説明

覗き見防止装置、覗き見防止方法及びプログラム

【課題】コンピュータに依存せずにディスプレイの覗き見を防止する。
【解決手段】覗き見防止装置10は、覗き見防止対象となるコンピュータ20に接続される外部装置である。カメラ11は、ディスプレイ21に対向する方向に向けられ、覗き見防止装置10は、カメラ11を介して被写体の画像を撮像する。そして、覗き見防止装置10は、撮像した画像から顔情報を抽出し、当該顔情報のうち、ディスプレイ21に表示された情報の閲覧を許可する許可ユーザの顔情報と一致しないものがあるか否かを判定する。ここで、許可ユーザの顔情報と一致しない顔情報があると判定された場合に、ディスプレイ21に表示された情報を非表示にさせる非表示命令を、コンピュータ20に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイを有するコンピュータに接続され、当該コンピュータのディスプレイに表示された情報を他人に覗き見られることを防止する覗き見防止装置、覗き見防止方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク技術やセキュリティ対策技術の向上により、社外において電子メールのやりとりを行うことや、社外において社内のイントラネットに接続して文書を閲覧することなど、外出先でも社内と同じ環境で作業を行うことが可能になっている。このように社外において社内と同様の作業をできることになることで、便利になった反面、機密情報が外部に漏れてしまう危険性も高くなっている。
そこで、クライアント端末にデータの保存ができないシンクライアントシステムの導入や、クライアント端末に保存されたデータを削除する技術などを導入することで、データの紛失・盗難を防ぐ試みがなされている。
【0003】
しかしながら、背後からディスプレイを覗き込まれることによる情報漏洩は、上記技術によって防ぐことはできず、またユーザが注意を払っていたとしても情報の漏洩を防ぐことは容易ではないという問題があった。また、ディスプレイの視野角を狭めるフィルタをディスプレイに貼付することで、横から覗き見されることを防止することができるが、真後ろから覗き込まれた場合や、PC利用者が不用意に席を外した場合などには情報を除き見られてしまうため、情報漏洩の防止方法としては不十分であった。
【0004】
この問題を解決するため、特許文献1、2には、閲覧権限の無い者による覗き見を防止するシステムが開示されている。特許文献1によれば、撮像した画像に含まれる顔情報がデータベースに登録されていない場合に、警告を発する。また、特許文献2によれば、撮像した画像に含まれる顔情報がデータベースに登録されていない場合に、雑音画面を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−259930号公報
【特許文献2】特開2008−217675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2の記載によれば、覗き見を防止したいコンピュータに予め閲覧を許可するユーザの顔情報を記録しておく必要がある。そのため、利用者自身が持ち込んだPCではなく、外出先のPCを用いて機密情報の閲覧をしたい場合、当該方法を用いて情報漏洩の防止を行うことが困難であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、コンピュータのディスプレイに表示された情報を他人に覗き見られることを防止する覗き見防止装置であって、前記コンピュータとの通信を行う通信部と、前記ディスプレイに表示された情報の閲覧を許可する許可ユーザの顔情報を記憶する許可ユーザ記憶部と、前記ディスプレイに対向する被写体の画像を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像から顔情報を抽出する顔抽出部と、前記顔抽出部が抽出した顔情報のうち、前記許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しないものがあるか否かを判定する許可ユーザ判定部と、前記許可ユーザ判定部によって、前記許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しない顔情報があると判定された場合に、前記ディスプレイに表示された情報を非表示にさせる非表示命令を、前記通信部を介して前記コンピュータに出力する非表示命令出力部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、コンピュータのディスプレイに表示された情報を他人に覗き見られることを防止する覗き見防止装置を用いた除き見防止方法であって、撮像部は、前記ディスプレイに対向する被写体の画像を撮像し、顔抽出部は、前記撮像部が撮像した画像から顔情報を抽出し、許可ユーザ判定部は、前記顔抽出部が抽出した顔情報のうち、前記ディスプレイに表示された情報の閲覧を許可する許可ユーザの顔情報を記憶する許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しないものがあるか否かを判定し、非表示命令出力部は、前記許可ユーザ判定部によって、前記許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しない顔情報があると判定された場合に、前記ディスプレイに表示された情報を非表示にさせる非表示命令を、前記コンピュータとの通信を行う通信部を介して前記コンピュータに出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、覗き見防止装置を、前記コンピュータとの通信を行う通信部、前記ディスプレイに対向する被写体の画像を撮像する撮像部、前記撮像部が撮像した画像から顔情報を抽出する顔抽出部、前記顔抽出部が抽出した顔情報のうち、前記ディスプレイに表示された情報の閲覧を許可する許可ユーザの顔情報を記憶する許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しないものがあるか否かを判定する許可ユーザ判定部、前記許可ユーザ判定部によって、前記許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しない顔情報があると判定された場合に、前記ディスプレイに表示された情報を非表示にさせる非表示命令を、前記通信部を介して前記コンピュータに出力する非表示命令出力部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、覗き見防止装置は、覗き見防止対象となるコンピュータに接続される外部装置である。そのため、本発明による覗き見防止装置をコンピュータに接続することで、コンピュータ環境に依存せず、どのコンピュータ(例えば外出先のPC)においても、覗き見を防止することができる。また、覗き見を防止したいコンピュータが複数存在する場合にも、コンピュータごとに利用者を登録する手間が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態による覗き見防止装置の外観図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による覗き見防止装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による覗き見防止装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態による覗き見防止装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による覗き見防止装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
《第1の実施形態》
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による覗き見防止装置10の外観図である。
覗き見防止装置10は、予め許可したユーザ以外の人によってディスプレイ21に表示される表示情報を覗き見られることを防止する装置である。覗き見防止装置10を使用する場合、覗き見防止装置10とコンピュータ20とを接続し、覗き見防止装置10に設けられたカメラ11がディスプレイ21に対向する方向を向くようにディスプレイ21の近傍に設置する。なお、覗き見防止装置10には、ディスプレイ21に装着できるようクリップ等が設けられていることが好ましい。また、覗き見防止装置10にはUSB(Universal Serial Bus)コネクタが設けられており、当該USBコネクタを介してコンピュータ20との通信を行い、またコンピュータ20からの電力供給を受ける。
【0013】
図2は、本発明の第1の実施形態による覗き見防止装置10の構成を示す概略ブロック図である。
覗き見防止装置10は、通信部101、許可ユーザ記憶部102、撮像部103、顔抽出部104、許可ユーザ判定部105、非表示命令出力部106、ログ記憶部107、表示情報記録部108、画像記録部109、ログ出力部110を備える。
【0014】
通信部101は、覗き見防止装置10に設けられたUSBコネクタを介して、コンピュータ20との通信を行う。
許可ユーザ記憶部102は、ディスプレイ21に表示される表示情報の閲覧を許可するユーザの顔情報を記憶する。なお、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報は1人分に限られず、複数人の顔情報を記憶していても良い。
撮像部103は、カメラ11を介してディスプレイ21に対向する被写体の動画像を撮像する。
顔抽出部104は、撮像部103が撮像した画像から顔情報を抽出する。なお、顔情報とは、例えば画像データから抽出した顔領域に対する主成分分析などによって抽出された情報などが挙げられる。
許可ユーザ判定部105は、顔抽出部104が抽出した顔情報と、許可ユーザ記憶部102が記憶する許可ユーザの顔情報とを比較し、当該顔情報が許可ユーザの顔情報であるか否かを判定する。
【0015】
非表示命令出力部106は、許可ユーザ判定部105によって、許可ユーザ以外の顔を示す顔情報が撮像部103の撮像した画像に含まれると判定された場合に、現在ディスプレイ21に表示されている表示情報を隠す非表示命令を、通信部101を介してコンピュータ20に出力する。
ログ記憶部107は、他人によって表示情報が覗き見られたおそれがある時刻と、当該時刻に撮像部103が撮像した動画像と、当該時刻にディスプレイ21が表示していた表示情報とを関連付けて記憶する。
表示情報記録部108は、許可ユーザ判定部105によって、許可ユーザ以外の顔を示す顔情報が撮像部103の撮像した動画像に含まれると判定された場合に、現在ディスプレイ21に表示されている表示情報をログ記憶部107に記録する。
画像記録部109は、許可ユーザ判定部105によって、許可ユーザ以外の顔を示す顔情報が撮像部103の撮像した動画像に含まれると判定された場合に、そのとき撮像部103が撮像した動画像をログ記憶部107に記録する。
ログ出力部110は、ログ記憶部107が記憶する時刻と動画像と表示情報の組み合わせをコンピュータ20に出力する。
【0016】
次に、覗き見防止装置10の動作について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態による覗き見防止装置10の動作を示すフローチャートである。
コンピュータ20の電源が投入されると、USBコネクタを介して接続される覗き見防止装置10が起動する。まず、覗き見防止装置10は、コンピュータ20の電源が入っているか否かを判定する(ステップS1)。コンピュータ20の電源が入っている場合(ステップS1:YES)、撮像部103は、ディスプレイ21に対向する被写体の動画像の撮像を開始する(ステップS2)。次に、顔抽出部104は、撮像部103が撮像した動画像から顔検出処理を実行し、動画像に顔が含まれるか否かを判定する(ステップS3)。顔抽出部104が、動画像に顔が含まれないと判定した場合(ステップS3:NO)、ステップS1に戻り、処理を繰り返す。
【0017】
他方、顔抽出部104は、動画像に顔が含まれると判定した場合(ステップS3:YES)、当該動画像から顔情報を抽出し、許可ユーザ判定部105は、当該顔情報と許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報との照合を行う(ステップS4)。次に、許可ユーザ判定部105は、顔抽出部104が抽出した顔情報のうち、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致しないものがあるか否かを判定する(ステップS5)。なお、ここで「顔情報と一致」とは、顔情報同士が同じ値であることに限られず、所定の照合アルゴリズムを実行することで、同一人物の顔を表すものであると判定されることを示す。許可ユーザ判定部105は、顔抽出部104が抽出した全ての顔情報が、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致したと判定した場合(ステップS5:NO)、ステップS1に戻り、処理を繰り返す。
【0018】
他方、許可ユーザ判定部105によって、顔抽出部104が抽出した顔情報の中に、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致しないものがあると判定された場合(ステップS5:YES)、許可していない人によってディスプレイ21の表示を覗き見られていると判定する。そして、非表示命令出力部106は、現在ディスプレイ21に表示されている表示情報を隠す非表示命令を、通信部101を介してコンピュータ20に出力する(ステップS6)。これにより、コンピュータ20は、ディスプレイ21の表示をロック状態に変更し、表示情報を非表示状態にする。
【0019】
このとき、表示情報記録部108は、コンピュータ20からディスプレイ21に表示されていた表示情報を取得し、当該表示情報をログ記憶部107に記録する(ステップS7)。なお、表示情報の種類としては、ディスプレイ21に表示されていた画面のキャプチャ画像や、そのとき実行していたアプリケーションのリストなどが挙げられる。また、画像記録部109は、撮像部103が撮像している動画像のログ記憶部107への記録を開始する(ステップS8)。つまり、ログ記憶部107には、ステップS5で覗き見の判定がなされたときからの動画像が記録されることとなる。
【0020】
次に、顔抽出部104は、撮像部103が撮像している動画像から顔情報を抽出し、許可ユーザ判定部105は、当該顔情報のうち、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致しないものがあるか否かを判定する(ステップS9)。許可ユーザ判定部105は、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致しない顔情報があると判定した場合(ステップS9:YES)、ステップS8に戻り、動画像の記録を継続する。これにより、許可していない人によって覗き見られている間の動画像が記録される。
【0021】
他方、許可ユーザ判定部105が、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致しない顔情報がなくなったと判定した場合(ステップS9:NO)、画像記録部109は、撮像部103が撮像している動画像のログ記憶部107への記録を終了し、現在時刻と当該動画像と表示情報記録部108が記録した表示情報とを関連付ける(ステップS10)。次に、ログ出力部110は、ログ記憶部107が記憶する情報を、通信部101を介してコンピュータ20に出力する(ステップS11)。そして、非表示命令出力部106は、ディスプレイ21のロック状態を解除する表示命令を、通信部101を介してコンピュータ20に出力する(ステップS12)。これにより、コンピュータ20は、ディスプレイ21のロック状態を解除し、表示情報をディスプレイ21に表示させる。そして、ステップS1に戻り、処理を継続する。
【0022】
なお、ステップS1においてコンピュータ20の電源が入っていない場合(ステップS1:NO)、覗き見防止装置10は、処理を終了する。
【0023】
このように、本実施形態によれば、覗き見防止装置10は、コンピュータ20利用者の背後を監視し、許可されたユーザ以外が動画像に映り込んだ際にディスプレイ21の情報を見えなくすることができる。これにより、ユーザが背後に注意を払う必要がなく、情報漏洩の危険性を下げることができる。
【0024】
また、本実施形態によれば、漏洩したおそれがある情報をログとして記録しておくことができる。これにより、外部に漏洩したおそれがある情報がどのような情報であるかを知ることができ、漏洩によるリスクを勘案することや、漏洩に対する対策を早期に錬ることができる。
【0025】
また、本実施形態によれば、覗き見された際の状況を示す動画像をログとして記録しておくことができる。これにより、どのような人に覗き込まれたか、その人がどのような行動をしていたかを事後的に確認することができる。また、当該動画像が時刻と表示情報とに関連付けてログとして記録される。これにより、漏洩した内容と覗き込まれた人物とを関連付けることができる。
【0026】
また、本実施形態によれば、覗き見防止装置10は、覗き見防止対象となるコンピュータ20に接続される外部装置である。そのため、本発明による覗き見防止装置10をコンピュータ20に接続することで、コンピュータ20環境に依存せず、どのコンピュータ20においても、覗き見を防止することができる。また、覗き見を防止したいコンピュータ20が複数存在する場合にも、コンピュータ20ごとにユーザを登録する手間が発生しない。
【0027】
《第2の実施形態》
図4は、本発明の第2の実施形態による覗き見防止装置50の構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態による覗き見防止装置50は、第1の実施形態による覗き見防止装置10に加えて、操作ユーザ記憶部111及び操作ユーザ判定部112を備える。
【0028】
操作ユーザ記憶部111は、コンピュータ20を操作するユーザの顔情報を記憶する。なお、操作ユーザ記憶部111が記憶する顔情報は1人分に限られず、複数人の顔情報を記憶していても良い。なお、操作ユーザと許可ユーザとの違いはコンピュータ20の操作が許可されているか否かである。つまり、許可ユーザは、ディスプレイ21に表示された情報の閲覧は許可される一方、コンピュータ20の操作は許可されない。他方、操作ユーザは、閲覧及び操作が許可される。
操作ユーザ判定部112は、顔抽出部104が抽出した顔情報と、操作ユーザ記憶部111が記憶する操作ユーザの顔情報とを比較し、当該顔情報が操作ユーザの顔情報であるか否かを判定する。
【0029】
そして、非表示命令出力部106は、許可ユーザ判定部105によって、許可ユーザ以外の顔を示す顔情報が撮像部103の撮像した画像に含まれると判定された場合、または操作ユーザ判定部112によって、操作ユーザの顔を示す顔情報が撮像部103の撮像した画像に含まれないと判定された場合に、非表示命令を出力する。
【0030】
次に、覗き見防止装置10の動作について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態による覗き見防止装置50の動作を示すフローチャートである。
コンピュータ20の電源が投入されると、USBコネクタを介して接続される覗き見防止装置50が起動する。まず、覗き見防止装置50の非表示命令出力部106は、現在ディスプレイ21に表示されている表示情報を隠す非表示命令を、通信部101を介してコンピュータ20に出力する(ステップS21)。次に、覗き見防止装置50は、コンピュータ20の電源が入っているか否かを判定する(ステップS22)。コンピュータ20の電源が入っている場合(ステップS22:YES)、撮像部103は、ディスプレイ21に対向する被写体の動画像の撮像を開始する(ステップS23)。次に、顔抽出部104は、撮像部103が撮像した動画像から顔検出処理を実行し、動画像に顔が含まれるか否かを判定する(ステップS24)。顔抽出部104が、動画像に顔が含まれないと判定した場合(ステップS24:NO)、ステップS21に戻って非表示命令を出力し、処理を繰り返す。
【0031】
他方、顔抽出部104は、動画像に顔が含まれると判定した場合(ステップS24:YES)、当該動画像から顔情報を抽出し、操作ユーザ判定部112は、当該顔情報と操作ユーザ記憶部111が記憶する顔情報との照合を行う(ステップS25)。次に、許可ユーザ判定部105は、顔抽出部104が抽出した顔情報のうち、操作ユーザ記憶部111が記憶する顔情報と一致するものがあるか否かを判定する(ステップS26)。操作ユーザ判定部112は、顔抽出部104が抽出した顔情報が何れも操作ユーザ記憶部111が記憶する顔情報と一致しないと判定した場合(ステップS26:NO)、ステップS21に戻って非表示命令を出力し、処理を繰り返す。
【0032】
他方、操作ユーザ判定部112が、顔抽出部104が抽出した顔情報の中に、操作ユーザ記憶部111が記憶する顔情報と一致するものがあると判定した場合(ステップS26:YES)、非表示命令出力部106は、ディスプレイ21の状態がロック状態であるか否かを判定する(ステップS27)。非表示命令出力部106は、ディスプレイ21の状態がロック状態であると判定した場合(ステップS27:YES)、通信部101を介してコンピュータ20に表示命令を出力する(ステップS28)。これにより、ディスプレイ21のロックが解除される。
【0033】
ステップS27においてディスプレイ21の状態がロック状態でない場合(ステップS27:NO)、またはステップS28で表示命令を出力した場合、顔抽出部104は、ステップS25で抽出した顔情報の中に、操作ユーザ判定部112によって判定された顔情報以外の顔情報が存在するか否かを判定する(ステップS29)。顔抽出部104が、操作ユーザ以外の顔情報が含まれないと判定した場合(ステップS29:NO)、ステップS22に戻って、ロックが解除された状態で、処理を繰り返す。
【0034】
他方、顔抽出部104が、操作ユーザ以外の顔情報が含まれると判定した場合(ステップS29:YES)、操作ユーザ判定部112は、当該顔情報と操作ユーザ記憶部111が記憶する顔情報との照合を行う(ステップS30)。次に、許可ユーザ判定部105は、顔抽出部104が抽出した操作ユーザ以外の顔情報のうち、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致しないものがあるか否かを判定する(ステップS31)。許可ユーザ判定部105は、顔抽出部104が抽出した操作ユーザ以外の顔情報がすべて、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致したと判定した場合(ステップS31:NO)、ステップS22に戻り、処理を繰り返す。
【0035】
他方、許可ユーザ判定部105によって、操作ユーザ以外の顔情報の中に、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致しないものがあると判定された場合(ステップS31:YES)、許可していない人によってディスプレイ21の表示を覗き見られていると判定する。そして、非表示命令出力部106は、非表示命令をコンピュータ20に出力する(ステップS32)。これにより、コンピュータ20は、ディスプレイ21の表示をロック状態に変更し、表示情報を非表示状態にする。
【0036】
このとき、表示情報記録部108は、コンピュータ20からディスプレイ21に表示されていた表示情報を取得し、当該表示情報をログ記憶部107に記録する(ステップS33)。また、画像記録部109は、撮像部103が撮像している動画像のログ記憶部107への記録を開始する(ステップS34)。つまり、ログ記憶部107には、ステップS31で覗き見の判定がなされたときからの動画像が記録されることとなる。
【0037】
次に、顔抽出部104は、撮像部103が撮像している動画像から顔情報を抽出し、許可ユーザ判定部105は、当該顔情報のうち、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致しないものがあるか否かを判定する(ステップS35)。許可ユーザ判定部105は、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致しない顔情報があると判定した場合(ステップS35:YES)、ステップS34に戻り、動画像の記録を継続する。これにより、許可していない人によって覗き見られている間の動画像が記録される。
【0038】
他方、許可ユーザ判定部105が、許可ユーザ記憶部102が記憶する顔情報と一致しない顔情報がなくなったと判定した場合(ステップS35:NO)、画像記録部109は、撮像部103が撮像している動画像のログ記憶部107への記録を終了し、現在時刻と当該動画像と表示情報記録部108が記録した表示情報とを関連付ける(ステップS36)。次に、ログ出力部110は、ログ記憶部107が記憶する情報を、通信部101を介してコンピュータ20に出力する(ステップS37)。そして、非表示命令出力部106は、ディスプレイ21のロック状態を解除する表示命令を、通信部101を介してコンピュータ20に出力する(ステップS38)。これにより、コンピュータ20は、ディスプレイ21のロック状態を解除し、表示情報をディスプレイ21に表示させる。そして、ステップS22に戻り、処理を継続する。
【0039】
なお、ステップS22においてコンピュータ20の電源が入っていない場合(ステップS22:NO)、覗き見防止装置50は、処理を終了する。
【0040】
このように、本実施形態によれば、覗き見防止装置50は、コンピュータ20利用者の背後を監視し、予め指定した操作ユーザがディスプレイ21の前にいない場合にディスプレイ21の情報を見えなくすることができる。これにより、操作ユーザが席を外している間に、許可ユーザ、すなわち閲覧は許可されているものの操作が許可されていないユーザによって、コンピュータ20が操作されることを防ぐことができる。
【0041】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0042】
上述の覗き見防止装置50は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0043】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0044】
10、50…覗き見防止装置 11…カメラ 101…通信部 102…許可ユーザ記憶部 103…撮像部 104…顔抽出部 105…許可ユーザ判定部 106…非表示命令出力部 107…ログ記憶部 108…表示情報記録部 109…画像記録部 110…ログ出力部 111…操作ユーザ記憶部 112…操作ユーザ判定部 20…コンピュータ 21…ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータのディスプレイに表示された情報を他人に覗き見られることを防止する覗き見防止装置であって、
前記コンピュータとの通信を行う通信部と、
前記ディスプレイに表示された情報の閲覧を許可する許可ユーザの顔情報を記憶する許可ユーザ記憶部と、
前記ディスプレイに対向する被写体の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像から顔情報を抽出する顔抽出部と、
前記顔抽出部が抽出した顔情報のうち、前記許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しないものがあるか否かを判定する許可ユーザ判定部と、
前記許可ユーザ判定部によって、前記許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しない顔情報があると判定された場合に、前記ディスプレイに表示された情報を非表示にさせる非表示命令を、前記通信部を介して前記コンピュータに出力する非表示命令出力部と
を備えることを特徴とする覗き見防止装置。
【請求項2】
前記許可ユーザ判定部によって、前記許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しない顔情報があると判定されたときに前記ディスプレイに表示されていた表示情報を、前記コンピュータから取得してログ記憶部に記録する表示情報記録部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の覗き見防止装置。
【請求項3】
前記許可ユーザ判定部によって、前記許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しない顔情報があると判定されたときに前記撮像部が撮像した画像を、前記表示情報に関連付けて前記ログ記憶部に記録する画像記録部
を備えることを特徴とする請求項2に記載の覗き見防止装置。
【請求項4】
前記コンピュータの操作を実行する操作ユーザの顔情報を記憶する操作ユーザ記憶部と、
前記顔抽出部が抽出した顔情報のうち、前記操作ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致するものがあるか否かを判定する許可ユーザ判定部を備え、
非表示命令出力部は、前記許可ユーザ判定部によって、前記許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致する顔情報がないと判定された場合に、前記ディスプレイに表示された情報を非表示にさせる非表示命令を、前記通信部を介して前記コンピュータに出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の覗き見防止装置。
【請求項5】
コンピュータのディスプレイに表示された情報を他人に覗き見られることを防止する覗き見防止装置を用いた除き見防止方法であって、
撮像部は、前記ディスプレイに対向する被写体の画像を撮像し、
顔抽出部は、前記撮像部が撮像した画像から顔情報を抽出し、
許可ユーザ判定部は、前記顔抽出部が抽出した顔情報のうち、前記ディスプレイに表示された情報の閲覧を許可する許可ユーザの顔情報を記憶する許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しないものがあるか否かを判定し、
非表示命令出力部は、前記許可ユーザ判定部によって、前記許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しない顔情報があると判定された場合に、前記ディスプレイに表示された情報を非表示にさせる非表示命令を、前記コンピュータとの通信を行う通信部を介して前記コンピュータに出力する
ことを特徴とする覗き見防止方法。
【請求項6】
覗き見防止装置を、
前記コンピュータとの通信を行う通信部、
前記ディスプレイに対向する被写体の画像を撮像する撮像部、
前記撮像部が撮像した画像から顔情報を抽出する顔抽出部、
前記顔抽出部が抽出した顔情報のうち、前記ディスプレイに表示された情報の閲覧を許可する許可ユーザの顔情報を記憶する許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しないものがあるか否かを判定する許可ユーザ判定部、
前記許可ユーザ判定部によって、前記許可ユーザ記憶部が記憶する顔情報と一致しない顔情報があると判定された場合に、前記ディスプレイに表示された情報を非表示にさせる非表示命令を、前記通信部を介して前記コンピュータに出力する非表示命令出力部
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−173913(P2012−173913A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34288(P2011−34288)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】