっていて、係合突条が、この段部よりさらに段状に高くなっている構成、カバー部材の係合凹溝の両側壁部下面が、覆蓋の係合突条に隣接する部分に受けられている構成とすることが好ましい。
また、カバー部材は、特に限定されないが、例えば、構造が単純で低コストで製造できることから横断面コ字形に形成することが好ましい。
【0009】
また、覆蓋は、特に限定されないが、覆蓋上に降った雨水や薬液がピットや処理槽の上部開口の上方位置からピットや処理槽から外れた位置にスムーズに排水されるように、
覆蓋本体を中間部から長手方向両側に向かって下降する側面視山形あるいはアーチ形に形成する、あるいは、長手方向一側から他側に向かって下降する片流れ構造に形成することが好ましい。
【0010】
覆蓋及びカバー部材は、特に限定されないが、例えば、繊維強化発泡熱硬化性樹脂、繊維強化樹脂、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂、アルミニウムや、これらの複合材料で形成される。中でも、軽量化を図るとともに、生産性、強度を考慮すると、連続成形で形成された繊維強化発泡熱硬化性樹脂の板材を、積層加工及び切削加工の少なくともいずれか一方の加工方法を実施して製造することが好ましい。
【0011】
上記繊維強化発泡熱硬化性樹脂を構成する熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、硬質のものが好適である。
強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の無機質繊維、天然繊維、合成繊維等の有機質繊維のいずれであってもよいが、強度や経済性の面からガラス繊維が適している。ガラス繊維としては、ガラスロービング、ガラスロービングクロス、ガラスマット、コンティニュアスストランドマット等の形態のものが挙げられる。この繊維は単独で使用してもよいし、二層以上積層してもよく、また、長繊維と短繊維を混ぜて使用してもよい。
【0012】
また、繊維強化発泡熱硬化性樹脂中に圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレー等の無機充填材や、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン等の軽量骨材が添加されていてもよい。
さらに、繊維強化発泡熱硬化性樹脂としては、積水化学工業株式会社製、商品名「エスロンネオランバーFFU」など市販の成形品を積層あるいは切削加工して用いることもできる。
【0013】
シール材は、止水を図ることができれば特に限定されないが、例えば、クロロプレンフォーム、ウレタンフォームなどが挙げられ、中でも弾力性が高く圧縮によるひずみが小さいクロロプレンフォームが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の覆蓋の接合構造は、以上のように、複数の覆蓋が、それぞれ長手方向の両端部をピット周縁部に下方から受けられ、隣接する覆蓋の短手方向の側面がほぼ突き合った状態に並んで配置されてピットの上部開口が覆われるとともに、隣接する覆蓋と覆蓋の端部同士を上方からシール材を介してカバー部材で覆う覆蓋の接合構造であって、前記覆蓋が、短手方向端部に、覆蓋の上方に突出する高さHの係合突条を有し、前記カバー部材が、下方に開口する深さDの係合凹溝を有し、前記シール材が、無負荷のとき厚みTを有し、かつ、前記高さH,深さD及び厚みTが、H>D−Tを満足しているとともに、前記カバー部材の係合凹部内に、隣接する2つの覆蓋の係合突条が係合され、前記カバー部材の上面から覆蓋に向かって打ち込まれたビスまたは釘によって両覆蓋がカバー部材によって連結固定され、前記シール材が、カバー部材の係合凹溝の底と、係合突条の上面との間で圧縮されているので、覆蓋の構造が複雑にならず、コストを上げることなく、安定した止水状態でピットや処理槽上を覆蓋で覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の覆蓋の接合構造の第1の実施の形態であって、その設置方法を説明する断面斜視図である。
【図2】図1の接合構造のカバー部材の固定状態におけるカバー部材部分の横断面図である。
【図3】図1の接合構造のカバー部材の取り付け方法を説明する断面図であって、同図(a)はカバー部材の係合凹溝に係合部を係合する前の状態、同図(a)はカバー部材の係合凹溝に係合部を係合した後の状態をあらわしている。
【図4】本発明の覆蓋の接合構造の第2の実施の形態であって、カバー部材の固定状態におけるカバー部材部分の横断面図である。
【図5】図4の接合構造のカバー部材の取り付け方法を説明する断面図であって、カバー部材の係合凹溝に係合部を係合する前の状態をあらわしている。
【図6】本発明の覆蓋の接合構造の第3の実施の形態であって、カバー部材の固定状態におけるカバー部材部分の横断面図である。
【図7】図6の接合構造のカバー部材の取り付け方法を説明する断面図であって、カバー部材の係合凹溝に係合部を係合する前の状態をあらわしている。
【図8】本発明の覆蓋の接合構造の第4の実施の形態であって、カバー部材の固定状態におけるカバー部材部分の横断面図である。
【図9】図8の接合構造のカバー部材の取り付け方法を説明する断面図であって、カバー部材の係合凹溝に係合部を係合する前の状態をあらわしている。
【図10】本発明の覆蓋の接合構造の第5の実施の形態であって、その覆蓋部分の縦断面図である。
【図11】本発明の覆蓋の接合構造の第6の実施の形態であって、その覆蓋部分の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図3は、本発明の覆蓋の接合構造の第1の実施の形態をあらわしている。
【0017】
図1〜図3に示すように、この接合構造は、覆蓋1aと覆蓋1aとの継ぎ目部分がカバー部材2によって覆われている。
カバー部材2は、図1及び図2に示すように、覆蓋1aの係合突条12の上面と、係合凹溝23の底面との間でシール材3aを水密に圧縮した状態で複数のビス4によって覆蓋1aに固定されている。
詳しく説明すると、覆蓋1aは、覆蓋本体11と、脚部13と、係合突条12とを備えている。
覆蓋本体11は、その長手方向の中央部から両端に向かって徐々に下降するように形成され、側面視アーチ状をしている。
すなわち、覆蓋本体11は、例えば、覆蓋本体11となるガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂(例えば、積水化学工業株式会社のエスロンネオランバーFFU)からなる面材を予めアーチ状に湾曲させて接合して得られる。
【0018】
脚部13は、覆蓋本体11の長手方向の端縁に平行に設けられた棒状体であって、の長手方向端部から少し中央方向寄りで覆蓋本体11を下方から受けるように、覆蓋本体11に接着固定されている。
また、脚部13は、覆蓋本体11と同様のガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂で形成されている。
【0019】
係合突条12は、覆蓋本体11と同様のガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂で形成された高さHをした横断面矩形の棒状材が覆蓋本体11の短手方向の両端部上面に接着固定されて形成されている。すなわち、係合突条12は、覆蓋本体11の上面から高さH分だけ突出している。
【0020】
カバー部材2は、ガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂(例えば、積水化学工業株式会社のエスロンネオランバーFFU)からなり、カバー本体部21と、2つの側壁部22とから構成され、下方に開口する深さDの係合凹溝23を備えている。
すなわち、カバー本体部21は、覆蓋本体11より少しRの大きいアーチ状をしていて、係合突条12の長手方向の長さとほぼ同じ長さの長尺帯状をしている。
【0021】
側壁部22は、深さDと同じ厚みの横断面矩形をした棒状材が、カバー本体部21の幅方向両側部下面に接着固定されて形成されている。
また、係合凹溝23の深さDは、係合突条12の高さHに対して、D>Hを満足するように設定されている。
【0022】
側壁部22と側壁部22との距離は、係合突条12の幅の2倍より少し長い幅になっている。
すなわち、カバー部材2は、カバー本体部21と2つの側壁部22によって係合突条12の幅の2倍より少し長い幅で、深さが係合突条12の高さとほぼ同じの係合凹溝23がカバー部材2の長手方向に連続して設けられている。
【0023】
シール材3aは、クロロプレンフォームから形成され、厚みTがH>D−Tを満足し、その幅が係合突条12の上面とほぼ同じ幅で、長さが係合突条12の上面の長手寸法とほぼ同じ長さをした帯状をしていて、接着剤または粘着剤(両面テープを含む)を介して係合突条12の上面に固定されている。
【0024】
そして、この接合構造は、以下のように施工される。
(1)図1に示すように、クレーン等を用いて1つの覆蓋1aを、長手方向の両端部に設けられた脚部13がそれぞれピット5を挟んでピット5の周縁部に受けられるようにセットし、長手方向の両端部をピット5の周縁部に固定する。
すなわち、覆蓋1aは、図示していないが、例えば、長手方向の両端部にアングル等の固定用金具が設けられていて、この固定用金具がピット5の周縁部にアンカー固定された金具にボルト固定されることによってピット5の周縁部に固定される。
(2)隣接する覆蓋1aを同様にして先に固定された覆蓋1aとの継ぎ目部分に少し隙間が形成された状態(対面して並ぶ2つの係合突条12の最大幅が、係合凹溝23の幅とほぼ同じか少し狭くなる幅)になるように固定する。
(3)係合突条12の上面と同じ幅及び長さのシール材3aを、接着剤を介して両覆蓋1aの係合突条12の上面に沿ってそれぞれ貼着固定する。
(4)カバー部材2を対面して並ぶ2つの係合突条12が係合部として係合凹溝23内に嵌り込むようにセットして、覆蓋1aと覆蓋1aとの継ぎ目部分をカバー本体部21によってカバーする。
(5)複数のビス4を長手方向に等ピッチでカバー部材2のカバー本体部21から側壁部22を貫通し、覆蓋本体11の中間位置までビス4をねじ込む。
すなわち、両方の覆蓋1aの側壁部22の下端が、係合突条12に隣接する覆蓋本体11の上面に当接状態になるまでビス4をねじ込むことによって、確実にシール材3aが圧縮されて止水できる。
このように、両覆蓋1aがカバー部材2を介して連結固定される。
また、このとき、カバー部材2と、係合突条12と、シール材3aとが、H>D−Tを満足しているので、シール材3aがT−(D−H)の厚みまで圧縮された状態になり、しっかりとした止水状態が得られる。
そして、(2)〜(5)の工程を繰り返し行い、ピット5の上部開口を複数の覆蓋1aによって覆った状態にする。
【0025】
この接合構造は、上記のように、係合突条12が設けられ、覆蓋本体11上面に降った雨水や覆蓋本体11上面に零れた薬液等は、この係合突条12を乗り越えない限り、覆蓋1aと覆蓋1aとの継ぎ目側に流れ込むことがない。
しかも、係合突条12の上面とカバー本体部21との間でシール材3aが圧縮されているので、雨水や薬液が決して覆蓋1aと覆蓋1aとの継ぎ目部分を介してピット5内に流れ込むことがない。
【0026】
さらに、カバー部材2が複数のビス4によって覆蓋1aに固定されているので、覆蓋1a上に人が乗るなどして荷重が掛かったとしても、カバー部材2が浮き上ってシール材3aによる止水が損なわれることがない。
また、ビス4が覆蓋本体11の厚み方向の中間位置までねじ込まれているだけであるとともに、すなわち、覆蓋本体11を貫通していないので、ビス穴を介して雨水や薬液がピット5内に流れ込むことが決してない。
【0027】
さらに、覆蓋1aと覆蓋1aを水平方向にスライドさせて、嵌合させるという構造を備えておらず、覆蓋1aをクレーン等でほぼ吊り降ろすだけの操作で覆蓋1aを設置することができ、作業性がよい。
また、覆蓋1aの構造を簡素化できるため、覆蓋1aの製造コストがあまりかからない。
しかも、ビス4を側壁部22の下面が覆蓋本体11の上面に当接するまで締め込むようにすればよいので、ビス4の締め込み過ぎやビス4の締め込み不足を容易に防止することができる。
【0028】
図4は本発明の覆蓋の接合構造の第2の実施の形態をあらわし、図5はそのカバー部材固定前の状態をあらわしている。
図4及び図5に示すように、この接合構造では、シール材3aに代えて、係合凹溝23の底と同じ幅の1枚のシール材3bが、係合凹溝23の底に予め接着固定されている以外は、上記第1の実施の形態と同様になっている。
【0029】
この接合構造では、1枚のシール材3bを係合凹溝23の底に接着固定するだけであるので、第1の実施の形態に比べ、シール材3bの接着作業工数を軽減することができる。
【0030】
図6は本発明の覆蓋の接合構造の第3の実施の形態をあらわし、図7はそのカバー部材固定前の状態をあらわしている。
図6及び図7に示すように、この接合構造では、覆蓋1bが、覆蓋本体11の短手方向の両側にカバー部材受部14を備えている。
【0031】
カバー部材受部14は、ガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂(例えば、積水化学工業株式会社のエスロンネオランバーFFU)からなる横断面Lの字形をした棒状材をLの字の縦辺が覆蓋1bの短手方向の端縁側に来るように覆蓋本体11の上面に接着固定することによって形成されている。
また、カバー部材受部14は、覆蓋本体11に対して覆蓋本体11の短手方向端縁側に向かって第1段部14bと、第1段部より高さH分高くなった係合突条となる第2段部14aとを備えている。
【0032】
そして、この接合構造は、カバー部材2が、側壁部22の下面を係合突条となる第2段部14aに隣接する第1段部14bの上面で受けられるようにした以外は、上記第1の実施の形態と同様になっている。
【0033】
すなわち、この接合構造によれば、カバー部材2の側壁部22の下面が、覆蓋本体11より一段高くなった第1段部14bに当接した状態に受けられ、カバー部材2の下端を介して、係合突条である第2段部14a側への雨水や薬液の回りこみがより困難になる。
【0034】
図8は本発明の覆蓋の接合構造の第4の実施の形態をあらわし、図9はそのカバー部材固定前の状態をあらわしている。
図8及び図9に示すように、この接合構造では、覆蓋1bが、覆蓋本体11の短手方向の両側にカバー部材受部14を備えている。
【0035】
カバー部材受部14は、ガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂(例えば、積水化学工業株式会社のエスロンネオランバーFFU)からなる横断面Lの字形をした棒状材をLの字の縦辺が覆蓋1bの短手方向の端縁側に来るように覆蓋本体11の上面に接着固定することによって形成されている。
また、カバー部材受部14は、覆蓋本体11に対して覆蓋本体11の短手方向端縁側に向かって第1段部14bと、第1段部より高さH分高くなった係合突条となる第2段部14aとを備えている。
【0036】
そして、この接合構造は、カバー部材2が、側壁部22の下面を係合突条となる第2段部14aに隣接する第1段部14bの上面で受けられるようにした以外は、上記第2の実施の形態と同様になっている。
【0037】
すなわち、この接合構造によれば、カバー部材2の側壁部22の下面が、覆蓋本体11より一段高くなった第1段部14bに当接した状態に受けられ、カバー部材2の下端を介して、係合突条である第2段部14a側への雨水や薬液の回りこみがより困難になる。
【0038】
図10は本発明の覆蓋の接合構造の第5の実施の形態をあらわしている。
図10に示すように、この接合構造においては、覆蓋1cの覆蓋本体15がアーチ状ではなく、長手方向の中央部に頂部が設けられ、この頂部から平面状の下り勾配となった側面視山形をしている以外は、第1の実施の形態と同様になっている。
【0039】
図11は本発明の覆蓋の接合構造の第6の実施の形態をあらわしている。
図11に示すように、この接合構造においては、覆蓋1dが、覆蓋本体16の上面が平面になっているとともに、長手方向の一方から他方に向かって下降する片流れ状態に脚部13によって下方から支持されている以外は、第1の実施の形態と同様になっている。
【0040】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、山形の頂部が長手方向の中央に設けられていたが、山の頂部を長手方向のいずれかにずらし、傾斜角度の異なる傾斜面として構わない。
【符号の説明】
【0041】
1a,1b,1c,1d 覆蓋
11 覆蓋本体
12 係合突条
13 脚部
14 カバー部材受部
14a 第2段部(係合突条)
14b 第1段部
2 カバー部材
21 カバー本体部
22 側枠部
23 係合凹溝
3a,3b シール材
4 ビス
5 ピット
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、機械やポンプが収容されるピットの上部開口や、水処理施設の処理槽となるピットの上部開口を覆うように並設される覆蓋の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上部開口を有するピットなどは、上部開口から雨水、害を及ぼす薬剤、異物などがピット内に入り込まないように覆蓋によって上部から覆われるようになっている(特許文献1参照)。
また、機械やポンプを収容するピットや、浄水場の処理水槽などのようにピット内に雨水や薬液等が入ると困るようなピットの上部開口を上記覆蓋で覆う場合においては、前後に離間する蓋受け部間に架設され且つ互いに左右に隣接する第1及び第2の覆蓋同士の接合構造において、第1の覆蓋の第2覆蓋側の左右側縁には、上方に突出する第1の凸部が前後方向ほぼ全長に亘って設けられており、第2の覆蓋の第1覆蓋側の左右側縁には、下方に突出する第2の凸部が設けられており、第2の凸部は、第1の凸部の内側方で第1の覆蓋上に配設され、第1の凸部の内側部と第2の凸部の内側部とが対向している構造など、覆蓋に上から荷重が加わっても覆蓋間に隙間の発生がなく、覆蓋と覆蓋との継ぎ目部分から雨水や薬液等の水槽1内への混入を防止することができるようにした覆蓋の接合構造などいろいろな接合構造が先に提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−88739号公報
【特許文献2】特開2003−313934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献2で提案された覆蓋の接合構造では、いずれも覆蓋自体の構造が複雑化し、覆蓋のコストアップが生じたり、覆蓋と覆蓋とを接合する際に、覆蓋を吊り降ろすだけでなく、一方の覆蓋を他方の覆蓋方向に微妙に方向を調整しながらスライドさせるなどしたりしなければならず、作業性に問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、人が乗るなどして覆蓋上に荷重がかかっても覆蓋と覆蓋との継ぎ目部分の止水状態を安定して保つことができる上、覆蓋の構造が複雑にならず、コストがかからず、施工作業性がよい覆蓋の接合構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる覆蓋の接合構造は、複数の覆蓋が、それぞれ長手方向の両端部をピット周縁部に下方から受けられ、隣接する覆蓋の短手方向の側面がほぼ突き合った状態に並んで配置されてピットの上部開口が覆われるとともに、隣接する覆蓋と覆蓋の端部同士を上方からシール材を介してカバー部材で覆う覆蓋の接合構造であって、前記覆蓋が、短手方向端部に、覆蓋の上方に突出する高さHの係合突条を有し、前記カバー部材が、下方に開口する深さDの係合凹溝を有し、前記シール材が、無負荷のとき厚みTを有し、かつ、前記高さH,深さD及び厚みTが、H>D−Tを満足しているとともに、前記カバー部材の係合凹部内に、隣接する2つの覆蓋の係合突条が係合され、前記カバー部材の上面から覆蓋に向かって打ち込まれたビスまたは釘によって両覆蓋がカバー部材によって連結固定され、前記シール材が、カバー部材の係合凹溝の底と、係合突条の上面との間で圧縮されていることを特徴としている。
【0007】
本発明において、ほぼ突き合ったとは、隣接する覆蓋の短手方向の端面同士が完全に密着する場合だけでなく、端面間に少し隙間が形成されている場合も含むことを意味する。
また、上記端面間の隙間は、余り大きくなるとカバー部材の幅も大きくしなければならないため、50mm以下とすることが好ましい。
【0008】
本発明の覆蓋の接合構造は、特に限定されないが、より確実なシール性を確保できるように、ビスまたは釘が、覆蓋を非貫通状態で覆蓋に打ち込まれる構成やシール材を非貫通状態で覆蓋に打ち込まれる構成や、覆蓋の係合突条に隣接する部分が、他の部分から段状に高くなっていて、係合突条が、この段部よりさらに段状に高くなっている構成、カバー部材の係合凹溝の両側壁部下面が、覆蓋の係合突条に隣接する部分に受けられている構成とすることが好ましい。
また、カバー部材は、特に限定されないが、例えば、構造が単純で低コストで製造できることから横断面コ字形に形成することが好ましい。
【0009】
また、覆蓋は、特に限定されないが、覆蓋上に降った雨水や薬液がピットや処理槽の上部開口の上方位置からピットや処理槽から外れた位置にスムーズに排水されるように、
覆蓋本体を中間部から長手方向両側に向かって下降する側面視山形あるいはアーチ形に形成する、あるいは、長手方向一側から他側に向かって下降する片流れ構造に形成することが好ましい。
【0010】
覆蓋及びカバー部材は、特に限定されないが、例えば、繊維強化発泡熱硬化性樹脂、繊維強化樹脂、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂、アルミニウムや、これらの複合材料で形成される。中でも、軽量化を図るとともに、生産性、強度を考慮すると、連続成形で形成された繊維強化発泡熱硬化性樹脂の板材を、積層加工及び切削加工の少なくともいずれか一方の加工方法を実施して製造することが好ましい。
【0011】
上記繊維強化発泡熱硬化性樹脂を構成する熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、硬質のものが好適である。
強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の無機質繊維、天然繊維、合成繊維等の有機質繊維のいずれであってもよいが、強度や経済性の面からガラス繊維が適している。ガラス繊維としては、ガラスロービング、ガラスロービングクロス、ガラスマット、コンティニュアスストランドマット等の形態のものが挙げられる。この繊維は単独で使用してもよいし、二層以上積層してもよく、また、長繊維と短繊維を混ぜて使用してもよい。
【0012】
また、繊維強化発泡熱硬化性樹脂中に圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレー等の無機充填材や、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン等の軽量骨材が添加されていてもよい。
さらに、繊維強化発泡熱硬化性樹脂としては、積水化学工業株式会社製、商品名「エスロンネオランバーFFU」など市販の成形品を積層あるいは切削加工して用いることもできる。
【0013】
シール材は、止水を図ることができれば特に限定されないが、例えば、クロロプレンフォーム、ウレタンフォームなどが挙げられ、中でも弾力性が高く圧縮によるひずみが小さいクロロプレンフォームが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の覆蓋の接合構造は、以上のように、複数の覆蓋が、それぞれ長手方向の両端部をピット周縁部に下方から受けられ、隣接する覆蓋の短手方向の側面がほぼ突き合った状態に並んで配置されてピットの上部開口が覆われるとともに、隣接する覆蓋と覆蓋の端部同士を上方からシール材を介してカバー部材で覆う覆蓋の接合構造であって、前記覆蓋が、短手方向端部に、覆蓋の上方に突出する高さHの係合突条を有し、前記カバー部材が、下方に開口する深さDの係合凹溝を有し、前記シール材が、無負荷のとき厚みTを有し、かつ、前記高さH,深さD及び厚みTが、H>D−Tを満足しているとともに、前記カバー部材の係合凹部内に、隣接する2つの覆蓋の係合突条が係合され、前記カバー部材の上面から覆蓋に向かって打ち込まれたビスまたは釘によって両覆蓋がカバー部材によって連結固定され、前記シール材が、カバー部材の係合凹溝の底と、係合突条の上面との間で圧縮されているので、覆蓋の構造が複雑にならず、コストを上げることなく、安定した止水状態でピットや処理槽上を覆蓋で覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の覆蓋の接合構造の第1の実施の形態であって、その設置方法を説明する断面斜視図である。
【図2】図1の接合構造のカバー部材の固定状態におけるカバー部材部分の横断面図である。
【図3】図1の接合構造のカバー部材の取り付け方法を説明する断面図であって、同図(a)はカバー部材の係合凹溝に係合部を係合する前の状態、同図(a)はカバー部材の係合凹溝に係合部を係合した後の状態をあらわしている。
【図4】本発明の覆蓋の接合構造の第2の実施の形態であって、カバー部材の固定状態におけるカバー部材部分の横断面図である。
【図5】図4の接合構造のカバー部材の取り付け方法を説明する断面図であって、カバー部材の係合凹溝に係合部を係合する前の状態をあらわしている。
【図6】本発明の覆蓋の接合構造の第3の実施の形態であって、カバー部材の固定状態におけるカバー部材部分の横断面図である。
【図7】図6の接合構造のカバー部材の取り付け方法を説明する断面図であって、カバー部材の係合凹溝に係合部を係合する前の状態をあらわしている。
【図8】本発明の覆蓋の接合構造の第4の実施の形態であって、カバー部材の固定状態におけるカバー部材部分の横断面図である。
【図9】図8の接合構造のカバー部材の取り付け方法を説明する断面図であって、カバー部材の係合凹溝に係合部を係合する前の状態をあらわしている。
【図10】本発明の覆蓋の接合構造の第5の実施の形態であって、その覆蓋部分の縦断面図である。
【図11】本発明の覆蓋の接合構造の第6の実施の形態であって、その覆蓋部分の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図3は、本発明の覆蓋の接合構造の第1の実施の形態をあらわしている。
【0017】
図1〜図3に示すように、この接合構造は、覆蓋1aと覆蓋1aとの継ぎ目部分がカバー部材2によって覆われている。
カバー部材2は、図1及び図2に示すように、覆蓋1aの係合突条12の上面と、係合凹溝23の底面との間でシール材3aを水密に圧縮した状態で複数のビス4によって覆蓋1aに固定されている。
詳しく説明すると、覆蓋1aは、覆蓋本体11と、脚部13と、係合突条12とを備えている。
覆蓋本体11は、その長手方向の中央部から両端に向かって徐々に下降するように形成され、側面視アーチ状をしている。
すなわち、覆蓋本体11は、例えば、覆蓋本体11となるガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂(例えば、積水化学工業株式会社のエスロンネオランバーFFU)からなる面材を予めアーチ状に湾曲させて接合して得られる。
【0018】
脚部13は、覆蓋本体11の長手方向の端縁に平行に設けられた棒状体であって、の長手方向端部から少し中央方向寄りで覆蓋本体11を下方から受けるように、覆蓋本体11に接着固定されている。
また、脚部13は、覆蓋本体11と同様のガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂で形成されている。
【0019】
係合突条12は、覆蓋本体11と同様のガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂で形成された高さHをした横断面矩形の棒状材が覆蓋本体11の短手方向の両端部上面に接着固定されて形成されている。すなわち、係合突条12は、覆蓋本体11の上面から高さH分だけ突出している。
【0020】
カバー部材2は、ガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂(例えば、積水化学工業株式会社のエスロンネオランバーFFU)からなり、カバー本体部21と、2つの側壁部22とから構成され、下方に開口する深さDの係合凹溝23を備えている。
すなわち、カバー本体部21は、覆蓋本体11より少しRの大きいアーチ状をしていて、係合突条12の長手方向の長さとほぼ同じ長さの長尺帯状をしている。
【0021】
側壁部22は、深さDと同じ厚みの横断面矩形をした棒状材が、カバー本体部21の幅方向両側部下面に接着固定されて形成されている。
また、係合凹溝23の深さDは、係合突条12の高さHに対して、D>Hを満足するように設定されている。
【0022】
側壁部22と側壁部22との距離は、係合突条12の幅の2倍より少し長い幅になっている。
すなわち、カバー部材2は、カバー本体部21と2つの側壁部22によって係合突条12の幅の2倍より少し長い幅で、深さが係合突条12の高さとほぼ同じの係合凹溝23がカバー部材2の長手方向に連続して設けられている。
【0023】
シール材3aは、クロロプレンフォームから形成され、厚みTがH>D−Tを満足し、その幅が係合突条12の上面とほぼ同じ幅で、長さが係合突条12の上面の長手寸法とほぼ同じ長さをした帯状をしていて、接着剤または粘着剤(両面テープを含む)を介して係合突条12の上面に固定されている。
【0024】
そして、この接合構造は、以下のように施工される。
(1)図1に示すように、クレーン等を用いて1つの覆蓋1aを、長手方向の両端部に設けられた脚部13がそれぞれピット5を挟んでピット5の周縁部に受けられるようにセットし、長手方向の両端部をピット5の周縁部に固定する。
すなわち、覆蓋1aは、図示していないが、例えば、長手方向の両端部にアングル等の固定用金具が設けられていて、この固定用金具がピット5の周縁部にアンカー固定された金具にボルト固定されることによってピット5の周縁部に固定される。
(2)隣接する覆蓋1aを同様にして先に固定された覆蓋1aとの継ぎ目部分に少し隙間が形成された状態(対面して並ぶ2つの係合突条12の最大幅が、係合凹溝23の幅とほぼ同じか少し狭くなる幅)になるように固定する。
(3)係合突条12の上面と同じ幅及び長さのシール材3aを、接着剤を介して両覆蓋1aの係合突条12の上面に沿ってそれぞれ貼着固定する。
(4)カバー部材2を対面して並ぶ2つの係合突条12が係合部として係合凹溝23内に嵌り込むようにセットして、覆蓋1aと覆蓋1aとの継ぎ目部分をカバー本体部21によってカバーする。
(5)複数のビス4を長手方向に等ピッチでカバー部材2のカバー本体部21から側壁部22を貫通し、覆蓋本体11の中間位置までビス4をねじ込む。
すなわち、両方の覆蓋1aの側壁部22の下端が、係合突条12に隣接する覆蓋本体11の上面に当接状態になるまでビス4をねじ込むことによって、確実にシール材3aが圧縮されて止水できる。
このように、両覆蓋1aがカバー部材2を介して連結固定される。
また、このとき、カバー部材2と、係合突条12と、シール材3aとが、H>D−Tを満足しているので、シール材3aがT−(D−H)の厚みまで圧縮された状態になり、しっかりとした止水状態が得られる。
そして、(2)〜(5)の工程を繰り返し行い、ピット5の上部開口を複数の覆蓋1aによって覆った状態にする。
【0025】
この接合構造は、上記のように、係合突条12が設けられ、覆蓋本体11上面に降った雨水や覆蓋本体11上面に零れた薬液等は、この係合突条12を乗り越えない限り、覆蓋1aと覆蓋1aとの継ぎ目側に流れ込むことがない。
しかも、係合突条12の上面とカバー本体部21との間でシール材3aが圧縮されているので、雨水や薬液が決して覆蓋1aと覆蓋1aとの継ぎ目部分を介してピット5内に流れ込むことがない。
【0026】
さらに、カバー部材2が複数のビス4によって覆蓋1aに固定されているので、覆蓋1a上に人が乗るなどして荷重が掛かったとしても、カバー部材2が浮き上ってシール材3aによる止水が損なわれることがない。
また、ビス4が覆蓋本体11の厚み方向の中間位置までねじ込まれているだけであるとともに、すなわち、覆蓋本体11を貫通していないので、ビス穴を介して雨水や薬液がピット5内に流れ込むことが決してない。
【0027】
さらに、覆蓋1aと覆蓋1aを水平方向にスライドさせて、嵌合させるという構造を備えておらず、覆蓋1aをクレーン等でほぼ吊り降ろすだけの操作で覆蓋1aを設置することができ、作業性がよい。
また、覆蓋1aの構造を簡素化できるため、覆蓋1aの製造コストがあまりかからない。
しかも、ビス4を側壁部22の下面が覆蓋本体11の上面に当接するまで締め込むようにすればよいので、ビス4の締め込み過ぎやビス4の締め込み不足を容易に防止することができる。
【0028】
図4は本発明の覆蓋の接合構造の第2の実施の形態をあらわし、図5はそのカバー部材固定前の状態をあらわしている。
図4及び図5に示すように、この接合構造では、シール材3aに代えて、係合凹溝23の底と同じ幅の1枚のシール材3bが、係合凹溝23の底に予め接着固定されている以外は、上記第1の実施の形態と同様になっている。
【0029】
この接合構造では、1枚のシール材3bを係合凹溝23の底に接着固定するだけであるので、第1の実施の形態に比べ、シール材3bの接着作業工数を軽減することができる。
【0030】
図6は本発明の覆蓋の接合構造の第3の実施の形態をあらわし、図7はそのカバー部材固定前の状態をあらわしている。
図6及び図7に示すように、この接合構造では、覆蓋1bが、覆蓋本体11の短手方向の両側にカバー部材受部14を備えている。
【0031】
カバー部材受部14は、ガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂(例えば、積水化学工業株式会社のエスロンネオランバーFFU)からなる横断面Lの字形をした棒状材をLの字の縦辺が覆蓋1bの短手方向の端縁側に来るように覆蓋本体11の上面に接着固定することによって形成されている。
また、カバー部材受部14は、覆蓋本体11に対して覆蓋本体11の短手方向端縁側に向かって第1段部14bと、第1段部より高さH分高くなった係合突条となる第2段部14aとを備えている。
【0032】
そして、この接合構造は、カバー部材2が、側壁部22の下面を係合突条となる第2段部14aに隣接する第1段部14bの上面で受けられるようにした以外は、上記第1の実施の形態と同様になっている。
【0033】
すなわち、この接合構造によれば、カバー部材2の側壁部22の下面が、覆蓋本体11より一段高くなった第1段部14bに当接した状態に受けられ、カバー部材2の下端を介して、係合突条である第2段部14a側への雨水や薬液の回りこみがより困難になる。
【0034】
図8は本発明の覆蓋の接合構造の第4の実施の形態をあらわし、図9はそのカバー部材固定前の状態をあらわしている。
図8及び図9に示すように、この接合構造では、覆蓋1bが、覆蓋本体11の短手方向の両側にカバー部材受部14を備えている。
【0035】
カバー部材受部14は、ガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂(例えば、積水化学工業株式会社のエスロンネオランバーFFU)からなる横断面Lの字形をした棒状材をLの字の縦辺が覆蓋1bの短手方向の端縁側に来るように覆蓋本体11の上面に接着固定することによって形成されている。
また、カバー部材受部14は、覆蓋本体11に対して覆蓋本体11の短手方向端縁側に向かって第1段部14bと、第1段部より高さH分高くなった係合突条となる第2段部14aとを備えている。
【0036】
そして、この接合構造は、カバー部材2が、側壁部22の下面を係合突条となる第2段部14aに隣接する第1段部14bの上面で受けられるようにした以外は、上記第2の実施の形態と同様になっている。
【0037】
すなわち、この接合構造によれば、カバー部材2の側壁部22の下面が、覆蓋本体11より一段高くなった第1段部14bに当接した状態に受けられ、カバー部材2の下端を介して、係合突条である第2段部14a側への雨水や薬液の回りこみがより困難になる。
【0038】
図10は本発明の覆蓋の接合構造の第5の実施の形態をあらわしている。
図10に示すように、この接合構造においては、覆蓋1cの覆蓋本体15がアーチ状ではなく、長手方向の中央部に頂部が設けられ、この頂部から平面状の下り勾配となった側面視山形をしている以外は、第1の実施の形態と同様になっている。
【0039】
図11は本発明の覆蓋の接合構造の第6の実施の形態をあらわしている。
図11に示すように、この接合構造においては、覆蓋1dが、覆蓋本体16の上面が平面になっているとともに、長手方向の一方から他方に向かって下降する片流れ状態に脚部13によって下方から支持されている以外は、第1の実施の形態と同様になっている。
【0040】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、山形の頂部が長手方向の中央に設けられていたが、山の頂部を長手方向のいずれかにずらし、傾斜角度の異なる傾斜面として構わない。
【符号の説明】
【0041】
1a,1b,1c,1d 覆蓋
11 覆蓋本体
12 係合突条
13 脚部
14 カバー部材受部
14a 第2段部(係合突条)
14b 第1段部
2 カバー部材
21 カバー本体部
22 側枠部
23 係合凹溝
3a,3b シール材
4 ビス
5 ピット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の覆蓋が、それぞれ長手方向の両端部をピット周縁部に下方から受けられ、隣接する覆蓋の短手方向の側面がほぼ突き合った状態に並んで配置されてピットの上部開口が覆われるとともに、
隣接する覆蓋と覆蓋の端部同士を上方からシール材を介してカバー部材で覆う覆蓋の接合構造であって、
前記覆蓋が、短手方向端部に、覆蓋の上方に突出する高さHの係合突条を有し、
前記カバー部材が、下方に開口する深さDの係合凹溝を有し、
前記シール材が、無負荷のとき厚みTを有し、かつ、
前記高さH,深さD及び厚みTが、H>D−Tを満足しているとともに、
前記カバー部材の係合凹部内に、隣接する2つの覆蓋の係合突条が係合され、前記カバー部材の上面から覆蓋に向かって打ち込まれたビスまたは釘によって両覆蓋がカバー部材によって連結固定され、
前記シール材が、カバー部材の係合凹溝の底と、係合突条の上面との間で圧縮されていることを特徴とする覆蓋の接合構造。
【請求項2】
ビスまたは釘が、覆蓋を非貫通状態で覆蓋に打ち込まれている請求項1に記載の覆蓋の接合構造。
【請求項3】
ビスまたは釘が、シール材を非貫通状態で覆蓋に打ち込まれている請求項1または請求項2に記載の覆蓋の接合構造。
【請求項4】
覆蓋の係合突条に隣接する部分が、他の部分から段状に高くなっていて、係合突条が、この段部よりさらに段状に高くなっている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の覆蓋の接合構造。
【請求項5】
カバー部材は、係合凹溝の両側壁部下面が、覆蓋の係合突条に隣接する部分に受けられている請求項1〜請求項4のいずれかに記載の覆蓋の接合構造。
【請求項6】
覆蓋は、覆蓋本体が中間部から長手方向両側に向かって下降する側面視山形あるいはアーチ形に形成されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の覆蓋の接合構造。
【請求項7】
覆蓋は、覆蓋本体が長手方向一側から他側に向かって下降する片流れに形成されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の覆蓋の接合構造。
【請求項8】
覆蓋及びカバー部材は、繊維強化発泡ポリウレタン製の板材を、積層加工及び切削加工の少なくともいずれか一方の加工方法で加工して得られる請求項1〜請求項7のいずれかに記載の覆蓋の接合構造。
【請求項1】
複数の覆蓋が、それぞれ長手方向の両端部をピット周縁部に下方から受けられ、隣接する覆蓋の短手方向の側面がほぼ突き合った状態に並んで配置されてピットの上部開口が覆われるとともに、
隣接する覆蓋と覆蓋の端部同士を上方からシール材を介してカバー部材で覆う覆蓋の接合構造であって、
前記覆蓋が、短手方向端部に、覆蓋の上方に突出する高さHの係合突条を有し、
前記カバー部材が、下方に開口する深さDの係合凹溝を有し、
前記シール材が、無負荷のとき厚みTを有し、かつ、
前記高さH,深さD及び厚みTが、H>D−Tを満足しているとともに、
前記カバー部材の係合凹部内に、隣接する2つの覆蓋の係合突条が係合され、前記カバー部材の上面から覆蓋に向かって打ち込まれたビスまたは釘によって両覆蓋がカバー部材によって連結固定され、
前記シール材が、カバー部材の係合凹溝の底と、係合突条の上面との間で圧縮されていることを特徴とする覆蓋の接合構造。
【請求項2】
ビスまたは釘が、覆蓋を非貫通状態で覆蓋に打ち込まれている請求項1に記載の覆蓋の接合構造。
【請求項3】
ビスまたは釘が、シール材を非貫通状態で覆蓋に打ち込まれている請求項1または請求項2に記載の覆蓋の接合構造。
【請求項4】
覆蓋の係合突条に隣接する部分が、他の部分から段状に高くなっていて、係合突条が、この段部よりさらに段状に高くなっている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の覆蓋の接合構造。
【請求項5】
カバー部材は、係合凹溝の両側壁部下面が、覆蓋の係合突条に隣接する部分に受けられている請求項1〜請求項4のいずれかに記載の覆蓋の接合構造。
【請求項6】
覆蓋は、覆蓋本体が中間部から長手方向両側に向かって下降する側面視山形あるいはアーチ形に形成されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の覆蓋の接合構造。
【請求項7】
覆蓋は、覆蓋本体が長手方向一側から他側に向かって下降する片流れに形成されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の覆蓋の接合構造。
【請求項8】
覆蓋及びカバー部材は、繊維強化発泡ポリウレタン製の板材を、積層加工及び切削加工の少なくともいずれか一方の加工方法で加工して得られる請求項1〜請求項7のいずれかに記載の覆蓋の接合構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−250737(P2012−250737A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124215(P2011−124215)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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