説明

親水性ポリマーを含む吸収性ドレッシング

ペンダントの親水基およびペンダントのマイケル供与体基を有する複数の重合したモノマー単位を含む第1の成分のポリマー、並びに、少なくとも2つのマイケル受容体基を含む架橋剤を含む、架橋された親水性ゲル吸収層を備える吸収性ドレッシングを記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な親水性架橋性ポリマー組成物およびそれから調製される物品に関する。組成物はゲル材料およびこのような材料を組み込む医療用物品、特に創傷ドレッシングとして有用な医療用物品の調製に有用となり得る。
【背景技術】
【0002】
従来、創傷からの滲出物は、吸収材を具有するドレッシングを使用してそれを吸収することによって処置されてきた。このようなドレッシングは、接着テープ支持体に取り付けられたパッド付き吸収材を具有する。パッド付き吸収材は創傷に適用され、創傷滲出物を吸収する。このタイプのドレッシングに関する難点は、典型的には、創傷が治癒する時、パッドの中に、およびパッドの一部として瘡蓋が形成することである。従って、ドレッシングを除去するとき、瘡蓋が除去される。この問題は、形成した瘡蓋が吸収材に固着する可能性が低減するように吸収材と創傷の間に多孔質フィルムを提供することによって対処されてきた。
【0003】
現在の創傷ケア製品には、ハイドロコロイド吸収材を使用するものがある。このような材料は典型的には透明度が低く、そのため治療状態を外側から観察することができない。また、このような材料は、創液を吸収した後、部分的にその一体性を失う可能性がある。ハイドロコロイドドレッシングの可撓性は低い可能性があり、そのためドレッシングを関節などの身体の屈曲部分に適用することが困難になる。創傷と接触する吸収材の部分はゲル状の材料に変わり、ドレッシングを除去するとき、この吸収材の一部が創傷内に残留する可能性があり、診察できるように、および/又は別のドレッシングを適用する前に、除去されなければならない。
【0004】
より最近では、褥瘡および圧迫潰瘍用のいわゆる「閉鎖性」ドレッシングの使用が受け入れられるようになった。これらの製品のほとんどは、少なくとも内側皮膚接触層と外側支持体層を含む数層から形成される。ドレッシングは褥瘡又は圧迫潰瘍用の被覆材として、皮膚に接着封止する、創傷領域の周囲の縁を提供するサイズで適用される。創傷からの流体が内層に吸収され、ドレッシングを少なくとも数日間、所定の位置に保持することを可能にするように、内層は吸水性材料を具有する。このような閉鎖性ドレッシングは、痂皮を形成することなく創傷を湿潤状態に維持し、細菌感染に対するバリアとしての役割をすることにより治癒を促進する傾向がある。「湿潤創傷治癒」のためのこのようなドレッシングは、皮膚熱傷、外傷性皮膚欠損、および切創等に特に有用である。
【0005】
アセトアセテート化合物の化学およびアクリレートへのマイケル付加が記載されてきた。例えば、モツナー(Mozner)およびラインベルガー(Rheinberger)は、β−ジカルボニル基を有するアセトアセテートをトリアクリレートおよびテトラアクリレートにマイケル付加してゲル生成物を形成することを報告した。高分子速報16、135〜138頁(1995年)(Macromolecular Rapid Communications 16 135−138(1995))を参照されたい。
【0006】
米国特許第6,025,410号明細書は、マイケル供与体対マイケル受容体の化学量論が分子量の制御に重要であるということを記載している。この参考文献は、アセトアセテートのマルチアクリレート(multi−acrylates)への一段階マイケル付加で製造されるある一定の可溶性液体未架橋オリゴマーを、光開始剤を使用することなく紫外線を使用して更に架橋できることを教示している。特許請求した範囲より低い割合を使用すると、架橋されたゲル又は固体生成物が製造されるが、光開始剤の添加なしでは、ゲル化していない未架橋の液体オリゴマーしか更に架橋しないため、それらは有用ではない。記載される液体オリゴマー組成物は、液体であるため、紫外線硬化の前にロール又はスプレーなどの従来の塗工法を使用して様々な基材に容易に塗布することができる。
【0007】
米国特許第5,132,367号明細書は、NCO−を含まない樹脂およびその硬化生成物を記載している。硬化生成物は、アセトアセチル化(メタ)アクリル樹脂又はアセトアセチル化ポリエステルと、少なくとも2つの(メタ)アクリル末端基を有しNCO−を含まないポリウレタンとのマイケル反応により得られる。しかし、米国特許第5,132,367号明細書は、電気的用途におけるこれらの生成物の使用を教示していない。
【0008】
EP227454号明細書は、アセトアセチル化ポリオールとポリα,β−不飽和エステルのマイケル反応を含む、硬化ポリマーの調製プロセスを開示している。得られる硬化生成物は、優れた接着性、優れた耐溶剤性、優れた光沢保持、良好な可撓性および硬度を示すと言われる。
【0009】
米国特許第5,459,178号明細書は、アセトアセテートエステル、α,β−エチレン性不飽和モノマー、および液体第三級アミン触媒を含む混合物を記載している。これらの成分の反応により、硬化した系が得られる。使用されるアセトアセテートエステルは、平均少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル化合物とアルキルアセトアセテートとのエステル交換によって調製される。
【0010】
米国特許第4,871,822号明細書は、2成分ラッカーに関する、オレフィン性不飽和化合物と、少なくとも2つの活性水素原子を含有する化合物とのマイケル反応を開示している。オレフィン性不飽和化合物として少なくとも2つのα,β−不飽和カルボニル基を有する化合物が考えられる。アセトアセチル化ポリオール又はポリアミンと、例えば、アセチルアセトン又はベンゾイルアセトンのような化合物を含む多数のマイケル供与体がある。
【0011】
ポリマー学会誌26、265〜270頁(1991年)(Polymer Bulletin 26, pages 265−270(1991))のデイビッドL.トランボ(David L. Trumbo)は、1,4−および1,3−ベンゼンジメタノールジアセトアセテートとトリプロピレングリコールジアクリレートから得られたマイケル付加ポリマーを開示している。この参考文献は、反応物質が反応基の化学量論的な量で使用される場合、系のゲル化が観察されることを記載している。別の文献(ポリマー学会誌26、481〜485頁(1991年)(Polymer Bulletin 26, pages 481−485(1991)))では、同じ著者が、ビス(アセトアセチル)アミド又は脂肪族アセトアセテートと、ジアクリレートコモノマーとの反応から得られるマイケル付加ポリマーを記載した。しかし、これらの論文にはポリマーの利用又は特性は記載されていない。
【0012】
国際公開第95/16749号パンフレットは、水溶液、分散体又はエマルションの形態のアセトアセチル化ポリマーと、少なくとも2つの(メタ)アクリレート末端基を有するポリアクリレートとを含む水系硬化性組成物を記載している。この公報によれば、このような組成物は、系から水が蒸発するまで、触媒の存在下でも安定である。
【0013】
熱硬化系におけるアセトアセチル化学の使用、特にアセトアセチル化樹脂の使用が、コーティング技術誌61巻、771号、31〜37頁(Journal of Coatings Technology Vol.61 no.771 page 31 to 37);コーティング技術誌65巻、821号、63〜69頁(Journal of Coatings Technology Vol.65 no.821 page 63 to 69);表面コーティング、オーストラリア、1989年9月、6〜15頁(Surface Coatings Australia, September 1989 page 6 to 15);および、コーティング技術誌61巻、770号、83〜91頁(Journal of Coatings Technology Vol.61 no.770 page 83 to 91)に更に記載されている。
【0014】
米国特許第4,408,018号明細書は、(a)複数のペンダントのアセトアセテート部分をアクリレートポリマー主鎖に導入すること;(b)ポリマーを、(i)少なくとも2つの基を有する架橋剤および(ii)マイケル反応を開始するのに有効な強塩基触媒と混合すること;並びに、(c)ペンダントのアセトアセテート部分とポリアクリレートとの反応を実施することを含む、ポリマーの架橋の実施方法を記載している。ペンダントのアセトアセテート基を含有するポリアクリレートは、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのアセト酢酸エステルを、アクリレートポリマーを形成するモノマーと共重合させることによって製造される。ポリアクリレート架橋剤は、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(I)である。ポリアクリレート樹脂は、とりわけ、ペンダントのアセトアセテート基を含有するスチレン−アクリレートコポリマーである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
創傷ドレッシングなどの医療用途に有用な既知の親水性ゲル材料があるが、吸収と凝集力の適切なバランスを有する材料が必要とされている。更に、創傷ドレッシング又は創傷填塞材(wound packing material)などの医療用物品に使用するための、透明な、および/又は可撓性のある閉鎖性材料を提供することが望ましい可能性がある。更に、溶融加工可能で、低い残留分を含有する組成物を提供することが望ましい可能性がある。
【0016】
本発明は、均一なコーティング、特にゲルコーティングが得られるように、ウェブ上に流延され、逐次付加(step−growth addition)により硬化され得る反応性で溶融加工可能な材料を記載する。ある範囲の用途に特定の性質を提供するため、ポリマー、架橋剤、および反応の程度、又は架橋密度を様々にすることができる。これらの材料は、それらが容易に加工され、経済的および/又は環境的な利点を提供できるような分子量を有する。材料を後で硬化させ、改善された最終的な機械的特性を得ることができる。従って、これらの材料は現在の技術の著しい進歩を示す。
【課題を解決するための手段】
【0017】
簡潔には、本発明は、ペンダントの親水基(好ましくは、ポリ(アルキレンオキサイド)基)、ペンダントのマイケル供与体基を含有する第1の成分のポリマー、並びに、マイケル受容体官能基および好ましくは親水性ポリ(アルキレンオキサイド)セグメントを有する共反応性の(co−reactive)第2の成分の架橋剤から調製される新規な親水性ポリマー組成物を提供する。
【0018】
一態様では、本発明は、
a)ペンダントの親水基(好ましくは、ペンダントのポリ(アルキレンオキサイド)基)およびペンダントのマイケル供与体基を有する複数の重合したモノマー単位を含む第1の成分のポリマー;並びに
b)マイケル受容体末端基を有する架橋剤、好ましくはマイケル受容体末端基を有する親水性ポリ(アルキレンオキサイド)、
を含む親水性架橋性ポリマー組成物を提供する。
【0019】
本発明は、第1の成分のポリマーと架橋剤とのマイケル反応生成物である親水性ポリマーを更に提供する。マイケル反応では、ある一定のエノール、エノレート、又は同等物が、付加−脱離反応中、α,β−カルボニル化合物の二重結合に付加する。
【0020】
本発明は、幾つかの利点の1つ以上を有し得る。本発明は、副生成物を全く又は最小限しか生成せず、逐次付加により架橋密度を達成する親水性架橋性組成物を提供する。幾つかの実施形態では、組成物は、粘度が低く、容易に溶融加工可能で、塗工可能であり、溶媒、モノマー、可塑剤、縮合反応又は置換反応の副生成物、および/又は粘度調整剤などの残留分が最小限である。未反応のモノマー又は低分子量種は、毒性があるか又は刺激を与える可能性があり、創傷ドレッシングなどの用途において特に問題であり、そのため幾つかの実施形態では、本組成物は、有利にはこのような種を最小限にする。
【0021】
別の態様では、本発明は、
a)基材上に本発明の架橋性組成物を塩基性触媒と組み合わせる工程、および
b)前記組成物を塗工し、十分な熱の存在下で、前記組成物を架橋させる工程、
を含む、架橋された組成物(親水性ゲルなど)のコーティングを基材の少なくとも1面に有する基材を製造するプロセスを提供する。
【0022】
性能、環境、および経済的考慮事項のため、幾つかの実施形態では、10,000センチポアズ以下(100℃以下で測定する場合)の塗工可能な粘度を有する組成物を作り、組成物を基材上に塗工した後、組成物を架橋して強度を増すことが有利である。
【0023】
本明細書で使用する場合、「溶融加工可能」又は単に「加工可能」の用語は、溶媒、モノマー、可塑剤および/又は粘度調整剤などの残留物の添加を必要とすることなく、および異常な圧力を必要とすることなく、ポリマーおよび架橋剤の分解温度より低温、および、尚早なゲル化が起こる温度より低温で、従来の押出装置を使用して塗工する又は押出すのに好適な低粘度を有する又は達成するポリマー組成物を指すのに使用される。好ましくは、組成物は100℃以下の温度で溶融加工可能である。一般に、溶融加工可能な実施形態は、第1の成分のポリマーがオリゴマーである、即ち、300以下の重合度を有するものである。
【0024】
幾つかの実施形態では、本発明は、吸収性医療用物品および、それに使用する、好ましくは透明の親水性ポリマーゲル材料を提供する。医療診療への親水性ポリマーゲルの応用は、例えば、創傷ドレッシング、創傷填塞材、接着剤(特に感圧接着剤)、コンタクトレンズ、眼内レンズ、生体組織用の接着剤、接着防止材料、血液精製用の吸着剤、および薬剤放出用のベース材料等に見出される。歯科鋳造又は印象用の材料は、可能性のある別の医療物品の用途である。従って、本明細書で使用する時、医療用途は、歯科用接着剤、修復材、コーティング、コンポジット、シーラントなどを含む歯科用途を包含する。水で膨潤するポリマーゲルは、生体組織のものに類似の組成および機械的特性を有するため、このようなゲルは将来様々な分野に応用され得る。
【0025】
架橋密度を様々にする能力は、前述した様々な用途に好適な特性の変更を可能にする。本発明の新規な組成物は、例えば、特定の構成成分の選択により、および架橋密度の制御により、硬化して、剪断、剥離、放出、強度、硬さ、弾性、吸収性、および靭性などの調整可能な(tailorable)特性を有する架橋された組成物を形成する。例えば、医療用ゲルおよび可撓性コーティングの要件は異なり得るが、架橋された組成物を形成する同じ方法を依然として維持しつつ、材料の構造および結合密度を変えることができる。最大架橋密度は、架橋性組成物に組み込まれるマイケル供与体基のパーセンテージおよび使用される架橋剤の量によって予め決定される。また、後の硬化段階を使用して最終特性を得ると同時に、加工が改善されるように系を部分的に転化又は硬化させることが望ましい場合もある。
【0026】
「ゲル」(又は、「ポリマーゲル」又は「ポリマーゲル材料」又は「親水性ゲル」)は、水をベースにする流体(血液、血漿、および細胞間液、又は生理食塩水などの体液に類似した流体を含む体液など)と接触して膨潤できるが水に溶解しないゲル材料を意味する。ゲルは、実質的に連続的であり、即ち、(捕捉された気泡又は破断などの小さい欠陥が存在することはあるが)細胞構造又は空隙構造がなく、従って、一般に固体又は半固体の形態である。「ゲル」の用語は、水和の状態に関わらず使用される。好ましくは、ゲルは、ゲルが水を吸収する表面(例えば、創傷)と接触するまで、水を含まない。重要なことには、水(又は他の可塑剤)がなくても、本発明のゲル材料の好ましい実施形態は、可撓性がある。
【0027】
「吸収性」は、材料が流体、特に体液、好ましくは中程度から多量の体液を吸収できると同時に、その構造的一体性を維持する(即ち、例えば、創傷ドレッシングの役割をする機能を実施できるように十分そのままの状態を留める)ことを意味する。
【0028】
親水性の用語は、ポリマー組成物に暴露される水をかなりの量、典型的には約50重量%超、好ましくは100重量%超、より好ましくは200重量%超、吸収できるポリマー組成物を記載するために本明細書で使用される。
【0029】
好ましくは、ゲル材料は透明であり、流体の吸収後、その透明度を維持する。「透明」は、好ましい材料が患者に(例えば、創傷部位に)適用されるとき、医療従事者による創傷の観察が可能になるようにドレッシングの下にある領域を十分に見ることができることを意味する。
【0030】
「アクリル」は、包括的な意味で使用され、アクリル酸の誘導体だけではなく、それぞれアミン、チオール、およびアルコール誘導体も意味する。
【0031】
「アルキル」および「アルキレン」は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖の炭化水素から、それぞれ1個および2個の水素原子を除去した後に残る1価および2価の残基を意味する。
【0032】
「低級アルキル」は、C1〜C4アルキルを意味する。
【0033】
「アリール」および「アリーレン」は、5〜12個の環原子を有する芳香族化合物(単一の環、並びに、複数の環、および融合した環)から、それぞれ1個および2個の水素原子を除去した後に残る1価および2価の残基を意味し、低級アルカリールおよびアラルキル、低級アルコキシ、N,N−ジ(低級アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、ハロ、および低級アルキルカルボン酸エステルなどの置換された芳香族を含み、ここで、「低級」はC1〜C4を意味する。
【0034】
「シクロアルキル」および「シクロアルキレン」は、炭素数3〜12の環式炭化水素から、それぞれ1個および2個の水素原子を除去した後に残る1価および2価の残基を意味する。
【0035】
「硬化性」は、塗工可能な材料が、化学的架橋によって固体の、実質的に流動しない材料に変化され得ることを意味する。
【0036】
「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリル基の両方を含む。
【0037】
「ポリアクリル」は、マイケル受容体として機能し得る2つ以上のアクリル基を有する化合物を意味する。
【0038】
「架橋」は、非限定の分子量を有するポリマー網目構造の形成を意味し、2より大きい官能価を有するポリマー反応物質を用いた重合中に起こる。更なる情報は、G.オーディアン、重合の原理、第3版、1991年、ジョンウィリー・アンド・サンズ:ニューヨーク、108頁(G.Odian, Principles of Polymerization, 3rd edition, 1991, John Wiley & Sons: New York, p.108)に見出される。連鎖成長プロセスによりペンダントの重合性官能基の間に架橋が形成される。
【0039】
有利には、本発明は、溶媒、モノマー、可塑剤、および/又は粘度調整剤などの相当の残留分を含むことなく容易に加工され、縮合又は置換反応からの副生成物を含有しない架橋性組成物を提供する。残留分を含有する硬化性の系は、未硬化から硬化状態に変わるとき、密度の著しい増加を起こし、容積の正味収縮を引き起こす可能性がある。周知のように収縮によって、多くの場合、全体的な接着の損失が起こるだけでなく、顕著な移動が起こり、位置合わせが予測不可能になる。収縮によって、また、コーティングに残留応力が生じる可能性があり、そのため後で機械的損失が生じる可能性がある。
【0040】
幾つかの実施形態では、本発明の組成物は溶媒の蒸発および/又はモノマー重合による収縮を最小限にする。本発明の低収縮組成物は、成形用途に、又は正確な成形および/又は位置合わせが必要なあらゆる用途に、特に有用である。本発明は、100%固体として配合され、溶融加工され、熱硬化され得、溶媒系ポリマー又はシロップポリマー(即ち、ポリマーが未反応のモノマー中に溶解しているポリマー組成物)のものに匹敵する又はそれらを超える特性を示す新しい種類の架橋性ポリマーを提供する。本発明は、2%未満の収縮、好ましくは1%未満の収縮を示す組成物を提供する。
【0041】
更に、材料の純度および加工のための清浄な環境も、高性能材料を製造するのに重要である。コーティングおよびゲルに使用されるポリマーは、望ましいことには、揮発性材料(モノマー種又は他の残留物など)をあまり含まずに送達されることが多く、特に創傷部位の汚染がなくなる。しかし、残留揮発性材料の問題は、とりわけ、移動可能な揮発性不純物の許容可能な限界が数ppmのオーダーであるとき、ずっと手に負えない課題となる。医療および食品包装などの産業は、高純度で低コストの材料を必要とする。多くの実施形態で本発明は残留物汚染による問題を回避し、残留分が2重量%未満、好ましくは1重量%未満である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明は、親水性ゲルの調製に有用な架橋性組成物を提供する。組成物は、ペンダントのマイケル供与体基およびペンダントの親水基を有するポリマーから調製され、エチレン性不飽和モノマーから形成される。組成物は、
a)ペンダントの親水基、好ましくはポリ(アルキレンオキサイド)基、およびペンダントのマイケル供与体基を有する複数の重合したモノマー単位を含む第1の成分のポリマー;並びに、
b)マイケル受容体基を有し、好ましくは、アクリル基などの2つ以上の末端マイケル受容体基を有する親水性ポリ(アルキレンオキサイド)基を含む架橋剤、
を含む。
【0043】
組成物は、第1の成分のポリマー100重量部当たり、硬化または架橋されたときに第1の成分のポリマー鎖当たり2つより多くの架橋を提供するのに十分な量の前記架橋剤を含む。相対量は、2つの成分の量、および、それぞれポリマーと架橋剤中のマイケル供与体当量とマイケル受容体当量の量に依存する。
【0044】
前記第1の成分のポリマーと架橋剤の相対量は様々であってよい、即ち、第1の成分のポリマー50〜99.9重量部、好ましくは80〜99.9重量部、および架橋剤0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜20重量部であってよい。一般に、前記架橋剤の量は、10重量部以下である。しかし、相対量は、架橋された組成物が親水性である、即ち、少なくとも50wt%の水を吸収するように選択される。
【0045】
一実施形態では、第1の成分のポリマー(a)は、
a)ペンダントの親水基、好ましくはポリ(アルキレンオキシド)基を有する重合したモノマー単位を25〜75重量部、
b)ペンダントのマイケル供与体基を有するエチレン性不飽和モノマーから誘導される重合したモノマー単位を25〜75重量部、
c)アクリル酸エステル、好ましくは炭素数1〜14の非第三級アルキルアルコールのアクリル酸エステルから誘導される重合したモノマー単位を0〜25重量部、
d)少なくとも1つの他のモノマーを0〜10重量部、
含む。
【0046】
第1の成分のポリマーは、親水基を有するモノマー、即ち、「親水性モノマー」を含む。本明細書で使用する時、「親水性モノマー」は、曇り点に達することなく少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5wt%の水混和性(モノマー中の水)を有する重合性モノマーであり、ポリ(アルキレンオキサイド)モノマーを包含する。ポリマーは、このようなモノマー単位を25〜75重量部含んでもよい。好ましくは、ポリマーは、一般にこのようなモノマー単位を50重量部以下含む。
【0047】
親水性モノマーは、ゲル材料を形成するのに使用される架橋されたポリマーの親水性、吸収性を増加させる、および/又は、機械的特性(例えば、引張強度)を改善するために使用される。親水性モノマーは、得られるポリマーにコンプライアンスを提供することもできる。好適な親水性モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アクリルアミド、モノ−又はジ−N−アルキル置換アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、[2−(メタ)(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロライド、[2−(メタ)(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムメチルサルフェート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい極性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、イメチルアクリルアミド(imethylacrylamide)およびこれらの混合物等が挙げられる。好ましくは、親水性モノマーは、ペンダントのポリ(アルキレンオキサイド)基を有する。
【0048】
第1の成分のポリマーは、好ましくは、次式のペンダントのポリ(アルキレンオキサイド)基を有するエチレン性不飽和モノマーから誘導される重合したモノマー単位を含み、
Z−Q−(CH(R1)−CH2−O)n−R2、(I)
式中、Zは重合性エチレン性不飽和部分であり、R1はH又はC1〜C4アルキル基であり、R2はH、C1〜C4アルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせであり、nは2〜100、好ましくは5〜20であり、Qは、アルキレン、−O−、−NR1−、−S−、およびこれらの組み合わせから選択される2価の連結基である。ポリマーは、このようなモノマー単位を25〜75重量部、好ましくは50重量部以下含む。好ましくは、Z−は、(メタ)アクリル基を表す。
【0049】
一実施形態では、ポリ(アルキレンオキサイド)基は、ポリ(エチレンオキサイド)(コ)ポリマーである。別の実施形態では、ペンダントのポリ(アルキレンオキサイド)基は、ポリ(エチレンオキサイド−コ−プロピレンオキサイド)コポリマーである。このようなコポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、又はグラディエントコポリマー(gradient copolymers)であってもよい。
【0050】
例えば、一官能性又は二官能性アルキレンオキサイド(コ)ポリマー(典型的には、市販されている)を反応性エチレン性不飽和化合物(例えば、(メタ)アクリル化合物)と反応させることによって、ポリ(アルキレンオキサイド)基を有するモノマーを調製することができる。ポリ(アルキレンオキサイド)を停止させる官能基としては、ヒドロキシ基、アミン基、低級アルキルエーテル基、アリールエーテル基、およびカルボキシ基が挙げられる。
【0051】
以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロライド、無水(メタ)アクリル酸、および、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートを含むアクリレート誘導体などの様々な反応性エチレン性不飽和化合物を使用することができる。好ましくは、モノマーは、一官能性又は二官能性アルキレンオキサイド(コ)ポリマーを無水(メタ)アクリル酸と反応させることによって調製される。典型的には、化学量論的な量のエチレン性不飽和反応物質を一官能性アルキレンオキサイド(コ)ポリマー(モノヒドロキシで停止されたアルキレンオキサイド(コ)ポリマーなど)と組み合わせると、一置換生成物に100%転化される。
【0052】
好適な一官能性ポリ(アルキレンオキサイド)モノマーの例としては、ポリ(エチレンオキサイド)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレンオキサイド)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド)(メタ)アクリレート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。このようなモノマーは、好ましくは、(C1〜C4)アルコキシ、アリールオキシ(例えば、フェノキシ)、および(C1〜C4)アルカリールオキシなどの1つの非反応性末端基を含む。これらの基は、直鎖又は分岐鎖とすることができる。これらのモノマーは、広範囲の分子量を有することができ、ペンシルバニア州エクストン、サートマー社(Sartomer Company, Exton, PA);日本、東京、新中村化学工業株式会社(Shinnakamura Chemical Co., Ltd., Tokyo, Japan);ウィスコンシン州ミルウォーキー、アルドリッチ(Aldrich, Milwaukee, WI);および、日本、大阪、大阪有機化学工業株式会社(Osaka Organic Chemical Ind., Ltd., Osaka, Japan)などの供給元から市販されている。
【0053】
第1の成分のポリマーは、次式のペンダントのマイケル供与体基を有するエチレン性不飽和モノマーから誘導される重合したモノマー単位を含み、
1−CHR4−C(O)−Q−Z (II)又は
1−NH−C(O)−Q−Z (III)
式中、
4は、水素、アルキル基、又はアリール基を表し、
1は、シアノ基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミド基、およびスルホニル基から選択され、
Zは、重合性エチレン性不飽和部分であり、
Qは、アルキレン、−O−、−NR1−、−S−、およびこれらの組み合わせ(オキシアルキレンなど)(式中、R1はH又はC1〜C4アルキル基である)から選択される2価の連結基である。
【0054】
式I、II、およびIIIに関して、Z−Qは、以下を含み得るエチレン性不飽和重合性基を表す。
【0055】
【表1】

【0056】
有用なマイケル供与体モノマーとしては、2−アセトアセトキシエチルメタクリレートおよびアリルアセトアセテートが挙げられる。第1の成分のポリマーは、一般に、ペンダントのマイケル供与体基を有するエチレン性不飽和モノマーから誘導される重合したモノマー単位を25〜75重量部含む。
【0057】
両方の成分のモノマー(ペンダントのポリ(アルキレンオキサイド)基を有するものと、ペンダントのマイケル供与体基を有するもの)に関して、少なくとも2つの方法で、即ち、ペンダント基(ポリ(アルキレンオキサイド)基又はマイケル供与体基のどちらか)を有するモノマー単位を他の成分のモノマーと一緒に重合させて第1の成分のポリマーを製造する「直接法」、又は、ポリマーに反応性官能基を提供し、それを後で、共反応性官能基を有するマイケル供与体化合物で官能化して第1の成分のポリマーを製造する「間接法」で第1の成分のポリマーにペンダント基を組み込み得ることが、前記説明に関して分かる。
【0058】
ペンダントのマイケル供与体基を組み込む「直接法」を使用する場合、有用なモノマーとしては、マイケル供与体基と、ビニル、ビニルオキシ、(メタ)アクリル、(メタ)アクリルアミド、およびアセチレン系官能基を含めた炭素−炭素二重結合を含有する基などのフリーラジカル付加が可能な官能基(上記式I、IIおよびIIIに定義される通り)とを有するものが挙げられる。ペンダントの親水基(ポリ(アルキレンオキサイド)基など)を組み込む好ましい「直接法」は、炭素−炭素二重結合を含有する基などのフリーラジカル付加が可能な官能基と親水基を含むモノマーを使用する。
【0059】
ペンダント基をポリマーに組み込む間接法は、ポリマーのモノマー単位の中に、反応性官能基を含むものを幾らか含む。有用な反応性官能基としては、以下に限定されないが、ヒドロキシル基、アミノ基、オキサゾロニル基、オキサゾリニル基、アセトアセチル基、アズラクトニル基、カルボキシル基、イソシアナト基、エポキシ基、アジリジニル基、ハロゲン化アシル基、および環状酸無水物基が挙げられる。これらの中で好ましいのは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アズラクトニル基、およびアジリジニル基である。これらのペンダントの反応性官能基を、親水基および/又はマイケル供与体基、および反応性ペンダント官能基と共反応性の官能基を有する化合物と反応させる。2つの官能基が反応すると、その結果、必要なペンダント基を有するポリマーが得られる。幾つかの用途では、ポリマーのペンダントの官能基の幾つかが未反応のままであるように、共反応性の官能基を含む化合物を化学量論的な当量より少なく使用することが望ましい場合がある。
【0060】
ペンダントのマイケル供与体基を組み込む「間接法」を使用する場合、有用な反応性官能基としては、ヒドロキシル基、第二級アミノ基、オキサゾリニル基、オキサゾロニル基、アセチル基、アセトニル基、カルボキシル基、イソシアナト基、エポキシ基、アジリジニル基、ハロゲン化アシル基、ビニルオキシ基、および環状酸無水物基が挙げられる。ペンダントの反応性官能基がイソシアナト官能基である場合、共反応性官能基は、好ましくは第二級アミノ基又はヒドロキシル基を含む。ペンダントの反応性官能基がヒドロキシル基を含む場合、共反応性官能基は、好ましくは、カルボキシル基、エステル基、ハロゲン化アシル基、イソシアナト基、エポキシ基、酸無水物基、アズラクトニル基、又はオキサゾリニル基を含む。ペンダントの反応性官能基がカルボキシル基を含む場合、共反応性官能基は、好ましくは、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、又はオキサゾリニル基を含む。最も一般的には、反応は求核性官能基と求電子性官能基との間で起こる。
【0061】
好ましい方法では、ペンダントのアセトアセテート基を間接法で第1の成分のポリマーに組み込んでもよく、それによって第1の成分のポリマーは、ヒドロキシル又はアミン官能基などのペンダントの求核性官能基を有する。これらを後でジケトン又はt−ブチルアセトアセテートと反応させ、必要なペンダントのアセトアセテート基を提供してもよい。
【0062】
反応性官能基を有する有用なモノマーの代表例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、および2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;3−アミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレートおよび4−アミノスチレン;2−エテニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オン、および2−プロペニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン−5−オンなどのオキサゾリニル化合物;(メタ)アクリル酸および4−カルボキシベンジル(メタ)アクリレートなどのカルボキシ置換化合物;イソシアナトエチル(メタ)アクリレートおよび4−イソシアナトシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのイソシアナト置換化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ置換化合物;N−アクリロイルアジリジンおよび1−(2−プロペニル)−アジリジンなどのアジリジニル置換化合物;並びに、(メタ)アクリロイルクロライドなどのハロゲン化アクリロイルが挙げられる。
【0063】
第1の成分のポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートエステルを更に含んでもよい。本発明に有用なアルキル(メタ)アクリレートエステルモノマーとしては、C1〜C30アルキル基を含有するアルキルエステルの直鎖、環式、および分岐鎖の異性体が挙げられる。Tgおよび側鎖結晶性の考慮事項により、好ましいアルキルアクリレートエステルはC5〜C12アルキル基を有するものであるが、組み合わせが平均炭素数C5〜C12の分子を提供する場合、C1〜C4およびC13〜C14アルキル基の使用も有用である。しかし、多くの用途では、より高級の、即ち、C12〜C30のアルキル基が好ましい場合がある。アルキルアクリレートエステルの有用な具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、2−ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、およびテトラデシルアクリレートが挙げられる。また、対応する(メタ)アクリルアミドおよびチオエステルを使用してもよい。ポリマーは、このようなモノマー単位を0〜25重量部含んでもよい。存在する場合、ポリマーは、一般に、25重量部未満含む。
【0064】
第1の成分のポリマーは、前述されていない他のモノマーを更に含んでもよい。ポリマーを調製するのに有用な「他のモノマー」は、最終的な架橋された材料がその用途に好適な特性を有するように選択される。例えば、引張強度又は他の機械的特性を増加させるため、又はポリマーのTgを制御するために、「他のモノマー」を使用してもよい。「他のモノマー」の代表例としては、前述のモノマーと共重合性である少なくとも1つのエチレン性不飽和重合性基を有するフリーラジカル重合性モノマーが挙げられ、酢酸ビニル、スチレン、アリルエーテル、無水マレイン酸およびアルキルビニルエーテルなどのビニルモノマーが挙げられる。他のモノマーは、一般に、第1の成分のポリマーの10重量部未満、例えば、0〜10重量部を構成する。
【0065】
従来の重合方法で前述のモノマーを重合させることによって、本発明の親水性架橋性組成物を形成するのに使用されるポリマーを製造することができる。使用され得る典型的な重合方法としては、熱重合および/又は光化学重合並びに塊状重合および溶液重合が挙げられる。
【0066】
(例えば、溶液重合の後、単離することによって)第1の成分のポリマーを調製してもよい。残留モノマーおよび/又は調製に使用した溶媒を、一般に、蒸留、真空蒸発などの従来の技術で除去し、架橋する前に残留分を2wt%未満に低減させる。第1および第2の成分の成分の官能基と非反応性である酢酸エチル、トルエン、およびテトラヒドロフランなどの好適な溶媒の存在下で重合を実施してもよい。
【0067】
典型的な溶液重合方法では、溶媒および重合開始剤の存在下でモノマー混合物を攪拌しながら加熱する。溶媒の例には、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、および、エチレングリコールアルキルエーテルがある。これらの溶媒は、単独で、又はこれらの混合物として使用することができる。重合開始剤の例には、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、2−(1−シアノ−1,3−ジメチル−ブチルアゾ)−2,4−ジメチル−ペンタンニトリル、および、2,2’−アゾ−ビス−イソブチロニトリルがある。これらの重合開始剤は、単独で、又はこれらの混合物として使用することができる。
【0068】
典型的な光重合法では、光重合開始剤(即ち、光開始剤)の存在下で、モノマー混合物に紫外(UV)線を照射してもよい。好ましい光開始剤は、ニューヨーク州タリータウン、チバ・スペシャルティ・ケミカル社(Ciba Specialty Chemical Corp., Tarrytown, NY)からイルガキュア(IRGACURE)およびダロキュア(DAROCUR)の商品名で入手可能なものであり、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア(IRGACURE)184)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)651)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(イルガキュア(IRGACURE)819)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)2959)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン(イルガキュア(IRGACURE)369)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)907)、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ダロキュア(DAROCUR)1173)が挙げられる。特に好ましい光開始剤は、イルガキュア(IRGACURE)819、184、および2959である。
【0069】
これらの光開始剤および熱開始剤は、モノマー組成物100pbw当たり、約0.0001〜約3.0pbw、好ましくは約0.001〜約1.0pbw、更に好ましくは約0.005〜約0.5pbwの範囲の濃度で使用することができる。
【0070】
第1の成分のポリマーの分子量、Mwは、一般に、100,000未満、典型的には50,000未満である。溶融加工可能な組成物が所望される場合などの幾つかの実施形態では、第1の成分のポリマーはオリゴマーである、即ち、300以下の重合度を有する。
【0071】
メルカプタン、ジスルフィド、トリエチルシラン、四臭化炭素、四塩化炭素、α−メチルスチレン、および当該技術分野で既知の他のものを含む、連鎖移動剤および連鎖抑制剤を使用して、分子量を制御してもよい。また、有用な連鎖移動剤としては、米国特許第4,680,352号明細書および同第4,694,054号明細書に記載されているようなコバルトキレート、および、米国特許第5,362,826号明細書および同第5,773,534号明細書に記載されているようなポリマー連鎖移動剤が挙げられる。
【0072】
第1の成分のポリマーがオリゴマーである場合、オリゴマーは、概ね約300未満の平均重合度(DP)を有する。(重合度が300より大きいポリマーでは)より大きい粘度増加は、ポリマー鎖のからみ合いに因る。300未満の繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーは、からみ合わないことが実験的に分かっている。必要に応じて、100℃より低温で混合物の粘度が500〜10,000cPsとなるように、分子量のより大きいポリマーを、分子量のより小さいオリゴマーとブレンドしてもよい。
【0073】
第1の成分のポリマーは、分子量が比較的小さく、ポリマーおよび架橋剤の連鎖成長プロセスにより重合性官能基で分子量(および強度)を増大させる。分子量が比較的小さいため、ポリマーは、架橋前に溶融粘度が低いので、溶媒、可塑剤、又は粘度調整剤などの残留物を必要とすることなく、塗工、スプレー、押出し、および成形などの操作で容易に加工可能である。本発明のオリゴマーでは、粘度対分子量(Mn)の両対数プロットの傾きは約1であり、分子量がより大きいポリマーでは傾きは3.4である。本発明のポリマーは加工性を提供し、オリゴマーの架橋は、靭性、硬さ、引張強さ、および硬化した状態で発現する他の特性などの、必要な物理的特性を提供する。別途表示されない限り、分子量は数平均分子量を指す。
【0074】
ポリマー成分のガラス転移温度が周囲温度より低く、ポリマー成分の分子量がからみ合い分子量より小さい(即ち、約300未満の重合度)場合、液体ポリマーが得られることがある。Tgが周囲温度以下のとき、低溶融固体が得られることがある。Tgが周囲温度より高いとき、粉末が得られることがある。ポリ(アルキレンオキサイド)の量のため、ポリマーは、一般に低溶融固体又は液体である。
【0075】
第1の成分のポリマーの他に、本発明の硬化性組成物は、マイケル受容体基を有する架橋剤を更に含み、好ましくは2つ以上の末端アクリル基を有する親水性ポリ(アルキレンオキサイド)基を含む。
【0076】
有用なポリアクリル化合物としては、次の一般式のものがが挙げられ、
5−(Q−C(O)−CH=CH2z (IV)
式中、各Qは、アルキレン、−O−、−NR1−、若しくは−S−、又はこれらの組み合わせ(式中、各R1は独立にH、炭素数1〜4のアルキル基を表す)から選択され、
各R5は、独立に、炭素、水素、窒素、非過酸化物酸素、イオウ、若しくはリン原子を有する環式、分岐鎖又は直鎖の、脂肪族、芳香族、又は複素環とすることができる原子価zの多価有機基を表し、好ましくはR5は、親水性ポリ(アルキレンオキサイド)基を表し、
各zは、独立に、2以上の整数を表す。好ましくは、zは2〜6の値を有する(より好ましくはzは2〜5、最も好ましくは好ましくは2の値を有し、又はポリアクリレートの混合物を使用する場合、zは約2の平均値を有する)。
【0077】
一実施形態では、R5は、原子価が少なくとも3の多価有機基であってもよい。多価基R5の例としては、ブチレン、エチレン、プロピレン、および4−オキサヘプタレン、ヘキシレン、および1,4−ビス(メチル)シクロへキシレンが挙げられる。1,2−、1,3−および1,4−ブチレン異性体などの全ての異性体又はアルキレン基が想到される。
【0078】
有用なポリアクリル化合物としては、例えば、(a)エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノール−Aジアクリレート、エトキシ化ビスフェノール−Aジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどのジアクリル含有化合物;(b)グリセロールトリアクリレート、エトキシ化トリアクリレート(例えば、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートなど)、ペンタエリトリトールトリアクリレート、プロポキシ化トリアクリレート(例えば、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートなどのトリアクリル含有化合物;(c)ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートなどの、より官能化の高いアクリル含有化合物;(d)例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートなどのオリゴマーアクリル化合物;これらのポリアクリルアミド類似体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるアクリレートモノマーが挙げられる。
【0079】
このような化合物は、例えば、ペンシルバニア州エクストン、サートマー社(Sartomer Company, Exton, Pennsylvania);ジョージア州スミルナ、UCBケミカルズ社(UCB Chemicals Corporation, Smyrna, Georgia);および、ウィスコンシン州ミルウォーキー、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company, Milwaukee, Wisconsin)などの販売業者から入手可能である。更なる有用なアクリレート材料としては、例えば、米国特許第4,262,072号明細書(ウェンドリング(Wendling)ら)に記載されているようなヒダントイン部分含有ポリアクリレートが挙げられる。
【0080】
また、他の有用なポリアクリル化合物としては、例えば、ペンダントの(メタ)アクリル基((メタ)アクリル基の少なくとも2つがアクリル基である)を有するフリーラジカル重合性アクリレートオリゴマーおよびポリマーも挙げられる。マイケル型付加に関して、アクリル基とメタクリル基では反応性が異なる。マイケル型付加は、典型的にはアクリル基では容易に起こるが、メタクリル基の場合、起こったとしてもかろうじて起こるに過ぎないことがある。このため、ポリアクリル成分は、典型的には、少なくとも2つのアクリル基を(例えば、アクリロキシ又はアクリルアミド官能基の一部として)有するが、ポリ(メタ)アクリル化合物は、また、追加の(メタ)アクリル基を(例えば、メタクリレート又はメタクリルアミド官能基の一部として)有してもよい。有利には、アクリル基でマイケル付加が起こり、メタクリル基は未反応のままになる組成物を調製してもよい。このような未反応のメタクリル基を後でフリーラジカル重合させてもよい。
【0081】
前述の有用なポリアクリル化合物に関して、対応するアミド又はチオエーテルも有用であることが分かる。多官能性エチレン性不飽和モノマーは、好ましくはアクリル酸のエステルである。それは、より好ましくは、二官能性エチレン性不飽和のアクリル酸エステル、三官能性エチレン性不飽和のアクリル酸エステル、四官能性エチレン性不飽和のアクリル酸エステル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。これらのうち、二官能性および三官能性エチレン性不飽和のアクリル酸エステルがより好ましい。
【0082】
他の有用なアクリレートオリゴマーとしては、アクリル化エポキシ、例えば、エポキシ官能性材料のジアクリル化エステル(例えば、ビスフェノールAエポキシ官能性材料のジアクリル化エステル)およびアクリル化ウレタンが挙げられる。有用なアクリル化エポキシとしては、例えば、「エベクリル(EBECRYL)3500」、「エベクリル(EBECRYL)3600」、「エベクリル(EBECRYL)3700」、および「エベクリル(EBECRYL)3720」の商品名でUCBケミカルズ社(UCB Chemicals Corporation)から入手可能なアクリル化エポキシが挙げられる。有用なアクリル化ウレタンとしては、例えば、「エベクリル(EBECRYL)270」、「エベクリル(EBECRYL)1290」、「エベクリル(EBECRYL)8301」、および「エベクリル(EBECRYL)8804」の商品名でUCBケミカルズ社(UCB Chemicals Corporation)から入手可能なアクリル化ウレタンが挙げられる。
【0083】
親水性ポリマーが所望される場合、ポリアクリルポリ(アルキレンオキサイド)を使用してもよい。ポリ(アルキレンオキサイド)を停止させる官能基としては、ヒドロキシ基およびアミン基が挙げられ、これらはアクリル化されてもよい。ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(プロピレンオキサイド)、ポリ(エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド)、およびこれらの組み合わせは、一方又は両方の末端がアクリル化されてもよい。有用な親水性ポリアクリル架橋剤は、次式で表されるものであり、
CH2=CH−C(O)−Q−CH(R1)−CH2−O−(CH(R1)−CH2−O)mCH(R1)−CH2−Q−C(O)−CH=CH2
式中、R1は、H又はC1〜C4アルキル基であり、mは1〜500であり、Qはアルキレン、−O−、−NR1−、−S−、およびこれらの組み合わせから選択される2価の連結基である。
【0084】
ポリ(アルキレンオキサイド)基を有する架橋剤は、例えば、二官能性アルキレンオキサイド(コ)ポリマー(典型的には市販されている)を反応性エチレン性不飽和化合物(例えば、アクリレート)と反応させることにより調製することができる。ポリ(アルキレンオキサイド)を停止させる官能基としては、ヒドロキシ基、アミン基、およびカルボキシ基が挙げられる。以下に限定されないが、アクリル酸、アクリロイルクロライド、無水アクリル酸、および2−イソシアナトエチルアクリレートを含む、アクリル化合物などの様々な反応性エチレン性不飽和化合物を使用することができる。
【0085】
好ましくは、架橋剤は、二官能性アルキレンオキサイド(コ)ポリマーをアルキルアクリレートと反応させることにより調製される。典型的には、化学量論的な量のエチレン性不飽和反応物質を二官能性アルキレンオキサイド(コ)ポリマー(ヒドロキシで停止されたアルキレンオキサイド(コ)ポリマーなど)と合わせると、二置換された生成物に100%転化される。
【0086】
好適な二官能性ポリ(アルキレンオキサイド)架橋剤の例としては、ポリ(エチレンオキサイド)ジアクリレート、ポリ(プロピレンオキサイド)ジアクリレート、ポリ(エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド)ジアクリレート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。このようなコポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、又はグラディエントコポリマーであってもよい。これらのモノマーは、広範囲の分子量を有するものとすることができ、ペンシルバニア州エクストン、サートマー社(Sartomer Company, Exton, PA);日本、東京、新中村化学工業株式会社(Shinnakamura Chemical Co., Ltd., Tokyo, Japan);ウィスコンシン州ミルウォーキー、アルドリッチ(Aldrich, Milwaukee, WI);および、日本、大阪、大阪有機化学工業株式会社(Osaka Organic Chemical Ind., Ltd., Osaka, Japan)などの供給元から市販されている。
【0087】
有用なアクリル化ポリエーテルオリゴマーとしては、例えば、「SR259」および「SR344」の商品名でサートマー社(Sartomer Company)から入手可能なポリエチレングリコールジアクリレートが挙げられる。アクリル化ポリエステルオリゴマーは、例えば、「エベクリル(EBECRYL)657」および「エベクリル(EBECRYL)830」の商品名でUCBケミカルズ社(UCB Chemicals Corporation)から入手可能である。
【0088】
前述のように、本発明の組成物は、複数のペンダント基(即ち、ペンダントのポリ(アルキレンオキサイド)基およびマイケル供与体基)を有する第1のポリマー成分と、複数のマイケル受容体基および好ましくは親水性ポリ(アルキレンオキサイド)基を有する第2の架橋成分を含む。所望の親水性、溶融加工性、および機械的特性を有する組成物が得られるように、各成分モノマーの量、および第1の成分のポリマーと架橋剤の相対量を調整してもよい。
【0089】
反応物質の化学量論は、成分のモル量に基づくのではなく、モル官能基当量に基づく。例えば、ペンダントのアセトアセテート基は、両方のカルボニル基に対してα位にある2つのプロトンを有し、そのため、2つのマイケル受容体アクリル基と反応することができる。従って、アセトアセテートは2つの官能基当量を有する。一般に、第1の成分のポリマーのマイケル供与体官能基当量(「供与体当量」)のモル比は、架橋剤のマイケル受容体官能基当量(「受容体当量」)に等しく、5:1未満、より好ましくは1.5:1未満、最も好ましくは1.1:1未満である。
【0090】
幾つかの組成物は、受容体当量に対して供与体当量を過剰に有し得るため、過剰の供与体当量の全部又は一部がモノアクリル化合物のマイケル受容体基と反応し得る。好ましくは、第1の成分のポリマーのマイケル供与体官能基当量(「供与体当量」)の比は、架橋剤およびモノアクリル化合物(「受容体当量」)と追加されるモノアクリル化合物のマイケル受容体官能基当量におおよそ等しい。供与体当量対(架橋剤およびモノアクリル化合物からの)全受容体当量の有用な範囲は、1.2:1〜1:1.2である。より好ましくは、マイケル供与体当量は、全マイケル受容体当量より過剰である、又は、約1.2:1〜1:1である。組成物中の残留物の量を最小限にするため、過剰のモノアクリル化合物を真空蒸発で除去してもよい。
【0091】
有用なモノアクリル化合物としては、アルキルアクリレートエステルおよびチオエステル、親水性モノマー、官能性モノマー、および第1の成分のポリマーに関して前述した他のモノマーが挙げられる。その記載に関して、モノアクリル成分がマイケル受容体でなければならないこと、アクリル化合物は有用であるが、対応するメタクリル化合物は一般にマイケル反応で非反応性であることが分かる。
【0092】
架橋の程度を調整および制御するため、並びに、ペンダントの反応性官能基を有するマイケル付加ポリマーを提供するため(モノアクリル成分がヒドロキシエチルアクリレートなどの官能性モノアクリル化合物である場合)、モノアクリルモノマー使用してもよい。有用な官能性モノアクリル化合物としては、マイケル付加を経、ヒドロキシル基、アミノ基、アズラクトン基、オキサゾリニル基、3−オキソブタノイル基(アセトアセチル基)、カルボキシル基、イソシアナト基、エポキシ基、アジリジニル基、ハロゲン化アシル基、ビニルオキシ基、又は環状酸無水物基などの更に反応できる官能基を更に含むアクリル化合物が挙げられる。
【0093】
本発明は、更に、1)第1の成分のポリマーを提供する工程、2)少なくとも2つのマイケル受容体基を有する架橋剤でポリマーを架橋させる工程、および3)任意に、第1の成分のポリマーの未反応のマイケル供与体基の全部又は一部をモノアクリル成分と反応させる工程、を含む親水性の架橋されたポリマーを調製するプロセスを提供する。工程2および3は併行してもよい。任意に、架橋する前にマイケル供与体基の一部をモノアクリル成分と反応させてもよい。
【0094】
第1のポリマー成分、架橋剤、および、塩基性触媒を合わせることにより、塗工可能なポリマー組成物を調製してもよい。22℃で約500〜10,000cPs、より好ましくは約750〜7500cPsの塗工可能な粘度を示す増粘された溶液を得るため、2つの成分を部分的に転化することが望ましい場合がある。
【0095】
マイケル反応に好適な触媒は、共役酸のpKaが好ましくは12〜14の塩基である。最も好ましく使用される塩基は有機塩基である。このような塩基の例は、1,4−ジヒドロピリジン、メチルジフェニルホスファン、メチルジ−p−トリルホスファン、2−アリル−N−アルキルイミダゾリン、テトラt−ブチルアンモニウムハイドロオキサイド、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)およびDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、および水酸化ナトリウム等が挙げられる。本発明に関連する好ましい触媒は、DBUおよびテトラメチルグアニジンである。本発明による硬化性組成物に使用される触媒の量は、好ましくは0.05wt%〜2wt%、より好ましくは0.1wt%〜1.0wt%である。
【0096】
好ましくは、本発明に関連する硬化性組成物は、2部を一緒に混合することによって調製される。一部は触媒を含有し、もう一部は反応物質、即ち、ポリマー成分と架橋剤(即ち、ポリアクリル成分)を含有する。触媒を一部の反応物質の1つと一緒に有し、もう一方の反応物質をもう一部に有することも可能であるが、これらの実施形態は一般に結果が劣り、それはおそらく触媒と反応物質との反応が起こり得るからだと思われる。この反応の程度は一般に、使用する触媒と反応物質の種類に依存する。
【0097】
そのように所望される場合、とりわけ塊状の(in bulk)組成物材料の屈折率の測定を使用して重合の程度を監視することができる。屈折率は転化に対して直線的に変化する。この監視法は、一般に重合速度論研究に応用される。例えば、G.P.グラディシェフ(G.P.Gladyshev)およびK.M.ギボフ(K.M.Gibov)、高転化率の重合、ケーター・プレス、エルサレム(1970年)(Polymerization at Advanced Degrees of Conversion, Keter Press, Jerusalem(1970))の方法についての論述を参照されたい。
【0098】
架橋された組成物は、少なくとも1つの親水性ポリ(アルキレンオキサイド)部分で架橋されたポリマー鎖を有するポリマーと特徴付けることができる。従って、塩基性触媒に暴露される間、ポリマーのマイケル供与体基が架橋剤のマイケル受容体基に付加し、ポリマー鎖と架橋剤の間に架橋を形成する。一般に、本発明の架橋された組成物の架橋間の有効分子量(Mc)は、1,000以上であり、好ましくは3,000より大きい。架橋間の有効分子量(Mc)は、動的機械分析で測定されてもよい。
【0099】
架橋度は、ポリマーのペンダントであるペンダントのマイケル供与体基の数および濃度、並びに、架橋剤のペンダントのマイケル受容体基の数および濃度によって容易に制御され得る。一般に、Mcが小さいほど、弾性が低くなり、従って架橋された組成物がより硬くなる。
【0100】
本発明による硬化性組成物を基材上に塗工し、少なくとも部分的に硬化させて複合物品を提供してもよい。好適な基材としては、例えば、ガラス(例えば、窓、並びに、例えばレンズおよび鏡などの光学素子)、セラミック(例えば、セラミックタイル)、セメント、石、塗装面(例えば、自動車のボディパネル、ボートの表面)、金属(例えば、建築用柱)、紙(例えば、接着剤剥離ライナー)、厚紙(例えば、食品容器)、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂(例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリスチレン、およびスチレン−アクリロニトリルコポリマー)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。基材は、フィルム、シートであってもよく、又は、それは他の何らかの形態を有してもよい。
【0101】
例えば、スプレー、ナイフコート、ノッチコート、リバースロールコート、グラビアコート、ディップコート、バーコート、フラッドコート、又はスピンコートなどの従来の技術で硬化性組成物を基材に塗付してもよい。典型的には、硬化性組成物は、約25マイクロメートル〜約1000マイクロメートルの範囲の厚さを有する乾燥硬化層が得られるように基材に塗布されるが、それより薄い層および厚い層を使用してもよい。次に、任意選択的溶媒を典型的には(例えば、強制空気オーブンを使用して)少なくとも部分的に除去し、次いで、硬化性組成物を少なくとも部分的に硬化させて、例えば、前述のコーティングを形成する。
【0102】
本発明の組成物を使用して医療用途の親水性ゲル材料を調製するとき、ゲルは、薬理活性剤などの1種類以上の活性剤を含むことができる。例としては、以下に限定されないが、成長因子(例えば、TGF、FGF、PDGF、EGFなど)、抗菌剤(例えば、ペニシリン、硫酸ネオマイシン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファジアジン銀、トリメトプリム、および他の抗生物質、並びに、ポビドンヨード、ヨウ素、銀、塩化銀、およびクロルヘキシジン)、抗真菌剤(例えば、グリセオフルビン、塩酸クロルミダゾール、クロトリマゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、硝酸ミコナゾール、ナイスタチン、およびトルナフテート)、消毒剤および防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化セタルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、エタノール、ヨウ素、メチルベンゼトニウム、ポビドンヨード、イソプロパノール、銀、酸化銀、乳酸銀および塩化銀などの銀塩、トリクロサン)、局所麻酔剤(例えば、テトラカイン、ベンゾカイン、プリロカイン、プロカイン)、デブリードメント剤(debriding agents)、抗炎症剤(例えば、インドメタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、イブプロフェンなど)、収れん剤、酵素、栄養素(例えば、ビタミン、ミネラル、酸素など)、ハップ剤用薬物(例えば、メントール、カンファー、ペパーミント、トウガラシ抽出物、カプサイシンなど)および臭気吸収剤(例えば、ゼオライト、シリケート、キトサン、シクロデキストリンなど)が挙げられる。好ましい活性剤は、ポビドンヨード、ヨウ素、銀、塩化銀、およびクロルヘキシジンなどの抗菌剤である。活性剤は単独で、又はそれらの混合物として使用することができる。それらは、ポリマーの重合に干渉しない限り、本発明の反応生成物が硬化する前、又は硬化した後に添加することができる。好ましくは、それらは、完成したゲル材料の性能又は清澄度に干渉しない量又は方法で添加される。
【0103】
任意に、本発明のゲル材料は、ハイドロコロイドを、典型的には、粒子の形態で含むことができるが、それらはゲル材料の透明度を減少させる可能性があるため、必ずしも好ましくはない。ハイドロコロイドの例としては、以下に限定されないが、植物抽出物(アラビアゴム、ガティ、カラヤ、およびトラガカント);植物種子ガム(グアー、ローカストビーンおよびアカシア)、海草抽出物(寒天、アルギン、アルギン酸塩、およびカラゲニン)、穀物ガム(デンプンおよび加工デンプン)、発酵又は微生物ガム(デキストランおよびキサンガム)、変性セルロース(ヒドロキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、およびカルボキシメチルセルロース)、ペクチン、ゼラチン、カゼインなどの天然ガム、および合成ガム(ポリビニルピロリドン、低メトキシルペクチン、アルギン酸プロピレングリコール、カルボキシメチルローカストビーンガムおよびカルボキシメチルグアーガム)など、および水膨潤性又は水和性ハイドロコロイドが挙げられる。ハイドロコロイドの用語は、水和の状態に関わらず使用される。本発明のゲル材料は、好ましくは、材料が透明になる(好ましくは、全光透過率は、ASTM D1003−00によれば84%より大きくなる)ような量のハイドロコロイドを含む。典型的には、ハイドロコロイドを使用する場合、ハイドロコロイドの量は、ゲル材料の総重量を基準にして約5wt%未満である。
【0104】
本発明のゲル材料に組み込むことができる他の添加剤としては、粘度調整剤(例えば、ニュージャージー州ウェイン、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ(International Specialty Products, Wayne, NJ)からガントレス(GANTREZ)樹脂の商品名で市販されているものなどのポリマー増粘剤);連鎖移動剤又は連鎖抑制剤(例えば、ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、イソオクチルチオグリコレート、およびα−メチルスチレンなど、後者は前述のように疎水性モノマーとすることもできる);着色剤;指示薬;粘着付与剤;可塑剤(例えば、水、グリセリン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、および、これらの混合物、BASF社(BASF Co.)からプルロニクス(PLURONICS)の商品名で市販されているものなど、並びに、ポリマーを可塑化できる様々な低分子化合物);酸化防止剤などが挙げられる。このような添加剤を、当業者に既知の技術を使用して重合前又は重合後のどちらかに添加することができる。好ましくは、それらを使用する場合、それらを、ゲル材料の性能又は清澄度に干渉しない量および方法で添加することができる。
【0105】
好ましくは、本発明のゲル材料は、水を含めた残留物を実質的に含まない。これは、少なくとも、特別な包装を必要としないため、有利である。更に、残留物はドレッシングの他の部分に移動する可能性があるか(例えば、それはドレッシングの一体性に有害な可能性がある)、又は、ドレッシングが配置される患者の体の中に入る可能性がある。
【0106】
任意に、ゲル材料は、その少なくとも1つの主面にパターン化表面を有してもよい。パターン化表面は、創傷表面の方に向けられるとき、創傷滲出物を吸収するための表面積をより大きくすることができると同時に、創傷と直接又は間接的に接触する吸収材の表面積を低減する。より重要なことには、パターン化表面は、吸収層が膨潤し、創傷を押圧する傾向を低減し、マッシュルーム状になること(即ち、多孔質フィルムを通したゲル層の膨張)を回避し、更に、接着剤層が皮膚から尚早に分離することを回避する。
【0107】
ゲル材料層の表面に付与される任意選択的なパターンは、予め選択された任意の好適な三次元パターンであってよい。好ましくは、パターンは、吸収に使用可能な表面積を増大させ、膨潤して創傷の中に入ることを低減し、マッシュルーム状になることを抑制し、および/又は水和時の材料の一体性を向上させるものである。パターンとしては、以下に限定されないが、隆起、チャネル、マウンド、ピーク、半球、角錐、円筒、円錐、ブロック、および、これらの切頭された変形および組み合わせを含めたパターン要素の配列を挙げることができる。パターンは、更に、吸収層の厚みを通って延びる予め決定された形状とサイズを有する孔を含んでもよい。
【0108】
特定のパターン要素は、有利には、創傷、又は、それに対向するフィルム(存在する場合)と接触する表面積が最小限になるように選択される。最小限の表面積は、ゲル材料が膨潤して創傷の中に入る、マッシュルーム状になる、又は創傷部位に接着する傾向を更に抑制する。とりわけ有用な要素としては、角錐、円錐、およびこれらの切頭された変形、および断面が三角形の隆起が挙げられる。要素は、x方向、y方向、又は両方でランダムであっても、又は非ランダムであってもよい。製造を容易にするため、パターンは、ゲル表面に配置された非ランダムな要素配列を含むことが好ましい。
【0109】
必要に応じて、ゲル層の外面(即ち、創傷表面を向いていないゲル層の主面)にもパターンを付与してもよい。このようなパターンを付与すると、ゲル層の表面積が増大し、ゲル材料から流体がより多く蒸発することが促進され得る。パターンは、パターン要素のサイズと同様に、ゲル材料の対向面のパターンと同じであっても、又は異なってもよい。更に、ゲル材料のどちらの表面の個々の要素も、表面から延びる突起であってもよく、又は、表面の窪みであってもよい。
【0110】
任意選択的なパターン化表面は、従来の成形技術でゲル材料に付与されてもよい。或いは、エンボス加工技術を使用して所望のパターンを付与してもよい。このような技術の例は、米国特許第6,566,575号明細書(スティッケルズ(Stickels)ら)に記載されている。
【0111】
必要に応じて、ゲル材料は、創傷および/又は皮膚表面と直接接触してもよい。しかし、直接接触は、同様に、他の好適なハイドロコロイドおよびハイドロゲル吸収材によって提供されてもよい。
【0112】
好ましい医療用物品では、ゲル材料は、概ね、全厚が約25マイクロメートル(即ち、ミクロン)〜約1000マイクロメートルの層を形成する。
【0113】
任意に、本発明の創傷ドレッシングは、第1の吸収層と第2の吸収層の、少なくとも2つの吸収層を含んでもよい。第1の吸収層は、典型的には第2の吸収層より吸収性が高く、第2の吸収層より多量の体液を保持することができる。第2の吸収層が第1の吸収層と創傷の間に配置されるように、第2の吸収層を位置決めする。この第2の吸収層は、創傷ドレッシングに一体性を提供し、第1の吸収層が創傷の中に移動することを回避する。
【0114】
第1の吸収層は、典型的には、ポリマー組成物から調製される前述のポリマーを含有する。第2の吸収層は、典型的には第1の吸収層と接触するように位置決めされ、典型的には第1の吸収層より体液の吸収性が低い。第2の吸収層は、炭素数4〜14の非第三級アルコールのアクリル酸エステル;親水性エチレン性不飽和モノマー;および、極性エチレン性不飽和モノマーの反応生成物を含有することができるが、第2の吸収層に他の組成物を使用することもできる。
【0115】
一般に、第2の吸収層は、第1の吸収層(滲出物が不均一に迅速に吸収されるとき、又は、第1の吸収層が約500%より多く吸収するとき、部分的に「分解」する場合がある)と創傷の間の「バリア」として機能する。好ましくは、第2の吸収層は接着性を有し、(又は、感圧接着剤であり)、創傷ドレッシングの全体的な一体性を向上させる機能をする。この点に関して、第2の吸収層は、第1の吸収層を創傷に対向する層に(又は、創傷自体に)固定する。接着性を有することによって、この第2の吸収層は、滲出物の吸収の制御を助けるだけでなく、ドレッシングの他の構成要素を物理的に接合する。
【0116】
前述のように、第1の吸収層は、典型的には第2の吸収層よりも吸収性が著しく高く、好ましくは第2の吸収層の吸収性より少なくとも100%高い吸収性を有する。第1の吸収層は、好ましくは等張食塩水中に室温で24時間浸漬した後、重量の少なくとも200%を吸収する。
【0117】
本発明の典型的な創傷ドレッシングは、好ましくは、創傷部位とゲル層の間に流体透過性バリアを提供するため、多孔質又は非多孔質の対向層を含む。対向層は、創傷からゲル層への水分(即ち、流体および蒸気)の輸送を可能にし、ドレッシングの他の構成要素から創傷を隔離し得る。対向層は、好ましくは、柔軟で、可撓性があり、追従性があり、刺激がなく、感作性がない。ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、又は、ポリエステル材料を含む様々なポリマーのいずれかを使用してもよい。更に、対向層は、透湿性フィルム、有孔フィルム、織布、不織布若しくはニットウェブ又はスクリムの形態であってもよい。好ましい対向層は、ポリウレタンフィルムを備える。
【0118】
有用な実施形態の1つでは、対向層は、動物(ヒトを含む)の解剖学的表面への追従性があり、(米国特許第5,733,570号明細書(チェン(Chen)ら)の方法により)40℃、相対湿度差80%で一平方メートル当たり24時間当たり少なくとも300グラムの透湿度(MVTR)を有し、実質的に無孔領域全体で液体の水を透過させず、創傷滲出物が対向面を通過するための穿孔を具有する。これは、対向層は、通常の創傷処置状態では、滲出物がリザーバに入ることができるように明確に穿孔されている対向層の場所以外で、液体の水を通過させないことを意味する。
【0119】
対向層の好ましい透湿度は、40℃、相対湿度差80%で一平方メートル当たり24時間当たり少なくとも600グラムである。対向層は、感圧接着剤層を更に備えてもよい。接着剤が塗工されている対向層は、好ましくは、前述のMVTRを有する。従って、対向層が穿孔手段以外は液体の水を透過させない場合、接着剤は液体の水に対する透過性があるものとすることができ、また、その逆の場合も同様である。有孔ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテル−アミド、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、スチレン/ブタジエンブロックコポリマー(クラトン(KRATON)ブランドの熱可塑性ゴム、テキサス州ヒューストン、シェルケミカル社(Shell Chemical Company, Houston, TX))、およびポリ(塩化ビニル)、および、液体の水を透過させない感圧接着剤で被覆されている米国特許第3,121,021号明細書(コープランド(Copeland))に記載されているものなどの多孔質又は非多孔質の対向層を対向層に使用することができる。任意に、これらのフィルムを穿孔することができる。追加の多孔質材料としては、織布および不織布基材が挙げられる。
【0120】
(1)創傷ドレッシングの下の皮膚の浸軟が起こらないように;(2)対向層の下の水分蓄積によって、対向層、および、従って創傷ドレッシングが皮膚から持ち上がらないように;並びに、(3)創傷縁部の近接(proximation)が向上するように、対向層が前述の透湿性又は液体透過性を有することが好ましい。好ましい対向層は、任意に感圧接着剤が塗工されている薄いポリマーフィルムであり、それらは組み合わせると前記の特性を有する。
【0121】
対向層の穿孔手段は、穴又はスリット、又は、液体の水若しくは創傷滲出物を創傷から創傷ドレッシングの吸収層の中へ通過させる他の穿孔である。対向フィルムの前面(創傷の方に対向する表面)に感圧接着剤層が塗工されている場合、穿孔は、更に接着剤層を通って延びてもよい。
【0122】
支持体層は、本発明の実施形態の全てに存在してもよい。好ましくは、支持体層は、動物の解剖学的表面への追従性があり、液体の水を透過させず、40℃、相対湿度差80%で一平方メートル当たり24時間当たり少なくとも600グラムの透湿度を有する。支持体層は対向層と組み合わせて、ゲル層を取り囲むリザーバ(例えば、パウチ又はエンベロープ)を形成するように構成されてもよく、その中に創傷からの滲出物が入る。液体の水又は滲出物は、このリザーバから出ることができない。代わりに、ゲル層は滲出物を吸収し、滲出物中の水分は、蒸気の形態で支持体層を通過して大気中に入る。リザーバドレッシングは、創傷滲出物が創傷部位から迅速に除去されることを可能にし、ドレッシングの外側から液体又は細菌が創傷部位を汚染することを防止する。
【0123】
水蒸気を除去するため、支持体層の透湿度は少なくとも前述の通りであり、好ましくは40℃、相対湿度差80%で一平方メートル当たり24時間当たり少なくとも1200グラムである。
【0124】
対向層および支持体層の好ましい実施形態は、薄く追従性のあるポリマーフィルムである。一般に、フィルムの厚さは、約12マイクロメートル〜約50マイクロメートル、好ましくは約12マイクロメートル〜約25マイクロメートルである。追従性は、幾分、厚さに依存し、従って、フィルムが薄いほど、フィルムの追従性は大きい。本明細書では、動物の解剖学的表面への追従性がある本発明の医療用物品(例えば、創傷ドレッシング)に利用されるフィルムを参照してきた。これは、本発明のフィルムが動物の解剖学的表面に適用されるとき、表面が動いても、フィルムはその表面に追従することを意味する。好ましいフィルムには、動物の解剖学的関節への追従性がある。関節を曲げて、その後、曲がっていない位置に戻すとき、フィルムは伸張して関節の曲げに適応するが、関節をその曲がっていない状態に戻すとき、関節に追従し続けるほど十分に弾性がある。
【0125】
対向層又は支持体層として出願人の発明に有用なフィルムの例としては、オハイオ州クリーブランド、B.F.グッドリッチ(B.F. Goodrich, Cleveland, OH)からエステイン(ESTANE)の商品名で入手可能なものなどのポリウレタン、デラウェア州ウィルミントン、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.duPont deNemours & Co., Wilmington, DE)からハイトレル(HYTREL)の商品名で入手可能なものなどのエラストマーポリエステル、ポリウレタンとポリエステルのブレンド、ポリ塩化ビニル、および、エルフ−アトケム(Elf−Atochem)からペバックス(PEBAX)の商品名で入手可能なものなどのポリエーテル−アミドブロックコポリマーが挙げられる。本発明に使用するのに特に好ましいフィルムは、ポリウレタンフィルムおよびエラストマーポリエステルフィルムである。ポリウレタンフィルムおよびエラストマーポリエステルフィルムは、フィルムが良好な追従性を有することを可能にする弾性特性を示す。
【0126】
特に有用なフィルムとしては、示差(differential)透湿度(MVTR)を有する「スピロソーベント(spyrosorbent)」フィルムが挙げられる。スピロソーベントフィルムを組み込むドレッシングは、吸収により創傷滲出物を処理するだけではなく、滲出物の量に応じて透湿性を調整する能力を有する。このようなスピロソーベントフィルムは、親水性、透湿性であり、比較的高いMVTR(湿潤)を有し、1より大きい、好ましくは3:1より大きい示差MVTR比(湿潤対乾燥)を有する。乾燥MVTRは、約2600g/m2/24時間より大きく、好ましくは約3000〜4000g/m2/24時間である。支持体層として有用な、特に好ましいスピロソーベントフィルムは、ポリテトラメチレングリコールおよびポリエチレングリコールポリオールをベースにするセグメント化ポリエーテルポリウレタン尿素などのセグメント化ポリウレタンである。このようなスピロソーベントフィルムは、米国特許第5,653,699号明細書および米国特許第4,849,458号明細書(リード(Reed)ら)に記載されている。
【0127】
別の好適な支持体層は、液体の方向制御を可能にするチャネルのある、微細構造を有する少なくとも1つの表面を有する流体制御フィルムである。このフィルムを使用して、流体を離れた部位に輸送し、それによって流体(例えば、創傷滲出物)の吸い取りを促進することができる。このようなフィルムは、米国特許第6,420,622号明細書(ジョンストン(Johnston)ら)に開示されている。
【0128】
創傷ドレッシングの多くの異なる構成が、対向層、ゲル層、および支持体層で可能である。一実施形態では、対向層と支持体層の面積はゲル層の面積より大きく、対向層は支持体層に結合され、それによってパウチを形成し、その2つの間にゲル層が配置されている。別の実施形態では、対向層又は支持体層の1つは、ゲル層と実質的に同じ面積であり、もう一方の面積はそれより大きくてもよい。より大きい対向層又は支持体層の面積が周縁部を形成し、それに接着剤層と剥離ライナーが取り付けられてもよい。更に、対向層および/又は支持体層をゲル層の隣接面に取り付けて、又は結合させて、連続層構成を形成してもよく、そこで支持体層と対向層は、ゲル層と面積が同じであっても、又はゲル層より面積が大きくてもよいことが分かる。或いは、支持体層と対向層は、互いに結合されていてもよく、ゲル層に結合されていても又は結合されていなくてもよい。これらの最後の構成では、ゲル層は、対向層と支持体層を互いに取り付けることによって作り出されるパウチの中に閉じ込められる。これらの層は、接着剤、ヒートシール、又は他の結合手段などの任意の従来の手段で互いに結合されてもよい。
【0129】
本発明の医療用物品の対向層と支持体層は、それらが適用される創傷部位を医療用物品を通して観察することができるように、少なくとも半透明、更に好ましくは十分に透明であることが好ましい。創傷部位の不要な処置および創傷の環境への暴露を回避するため、創傷ドレッシングを除去することなく、創傷およびその治癒を観察し評価することは有利であり、それによって汚染の可能性が低減し、ドレッシングが除去された場合のように創傷を清浄にする必要性が回避される。ドレッシングは、創傷の色、滲出物、および創傷周囲の皮膚も評価し得るように、透明且つ無色であることが好ましい。創傷部位の目視検査を可能にする対向層および支持体層として使用するのに好ましい透明フィルムとしては、オハイオ州クリーブランド、B.F.グッドリッチ(B.F. Goodrich, Cleveland, OH)からエステイン(ESTANE)の商品名で入手可能なものなどのポリウレタンフィルム;デラウェア州ウィルミントン、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.duPont deNemours & Co., Wilmington, DE)からハイトレル(HYTREL)の商品名で入手可能なものなどのエラストマーポリエステル;および、ペンシルバニア州フィラデルフィア、エルフ・アトケム・ノース・アメリカ(Elf Altochem North America, Philadelphia, PA)からペバックス(PEBAX)の商品名で入手可能なものなどのポリエーテルブロックアミドが挙げられる。他の有用なフィルムは、米国特許第4,499,896号明細書(ハイネケ(Heinecke));同第4,598,004号明細書(ハイネケ(Heinecke));および、同第5,849,325号明細書(ハイネケ(Heinecke)ら)に記載されているものである。
【0130】
対向層をその表面の感圧接着剤以外の手段で創傷に取り付けることができるが、このような接着剤を使用することが好ましい。対向層の接着剤の存在によって、通常、対向層の透湿性は低減する。従って、層に複数の穿孔を加える前に、対向層を接着剤塗工することが好ましい。従って、創傷滲出物は、接着剤塗工され穿孔された対向層を容易に通過することができる。支持体層を対向層に結合させること(パウチを形成すること)と、対向フィルムを創傷部位に結合させることの両方を容易にするため、好ましくは、対向層と支持体層の両方に接着剤層を予め塗工する。
【0131】
対向層は、通常、連続的であっても又はパターン塗工されてもよい接着剤で創傷部位に取り付けられる。本発明の創傷ドレッシングに使用できる好ましい接着剤は、米国再発行特許第24,906号明細書(ウルリッチ(Ulrich))に記載されるものなどの、皮膚に適用される通常の接着剤、特に、イソオクチルアクリレート単位96%とアクリルアミド単位4%のコポリマー、および、イソオクチルアクリレート単位94%とアクリル酸単位6%のコポリマーである。他の有用な接着剤は米国特許第3,389,827号明細書に記載されているものであり、それは、−−A−−B−−A−−−の一般配置(ここで、各Aは、平均分子量約5000〜125,000の、室温より高い(即ち、約20℃より高い)ガラス転移温度を有する熱可塑性ポリマーブロックであり、Bは、平均分子量約15,000〜250,000の、共役ジエンのポリマーブロックである)を有する、3つ以上のポリマーブロック構造を有するブロックコポリマーを含む。有用な接着剤の追加の例には、イソオクチルアクリレート/N−ビニルピロリドンコポリマー接着剤などのアクリル系接着剤、および、例えば、米国特許第4,112,213号明細書(ウォールドマン(Waldman))に記載されているものなどの架橋されたアクリレート接着剤がある。接着剤中に薬剤を含有することは創傷治癒を向上させるのに有用であり、ヨウ素などの抗微生物剤を含有することは感染を防止するのに有用である。
【0132】
接着剤は、任意に、米国特許第5,614,310号明細書(デルガド(Delgado)ら)に記載されているような低外傷性を有する微小球接着剤;米国特許第6,171,985B1号明細書(ジョゼフ(Joseph)ら)に記載されているような低外傷性を有する繊維状接着剤;又は、米国特許第6,198,016B1号明細書(ルーカスト(Lucast)ら)および国際公開第99/13866号パンフレットおよび同第99/13865号パンフレットに記載されている接着剤などの、湿潤皮膚にとりわけ良好な接着性を有するもの;米国特許出願公開第2001/0051178A1号明細書(ブラッチフォード(Blatchford)ら)に開示されているような多層接着剤であってもよい。特に好ましい接着剤は、アクリル酸15wt%、メトキシポリエチレンオキサイド400アクリレート15wt%、イソオクチルアクリレート70wt%を含み、米国特許第5,849,325号明細書(ハイネケ(Heinecke)ら)の実施例1に従って調製される。
【0133】
接着剤は、水又は創傷滲出物に対する透過性があるように選択されてもよく、又は、接着剤は滲出物のゲル層への流れを妨げないように、創傷ドレッシングの前面(即ち、対向層の前面であっても又は支持体層の前面であっても、創傷部位と接触する表面)にパターン塗工されてもよい、即ち、接着剤は、創傷ドレッシングの周縁部に塗工されてもよい。或いは、接着剤層は、滲出物のための流路を提供するため、対向フィルムについて記載したように穿孔されてもよい。
【0134】
取り扱いが容易であるように、接着剤層に剥離ライナーを取り付けてもよい。剥離ライナーの例には、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびフルオロカーボンで製造された又は塗工されたライナー、および、シリコーン塗工された剥離紙又はポリエステルフィルムがある。シリコーン塗工された剥離紙の例には、ポリスリク(POLYSLIK)S−8004、イリノイ州シカゴ、H.P.スミス社(H.P.Smith Co., Chicago, IL)によって供給される83ポンド(135.4g/m2)の漂白シリコーン剥離紙、および、イリノイ州ディクソン、ダウバート・ケミカル社(Daubert Chemical Co., Dixon, IL)によって供給される80ポンド(130.5g/m2)の漂白両面シリコーン塗工紙(2−80−BGK−157)がある。
【0135】
本発明の創傷ドレッシングは、また、ドレッシングを創傷に更に容易に適用できるようにするフレームを含んでもよい。フレームは、取り扱い中および創傷部位への適用中、ドレッシングの形状を維持する比較的剛性の材料で製造される。フレームは、一般に、支持体フィルムの背面に取り外し可能に接着され、創傷ドレッシングの適用後に除去される。好適なフレームは、米国特許第5,531,855号明細書(ハイネケ(Heinecke)ら)および同第5,738,642号明細書(ハイネケ(Heinecke)ら)に記載されている。
【実施例】
【0136】
これらの実施例は、単に例示を目的としているに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定しようとするものではない。実施例および本明細書の残りの部分における全ての部、パーセンテージ、比などは、別途記載しない限り、重量によるものである。使用した溶媒および他の試薬は、別途記載しない限り、ウィスコンシン州ミルウォーキー、シグマ−アルドリッチ・ケミカル社(Sigma−Aldrich Chemical Company;Milwaukee, Wisconsin)から入手した。
【0137】
【表2】

【0138】
試験方法
膨潤率
約25mm2で厚さ1mmのポリマーフィルムの重量を測定した(乾燥重量)後、0.9%の食塩水中に完全に沈めた。24時間後、サンプルを取り出し、外部表面で軽くたたいて乾かし、再び重量を測定した(湿潤重量)。膨潤を次式に基づいて計算した:
(湿潤重量−乾燥重量)/乾燥重量×100%=膨潤%
【0139】
調製実施例1:
ポリ(DMA)−コ−(MEAcAc)の直鎖コポリマーの調製:
ガラス瓶に、DMA(37.5グラム)、MEAcAc(37.5グラム)、バゾ(VAZO)52(0.3グラム)およびTHF75グラムを入れた。得られる溶液を20分間窒素で通気した後、約16時間、60℃の振盪水槽中で加熱し、重合させた。
【0140】
実施例1〜3
表1に示すように、様々な量の、調製実施例1で調製したコポリマーであるポリ(DMA)−コ−(MEAcAc)、MPEG(400)A、PEGDA−1、およびTHFを用いて実施例1〜3を調製した。成分をガラス瓶中で合わせ、約18時間、50℃の振盪槽中で均一な混合物を形成した。その溶液にDBUの1重量%原液(THF溶液)を添加し、混合物を木製のアプリケータ棒で攪拌した。この混合物をライナー上に注ぎ、室温で溶媒を蒸発させた。透明なフィルムを70℃で7時間硬化させ、前述の試験方法を使用して膨潤率を試験した。膨潤後、フィルムは透明なままであった。
【0141】
【表3】

【0142】
実施例4〜6
表2に示すように、様々な量の、調製実施例1で調製したコポリマーであるポリ(DMA)−コ−(MEAcAc)、MPEG(400)A、PEGDA−2、およびTHFを用いて実施例4〜6を調製した。成分をガラス瓶中で合わせ、約18時間、50℃の振盪槽中で均一な混合物を形成した。その溶液にDBUの1重量%原液(THF溶液)を添加し、混合物を木製のアプリケータ棒で攪拌した。この混合物をライナー上に注ぎ、室温で溶媒を蒸発させた。透明なフィルムを70℃で7時間硬化させ、前述の試験方法を使用して膨潤率を試験した。膨潤後、フィルムは透明なままであった。
【0143】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ペンダントの親水基およびペンダントのマイケル供与体基を有する複数の重合したモノマー単位を含む第1の成分のポリマー、
b)少なくとも2つのマイケル受容体基を含む架橋剤、並びに
c)任意にモノアクリル成分、
を含む、架橋された親水性ゲル吸収層を備える吸収性ドレッシング。
【請求項2】
前記第1の成分のポリマーの前記ペンダントの親水基がポリ(アルキレンオキサイド)基である、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項3】
透過性対向層、
前記対向層の周縁部に結合される支持体層、および
前記支持体層と対向層の間に配置される親水性ゲル吸収層、
を備える、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項4】
前記対向層の前面の少なくとも一部に感圧接着剤の層を有する、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項5】
前記ゲル層が、薬理活性剤を更に含む、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項6】
前記ゲル層が、ハイドロコロイドを更に含む、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項7】
前記ゲル層が、パターン化表面を更に含む、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項8】
前記吸収層が、膨潤時に透明である、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項9】
前記架橋剤がポリアクリル化合物を含む、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項10】
前記架橋剤が、アクリル末端基を有する親水性ポリ(アルキレンオキサイド)架橋剤を含む、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項11】
前記架橋剤が次式
CH2=CH−C(O)−Q−CH(R1)−CH2−O−(CH(R1)−CH2−O)m−CH(R1)−CH2−Q−C(O)−CH=CH2
(式中、R1はH又はC1〜C4アルキル基であり、mは1〜500であり、Qは、アルキレン、−O−、−NR1−、−S−、およびこれらの組み合わせから選択される2価の連結基である)
で表される、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項12】
前記架橋剤が、末端アクリル基を有するポリ(エチレンオキサイド)(コ)ポリマーである、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項13】
前記第1の成分のポリマーが、
a)ペンダントの親水基を有する重合したモノマー単位25〜75重量部、
b)ペンダントのマイケル供与体基を有するエチレン性不飽和モノマーから誘導される重合したモノマー単位25〜75重量部、
c)アクリル酸エステル、好ましくは炭素数1〜14の非第三級アルキルアルコールのアクリル酸エステルから誘導される重合したモノマー単位0〜25重量部、
を含む、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項14】
a)前記第1の成分のポリマー80〜99.9重量部、および
b)前記架橋剤0.1〜50重量部、
を含み、前記組成物が、架橋されたとき、少なくとも50wt%の水を吸収できる、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項15】
前記マイケル供与体基当量対前記架橋剤の前記マイケル受容体基当量の比が5:1未満である、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項16】
前記マイケル供与体当量対(前記架橋剤とモノアクリル化合物の)全マイケル受容体基当量の比が1.2:1〜1:1.2である、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。
【請求項17】
マイケル供与体基を有する前記モノマー単位が次式
1−CHR4−C(O)−Q−Z (II)又は
1−NH−C(O)−Q−Z (III)
(式中、
4は、水素、アルキル基、又はアリール基を表し、
1は、シアノ基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミド基、およびスルホニル基から選択され、
Zは、重合性エチレン性不飽和部分であり、
Qは、アルキレン、−O−、−NR1−、−S−、およびこれらの組み合わせから選択される2価の連結基である)
で表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
ペンダントの親水性ポリ(アルキレンオキサイド)基を有する前記モノマーが、次式
Z−Q−(CH(R1)−CH2−O)n−R2、(I)
(式中、Zは重合性エチレン性不飽和部分であり、R1はH又はC1〜C4アルキル基であり、R2はH、C1〜C4アルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせであり、nは2〜100であり、Qは、2価の連結基である)
で表される、請求項1に記載の吸収性ドレッシング。

【公表番号】特表2008−528107(P2008−528107A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552199(P2007−552199)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/001508
【国際公開番号】WO2006/081090
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】