説明

視覚障害者誘導用ブロック

【課題】一つのブロック表面部によって視覚障害者に警告と誘導とを正確に知らせることができる視覚障害者誘導用ブロックを提供する。
【解決手段】(A)に示すように、歩行者用信号機が赤信号であるときには、視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aが誘導ブロック状態から警告ブロック状態に切り替わる。このため、視覚障害者誘導用ブロック6の設置箇所よりも先が進行不可能な状態であることを認識し、視覚障害者Mが横断歩道4の手前で停止する。一方、(B)に示すように、歩行者用信号機が青信号であるときには、視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aが警告ブロック状態から誘導ブロック状態に切り替わる。このため、視覚障害者誘導用ブロック6の設置箇所よりも先に進行可能な状態であることを認識し、視覚障害者Mが横断歩道4を安全に通行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、視覚障害者の歩行を支援するために歩行面に敷設されて、ブロック表面の突起によってこの視覚障害者を誘導する視覚障害者誘導用ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
視覚障害者の歩行を支援する目的で通路又はプラットホームなどの床面に視覚障害者誘導用ブロックが敷設されている。このような従来の視覚障害者誘導用ブロックは、注意又は警告を示す点状突起部によって構成される警告ブロックと、誘導又は方向を示す線状突起部によって構成される誘導ブロックとの二種類が存在し、敷設される場所の状況に合わせて警告ブロック又は誘導ブロックが使い分けられている。従来の視覚障害者誘導用ブロック(以下、従来技術1という)は、例えば、交差点では歩行者が歩道から道路の横断歩道に出る所に警告ブロックが敷設されており、この警告ブロックまで歩行者を誘導するために誘導ブロックが敷設されている。このような従来の視覚障害者誘導用ブロックは、コンクリートブロック製の平板状の基体と、この基体の表面を被覆する合成樹脂製のカバーと、基体の表面とカバーの裏面との間に形成された中空の半球状の凸部などを備えている(例えば、特許文献1参照)。また、このような従来の視覚障害者誘導用ブロック(以下、従来技術2という)は、複数の中空孔を有するコンクリートブロックと、このコンクリートブロックの一方の表面に貼り付けられた点状ビニルタイルと、このコンクリートブロックの他方の表面に貼り付けられた線状のビニルタイルなどを備えている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-081742号公報
【0004】
【特許文献2】特開2001-271314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術1では、視覚障害者に対して交差点の横断歩道や建物の自動ドアなどを警告ブロックによって知らせることができる。しかし、従来技術1では、視覚障害者に対して横断歩道の歩行者用信号機が赤信号から青信号に変化したことを示したり、自動ドアが閉状態から開状態に変化したことを示したりすることができない。このため、歩行者用信号機が青信号であることを知らせる音響機器を歩行者用信号とは別に設置しており、この音響の変化を視覚障害者が聞き分けて歩行者用信号機の変化を視覚障害者が判断する必要がある。また、自動ドアが開状態であり前に進めるか否かを自動ドアの動作音などを手掛かりとして判断する必要がある。その結果、従来技術1では、視覚障害者に対して前に進めるか否かについて聴覚以外の手掛かりがない問題点がある。また、従来技術2では、開閉扉が常時開放されている夏季には、視覚障害者が安全にこの開閉扉を通過可能なように、線状ビニルタイルが表面側になるように設置している。一方、従来技術2では、開閉扉が開閉する冬季には、視覚障害者が注意してこの開閉扉を通過可能なように、点状ビニルタイルが表面側になるように設置している。このため、従来技術2では、冬季及び夏季に線状ビニルタイル側と点状ビニルタイル側とが逆になりように貼り変える必要があり作業に手間がかかる問題点がある。
【0006】
この発明の課題は、一つのブロック表面部によって視覚障害者に警告と誘導とを正確に知らせることができる視覚障害者誘導用ブロックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1〜図3及び図5〜図14に示すように、視覚障害者(M)の歩行を支援するために歩行面に敷設されて、ブロック表面部(7a)の突起によってこの視覚障害者を誘導する視覚障害者誘導用ブロックであって、誘導ブロック状態を構成する線状突起部(8)と、警告ブロック状態を構成する点状突起部(9)とに、前記ブロック表面部の突起を切り替える切替部(10,11)を備えることを特徴とする視覚障害者誘導用ブロック(6)である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、図1、図2及び図10〜図13に示すように、前記切替部は、前記視覚障害者の進入を許可するときには、前記点状突起部から前記線状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替え、前記視覚障害者の進入を禁止するときには、前記線状突起部から前記点状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えることを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、図2に示すように、前記点状突起部は、前記線状突起部との重複部に上下方向に移動不可能な固定点状突起部(9b)を備え、前記線状突起部との非重複部に上下方向に移動可能な可動点状突起部(9a)を備えており、前記線状突起部は、前記点状突起部との非重複部に上下方向に移動可能な可動線状突起部(8a)を備えており、前記切替部は、前記点状突起部から前記線状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記可動線状突起部を上昇させるとともに前記可動点状突起部を下降させ、前記線状突起部から前記点状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記可動線状突起部を下降させるとともに前記可動点状突起部を上昇させることを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、前記切替部は、前記点状突起部から前記線状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記ブロック表面と同じ高さになるように前記可動点状突起部を下降させるとともに、前記固定点状突起部と同じ高さになるように前記可動線状突起部を上昇させ、前記線状突起部から前記点状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記固定点状突起部と同じ高さになるように前記可動点状突起部を上昇させるとともに、前記ブロック表面と同じ高さになるように前記可動線状突起部を下降させることを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、図13に示すように、前記点状突起部は、前記線状突起部との重複部に上下方向に移動不可能な固定点状突起部(9b)を備え、前記線状突起部は、前記点状突起部との非重複部に上下方向に移動可能な可動線状突起部(8a)を備えており、前記切替部は、前記点状突起部から前記線状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには前記可動線状突起部を上昇させ、前記線状突起部から前記点状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには前記可動線状突起部を下降させることを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、前記切替部は、前記点状突起部から前記線状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記固定点状突起部と同じ高さになるように前記可動線状突起部を上昇させ、前記線状突起部から前記点状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記ブロック表面と同じ高さになるように前記可動線状突起部を下降させることを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、前記切替部は、異常時には前記ブロック表面部の突起を前記点状突起部に切り替えた状態を維持することを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によると、一つのブロック表面部によって視覚障害者に対して聴覚だけに頼らず警告と誘導とを正確に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の第1実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックを横断歩道に適用した場合を模式的に示す斜視図であり、(A)はブロック表面が警告ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図であり、(B)はブロック表面が誘導ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの斜視図であり、(A)はブロック表面が警告ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図であり、(B)はブロック表面が誘導ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの分解状態の斜視図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックを概略的に示す平面図である。
【図5】図4のV-V線で切断した状態を示す断面図であり、(A)はブロック表面が警告ブロック状態に切り替わった状態を示す断面図であり、(B)はブロック表面が誘導ブロック状態に切り替わった状態を示す断面図である。
【図6】図4のVI-VI線で切断した状態を示す断面図であり、(A)はブロック表面が警告ブロック状態に切り替わった状態を示す断面図であり、(B)はブロック表面が誘導ブロック状態に切り替わった状態を示す断面図である。
【図7】図4のVII-VII線で切断した状態を示す断面図であり、(A)はブロック表面が警告ブロック状態に切り替わった状態を示す断面図であり、(B)はブロック表面が誘導ブロック状態に切り替わった状態を示す断面図である。
【図8】図4のVIII-VIII線で切断した状態を示す断面図であり、(A)はブロック表面が警告ブロック状態に切り替わった状態を示す断面図であり、(B)はブロック表面が誘導ブロック状態に切り替わった状態を示す断面図である。
【図9】この発明の第1実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックを備える視覚障害者誘導装置のブロック図である。
【図10】この発明の第2実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックを自動ドア装置に適用した場合を模式的に示す斜視図であり、(A)はブロック表面が警告ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図であり、(B)はブロック表面が誘導ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図である。
【図11】この発明の第3実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックをエレベータ装置のドアに適用した場合を模式的に示す斜視図であり、(A)はブロック表面が警告ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図であり、(B)はブロック表面が誘導ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図である。
【図12】この発明の第4実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックを可動柵装置に適用した場合を模式的に示す斜視図であり、(A)はブロック表面が警告ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図であり、(B)はブロック表面が誘導ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図である。
【図13】この発明の第5実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの斜視図であり、(A)はブロック表面が警告ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図であり、(B)はブロック表面が誘導ブロック状態に切り替わった状態を示す斜視図である。
【図14】この発明の第5実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの分解状態の斜視図である。
【図15】この発明の第5実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックを概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1に示す視覚障害者Mは、視覚障害者誘導用ブロック5A,5B,6によって誘導される歩行者である。視覚障害者Mは、視力が全くない又は視機能が弱く日常生活又は就労などの場で不自由を強いられる人である。視覚障害者Mは、視覚障害者誘導用ブロック5A,5B,6などの歩行に必要な情報を収集するために、歩行の際に前方の路面を触擦して使用する白杖(盲人安全つえ)M1を備えている。
【0017】
進入許可/禁止装置1は、視覚障害者Mの進入を許可及び禁止する装置である。図1に示す進入許可/禁止装置1は、道路における交通の安全の確保又は交通の流れを円滑にするために進行及び停止などの信号を示す信号機である。図1に示す進入許可/禁止装置1は、例えば、横断歩道4を歩行する歩行者の安全を確保するための歩行者用信号機であり、歩行者の横断を禁止する赤信号表示部1aと、歩行者の横断を許可する青信号表示部1bなどを備えている。
【0018】
進入許可/禁止制御装置2は、進入許可/禁止装置1の動作を制御する装置である。図1に示す進入許可/禁止制御装置2は、所定の点灯タイミングに従って赤信号表示部1aと青信号表示部1bとが点灯及び消灯を繰り返すように、信号機の点灯動作を制御する信号制御装置である。進入許可/禁止制御装置2は、赤信号表示部1aに赤信号を点灯させる赤信号点灯指令信号(進入禁止指令信号)と、青信号表示部1bに青信号を点灯させる青信号点灯指令信号(進入許可指令信号)とを、赤信号表示部1a及び青信号表示部1bに出力する。
【0019】
道路3は、歩行者及び車両が通行する通路である。道路3は、歩行者の通行のために区画された歩道3aと、車両の通行のために区画された車道3bなどを備えている。道路3は、一般に、図1に示すように、中央に車道3bが配置され両側に歩道3aが配置されており、歩道3aと車道3bとの間の境界を縁石線又は柵などによって区画し、車道3bよりも歩道3aが僅かに高くなるように施工されている。横断歩道4は、歩行者が車道3bを安全に横断するために車道3b上に示された区域である。横断歩道4は、歩行者及び車両から容易に見やすいように、白色の塗料による縞模様によって車道3b上の舗装面に表示されている。
【0020】
視覚障害者誘導用ブロック5A,5Bは、視覚障害者Mの歩行を支援するために歩行面に敷設されて、ブロック表面の突起によってこの視覚障害者Mを誘導するブロックである。視覚障害者誘導用ブロック5A,5Bは、通路又はプラットホームなどの床面に敷設されており、視覚障害者Mに前方の危険の可能性又は歩行方向の変更の必要性を予告するとともに、分岐点、屈曲点又は階段などの注意を視覚障害者Mに喚起する。視覚障害者誘導用ブロック5Aは、視覚障害者Mに移動方向を指示する誘導ブロックであり、ブロック表面に線状突起部5aを備えている。視覚障害者誘導用ブロック5Bは、視覚障害者Mに注意及び警告を促す警告ブロックであり、ブロック表面に点状突起部5bを備えている。図1に示すように、視覚障害者誘導用ブロック5Bは歩道3a上aのT字路(分岐点)に敷設されており、視覚障害者誘導用ブロック5AはこのT字路から横断歩道4の手前に向かって、視覚障害者Mを安全かつ確実に誘導可能なように、この歩道3a上に並べて敷設されている。
【0021】
図1〜図8に示す視覚障害者誘導用ブロック6は、視覚障害者Mの歩行を支援するために歩行面に敷設されて、ブロック表面部7aの突起によってこの視覚障害者Mを誘導するブロックである。視覚障害者誘導用ブロック6は、凸部を可変することによって誘導ブロック状態と警告ブロック状態とに切り替え可能な可変型視覚障害者用誘導ブロックである。視覚障害者誘導用ブロック6は、視覚障害者誘導用ブロック5A,5Bと同様に、通路又はプラットホームなどの床面に敷設されており、視覚障害者Mに前方の危険の可能性又は歩行方向の変更の必要性を予告するとともに、分岐点、屈曲点又は階段などの注意を視覚障害者Mに喚起する。視覚障害者誘導用ブロック6は、図1(B)及び図2(B)に示すように線状突起部8によって構成される誘導ブロック(線状ブロック)状態に切り替わることで視覚障害者Mに移動方向を示す。また、視覚障害者誘導用ブロック6は、図1(A)及び図2(A)に示すように点状突起部9によって構成される警告ブロック(点状ブロック)状態に切り替わることで視覚障害者Mに注意及び警告を喚起する。視覚障害者誘導用ブロック6は、例えば、図1に示すように、横断歩道4を視覚障害者Mが安全かつ確実に歩行可能なように、歩道3aと車道3bとの境界よりも歩道3a側の箇所に、車道3bに沿ってこの歩道3a上に並べて敷設されている。視覚障害者誘導用ブロック6は、図2〜図8に示す本体部7と、図2〜図6及び図8に示す線状突起部8と、図2〜図7に示す点状突起部9と、図3及び図5〜図8に示す切替部10,11などを備えている。視覚障害者誘導用ブロック6は、図2及び図4に示すように、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5と同様に、線状突起部8が合計4列配置されているがこれらが等間隔には配置されていない。視覚障害者誘導用ブロック6は、図2及び図4に示すように、外側2列の線状突起部8と外側2列の点状突起部9とが重なるように配置されているが、内側2列の線状突起部8と点状突起部9とが重ならないように、外側2列の線状突起部8と内側2列の線状突起部8との間の間隔よりも、内側2列の線状突起部8間の間隔が狭くなるように配置されている。
【0022】
本体部7は、視覚障害者誘導用ブロック6のブロック基部を構成する部分である。本体部7は、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5と同様に、JIS規格(JIS T9251)によって規定されている所定の寸法及び形状で製造されており、平面形状が略正方形で縦30cm以上横30cm以上の大きさの板状部材である。本体部7は、図2〜図8に示すブロック表面部7aと、ブロック底面部7bと、ブロック側面部7cと、図3及び図5〜図8に示す収容部7dと、図3、図5、図6及び図8に示すガイド部7eと、図3、図5及び図7に示すガイド部7fと、図3及び図6〜図8に示す収容部7gなどを備えている。
【0023】
図2〜図8に示すブロック表面部7aは、本体部7の上面を構成する部分である。ブロック表面部7aは、外観形状が略正方形の板状部材であり、表面が平坦面に形成されている。ブロック表面部7aは、十分な強度及び耐久性を有するアルミニウム又はステンレスなどの金属板の表面に、滑り難いプラスチックなどの合成樹脂シートを貼り付けて形成されており、弱視者であっても識別し易いように周囲の床材との明度差が大きい黄色にこの合成樹脂シートの表面が着色されている。ブロック底面部7bは、本体部7の下面を構成する部分である。ブロック底面部7bは、ブロック表面部7aと同様の大きさであり、外観形状が略正方形の板状部材である。ブロック側面部7cは、本体部7の側面を構成する部分である。ブロック側面部7cは、図1に示すように、視覚障害者誘導用ブロック6を複数枚敷き詰めたときに、隣り合う視覚障害者誘導用ブロック6が接合する接合部を構成する。ブロック側面部7cは、図3に示すように、ブロック表面部7aとブロック底面部7bとの間に挟み込まれるようにこれらに接着剤などによって接合され一体化されており、隣り合う視覚障害者誘導用ブロック6が密着するように平坦面に形成されている。図3及び図5〜図8に示す収容部7dは、線状突起部8、点状突起部9及び切替部10,11を収容する部分である。収容部7dは、ブロック表面部7aとブロック底面部7bとの間に形成された間隙部であり、図3に示すようにブロック側面部7cを貫通して形成されている長孔である。
【0024】
図3、図5、図6及び図8に示すガイド部7eは、線状突起部8を移動自在にガイドする部分であり、図3、図5及び図7に示すガイド部7fは点状突起部9を移動自在にガイドする部分である。ガイド部7e,7fは、図3に示すように、ブロック表面部7aを貫通する貫通孔であり、ガイド部7eは開口部の形状が略長方形状に形成されている長孔であり、ガイド部7fは開口部の形状が略円形に形成されている丸孔である。ガイド部7eは、図5、図6及び図8に示すように、可動線状突起部8aのガイド部8cと接触しこの可動線状突起部8aを出没自在にガイドする平坦面である。ガイド部7fは、図5及び図7に示すように、可動点状突起部9aのガイド部9cと接触しこの可動点状突起部9aを出没自在にガイドする凹状円筒面である。ガイド部7fは、隣接する点状突起部9の間隔と同じ間隔で長さ方向に合計5個形成されている。
【0025】
図3及び図6〜図8に示す収容部7gは、切替部10,11を収容する部分である。収容部7gは、視覚障害者誘導用ブロック6を作業者が組み立てるときに切替部10,11を所定の位置に作業者が容易に位置決め可能なように、これらの切替部10,11の底部を着脱自在に嵌合させる嵌合穴である。収容部7gは、ブロック底面部7bに所定の深さで形成されている円形溝であり、切替部10,11の外径よりも内径が僅かに大きく形成されている。
【0026】
図2〜図6及び図8に示す線状突起部8は、視覚障害者Mに移動方向を指示する部分である。線状突起部8は、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5Aと同様にJIS規格(JIS T9251)に従って製造されており、図2及び図4に示すように平面形状が略長方形状である。線状突起部8は、図4〜図6及び図8に示すように、垂直面で切断したときの断面形状が略台形のハーフドーム型に形成されており、歩行者のつまずき及び角部の欠落を防止するために上縁角部が面取りされている。線状突起部8は、例えば、図4に示す上面幅a1=17mm、下面幅a1'=27mm、図2に示す高さc1=5mm、図4に示す上面長さd1=270mm以上、下面長さd1'=280mm以上で形成されている。線状突起部8は、図2及び図4に示すように、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5Aと同様に、ブロック表面部7aに複数列(4本)配置されているが、従来の視覚障害者誘導用ブロック5Aのように等間隔には配列されておらず、点状突起部9と重ならないように外側2列の線状突起部8と内側2列の線状突起部8との間隔よりも、内側2列の線状突起部8同志の間隔が狭くなるように配置されている。線状突起部8は、可動線状突起部8a,8bと固定点状突起部9bとによって誘導ブロック状態を構成する。線状突起部8は、図3、図5、図6及び図8に示す可動線状突起部8a,8bと、ガイド部8cと、図3、図5及び図6に示すガイド部8dなどを備えている。
【0027】
図3、図5、図6及び図8に示す可動線状突起部8a,8bは、上下方向に移動可能な部分である。可動線状突起部8a,8bは、図2及び図4に示すように、点状突起部9と重ならずに配置されている非重複部において上下方向に移動可能に配置されている。可動線状突起部8a,8bは、いずれも同一の長さ、幅及び高さで形成されており、図2〜図4に示すブロック表面部7aと同様に表面が黄色に着色されており、金属板の表面に合成樹脂シートを貼り付けて形成されている。可動線状突起部8aには、図3及び図6に示すように貫通孔が形成されているが、可動線状突起部8bには図3及び図8に示すように貫通孔が形成されていない。可動線状突起部8a,8bは、図6(A)及び図8(A)に示すように,ブロック表面部7aが警告ブロック状態に切り替わるときには、このブロック表面部7aと同じ高さ(面一)になるまで下降する。一方、可動線状突起部8a,8bは、図6(B)及び図8(B)に示すように,ブロック表面部7aが誘導ブロック状態に切り替わるときには、固定点状突起部9bと同じ高さ(面一)になるまで上昇する。
【0028】
図3、図5、図6及び図8に示すガイド部8cは、本体部7側のガイド部7eによって移動自在にガイドされる部分である。ガイド部8cは、可動線状突起部8a,8bの側面に形成されており、本体部7側のガイド部7eに対してスライド自在に嵌合可能なように、このガイド部7eと面接触する平坦面である。ガイド部8cは、本体部7に可動線状突起部8a,8bをスライド自在に嵌合させることによって、これらの可動線状突起部8a,8bを上下方向に移動可能にガイドする。
【0029】
図3及び図6に示すガイド部8dは、固定点状突起部9bのガイド部9dによって移動自在にガイドされる部分である。ガイド部8dは、図3に示すように、線状突起部8の長さ方向に沿って形成された開口部の形状が略円形の貫通孔であり、図6に示すように固定点状突起部9b側のガイド部9dに対してスライド自在に嵌合可能なように、このガイド部9dと面接触する凹状円筒面である。ガイド部8dは、隣接する固定点状突起部9bの間隔と同じ間隔で長さ方向に合計5個形成されている。ガイド部8dは、ガイド部8cとの間に可動線状突起部8aをスライド自在に嵌合させることによって、固定点状突起部9bに沿ってこの可動線状突起部8aを上下方向に移動可能にガイドする。
【0030】
図2〜図7に示す点状突起部9は、視覚障害者Mに注意及び警告を喚起する部分である。点状突起部9は、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5Bと同様にJIS規格(JIS T9251)に従って製造されており、図2及び図4に示すように平面形状が略円形である。点状突起部9は、図4〜図6に示すように、線状突起部8と同様に垂直平面で切断したときの断面形状が略台形状のハーフドーム型に形成されており、歩行者のつまずき及び角部の欠落を防止するために上縁角部が面取りされている。点状突起部9は、例えば、図4に示す上側外径a2=12mm、下側外径a2'=22mm、縦横間隔b2=55〜60mm、図2に示す高さc2=5mmで形成されている。線状突起部8は、図2及び図4に示すように、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5と同様に、ブロック表面部7aに複数点(縦横に各5個ずつ合計25個)が縦方向及び横方向に等間隔で配置されている。点状突起部9は、可動点状突起部9aと固定点状突起部9bとによって警告ブロック状態を構成する。点状突起部9は、図2〜図5及び図7に示す可動点状突起部9aと、図2〜図6に示す固定点状突起部9bと、図5及び図7に示すガイド部9cと、図5及び図6に示すガイド部9dなどを備えている。
【0031】
図2〜図5及び図7に示す可動点状突起部9aは、上下方向に移動可能な部分である。可動点状突起部9aは、図2に示すように、線状突起部8と重ならずに配置されている非重複部において上下方向に移動可能に配置されている。可動点状突起部9aは、突起部分が等間隔に1列に形成された金属長板の表面に合成樹脂シートを貼り付けて形成されており、この合成樹脂シートの表面が黄色に着色されている。可動点状突起部9aは、図5(A)及び図7(A)に示すように,ブロック表面部7aが警告ブロック状態に切り替わるときには、図5(A)に示すように固定点状突起部9bと同じ高さ(面一)になるまで上昇する。一方、可動点状突起部9aは、図5(B)及び図7(B)に示すように,ブロック表面部7aが誘導ブロック状態に切り替わるときには、このブロック表面部7aと同じ高さ(面一)になるまで下降する。
【0032】
図2〜図6に示す固定点状突起部9bは、上下方向に移動不可能な部分である。固定点状突起部9bは、図2に示すように、線状突起部8と重なって配置されている重複部において上下方向に移動不可能に配置されており、線状突起部8の一部を構成している。固定点状突起部9bは、金属柱の表面に合成樹脂シートを貼り付けて形成されており、この合成樹脂シートの表面が黄色に着色されている。固定点状突起部9bは、図3、図5及び図6に示すように、ブロック底面部7bと一体に形成されており、ブロック表面部7aから常時突出している。固定点状突起部9bは、図5(A)及び図6(A)に示すように、ブロック表面部7aが警告ブロック状態に切り替わるときには、可動線状突起部8aが下降することによって相対的に可動点状突起部9aと同じ高さに突出する。一方、固定点状突起部9bは、図5(B)及び図6(B)に示すように、ブロック表面部7aが誘導ブロック状態に切り替わるときには、可動線状突起部8aが上昇することによってこの可動線状突起部8aと同じ高さ(面一)になり、この可動線状突起部8aとともに線状突起部8を構成する。
【0033】
図5及び図7に示すガイド部9cは、本体部7側のガイド部7fによって移動自在にガイドされる部分である。ガイド部9cは、可動点状突起部9aの側面に形成されており、ガイド部7fに対してスライド自在に嵌合可能なように、このガイド部7fと面接触する凹状円筒面である。ガイド部9cは、ガイド部7fに可動点状突起部9aをスライド自在に嵌合させることによってこの可動点状突起部9aを上下方向に移動可能にガイドする。
【0034】
図5及び図6に示すガイド部9dは、可動線状突起部8a側のガイド部8dを移動自在にガイドする部分である。ガイド部9dは、固定点状突起部9bの側面に形成されており、ガイド部8dがスライド自在に嵌合可能なように、このガイド部8dと面接触する凹状円筒面である。ガイド部9dは、固定点状突起部9bに可動線状突起部8aをスライド自在に嵌合させることによって、この可動線状突起部8aを上下方向に移動可能にガイドする。
【0035】
図3及び図5〜図8に示す切替部10,11は、誘導ブロック状態を構成する線状突起部8と、警告ブロック状態を構成する点状突起部9とに、ブロック表面部7aの突起を切り替える部分である。切替部10,11は、図1(A)に示すように、進入許可/禁止装置1の赤信号表示部1aが赤信号に切り替わり横断歩道4への視覚障害者Mの進入を禁止するときには、図1(A)及び図2(A)に示すように線状突起部8から点状突起部9にブロック表面部7aの突起を切り替える。図5、図6及び図8に示すように、切替部10は可動線状突起部8a,8bを上下方向に駆動し、図5及び図7に示すように切替部11は可動点状突起部9aを上下方向に駆動する。切替部10,11は、図2(A)、図5(A)、図6(A)及び図8(A)に示すように、線状突起部8から点状突起部9にブロック表面部7aの突起を切り替えるときには、可動線状突起部8a,8bを下降させるとともに可動点状突起部9aを上昇させる。このとき、切替部10,11は、ブロック表面部7aと同じ高さになるように可動線状突起部8bを下降させるとともに、固定点状突起部9bと同じ高さになるように可動点状突起部9aを上昇させる。
【0036】
一方、切替部10,11は、図1(B)に示すように、進入許可/禁止装置1の青信号表示部1bが青信号に切り替わり横断歩道4への視覚障害者Mの進入を許可するときには、図1(B)及び図2(B)に示すように点状突起部9から線状突起部8にブロック表面部7aの突起を切り替える。切替部10,11は、図2(B)、図5(B)及び図7(B)に示すように、点状突起部9から線状突起部8にブロック表面部7aの突起を切り替えるときには、可動線状突起部8a,8bを上昇させるとともに可動点状突起部9aを下降させる。このとき、切替部10,11は、固定点状突起部9bと同じ高さになるように可動線状突起部8a,8bを上昇させるとともに、ブロック表面部7aと同じ高さになるように可動点状突起部9aを下降させる。
【0037】
切替部10,11は、可動線状突起部8a,8b及び可動点状突起部9aを駆動するための駆動力を発生する装置である。切替部10,11は、例えば、通電状態になると電磁力を発生する励磁コイル(電磁石)と、可動線状突起部8a,8b及び可動点状突起部9aに連結されており通電状態になると励磁コイルの電磁力によって駆動する駆動軸(可動鉄心(プランジャ))と、励磁コイルが非通電状態になると付勢力(ばね力)によってこの駆動軸を元の位置に復帰させる復帰ばねなどを備えるリニア電磁ソレノイドなどの電磁アクチュエータ(可変装置)である。切替部10は、励磁コイルが通電状態になると可動線状突起部8a,8bを電磁力によって上昇させて上昇位置で保持し、励磁コイルが非通電状態になると可動線状突起部8a,8bをばね力によって下降させる。一方、切替部11は、切替部10とは逆に、励磁コイルが通電状態になると可動点状突起部9aを電磁力によって下降させて下降位置で保持し、励磁コイルが非通電状態になるとこの可動点状突起部9aをばね力によって上昇させる。切替部10,11は、図6〜図8に示すように、可動線状突起部8a,8b及び可動点状突起部9aに傾きが生じないように、これらの可動線状突起部8a,8b及び可動点状突起部9aの中間位置に対して等間隔に配置されている。
【0038】
切替部10,11は、異常時にはブロック表面部7aの突起を点状突起部9に切り替えた状態を維持する。切替部10,11は、例えば、停電又は給電停止などの無通電状態が発生して励磁コイルに電流が流れない異常状態になったときには、点状突起部9によって構成される警告ブロック状態にブロック表面部7aを維持する。切替部10は、可動線状突起部8a,8bが上昇しているときに異常状態になった場合には、励磁コイルの電磁力によって可動線状突起部8a,8bを保持することができないため、復帰ばねのばね力のよって可動線状突起部8a,8bを強制的に下降させる。切替部11は、可動点状突起部9aが下降しているときに異常状態になった場合には、励磁コイルの電磁力によって可動点状突起部9aを保持することができないため、復帰ばねのばね力のよって可動点状突起部9a,8bを強制的に上昇させる。
【0039】
図9に示す視覚障害者誘導装置12は、視覚障害者Mの歩行を支援するためにこの視覚障害者Mを誘導する装置である。視覚障害者誘導装置12は、図1(A)に示すように、視覚障害者Mの進入を進入許可/禁止装置1が禁止するときには、視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aを点状突起部9によって構成される警告ブロック状態に切り替える。一方、視覚障害者誘導装置12は、図1(B)に示すように、視覚障害者Mの進入を進入許可/禁止装置1が許可するときには、視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aを線状突起部8によって構成される誘導ブロック状態に切り替える。視覚障害者誘導装置12は、図9に示すように、進入許可/禁止指令信号入力部13と、電源部14と、制御部15などを備えている。
【0040】
図9に示す進入許可/禁止指令信号入力部13は、進入許可/禁止装置1が出力する進入許可指令信号及び進入禁止指令信号が入力する部分である。進入許可/禁止指令信号入力部13には、進入許可/禁止装置1が青信号表示部1bに進入許可指令信号を出力したときにこの進入許可指令信号が入力し、進入許可/禁止装置1が赤信号表示部1aに進入禁止指令信号を出力したときにこの進入禁止指令信号が入力する。進入許可/禁止指令信号入力部13は、進入許可指令信号及び進入禁止指令信号を制御部15に出力する。
【0041】
電源部14は、視覚障害者誘導装置12に電力を供給する部分である。電源部14は、切替部10,11の励磁コイルに電流を流すときに必要となる電力を制御部15に供給する。電源部14は、例えば、電力会社から供給される商用電源、太陽光を電気エネルギに変換する太陽光発電装置から供給される電力を蓄積するバッテリ電源、又は歩行者が歩行面上を通過するときに発生する振動を電気エネルギに変換する振動発電装置から供給される電力を蓄積するバッテリ電源などである。
【0042】
制御部15は、視覚障害者誘導装置12に関する種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部15は、例えば、切替部10,11の切替動作を制御したり、電源部14からの電力を切替部10,11に供給したりする。制御部15は、進入禁止指令信号を受信したときには、切替部10,11の励磁コイルを非通電状態にして復帰ばねのばね力によって可動線状突起部8a,8bを下降させるとともに可動点状突起部9aを上昇させて、ブロック表面部7aを誘導ブロック状態から警告ブロック状態に切り替える。一方、制御部15は、進入許可指令信号を受信したときには、切替部10,11の励磁コイルを通電状態にして電磁力によって可動線状突起部8a,8bを上昇させるとともに可動点状突起部9aを下降させて、ブロック表面部7aを警告ブロック状態から誘導ブロック状態に切り替える。制御部15は、図1及び図9に示すように、視覚障害者誘導用ブロック6が複数設置されているときには、各視覚障害者誘導用ブロック6の切替部10,11を同時に切替動作させて、各視覚障害者誘導用ブロック6の可動線状突起部8a,8b及び可動点状突起部9aを同時に昇降動作させる。制御部15は、例えば、バッテリ電源の電圧値を検出しており、この電圧値が所定値を下回るときには商用電源から切替部10,11への電力の供給を優先し、この電圧値が所定値を超えるときにはバッテリ電源から切替部10,11への電力の供給を優先する。制御部15には、図9に示すように、切替部10,11、進入許可/禁止指令信号入力部13及び電源部14が接続されている。
【0043】
次に、この発明の第1実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの組立方法について説明する。
図3に示すように、可動線状突起部8aの底部に切替部10の駆動軸を連結した状態で、この可動線状突起部8aのガイド部8dに固定点状突起部9bのガイド部9dを嵌め込むとともに、切替部10の底部をブロック底面部7bの収容部7gに嵌め込む。また、可動線状突起部8bの底部に切替部10の駆動軸を連結した状態で、切替部10の底部をブロック底面部7bの収容部7gに嵌め込む。同様に、可動点状突起部9aの底部に切替部11の駆動軸を連結した状態で、この切替部11の底部をブロック底面部7bの収容部7gに嵌め込む。その結果、可動線状突起部8a,8b及び可動点状突起部9aがブロック底面部7b上に正確に位置決めされる。次に、ブロック底面部7b上にブロック側面部7cを接着剤などによって接合し、可動線状突起部8a,8bのガイド部8cをブロック表面部7aのガイド部7eに嵌め込むとともに、可動点状突起部9aのガイド部9cをこのブロック表面部7aのガイド部7fに嵌め込む。最後に、ブロック側面部7c上にブロック表面部7aを接着剤などによって接合し、視覚障害者誘導用ブロック6が組み立てられる。
【0044】
次に、この発明の第1実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの動作について説明する。
図1に示すように、視覚障害者誘導用ブロック5A,5Bの線状突起部5a及び点状突起部5bを視覚障害者Mが白杖M1及び靴底で触れることによって、進行方向及び分岐点を認識し、視覚障害者Mが歩道3aから横断歩道4に導かれる。図1(A)に示すように、進入許可/禁止制御装置2が進入禁止指令信号を進入許可/禁止装置1に出力すると、青信号表示部1bが青信号を消灯し、赤信号表示部1aが赤信号を点灯して、視覚障害者Mが横断歩道4を通過すると危険な状態になる。図9に示す進入許可/禁止制御装置2が進入禁止指令信号を進入許可/禁止装置1に出力すると、この進入禁止指令信号が進入許可/禁止指令信号入力部13を通じて制御部15にも出力される。このため、電源部14から切替部10,11への電力の供給を制御部15が停止し、切替部10,11の励磁コイルが非通電状態になって電磁力が消失し、切替部10,11の復帰ばねのばね力によって可動線状突起部8a,8bが下降するとともに可動点状突起部9aが上昇する。その結果、図1(A)、図2(A)及び図5(A)〜図8(A)に示すように、視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aの突起が線状突起部8から点状突起部9に切り替わり、このブロック表面部7aが誘導ブロック状態から警告ブロック状態に切り替わる。このため、視覚障害者Mが点状突起部9を白杖M1及び靴底で触れることによって、視覚障害者誘導用ブロック6の設置箇所よりも先が進行不可能な状態であることを認識し、視覚障害者Mが横断歩道4の手前で停止する。
【0045】
図1(B)に示すように、進入許可/禁止制御装置2が進入許可指令信号を進入許可/禁止装置1に出力すると、赤信号表示部1aが赤信号を消灯し、青信号表示部1bが青信号を点灯して、視覚障害者Mが横断歩道4を通過可能な状態になる。図9に示す進入許可/禁止制御装置2が進入許可指令信号を進入許可/禁止装置1に出力すると、この進入許可指令信号が進入許可/禁止指令信号入力部13を通じて制御部15にも出力される。このため、電源部14から切替部10,11に制御部15が電力を供給し、切替部10,11の励磁コイルが通電状態になって電磁力が発生し、切替部10,11のばね力に抗して可動線状突起部8a,8bが上昇するとともに可動点状突起部9aが下降する。その結果、図1(B)、図2(B)及び図5(B)〜図8(B)に示すように、視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aの突起が点状突起部9から線状突起部8に切り替わり、このブロック表面部7aが警告ブロック状態から誘導ブロック状態に切り替わる。このため、視覚障害者Mが線状突起部8を白杖M1及び靴底で触れることによって、視覚障害者誘導用ブロック6の設置箇所よりも先に進行可能な状態であることを認識し、視覚障害者Mが横断歩道4を安全に通行する。
【0046】
この発明の第1実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックには、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、誘導ブロック状態を構成する線状突起部8と警告ブロック状態を構成する点状突起部9とに、ブロック表面部7aの突起を切替部10,11が切り替える。このため、一つのブロック表面部7aによって誘導ブロック状態と警告ブロック状態とに簡単に切り替えることができる。その結果、従来技術1のような信号の変化を知らせる音響機器を歩行者用信号機に設置する必要がなくなって低コスト化を図ることができるとともに、この音響機器と視覚障害者誘導用ブロック6とを併用することによって視覚障害者Mの安全性をより一層向上させることができる。また、従来技術2のような視覚障害者誘導用ブロックを上下逆にして貼り変える必要がなくなって、視覚障害者Mに確実に注意を喚起し、この視覚障害者Mを安全に誘導することができる。
【0047】
(2) この第1実施形態では、視覚障害者Mの進入を許可するときには、点状突起部9から線状突起部8にブロック表面部7aの突起を切替部10,11が切り替え、この視覚障害者Mの進入を禁止するときには、この線状突起部8からこの点状突起部9にこのブロック表面部7aの突起をこの切替部10,11が切り替える。このため、例えば、図1に示すように、歩行者用信号機が赤信号であるときには、ブロック表面部7aを誘導ブロック状態から警告ブロック状態に自動的に変化させて、横断歩道4の手前に視覚障害者Mを安全に停止させることができる。また、歩行者用信号機が青信号であるときには、ブロック表面部7aを警告ブロック状態から誘導ブロック状態に自動的に変化させて、視覚障害者Mが横断歩道4を安全に通行させることができる。
【0048】
(3) この第1実施形態では、線状突起部8との重複部に上下方向に移動不可能な固定点状突起部9bを点状突起部9が備えており、この線状突起部8との非重複部に上下方向に移動可能な可動点状突起部9aをこの点状突起部9が備えている。また、この第1実施形態では、点状突起部9との非重複部に上下方向に移動可能な可動線状突起部8aを線状突起部8が備えている。また、この第1実施形態では、点状突起部9から線状突起部8にブロック表面部7aの突起を切り替えるときには、切替部10,11が可動線状突起部8a,8bを上昇させるとともに可動点状突起部9aを下降させる。さらに、この第1実施形態では、線状突起部8から点状突起部9にブロック表面部7aの突起を切り替えるときには、切替部10,11がこの可動線状突起部8a,8bを下降させるとともにこの可動点状突起部9aを上昇させる。このため、複数列の線状突起部8のうち点状突起部9と重ねて配置されている一部の列の線状突起部8を可動線状突起部8aと固定点状突起部9bとによって構成し、複数列の線状突起部8のうち点状突起部9とは重ならずに配置されている残りの列の線状突起部8を可動線状突起部8bによって構成することができる。その結果、複数列の線状突起部8の一部の列を複数点の点状突起部9と兼用させることができる。例えば、図2及び図4に示すように、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5A,5Bの線状突起部5aの列数(4列)と点状突起部5bの点数(縦横5個合計25個)とを変えずに、視覚障害者誘導用ブロック6でも同じ列数及び点数にすることができる。その結果、従来の視覚障害者誘導用ブロック5A,5Bの規格に沿った視覚障害者誘導用ブロック6によって視覚障害者Mを誘導及び警告することができる。
【0049】
(4) この第1実施形態では、点状突起部9から線状突起部8にブロック表面部7aの突起を切り替えるときには、このブロック表面部7aと同じ高さになるように可動点状突起部9aを切替部11が下降させるとともに、固定点状突起部9bと同じ高さになるように可動線状突起部8a,8bを切替部10が上昇させる。また、この第1実施形態では、線状突起部8から点状突起部9にブロック表面部7aの突起を切り替えるときには、固定点状突起部9bと同じ高さになるように可動点状突起部9aを切替部11が上昇させるとともに、このブロック表面部7aと同じ高さになるように可動線状突起部8a,8bを切替部10が下降させる。このため、図1、図2及び図4に示すように、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5A,5Bと同様の誘導ブロック状態と警告ブロック状態とにブロック表面部7aを可変することができる。また、誘導ブロック状態に切り替わったときには、可動点状突起部9aをブロック表面部7aに没入させてブロック基部に簡単に格納することができる。さらに、警告ブロック状態に切り替わったときには、可動点状突起部9aをブロック表面部7aから簡単に突出させ、可動線状突起部8a,8bをこのブロック表面部7aに没入させてブロック基部に簡単に格納することができる。このため、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5A,5Bの線状突起部5a又は点状突起部5bのいずれか一方の突起状態に切り替わるため、視覚障害者Mが誘導ブロック状態と警告ブロック状態とを誤認するのを確実に防ぐことができる。
【0050】
(5) この第1実施形態では、異常時にはブロック表面部7aの突起を点状突起部9に切り替えた状態を切替部10,11が維持する。このため、例えば、外部からの電源の供給が絶たれて電源部14が必要な電力を確保できず、切替部10,11に電力を供給不能な状態になっても、ブロック表面部7aを誘導ブロック状態から警告ブロック状態に強制的に切り替えて、この警告ブロック状態を維持することができる。その結果、故障時のフェイルセーフを考慮して警告ブロック状態を初期状態に設定することができ、異常時であっても視覚障害者Mの安全を確保することができる。
【0051】
(第2実施形態)
以下では、図1から図9に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示す進入許可/禁止装置1は、扉を自動的に開閉する自動ドア装置である。図10に示す進入許可/禁止装置1は、例えば、建物の室内と室外との間の境界をドア1cによって開閉し、これらの間を歩行者が通過可能な状態と通過不可能な状態とに切り替える。進入許可/禁止装置1は、ドア1cと、ガイドレール1dと、駆動部1eと、検出部1fなどを備えている。ドア1cは、左右方向に開閉する部材であり、室内側と室外側との間の出入口を開閉する左右一対の引き戸である。ガイドレール1dは、ドア1cをスライド自在にガイドする部材であり、建物の室内と室外との間の境界線に沿って通路を遮るように床面に設置されている。駆動部1eは、ドア1cを駆動する部分であり、ドア1cを開閉駆動するための駆動力を発生するモータなどの駆動力発生装置である。検出部1fは、ドア1cに対する歩行者の接近及び離間を検出する部分である。検出部1fは、例えば、ドア1cの室内側及び室外側の天井のようなこのドア1cの付近に設置されており、赤外線を送信部から送信し歩行者から反射した赤外線を受信部によって受信して、ドア1cに対する歩行者の接近及び離間を検出する赤外線センサなどである。検出部1fは、ドア1cへの歩行者の接近を検出したときにはドア接近検出信号を進入許可/禁止制御装置2に出力し、ドア1cからの歩行者の離間を検出したときにはドア離間検出信号を進入許可/禁止制御装置2に出力する。
【0052】
進入許可/禁止制御装置2は、検出部1fの検出結果に基づいて進入許可/禁止装置1の駆動部1eの開閉動作を制御するドア制御装置である。進入許可/禁止制御装置2は、検出部1fがドア離間検出信号を出力したときには、ドア1cを閉鎖動作させるドア閉鎖指令信号(進入禁止指令信号)を駆動部1eに出力する。一方、進入許可/禁止制御装置2は、検出部1fがドア接近検出信号を出力したときには、ドア1cを開放動作させるドア開放指令信号(進入許可指令信号)を駆動部1eに出力する。
【0053】
次に、この発明の第2実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの動作を説明する。
図10(A)に示すように、ドア1cへの視覚障害者Mの接近を検出部1fが検出すると、この検出部1fがドア接近検出信号を進入許可/禁止制御装置2に出力する。進入許可/禁止制御装置2が進入許可指令信号を進入許可/禁止装置1の駆動部1eに出力すると、進入許可/禁止制御装置2が進入許可/禁止指令信号入力部13を通じて進入許可指令信号を制御部15にも出力する。このため、図10(B)に示すように、駆動部1eがドア1cを開放するとともに、図4〜図8に示す切替部10,11に電源部14から制御部15が電力を供給する。その結果、図2(B)に示すように、可動線状突起部8a,8bが上昇するとともに可動点状突起部9aが下降し、図10(B)に示すように視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aが警告ブロック状態から誘導ブロック状態に切り替わる。このため、視覚障害者Mが線状突起部8を白杖M1及び靴底で触れることによって、ドア1cが開放されて通行可能な状態であることを認識し、視覚障害者Mがドア1cを安全に通行する。
【0054】
ドア1cからの視覚障害者Mの離間を検出部1fが検出すると、この検出部1fがドア離間検出信号を進入許可/禁止制御装置2に出力する。このため、進入許可/禁止制御装置2が進入禁止指令信号を進入許可/禁止装置1の駆動部1eに出力するとともに、進入許可/禁止制御装置2が進入許可/禁止指令信号入力部13を通じて進入禁止指令信号を制御部15にも出力する。このため、図10(A)に示すように、駆動部1eがドア1cを閉鎖するとともに、図4〜図8に示す切替部10,11への電源部14からの電力の供給を制御部15が停止する。その結果、図2(A)に示すように、可動線状突起部8a,8bが下降するとともに可動点状突起部9aが上昇し、図10(A)に示すように視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aが誘導ブロック状態から警告ブロック状態に切り替わる。この状態で、視覚障害者Mが点状突起部9を白杖M1及び靴底で触れることによって、ドア1cが通行不可能な状態であることを認識し、視覚障害者Mがドア1cの手前で停止する。この発明の第2実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックには、第1実施形態と同様の効果がある。
【0055】
(第3実施形態)
図11に示す進入許可/禁止装置1は、人又は荷物を載せるかご16を昇降させるエレベータ装置17のかご側ドア1g及び乗場側ドア1hを開閉する自動ドア装置である。進入許可/禁止装置1は、かご側ドア1gと、乗場側ドア1hと、駆動部1iと、検出部1jなどを備えている。かご側ドア1gは、かご16側の乗降口を開閉する一対の引き戸であり、乗場側ドア1hは乗場側の乗降口を開閉する一対の引き戸である。かご側ドア1gは、乗場側から見て乗場側ドア1hの外側に配置されている。乗場側ドア1hは、かご側ドア1gの鍵装置と噛み合う鍵装置を備えており、かご側ドア1gが開閉動作したときにこのかご側ドア1gと連動して開閉動作する。乗場側ドア1hは、かご側ドア1gが開放すると鍵装置が解錠されて、このかご側ドア1gの駆動力を受けて開放し、このかご側ドア1gが閉鎖すると鍵装置が施錠されて、このかご側ドア1gの駆動力を受けて閉鎖する。駆動部1iは、かご側ドア1gを駆動する部分であり、かご側ドア1gを開閉駆動するための駆動力を発生するモータなどの駆動力発生装置である。検出部1jは、乗場へのかご16の到着を検出する部分である。検出部1jは、例えば、かご16が乗場の停止位置で停止したか否かを検出する機械的スイッチなどである。検出部1jは、かご16が乗場に到着したときにはかご到着検出信号を進入許可/禁止制御装置2に出力する。
【0056】
進入許可/禁止制御装置2は、進入許可/禁止装置1の開閉動作を制御するドア制御装置である。進入許可/禁止制御装置2は、検出部1jが出力するかご到着検出信号に基づいてかご16が到着したか否かを判断する。進入許可/禁止制御装置2は、かご16が乗場に到着したときにはかご側ドア1gを開放動作させるドア開放指令信号(進入許可指令信号)を駆動部1iに出力する。一方、進入許可/禁止制御装置2は、かご16が乗場に到着して所定時間経過した後にかご側ドア1gを閉鎖動作させるドア閉鎖指令信号(進入禁止指令信号)を駆動部1iに出力する。
【0057】
次に、この発明の第3実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの動作を説明する。
図11(A)に示すように、かご16の乗場への到着を検出部1jが検出すると、この検出部1jがかご到着検出信号を進入許可/禁止制御装置2に出力する。進入許可/禁止制御装置2が進入許可指令信号を進入許可/禁止装置1の駆動部1iに出力すると、進入許可/禁止制御装置2が進入許可/禁止指令信号入力部13を通じて進入許可指令信号を制御部15にも出力する。このため、図11(B)に示すように、かご側ドア1g及び乗場側ドア1hを駆動部1iが開放するとともに、図4〜図8に示す切替部10,11に電源部14から制御部15が電力を供給する。その結果、図2(B)に示すように、可動線状突起部8a,8bが上昇するとともに可動点状突起部9aが下降し、図11(B)に示すように視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aが警告ブロック状態から誘導ブロック状態に切り替わる。この状態で、視覚障害者Mが線状突起部8を白杖M1及び靴底で触れることによって、かご側ドア1g及び乗場側ドア1hが開放されて通行可能な状態であることを認識し、視覚障害者Mがかご側ドア1g及び乗場側ドア1hを安全に通過してかご16に乗ることができる。
【0058】
かご16が乗場に到着してから所定時間経過すると、進入許可/禁止制御装置2が進入禁止指令信号を進入許可/禁止装置1の駆動部1iに出力し、進入許可/禁止制御装置2が進入許可/禁止指令信号入力部13を通じて進入禁止指令信号を制御部15にも出力する。このため、図11(A)に示すように、駆動部1iがかご側ドア1g及び乗場側ドア1hを閉鎖するとともに、図2に示す切替部10,11への電源部14からの電力の供給を制御部15が停止する。その結果、図2(A)に示すように、可動線状突起部8a,8bが下降するとともに可動点状突起部9aが上昇し、図11(A)に示すように視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aが誘導ブロック状態から警告ブロック状態に切り替わる。この状態で、視覚障害者Mが点状突起部9を白杖M1及び靴底で触れることによって、かご側ドア1g及び乗場側ドア1hが通行不可能な状態であることを認識し、視覚障害者Mがかご側ドア1g及び乗場側ドア1hの手前で安全に停止する。この発明の第3実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックには、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果がある。
【0059】
(第4実施形態)
図12に示す進入許可/禁止装置1は、軌道上を走行する車両18の出入口を開閉する車両側ドア19の開閉動作に連動して開閉する自動ドア装置である。進入許可/禁止装置1は、例えば、旅客の安全を確保するために軌道側領域とホーム側領域との境界線を開閉する可動柵装置(ホームドア)である。進入許可/禁止装置1は、ホーム側ドア1kと、駆動部1mと、検出部1nなどを備えている。ホーム側ドア1kは、車両18側の出入口を開閉する一対の引き戸であり、車両側ドア19と対向する位置に配置されている。ホーム側ドア1kは、車両側ドア19の開閉動作と連動して開閉動作する。駆動部1mは、ホーム側ドア1kを駆動する部分であり、このホーム側ドア1kを開閉駆動するための駆動力を発生するモータなどの駆動力発生装置である。検出部1nは、車両18の乗務員による車両側ドア19の開閉指令を検出する部分である。検出部1nは、例えば、車両18の乗務員が車掌スイッチを操作して車両側ドア19の開閉をドア開閉駆動部に指令するときに送信される信号を受信する受信機などである。検出部1nは、車両18の乗務員が車両側ドア19の開放を指令したときにはドア開放指令検出信号を進入許可/禁止制御装置2に出力し、車両18の乗務員が車両側ドア19の閉鎖を指令したときにはドア閉鎖指令検出信号を進入許可/禁止制御装置2に出力する。
【0060】
進入許可/禁止制御装置2は、進入許可/禁止装置1の開閉動作を制御するドア制御装置である。進入許可/禁止制御装置2は、検出部1nが出力するドア開放指令検出信号を受信したときには、ホーム側ドア1kを開放動作させるドア開放指令信号(進入許可指令信号)を駆動部1mに出力する。一方、進入許可/禁止制御装置2は、検出部1nが出力するドア閉鎖指令検出信号を受信したときには、ホーム側ドア1kを閉鎖動作させるドア閉鎖指令信号(進入禁止指令信号)を駆動部1mに出力する。
【0061】
次に、この発明の第4実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの動作を説明する。
図12(B)に示すように、車両18が到着して車両側ドア19の開放指令を検出部1nが検出すると、この検出部1nがドア開放指令検出信号を進入許可/禁止制御装置2に出力する。このため、進入許可/禁止制御装置2が進入許可指令信号を進入許可/禁止装置1の駆動部1mに出力するとともに、進入許可/禁止制御装置2が進入許可/禁止指令信号入力部13を通じて進入許可指令信号を制御部15にも出力する。その結果、図12(A)に示すように、車両側ドア19の開放に連動してこの駆動部1mがホーム側ドア1kを開放するとともに、図2に示す切替部10,11に電源部14から制御部15が電力を供給する。このため、図2(B)に示すように、可動線状突起部8a,8bが上昇するとともに可動点状突起部9aが下降し、図12(B)に示すように視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aが警告ブロック状態から誘導ブロック状態に切り替わる。この状態で、視覚障害者Mが線状突起部8を白杖M1及び靴底で触れることによって、ホーム側ドア1kが開放されて通行可能な状態であることを認識し、視覚障害者Mがホーム側ドア1k及び車両側ドア19を安全に通過して車両18に乗ることができる。
【0062】
車両18が到着して車両側ドア19の閉鎖指令を検出部1nが検出すると、この検出部1nがドア閉鎖指令検出信号を進入許可/禁止制御装置2に出力する。このため、進入許可/禁止制御装置2が進入禁止指令信号を進入許可/禁止装置1の駆動部1mに出力するとともに、進入許可/禁止制御装置2が進入許可/禁止指令信号入力部13を通じて進入禁止指令信号を制御部15にも出力する。その結果、図12(A)に示すように、車両側ドア19の閉鎖に連動して駆動部1mがホーム側ドア1kを閉鎖するとともに、図2に示す切替部10,11への電源部14からの電力の供給を制御部15が停止する。このため、図2(A)に示すように、可動線状突起部8a,8bが下降するとともに可動点状突起部9aが上昇し、図12(A)に示すように視覚障害者誘導用ブロック6のブロック表面部7aが誘導ブロック状態から警告ブロック状態に切り替わる。この状態で、視覚障害者Mが点状突起部9を白杖M1及び靴底で触れることによって、ホーム側ドア1kが通行不可能な状態であることを認識し、視覚障害者Mがホーム側ドア1kの手前で停止する。この発明の第3実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックには、第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果がある。
【0063】
(第5実施形態)
図13〜図15に示す視覚障害者誘導用ブロック6は、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5Aとは異なり線状突起部8が等間隔に合計5列配置されている。視覚障害者誘導用ブロック6は、図13及び図15に示すように、図2及び図4に示す視覚障害者誘導用ブロック6とは異なり、全ての線状突起部8と全ての点状突起部9とが重なるように配置されている。本体部7は、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5A,5Bと同様に、JIS規格(JIS T9251)によって規定されている所定の寸法及び形状で製造されており、平面形状が略正方形で縦30cm以上横30cm以上の大きさの板状部材である。
【0064】
図13〜図15に示す線状突起部8は、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5と同様にJIS規格(JIS T9251)に従って製造されている。線状突起部8は、例えば、図15に示す上面幅a1=17mm、下面幅a1'=27mm、間隔b1=55〜60mm、図13に示す高さc1=5mm、図15に示す上面長さd1=270mm以上、下面長さd1'=280mm以上で形成されている。線状突起部8は、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5Aと同様に等間隔に配置されているが、図13及び図15に示すようにブロック表面部7aに複数列(5本)配置されており、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5Aよりも間隔が狭く1列多く配置されている。線状突起部8は、図3、図5、図6及び図8に示す可動線状突起部8bを備えておらず、図13〜図15に示す可動線状突起部8aと固定点状突起部9bとによって誘導ブロック状態を構成する。
【0065】
図13〜図15に示す可動線状突起部8aは、点状突起部9と重なって配置されている重複部において上下方向に移動可能に配置されており、図14に示すように可動線状突起部8aには貫通孔が形成されている。可動線状突起部8aは、図13(A)に示すように,ブロック表面部7aが警告ブロック状態に切り替わるときには、固定点状突起部9bと同じ高さ(面一)になるまで上昇する。一方、可動線状突起部8aは、図13(B)に示すように,ブロック表面部7aが誘導ブロック状態に切り替わるときには、このブロック表面部7aと同じ高さ(面一)になるまで下降する。
【0066】
図13〜図15に示す点状突起部9は、図1に示す従来の視覚障害者誘導用ブロック5Bと同様にJIS規格(JIS T9251)に従って製造されており、図15に示す上側外径a2=12mm、下側外径a2'=22mm、縦横間隔b2=55〜60mm、図13に示す高さc2=5mmで形成されている。点状突起部9は、図2〜図5及び図7に示す可動点状突起部9aを備えておらず、図13〜図15に示す固定点状突起部9bによって警告ブロック状態を構成する。
【0067】
図14に示す切替部10は、図13(A)に示すように、線状突起部8から点状突起部9にブロック表面部7aの突起を切り替えるときには、可動線状突起部8aを下降させる。このとき、切替部10は、ブロック表面部7aと同じ高さになるように可動線状突起部8a,8bを下降させる。一方、切替部10は、図13(B)に示すように、点状突起部9から線状突起部8にブロック表面部7aの突起を切り替えるときには、可動線状突起部8aを上昇させる。このとき、切替部10は、固定点状突起部9bと同じ高さになるように可動線状突起部8aを上昇させる。
【0068】
図14に示す制御部15は、進入許可/禁止制御装置2から進入禁止指令信号を受信したときには、切替部10の励磁コイルを非通電状態にして復帰ばねのばね力によって可動線状突起部8aを下降させて、ブロック表面部7aを誘導ブロック状態から警告ブロック状態に切り替える。一方、制御部15は、進入許可/禁止制御装置2から進入許可指令信号を受信したときには、切替部10の励磁コイルを通電状態にして電磁力によって可動線状突起部8aを上昇させて、ブロック表面部7aを警告ブロック状態から誘導ブロック状態に切り替える。
【0069】
この発明の第5実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックは、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第5実施形態では、線状突起部8との重複部に上下方向に移動不可能な固定点状突起部9bを点状突起部9が備えており、この点状突起部9との非重複部に上下方向に移動可能な可動線状突起部8aをこの線状突起部8が備えている。また、この第5実施形態では、点状突起部9から線状突起部8にブロック表面部7aの突起を切り替えるときには可動線状突起部8aを切替部10が上昇させ、この線状突起部8からこの点状突起部9にこのブロック表面部7aの突起を切り替えるときにはこの可動線状突起部8aをこの切替部10が下降させる。このため、複数列の線状突起部8を点状突起部9と重ねて配置し、この複数列の線状突起部8を可動線状突起部8aと固定点状突起部9bとによって構成することができる。その結果、複数列の線状突起部8を複数点の点状突起部9と兼用させることができるため、図1〜図8に示す視覚障害者誘導用ブロック6のような可動線状突起部8b及び可動点状突起部9aを省略することができ、部品点数が少なくなって構造が簡単になり容易に組み立てることができる。
【0070】
(2) この第5実施形態では、点状突起部9から線状突起部8にブロック表面部7aの突起を切り替えるときには、固定点状突起部9bと同じ高さになるように可動線状突起部8aを切替部10が上昇させる。また、この第5実施形態では、線状突起部8から点状突起部9にブロック表面部7aの突起を切り替えるときには、このブロック表面部7aと同じ高さになるように可動線状突起部8aを切替部10が下降させる。このため、誘導ブロック状態に切り替わったときには、可動線状突起部8aをブロック表面部7aから簡単に突出させることができる。また、警告ブロック状態に切り替わったときには、この可動線状突起部8aをこのブロック表面部7aに没入させてブロック基部に簡単に格納することができる。その結果、視覚障害者Mが誘導ブロック状態と警告ブロック状態とを誤認するのを確実に防ぐことができる。
【0071】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、視覚障害者誘導用ブロック6を交差点、通路又は床面などに設置する場合を例に挙げて説明したが、駅構内、横断歩道、歩道、道路又は公共空間などにも視覚障害者誘導用ブロック6を設置することができる。また、この実施形態では、線状突起部8の列数が4列又は5列である場合を例に挙げて説明したが、線状突起部8の列数が3列以下又は6列以上である場合についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、点状突起部9の点数が縦横5個ずつである場合を例に挙げて説明したが、点状突起部9の点数が縦横4個以下又は縦横6個以上である場合についてもこの発明を適用することができる。
【0072】
(2) この実施形態では、進入許可/禁止制御装置2からの指令に基づいて、ブロック表面部7aの突起を線状突起部8と点状突起部9とに切替部10,11が切り替えているが、操作者が任意のタイミングで切替部10,11に電力を印加してブロック表面部7aの突起を線状突起部8と点状突起部9とに切り替えることもできる。また、この実施形態では、切替部10,11が電磁アクチュエータである場合を例に挙げて説明したが、流体圧によって駆動力を発生する流体圧アクチュエータ又は磁気力によって駆動力を発生するリニアモータなどである場合についてもこの発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 進入許可/禁止装置
2 進入許可/禁止制御装置
3 道路
4 横断歩道
5A,5B,6 視覚障害者誘導用ブロック
7 本体部
7a ブロック表面部
8 線状突起部
8a,8b 可動線状突起部
9 点状突起部
9a 可動点状突起部
9b 固定点状突起部
10,11 切替部
12 視覚障害者誘導装置
13 進入許可/禁止指令信号入力部
14 電源部
15 制御部
M 視覚障害者
1 白杖

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚障害者の歩行を支援するために歩行面に敷設されて、ブロック表面部の突起によってこの視覚障害者を誘導する視覚障害者誘導用ブロックであって、
誘導ブロック状態を構成する線状突起部と、警告ブロック状態を構成する点状突起部とに、前記ブロック表面部の突起を切り替える切替部を備えること、
を特徴とする視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項2】
請求項1に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、
前記切替部は、
前記視覚障害者の進入を許可するときには、前記点状突起部から前記線状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替え、
前記視覚障害者の進入を禁止するときには、前記線状突起部から前記点状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えること、
を特徴とする視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、
前記点状突起部は、
前記線状突起部との重複部に上下方向に移動不可能な固定点状突起部を備え、
前記線状突起部との非重複部に上下方向に移動可能な可動点状突起部を備えており、
前記線状突起部は、前記点状突起部との非重複部に上下方向に移動可能な可動線状突起部を備えており、
前記切替部は、
前記点状突起部から前記線状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記可動線状突起部を上昇させるとともに前記可動点状突起部を下降させ、
前記線状突起部から前記点状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記可動線状突起部を下降させるとともに前記可動点状突起部を上昇させること、
を特徴とする視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項4】
請求項3に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、
前記切替部は、
前記点状突起部から前記線状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記ブロック表面と同じ高さになるように前記可動点状突起部を下降させるとともに、前記固定点状突起部と同じ高さになるように前記可動線状突起部を上昇させ、
前記線状突起部から前記点状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記固定点状突起部と同じ高さになるように前記可動点状突起部を上昇させるとともに、前記ブロック表面と同じ高さになるように前記可動線状突起部を下降させること、
を特徴とする視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、
前記点状突起部は、前記線状突起部との重複部に上下方向に移動不可能な固定点状突起部を備え、
前記線状突起部は、前記点状突起部との非重複部に上下方向に移動可能な可動線状突起部を備えており、
前記切替部は、
前記点状突起部から前記線状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには前記可動線状突起部を上昇させ、
前記線状突起部から前記点状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには前記可動線状突起部を下降させること、
を特徴とする視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項6】
請求項5に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、
前記切替部は、
前記点状突起部から前記線状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記固定点状突起部と同じ高さになるように前記可動線状突起部を上昇させ、
前記線状突起部から前記点状突起部に前記ブロック表面部の突起を切り替えるときには、前記ブロック表面と同じ高さになるように前記可動線状突起部を下降させること、
を特徴とする視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の視覚障害者用誘導用ブロックにおいて、
前記切替部は、異常時には前記ブロック表面部の突起を前記点状突起部に切り替えた状態を維持すること、
を特徴とする視覚障害者誘導用ブロック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−44135(P2013−44135A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181922(P2011−181922)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】