視覚認知を改善するためのシステムおよび方法
本発明の目的は、視覚能力の改善を希望する人が、訓練装置を携帯できるようにし、また希望すればいつでもどこでも視覚を訓練できるようにするシステムおよび方法を提供することである。本発明では、広く利用可能で良く知られているハンドヘルド装置例えばセルラー電話およびセルラーネットワークのインフラストラクチャを用いる。視覚ディスプレイを有する他のモバイルデジタル装置を用いてもよい。例えば、ポケットPC、パームコンピュータ、電子ノートブック、携帯情報端末(PDA)、さらにいくつかのデジタル音楽プレーヤ例えばiPodである。訓練セッションには、被訓練者に、画像シーケンスを、そのハンドヘルド装置の内蔵されたディスプレイに表示することと、表示された画像に対する応答を受け取ることとが含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、視覚改善の分野に関し、具体的には、セルラー電話またはモバイルディスプレイユニットを用いて視覚認知を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の視覚は、2つの別個のプロセスの産物であり、これらが協働して、人が「見る」画像を形成する。これらのプロセスの1つ(本明細書では物理的構成要素と言う)は、目の種々の要素の物理的な構造に関係し、また、目が入射光をどのように取り扱って処理するかに関係する。角膜の形状、網膜の壁、または視神経の欠陥は、人の目の機能を損なわせることがあり、したがって画像を認知する能力を損なわせるかまたは無くしてしまうことがある。これらの欠陥のいくつかは、メガネまたはコンタクトレンズを用いることによって、または外科手術によって矯正することができる。
【0003】
人間が画像を見られるようにすることに関与する第2のプロセスを、本明細書では神経学的構成要素と言う。この構成要素は、脳内での神経の処理に関係し、また、脳が目から送られた情報をどのように分析して画像を生成するかに関係する。人は視覚プロセスのこの構成要素においても同様に多くの欠陥を有することがある。
【0004】
物理的構成要素および神経学的構成要素は協働して、人が見る画像、より正確には人が認知する画像を形成する。用語「認知する」は好ましい。なぜならば、物理的構成要素によってある特定の詳細が捕捉され得るが、神経学的構成要素に欠陥があると、この詳細を歪めて破壊することがあるからである。あるいは、神経学的構成要素の能力が効率的であると画像が改善される場合がある。したがって、人が見る画像は正確には、目が捕捉するものではない場合がある。その結果、認知される画像は、詳細には、目が見る画像とは異なる場合がある。こうして、人間の視覚認知のプロセス全体を本明細書では視覚プロセスと言う。
【0005】
訓練によって被験者の視覚認知が改善され得ることが明らかになっている。この訓練には一般的に、被訓練者に画像を表示することが伴う。
【0006】
ポラット、ウリによる「視覚認知を改善するためのシステムおよび方法」(特許文献1)には、弱視として知られている視覚認知プロセスの神経学的構成要素における良く知られた欠陥を改善するための方法が記載されている。この出願は、ポラットらが2005年4月5日に出願した「通信ネットワーク上でユーザの視覚認知を改善するための方法およびシステム」(特許文献2)として公開済みであり、本明細書において参照により取り入れられている。
【0007】
B.A.サベルらにより2001年4月25日に出願され、2002年10月15日に特許発行された「人間の視覚を訓練するためのプロセスおよび装置」(特許文献3)には、視覚が劣化していないゾーンと視覚が劣化しているゾーンとを有する人間の視覚系を訓練するためのプロセスが示されている。
【0008】
本技術分野において訓練用に使用される画像ディスプレイ装置は、一般的に大きくて扱いにくく、被訓練者が容易に携帯することができない。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0109800号明細書
【特許文献2】米国特許第6876758号明細書
【特許文献3】米国特許第6464356号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の主要な目的は、視覚能力の改善を希望する人が訓練装置を携帯できて、希望すればいつでもどこでも視覚訓練を可能にするシステムおよび方法を提供することである。
【0010】
本発明の方法およびシステムは、容易に用いることができ、被訓練者による準備および労力はほとんど必要としない。
【0011】
本発明に従う方法およびシステムでは、広く使用されて良く知られているハンドヘルド装置例えばセルラー電話およびセルラーネットワークのインフラストラクチャを用いる。視覚ディスプレイを有する他のモバイルデジタル装置を用いてもよい。例えば、ポケットPC、パームコンピュータ、電子ノートブック、携帯情報端末(PDA)、さらにいくつかのデジタル音楽プレーヤ例えばiPod、および携帯型デジタルゲーム装置例えば「ゲームボーイ」を本発明により使用してもよい。
【0012】
本発明の方法は、容易に実施することができ、幅広い用途に適している。
本発明の典型的な実施形態では、視覚認知を改善するためのシステムには、サーバコンピュータに無線で接続されたハンドヘルド装置が含まれる。ハンドヘルド装置には、視覚刺激を表示するためのディスプレイ、ユーザ入力のための手段、およびユーザにフィードバックをもたらすための手段が含まれる。
【0013】
ハンドヘルド装置は、セルラー電話、パームコンピュータ、PDA、電子ノートブック、iPod、携帯型デジタルゲーム装置、または同様のものであってもよい。装置の内臓ディスプレイを、視覚刺激を表示するために用いる。ユーザ応答を、入力手段を用いて入力する。これは例えば、セルラー電話のキーパッド、PDAのタッチスクリーン、キーもしくはスイッチ、またはマイクロフォンである。
【0014】
視覚刺激には、英数字文字が含まれていてもよい。あるいは、刺激には、少なくとも1つのターゲット構造および少なくとも1つの側面構造が含まれていてもよく、異なる画像におけるターゲット構造は、強度が異なっている。別の実施形態では、視覚刺激には画像のシーケンスが含まれていて、これには、ターゲット画像に続いてマスキング画像が、またはマスキング画像に続いてターゲット画像が含まれていてもよい。
【0015】
視覚能力の改善のためにハンドヘルド装置を用いる方法には、以下のステップが含まれる。(a)ユーザをサーバコンピュータに登録する、(b)アプリケーションプログラムをハンドヘルド装置にロードする、および(c)アプリケーションプログラムをハンドヘルド装置上で実行する。
【0016】
任意的には、各訓練セッションの始まりにおいて、アプリケーションプログラムはサーバコンピュータに無線で連絡を取って、訓練セッションに対する許可を検証する。任意的には、各訓練セッションの間またはその終わりに、アプリケーションプログラムは、サーバコンピュータに無線で連絡を取り、ユーザに、間違ったユーザ応答および正しいユーザ応答の数から計算された得点を報告する。任意的には、各訓練セッションの始まりにおいて、アプリケーションプログラムは、サーバコンピュータに無線で連絡を取り、ユーザに示すべき画像を計算するために必要なパラメータをダウンロードする。
【0017】
本発明の一態様では、人間の視覚系を前記人間に視覚刺激を示すことによって訓練するためのシステムであって、被訓練者に視覚刺激を表示するためのディスプレイと前記刺激に応答して前記被訓練者から示された入力を受け取るための入力手段とを備えるハンドヘルドディスプレイユニット装置であって、被訓練者によって保持されるように構成されたデジタルモバイル装置であるハンドヘルド装置と、サーバコンピュータとを備え、前記サーバが前記ハンドヘルドディスプレイユニットに無線で接続されている、人間の視覚系を訓練するためのシステムが提供される。
【0018】
本発明の一実施形態では、人間の視覚系を訓練するためのシステムにおいて、前記ハンドヘルドディスプレイユニット装置はセルラー電話である。
本発明の別の実施形態では、人間の視覚系を訓練するためのシステムにおいて、前記ハンドヘルドディスプレイユニット装置はパームコンピュータである。
【0019】
本発明の別の実施形態では、前記システムを使用することは、セルラーネットワークプロバイダによって課金される。
本発明の別の実施形態では、システムはさらに、前記ハンドヘルド装置にインストールされたアプリケーションに対する許可を与えるためにハンドヘルド装置と通信することができるサーバコンピュータを備える。
【0020】
本発明の別の態様では、ハンドヘルド装置に人間に対する視覚刺激を示すことによって前記人間の視覚系を訓練するための方法であって、前記人間の視覚の欠陥を特定するステップと、訓練プログラムをハンドヘルド装置にロードするステップと、前記訓練プログラムを用いて、前記視覚刺激を前記ハンドヘルドユニットに表示するステップと、を含む人間の視覚系を訓練するための方法が提供される。
【0021】
本発明の一実施形態では、人間の視覚系を訓練するための方法において、前記視覚刺激には少なくとも1つの英数字文字が含まれる。
本発明の別の実施形態では、前記視覚刺激に少なくとも1つの画像が含まれ、前記画像の表示時間が被訓練者の進歩とともに短くなる。
【0022】
本発明の別の実施形態では、前記視覚刺激に少なくとも2つの画像が含まれ、前記画像の少なくとも1つの表示時間が被訓練者の進歩とともに短くなる。
本発明の別の実施形態では、前記視覚刺激に少なくとも2つの画像が含まれ、各画像には少なくとも1つのターゲット構造と少なくとも1つの側面構造とが含まれ、少なくとも1つの前記画像における少なくとも1つの前記ターゲット構造の強度が異なる。
【0023】
本発明の別の実施形態では、視覚刺激には少なくとも、ターゲットを含む第1の画像と、前記第1の画像をマスキングするための前記第1の画像と同様の第2の画像とが含まれ、第1の画像の表示と第2の画像の表示との間の時間間隔を被訓練者の進歩とともに短くする。
本発明の別の実施形態では、第1の画像の表示と第2の画像の表示との間の時間間隔が、1秒と0.01秒との間である。
【0024】
本発明のさらなる特徴および優位性は、本明細書に含まれる図面および説明から明らかとなる。
本発明の典型的な実施形態について、以下のセクションにおいて図面を参照して説明する。同じ参照番号を用いて、異なる図面上の同じ特徴または関連する特徴を指定する。図面は概して、一定の縮尺では描かれていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下の詳細な説明は、本発明を行なう上で現時点で考えられる最良の形態である。この説明は、限定の意味で理解されるべきものではなく、単に本発明に従う一般的な原理を例示するために作成されている。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって最も良く規定される。
【0026】
ハンドヘルド装置
図面を参照すると、図1には、本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系を、ハンドヘルドディスプレイユニットに前記人間に対する視覚刺激を示すことによって訓練するためのシステム100が例示されている。
【0027】
この典型的な実施形態では、被訓練者は、ハンドヘルド装置118例えばセルラー電話を用いて、視覚刺激を見る。視覚刺激は、ハンドヘルド装置にインストールされたプログラムによってハンドヘルド装置に記憶されたパラメータに従って生成される。前記プログラムは、訓練セッションの間、ハンドヘルド装置を制御する。
【0028】
あるいは、ハンドヘルド装置118は、パームコンピュータ、ポケットPC、PDA、電子ノートブック、iPodプレーヤ、または同様のものであってもよい。
ハンドヘルドディスプレイユニット装置118にはディスプレイ120とユーザ入力手段例えばキーパッド112が含まれる。訓練セッションでは、被訓練者は、視覚刺激または一連の視覚刺激を観察することを含む視覚作業(タスク)を行なうように要求され、それに応答する。
【0029】
ユーザ入力は、他の入力手段を用いてハンドヘルド装置によって任意的に受け取られてもよい。他の入力手段としては、例えば、セルラー電話内の内蔵マイクロフォンを用いた音声コマンド、ヘッドセットアタッチメントのモバイル「ハンズフリー」上のスイッチ、ポケットPCもしくはパームコンピュータもしくはPDAにおけるタッチスクリーンセンサ、またはハンドヘルド装置118の一部であるかもしくは装置118に接続された他の入力手段である。
【0030】
ハンドヘルド装置は、ユーザ応答を分析して、この作業に付随する基準に基づいて応答が正しかったか否かを判定する。
この作業に付随する基準には、刺激に対するユーザの反応時間が含まれていてもよい。反応が長く遅れた場合には、ユーザによる視覚処理が遅いことを示す場合があり、一方で、反応が異常に速い場合には、ユーザが、画像を実際には認知せずに推測していることを示す場合がある。
【0031】
任意的には、ユーザ入力に対する応答として、プログラムは、複数の出力手段を用いてユーザに送信するべきフィードバックを生成する。
出力手段は、ハンドヘルド装置に備え付けられた1つまたは複数の聴覚的または視覚的出力手段であってもよい。例えば、テキストまたは画像のメッセージをスクリーン120に表示してもよく、音または音声メッセージをスピーカ124を用いて生成することもできる。その代わりにまたはそれに加えて、他の出力手段、例えば振動、着信音、または信号光を、利用可能であればいつでも用いてよい。
【0032】
任意的には、プログラムが与えるフィードバックは、アプリケーションを効率良く用いるように被訓練者を励ますように、励みになる記述例えば「順調な進歩」を含んでもよい。
任意的には、ハンドヘルド装置とともにいくつかのアクセサリを用いてもよい。例えば、ヘッドセットまたはハンズフリーアタッチメントを、本発明の実施形態に従うハンドヘルド装置として使用するセルラー電話に接続することができる。ヘッドセットは通常、イヤホン、マイクロフォン、および少なくとも1つのプッシュボタンキーを備える。プッシュボタンキーは、ユーザ入力を例えばマイクロフォンおよび/またはプッシュボタンによって受け取り、またイヤホンを通して音または音声としてフィードバックを与えるための入出力手段として使用され得る。コード付きのヘッドセットまたは無線ヘッドセット、例えば「ブルートゥース」ヘッドセットを用いてもよい。任意的には、他のアクセサリ例えば大画面ディスプレイを用いてもよい。
【0033】
ディスプレイ120と被訓練者の目との間の距離は、視覚の欠陥および訓練のタイプに応じて変更してもよい。ある訓練セッションでは、被訓練者に、ハンドヘルド装置を腕の長さだけ離して保持するように指示する。この状況では、ディスプレイは、視野のほぼ10度を占めることになる。より大きいディスプレイ、例えば本技術分野で用いられるコンピュータスクリーンとは対照的に、小型ディスプレイ、例えばセルラー電話で使用されるものは、ほぼ0.5メートル以上の距離に保持された場合、中央視野のみついての訓練となる。
【0034】
近視能力を改善するために、被訓練者に、ハンドヘルド装置を自分の目からもっと近い距離(例えば30または40cm)に保持するように要求する場合がある。あるいは、ハンドヘルド装置をもっと遠い距離例えば1メートル以上に配置するように被訓練者が言われる場合がある。この場合、入力/出力アクセサリを用いることが好ましい。
【0035】
被訓練者に、セッションの間、自分のメガネまたはコンタクトレンズを外すように要求するか、または特別なメガネを着用するように要求する場合がある。各目を、他方の目を覆うことによって別個に訓練してもよいし、両方の目を一度に訓練してもよい。
【0036】
サーバとのネットワーク接続
本発明の一実施形態では、システム100はサーバコンピュータ110を備える。
【0037】
サーバ110は時々、例えば、インターネットおよび/または電話網を用いてセルラー基地局114に接続することや、電波を用いてハンドヘルド装置に接続することによって、ハンドヘルド装置に接続され得る。
【0038】
あるいは、ハンドヘルド装置118を、サーバ110に接続された別のコンピューティング装置(図示せず)にローカルに接続してもよい。例えば、パームコンピュータをローカルなPCに、ケーブル、IR、またはRFを介して接続してもよく、またローカルなPCを、例えば電話機モデム、ADSL、LAN、または他の手段を用いてサーバに接続してもよい。このようにして、サーバとハンドヘルド装置との間のメッセージを交換してもよい。メッセージをこのように交換することは、両方の接続が同時にアクティブとはなっていない場合であっても、行なってよい。種々の通信プロトコルを、サーバ110とハンドヘルド装置118との間の情報を交換するために用いてもよい。例えば、SMSおよびMMSは、セルラーネットワークによって広くサポートされており、短いテキスト、データ、および画像の交換を可能にするものである。他の、より広帯域のデータ交換プロトコルも存在する。
【0039】
サーバは、後に詳細に説明するように、ハンドヘルド装置に対して種々のサービスを行なってもよい。例えば、サーバは、ハンドヘルド装置を保持するユーザによるセッションを可能にするための許可コードを保持してもよいし、サーバは、アプリケーションプログラムをハンドヘルド装置にロードしてもよいし、またはサーバは、被訓練者の訓練の進行状態をモニタすることを、ハンドヘルド装置からユーザ入力を受け取って分析することによって行なってもよいし、任意的には、視覚刺激を生成するために使用されるプログラムまたはパラメータを変更してもよい。
任意的には、サーバを用いて、訓練アプリケーションの利用に応じた課金情報を得てもよい。
【0040】
動作方法
図面を参照すると、図2aおよび2bに示すのは、本発明に従う方法を示すブロック図である。これらの図面では、破線で示すボックスは任意的なステップを表わし、二重線で示すボックスは、情報が検査されるステップおよび判定がなされるステップを表わす。いくつかの任意的なステップは、明細書本文では説明しているが、図面には示していない。
【0041】
2aは、本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系の訓練をハンドヘルドディスプレイユニットに前記人間に対する視覚刺激を示すことによって行なう方法の説明図である。
【0042】
被訓練者は、訓練を受けるためには、訓練アプリケーションのプロバイダに登録しなければならない。
任意的には、登録210は、プロバイダオフィスまたは診療所を訪問して、そこで任意的には、視覚能力を好ましくは有資格者が検査すること212を伴う。検査210は、登録プロセスの前または後に任意の異なる場所で行なってもよい。あるいは、被訓練者は、さらなる検査が不必要となるように、既知の診断を本人担当医師または検眼士に調べてもらってもよい。
【0043】
あるいは、インターネットを介してまたはハンドヘルド装置用いた検査セッションを用いて、検査を行なうこともできる。これは例えば、将来の被訓練者とプロバイダとの通話の間に、画像転送プロトコル例えばMMSを用いてハンドヘルド装置に視覚刺激を送って、行なうことができる。場合によっては、例えば被訓練者が自分の速読能力を向上させたいと思うときには、検査は必要ではない。
【0044】
課金業務の後、訓練アプリケーションのハンドヘルド装置へのロード214が行なわれる。
本発明に従う方法では、アプリケーションプログラムを、セルラー電話のようなハンドヘルド装置のメモリにインストールしてもよい。プログラムは、セルラー電話の計算能力を利用して、視覚刺激をコンピュータ計算してもよい。代替的に、刺激画像をサーバ110から送ることを、アプリケーションプログラムの要求があり次第、セルラーネットワーキングプロトコル例えばSMSまたはMMSを用いて、行なってもよい。
【0045】
任意的には、視覚画像の中には、ハンドヘルド装置によって生成されたものもあるし、サーバによって生成されたものもある。
本発明のいくつかの実施形態では、アプリケーションプログラムはセルラー電話ゲームと同様に実行されてもよい。
【0046】
本発明の一実施形態では、セルラー電話内にすでに存在するメモリにアプリケーションプログラムをロードすることを、分配位置で有資格者が任意的にセルラー電話の送受話器に接続して機能する適切な手段を用いて行なってもよい。あるいは、アプリケーションプログラムのロードを、送受話器内の既存のスロット(例えばSIMS)にさらなるメモリをインストールすることによって行なってもよい。
【0047】
さらに別の実施形態では、アプリケーションプログラムのロードを、セルラーネットワーキングプロトコルを用いてアプリケーションを無線でダウンロードすることによって、行なってもよい。
【0048】
この場合、アプリケーションを一度ロードして、複数のセッションに対して用いてもよいし、あるいは、アプリケーションを各訓練セッションの前にダウンロードしてもよい。
【0049】
アプリケーションローディング214が完了した後、被訓練者は訓練セッション216を開始してもよい。
ステップには、例えばパームPC、iPod、携帯型デジタルゲーム、もしくはPDA、または同様のもののような、他のタイプのハンドヘルド装置を用いることが伴う。この場合のプログラムのローディング214の方法には、有線または無線通信手段例えばLAN、USB、赤外(IR)、ブルートゥース、RF−LANなどを用いることが伴ってもよい。
【0050】
訓練セッション
図2bに、本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための方法における訓練セッションのいくつかの詳細を示す。
【0051】
被訓練者がハンドヘルド装置にインストールされたアプリケーションプログラムにアクセスすることによって訓練セッション252を要求したときに、訓練セッション216が開始する。
【0052】
アプリケーションプログラムは、許可チェック254を行なって、ユーザが訓練セッションの権利を有するか否かを検証する。これは、ハンドヘルド装置内でローカルに行なうこともできるし、サーバ110から許可を要求することによって行なうこともできる。
【0053】
許可方法を1つまたはいくつか組み合わせて用いてもよい。ユーザにパスワードの入力を要求してもよいし、ハンドヘルドID例えばセルラー電話の電話番号をサーバが検証してもよいし、サーバが適時に行なわれる支払いまたは他の課金情報をチェックしてもよいし、すでに警告されて使用されているセッションの数を、支払われているセッションの数と比較してもよい。その代わりにまたはそれに加えて、過去のセッションの実施状態の一貫性を分析して、何人かの異なるユーザがアプリケーションを共有しているか否かを判定してもよい。
【0054】
許可が与えられない場合、アプリケーションは、警告メッセージ例えば「セッション不許可」メッセージ256を表示してもよく、訓練セッションは開始しない。
許可が与えられた場合、アプリケーションは予定されているセッションの指示258を任意的に表示する。経験のある被訓練者の場合は、この指示を省略してもよい。
【0055】
各訓練セッションには複数の練習が含まれている。練習を開始するために、アプリケーションは練習パラメータ260をセットする。任意的には、プログラムをローディングする間に練習パラメータ260をすべての訓練セッションについてプリセットする。あるいは、練習パラメータの計算をサーバ110上で行なって、ハンドヘルド装置に送信してもよいし、またはパラメータを、ハンドヘルド装置内のアプリケーションが計算してもよい。
【0056】
任意的には、被訓練者の進歩状態はパラメータを計算するのに用いられる。任意的には、離れた場所にいる有資格者が時々、被訓練者が達する進歩状態を見て、相応にパラメータを調整する。この場合、被訓練者の進歩状態は、任意的には、有資格者によって、任意的にはインターネットを用いて、アクセスされて評価される。
【0057】
パラメータは、視覚刺激として用いるべき画像のタイプ、そのサイズ、そのコントラスト、刺激の順序、各刺激の表示時間、画像間の遅延などを規定する。またパラメータは、各視覚作業に対して、正しいユーザ応答264が何であるか、および応答264を与えるべき時間間隔が何であるかを規定する。任意的には、パラメータは、最大の時間間隔(ユーザが応答しない場合、この時間間隔を過ぎると、作業が省略されるかまたはセッションが休止されるかもしくは終了する)も規定する。
【0058】
任意的には、プログラムは、被訓練者の応答を分析して、応答のタイプに基づいて(および任意的には応答の時間に基づいて)得点を与える。
任意的にはフィードバック265は視覚作業の後に被訓練者に表示される。あるいは、平均得点もしくはフィードバックまたは両方を、練習の終了266またはセッションの終了270の時点で表示する。一般的に、フル練習についてのパラメータを、事前に計算する。画像のパラメータは必ずしも、先行する作業に対するユーザ応答によって決まるわけではない。
【0059】
視覚作業
視覚作業では、被訓練者に視覚刺激または画像シーケンス262を示し、また被訓練者に、画像を観察して応答するように要求する。
【0060】
例えば、視覚作業では、被訓練者は、画像内で視覚ターゲットの位置を見つけて、画像内でターゲットの位置を見つけたか否かをはい/いいえで応答することが求められる。
あるいは、画像のシーケンスを表示してもよく、被訓練者は、いつターゲットが現れたか、またはシーケンス内のどの画像にターゲットが含まれているかを確認しなければならない。
【0061】
図3は本技術分野において知られるシーケンスを示す。この典型的なシーケンスは2つの画像からなる。ターゲット構造314および側面構造312が含まれる第1の画像310と、側面構造312のみが含まれる第2の画像320である。この例の正しい応答は、例えばキー#1を押して、ターゲットが第1の画像内にあったことを特定することである。
【0062】
対照的に、図4aは、少なくとも2つの画像410、420のシーケンスを示す。それぞれに、複数の側面構造312および少なくとも1つのターゲット構造が含まれているが、ターゲット構造314および424は強度が異なっている。ターゲットの強度は、サイズ、コントラスト、影または色彩の違いなどであってもよい。
【0063】
あるいは2つを超える画像のシーケンス例えば410、420、および430を、任意的には周期的な仕方で示してもよい。適切なユーザ応答は、最も高い強度を有するターゲットが示されたときに応答することであろう。あるいは、視覚作業は、画像のシーケンスの1つにおいてターゲットが存在しないことを確認することであってもよい。あるいは、側面構造を消失させてもよく、視覚作業はこのターゲットの強度の変化を確認することである。
【0064】
あるいは、視覚作業は、シーケンス内の画像の数をカウントすることであってもよい。例えば、画像の集合、いくつかの同一、同様、または別個の画像を、高速のシーケンス中に被訓練者に提示してもよく、被訓練者の作業は、シーケンス内の画像の数、シーケンス内の異なる画像または同一の画像の数などを特定することである。その代わりに、またはそれに加えて、視覚作業は、示された画像の変化を特定することであってもよい。
【0065】
同様に、被訓練者は、画像内のターゲットの場所(例えば左/右/上/下)を特定することによって応答するように要求されてもよい。このような作業の例を、図4bに見ることができる。同図では2つの画像が見られる。第1の画像450ではターゲットは左側に位置し、第2の画像460ではターゲットの位置は右側である。
【0066】
本発明の別の実施形態では、少なくとも2つの画像を示す。これらの画像の少なくとも1つは、表示時間が異なる。例えば、第1の画像は、100ミリ秒の時間だけ表示して、第2の画像は130ミリ秒の時間だけ表示してもよい。視覚作業は、より長い(またはより短い時間)だけ表示された画像を特定することである。時間が長くて差が大きければ、この作業は容易であることは、明瞭に理解される。
【0067】
訓練プログラムは、このような容易な作業から始まって、より難しい設定へと進んでもよい。
このような視覚作業の多数の組み合わせを、当業者であれば形成することができる。
【0068】
図4cに、種々のサイズの数字が示された画像470を示す。
同様に、種々の長さの単語を含む画像を、速読能力を開発するために短い時間だけ被訓練者に示してもよい。この場合、被訓練者には、例えば画像に正当な単語が含まれているかどうかを特定することが求められる。
【0069】
他の作業をデザインすることもできる。例えば、ターゲット強度がゆっくりと増す画像において、作業を、ターゲットの場所が判定されたらすぐに、またはターゲットが観察されたらすぐに、キーを押すこととする場合である。
【0070】
作業は、パラメータに基づいて、正しい応答であったことに対して、および任意的には、応答に被訓練者が要した時間によって、得点される。
別のタイプの視覚作業では、被訓練者による視覚画像処理の速度を高めることを目的としてもよい。画像のシーケンスを、画像間の遅延を小さくしながら示す。
【0071】
画像のシーケンスには、マスキング画像に続いてターゲット画像が含まれていてもよい。ターゲット画像の表示時間は、被訓練者が自分の得点を上げるにつれて短くなる。ターゲット画像は、数字、番号、文字や単語、または特定可能な画像であってもよい。
本発明者と同僚による現在の研究により、訓練によって、画像を処理する速度を速くできることが分かっている。
【0072】
図5は、視覚の分解能を改善しようと考えている人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。画像500には、狭いギャップによって分離された少なくとも一対の線が含まれている。図5の例では、このような対が3つ示されている。ゼロギャップ510、狭いギャップ520、および広いギャップ530である。人間の脳。好ましい実施形態では、ターゲット画像を短い時間だけ表示した後に、マスキング画像(ターゲット画像と同様だが、少なくとも1つの違いがある)を表示する。好ましくは、2つの画像を、視野内の同じかまたは近い場所に示す。訓練は、2つの画像を長時間離しておくこと(例えば0.3〜1秒)から始める。被訓練者が速度を増すにつれて、時間間隔を短くする。そのうち短い時間間隔において、第2の画像のマスキング効果のために、人はターゲットを特定することがもはやできなくなる。正常な人の場合、この時間間隔は、ほぼ180ミリ秒である。難読症患者の場合、もっと長い時間が観察された。実験によって、この時間は30ミリ秒まで短くなり得ることが分かっている。日常生活において、人間の視覚系は視覚信号によって「攻撃される」ため、脳の処理速度は視覚認知に対する制限要因の1つとなっており、それを改善することによって、視覚の改善が、視覚の光学的構成要素を実際には変えることなく行なわれ得る。同様に、難読症患者の状態が、このタイプの訓練によって改善し得る。線、隙間、および背景は、色およびコントラストが異なっていてもよい。線は種々の長さおよび方位であってもよい。
この例では、被訓練者は、狭いギャップを特定するように要求される。
【0073】
図6aから6cは、視覚刺激の実施形態の別の説明図である。この例では、被訓練者は、線の中央のセクションがどの方向に変位しているかを特定するように要求される。すなわち、画像630に示すように右に変位か、画像620に示すように左に変位か、または画像610に示すように少しも変位していないかである。
【0074】
図7は、視覚刺激の実施形態の別の説明図である。この例では、画像710に、ターゲット構造714および2つの側面構造712が含まれている。被訓練者は、ターゲット構造714の最上部のセクションが変位しているかどうか、またそうである場合にはどの方向に変位しているかを特定するように要求される。
【0075】
フィードバック
被訓練者に成功の度合いについて通知するフィードバックを与えることを、応答265の直後に、または平均得点として各練習の終わり266に、またはセッションの終わり270に、またはこれらの方法のいくつかを組み合わせて、行なってもよい。
【0076】
各練習の終わりに、アプリケーションは、セッションがその終了268に達したかどうかを判定する。そうである場合には、アプリケーションはセッション270を閉じることを、任意的には被訓練者にセッション中のその進歩状態についてのフィードバックを与えることによって、および任意的にはサーバ110にセッションに関する情報を送信することによって行なう。そして、アプリケーションは停止する272。
【0077】
任意的には、サーバは、sのそれぞれまたはいくつかの終わりに、またはセッションまたは練習のそれぞれまたはいくつかの終わりに、情報を受け取る。練習は、被訓練者の個々の進歩状態に基づいて、これを本人の応答の本人の履歴記録によって判断することで、任意的には同様の条件での被訓練者による平均進歩状態と比較することで、得点してもよい。
【0078】
セッション中に訓練が中断された場合(例えばハンドヘルド装置がセルラー電話であって、このセルラー電話が着信コールを受け取った場合)、アプリケーションを、通話の時間中は休止して通話が終了したときに再開するように構成してもよい。あるいは、アプリケーションは、中断時に停止してもよいし、停止せずに最大時間の間休止してもよい。セルラー電話の呼鈴装置または振動モードを、訓練セッション中の着信コールによる中断を可能にするかまたは防止するために、アクティブまたはインアクティブとするように構成してもよい。
【0079】
任意的には、アプリケーションを、中断の後に、作業を再開するか、または練習を再開するか、またはセッションを再開するように、構成してもよい。アプリケーションがセッション途中で停止した場合、アプリケーションが、停止したところで開始するかまたはセッションを再開するように、構成してもよい。
【0080】
任意的には、練習の組を用意してもよい。各練習はそのパラメータによって規定される。好ましくは、練習は、難しさのレベルが上がるように配置する。被訓練者は、任意的には、より難しい練習を始めるのは、先行する練習において最小の得点に達した場合のみであってもよい。
【0081】
課金および無許可ユーザによる悪用の回避手段
本発明に従う方法に対しては、複数の支払いモードを適用することができる。
【0082】
アプリケーションプログラムがインストールされたときに、固定料金を課金することができる。この支払いによって、被訓練者はアプリケーションを設定されたカレンダ期間だけ、任意的には一日当たり設定された数のセッションだけ、用いることを可能とすることができる。
【0083】
あるいは、設定された数のセッションの全体が、プリセットされた進歩状態に達するまで可能となる。あるいは、「使用ごと」の料金を課金することもできる。これは、セッションが要求されるたびに、サーバ110が起こすものである。あるいは、サーバ110とハンドヘルド装置118との間の通信に対してセルラーネットワークが課金する「通信時間」料金を、アプリケーションプロバイダと分担することもできる。
【0084】
コンピュータプログラムの無許可のコピーまたは使用を防止するための方法(例えばハードウェアキーまたはパスワード生成装置)を、アプリケーションを保護するために使用してもよい。
【0085】
本発明を、ある特定の典型的な実施形態を参照して説明してきたが、種々の変更が当業者には容易に明らかであり、また前述の教示の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって容易に行なわれ得る。
【0086】
なお、一実施形態について説明した特徴および/またはステップを他の実施形態とともに使用してもよいこと、また本発明のすべての実施形態が、特定の図に示すかまたは実施形態の1つについて説明したすべての特徴および/またはステップを有するわけではないことを、理解されたい。説明した実施形態の変形は、当業者であれば想起されるものである。
【0087】
また、前述した実施形態の一部は、本発明者が考えた最良の形態を説明し得るものであり、したがって本発明にとって本質的ではない場合があり例として説明した構造、作用、または構造および作用の詳細を含む場合があることに注意されたい。本明細書で説明した構造および作用は、同じ機能を行なう均等物と置換可能であり、これは、構造または作用が異なる場合であっても当てはまることは、本技術分野で知られている通りである。したがって本発明の範囲は、請求項において使用される要素および限定によってのみ限定される。用語「備える」、「含む」およびそれらの同根語は、本明細書で用いる場合、「含むが必ずしもこれに限定されない」を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系の訓練をハンドヘルドディスプレイユニットに前記人間に対する視覚刺激を示すことによって行なうシステムを示す図である。
【図2a】本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系の訓練をハンドヘルドディスプレイユニットに前記人間に対する視覚刺激を示すことによって行なう方法を示す図である。
【図2b】本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための方法における訓練セッションのいくつかの詳細を示す図である。
【図3】本技術分野で知られている人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図4a】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図4b】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図4c】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図6a】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図6b】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図6c】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、視覚改善の分野に関し、具体的には、セルラー電話またはモバイルディスプレイユニットを用いて視覚認知を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の視覚は、2つの別個のプロセスの産物であり、これらが協働して、人が「見る」画像を形成する。これらのプロセスの1つ(本明細書では物理的構成要素と言う)は、目の種々の要素の物理的な構造に関係し、また、目が入射光をどのように取り扱って処理するかに関係する。角膜の形状、網膜の壁、または視神経の欠陥は、人の目の機能を損なわせることがあり、したがって画像を認知する能力を損なわせるかまたは無くしてしまうことがある。これらの欠陥のいくつかは、メガネまたはコンタクトレンズを用いることによって、または外科手術によって矯正することができる。
【0003】
人間が画像を見られるようにすることに関与する第2のプロセスを、本明細書では神経学的構成要素と言う。この構成要素は、脳内での神経の処理に関係し、また、脳が目から送られた情報をどのように分析して画像を生成するかに関係する。人は視覚プロセスのこの構成要素においても同様に多くの欠陥を有することがある。
【0004】
物理的構成要素および神経学的構成要素は協働して、人が見る画像、より正確には人が認知する画像を形成する。用語「認知する」は好ましい。なぜならば、物理的構成要素によってある特定の詳細が捕捉され得るが、神経学的構成要素に欠陥があると、この詳細を歪めて破壊することがあるからである。あるいは、神経学的構成要素の能力が効率的であると画像が改善される場合がある。したがって、人が見る画像は正確には、目が捕捉するものではない場合がある。その結果、認知される画像は、詳細には、目が見る画像とは異なる場合がある。こうして、人間の視覚認知のプロセス全体を本明細書では視覚プロセスと言う。
【0005】
訓練によって被験者の視覚認知が改善され得ることが明らかになっている。この訓練には一般的に、被訓練者に画像を表示することが伴う。
【0006】
ポラット、ウリによる「視覚認知を改善するためのシステムおよび方法」(特許文献1)には、弱視として知られている視覚認知プロセスの神経学的構成要素における良く知られた欠陥を改善するための方法が記載されている。この出願は、ポラットらが2005年4月5日に出願した「通信ネットワーク上でユーザの視覚認知を改善するための方法およびシステム」(特許文献2)として公開済みであり、本明細書において参照により取り入れられている。
【0007】
B.A.サベルらにより2001年4月25日に出願され、2002年10月15日に特許発行された「人間の視覚を訓練するためのプロセスおよび装置」(特許文献3)には、視覚が劣化していないゾーンと視覚が劣化しているゾーンとを有する人間の視覚系を訓練するためのプロセスが示されている。
【0008】
本技術分野において訓練用に使用される画像ディスプレイ装置は、一般的に大きくて扱いにくく、被訓練者が容易に携帯することができない。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0109800号明細書
【特許文献2】米国特許第6876758号明細書
【特許文献3】米国特許第6464356号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の主要な目的は、視覚能力の改善を希望する人が訓練装置を携帯できて、希望すればいつでもどこでも視覚訓練を可能にするシステムおよび方法を提供することである。
【0010】
本発明の方法およびシステムは、容易に用いることができ、被訓練者による準備および労力はほとんど必要としない。
【0011】
本発明に従う方法およびシステムでは、広く使用されて良く知られているハンドヘルド装置例えばセルラー電話およびセルラーネットワークのインフラストラクチャを用いる。視覚ディスプレイを有する他のモバイルデジタル装置を用いてもよい。例えば、ポケットPC、パームコンピュータ、電子ノートブック、携帯情報端末(PDA)、さらにいくつかのデジタル音楽プレーヤ例えばiPod、および携帯型デジタルゲーム装置例えば「ゲームボーイ」を本発明により使用してもよい。
【0012】
本発明の方法は、容易に実施することができ、幅広い用途に適している。
本発明の典型的な実施形態では、視覚認知を改善するためのシステムには、サーバコンピュータに無線で接続されたハンドヘルド装置が含まれる。ハンドヘルド装置には、視覚刺激を表示するためのディスプレイ、ユーザ入力のための手段、およびユーザにフィードバックをもたらすための手段が含まれる。
【0013】
ハンドヘルド装置は、セルラー電話、パームコンピュータ、PDA、電子ノートブック、iPod、携帯型デジタルゲーム装置、または同様のものであってもよい。装置の内臓ディスプレイを、視覚刺激を表示するために用いる。ユーザ応答を、入力手段を用いて入力する。これは例えば、セルラー電話のキーパッド、PDAのタッチスクリーン、キーもしくはスイッチ、またはマイクロフォンである。
【0014】
視覚刺激には、英数字文字が含まれていてもよい。あるいは、刺激には、少なくとも1つのターゲット構造および少なくとも1つの側面構造が含まれていてもよく、異なる画像におけるターゲット構造は、強度が異なっている。別の実施形態では、視覚刺激には画像のシーケンスが含まれていて、これには、ターゲット画像に続いてマスキング画像が、またはマスキング画像に続いてターゲット画像が含まれていてもよい。
【0015】
視覚能力の改善のためにハンドヘルド装置を用いる方法には、以下のステップが含まれる。(a)ユーザをサーバコンピュータに登録する、(b)アプリケーションプログラムをハンドヘルド装置にロードする、および(c)アプリケーションプログラムをハンドヘルド装置上で実行する。
【0016】
任意的には、各訓練セッションの始まりにおいて、アプリケーションプログラムはサーバコンピュータに無線で連絡を取って、訓練セッションに対する許可を検証する。任意的には、各訓練セッションの間またはその終わりに、アプリケーションプログラムは、サーバコンピュータに無線で連絡を取り、ユーザに、間違ったユーザ応答および正しいユーザ応答の数から計算された得点を報告する。任意的には、各訓練セッションの始まりにおいて、アプリケーションプログラムは、サーバコンピュータに無線で連絡を取り、ユーザに示すべき画像を計算するために必要なパラメータをダウンロードする。
【0017】
本発明の一態様では、人間の視覚系を前記人間に視覚刺激を示すことによって訓練するためのシステムであって、被訓練者に視覚刺激を表示するためのディスプレイと前記刺激に応答して前記被訓練者から示された入力を受け取るための入力手段とを備えるハンドヘルドディスプレイユニット装置であって、被訓練者によって保持されるように構成されたデジタルモバイル装置であるハンドヘルド装置と、サーバコンピュータとを備え、前記サーバが前記ハンドヘルドディスプレイユニットに無線で接続されている、人間の視覚系を訓練するためのシステムが提供される。
【0018】
本発明の一実施形態では、人間の視覚系を訓練するためのシステムにおいて、前記ハンドヘルドディスプレイユニット装置はセルラー電話である。
本発明の別の実施形態では、人間の視覚系を訓練するためのシステムにおいて、前記ハンドヘルドディスプレイユニット装置はパームコンピュータである。
【0019】
本発明の別の実施形態では、前記システムを使用することは、セルラーネットワークプロバイダによって課金される。
本発明の別の実施形態では、システムはさらに、前記ハンドヘルド装置にインストールされたアプリケーションに対する許可を与えるためにハンドヘルド装置と通信することができるサーバコンピュータを備える。
【0020】
本発明の別の態様では、ハンドヘルド装置に人間に対する視覚刺激を示すことによって前記人間の視覚系を訓練するための方法であって、前記人間の視覚の欠陥を特定するステップと、訓練プログラムをハンドヘルド装置にロードするステップと、前記訓練プログラムを用いて、前記視覚刺激を前記ハンドヘルドユニットに表示するステップと、を含む人間の視覚系を訓練するための方法が提供される。
【0021】
本発明の一実施形態では、人間の視覚系を訓練するための方法において、前記視覚刺激には少なくとも1つの英数字文字が含まれる。
本発明の別の実施形態では、前記視覚刺激に少なくとも1つの画像が含まれ、前記画像の表示時間が被訓練者の進歩とともに短くなる。
【0022】
本発明の別の実施形態では、前記視覚刺激に少なくとも2つの画像が含まれ、前記画像の少なくとも1つの表示時間が被訓練者の進歩とともに短くなる。
本発明の別の実施形態では、前記視覚刺激に少なくとも2つの画像が含まれ、各画像には少なくとも1つのターゲット構造と少なくとも1つの側面構造とが含まれ、少なくとも1つの前記画像における少なくとも1つの前記ターゲット構造の強度が異なる。
【0023】
本発明の別の実施形態では、視覚刺激には少なくとも、ターゲットを含む第1の画像と、前記第1の画像をマスキングするための前記第1の画像と同様の第2の画像とが含まれ、第1の画像の表示と第2の画像の表示との間の時間間隔を被訓練者の進歩とともに短くする。
本発明の別の実施形態では、第1の画像の表示と第2の画像の表示との間の時間間隔が、1秒と0.01秒との間である。
【0024】
本発明のさらなる特徴および優位性は、本明細書に含まれる図面および説明から明らかとなる。
本発明の典型的な実施形態について、以下のセクションにおいて図面を参照して説明する。同じ参照番号を用いて、異なる図面上の同じ特徴または関連する特徴を指定する。図面は概して、一定の縮尺では描かれていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下の詳細な説明は、本発明を行なう上で現時点で考えられる最良の形態である。この説明は、限定の意味で理解されるべきものではなく、単に本発明に従う一般的な原理を例示するために作成されている。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって最も良く規定される。
【0026】
ハンドヘルド装置
図面を参照すると、図1には、本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系を、ハンドヘルドディスプレイユニットに前記人間に対する視覚刺激を示すことによって訓練するためのシステム100が例示されている。
【0027】
この典型的な実施形態では、被訓練者は、ハンドヘルド装置118例えばセルラー電話を用いて、視覚刺激を見る。視覚刺激は、ハンドヘルド装置にインストールされたプログラムによってハンドヘルド装置に記憶されたパラメータに従って生成される。前記プログラムは、訓練セッションの間、ハンドヘルド装置を制御する。
【0028】
あるいは、ハンドヘルド装置118は、パームコンピュータ、ポケットPC、PDA、電子ノートブック、iPodプレーヤ、または同様のものであってもよい。
ハンドヘルドディスプレイユニット装置118にはディスプレイ120とユーザ入力手段例えばキーパッド112が含まれる。訓練セッションでは、被訓練者は、視覚刺激または一連の視覚刺激を観察することを含む視覚作業(タスク)を行なうように要求され、それに応答する。
【0029】
ユーザ入力は、他の入力手段を用いてハンドヘルド装置によって任意的に受け取られてもよい。他の入力手段としては、例えば、セルラー電話内の内蔵マイクロフォンを用いた音声コマンド、ヘッドセットアタッチメントのモバイル「ハンズフリー」上のスイッチ、ポケットPCもしくはパームコンピュータもしくはPDAにおけるタッチスクリーンセンサ、またはハンドヘルド装置118の一部であるかもしくは装置118に接続された他の入力手段である。
【0030】
ハンドヘルド装置は、ユーザ応答を分析して、この作業に付随する基準に基づいて応答が正しかったか否かを判定する。
この作業に付随する基準には、刺激に対するユーザの反応時間が含まれていてもよい。反応が長く遅れた場合には、ユーザによる視覚処理が遅いことを示す場合があり、一方で、反応が異常に速い場合には、ユーザが、画像を実際には認知せずに推測していることを示す場合がある。
【0031】
任意的には、ユーザ入力に対する応答として、プログラムは、複数の出力手段を用いてユーザに送信するべきフィードバックを生成する。
出力手段は、ハンドヘルド装置に備え付けられた1つまたは複数の聴覚的または視覚的出力手段であってもよい。例えば、テキストまたは画像のメッセージをスクリーン120に表示してもよく、音または音声メッセージをスピーカ124を用いて生成することもできる。その代わりにまたはそれに加えて、他の出力手段、例えば振動、着信音、または信号光を、利用可能であればいつでも用いてよい。
【0032】
任意的には、プログラムが与えるフィードバックは、アプリケーションを効率良く用いるように被訓練者を励ますように、励みになる記述例えば「順調な進歩」を含んでもよい。
任意的には、ハンドヘルド装置とともにいくつかのアクセサリを用いてもよい。例えば、ヘッドセットまたはハンズフリーアタッチメントを、本発明の実施形態に従うハンドヘルド装置として使用するセルラー電話に接続することができる。ヘッドセットは通常、イヤホン、マイクロフォン、および少なくとも1つのプッシュボタンキーを備える。プッシュボタンキーは、ユーザ入力を例えばマイクロフォンおよび/またはプッシュボタンによって受け取り、またイヤホンを通して音または音声としてフィードバックを与えるための入出力手段として使用され得る。コード付きのヘッドセットまたは無線ヘッドセット、例えば「ブルートゥース」ヘッドセットを用いてもよい。任意的には、他のアクセサリ例えば大画面ディスプレイを用いてもよい。
【0033】
ディスプレイ120と被訓練者の目との間の距離は、視覚の欠陥および訓練のタイプに応じて変更してもよい。ある訓練セッションでは、被訓練者に、ハンドヘルド装置を腕の長さだけ離して保持するように指示する。この状況では、ディスプレイは、視野のほぼ10度を占めることになる。より大きいディスプレイ、例えば本技術分野で用いられるコンピュータスクリーンとは対照的に、小型ディスプレイ、例えばセルラー電話で使用されるものは、ほぼ0.5メートル以上の距離に保持された場合、中央視野のみついての訓練となる。
【0034】
近視能力を改善するために、被訓練者に、ハンドヘルド装置を自分の目からもっと近い距離(例えば30または40cm)に保持するように要求する場合がある。あるいは、ハンドヘルド装置をもっと遠い距離例えば1メートル以上に配置するように被訓練者が言われる場合がある。この場合、入力/出力アクセサリを用いることが好ましい。
【0035】
被訓練者に、セッションの間、自分のメガネまたはコンタクトレンズを外すように要求するか、または特別なメガネを着用するように要求する場合がある。各目を、他方の目を覆うことによって別個に訓練してもよいし、両方の目を一度に訓練してもよい。
【0036】
サーバとのネットワーク接続
本発明の一実施形態では、システム100はサーバコンピュータ110を備える。
【0037】
サーバ110は時々、例えば、インターネットおよび/または電話網を用いてセルラー基地局114に接続することや、電波を用いてハンドヘルド装置に接続することによって、ハンドヘルド装置に接続され得る。
【0038】
あるいは、ハンドヘルド装置118を、サーバ110に接続された別のコンピューティング装置(図示せず)にローカルに接続してもよい。例えば、パームコンピュータをローカルなPCに、ケーブル、IR、またはRFを介して接続してもよく、またローカルなPCを、例えば電話機モデム、ADSL、LAN、または他の手段を用いてサーバに接続してもよい。このようにして、サーバとハンドヘルド装置との間のメッセージを交換してもよい。メッセージをこのように交換することは、両方の接続が同時にアクティブとはなっていない場合であっても、行なってよい。種々の通信プロトコルを、サーバ110とハンドヘルド装置118との間の情報を交換するために用いてもよい。例えば、SMSおよびMMSは、セルラーネットワークによって広くサポートされており、短いテキスト、データ、および画像の交換を可能にするものである。他の、より広帯域のデータ交換プロトコルも存在する。
【0039】
サーバは、後に詳細に説明するように、ハンドヘルド装置に対して種々のサービスを行なってもよい。例えば、サーバは、ハンドヘルド装置を保持するユーザによるセッションを可能にするための許可コードを保持してもよいし、サーバは、アプリケーションプログラムをハンドヘルド装置にロードしてもよいし、またはサーバは、被訓練者の訓練の進行状態をモニタすることを、ハンドヘルド装置からユーザ入力を受け取って分析することによって行なってもよいし、任意的には、視覚刺激を生成するために使用されるプログラムまたはパラメータを変更してもよい。
任意的には、サーバを用いて、訓練アプリケーションの利用に応じた課金情報を得てもよい。
【0040】
動作方法
図面を参照すると、図2aおよび2bに示すのは、本発明に従う方法を示すブロック図である。これらの図面では、破線で示すボックスは任意的なステップを表わし、二重線で示すボックスは、情報が検査されるステップおよび判定がなされるステップを表わす。いくつかの任意的なステップは、明細書本文では説明しているが、図面には示していない。
【0041】
2aは、本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系の訓練をハンドヘルドディスプレイユニットに前記人間に対する視覚刺激を示すことによって行なう方法の説明図である。
【0042】
被訓練者は、訓練を受けるためには、訓練アプリケーションのプロバイダに登録しなければならない。
任意的には、登録210は、プロバイダオフィスまたは診療所を訪問して、そこで任意的には、視覚能力を好ましくは有資格者が検査すること212を伴う。検査210は、登録プロセスの前または後に任意の異なる場所で行なってもよい。あるいは、被訓練者は、さらなる検査が不必要となるように、既知の診断を本人担当医師または検眼士に調べてもらってもよい。
【0043】
あるいは、インターネットを介してまたはハンドヘルド装置用いた検査セッションを用いて、検査を行なうこともできる。これは例えば、将来の被訓練者とプロバイダとの通話の間に、画像転送プロトコル例えばMMSを用いてハンドヘルド装置に視覚刺激を送って、行なうことができる。場合によっては、例えば被訓練者が自分の速読能力を向上させたいと思うときには、検査は必要ではない。
【0044】
課金業務の後、訓練アプリケーションのハンドヘルド装置へのロード214が行なわれる。
本発明に従う方法では、アプリケーションプログラムを、セルラー電話のようなハンドヘルド装置のメモリにインストールしてもよい。プログラムは、セルラー電話の計算能力を利用して、視覚刺激をコンピュータ計算してもよい。代替的に、刺激画像をサーバ110から送ることを、アプリケーションプログラムの要求があり次第、セルラーネットワーキングプロトコル例えばSMSまたはMMSを用いて、行なってもよい。
【0045】
任意的には、視覚画像の中には、ハンドヘルド装置によって生成されたものもあるし、サーバによって生成されたものもある。
本発明のいくつかの実施形態では、アプリケーションプログラムはセルラー電話ゲームと同様に実行されてもよい。
【0046】
本発明の一実施形態では、セルラー電話内にすでに存在するメモリにアプリケーションプログラムをロードすることを、分配位置で有資格者が任意的にセルラー電話の送受話器に接続して機能する適切な手段を用いて行なってもよい。あるいは、アプリケーションプログラムのロードを、送受話器内の既存のスロット(例えばSIMS)にさらなるメモリをインストールすることによって行なってもよい。
【0047】
さらに別の実施形態では、アプリケーションプログラムのロードを、セルラーネットワーキングプロトコルを用いてアプリケーションを無線でダウンロードすることによって、行なってもよい。
【0048】
この場合、アプリケーションを一度ロードして、複数のセッションに対して用いてもよいし、あるいは、アプリケーションを各訓練セッションの前にダウンロードしてもよい。
【0049】
アプリケーションローディング214が完了した後、被訓練者は訓練セッション216を開始してもよい。
ステップには、例えばパームPC、iPod、携帯型デジタルゲーム、もしくはPDA、または同様のもののような、他のタイプのハンドヘルド装置を用いることが伴う。この場合のプログラムのローディング214の方法には、有線または無線通信手段例えばLAN、USB、赤外(IR)、ブルートゥース、RF−LANなどを用いることが伴ってもよい。
【0050】
訓練セッション
図2bに、本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための方法における訓練セッションのいくつかの詳細を示す。
【0051】
被訓練者がハンドヘルド装置にインストールされたアプリケーションプログラムにアクセスすることによって訓練セッション252を要求したときに、訓練セッション216が開始する。
【0052】
アプリケーションプログラムは、許可チェック254を行なって、ユーザが訓練セッションの権利を有するか否かを検証する。これは、ハンドヘルド装置内でローカルに行なうこともできるし、サーバ110から許可を要求することによって行なうこともできる。
【0053】
許可方法を1つまたはいくつか組み合わせて用いてもよい。ユーザにパスワードの入力を要求してもよいし、ハンドヘルドID例えばセルラー電話の電話番号をサーバが検証してもよいし、サーバが適時に行なわれる支払いまたは他の課金情報をチェックしてもよいし、すでに警告されて使用されているセッションの数を、支払われているセッションの数と比較してもよい。その代わりにまたはそれに加えて、過去のセッションの実施状態の一貫性を分析して、何人かの異なるユーザがアプリケーションを共有しているか否かを判定してもよい。
【0054】
許可が与えられない場合、アプリケーションは、警告メッセージ例えば「セッション不許可」メッセージ256を表示してもよく、訓練セッションは開始しない。
許可が与えられた場合、アプリケーションは予定されているセッションの指示258を任意的に表示する。経験のある被訓練者の場合は、この指示を省略してもよい。
【0055】
各訓練セッションには複数の練習が含まれている。練習を開始するために、アプリケーションは練習パラメータ260をセットする。任意的には、プログラムをローディングする間に練習パラメータ260をすべての訓練セッションについてプリセットする。あるいは、練習パラメータの計算をサーバ110上で行なって、ハンドヘルド装置に送信してもよいし、またはパラメータを、ハンドヘルド装置内のアプリケーションが計算してもよい。
【0056】
任意的には、被訓練者の進歩状態はパラメータを計算するのに用いられる。任意的には、離れた場所にいる有資格者が時々、被訓練者が達する進歩状態を見て、相応にパラメータを調整する。この場合、被訓練者の進歩状態は、任意的には、有資格者によって、任意的にはインターネットを用いて、アクセスされて評価される。
【0057】
パラメータは、視覚刺激として用いるべき画像のタイプ、そのサイズ、そのコントラスト、刺激の順序、各刺激の表示時間、画像間の遅延などを規定する。またパラメータは、各視覚作業に対して、正しいユーザ応答264が何であるか、および応答264を与えるべき時間間隔が何であるかを規定する。任意的には、パラメータは、最大の時間間隔(ユーザが応答しない場合、この時間間隔を過ぎると、作業が省略されるかまたはセッションが休止されるかもしくは終了する)も規定する。
【0058】
任意的には、プログラムは、被訓練者の応答を分析して、応答のタイプに基づいて(および任意的には応答の時間に基づいて)得点を与える。
任意的にはフィードバック265は視覚作業の後に被訓練者に表示される。あるいは、平均得点もしくはフィードバックまたは両方を、練習の終了266またはセッションの終了270の時点で表示する。一般的に、フル練習についてのパラメータを、事前に計算する。画像のパラメータは必ずしも、先行する作業に対するユーザ応答によって決まるわけではない。
【0059】
視覚作業
視覚作業では、被訓練者に視覚刺激または画像シーケンス262を示し、また被訓練者に、画像を観察して応答するように要求する。
【0060】
例えば、視覚作業では、被訓練者は、画像内で視覚ターゲットの位置を見つけて、画像内でターゲットの位置を見つけたか否かをはい/いいえで応答することが求められる。
あるいは、画像のシーケンスを表示してもよく、被訓練者は、いつターゲットが現れたか、またはシーケンス内のどの画像にターゲットが含まれているかを確認しなければならない。
【0061】
図3は本技術分野において知られるシーケンスを示す。この典型的なシーケンスは2つの画像からなる。ターゲット構造314および側面構造312が含まれる第1の画像310と、側面構造312のみが含まれる第2の画像320である。この例の正しい応答は、例えばキー#1を押して、ターゲットが第1の画像内にあったことを特定することである。
【0062】
対照的に、図4aは、少なくとも2つの画像410、420のシーケンスを示す。それぞれに、複数の側面構造312および少なくとも1つのターゲット構造が含まれているが、ターゲット構造314および424は強度が異なっている。ターゲットの強度は、サイズ、コントラスト、影または色彩の違いなどであってもよい。
【0063】
あるいは2つを超える画像のシーケンス例えば410、420、および430を、任意的には周期的な仕方で示してもよい。適切なユーザ応答は、最も高い強度を有するターゲットが示されたときに応答することであろう。あるいは、視覚作業は、画像のシーケンスの1つにおいてターゲットが存在しないことを確認することであってもよい。あるいは、側面構造を消失させてもよく、視覚作業はこのターゲットの強度の変化を確認することである。
【0064】
あるいは、視覚作業は、シーケンス内の画像の数をカウントすることであってもよい。例えば、画像の集合、いくつかの同一、同様、または別個の画像を、高速のシーケンス中に被訓練者に提示してもよく、被訓練者の作業は、シーケンス内の画像の数、シーケンス内の異なる画像または同一の画像の数などを特定することである。その代わりに、またはそれに加えて、視覚作業は、示された画像の変化を特定することであってもよい。
【0065】
同様に、被訓練者は、画像内のターゲットの場所(例えば左/右/上/下)を特定することによって応答するように要求されてもよい。このような作業の例を、図4bに見ることができる。同図では2つの画像が見られる。第1の画像450ではターゲットは左側に位置し、第2の画像460ではターゲットの位置は右側である。
【0066】
本発明の別の実施形態では、少なくとも2つの画像を示す。これらの画像の少なくとも1つは、表示時間が異なる。例えば、第1の画像は、100ミリ秒の時間だけ表示して、第2の画像は130ミリ秒の時間だけ表示してもよい。視覚作業は、より長い(またはより短い時間)だけ表示された画像を特定することである。時間が長くて差が大きければ、この作業は容易であることは、明瞭に理解される。
【0067】
訓練プログラムは、このような容易な作業から始まって、より難しい設定へと進んでもよい。
このような視覚作業の多数の組み合わせを、当業者であれば形成することができる。
【0068】
図4cに、種々のサイズの数字が示された画像470を示す。
同様に、種々の長さの単語を含む画像を、速読能力を開発するために短い時間だけ被訓練者に示してもよい。この場合、被訓練者には、例えば画像に正当な単語が含まれているかどうかを特定することが求められる。
【0069】
他の作業をデザインすることもできる。例えば、ターゲット強度がゆっくりと増す画像において、作業を、ターゲットの場所が判定されたらすぐに、またはターゲットが観察されたらすぐに、キーを押すこととする場合である。
【0070】
作業は、パラメータに基づいて、正しい応答であったことに対して、および任意的には、応答に被訓練者が要した時間によって、得点される。
別のタイプの視覚作業では、被訓練者による視覚画像処理の速度を高めることを目的としてもよい。画像のシーケンスを、画像間の遅延を小さくしながら示す。
【0071】
画像のシーケンスには、マスキング画像に続いてターゲット画像が含まれていてもよい。ターゲット画像の表示時間は、被訓練者が自分の得点を上げるにつれて短くなる。ターゲット画像は、数字、番号、文字や単語、または特定可能な画像であってもよい。
本発明者と同僚による現在の研究により、訓練によって、画像を処理する速度を速くできることが分かっている。
【0072】
図5は、視覚の分解能を改善しようと考えている人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。画像500には、狭いギャップによって分離された少なくとも一対の線が含まれている。図5の例では、このような対が3つ示されている。ゼロギャップ510、狭いギャップ520、および広いギャップ530である。人間の脳。好ましい実施形態では、ターゲット画像を短い時間だけ表示した後に、マスキング画像(ターゲット画像と同様だが、少なくとも1つの違いがある)を表示する。好ましくは、2つの画像を、視野内の同じかまたは近い場所に示す。訓練は、2つの画像を長時間離しておくこと(例えば0.3〜1秒)から始める。被訓練者が速度を増すにつれて、時間間隔を短くする。そのうち短い時間間隔において、第2の画像のマスキング効果のために、人はターゲットを特定することがもはやできなくなる。正常な人の場合、この時間間隔は、ほぼ180ミリ秒である。難読症患者の場合、もっと長い時間が観察された。実験によって、この時間は30ミリ秒まで短くなり得ることが分かっている。日常生活において、人間の視覚系は視覚信号によって「攻撃される」ため、脳の処理速度は視覚認知に対する制限要因の1つとなっており、それを改善することによって、視覚の改善が、視覚の光学的構成要素を実際には変えることなく行なわれ得る。同様に、難読症患者の状態が、このタイプの訓練によって改善し得る。線、隙間、および背景は、色およびコントラストが異なっていてもよい。線は種々の長さおよび方位であってもよい。
この例では、被訓練者は、狭いギャップを特定するように要求される。
【0073】
図6aから6cは、視覚刺激の実施形態の別の説明図である。この例では、被訓練者は、線の中央のセクションがどの方向に変位しているかを特定するように要求される。すなわち、画像630に示すように右に変位か、画像620に示すように左に変位か、または画像610に示すように少しも変位していないかである。
【0074】
図7は、視覚刺激の実施形態の別の説明図である。この例では、画像710に、ターゲット構造714および2つの側面構造712が含まれている。被訓練者は、ターゲット構造714の最上部のセクションが変位しているかどうか、またそうである場合にはどの方向に変位しているかを特定するように要求される。
【0075】
フィードバック
被訓練者に成功の度合いについて通知するフィードバックを与えることを、応答265の直後に、または平均得点として各練習の終わり266に、またはセッションの終わり270に、またはこれらの方法のいくつかを組み合わせて、行なってもよい。
【0076】
各練習の終わりに、アプリケーションは、セッションがその終了268に達したかどうかを判定する。そうである場合には、アプリケーションはセッション270を閉じることを、任意的には被訓練者にセッション中のその進歩状態についてのフィードバックを与えることによって、および任意的にはサーバ110にセッションに関する情報を送信することによって行なう。そして、アプリケーションは停止する272。
【0077】
任意的には、サーバは、sのそれぞれまたはいくつかの終わりに、またはセッションまたは練習のそれぞれまたはいくつかの終わりに、情報を受け取る。練習は、被訓練者の個々の進歩状態に基づいて、これを本人の応答の本人の履歴記録によって判断することで、任意的には同様の条件での被訓練者による平均進歩状態と比較することで、得点してもよい。
【0078】
セッション中に訓練が中断された場合(例えばハンドヘルド装置がセルラー電話であって、このセルラー電話が着信コールを受け取った場合)、アプリケーションを、通話の時間中は休止して通話が終了したときに再開するように構成してもよい。あるいは、アプリケーションは、中断時に停止してもよいし、停止せずに最大時間の間休止してもよい。セルラー電話の呼鈴装置または振動モードを、訓練セッション中の着信コールによる中断を可能にするかまたは防止するために、アクティブまたはインアクティブとするように構成してもよい。
【0079】
任意的には、アプリケーションを、中断の後に、作業を再開するか、または練習を再開するか、またはセッションを再開するように、構成してもよい。アプリケーションがセッション途中で停止した場合、アプリケーションが、停止したところで開始するかまたはセッションを再開するように、構成してもよい。
【0080】
任意的には、練習の組を用意してもよい。各練習はそのパラメータによって規定される。好ましくは、練習は、難しさのレベルが上がるように配置する。被訓練者は、任意的には、より難しい練習を始めるのは、先行する練習において最小の得点に達した場合のみであってもよい。
【0081】
課金および無許可ユーザによる悪用の回避手段
本発明に従う方法に対しては、複数の支払いモードを適用することができる。
【0082】
アプリケーションプログラムがインストールされたときに、固定料金を課金することができる。この支払いによって、被訓練者はアプリケーションを設定されたカレンダ期間だけ、任意的には一日当たり設定された数のセッションだけ、用いることを可能とすることができる。
【0083】
あるいは、設定された数のセッションの全体が、プリセットされた進歩状態に達するまで可能となる。あるいは、「使用ごと」の料金を課金することもできる。これは、セッションが要求されるたびに、サーバ110が起こすものである。あるいは、サーバ110とハンドヘルド装置118との間の通信に対してセルラーネットワークが課金する「通信時間」料金を、アプリケーションプロバイダと分担することもできる。
【0084】
コンピュータプログラムの無許可のコピーまたは使用を防止するための方法(例えばハードウェアキーまたはパスワード生成装置)を、アプリケーションを保護するために使用してもよい。
【0085】
本発明を、ある特定の典型的な実施形態を参照して説明してきたが、種々の変更が当業者には容易に明らかであり、また前述の教示の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって容易に行なわれ得る。
【0086】
なお、一実施形態について説明した特徴および/またはステップを他の実施形態とともに使用してもよいこと、また本発明のすべての実施形態が、特定の図に示すかまたは実施形態の1つについて説明したすべての特徴および/またはステップを有するわけではないことを、理解されたい。説明した実施形態の変形は、当業者であれば想起されるものである。
【0087】
また、前述した実施形態の一部は、本発明者が考えた最良の形態を説明し得るものであり、したがって本発明にとって本質的ではない場合があり例として説明した構造、作用、または構造および作用の詳細を含む場合があることに注意されたい。本明細書で説明した構造および作用は、同じ機能を行なう均等物と置換可能であり、これは、構造または作用が異なる場合であっても当てはまることは、本技術分野で知られている通りである。したがって本発明の範囲は、請求項において使用される要素および限定によってのみ限定される。用語「備える」、「含む」およびそれらの同根語は、本明細書で用いる場合、「含むが必ずしもこれに限定されない」を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系の訓練をハンドヘルドディスプレイユニットに前記人間に対する視覚刺激を示すことによって行なうシステムを示す図である。
【図2a】本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系の訓練をハンドヘルドディスプレイユニットに前記人間に対する視覚刺激を示すことによって行なう方法を示す図である。
【図2b】本発明の典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための方法における訓練セッションのいくつかの詳細を示す図である。
【図3】本技術分野で知られている人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図4a】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図4b】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図4c】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図6a】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図6b】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図6c】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明のいくつかの典型的な実施形態に従う人間の視覚系を訓練するための視覚刺激の実施形態を示す説明図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間に視覚刺激を提示して前記人間の視覚系を訓練するためのシステムであって、
被訓練者に視覚刺激を表示するためのディスプレイと、前記刺激に応答して前記被訓練者から入力を受け取るための入力手段とを備えるハンドヘルドディスプレイユニット装置であって、前記被訓練者によって保持されるように構成されたデジタルモバイル装置である前記ハンドヘルド装置と、
サーバコンピュータとを備え、
前記サーバが前記ハンドヘルドディスプレイユニットに無線で接続されている、人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項2】
前記ハンドヘルドディスプレイユニット装置はセルラー電話である請求項1の人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項3】
前記ハンドヘルド装置はパームコンピュータである請求項1の人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項4】
前記システムを使用することがセルラーネットワークプロバイダによって課金される請求項2の人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項5】
前記システムはさらに、前記ハンドヘルド装置にインストールされたアプリケーションに対する許可を与えるためにハンドヘルド装置と通信可能なサーバコンピュータを更に備える請求項1の人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項6】
前記サーバはハンドヘルド装置に無線接続され、前記システムの使用は、サーバコンピュータから許可を受け取ることによって無線で可能になる請求項1の人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項7】
ハンドヘルド装置に人間に対する視覚刺激を提示することによって前記人間の視覚系を訓練するための方法であって、
前記人間の視覚の欠陥を特定するステップと、
ハンドヘルド装置に訓練プログラムをロードするステップと、
前記訓練プログラムを用いて前記視覚刺激を前記ハンドヘルドユニットに表示するステップとを備える、人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項8】
前記視覚刺激は少なくとも1つの英数文字を含む請求項7の人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項9】
前記視覚刺激は少なくとも1つの画像を含み、前記少なくとも1つの画像の表示時間は前記被訓練者の進歩とともに短くなる請求項7の人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項10】
前記視覚刺激は少なくとも2つの画像を含み、少なくとも1つの前記画像の表示時間が被訓練者の進歩とともに短くなる請求項7の人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項11】
前記視覚刺激は少なくとも2つの画像を含み、各画像には少なくとも1つのターゲット構造と少なくとも1つの側面構造とが含まれ、少なくとも1つの前記画像における少なくとも1つの前記ターゲット構造の強度が異なる請求項7の人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項12】
視覚刺激は、ターゲットを含む第1の画像と、前記第1の画像をマスキングするための前記第1の画像と同様の第2の画像とを少なくとも含み、第1の画像の表示と第2の画像の表示との間の時間間隔は前記被訓練者の進歩とともに短くされる請求項7の人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項13】
第1の画像の表示と第2の画像の表示との間の時間間隔は1秒と0.01秒との間である請求項12の人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項1】
人間に視覚刺激を提示して前記人間の視覚系を訓練するためのシステムであって、
被訓練者に視覚刺激を表示するためのディスプレイと、前記刺激に応答して前記被訓練者から入力を受け取るための入力手段とを備えるハンドヘルドディスプレイユニット装置であって、前記被訓練者によって保持されるように構成されたデジタルモバイル装置である前記ハンドヘルド装置と、
サーバコンピュータとを備え、
前記サーバが前記ハンドヘルドディスプレイユニットに無線で接続されている、人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項2】
前記ハンドヘルドディスプレイユニット装置はセルラー電話である請求項1の人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項3】
前記ハンドヘルド装置はパームコンピュータである請求項1の人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項4】
前記システムを使用することがセルラーネットワークプロバイダによって課金される請求項2の人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項5】
前記システムはさらに、前記ハンドヘルド装置にインストールされたアプリケーションに対する許可を与えるためにハンドヘルド装置と通信可能なサーバコンピュータを更に備える請求項1の人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項6】
前記サーバはハンドヘルド装置に無線接続され、前記システムの使用は、サーバコンピュータから許可を受け取ることによって無線で可能になる請求項1の人間の視覚系を訓練するためのシステム。
【請求項7】
ハンドヘルド装置に人間に対する視覚刺激を提示することによって前記人間の視覚系を訓練するための方法であって、
前記人間の視覚の欠陥を特定するステップと、
ハンドヘルド装置に訓練プログラムをロードするステップと、
前記訓練プログラムを用いて前記視覚刺激を前記ハンドヘルドユニットに表示するステップとを備える、人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項8】
前記視覚刺激は少なくとも1つの英数文字を含む請求項7の人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項9】
前記視覚刺激は少なくとも1つの画像を含み、前記少なくとも1つの画像の表示時間は前記被訓練者の進歩とともに短くなる請求項7の人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項10】
前記視覚刺激は少なくとも2つの画像を含み、少なくとも1つの前記画像の表示時間が被訓練者の進歩とともに短くなる請求項7の人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項11】
前記視覚刺激は少なくとも2つの画像を含み、各画像には少なくとも1つのターゲット構造と少なくとも1つの側面構造とが含まれ、少なくとも1つの前記画像における少なくとも1つの前記ターゲット構造の強度が異なる請求項7の人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項12】
視覚刺激は、ターゲットを含む第1の画像と、前記第1の画像をマスキングするための前記第1の画像と同様の第2の画像とを少なくとも含み、第1の画像の表示と第2の画像の表示との間の時間間隔は前記被訓練者の進歩とともに短くされる請求項7の人間の視覚系を訓練するための方法。
【請求項13】
第1の画像の表示と第2の画像の表示との間の時間間隔は1秒と0.01秒との間である請求項12の人間の視覚系を訓練するための方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【公表番号】特表2008−511377(P2008−511377A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529414(P2007−529414)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000927
【国際公開番号】WO2006/025056
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507070630)アイコン インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】EYEKON INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000927
【国際公開番号】WO2006/025056
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507070630)アイコン インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】EYEKON INC.
【Fターム(参考)】
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