視覚的ヘイズをマスクする光吸収組成物を含有する製品および関連する方法
【課題】透明性とガスバリアー性を具備する熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】透明性製品は、その中に分散された1つの不相溶性(incompatible)フィラー14、好ましくはガスバリアー強化性フィラーを有する連続的ポリエステルマトリックスを包含する。不相溶性フィラーは、ポリエステルマトリックス中にドメイン(domains)を提供し、各ドメインは特有の大きさを有するため、製品においてドメインについて大きさの範囲を提供する。ヘイズを作り出すためには、サイズは約380nm〜約720nmの範囲内である。一旦大きさの範囲が決定されると、光吸収組成物は、ドメインの大きさ範囲を少なくとも実質的にカバーする波長の範囲で光を吸収する。そうすることにおいて、製品のヘイズが実質的にマスクされる製品の製造方法およびマスクする方法。
【解決手段】透明性製品は、その中に分散された1つの不相溶性(incompatible)フィラー14、好ましくはガスバリアー強化性フィラーを有する連続的ポリエステルマトリックスを包含する。不相溶性フィラーは、ポリエステルマトリックス中にドメイン(domains)を提供し、各ドメインは特有の大きさを有するため、製品においてドメインについて大きさの範囲を提供する。ヘイズを作り出すためには、サイズは約380nm〜約720nmの範囲内である。一旦大きさの範囲が決定されると、光吸収組成物は、ドメインの大きさ範囲を少なくとも実質的にカバーする波長の範囲で光を吸収する。そうすることにおいて、製品のヘイズが実質的にマスクされる製品の製造方法およびマスクする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連発明)
この出願は、2003年1月31日出願の米国特許出願60/444,313号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、透明性製品の製造および特にその中で分散した不相溶性(incompatible)フィラー、好ましくはガスバリアー強化性フィラーを有する、成形した透明性熱可塑性製品、例えばコンテナまたはボトルの製造であって、その際、製品の光吸収を、製品の視覚的ヘイズを効果的にマスクまたは減少するよう変更したことに関する。
【0003】
熱可塑性ポリマー、例えばポリエステルが包装材料、例えば、プラスチック製品、例えば食品および飲料の保存、並びにデリバリーのためのコンテナおよび/またはボトルの製造のために必要な所望の形状にブロー(blown)または延伸される予備形成体の製造において長く使用されている。この目的のために最も好ましく、コスト効果のある熱可塑性ポリマーは、ポリ(エチレンフタレート)樹脂である。ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、並びに他のポリエステルは、正しい条件で適切に処理され、かつ所望の形状に延伸された際に、高い透明度、低いヘイズの製品を提供する。従って、プラスチックボトリング産業は、食品および飲料のプラスチックコンテナおよびボトルの製造において、PETおよび同様のポリエステルを長年使用してきた。
【0004】
残念なことに、ポリエステルから製造されるプラスチックコンテナは、多くの食品および飲料のために優れたガスバリアー特性を有する、優れた高い強度のコンテナを提供するが、それらは、極めて低い通気性が要求されるビールコンテナまたは他の食品のコンテナとして現在好適ではない。酸素や他の空気ガスが特定の食品および飲料(例えばビール)と接触する時には、ビールが酸化し、またはさもなければ気が抜けるようになると認識される。従って、コンテナの酸素/ガス透過性を減少する、すなわち、換言するとコンテナのガスバリアー強度を増大する試みがこれまでなされてきた。
【0005】
コンテナの酸素/ガス透過性を減少し、またはガスバリアー強度を増加する1つの既知の方法は、特定のガスバリアー強化性フィラーとコンテナ中のポリエステルとをブレンドすることである。例えば、特定のポリアミド、例えばポリキシリレンアミドは、ポリエステルコンテナに改善したガスバリアー強度を提供することが当業者によく知られている。これらのコンテナを製造するために、フィラーは典型的には、当業者で知られている方法によってポリエステル中でブレンドするか分散して、次いで製品が製造される。ある場合には、コンテナは射出成形等によって成形してもよい。他の場合において、コンテナの予備形成体が、例えば射出成形または押出によって調製され、次いで所望のサイズおよび形状にブローまたはさもなければ延伸される。
【0006】
種々の特許および特許刊行物は、ポリエステルと比較して低ヘイズかつ低いガス透過性を有する製品の形成のためのポリエステル/ポリアミドブレンド組成物の使用を教示する。少なくとも1つの特許刊行物において、低ヘイズ/低ガス透過性コンテナを提供するために、ブレンド組成物が数平均分子量15,000以下を有するポリアミドを使用することが述べられている。その特許刊行物は、高分子量のポリアミドとポリエステルのブレンドが、食品および飲料コンテナ産業で実際の使用を制限する高ヘイズ値を有することが知られていることをさらに明確にする。
【0007】
換言すれば、これまで、ポリエステルとこれらのガスバリアー強化性フィラー(例えば、高分子量のポリアミド)とのブレンドが、プラスチックコンテナまたはボトリング産業、若しくは透明性(transparency)、高い透明度(clarity)の製品が望まれているいずれの産業においてほとんど使用されていなかった。なぜならば、ポリエステルとポリアミドのブレンドを含有する製品の延伸または伸張時に、製品は透明度および透明性を失う(即ち、曇りがちまたはかすんだようになる)。この特徴はヘイズとして産業において知られている。
【0008】
多くの特許文献に記載されるように、ヘイズは、他の物理的特性と同様に測定され得る。ヘイズのレベルまたは量を決定するための測定は色彩計(例えば、Hunter Lab Color Quest)を用い、かつASTM D 1003に従うことで得られ得る。ヘイズは、典型的に製品の厚さに基づいたパーセンテージとして報告され、式:
【0009】
【数1】
(ここで、ヘイズ%は透過率ヘイズに相当し、T拡散は拡散光透過率およびT総量は総光透過率である)によって計算され得る。コンテナのサイドウォール(sidewall)厚約15ミルにおけるヘイズ量(measurement)4%は、通常は肉眼で見ることが可能である。一般的にポリエステルおよびポリアミドの異なるブレンドから製造したコンテナを試験する際、ヘイズ値は、これらの15ミル厚のコンテナで15%〜35%の範囲で測定された。本発明の目的のために、このタイプのヘイズは、しばしば「物理的ヘイズ」または「測定ヘイズ」としてここで称する。
【0010】
さらに、ポリエステル/フィラーブレンド中で使用したガスバリアー強化性フィラーの量が増加すると、物理的ヘイズ値も増加する。実際に、ポリエステル(例えば、PET)および芳香族ポリアミド(例えば、ポリ(m−キシレンアジパミド))の(通常、MXD6と称される)の有効なブレンド比は、ポリマーをウォール厚約15ミルを有するコンテナの形状へ延伸する時に物理的ヘイズ値20%〜30%の範囲を提供することが他のものによって解った。
【0011】
これまで、努力は製品の配向性(orientation)で作られる物理的ヘイズの量を減少しようとすると同時に、ガスバリアー強化性フィラーの添加による製品の通気性(permeability)を低下することに集中した。そのような努力が成功する場合、一般的に物理的ヘイズを低下するためにフィラーの分子のサイズがかなり小さくなければならないということが解った。一般的に、上記の通り、濃度2重量%で数平均分子量15000以下を有するポリアミドが物理的ヘイズを実質的に低下するのに必要であるということが理解されている。また、ポリエステル中のポリアミドドメイン(domains)が、数平均サイズ30〜200nmに限定した場合に、物理的ヘイズはまた減少または制限されるであろうことが解った。この現象の少なくとも1つの理論は、ポリアミド粒子が非常に小さくて、それらが特に可視スペクトルにおいて光を分散せず、すなわち粒子が肉眼で検出可能な方法で観測者に光を反射しないということである。さらに、機械、例えば色彩計を用いて物理的ヘイズを測定する際に、測定された物理的ヘイズが減少しまたは潜在的に排除されたことが明らかである。
【0012】
この理論に基づいて、それらの粒子およびフィラーを囲むドメインが、200nmよりもかなり大きく、例えば上記400〜700nmのオーダーの場合、製品のヘイズ値が物理的に測定され得るだけでなく、一般の観測者が見ることができ得るということが理解されるべきである。実際、少なくとも1種の学術論文は、分散した粒子の数およびサイズが、実測ヘイズを創り出すということを明確に認識する。第一に、延伸することがシート平面における分散した粒子のサイズが増大させ、第二にマトリックスおよび分散した層の異方性屈折率の差が増大するため、延伸がより一層実測ヘイズに寄与するということがさらに認識される。従って、いくつかの特許は、MXD6ドメインの延伸または配向を防止すること(例えば、ポリマーが溶融段階にある時に、PETおよびMXD6のボトルを製造すること)を試みてきた。
【0013】
従って、全ての先行技術は物理的ヘイズ現象およびそれらの低下または除去に焦点を合わせていた。対照的に本発明は、ヘイズ特性の視覚的態様に焦点を合わせる。なぜならば製品の表面外観および実際の使用に不利益をもたらすと考えられているのは物理的ヘイズではなく、この特徴であるからである。
【0014】
これまで、しかしながら製品の「視覚的(visual)ヘイズ」または「可視的(visible)ヘイズ」は、それが製品の従来の物理的試験によって一般的に測定することが不可能であるので製品の物理的ヘイズと分離しておよび離れて検討されてきたことはない。「視覚的ヘイズ」または「可視的ヘイズ」により、通常の直接または間接光において人間によって光学的または視覚的に観測され得るヘイズを意味する。おそらく、製品に存在するフィラードメインからの光の反射率または透過率のために観測者の肉眼で見ることが可能なものがヘイズである。これは、物理的ヘイズ現象の視覚的なマスキングが、この「視覚的ヘイズ」の除去または減少をもたらし、かつ商業的に使用されるのに好適な製品を提供し得ると考えられる。これに関連して、「視覚的ヘイズ」は、製品の物理的ヘイズが色彩計等で測定され得るのと同一程度に実測の物理的特性ではなく、かつ視覚的ヘイズの除去または減少は、製品の実測物理的ヘイズを減少し得るまたはし得ないと理解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、製品の「視覚的ヘイズ」の除去または減少は、物理的ヘイズ測定に関係なく当業者、特にプラスチックコンテナおよびボトリング産業に大きく望まれていると思われる。従って、ガスバリアー強化性フィラーとブレンドしたポリエステルから製造された透明性製品の視覚的ヘイズをマスクする方法、並びにプラスチックコンテナおよびボトリング産業で審美的および視覚的に許容される透明性、好ましくは延伸したポリエステル/フィラーブレンドを含有する製品を提供する必要性を維持する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
広義には、本発明は熱可塑性ポリマーの主成分および不相溶性フィラー副成分から製造された透明性製品、例えばプラスチックコンテナまたはボトルの製造に関する。そのような製品は、特に配向または延伸した際に、典型的にヘイズを形成する。肉眼で見ることが可能な透明性製品のヘイズが、実質的にマスクされ得るか、言い換えれば製品のヘイズは、製品の形成中に形成された熱可塑性ポリマーにおけるドメインのサイズの大きさに少なくとも実質的に相関する波長で製品の光吸収を変更することによって、除去または実質的に減少され得る(必ずしも物理的用語ではなく、視覚的用語で)ということが予想外に解った。重要なことに、波長が相関される特定の大きさは、製品の軸平面におけるものである。用語「実質的にマスクした」とは、製品の光吸収の変更が、必ずしも製品の実測の物理的ヘイズに影響を与えるのではなく、肉眼で見ることが可能なヘイズを実質的に減少またはほとんど除去することを意味すると理解される。製品の実測の物理的ヘイズは、光吸収組成物によって全く影響を受けず、製品における実測のヘイズをわずかに減少することによって影響を受けるか、または実際の光吸収組成物および使用量に基づいて光吸収組成物によって、大きく影響を受け得るかである。いずれにしても、製品の視覚的に検知され得るヘイズは、「実質的にマスク」されまたは普通の観測者の肉眼で実質的に検出されないが、物理的ヘイズはまだ一般的に、上記の通常許容できる制限であると色彩計によって計測され得る。
【0017】
製品の光吸収を変える1つの方法は、およびより好ましくは、製品の軸平面で見つけられるドメインの大きさの全てではなくとも、ほとんどを少なくともの大きさと実質的にカバーし、より好ましくは少なくとも実質的に相関する波長で光を吸収することが知られている、1以上の光吸収組成物の有効な量を使用することである。この発明の目的のために、少なくともいくつかの、およびより好ましくは少なくとも大多数のドメインの大きさが、必然的に約400nm〜約700nmの範囲内に入っているサイズを有することを、そして、それは実質的に可視スペクトル(即ち、約380nm〜約720nm)の範囲と一致することを認識する。光吸収組成物、例えば着色剤(可視スペクトルの範囲内の波長での吸収領域で知られている)を使用することによって、組成物の吸収領域内のナノメートルにおける波長を、製品において見られるフィラードメインのナノメートルにおける大きさに実質的に相関することができる。可視スペクトル内に入る熱可塑性フィラーで見受けられるフィラーを含むドメインの大きさ範囲を少なくとも実質的にカバーする吸収領域を有する1以上の特有の光吸収組成物を使用することによって、上記「視覚的ヘイズ」は、消去でなくとも実質的に減少され、かつ物理的ヘイズは製品においてマスクされることが解った。
【0018】
さらに、実験はフィラーを含有するドメインの大きさの範囲を「実質的にカバー」することを要求される光吸収組成物の量のより詳細な近似値を提供する。より詳しくは、式:
【0019】
【数2】
(Aiは、波長iで吸収された光のパーセントであり、かつNiは波長iで100平方ミクロンあたりのドメイン数であり、iは400nm〜700nmの範囲である。)において、Xが9.6より少ないように光を吸収する組成物がドメインを実質的にカバーし、製品の視覚的ヘイズを少なくとも減少し始めると考えられる。)
この式の別の表現は、
【0020】
【数3】
(Liは波長iで吸収されなかった光(即ち、反射することが可能な光)のパーセントである。)
であると認められる。
【0021】
ポリエステルおよび不相溶性フィラーを使用する透明性製品に関する従来技術に対する本発明の利点(以下に記載および図から明瞭になる)は、以下に記載される、かつ請求の範囲の発明によって達成される。
【0022】
一般的に、本発明の1以上の態様は、熱可塑性ポリマーマトリックス;
複数のドメインであって、各ドメインが、ポリエステルマトリックス中に分散された少なくとも1つの不相溶性フィラーを含有し、該ドメインが製品の軸平面においてある範囲の大きさを有し、該製品の軸平面における少なくともいくつかのドメインの大きさが約400nm〜約700nmの範囲内にあるもの;および
少なくとも1つの光吸収組成物の有効量であって、該少なくとも1つの組成物が、該製品における該ドメインの前記大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で可視スペクトル領域における光を吸収して、透明性製品の視覚的ヘイズ(visual haze)を実質的にマスクするもの、を含有する透明性製品によって達成され得る。
【0023】
本発明の1以上の別の態様は、ポリエステル主成分、その中に分散した少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分および少なくとも1つの光吸収組成物の混合物から形成される透明性製品の製造方法であって、ポリエステルへフィラーを混合し、製品を所望のサイズおよび形状に形成し、その後不相溶性フィラーを含有するドメインが、製品の形成時にポリエステル中に生成され;ポリエステル中のドメインについて製品の軸平面中での大きさ範囲を決定して、大きさの少なくともいくつかが約400nm〜約700nmに入れる;およびポリエステルにおけるドメインの大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で可視スペクトル領域において光を吸収する光吸収組成物を見いだし;およびポリエステルおよび不相溶性フィラーへ該光吸収組成物の有効な量を添加し、かつ異なる透明の製品を所望のサイズと形状に形成して、製品における可視的ヘイズを実質的にマスクすることを包含する、透明性製品の製造方法によって達成され得る。
【0024】
本発明のさらなる1以上の別の態様は、熱可塑性ポリマーマトリックス;複数のドメインであって、各ドメインが、ポリエステルマトリックス中に分散された少なくとも1つの不相溶性フィラーを含有し、該ドメインが製品の軸平面においてある範囲の大きさを有し、該製品の軸平面における少なくともいくつかのドメインの大きさが約400nm〜約700nmの範囲内にあるもの;および少なくとも1つの光吸収組成物であって、該少なくとも1つの光吸収組成物が式:
【0025】
【数4】
(Aiは波長iで吸収された光の%であり、Niは波長iで100平方ミクロンにおけるドメインの数であり、およびiは400nm〜700nmの範囲である。)
においてXが9.6以下となるように可視スペクトル領域における光を吸収するものを含有する透明性製品により達成され得る。
【0026】
本発明の1以上の別の態様は、ポリエステル主成分、その中に分散した少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分および少なくとも1つの光吸収組成物の混合物から形成される透明性製品の製造方法であって、ポリエステルへフィラーの選択された量を混合し、製品を所望のサイズおよび形状に形成し、その後不相溶性フィラーを含有するドメインが、製品の形成時にポリエステル中に生成され;ポリエステル中のドメインについて製品の軸平面中での大きさ範囲を決定して、大きさの少なくともいくつかが約400nm〜約700nmに入れる; ポリエステルへ光吸収組成物の選択された量をブレンドして、該光吸収組成物が式:
【0027】
【数5】
(Aiは波長iで吸収された光%であり、Niは波長iでの100平方ミクロンにおけるドメインの数、およびiは400nm〜700nmの範囲である。)
においてXが9.6以下になるように可視スペクトル領域における光を吸収することを明確にし、およびポリエステルおよび不相溶性フィラーの選択された量へ光吸収組成物の選択された量を添加して異なる透明性コンテナを同じ所望のサイズおよび形状に成形することにより、製品における可視的ヘイズを実質的にマスクすることを包含する、透明性製品の製造方法によりさらに達成され得る。
【0028】
本発明の他の態様は、製品の形成時に形成され、不相溶性フィラーを含んでいる熱可塑性ポリマー中のドメインの製品の軸平面での大きさと、少なくとも相関性を有する波長で透明性製品の光吸収を変更することを含有するポリエステル主成分、少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分を含む透明性製品において、視覚的ヘイズをマスクする方法によって、またさらに達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】熱可塑性ポリマーマトリックス内に分散した不相溶性フィラーを含有するドメインを説明する、延伸した製品の一部の代表的断面の斜視図である。
【図2】延伸した製品がまた、熱可塑性ポリマーマトリックス内に分散した不相溶性フィラーを含有するドメインを説明する、成形し延伸した製品の代表的な横断面図である。
【図3】図2の熱可塑性ポリマーマトリックス内の1つのドメインの拡大した断面図である。
【図4】図3で線4−4に沿って与えられた図3のドメインの拡大断面図である。
【図5】図5は、延伸前の透明性製品の一部の顕微鏡写真である。
【図6】図6は、所望の形状およびサイズへ延伸後の図5の透明性製品のと同じ部分の顕微鏡写真である。
【図7】ポリエステルおよびMXD−6から調製された500mlボトルのMXD−6ドメインの大きさの分析から得られたデータの代表的なグラフである。
【図8A】[図8B]および[図8C]はそれぞれ、種々の黄、赤、および青色着色剤の代表的な吸収スペクトルである。
【図9A】[図9B]、[図9C]および[図9D]はそれぞれ、種々の緑、橙、紫、および桃色着色剤の代表的な吸収スペクトルである。
【図10】スプライトグリーン(Sprite Green)と称される特定の緑色の吸収光の%を有するナノメートルにおけるサイズに基づいた製品において存在する100平方ミクロンあたりのドメインの数のプロットを同一の製品の波長(nm)範囲と比較する、代表的な比較グラフである。
【図11】種々の緑および赤色の吸収の光の%を有するナノメートルにおけるサイズに基づいた製品において存在する100平方ミクロンあたりのドメインの数のプロットを同一の製品の波長(nm)範囲と比較する、代表的な比較グラフである。および
【図12】種々の青および赤色の吸収の光の%を有するナノメートルにおけるサイズに基づいた製品において存在する100平方ミクロンあたりのドメインの数のプロットを同一の製品の波長(nm)範囲と比較する、代表的な比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(発明の詳細な説明)
本発明によれば、熱可塑性ポリマーおよびその中に分散した少なくとも1つの不相溶性フィラーを含有する成形された透明性製品を提供し、その場合普通の観測者の肉眼で観測することが通常可能であり、かつ熱可塑性ポリマーおよびフィラーブレンド製品の製造の間に伸張または延伸することによってほぼ一般的に製造された物品中のヘイズが実質的にマスクされる。そのような製品はコンテナまたはボトルの形状における包装産業において特に有用である。
【0031】
本発明は、これまで検討されなかった方法でヘイズ問題を解決する。本発明は製品の観測者の肉眼で観測できるヘイズをマスクし、かつ約200nm以下または、さもなければ可視スペクトルの最も低い波長(即ち、約380−400nm以下)よりも低い製品中のドメイン大きさを有する低分子量フィラーまたはフィラーの使用を要求せず、その結果、製品の15ミル厚につき約4%以下に減少した物理的ヘイズを有する製品を製造する。その代わり、本発明は、製品の軸平面におけるフィラードメインの大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で製品の光吸収を変更することによって可視的ヘイズをマスクする。
【0032】
本発明で使用されている用語「少なくとも実質的にカバーする」および用語「少なくとも実質的に関連する」は、両方とも互換的に用いてもよく、使用した光吸収組成物が可視スペクトルにおける光を吸収するnmにおける波長の範囲が製品の軸平面におけるフィラードメインの大きさの範囲とそれらの大きさが約400nm〜約700nm(即ち、可視スペクトルにおいて)である範囲で同様かより大きいことを意味する。従って、フィラードメインの大きさの範囲が可視スペクトル全体を完全にカバーする必要はないと理解する。また、波長の範囲がヘイズをマスクするために製品において提供されたフィラードメインの大きさの範囲全体を必ずしもカバーする必要がないが、むしろ、それらは実質的にヘイズをマスクするために大きさの範囲を十分にカバーすることが認められる。例えば、製品において提供されたフィラードメインの大きさの範囲は、可視範囲より大きいか、少なくとも部分的に可視範囲の外に入ることが可能である。光吸収組成物の波長の範囲は、実質的に本発明のための可視スペクトル内に入る大きさの範囲を実質的にカバーすることのみ必要である。別の例では、光吸収組成物がいくつかのドメインだけが存在する非常に小さい領域以外全てにおいて光を吸収することが可能ならば、観測者はいくつかのドメインが存在し得る特定の波長の光が吸収されないという事実に拘わらず、コンテナまたはボトルのヘイズを見ることができないだろうと確定された。従って、使用した光吸収組成物の光吸収波長と一致しない(即ち、範囲から外れる)大きさを有するいくつかの特定のドメインの存在は、本発明では最小のものとして認識され、かつ製品における可視的ヘイズの実質的なマスキングを阻害しない。現実的な目的のために、可視ヘイズのマスクは実質的にマスクされたヘイズを有する製品の外観が関連する産業、特にコンテナおよびボトリング産業にとって商業的に実際に使用され得る透明製品として受け入れられるならば、十分であるとみる。
【0033】
さらに上記用語「少なくとも実質的にカバー」および「少なくとも実質的に関連がある」と定義する場合に、製品の軸平面における特定の大きさを有するドメイン数がより多ければ多いほど、適合する波長での光吸収がより大きくなければならないと理解される。しかしながら、光吸収組成物について光吸収(即ち、量)と特定の大きさを有するドメイン数との間に1対1またはより大きい対応があることは必ずしも必要でないことが解った。実質的な光が、製品のドメインのための特定の大きさと関連する波長で光吸収組成物によって吸収されるならば、ヘイズの少なくとも実質的なマスキングが起こると考えられる。
【0034】
より詳細には、式:
【0035】
【数6】
(Aiは波長iで吸収された光のパーセントであり、かつNiは波長iでの100nm2あたりのドメイン(108nm2)の数であり、この場合iは400nm〜700nmの範囲(即ち可視スペクトル)である。)
においてXが9.6より小さいように可視スペクトルにおいて光を吸収する光吸収組成物がドメインを実質的にカバーすると考えられ、製品の可視的ヘイズを少なくとも減少することを開始することが解った。
【0036】
換言すれば、製品の可視的ヘイズを減少するために、光吸収組成物は製品の関連部分、典型的にはヘイズが認められる製品の1つの連続的部分、例えばコンテナまたはボトルのサイドウォールに包含されなければならない。その光吸収組成物は、吸収が不相溶性フィラーの存在のない製品のその1つの連続的部分で決定される時に、式:
【0037】
【数7】
(Liは波長iで吸収されなかった(即ち反射に供される)光のパーセントであり、かつNiは波長iでの100nm2(108nm2)あたりのドメインの数であり、その場合iは400nm〜700nm(即ち可視スペクトル)である。)
において、Xが9.6よりも少ないように、製品のその1つの連続部分の可視スペクトル中の光を吸収し得るものでなければならない。
であるXが9.6以下である。Xが9.6より少ない場合、通常の観測者は製品の可視的ヘイズにおいて減少を少なくとも認識し始め得る。
【0038】
さらに、Xがより小さくなるにつれ、製品の視覚的ヘイズがさらに減少する。従って、視覚的ヘイズにおける減少が認識され、上記式においてXが9.6以下でなければならないが、9.5以下のXが好ましい、および9以下のXがより好ましく、7.5以下のXがよりさらに好ましい。ドメインが存在しない(即ち、N=0)の場合、Xは必然的に0でヘイズは現れないと認められる。同様に、着色剤または光吸収組成物が、波長の範囲にわたって反射に利用される光の大部分を吸収する場合、透過または反射した光のパーセントは低く(即ち、Lは0に近づく)、従って、それらの波長と同じサイズのドメインの数が非常に多くない限り、Xは低い。言い換えると、全ての可視スペクトルである約400nm〜約700nmに渡って反射に供される相対光(即ち、それは吸収されない)の総量は9.6より少なくなければならない。「相対光の総量」は、その波長でドメインを有する各波長に要する光のより大きな量を有する約400nm〜約700nmの間の全ての各波長での全ての光の合計として計算される。従って、吸収されるのに必要な光の相対量は、その波長において存在するドメイン数に向かって重みを加える。
【0039】
光吸収組成物が特定の製品用に光をXの限界値(threshold)以下で吸収するかどうかの測定は、比較的簡単で、かつ不必要な実験をしないで決定され得ることが理解される。
Aiは、波長iとして不相溶性フィラーをなしで着色剤を有する製品によって吸収された光のパーセントであり、Liは、波長i、この場合iは400nmから700nmであるで反射することが可能な光のパーセントである。これらのパーセントは、組成物の吸光度の測定時に計算され、Ai + Li=1である。ほとんどの例では、Liは、1−(吸収されたパーセント)、即ち反射に供される光のパーセントである。これらの測定は以下に記載したプロセスを用いて得られる。Niは、波長i(この場合iは400nmから700nmである)で100平方ミクロンあたりのドメインの数である。NiはSEMによって測定され、かつ平方ミクロンに標準化される。
【0040】
波長iでの光の強度は、いくつかの例において関連しており、かつ以下のように式:
【0041】
【数8】
(式中、Iiは、その波長での光源の強度/400nm〜700nm間の総光である。)
に因数分解され得る。光のパーセントを測定する分光光度計が用いられる場合、Iiは1/300であり、従って300倍することにより、光を共通基準へ標準化する。
【0042】
本質的には、光吸収組成物のより高い濃度を製品へ使用することは、光吸収組成物が、他の波長でより小さい波長の特定の強度で光を吸収し、および/またはドメインの非常に多くの数が特定の波長に対応する特定の大きさで存在する場合に、製品における可視的ヘイズをより完全にマスクするのを助長するということが解った。吸収された光の要求された強度は、光吸収組成物の濃度、製品の厚さおよび他の既知のパラメーターおよび係数(Beer-Lambert-Bouguerの法則による)に基づいて不必要な実験なしで計算または予測され得ると信じられている。
【0043】
さて図面を参照して、図1における数字10によって一般的に示された形成された透明性製品の断面が示される。示されるように、断面10は、矢印によって示されるように、ラジアル(X)および軸(Y)方向の両方を含む製品の軸平面内全ての方向に延伸または伸張されている。用語「軸平面」は、製品の一般面が製品の表面と実質的に平行であること、換言すると、製品の一般面が、観測者の視線に実質的に垂直であることを意味する。
【0044】
断面10は、そこに分散した不相溶性フィラーの分散した粒子14を有する熱可塑性ポリマーマトリックス12を含有し、不相溶性フィラーがポリエステルおよび他の熱可塑性のポリマーのように伸張(extensible)可能でないか変形可能でない場合(例えば、クレイ粒子状物質)、空隙(voids)16は粒子14を包含する。ポリマーマトリックス12においてブレンドする際に球状のフィラー粒子14を使用すると仮定し、粒子が均一に分散しし、かつ軸平面内に全ての方向に均一に延伸された場合、空隙16の横断面(cross-section)は理論上、ここおよび図4において示されるように、軸平面に垂直に観測された時に、円形であり得る。しかしながら実際上、フィラーの分散および製品の伸張は正確でなく、不規則形状な空隙が、種々の長さ、幅および高さ大きさを有して、最も形成される。
【0045】
不相溶性フィラーが熱可塑性のポリマーと同様に延伸可能および変形可能であってよいと理解される。そのようなフィラーは、それら自身種々の熱可塑性のポリマー、例えばポリアミドを包含し得る。ポリエステルマトリックスの場合において、不相溶性フィラーがポリエステルのように延伸し、かつポリエステルマトリックス内で延伸した、個別の小さな相(phase)17を形成し得る。この相17は、図1における粒子14だけでなく空隙16も本質的に含み得る。このように、伸張可能なフィラーは空隙全てを充填するように延伸され得る。図1において、フィラーの小さな相17は、数字16によって同定された円全体、並びに数字14によって示された円を取り囲む。
【0046】
しばしば、形成する不規則な形状を例にとると、フィラーのこれらの個別の小さな相の2つ以上が融合して1つのより大きな構造を形成することも知られている。本発明の目的のために、図1−4中の数字17および27は以下フィラーの「個別の相」または「小さな相」と称し、他に指示されない限り、図1中の数字16および14および図2−4中の数字26および24の両方によって示される領域または体積を包含する。この用語は本発明を不相溶性フィラーとして伸張可能な熱可塑性のポリマーの使用とを関連させるが、必ずしもその範囲に制限されるべきではない。本発明は添付された特許請求の範囲の範囲と精神により述べられている。
【0047】
代表的な図面と異なり、いずれかの特定の1つの軸平面に沿った製品の断面は、ここに示されるように全ての小さな相17が特定の軸平面において均等に平行でない限り、各相の高さを通じて様々な場所に個別の小さな相17に遭遇する。従って、いくつかの個別の相はいずれかの特定の1つの軸平面上で他のものより小さく現れる。同様に、いずれかの特定の横断面に沿って製品を切断すると、相がその面内に互いに上で一方向的に積み重ねられない限り、個々の個別の相の長さおよび/または幅を通じて、様々の場所に個別の相に遭遇する。従って、いくつかの個々の相は、いずれかの特定の軸平面上で他のものより長く現れるに違いない。
【0048】
図2では、数字20によって一般に示された成形された製品の壁部の断面が示されている。そのような製品は、プラスチックコンテナまたはボトルであり得る。上記図1のに記載したように、製品のこの断面20は、その中に分散され、かつ空隙26に囲まれた不相溶性フィラーの個別の粒子24を有する熱可塑性ポリマーマトリックス22を含んでいる。図3および4に基づいて、この製品20も図1で示されるそれと類似する方法で、製品の軸平面内で全ての方向に延伸および伸張されているとしたことは理解される。
【0049】
図3および4は、図2の成形した製品の断面の拡大を示す断面図であり、ここではフィラー粒子24は空隙26中に包含され、かつ連続的な熱可塑性ポリマーマトリックス22内に閉じこめられる。同様にフィラーが伸張可能で変形可能な熱可塑性ポリマーである場合、数字24および26によって表示された領域または体積全体は、フィラーの小さな相27である。これらの相27は、上記に説明するように成形製品が伸張されることに起因する。
【0050】
製品の形成に際して、ドメイン28は、個別の粒子24および空隙26の両方または不相溶性フィラーの小さな相27全体を本質的に含んでいるポリマーマトリックス22中で作られる。本発明に用いられた不相溶性フィラーが、製品において使用されたポリマーのように成形可能および延伸可能である場合、製品の延伸または伸張がポリマーのように不相溶性フィラーを製品の軸平面に沿って広がり、かつ製品の壁部が薄くなるように製品の横断面において狭くすることになる。しかしながら、フィラーがポリマーのように延伸可能でない例においては、空隙26はフィラーとポリマーの間から残存する。マトリックスポリマー(例えば、ポリエステル)として用いられた、熱可塑性ポリマー以外のポリアミドおよび他の熱可塑性ポリマーが、フィラーとして利用される場合、存在する空隙は、熱可塑性ポリマーが両方とも延伸可能かつ変形可能であるので、存在したとしても一般に、最小である。従って、マトリックスポリマーにおいて作られたドメインは本質的にそれ自体小さな相の体積である。しかしながら、本発明の目的のために、非変形性フィラー粒子が利用される場合、ドメイン28はフィラー粒子24の体積だけでなく、フィラー粒子24とポリマー22の間の空隙26である製品における付加的体積をも包含すると理解され得る。製品が延伸されていない場合、ドメインはフィラー粒子の体積と一致し得る。
【0051】
本発明は、特に約400nm〜700nmの範囲内の製品の軸平面に大きさを有するドメインに関する。図3および4を参照すると、ドメインの大きさはドメインの直径である。従って、図3において、大きさはドメインの一端29から他端29まで広がるように見える。図4では、示されたドメインの大きさは円の直径である。しかしながら、より多くの場合、製品の軸平面におけるドメインは本来楕円体になり、一方、例えばX方向が他方、例えばY方向より長い直径を有し得るということが認識され得る。この例において、関連の大きさは、ドメインの最長の直径(すなわち、このシナリオにおいて、軸のY方向にあるドメインの長軸)、または軸平面における最長の直径に垂直な大きさの直径(すなわち、ラジアルの(X)方向においてあるドメインの短軸)であり得る。約400nm〜約700nmの間で大きさを有するドメインが製品中において視覚的ヘイズとして現れることが解った。偶然の一致でではなく、この範囲はまた可視スペクトルの範囲である。従って、可視スペクトルの範囲以内にある大きさを有するドメインは、ヘイズとして視認され得る。
【0052】
全てのドメインが可視スペクトルの範囲内にある大きさを必ずしも有する必要はなく、それが、本発明が関係するドメインであると理解される。理論上、可視スペクトル内の大きさを有するドメインの十分な数が見つかれば、コンテナは、可視スペクトル以内にある大きさを持っていないドメインの数にかかわらずヘイズを有する。
【0053】
図5および6を参照して、その延伸の前(予備形成体)および延伸後(コンテナ)の透明性製品の顕微鏡写真は、それぞれ、製品の成形(ここでは延伸)時に不相溶性フィラーを含むポリエステル中に形成されるドメインが延伸時に大きさが本当に増すことを示す。透明で曇っていない予備形成体において、ドメインは可視スペクトルよりかなり下(約200nm以下)のオーダーである。しかしながら、図6では、コンテナの延伸時の伸張プロセスは、ドメインのサイズを増加させた。示されるように、ドメインの長さの大きさは十分に可視スペクトル内にある。
【0054】
また、ドメインは全可視スペクトルをカバーする必要はない。ドメインの大きさは、可視スペクトル(すなわち、大きさの範囲は400nmを超え、700nm以下である)の領域へ延伸する範囲を有してもよく、または、可視スペクトルの範囲内の特定の領域(例えば、約450nmから約580nmまでの範囲)にのみ入ってもよい。
【0055】
一旦フィラードメインの大きさの範囲が決定されるか、見つけたならば、ドメインの大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする可視スペクトルの領域内の波長で光を吸収するか、光吸収組成物、換言すれば式:
【0056】
【数9】
(式中、Aiは波長iで吸収された光のパーセントであり、かつNiは、波長iで100平方ミクロン(108nm2)あたりのドメイン数であり、かつiは400〜700の範囲である。)
においてXが9.6以下を提供する光吸収組成物が見出され得る。しかしながら、フィラードメインの大きさの範囲を決定することが実験的にまたは測定によって行う必要はない。必要なのは、ドメインの実質的な数が可視スペクトル(すなわち、約400nm〜約700nm)内にある大きさを有することが決定されるということである。これはコンテナまたは他の製品が肉眼で見える物理的ヘイズを有することを決定することと同様に簡単であり得る。製品が「視覚的ヘイズ」有する場合、それは、可視スペクトルの領域に入る大きさを有するドメインを必然的に有すると信じられている。
【0057】
光吸収組成物の光吸収は、当業者によってしばしば知られており、かつ当業者によって既知の方法で発見または決定され得る。光吸収組成物の光吸収を決定する1つの方法は、組成物の吸収スペクトルを分析することである。一旦組成物のそのスペクトルのための吸収領域が知られていれば、そのスペクトルは、フィラードメインの大きさの範囲に存在し、および/または、選択された波長のいくつかで少なくとも反射に供される光のパーセントを計算するために用られ得る。光吸収スペクトルが大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーするなら、またXが9.6以下、好ましくは9.5以下さらに好ましくは9以下および最も好ましくは7.5以下であるならば、製品において用いることが可能である。組成物は製品が配向されるか伸張される際に、製品における組成物が製品のヘイズを実質的にマスクする方法で光を吸収することが意外にも解った。
【0058】
製品の成分に移って、本発明は、その中で分散した不相溶性フィラーを有する熱可塑性ポリマーマトリックスを包含する。不相溶性フィラーは、ポリマーの重量に基づいて約0.5重量%〜約50の量において好ましくは存在する。1つの態様において、ポリエステル、好ましくはPETは、主成分として製品の約99.5〜約50重量%を含有していても、かつ不相溶性フィラー、好ましくはMXD−6が副成分として、製品の約0.5〜約50重量%含有してもよい。
【0059】
本発明で使用するのに好適な熱可塑性ポリマーは、フィルムまたはシートに成形され得ることが理解され得る。しかしながら、本発明はフィルムとシートに制限されてない。本発明の製品はまた、コンテナ、ボトル、トレイ、ベース(base)、蓋(lid)などを包含する。そのような製品は、所望のサイズおよび形状へ、当業者で既知の方法(ブロー成形、射出成形、押し出しおよびその他同種のものを含む)を用いて製造または形成され得る。本発明の製品はまた、より大きな製品の壁部を含み得る。さらに、本発明の製品は望ましく透明である。「透明」とは、人が製品を通して見ることが可能である(すなわち、不透明ではない)ことを意味する。透明な製品は有色されてもよいが、人が、はっきり製品の少なくとも1つの壁部またはシートを透かして見通すことが可能であるとが理解され得る。
【0060】
本発明の製品の主成分は熱可塑性ポリマーマトリックスである。本発明で使用される適切な熱可塑性ポリマーは、熱可塑性のホモポリマー、コポリマー、ターポリマーまたはブレンドを包含する。熱可塑性ポリマーの例は、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン612)、直鎖状ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートおよびポリエチレンナフタレート)、分岐状ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンジクロリド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸、ポリビニルメチルエーテル、アチレンビニルアセテートコポリマー、ポリ(3−フェニル−1−プロペン)、ポリ(ビニルシクロヘキサン)、エチレンメチルアクリレートメチルコポリマーおよび炭素原子2〜20個を有する低分子量ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)およびポリ(3−メチル−1−ブテン))が挙げられる。好ましくは、本発明において用いられる熱可塑性ポリマーは、ポリエステルポリマーまたはコポリマーを含有する。
【0061】
ポリエステル相は、製品を形成するポリエステルまたはコポリエステル、例えば製品に注型、押出または成形され得るポリエステルである。ポリエステルは、ガラス転移温度約50℃〜約150℃、好ましくは約60℃−100℃を有し、好ましくは配向することができ、かつフェノール/テトラクロロエタンが60/40の重量混合物において30℃でASTM D-4603-86によって決定されるように、I.V.少なくとも0.55、好ましくは0.6〜1.0デシリットル/グラムを有するべきである。好適なポリエステルは、炭素原子4〜約40個を有する芳香族、脂肪族または脂環式ジカルボン酸および炭素原子2〜24個を有する、脂肪族または脂環式グリコールから製造されたものを含んでいる。
【0062】
本発明において使用したポリエステルは、当業者によってよく知られている常套の重合手順によって調製され得る。ポリエステルポリマーおよびコポリマーは、例えばジカルボン酸または対応するジエステルとジオールとの反応を包含する、溶融相重合(melt phase polymerization)、によって調製され得る。複数のジオールおよび二酸の使用から得られる種々のコポリマーもまた用いられてもよい。1つだけ化学組成物の反復単位を含んでいるポリマーはホモポリマーである。同一の巨大分子において2以上の化学的に異なる反復単位を有するポリマーは、コポリマーと称される。反復単位の多様性は、最初の重合反応において存在する異なるタイプのモノマーの数に依存する。ポリエステルの場合、コポリマーは1以上のジオールと二酸または複数の二酸とを反応することを含んでおり、時々ターポリマーと称される。
【0063】
上記のように、好適なジカルボン酸は、炭素原子約4〜約40を含有するものである。特定のジカルボン酸は制限されないが、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンアセト酢酸、ジフェニル4,4’−ジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシアセト酢酸、1,2−フェニレンジオキシアセト酢酸、1,4−フェニレンジオキシアセト酢酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸および同種のものが挙げられる。特定のエステルは、それに制限されないが、フタル酸エステルおよびナフタル酸ジエステルが挙げられる。
【0064】
これらの酸またはエステルは、好ましくは炭素原子約2〜約24個を有する脂肪族ジオール、炭素原子約7〜約24個を有する脂環式ジオール、炭素原子約6〜約24を有する芳香族ジオール、または炭素原子4〜24個を有するグリコールエーテルで反応され得る。好適なジオールは、それに制限されないが、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールジメタノール、ジエチレングリコール、レゾルシノール、またヒドロキノンを含む。
【0065】
多官能性コモノマーもまた、典型的に約0.1〜約3モル%の量において使用され得る。好適なコモノマーは、それに制限されないが、トリメリト酸無水物、トリメチロプロパン、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、およびペンタエリスリトールを含む。ポリエステル形成性多酸または多価アルコールもまた、用いられ得る。ポリエステルとコポリエステルのブレンドもまた、本発明において有用であり得る。
【0066】
1つの好ましいポリエステルは、テレフタル酸またはそのエステルとエチレングリコールとのほぼ1:1の化学量論の反応から形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)である。もう一つの好ましいポリエステルは、ナフタレンジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコールのほぼ1:1〜1:1.6の化学量論の反応から形成されたポリエチレンナフタレート(PEN)である。もう一つの好ましいポリエステルは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)である。PETのコポリマー、PENのコポリマーおよびPBTのコポリマーもまた好ましい。興味深い特定のコポリマーおよびターポリマーは、イソフタル酸またはそのジエステル、2,6ナフタル酸またはそのジエステル、および/またはシクロヘキサンジメタノールとPETとの組合せである。
【0067】
カルボン酸またはエステルとグリコールとのエステル化または重縮合反応は、典型的には触媒存在下で起こる。好適な触媒は、酸化アンチモン、アンチモントリアセテート、アンチモンエチレングリコレート、オルガノマグネシウム、酸化錫、チタンアルコキシド、ジブチル錫ジラウレート、および酸化ゲルマニウムを含むが、それらに制限されない。これらの触媒は、亜鉛、マンガン、または酢酸マグネシウムまたは、ベンゾエートと組み合わせて用いられ得る。アンチモンを含有する触媒は好ましい。もう一つの好ましいポリエステルは、ポリトリメチレンテレフタルレート(PTT)である。それは、例えば1,3−プロパンジオールと少なくとも1つの芳香族二酸またはそのアルキルエステルとを反応させることによって調製され得る。好ましい二酸およびアルキルエステルは、テレフタル酸(TPA)またはジメチルテレフタレート(DMT)を包含する。従って、PTTは、好ましくはTPAまたはDMTのいずれかの少なくとも約80のモル%を含有する。そのようなポリエステルにおいてコポリマー化され得る他のジオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、および1,4−ブタンジオールを含む。コポリマーを製造するために同時に用いられ得る芳香族および脂肪族酸は例えばイソフタル酸およびセバシン酸を包含する。
【0068】
PTTを調製するために好ましい触媒は、チタンとジルコニウム化合物を含む。好適な触媒性チタン化合物は、チタンアルキレートおよびそれらの誘導体、チタン錯体塩、ヒドロキシカルボン酸を有するチタン錯体、二酸化チタン−二酸化ケイ素共沈体、およびアルカリ含有二酸化チタン水和物を包含するが、それらに制限されない。特定の例は、テトラ(2−エチルヘキシル)−チタネート、テトラステアリルチタネート、ジイソプロポキシ−ビス(アセチル−アセトナト)チタン、テトラステアリルチタネート、ジイソプロポキシ−ビス(アセチル−アセトナト)−チタン、ジ−n−ブトキシ−ビス(トリエタノールアミナート)−チタン、トリブチルモノアセチルチタネート、トリイソプロピルモノアセチルチタネート、テトラ安息香酸チタネート、アルカリチタンオキサレートおよびマロネート、カリウムヘキサフルオロチタネート、および酒石酸、クエン酸または乳酸を有するチタン錯体を含んでいる。好ましい触媒性チタン化合物は、チタンテトラブチレートおよびチタンテトライソプロピレートである。対応するジルコニウム化合物もまた用いられ得る。
【0069】
この発明のポリマーはまた、リン化合物、例えばホスフェート、および触媒、例えばコバルト化合物(青の色調を与える傾向がある)を少量で含み得る。また、他のポリマー、例えばポリオレフィンの少量も、連続マトリックスにおいて許容され得る。
【0070】
上記の溶融相重合は、ある製品、例えばボトルの製造に必要な固有粘度を達成するために、結晶化段階、次いで固体相重合(solid phase polymerization)(SSP)段階が続いてもよい。結晶化および重合化は、バッチ式システムにおけるタンブラードライヤー(tumbler dryer)反応で行なわれ得る。その代わりに、結晶化および重合化は、連続固体状態プロセスで行ってもよく、それによってポリマーは、各容量内で所定の処理の後、1つの容器から別の容器に流れる。結晶化条件は、好ましくは約100℃〜約150℃の温度を包含している。固体相重合条件は、好ましくは約200℃〜232℃、およびより好ましくは約215℃〜約232℃の温度を含んでいる。固体相重合は、固有粘度を所望のレベル(それは用途に依存され得る)に上げるのに十分な時間行なわれ得る。典型的なボトル用途のために、好ましい固有粘度はフェノールとテトラクロロエタン60/40重量の混合物において30℃でASTM D 4603-86によって決定されて約0.65〜約1.0デシリットル/グラムである。この粘度を達成するのに必要な時間は、約8〜約21時間の範囲であってよい。本発明の1つの態様において、本発明の製品形成性ポリエステルは、リサイクルしたポリエステル、またはリサイクルされたポリエステルから誘導された材料、例えばポリエステルモノマー、触媒、並びにオリゴマー包含し得る。
【0071】
本発明に好適なフィラーは、それらのポリマー、クレイ、無機物、およびために熱可塑性ポリマーマトリックスと化学的に反応せず、ポリマーマトリックス内で個別のドメインを提供すると知られている他の化合物を含んでいるが、必ずしもそれらに制限されない。典型的には、そのようなフィラーは、所望の目的のためにポリエステルの物理的または機械的特性を改善するために提供され得る。例えば、多くの食品および飲料の包装用途において、食品または飲料を貯蔵するコンテナまたはボトルのガス透過性を減少することが、しばしば望まれる。従って、ガスバリアー増強フィラーが、酸素または他のガスがコンテナおよびコンテナまたはボトル壁部を通り抜けてコンテナやボトル内に入り、それによって内側の食品または飲料を損なうのを防ぐコンテナの能力を改善するために添加される。
【0072】
本発明の不相溶性フィラーは、直径約10nm〜約1ミクロン以下のオーダーである。コンテナまたはボトルのガスバリアー増強特性を増加させ得る、多くのより大きな粒子があるが、本発明は大きさ約10nm〜約1ミクロンを有するドメインおよびより詳しくは、大きさ約400nm〜約700nmを有するドメインを作る粒子フィラーをいう。従って、その範囲の外に入る他のドメインが作られる場合でさえ、少なくとも延伸で作られたドメインのうちの少なくともいくつかがその範囲以内にある限り、約400〜約700nmの範囲より高いまたはより低い粒径を有するフィラーを使用してもよい。
【0073】
最も好ましい不相溶性フィラーはポリアミドである。好適なポリアミドは脂肪族、脂環族および芳香族ポリアミドを包含する。上記のように、ポリエステルとブレンドされ得るポリアミドの量は、好ましくは約0.5〜約50重量%、より好ましくは、約3〜約15重量%である。また、好ましい不相溶性フィラーは、ナノクレイ、ガラスビーズおよびファイバーである。
【0074】
ポリアミドが不相溶性フィラーとして使用される場合、本発明のポリアミド成分は反復単位A−Dによって表わされ、その場合Aはアジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、レゾルシノールジカルボン酸、ナフタレン−2、6ジカルボン酸またはそれらの混合物を含むジカルボン酸の残基であり、Dは、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミンまたはそれらの混合物を含むジアミンの残基であり得る。この発明において用いられ得る好ましいポリアミドは、ポリ(m−キシリレンアジパミド)またはそれらのコポリマー、イソフタル酸またはテレフタル酸−変性ポリ(m−キシリレンアジパミド)、ナイロン6、ナイロン6,6またはそれらの混合物、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−イソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−イソフタルアミド、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−テレフタルアミド)またはポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−コ−テレフタルアミド)である。
【0075】
好適なポリアミドはまた、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物または当業者で既知の多酸とポリアミンを形成する他のポリアミドを包含する三官能性または四官能性コモノマーの少量を含み得る。
【0076】
ポリエステルとブレンドされ得るポリアミドのためのI.Vは、好ましくは約1.0デシリットル/グラム以下、および最も好ましくは約0.7デシリットル/グラム以下(フェノールおよびテトラクロロエタン60/40重量混合物において濃度0.5g/100ml(溶媒)で25℃でASTM D−4603−86に従って決定した。)である。
【0077】
ポリアミドおよびポリエステル/ポリアミドブレンド組成物の調製は、当業者により既知であり、これらの組成物が得られるいずれの方法も使用され得る。
【0078】
本発明の態様において、好ましいポリアミドは、MXD−6ともしばしば呼ばれるポリ(m−キシレンアジパミド)である。MXD−6は好ましくはポリエステル樹脂に対して約1〜30重量%の範囲の量で使用される。また、好ましくは他のMXD類、この場合アジピン酸から誘導したユニットの全てまたは−部分が、アジピン酸以外の炭素原子6〜24個を有するジカルボン酸、例えばセバシン酸、アゼライン酸、およびドデカン酸から誘導されたユニットと置き換えられるものである。
【0079】
本発明は要求しないが、複数の有機または無機材料、例えばアンチブロック(anti-blocks)、静電防止剤、可塑剤、安定化成核剤(これらに限定されない)の使用または添加を含み得る。これらの材料は、ポリマーマトリックスに導入されて分散した小さな相でもよく、または分離した分散相として存在してもよい。
【0080】
ポリエステル樹脂とポリキシリレンアミドの混合またはブレンドは、適切な混合を保証し、かつポリエステルマトリックスにおけるポリアミドの細かく安定した分散を形成するために、温度と剪断力の既知の条件下で押出器において実行され得る。1つの態様において、本発明のポリエステルおよびフィラーは、一般的に「シェイクとベイク法(shake and bake method)」としてよく知られる技術を用いて調製されている。典型的に、ポリエステル、例えばPETおよびポリアミドポリマー、並びに光吸収組成物は、所定時に、マスターバッチへ混合され、徹底的に混合されるまで振とうされ、および当業者によってよく知られている予備形成物に押出またはへ成形されるためにホッパー(hopper)へ流される。ポリアミドを溶融混合する際に、100s−1よりも高い煎断速度が、用いられてもよい。280℃の高温、煎断速度100s−1でポリエステル/ポリキシリレンアミドの溶融粘度比は好ましくは約3:1〜8:1である。
【0081】
一旦ブレンドすると、ブレンド成分は製品の所望のサイズおよび形状に成形され得る。1つの態様において、成分は、特定のサイズのボトルまたは他のコンテナの形状にブロー成形され得る。一旦成形すると、フィラードメインの少なくともいくつかがコンテナの軸平面に約400nm〜約700nmの大きさを有する測定をなし得る。そのような測定は、単に製品が肉眼で見えるヘイズを有することを測定することによってなし得る。1つの態様において、より正確な測定が望まれる場合、熱可塑性ポリマーフィラーの小さな相は、ギ酸を用いることによりポリエステルマトリックスから溶解され得る。冷たいギ酸、すなわち、室温のギ酸の使用が好ましい。熱い温度のギ酸がポリエステルのTgの上にあるとき、ドメインがドメインの場所に依存して、緩和または膨張されることが可能である。一旦溶解すると、ドメインの大きさの測定は、当業者で知られるようになされ得る。
【0082】
例えば、ドメイン大きさを測定する1つの方法は、製品の走査電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真を得て、適切な設備および技術、例えば5000xで実現された顕微鏡写真上でLuciaMソフトウェアを用いることによって、ドメインを測定することである。しかしながら、理論的にそれらはそうであるべきであるが、測定された大きさは必ずしも全てがいずれか1つのドメインのための最長の大きさではないかもしれないということが理解され得る。1つの態様において、測定はコンテナの軸平面における、ラジアルの方向および軸方向の両方において予備形成体とコンテナの両方に得られた。
【0083】
コンテナを形成した後に、ポリマーマトリックスにおいて作られたドメインについてコンテナの軸平面における大きさの範囲が約400nm〜約700nmの範囲内に入る大きさの少なくともいくつかを含むことが一旦測定されると、コンテナにおけるドメインの大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で可視スペクトルの領域内の光を吸収する光吸収組成物が見出され得る。上記のように、これは当業者によって知られている手段で行われてもよく、例えば、種々の組成物を同様にブローしたコンテナに添加することにより実験的に、製品上に着色したフィルムのスリーブ(sleeves)を提供することによって実験的に、使用が推奨されている種々の光吸収組成物のスペクトルを再検討することによって、または式:
【0084】
【数10】
(式中、Aiは波長iで吸収された光パーセントであり、Niは波長で100平方ミクロン(108nm2)あたりのドメイン数であり、かつ波長iは400nm〜700nm(すなわち可視スペクトル)の範囲である。)
においてXが9.6以下、好ましくは9.5以下、より好ましくは9以下および最も好ましくは7.5であることを決定することによって行われる。
【0085】
好ましくは、これらの組成物はプラスチックの着色または染色において一般に用いられる着色剤であり得る。本質的に、着色剤(染料または顔料のいずれも)は、それが本発明に好適な所望のスペクトルを有するならば、使用され得る。着色剤はポリアミドまたは使用され得る他のフィラーと相溶性(すなわち親水性)を有しても有さなくてもよい。
【0086】
着色剤はポリエステル/フィラーマトリックスへ混合することが可能であるか、または別に可視的ヘイズを示す製品を覆う別のフィルムにし得る。既知の多層化技術は、層を互いに接着するために用いられ得る。しかしながら、一般的に、光吸収組成物は、ポリエステル/フィラーマトリックスを含有する製品の別の層を覆う別のフィルムであってよい。
【0087】
従って、多層コンテナにおいて、多重層コンテナの少なくとも1つの層は、分散した不相溶性フィラーを有する熱可塑性のマトリックスを含有してもよく、別の異なる層が光吸収組成物を含有してもよい。
【0088】
また、光吸収組成物がポリエステル自体に由来することもあり得る。ポリエステルの黄色化(yellowing)がドメインの大きさの範囲を実質的にカバーする範囲において光吸収するようにドメインのための大きさの範囲があるのなら、別の組成物は必ずしも必要ではない。従って、ポリエステル自体の黄色化成分は、光吸収組成物として機能し得る。
【0089】
また、上記のように、光吸収組成物の有効量が熱可塑性ポリマーおよび不相溶性フィラーブレンドに、当業者によって知られている方法で添加され得る。次いで、別のコンテナが既知のコンテナ成形技術、例えばブロー成形を用いて製造され得る。そこで分散させた不相溶性フィラーおよび光吸収組成物を有するポリエステルマトリックスを有するこの新しい透明なコンテナは、同様の所望のサイズおよび形状に成形されるべきである。異なるサイズおよび形状は、製品中に見られるドメインに異なる大きさを提供し、大きさの範囲を変更するので光吸収組成物が求められる。光吸収組成物がコンテナにおけるヘイズを実質的にマスクし得るということは明白である。
【0090】
本発明の実行を実証するために、多くの予備形成体が、ポリエステル、すなわちポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリアミド、すなわちポリ(m−キシリレンアジパミド)(一般にMXD−6として知られ、かつ三菱ガスケミカル(Harada, M., Plastics Engineering, 1998年)から市販されている)約5重量%のブレンドから押し出された。予備形成体はまた、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、またはピロメリト酸二無水物(PMDA)0.04重量%を含む。押出しに際して、多くのボトル予備形成体はPETマトリックス内にMXD−6を分散してものを製造された。予備形成体のいくつかを、各々のボトルが同一の形状および500mLのサイズを本質的に有するようにボトルにブロー成形した。ボトルの構成時に、各ボトルを、垂直の横断面および水平の横断面の両方において切断し、冷たいギ酸の中で約60分間エッチングし、次いでサンプルを中性のpHまで水で、その後アセトンで洗浄した。得られたサンプルは、次の条件(アルゴン流量20秒で20mA)下で、アルゴンがオートスパッターコーター(Agar Auto sputter Coater)で金属化(金)した。残存するMXD−6ドメインの最長の大きさは、拡大5000xで実現されたSEM顕微鏡写真上でLuciaMソフトウェアを用いて測定された。顕微鏡写真は、垂直および水平の横断面においてボトルを切断し、最長の大きさ(必然的に製品の表面と平行である大きさ)の観測から得られた。図7において、垂直の横断面(すなわち、上記の図に基づいたラジアルの(X)方向)において最長の大きさの測定することから得られた結果の分布を報造する。
【0091】
得られたデータは、予備形成体からボトルにブロー成形する間に、MXD−6ドメインが直径において増加することを示す。一般的に約160nm(予備形成体平均)から約500nm(ボトル平均)の平均大きさの増加があることが解った。これはラジアルの方向で3:1である。図5(予備形成体)および6(延伸したボトル)はこの現象を示す。
【0092】
このデータに基づいてドメインは、約400nm〜約600nmの長さの範囲で、ドメインの最大数は1約500nmの大きさであった。これは可視スペクトル内である。可視スペクトルを観測すると、約500nmの領域は緑の領域(緑512nm)であるとわかる。色彩環(chromatic circle)の検討から、この同じ領域で光を吸収する補色が赤であることが示され得る。従って、ドメインの大きさの範囲に対応する緑の領域において光を吸収する、赤色着色剤を見つける試みがなされた。製品に必要な領域において吸収する着色剤は十分であり、かつ色彩環に基づいて吸収目的のためのその領域に対して補色的な色を選択することが必ずしも必要ではないと認識される。
【0093】
いくつかのスペクトルは、異なる種類および色の市販の着色剤に対して行った。特に、スペクトルは、原色および赤に近い色または赤を含む色に焦点を合わせた。いくつかのスペクトルは前の研究室実験から利用可能であり、かつ他のスペクトルは着色剤の製造者から利用可能であった。分析を行ったスペクトルのうち、全てのスペクトルはPerkin Elmer社製UV/VS分光計Lamda 2を用いて、走査速度250nm〜780nmの30nm/分で行なった。図8A、8Bおよび8Cはそれぞれ、種々の黄色、赤および青の着色剤のスペクトルを示す。興味あることは色の吸収範囲が可視スペクトル内にあるかどうかを理解することであるので、スペクトルは標準化されない。
【0094】
SEMを用いて行われた測定と入手可能な原色の吸収スペクトルとの間の比較は、なぜ赤色が、ヘイズをカバーする最良の色であるように思えるかという説明に導く。しかしながら、このポイントでは、SEMの結果が製造メーカーに何がMXD−6ドメインの大きさであるかについての考えを与えるが、このアプローチでは、すべてのドメインでその最長の直径を提供する方法でサンプルをカットオフすることが本質的にできないので、測定は単に近似であると理解しなければならない。すなわち、ボトルの切断がドメインの正確な中間において起こることを保証する方法がないので、測定されたドメインの少なくともいくつかは実際の直径よりわずかに小さくなる。この問題は詳細に上記において記載した。
【0095】
スペクトルを観測したら、ここまで提供した選択の中で赤は、ヘイズをカバーのための最良の候補であると解り、最良の選択はColorMatrix社から入手可能なリノールレッドであることが明らかとなった。赤色着色剤を含む、透明な赤いサンプルを調製し、前に製造した同一のサイズおよび形状の既知のボトルのまわりを包んだ。ボトルは包まれる前に視覚的ヘイズを示した。ボトルを包むと、ヘイズの実質的なマスクが観測された。他のボトルは、種々の着色剤を含むように調製された。それらのうち、視覚的分析は、Clariantから入手可能な着色剤テーザーイエロー(Tersar Yellow)NE 1105131を含むボトルが、より高い濃度(4%、最終ボトルはオレンジの採色を有する)でヘイズの実質的なマスクを提供したことを示した。図8Aにおけるスペクトルを観測する際に、提供したスペクトルを有する他の黄色の着色剤全てと異なり、テーザーイエローの着色剤のスペクトルは、約500〜550nmおよび約600mn外の領域において、少なくともいくつかの吸収を少なくとも示し得る。従って、この着色剤はボトルの少なくともいくつかのヘイズ(またはむしろMXDドメイン)をマスクするのに好適であった。同じ方法で、ボトルはClariant社から入手可能なレノールブルー(Renol Blue)NE 51050340約1%で作られたボトルもまた、ヘイズのいくらかの部分的マスクをすることを示した。そのスペクトル(図8C)において、この青がMXD−6ドメインのゾーンをカバーし得ることが理解され得る。特に、500nmから開始する領域が、カバーされ得る。しかしながら、領域全てがマスクされるとは限らず、ボトルにおいていくつかの認識され得る視覚的ヘイズが残った。同一の特性は、Clariant(図8C)から入手可能な着色剤テーザーブルー40642を用いる場合においても見られ得る。
【0096】
図9A、9B、9Cおよび9Dは、それぞれ種々の緑、オレンジ、紫およびピンクの着色剤のためのスペクトルを示す。図9Aにおけるスペクトルは、この特定の緑の着色剤を加えることがボトルのヘイズを効果的にマスクしないであろうことを顕著に示す。この緑の着色剤を用いて、緑に着色した500のmLボトルの製造はこのこと、緑の着色剤を用いて、475〜575nmの領域(この色の吸収によってカバーされないスペクトル領域)において、この大きさを有する多くのMXD−6ドメインがあるということをさらなる実証を確認した。しかしながら、他の緑の着色剤はボトルのヘイズを十分に、かつ効果的にマスクするということが理解され得る。全ての緑の着色剤が同じ波長および同じ量において、吸収するのではなく、他の緑の着色剤がボトルを含む種々の製品のための視覚的なヘイズの適切なマスキングを提供し得ることは(下に示すように)完全にあり得る。
【0097】
ColorMatrix社から入手可能なブロッサムオレンジ(Blossom orange)の着色剤から製造されたボトルは、完全ではないが、ヘイズの非常に良好なマスクを示した。実際に、この色のスペクトル(図9B)を観測すると、波長約575nmまで(MXD−6ドメイン全てをカバーするのには十分でない)吸収を観測することは可能である。しかしながら、他のオレンジの着色剤が、この特定のオレンジの着色剤と同様に視覚的ヘイズをマスクしないかもしれないか、視覚的ヘイズをさらに良好にマスクするかもしれない可能性はある。
【0098】
ColorMatrix社から入手可能なロイヤルパープル(Royal Purple)−1のスペクトル(図9C)は、サンプル500mLボトルのヘイズをマスクするために最良の着色剤のうちの1つと見られるが、別の紫の着色剤、テーザーバイオレット(Tersar Violet)40058(Clairantから利用可能)もまた好適であると思われる。ピンクのスペクトル(図9D)もまた450〜600nmの領域におけるヘイズを実質的にマスクする。
【0099】
従って、前記のスペクトルおよび試験では、MXD−6ドメインの大きさと種々の光吸収組成物の波長の間に相関性があると実証されたことは明白であるべきである。吸収の領域の波長がMXD−6ドメインの大きさの範囲を実質的にカバーする場合、ボトルにおける視覚的ヘイズの実質的なマスキングが起こる。
【0100】
本発明のさらなる試験は、上記に記述されたタイプ(PET+0.04%PMDA+5%MXD−6)の追加の予備形成体の調製およびそれから追加の500のmLボトルの製造、並びに副成分の同じ濃度で製造された他の大きい予備形成体およびこれらの予備形成体から成形したより大きな1.5Lボトルの製造を含む。次いでボトルおよび予備形成体は、前述の方法で切断し、拡大5000xで再び分析した。この時、垂直および水平の横断面両方において最長の方向が分析された。水平の横断面(X−Z面)において最長の大きさが、製品の軸平面におけるラジアルの(X)軸寸法と同じ大きさになり得ることが認識され得る。同様に、垂直の横断面(Y−Z面)において最長の大きさは、軸平面における軸の(Y)軸大きさと同じ大きさになり得る。同様に500のmLボトルの予備形成体のSEM分析は、MXD−6ドメインの平均の大きさが約240(ラジアル)〜約280(軸)であることを示し、その一方で1.5Lのボトルの予備形成体は、ドメインの平均の大きさがラジアルの(X)および軸(Y)方向の両方において約300であることを示した。これらの予備形成体両方において、大きさが非常に低いので、それらは可視スペクトリーの前、で可視スペクトル内にないので、ヘイズは見られない。
【0101】
しかしながら、延伸されたボトルにおいて、MXD−6ドメインの平均の大きさは、500ccおよび1.5Lのボトル用のラジアルの方向においてそれぞれ約500nmおよび約540nmであり、また両方のボトル用の軸方向において約1000nmであった。軸(Y)方向の大きさが可視スペクトルより大きいために、その大きさからヘイズをマスクすることまたはヘイズを見ることを予期しなかった。しかしながら、ラジアルの(X)方向において、大きさは可視スペクトル内にあるので、ヘイズはボトルの中で確認される。
【0102】
さらに試験は、まだ異なる樹脂配合および異なる量のMXD−6を有する、他のボトルの製造を含む。特に、ポリマーマトリックスは、8.6%IPAの最終配合のために、PET(Cobiter 80)に加えられた10%IPAを含むポリエステル(VFR)樹脂で製造された。この樹脂に、MXD−69.3%を添加した。38グラムの予備形成体が押出され、それから1.5Lのボトルがブロー成形によって製造された。次いでSEM分析は、ラジアルおよび軸の方向における大きさを提供するカットからの予備形成体およびボトルの両方上で行った。結果は、ラジアル(X)方向おいて約330nmおよび軸(Y)方向において約320nmである予備形成体におけるドメインの平均の大きさを示した。また、これは可視スペクトルよりかなり下にあった。
【0103】
1.5Lのボトルについては、ドメインの平均の大きさはラジアル(X)方向において約620nmおよび軸(Y)方向において約900nmであった。より重要なことは、大きさの範囲が、ラジアルの方向において約490nm〜約750nmおよび軸方向において約660nm〜約1140nmであることが解ったことである。従って、両方の方向において大きさのいくつかは、可視スペクトル内にある。
【0104】
得られた先の実験データを理解するための目的で、ColorMatrix社からの異なる量のレノールレッド−4着色剤を用いて、いくつかのフィルムを調製した。得られた実験データは、MXD6ドメイン(0.5Lのボトルのラジアルの寸法分布(dimension distribution))の本質的に同一の領域においてこの着色剤の吸光度を示した。サンプルは、厚さ約200ミクロンを有するキャストフィルムからBausano二軸スクリュー押出機上で異なる量のレノールレッド−4を重量の0.05%、0.1%、0.2%、0.25%および0.5%でPET(Cobiter 80)樹脂へ添加することを用いて製造された。ブレンドは、温度、圧力およびスクリュー速度の本質的に標準状態下スチールコンテナにおける各々の試験のためにPET2.5kg中に正確な量の着色剤を乾式混合して得られた。
【0105】
得られたフィルムは次いで、0.5Lのボトルに最初に、次いで他のボトル上で置いて着色剤がヘイズをマスクするかどうかを理解し、およびこの場合要求した着色の最小量を見いだす。実現されたフィルムおよびヘイズをカバーする各々のフィルムの能力は、以下の表Iにおいて概括される。視覚的ヘイズが、見る人の肉眼の主観的な解釈になり得るので、カバーヘイズの能力を、異なる量の着色剤を用い、異なるキャストフィルムによってカバーしたボトルを透かして見るように異なる人々に依頼することにより分析され、かつそれらがヘイズを視覚化することができるかどうかを報告した。
【0106】
表I 視覚的ヘイズの存在のための特定の試験
【0107】
【表1】
【表2】
【0108】
*0.1%フィルム2枚を使用して得られた
−異なる解釈(確定ではない)
【0109】
上記の実験は、赤い色は0.5%でも、ヘイズをいくぶんカバーすることが可能であり、0.5Lのボトルのためにヘイズを実質的にマスクするレノールレッドの最小濃度は2.5%であったが、1.5Lのボトルはより高い濃度(約0.5%)を必要とする、ことを示す。9.3%MXDボトルについては、赤色着色剤が用いられたときにヘイズが消えなかった。スペクトルに基づいて、かなりの大きさのものがレノールレッドが光を十分に吸収することが可能なレノールレッドの領域の外部に存在したと信じられる。従って、ヘイズは残存した。
【0110】
この理論を確認するために、異なる濃度のフィルムが青色着色剤(すなわちClariantからのテーザーブルー37843)を含んで製造された。そのスペクトルを観測すると、光が約490nm〜約700nm、即ち、可視スペクトルの端に非常に近くで吸収される。次いで、目視検査は数人かの個人で行われた。試験の結果、以下の表IIに示され、そこには青色着色剤の0.5%の使用がボトルにおける視覚的ヘイズを効果的にマスクしたことは明記する。
【0111】
表II 視覚的なヘイズの存在のための個々の試験
【0112】
【表3】
【0113】
−異なる解釈(確定ではない)
【0114】
上記に加えて、ボトルの物理的ヘイズを測定した。各々の例において、ボトルが着色剤を有していても、または着色剤がなくとも、重要な物理的なヘイズがまだ存在した。少なくとも1つの例において、物理的ヘイズで濃度2.5%のレノールレッドを用いることで減少したが、まだボトルには著しく存在することが解る。
【0115】
さらに実験は、視覚的ヘイズが製品またはボトル上で光る光の経路に存在する約400および約700nmの間の大きさを有するドメインの総数の関数であることが解った。従って、壁部の厚さは視覚的ヘイズの測定において役割を果たす。壁が表面と同数のドメインを含んでいたとしても、薄い壁は厚い壁より低い視覚的ヘイズを有し得る。従って、吸収された光の量は、壁の厚さを考慮に入れなければならない。
【0116】
従って実験は、種々の着色剤を用いる種々のサンプルボトルについて、視覚的ヘイズを減少させることを始める可視スペクトルにおける、各波長で吸収されるために必要とされるかを量決定するために行われた。しかしながら、最初にドメインに起因する視覚的ヘイズの量が、PETとMXD6のブレンドから延伸したボトル壁を製造し、単位大きさあたりのドメインの周波数を決定し、非常に狭い幅の光に壁を露光し、光強度を増加し、記載した文字を判読可能からかすむまで進行させるために要求した輝度の変化を測定することにより決定した。
【0117】
コンテナの壁を、Arburg 420c、110トンのunicavityマシン上で製造された52.5グラムの予備形成体から調製した。予備形成体は、三菱ガスケミカルからのMXD6グレード6007の約4および約6重量%およびM&G Polymer USA (LLC) Sharon Center OhioからのポリエチレンテレフタレートグレードCleartuf 8006約96および約94重量%をそれぞれ含んだ。予備形成体は標準の丸底2リットルボトルにブローした。壁を取り除き、中心に66mm×80mm開口を有する2つの黒いボードの間に平坦に固定した。
【0118】
間に側壁を有する、固定したボードは、テーブルトップに対して垂直につるした。可変電に取り付けた6000ワットのハロゲンランプを、壁から約14インチおよびテーブルのトップから約7インチに置いた。光源はコンテナをランプ上に置くことにより壁からシールドされた。コンテナは、テーブルの上面から約7インチのサイドに45mmの穴を有し、光が光源からカットアウトしたボトル側壁に当たるようにした。
【0119】
ホールの45mmは、Andover Corporation, Salem, NHから入手可能な直径50mmの光フィルターよりわずかに小さい。
【0120】
12ポイントのNew Times Roman体の1本の線を有する黒紙が、サンプルと光源の間だが、サンプルから4インチ離して置かれた。タイプのラインはサンプルに面していた。黒板および紙のシートのエッジを、バケット中のホールの端と一致させて、シートがテーブルトップに垂直で黒板と平行でかつホールとバケットホールから黒板までおよぶ高さによってその直径が画定されるシリンダーの接面上にあるようにした。その記述は、テーブルトップの上約7インチで、側壁サンプルの中心とホールの中心および光源と一致させた。タイプのラインは側壁サンプルを通して観測された。サンプル上の光の量が増加すればするほど、タイプのラインがより変形した。所定のシリンダーに接したエッジから4文字を変形させるのに必要な輝度の量を、かすんでいる(hazy)と考えた。
【0121】
Andover社から得られたフィルターを、ホールの前に置いて、光の非常に狭い波長を側壁に当たるようにする。最も狭い波長フィルターが、2nmの鋭いカットオフのために選択された。より広い波長フィルターは、10〜20nmにわたる範囲のより不明確なカットオフを有し、全体の領域においてドメインに起因する視覚的ヘイズの量は、カットオフにおける光の強度に応じて変化し得る。
【0122】
視覚的なヘイズを製造するのに必要な光の量は以下のように測定された。フィルターは、本質的に可視光の約96%を除去した。従って、背景光が減少して、フィルターを通り抜ける光の量が視覚的ヘイズをもたらす大きな割合であった。
【0123】
輝度は、Extech Instruments Corporation, Waltham, MAからのEA30光メーターを用いて測定された。光は2つのポイントで測定された。第1ポイントは、ボードに平行に移行してテーブルトップに当たる光を測定した。このポイントは、前記サンプルのすぐ上であった。これはトップライトとして定義された。別のポイントはテーブルトップに平行移行し、サンプルをに当たる光を測定した。メーターを、光源に面するサンプルの前に直接置いた。背景光は、光源を切ったときサンプルをに当たる光の量として定義された。
【0124】
タイプされたラインの最初の4文字が、サンプルを通してタイプを光を調査することによりかすんだようになり始めるまで、フィルターを通した光源の強度を増加した。
この測定はオンセット(Onset)ヘイズと呼ばれた。次いでタイプされたラインの最初の4文字が不明瞭になるまで、強度はを増加した。これはマックス(Max)ヘイズと呼ばれた。各々のポイントは、測定間の誤差のために3〜5回の測定の平均を表わす。
【0125】
この評価は、500で始まり〜650まで波長50毎にMXD6のブレンド4%および6%について行った。450nmの測定は、メーターが有効な応答を持っていないとExtechのマニュアルに記載されているので、用いなかった。400nmおよび700nmでの輝度も可視光の外部限界が人それぞれ変化するので、また測定されなかった。この実験から得られたデータから、サンプル製品の壁の単位厚さあたり1つのドメインあたりに散乱した光のパーセントを決定した。
【0126】
ドメインが少数の波長に集中したという事実を考慮して、吸光度生データを標準化させた。輝度が増加したが、ドメインに関連するそれらの波長だけが反射された。輝度がどれだけ反射されたかを決定するための良好な近似は波長がそれらの関するドメインサイズを有するフィルターを通り抜ける波長の数によって増加した輝度を減少することであると信じられる。一旦これがフィルターバンド域について行われれば、関係は明白になる。要するに、ドメインの数が多くなれば成る程、より少ない光がヘイズのオンセットを作成するのに必要になる。
【0127】
得られたデータから、吸収性組成物が2つのことをすることができなければならなかったことを確定した。最初に、吸収性組物による光の吸収が、ドメインのサイズと関連された少なくとも1つの波長で起こらなければならない。ドメインが通常複数で、可視スペクトルを横切って広がるので、多くの波長で吸光度がおそらく必要である。例えば、もしドメイン全てが500nmの場合、500nmの付近の吸収だけが必要であるとわかる。同様に、PET/6%MXD6のブレンドのドメインの95%が500nmならば、全ての吸収ではな区、多くの吸収が500nmで生じる必要がある。また、他の領域で光を吸収し、500nmのまわりの光を吸収しないことは、視覚的ヘイズに制限のある影響を及ぼすだろう。
【0128】
しかしながら、上記の例に反して、ドメインが可視スペクトルの全体にわたって散乱したが、いくつかの波長領域で他のものより実質的に多くのドメインを有していたことが解った。それにも関わらず、吸収性組成物は、ドメインを含む全ての領域で吸収する必要がないが、光が分散するのを防ぐのにスペクトルの全体にわたる十分な光を吸収しなければならない。より多くの散乱がより多くのドメインを有する領域で起こるので、より多くの吸光度がより多くのドメインを有する波長で必要である。光がこの15ミルの壁に当たる光の総量の60%に達するときに、ヘイズのオンセットが始まることが決定した。他の方法で述べると、15ミルの壁に当たる光の40%の最小が、その波長でドメインによって導かれた視覚的ヘイズに影響を及ぼし始める波長で吸収されなければならない。
【0129】
例えば、15ミルの壁について、ドメインの80%が500nmで20%が650nmであるならば、吸収性組成物がヘイズへの衝撃を示し始める総量の40%である500nmで光の50%を単に吸収することを必要とする。もし全ての光が全ての光の20%だけである650nmで吸収されるならば、視覚的ヘイズへの衝撃はなく、光吸収の残りの20%は、500nmで光の25%を吸収することにより達成されなければならないだろう。
【0130】
この概念は以下の実験の中で実証された。MXD6 6007はポリエチレンテレフタレートに溶融ブレンドされ、16オンスのボトルに成形した。ボトルは、吸光度および図10における比較で示されるようなドメイン分配を有する着色剤(スプライトグリーン(Sprite Green))の3%を含んだ。壁は厚さ15ミルだった。500〜550nmの間に吸光度0.07(光の15%)のみがあり、かつその領域において27のドメインがあるとしても、実質的にボトルサンプルの視覚的ヘイズを減少するために、まだ十分に強い吸光度が他のところにあった。27のドメインが、視覚的スペクトル(400〜700nm)において総数166のドメインのわずか16%であるので、他のところのより強い吸光度がヘイズを減少した。ボトルサンプルのために反射率に利用可能な相対的な光の総量(すなわち、着色剤に吸収されなかった)について計算するときに、その量は9.6以下である。従って、ボトルが少量の視覚的ヘイズを有するが、着色剤の吸光度は、製品で見られるドメインの大きさを実質的にカバーするために十分に考えられる。すなわち、全体の視覚的ヘイズは実質的に減少された。視覚的ヘイズをさらに減少するバリエーションは、吸収性組成物(類)の量またはタイプを増加させ、それは、次には波長500〜550nmの間で吸光度を変化するのを増加することによってなし得るだろう。ることにより、を製造することが可能なかもしれない。他の波長の全てがカバーされる範囲で、製品の視覚的ヘイズをさらにマスクすることにおける相当な変形は、波長500〜550の間で吸光度を増加させることから来るかもしれない。
【0131】
これらの研究に基づいて、光吸収性組成物による可視的スペクトル内での吸収された光の量がある波長で反射された(吸収されなかった)入射光のパーセント×その波長での単位面積(即ち、平方ミクロン)でのドメインの数の総数が、一定の光の強度と仮定した場合、9.6以下でなければならないようにしなければならない。すなわち、光吸収組成物は方程式:
【0132】
【数11】
(式中、Liは波長iで反射することが可能な光パーセントであり、Niは波長iで100平方ミクロン(108nm2)あたりのドメイン数であり、かつ波長iは400nm〜700nm(すなわち可視スペクトル)の範囲である。)
においてXが9.6以下であるように可視スペクトルにおける光を吸収されなければならない。
【0133】
製品の厚さは、製品の壁と考えられて読む吸光度で占められる。所定波長で光の強度が一定でないならば、前記に示したように、それが包含されなければならない。光の90%が1つのドメインのサイズに対応する1つの波長で発生するならば、光の総量のより高い吸光度がその波長で必要とされる。
【0134】
ドメインの数はSEMによって決定される。吸収された光の割合は、壁の厚さの関数である吸収スペクトルによって得られた。光のフラクションは、その波長でのルーメンまたは光度÷可視スペクトルのルーメンまたは輝度の総量である。一定の光の強度については、その数値は、全ての強度が400〜700nmのスペクトルに渡って等しく分配されるので、1/300である。
【0135】
また、光吸収組成物によって吸収されるのに必要な光の量のさらなる確認は、図11および12に説明される。図11および12の両方は、400と700との間の各ナノメートルで、製品(この場合2Lのボトル)の中にあるドメイン数を図示する代表的なプロットグラフを包含する。あるサイズでドメインはなく、他のサイズでは1以上のドメインが存在すると認識される。しかしながら顕著には、ドメインは、400nm〜700nmの全範囲の全体にわたってかなりよく拡散されている。図11および12の中の各プロットグラフに重ねたものは、PET/6% MXD6(図11)およびPET/8% MXD6(図12)を含む製品について0.05%〜0.5%の範囲の量で多くの異なる着色剤について、400nmと700nmの間の各波長で吸収された光の割合の代表的なグラフである。特に、図11で用いられる赤および緑の着色剤、図12で用いられる赤および青い着色剤がある。
【0136】
これらのグラフは、反射に利用可能な光の割合(Li)ではなく、吸収光の割合(Ai)を示すことが理解される。従って、使用された着色剤が製品におけるドメインの大きさを実質的にカバーするかどうかの決定は、後のグラフが存在するドメインの数をカバーするかどうかを判断することによって実質的に見ることが可能である。しかしながら、吸収された光の割合を増加させることは、着色剤が製品の視覚的ヘイズをマスクすることが可能であるということがありそうであるとは必ずしもない。これを決定するためにXの値を決定しなければならない。ドメインプロットグラフおよび光吸収の割合のグラフ両方を用いて、Xが、次いで使用された各着色剤について決定され得る。各着色剤のために上記に表示する式に基づいたXの値は、表IIIにおいて提供される。
【0137】
表3:PET/MXD6ブレンドにおける着色剤の使用のためのX値
【0138】
【表4】
【0139】
これらのボトルは、次いでそれらが視覚的ヘイズを減少したか除去したかどうか判断するために別々に、かつ主観的に評価された。0.05%レノールレッドは、どちらのヘイズを減少するのに十分でないが、0.1%レノールレッドでは視覚ヘイズを十分に減少し始めた。同様に、0.05%テンサーブルー(Tensar blue)は視覚的ヘイズを減少するのには十分ではなかったが、0.1%テンサーブルーはボトルの視覚的ヘイズを減少するのに適切だった。緑については、各緑はある程度視覚的ヘイズを減少するが、着色剤の量が多くなければより低い視覚的ヘイズを有する視覚的に受け入れられる製品を提供する。顕著な量の光が約480nm〜540nmの間で透過されたが、これは真実であった。しかしながら、多くのドメインが存在する、この緑の着色剤は他の波長。例えば多くのドメインが存在する約584nmでかなりの量の光(すべてではないにしても)実質的に全てを吸収する。従って、着色剤に対するXの値の計算に際して、それは、9.6未満であるXの範囲内で適切であると解った。実験は、ヘイズのマスキングの開始はX=9.55であり得ることを示す。従って、もし吸収されない相対光の総量が9.6以下ならば、観測者の肉眼に見えるヘイズのうちの少なくともいくらかがマスクされ得ることは明白に違いない。
【0140】
従って、ポリマーマトリックスに添加されたおよび他の不相溶性フィラー(特にコンテナのガスバリアーの強度を改善するために加えられたもの)を有するコンテナで見られるヘイズ問題が、正確な量の光吸収組成物を添加することによりマスクされる(または非常に減少する)場合があることは明白でなければならない。ボトル中のドメインの少なくともいくつかの大きさと吸収性組成物の吸収波長との間に、密接な相関性がある。実際に、実行された実験データは、ヘイズが、視覚的ヘイズがある0.5Lのボトルで分析および決定される特定の着色剤または着色剤の組合せを用いて、視覚的にマスクされる可能性を実証する。
【0141】
さらなる研究は次のことを注目した。即ち、もしMXD6ドメインの大きさの変化がないならば、ボトルのサイズを変わった後でさえ、そして同じPETマトリックスは用いられると、ボトルサイズの変化(1.5Lのボトルへの)は、ドメイン大きさの範囲にほとんど影響を与えないので、視覚的ヘイズは同じ着色剤を加えることにより実質的にマスクされ得る。但し、より高い量の着色剤は好まれ得る。
【0142】
しかしながら、PETマトリックスが変更される場合、および/またはMXD6濃度の量がPETにおいて加えられたボトルの中で増加され留場合、MXDドメインの大きさの分布において変化がある。その場合、大きさがサイズで約100nm分増加し
、その結果他の光吸収組成物はボトルの視覚的ヘイズをマスクするために必要とされた。9.3%MXD−6を有する1.5Lのボトル例において、青い着色剤は、そのボトルにおけるドメインの大きさの範囲に対応する波長の範囲においてよりよく光を吸収する。
【0143】
従って、本発明の概念および方法は好ましくはガス透過率を減少して、そのような製品に関連したヘイズ問題を解決した、熱可塑性ポリマーおよび不相溶性フィラーのブレンドを含有する透明性製品を提供するのに非常に有効であることは明白であるべきである。光が品に存在するドメインのために見られる大きさの範囲に少なくとも実質的に関連する波長で吸収される場合、ボトルの視覚的ヘイズは実質的にマスクされてもよい。本発明は、特にビール飲料ボトルに適しているが、必ずしもそれに制限されない。本発明の概念および方法は、他の用地、設備、方法等、並びに他の延伸された製品の製造について別々に用いることができる。
【0144】
上記開示に基づいて、ヘイズが可視スペクトル内の大きさを有するドメインによってもたらされるときに、光吸収組成物の使用が透明性製品のヘイズを実質的にマスクし得ることは明白に違いない。従って、ここに記載する、透明、好ましくは延伸した物品、ボトルなどの製造における熱可塑性ポリマーマトリックスちゅうでの相溶性フィラーおよびしばしば光吸収組成物の分散は、上記に述べられた態様の1つ以上で実行し得る。従って、種々の変更は、本発明の請求の範囲内にあると考えられ、特定の成分要素の選択はここに示され、かつ記載された本発明の精神から逸脱することなく決定される。特に、本発明による着色剤は必ずしも、染料または顔料のものに制限されない。さらに、上記のように、他のポリアミドも例において使用されたMXD6の代わりに用いられ得る。従って、本発明の範囲は、請求項の範囲内にあり得る修正および変化を全て含む。
【技術分野】
【0001】
(関連発明)
この出願は、2003年1月31日出願の米国特許出願60/444,313号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、透明性製品の製造および特にその中で分散した不相溶性(incompatible)フィラー、好ましくはガスバリアー強化性フィラーを有する、成形した透明性熱可塑性製品、例えばコンテナまたはボトルの製造であって、その際、製品の光吸収を、製品の視覚的ヘイズを効果的にマスクまたは減少するよう変更したことに関する。
【0003】
熱可塑性ポリマー、例えばポリエステルが包装材料、例えば、プラスチック製品、例えば食品および飲料の保存、並びにデリバリーのためのコンテナおよび/またはボトルの製造のために必要な所望の形状にブロー(blown)または延伸される予備形成体の製造において長く使用されている。この目的のために最も好ましく、コスト効果のある熱可塑性ポリマーは、ポリ(エチレンフタレート)樹脂である。ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、並びに他のポリエステルは、正しい条件で適切に処理され、かつ所望の形状に延伸された際に、高い透明度、低いヘイズの製品を提供する。従って、プラスチックボトリング産業は、食品および飲料のプラスチックコンテナおよびボトルの製造において、PETおよび同様のポリエステルを長年使用してきた。
【0004】
残念なことに、ポリエステルから製造されるプラスチックコンテナは、多くの食品および飲料のために優れたガスバリアー特性を有する、優れた高い強度のコンテナを提供するが、それらは、極めて低い通気性が要求されるビールコンテナまたは他の食品のコンテナとして現在好適ではない。酸素や他の空気ガスが特定の食品および飲料(例えばビール)と接触する時には、ビールが酸化し、またはさもなければ気が抜けるようになると認識される。従って、コンテナの酸素/ガス透過性を減少する、すなわち、換言するとコンテナのガスバリアー強度を増大する試みがこれまでなされてきた。
【0005】
コンテナの酸素/ガス透過性を減少し、またはガスバリアー強度を増加する1つの既知の方法は、特定のガスバリアー強化性フィラーとコンテナ中のポリエステルとをブレンドすることである。例えば、特定のポリアミド、例えばポリキシリレンアミドは、ポリエステルコンテナに改善したガスバリアー強度を提供することが当業者によく知られている。これらのコンテナを製造するために、フィラーは典型的には、当業者で知られている方法によってポリエステル中でブレンドするか分散して、次いで製品が製造される。ある場合には、コンテナは射出成形等によって成形してもよい。他の場合において、コンテナの予備形成体が、例えば射出成形または押出によって調製され、次いで所望のサイズおよび形状にブローまたはさもなければ延伸される。
【0006】
種々の特許および特許刊行物は、ポリエステルと比較して低ヘイズかつ低いガス透過性を有する製品の形成のためのポリエステル/ポリアミドブレンド組成物の使用を教示する。少なくとも1つの特許刊行物において、低ヘイズ/低ガス透過性コンテナを提供するために、ブレンド組成物が数平均分子量15,000以下を有するポリアミドを使用することが述べられている。その特許刊行物は、高分子量のポリアミドとポリエステルのブレンドが、食品および飲料コンテナ産業で実際の使用を制限する高ヘイズ値を有することが知られていることをさらに明確にする。
【0007】
換言すれば、これまで、ポリエステルとこれらのガスバリアー強化性フィラー(例えば、高分子量のポリアミド)とのブレンドが、プラスチックコンテナまたはボトリング産業、若しくは透明性(transparency)、高い透明度(clarity)の製品が望まれているいずれの産業においてほとんど使用されていなかった。なぜならば、ポリエステルとポリアミドのブレンドを含有する製品の延伸または伸張時に、製品は透明度および透明性を失う(即ち、曇りがちまたはかすんだようになる)。この特徴はヘイズとして産業において知られている。
【0008】
多くの特許文献に記載されるように、ヘイズは、他の物理的特性と同様に測定され得る。ヘイズのレベルまたは量を決定するための測定は色彩計(例えば、Hunter Lab Color Quest)を用い、かつASTM D 1003に従うことで得られ得る。ヘイズは、典型的に製品の厚さに基づいたパーセンテージとして報告され、式:
【0009】
【数1】
(ここで、ヘイズ%は透過率ヘイズに相当し、T拡散は拡散光透過率およびT総量は総光透過率である)によって計算され得る。コンテナのサイドウォール(sidewall)厚約15ミルにおけるヘイズ量(measurement)4%は、通常は肉眼で見ることが可能である。一般的にポリエステルおよびポリアミドの異なるブレンドから製造したコンテナを試験する際、ヘイズ値は、これらの15ミル厚のコンテナで15%〜35%の範囲で測定された。本発明の目的のために、このタイプのヘイズは、しばしば「物理的ヘイズ」または「測定ヘイズ」としてここで称する。
【0010】
さらに、ポリエステル/フィラーブレンド中で使用したガスバリアー強化性フィラーの量が増加すると、物理的ヘイズ値も増加する。実際に、ポリエステル(例えば、PET)および芳香族ポリアミド(例えば、ポリ(m−キシレンアジパミド))の(通常、MXD6と称される)の有効なブレンド比は、ポリマーをウォール厚約15ミルを有するコンテナの形状へ延伸する時に物理的ヘイズ値20%〜30%の範囲を提供することが他のものによって解った。
【0011】
これまで、努力は製品の配向性(orientation)で作られる物理的ヘイズの量を減少しようとすると同時に、ガスバリアー強化性フィラーの添加による製品の通気性(permeability)を低下することに集中した。そのような努力が成功する場合、一般的に物理的ヘイズを低下するためにフィラーの分子のサイズがかなり小さくなければならないということが解った。一般的に、上記の通り、濃度2重量%で数平均分子量15000以下を有するポリアミドが物理的ヘイズを実質的に低下するのに必要であるということが理解されている。また、ポリエステル中のポリアミドドメイン(domains)が、数平均サイズ30〜200nmに限定した場合に、物理的ヘイズはまた減少または制限されるであろうことが解った。この現象の少なくとも1つの理論は、ポリアミド粒子が非常に小さくて、それらが特に可視スペクトルにおいて光を分散せず、すなわち粒子が肉眼で検出可能な方法で観測者に光を反射しないということである。さらに、機械、例えば色彩計を用いて物理的ヘイズを測定する際に、測定された物理的ヘイズが減少しまたは潜在的に排除されたことが明らかである。
【0012】
この理論に基づいて、それらの粒子およびフィラーを囲むドメインが、200nmよりもかなり大きく、例えば上記400〜700nmのオーダーの場合、製品のヘイズ値が物理的に測定され得るだけでなく、一般の観測者が見ることができ得るということが理解されるべきである。実際、少なくとも1種の学術論文は、分散した粒子の数およびサイズが、実測ヘイズを創り出すということを明確に認識する。第一に、延伸することがシート平面における分散した粒子のサイズが増大させ、第二にマトリックスおよび分散した層の異方性屈折率の差が増大するため、延伸がより一層実測ヘイズに寄与するということがさらに認識される。従って、いくつかの特許は、MXD6ドメインの延伸または配向を防止すること(例えば、ポリマーが溶融段階にある時に、PETおよびMXD6のボトルを製造すること)を試みてきた。
【0013】
従って、全ての先行技術は物理的ヘイズ現象およびそれらの低下または除去に焦点を合わせていた。対照的に本発明は、ヘイズ特性の視覚的態様に焦点を合わせる。なぜならば製品の表面外観および実際の使用に不利益をもたらすと考えられているのは物理的ヘイズではなく、この特徴であるからである。
【0014】
これまで、しかしながら製品の「視覚的(visual)ヘイズ」または「可視的(visible)ヘイズ」は、それが製品の従来の物理的試験によって一般的に測定することが不可能であるので製品の物理的ヘイズと分離しておよび離れて検討されてきたことはない。「視覚的ヘイズ」または「可視的ヘイズ」により、通常の直接または間接光において人間によって光学的または視覚的に観測され得るヘイズを意味する。おそらく、製品に存在するフィラードメインからの光の反射率または透過率のために観測者の肉眼で見ることが可能なものがヘイズである。これは、物理的ヘイズ現象の視覚的なマスキングが、この「視覚的ヘイズ」の除去または減少をもたらし、かつ商業的に使用されるのに好適な製品を提供し得ると考えられる。これに関連して、「視覚的ヘイズ」は、製品の物理的ヘイズが色彩計等で測定され得るのと同一程度に実測の物理的特性ではなく、かつ視覚的ヘイズの除去または減少は、製品の実測物理的ヘイズを減少し得るまたはし得ないと理解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、製品の「視覚的ヘイズ」の除去または減少は、物理的ヘイズ測定に関係なく当業者、特にプラスチックコンテナおよびボトリング産業に大きく望まれていると思われる。従って、ガスバリアー強化性フィラーとブレンドしたポリエステルから製造された透明性製品の視覚的ヘイズをマスクする方法、並びにプラスチックコンテナおよびボトリング産業で審美的および視覚的に許容される透明性、好ましくは延伸したポリエステル/フィラーブレンドを含有する製品を提供する必要性を維持する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
広義には、本発明は熱可塑性ポリマーの主成分および不相溶性フィラー副成分から製造された透明性製品、例えばプラスチックコンテナまたはボトルの製造に関する。そのような製品は、特に配向または延伸した際に、典型的にヘイズを形成する。肉眼で見ることが可能な透明性製品のヘイズが、実質的にマスクされ得るか、言い換えれば製品のヘイズは、製品の形成中に形成された熱可塑性ポリマーにおけるドメインのサイズの大きさに少なくとも実質的に相関する波長で製品の光吸収を変更することによって、除去または実質的に減少され得る(必ずしも物理的用語ではなく、視覚的用語で)ということが予想外に解った。重要なことに、波長が相関される特定の大きさは、製品の軸平面におけるものである。用語「実質的にマスクした」とは、製品の光吸収の変更が、必ずしも製品の実測の物理的ヘイズに影響を与えるのではなく、肉眼で見ることが可能なヘイズを実質的に減少またはほとんど除去することを意味すると理解される。製品の実測の物理的ヘイズは、光吸収組成物によって全く影響を受けず、製品における実測のヘイズをわずかに減少することによって影響を受けるか、または実際の光吸収組成物および使用量に基づいて光吸収組成物によって、大きく影響を受け得るかである。いずれにしても、製品の視覚的に検知され得るヘイズは、「実質的にマスク」されまたは普通の観測者の肉眼で実質的に検出されないが、物理的ヘイズはまだ一般的に、上記の通常許容できる制限であると色彩計によって計測され得る。
【0017】
製品の光吸収を変える1つの方法は、およびより好ましくは、製品の軸平面で見つけられるドメインの大きさの全てではなくとも、ほとんどを少なくともの大きさと実質的にカバーし、より好ましくは少なくとも実質的に相関する波長で光を吸収することが知られている、1以上の光吸収組成物の有効な量を使用することである。この発明の目的のために、少なくともいくつかの、およびより好ましくは少なくとも大多数のドメインの大きさが、必然的に約400nm〜約700nmの範囲内に入っているサイズを有することを、そして、それは実質的に可視スペクトル(即ち、約380nm〜約720nm)の範囲と一致することを認識する。光吸収組成物、例えば着色剤(可視スペクトルの範囲内の波長での吸収領域で知られている)を使用することによって、組成物の吸収領域内のナノメートルにおける波長を、製品において見られるフィラードメインのナノメートルにおける大きさに実質的に相関することができる。可視スペクトル内に入る熱可塑性フィラーで見受けられるフィラーを含むドメインの大きさ範囲を少なくとも実質的にカバーする吸収領域を有する1以上の特有の光吸収組成物を使用することによって、上記「視覚的ヘイズ」は、消去でなくとも実質的に減少され、かつ物理的ヘイズは製品においてマスクされることが解った。
【0018】
さらに、実験はフィラーを含有するドメインの大きさの範囲を「実質的にカバー」することを要求される光吸収組成物の量のより詳細な近似値を提供する。より詳しくは、式:
【0019】
【数2】
(Aiは、波長iで吸収された光のパーセントであり、かつNiは波長iで100平方ミクロンあたりのドメイン数であり、iは400nm〜700nmの範囲である。)において、Xが9.6より少ないように光を吸収する組成物がドメインを実質的にカバーし、製品の視覚的ヘイズを少なくとも減少し始めると考えられる。)
この式の別の表現は、
【0020】
【数3】
(Liは波長iで吸収されなかった光(即ち、反射することが可能な光)のパーセントである。)
であると認められる。
【0021】
ポリエステルおよび不相溶性フィラーを使用する透明性製品に関する従来技術に対する本発明の利点(以下に記載および図から明瞭になる)は、以下に記載される、かつ請求の範囲の発明によって達成される。
【0022】
一般的に、本発明の1以上の態様は、熱可塑性ポリマーマトリックス;
複数のドメインであって、各ドメインが、ポリエステルマトリックス中に分散された少なくとも1つの不相溶性フィラーを含有し、該ドメインが製品の軸平面においてある範囲の大きさを有し、該製品の軸平面における少なくともいくつかのドメインの大きさが約400nm〜約700nmの範囲内にあるもの;および
少なくとも1つの光吸収組成物の有効量であって、該少なくとも1つの組成物が、該製品における該ドメインの前記大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で可視スペクトル領域における光を吸収して、透明性製品の視覚的ヘイズ(visual haze)を実質的にマスクするもの、を含有する透明性製品によって達成され得る。
【0023】
本発明の1以上の別の態様は、ポリエステル主成分、その中に分散した少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分および少なくとも1つの光吸収組成物の混合物から形成される透明性製品の製造方法であって、ポリエステルへフィラーを混合し、製品を所望のサイズおよび形状に形成し、その後不相溶性フィラーを含有するドメインが、製品の形成時にポリエステル中に生成され;ポリエステル中のドメインについて製品の軸平面中での大きさ範囲を決定して、大きさの少なくともいくつかが約400nm〜約700nmに入れる;およびポリエステルにおけるドメインの大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で可視スペクトル領域において光を吸収する光吸収組成物を見いだし;およびポリエステルおよび不相溶性フィラーへ該光吸収組成物の有効な量を添加し、かつ異なる透明の製品を所望のサイズと形状に形成して、製品における可視的ヘイズを実質的にマスクすることを包含する、透明性製品の製造方法によって達成され得る。
【0024】
本発明のさらなる1以上の別の態様は、熱可塑性ポリマーマトリックス;複数のドメインであって、各ドメインが、ポリエステルマトリックス中に分散された少なくとも1つの不相溶性フィラーを含有し、該ドメインが製品の軸平面においてある範囲の大きさを有し、該製品の軸平面における少なくともいくつかのドメインの大きさが約400nm〜約700nmの範囲内にあるもの;および少なくとも1つの光吸収組成物であって、該少なくとも1つの光吸収組成物が式:
【0025】
【数4】
(Aiは波長iで吸収された光の%であり、Niは波長iで100平方ミクロンにおけるドメインの数であり、およびiは400nm〜700nmの範囲である。)
においてXが9.6以下となるように可視スペクトル領域における光を吸収するものを含有する透明性製品により達成され得る。
【0026】
本発明の1以上の別の態様は、ポリエステル主成分、その中に分散した少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分および少なくとも1つの光吸収組成物の混合物から形成される透明性製品の製造方法であって、ポリエステルへフィラーの選択された量を混合し、製品を所望のサイズおよび形状に形成し、その後不相溶性フィラーを含有するドメインが、製品の形成時にポリエステル中に生成され;ポリエステル中のドメインについて製品の軸平面中での大きさ範囲を決定して、大きさの少なくともいくつかが約400nm〜約700nmに入れる; ポリエステルへ光吸収組成物の選択された量をブレンドして、該光吸収組成物が式:
【0027】
【数5】
(Aiは波長iで吸収された光%であり、Niは波長iでの100平方ミクロンにおけるドメインの数、およびiは400nm〜700nmの範囲である。)
においてXが9.6以下になるように可視スペクトル領域における光を吸収することを明確にし、およびポリエステルおよび不相溶性フィラーの選択された量へ光吸収組成物の選択された量を添加して異なる透明性コンテナを同じ所望のサイズおよび形状に成形することにより、製品における可視的ヘイズを実質的にマスクすることを包含する、透明性製品の製造方法によりさらに達成され得る。
【0028】
本発明の他の態様は、製品の形成時に形成され、不相溶性フィラーを含んでいる熱可塑性ポリマー中のドメインの製品の軸平面での大きさと、少なくとも相関性を有する波長で透明性製品の光吸収を変更することを含有するポリエステル主成分、少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分を含む透明性製品において、視覚的ヘイズをマスクする方法によって、またさらに達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】熱可塑性ポリマーマトリックス内に分散した不相溶性フィラーを含有するドメインを説明する、延伸した製品の一部の代表的断面の斜視図である。
【図2】延伸した製品がまた、熱可塑性ポリマーマトリックス内に分散した不相溶性フィラーを含有するドメインを説明する、成形し延伸した製品の代表的な横断面図である。
【図3】図2の熱可塑性ポリマーマトリックス内の1つのドメインの拡大した断面図である。
【図4】図3で線4−4に沿って与えられた図3のドメインの拡大断面図である。
【図5】図5は、延伸前の透明性製品の一部の顕微鏡写真である。
【図6】図6は、所望の形状およびサイズへ延伸後の図5の透明性製品のと同じ部分の顕微鏡写真である。
【図7】ポリエステルおよびMXD−6から調製された500mlボトルのMXD−6ドメインの大きさの分析から得られたデータの代表的なグラフである。
【図8A】[図8B]および[図8C]はそれぞれ、種々の黄、赤、および青色着色剤の代表的な吸収スペクトルである。
【図9A】[図9B]、[図9C]および[図9D]はそれぞれ、種々の緑、橙、紫、および桃色着色剤の代表的な吸収スペクトルである。
【図10】スプライトグリーン(Sprite Green)と称される特定の緑色の吸収光の%を有するナノメートルにおけるサイズに基づいた製品において存在する100平方ミクロンあたりのドメインの数のプロットを同一の製品の波長(nm)範囲と比較する、代表的な比較グラフである。
【図11】種々の緑および赤色の吸収の光の%を有するナノメートルにおけるサイズに基づいた製品において存在する100平方ミクロンあたりのドメインの数のプロットを同一の製品の波長(nm)範囲と比較する、代表的な比較グラフである。および
【図12】種々の青および赤色の吸収の光の%を有するナノメートルにおけるサイズに基づいた製品において存在する100平方ミクロンあたりのドメインの数のプロットを同一の製品の波長(nm)範囲と比較する、代表的な比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(発明の詳細な説明)
本発明によれば、熱可塑性ポリマーおよびその中に分散した少なくとも1つの不相溶性フィラーを含有する成形された透明性製品を提供し、その場合普通の観測者の肉眼で観測することが通常可能であり、かつ熱可塑性ポリマーおよびフィラーブレンド製品の製造の間に伸張または延伸することによってほぼ一般的に製造された物品中のヘイズが実質的にマスクされる。そのような製品はコンテナまたはボトルの形状における包装産業において特に有用である。
【0031】
本発明は、これまで検討されなかった方法でヘイズ問題を解決する。本発明は製品の観測者の肉眼で観測できるヘイズをマスクし、かつ約200nm以下または、さもなければ可視スペクトルの最も低い波長(即ち、約380−400nm以下)よりも低い製品中のドメイン大きさを有する低分子量フィラーまたはフィラーの使用を要求せず、その結果、製品の15ミル厚につき約4%以下に減少した物理的ヘイズを有する製品を製造する。その代わり、本発明は、製品の軸平面におけるフィラードメインの大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で製品の光吸収を変更することによって可視的ヘイズをマスクする。
【0032】
本発明で使用されている用語「少なくとも実質的にカバーする」および用語「少なくとも実質的に関連する」は、両方とも互換的に用いてもよく、使用した光吸収組成物が可視スペクトルにおける光を吸収するnmにおける波長の範囲が製品の軸平面におけるフィラードメインの大きさの範囲とそれらの大きさが約400nm〜約700nm(即ち、可視スペクトルにおいて)である範囲で同様かより大きいことを意味する。従って、フィラードメインの大きさの範囲が可視スペクトル全体を完全にカバーする必要はないと理解する。また、波長の範囲がヘイズをマスクするために製品において提供されたフィラードメインの大きさの範囲全体を必ずしもカバーする必要がないが、むしろ、それらは実質的にヘイズをマスクするために大きさの範囲を十分にカバーすることが認められる。例えば、製品において提供されたフィラードメインの大きさの範囲は、可視範囲より大きいか、少なくとも部分的に可視範囲の外に入ることが可能である。光吸収組成物の波長の範囲は、実質的に本発明のための可視スペクトル内に入る大きさの範囲を実質的にカバーすることのみ必要である。別の例では、光吸収組成物がいくつかのドメインだけが存在する非常に小さい領域以外全てにおいて光を吸収することが可能ならば、観測者はいくつかのドメインが存在し得る特定の波長の光が吸収されないという事実に拘わらず、コンテナまたはボトルのヘイズを見ることができないだろうと確定された。従って、使用した光吸収組成物の光吸収波長と一致しない(即ち、範囲から外れる)大きさを有するいくつかの特定のドメインの存在は、本発明では最小のものとして認識され、かつ製品における可視的ヘイズの実質的なマスキングを阻害しない。現実的な目的のために、可視ヘイズのマスクは実質的にマスクされたヘイズを有する製品の外観が関連する産業、特にコンテナおよびボトリング産業にとって商業的に実際に使用され得る透明製品として受け入れられるならば、十分であるとみる。
【0033】
さらに上記用語「少なくとも実質的にカバー」および「少なくとも実質的に関連がある」と定義する場合に、製品の軸平面における特定の大きさを有するドメイン数がより多ければ多いほど、適合する波長での光吸収がより大きくなければならないと理解される。しかしながら、光吸収組成物について光吸収(即ち、量)と特定の大きさを有するドメイン数との間に1対1またはより大きい対応があることは必ずしも必要でないことが解った。実質的な光が、製品のドメインのための特定の大きさと関連する波長で光吸収組成物によって吸収されるならば、ヘイズの少なくとも実質的なマスキングが起こると考えられる。
【0034】
より詳細には、式:
【0035】
【数6】
(Aiは波長iで吸収された光のパーセントであり、かつNiは波長iでの100nm2あたりのドメイン(108nm2)の数であり、この場合iは400nm〜700nmの範囲(即ち可視スペクトル)である。)
においてXが9.6より小さいように可視スペクトルにおいて光を吸収する光吸収組成物がドメインを実質的にカバーすると考えられ、製品の可視的ヘイズを少なくとも減少することを開始することが解った。
【0036】
換言すれば、製品の可視的ヘイズを減少するために、光吸収組成物は製品の関連部分、典型的にはヘイズが認められる製品の1つの連続的部分、例えばコンテナまたはボトルのサイドウォールに包含されなければならない。その光吸収組成物は、吸収が不相溶性フィラーの存在のない製品のその1つの連続的部分で決定される時に、式:
【0037】
【数7】
(Liは波長iで吸収されなかった(即ち反射に供される)光のパーセントであり、かつNiは波長iでの100nm2(108nm2)あたりのドメインの数であり、その場合iは400nm〜700nm(即ち可視スペクトル)である。)
において、Xが9.6よりも少ないように、製品のその1つの連続部分の可視スペクトル中の光を吸収し得るものでなければならない。
であるXが9.6以下である。Xが9.6より少ない場合、通常の観測者は製品の可視的ヘイズにおいて減少を少なくとも認識し始め得る。
【0038】
さらに、Xがより小さくなるにつれ、製品の視覚的ヘイズがさらに減少する。従って、視覚的ヘイズにおける減少が認識され、上記式においてXが9.6以下でなければならないが、9.5以下のXが好ましい、および9以下のXがより好ましく、7.5以下のXがよりさらに好ましい。ドメインが存在しない(即ち、N=0)の場合、Xは必然的に0でヘイズは現れないと認められる。同様に、着色剤または光吸収組成物が、波長の範囲にわたって反射に利用される光の大部分を吸収する場合、透過または反射した光のパーセントは低く(即ち、Lは0に近づく)、従って、それらの波長と同じサイズのドメインの数が非常に多くない限り、Xは低い。言い換えると、全ての可視スペクトルである約400nm〜約700nmに渡って反射に供される相対光(即ち、それは吸収されない)の総量は9.6より少なくなければならない。「相対光の総量」は、その波長でドメインを有する各波長に要する光のより大きな量を有する約400nm〜約700nmの間の全ての各波長での全ての光の合計として計算される。従って、吸収されるのに必要な光の相対量は、その波長において存在するドメイン数に向かって重みを加える。
【0039】
光吸収組成物が特定の製品用に光をXの限界値(threshold)以下で吸収するかどうかの測定は、比較的簡単で、かつ不必要な実験をしないで決定され得ることが理解される。
Aiは、波長iとして不相溶性フィラーをなしで着色剤を有する製品によって吸収された光のパーセントであり、Liは、波長i、この場合iは400nmから700nmであるで反射することが可能な光のパーセントである。これらのパーセントは、組成物の吸光度の測定時に計算され、Ai + Li=1である。ほとんどの例では、Liは、1−(吸収されたパーセント)、即ち反射に供される光のパーセントである。これらの測定は以下に記載したプロセスを用いて得られる。Niは、波長i(この場合iは400nmから700nmである)で100平方ミクロンあたりのドメインの数である。NiはSEMによって測定され、かつ平方ミクロンに標準化される。
【0040】
波長iでの光の強度は、いくつかの例において関連しており、かつ以下のように式:
【0041】
【数8】
(式中、Iiは、その波長での光源の強度/400nm〜700nm間の総光である。)
に因数分解され得る。光のパーセントを測定する分光光度計が用いられる場合、Iiは1/300であり、従って300倍することにより、光を共通基準へ標準化する。
【0042】
本質的には、光吸収組成物のより高い濃度を製品へ使用することは、光吸収組成物が、他の波長でより小さい波長の特定の強度で光を吸収し、および/またはドメインの非常に多くの数が特定の波長に対応する特定の大きさで存在する場合に、製品における可視的ヘイズをより完全にマスクするのを助長するということが解った。吸収された光の要求された強度は、光吸収組成物の濃度、製品の厚さおよび他の既知のパラメーターおよび係数(Beer-Lambert-Bouguerの法則による)に基づいて不必要な実験なしで計算または予測され得ると信じられている。
【0043】
さて図面を参照して、図1における数字10によって一般的に示された形成された透明性製品の断面が示される。示されるように、断面10は、矢印によって示されるように、ラジアル(X)および軸(Y)方向の両方を含む製品の軸平面内全ての方向に延伸または伸張されている。用語「軸平面」は、製品の一般面が製品の表面と実質的に平行であること、換言すると、製品の一般面が、観測者の視線に実質的に垂直であることを意味する。
【0044】
断面10は、そこに分散した不相溶性フィラーの分散した粒子14を有する熱可塑性ポリマーマトリックス12を含有し、不相溶性フィラーがポリエステルおよび他の熱可塑性のポリマーのように伸張(extensible)可能でないか変形可能でない場合(例えば、クレイ粒子状物質)、空隙(voids)16は粒子14を包含する。ポリマーマトリックス12においてブレンドする際に球状のフィラー粒子14を使用すると仮定し、粒子が均一に分散しし、かつ軸平面内に全ての方向に均一に延伸された場合、空隙16の横断面(cross-section)は理論上、ここおよび図4において示されるように、軸平面に垂直に観測された時に、円形であり得る。しかしながら実際上、フィラーの分散および製品の伸張は正確でなく、不規則形状な空隙が、種々の長さ、幅および高さ大きさを有して、最も形成される。
【0045】
不相溶性フィラーが熱可塑性のポリマーと同様に延伸可能および変形可能であってよいと理解される。そのようなフィラーは、それら自身種々の熱可塑性のポリマー、例えばポリアミドを包含し得る。ポリエステルマトリックスの場合において、不相溶性フィラーがポリエステルのように延伸し、かつポリエステルマトリックス内で延伸した、個別の小さな相(phase)17を形成し得る。この相17は、図1における粒子14だけでなく空隙16も本質的に含み得る。このように、伸張可能なフィラーは空隙全てを充填するように延伸され得る。図1において、フィラーの小さな相17は、数字16によって同定された円全体、並びに数字14によって示された円を取り囲む。
【0046】
しばしば、形成する不規則な形状を例にとると、フィラーのこれらの個別の小さな相の2つ以上が融合して1つのより大きな構造を形成することも知られている。本発明の目的のために、図1−4中の数字17および27は以下フィラーの「個別の相」または「小さな相」と称し、他に指示されない限り、図1中の数字16および14および図2−4中の数字26および24の両方によって示される領域または体積を包含する。この用語は本発明を不相溶性フィラーとして伸張可能な熱可塑性のポリマーの使用とを関連させるが、必ずしもその範囲に制限されるべきではない。本発明は添付された特許請求の範囲の範囲と精神により述べられている。
【0047】
代表的な図面と異なり、いずれかの特定の1つの軸平面に沿った製品の断面は、ここに示されるように全ての小さな相17が特定の軸平面において均等に平行でない限り、各相の高さを通じて様々な場所に個別の小さな相17に遭遇する。従って、いくつかの個別の相はいずれかの特定の1つの軸平面上で他のものより小さく現れる。同様に、いずれかの特定の横断面に沿って製品を切断すると、相がその面内に互いに上で一方向的に積み重ねられない限り、個々の個別の相の長さおよび/または幅を通じて、様々の場所に個別の相に遭遇する。従って、いくつかの個々の相は、いずれかの特定の軸平面上で他のものより長く現れるに違いない。
【0048】
図2では、数字20によって一般に示された成形された製品の壁部の断面が示されている。そのような製品は、プラスチックコンテナまたはボトルであり得る。上記図1のに記載したように、製品のこの断面20は、その中に分散され、かつ空隙26に囲まれた不相溶性フィラーの個別の粒子24を有する熱可塑性ポリマーマトリックス22を含んでいる。図3および4に基づいて、この製品20も図1で示されるそれと類似する方法で、製品の軸平面内で全ての方向に延伸および伸張されているとしたことは理解される。
【0049】
図3および4は、図2の成形した製品の断面の拡大を示す断面図であり、ここではフィラー粒子24は空隙26中に包含され、かつ連続的な熱可塑性ポリマーマトリックス22内に閉じこめられる。同様にフィラーが伸張可能で変形可能な熱可塑性ポリマーである場合、数字24および26によって表示された領域または体積全体は、フィラーの小さな相27である。これらの相27は、上記に説明するように成形製品が伸張されることに起因する。
【0050】
製品の形成に際して、ドメイン28は、個別の粒子24および空隙26の両方または不相溶性フィラーの小さな相27全体を本質的に含んでいるポリマーマトリックス22中で作られる。本発明に用いられた不相溶性フィラーが、製品において使用されたポリマーのように成形可能および延伸可能である場合、製品の延伸または伸張がポリマーのように不相溶性フィラーを製品の軸平面に沿って広がり、かつ製品の壁部が薄くなるように製品の横断面において狭くすることになる。しかしながら、フィラーがポリマーのように延伸可能でない例においては、空隙26はフィラーとポリマーの間から残存する。マトリックスポリマー(例えば、ポリエステル)として用いられた、熱可塑性ポリマー以外のポリアミドおよび他の熱可塑性ポリマーが、フィラーとして利用される場合、存在する空隙は、熱可塑性ポリマーが両方とも延伸可能かつ変形可能であるので、存在したとしても一般に、最小である。従って、マトリックスポリマーにおいて作られたドメインは本質的にそれ自体小さな相の体積である。しかしながら、本発明の目的のために、非変形性フィラー粒子が利用される場合、ドメイン28はフィラー粒子24の体積だけでなく、フィラー粒子24とポリマー22の間の空隙26である製品における付加的体積をも包含すると理解され得る。製品が延伸されていない場合、ドメインはフィラー粒子の体積と一致し得る。
【0051】
本発明は、特に約400nm〜700nmの範囲内の製品の軸平面に大きさを有するドメインに関する。図3および4を参照すると、ドメインの大きさはドメインの直径である。従って、図3において、大きさはドメインの一端29から他端29まで広がるように見える。図4では、示されたドメインの大きさは円の直径である。しかしながら、より多くの場合、製品の軸平面におけるドメインは本来楕円体になり、一方、例えばX方向が他方、例えばY方向より長い直径を有し得るということが認識され得る。この例において、関連の大きさは、ドメインの最長の直径(すなわち、このシナリオにおいて、軸のY方向にあるドメインの長軸)、または軸平面における最長の直径に垂直な大きさの直径(すなわち、ラジアルの(X)方向においてあるドメインの短軸)であり得る。約400nm〜約700nmの間で大きさを有するドメインが製品中において視覚的ヘイズとして現れることが解った。偶然の一致でではなく、この範囲はまた可視スペクトルの範囲である。従って、可視スペクトルの範囲以内にある大きさを有するドメインは、ヘイズとして視認され得る。
【0052】
全てのドメインが可視スペクトルの範囲内にある大きさを必ずしも有する必要はなく、それが、本発明が関係するドメインであると理解される。理論上、可視スペクトル内の大きさを有するドメインの十分な数が見つかれば、コンテナは、可視スペクトル以内にある大きさを持っていないドメインの数にかかわらずヘイズを有する。
【0053】
図5および6を参照して、その延伸の前(予備形成体)および延伸後(コンテナ)の透明性製品の顕微鏡写真は、それぞれ、製品の成形(ここでは延伸)時に不相溶性フィラーを含むポリエステル中に形成されるドメインが延伸時に大きさが本当に増すことを示す。透明で曇っていない予備形成体において、ドメインは可視スペクトルよりかなり下(約200nm以下)のオーダーである。しかしながら、図6では、コンテナの延伸時の伸張プロセスは、ドメインのサイズを増加させた。示されるように、ドメインの長さの大きさは十分に可視スペクトル内にある。
【0054】
また、ドメインは全可視スペクトルをカバーする必要はない。ドメインの大きさは、可視スペクトル(すなわち、大きさの範囲は400nmを超え、700nm以下である)の領域へ延伸する範囲を有してもよく、または、可視スペクトルの範囲内の特定の領域(例えば、約450nmから約580nmまでの範囲)にのみ入ってもよい。
【0055】
一旦フィラードメインの大きさの範囲が決定されるか、見つけたならば、ドメインの大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする可視スペクトルの領域内の波長で光を吸収するか、光吸収組成物、換言すれば式:
【0056】
【数9】
(式中、Aiは波長iで吸収された光のパーセントであり、かつNiは、波長iで100平方ミクロン(108nm2)あたりのドメイン数であり、かつiは400〜700の範囲である。)
においてXが9.6以下を提供する光吸収組成物が見出され得る。しかしながら、フィラードメインの大きさの範囲を決定することが実験的にまたは測定によって行う必要はない。必要なのは、ドメインの実質的な数が可視スペクトル(すなわち、約400nm〜約700nm)内にある大きさを有することが決定されるということである。これはコンテナまたは他の製品が肉眼で見える物理的ヘイズを有することを決定することと同様に簡単であり得る。製品が「視覚的ヘイズ」有する場合、それは、可視スペクトルの領域に入る大きさを有するドメインを必然的に有すると信じられている。
【0057】
光吸収組成物の光吸収は、当業者によってしばしば知られており、かつ当業者によって既知の方法で発見または決定され得る。光吸収組成物の光吸収を決定する1つの方法は、組成物の吸収スペクトルを分析することである。一旦組成物のそのスペクトルのための吸収領域が知られていれば、そのスペクトルは、フィラードメインの大きさの範囲に存在し、および/または、選択された波長のいくつかで少なくとも反射に供される光のパーセントを計算するために用られ得る。光吸収スペクトルが大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーするなら、またXが9.6以下、好ましくは9.5以下さらに好ましくは9以下および最も好ましくは7.5以下であるならば、製品において用いることが可能である。組成物は製品が配向されるか伸張される際に、製品における組成物が製品のヘイズを実質的にマスクする方法で光を吸収することが意外にも解った。
【0058】
製品の成分に移って、本発明は、その中で分散した不相溶性フィラーを有する熱可塑性ポリマーマトリックスを包含する。不相溶性フィラーは、ポリマーの重量に基づいて約0.5重量%〜約50の量において好ましくは存在する。1つの態様において、ポリエステル、好ましくはPETは、主成分として製品の約99.5〜約50重量%を含有していても、かつ不相溶性フィラー、好ましくはMXD−6が副成分として、製品の約0.5〜約50重量%含有してもよい。
【0059】
本発明で使用するのに好適な熱可塑性ポリマーは、フィルムまたはシートに成形され得ることが理解され得る。しかしながら、本発明はフィルムとシートに制限されてない。本発明の製品はまた、コンテナ、ボトル、トレイ、ベース(base)、蓋(lid)などを包含する。そのような製品は、所望のサイズおよび形状へ、当業者で既知の方法(ブロー成形、射出成形、押し出しおよびその他同種のものを含む)を用いて製造または形成され得る。本発明の製品はまた、より大きな製品の壁部を含み得る。さらに、本発明の製品は望ましく透明である。「透明」とは、人が製品を通して見ることが可能である(すなわち、不透明ではない)ことを意味する。透明な製品は有色されてもよいが、人が、はっきり製品の少なくとも1つの壁部またはシートを透かして見通すことが可能であるとが理解され得る。
【0060】
本発明の製品の主成分は熱可塑性ポリマーマトリックスである。本発明で使用される適切な熱可塑性ポリマーは、熱可塑性のホモポリマー、コポリマー、ターポリマーまたはブレンドを包含する。熱可塑性ポリマーの例は、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン66およびナイロン612)、直鎖状ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートおよびポリエチレンナフタレート)、分岐状ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンジクロリド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸、ポリビニルメチルエーテル、アチレンビニルアセテートコポリマー、ポリ(3−フェニル−1−プロペン)、ポリ(ビニルシクロヘキサン)、エチレンメチルアクリレートメチルコポリマーおよび炭素原子2〜20個を有する低分子量ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)およびポリ(3−メチル−1−ブテン))が挙げられる。好ましくは、本発明において用いられる熱可塑性ポリマーは、ポリエステルポリマーまたはコポリマーを含有する。
【0061】
ポリエステル相は、製品を形成するポリエステルまたはコポリエステル、例えば製品に注型、押出または成形され得るポリエステルである。ポリエステルは、ガラス転移温度約50℃〜約150℃、好ましくは約60℃−100℃を有し、好ましくは配向することができ、かつフェノール/テトラクロロエタンが60/40の重量混合物において30℃でASTM D-4603-86によって決定されるように、I.V.少なくとも0.55、好ましくは0.6〜1.0デシリットル/グラムを有するべきである。好適なポリエステルは、炭素原子4〜約40個を有する芳香族、脂肪族または脂環式ジカルボン酸および炭素原子2〜24個を有する、脂肪族または脂環式グリコールから製造されたものを含んでいる。
【0062】
本発明において使用したポリエステルは、当業者によってよく知られている常套の重合手順によって調製され得る。ポリエステルポリマーおよびコポリマーは、例えばジカルボン酸または対応するジエステルとジオールとの反応を包含する、溶融相重合(melt phase polymerization)、によって調製され得る。複数のジオールおよび二酸の使用から得られる種々のコポリマーもまた用いられてもよい。1つだけ化学組成物の反復単位を含んでいるポリマーはホモポリマーである。同一の巨大分子において2以上の化学的に異なる反復単位を有するポリマーは、コポリマーと称される。反復単位の多様性は、最初の重合反応において存在する異なるタイプのモノマーの数に依存する。ポリエステルの場合、コポリマーは1以上のジオールと二酸または複数の二酸とを反応することを含んでおり、時々ターポリマーと称される。
【0063】
上記のように、好適なジカルボン酸は、炭素原子約4〜約40を含有するものである。特定のジカルボン酸は制限されないが、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンアセト酢酸、ジフェニル4,4’−ジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシアセト酢酸、1,2−フェニレンジオキシアセト酢酸、1,4−フェニレンジオキシアセト酢酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸および同種のものが挙げられる。特定のエステルは、それに制限されないが、フタル酸エステルおよびナフタル酸ジエステルが挙げられる。
【0064】
これらの酸またはエステルは、好ましくは炭素原子約2〜約24個を有する脂肪族ジオール、炭素原子約7〜約24個を有する脂環式ジオール、炭素原子約6〜約24を有する芳香族ジオール、または炭素原子4〜24個を有するグリコールエーテルで反応され得る。好適なジオールは、それに制限されないが、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールジメタノール、ジエチレングリコール、レゾルシノール、またヒドロキノンを含む。
【0065】
多官能性コモノマーもまた、典型的に約0.1〜約3モル%の量において使用され得る。好適なコモノマーは、それに制限されないが、トリメリト酸無水物、トリメチロプロパン、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、およびペンタエリスリトールを含む。ポリエステル形成性多酸または多価アルコールもまた、用いられ得る。ポリエステルとコポリエステルのブレンドもまた、本発明において有用であり得る。
【0066】
1つの好ましいポリエステルは、テレフタル酸またはそのエステルとエチレングリコールとのほぼ1:1の化学量論の反応から形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)である。もう一つの好ましいポリエステルは、ナフタレンジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコールのほぼ1:1〜1:1.6の化学量論の反応から形成されたポリエチレンナフタレート(PEN)である。もう一つの好ましいポリエステルは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)である。PETのコポリマー、PENのコポリマーおよびPBTのコポリマーもまた好ましい。興味深い特定のコポリマーおよびターポリマーは、イソフタル酸またはそのジエステル、2,6ナフタル酸またはそのジエステル、および/またはシクロヘキサンジメタノールとPETとの組合せである。
【0067】
カルボン酸またはエステルとグリコールとのエステル化または重縮合反応は、典型的には触媒存在下で起こる。好適な触媒は、酸化アンチモン、アンチモントリアセテート、アンチモンエチレングリコレート、オルガノマグネシウム、酸化錫、チタンアルコキシド、ジブチル錫ジラウレート、および酸化ゲルマニウムを含むが、それらに制限されない。これらの触媒は、亜鉛、マンガン、または酢酸マグネシウムまたは、ベンゾエートと組み合わせて用いられ得る。アンチモンを含有する触媒は好ましい。もう一つの好ましいポリエステルは、ポリトリメチレンテレフタルレート(PTT)である。それは、例えば1,3−プロパンジオールと少なくとも1つの芳香族二酸またはそのアルキルエステルとを反応させることによって調製され得る。好ましい二酸およびアルキルエステルは、テレフタル酸(TPA)またはジメチルテレフタレート(DMT)を包含する。従って、PTTは、好ましくはTPAまたはDMTのいずれかの少なくとも約80のモル%を含有する。そのようなポリエステルにおいてコポリマー化され得る他のジオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、および1,4−ブタンジオールを含む。コポリマーを製造するために同時に用いられ得る芳香族および脂肪族酸は例えばイソフタル酸およびセバシン酸を包含する。
【0068】
PTTを調製するために好ましい触媒は、チタンとジルコニウム化合物を含む。好適な触媒性チタン化合物は、チタンアルキレートおよびそれらの誘導体、チタン錯体塩、ヒドロキシカルボン酸を有するチタン錯体、二酸化チタン−二酸化ケイ素共沈体、およびアルカリ含有二酸化チタン水和物を包含するが、それらに制限されない。特定の例は、テトラ(2−エチルヘキシル)−チタネート、テトラステアリルチタネート、ジイソプロポキシ−ビス(アセチル−アセトナト)チタン、テトラステアリルチタネート、ジイソプロポキシ−ビス(アセチル−アセトナト)−チタン、ジ−n−ブトキシ−ビス(トリエタノールアミナート)−チタン、トリブチルモノアセチルチタネート、トリイソプロピルモノアセチルチタネート、テトラ安息香酸チタネート、アルカリチタンオキサレートおよびマロネート、カリウムヘキサフルオロチタネート、および酒石酸、クエン酸または乳酸を有するチタン錯体を含んでいる。好ましい触媒性チタン化合物は、チタンテトラブチレートおよびチタンテトライソプロピレートである。対応するジルコニウム化合物もまた用いられ得る。
【0069】
この発明のポリマーはまた、リン化合物、例えばホスフェート、および触媒、例えばコバルト化合物(青の色調を与える傾向がある)を少量で含み得る。また、他のポリマー、例えばポリオレフィンの少量も、連続マトリックスにおいて許容され得る。
【0070】
上記の溶融相重合は、ある製品、例えばボトルの製造に必要な固有粘度を達成するために、結晶化段階、次いで固体相重合(solid phase polymerization)(SSP)段階が続いてもよい。結晶化および重合化は、バッチ式システムにおけるタンブラードライヤー(tumbler dryer)反応で行なわれ得る。その代わりに、結晶化および重合化は、連続固体状態プロセスで行ってもよく、それによってポリマーは、各容量内で所定の処理の後、1つの容器から別の容器に流れる。結晶化条件は、好ましくは約100℃〜約150℃の温度を包含している。固体相重合条件は、好ましくは約200℃〜232℃、およびより好ましくは約215℃〜約232℃の温度を含んでいる。固体相重合は、固有粘度を所望のレベル(それは用途に依存され得る)に上げるのに十分な時間行なわれ得る。典型的なボトル用途のために、好ましい固有粘度はフェノールとテトラクロロエタン60/40重量の混合物において30℃でASTM D 4603-86によって決定されて約0.65〜約1.0デシリットル/グラムである。この粘度を達成するのに必要な時間は、約8〜約21時間の範囲であってよい。本発明の1つの態様において、本発明の製品形成性ポリエステルは、リサイクルしたポリエステル、またはリサイクルされたポリエステルから誘導された材料、例えばポリエステルモノマー、触媒、並びにオリゴマー包含し得る。
【0071】
本発明に好適なフィラーは、それらのポリマー、クレイ、無機物、およびために熱可塑性ポリマーマトリックスと化学的に反応せず、ポリマーマトリックス内で個別のドメインを提供すると知られている他の化合物を含んでいるが、必ずしもそれらに制限されない。典型的には、そのようなフィラーは、所望の目的のためにポリエステルの物理的または機械的特性を改善するために提供され得る。例えば、多くの食品および飲料の包装用途において、食品または飲料を貯蔵するコンテナまたはボトルのガス透過性を減少することが、しばしば望まれる。従って、ガスバリアー増強フィラーが、酸素または他のガスがコンテナおよびコンテナまたはボトル壁部を通り抜けてコンテナやボトル内に入り、それによって内側の食品または飲料を損なうのを防ぐコンテナの能力を改善するために添加される。
【0072】
本発明の不相溶性フィラーは、直径約10nm〜約1ミクロン以下のオーダーである。コンテナまたはボトルのガスバリアー増強特性を増加させ得る、多くのより大きな粒子があるが、本発明は大きさ約10nm〜約1ミクロンを有するドメインおよびより詳しくは、大きさ約400nm〜約700nmを有するドメインを作る粒子フィラーをいう。従って、その範囲の外に入る他のドメインが作られる場合でさえ、少なくとも延伸で作られたドメインのうちの少なくともいくつかがその範囲以内にある限り、約400〜約700nmの範囲より高いまたはより低い粒径を有するフィラーを使用してもよい。
【0073】
最も好ましい不相溶性フィラーはポリアミドである。好適なポリアミドは脂肪族、脂環族および芳香族ポリアミドを包含する。上記のように、ポリエステルとブレンドされ得るポリアミドの量は、好ましくは約0.5〜約50重量%、より好ましくは、約3〜約15重量%である。また、好ましい不相溶性フィラーは、ナノクレイ、ガラスビーズおよびファイバーである。
【0074】
ポリアミドが不相溶性フィラーとして使用される場合、本発明のポリアミド成分は反復単位A−Dによって表わされ、その場合Aはアジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、レゾルシノールジカルボン酸、ナフタレン−2、6ジカルボン酸またはそれらの混合物を含むジカルボン酸の残基であり、Dは、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミンまたはそれらの混合物を含むジアミンの残基であり得る。この発明において用いられ得る好ましいポリアミドは、ポリ(m−キシリレンアジパミド)またはそれらのコポリマー、イソフタル酸またはテレフタル酸−変性ポリ(m−キシリレンアジパミド)、ナイロン6、ナイロン6,6またはそれらの混合物、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−イソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−イソフタルアミド、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−コ−テレフタルアミド)またはポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−コ−テレフタルアミド)である。
【0075】
好適なポリアミドはまた、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物または当業者で既知の多酸とポリアミンを形成する他のポリアミドを包含する三官能性または四官能性コモノマーの少量を含み得る。
【0076】
ポリエステルとブレンドされ得るポリアミドのためのI.Vは、好ましくは約1.0デシリットル/グラム以下、および最も好ましくは約0.7デシリットル/グラム以下(フェノールおよびテトラクロロエタン60/40重量混合物において濃度0.5g/100ml(溶媒)で25℃でASTM D−4603−86に従って決定した。)である。
【0077】
ポリアミドおよびポリエステル/ポリアミドブレンド組成物の調製は、当業者により既知であり、これらの組成物が得られるいずれの方法も使用され得る。
【0078】
本発明の態様において、好ましいポリアミドは、MXD−6ともしばしば呼ばれるポリ(m−キシレンアジパミド)である。MXD−6は好ましくはポリエステル樹脂に対して約1〜30重量%の範囲の量で使用される。また、好ましくは他のMXD類、この場合アジピン酸から誘導したユニットの全てまたは−部分が、アジピン酸以外の炭素原子6〜24個を有するジカルボン酸、例えばセバシン酸、アゼライン酸、およびドデカン酸から誘導されたユニットと置き換えられるものである。
【0079】
本発明は要求しないが、複数の有機または無機材料、例えばアンチブロック(anti-blocks)、静電防止剤、可塑剤、安定化成核剤(これらに限定されない)の使用または添加を含み得る。これらの材料は、ポリマーマトリックスに導入されて分散した小さな相でもよく、または分離した分散相として存在してもよい。
【0080】
ポリエステル樹脂とポリキシリレンアミドの混合またはブレンドは、適切な混合を保証し、かつポリエステルマトリックスにおけるポリアミドの細かく安定した分散を形成するために、温度と剪断力の既知の条件下で押出器において実行され得る。1つの態様において、本発明のポリエステルおよびフィラーは、一般的に「シェイクとベイク法(shake and bake method)」としてよく知られる技術を用いて調製されている。典型的に、ポリエステル、例えばPETおよびポリアミドポリマー、並びに光吸収組成物は、所定時に、マスターバッチへ混合され、徹底的に混合されるまで振とうされ、および当業者によってよく知られている予備形成物に押出またはへ成形されるためにホッパー(hopper)へ流される。ポリアミドを溶融混合する際に、100s−1よりも高い煎断速度が、用いられてもよい。280℃の高温、煎断速度100s−1でポリエステル/ポリキシリレンアミドの溶融粘度比は好ましくは約3:1〜8:1である。
【0081】
一旦ブレンドすると、ブレンド成分は製品の所望のサイズおよび形状に成形され得る。1つの態様において、成分は、特定のサイズのボトルまたは他のコンテナの形状にブロー成形され得る。一旦成形すると、フィラードメインの少なくともいくつかがコンテナの軸平面に約400nm〜約700nmの大きさを有する測定をなし得る。そのような測定は、単に製品が肉眼で見えるヘイズを有することを測定することによってなし得る。1つの態様において、より正確な測定が望まれる場合、熱可塑性ポリマーフィラーの小さな相は、ギ酸を用いることによりポリエステルマトリックスから溶解され得る。冷たいギ酸、すなわち、室温のギ酸の使用が好ましい。熱い温度のギ酸がポリエステルのTgの上にあるとき、ドメインがドメインの場所に依存して、緩和または膨張されることが可能である。一旦溶解すると、ドメインの大きさの測定は、当業者で知られるようになされ得る。
【0082】
例えば、ドメイン大きさを測定する1つの方法は、製品の走査電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真を得て、適切な設備および技術、例えば5000xで実現された顕微鏡写真上でLuciaMソフトウェアを用いることによって、ドメインを測定することである。しかしながら、理論的にそれらはそうであるべきであるが、測定された大きさは必ずしも全てがいずれか1つのドメインのための最長の大きさではないかもしれないということが理解され得る。1つの態様において、測定はコンテナの軸平面における、ラジアルの方向および軸方向の両方において予備形成体とコンテナの両方に得られた。
【0083】
コンテナを形成した後に、ポリマーマトリックスにおいて作られたドメインについてコンテナの軸平面における大きさの範囲が約400nm〜約700nmの範囲内に入る大きさの少なくともいくつかを含むことが一旦測定されると、コンテナにおけるドメインの大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で可視スペクトルの領域内の光を吸収する光吸収組成物が見出され得る。上記のように、これは当業者によって知られている手段で行われてもよく、例えば、種々の組成物を同様にブローしたコンテナに添加することにより実験的に、製品上に着色したフィルムのスリーブ(sleeves)を提供することによって実験的に、使用が推奨されている種々の光吸収組成物のスペクトルを再検討することによって、または式:
【0084】
【数10】
(式中、Aiは波長iで吸収された光パーセントであり、Niは波長で100平方ミクロン(108nm2)あたりのドメイン数であり、かつ波長iは400nm〜700nm(すなわち可視スペクトル)の範囲である。)
においてXが9.6以下、好ましくは9.5以下、より好ましくは9以下および最も好ましくは7.5であることを決定することによって行われる。
【0085】
好ましくは、これらの組成物はプラスチックの着色または染色において一般に用いられる着色剤であり得る。本質的に、着色剤(染料または顔料のいずれも)は、それが本発明に好適な所望のスペクトルを有するならば、使用され得る。着色剤はポリアミドまたは使用され得る他のフィラーと相溶性(すなわち親水性)を有しても有さなくてもよい。
【0086】
着色剤はポリエステル/フィラーマトリックスへ混合することが可能であるか、または別に可視的ヘイズを示す製品を覆う別のフィルムにし得る。既知の多層化技術は、層を互いに接着するために用いられ得る。しかしながら、一般的に、光吸収組成物は、ポリエステル/フィラーマトリックスを含有する製品の別の層を覆う別のフィルムであってよい。
【0087】
従って、多層コンテナにおいて、多重層コンテナの少なくとも1つの層は、分散した不相溶性フィラーを有する熱可塑性のマトリックスを含有してもよく、別の異なる層が光吸収組成物を含有してもよい。
【0088】
また、光吸収組成物がポリエステル自体に由来することもあり得る。ポリエステルの黄色化(yellowing)がドメインの大きさの範囲を実質的にカバーする範囲において光吸収するようにドメインのための大きさの範囲があるのなら、別の組成物は必ずしも必要ではない。従って、ポリエステル自体の黄色化成分は、光吸収組成物として機能し得る。
【0089】
また、上記のように、光吸収組成物の有効量が熱可塑性ポリマーおよび不相溶性フィラーブレンドに、当業者によって知られている方法で添加され得る。次いで、別のコンテナが既知のコンテナ成形技術、例えばブロー成形を用いて製造され得る。そこで分散させた不相溶性フィラーおよび光吸収組成物を有するポリエステルマトリックスを有するこの新しい透明なコンテナは、同様の所望のサイズおよび形状に成形されるべきである。異なるサイズおよび形状は、製品中に見られるドメインに異なる大きさを提供し、大きさの範囲を変更するので光吸収組成物が求められる。光吸収組成物がコンテナにおけるヘイズを実質的にマスクし得るということは明白である。
【0090】
本発明の実行を実証するために、多くの予備形成体が、ポリエステル、すなわちポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリアミド、すなわちポリ(m−キシリレンアジパミド)(一般にMXD−6として知られ、かつ三菱ガスケミカル(Harada, M., Plastics Engineering, 1998年)から市販されている)約5重量%のブレンドから押し出された。予備形成体はまた、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、またはピロメリト酸二無水物(PMDA)0.04重量%を含む。押出しに際して、多くのボトル予備形成体はPETマトリックス内にMXD−6を分散してものを製造された。予備形成体のいくつかを、各々のボトルが同一の形状および500mLのサイズを本質的に有するようにボトルにブロー成形した。ボトルの構成時に、各ボトルを、垂直の横断面および水平の横断面の両方において切断し、冷たいギ酸の中で約60分間エッチングし、次いでサンプルを中性のpHまで水で、その後アセトンで洗浄した。得られたサンプルは、次の条件(アルゴン流量20秒で20mA)下で、アルゴンがオートスパッターコーター(Agar Auto sputter Coater)で金属化(金)した。残存するMXD−6ドメインの最長の大きさは、拡大5000xで実現されたSEM顕微鏡写真上でLuciaMソフトウェアを用いて測定された。顕微鏡写真は、垂直および水平の横断面においてボトルを切断し、最長の大きさ(必然的に製品の表面と平行である大きさ)の観測から得られた。図7において、垂直の横断面(すなわち、上記の図に基づいたラジアルの(X)方向)において最長の大きさの測定することから得られた結果の分布を報造する。
【0091】
得られたデータは、予備形成体からボトルにブロー成形する間に、MXD−6ドメインが直径において増加することを示す。一般的に約160nm(予備形成体平均)から約500nm(ボトル平均)の平均大きさの増加があることが解った。これはラジアルの方向で3:1である。図5(予備形成体)および6(延伸したボトル)はこの現象を示す。
【0092】
このデータに基づいてドメインは、約400nm〜約600nmの長さの範囲で、ドメインの最大数は1約500nmの大きさであった。これは可視スペクトル内である。可視スペクトルを観測すると、約500nmの領域は緑の領域(緑512nm)であるとわかる。色彩環(chromatic circle)の検討から、この同じ領域で光を吸収する補色が赤であることが示され得る。従って、ドメインの大きさの範囲に対応する緑の領域において光を吸収する、赤色着色剤を見つける試みがなされた。製品に必要な領域において吸収する着色剤は十分であり、かつ色彩環に基づいて吸収目的のためのその領域に対して補色的な色を選択することが必ずしも必要ではないと認識される。
【0093】
いくつかのスペクトルは、異なる種類および色の市販の着色剤に対して行った。特に、スペクトルは、原色および赤に近い色または赤を含む色に焦点を合わせた。いくつかのスペクトルは前の研究室実験から利用可能であり、かつ他のスペクトルは着色剤の製造者から利用可能であった。分析を行ったスペクトルのうち、全てのスペクトルはPerkin Elmer社製UV/VS分光計Lamda 2を用いて、走査速度250nm〜780nmの30nm/分で行なった。図8A、8Bおよび8Cはそれぞれ、種々の黄色、赤および青の着色剤のスペクトルを示す。興味あることは色の吸収範囲が可視スペクトル内にあるかどうかを理解することであるので、スペクトルは標準化されない。
【0094】
SEMを用いて行われた測定と入手可能な原色の吸収スペクトルとの間の比較は、なぜ赤色が、ヘイズをカバーする最良の色であるように思えるかという説明に導く。しかしながら、このポイントでは、SEMの結果が製造メーカーに何がMXD−6ドメインの大きさであるかについての考えを与えるが、このアプローチでは、すべてのドメインでその最長の直径を提供する方法でサンプルをカットオフすることが本質的にできないので、測定は単に近似であると理解しなければならない。すなわち、ボトルの切断がドメインの正確な中間において起こることを保証する方法がないので、測定されたドメインの少なくともいくつかは実際の直径よりわずかに小さくなる。この問題は詳細に上記において記載した。
【0095】
スペクトルを観測したら、ここまで提供した選択の中で赤は、ヘイズをカバーのための最良の候補であると解り、最良の選択はColorMatrix社から入手可能なリノールレッドであることが明らかとなった。赤色着色剤を含む、透明な赤いサンプルを調製し、前に製造した同一のサイズおよび形状の既知のボトルのまわりを包んだ。ボトルは包まれる前に視覚的ヘイズを示した。ボトルを包むと、ヘイズの実質的なマスクが観測された。他のボトルは、種々の着色剤を含むように調製された。それらのうち、視覚的分析は、Clariantから入手可能な着色剤テーザーイエロー(Tersar Yellow)NE 1105131を含むボトルが、より高い濃度(4%、最終ボトルはオレンジの採色を有する)でヘイズの実質的なマスクを提供したことを示した。図8Aにおけるスペクトルを観測する際に、提供したスペクトルを有する他の黄色の着色剤全てと異なり、テーザーイエローの着色剤のスペクトルは、約500〜550nmおよび約600mn外の領域において、少なくともいくつかの吸収を少なくとも示し得る。従って、この着色剤はボトルの少なくともいくつかのヘイズ(またはむしろMXDドメイン)をマスクするのに好適であった。同じ方法で、ボトルはClariant社から入手可能なレノールブルー(Renol Blue)NE 51050340約1%で作られたボトルもまた、ヘイズのいくらかの部分的マスクをすることを示した。そのスペクトル(図8C)において、この青がMXD−6ドメインのゾーンをカバーし得ることが理解され得る。特に、500nmから開始する領域が、カバーされ得る。しかしながら、領域全てがマスクされるとは限らず、ボトルにおいていくつかの認識され得る視覚的ヘイズが残った。同一の特性は、Clariant(図8C)から入手可能な着色剤テーザーブルー40642を用いる場合においても見られ得る。
【0096】
図9A、9B、9Cおよび9Dは、それぞれ種々の緑、オレンジ、紫およびピンクの着色剤のためのスペクトルを示す。図9Aにおけるスペクトルは、この特定の緑の着色剤を加えることがボトルのヘイズを効果的にマスクしないであろうことを顕著に示す。この緑の着色剤を用いて、緑に着色した500のmLボトルの製造はこのこと、緑の着色剤を用いて、475〜575nmの領域(この色の吸収によってカバーされないスペクトル領域)において、この大きさを有する多くのMXD−6ドメインがあるということをさらなる実証を確認した。しかしながら、他の緑の着色剤はボトルのヘイズを十分に、かつ効果的にマスクするということが理解され得る。全ての緑の着色剤が同じ波長および同じ量において、吸収するのではなく、他の緑の着色剤がボトルを含む種々の製品のための視覚的なヘイズの適切なマスキングを提供し得ることは(下に示すように)完全にあり得る。
【0097】
ColorMatrix社から入手可能なブロッサムオレンジ(Blossom orange)の着色剤から製造されたボトルは、完全ではないが、ヘイズの非常に良好なマスクを示した。実際に、この色のスペクトル(図9B)を観測すると、波長約575nmまで(MXD−6ドメイン全てをカバーするのには十分でない)吸収を観測することは可能である。しかしながら、他のオレンジの着色剤が、この特定のオレンジの着色剤と同様に視覚的ヘイズをマスクしないかもしれないか、視覚的ヘイズをさらに良好にマスクするかもしれない可能性はある。
【0098】
ColorMatrix社から入手可能なロイヤルパープル(Royal Purple)−1のスペクトル(図9C)は、サンプル500mLボトルのヘイズをマスクするために最良の着色剤のうちの1つと見られるが、別の紫の着色剤、テーザーバイオレット(Tersar Violet)40058(Clairantから利用可能)もまた好適であると思われる。ピンクのスペクトル(図9D)もまた450〜600nmの領域におけるヘイズを実質的にマスクする。
【0099】
従って、前記のスペクトルおよび試験では、MXD−6ドメインの大きさと種々の光吸収組成物の波長の間に相関性があると実証されたことは明白であるべきである。吸収の領域の波長がMXD−6ドメインの大きさの範囲を実質的にカバーする場合、ボトルにおける視覚的ヘイズの実質的なマスキングが起こる。
【0100】
本発明のさらなる試験は、上記に記述されたタイプ(PET+0.04%PMDA+5%MXD−6)の追加の予備形成体の調製およびそれから追加の500のmLボトルの製造、並びに副成分の同じ濃度で製造された他の大きい予備形成体およびこれらの予備形成体から成形したより大きな1.5Lボトルの製造を含む。次いでボトルおよび予備形成体は、前述の方法で切断し、拡大5000xで再び分析した。この時、垂直および水平の横断面両方において最長の方向が分析された。水平の横断面(X−Z面)において最長の大きさが、製品の軸平面におけるラジアルの(X)軸寸法と同じ大きさになり得ることが認識され得る。同様に、垂直の横断面(Y−Z面)において最長の大きさは、軸平面における軸の(Y)軸大きさと同じ大きさになり得る。同様に500のmLボトルの予備形成体のSEM分析は、MXD−6ドメインの平均の大きさが約240(ラジアル)〜約280(軸)であることを示し、その一方で1.5Lのボトルの予備形成体は、ドメインの平均の大きさがラジアルの(X)および軸(Y)方向の両方において約300であることを示した。これらの予備形成体両方において、大きさが非常に低いので、それらは可視スペクトリーの前、で可視スペクトル内にないので、ヘイズは見られない。
【0101】
しかしながら、延伸されたボトルにおいて、MXD−6ドメインの平均の大きさは、500ccおよび1.5Lのボトル用のラジアルの方向においてそれぞれ約500nmおよび約540nmであり、また両方のボトル用の軸方向において約1000nmであった。軸(Y)方向の大きさが可視スペクトルより大きいために、その大きさからヘイズをマスクすることまたはヘイズを見ることを予期しなかった。しかしながら、ラジアルの(X)方向において、大きさは可視スペクトル内にあるので、ヘイズはボトルの中で確認される。
【0102】
さらに試験は、まだ異なる樹脂配合および異なる量のMXD−6を有する、他のボトルの製造を含む。特に、ポリマーマトリックスは、8.6%IPAの最終配合のために、PET(Cobiter 80)に加えられた10%IPAを含むポリエステル(VFR)樹脂で製造された。この樹脂に、MXD−69.3%を添加した。38グラムの予備形成体が押出され、それから1.5Lのボトルがブロー成形によって製造された。次いでSEM分析は、ラジアルおよび軸の方向における大きさを提供するカットからの予備形成体およびボトルの両方上で行った。結果は、ラジアル(X)方向おいて約330nmおよび軸(Y)方向において約320nmである予備形成体におけるドメインの平均の大きさを示した。また、これは可視スペクトルよりかなり下にあった。
【0103】
1.5Lのボトルについては、ドメインの平均の大きさはラジアル(X)方向において約620nmおよび軸(Y)方向において約900nmであった。より重要なことは、大きさの範囲が、ラジアルの方向において約490nm〜約750nmおよび軸方向において約660nm〜約1140nmであることが解ったことである。従って、両方の方向において大きさのいくつかは、可視スペクトル内にある。
【0104】
得られた先の実験データを理解するための目的で、ColorMatrix社からの異なる量のレノールレッド−4着色剤を用いて、いくつかのフィルムを調製した。得られた実験データは、MXD6ドメイン(0.5Lのボトルのラジアルの寸法分布(dimension distribution))の本質的に同一の領域においてこの着色剤の吸光度を示した。サンプルは、厚さ約200ミクロンを有するキャストフィルムからBausano二軸スクリュー押出機上で異なる量のレノールレッド−4を重量の0.05%、0.1%、0.2%、0.25%および0.5%でPET(Cobiter 80)樹脂へ添加することを用いて製造された。ブレンドは、温度、圧力およびスクリュー速度の本質的に標準状態下スチールコンテナにおける各々の試験のためにPET2.5kg中に正確な量の着色剤を乾式混合して得られた。
【0105】
得られたフィルムは次いで、0.5Lのボトルに最初に、次いで他のボトル上で置いて着色剤がヘイズをマスクするかどうかを理解し、およびこの場合要求した着色の最小量を見いだす。実現されたフィルムおよびヘイズをカバーする各々のフィルムの能力は、以下の表Iにおいて概括される。視覚的ヘイズが、見る人の肉眼の主観的な解釈になり得るので、カバーヘイズの能力を、異なる量の着色剤を用い、異なるキャストフィルムによってカバーしたボトルを透かして見るように異なる人々に依頼することにより分析され、かつそれらがヘイズを視覚化することができるかどうかを報告した。
【0106】
表I 視覚的ヘイズの存在のための特定の試験
【0107】
【表1】
【表2】
【0108】
*0.1%フィルム2枚を使用して得られた
−異なる解釈(確定ではない)
【0109】
上記の実験は、赤い色は0.5%でも、ヘイズをいくぶんカバーすることが可能であり、0.5Lのボトルのためにヘイズを実質的にマスクするレノールレッドの最小濃度は2.5%であったが、1.5Lのボトルはより高い濃度(約0.5%)を必要とする、ことを示す。9.3%MXDボトルについては、赤色着色剤が用いられたときにヘイズが消えなかった。スペクトルに基づいて、かなりの大きさのものがレノールレッドが光を十分に吸収することが可能なレノールレッドの領域の外部に存在したと信じられる。従って、ヘイズは残存した。
【0110】
この理論を確認するために、異なる濃度のフィルムが青色着色剤(すなわちClariantからのテーザーブルー37843)を含んで製造された。そのスペクトルを観測すると、光が約490nm〜約700nm、即ち、可視スペクトルの端に非常に近くで吸収される。次いで、目視検査は数人かの個人で行われた。試験の結果、以下の表IIに示され、そこには青色着色剤の0.5%の使用がボトルにおける視覚的ヘイズを効果的にマスクしたことは明記する。
【0111】
表II 視覚的なヘイズの存在のための個々の試験
【0112】
【表3】
【0113】
−異なる解釈(確定ではない)
【0114】
上記に加えて、ボトルの物理的ヘイズを測定した。各々の例において、ボトルが着色剤を有していても、または着色剤がなくとも、重要な物理的なヘイズがまだ存在した。少なくとも1つの例において、物理的ヘイズで濃度2.5%のレノールレッドを用いることで減少したが、まだボトルには著しく存在することが解る。
【0115】
さらに実験は、視覚的ヘイズが製品またはボトル上で光る光の経路に存在する約400および約700nmの間の大きさを有するドメインの総数の関数であることが解った。従って、壁部の厚さは視覚的ヘイズの測定において役割を果たす。壁が表面と同数のドメインを含んでいたとしても、薄い壁は厚い壁より低い視覚的ヘイズを有し得る。従って、吸収された光の量は、壁の厚さを考慮に入れなければならない。
【0116】
従って実験は、種々の着色剤を用いる種々のサンプルボトルについて、視覚的ヘイズを減少させることを始める可視スペクトルにおける、各波長で吸収されるために必要とされるかを量決定するために行われた。しかしながら、最初にドメインに起因する視覚的ヘイズの量が、PETとMXD6のブレンドから延伸したボトル壁を製造し、単位大きさあたりのドメインの周波数を決定し、非常に狭い幅の光に壁を露光し、光強度を増加し、記載した文字を判読可能からかすむまで進行させるために要求した輝度の変化を測定することにより決定した。
【0117】
コンテナの壁を、Arburg 420c、110トンのunicavityマシン上で製造された52.5グラムの予備形成体から調製した。予備形成体は、三菱ガスケミカルからのMXD6グレード6007の約4および約6重量%およびM&G Polymer USA (LLC) Sharon Center OhioからのポリエチレンテレフタレートグレードCleartuf 8006約96および約94重量%をそれぞれ含んだ。予備形成体は標準の丸底2リットルボトルにブローした。壁を取り除き、中心に66mm×80mm開口を有する2つの黒いボードの間に平坦に固定した。
【0118】
間に側壁を有する、固定したボードは、テーブルトップに対して垂直につるした。可変電に取り付けた6000ワットのハロゲンランプを、壁から約14インチおよびテーブルのトップから約7インチに置いた。光源はコンテナをランプ上に置くことにより壁からシールドされた。コンテナは、テーブルの上面から約7インチのサイドに45mmの穴を有し、光が光源からカットアウトしたボトル側壁に当たるようにした。
【0119】
ホールの45mmは、Andover Corporation, Salem, NHから入手可能な直径50mmの光フィルターよりわずかに小さい。
【0120】
12ポイントのNew Times Roman体の1本の線を有する黒紙が、サンプルと光源の間だが、サンプルから4インチ離して置かれた。タイプのラインはサンプルに面していた。黒板および紙のシートのエッジを、バケット中のホールの端と一致させて、シートがテーブルトップに垂直で黒板と平行でかつホールとバケットホールから黒板までおよぶ高さによってその直径が画定されるシリンダーの接面上にあるようにした。その記述は、テーブルトップの上約7インチで、側壁サンプルの中心とホールの中心および光源と一致させた。タイプのラインは側壁サンプルを通して観測された。サンプル上の光の量が増加すればするほど、タイプのラインがより変形した。所定のシリンダーに接したエッジから4文字を変形させるのに必要な輝度の量を、かすんでいる(hazy)と考えた。
【0121】
Andover社から得られたフィルターを、ホールの前に置いて、光の非常に狭い波長を側壁に当たるようにする。最も狭い波長フィルターが、2nmの鋭いカットオフのために選択された。より広い波長フィルターは、10〜20nmにわたる範囲のより不明確なカットオフを有し、全体の領域においてドメインに起因する視覚的ヘイズの量は、カットオフにおける光の強度に応じて変化し得る。
【0122】
視覚的なヘイズを製造するのに必要な光の量は以下のように測定された。フィルターは、本質的に可視光の約96%を除去した。従って、背景光が減少して、フィルターを通り抜ける光の量が視覚的ヘイズをもたらす大きな割合であった。
【0123】
輝度は、Extech Instruments Corporation, Waltham, MAからのEA30光メーターを用いて測定された。光は2つのポイントで測定された。第1ポイントは、ボードに平行に移行してテーブルトップに当たる光を測定した。このポイントは、前記サンプルのすぐ上であった。これはトップライトとして定義された。別のポイントはテーブルトップに平行移行し、サンプルをに当たる光を測定した。メーターを、光源に面するサンプルの前に直接置いた。背景光は、光源を切ったときサンプルをに当たる光の量として定義された。
【0124】
タイプされたラインの最初の4文字が、サンプルを通してタイプを光を調査することによりかすんだようになり始めるまで、フィルターを通した光源の強度を増加した。
この測定はオンセット(Onset)ヘイズと呼ばれた。次いでタイプされたラインの最初の4文字が不明瞭になるまで、強度はを増加した。これはマックス(Max)ヘイズと呼ばれた。各々のポイントは、測定間の誤差のために3〜5回の測定の平均を表わす。
【0125】
この評価は、500で始まり〜650まで波長50毎にMXD6のブレンド4%および6%について行った。450nmの測定は、メーターが有効な応答を持っていないとExtechのマニュアルに記載されているので、用いなかった。400nmおよび700nmでの輝度も可視光の外部限界が人それぞれ変化するので、また測定されなかった。この実験から得られたデータから、サンプル製品の壁の単位厚さあたり1つのドメインあたりに散乱した光のパーセントを決定した。
【0126】
ドメインが少数の波長に集中したという事実を考慮して、吸光度生データを標準化させた。輝度が増加したが、ドメインに関連するそれらの波長だけが反射された。輝度がどれだけ反射されたかを決定するための良好な近似は波長がそれらの関するドメインサイズを有するフィルターを通り抜ける波長の数によって増加した輝度を減少することであると信じられる。一旦これがフィルターバンド域について行われれば、関係は明白になる。要するに、ドメインの数が多くなれば成る程、より少ない光がヘイズのオンセットを作成するのに必要になる。
【0127】
得られたデータから、吸収性組成物が2つのことをすることができなければならなかったことを確定した。最初に、吸収性組物による光の吸収が、ドメインのサイズと関連された少なくとも1つの波長で起こらなければならない。ドメインが通常複数で、可視スペクトルを横切って広がるので、多くの波長で吸光度がおそらく必要である。例えば、もしドメイン全てが500nmの場合、500nmの付近の吸収だけが必要であるとわかる。同様に、PET/6%MXD6のブレンドのドメインの95%が500nmならば、全ての吸収ではな区、多くの吸収が500nmで生じる必要がある。また、他の領域で光を吸収し、500nmのまわりの光を吸収しないことは、視覚的ヘイズに制限のある影響を及ぼすだろう。
【0128】
しかしながら、上記の例に反して、ドメインが可視スペクトルの全体にわたって散乱したが、いくつかの波長領域で他のものより実質的に多くのドメインを有していたことが解った。それにも関わらず、吸収性組成物は、ドメインを含む全ての領域で吸収する必要がないが、光が分散するのを防ぐのにスペクトルの全体にわたる十分な光を吸収しなければならない。より多くの散乱がより多くのドメインを有する領域で起こるので、より多くの吸光度がより多くのドメインを有する波長で必要である。光がこの15ミルの壁に当たる光の総量の60%に達するときに、ヘイズのオンセットが始まることが決定した。他の方法で述べると、15ミルの壁に当たる光の40%の最小が、その波長でドメインによって導かれた視覚的ヘイズに影響を及ぼし始める波長で吸収されなければならない。
【0129】
例えば、15ミルの壁について、ドメインの80%が500nmで20%が650nmであるならば、吸収性組成物がヘイズへの衝撃を示し始める総量の40%である500nmで光の50%を単に吸収することを必要とする。もし全ての光が全ての光の20%だけである650nmで吸収されるならば、視覚的ヘイズへの衝撃はなく、光吸収の残りの20%は、500nmで光の25%を吸収することにより達成されなければならないだろう。
【0130】
この概念は以下の実験の中で実証された。MXD6 6007はポリエチレンテレフタレートに溶融ブレンドされ、16オンスのボトルに成形した。ボトルは、吸光度および図10における比較で示されるようなドメイン分配を有する着色剤(スプライトグリーン(Sprite Green))の3%を含んだ。壁は厚さ15ミルだった。500〜550nmの間に吸光度0.07(光の15%)のみがあり、かつその領域において27のドメインがあるとしても、実質的にボトルサンプルの視覚的ヘイズを減少するために、まだ十分に強い吸光度が他のところにあった。27のドメインが、視覚的スペクトル(400〜700nm)において総数166のドメインのわずか16%であるので、他のところのより強い吸光度がヘイズを減少した。ボトルサンプルのために反射率に利用可能な相対的な光の総量(すなわち、着色剤に吸収されなかった)について計算するときに、その量は9.6以下である。従って、ボトルが少量の視覚的ヘイズを有するが、着色剤の吸光度は、製品で見られるドメインの大きさを実質的にカバーするために十分に考えられる。すなわち、全体の視覚的ヘイズは実質的に減少された。視覚的ヘイズをさらに減少するバリエーションは、吸収性組成物(類)の量またはタイプを増加させ、それは、次には波長500〜550nmの間で吸光度を変化するのを増加することによってなし得るだろう。ることにより、を製造することが可能なかもしれない。他の波長の全てがカバーされる範囲で、製品の視覚的ヘイズをさらにマスクすることにおける相当な変形は、波長500〜550の間で吸光度を増加させることから来るかもしれない。
【0131】
これらの研究に基づいて、光吸収性組成物による可視的スペクトル内での吸収された光の量がある波長で反射された(吸収されなかった)入射光のパーセント×その波長での単位面積(即ち、平方ミクロン)でのドメインの数の総数が、一定の光の強度と仮定した場合、9.6以下でなければならないようにしなければならない。すなわち、光吸収組成物は方程式:
【0132】
【数11】
(式中、Liは波長iで反射することが可能な光パーセントであり、Niは波長iで100平方ミクロン(108nm2)あたりのドメイン数であり、かつ波長iは400nm〜700nm(すなわち可視スペクトル)の範囲である。)
においてXが9.6以下であるように可視スペクトルにおける光を吸収されなければならない。
【0133】
製品の厚さは、製品の壁と考えられて読む吸光度で占められる。所定波長で光の強度が一定でないならば、前記に示したように、それが包含されなければならない。光の90%が1つのドメインのサイズに対応する1つの波長で発生するならば、光の総量のより高い吸光度がその波長で必要とされる。
【0134】
ドメインの数はSEMによって決定される。吸収された光の割合は、壁の厚さの関数である吸収スペクトルによって得られた。光のフラクションは、その波長でのルーメンまたは光度÷可視スペクトルのルーメンまたは輝度の総量である。一定の光の強度については、その数値は、全ての強度が400〜700nmのスペクトルに渡って等しく分配されるので、1/300である。
【0135】
また、光吸収組成物によって吸収されるのに必要な光の量のさらなる確認は、図11および12に説明される。図11および12の両方は、400と700との間の各ナノメートルで、製品(この場合2Lのボトル)の中にあるドメイン数を図示する代表的なプロットグラフを包含する。あるサイズでドメインはなく、他のサイズでは1以上のドメインが存在すると認識される。しかしながら顕著には、ドメインは、400nm〜700nmの全範囲の全体にわたってかなりよく拡散されている。図11および12の中の各プロットグラフに重ねたものは、PET/6% MXD6(図11)およびPET/8% MXD6(図12)を含む製品について0.05%〜0.5%の範囲の量で多くの異なる着色剤について、400nmと700nmの間の各波長で吸収された光の割合の代表的なグラフである。特に、図11で用いられる赤および緑の着色剤、図12で用いられる赤および青い着色剤がある。
【0136】
これらのグラフは、反射に利用可能な光の割合(Li)ではなく、吸収光の割合(Ai)を示すことが理解される。従って、使用された着色剤が製品におけるドメインの大きさを実質的にカバーするかどうかの決定は、後のグラフが存在するドメインの数をカバーするかどうかを判断することによって実質的に見ることが可能である。しかしながら、吸収された光の割合を増加させることは、着色剤が製品の視覚的ヘイズをマスクすることが可能であるということがありそうであるとは必ずしもない。これを決定するためにXの値を決定しなければならない。ドメインプロットグラフおよび光吸収の割合のグラフ両方を用いて、Xが、次いで使用された各着色剤について決定され得る。各着色剤のために上記に表示する式に基づいたXの値は、表IIIにおいて提供される。
【0137】
表3:PET/MXD6ブレンドにおける着色剤の使用のためのX値
【0138】
【表4】
【0139】
これらのボトルは、次いでそれらが視覚的ヘイズを減少したか除去したかどうか判断するために別々に、かつ主観的に評価された。0.05%レノールレッドは、どちらのヘイズを減少するのに十分でないが、0.1%レノールレッドでは視覚ヘイズを十分に減少し始めた。同様に、0.05%テンサーブルー(Tensar blue)は視覚的ヘイズを減少するのには十分ではなかったが、0.1%テンサーブルーはボトルの視覚的ヘイズを減少するのに適切だった。緑については、各緑はある程度視覚的ヘイズを減少するが、着色剤の量が多くなければより低い視覚的ヘイズを有する視覚的に受け入れられる製品を提供する。顕著な量の光が約480nm〜540nmの間で透過されたが、これは真実であった。しかしながら、多くのドメインが存在する、この緑の着色剤は他の波長。例えば多くのドメインが存在する約584nmでかなりの量の光(すべてではないにしても)実質的に全てを吸収する。従って、着色剤に対するXの値の計算に際して、それは、9.6未満であるXの範囲内で適切であると解った。実験は、ヘイズのマスキングの開始はX=9.55であり得ることを示す。従って、もし吸収されない相対光の総量が9.6以下ならば、観測者の肉眼に見えるヘイズのうちの少なくともいくらかがマスクされ得ることは明白に違いない。
【0140】
従って、ポリマーマトリックスに添加されたおよび他の不相溶性フィラー(特にコンテナのガスバリアーの強度を改善するために加えられたもの)を有するコンテナで見られるヘイズ問題が、正確な量の光吸収組成物を添加することによりマスクされる(または非常に減少する)場合があることは明白でなければならない。ボトル中のドメインの少なくともいくつかの大きさと吸収性組成物の吸収波長との間に、密接な相関性がある。実際に、実行された実験データは、ヘイズが、視覚的ヘイズがある0.5Lのボトルで分析および決定される特定の着色剤または着色剤の組合せを用いて、視覚的にマスクされる可能性を実証する。
【0141】
さらなる研究は次のことを注目した。即ち、もしMXD6ドメインの大きさの変化がないならば、ボトルのサイズを変わった後でさえ、そして同じPETマトリックスは用いられると、ボトルサイズの変化(1.5Lのボトルへの)は、ドメイン大きさの範囲にほとんど影響を与えないので、視覚的ヘイズは同じ着色剤を加えることにより実質的にマスクされ得る。但し、より高い量の着色剤は好まれ得る。
【0142】
しかしながら、PETマトリックスが変更される場合、および/またはMXD6濃度の量がPETにおいて加えられたボトルの中で増加され留場合、MXDドメインの大きさの分布において変化がある。その場合、大きさがサイズで約100nm分増加し
、その結果他の光吸収組成物はボトルの視覚的ヘイズをマスクするために必要とされた。9.3%MXD−6を有する1.5Lのボトル例において、青い着色剤は、そのボトルにおけるドメインの大きさの範囲に対応する波長の範囲においてよりよく光を吸収する。
【0143】
従って、本発明の概念および方法は好ましくはガス透過率を減少して、そのような製品に関連したヘイズ問題を解決した、熱可塑性ポリマーおよび不相溶性フィラーのブレンドを含有する透明性製品を提供するのに非常に有効であることは明白であるべきである。光が品に存在するドメインのために見られる大きさの範囲に少なくとも実質的に関連する波長で吸収される場合、ボトルの視覚的ヘイズは実質的にマスクされてもよい。本発明は、特にビール飲料ボトルに適しているが、必ずしもそれに制限されない。本発明の概念および方法は、他の用地、設備、方法等、並びに他の延伸された製品の製造について別々に用いることができる。
【0144】
上記開示に基づいて、ヘイズが可視スペクトル内の大きさを有するドメインによってもたらされるときに、光吸収組成物の使用が透明性製品のヘイズを実質的にマスクし得ることは明白に違いない。従って、ここに記載する、透明、好ましくは延伸した物品、ボトルなどの製造における熱可塑性ポリマーマトリックスちゅうでの相溶性フィラーおよびしばしば光吸収組成物の分散は、上記に述べられた態様の1つ以上で実行し得る。従って、種々の変更は、本発明の請求の範囲内にあると考えられ、特定の成分要素の選択はここに示され、かつ記載された本発明の精神から逸脱することなく決定される。特に、本発明による着色剤は必ずしも、染料または顔料のものに制限されない。さらに、上記のように、他のポリアミドも例において使用されたMXD6の代わりに用いられ得る。従って、本発明の範囲は、請求項の範囲内にあり得る修正および変化を全て含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリマーマトリックス;
複数のドメインであって、各ドメインが、ポリエステルマトリックス中に分散された少なくとも1つの不相溶性フィラーを含有し、該ドメインが製品の軸平面においてある範囲の大きさを有し、該製品の軸平面における少なくともいくつかの該ドメインの大きさが約380nm〜約720nmの範囲内にあるもの;および
少なくとも1つの光吸収組成物の有効量であって、該少なくとも1つの組成物が、該製品における該ドメインの前記大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で可視スペクトル領域における光を吸収して、透明性製品の視覚的ヘイズ(visual haze)を実質的にマスクするもの、
を含有する透明性製品。
【請求項2】
該透明性製品が延伸コンテナである、請求項1記載の透明性製品。
【請求項3】
該透明性製品がプラスチックボトルである、請求項1記載の透明性製品。
【請求項4】
該熱可塑性ポリマーマトリックスが、直鎖状ポリエステル、分岐状ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンジクロリド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸、ポリビニルメチルエーテル、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、炭素原子2〜8個を有する低分子量ポリオレフィンおよびそれらのコポリマー、ターポリマー、並びにブレンドからなる群から選択される、請求項1記載の透明性製品。
【請求項5】
該熱可塑性ポリマーマトリックスが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートおよびそれらのコポリマー、ターポリマー、並びにブレンドからなる群から選択される直鎖状ポリエステルマトリックスである、請求項4記載の透明性製品。
【請求項6】
該直鎖状ポリエステルマトリックスが、ポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーである、請求項5記載の透明性製品。
【請求項7】
該不相溶性フィラーが、ポリエステル以外の熱可塑性ポリマーおよびクレイからなる群から選択される、請求項5記載の透明性製品。
【請求項8】
該不相溶性フィラーが、ポリアミドである、請求項5記載の透明性製品。
【請求項9】
該不相溶性フィラーが、ポリ(m−キシリレンアジパミド)である、請求項5記載の透明性製品。
【請求項10】
該不相溶性フィラーが、ガスバリアー強化性フィラーである、請求項1記載の透明性製品。
【請求項11】
該熱可塑性ポリマーマトリックスが、ポリアミドマトリックスであり、該不相溶性フィラーがクレイである、請求項4記載の透明性製品。
【請求項12】
該製品が、熱可塑性ポリマー約99.5〜約50重量%および不相溶性フィラー約0.5〜約50重量%を含有する、請求項1記載の透明性製品。
【請求項13】
該製品が、ポリエチレンテレフタレート約99.5〜約50重量%およびポリ(m−キシリレンアジパミド)約0.5〜約50重量%を含有する、請求項1記載の透明性製品。
【請求項14】
該光吸収組成物が着色剤である、請求項1記載の透明性製品。
【請求項15】
該光吸収組成物が顔料である、請求項1記載の透明性製品。
【請求項16】
ドメインの大きさが、約400nm〜約600nmの範囲であり、該光吸収組成物が赤色着色剤である、請求項1記載の透明性製品。
【請求項17】
ドメインの大きさが、約550nm〜約750nmの範囲であり、該光吸収組成物が青色着色剤である、請求項1記載の透明性製品。
【請求項18】
該透明性製品が多層コンテナであって、該多層コンテナの少なくとも1つの層が、該不相溶性フィラーがその中に分散した該熱可塑性マトリックスを包含し、かつ該多層コンテナの少なくとも1つの他の層が、少なくとも1つの光吸収組成物を包含する、請求項1記載の透明性製品。
【請求項19】
ポリエステル主成分、その中に分散した少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分および少なくとも1つの光吸収組成物の混合物から形成される透明性製品の製造方法であって、
ポリエステルへフィラーを混合し、
製品を所望のサイズおよび形状に形成し、その後不相溶性フィラーを含有するドメインが、製品の形成時にポリエステル中に生成され;
ポリエステル中のドメインについて製品の軸平面中での大きさ範囲を決定して、大きさの少なくともいくつかが約380nm〜約720nmに入れる;および
ポリエステルにおけるドメインの大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で可視スペクトル領域において光を吸収する光吸収組成物を見いだし;および
ポリエステルおよび不相溶性フィラーへ該光吸収組成物の有効な量を添加し、かつ異なる透明の製品を所望のサイズと形状に形成して、製品における可視的ヘイズを実質的にマスクする
ことを包含する、透明性製品の製造方法。
【請求項20】
製造された製品がコンテナである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
製造されたコンテナがボトルである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
該ブレンド段階が、ポリエステルのみを含有するコンテナと比較して、コンテナへの増加したガスバリアー強度を提供するための有効な量でフィラーを添加することを包含する、請求項20記載の方法。
【請求項23】
該製品の形成段階が、製品をブロー成形して製品のサイズおよび形状に延伸することを含む、請求項19記載の方法。
【請求項24】
該光吸収組成物が着色剤であり、かつ光吸収組成物を見いだす段階が着色剤の吸収スペクトルを調査することを包含する、請求項19記載の方法。
【請求項25】
該ポリエステルへの光吸収組成物の添加段階が、ポリエステルを黄色化して光吸収組成物を提供する段階を包含する、請求項19記載の方法。
【請求項26】
該ポリエステルへの光吸収組成物を添加する段階が、不相溶性フィラーがその中に分散したポリエステルマトリックスを含有する製品の層の上に光吸収組成物を含有するフィルムを層状化することを包含する、請求項19記載の方法。
【請求項27】
熱可塑性ポリマーマトリックス;
複数のドメインであって、各ドメインが、ポリエステルマトリックス中に分散された少なくとも1つの不相溶性フィラーを含有し、該ドメインが製品の軸平面においてある範囲の大きさを有し、該製品の軸平面における少なくともいくつかのドメインの大きさが約380nm〜約720nmの範囲内にあるもの;および
少なくとも1つの光吸収組成物であって、該少なくとも1つの光吸収組成物が式:
【数1】
(Aiは波長iで吸収された光の%であり、Niは波長iで100平方ミクロンにおけるドメインの数であり、およびiは400nm〜700nmの範囲である。)
においてXが9.6以下となるように可視スペクトル領域における光を吸収するものを含有する透明性製品。
【請求項28】
該透明性製品が延伸されたコンテナである、請求項27記載の透明性製品。
【請求項29】
該透明性製品がプラスチックボトルである、請求項27記載の透明性製品。
【請求項30】
該熱可塑性ポリマーマトリックスが、直鎖状ポリエステル、分岐状ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンジクロリド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸、ポリビニルメチルエーテル、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、炭素原子2〜8個を有する低分子量ポリオレフィンおよびそれらのコポリマー、ターポリマー、並びにブレンドからなる群から選択される、請求項27記載の透明性製品。
【請求項31】
該熱可塑性ポリマーマトリックスが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートおよびそれらのコポリマー、ターポリマー、並びにブレンドからなる群から選択される直鎖状ポリエステルマトリックスである、請求項27記載の透明性製品。
【請求項32】
該直鎖状ポリエステルマトリックスが、ポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーである、請求項31記載の透明性製品。
【請求項33】
該不相溶性フィラーが、ポリアミドである、請求項27記載の透明性製品。
【請求項34】
該不相溶性フィラーが、ポリ(m−キシリレンアジパミド)である、請求項27記載の透明性製品。
【請求項35】
該不相溶性フィラーが、ガスバリアー強化性フィラーである、請求項27記載の透明性製品。
【請求項36】
該製品が、熱可塑性ポリマー約99.5〜約50重量%および不相溶性フィラー約0.5〜約50重量%を含有する、請求項27記載の透明性製品。
【請求項37】
該製品が、ポリエチレンテレフタレート約99.5〜約50重量%およびポリ(m−キシリレンアジパミド)約0.5〜約50重量%を含有する、請求項27記載の透明性製品。
【請求項38】
該光吸収組成物が着色剤である、請求項27記載の透明性製品。
【請求項39】
Xが9.5以下である、請求項27記載の透明性製品。
【請求項40】
Xが9以下である、請求項27記載の透明性製品。
【請求項41】
Xが7.5以下である、請求項27記載の透明性製品。
【請求項42】
ポリエステル主成分、その中に分散した少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分および少なくとも1つの光吸収組成物の混合物から形成される透明性製品の製造方法であって、
ポリエステルへフィラーの選択された量を混合し、
製品を所望のサイズおよび形状に形成し、その後不相溶性フィラーを含有するドメインが、製品の形成時にポリエステル中に生成され;
ポリエステル中のドメインについて製品の軸平面中での大きさ範囲を決定して、大きさの少なくともいくつかが約400nm〜約700nmに入れる;
ポリエステルへ光吸収組成物の選択された量をブレンドして、該光吸収組成物が式:
【数2】
(Aiは波長iで吸収された光%であり、Niは波長iでの100平方ミクロンにおけるドメインの数、およびiは400nm〜700nmの範囲である。)
においてXが9.6以下になるように可視スペクトル領域における光を吸収することを明確にし、および
ポリエステルおよび不相溶性フィラーの選択された量へ光吸収組成物の選択された量を添加して異なる透明性コンテナを同じ所望のサイズおよび形状に成形することにより、製品における可視的ヘイズを実質的にマスクする
ことを包含する、透明性製品の製造方法。
【請求項43】
製造された製品がコンテナである、請求項42記載の方法。
【請求項44】
製造されたコンテナがボトルである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
該ブレンドする段階が、ポリエステルのみを含有するコンテナと比較して、コンテナへのガスバリアー強度の増加を提供するために有効な量でフィラーを添加することを包含する、請求項43記載の方法。
【請求項46】
該製品を形成する段階が、製品をブロー成形して、それを製品のサイズおよび形状に延伸することを含む、請求項42記載の方法。
【請求項47】
該光吸収組成物が着色剤である、請求項42記載の方法。
【請求項48】
Xが9.5以下である、請求項42記載の方法。
【請求項49】
Xが9以下である、請求項19記載の方法。
【請求項50】
Xが7.5以下である、請求項27記載の方法。
【請求項51】
製品の形成時に形成され、不相溶性フィラーを含んでいる熱可塑性ポリマー中のドメインの製品の軸平面での大きさと、少なくとも相関性を有する波長で透明性製品の光吸収を変更すること
を含む、ポリエステル主成分、少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分を含む透明性製品において、視覚的ヘイズをマスクする方法。
【請求項1】
熱可塑性ポリマーマトリックス;
複数のドメインであって、各ドメインが、ポリエステルマトリックス中に分散された少なくとも1つの不相溶性フィラーを含有し、該ドメインが製品の軸平面においてある範囲の大きさを有し、該製品の軸平面における少なくともいくつかの該ドメインの大きさが約380nm〜約720nmの範囲内にあるもの;および
少なくとも1つの光吸収組成物の有効量であって、該少なくとも1つの組成物が、該製品における該ドメインの前記大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で可視スペクトル領域における光を吸収して、透明性製品の視覚的ヘイズ(visual haze)を実質的にマスクするもの、
を含有する透明性製品。
【請求項2】
該透明性製品が延伸コンテナである、請求項1記載の透明性製品。
【請求項3】
該透明性製品がプラスチックボトルである、請求項1記載の透明性製品。
【請求項4】
該熱可塑性ポリマーマトリックスが、直鎖状ポリエステル、分岐状ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンジクロリド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸、ポリビニルメチルエーテル、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、炭素原子2〜8個を有する低分子量ポリオレフィンおよびそれらのコポリマー、ターポリマー、並びにブレンドからなる群から選択される、請求項1記載の透明性製品。
【請求項5】
該熱可塑性ポリマーマトリックスが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートおよびそれらのコポリマー、ターポリマー、並びにブレンドからなる群から選択される直鎖状ポリエステルマトリックスである、請求項4記載の透明性製品。
【請求項6】
該直鎖状ポリエステルマトリックスが、ポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーである、請求項5記載の透明性製品。
【請求項7】
該不相溶性フィラーが、ポリエステル以外の熱可塑性ポリマーおよびクレイからなる群から選択される、請求項5記載の透明性製品。
【請求項8】
該不相溶性フィラーが、ポリアミドである、請求項5記載の透明性製品。
【請求項9】
該不相溶性フィラーが、ポリ(m−キシリレンアジパミド)である、請求項5記載の透明性製品。
【請求項10】
該不相溶性フィラーが、ガスバリアー強化性フィラーである、請求項1記載の透明性製品。
【請求項11】
該熱可塑性ポリマーマトリックスが、ポリアミドマトリックスであり、該不相溶性フィラーがクレイである、請求項4記載の透明性製品。
【請求項12】
該製品が、熱可塑性ポリマー約99.5〜約50重量%および不相溶性フィラー約0.5〜約50重量%を含有する、請求項1記載の透明性製品。
【請求項13】
該製品が、ポリエチレンテレフタレート約99.5〜約50重量%およびポリ(m−キシリレンアジパミド)約0.5〜約50重量%を含有する、請求項1記載の透明性製品。
【請求項14】
該光吸収組成物が着色剤である、請求項1記載の透明性製品。
【請求項15】
該光吸収組成物が顔料である、請求項1記載の透明性製品。
【請求項16】
ドメインの大きさが、約400nm〜約600nmの範囲であり、該光吸収組成物が赤色着色剤である、請求項1記載の透明性製品。
【請求項17】
ドメインの大きさが、約550nm〜約750nmの範囲であり、該光吸収組成物が青色着色剤である、請求項1記載の透明性製品。
【請求項18】
該透明性製品が多層コンテナであって、該多層コンテナの少なくとも1つの層が、該不相溶性フィラーがその中に分散した該熱可塑性マトリックスを包含し、かつ該多層コンテナの少なくとも1つの他の層が、少なくとも1つの光吸収組成物を包含する、請求項1記載の透明性製品。
【請求項19】
ポリエステル主成分、その中に分散した少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分および少なくとも1つの光吸収組成物の混合物から形成される透明性製品の製造方法であって、
ポリエステルへフィラーを混合し、
製品を所望のサイズおよび形状に形成し、その後不相溶性フィラーを含有するドメインが、製品の形成時にポリエステル中に生成され;
ポリエステル中のドメインについて製品の軸平面中での大きさ範囲を決定して、大きさの少なくともいくつかが約380nm〜約720nmに入れる;および
ポリエステルにおけるドメインの大きさの範囲を少なくとも実質的にカバーする波長で可視スペクトル領域において光を吸収する光吸収組成物を見いだし;および
ポリエステルおよび不相溶性フィラーへ該光吸収組成物の有効な量を添加し、かつ異なる透明の製品を所望のサイズと形状に形成して、製品における可視的ヘイズを実質的にマスクする
ことを包含する、透明性製品の製造方法。
【請求項20】
製造された製品がコンテナである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
製造されたコンテナがボトルである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
該ブレンド段階が、ポリエステルのみを含有するコンテナと比較して、コンテナへの増加したガスバリアー強度を提供するための有効な量でフィラーを添加することを包含する、請求項20記載の方法。
【請求項23】
該製品の形成段階が、製品をブロー成形して製品のサイズおよび形状に延伸することを含む、請求項19記載の方法。
【請求項24】
該光吸収組成物が着色剤であり、かつ光吸収組成物を見いだす段階が着色剤の吸収スペクトルを調査することを包含する、請求項19記載の方法。
【請求項25】
該ポリエステルへの光吸収組成物の添加段階が、ポリエステルを黄色化して光吸収組成物を提供する段階を包含する、請求項19記載の方法。
【請求項26】
該ポリエステルへの光吸収組成物を添加する段階が、不相溶性フィラーがその中に分散したポリエステルマトリックスを含有する製品の層の上に光吸収組成物を含有するフィルムを層状化することを包含する、請求項19記載の方法。
【請求項27】
熱可塑性ポリマーマトリックス;
複数のドメインであって、各ドメインが、ポリエステルマトリックス中に分散された少なくとも1つの不相溶性フィラーを含有し、該ドメインが製品の軸平面においてある範囲の大きさを有し、該製品の軸平面における少なくともいくつかのドメインの大きさが約380nm〜約720nmの範囲内にあるもの;および
少なくとも1つの光吸収組成物であって、該少なくとも1つの光吸収組成物が式:
【数1】
(Aiは波長iで吸収された光の%であり、Niは波長iで100平方ミクロンにおけるドメインの数であり、およびiは400nm〜700nmの範囲である。)
においてXが9.6以下となるように可視スペクトル領域における光を吸収するものを含有する透明性製品。
【請求項28】
該透明性製品が延伸されたコンテナである、請求項27記載の透明性製品。
【請求項29】
該透明性製品がプラスチックボトルである、請求項27記載の透明性製品。
【請求項30】
該熱可塑性ポリマーマトリックスが、直鎖状ポリエステル、分岐状ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンジクロリド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸、ポリビニルメチルエーテル、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、炭素原子2〜8個を有する低分子量ポリオレフィンおよびそれらのコポリマー、ターポリマー、並びにブレンドからなる群から選択される、請求項27記載の透明性製品。
【請求項31】
該熱可塑性ポリマーマトリックスが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートおよびそれらのコポリマー、ターポリマー、並びにブレンドからなる群から選択される直鎖状ポリエステルマトリックスである、請求項27記載の透明性製品。
【請求項32】
該直鎖状ポリエステルマトリックスが、ポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーである、請求項31記載の透明性製品。
【請求項33】
該不相溶性フィラーが、ポリアミドである、請求項27記載の透明性製品。
【請求項34】
該不相溶性フィラーが、ポリ(m−キシリレンアジパミド)である、請求項27記載の透明性製品。
【請求項35】
該不相溶性フィラーが、ガスバリアー強化性フィラーである、請求項27記載の透明性製品。
【請求項36】
該製品が、熱可塑性ポリマー約99.5〜約50重量%および不相溶性フィラー約0.5〜約50重量%を含有する、請求項27記載の透明性製品。
【請求項37】
該製品が、ポリエチレンテレフタレート約99.5〜約50重量%およびポリ(m−キシリレンアジパミド)約0.5〜約50重量%を含有する、請求項27記載の透明性製品。
【請求項38】
該光吸収組成物が着色剤である、請求項27記載の透明性製品。
【請求項39】
Xが9.5以下である、請求項27記載の透明性製品。
【請求項40】
Xが9以下である、請求項27記載の透明性製品。
【請求項41】
Xが7.5以下である、請求項27記載の透明性製品。
【請求項42】
ポリエステル主成分、その中に分散した少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分および少なくとも1つの光吸収組成物の混合物から形成される透明性製品の製造方法であって、
ポリエステルへフィラーの選択された量を混合し、
製品を所望のサイズおよび形状に形成し、その後不相溶性フィラーを含有するドメインが、製品の形成時にポリエステル中に生成され;
ポリエステル中のドメインについて製品の軸平面中での大きさ範囲を決定して、大きさの少なくともいくつかが約400nm〜約700nmに入れる;
ポリエステルへ光吸収組成物の選択された量をブレンドして、該光吸収組成物が式:
【数2】
(Aiは波長iで吸収された光%であり、Niは波長iでの100平方ミクロンにおけるドメインの数、およびiは400nm〜700nmの範囲である。)
においてXが9.6以下になるように可視スペクトル領域における光を吸収することを明確にし、および
ポリエステルおよび不相溶性フィラーの選択された量へ光吸収組成物の選択された量を添加して異なる透明性コンテナを同じ所望のサイズおよび形状に成形することにより、製品における可視的ヘイズを実質的にマスクする
ことを包含する、透明性製品の製造方法。
【請求項43】
製造された製品がコンテナである、請求項42記載の方法。
【請求項44】
製造されたコンテナがボトルである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
該ブレンドする段階が、ポリエステルのみを含有するコンテナと比較して、コンテナへのガスバリアー強度の増加を提供するために有効な量でフィラーを添加することを包含する、請求項43記載の方法。
【請求項46】
該製品を形成する段階が、製品をブロー成形して、それを製品のサイズおよび形状に延伸することを含む、請求項42記載の方法。
【請求項47】
該光吸収組成物が着色剤である、請求項42記載の方法。
【請求項48】
Xが9.5以下である、請求項42記載の方法。
【請求項49】
Xが9以下である、請求項19記載の方法。
【請求項50】
Xが7.5以下である、請求項27記載の方法。
【請求項51】
製品の形成時に形成され、不相溶性フィラーを含んでいる熱可塑性ポリマー中のドメインの製品の軸平面での大きさと、少なくとも相関性を有する波長で透明性製品の光吸収を変更すること
を含む、ポリエステル主成分、少なくとも1つの不相溶性フィラー副成分を含む透明性製品において、視覚的ヘイズをマスクする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−38109(P2011−38109A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−223482(P2010−223482)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【分割の表示】特願2006−503145(P2006−503145)の分割
【原出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【出願人】(502214480)エンメ エ ジ・ポリメリ・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223482(P2010−223482)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【分割の表示】特願2006−503145(P2006−503145)の分割
【原出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【出願人】(502214480)エンメ エ ジ・ポリメリ・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (16)
【Fターム(参考)】
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