説明

視聴制御方法および視聴制御システム

【課題】視聴者に対するケーブルテレビ事業者と視聴者との間の契約内容と合致した視聴制御を実現可能にする。
【解決手段】複数のヘッドエンド装置全てに接続された一つの上位階層装置が、視聴者が配下に存在する特定のケーブルテレビ事業者装置専用にそれぞれ番組情報を作成して当該ケーブルテレビ事業者装置へ送信し、番組情報を受信したケーブルテレビ事業者装置は、当該番組情報が自装置専用の番組情報で無い場合には配下の視聴者に対して番組情報を送出しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルテレビ等を含む放送局における番組放送の限定受信を行うための視聴制御方法および視聴制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
番組放送の限定受信においては、放送局が放送する番組に対してスクランブルを掛け、番組放送の視聴契約をしていない視聴者が番組を見ることができないようにしており、また、この限定受信の視聴制御では、番組放送の視聴契約を交わした視聴者に対しての視聴許可の制御を行っている。
【0003】
現在、BSデジタル放送で規格化されている限定受信の視聴制御方法(参考文献:BSデジタル放送限定受信方式 標準規格 ARIB STD−B25 1.0版、社団法人 電波産業界、12.1999、pp13−133)は、ICカード、個別情報(以下、EMMという)(参考文献:BSデジタル放送運用規定 技術資料 ARIB STD−TR15 1.0版 第三分冊、社団法人電波産業界、12.1999、pp5−2−5−3)および番組情報(以下、ECMという)(参考文献:BSデジタル放送運用規定技術資料 ARIB STD−TR15 1.0版 第三分冊、社団法人 電波産業界、12.1999、pp5−2−5−3)を用いて行うものである。
【0004】
これらのうち、ICカードは、各受信機(以下IRDという)に割り当てられる。各ICカードには識別番号(以下、IDという)が割り振られており、放送局はこのIDを用いてICカードの識別を行う。ICカードには個別の鍵(Km)が記憶されている。EMMは、視聴者毎の放送局との契約内容を記した個別情報および番組情報ECMの暗号を解くための鍵(Kw)を有する共通情報であり、鍵(Km)を用いて暗号化されている。また、ECMは、放送番組毎の番組に関する情報と放送番組のスクランブルを解くための鍵(Ks)を有する共通情報であり、鍵(Kw)によって暗号化されている。
【0005】
BSデジタル放送における放送番組の視聴許可制御処理システムを、図4に示す。同図において、視聴者101は、放送局103とスクランブルの掛かった番組117に対する視聴契約102を結ぶ。なお、視聴者101が放送局103と交わす契約の種類は先に述べた視聴契約102の他に、視聴契約102をした番組に対する視聴解約の二種類がある。放送局103は、契約内容に基づき視聴管理データベース(以下、視聴管理DBという)104に視聴者101の個別情報128を登録する。放送局103の視聴管理DB104には、各視聴者の個別情報128だけでなく、放送されるスクランブルの掛かった番組117の番組内容情報129がある。
【0006】
放送局103には、スクランブルが掛かった番組117、EMM118およびECM119を多重して送出する送出装置116がある。EMM118およびECM119は、スクランブルが掛かった番組117と共に各視聴者のIRD112へと送出される。各視聴者のIRD112はEMM118およびECM119を受信することにより、自身の個別情報130、番組情報131を入手することができる。ICカード113は、個別情報130、番組情報131を用いて各視聴者101のIRD112における鍵(Ks)125の使用許可を制御する。
【0007】
一方、放送局103は、番組108に対して、暗号化部107にて鍵(Ks)120を用いてスクランブルを掛ける。その結果、スクランブルが掛かった番組109が作成される。放送局103において、番組内容情報129に基づき平ECM123が、平ECM作成部106にて作成される。平ECMとは暗号化処理が施される前のECMのことである。作成された平ECM123に番組のスクランブルに用いた鍵(Ks)120を埋め込む。鍵(Ks)120を埋め込まれた平ECM123は暗号化部132にて鍵(Kw)121を用いて暗号化される。これによりECM110が完成する。
【0008】
放送局103は登録された視聴者の個別情報128に基づき、平EMM作成部105にて平EMM124を作成する。平EMM124とは、暗号化処理が施される前のEMMのことである。作成された平EMM124にはECM123の暗号化に用いた鍵(Kw)121が埋め込まれる。鍵(Kw)121が埋め込まれた平EMM124は、暗号化部133にて鍵(Km)122を用いて暗号化が施され、EMM111が作成される。以上の工程を経て放送局にてスクランブルが掛かった番組109、ECM110およびEMM111が作成される。
【0009】
以下に、スクランブルが掛かった番組117、EMM118およびECM119を受信後の視聴者101のIRD112での処理を示す。IRD112のICカード113には、EMM118の暗号化に用いた鍵(Km)127が視聴者101に配布される前に記録されている。受信したEMM118を復号する際の条件は、EMM118のヘッダー部にあるICカードのIDとICカード113のIDが一致した場合である。IDが一致した場合に、受信したEMM118を復号部135にて復号する。復号されたEMM118には、ECM119を復号する際に用いられる鍵(Kw)126および個別情報130が記載されている。なお、ICカード113内の個別情報130および鍵(Kw)126は、放送局103と視聴者101間の契約102が変更される時などに送出されるEMMを受信するまで保持されつづける。
【0010】
ICカード113は、前述の鍵(Kw)126を用いて、受信したECM119を復号部134において復号する。復号されたECM119には、番組のスクランブルを解くために必要な鍵(Ks)125およびスクランブルが掛かった番組117の番組情報131が記載されている。ICカード113には番組情報131が記憶される。視聴判定115の方法は、先に得られた個別情報130と番組情報131とを照合し、契約条件で放送されている番組と合致した場合にのみ、番組のスクランブルを解くために用いられる鍵(Ks)125を使用してスクランブルを解くことができるようになっている。以上により、鍵(Ks)125の使用許可が得られた場合にのみ視聴者は放送番組の視聴が可能となる。
【0011】
一方、視聴者101と放送局103との視聴契約102内容が、視聴解約の場合は、視聴解約の個別情報128に基づき平EMM作成部105にて平EMM124を作成し、暗号化部133にて暗号化を行い、EMM111を作成する。この時、鍵(Kw)121は平EMM124には埋め込まなくて良い。作成したEMM111を前述の方法で視聴者101のIRD112経由でICカード113へと送出する。ICカード113では受信したEMM118を復号部135にて復号し、個別情報130を得る。個別情報130および番組情報131に基づいて視聴判定115にてスクランブルが掛かった番組117のスクランブルを解けなくする。以上が、BSデジタル放送における放送番組の視聴許可制御における一連の処理である。
【非特許文献1】泉 武博、ケーブルテレビ技術入門「基礎から応用まで」、株式会社コロナ社、11.20.1995、pp87−89
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、BSデジタル放送は全国一律で行うものである。したがって、EMM118およびECM119を送出する範囲は一階層となる。BSデジタル放送で用いられている技術を多階層構造の放送網上の放送に用いた時には、EMMおよびECMに関して、視聴者が必ず受信できるとは限らないという問題が発生する。
【0013】
図5は複数のケーブルテレビ事業者202が一つのヘッドエンド(以下、共用HEという)201(特許文献1:泉 武博、ケーブルテレビ技術入門「基礎から応用まで」、株式会社コロナ社、11.20.1995、pp87−89)を使用して番組放送を行う多階層構造の放送網の一種のケーブルテレビ網を示す。共用HE201は、ケーブルテレビ事業者202とは別に設けても良いし、ケーブルテレビ事業者202の一つが共用HE201の機能を有しても可とする。このケーブルテレビ網上において、従来の技術で示した視聴制御方法を用いてケーブルテレビ事業者202が番組放送を行う。共用HE201より番組206、EMM207およびECM208が各ケーブルテレビ事業者202を通して視聴者203へと放送される。この時、以下に示す問題が発生する。
【0014】
EMM207およびECM208は、共用HE201に所属しているケーブルテレビ事業者202のみに送出される。そこで、一度番組206の視聴許可を受けた視聴者が、ケーブルテレビ事業者202に連絡なしに別の共用HE209に所属しているケーブルテレビ事業者210に移動した204場合、共用HE201にて、視聴解約のEMM207を共用HE201から送出しても、視聴者の視聴許可を取り消すことができない。という問題があった。
【0015】
また、一つの共用HE201からその配下にあるケーブルテレビ事業者202へ送出されるEMM207およびECM208は、すべて同一のEMM207およびECM208である。したがって、ケーブルテレビ事業者202と契約している視聴者が、同じ共用HE201を利用している他のケーブルテレビ事業者202へと移動した205場合でも、視聴契約に基づいて作成されたEMM207を得ることができてしまうのである。その結果、契約していないケーブルテレビ事業者でも番組206の視聴が可能となってしまうという問題があった。
【0016】
本発明は前記のような問題を解決するものであり、その目的とするところは、ヘッドエンドを用いた多階層構造のケーブルテレビ網上でケーブルテレビ事業者における視聴制御を実現でき、視聴者に対するケーブルテレビ事業者と視聴者との間の契約内容と合致した視聴制御を実現できる視聴制御方法および視聴制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のヘッドエンド装置のうちの何れか一つのヘッドエンド装置に接続されたケーブルテレビ事業者装置それぞれが、自装置の接続するヘッドエンド装置より送信された視聴契約個別情報または視聴解約個別情報と、番組情報と、を視聴者装置へ転送し、当該視聴者装置が前記視聴契約個別情報または前記視聴解約個別情報に基づいて、放送された前記番組情報のスクランブル解除の可否の判定を行なう放送網の視聴制御方法であって、前記複数のヘッドエンド装置全てに接続された一つの上位階層装置が、視聴者が配下に存在する特定のケーブルテレビ事業者装置専用にそれぞれ番組情報を作成して当該ケーブルテレビ事業者装置へ送信し、番組情報を受信したケーブルテレビ事業者装置は、当該番組情報が自装置専用の番組情報で無い場合には配下の視聴者に対して番組情報を送出しないことを特徴とする視聴制御方法である。
【0018】
また本発明は、複数のヘッドエンド装置のうちの何れか一つのヘッドエンド装置に接続されたケーブルテレビ事業者装置それぞれが、自装置の接続するヘッドエンド装置より送信された視聴契約個別情報または視聴解約個別情報と、番組情報と、を視聴者装置へ転送し、当該視聴者装置が前記視聴契約個別情報または前記視聴解約個別情報とに基づいて、放送された前記番組情報のスクランブル解除の可否の判定を行なう放送網の視聴制御システムであって、前記複数のヘッドエンド装置全てに接続された一つの上位階層装置が、視聴者が配下に存在する特定のケーブルテレビ事業者装置専用にそれぞれ番組情報を作成して当該ケーブルテレビ事業者装置へ送信する手段と、番組情報を受信したケーブルテレビ事業者装置は、当該番組情報が自装置専用の番組情報で無い場合には配下の視聴者に対して番組情報を送出しないことを決定する手段と、を備えることを特徴とする視聴制御システムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、共用HEを用いた多階層構造のケーブルテレビ網上のケーブルテレビ事業者での視聴制御を実現でき、ケーブルテレビ事業者配下の視聴者に対するケーブルテレビ事業者と視聴者間の契約内容と完全に合致した視聴制御を行うことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の一形態について説明する。
図1は本発明の視聴制御システムを示すブロック図であり、同図において、301は共用HE302に対する上位階層であり、視聴者310とケーブルテレビ事業者309とで行った番組放送の視聴の個別情報311と番組内容情報312とを管理する視聴管理データベース(以下、視聴管理DBという)303、視聴契約内容の個別情報311に基づき試聴契約個別情報および視聴解約個別情報を作成する手段としての平EMM、平ECM作成部304、EMM、ECM暗号化部305および前記各個別情報を放送ノードとしての共用HE302へ送出するEMM、ECM送出部306とを有する。また、各共用HE302はEMM、ECM受信部307およびEMM、ECM送出部308を備えている。
【0021】
次に、この発明による視聴制御方法のEMM作成、送出の実施形態を図2のフローチャートを参照しながら説明する。まず、視聴者310とケーブルテレビ事業者309とで番組放送の視聴契約を結ぶ(ステップS401)。次に、この視聴契約の情報を視聴管理DB303に個別情報311として登録する(ステップS402)。ここで、上位階層301は、視聴管理DB303に登録されている個別情報311を参照する(ステップS403)。参照した契約内容が視聴許可の場合はステップS405へ進み、視聴許可でない場合(視聴解約契約の場合)はステップS410へと進む(ステップS404)。
【0022】
参照した契約内容が視聴許可の場合(ステップS404の”はい”)、上位階層301は、平EMM、平ECM作成部304にて前記参照した情報に基づき、平EMMおよび平ECMを作成し(ステップS405)、ここで作成した平EMMおよび平ECMを、EMM、ECM暗号化部305にて暗号化する(ステップS406)。また、この暗号化されたEMMおよびECMをEMM、ECM送出部306により、共用HE302に対して送出し(ステップS407)、この送出されたEMMおよびECMを共用HE302にあるEMM、ECM受信部307にて受信させ、さらにEMM、ECM送信部308にて各ケーブルテレビ事業者309に送信する(ステップS408)。そこで、こうして送信されたEMMおよびECMをケーブルテレビ事業者309にて受信し、各視聴者310に対して送出する。以上の手順を持って視聴契約時の処理を終了する(ステップS409)。
【0023】
一方、ステップS403にて、契約内容が視聴解約契約とされた場合(ステップS404の”いいえ”)には、上位階層301は、平EMM、平ECM作成部304で参照した情報に基づき平EMMを作成する(ステップS410)。また、この作成した平EMMを、EMM、ECM暗号化部305にて暗号化し(ステップS411)、この暗号化されたEMMをEMM、ECM送出部306にて全ての共用HE302に対して送出する(ステップS412)。
【0024】
次に、このようにして送出されたEMMを共用HE302にあるEMM、ECM受信部307にて受信し、EMM、ECM送信部308にて共用HE302配下の全てのケーブルテレビ事業者309に送信する(ステップS413)。そこで、この送信されたEMMをケーブルテレビ事業者309にて受信し、各視聴者310に対して送出する。以上で、視聴解約契約時の処理が終了する(ステップS414)。なお、本実施の形態で述べられている上位階層301は、共用HE302が、その機能を有することもできる。また、視聴管理DB303、平EMM、平ECM作成部304およびEMM、ECM暗号化部305は、上位階層301、共用HE302およびケーブルテレビ事業者309のいずれにも設けることができる。
【0025】
他の実施例として、本発明のECM作成、送出の実施形態を図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。この実施の形態にあっても、共用HE302に対し上位階層301を設け、ECMを各共用HE302に対して送出できるようにする。まず、放送する番組の番組内容情報312を視聴管理DB303に登録し(ステップS501)、上位階層301は、視聴管理DB303に登録されている番組の番組内容情報312を参照する(ステップS502)。次に、平EMM、平ECM作成部304にて、前記参照した情報に基づき、平ECMを各ケーブルテレビ事業者309の中の特定のケーブルテレビ事業者専用に作成し(ステップS503)、この作成した平ECMをEMM、ECM暗号化部305にて暗号化する(ステップS504)。
【0026】
次に、この暗号化されたECMをEMM、ECM送出部306にて特定のケーブルテレビ事業者が所属する放送ノードとしての共用HE302に対して送出して(ステップS505)、この送出されたECMを、共用HE302にあるEMM、ECM受信部307にて受信し、さらにEMM、ECM送信部308にて、特定のケーブルテレビ事業者309のみに送信する(ステップS506)。次に前記の送信されたECMをケーブルテレビ事業者309にて受信し、ケーブルテレビ事業者309配下の各視聴者310に対して送出する(ステップS507)。なお前記上位階層301は、共用HE302が、その機能を有することもできる。また、視聴管理DB303、平EMM、平ECM作成部304およびEMM、ECM暗号化部305は、上位階層301、共用HE302およびケーブルテレビ事業者309のいずれにも設けることができる。
【0027】
なお、EMMには上記に示したように、視聴契約の個別情報311より作成される視聴契約個別情報と、視聴解約契約の個別情報311より作成される視聴解約個別情報とがあり、それぞれを用いて以下に示す視聴制御を行ってもよい。任意の階層から受信した視聴契約個別情報を下位階層にある特定の放送ノードに送出する場合において、この下位階層にある放送ノードを、下位階層にある特定の放送ノードや下位階層にある特定の放送ノードを含む複数の放送ノード、あるいは下位階層にある全ての放送ノードとして視聴制御を行ってもよい。また、任意の下位階層から受信した視聴解約個別情報を上位階層の放送ノードに送出する場合において、この上位階層にある放送ノードを、送出可能な上位階層の放送ノードや下位階層にある特定の放送ノード、あるいは下位階層にある特定の放送ノードを含む複数の放送ノードや下位階層にある全ての放送ノードとして視聴制御を行ってもよい。
【0028】
また、任意の放送ノードから受信した視聴契約個別情報を送信された放送ノードを除いた隣接する特定の放送ノード、特定の放送ノードを含む複数の放送ノードまたは複数の放送ノードに送出する手段および任意の放送ノードから受信した視聴解約個別情報を送信された放送ノードを除いた隣接する特定の放送ノード、特定の放送ノードを含む複数の放送ノード、複数の放送ノードまたは全ての放送ノードに送出する手段を設け、任意のリンクを有する複数の放送ノードから構築される放送網上で行う放送において、任意の放送ノードから受信した視聴契約個別情報を送信された放送ノードを除いた隣接する特定の放送ノード、特定の放送ノードを含む複数の放送ノードまたは複数の放送ノードに送出し、任意の放送ノードから受信した視聴解約個別情報を送信された放送ノードを除いた隣接する特定の放送ノード、特定の放送ノードを含む複数の放送ノード、複数の放送ノードまたは全ての放送ノードに送出することで、前記同様に視聴制御としての視聴契約個別情報の送信を行うことができる。
【0029】
さらに、任意の放送ノードにて視聴者が配下に存在する特定の放送ノード専用にそれぞれ番組情報(ECM)を作成する手段、作成された番組情報を必要があれば複数の放送ノードを中継してそれぞれの特定の放送ノードヘ送出する手段および番組情報を特定の放送ノードヘと中継する放送ノードでは受信した番組情報が自放送ノード専用の番組情報で無い場合には中継する放送ノード配下の視聴者に対して番組情報を送出しない手段を設け、任意のリンクを有する複数の放送ノードから構築される放送網上で行う放送において、任意の放送ノードにて視聴者が配下に存在する特定の放送ノード専用にそれぞれ番組情報を作成し、作成された番組情報を必要があれば複数の放送ノードを中継してそれぞれの特定の放送ノードヘ送出し、番組情報を特定の放送ノードヘと中継する放送ノードでは受信した番組情報が自放送ノード専用の番組情報で無い場合には、中継する放送ノード配下の視聴者に対して番組情報を送出しないことで、前記同様に視聴制御としての視聴契約個別情報の送信を行うことができる。
【0030】
このように、本発明では、共用HE302を使用したケーブルテレビ網上にある複数のケーブルテレビ事業者309に関しては、視聴許可の個別情報を持つEMM207を共用HE302以下の必要とするケーブルテレビ事業者309のみに送出し、一方、視聴解約の個別情報をもつEMMに関しては、共用HE302に所属しているケーブルテレビ事業者309のみに送出するのではなく、他の共用HE302配下のケーブルテレビ事業者309に対しても、同一のEMMを送出するようにしている。従って、従来の方法とはEMMの送出する経路および送出される範囲が異なる。
【0031】
また、本発明では、共用HE302を使用したケーブルテレビ網上にある複数のケーブルテレビ事業者309に対して、各ケーブルテレビ事業者309専用のECMを作成し、それらを各ケーブルテレビ事業者309配下の視聴者310に対して放送するようにしている。従って、従来の方法とはECMの作成方法および送出される範囲が異なる。
【0032】
この結果、視聴解約のEMMを全ての共用HE302に対して送出することにより、視聴解約のEMMを全ての視聴者に対して送出することが可能となり、視聴者310が契約しているケーブルテレビ事業者から他のケーブルテレビ事業者へと引越ししても、視聴契約の期限が切れた場合、視聴解約のEMMを受信させることが可能となる。また、各ケーブルテレビ事業者専用のECMを作成、送出することにより、同一共用HE302配下にある契約しているケーブルテレビ事業者とは別のケーブルテレビ事業者309上で放送される同じ番組を視聴することを防ぐことが可能となる。
【0033】
上述の各装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0034】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の一形態による視聴制御システムを示すブロック図である。
【図2】本発明の視聴制御方法を実行する手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の視聴制御方法を実行する手順を示すフローチャートである。
【図4】従来のBSデジタル放送での放送番組の視聴許可制御システムを示すブロック図である。
【図5】従来の多階層構造のケーブルテレビ放送網における視聴制御システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
301 上位階層
302 共用HE(共用ヘッドエンド、放送局)
303 視聴管理DB(視聴管理データベース)
304 平EMM、平ECM作成部(視聴契約個別情報および視聴解約個別情報と番組情報を作成する手段)
306 EMM、ECM送出部(視聴契約個別情報および視聴解約個別情報と番組情報を放送ノードに対して送出する手段)
309 ケーブルテレビ事業者
310 視聴者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のヘッドエンド装置のうちの何れか一つのヘッドエンド装置に接続されたケーブルテレビ事業者装置それぞれが、自装置の接続するヘッドエンド装置より送信された視聴契約個別情報または視聴解約個別情報と、番組情報と、を視聴者装置へ転送し、当該視聴者装置が前記視聴契約個別情報または前記視聴解約個別情報に基づいて、放送された前記番組情報のスクランブル解除の可否の判定を行なう放送網の視聴制御方法であって、
前記複数のヘッドエンド装置全てに接続された一つの上位階層装置が、視聴者が配下に存在する特定のケーブルテレビ事業者装置専用にそれぞれ番組情報を作成して当該ケーブルテレビ事業者装置へ送信し、
番組情報を受信したケーブルテレビ事業者装置は、当該番組情報が自装置専用の番組情報で無い場合には配下の視聴者に対して番組情報を送出しない
ことを特徴とする視聴制御方法。
【請求項2】
複数のヘッドエンド装置のうちの何れか一つのヘッドエンド装置に接続されたケーブルテレビ事業者装置それぞれが、自装置の接続するヘッドエンド装置より送信された視聴契約個別情報または視聴解約個別情報と、番組情報と、を視聴者装置へ転送し、当該視聴者装置が前記視聴契約個別情報または前記視聴解約個別情報とに基づいて、放送された前記番組情報のスクランブル解除の可否の判定を行なう放送網の視聴制御システムであって、
前記複数のヘッドエンド装置全てに接続された一つの上位階層装置が、視聴者が配下に存在する特定のケーブルテレビ事業者装置専用にそれぞれ番組情報を作成して当該ケーブルテレビ事業者装置へ送信する手段と、
番組情報を受信したケーブルテレビ事業者装置は、当該番組情報が自装置専用の番組情報で無い場合には配下の視聴者に対して番組情報を送出しないことを決定する手段と、
を備えることを特徴とする視聴制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−89211(P2007−89211A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300940(P2006−300940)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【分割の表示】特願2000−220863(P2000−220863)の分割
【原出願日】平成12年7月21日(2000.7.21)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】