説明

親水性医療器具用包装物

本発明は親水性用、特に親水性被覆された医療器具用プラスチック包装物に関するものであり、包装物が長期間の間にわたり封入物の親水性の性質を確保するように意図されている。前記包装物は、人体組織中に挿入するための医療器具を有する少なくとも1つの受け取り区画を含み、また放射線による滅菌後、それは、=0.1μg/cm2の揮発性成分の割合を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装物が長期間の間にわたり封入物の親水性の性質を確保する親水性医療器具用、特に親水性被覆されたランセット用プラスチック包装物に関する。
【背景技術】
【0002】
医療診断においては、血液サンプルまたは間質性流体の検査により、病的状態の信頼性のある早期の検出と身体状態の特異的なかつ信頼性あるモニタリングを可能にしている。医療診断は、検査される予定の個人から血液サンプルまたは間質性流体を取得することを常に必要としている。
【0003】
このサンプルを得るために、たとえば指腹または耳たぶにおいて、無菌の鋭利なランセットの助けを借りて、順に検査予定の人の皮膚を穿刺し、このようにして分析用の数マイクロリットルの血液を得る。このサンプリング法は、サンプルを取得後直接に行われるサンプル分析用に特に適している。
【0004】
特に家庭モニタリングの領域においては、換言すれば、特別な医療訓練をしていない人達が彼ら自身で血液サンプルまたは間質性流体の分析を行い、また特に、糖尿病に対して血糖濃度をモニタするために、通常ベースで1日につき数回血液サンプル取得を行う場所においては、ランセットおよび関連装置(穿刺補助)が使用できる。これらの穿刺補助により、特に特定の医療訓練を受けていない人が、できるだけ不快感も少なくまた再現性良くサンプルを取得できる。ランセットおよびこの種の装置は、たとえば国際公開第98/48695号パンフレット、米国特許第4442836号明細書または米国特許第5554166号明細書の主題である。
【0005】
しばしば家庭で行われる血糖値の自己モニタリングは、今日世界で用いられている糖尿病管理の方法である。先行技術における血糖測定器は、テストエレメント(テストストリップ)が挿入される分析装置を含む。このテストエレメントは、たとえば指腹から穿刺により短時間前に得られたサンプルの液滴と接触させられる。
【0006】
多数のシステム部品(ランセット、穿刺補助、テストエレメントおよび分析装置)は、多くの空間を必要とし、また極めて複雑な取り扱いを伴う。しかし一方、高度の集積を有し、かつ取り扱いが簡単であるシステムおよび該システム中では、たとえばテストエレメントが分析装置中に蓄えられかつ測定に使用可能なシステムが開発されてきた。小型化の観点における次の工程は、たとえばいくつかの機能または機能エレメントを単一分析補助(使い捨て可能な)内に集積することである。穿刺手法の組み合わせおよびテストエレメント上でのセンサーベースの分析の組み合わせにより、大いに操作シーケンスを簡素化できる。
【0007】
先行技術においては、たとえばそのような分析補助のランセットに、毛細管構造を設けること、またはそれらを毛細管構造の一部とすることが公知である(これに関しては、国際公開第2005/104948号パンフレットを参照のこと)。この場合、皮膚を穿刺しかつサンプルが表面に現れた後、毛細管の助けを借りて該サンプルを採取するためにランセット先端をサンプルに接触させる。
【0008】
血液または間質性流体を採取するためのランセット先端は、典型的には穿刺手段用に使用される前にあらかじめ殺菌されかつ滅菌プロテクタによって、滅菌状態で維持される(たとえば、キャップまたはポケットの形状で)。このことにより、ランセット先端が周囲により汚染されないことを確かなものとする。さらに皮膚の穿刺後、ランセット先端はシールドされ(もし適当であれば、キャップまたはポケットにより)、その結果事故による負傷およびランセット先端に付着している流体により生じる関連した感染症が避けられることも確保するように測定器具が用いられる。
【0009】
個々のランセットの場合、たとえばランセット胴体の形成時に単一操作で射出成形によりプラスチックで覆われたランセット先端によって滅菌プロテクタを製造できる。使用前にユーザはこの部分を手動で除去し、一般的には穿刺補助中にランセットを挿入する。マガジン中に蓄えられたランセットの場合には、同様な滅菌保護装置、たとえばランセットが滅菌プロテクタから後方に引かれ、滅菌プロテクタはバネの力により穿刺経路からその上に運ばれる装置が通例である。相対的に複雑なメカニズム、特に装置中に統合されたバネがこれに対して要求されている。
【0010】
上記したような医療補助用の多数の包装物が先行技術中に記述されてきた。
【0011】
欧州特許出願公開1360935号明細書は、多数の医療補助用テープ状包装物を記述している。この補助は、第2テープ部分により覆われた第1テープ部分中に陥没させて設けられている。医療補助の滅菌性質を確かなものとするために、それらは可撓性の包装材料中に溶着により密封されている。
【0012】
独国特許第2803345号明細書は、力の作用により患者の体の表面に対して移動可能な針を備えた血液採取装置を記述している。この複数の針は、連続したポケットを含むストリップ包装物と呼ばれるものの中に蓄えられている。該ストリップ包装物は、紙、プラスチックシートなどの底フィルムおよびカバーフィルムから構成されており、該底フィルムおよびカバーフィルムは互いの上に置かれ、かつ全ての側に血液ランセットを包み込むポケットを形成するように梯子形状に互いに接続されている。
【0013】
国際公開第2004/075760号明細書は、遠心端、近接端、第1周辺端および第2周辺端を有する上側の可撓性シート部分と、その周りの遠心端、近接端、第1周辺端および第2周辺端を有する可撓性シート部分とを含む医療補助用の自動開口包装物に関するものである。上部および下部の可撓性シート部分は、それらが少なくとも第1および第2周辺端に沿って互いに脱着可能なように密封され、その結果医療装置は上部および下部の可撓性シート部分内に包み込まれるように設計されている。上部の可撓性シート部分の遠心端および下部の可撓性シート部分の遠心端上にカラーが搭載され、該カラーはそれらの間の距離を減少させるカラーの相対的摺動移動および上部および下部の可撓性シート部分の近接端の相対的摺動移動が上部および下部の可撓性シート部分を引き剥がさせるように、上部および下部の可撓性シート部分の遠心端上に搭載される。このようにして該包装物は、自動的に開口されかつ医療装置の少なくとも1つの部分は暴露される。
【0014】
さらに国際公開第2005/104948号明細書は、互いにサンドイッチ形状で接続されかつ巻き取ることが可能である2つのフィルムテープを持ち、かつその間にはテストエレメント用の受け取り区画があり、それらの各々が体の組織を穿刺するための穿刺ユニットと体液を用いるテストユニットを含んでいるテストマガジンを開示している。
【0015】
ランセットおよび特に毛細管を持ったマイクロ針は、手術用鋼、たとえば低炭素含有量(材料数1.4021)を有するステンレスクロム合金を加熱処理した鋼で通常作られており、それは毛細管力による血液および間質性流体の採取に関して問題を生じる可能性がある。これに対する理由は該鋼の疎水性性質に存在しており、それが少なくとも部分的には、毛細管力による毛細管の充填を妨げるものとなる。それにもかかわらず、毛細管の完全なまたはほとんど完全な充填を達成するために、毛細管には通常親水性塗膜、特にSiO2、TiO2、ポリアクリル酸またはデキストラン硫酸エステルの塗膜が設けられている。親水性表面はエネルギー的に高く、それらがその表面上にガス分子を吸収することにより、その表面エネルギーを徐々に減少させ、かつ無極性化合物の吸着の場合にはこれにより塗膜の親水的性質のロスを徐々に生じさせることになる。上述の先行技術は、好ましくは長期間にわたり、ランセット、穿刺補助および医療補助の表面の親水性性質を確保することを目的とした教示をなんら提供していない。
【発明の概要】
【0016】
したがって、本発明の目的は先行技術の不利な点を避けることであり、また特に、包装物が包装物により内包された物の親水性の性質を確保する親水性医療機器、毛細管を持ったマイクロ針、ランセットおよび医療補助などの親水性物用包装物を使用可能にすることである。
【0017】
本発明によると、本目的は人体組織中に挿入するための少なくとも1つの部分的に親水性の医療器具を持った少なくとも1つの受け取り区画を含むプラスチック包装物であって、放射線による滅菌後、それは、=0.1μg/cm2、好ましくは=0.01μg/cm2の揮発性成分の割合を持っていることを特徴とする包装物により達成される。包装物材料から放出される高度に揮発性成分を、=0.1μg/cm2の濃度に削減することにより、好ましくは親水性層が設けられた医療器具の永久機能を確保することが可能であることが実際に見出された。本ケースにおいては、「永久」とは本発明による包装物中での少なくとも約3ヶ月後、親水性塗布された医療器具の湿潤性がその貯蔵前の特性と同一であるという意味と理解するべきである。
【0018】
本発明によると、「プラスチック包装物」という語彙は外部の汚染および無菌性のロスから封入された医療器具を守るプラスチックで作られた包装材料を意味するものとして理解されるべきである。このようにして、できる限り器具の永久無菌性を確保することを意図している。本発明によると、該包装物はプラスチックで作られており、かつかくして、100%のプラスチックで構成されている。本発明の一実施形態において、該包装物はさらなる材料、たとえば金属フィルムに加えて、包装材料としてプラスチックまたはプラスチックの混合物を含む。この場合、プラスチックの割合は広い制限、たとえば90重量%〜10重量%の間の範囲および10重量%〜90重量%の間の範囲で変化できる。
【0019】
本発明によると、「医療器具」という語彙は穿刺補助、ランセット、マイクロ針、特に好ましくは毛細管を持ったマイクロ針および同様な作用を持った医療補助を意味するとして理解されるべきである。これらの種の医療器具は、好ましくは血液サンプルまたは間質性流体を採取するために使用される。
【0020】
「揮発性成分」という語彙は、後者により徐々に放出される包装物の成分を意味するものとして理解されるべきである。「揮発性」という言葉は、ここでは高度な揮発性成分の群に属する物質は、それらの高い蒸気圧または低い沸点により蒸発するということを意味する。該揮発性成分は、たとえばフタール酸エステルなどの可塑剤である。該揮発性成分は、たとえばヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより、特性付けられかつ定量される。
【0021】
本発明によると、該プラスチック包装物は医療器具、好ましくは人体組織穿刺用ランセットを内包する包装物である。医療器具は穿刺補助、ランセット、マイクロ針、特に好ましくは、毛細管を持ったマイクロ針および医療補助からなる群から選択される。
【0022】
血液または間質性流体の取り込みを改良するためには、上記した医療器具は少なくとも部分的には親水性であり、またそこでは少なくともある部分において、好ましくは親水性塗膜が設けられている。ある部分に設けられた親水性塗膜は、サンプリング中に血液または間質性流体に接触するこれらの場所に特に用いられる。これにより、たとえば手術用鋼から作られた塗布された毛細管もテスト流体を用いて完全にまたはほとんど完全に充填されることを有利に確かなものとしている。
【0023】
本発明の一実施形態において、包装物はさらなる材料に加えて、包装材料としてポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでいる。ポリエステルの割合を広い制限内、たとえば100:1〜1:100の範囲で変化できる。他の実施形態において、包装物は主としてポリエステルから作られ、すなわちポリエステルに加えて、さらに1つ以上の材料が存在することができるが、1重量%以下の非常に少ない量で存在することができる。他の実施形態において、包装物はポリエステル、すなわち100%のポリエステルから構成されるポリエステルで作ることができる。
【0024】
ポリエステルは、一般式IおよびIIのポリマーに対する名前である。
【化1】

【0025】
これに関しては、Roempp, Chemie Lexikon, Thieme Verlag Stuttgart, 第10拡張版(1996年)、P1−S巻、3527〜3528頁を参照のこと。文献からのこの一節は、参照により本出願に組み入れられている。
【0026】
ラクトン(I)の開環反応によって、またはヒドロキシカルボン酸(I)またはジオールとカルボン酸(誘導体)(II)の重縮合により、ポリエステルが製造される。分岐ポリエステルおよび架橋ポリエステルは、3価アルコールまたは多価アルコールと多官能性カルボン酸との重縮合中で得られる。一般的にポリエステルは、ポリカーボネート(カルボン酸のポリエステル)をも包含すると考えられている。
【0027】
タイプIのポリエステルは、とりわけポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(e−カプロラクトン)およびポリヒドロキシ安息香酸である。
【0028】
タイプIIの純粋に脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジオールとジカルボン酸との重縮合物であり、それはポリエステルウレタン製造用にポリジオールとしての末端ヒドロキシル基を有する生成物としてとりわけ使用される。脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸からのタイプIIのポリエステル、特に最も重要な代表物としてポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)を用いたポリアルキレンテレフタレートは、量の観点では最も重要である。
【0029】
純粋には、芳香族ポリエステルはとりわけ、ポリ(4−ヒドロキシ安息香酸)、ビスフェノールAの重縮合物およびホスゲンを含むポリアリレートである。
【0030】
前述したポリエステルに加えて、不飽和ジカルボン酸から不飽和ポリエステルも製造可能であり、またポリエステル樹脂として特に不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)として技術的に重要である。本発明の一実施形態によると、ポリエチレンテレフタレート(PET)がポリエステルとして好ましい。
【0031】
当業者なら包装することになっている物の機能として、プラスチック包装物の壁の厚みを選択するであろう。本発明の一実施形態によると、該包装物は1〜500μm、好ましくは20〜80μm、特に好ましくは30μmの壁の厚みを持っている。前述の範囲内の壁の厚みは包装物が貯蔵中または移送中に損傷を受けないでかつ汚染物質、バクテリアおよび埃に対して透過しないということを確かなものとする。
【0032】
本発明によるプラスチック包装物の壁は、好ましくは単一層構造を有する。
【0033】
本発明の他の実施形態によると、包装物の壁はいくつかの層から構成されている。この場合、該包装物は最内層が主としてポリエステルからなり、またはポリエステルから作られていることを特徴とすることが好ましい。本発明による包装物の壁材料としてポリエステルを使用することの利点は、このポリマー材料がほぼ60℃の温度においてさえ、可塑剤などの高度に揮発性の成分の少ない割合のみを放出するということである。このようにして、相対的に少量の放出された成分のみが器具の疎水性塗膜上に定着するから、包装物中に置かれた器具の機能性は長期にわたり確保される。
【0034】
特に好ましい実施形態において、包装物は体液が適用されることになっているテストユニットをも内包する。本発明の他の実施形態により、医療器具、好ましくは穿刺補助およびテストユニットは離れた受け取り区画において、互いに離れて配置される。たとえば、未形成フィルム間の中間領域によって該区画を単純に実現できる。テスト薬品に損傷を及ぼすことなく穿刺補助を独立に予備処理し、特に殺菌しかつ親水性にすることができるという事実の観点から、また穿刺手段中にテスト薬品が身体中に入る危険が無いという観点から、それらの分離は利点をも提供する。
【0035】
本発明によると、該包装物によって形成された関連した受け取り区画中に含まれる医療器具は、好ましくはテストユニットを蔽うためのマスクを経由して、放射線により殺菌される。親水性塗膜はきわめて敏感であるから、またさらに、たとえばグルコーステストストリップは医療器具と共に包装されるから、特に好ましい殺菌方法は放射線による殺菌を含む方法である。したがって医療器具用包装物として働く包装物はβ−線またはγ−線により、特に好ましくはβ−線による殺菌により、特徴付けられている。
【0036】
本発明によると、親水性的に塗布された医療器具の包装、または親水性塗膜で塗布された器具の包装に適したフィルムは、β−線による殺菌後、=0.1μg/cm2、好ましくは=0.01μg/cm2の揮発性成分の割合を持っている好ましくは30μmの厚みを有するフィルムである。特に比較テストにおいては、ポリエステルフィルム(製造業者に無関係)は、ガスクロマトグラフィーによる揮発性成分の分析において非常に良好な結果を示した。そのようなフィルムは食品の包装用にこれまで大抵使用されてきた。
【0037】
以下の実施例および比較例は本発明を説明するが、それを定めたり、またはそれを制限することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による包装物をテストするための毛細管および関連した評価スキーム。
【図2】SiO2を用いて、親水性で塗布されたテスト板の、2つの異なる包装物中での貯蔵テスト結果。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は毛細管の例を示す。0〜4の図示されたスケールは、毛細管の充填挙動を示している。本スケール上の値1は毛細管の貧弱な充填を示しているが、値4は非常に良好な充填を示している。値4により特性付けされる毛細管は、血液または間質性流体を用いて、毛細管の完全な、またはほぼ完全な充填を可能にしている。
【0040】
いずれのフィルムまたは材料が本発明による目的を達成するために適しているかを見出すためにフィルムのスクリーニングを行った。異なったフィルム/袋の揮発性成分の割合をヘッドスペースガスクロマトグラフィーによって求めた。対応する結果を表1中に提示し、かついくつかの添加剤を用いたポリエステルフィルムがβ−線による殺菌後、揮発性成分の最低の割合を有することを示す。
【0041】
【表1】

【0042】
そこで2つの異なったフィルムにおいて、親水性塗膜の貯蔵安定性を求めるために実験を行った。図1に示したような毛細管を持つ全部で42枚のテスト板を、SiO2の親水性塗膜を用いて塗布した。その後、Zewatener社からのAlu/PE袋中に、21枚のテスト板を包装し、またデュポン社からのポリエステル含有マイラー袋中に21枚のテスト板を包装した。その後、包装されたテスト板をβ−線による殺菌を行い(25kgGy,10MeV)また35℃で12週間保存した。毛細管の予備品中にピペットで入れられた1.5μlの血液を用いて2週間の間隔でその板をテストし、また図1に示した評価スキームの基準に従って各毛細管の充填挙動を評価した。貯蔵テストの結果を図2に示す。この図中では、貯蔵時間に対する殺菌後の日数で毛細管の充填挙動の評価(1〜4のランク)をプロットした。図2から見られるように、マイラー袋(揮発性成分の割合:0.01μg/cm2)中に包装されたテスト板の毛細管は、84日の期間を超えた最適の充填挙動を示し、一方Alu/PE袋中に包装されたテスト板(揮発性成分の割合:0.06μg/cm2)は、貯蔵時間の増加に従ってガスクロマトグラフィーにより見出された結果は実験的に確かめることができた。
【0043】
ガスクロマトグラフィーによる揮発性成分に対するテストを次のように行った。
【0044】
装置、付属品および薬品:
ガスクロマトグラフ:ヘッドスペース、スプリットモードでの自動サンプラーまたは比較装置を持ったCarlo Erba HRGC 5300
毛細管:Chrompack社から注文番号7761、または同等の毛細管
タイプ:Wcot溶融シリカ
固定相:CPSIL 8 CB
フィルム厚み:1.12μm
フィルム厚み:0.32mm
長さ:25m
ガラス容器およびキット
テスト容器:10ml HSガラス管
薬品:
トルエン:メルク社 番号:1097680005
二硫化炭素:メルク社 p.a.番号:1022141000
または同等の品質の薬品
揮発性成分用部分テスト(GC)
【0045】
標準
50mlフラスコ中にトルエン20〜25mgを0.1mgまで正確に計量した。この中に二硫化炭素50mlをピペットで入れそして計量した。この溶液の約10mgをHSガラス管中に0.1mgまで正確に計量して後者をすぐに閉じた。
【0046】
2つの標準溶液を作り、各標準溶液を3本のHSガラス管中に計量した。全ての標準の平均値を用いて揮発性成分を計算した。
【0047】
該標準は少なくとも1時間温度制御した。
【0048】
サンプル調製/量:
テスト予定のサンプルの50cm2計測するフィルムの部分を小片にカットし、HSガラス管中に置いた。1バッチにつき少なくとも1つのサンプルを調製した。分析前にサンプルを18時間の間、HS浴中に立てたままにした。
【0049】
クロマトグラフ分析法の条件
温度プログラム:
スタート:40℃、5分
加熱速度:10℃/分
停止:280℃、5分
【0050】
揮発性成分用部分テストプロトコル(GC)
加熱ゾーンの温度:
Mega5300
噴射器:250℃
検出器:280℃
HS浴:100℃
HS注射器:100℃
ガス供給:
キャリヤーガス:ヘリウム
1次圧力:0.5バール
スプリット:1:40
検出器:装置特定の設定
FID
Att:7
Mult.ファクター:1
コンピュータシステム:Chromカードまたは同等の評価システム。
注入体積:1.25ml
【0051】
評価
外部標準法により評価を行った。ここにおいて、計算のために全揮発性成分の全表面積を使用し、またその量はトルエン濃度およびトルエンピーク面積の助けを用いて計算する。全結果から平均値が形成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体組織中に挿入するための少なくとも1つの部分的に親水性の医療器具を有する少なくとも1つの受け取り区画を含むプラスチック包装物であって、放射線による滅菌後、前記プラスチック包装物は、=0.1μg/cm2の揮発性成分の割合を持っていることを特徴とする包装物。
【請求項2】
前記医療器具は穿刺補助、ランセット、医療器補助およびマイクロ針からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載のプラスチック包装物。
【請求項3】
前記医療器具は、少なくともいくつかの部分において親水性塗膜からなることを特徴とする請求項1または2記載のプラスチック包装物。
【請求項4】
ポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチック包装物。
【請求項5】
前記包装物は、1〜500μmの範囲の壁の厚みを持っていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラスチック包装物。
【請求項6】
前記包装物は、多層構造を持っていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラスチック包装物。
【請求項7】
最内層が、ポリエステルの層であることを特徴とする請求項6記載のプラスチック包装物。
【請求項8】
前記包装物は、体液が用いられるテストユニットを内包していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラスチック包装物。
【請求項9】
前記包装物がβ−線により殺菌されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のプラスチック包装物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−502520(P2010−502520A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526129(P2009−526129)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059195
【国際公開番号】WO2008/028891
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】