説明

親水性架橋ポリマー

本発明は、好ましくは多孔性粒子の形態の親水性架橋ポリマーおよびその製造および使用に関する。本発明のポリマーは、親水性ビニルエーテル、好ましくは複素環ジビニルエーテルの鎖形成および架橋による重合化によって製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは、多孔性粒子の形態の親水性架橋ポリマーに関し、その製造および使用に関する。本発明のポリマーは、鎖形成親水性ビニルエーテルおよび架橋N,N’−ジビニル化合物、好ましくは、ヘテロ環状N,N’−ジビニル化合物の重合によって製造される。
【背景技術】
【0002】
親水性架橋ポリマー性支持材料は、クロマトグラフィー、固相合成または触媒反応などの領域において、しばしば用いられる。とくにクロマトグラフィーにおける支持材料として用いるため、このタイプのポリマーは以下の特性を有するべきである:
―材料は、とくにバイオクロマトグラフィーにおける使用が可能であるように十分に親水性であるべきである、
―必要に応じ、分離特性を特定の分離の課題に合わせることができるように、分離エフェクターによって改変することができる材料であるべきである、
―ポリマーは、加水分解に対して十分に安定でなければならない、
―とくに高圧液体クロマトグラフィーの領域での適用のため、材料は、適正な圧力/流動安定性を有していなければならない、
―材料は、適正な孔サイズを有するべきである。
【0003】
さらに、できるだけ簡単で再生産可能な方法で、このタイプのポリマーを製造することができるべきである。
WO03/104294には、とくに固相合成に用いるための、ポリビニルエーテルが開示されている。開示されたポリマーは、通常、極めて強い膨潤挙動を示す。
DE3714276およびDE3344912には、ビニルアセテートをベースとした架橋ポリマーが開示されている。親水性ポリマーを製造するために、アセテート基は続いて鹸化される必要がある。
【0004】
WO9513861には、カチオン性重合によって製造された分離目的のポリビニルエーテルが開示されている。記載されているカチオン性重合は、複雑な保護基の化学との組み合わせによって行われなければならない。
EP0266503には、エポキシ基を含むモノマーの懸濁重合によって製造された架橋ポリマーが開示されている。エポキシ基を含む得られたポリマーは、次いで、生物学的活性物質の固定化のために用いることができる。
【0005】
EP0482339には、アリルモノマーをベースとしたコポリマーが開示されている。とくに、FractoPrep(登録商標)(Merck KGaA、ドイツ)の名称で商業的に利用可能な1,2−ジヒドロキシ−3−アリルオキシプロパンおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミドを含むEP0482339のコポリマーは、親水性、加水分解に対する安定性および圧力/流動安定性に関し、バイオクロマトグラフィーのための良好な特性を示す。しかしながら、この材料の不利な点は、逆懸濁重合(inverse suspension polymerisation)による複雑な製造方法である。
【発明の開示】
【0006】
したがって本発明の目的は、孔隙率、親水性、加水分解に対する安定性および圧力/流動安定性に関して上記の要求に適合し、加えて製造するのに簡単な親水性ポリマー支持材料を提供することである。
架橋剤、好ましくはヘテロ環のN,N’−ジビニル化合物を用いた親水性に置換されたアルキルビニルエーテルの共重合によって、とくにバイオクロマトグラフィーのために、良好な特性を有する親水性ポリマーの製造が可能であることが見出された。ポリマーは好ましくは、懸濁重合によって製造される。
【0007】
したがって、本発明は、
a)少なくとも1つの親水性に置換された式Iで表わされるアルキルビニルエーテル:
【化1】

【0008】
式中、R1、R2、R3は、互いに独立して、HまたはC1〜C6のアルキル、好ましくは、H、−CHであり、
R4は、少なくとも1つの水酸基を保持する基である、
ならびに、
【0009】
b)式IIおよび/または式IIIおよび/または式IVに一致する少なくとも1つの架橋剤:
【化2】

【0010】
式中、Xは、2〜5個のC原子、好ましくは、2または3個のC原子を有する二価のアルキル基であり、ここで隣接しないでNに直接近傍する位置にない1つまたは2つ以上のメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH−(C1〜C8)−アルキル、N−(C1〜C8)−アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHによって置換されていてもよい、および
【0011】
【化3】

【0012】
式中、式IIIおよびIVにおけるY1およびY2は、互いに独立して、
C1〜C10のアルキルまたはシクロアルキルであり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基またはNに直接近傍する位置にないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のHは、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
【0013】
または、
C6〜C18のアリールであり、ここで、該アリールシステムにおける1つまたは2つ以上のHは、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
および、
【0014】
Aは、2〜5個のC原子、好ましくは2または3個のC原子を有する二価のアルキル基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基またはNに直接近傍する位置にないメチレン基
は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のHは、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
を少なくとも含むコポリマーをベースとする親水性架橋ポリマーに関する。
【0015】
式IのR4は、典型的には、少なくとも1つの水酸基を保持する、アルキル基、脂環式の基またはアリール基である。
好ましい態様において、式IのR4が、
直鎖状または分枝状のC1〜C10のアルキル基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOH、Nで置換されていてもよく、および/または、ここで、1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、および、ここで、少なくとも1つのOH基は、C1〜C10のアルキル基または置換基に存在する、
【0016】
または、
典型的には5〜10個の原子を有する脂環式の基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOH、Nで置換されていてもよく、および/または、ここで、脂環式の基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、脂環式の環または側鎖または置換基に存在する、
または、
【0017】
C6〜C18のアリール基であり、ここで、該アリール基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基, C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、アリール基または側鎖または置換基に存在する、
または、
【0018】
C5〜C18のヘテロアリール基であり、ここで、該ヘテロアリール基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基, C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、ヘテロアリール基または側鎖または置換基に存在する。
【0019】
とくに好ましい態様において、式IのR4が、
直鎖状または分枝状のC1〜C10のアルキル基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基は、O、S、SOまたはNHで置換されていてもよく、および/または、ここで、1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、および、ここで、少なくとも1つのOH基は、C1〜C10のアルキル基または置換基に存在する、
【0020】
または、
典型的には5〜10個の原子を有する脂環式の基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基は、O、S、SOまたはNHで置換されていてもよく、および/または、ここで、脂環式の基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、脂環式の環または側鎖または置換基に存在する、
または、
【0021】
C6〜C14のアリール基であり、ここで、該アリール基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基, C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、アリール基または側鎖または置換基に存在する、
または、
【0022】
C6〜C14のヘテロアリール基であり、ここで、少なくとも1つのN原子がヘテロ原子として存在し、該ヘテロアリール基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、ヘテロアリール基または側鎖または置換基に存在する。
【0023】
好ましい態様において、用いられる親水性に置換されたアルキルビニルエーテルは、R4が水酸基を保持している基である式Iの化合物である。
とくに好ましい態様において、用いられる親水性に置換されたアルキルビニルエーテルは、1,2−エタンジオールモノビニルエーテル、1,3−プロパンジオールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールモノビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテルまたはジエチレングリコールモノビニルエーテルであり、用いられる脂環式ビニルエーテルは、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルである。
【0024】
さらに好ましい態様において、用いられる架橋剤は、ジビニルエチレンウレア(1,3−ジビニルイミダゾリン−2−オン)またはジビニルプロピレンウレア(1,3−ジビニルテトラヒドロピリミジン−2−オン)である。
他の好ましい態様において、ポリマーは、2〜200nmの孔サイズを有する多孔性である。
他の態様において、ポリマーは、3〜300μmの径を有する粒子の形態である。
【0025】
他の態様において、ポリマーは、分離エフェクターによって誘導体化されている。
好ましい態様において、ポリマーは、グラフト重合によってポリマーに付いた構造によって誘導体化されている。
好ましい態様において、ポリマーは、セリウム(IV)触媒反応でのグラフト重合によってポリマーに付いた構造によって誘導体化されている。
とくに好ましい態様において、構造は、2つまたは3つ以上の異なるモノマーから製造されたコポリマーである。
【0026】
本発明はまた、少なくとも1つの式Iの親水性に置換されたアルキルビニルエーテルおよび式IIおよび/または式IIIおよび/または式IVに一致する少なくとも1つの架橋剤:
【化4】

【0027】
式中、R1、R2、R3は、互いに独立して、HまたはC1〜C6のアルキル、好ましくは、Hまたは−CHであり、
R4は、少なくとも1つの水酸基を保持する基である、
ならびに、
【化5】

【0028】
式中、Xは、2〜5個のC原子、好ましくは2または3個のC原子を有する二価のアルキル基であり、ここで隣接しないでNに直接近傍する位置にない1つまたは2つ以上のメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH−(C1〜C8)−アルキル、N−(C1〜C8)−アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHによって置換されていてもよい、および
【化6】

式中、式IIIおよびIVにおけるY1およびY2は、互いに独立して、
【0029】
C1〜C10のアルキルまたはシクロアルキルであり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基またはNに直接近傍する位置にないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のHは、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
【0030】
または、
C6〜C18のアリールであり、ここで、該アリールシステムにおける1つまたは2つ以上のHは、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
および、
【0031】
Aは、2〜5個のC原子、好ましくは2または3個のC原子を有する二価のアルキル基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基またはNに直接近傍する位置にないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のHは、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
を共重合することを特徴とする、ポリマーの製造方法に関する。
【0032】
好ましい態様において、式IのR4は、
直鎖状または分枝状のC1〜C10のアルキル基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOH、Nで置換されていてもよく、および/または、ここで、1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、および、ここで、少なくとも1つのOH基は、C1〜C10のアルキル基または置換基に存在する、
【0033】
または、
典型的には5〜10個の原子を有する脂環式の基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOH、Nで置換されていてもよく、および/または、ここで、脂環式の基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、脂環式の環または側鎖または置換基に存在する、
または、
【0034】
C6〜C18のアリール基であり、ここで、該アリール基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、アリール基または側鎖または置換基に存在する、
または、
【0035】
C5〜C18のヘテロアリール基であり、ここで、該ヘテロアリール基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、ヘテロアリール基または側鎖または置換基に存在する。
【0036】
好ましい態様において、フリーラジカル懸濁重合が行われる。
とくに好ましい態様において、リーラジカル懸濁重合が、少なくとも1つの懸濁安定剤および選択的にさらなる添加剤、好ましくは無機塩および界面活性化合物の存在下で、懸濁媒体としての水で行う。
一態様において、重合の間の温度が、40〜100℃である。
【0037】
好ましい態様において、親水性に置換されたアルキルビニルエーテルおよび架橋剤が、重量比10:90〜80:20で用いられる。
好ましい態様において、重合は、1つまたは2つ以上のポロゲンを添加して行う。
本発明はまた、本発明のポリマーを吸着剤または支持材料として含む、クロマトグラフィーカラム、キャピラリー、カートリッジ、攪拌リアクタまたはリアクタに関する。
【0038】
本発明はまた、クロマトグラフィーの吸着剤としての、生物学的または触媒的な活性物質の固定のための支持材料としての、または、固相合成のための支持材料としての、本発明の親水性架橋ポリマーの使用に関する。
本発明はまた、本発明の方法によって得ることができるポリマーに関する。
さらなる組み合わせおよび好ましい態様は、特許請求の範囲に示す。
【0039】
本発明において、用語「脂環式の基(cycloaliphatic radical)」は、全てまたは少なくとも一部の炭化水素ユニットが環状構造を構築している飽和炭化水素基を示す。
本発明において、N(C1〜C8)アルキルは、少なくとも2つのアルキル基によって置換された窒素を示す。該2つのアルキル基はここで、互いに独立して、1〜8個のC原子を直鎖状または分枝状の形態で有し得る。
【0040】
本発明において、ヘテロアリール基は、1つまたは2つ以上の隣接しないC原子が、N、SまたはOによって置換されている点でアリール基とは異なる、少なくとも部分的な芳香族基である。原子価のため、例えば、H、C1〜C6−アルキルまたはC1〜C6−アルキル−OHなどによって選択的に置換され得ることは当業者には明らかである。
【0041】
本発明のポリマーは、
a)式I
【化7】

式中、R1、R2、R3およびR4は、前記の意味を有する、
で表わされる親水性に置換された少なくとも1つアルキルビニルエーテル、および、
【0042】
b)式IIおよび/またはIIIおよび/またはIV
【化8】

式中、置換基X、A、Y1およびY2は、前記の意味を有する、
に一致する少なくとも1つ架橋剤
を少なくとも含むコポリマーをベースとした親水性架橋ポリマーである。
【0043】
これは、本ポリマーが、式Iの親水性に置換されたアルキルビニルエーテルの群からの少なくとも1つの化合物と、式IIおよび/またはIIIおよび/またはIVの架橋剤の群からの少なくとも1つの化合物との共重合反応によって形成されることを意味する。好ましくは、式Iの親水性に置換されたアルキルビニルエーテルの群からの1つだけと、式II、IIIまたはIVの架橋剤の群から1つが用いられる。しかしながら、式Iの親水性に置換されたアルキルビニルエーテルの群からの1つまたは2つ以上の化合物、および/または、式IIおよび/またはIIIおよび/またはIVの架橋剤の群からの1つまたは2つ以上の化合物を用いることも可能である。さらに、ポリマー骨格に共重合される重合性化合物を重合混合物に添加することができる。これらは、典型的には、少なくとも1つの重合化可能な二重結合を有する化合物である。好ましくは、式Iの親水性に置換されたアルキルビニルエーテルの群からの1つだけと、式II、IIIまたはIVの架橋剤の群から1つを用いられる。
【0044】
好ましい態様において、用いられる親水性に置換されたアルキルビニルエーテルは、R4が水酸基を保持する基である式Iの化合物である。
好ましい態様において、用いられる親水性に置換されたアルキルビニルエーテルは、1,2−エタンジオールモノビニルエーテル、1,3−プロパンジオールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールモノビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテルまたはジエチレングリコールモノビニルエーテルであり、そして、用いられる脂環性ビニルエーテルは、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、とくに好ましくは、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルまたはシクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルである。
【0045】
用いられる架橋剤は、好ましくは式IIの化合物である。好ましいものとして、ジビニルプロピレンウレア(1,3−ジビニルテトラヒドロピリミジン−2−オン)、またはとくに好ましくはジビニルエチレンウレア(1,3−ジビニルイミダゾリン−2−オン)の使用が挙げられる。
ポリマーの重量に関する親水性に置換されたアルキルビニルエーテルの割合は、典型的には、1(重量)%〜90(重量)%であり、または、アルキルビニルエーテルがホモポリマー化されていない場合、アルキルビニルエーテルの最大重量比は、二官能性架橋剤に対して、2:1のモル比に相当する。親水性に置換されたアルキルビニルエーテルの割合は、好ましくは10〜80%(重量%)、とくに好ましくは35〜60%である。よって、架橋剤の割合は、10〜99(重量%)、好ましくは20〜90%、とくに好ましくは40〜65%である。、
【0046】
不飽和化合物の共重合のプロセス工学的設計は、当業者に知られている。この目的のため、フリーラジカル重合が行なわれる。好ましくは、ビーズ重合反応としても知られ、フリーラジカルによって開始される懸濁重合が行なわれる。このタイプの重合を行なう方法の記述は、例えば、EP1179732 A2(一般的記載、4頁18〜26行、および5頁3行〜6頁9行、およびとくに例1)またはEP0006199 B1(一般的記載、3頁19行〜4頁13行およびとくに例1)に挙げられる。モノマーの溶解挙動に依存して、オイルとしても知られる水不溶性または難溶性モノマーの場合、とくに簡単な手順で、水中油懸濁重合(順相重合(normal-phase polymerisation))が行われる。これに対して、水溶性モノマーの場合、後者を水に溶解し、懸濁して、水に混和しないか、殆ど水に混和しない有機溶媒で重合する(逆相重合(inverse polymerisation))。
【0047】
とくに、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルまたはシクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルなどの親水性に置換されたアルキルビニルエーテルと組合わせて、ジビニルエチレンウレアまたはジビニルプロピレンウレアを用いる場合、(順相)懸濁重合を行なうことができることが見出された。これによって、親水性ポリマーが、複雑な逆相懸濁重合を行なう必要なしに、単一の反応ステップで得られるので、本発明のポリマーの極めて簡単な製造プロセスという利点を奏する。本発明で用いられる親水性に置換されたアルキルビニルエーテルのさらに大きな利点は、親水性ポリマーを製造するために、続く加水分解ステップを行なう必要がないことである。代わりに、出発材料とする水酸基含有ビニルエーテルの使用によって、水酸基含有ポリマーを直接形成することになる。
【0048】
懸濁重合は、知られている方法で行なわれる。順相懸濁重合で用いられる懸濁媒体は、典型的には、水である。1つまたは2つ以上の安定化剤および/または1つまたは2つ以上の界面活性化合物が、知られているように、懸濁媒体に添加し得る。
用いることができる安定化剤は、多様な水溶性高分子化合物または細かく分割された無機化合物である。
【0049】
高分子安定化剤の例として、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリカルボキシレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、メチルセルロースまたはポリエチレングリコールが挙げられる。好ましくは、ポリビニルアルコールを用いる。
安定化剤として用いられる無機化合物は、例えば、リン酸カルシウムまたは水酸化マグネシウムである。
【0050】
例えば、NaHPOおよびNaHPOなどの塩、イオン性液体または緩衝物質は、さらに液相に添加することができる。
好適な界面活性化合物は、とくに、長鎖アルコールのエトキシレート、エトキシ化モノ−、ジ−およびトリアルキルフェノール、アルカリ金属およびC12〜C18アルキルスルホン酸またはアリールスルホン酸のアンモニウム塩などのアニオン性および非イオン性界面活性剤である。
【0051】
本発明の重合を行なうために、油相としても知られる有機相を水相に懸濁する。重合の開始および実行の後、ポリマーは、典型的には、濾別されるか、他の方法によって反応混合物から除去することができる。溶媒または他の添加物の残渣は、好適な溶媒で洗浄することにより、または、例えば、蒸気蒸留によって除去することができる。
一態様において、油相は、所望の孔サイズにセットするため、モノマーに加えて、不活性溶媒(ポロゲン)を含む。
【0052】
好適な有機溶媒(ポロゲン)は、例えば、ヘキサン、ドデカン混合物などの脂肪族炭化水素(C〜C18)またはベンジン混合物、シクロヘキサンなどの脂環式化合物、トルエン、エチルベンゼンまたはキシレンなどの芳香族炭化水素、または、例えば、ヘプタノール、ドデカノール、シクロヘキサノール、種々の分子量のポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールなどのアルコール、または酢酸ブチルまたはプロピオン酸プロピルなどの脂肪族カルボン酸のエステル、またはプロピルベンゾエートなどの芳香族カルボン酸のエステル、またはグリコールアセテートもしくはグリコールトリアセテートなどのエステル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルおよびエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテルなどである。これらの溶媒は、個別にまたは2つまたは3つ以上の溶媒の混合物として用いることができる。これらはポリマーの膨張剤または沈殿剤として作用することができ、このように孔隙率に影響を与える。
【0053】
本発明のポリマーのための膨張剤の例として、低級アルコール、脂肪族エステルまたはトルエンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。沈殿剤の例として、ドデカンなどの脂肪族炭化水素またはベンジン混合物が挙げられる。ポリマーの孔隙率は、溶媒のタイプおよび量とポリマーの架橋の程度との組合せを介して、決定することができる。
【0054】
さらに、遊離基として作用する1つまたは2つ以上の開始剤は、典型的には、有機相に添加される。遊離基開始剤の例として、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(o−メチルベンゾイル)ペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシドジカルボネート、シクロヘキサノンペルオキシドなどの有機ペルオキシド、またはa,a’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸、1,1’−アゾシクロヘキサン−1,1’−ジカルボニトリルまたはアゾジカルボキサミドなどの脂肪族アゾ化合物が挙げられる。好ましいものとして、a,a’−アゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。UV放射などの放射によって活性化され得る開始剤はまた、本発明において、遊離基開始剤として用いることもできる。
【0055】
懸濁重合における相比は、典型的には、体積比1:20(油相対水相)〜2:1の間で変化させることができ、比率1:5〜1:1の間、とくに好ましくは、1:3〜1:1の間が好ましい。
有機溶媒対モノマーの比率は、典型的には、1:20〜4:1の間であり、好ましくは、1:5〜3:1の間、とくに好ましくは、1:1〜2.5:1の間である。
【0056】
モノマーの量に対する開始剤の濃度は、典型的には、0.01(重量)%〜10(重量)%、好ましくは、0.1〜7(重量)%、そしてとくに好ましくは、0.2〜7(重量)%である。
一般的には水である懸濁媒体の量に対する安定化剤の濃度は、0.01〜7(重量)%、典型的には、0.02〜5(重量)%、とくに好ましくは、0.05〜2.5(重量)%である。
【0057】
次いで、懸濁重合は、激しく撹拌して、2つの相を混合することによって行われる。さらに、混合物の温度は、1〜20時間の期間、典型的には20〜100℃、好ましくは40〜100℃で維持される。混合物は、典型的には、0.5〜5時間の期間に亘って、40〜100℃に加熱され、再び、70〜100℃で数時間ポスト重合される(post-polymerised)。この間中、混合物は撹拌されている。これらの温度データは、水が懸濁媒体として用いられているシステムに関する。水に代わる他の極性溶媒の使用において、溶媒の沸点に依存して、他の温度範囲が可能であり、または適切であるかもしれない。
【0058】
本発明の重合を保護ガス雰囲気下で行なうのが一般的に有利である。
最終的に、混合物を一般的に室温まで冷まし、重合の間に添加されていた場合は、有機溶媒を除去し、産物を水、水性バッファまたは、エタノールなどの有機溶媒と水との混合物の中に貯蔵する。
【0059】
必要であれば、ポリマーは、篩い分けまたは他のタイプの分類によって、所望の粒子サイズに分配することができる。
逆相懸濁重合またはエマルジョン重合が、順相懸濁重合の代わりに行なわれる場合、反応液の成分をどのように改変すればよいかについて、当業者は知っている。
【0060】
本発明の重合は、同様に、連続的に行うことができる。ここで粒子製造は、とくに好ましくは、スタティックミキサー、とくにマイクロミキサーもしくはキャタピラミキサーを用いて行なう。これらのミキサーにおいて、混合されるべき2つの成分の空間分布は、例えば、分離および組換え、ひねり(twisting)、ひずみおよび拡張によるなどの、流動管理によって、流動エネルギーの利用化に影響を受け、大きな接触面が拡散交換のために、成分間に形成され、特定の均一な粒子サイズの分配が、強い剪断力のため達成することができる。種々のミキサーおよびそれらの構造が知られている。例えば、このタイプのシステムは、EP1177243に記載されている。
【0061】
反応を行うために、水相を、例えば、マイクロミキサーを介して、規定の体積流量で連続的に流す。続いて油相を、規定の正確にセットされた体積流量となるように、第2の流入口を介して注ぐ。2つの体積流量の割合は、広範な範囲であってよく、所望の粒子サイズ、粒子サイズの性質および分配、水相および油相の粘度に依存し、これは、好適な孔構造を達成するための反応温度、反応速度および最終混合物のポロゲンの不可欠な割合に依存する。水相および油相の間の体積流量の割合は、好ましくは、1:10〜100:1、とくに2:1〜20:1である。スタティックミキサーから出る懸濁物は、好ましくは、連続操作リアクタで重合化される。
【0062】
上記手順を逆にすることも同様に可能である。例えば、とくに親水性モノマーの重合のために、後者を水相を介して供給する。マイクロミキサーを利用したビーズポリマーの合成についてのさらなる詳細は、EP1177243に挙げられている。
【0063】
さらに、とりわけ、懸濁安定化剤および界面活性化合物の性質および添加量ならびに撹拌の強さを介して、得られるポリマーの粒子サイズに如何にして影響を与えることができるかについては、当業者に知られている。一般的に、3μm〜500μmの間、好ましくは3μm〜300μmの間の粒子径は、撹拌器のタイプおよび回転速度に依存して、懸濁重合によって製造することができる。粒子は、不規則な形状を有していてもよく、好ましくは、球状であり得る。
【0064】
本発明のポリマーがエマルジョン重合によって製造される場合、例えば、20nm〜3000nmの間、好ましくは100〜500nmの間の粒子径を製造できる。
さらに本発明のポリマーは、膜、繊維、中空糸、被覆の形態で、または、一体成形品として、製造または存在することができる。一体成形品は、例えば、円筒形態などの三次元体である。
【0065】
本発明のポリマーは、複合材料として、すなわち、例えば無機粒子の、例えば被覆として、または成形品として、または例えば、無機構成要素と混合されて等しく用いることができる。これらの例としては、磁性化可能な粒子または磁性化可能な核の共重合によって磁性化することができる本発明のポリマー粒子が挙げられる。
【0066】
本発明のポリマーは、好ましくは、無孔性の形態であり、または、とくに好ましくは、多孔性粒子である。用いるポロゲン性溶媒のタイプおよび量に依存して、孔サイズは、典型的には、2〜300nmであり得る。本発明において、孔サイズは、孔半径を示す。好ましくは、孔サイズまたは孔半径が、2〜200nmの間である。とくに本発明のポリマーが一体成形品の形態の場合、1000nmまでの孔サイズを有することも可能である。
【0067】
本発明の材料における孔分布は、モノモード(monomodal)、バイモード(bimodal)またはオリゴモード(oligomodal)であり、好ましくは、モノモードまたはバイモードである。
孔サイズは、好ましくは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される。これに関する測定例は、例3および図2に提供される。
【0068】
本発明の親水性架橋ポリマーは、とくに、クロマトグラフィーの吸着剤として、生物学的および/または触媒的な活性物質の固定のための支持材料として、または、例えば、核酸またはペプチドなどの生体高分子の固相合成のため、またはコンビナトリアル化学のための支持材料として好適である
本発明の材料は、とくに塩基性媒体における、加水分解に対する良好な安定性および良好な圧力/流動安定性によって区別される。さらにこれらの高い親水性によって、バイオクロマトグラフィ法にとくに好適になる。例は、これらの特性の付加的な実験データを含む。
【0069】
本発明のポリマーは、吸着剤としてとくに好適である。この目的のため、それらは知られた方法でクロマトグラフィーカラムまたはキャピラリーに導入される。本発明のポリマーは、クロマトグラフィーまたは他の目的のためにカートリッジに等しくパックすることができる。したがって本発明はまた、本発明のポリマーを吸着剤または支持材料として含むクロマトグラフィーカラム、キャピラリーまたはカートリッジに関する。
【0070】
本発明のポリマーは、そのままの形態(native form)で、すなわち、さらなる誘導化ステップなしに、例えば、セットされた孔隙率に依存して、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)のため、または、溶液が分子量が塩の分子量と有意に異なる標的分子を含有する場合、該溶液の塩成分の低減のために用いられることができ、または、1つまたは2つ以上の誘導化ステップによって、他のまたは付加的な機能性を提供することができる。とくに、分離エフェクターを用いて誘導化することができる。これらの分離エフェクターは、イオン性または中性であってよく、1つまたは2つ以上の標的分子に対し、好ましい親和性または選択性を有し得る。
【0071】
分離エフェクターを共有結合することは、一般に、例えば、水酸基などのポリマーに存在する官能基を介して、例えば、エステルまたは好ましくはエーテル基の、直接的またはリンカーやスペーサーを介した形成によって、行なわれる。他の好ましい態様において、基材への結合は、例えば、基材にC−C結合の形成を伴なうセリウム(IV)触媒によるグラフト重合などのグラフト重合を介して行なわれる。
【0072】
分離エフェクターは、クロマトグラフィーの分野の当業者に知られている。分離エフェクターは、基材の合成の間または続いて早期に支持材料に導入可能で、支持材料の表面特性に影響を与える置換基である。とくに、分離エフェクターによる支持材料の標的とした誘導化によって、あるクロマトグラフィー特性を有する支持材料が製造される。とくに分離エフェクターは、以下の末端基を有することができる:
【0073】
a)イオン性またはイオン化可能な基、例えば、
−NRまたは−N
式中、
およびRは、互いに独立して、
H、1〜5個のC原子を有するアルキルであり、
は、1〜5個のC原子を有するアルキルであり、
ただし、X=−Nの場合、RおよびRはHとなり得ない、
−グアニジニウム(guanidinium)
−SO
−カルボン酸
【0074】
b)疎水性基、例えば、−OR10または−NHR10、ここでR10は、C〜C20−アルキル、C〜C25−アリール、C〜C25−アルキルアリールまたはC〜C25−アリールアルキルを示し、これらの基はまた、ニトリルまたはC〜C−アルコキシによって誘導化されてもよく、さらに、1つまたは2つ以上の隣接しないCH基は、NHまたはOで置換されてもよく、または、さらに、1つまたは2つ以上のCH基は、Nで置換されていてもよい、
c)金属キレート基、
d)チオフィリック(thiophilic)ラジカル、
e)キラルラジカル、
f)生体分子、例えば、タンパク質(例えば、抗体、プロテインA)、ペプチド、アミノ酸、核酸、糖類、ビオチンなど、
g)ある標的分子に対して親和性または選択性が増大された有機ラジカル(例えば、WO9710887およびWO04/052870に記載のモノ−またはビストリアジン(bistriazine)をベースとした分離エフェクター)。
【0075】
チオフィリックラジカルは、例えば、EP0165912に開示されている。
第一に、ユニバーサルリンカーを伴なうポリマーを提供することが意図される場合、例えば、エポキシ基の導入のために、ブタンジオールジグリシジルエーテルなどのグリシジル化合物と反応させることができる。
【0076】
さらに、本発明のポリマーは、基材として、順々に対応する分離エフェクターを保持するか、または後者によって官能化され得る、触手様(tentacle-like)構造がグラフト重合によって与えられる。グラフト化は、好ましくは、EP0337144にしたがって行なわれる。製造された鎖は、モノマーユニットを介して基材と結合する。この目的のため、本発明の基材は、モノマーの溶液、好ましくは、水性溶液に懸濁される。ポリマー材料のグラフト化は、酸素の排除を伴なう従来の酸化還元反応の重合(redox polymerisation)の過程でもたらされる。用いられる重合触媒は、セリウム(IV)イオンであり、これは、この触媒が、モノマーのグラフト重合が開始される基材の表面に、遊離基部位を形成するからである。重合は、セリウム塩を含む停止反応によって停止される。この理由で、(平均)鎖長は、基材、開始剤およびモノマーの濃度割合によって影響を受ける可能性がある。さらに、均一なモノマーまたは種々のモノマーの混合物でさえも、用いることができ、後者の場合、グラフト化されたコポリマーが形成される。
【0077】
グラフトポリマーの製造に好適なモノマーとして、式VまたはVIと一致するモノマーが挙げられる。
【化9】

【0078】
これらのモノマーは、(メタ)アクリル酸(Y=−COOH)、(メタ)アクリル酸誘導体、式中
【化10】

アリルアミン(Y=−CHNH、−CHNR1213)、(メタ)アクリロニトリル(Y=−CN)、アクロレイン(Y=−CHO)、ビニルカルボキシレート(Y=−OCOCHR1516)または式VIのビニレンカルボネートである。
【0079】
全てのこれらのモノマーは、水性溶液中の遊離基によって重合することができ、中性、酸性または塩基性であってよい可逆的に結合する基を含む重合可能な物質である。用いられるモノマーが、式VIのビニレンカーボネートまたは式VのビニルカルボキシレートCR**=CR11−OCOCHR1516である場合、得られた産物は、好ましくは、続いて水酸基を含む剥離材料(separating material)に転換される。水酸基の相へのこの転換は、それ自体知られている穏やかなアルカリまたは酸性鹸化によって達成される。例えば、該反応は、例えば、Y. Tezuka et al., Macromol. Chem. 186, 685-694 (1985)に記載されているように、室温でメタノール性KCO溶液を用いて行うことができる。
【0080】
式VおよびVIにおいて、R11は、好ましくはHを示し、すなわち、アクリル酸誘導体が好ましい。
式VにおけるYは、好ましくは、
【化11】

−COCHR1516または−CHNHを示し、二次的に好ましくは、
−CNまたは−CHO
を示す。
【0081】
15およびR16は、互いに独立して、Hまたは5個以下のC原子を有するアルキル基を示す。ラジカルR15およびR16の少なくとも1つは、好ましくは、Hである。次のラジカルがとくに好ましい:アセトキシ、ブチリルオキシ、バレリルオキシおよびヘキサノイルオキシラジカル。
式VにおけるZは、−OR14、−OHまたは−NR2R3を示し、好ましくは、−NR1213を示す。
好ましいものとしては、Zが−NR1213を示し、ラジカルR12およびR13の1つがHである化合物がここに挙げられる。
ラジカルR12および/またはR13は好ましくは、アルキル、フェニル、フェニルアルキルまたはアルキルフェニル基を示し、ここでアルキルおよび/またはフェニル基は、アルコキシ、シアノ、アミノ、モノ−またはジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、カルボキシル、スルホニル、アセトキシまたはアセトアミノラジカルによって、単置換または多置換されていてもよく、好ましくは、単置換または二置換されていてもよく、とくに好ましくは単置換されていてもよい。
【0082】
ラジカルR12および/またはR13は好ましくは、直鎖状または分枝状であってもよい、アルキル基に10個までのC原子、好ましくは6個までのC原子、とくに好ましくは4個までのC原子を有する、アルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキル、アミノアルキル、モノ−またはジアルキルアミノアルキル、トリアルキルアンモニウムアルキル、カルボキシアルキルまたはスルホニルアルキルを示す。したがって、R12および/またはR13は好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、イソプロピル、2−ブチル、イソブチル、2−メチルブチル、イソペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルブチル、2−メチル−3−オキサペンチル、2−メチル−3−オキサヘキシル、さらにまたヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルを示す。
【0083】
さらに好ましいものとして、シアノ、カルボキシルまたはスルホニル基で置換されたアルキル基が挙げられる。したがって、R12および/またはR13は好ましくは、シアノメチル、シアノエチル、シアノプロピル、シアノブチル、シアノペンチル、シアノヘキシル、2−シアノプロピル、2−シアノブチル、カルボキシルメチル、カルボキシルエチル、カルボキシルプロピル、カルボキシルイソプロピル、カルボキシルブチル、カルボキシルペンチル、カルボキシルヘキシル、カルボキシル−2−メチルプロピル、カルボキシル−2−メチルブチル、スルホニルメチル、スルホニルエチル、スルホニルプロピル、スルホニルブチル、スルホニルペンチル、スルホニルヘキシル、スルホニル−2−メチルプロピル、スルホニル−2−メチルブチル、スルホニル−3−メチルブチル、スルホニル−2−メチルペンチル、スルホニル−3−メチルヘキシルまたはスルホニル−2−エチルペンチルを示す。
【0084】
アルキル基は、さらに好ましくは、アミノ、モノ−またはジアルキルアミノまたはトリアルキルアンモニウム基で単置換されている。ここでアルキル基は、同一または異なっていてもよく、10個まで、好ましくは6個までのC原子、とくに好ましくは4個までのC原子を有し、したがって好ましくは、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピル、ジメチルアミノプロピル、エチルアミノエチル、プロピルアミノエチル、プロピルアミノプロピル、ジプロピルアミノエチル、ジプロピルアミノブチル、ジエチルアミノエチル、トリメチルアンモニウムエチル、トリメチルアンモニウムプロピル、トリメチルアンモニウムブチル、トリエチルアンモニウムエチル、トリエチルアンモニウムプロピル、トリエチルアンモニウムエチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチルまたはアミノペンチルを示す。全てのこれらのアルキルおよび置換されたアルキル基は、同様にフェニル基の置換基として好ましい。
【0085】
好ましいものとしてまた、R12および/またはR13として、構造−(CH−SO−(CH)−S−(CHOH(式中、n=2、3、4、5または6、好ましくは、2、3または4)のスルホンスルフィドが挙げられる。好ましくは、R12および/またはR13はまた、好ましくは、シアノ、シアノアルキル、アミノ、アミノアルキル、モノ−またはジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、モノ−またはジアルキルアミノアルキル、トリアルキルアンモニウムまたはトリアルキルアンモニウムアルキル、カルボキシル、カルボキシアルキル、スルホニルまたはスルホニルアルキルで単置換されているフェニル基の意味を有する。好ましいアルキル基および置換されたアルキル基に対応するこれらの置換基の好ましい意味は上記の通りである。フェニル基の置換基は、好ましくは、p−位にある。p−アセトキシフェニル、p−アミノフェニルまたはp−アセトアミノフェニルが、同様に、R12および/またはR13の好ましい意味である。
【0086】
好ましいものとしてさらに、R12および/またはR13として、アルキルフェニルまたはフェニルアルキル基が挙げられ、ここで、アルキル、置換アルキルまたは置換フェニル基として示される好ましい意味は同様に応用される。したがって、次の置換フェニル基が、例えば、とくに好ましいものとされる:4−シアノフェニル、4−アルキルフェニル、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、4−(N,N−ジアルキルアミノエチル)フェニル、4−エトキシフェニル、4−エトキシエチルフェニル、4−トリアルキルアンモニウムフェニル、4−カルボキシルフェニル、4−スルホニルフェニル、フェニルエチル、4−(N−エチルアミノ)フェニルプロピルまたは4−シアノフェニルエチル。
【0087】
さらに、式Vの好ましいモノマーは、R12および/またはR13が、環状基または二環の基であり、これは芳香族または脂肪族で5〜10個のC原子を有していてよく、1つまたは2つ以上のCHまたはCH基が、NまたはNH、NまたはNHおよびS、または、NまたはNHおよびOによって置換されているものである。したがって、R12および/またはR13は好ましくはまた、ピリジンラジカル、イミダゾリルラジカル、インドリルラジカル、さらに好ましくは、ピロール、ピリミジン、ピラジン、キノリンまたはイソキノリンラジカルを示す。R12および/またはR13は、例えば、チアゾール、チアジアゾール、モルホリン、トリアジン、ピペラジン、ベンゾチアゾール、プリン、ピラゾール、トリアゾール、ピロリジンまたはイソオキサゾールラジカルを示し得る。とくに好ましいものとしてここに、芳香族、ヘテロ環ラジカルが挙げられる。
【0088】
ラジカルR12およびR13は、好適な交換体を得るために、両方のラジカルが、酸性基または塩基性基を含むか、または代替的にラジカルの1つが中性であるように互いに適合しなければならない。当業者は、所望のイオン交換体の機能およびタスクに依存して、基を対応するように割り当て、したがってR12およびR13に好適なラジカルを集めることを、困難なく示される。2つのラジカルR12およびR13の1つは、好ましくは、中性ラジカルである。
【0089】
14は、好ましくは、直鎖状または分枝状であってよく、アルキルにおいて、10個までのC原子、好ましくは、6個までのC原子、とくに好ましくは、4個までのC原子を有するアルキル、アルコキシアルキル、シアノアルキル、カルボキシアルキルまたはスルホニルアルキルを示す。したがって、R14は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、2−、3−または4−オキサペンチル、イソプロピル、2−ブチル、イソブチル、2−メチルブチル、イソペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−オキサ−3−メチルブチル、3−オキサ−4−メチルブチル、2−メチル−3−オキサペンチルまたは2−メチル−3−オキサヘキシルを示す。
【0090】
さらに好ましいものとしてまた、シアノ、カルボキシルまたはスルホニル基で置換されたアルキル基が挙げられる。したがって、R14は、シアノメチル、シアノエチル、シアノプロピル、シアノブチル、シアノペンチル、シアノヘキシル、2−シアノプロピル、2−シアノブチル、カルボキシルメチル、カルボキシルエチル、カルボキシルプロピル、カルボキシルイソプロピル、カルボキシルブチル、カルボキシルペンチル、カルボキシルヘキシル、カルボキシル−2−メチルプロピル、カルボキシル−2−メチルブチル、スルホニルメチル、スルホニルエチル、スルホニルプロピル、スルホニルブチル、スルホニルペンチル、スルホニルヘキシル、スルホニル−2−メチルプロピル、スルホニル−2−メチルブチル、スルホニル−3−メチルブチル、スルホニル−2−メチルペンチル、スルホニル−3−メチルヘキシルまたはスルホニル−2−エチルペンチルを示す。全てのこれらアルキルおよび置換アルキル基は同様に、フェニル基の置換基としてが好ましい。
【0091】
14は好ましくはまた、好ましくは、シアノ、シアノアルキル、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、カルボキシル、カルボキシアルキル、スルホニルまたはスルホニルアルキルで単置換されたフェニル基の意味を有する。好ましいアルキル基および置換アルキル基に対応するこれらの置換基の好ましい意味は、上記のとおりである。フェニル基の置換基は、好ましくは、p−位にある。
【0092】
式VのモノマーにおけるRおよびR**は、好ましくは、Hを示す。
式VIにおけるRおよびR11は、好ましくは、Hを示す。
2〜100の間、好ましくは5〜60、とくに好ましくは10〜30の間のモノマーユニットを有する鎖は、典型的には、基材にグラフトされている。
【0093】
既に述べたとおり、排他的に1つのタイプの分離エフェクターがベースマトリックスに存在する吸着剤(「シングルモード(single mode)」吸着剤)、および、少なくとも2つの異なるタイプの分離エフェクターが吸着剤に存在するコポリマーまたは「ミックスモード(mixed mode)」吸着剤が存在する。「シングルモード」吸着剤は、分離エフェクターと溶質との間の相互作用の1つのタイプに基づいて、溶解物質(溶質)を分離する。ミックスモード吸着剤の使用において、溶解物質(溶質)の分離は、分離エフェクターと溶質との間の相互作用の異なるタイプに基づく。このタイプのクロマトグラフ法は、ミックスモードクロマトグラフィーとして知られている。
【0094】
最も単純な場合、例えば、イオン性分離エフェクターの導入によるミックスモードクロマトグラフィーに好適な吸着剤を提供するために、基材の疎水性が利用される。ミックスモード吸着剤はまた、2つの異なる反応基(1つは、例えば、疎水基を導入し、もう1つは基材のイオン性基)を伴う基材の反応によって、利用し得る。2つの方法の欠点は、異なるタイプの分離エフェクターの間の立体的な関係が規定されていないことにある。この欠点は、異なる分離エフェクターをリガンドで組み合わせるミックスモード吸着剤の場合では避けられる。このリガンドは、基材に結合している。
【0095】
上記のミックスモード吸着剤の両方のタイプは、L.W. McLaughlin (1989) Chem.Rev. 89, 309 - 319による総説に記載されている。単一のリガンドに異なる分離エフェクターが結合しているミックスモード吸着剤は、例えば、塩素誘導体の臭素誘導体への変換に続くベンジルジメチルアミンとの反応によって、クロロプロピル置換支持材料から製造することができる:リガンドは、C3鎖を介して基材と結合する。これは、脂溶性のベンジル基が結合するジメチル置換アンモニウム基によって続けられる。リガンドにおける疎水性およびイオン性分離エフェクターの逆配置は、アミノプロピル置換支持材料とp−ジエチルアミノ安息香酸との反応によって得ることができる:このリガンドにおいて、前の変異体中、疎水性ベンジル基が末端に配置される一方、三級アミノ基は基礎マトリックスの末端に方向づけられている。
【0096】
2つの分離エフェクターを有するこのようなリガンドのさらなる態様は、以下の文書に開示されている:WO96/09116、WO97/29825、WO00/69872およびWO01/38228。特許出願EP04028798.9には、2以上の分離エフェクターを各々有するより複雑なリガンドおよび窒素が多環構造(例えば、キニヌクリジン(quininuclidine)系)のアザ誘導体の形態であるアニオン交換基を開示している。これらの例を以下に示す:
【0097】
【化12】

【0098】
天然ポリマーまたは分離エフェクターが与えられた本発明のポリマーの可能な適用には、例えば、以下のものが含まれる。
―マトリックスからの除去の目的を伴う、1つまたは2つ以上の標的成分の選択的、部分的に選択的、または非選択的な結合または吸着、
―マトリックスからの第2成分の除去の目的を伴う、1つまたは2つ以上の第2成分の選択的、部分的に選択的、または非選択的な結合または吸着、
―単にサイズ排除クロマトグラフィーによる分子サイズに基づく、1つまたは2つ以上の成分の結合または吸着を伴わない物質混合物の分離、
【0099】
―天然ソースからのバイオポリマーの単離、濃縮および/または消耗、
―組換えソースからのバイオポリマーの単離、濃縮および/または消耗、
―不死化細胞系およびその培養上清から、または植物、とくにトランスジェニック植物からのバイオポリマーの単離、濃縮および/または消耗、
―B細胞系およびその誘導体、リンパ球およびハイブリドーマ細胞系およびそれらの培養上清からのバイオポリマーの単離、濃縮および/または消耗、
【0100】
―タンパク質およびペプチドの単離、濃縮および/または消耗、
―酵素の単離、濃縮および/または消耗、
―モノクローナルおよびポリクローナル抗体および自然発生または組換え抗体フラグメントの単離、濃縮および/または消耗、
―リン酸化ペプチド/タンパク質および核酸の単離、濃縮および/または消耗、
―食品添加物の単離、濃縮および/または消耗、
―単糖および多糖の単離、濃縮および/または消耗、
―糖化タンパク質の単離、濃縮および/または消耗、
―一本鎖または二本鎖DNAの単離、濃縮および/または消耗、
【0101】
―プラスミドDNAの単離、濃縮および/または消耗、
―RNAの単離、濃縮および/または消耗、
―ウイルスの単離、濃縮および/または消耗、
―宿主細胞タンパク質の単離、濃縮および/または消耗、
―オリゴおよびポリヌクレオチドの単離、濃縮および/または消耗、
―リポソームの単離、濃縮および/または消耗、
―血液およびミルクからの産物の単離、濃縮および/または消耗、
―低分子量活性薬理成分(APIs)の単離、濃縮および/または消耗、
―API薬物担体(例えば、API/リポソーム付加物またはAPI/ナノ粒子付加物)からのAPIの除去
―エナンチオマーの単離、濃縮および/または消耗、
【0102】
分離エフェクターのタイプに依存して、本発明のポリマーの使用は、例として、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、キラルのクロマトグラフィーまたはミックスモードクロマトグラフィーまたは液体−液体分配クロマトグラフィーに対応する。
【0103】
そのままの形態または適用に対応する分離エフェクターが与えられた本発明のポリマーは、吸着剤が用いられる既知のクロマトグラフの概念的方法(conceptional methods)に用いることができる。これらの方法は、原理において、不連続法および連続法に分割することができる。不連続法の例は、"Preparative Chromatography" (Ed. H. Schmidt-Traub, Wiley-VCH Verlag Weinheim, 2005, ISBN 3−527-30643-9, page 183-189)に記載されている。さらなる例は、とりわけ、フラッシュクロマトグラフィー、拡張床クロマトグラフィーである。さらに、そのままの形態または適用に対応する分離エフェクターを与えられた本発明のポリマーは、例えば、模擬移動床クロマトグラフィーなどの連続法において用いることができる。連続法のさらなる例は、"Preparative Chromatography" (Ed. H. Schmidt-Traub, Wiley-VCH Verlag Weinheim, 2005, ISBN 3−527-30643-9, page 190-204)に記載されている。
【0104】
連続法および不連続法の両方が、目的に依存して、均一濃度(isocratically)または勾配法を用いて行うことができる。そのまままたは分離エフェクターを与えられた本発明の吸着剤を如何に前記の方法の1つにおいて所望の目的のために用いるべきかは、当業者は知っている。
本発明のポリマーはまた、薄層クロマトグラフィーに用いることができる。
【0105】
さらなるコメントなしであっても、当業者は最も広い範囲で上記の記載を利用することができるものと思われる。したがって、好ましい態様および例は、何ら絶対的に制限されない記述的な開示として単にみなされるべきである。
ここで言及されたすべての出願、特許および刊行物の完全な開示内容、とくに03.08.2005に出願された対応出願EP05016846.7は、参照として、この出願に組み込まれる。
【0106】

1.ブタンジオールモノビニルエーテルおよびジビニルエチレンウレアからのコポリマーの製造
1050mlの脱イオン水(DI水)を二重壁リアクタに充填し、0.32gのリン酸トリブチル、4.2gの硫酸ナトリウム、0.01gのラウリル硫酸ナトリウムおよび安定化剤として2.1gのポリビニルアルコールをここに溶解した。96.25gのブタンジオールモノビニルエーテル、78.45gのジビニルエチレンウレア、175gのドデカノールおよび4.2gのα,α’−アゾビスイソブチロニトリルからなる有機相を、成分の混合および溶解の後、室温で攪拌しながら、水相に加えた。懸濁液を激しく攪拌し、続いて70℃にあたため、窒素で洗い流した。約2時間後、重合を80℃で4時間続けた。室温に冷やした後、ポリマーを吸引しながら濾別し、ポロゲンを蒸気蒸留によって除去し、そして産物を20%エタノール溶液に貯蔵した。
【0107】
乾燥重量で130gのポリマーを得た。平均粒子サイズは80μmであった。
多孔性構造の特徴:
比表面積(BET):322m/g
反応産物の膨潤体積は、4.3ml/gであった。
【0108】
2.タンパク質の保持挙動の測定(非特異的結合)
塩濃度の機能としてのタンパク質の保持挙動の測定を、非改変支持材料のタンパク質結合挙動を調査するために用いた。タンパク質は非改変支持材料に非特異的にのみ結合するので、生じ得るバックグランドの結合が殆どないように有利である。
【0109】
本発明の材料(例1に相当して製造)の結合挙動は、商業的に、FractoPrep(登録商標)(Merck KGaA、ドイツ)の名前で入手可能な、1,2,−ジヒドロキシ−3−アリラキシプロパンおよびメチレンビサクリルアミドを含む非改変コポリマーと比較して示した。図1は、タンパク質リゾチームおよびウシ血清アルブミンの、ならびにNaNO3の結合挙動を示す。略語FPは、FractoPrep(登録商標)を表わし、B/Dは、ブタンジオールモノビニルエーテルおよびジビニルエチレンウレアを含む本発明のコポリマーを表わす。
【0110】
カラムに適用したタンパク質に対する実行条件下でのカラムから溶出したタンパク質の光度的に測定された量の商(quotient)として示された、計測されたタンパク質の回復は、全ての実験条件下で90%を超えていた。
【0111】
3.本発明のポリマーにおけるサイズ排除クロマトグラフィー
デキストランの粘度係数で表わされる種々の分子量のデキストランの実験的に測定した分配係数Kdを介して、本発明のポリマーの実例となる孔構造を図2の例として示す。
【0112】
4.ベース安定性調査
例1と同じに製造された本発明の材料を、0.5M NaOH(体積割合NaOH:ポリマーゲル=4:1)中、室温で貯蔵した。一定時間の後、ポリマーの分離挙動を、マーカー化合物としての種々のプルラン(PSS、マインツ、ドイツ)の分離における保持挙動を参照して、テストした。
溶出:100mM NaCl、20mM NaHPO、pH7.2
カラム:300x10mm、流速:0.8ml/min、屈折率検出器。
図3に結果を示す。希釈水酸化ナトリウム溶液における貯蔵は、分配係数に絶対的に影響がないことが明確に証拠付けられた。
【0113】
5.タンパク質混合物の分離
平均粒子径107μmを有する球状多孔性粒子の形態で、65重量%のブタンジオールモノビニルエーテルおよび35重量%のジビニルエチレンウレアの、この例のコポリマーからなる本発明のポリマーは、WO03/031062の製造例A2(10頁)に記載の方法に準じて、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸のCe(IV)で開始するグラフト重合によって、カチオン性分離エフェクターが与えられた。このポリマーにおける官能性SO基の密度は、乾燥物1gに対して、1195μmolとして得られた。製造したイオン交換材料(BATCH: BDM SO3 DZ38)をSuperformance(登録商標)ガラスカラム、Goetec Labortechnik(吸着剤床の深さ40mm、直径10mm)に導入し、20mM NaHPO、pH6.0からなるバッファーで平衡化した。20mM NaHPO中、5mg/mlのキモトリプシノーゲンA、5mg/mlのリゾチームおよび5mg/mlのシトクロムCである溶液500μlをカラムに適用した。適用の後、溶出は、20mM NaHPO、1M NaCl、pH6.0の溶液の100%まで、12カラム容積の間の線形勾配によって行なった。本発明のポリマーの溶出挙動は、混合物の個々のタンパク質の分離をもたらした。図4に、関連するクロマトグラムを示す。
【0114】
6.圧力/流動挙動
65重量%のブタンジオールモノビニルエーテルおよび35重量%のジビニルエチレンウレアからなる、そのままの形態での本発明のポリマー(BATCH: BDM PS02/E)を、直径50mmを有するSuperformance(登録商標)ガラスカラムGoetec Labortechnikに導入した。吸着剤床の深さは20cmである。球状の多孔性ポリマーの平均粒子径は107μmである。このカラムに亘る圧力降下(pressure drop)は、100mM NaCl、20mM NaHPO、pH6.0の溶液の流速の機能として測定した。極めて高い流速1400cm/hであってさえ、圧力降下は3barよりも少ない。図5に、圧力/流量測定の関連するグラフ表示を示した。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】タンパク質の適用における本発明のポリマーの保持挙動を示す。さらなる詳細は、例2に示す。
【図2】種々の分子量を有するデキストランの実験的に測定した分配係数Kdを示す。さらなる詳細は、例3に示す。
【図3】希釈水酸化ナトリウム溶液における本発明のポリマーの貯蔵安定性を示す。さらなる詳細は、例4に示す。
【図4】カチオン性分離エフェクターを提供した本発明のポリマーにおけるタンパク質混合物の分離を示す。さらなる詳細は、例5に示す。
【図5】クロマトグラフィーカラムにおける本発明のポリマーの圧力/流動挙動を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの親水性に置換された式Iで表わされるアルキルビニルエーテル:
【化1】

式中、R1、R2、R3は、互いに独立して、HまたはC1〜C6のアルキルであり、
R4は、少なくとも1つの水酸基を保持する基である、
ならびに、
b)式IIおよび/または式IIIおよび/または式IVに一致する少なくとも1つの架橋剤:
【化2】

式中、Xは、2〜5個のC原子を有する二価のアルキル基であり、ここで隣接しないでNに直接近傍する位置にない1つまたは2つ以上のメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH−(C1〜C8)−アルキル、N−(C1〜C8)−アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHによって置換されていてもよい、および
【化3】

式中、式IIIおよびIVにおけるY1およびY2は、互いに独立して、
C1〜C10のアルキルまたはシクロアルキルであり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基またはNに直接近傍する位置にないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
または、
C6〜C18のアリールであり、ここで、該アリールシステムにおける1つまたは2つ以上のH原子は、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
および、
Aは、2〜5個のC原子を有する二価のアルキル基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基またはNに直接近傍する位置にないメチレン基
は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のHは、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
を少なくとも含むコポリマーをベースとするポリマー。
【請求項2】
式IのR4が、
直鎖状または分枝状のC1〜C10のアルキル基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOH、Nで置換されていてもよく、および/または、ここで、1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、および、ここで、少なくとも1つのOH基は、C1〜C10のアルキル基または置換基に存在する、
または、
典型的には5〜10個の原子を有する脂環式の基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOH、Nで置換されていてもよく、および/または、ここで、脂環式の基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、脂環式の環または側鎖または置換基に存在する、
または、
C6〜C18のアリール基であり、ここで、該アリール基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、アリール基または側鎖または置換基に存在する、
または、
C5〜C18のヘテロアリール基であり、ここで、該ヘテロアリール基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、ヘテロアリール基または側鎖または置換基に存在する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
用いた親水性に置換されたアルキルビニルエーテルが、R4が水酸基を保持する基である式Iの化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
用いた親水性に置換されたアルキルビニルエーテルが、1,2−エタンジオールモノビニルエーテル、1,3−プロパンジオールモノビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールモノビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルまたはシクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー。
【請求項5】
用いた架橋剤が、ジビニルエチレンウレア(1,3−ジビニルイミダゾリン−2−オン)またはジビニルプロピレンウレア(1,3−ジビニルテトラヒドロピリミジン−2−オン)であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のポリマー。
【請求項6】
ポリマーが、2〜200nmの孔サイズを有する多孔性であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のポリマー。
【請求項7】
ポリマーが、3〜300μmの径を有する粒子の形態であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のポリマー。
【請求項8】
ポリマーが、分離エフェクターによって誘導体化されたことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のポリマー。
【請求項9】
ポリマーが、グラフト重合によってポリマーに付いた構造によって誘導体化されたことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のポリマー。
【請求項10】
ポリマーが、セリウム(IV)触媒反応でのグラフト重合によってポリマーに付いた構造によって誘導体化されたことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のポリマー。
【請求項11】
構造が、2つまたは3つ以上の異なるモノマーから製造されたコポリマーであることを特徴とする、請求項9または10に記載のポリマー。
【請求項12】
少なくとも1つの式Iの親水性に置換されたアルキルビニルエーテルおよび式IIおよび/または式IIIおよび/または式IVに一致する少なくとも1つの架橋剤:
【化4】

式中、R1、R2、R3は、互いに独立して、HまたはC1〜C6のアルキル、好ましくは、Hまたは−CHであり、
R4は、少なくとも1つの水酸基を保持する基である、
ならびに、
【化5】

式中、Xは、2〜5個のC原子を有する二価のアルキル基であり、ここで隣接しないでNに直接近傍する位置にない1つまたは2つ以上のメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH−(C1〜C8)−アルキル、N−(C1〜C8)−アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHによって置換されていてもよい、および
【化6】

【化7】

式中、式IIIおよびIVにおけるY1およびY2は、互いに独立して、
C1〜C10のアルキルまたはシクロアルキルであり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基またはNに直接近傍する位置にないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のHは、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
または、
C6〜C18のアリールであり、ここで、該アリールシステムにおける1つまたは2つ以上のHは、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
および、
Aは、2〜5個のC原子を有する二価のアルキル基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基またはNに直接近傍する位置にないメチレン基
は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOHまたはNで置換されていてもよく、メチレン基の1つまたは2つ以上のHは、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、ハロゲン、NH、C5〜C10−アリール、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよい、
を共重合することを特徴とする、ポリマーの製造方法。
【請求項13】
式Iの親水性に置換されたアルキルビニルエーテル、
式中、R4が、
直鎖状または分枝状のC1〜C10のアルキル基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOH、Nで置換されていてもよく、および/または、ここで、1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、および、ここで、少なくとも1つのOH基は、C1〜C10のアルキル基または置換基に存在する、
または、
典型的には5〜10個の原子を有する脂環式の基であり、ここで、1つまたは2つ以上の隣接しないメチレン基は、O、C=O、S、S=O、SO、NH、NOH、Nで置換されていてもよく、および/または、ここで、脂環式の基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、脂環式の環または側鎖または置換基に存在する、
または、
C6〜C18のアリール基であり、ここで、該アリール基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基, C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、アリール基または側鎖または置換基に存在する、
または、
C5〜C18のヘテロアリール基であり、ここで、該ヘテロアリール基の1つまたは2つ以上のH原子は、互いに独立して、水酸基、C1〜C6−アルキル、C5〜C10−アリール、ハロゲン、NH、NH(C1〜C8)アルキル、N(C1〜C8)アルキル、C1〜C6−アルコキシまたはC1〜C6−アルキル−OHで置換されていてもよく、ここで少なくとも1つのOH基は、ヘテロアリール基または側鎖または置換基に存在する、
を使用してなることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
フリーラジカル懸濁重合を行うことを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
フリーラジカル懸濁重合が、少なくとも1つの懸濁安定剤および選択的にさらなる添加剤、好ましくは無機塩および界面活性化合物の存在下で、懸濁媒体としての水で行うことを特徴とする、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
重合の間の温度が、40〜100℃であることを特徴とする、請求項12〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
親水性に置換されたアルキルビニルエーテルおよび架橋剤が、重量比10:90〜80:20で用いられることを特徴とする、請求項12〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
重合が、1つまたは2つ以上のポロゲンを添加して行うことを特徴とする、請求項12〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜11のいずれかに記載のポリマーを吸着剤または支持材料として含む、クロマトグラフィーカラム、キャピラリーまたはカートリッジ。
【請求項20】
クロマトグラフィーの吸着剤としての、生物学的または触媒的な活性物質の固定のための支持材料としての、または、固相合成のための支持材料としての、請求項1〜11のいずれかに記載のポリマーの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−503203(P2009−503203A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524371(P2008−524371)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005484
【国際公開番号】WO2007/014591
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】