説明

親水性担体及びシリコーンマトリックスを含む局所用製剤

壊死組織を除去するための活性物質を放出する局所用製剤、並びに前記局所用製剤の作製方法及び使用方法が提供される。前記製剤は、外相内に分散した内相を有することができる。内相は親水性担体及び活性物質であり得る。外相はシリコーンマトリックスであり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、局所皮膚治療用製剤に関するものであり、より詳細には、活性物質の徐放性を提供する、シリコーンマトリックス及び親水性担体を含む製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコーンはアルキルシロキサン又はオルガノシロキサンの化学に基づく化合物であり、医薬用途において賦形剤や加工補助剤として用いられるポリジメチルシロキサンが含まれる。こうした材料のいくつかは薬局方化合物の地位を得ている。制御された薬物送達システム、特に、特定の特性の結合が、製品デザインの要求、即ち生体適合性及び汎用性を満たすのに重要な場合の適用におけるそのようなシリコーン化合物の使用は当該技術分野に公知である。インプラント、挿入物、粘膜接着、経皮、及び局所形態を含めた新規持続薬物送達用途は、シリコーンのユニークで固有の特性を利用する。これら送達システムは、標的領域に対して生物学的に適切な動態を有する活性分子の制御放出を可能にし、従来の経口及び非経口投薬法において一般に観察されるピーク投与量、コンプライアンスの低さ、及び薬物分解のような悪影響を妨げる。
【0003】
経皮薬物送達システムは、無傷の皮膚に最高7日間接着する薬物含有接着性パッチから成る。パッチのデザインは活性物質の放出を制御し、そして全身活性のために循環システムによって生体の至るところに運ばれる。投入点として皮膚を用いることにより、絆創膏又はフィルム形態と実質的材料(例えばクリーム又はゲル)とから成る局所形態が局部治療(筋肉又は皮膚の疾患)に用いられる。しかしながら、シリコーンマトリックスに分散した生化学物質が皮膚又は創傷に放出されて治癒を促進するこれら経皮薬物送達システムは、創傷包帯剤及び軟膏のような局所包帯剤用途には導入されていない。
【0004】
したがって、関連技術において、シリコーンの有益な特性を利用して活性物質の徐放性を提供できる製剤に関する必要性が残されている。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、シリコーンマトリックス、親水性担体、及び製剤から放出される少なくとも1つの活性物質を含む局所用製剤を提供することによってその必要性を満たすものである。活性物質は、タンパク質、特にヒドロラーゼ及びグルコースオキシダーゼのような酵素であり得る。シリコーンマトリックスは、高分子量ポリジメチルシロキサン、ゆるく又は軽く架橋したシリコーンエラストマー、ゲルのような架橋したシリコーンエラストマー(充填剤のないエラストマー)、シリカ強化ゴム又は発泡体、を含むことができ、架橋は、付加及び縮合硬化システム、シリコーン系粘着剤、及びシリコーンポリアミドのようなシリコーン−有機コポリマーを用いて達成される。製剤は、包帯剤、軟膏などを形成するために用いてもよい。
【0006】
本発明の1つの側面によれば、製剤は、障害組織を含めた皮膚に適用可能な薄いフィルム包帯剤を含むことができる。本発明の他の側面によれば、製剤は、パッチ包帯剤を含む。本発明の更に他の側面によれば、製剤は塗布剤付き包帯の包帯剤を含む。本発明の他の側面によれば、製剤は軟膏を含む。薄いフィルム、パッチ、塗布剤付き包帯、及び軟膏は全て、外科的切開、創傷、又は他の皮膚病変、擦り傷、ひっかき傷、かすり傷、又は他の障害組織の全体を覆うように皮膚に適用することができる。製剤は、液体に対して密閉されることができ、皮膚表面からの感染を引き起こす微生物をブロックする上で有効である。1つの態様では、酵素による創面清掃、血栓形成及び血栓除去、並びにin situペルオキシド及び/又は過酸産生のために、創傷部位でプロテアーゼのような活性物質を製剤から放出させてさまざまな段階で創傷治癒を促進させることができる。
【0007】
好ましい態様では、局所用製剤は、シリコーンマトリックスの至るところに分散した活性物質を含有する親水性担体の混合物を含む。混合物はシリコーンマトリックスとともに本発明のこの態様の局所用製剤を形成する。親水性担体は例えばプロピレングリコール溶液であり、例えばポリビニルアルコール(「PVA」)又はポリビニルピロリドン(「PVP」)のような水溶性又は親水性成分と混合することができる。親水性担体と活性物質との混合物は、エマルジョン又は分散液の内相を形成することができ、この内相はシリコーンマトリックス(外相)内に配置されている。したがって、シリコーン系界面活性剤を添加して、内相を非常に小さな液滴に分散又は乳化し、活性物質の放出を促進させることができる。
【0008】
したがって、本発明の更なる目的は、活性物質の皮膚への制御放出を提供する上で有効な局所用製剤を提供することである。本発明のこの特徴及び他の特徴並びに利点は、以下の発明の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0009】
以下の本発明の好ましい態様の詳細な説明は、添付の図面とともに読むことによって、最も良く理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の1つの側面によれば、シリコーンマトリックスを導入している局所用製剤が提供される。製剤は、シリコーンマトリックスからの活性物質の制御された徐放性放出を有効に提供する。活性物質を親水性担体と混合して、シリコーンマトリックス内に分散した混合物を形成する。活性物質はシリコーンマトリックス内で安定であり、マトリックスから制御可能に及び自由に放出される。
【0011】
本発明の態様を定義し、記載するために、以下の用語は以後に提示される定義と一致するものとして理解されるであろう。
【0012】
活性物質はタンパク質、特に酵素を意味するものとして理解されるべきである。
【0013】
界面活性剤は、非混和液又は液体と、しばしばコロイドサイズの非常に細かい固体粒子との均一で最大の分離を促進するために懸濁媒体に添加される表面活性物質を意味するものとして理解されるべきである。界面活性剤は、湿潤、液体分散媒体での非混和液、液滴、又は細かい固体粒子の効率的な分配、及び粒子の凝集に対する安定化を促進する。界面活性剤は一般に、粒子表面の完全な表面被覆を提供するのに十分な量で分散媒体に添加される。
【0014】
包帯剤は、分泌物を吸収し、外傷から組織を保護し、医薬を組織へ投与し、環境から組織を保護し、出血を止め、湿潤環境を維持又は提供するため、そしてこれらの組み合わせのために、皮膚、創傷組織、又は病変組織に直接適用するのに好適なさまざまなタイプの被覆剤を意味するものとして理解されるべきである。例えば、包帯剤はフィルム、パッチ、包帯、ゲルなどの形態でよい。
【0015】
エマルジョンは、1つの液相の、第2液相内への一時的又は永続的分散を意味するものとして理解されるべきである。通常、液体の一方は水又は水溶液であり、他方はオイル又は他の水と非混和性の液体である。通常、第2液は連続相又は外相を意味する。エマルジョンは、分散した液体又は内相が単純な均一液である単純なエマルジョンか、分散した液相が2重エマルジョン若しくは多重エマルジョンのように液相又は固相の不均一な組み合わせである、より複雑なエマルジョンに更に分類することができる。
【0016】
親水性担体は、活性物質の溶媒として作用する、本発明の製剤の相の少なくとも1つの成分を意味するものとして理解されるべきである。親水性担体は、本発明の態様に用いられるシリコーンマトリックスからの活性物質の放出を補助する。
【0017】
親水性成分は、本発明の態様において親水性担体と活性物質との混合物に添加される少なくとも1つの成分を意味するものとして理解されるべきである。親水性成分は、本発明の態様に用いるシリコーンマトリックスからの活性物質の放出を補助することもできる。
【0018】
タンパク質は、天然、合成、及び遺伝子工学的な、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、ヒドロラーゼのような酵素;抗体;ポリペプチド;ペプチド;ホルモン;サイトカイン;成長因子;及び他の生体モジュレーターを意味するものとして理解されるべきである。
【0019】
軟膏は、皮膚、創傷組織、及び病変組織のような外部に適用するのに好適な半固体製剤を意味するものとして理解されるべきである。
【0020】
本発明によれば、製剤は、皮膚、創傷組織、及び病変組織に適用され得るさまざまな局所包帯剤に用いることができる。局所包帯剤は、活性物質が放出され、下にある皮膚、創傷組織、及び病変組織に適用されることを可能にする。更に、製剤は軟膏を形成するために用いてもよく、軟膏は、活性物質を放出し、下にある皮膚、創傷組織、又は病変組織に適用されることを可能にする。
【0021】
好ましい態様によれば、外相又は連続相内に内相又は非混和性分散相を含む製剤が提供される。外相は一般にシリコーンマトリックスを含み、内相は一般に少なくとも1つの活性物質を含有する親水性担体を含む。更に、内相は好適な親水性成分を更に含んでいてもよい。内相及び外相は、本発明の製剤を形成するために好適な方法で混合することができる。例えば、本発明の製剤を形成する際に、高剪断ミキサーを用いて内相と外相を混合することができる。更に、内相と外相を手で混合してもよい。内相の液滴サイズはさまざまでよい。例えば、液滴サイズは約0.1μm〜約2000μm、約0.1μm〜約1000μm、約0.1μm〜約500μm、約0.1μm〜約200μm、又は約0.1μm〜約100μmでよい。
【0022】
内相は、少なくとも1つの活性物質を含有する好適な親水性担体を含むことができる。本発明の態様では、親水性担体は関連温度で液体であり、好適な溶媒に溶解した固体材料(例えばソルビトール、マンニトール、ラクトース、塩化ナトリウム及びクエン酸)を用いてもよい。例えば、プロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、グリセリン、アルコール、多価アルコール、水、又は他の好適な親水性担体の溶液中に活性物質を含有してもよい。
【0023】
内相は水溶性及び親水性成分を更に含むことができる。親水性成分は一般に活性物質の溶媒として作用しない。親水性成分は、シリコーンマトリックスからの活性物質の放出速度を高めることができ、ポリビニルアルコール(PVA又はPVOH)(例えばClariant社、シャーロット、ノースカロライナ州から入手可能なMowiol(登録商標)3−83のなど)又は例えばBASF社、マウントオリーブ、ニュージャージ州から入手可能なLuviskol(登録商標)K−30のようなポリビニルピロリドン(PVP)を含むことができる。内相溶液は、約35重量%以下のPVA水溶液又は約50重量%以下のPVP水溶液を含むことができる。本発明の態様では、親水性成分は、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、ポリアクリル酸、アルギン酸誘導体、キトサン誘導体、ゼラチン、ペクチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、並びに他の好適な親水性の分子及び高分子のような、水で希釈された水性増粘剤であることもできる。ここで、活性物質は水溶性でも非水溶性でもよい。このような分子には、親水性高分子が含まれる。
【0024】
特定の理論に拘束されることを望まないが、親水性成分が、シリコーンマトリックス内に、活性物質の放出を容易にする孔、割れ目、亀裂、裂溝をつくることも意図される。内相をつくる際に、親水性担体に添加するPVA又はPVPの量を増加させると、放出する活性物質の割合を増加させることができる。更に、内相の親水性担体量が増加すると、放出する活性物質の割合を増加させることができる。
【0025】
更に、賦形剤を用いて活性物質を安定化又は生体適合性にすることができ、シリコーンマトリックスからの放出を補助することができる。本発明に用いるためのシリコーン賦形剤は、シリコーンポリエーテル、シリコーンフルイド、ジメチコーン、ジメチコーンコポリオール、ジメチコノール、シリコーンアルキルワックス、シリコーンポリアミドなどを含むことができる。他の可能な賦形剤には、限定されるものではないが、(ポリ)サッカリド誘導体、アクリル酸誘導体、PVA誘導体、グリコール、グリセロール、グリセリド誘導体、プロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、グリセリン、アルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸、アルギン酸誘導体、キトサン誘導体、ゼラチン、ペクチン及び多価アルコールのような親水性有機物が含まれる。
【0026】
本発明のシリコーンマトリックスは、EP966972A1、WO01/19190A1、及びWO2001/22923に記載のような高分子量ポリジメチルシロキサン(ガム系材料に対し12,500cSt)で構成されていてもよい。
【0027】
シリコーンマトリックスは、ゆるく又は軽く架橋したシリコーンエラストマー、例えばダウ・コーニング(登録商標)9040 シリコーンエラストマーブレンド(ダウ・コーニング社、ミッドランド、ミシガン州から入手可能)で構成されていてもよい。ゆるく又は軽く架橋したシリコーンエラストマーは、揮発性シリコーン溶媒(D5)に処理されたゆるく架橋したポリジメチルシロキサンについて記載する以下の米国特許に記載されている:米国特許第6,200,581号、第6,238,657号、第6,177,071号、第6,168,782号、及び第6,207,717号。揮発性シリコーン溶媒が蒸発するにつれて、軽く又はゆるく架橋したシリコーンエラストマーは、ペースト状の堅さからエラストマー系シリコーンゲルへと厚くなる。
【0028】
シリコーンマトリックスは、米国特許第5,145,937号及び第4,991,574号、並びにEP0955347号に記載のような充填剤のないエラストマーで構成されていてもよい。これらの特許は、例えばダウ・コーニング(登録商標)7−9800 SSAキット(ダウ・コーニング社、ミッドランド、ミシガン州から入手可能)のようなシリコーンゲルの使用について教示する。
【0029】
あるいは、シリコーンマトリックスは、EP0425164号、EP0506241号、及び米国特許第5,010,115号に記載のような(充填剤のない又はシリカで強化された)細胞性エラストマーで構成されていてもよい。これらの特許は、例えばダウ・コーニング(登録商標)7−0192 フォーム パートA及びパートB(ダウ・コーニング社、ミッドランド、ミシガン州から入手可能)のようなシリコーンフォームの使用について教示する。更に、シリコーンマトリックスは、付加硬化物(ゲルに類似するがシリカで強化されている)又は縮合硬化物、例えばダウ・コーニング(登録商標)7−5300 FILM−IN−PLACE COATING又はダウ・コーニング(登録商標)7−FC4210 フィルム形成基剤及び硬化剤(ダウ・コーニング社、ミッドランド、ミシガン州から入手可能)のようなシリコーンゴムで構成されることができる。
【0030】
最後に、シリコーンマトリックスは、米国特許第2,736,721号、第2,814,601号、第2,857,356号、第3,528,940号、及び第6,337,086号に記載のような、溶媒ベースでも熱溶解性でもよい、シリコーンポリマー中のシリケート樹脂のようなシリコーン系粘着剤(シリコーンPSA)で構成されていてもよい。これらの特許は、例えばダウ・コーニング(登録商標)PSA 7−4402(ダウ・コーニング社、ミッドランド、ミシガン州から入手可能)のようなシリコーンPSAの使用について教示する。
【0031】
本発明のシリコーンマトリックスは、親水性担体や活性物質の小さな液滴への分散又は乳化を容易にし、こうしたより小さな液滴がより大きな液滴へと融合するのを妨げる、シリコーン系界面活性剤、例えばダウ・コーニング(登録商標)9011 シリコーンエラストマーブレンド(ダウ・コーニング社、ミッドランド、ミシガン州から入手可能)を更に含んでいてもよい。例えば、シリコーン系界面活性剤を用いる場合、内相の液滴は約0.1〜500μmであり得る。シリコーン系界面活性剤は、本発明の局所包帯剤を形成する際に、好適なエマルジョンを作製するために用いてもよい。更に、本発明の外相は、シリコーンマトリックスを送達するための希釈剤、例えば揮発性シリコーン(即ちD5(ダウ・コーニング(登録商標)245フルイド)、MDM(ダウ・コーニング(登録商標)200フルイド 1cSt))、又は有機溶媒(即ちヘプタン又は酢酸エチル)を含んでもよい。
【0032】
本発明の活性物質は、一般に、親水性担体に導入される酵素などのタンパク質である。活性物質は親水性であり得る。包帯剤への導入に好適な酵素は如何なる酵素でもよい。酵素には、限定されるものではないが、市販のもの、改良型、組換え体、野生型、天然には見られない変異体、及びそれらの混合物が含まれる。例えば、好適な酵素には、ヒドロラーゼ、クチナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、レダクターゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、及びそれらの組み合わせが含まれる。ヒドロラーゼには、限定されるものではないが、プロテアーゼ(細菌性、真菌性、酸性、中性、又はアルカリ性)、アミラーゼ(α又はβ)、リパーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、コラーゲナーゼ、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0033】
本発明の製剤に含めるのに好適であると考えられるリパーゼには、英国特許第1,372,034号に開示されるシュードモナス・スタッツェリ ATCC19.154;米国特許第5,389,536号に記載されるシュードモナス・メンドシナ、及び米国特許第5,153,135号に開示されるシュードモナス・シュードアルカリゲネスのようなシュードモナス属の微生物により産生されるものが含まれる。リパーゼには、微生物シュードモナス・フルオレッセンス IAM1057によって産生されるリパーゼの抗体と陽性の免疫学的交差反応を示すものが更に含まれる。このリパ−ゼは、天野エンザイム株式会社、名古屋、日本から、リパ−ゼP「アマノ」の商品名で入手可能である。リパ−ゼには、M1リパ−ゼ(登録商標)及びLipomax(登録商標)(Gist−Brocades NV、デルフト、オランダ)、並びにリポラ−ゼ(登録商標)(ノボザイムズA/S、Bagsvaerd、デンマーク)が含まれる。リパ−ゼは、通常、シリコーンマトリックス重量に対し、約0.0001%〜約2%の活性酵素、又は約0.001mg/g〜約20mg/gのレベルでシリコーンマトリックスに導入される。
【0034】
プロテアーゼは、通常タンパク質又はペプチドのペプチド結合を切断するように作用するカルボニルヒドラーゼである。本明細書において、「プロテアーゼ」とは、天然プロテアーゼ又は組換えプロテアーゼを意味する。天然プロテアーゼには、α−アミノアシルペプチドヒドロラーゼ、ペプチジルアミノ酸ヒドロラーゼ、アシルアミノヒドロラーゼ、セリンカルボキシペプチダーゼ、メタロカルボキシペプチダーゼ、チオールプロテイナーゼ、カルボキシルプロテイナーゼ及びメタロプロテイナーゼが含まれる。セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、及び酸プロテアーゼ、並びにエンドプロテアーゼ及びエクソプロテアーゼが含まれる。
【0035】
プロテアーゼは、動物、植物、又は微生物由来であることができる。例えば、プロテアーゼは、細菌由来のセリンタンパク質分解酵素でよい。精製酵素を用いてもよいし、非精製酵素を用いてもよい。化学的に産生されたプロテアーゼ又は遺伝学的に修飾された変異体は、密接な構造的酵素変異体であるため、定義に含まれる。プロテアーゼの例として特に好ましいのは、バシラス属、例えばバシラス・サチリス、バシラス・レンタス、バシラス・アミロリケファシエンス、及び/又はバシラス・リシェニフォルミスから得た細菌性セリンタンパク質分解酵素、特にサブチラーゼ(subtilase)である。本発明の組成物に含まれると考えられる好適な市販のタンパク質分解酵素には、アルカラーゼ(登録商標)、エスペラーゼ(登録商標)、Durazym(登録商標)、エバラーゼ(登録商標)、カンナーゼ(登録商標)、Relase(登録商標)、サビナーゼ(登録商標)、Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、及びMaxapem(登録商標)15(タンパク質操作されたMaxacal);ピュラフェクト(登録商標)、プロペラーゼ(登録商標)(タンパク質操作されたピュラフェクト)、並びにサブチリシンBPN及びBPN’が含まれる。
【0036】
プロテアーゼは、天然にみられないアミノ酸配列を有するプロテアーゼ変異体も包含し、このアミノ酸配列は、天然にみられない異なるアミノ酸配列に置換することによって前駆体プロテアーゼから生じ、米国特許第RE34,606号;第5,700,676号;第5,972,682号及び/又は第6,482,628号に記載のように、バシラス・アミロリケファシエンスのサブチリシンの番号付けによるところの+76、+87、+99、+101、+103、+104、+107、+123、+27、+105、+109、+126、+128、+135、+156、+166、+195、+197、+204、+206、+210、+216、+217、+218、+222、+260、+265、及び/又は+274から成る群より選択される位置と同等のプロテアーゼ内の位置でアミノ酸残基を異なるアミノ酸に置換することによって前駆体プロテアーゼから生じる。
【0037】
例示的プロテアーゼ変異体には、米国特許第RE34,606号に記載のようなバシラス・レンタス由来のサブチリシン変異体が含まれる。以後、これをプロテアーゼAという。他の好適なプロテアーゼは、米国特許第5,700,676号に記載のような、バシラス・アミロリケファシエンス由来のY217L変異体である。以後、これをプロテアーゼBという。米国特許第6,482,628号に記載の修飾された細菌性セリンタンパク質分解酵素である、本明細書においてプロテアーゼCというもの;及び米国特許第5,972,682号に記載の修飾された細菌性セリンタンパク質分解酵素であるプロテアーゼDも好適である。米国特許第5,677,163号に記載のような枯草菌LG12も好適である。
【0038】
本発明の実施に有用な他のプロテアーゼは、サビナーゼ(登録商標)、エスペラーゼ(登録商標)、Maxacal(登録商標)、ピュラフェクト(登録商標)、BPN’、プロテアーゼA、プロテアーゼB、プロテアーゼC、プロテアーゼD、及びそれらの混合物から成る群より選択することができる。プロテアーゼは、一般に、シリコーンマトリックスの約0.01〜約0.5重量%、又は約0.1〜約10.0mg/g、好ましくは約0.1〜約5.0mg/gのレベルで本発明の製剤中に存在する。
【0039】
本発明は上記の酵素に限定されないことを当業者は理解するであろう。1種以上の活性物質を本発明の局所用製剤に使用できることを当業者は更に理解するであろう。
【0040】
活性物質は種々の機能を行うことができる。例えば、マトリックスは、局所的に壊死組織を除去し、一般的な創傷清拭をするためのプロテアーゼ及び他の酵素学的創傷清掃剤、血栓形成酵素及び血栓除去酵素、自己殺菌、抗感染、及び治癒促進のためにペルオキシド、過酸、活性酸素種、及び抗接着触媒アンタゴニストを産生する薬剤、並びに皮膚治療のための薬剤などを放出することができる。
【0041】
本発明の製剤は、好適な量の成分を有することができる。例えば、外相は局所用製剤の約50.000%〜約99.999%含めることができる。内相は約0.001%〜約2.000%の活性物質及び約0.001%〜約49.999%の親水性担体を含むことができる。界面活性剤を製剤に添加する場合、界面活性剤は約0.001%〜約60.000%、より一般的には約0.100%〜約50.000%含めることができる。親水性成分を添加する場合、親水性成分は製剤の約0.001%〜約50.000%含めることができ、より一般的には親水性成分は局所用製剤の約5.000%〜約40.000%含めることができる。他の態様では、親水性成分は製剤の約10.000%〜約35.000%含めることができる。更に他の態様では、親水性成分は製剤の約15.000%〜約35.000%含めることができる。
【0042】
本発明の製剤は、活性物質を親水性成分溶液とともに含有するプロピレングリコール溶液のような親水性担体溶液を、回転ミキサーで約15分間、約30rpmで混合して内相を調製することにより作製することができる。シリコーンマトリックスやシリコーン系界面活性剤のような外相の成分は、予め混合して均一な混合物を得る。
【0043】
内相と外相を個々に調整後、乳化又は分散の機械的操作を行うことができる。好ましくは、内相を外相に添加して、高剪断実験室用ミキサー、即ち角孔高剪断スクリーンを有するSilverson L4R(Silverson Machines社、East Longmeadow、マサチューセッツ州から入手可能)で激しく撹拌する。こうした高剪断混合により、サイズ分布の非常に狭い直径約0.1〜50μm、約0.1〜10μm、及び約0.1〜5μmの液滴を生ずる。混合物の撹拌は約5400rpmで約90秒間行うことができる。その後、得られた混合物を硬化させるため好適な容器に移してもよい。容器は、所望のバッチを提供するサイズ及び/又は形状のものであることができる。
【0044】
あるいは、手で混合して包帯剤を調製することができる。本発明の他の態様によれば、内相と外相を上記のように調製し、内相を外相に添加する。次に、小さなへらで円運動を行うことによって混合物を容器内で約30秒間激しく撹拌し、包帯剤を形成する。内相と外相を手で混合することにより、直径約10〜約1000μmの内相液滴を生じ得る。
【0045】
本発明の製剤は、皮膚に適用する前にフィルムに成型してもよいし、製剤がそこで重合する皮膚に直接適用してもよい。皮膚に適用する場合は「塗布剤付き」フィルムを重合し、本発明にしたがい、チューブ、小袋、ロールオン、スプレー、パッチ、包帯などからクリーム又は軟膏として送達してもよい。付加硬化物(ゲルに類似するが、シリカで強化されている)又は縮合硬化物、例えばダウ・コーニング社(ミッドランド、ミシガン州)から入手可能なダウ・コーニング(登録商標)7−5300 FILM−IN−PLACE COATINGなどのシリコーンゴムを外相へ導入することによりフィルムを作製することができる。内相と混合することにより、得られるエマルジョンは硬化可能になり、皮膚に適用したとき重合し、プロテアーゼなどの活性物質を有効に放出する「塗布剤付き」フィルム、パッチ、又は包帯を提供する。エマルジョンを基材上に塗布して所望の厚さを達成することができる。本発明の包帯剤は好適な方法で調整することができ、調整方法は本明細書に記載のものに限定されないことが当業者に理解されるであろう。
【0046】
本発明の軟膏は、ダウ・コーニング社(ミッドランド、ミシガン州)から入手可能な、ダウ・コーニング(登録商標)9041 シリコーンエラストマーブレンドなどのシリコーンエラストマーと、ダウ・コーニング(登録商標)5200 FORMULATION AIDなどのシリコーン系界面活性剤とをいっしょに撹拌して外相を形成し、作製することができる。内相は、活性物質溶液とPVAのような親水性担体とをいっしょに混合することにより調製することができる。内相は、一定の撹拌で内相を外相にゆっくり添加することによって外相に導入することができる。
【0047】
本発明の製剤は、所定の適用のために、活性物質放出速度を最適化するように調製できることが当業者に理解されるであろう。例えば、シリコーンマトリックスは活性物質放出速度を増加又は減少させるように選択することができる。PVAやPVPのような親水性成分をシリコーンマトリックスに添加することによって活性物質放出速度を増すことができる。同様に、親水性担体の添加量を増加させることにより、活性物質放出速度を増すことができる。例えば、約50重量%以下の親水性担体を用いて製剤を形成することができる。あるいは、活性物質放出速度を増加させるようにシリコーンマトリックスを選択することができる。例えば、架橋密度の小さいシリコーンマトリックスは、架橋密度の大きいシリコーンマトリックスよりも活性物質放出速度が速いであろう。
【0048】
活性物質放出速度に影響を与えるために、包帯剤パッチの厚さを変化させてもよい。活性物質放出速度を増加させるには、パッチの厚さを下方に調製することができる。更に、空気に対してより密閉されるように包帯剤を調製することができる。包帯剤の密閉性が増加するにつれて、活性物質放出速度を増加させることができる。
【0049】
同様に、創傷ベッドのパラメータは、活性物質放出速度を増加させたり減少させたりすることができる。例えば、創傷ベッドの水分量が増加するにつれて、活性物質放出速度も増加させることができる。あるいは、創傷ベッドの温度が上昇するにつれて、活性物質放出速度を増加させることができる。したがって、製剤のさまざまなパラメータは、創傷ベッドと包帯剤又は軟膏の条件との所定のセットに対し、活性物質が所望の放出速度で最適に送達されるように選択することができる。
【0050】
一般に、製剤は、活性物質の活性が顕著に失われることなく所定の期間保存できる包帯剤又は軟膏を提供するように製剤化する必要がある。例えば、包帯剤又は軟膏は、その活性が、有効な割合よりも多く失われることなく、最大6カ月間、室温で安定であり得る。
【0051】
上で議論したように、活性物質がシリコーンマトリックスから放出されて壊死組織を除去できるように製剤を調整することができる。製剤は、液体に対して密閉されることができ、この密閉性は、製剤によって覆われた領域の湿潤創傷環境を促進させることができる。湿潤創傷環境は、製剤に覆われた壊死組織の膨潤を可能にし、この膨潤は、活性物質がより有効的且つ選択的に膨潤壊死組織を除去することを可能にする。
【0052】
本発明の1つの態様によれば、壊死組織を有する創傷周辺の領域に接着剤を適用させることができ、接着剤を用いて、創傷を覆うように製剤を接着させることができる。接着剤は、ダウ・コーニング(登録商標)PSA 7−4402のような本明細書に記載のシリコーン系粘着剤、PVAのような親水性担体、及び壊死組織を除去するために選択された活性物質を阻害するように選択され、健常組織を保護する活性物質を含む、シリコーンマトリックスを含むことができる。本明細書に記載のように、活性物質は接着剤から放出されることができる。例えば、創傷を覆う製剤中の活性物質がプロテアーゼを含む場合、接着剤中の活性物質はプロテアーゼインヒビターであり得る。好適なプロテアーゼインヒビターの例としては、限定されるものではないが、セルピン、クニッツ、カザール中に見出されるもののようなセリンプロテアーゼインヒビター、及び白血球のプロテイナーゼ(leukoproteinase)類のインヒビターが含まれる。そのような好適なインヒビターは、R.M.Robertsら、プロテイナーゼインヒビターの調節及び調節的役割、Crit.Rev.Eukaryot.Gene Expr.5(3−4)385−436(1995)に見出される。
【0053】
本発明がより容易に理解されるために以下の実施例を参照するが、これらは本発明を具体的に示すことを意図したものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0054】
シリコーンマトリックスからのプロテアーゼの徐放性を評価するために、第1の実験を行った。ダウ・コーニング社(ミッドランド、ミシガン州)から市販されている、ゆるく又は軽く架橋したシリコーンエラストマー組成物(ダウ・コーニング(登録商標)9040)及びシリコーン系界面活性剤(ダウ・コーニング(登録商標)9011)を用いて、ダウ・コーニング(登録商標)9040及びダウ・コーニング(登録商標)9040/9011シリコーンエラストマー製剤を形成した。プロピレングリコールに溶解させた1.1mg/mlのバシラス・レンタス由来プロテアーゼA保存溶液を2つのダウ・コーニング(登録商標)組成物へ添加した。5mlの保存溶液サンプルを、20gの9040製剤、及び10gの9040製剤と10gの9011製剤とを含む20gの9040/9011製剤に添加した。酵素保存溶液の代わりに水と、9040とを含む対照、及び9040/9011とを含む対照を調製した。更に、シリコーンマトリックスの成分がプロテアーゼを阻害するか調べるため、等量のダウ・コーニング(登録商標)9040酵素製剤又は9040/9011酵素製剤と、プロテアーゼを含まず水を含む対照とを有する更なるサンプルを調製した。これらの阻害対照は、これらプロテアーゼ不含サンプルからアリコートを取り、酵素製剤サンプルからの等量のアリコートに加えることによって調製し、プロテアーゼ活性の阻害を観察した。次にサンプル物質をフード内で2週間空気乾燥させた。
【0055】
ダウ・コーニング(登録商標)9040/9011製剤は薄いフィルムに乾燥させ、ダウ・コーニング9040(登録商標)組成物はケークに乾燥させた。N−スクシニル−L−Ala−L−Ala−L−Pro−L−Phe−p−ニトロアニリド(SAAPFpNA)を用いて、Delmar,E.G.ら(1979)Anal.Biochem.94、316−320;Achtstetter、Arch.Biochem.Biophys 207:445−54(1981))に記載のように、プロテアーゼの標準アッセイでサンプルをアッセイした(pH6.5、25℃)。アッセイは、ヒューレットパッカード8451Aダイオードアッセイ分光光度計を用いて、410nmにて、放出されたプロテアーゼをmAbs/分の単位で測定した。この実施例1の結果を以下の表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
これらのデータは、シリコーンマトリックスからの5時間にわたるプロテアーゼの有効な放出を示している。2週間以上乾燥保存した材料からデータを得ている。プロテアーゼ不含シリコーン製剤の対照及び阻害対照を、プロテアーゼ含有シリコーン製剤と同量で同期間インキュベートした。阻害サンプルは、酵素製剤のプロテアーゼ活性よりも低いがほとんど一致したプロテアーゼ活性値を示している。結果は、追加の製剤を酵素サンプルに加えるとわずかに阻害化合物が存在し得ることを示している。
【実施例2】
【0058】
シリコーンマトリックスからのプロテアーゼの除放性を評価するために、更なる実験を行った。0.81mg/mlのプロテアーゼAのポリエチレングリコール保存溶液の0.5mlアリコートを小さなポリプロピレン製秤量ボートに移した。次に、5.0mlのシリコーンゴム組成物(ダウ・コーニング(登録商標)7−5300、ダウ・コーニング社、ミッドランド、ミシガン州)をプロテアーゼ溶液に添加し、添加15秒以内に混合した。ダウ・コーニング(登録商標)7−5300組成物は、「塗布剤付き」フィルム、パッチ、又は包帯としての適用を有することを意図している。次に混合物を30分間硬化させた。硬化後、1.0mlの蒸留水で混合物を3回洗浄した。上記のように、アリコートに対し、SAAPFpNAアッセイを用いて各洗浄液についてアッセイし、洗浄液中の酵素量を測定した。次に組成物をその側面で15分間乾燥させ、続いて平らにして更に15分間乾燥させた。最後に、5.0mlの蒸留水を秤量ボートに加え、数秒間緩やかにグルグルかき混ぜた。0時点に200μlのアリコートを取った。1時間ごとに200μl取りながら、秤量ボートを持続的にグルグルかき混ぜた。
【0059】
この実験の結果を図1に報告する。洗浄液中に9%のプロテアーゼ活性が回収され、4時間で3.8%のプロテアーゼがシリコーンマトリックスから放出された。
【0060】
直前に記載した方法によって、シュードモナス・メンドシナ由来のリパ−ゼを用いて、ダウ・コーニング(登録商標)7−5300 シリコーンゴム組成物のリパーゼ放出を更に試験した。この実験の結果をmAbs/分の単位で以下の表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
洗浄液中に18%のリパーゼ活性が回収され、9時間で2.2%のリパーゼが放出された。
【0063】
図2Aは、ダウ・コーニング(登録商標)7−5300 シリコーンゴム溶液からのプロテアーゼAの放出/送達を表し、図2Bは、ダウ・コーニング(登録商標)7−5300 シリコーンゴム溶液からのリパ−ゼの放出/送達を表す。図は、添加した酵素のおよそ2〜4%が、長時間にわたり、シリコーンマトリックスから直線的に放出されたことを示している。
【実施例3】
【0064】
シリコーンマトリックスからのプロテアーゼAの徐放性に対する親水性添加剤の効果を評価するために、更に他の実験を行った。まず、試験包帯剤、より具体的には、プロテアーゼ含有パッチを、パッチの全量が一定(約2g)であり、且つパッチ内の酵素濃度も一定(パッチ1gあたり約0.6mgの薬剤)となるように、小さなペトリ皿(直径およそ3cm)の中で成型した。パッチは、ダウ・コーニング社(ミッドランド、ミシガン州)から市販されている、ゆるく又は軽く架橋したシリコーンエラストマー組成物(ダウ・コーニング(登録商標)9040)及びシリコーン系界面活性剤(ダウ・コーニング(登録商標)9011)を含んでいた。また、ダウ・コーニング(登録商標)7−5300(シリコーンゴム組成物)も試験した。更に、製剤は、さまざまな量のPVA、高プロピレングリコールレベルでのPVA、又は撹拌によって加えたPVPを含有していた。
【0065】
2つの方法で酵素放出を評価した。第1の方法では、パッチを洗浄し、パッチ表面及びパッチ表面の非常に近くに存在し得る酵素を除去した。約1mlの溶解バッファー(10mM Tris、10mM CaCl、及び0.005% Tween80、pH5.4)を、ペトリ皿の試験パッチ表面に添加した。次に、バッファーを20秒間グルグルかき混ぜ、分析用にバッファーを静かにエッペンドルフチューブに移した。洗浄工程を3回繰り返し、各洗浄液について酵素活性を測定した。洗浄工程中に放出された全酵素量を示すため、結果をまとめた。図3A〜3Cにおいて、この酵素量には0時点が含まれている。
【0066】
もう1つの方法は洗浄工程を含まない。約5mlの溶解バッファーをピペットで試験パッチ表面に取り、ペトリ皿にフタをして蒸発をなくした。次に、試験パッチと溶解バッファーとを含有するペトリ皿を楕円ミキサー上で約75rpmでグルグルかき混ぜ、酵素活性を分析するため、溶解バッファーの10μlアリコートを1時間ごとに取り出した。アッセイバッファー(100mM Tris及び0.005% Tween80、pH8.6)を含有するキュベットに、ピペットでアリコートを直接取り、UV/可視分光計で酵素活性を測定し、溶解バッファー中の酵素濃度をmg/mlで得た。
【0067】
図3Aは、さまざまな量のPVAと高PG(プロピレングリコール)含量を有するダウ・コーニング(登録商標)9040/9011シリコーンマトリックスからの酵素放出を表す。図3Aに見られるように、より多量の親水性PVAをシリコーンマトリックスに加えると、酵素放出速度が増加する。同様に、図3Bは、さまざまなPVAレベルで、ダウ・コーニング(登録商標)7−5300製剤から放出されたプロテアーゼAの割合を表す。グラフからわかるように、PVA量が増加すると放出速度が増加する。図3Cは、さまざまな量のPVPを有するダウ・コーニング(登録商標)9040/9011シリコーンマトリックスからの酵素の放出を表す。図3Cに見られるように、親水性PVPをシリコーンマトリックスに加えると酵素放出速度が増加する。
【実施例4】
【0068】
シリコーンマトリックスからのプロテアーゼBの徐放性に対するシリコーンマトリックスの効果を評価するために、実験を行った。まず、試験包帯剤、より具体的には、プロテアーゼ含有パッチを、パッチの全量が一定(約2g)であり、且つパッチ中の酵素濃度も一定(パッチ1gあたり約0.6mgの薬剤)となるように、小さなペトリ皿(直径およそ3cm)中に成型した。パッチは、ダウ・コーニング社(ミッドランド、ミシガン州)から市販されている、ゆるく又は軽く架橋したシリコーンエラストマー組成物(ダウ・コーニング(登録商標)9040)及びシリコーン系界面活性剤(ダウ・コーニング(登録商標)9011)を含んでいた。あるいは、パッチは、ダウ・コーニング社(ミッドランド、ミシガン州)から入手可能な、ダウ・コーニング(登録商標)PSA 7−4402粘着剤又はダウ・コーニング(登録商標)7−FC−4210細胞性エラストマーを含んでいた。更に、製剤は0%又は20%のPVAを含有していた。
【0069】
2つの方法で酵素放出を評価した。第1の方法では、パッチを洗浄し、パッチ表面及びパッチ表面の非常に近くに存在し得る酵素を除去した。約1mlの溶解バッファー(10mM Tris、10mM CaCl、及び0.005% Tween80、pH5.4)を、ペトリ皿の試験パッチ表面に添加した。次に、バッファーを20秒間グルグルかき混ぜ、分析用にバッファーをエッペンドルフチューブへ静かに移した。洗浄工程を3回繰り返し、各洗浄液について酵素活性を測定した。洗浄工程のあいだに放出された全酵素量を示すために結果をまとめる。図4において、この酵素量には0時点が含まれている。
【0070】
もう1つの方法は洗浄工程を含まない。約5mlの溶解バッファーをピペットで試験パッチ表面に取り、ペトリ皿にフタをして蒸発をなくした。次に、試験パッチと溶解バッファーとを含有するペトリ皿を楕円ミキサー上で約75rpmでグルグルかき混ぜ、酵素活性を分析するために溶解バッファーの10μlのアリコートを1時間ごとに取り出した。アッセイバッファー(100mM Tris及び0.005% Tween80、pH8.6)を含有するキュベットにアリコートをピペットで直接取り、UV/可視分光計で酵素活性を測定し、溶解バッファー中の酵素濃度をmg/mlで得た。
【0071】
図4は、この酵素放出試験の結果を表している。グラフからわかるように、PSA 7−4402マトリックスは最大放出速度を示している。酵素の放出速度はシリコーンマトリックスの架橋密度に影響される。
【実施例5】
【0072】
酵素放出速度に対するパッチ厚の効果を観察するために実験を行った。プロテアーゼB、7−5300 シリコーン、及びPVAのような他の成分を含有する試験製剤を乳化させた。製剤を、Blade Applicator(UV Process Supply社、シカゴ)を用いてマイラー(登録商標)シート上に塗布した。適用被覆の厚さは、刃とマイラー(登録商標)シートとのあいだのギャップを調整することによって制御した。被覆をそれぞれ13及び25μmにした。被覆を完全に乾燥又は硬化させた後、直径25mmの試験ディスクをマイラー(登録商標)シートから切り出した。デジタル被覆厚計(Elcometer、マンチェスター、UK)を用いて被覆の最終乾燥厚を測定した。酵素ペイロードを正確に知るために、試験サンプルディスクの最終乾燥重量も測定した。マイラー(登録商標)単独の重量及び厚さを測定し、マイラー(登録商標)上のサンプルのそれから差し引いて、サンプル単独の重量及び厚さを出した。
【0073】
フランツ型拡散セル(Amie Systems、Riegelsville、ペンシルバニア州)を用いて酵素放出試験を行った。試験サンプルを拡散セルのトップにマウントし、予め37℃に温めた13.7mlの溶解バッファー(10mM NaCl及び0.005% Tween80を含有する10mM MES、pH5.5)でセルを満たした。拡散セル内部にある空気泡を除去するように注意した。セルの撹拌速度を予め50rpmにセットした。0.1mlのサンプルアリコートを定期的な時間間隔で拡散セルから取り出し、酵素活性を分析し、活性酵素濃度をmg/mlの単位で得た。放出酵素の割合も計算した。
【0074】
図5を参照してわかるように、放出速度はパッチ厚に反比例することがわかった。したがって、酵素の100%放出は最も薄いパッチで達成された。
【実施例6】
【0075】
軟膏製剤からのプロテアーゼ放出を試験するために実験を行った。ダウ・コーニング社(ミッドランド、ミシガン州)から入手可能な、シリコーンエラストマー ダウ・コーニング9041及びシリコーン系界面活性剤ダウ・コーニング5200 FORMULATION AIDを含有する外相を調製することによって、試験軟膏製剤を調製した。プロテアーゼB保存溶液を含有する内相を調製した。更に、0又は20%の40%PVA溶液を有するように内相を調製した。プロテアーゼB保存溶液は、活性酵素、ギ酸ナトリウム、塩化カルシウム、水、及びPGを含有していた。攪拌機を用いて内相と外相を混合した。軟膏は、軟膏1gあたり約3mgの酵素を有していた。
【0076】
軟膏製剤を調製後、Hansenの軟膏セル(Hansen、Chatworth、カリフォルニア州)を用いてその放出速度を測定し、製剤の安定性を決定した。およそ0.5gの軟膏を軟膏セルの軟膏投薬領域にロードした。0.45μmのHT Tuffryn(登録商標)メンブラン(Pall社、アナーバー、ミシガン州)を軟膏投薬表面に置き、軟膏セルを密閉した。次に軟膏セルを軟膏セルフラスコ内に置き、フラスコを25mlのpH5.5バッファー溶液(10mM MES、10mM CaCl、0.005% Tween)で満たし、軟膏セルをバッファー溶液に沈めた。30℃で試験を行い、へらを用いてバッファーを一定の50rpmで撹拌した。10分後、1時間後、2時間後、4時間後、8時間後、16時間後、及び24時間後、オートサンプラーで0.5mlアリコートを取り出した。酵素活性をUV/可視分光計で測定し、溶解バッファー中の酵素濃度をmg/mlで得た。溶解試験を6回重複して行い、平均量を報告する。
【0077】
図6によると、PVA溶液を加えることにより、24時間にわたって酵素が軟膏から部分的に放出される。軟膏が、皮膚を局所治療するために使用できる製剤を提供することは図6から明らかである。
【実施例7】
【0078】
室温で保存した乾燥パッチ内の酵素の安定性を測定するために安定性試験を行った。保存後の酵素の放出は上記実施例で報告した初期放出データに匹敵し、保存のあいだ酵素は安定なままであることを示している。乾燥パッチを0〜6カ月間保存し、適切な時点で酵素放出を測定した。プロテアーゼA、9040/9011 シリコーン、及び他の成分を含有する試験製剤を乳化させた。試験製剤は、乾燥重量3.1250gのDC−9040 シリコーン、乾燥重量3.2500gのDC−9011 シリコーン系界面活性剤、2.5mg/gのプロテアーゼA、及び乾燥重量4.2000gのPVAを含んでいた。Blade Applicator(UV Process Supply社、シカゴ)を用いて、製剤をマイラー(登録商標)シート上に塗布した。適用被覆の厚さは、刃とマイラー(登録商標)シートとのあいだのギャップを調整することによって制御した。被覆を完全に乾燥又は硬化させた後、直径25mmの試験ディスクをマイラー(登録商標)シートから切り出した。デジタル被覆厚計(Elcometer、マンチェスター、UK)を用いて被覆の最終乾燥厚を測定したところ、サンプルの厚さはおよそ100μmであった。酵素のペイロードを正確に知るために、試験サンプルディスクの最終乾燥重量も測定した。マイラー(登録商標)単独の重量及び厚さを測定し、マイラー(登録商標)上のサンプルのそれから差し引いて、サンプル単独の重量及び厚さを出した。
【0079】
50%プロピレングリコール中のプロテアーゼA保存溶液(400ppm塩化カルシウムを含有する50%ギ酸ナトリウムバッファー、pH5.5)を含む対照を調製した。対照を室温で保存し、保持された酵素活性をさまざまな時点で試験した。プロテアーゼA酵素は対照溶液中で安定であることが予想される。
【0080】
自動サンプリング用付属品及び少量溶解キットを備えたHanson(Hanson、Chatsworth、カリフォルニア州)の溶解試験機を用いて酵素放出試験を行った。ゴムのりを用いて、サンプル(25mm)と同一直径の3/16”厚ガラスディスクに試験サンプルを固定した。次に、試験サンプル面を上向きにして、サンプルを溶解容器にロードした。25mlの溶解バッファー(10mM NaCl及び0.005% Tween80を含有する10mM MES、pH5.5)を各サンプル表面に注ぎ、自動サンプラーチューブに沿った撹拌へらを直ちにバッファー内へ下げた。溶解容器にキャップをして蒸発を最小限にし、50rpm台で撹拌を開始した。自動サンプラーは、プログラムされた時点で0.5ml又は1mlのアリコートを取り出し、上記SAAPFpNAプロテアーゼアッセイでこれらのサンプルの酵素活性を分析し、活性酵素濃度をmg/mlで得た。ある場合には、280nmの吸収を測定し、適切な吸光係数を適用することにより、各時点の合計タンパク質も測定した。
【0081】
図7には、0、1、3、及び6カ月間保存した9040/9011乾燥パッチのプロテアーゼAの酵素安定性が表されている。各時点での6回の重複の平均からデータポイントを得ている。活性の喪失はシリコーンパッチよりも対照溶液のほうが大きい。したがって、シリコーンパッチは、酵素を保存し、続いて放出する、より安定な手段を提供する。
【実施例8】
【0082】
室温で保存したPSA 7−4402を有する乾燥パッチ内での酵素の安定性を測定するために安定性試験を実施した。保存後の酵素の放出は上記実施例で報告した初期放出データに匹敵し、保存のあいだ酵素は安定なままであることを示している。乾燥パッチを0〜6カ月間保存し、適切な時点で酵素放出を測定した。プロテアーゼB、PSA 7−4402 シリコーン、及び他の成分を含有する試験製剤を乳化させた。試験製剤は、乾燥重量33.7500gのPSA 7−4402 シリコーン、乾燥重量2.3500gのDC193フルイド(ダウ・コーニング社、ミッドランド、ミシガン州から入手可能)、3.8612mg/gのプロテアーゼB、及び乾燥重量9.4100gのPVAを含む。Blade Applicator(UV Process Supply社、シカゴ)を用いて、製剤をマイラー(登録商標)シート上に塗布した。適用被覆の厚さは、刃とマイラー(登録商標)シートとのあいだのギャップを調整することによって制御した。被覆を完全に乾燥又は硬化させた後、直径25mmの試験ディスクをマイラー(登録商標)シートから切り出した。デジタル被覆厚計(Elcometer、マンチェスター、UK)を用いて被覆の最終乾燥厚を測定したところ、サンプルの厚さはおよそ100μmであった。酵素ペイロードを正確に知るために、試験サンプルディスクの最終乾燥重量も測定した。マイラー(登録商標)単独の重量及び厚さを測定し、マイラー(登録商標)上のサンプルのそれから差し引いて、サンプル単独の重量及び厚さを出した。
【0083】
50%プロピレングリコール中のプロテアーゼB保存溶液(400ppm塩化カルシウムを含有する50%ギ酸ナトリウムバッファー、pH5.5)を含む対照を調製した。対照を室温で保存し、保持された酵素活性をさまざまな時点で試験した。プロテアーゼB酵素は対照溶液中で安定であると予想される。
【0084】
自動サンプリング用付属品と少量溶解キットを備えたHanson(Hanson、Chatsworth、カリフォルニア州)の溶解試験機を用いて酵素放出試験を行った。ゴムのりを用いて、試験サンプルをサンプル(25mm)と同一直径の3/16”厚ガラスディスクに固定した。次に、試験サンプル面を上向きにして、サンプルを溶解容器にロードした。25mlの溶解バッファー(10mM NaCl及び0.005% Tween80を含有する10mM MES、pH5.5)を各サンプル表面に注ぎ、自動サンプラーチューブに沿った撹拌へらを直ちにバッファー内に下げた。溶解容器にキャップをして蒸発を最小限にし、50rpm台で撹拌を開始した。自動サンプラーは、0.5ml又は1mlのアリコートをプログラムされた時点で取り出し、上記SAAPFpNAプロテアーゼアッセイでこれらのサンプルの酵素活性を分析し、活性酵素濃度をmg/mlで得た。ある場合には、280nmの吸収を測定し、適切な吸光係数を適用することによって、各時点の合計タンパク質も測定した。
【0085】
図8によると、0、1、3、及び6カ月間保存したPSA 7−4402乾燥パッチのプロテアーゼBの酵素安定性が表されている。各時点での6回の重複の平均からデータポイントを得ている。シリコーンパッチは、酵素を保存し、続いて放出する安定な手段を提供する。しかしながら、放出されたプロテアーゼBの割合は、プロテアーゼB対照溶液中に保持された活性の割合よりも少ない。
【実施例9】
【0086】
室温で保存したPSA 7−4401を有する乾燥パッチ内での酵素の安定性を測定するために安定性試験を行った。保存後の酵素の放出は上記実施例で報告した初期放出データに匹敵し、保存のあいだ酵素は安定なままであることを示している。乾燥パッチを0〜3カ月間保存し、適切な時点で酵素放出を測定した。プロテアーゼB、PSA 7−4401 シリコーン、及び他の成分を含有する試験製剤を乳化させた。試験製剤は、乾燥重量33.9088gのPSA 7−4401 シリコーン、乾燥重量2.3500gのDC193フルイド、3.8723mg/gのプロテアーゼB、及び乾燥重量9.6170gのPVAを含む。Blade Applicator(UV Process Supply社、シカゴ)を用いて、製剤をマイラー(登録商標)シート上に塗布した。適用被覆の厚さは、刃とマイラー(登録商標)シートとのあいだのギャップを調整することによって制御した。被覆を完全に乾燥又は硬化させた後、直径25mmの試験ディスクをマイラー(登録商標)シートから切り出した。デジタル被覆厚計(Elcometer、マンチェスター、UK)を用いて被覆の最終乾燥厚を測定したところ、サンプルの厚さはおよそ100μmであった。酵素ペイロードを正確に知るために、試験サンプルディスクの最終乾燥重量も測定した。マイラー(登録商標)単独の重量及び厚さを測定し、マイラー(登録商標)上のサンプルのそれから差し引いて、サンプル単独の重量及び厚さを出した。
【0087】
50%プロピレングリコール中のプロテアーゼB保存溶液(400ppm塩化カルシウムを含有する50%ギ酸ナトリウムバッファー、pH5.5)を含む対照を調整した。対照を室温で保存し、保持された酵素活性をさまざまな時点で試験した。
【0088】
自動サンプリング用付属品と少量溶解キットを備えたHanson(Hanson、Chatsworth、カリフォルニア州)の溶解試験機を用いて酵素放出試験を行った。ゴムのりを用いて、試験サンプルをサンプル(25mm)と同一直径の3/16”厚ガラスディスクに固定した。次に、試験サンプル面を上向きにして、サンプルを溶解容器にロードした。25mlの溶解バッファー(10mM NaCl及び0.005% Tween80を含有する10mM MES、pH5.5)を各サンプルの表面に注ぎ、自動サンプラーチューブに沿った撹拌へらを直ちにバッファーに下げた。溶解容器にキャップをして蒸発を最小限にし、50rpm台で撹拌を開始した。自動サンプラーは、0.5ml又は1mlのアリコートをプログラムされた時点で取り出し、上記SAAPFpNAプロテアーゼアッセイでこれらのサンプルの酵素活性を分析し、活性酵素濃度をmg/mlで得た。ある場合には、280nmの吸収を測定し、適切な吸光係数を適用することによって、各時点の合計タンパク質も測定した。
【0089】
図9によると、0、1、及び3カ月間保存したPSA 7−4401乾燥パッチから放出されたプロテアーゼBの酵素安定性が表されている。各時点での6回の重複の平均からデータポイントを得ている。シリコーンパッチは、酵素を保存し、続いて放出する安定な手段を提供する。しかしながら、放出されたプロテアーゼBの割合は、プロテアーゼB対照溶液中に保持された活性の割合よりも少ない。
【実施例10】
【0090】
室温で保存した7−FC 4210を有する乾燥パッチ内での酵素の安定性を測定するために安定性試験を行った。保存後の酵素の放出は上記実施例で報告した初期放出データに匹敵し、保存のあいだ酵素は安定なままであることを示している。乾燥パッチを0〜1カ月間保存し、適切な時点で酵素放出を測定した。プロテアーゼB、7−FC 4210 基剤及び硬化剤シリコーン、並びに他の成分を含有する試験製剤を乳化させた。試験製剤は、乾燥重量36.0000gの7−FC 4210 基剤シリコーン、乾燥重量7.2000gの7−FC 4210硬化剤、乾燥重量4.08000gのDC225 ジメチコーンフルイド(ダウ・コーニング社、ミッドランド、ミシガン州から入手可能)、4.2006mg/gのプロテアーゼB、及び乾燥重量12.2880gのPVAを含んでいた。Blade Applicator(UV Process Supply社、シカゴ)を用いて製剤をマイラー(登録商標)シート上に塗布した。適用被覆の厚さは、刃とマイラー(登録商標)シートとのあいだのギャップを調整することによって制御した。被覆を完全に乾燥又は硬化させた後、直径25mmの試験ディスクをマイラー(登録商標)シートから切り出した。デジタル被覆厚計(Elcometer、マンチェスター、UK)を用いて被覆の最終乾燥厚を測定したところ、サンプルの厚さはおよそ100μmであった。酵素ペイロードを正確に知るために、試験サンプルディスクの最終乾燥重量も測定した。マイラー(登録商標)単独の重量及び厚さを測定し、マイラー(登録商標)上のサンプルのそれから差し引いて、サンプル単独の重量及び厚さを出した。
【0091】
50%プロピレングリコール中のプロテアーゼB保存溶液(400ppm塩化カルシウムを含有する50%ギ酸ナトリウムバッファー、pH5.5)を含む対照を調製した。対照を室温で保存し、保持された酵素活性をさまざまな時点で試験した。
【0092】
自動サンプリング用付属品と少量溶解キットを備えたHanson(Hanson、Chatsworth、カリフォルニア州)の溶解試験機を用いて酵素放出試験を行った。ゴムのりを用いて、試験サンプルをサンプル(25mm)と同一直径の3/16”厚ガラスディスクに固定した。次に、試験サンプル面を上向きにして、サンプルを溶解容器内にロードした。25mlの溶解バッファー(10mM NaCl及び0.005% Tween80を含有する10mM MES、pH5.5)を各サンプルの表面に注ぎ、自動サンプラーチューブに沿った撹拌へらを直ちにバッファー内へ下げた。溶解容器にキャップをして蒸発を最小限にし、50rpm台で撹拌を開始した。自動サンプラーは、0.5ml又は1mlのアリコートをプログラムされた時点で取り出し、上記SAAPFpNAプロテアーゼアッセイでこれらのサンプルの酵素活性を解析し、活性酵素濃度をmg/mlで得た。ある場合には、280nmの吸収を測定し、適切な吸光係数を適用することによって、各時点の合計タンパク質も測定した。
【0093】
図10によると、0及び1カ月間保存した7−FC 4210乾燥パッチから放出されたプロテアーゼBの酵素安定性が表されている。各時点での6回の重複の平均からデータポイントを得ている。シリコーンパッチは、酵素を保存し、続いて放出する安定な手段を提供する。しかしながら、放出されたプロテアーゼBの割合は、プロテアーゼB対照溶液中に保持された活性の割合よりも少ない。
【実施例11】
【0094】
創面清掃に好適な酵素の有効性を試験するために、不要な痂皮をin vitroモデルとして用いた。痂皮とは、創傷又は壊疽から取れたかさぶたの死滅組織である。酵素は、外科用メス又は他の鋭敏な手術器具を利用する鋭い創面清掃のための設備が限られ又は使用できない患者に、創傷の鋭い創面清掃の代替方法を提供する。ヒト糖尿病患者に生じる脚の壊疽の鋭い創面清掃から不要な痂皮を得た。
【0095】
創面清掃当日に2枚の大きな痂皮片を得、2片に分けた。更に、2片をそれぞれ3つの部分に細かく分けた。3×3の細かいメッシュガーゼパッドを6枚のペトリ皿のそれぞれに入れ、ペトリ皿を秤量した。痂皮の1部分を各ガーゼパッド上に置き、ペトリ皿を再秤量した。ペトリ皿とガーゼの重量を、ペトリ皿、ガーゼ及び痂皮の重量から差し引いて、痂皮の乾燥重量を得た。20mlの市販のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)をそれぞれのペトリ皿に加えた。6枚のペトリ皿のうちの2枚を、PBSと最初の2片の痂皮のそれぞれに由来する痂皮サンプルのみを有する対照とした。6枚のペトリ皿のうちの次の2枚の中のPBSは、20mlのPBS中に250μgのヒストリチクス菌由来のタンパク質分解コラーゲナーゼ(シグマ)を含有した。最後の2枚のペトリ皿の中のPBS溶液は、それぞれ20mlのPBS中に250μgのGenencor International社のプロテアーゼBサブチリシン酵素を含有した。
【0096】
次に、痂皮を有するガーゼパッドを、PBS溶液中に48時間浸した。48時間後、サンプルを検査し、4枚の酵素サンプルペトリ皿のそれぞれと同一の、20mlのPBS中に250μgの酵素サンプルを含む各ペトリ皿に、2度目の20ml量PBSを加えた。更に48時間の浸漬後、各ペトリ皿の痂皮を、新しいペトリ皿中の新しい3×3ガーゼパッドに移した。ペトリ皿を秤量した。
【0097】
表3に、6つのサンプルの重量変化を示す。全てのサンプルは、おそらく痂皮が液体を吸収したために膨張して、96時間後には重くなっていた。コラーゲナーゼサンプルは、おそらく痂皮の分解により、重量増加の割合が低かった。プロテアーゼサンプルも、おそらく痂皮の分解により、重量増加の割合が低かった。
【0098】
【表3】

【0099】
痂皮の構造的完全性における変化の目視観察を96時間に行い、分解を確認した。プロテアーゼ処理サンプルでは、痂皮がいくぶんゼラチン状になり、ある場合には、PBSで洗浄すると、痂皮が完全に分解した。対照とコラーゲナーゼで処理した痂皮サンプルは、ゼラチン化せず、PBSで洗浄しても分解しなかった。
【0100】
本発明の範囲を逸脱することなくさまざまな改変がなされ得ることが当業者には明らかであり、明細書に記載されたものに限定することを意図するものではない。
【実施例12】
【0101】
創面清掃に好適な多くの酵素の有効性を比較するために、in vitro実験を行った。脚の糖尿病性壊疽の痂皮及び模擬洗浄を用いて創傷条件を模倣した。以下のプロトコールにしたがい実験を行った。
【0102】
フタ付きの小さなペトリ皿にラベルして秤量した。次に、2インチ四方のガーゼパッドを各ペトリ皿に加え、ペトリ皿を再秤量した。次に、脚の糖尿病性壊疽の痂皮を、ナイフ又はハサミを用いて視覚的に同等の部分に分けた。ペトリ皿中のガーゼパッド上のサンプルを試験秤量した。サンプルの差が互いに10%又は0.1g以内である場合は次の工程を行った。サンプルの差が互いに10%又は0.1g以内でない場合は、10%又は0.1g以内になるまで重量に基づいて再区分化した。
【0103】
次に、ペトリ皿中のガーゼパッド上の痂皮を秤量した。PBS溶液(0.002%アジ化ナトリウムを添加したダルベッコのリン酸緩衝化生理食塩水、Mediatech社)中の適量の酵素をガーゼパッドに加え、250μgの酵素を導入した。10mlのPBS溶液を直ちに加えた。ペトリ皿にカバーをして滅菌フードに移した。理想的には、この10mlのPBSナトリウムは、適切な混合を保証するために、酵素がガーゼパッドに吸収された地点に加える必要がある。ペトリ皿を滅菌フード内で48時間、室温でインキュベートした。
【0104】
48時間後、パッドを排水(パッドをペトリ皿の側面に接触させて過剰の液体を排出する)し、滅菌フィルターフラスコ内の0.22μmフィルターに移して真空にし、解放した。パッドは乾燥してフィルターに接着していた。ペトリ皿中の残存反応混合物1mlを取り、48時間におけるA280解析のためにエッペンドルフチューブに入れた。
【0105】
エッペンドルフチューブ内のサンプルを、サンプルの吸収が直線状の0.0〜2.0吸収単位の範囲になるまでPBS溶液で希釈し、A280解析を行った。アマシャム・バイオサイエンス Ultrospec 3100pro UV/VIS分光光度計を用いて、280nmで解析を行った。A280解析は、酵素が痂皮を加水分解し、遊離アミノ酸又は可溶性ペプチドを、加水分解された痂皮から残存反応混合物へ放出するかどうかの指標を提供する。
【0106】
サンプルがガーゼパッドから洗浄除去されないようにして、30mlのPBS溶液を痂皮サンプルに注いだ。ガーゼパッド及び痂皮サンプルをフィルターフラスコから取り出し、第2のラベルしたペトリ皿に入れた。洗浄液をボトル内に保存し、ボトルにねじぶたをした。フィルターユニットを廃棄した。この洗浄工程は、酵素適用中及び適用後の創傷の洗浄をまねた。
【0107】
酵素の第2の適用が提供された。適量の酵素をガーゼパッドに加えて250μgの酵素を導入した。10mlのPBS溶液を、酵素がガーゼに吸収された地点の近傍に直ちに加えた。ペトリ皿にカバーをして滅菌フードに移した。ペトリ皿を更に48時間インキュベートした。
【0108】
48時間後、パッドを排水(パッドをペトリ皿の側面に接触させて過剰の液体を排出する)し、滅菌フィルターフラスコ内の0.22μmフィルターに移して真空にし、解放した。パッドは乾燥してフィルターに接着していた。ペトリ皿中の残存反応混合物1mlを取り、96時間におけるA280解析のためにエッペンドルフチューブに入れた。
【0109】
サンプルがガーゼパッドから洗浄除去されないようにして、30mlのPBS溶液を痂皮サンプルに注いだ。ガーゼパッド及び痂皮サンプルをフィルターフラスコから取り出し、第3のラベルして秤量したペトリ皿に入れた。洗浄液をボトル内に保存し、ボトルにねじぶたをした。フィルターユニットを廃棄した。
【0110】
ガーゼパッドを有するペトリ皿をフード内に一晩放置し、その後秤量した。ガーゼ+痂皮の重量を計算した。ガーゼパッド+痂皮を、更に24時間後に再秤量した。
【0111】
PBS及び痂皮サンプルのみのブランクについて実験を行った。ヒストリチクス菌由来のタンパク質分解コラーゲナーゼ(シグマ)を用いた。更に、Genencor International社のプロテアーゼBサブチリシン酵素を用いた。
【0112】
表4に、サンプルに酵素と洗浄を供した前後の痂皮サンプルの重量を示す。表からわかるように、プロテアーゼBは、最も効率的に痂皮を分解したようである。
【0113】
【表4】

【0114】
表5は、残存反応混合物の48時間及び96時間におけるA280解析の結果を示す。表からわかるように、より多くの遊離アミノ酸がプロテアーゼBサンプル中に存在していた。したがって、プロテアーゼBは、痂皮の分解に、より効率的なようである。
【0115】
【表5】

【実施例13】
【0116】
実施例12に概説したようにして更なる実験を行った。PBS及び痂皮サンプルのみのブランクについて実験を行った。ヒストリチクム菌由来のタンパク質分解コラーゲナーゼ(シグマ)を用いた。更に、Genencor International社のプロテアーゼBサブチリシン酵素を用いた。
【0117】
表6は、残存反応混合物の48時間及び96時間におけるA280解析の結果を示す。表からわかるように、より多くの遊離アミノ酸がプロテアーゼBサンプル中に存在していた。したがって、プロテアーゼBは、痂皮の分解に、より効率的なようである。
【0118】
【表6】

【実施例14】
【0119】
実施例12に概説したようにして更なる実験を行った。PBS及び痂皮サンプルのみのブランクについて実験を行った。Genencor International社のプロテアーゼBサブチリシン酵素を用いた。更に、本明細書に援用される米国特許第5,677,163号に記載の枯草菌LG12を用いた。
【0120】
表7に、残存反応混合物の48時間及び96時間におけるA280解析の結果を示す。表からわかるように、より多くの遊離アミノ酸がLG12溶液中に存在していた。したがって、LG12は、痂皮の分解に、より効率的なようである。
【0121】
【表7】

【実施例15】
【0122】
プロテアーゼB及び7−5300 シリコーンを含有するウエハーを実施例5にしたがい調製した。更に、7−5300 シリコーンを含む対照ウエハーを調製した。ウエハーを1.6%カゼインアガー培地プレート上におき、37℃で1時間インキュベートした。プロテアーゼBを含有するウエハーはスキムミルクを加水分解し、アガーが消失した。対照ウエハーはスキムミルクを溶解せず、消失を示さなかった。
【実施例16】
【0123】
プロテアーゼB及びPSA7−4402 シリコーンを含有するパッチを実施例8にしたがい調製した。パッチを13カ月間室温で保存した。パッチを1.6%カゼインアガー培地プレート上におき、37℃で1時間インキュベートした。パッチはスキムミルクを加水分解し、少量のアガーが消失した。次に、プレートを37℃で一晩インキュベートしたところ、パッチは更にスキムミルクを加水分解して、実施例15の7−5300 プロテアーゼBパッチとほぼ同量の消失を示した。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は、本発明の態様による製剤からのプロテアーゼ徐放性放出のチャートである。
【図2A】図2Aは、本発明の態様による製剤からのプロテアーゼの放出/送達を示すチャートである。
【図2B】図2Bは、本発明の態様による製剤からのリパーゼの放出/送達を示すチャートである。
【図3A】図3Aは、さまざまな量の親水性成分を有する製剤からのプロテアーゼ放出を示すチャートである。
【図3B】図3Bは、さまざまな量の親水性成分を有する製剤からのプロテアーゼ放出を示すチャートである。
【図3C】図3Cは、さまざまな量の親水性成分を有する製剤からのプロテアーゼ放出を示すチャートである。
【図4】図4は、さまざまなシリコーンマトリックスを有する製剤からのプロテアーゼ放出速度を示すチャートである。
【図5】図5は、さまざまな厚さのパッチを有する製剤からのプロテアーゼ放出速度を示すチャートである。
【図6】図6は、本発明の態様による軟膏製剤からのプロテアーゼ放出を示すチャートである。
【図7】図7は、本発明の態様による製剤におけるプロテアーゼの安定性を示すチャートである。
【図8】図8は、本発明の他の態様による製剤におけるプロテアーゼの安定性を示すチャートである。
【図9】図9は、本発明の更に他の態様による製剤におけるプロテアーゼの安定性を示すチャートである。
【図10】図10は、本発明の態様による製剤におけるプロテアーゼの安定性を示すチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内相及び外相を含む局所用製剤であって:内相は外相内に分散しており;内相は、少なくとも1つの親水性担体及び壊死組織を除去するために外相から放出可能な少なくとも1つの活性物質を含み;外相はシリコーンマトリックスを含み;皮膚に適用したときに湿潤環境を促進させるために液体に対して密閉されている、前記局所用製剤。
【請求項2】
少なくとも1つの活性物質が親水性である、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項3】
内相は外相内に分散している液滴で構成され、液滴の直径は約0.1〜約2000μm、又は約0.1〜約1000μm、又は約0.1〜約500μmである、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項4】
液滴の直径が約0.1〜約200μm、又は約0.1〜約100μm、又は約0.1〜約50μm、又は約0.1〜約10μm、又は約0.1〜約5μmである、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項5】
少なくとも1つの親水性担体が、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、グリセリン、アルコール、多価アルコール、及び水、並びにそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項6】
少なくとも1つの親水性担体がポリプロピレングリコールを含む、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項7】
少なくとも1つの親水性担体が局所用製剤の約50重量%以下で含まれる、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項8】
少なくとも1つの活性物質が、ヒドロラーゼ、クチナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、レダクターゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、ポリペプチド、抗体、ペプチド、ホルモン、サイトカイン、及び成長因子、並びにそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの酵素を含む、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項9】
少なくとも1つの活性物質が少なくとも1つのヒドロラーゼを含む、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項10】
ヒドロラーゼがリパーゼ及びプロテアーゼから選択される、請求項9に記載の局所用製剤。
【請求項11】
プロテアーゼが、サブチリシンプロテアーゼ、プロテアーゼA、プロテアーゼB、又はLG12から選択される、請求項10に記載の局所用製剤。
【請求項12】
ヒドロラーゼがリパーゼを含み、リパーゼがシリコーンマトリックスの約0.0001〜約0.2重量%で含まれる、請求項9に記載の局所用製剤。
【請求項13】
ヒドロラーゼがプロテアーゼを含み、プロテアーゼ濃度が局所用製剤の約0.1〜約5.0mg/gである、請求項9に記載の局所用製剤。
【請求項14】
内相が少なくとも1つの親水性成分を更に含む、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項15】
少なくとも1つの親水性成分が、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン並びにそれらの組み合わせから選択される、請求項14に記載の局所用製剤。
【請求項16】
少なくとも1つの親水性成分が、内相の約50重量%以下、又は約35重量%以下で含まれる、請求項15に記載の局所用製剤。
【請求項17】
少なくとも1つの親水性成分が、局所用製剤の約5〜約40重量%、又は約10〜約35重量%、又は約15〜約35重量%で含まれる、請求項14に記載の局所用製剤。
【請求項18】
少なくとも1つの親水性成分が、水性増粘剤を含む、請求項14に記載の局所用製剤。
【請求項19】
シリコーンマトリックスが、高分子量ポリジメチルシロキサン、ゆるく又は軽く架橋したシリコーンエラストマー、充填剤のないエラストマー、細胞性エラストマー、シリコーンゴム、シリコーン系粘着剤、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項20】
外相がシリコーン系界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項21】
内相及び外相が、局所用製剤が局所包帯剤を構成するように選択され、局所包帯剤はパッチを構成する、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項22】
パッチの厚さが約25μm以下である、請求項21に記載の局所用製剤。
【請求項23】
外相がゆるく又は軽く架橋したシリコーンエラストマーを含む、請求項21に記載の局所用製剤。
【請求項24】
内相がプロピレングリコール及びプロテアーゼを含む、請求項23に記載の局所用製剤。
【請求項25】
内相が、ポリビニルアルコール及びポリビニルプロピレンから選択される親水性成分を更に含む、請求項24に記載の局所用製剤。
【請求項26】
内相及び外相が、局所用製剤が局所包帯剤を構成するように選択され、局所包帯剤は塗布剤付きフィルムを構成する、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項27】
外相がシリコーンゴムを含む、請求項26に記載の局所用製剤。
【請求項28】
内相及び外相が、局所用製剤が軟膏を構成するように選択される、請求項1に記載の局所用製剤。
【請求項29】
外相が、少なくとも1つのシリコーンエラストマー及び少なくとも1つのシリコーン系界面活性剤を含む、請求項28に記載の局所用製剤。
【請求項30】
内相が活性物質及びプロピレングリコールを含む、請求項29に記載の局所用製剤。
【請求項31】
内相がポリビニルアルコールを更に含む、請求項30に記載の局所用製剤。
【請求項32】
活性物質を局所的に提供する方法であって:
内相及び外相を含む、液体に対して密閉された局所用製剤を提供し、ここで、内相は外相内に分散しており、内相は少なくとも1つの親水性担体及び壊死組織を除去するために外相から放出可能な少なくとも1つの活性物質を含み、外相はシリコーンマトリックスを含む;
活性物質がシリコーンマトリックスから患者の皮膚に局所的に放出されるように局所用製剤を患者の皮膚に接触させる、
ことを含む、前記方法。
【請求項33】
内相は親水性成分を更に含み、親水性成分は、活性物質が所望の速度でシリコーンマトリックスから放出されるように選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
局所用製剤は厚みを有するパッチを構成し、パッチの厚さは、活性物質が所望の速度でシリコーンマトリックスから放出されるように選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
液体に対する密閉性は、局所用製剤に覆われた壊死組織の膨潤を可能にする湿潤環境を促進させて、壊死組織が膨潤し;そして、シリコーンマトリックスから放出される活性物質は、膨潤した壊死組織を選択的に除去する、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
内相及び外相を含む第2の局所用製剤を提供し、ここで、内相は外相内に分散しており、内相は少なくとも1つの親水性担体と壊死組織を除去するために選択された活性物質を阻害するように選択された少なくとも1つの第2の活性物質とを含み、外相はシリコーン接着剤を含むシリコーンマトリックスを含む;
第2の局所用製剤を、患者の皮膚にある創傷周辺の皮膚におき;そして
局所用製剤を第2の局所用製剤に接触させることによって局所用製剤を創傷に接着させ、創傷周辺の患者の皮膚は、壊死組織を除去するために選択された活性物質から保護される、
ことを更に含む、請求項35に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−505107(P2007−505107A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526089(P2006−526089)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/026218
【国際公開番号】WO2005/025548
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(500041008)ダウ・コーニング・コーポレーション (2)
【出願人】(398056506)ジェネンコア インターナショナル インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】