説明

視覚障害者用床材

【課題】 優れた滑り止め効果や視認性を有してより安全な誘導が可能な視覚障害者用床材を提供する。
【解決手段】 板本体2の上面2aに所定幅で長状をなす誘導突起3を略平行に複数配列した視覚障害者用床材において、頂面3aに滑り止めが施された誘導突起3又はその頂面3aが平面視で一点鎖線状を呈する如く、所定間隔で近接する一対の凹部4を誘導突起3の長さ方向に間隔をあけて複数設け、該一対の凹部4を人の片足で踏圧可能な範囲内に少なくとも2組位置すべく配する。或いは又、上記に加え、一部又は全部の凹部4に蓄光材を設けるか、又は板本体2の上面2aに一部又は全部の各誘導突起3に寄り添うべく該突起3の近傍に蓄光材を設ける。或いは又、板本体上面に点状をなす誘導突起を複数配列した視覚障害者用床材において、一部又は全部の各誘導突起に寄り添うべく該突起の近傍で上記上面に蓄光材を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は盲人、弱視者等の視覚障害者を安全に誘導するために、歩道、屋内外の通路、駅のプラットホーム等に敷設される視覚障害者用床材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の視覚障害者用床材は、例えば略方形状板本体の上面に、点状をなす誘導突起が多数点在して配列されたり、所定幅で長状をなす誘導突起が複数略平行に配列され、板本体の上面や誘導突起の頂面に凹凸粗面の滑り止め部が設けられ、歩道等の必要箇所に複数配列されて敷設され、視覚障害者が誘導突起上を踏み歩くことによって足裏感覚でその形状等を感知し、所定方向へ安全に歩行可能に誘導するようになされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、長状の誘導突起を有する従来の床材では、誘導突起が単に長さ方向に長く突設されているだけであるため、誘導突起の頂面等に凹凸粗面の滑り止めが一応施されているもののその滑り止め効果が不十分であり、視覚障害者が誘導突起上を踏み歩く際に滑って身体のバランスを崩したり、転倒或いは転倒による負傷事故等を引き起こす危険性があり、特に床材表面が降雨や散水等で濡れている場合等にはその危険性が極めて高く、安全な誘導が行ない難いという問題点があった。
又、長状の誘導突起有する従来の床材、或いは滑り止め効果を奏する点状をなす誘導突起を有する従来の床材では、単に誘導突起が突設されて足裏感覚による誘導を行うだけであるため、特に盲人に比べて視力障害が軽い弱視者にとっては、不十分なものであった。即ち、一般に弱視者は視力障害が軽いために盲人よりも感覚が鋭敏でないと考えられるとともに、視力に頼る傾向にあることから、夜間や暗い場所においては視覚障害者用床材の存在を視認し難く、従来の足裏感覚による誘導のみでは安全な誘導が行い難いという問題点があった。
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、優れた滑り止め効果や視認性を有してより安全な誘導が可能な視覚障害者用床材を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明の視覚障害者用床材は、板本体2の上面2aに所定幅で長状をなす誘導突起3が略平行に複数配列された視覚障害者用床材において、頂面3aに滑り止めが施された誘導突起3又はその頂面3aが、平面視で一点鎖線状を呈する如く所定間隔で近接する一対の凹部4が誘導突起3の長さ方向に間隔をあけて複数設けられ、該一対の凹部4が人の片足で踏圧可能な範囲内に少なくとも2組位置すべく配されてなるものである。
【0005】
又、本発明の視覚障害者用床材は、上記視覚障害者用床材において、一部又は全部の凹部4に蓄光材5が設けられるか、又は板本体2の上面2aに一部又は全部の各誘導突起3に寄り添うべく該突起3の近傍に蓄光材5が設けられてなる構成を採用することができる。
【0006】
又、本発明の視覚障害者用床材は、板本体2の上面2aに点状をなす誘導突起3が複数配列された視覚障害者用床材において、一部又は全部の各誘導突起3に寄り添うべく該突起3の近傍で上記上面2aに蓄光材5が設けられてなるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の視覚障害者用床材は、誘導突起又はその頂面が、平面視で一点鎖線状を呈する如く所定間隔で近接する一対の凹部が誘導突起の長さ方向に間隔をあけて複数設けられ、該一対の凹部が人の片足で踏圧可能な範囲内に少なくとも2組位置すべく配されているために、視覚障害者が誘導突起上を踏み歩く際、少なくとも近接する一対の凹部2組にわたり誘導突起を踏圧することとなり、その踏圧面が誘導突起の長さ方向に上記凹部による適切な凹凸面をなして足裏に対する摩擦抵抗を的確に増大させ、効果的な滑り止め作用を奏する。
即ち、視覚障害者が誘導突起上を踏み歩く際、足裏着地時のブレーキや足裏離脱時の蹴りが良く利き、従来の如く滑って身体のバランスを崩したり、転倒或いは転倒による負傷事故等を引き起こすようなことがなく、特に、床材表面が降雨や散水等で濡れて滑りやすくなっている場合に優れた滑り止め効果を発揮し、より安全な歩行、誘導が行なえる。
【0008】
又、本発明の視覚障害者用床材は、長状の誘導突起の一部又は全部の凹部に蓄光材が設けられたり、或いは板本体の上面に一部又は全部の長状や点状の各誘導突起に寄り添うべく該突起の近傍に蓄光材が設けられてなるために、夜間や暗い場所において蓄光材が長時間発光し、弱視者が視覚障害者用床材の存在を容易に視認できるとともに、誘導突起が歩行者等により踏まれても蓄光材が上記凹部や誘導突起の直ぐ近傍に設けられてその表面が誘導突起より低く位置し、誘導突起により保護されて歩行者等に踏まれにくく、その結果蓄光材が破損や摩耗しがたく、長期にわたりその発光作用を維持でき、弱視者に対してより安全な誘導が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 本発明の視覚障害者用床材の一実施の形態を示し、(イ)は平面図、(ロ)は正面図、(ハ)は側面図、(ニ)は(イ)のA−A拡大断面図、(ホ)は(イ)のB−B拡大断面図。
【図2】 (イ)及び(ロ)は夫々本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示す平面図、(ハ)は(ロ)のC−C断面図。
【図3】 本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示し、(イ)は一部平面図、(ロ)は(イ)のD−D拡大断面図、(ハ)は(イ)のE−E拡大断面図。
【図4】 本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示し、(イ)は一部平面図、(ロ)は(イ)のF−F拡大断面図、(ハ)は(イ)のG−G拡大断面図。
【図5】 本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示し、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)のH−H拡大断面図、(ハ)は(イ)のI−I拡大断面図。
【図6】 本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示す平面図。
【図7】 本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示し、(イ)は平面図、(ロ)は正面図、(ハ)は(イ)のJ−J拡大断面図。
【図8】 本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示し、(イ)は平面図、(ロ)は正面図、(ハ)は(イ)のK−K拡大断面図。
【図9】 (イ)及び(ロ)は夫々本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の視覚障害者用床材の一実施の形態を示し、本実施形態の視覚障害者用床材1は、コンクリートや合成樹脂、これらの複合材、或いはセラミック等の適宜材質からなり、図1(イ)〜(ハ)に示す如く、平面視略方形状で適宜厚みを有する板本体2の上面2aに、所定幅で長状をなす誘導突起3が略等間隔で5個略平行に配列されて設けられ、板本体2の外周側面に施工時の目地材が充填される溝2b(必ずしもなくてもよい)が設けられている。
又、各誘導突起3は傾斜状の立上面を有する断面略台形状となされ、その略水平状の頂面3aから上記立上面にかけて凹凸粗面となされて滑り止めが施され、図1(イ)に示すように、頂面3aが平面視で一点鎖線状を呈する如く、所定間隔で近接する一対の凹部4が誘導突起3の長さ方向に略等間隔をあけて複数設けられ、該一対の凹部4が人(視覚障害者)の片足の足裏(靴底S)で踏圧可能な範囲内に少なくとも2組位置すべく配されるとともに、上記一対の凹部4を3組有する誘導突起3と、一対の凹部4を2組有する誘導突起3とが交互に配列され、全体的に一対の凹部4が千鳥状に配置されている。
上記所定間隔で近接する一対の凹部4は、図1(イ)、(ニ)及び(ホ)に示す如く、誘導突起3の長さ方向に所定間隔をあけて誘導突起3の頂面3aが若干凹陥されることで、凹部4間に小突起3b(凹陥されない頂面3a)を挟んで形成されている。又、一対の凹部4及び小突起3bは誘導突起3の幅長さ程度かこれより小さい幅長さ以内に設けられるのが好ましく、誘導突起3の長さ方向で滑り止めに有効、適切な凹凸面を形成するようになされている。
しかして、上記床材1にあっては、視覚障害者が誘導突起3上を踏み歩く際、小突起3bを挟んで近接する一対の凹部4の少なくとも2組にわたり誘導突起3を踏圧することとなり、その踏圧面が誘導突起3の長さ方向に適切な凹凸面をなして足裏に対する摩擦抵抗を的確に増大させ、足裏着地時のブレーキや足裏離脱時の蹴りを良く利かせて効果的な滑り止め作用を奏し、特に、誘導突起3の表面が降雨や散水等で濡れて滑りやすくなっている場合に顕著な滑り止め作用を奏する。
尚、滑り止め効果を高めるために、板本体2の上面2aの適宜箇所も凹凸粗面になされて滑り止めが施されてもよい。
【0011】
上記近接する一対の凹部4の形成位置や組数、或いは上記凹部4を複数組有する誘導突起3の配列や数等は適宜変更されてもよく、例えば、図2(イ)、(ロ)の左半部及び右半部は夫々上記図1の変形例を示す視覚障害者用床材1であり、図2(イ)の左半部に示す床材1は、図1の一対の凹部4を3組有する誘導突起3のみが配列されることで全体的に一対の凹部4が縦横に規則的に並んで配置され、図2(イ)の右半部に示す床材1は、一対の凹部4を上記に比し間隔を狭めて4組設けた誘導突起3と、図1の一対の凹部4を3組有する誘導突起3とが交互に略平行に配列されるとともに、上記凹部4を4組有する一つの誘導突起3にあって一対の凹部4が人の片足の足裏(靴底S)で踏圧可能な範囲内に3組位置すべく配されている点で上記と異なる他は上記図1と同様なものである。
又、図2(ロ)の左半部に示す床材1は、板本体2が上記より小さい略方形状で、誘導突起3が略等間隔で4個略平行に配列され、誘導突起3には一対の凹部4を上記に比し間隔を狭めて2組又は3組設け、上記凹部4を3組有する一つの誘導突起3にあって一対の凹部4が人の片足の足裏(靴底S)で踏圧可能な範囲内に3組位置すべく配され、図2(ロ)の右半部に示す床材1は、上記に加え一対の凹部4を3組有する誘導突起3のみが配列されるとともに、板本体2が図2(ハ)の右半部に示す如く合成樹脂製等の薄板(シート)状となされている点で上記と異なる他は上記図1と同様なものである。
【0012】
又、上記一対の凹部4及び該凹部4間の小突起3bそのものに関しても、上記の如くできるだけ誘導突起3の幅長さ程度かこれより小さい幅長さ以内に設けられ、誘導突起3の長さ方向で滑り止めに有効、適切な凹凸面を形成することを条件に適宜変更されてもよい。
例えば、図3(イ)〜(ハ)に示す場合は、凹部4の凹陥度合いが上記図1のものに比し大きくなされ、これに伴って小突起3bも凹部4からの突出度合いが図1のものに比し大きくなされ、長状の誘導突起3にあってその頂面3aが平面視で一点鎖線状を呈する如くなされている。
又、図4(イ)〜(ハ)に示す場合は、一対の凹部4間の間隔が上記に比し若干広くなされ、凹部4の凹陥度合いが上記に比し更に大きくなされて板本体2の上面2aに至るまで凹陥され、これに伴って小突起3bも上記に比し若干大きくなされて誘導突起3から独立する如く板本体2の上面2aから突出するようになされ、誘導突起3の全体が平面視で一点鎖線状を呈する如くなされている。
【0013】
ここで、上記誘導突起3の滑り止め効果(特に突起3の表面が濡れて滑りやすい状態での滑り止め効果)を確認すべく、振り子式の滑り抵抗測定器(英国社製:ポータブルスキッドレジスタンステスター)による滑り抵抗試験を行ない、その結果を表1に示した。
試料は板本体2の上面2aに長状の誘導突起3(断面略台形状で、上部幅1.8cm、下部幅2.8cm、高さ5.6mm)を設け、その略水平状頂面3aから傾斜状立上面にかけて微小凹凸粗面の滑り止めを施したレジンコンクリート製とし、上記図1(イ)、(ニ)及び(ホ)に示す如く、誘導突起3の長さ方向に間隔をあけて一対の凹部4(夫々突起3の頂面3aから0.7mm凹陥、突起3の長さ方向に6mm長さを有する)を設けることで、凹部4間に小突起3b(突起3の長さ方向に7mm長さを有する)を形成した(試料I)。
滑り抵抗試験は、誘導突起3の凹部4と小突起3bの形成部分に滑り抵抗測定器の振り子腕端部のゴム製スライダーが接触するとともに、スライダーの滑り方向を誘導突起3の長さ方向と一致させ、突起3の表面を湿潤状態として滑り抵抗を測定した(測定は10回)。
又、比較のために、上記と同様な誘導突起3に凹部4、小突起3bがない従来のもの(試料II)に関し同様の試験を行ない、その結果を表1に併せて示した。
尚、表1の測定値の単位BPNは、British Pendulum (Tester) Numberの略である。
【0014】
【表1】

【0015】
上記試験結果(表1)により、滑り抵抗の測定値の平均値が試料I(本発明)では60BPNであるのに対し、試料II(従来)では47BPNであり、本発明における誘導突起3の滑り止め効果(突起表面が湿潤状態)が従来のものに比し大幅に向上していることが確認できた。
【0016】
図5(イ)の左半部及び右半部は夫々本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示し、各実施形態の視覚障害者用床材1は、図1のものに更に蓄光材5が設けられている。
図5(イ)の左半部に示す床材1は、近接する一対の凹部4の全部に蓄光材5が設けられ、詳しくは図5(ロ)に示す如く凹部4に設けた所定深さの凹陥部6内に蓄光材5が充填され、蓄光材5の表面が誘導突起3より低く位置して歩行者等により踏まれにくくなされている。
図5(イ)の右半部に示す床材1は、板本体2の上面2aに蓄光材5が設けられ、該蓄光材5は板本体2の端部及び中央部に位置する誘導突起3に寄り添うべく該突起3の直ぐ近傍に、突起3の長さ方向端部付近から長さ方向に沿い中央部付近まで線状をなす細長状となされ、詳しくは図5(ハ)に示す如く板本体2の上面2aに誘導突起3に沿って溝状に設けた所定深さの凹陥部6内に充填され、蓄光材5の表面が上面2aと略面一状となされ、誘導突起3の近傍に位置し、該誘導突起3に保護されて歩行者等により踏まれにくくなされている。
上記蓄光材5としては、太陽光や照明光等からの光エネルギーを吸収、蓄積する蓄光性能に優れ、残光時間が長く、耐久性に優れた蓄光樹脂が好適に使用される(以下の実施形態でも同様)。
【0017】
図6の左半部及び右半部は夫々本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示し、各実施形態の視覚障害者用床材1は、図2(イ)の右半部のものに更に蓄光材5が設けられている。
図6の左半部に示す床材1は、板本体2の上面2aに蓄光材5が設けられており、該蓄光材5は各誘導突起3に寄り添うべく該突起3の直ぐ近傍に、突起3の長さ方向端部付近から長さ方向に沿い中央部付近まで線状をなす細長状となされ、全体的に蓄光材5が千鳥状に配置されるとともに、上記図5(ハ)と同様にして蓄光材5の表面が上面2aと略面一状となされ、誘導突起3の近傍に位置し、該誘導突起3に保護されて歩行者等により踏まれにくくなされている。
図6の右半部に示す床材1は、板本体2の上面2a及び近接する一対の凹部4の一部に蓄光材5が設けられており、詳しくは蓄光材5は板本体2の上面2aでその端部及び中央部に位置する誘導突起3に寄り添うべく該突起3の直ぐ近傍に、突起3の長さ方向にわたり断続的(破線状)に設けられ、上記図5(ハ)と同様にして蓄光材5の表面が上面2aと略面一状となされ、又、板本体2の端部から2列目に位置する誘導突起3にあって近接する一対の凹部4の全部に蓄光材5が上記図5(ロ)と同様にして設けられ、蓄光材5の表面が誘導突起3より低く位置して歩行者等により踏まれにくくなされている。
【0018】
図7は本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示し、本実施形態の視覚障害者用床材1は、図7(イ)〜(ハ)に示す如く、略方形の合成樹脂製等の薄板(シート)状をなす板本体2の上面2aに、点状(平面視円形状)の誘導突起3(断面略台形状)が多数略等間隔をあけて規則的に配列されて形成され、平面視で中央部の縦横方向に配列された誘導突起3を除く各誘導突起3に寄り添って保護されるべく該突起3の直ぐ近傍で上面2aに、点状(平面視円形状)をなす蓄光材5が上記各突起3と対をなして設けられている。
上記蓄光材5は、図7(ハ)に示す如く、誘導突起3の直ぐ近傍の上面2aに設けた所定深さの円孔状の凹陥部6内に充填されるが、板本体2が薄板状をなすため、凹陥部6を設ける上面2aに隆起部2cが設けられて補強され、蓄光材5の表面が隆起部2cの表面と略面一状に形成されている(尚、隆起部2cは必ずしもなくてもよく、この場合には上記と同様に蓄光材5の表面が板本体2の上面2aと略面一状をなす)。
又、図8は本発明の視覚障害者用床材の他実施の形態を示し、本実施形態の視覚障害者用床材1は、図8(イ)〜(ハ)に示す如く、略方形の厚板状をなす板本体2の上面2aに、点状(平面視円形状)の誘導突起3(断面略台形状)が上記と同様に多数規則的に配列されて形成され、板本体2の対角線上に配列された各誘導突起3に寄り添って保護されるべく該突起3の直ぐ近傍に点状(平面視円形状)をなす蓄光材5が上記各突起3を挟む両側(但し、板本体2の中央部の突起3のみ該突起3を挟んで交差する二方向)に突起3と対をなして設けられ、蓄光材5が板本体2の対角線上に多数規則的に配列されている。
上記蓄光材5も、図8(ハ)に示す如く、板本体2の上面2aに設けた所定深さの円孔状の凹陥部6内に充填されるとともに、蓄光材5の表面が板本体2の上面2aと略面一状に形成されている。
【0019】
上記図5及び図6の視覚障害者用床材1は上述した滑り止め効果を有し、又、図5〜図8の視覚障害者用床材1は、夜間や暗い場所において蓄光材5が長時間発光することで、弱視者が視覚障害者用床材1の存在を容易に視認でき、安全な誘導ができる利点を有する。
又、蓄光材5に関し、誘導突起3が歩行者等により踏まれても蓄光材5が足裏により踏まれにくく、その結果破損や摩耗しがたく、その発光作用が長期にわたり維持でき、又、所定深さの凹陥部6内に充填されていることから、たとえ歩行者等に踏まれて誘導突起3とともに蓄光材5が摩耗しても消滅するまでその発光作用を長期にわたり発揮できる。
更に、蓄光材5の表面が板本体2の上面2aと略面一状となされると、蓄光材5が歩行者の足裏や自転車のタイヤ等に引掛かって剥がれたり、破損せず、蓄光材5の表面にゴミ、埃等が付着しても降雨や散水等によって洗い流されて容易に除去でき、蓄光材5を長期にわたり良好に維持でき好ましい。
【0020】
尚、本発明の視覚障害者用床材1は必ずしも上記実施形態のものに限定されず、本発明の意図する範囲内で適宜変更されてもよい。
例えば板本体2に関し、平面視略方形状でその厚みは材質や使用箇所等に応じて厚板状や薄板(シート)状等、適宜厚みとなされればよく、上記の如く必要に応じて上面2aに凹凸粗面等による滑り止めが施されてもよいし、又、板本体2の下面は単に平面であってもよいが、特に厚板状等の場合には下面が凹凸面となされると下地面の接着層との接着強度が向上し好ましいし、その際、板本体2の下面に誘導突起3に相応する箇所には凹部を設けないようにすると、誘導突起3が踏圧されて負荷がかかっても板本体2の強度維持が図れ好ましい。
又、板本体2の上面2aの誘導突起3に関し、その数や大きさは適宜変更されてもよいし、その断面形状も上記のものに限らず山形状等適宜形状であってもよく、その少なくとも頂面3aに凹凸粗面等により適宜滑り止めが施されておればよい。或いは又、板本体2の上面2aに長状の誘導突起3と多数の点状の誘導突起3の両方が設けられ、長状の誘導突起3が上記の如く平面視で一点鎖線状を呈するように一対の凹部4(小突起3bを挟んで)が長さ方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。
又、長状の誘導突起3における一対の凹部4及び小突起3bは、上述した通り誘導突起3又はその頂面3aが平面視で一点鎖線状を呈するように設けられ、誘導突起3の幅長さ程度かこれより小さい幅長さ以内に設けられるのが好ましく、これにより誘導突起3の長さ方向で滑り止めに適切な凹凸面を形成すればよいとともに、人の片足で踏圧可能な範囲内に複数組位置するように配されればよい。
更に、上記長状の誘導突起3における一対の凹部4及び小突起3bを複数組有する誘導突起3の配列も上記に限らず適宜に略平行に配列され、上記凹部4及び小突起3bが全体的に規則的或いは不規則的に適宜に位置されればよい。
【0021】
又、蓄光材5が設けられる場合は、長状の誘導突起3における一部又は全部の凹部4に設けられたり、板本体2の上面2aで一部又は全部の長状や点状の各誘導突起3に寄り添って保護されるべく該突起3の直ぐ近傍に設けられたり、或いはこれらが適宜組合わされて設けられればよく、更に、板本体2の上面2aに長状の誘導突起3と多数の点状の誘導突起3の両方が設けられる場合においても上記の如く蓄光材5が設けられてもよい。
又、誘導突起3に寄り添う蓄光材5の平面視形状は、線状の場合には連続又は断続線状、点状の場合には円形状、だ円形状、方形状、多角形状等、適宜形状であればよく、その大きさ、数、配列も適宜変更可能であるとともに、同じ形状や大きさに限らず異なる形状や大きさのものが適宜混在して規則的又は不規則的に配列されてもよいし、蓄光材5の表面に、耐候性や耐摩耗性等の性能の優れた透明性の保護被膜が設けられてもよく、この場合には蓄光材5による効果が長期にわたり発揮され好ましい。
例えば、板本体2の上面2aに点状の誘導突起3が規則的に配列された視覚障害者用床材1について、図9(イ)の左半部に示すものは、上記図7の場合と同様に誘導突起3の直ぐ近傍に該突起3と対をなす点状の蓄光材5が規則的に配列されて設けられるが、その蓄光材5の形状が平面視略方形状となされ、又、図9(イ)の右半部に示すものは、上記と同様に突起3と対をなす点状の蓄光材5の形状が平面視円形状で大きさの異なる2種類のものが混在して規則的に配列されている。
又、図9(ロ)の左半部に示すものは、一部の複数の誘導突起3(縦方向に1つおきの誘導突起3)毎にその直ぐ近傍で板本体2の上面2aに、平面視円形状をなす蓄光材5が上記突起3と対をなして設けられ、図9(ロ)の右半部に示すものは、一部の複数の誘導突起3(縦横方向に1つおきの誘導突起3)毎にその直ぐ近傍で板本体2の上面2aに、夫々誘導突起3と対をなして該突起3を囲む如く平面視破線による円環状をなす蓄光材5が設けられている。
尚、図9(イ)、(ロ)の場合も蓄光材5は図7(ハ)、図8(ハ)に示す如く板本体2の上面2aの凹陥部6内に充填され、蓄光材5の表面が隆起部2cの表面又は上面2aと略面一状となされる。
【符号の説明】
【0022】
1 視覚障害者用床材
2 板本体
2a 上面
3 誘導突起
3a 頂面
3b 小突起
4 凹部
5 蓄光材
6 凹陥部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板本体(2)の上面(2a)に所定幅で長状をなす誘導突起(3)が略平行に複数配列された視覚障害者用床材において、頂面(3a)に滑り止めが施された誘導突起(3)又はその頂面(3a)が、平面視で一点鎖線状を呈する如く所定間隔で近接する一対の凹部(4)が誘導突起(3)の長さ方向に間隔をあけて複数設けられ、該一対の凹部(4)が人の片足で踏圧可能な範囲内に少なくとも2組位置すべく配されてなる視覚障害者用床材。
【請求項2】
一部又は全部の凹部(4)に蓄光材(5)が設けられるか、又は板本体(2)の上面(2a)に一部又は全部の各誘導突起(3)に寄り添うべく該突起(3)の近傍に蓄光材(5)が設けられてなる請求項1記載の視覚障害者用床材。
【請求項3】
板本体(2)の上面(2a)に点状をなす誘導突起(3)が複数配列された視覚障害者用床材において、一部又は全部の各誘導突起(3)に寄り添うべく該突起(3)の近傍で上記上面(2a)に蓄光材(5)が設けられてなる視覚障害者用床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−108338(P2013−108338A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−270648(P2011−270648)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000202419)草竹コンクリート工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】