説明

角型連通管とその敷設方法

【課題】本発明は、角型連通管に関し、従来の半割り連通管においては、スターラップの間隔を広げる作業をしたり、墨出し作業をしたりしなければならず手間が掛かかることが課題であって、それを解決することである。
【解決手段】地下ピット間を連通させる連通管の一様な短手方向の断面1cの形状を、スターラップの間隔内に収まる横幅で下部1aが開口した矩形状にすると共に、前記下部1aをコンクリート表面に当接させて当該連通管1を位置固定するためのシール部材2を当該連通管1の横幅内に収まるように貼着するシール用打設シロ1bが前記連通管の下部1aに形成されている角型連通管1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の地下ピットにおける連通部を形成する角型連通管とその敷設方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地下ピットの連通管11には、図5に示すように、半割り塩ビパイプの直径φ150mmを使用することが多い。特許文献1の連通管は、底部を有してこの底部は連通管の端部から外部に延設され底面フランジを形成する。更に、連通管の端部周縁の全周縁に亘って底面フランジと直交する周縁フランジを形成するようにして、防水層を簡単確実に施工できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−287159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の半割りの連通管11においては、図6に示すように、耐圧版コンクリート打設前に、連通管11の位置出しのため墨出しを行うので手間が掛かる、また、スターラップ12が100mmピッチなので、直径φ150mmの連通管11を配置するために前記スターラップ12の間隔を広げる必要がある。この連通管11の位置固定のために鉄筋工によって補強筋13が配筋されるが、この補強筋13の押さえでは、コンクリート打設時に半割りの連通管11の下端からノロがまわり、連通管11を塞いでしまうことがある、と言う課題がある。本発明に係る角型連通管とその敷設方法は、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る角型連通管の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、地下ピット間を連通させる連通管の一様な短手方向の断面形状を、スターラップの間隔内に収まる横幅で下部が開口した矩形状にすると共に、前記下部をコンクリート表面に当接させて当該連通管を位置固定するためのシール部材を当該連通管の横幅内に収まるように貼着するシール用打設シロが前記連通管の下部に形成されていることである。
また、本発明に係る角型連通管の敷設方法の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、地下ピット間を連通させる連通管の一様な短手方向の断面形状を、スターラップの間隔内に収まる横幅で下部が開口した矩形状にすると共に、前記下部をコンクリート表面に当接させて当該連通管を位置固定するためのシール部材を当該連通管の横幅内に収まるように貼着するシール用打設シロが前記連通管の下部に形成されている角型連通管を形成して、前記角型連通管を敷設する耐圧版コンクリートへの位置出し用の墨出しを省略し、前記耐圧版コンクリートにおけるスターラップ間に前記角型連通管を設置した後に前記シール用打設シロにシール部材を貼着して前記角型連通管を固定することである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の角型連通管とその敷設方法によれば、スターラップ間に配設できるようになったので、連通管位置出しが不要となって墨出し等の手間が省ける。また、スターラップ間隔を広げたり補強筋の配筋を行ったりすることがいずれも本発明の連通管においては不要となり、鉄筋工の手間が省けてコスト低減および工期短縮となる。連通管のコンクリート表面上への固定を後付けするシールによって行うので、コンクリート打設時の浮き上がりがなくノロ漏れが防止されて、連通管が塞がれるような不都合が解消される、等数々の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る角型連通管1の使用状態の断面図である。
【図2】同本発明の角型連通管1の斜視図である。
【図3】同角型連通管1の短手方向の断面図である。
【図4】同角型連通管の使用状態を示す概略正面図である。
【図5】従来の半割り連通管(塩化ビニール製パイプ)の短手方向の断面図である。
【図6】同従来の連通管の使用状態を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る角型連通管1は、図1に示すように、補強筋を不要として、更に墨出しせずにスターラップ間に収まる角型にするものである。
【実施例1】
【0009】
前記角型連通管1は、図1乃至図3に示すように、合成樹脂製(例えば塩化ビニール製)であって、地下ピット間を連通させる連通管1の一様な短手方向の断面1cの形状を、スターラップの間隔(約100mm)内に収まる横幅a(90mm)で下部1aが開口部1dによって開口した矩形状にする。
【0010】
この断面1cの面積(高さbが約125mm程度で断面積が約90cm)は、従来の半割りの連通管11の断面積(88.4cm)とほぼ同じくらいにしている。なお、全体の長さは、約2〜3m程度である。角型連通管1の長手方向の両端部は開口部1eで開口している。
【0011】
前記連通管1の下部1aには、耐圧版コンクリート3(図4参照)のコンクリート表面3aに当接させて当該連通管1を位置固定するためのシール部材2を当該連通管1の横幅内に収まるように貼着するシール用打設シロ1bが形成されている。このシール用打設シロ1bは、連通管1の横幅aよりも大きく出っ張ると、連通管1の両脇のスターラップ4に接近して邪魔になるので、内側に屈曲させている。
【0012】
前記シール部材2は、大きさが15mm×15mm程度のものでウレタンなどの、水分を含んで膨張する膨張性の合成樹脂製接着部材である。
【0013】
このような角型連通管1を使用するには、図4に示すように、地下ピットを連通させようとする場所において、前記角型連通管1の長手方向の両開口部1e,1eを厚紙などの蓋部材5で全面的に塞ぐ。打設されたコンクリートの侵入を防ぐためである。下向きの開口部1dは開けたままで塞ぐ必要はない。
【0014】
次に、前記角型連通管1を配筋した基礎梁のスターラップ4、4の間に設置する。シール部材2を用意して、角型連通管1の打設シロ1bおよびコンクリート表面3aに貼着させる。これにより、角型連通管を押圧設置するための補強筋の配筋は不要となっている。前記シール部材2で、ノロの角型連通管1内部への侵入を防ぐ。そして、基礎梁用の型枠をセットする。角型連通管1の長手方向の開口部1e,1eが、型枠用堰板の内側面に当接して、現場打ちコンクリートの侵入を防ぐ。
【0015】
前記型枠の中にコンクリートを打設する。所要強度の発現後に、型枠を撤去する。前記角型連通管1の長手方向の両開口部1e,1eの蓋部材5を剥がして撤去する。これで、隣接する地下ピットが角型連通管1によって連通する。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明に係る角型連通管1は、多様な場所の連通管として適用することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 角型連通管、 1a 下部、
1b 打設シロ、 1c 断面、
1d 開口部、 1e 開口部、
2 シール部材、
3 耐圧版コンクリート、 3a 表面、
4 スターラップ、
5 蓋部材、
11 従来の連通管、
12 スターラップ、
13 補強筋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下ピット間を連通させる連通管の一様な短手方向の断面形状を、スターラップの間隔内に収まる横幅で下部が開口した矩形状にすると共に、
前記下部をコンクリート表面に当接させて当該連通管を位置固定するためのシール部材を当該連通管の横幅内に収まるように貼着するシール用打設シロが前記連通管の下部に形成されていること、
を特徴とする角型連通管。
【請求項2】
地下ピット間を連通させる連通管の一様な短手方向の断面形状を、スターラップの間隔内に収まる横幅で下部が開口した矩形状にすると共に、
前記下部をコンクリート表面に当接させて当該連通管を位置固定するためのシール部材を当該連通管の横幅内に収まるように貼着するシール用打設シロが前記連通管の下部に形成されている角型連通管を形成して、
前記角型連通管を敷設する耐圧版コンクリートへの位置出し用の墨出しを省略し、
前記耐圧版コンクリートにおけるスターラップ間に前記角型連通管を設置した後に前記シール用打設シロにシール部材を貼着して前記角型連通管を固定すること、
を特徴とする角型連通管の敷設方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate