角度分解型のフーリエドメイン光干渉断層撮影法を遂行する方法及びシステム
【課題】光干渉断層撮影法の撮像環境において、高度なスペックルの低減と付加的な形態の画像コントラストを実現する。
【解決手段】少なくとも1つの第1電磁波を受信することが可能であり、立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送することが可能である。第2電磁波は、第1電磁波と関連付けすることが可能である。複数の第3電磁波を第2電磁波と関連付けられたサンプルから受信することが可能であり、第3電磁波の少なくとも1つの部分は、立体角の外縁の外において提供されている。第3電磁波の各々と関連付けられた信号を同時に検出することが可能であり、これらの信号は、サンプル内の複数の深さにおけるサンプルの情報と関連付けられている。第3電磁波の中の少なくとも1つのものを使用することにより、第3電磁波の別のものを利用する必要性を伴うことなしに、サンプル内の複数の深さを判定することが可能である。
【解決手段】少なくとも1つの第1電磁波を受信することが可能であり、立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送することが可能である。第2電磁波は、第1電磁波と関連付けすることが可能である。複数の第3電磁波を第2電磁波と関連付けられたサンプルから受信することが可能であり、第3電磁波の少なくとも1つの部分は、立体角の外縁の外において提供されている。第3電磁波の各々と関連付けられた信号を同時に検出することが可能であり、これらの信号は、サンプル内の複数の深さにおけるサンプルの情報と関連付けられている。第3電磁波の中の少なくとも1つのものを使用することにより、第3電磁波の別のものを利用する必要性を伴うことなしに、サンプル内の複数の深さを判定することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度分解型のフーリエドメイン光干渉断層撮影法を遂行する方法及びシステムに関するものであり、更に詳しくいえば、フーリエドメイン光干渉断層撮影法の手法を使用して遂行される透明サンプル及び混濁サンプルからの空間分解型の角度別後方散乱分布の計測に関するものである。
【0002】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2006年2月24日付けで出願された米国特許出願第60/776,544号に基づくものである。さらに、本出願は、この米国特許出願の優先権の利益を主張するものであり、この米国特許出願の開示内容は、本願明細書で言及することによって、その全ての内容が本願明細書に包含されている。
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって付与された契約第R01 CA103769号の下に、米国政府の支援によって実現したものである。従って、米国政府は、本発明における特定の権利を有している。
【背景技術】
【0003】
光干渉断層撮影法(Optical Coherence Tomography:OCT)によれば、数ミクロン(μm)〜数十ミクロンのレベルの分解能における生物学的サンプルの断面画像を取得することが可能であり、従って、組織の微細構造を詳細に撮像することが可能である。フーリエドメインOCT(Fourier-Domain OCT:FD−OCT)は、高速撮像を実現させるような、時間ドメインOCTよりも大幅に改善された感度を提供することが可能であることが実証されている。より具体的には、FD−OCTは、例えば、2004年9月8日付けで出願された国際特許出願第PCT/US2004/029148号、2005年11月2日付けで出願された米国特許出願第11/266,779号、及び2004年7月9日付けで出願された米国特許出願第10/501,276号の中の少なくとも1つのものに記述されているように、スペクトルドメインOCT(Spectral-Domain OCT:SD−OCT)及び光学周波数ドメイン撮像(Optical Frequency Domain Imaging:OFDI)という2つの構成において実施されている。FD−OCTは、心血管、胃腸、及び網膜の撮像を含む多数の臨床環境における形態学的な変化を識別するツールとして大きな可能性を有していることが明らかになっている。
【0004】
従来のOCTシステム及び方法における1つの制限は、180度に中心を有する1つの角度レンジからの後方散乱光しか収集されないという点にある。このような制限は、光学コヒーレンス顕微鏡法(Optical Coherence Microscopy:OCM)システムにも当てはまる。この場合には、アレイ検出を使用することにより、ビームを走査することなく正面の二次元画像を生成することが可能である。イー.ビューリペア(E. Beaurepaire)らによる「全視野光学コヒーレンス顕微鏡法(Full-Field Optical Coherence Microscopy」(光学レター(Optics Letters),23(4):244〜246頁,1998年)に記述されている上記のようなOCMシステムの一例が図1に示されている。スペックル(Speckle)を低減させることが可能である角度合成(Angular Compounding)の手法を使用することにより、異なる角度から後方散乱した光の取得を実施することが可能である。スペックルは、一般的に、画像の散乱領域内においてチェッカーパターンとして現れるものであり、この結果として、組織の反射率におけるわずかな違いを識別することが更に困難になる。
【0005】
角度合成を実現させるOCT環境において異なる入射角度にて後方散乱光を取得する方法及びシステムは、経路長エンコーディングを利用している。エヌ.イフティミア(N. Iftimia)らによる「経路長エンコーディングを使用した角度合成による光学コヒーレンス顕微鏡法におけるスペックル低減(Speckle Reduction in Optical Coherence Tomography by 'Path Length Encoded' Angular Compounding」(生物医学光学ジャーナル(Journal of Biomedical Optics),8(2):260〜263頁,2003年)に記述されているこのようなシステムの例が図2に示されている。例えば、光学ガラスを撮像ビームの経路内に配置することにより、入射フィールドを複数のビームレットに分割することが可能である。この光学ガラスにより、入射ビームの一部(ビームレット2)が、ビームレット1よりも大きな経路長の遅延を生ずることになる。更には、ビームレット2は、ビームレット1とは異なる角度においてサンプルを照射している。この結果として、サンプルの(それぞれが異なる角度において取得された)複数のOCT画像がOCTディスプレイ上に同時に出現することになる。上記の方法及びシステムは、高速撮像には適しているが、一般に、多数の角度に対する適切なスケーリングが行われず、且つ、空間分解能と取得角度数との間のトレードオフが必要となる可能性がある。
【0006】
別の方法及びシステムは、直角プリズムを並進運動させることにより、サンプルアームからの光を合焦レンズ(Focusing Lens)上の異なる位置に導いている。エム.バシカンスキ(M. Bashkansky)らによる「光学コヒーレンス顕微鏡法におけるスペックルの統計学及びスペックル低減(Statistics and Reduction of Speckle in Optical Coherence Tomography)」(光学レター(Optics Letters),25(8):545〜547頁,2000年)に記述されている上記のようなシステムの例が図3に示されている。上記の方法及びシステムにおいては、一般に、180度に中心を有する狭い角度レンジにおける後方散乱光を収集しているが、サンプルの法線に対する入射ビームの入射角度がプリズムの位置と共に変化している。このような方法及びシステムは、角度別後方散乱分布の計測を提供しない(又は、場合によっては、許容しない)可能性が高い。画像の取得可能速度が、振動方式においてプリズムの並進運動が可能である速度によって制限されることになるであろう。更に別の方法及びシステムにおいては、4つの検出器によるOCT信号の検出を同時に遂行することが可能であり、これにより、スペックル低減のための角度合成が実現されている。ジェイ.エム.シュミット(J. M. Schmitt)による「光学コヒーレンス顕微鏡法におけるスペックル低減のためのアレイ検出(Array Detection for Speckle Reduction in Optical Coherence Microscopy)」(医学及び生物学の中の物理(Physics in Medicine and Biology),42(7):1427〜1439頁,1997年)に記述されている上記のようなシステムの一例が図4に示されている。具体的には、このシステム内の基準ビームは、一般に、入射ビームよりも大きくない。従って、上記のシステムは、角度別後方散乱分布の計測には、有用ではないであろう。更には、各々の検出器要素は、異なる角度において後方散乱光を受光しているが、所定の検出器要素にて収集される光によって範囲が定まる立体角が、入射ビームによって範囲が定まる立体角の中に完全に含まれている。上記のシステムにおける検出は、時間ドメインにおいて遂行されている。
【0007】
光散乱分光法の分野においては、後方散乱光の角度別分布は、一般に、組織内における散乱粒子のサイズ分布に関する情報を含んでいることが知られている。OCTの光学分解能が制限されている場合には、反射率特性のわずかな差を有する組織間において安定したコントラストを導出する機能は、(特定の状況においては)後方散乱光の角度別分布の計測を利用することが可能である。エー.ワックス(A. Wax)らによる「光散乱分光学の低コヒーレンス干渉法を使用した角度分布の計測(Measurement of Angular Distributions by Use of Low-Coherence Interferometry for Light-Scattering Spectroscopy)」(光学レター(Optics Letters),26(6):322〜324頁,2001年)に記述されている図5(a)及び図5(b)の構成、並びに、ジェイ.ダブリュー.ピティラ(J. W. Pyhtila)らによる「改善された角度分解型の低コヒーレンス干渉法システムを使用して核形態学を決定すること(Determining Nuclear Morphology Using an Improved Angle-Resolved Low Coherence Interferometry System)」(光学エクスプレス(Optics Express),15(25):3474〜3484頁,2003年)に記述されている図6(a)及び図6(b)の構成に示されているように、高い角度分解能を有する光散乱計測のために、低コヒーレンス干渉法を使用した深さ分解型の角度別後方散乱計測(Depth-Resolved Angular Backscattering Measurements)が設計されている。
【0008】
例えば、低コヒーレンス源からの光を改良型マイケルソン(Michelson)干渉計の2つのアームに分割し、1つのビームをサンプル(又は、サンプルアーム)に入射させ、もう1つのビームをミラー(又は、基準アーム)に入射させる。前者のサンプルアーム内の様々な後方散乱角度の選択性を提供するために、基準アーム内に配置されたレンズをミラー面に対して平行に並進運動させることが可能である。干渉光の計測は、一般に、(図5(a)及び図5(b)に示されている構成を使用して)時間ドメインにおいて、又は(図6(a)及び図6(b)に示されている構成を使用して)周波数ドメインにおいて遂行される。これらの手法によれば、一般に、角度別後方散乱分布の同時計測が不可能であり、計測速度も、レンズを正確に並進運動させることが可能である速度によって制限されることになるであろう。角度、ポイントサンプリング、及び原位置計測について最適化されてはいるが、上記のような現在実施されている角度分解型のLCIは、恐らく、生体内における臨床撮像に好適ではないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、前述の欠点を克服する必要性が存在している。実際に、光干渉断層撮影法の撮像環境において複数の角度から後方散乱した光を同時に計測することにより、高度なスペックルの低減と付加的な形態の画像コントラストを実現させることが可能である。
【0010】
従って、前述の欠点を克服する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の問題及び/又は欠点に対処するために、且つ/又は、前述の問題及び/又は欠点を克服するために、フーリエドメイン光干渉断層撮影法の原理を使用して透明サンプル及び混濁サンプルからの空間分解型の角度別後方散乱分布を計測するような本発明に係るシステム、装置、及び方法の代表的な実施例が提供されている。更には、本発明の更なる代表的な実施例によれば、スペックルの低減を遂行すると共に、画像のコントラストを生成するために、後方散乱分布を利用したシステム及び方法も提供されている。
【0012】
従って、本発明の代表的な一実施例によれば、装置及び方法が提供されている。具体的には、少なくとも1つの第1電磁波を受信することが可能であり、立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送することが可能である。第2電磁波は、第1電磁波と関連付けすることが可能である。複数の第3電磁波を第2電磁波と関連付けられたサンプルから受信することが可能であり、第3電磁波の少なくとも1つの部分は、立体角の外縁の外において提供されている。第3電磁波の各々と関連付けられた信号を同時に検出することが可能であり、これらの信号は、サンプル内の複数の深さ(Depth)におけるサンプルの情報と関連付けられている。第3電磁波の中の少なくとも1つのものを使用することにより、第3電磁波の別のものを利用する必要性を伴うことなしに、サンプル内の複数の深さを判定することが可能である。
【0013】
更には、第3電磁波の中の2つのものと、第1電磁波と関連付けられた少なくとも1つの第4電磁波との間において干渉を検出することが可能であり、サンプルと関連付けられた情報を、干渉に基づいてサンプル内の深さの関数として取得することが可能である。サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを信号の関数として提供することが可能である。サンプルの少なくとも1つの部分の少なくとも1つの画像を信号の関数として生成することが可能である。サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを信号の関数として提供することも可能である。データは、画像と関連付けられたコントラストデータであってよい。又、サンプルの少なくとも1つの部分の散乱特性と関連付けられたデータを信号の組み合わせの関数として提供することも可能である。更には、第3電磁波の中の単一のものを使用して信号の深さを判定することが可能である。
【0014】
本発明の別の代表的な実施例によれば、少なくとも1つのサンプルと関連付けられたデータの生成を円滑に遂行する装置及び方法を提供することが可能である。例えば、少なくとも1つのサンプルから提供された複数の電磁波の信号と関連付けられた第1情報を受信することが可能である。電磁波の中の少なくとも第1のものを第1軸に沿って提供することが可能であり、電磁波の中の少なくとも第2のものを、第1軸とは異なる第2軸に沿って提供することが可能である。第1情報の少なくとも1つの部分内の信号の各々のデータは、サンプル内の複数の深さのデータを包含することが可能である。少なくとも1つのサンプルの画像の少なくとも1つの部分のコントラストデータと関連付けられた第2情報を、第1情報の関数として生成することが可能である。
【0015】
本発明の更に別の代表的な実施例においては、更なる装置及び方法を提供することが可能である。例えば、少なくとも1つの第1電磁波を受信することが可能であり、立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送することが可能である。第2電磁波を第1電磁波と関連付けすることが可能である。複数の第3電磁波の中の少なくとも2つのものを第2電磁波と関連付けられたサンプルから同時に受信することが可能であり、第3電磁波の中の少なくとも1つの部分を立体角の外縁の外において提供することが可能である。第3電磁波の中の少なくとも2つのものと、第1電磁波と関連付けられた少なくとも1つの第4電磁波との間の干渉を検出することが可能である。サンプルと関連付けられた情報を、干渉に基づいてサンプル内の少なくとも1つの深さの関数として取得することが可能である。
上記のような本発明の目的及びその他の目的、特徴、及び利点については、添付の特許請求の請求項との関連において、本発明の実施例に関する以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の更なる目的、特徴、及び利点については、本発明の例示用の実施例を示す添付図面との関連において提示されている以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光学コヒーレンス顕微鏡法(OCM)を遂行するための従来の装置のブロック図である。
【図2】光干渉断層撮影法(OCT)のスペックルを低減させる経路長エンコーディング型の角度合成を遂行するための従来の装置のブロック図である。
【図3】スペックルの低減を遂行するための従来のOCT装置のブロック図である。
【図4】スペックル低減のためのアレイ検出を遂行する従来のOCT装置のブロック図である。
【図5(a)】角度分解型の低コヒーレンス干渉法を遂行するための従来の装置のブロック図である。
【図5(b)】角度分解型の低コヒーレンス干渉法を遂行するための従来の装置のブロック図である。
【図6(a)】角度分解型の低コヒーレンス干渉法を遂行するための更なる従来の装置のブロック図である。
【図6(b)】角度分解型の低コヒーレンス干渉法を遂行するための更なる従来の装置のブロック図である。
【図7】単一次元の検出器アレイを利用した本発明に係る角度分解型のFD−OCTシステムの代表的な実施例の概略図であって、干渉計の面に対して垂直に方向付けされた矩形の灰色の破線領域を有する概略図である。
【図8】図7に示されたシステムにおいて利用されている波長掃引型レーザー源の代表的な実施例の概略図である。
【図9】波長及び角度の同時検出のために二次元検出器アレイを利用している本発明に係る角度分解型のFD−OCTシステムの別の代表的な実施例における干渉検出の概略的な動作図である。
【図10】内視鏡プローブに対応可能である本発明に係る角度分解型のFD−OCTシステムの更なる代表的な実施例に提供されている撮像オプティクスの概略的な動作図である。
【図11(a)】1つの典型的な角度別サンプルにわたる平均のための本発明に係る角度分解型のFD−OCTシステムの代表的な実施例によって得られる組織ファントムの二次元画像である。
【図11(b)】400個の角度別サンプルにわたる平均のための本発明に係る角度分解型のFD−OCTシステムの代表的な実施例によって得られる組織ファントムの別の二次元画像である。
【図12(a)】本発明の代表的な実施例に係る組織ファントム内の1つの分解要素から得られる角度別分布のグラフである。
【図12(b)】本発明の代表的な実施例に係る対応する正規化された相互相関関数を使用した1つの分解要素から得られる角度別分布のグラフである。
【図13A】1つの角度別サンプルの合成から得られる典型的な食道組織の画像であって、上皮内の薄い散乱レイヤを指し示す矢印を有する画像である。
【図13B】3つの角度別サンプルの合成から得られる典型的な食道組織の画像であって、上皮内の薄い散乱レイヤを指し示す矢印を有する画像である。
【図13C】30個の角度別サンプルの合成から得られる典型的な食道組織の画像であって、上皮内の薄い散乱レイヤを指し示す矢印を有する画像である。
【図13D】400個の角度別サンプルの合成から得られる典型的な食道組織の画像であって、上皮内の薄い散乱レイヤを指し示す矢印を有する画像である。
【0018】
これらの図面の全体を通して、同一の参照符号及び文字は、特記されていない限り、図示の実施例の類似した特徴、要素、構成要素、又は部分を表すべく使用されている。更には、以下においては、添付図面を参照し、本発明について詳細に説明しているが、この説明は、例示用の実施例との関連において提示されている。添付の特許請求の範囲の請求項に規定されている本発明の真の範囲及び精神を逸脱することなしに、説明対象の実施例に対する変更及び変形を実施することが可能であると解釈されたい。
【0019】
(角度分解型のFD−OCTの典型的な原理)
以下、フーリエドメインOCTの環境において、角度分解型のFD−OCTについて説明する。例えば、FD−OCTにおいては、混濁媒体、半混濁媒体、又は透明媒体の深さ分解型の反射率を取得するために、基準光と撮像サンプルから後方散乱された光との間の干渉を周波数ドメインにおいて計測することが可能である。入力光源の(例えば、光やレーザービーム等の)電磁波を基準ビームとサンプルビームに分割することが可能である。サンプルビーム光を撮像対象のサンプルに導くことが可能であり、サンプルからの後方散乱光を基準ビーム光と干渉させることができる。角度分解型のFD−OCTの場合には、入射サンプルビームによって範囲が定まるものを上回る後方散乱の角度範囲との干渉を実現させるべく、サンプルビームの断面エリアよりも断面エリアを大きくすることができるように、基準ビームを空間的に拡張することが可能である。基準ビームと後方散乱光との間の干渉は、例えば、検出器アレイを使用して計測することが可能である。この検出器アレイは、(i)単一集積回路要素上に集積化された検出器、及び/又は(ii)空間内に一緒に提供された個別の検出器から構成されることが可能である。入射ビームに対する検出後方散乱光の角度依存性は、空間ドメインにおいて、検出器アレイの少なくとも1つの次元に沿った光強度の分布としてエンコーディング可能である。干渉光の波長依存性を計測することが可能であり、異なる後方散乱角度のレンジに対応するフーリエ分析軸方向反射率プロファイルを取得することが可能である。
【0020】
例えば、レーザー光の周波数νnの関数として検出器アレイのi番目のピクセルによって検出される干渉信号Siは、次の式(1)の比例式によって付与され得る。
【0021】
【数1】
【0022】
ここで、P(νn)は、供給源の合計電力である。R(z)及びφ(z)は、それぞれ、反射率プロファイルの振幅及び位相の項である。軸方向の距離zは、相対的な距離として表現することが可能であり、z=0は、サンプルアームと基準アームとの間のゼロの光学経路差に対応している。P(νn)の一部として表現されるピクセルiに到達するサンプルアーム及び基準アームの(例えば、光等の)電磁波の量は、それぞれ、γs,i及びγr,iと表記することが可能である。反射率プロファイルR(z)は、次元iに沿ってサンプリングされた干渉信号の離散フーリエ変換として次の式(2)のように取得され得る。
【0023】
【数2】
【0024】
(角度分解型のFD−OCTを使用したスペックル低減の典型的な原理)
後方散乱した波面の歪みの結果としてスペックルが生じるが、これらのスペックルは、恐らく、低角度の多様な前方散乱によって発生したものであり、且つ、互いに接近した値を有する複数の屈折率により生ずる多様な後方散乱を拡散させる。角度合成法は、一般に、上記のような干渉の結果として生成され、且つ、異なる後方散乱角度に由来する複数のフィールドが、相関関係を有していないという観察結果から得られたものである。例えば、再構築された反射率プロファイルの大きさを平均化することによる等のように、異なる散乱角度からの信号をインコヒーレントの状態で平均化することにより、低減されたスペックルを有する反射率信号を得ることができる。
【0025】
スペックルの信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio:SNR)は、次の式(3)のように、均質性の散乱特性を有する媒体内におけるピクセル強度の分散の平方根に対するピクセル強度の平均値の比の値として、スペックル低減の尺度とすることができる。
【0026】
【数3】
【0027】
ここで、山形括弧(<>)は、kによってインデックス付けされたピクセルの収集結果の平均値を表している。スペックルのSNRは、均質性のサンプルから得られる信号の分散の正規化された尺度とすることができる。従って、スペックルのSNRは、システム感度とは異なるものであって、最小検出が可能な反射率としてのスペックルの存在を伴うことなしに規定することが可能である。典型的な角度合成法においては、SNRは、次の式(4)のように、非相関インコヒーレント平均値の数Nの平方根に比例して増大させることが可能である。
【0028】
【数4】
【0029】
従って、角度合成によってSNRを増大させることができる程度は、角度別脱相関(Angular Decorrelation)のレベルに依存することが可能である。一般に、多数の散乱体を含むOCTサンプルの容積、並びに、大きな光学的深さに位置するものにおいては、相対的に高いレベルの脱相関を得ることが可能である。これとは対照的に、サンプル容積の寸法に類似した寸法を有する鮮鋭なインターフェイス及び散乱体は、角度合成によるわずかな量のコントラストの向上を示す可能性が高い。
【0030】
(角度別後方散乱分布からの画像コントラストパラメータの抽出の原理)
角度分解型のFD−OCT方法及びシステムによって計測することが可能である光の角度別後方散乱パターンは、撮像サンプルの散乱体サイズ及び密度に関する情報を包含することが可能である。この情報は、単一の角度レンジ内において後方散乱する光の反射率を計測する光学的な方法に使用可能で且つ非常に類似した散乱特性を有するような組織の異なる領域の間を互いに弁別するために、例えば、臨床における撮像環境において好適であろう。画像コントラストの尺度は、各々のピクセルにおける角度別後方散乱分布から生成することが可能であり、このような尺度は、空間的にスムージングを行うことが可能であり、且つ/又は、画像コントラストの尺度は、空間的にスムージングがなされた角度別後方散乱分布から生成することが可能である。
【0031】
(角度分解型のフーリエドメインOCT)
SD−OCT及びOFDIシステムとSD−OCT及びOFDI方法におけるFD−OCT法は、離散スペクトル干渉を計測することが可能であり、且つ、この計測の実施において異なるものであってよい。OFDIシステム及び方法は、波長掃引型供給源を使用することにより、時間の関数として干渉を記録することが可能であり、SD−OCTシステム及び方法は、一般に、分光計を使用することにより、干渉スペクトルを検出器アレイ又は検出器アレイの一部上に画像生成することが可能である。
【0032】
図7は、本発明に係る角度分解型のFD−OCT撮像システムの代表的な実施例の概略図を示している。この代表的なシステムは、波長掃引型供給源(波長掃引型レーザー源)705、干渉計707、及び対応する電子回路(コンピュータ及びデータ取得(DAQ)カード)785を有する画像捕捉カメラ(ライン走査カメラ)765といったような複数のモジュールを具備することが可能である。例えば、レーザー出力は、光を干渉計707の2つのアームに分割することが可能である光カプラ710に導くことが可能である。基準アームコリメータ725から供給されるコリメートされた光は、要素735、740及び745を有する円筒形レンズ望遠鏡に入射することが可能である。この円筒形レンズ望遠鏡は、ライン走査カメラ765の寸法にビームを拡張することが可能である。基準アーム内のコリメータ725の前に、距離が可変である自由空間カプラ712を配置することにより、基準アームの長さの調節を円滑に遂行することが可能である。サンプルアームコリメータ730からのコリメートされた光は、リニア偏光子755及びビームスプリッタ750を通してサンプルに導くことが可能であり、この場合に、上記の光は、サンプル780上に光の焦点を合わせる撮像オプティクス770、775に入射することが可能である。
【0033】
それぞれ、コリメータ725、730の前に設けられている偏光コントローラ715、720を配置することにより、波長掃引型供給源705の周波数レンジにわたってフリンジ変調(Fringe Modulation)を極大化することが可能である。撮像オプティクス770、775は、その軸が、干渉計707の面に平行であり、且つ、ビームスプリッタ750から入射するビームに垂直である検流計ミラー770と、サンプル780から1焦点距離に配置された合焦レンズ775とから構成されている。入射ビームは、検流計ミラー770の水平の中心及び垂直の中心に接触している。サンプル780から反射して戻った光は、ミラー770及び合焦レンズ775を介して戻ることが可能であり、次いで、ビームスプリッタ750において基準ビームと干渉することが可能である。この干渉光は、ライン走査カメラ765上に焦点を合わせる円筒形レンズ760に入射することが可能である。ヘリウム・ネオン(He−Ne)レーザー700からの光は、ファイバカプラ(光カプラ)710に注入することが可能であり、この光は、撮像処理手順においてガイドビームとして機能することが可能である。
【0034】
ライン走査カメラ765からの信号は、データ取得(DAQ)ボード785のアナログ/デジタル(A/D)入力ポートに送信することが可能である。例えば、1つのエーライン(a-line)に対応する期間内において、DAQボード785は、m個のデータポイントをn回の露光から取得することが可能であり、ここで、mは、ライン走査カメラ765内の検出器の数であってよく、nは、1つのエーライン当たりにサンプリングされる周波数の数であってよい。エーライン取得速度は、ライン走査カメラの読み取り速度とnとの商として判定することが可能である。DAQボード785からの読み取りは、例えば、各々の読み取り期間の開始時点におけるライン走査カメラ765によるTTLトリガ信号を使用して周波数掃引型レーザー源(波長掃引型レーザー源)705に同期化することが可能である。
【0035】
図8に示されているように、波長掃引型供給源の代表的な実施例は、利得要素としての半導体光学増幅器(Semiconductor Optical Amplifier:SOA)845と、検流計ミラーフィルタ800とを有するリング空洞レーザーとして構築可能であり、検流計ミラーフィルタは、検流計ミラー802、望遠鏡805、810、回折格子815、及びファイバコリメータ820を有することが可能である。2つの偏光コントローラ825、840を設けることにより、レーザーの偏光を最適化することが可能であり、これにより、出力カプラ835は、レーザー出力を提供している。出力カプラ835は、出力ポート836とレーザーポート837との間において、原則として光をほぼ等しく分割することが可能である。光サーキュレータ830は、偏光コントローラ840を介して、レーザーポート837から検流計ミラーフィルタ800に光を導くことが可能であり、且つ、検流計ミラーフィルタ800から戻ってきた光を、偏光コントローラ825を介してSOA845に導くことが可能である。検流計ミラーフィルタ800から反射される波長は、一般に、検流計ミラー802が回転するのに伴って変化する。光アイソレータ850を使用することにより、代表的なシステムの残りの部分からレーザーを分離することが可能である。
【0036】
(方位角及び極角の分解のための二次元(2D)検出)
本発明の第2の代表的な実施例によれば、両方の次元が後方散乱光の角度別分布に対応している検出器の二次元アレイを使用して干渉光の検出を遂行することが可能である。サンプルに入射する光は、波長の調節が可能な狭いライン幅の供給源によって供給することが可能である。撮像サンプルから後方散乱した光は、2つの空間的次元に沿って拡張された基準ビームと干渉する。各々の検出器アレイ要素は、後方散乱光の極角及び方位角の固有のレンジに対応することが可能である。検出器アレイの読み取り値を取得しつつ、レーザーをその調節されたレンジにわたって掃引することにより、各々の離散した方位角及び極角の対毎のベクトルを取得することが可能である。フーリエドメイン光干渉断層撮影再構築法をベクトルに対して適用することが可能であり、これにより、深さ分解型の反射率プロファイルを生成することが可能である。アレイの読み取り値を取得しつつ、サンプルにわたってビームを走査することにより、又は、ビームに対してサンプルを移動させることにより、組織上の異なる場所における角度分解型の反射率プロファイルを取得することが可能である。これらのプロファイルを合成することにより、二次元又は三次元の断面反射率画像を形成することが可能である。
【0037】
(角度及び波長の同時分解のための二次元(2D)検出)
本発明の代表的な第3の実施例によれば、例えば、図9の動作図及びブロック図に示されているように、一方の次元が波長に対応しており、他方の次元が後方散乱光の角度に対応している検出器の二次元アレイを使用することにより、干渉光の検出を遂行することが可能である。サンプル上に入射する光は、広帯域供給源によって供給することが可能である。サンプルから後方散乱した光は、1つの空間次元に沿って拡張された基準ビームと干渉することが可能であり、この空間次元は、後方散乱光の角度に対応可能である。干渉光900は、回折格子905に入射することが可能であり、これにより、波長に対応する別の次元に沿って光を分離することが可能である。次いで、この分離された光910は、二次元検出器アレイ915に入射することが可能である。特定の後方散乱角度レンジに対応する検出器アレイの読み取りの各々の一次元部分に沿って、フーリエドメイン光干渉断層撮影再構築法を干渉スペクトルに対して適用することにより、深さ分解型の反射率プロファイルを提供することが可能である。アレイの読み取り値を取得しつつ、サンプルにわたってビームを走査することにより、又は、ビームに対してサンプルを移動させることにより、組織上の異なる地点における角度分解型の反射率プロファイルを取得することが可能である。これらのプロファイルを合成することにより、二次元又は三次元の断面反射率画像を形成することが可能である。
【0038】
(ファイバ束光学ブローブ)
本発明に係る小さなプローブ形状を使用したアプリケーションに好適な第4の代表的な実施例は、図10の動作図及びブロック図に示されているように、ファイバ束と共に使用可能である。この代表的な実施例によれば、光ファイバのアレイ1025を使用することにより、撮像サンプル1000との間において光を送受信することが可能である。アレイ1025内の1つ又は複数のファイバは、「供給ファイバ(Delivery Fiber)」と呼ばれており、これらのファイバを通して、サンプル1000との間で光1010を送受信することが可能である。アレイ1025内の各々のファイバは、角度別後方散乱の固有の狭い角度レンジに対応可能である。ファイバの前に配置されているレンズ1020は、各々のファイバによって収集される光の量を増強するべく機能することが可能である。レンズ1020の前に配置されているレンズ1015は、サンプル1000上に光の焦点を合わせると共に、レンズ1020による収集の前にサンプル1000から後方散乱した光をコリメートするべく、機能している。
【0039】
(偏光感知式角度分解型のFD−OCT)
光干渉断層撮影法の環境における偏光計測は、生物学的な組織における複屈折の空間的な分解に有用であろう。本発明に係る第5の代表的な実施例によれば、次の各段階の中の1つ又は複数の段階を実行することにより、偏光計測を遂行することが可能である。
【0040】
a)干渉計における受信の前に光の偏光を変化させる段階、並びに、基準アーム及び/又はサンプルアームの偏光状態を固定する段階
b)時間の関数としてサンプルビームのみの偏光を変化させる段階
c)時間の関数として基準ビームのみの偏光を変化させる段階
d)偏光状態が異なる基準ビームの少なくとも2つの特徴的な部分が存在可能なように、空間の関数として基準ビームの1つ又は複数の部分の偏光状態を変化させる段階
e)偏光状態が異なるサンプルビームの少なくとも2つの特徴的な部分が存在可能なように、基準ビームとの干渉の前に、空間の関数として後方散乱光の1つ又は複数の部分の偏光状態を変化させる段階
f)偏光状態が異なる少なくとも2つの特徴的な部分が存在可能なように、空間の関数として干渉光の1つ又は複数の部分の偏光状態を変化させる段階
【0041】
前述の典型的な手法(a)、(b)、及び/又は(c)を使用し、これらの手法が由来する偏光状態が恐らくは異なるように、異なる時点において受信されたエーラインを比較することにより、サンプルの複屈折マップを取得することが可能である。前述の典型的な手法(d)、(e)、及び/又は(f)を使用し、これらの手法が由来する偏光状態が恐らくは異なるように、異なる後方散乱角度レンジから得られたエーラインを比較することにより、サンプルの複屈折マップを取得することが可能である。
【0042】
(粒子のサイジング)
平面波からのビームの逸脱を分析によって補償することができる場合には、ミー(Mie)散乱の演算フレームワークを使用し、角度分解型のFD−OCTシステム及び/又は方法から得られた角周波数コンテンツを分析することが可能である。具体的には、ミー(Mie)理論を使用して球面誘電散乱体から発生し得る角度別散乱分布を判定することが可能であることから、角度別散乱分布から散乱体のサイズ分布を判定するという逆の問題を遂行することが可能である。角度別後方散乱分布のミー散乱分析により、上皮組織内の散乱体分布の計測を実現させることが可能であり、この上皮組織内の散乱体分布を、癌病変に先行する形成不全遷移と相互に関連させることが可能である。
【0043】
(角度別脱相関)
角度分解型のFD−OCTから取得した角度別後方散乱分布を処理する別の方法は、それらの角周波数コンテンツの分析を含んでいる。画像コントラストの尺度は、最大電力を有する角周波数ビン(Angular Frequency Bin)と、最大電力を有するピークの幅とを含む。角度別後方散乱分布の電力−スペクトル密度の分析は、ウィーナー・ヒンチン(Wiener-Kinchine)の定理による自動相関関数の分析と等価である。正規化された自動相関関数Cは、次の式(5)によって提供され得る。
【0044】
【数5】
【0045】
ここで、j及びiは、角度のインデックスであってよい。例えば、第1最小値との関係において計測された自動相関関数の中央ローブ(Central Lobe)の幅は、連続した角度別サンプル間における相関の程度を示すことが可能である。角度分解型のFD−OCTシステム及び方法を使用して取得した断面画像の各々のピクセル毎に上記の典型的な幅を判定することにより、角度別後方散乱分布の脱相関のレベルのコントラストを有する画像を提供することが可能である。
【0046】
(例)
スペックルを低減させるべく使用可能な本発明に係るシステム及び方法の代表的な実施例を以下の実験によって検証した。水溶性寒天ゲル(0.5重量%(パーセント)の寒天)及び直径0.3mmのポリマーミクロスフィア(Polymer Microsphere)(デューク サイアンティフィック(Duke Scientific)から入手)によって、2つのレイヤの組織ファントム(Phantom)を形成した。この組織ファントムをシリコーンアイソレータ(Silicone Isolator)(シグマ(Sigma)から入手)内に収容した。2mmの適切な深さを有する最初の散乱レイヤ(第1散乱レイヤ)を形成した。第1散乱レイヤよりも小さな散乱係数を有するように設計された第2散乱レイヤを第1散乱レイヤの上に形成した。この第2散乱レイヤは、約450mmの深さを有していた。深さとの関係において指数的な信号減衰を分析することにより、合計散乱係数は、第1レイヤ及び第2レイヤについて、それぞれ、24cm−1及び12cm−1と推定された。
【0047】
単一の角度別サンプルから生成された二次元画像は、図11(a)に示されているように、大きなスペックルを示しており、この場合には、2つのレイヤ間の境界は、明瞭な可視状態にはない。角度合成された画像内においては、スペックルが大幅に低減されており、図11(b)に示されているように、2つのレイヤの間の境界は、明瞭な可視状態にある。定性的な検査により、図11(b)の画像内の分解能が画像11(a)の画像内の分解能よりも大幅に低くなる可能性は高くない。ファントムの表面の下500mmの地点から取得した典型的な代表的角度別分布のグラフ及びこれに対応する自動相関関数が図12(a)及び図12(b)に示されている。
【0048】
角度合成の効果は、図13A〜図13Dの画像に示されているように、食道組織に適用されたときに顕著に現れる。これらの画像は、生体外においてブタから得られたものであり、撮像対象のサンプルをカバースリップによって軽く圧縮することにより、上皮の基礎を成すレイヤの視認性を向上させている。具体的には、図13Aに示されているように、単一の角度別サンプルから生成された画像は、例えば、分解対象の特徴及びスペックルの結果としてもたらされる粒状性の観点において、最新技術の従来のOFDIシステムによって取得したものに質的に類似している。この典型的な画像においては、上皮内の散乱レイヤは、かすかに現れているのみである(矢印を参照されたい)。図13Bの画像に示されている3つの角度の合成の場合には、画像の特定の部分においてのみ、このレイヤが分解可能であるといったようなスペックルの低減レベルになっている。図13C及び図13Dの画像に示されている30個以上の角度の平均の場合には、散乱レイヤは、画像の長さにわたって明瞭に分解されている。角度合成によって実現される細部における同様の向上は、固有層及び上皮の基礎を成す粘膜下組織の領域内でも観察される。
【0049】
以上の内容は、本発明の原理を例示したものにすぎない。本願明細書の開示内容に鑑み、説明対象の実施例に対する様々な変更及び変形が当業者には明らかであろう。実際に、本発明の代表的な実施例に係る装置、システム、及び方法は、任意のOCTシステム、OFDIシステム、スペクトルドメインOCT(SD−OCT)システム、又はその他の撮像システムと共に、並びに、例えば、2004年9月8日付けで出願された国際特許出願第PCT/US2004/029148号、2005年11月2日付けで出願された米国特許出願第11/266,779号、及び2004年7月9日付けで出願された米国特許出願第10/501,276号に記述されているものと共に使用可能であり、これらの特許出願の内容は、本願明細書で言及することによって、その全ての内容が本願明細書に包含されている。従って、当業者であれば、本願明細書には明示的に図示及び説明されてはいないが、本発明の原理を実施し、且つ、本発明の精神及び範囲に属する多数のシステム、装置、及び方法を考え出すことが可能であることを理解されたい。更には、以上において、従来技術の知識は、上記の説明で引用することによって明確に包含されていない場合でも、その全ての内容が明示的に本願明細書に包含されている。以上において参照した全ての文献は、本願明細書で言及することによって、その全ての内容が本願明細書に包含されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度分解型のフーリエドメイン光干渉断層撮影法を遂行する方法及びシステムに関するものであり、更に詳しくいえば、フーリエドメイン光干渉断層撮影法の手法を使用して遂行される透明サンプル及び混濁サンプルからの空間分解型の角度別後方散乱分布の計測に関するものである。
【0002】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2006年2月24日付けで出願された米国特許出願第60/776,544号に基づくものである。さらに、本出願は、この米国特許出願の優先権の利益を主張するものであり、この米国特許出願の開示内容は、本願明細書で言及することによって、その全ての内容が本願明細書に包含されている。
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって付与された契約第R01 CA103769号の下に、米国政府の支援によって実現したものである。従って、米国政府は、本発明における特定の権利を有している。
【背景技術】
【0003】
光干渉断層撮影法(Optical Coherence Tomography:OCT)によれば、数ミクロン(μm)〜数十ミクロンのレベルの分解能における生物学的サンプルの断面画像を取得することが可能であり、従って、組織の微細構造を詳細に撮像することが可能である。フーリエドメインOCT(Fourier-Domain OCT:FD−OCT)は、高速撮像を実現させるような、時間ドメインOCTよりも大幅に改善された感度を提供することが可能であることが実証されている。より具体的には、FD−OCTは、例えば、2004年9月8日付けで出願された国際特許出願第PCT/US2004/029148号、2005年11月2日付けで出願された米国特許出願第11/266,779号、及び2004年7月9日付けで出願された米国特許出願第10/501,276号の中の少なくとも1つのものに記述されているように、スペクトルドメインOCT(Spectral-Domain OCT:SD−OCT)及び光学周波数ドメイン撮像(Optical Frequency Domain Imaging:OFDI)という2つの構成において実施されている。FD−OCTは、心血管、胃腸、及び網膜の撮像を含む多数の臨床環境における形態学的な変化を識別するツールとして大きな可能性を有していることが明らかになっている。
【0004】
従来のOCTシステム及び方法における1つの制限は、180度に中心を有する1つの角度レンジからの後方散乱光しか収集されないという点にある。このような制限は、光学コヒーレンス顕微鏡法(Optical Coherence Microscopy:OCM)システムにも当てはまる。この場合には、アレイ検出を使用することにより、ビームを走査することなく正面の二次元画像を生成することが可能である。イー.ビューリペア(E. Beaurepaire)らによる「全視野光学コヒーレンス顕微鏡法(Full-Field Optical Coherence Microscopy」(光学レター(Optics Letters),23(4):244〜246頁,1998年)に記述されている上記のようなOCMシステムの一例が図1に示されている。スペックル(Speckle)を低減させることが可能である角度合成(Angular Compounding)の手法を使用することにより、異なる角度から後方散乱した光の取得を実施することが可能である。スペックルは、一般的に、画像の散乱領域内においてチェッカーパターンとして現れるものであり、この結果として、組織の反射率におけるわずかな違いを識別することが更に困難になる。
【0005】
角度合成を実現させるOCT環境において異なる入射角度にて後方散乱光を取得する方法及びシステムは、経路長エンコーディングを利用している。エヌ.イフティミア(N. Iftimia)らによる「経路長エンコーディングを使用した角度合成による光学コヒーレンス顕微鏡法におけるスペックル低減(Speckle Reduction in Optical Coherence Tomography by 'Path Length Encoded' Angular Compounding」(生物医学光学ジャーナル(Journal of Biomedical Optics),8(2):260〜263頁,2003年)に記述されているこのようなシステムの例が図2に示されている。例えば、光学ガラスを撮像ビームの経路内に配置することにより、入射フィールドを複数のビームレットに分割することが可能である。この光学ガラスにより、入射ビームの一部(ビームレット2)が、ビームレット1よりも大きな経路長の遅延を生ずることになる。更には、ビームレット2は、ビームレット1とは異なる角度においてサンプルを照射している。この結果として、サンプルの(それぞれが異なる角度において取得された)複数のOCT画像がOCTディスプレイ上に同時に出現することになる。上記の方法及びシステムは、高速撮像には適しているが、一般に、多数の角度に対する適切なスケーリングが行われず、且つ、空間分解能と取得角度数との間のトレードオフが必要となる可能性がある。
【0006】
別の方法及びシステムは、直角プリズムを並進運動させることにより、サンプルアームからの光を合焦レンズ(Focusing Lens)上の異なる位置に導いている。エム.バシカンスキ(M. Bashkansky)らによる「光学コヒーレンス顕微鏡法におけるスペックルの統計学及びスペックル低減(Statistics and Reduction of Speckle in Optical Coherence Tomography)」(光学レター(Optics Letters),25(8):545〜547頁,2000年)に記述されている上記のようなシステムの例が図3に示されている。上記の方法及びシステムにおいては、一般に、180度に中心を有する狭い角度レンジにおける後方散乱光を収集しているが、サンプルの法線に対する入射ビームの入射角度がプリズムの位置と共に変化している。このような方法及びシステムは、角度別後方散乱分布の計測を提供しない(又は、場合によっては、許容しない)可能性が高い。画像の取得可能速度が、振動方式においてプリズムの並進運動が可能である速度によって制限されることになるであろう。更に別の方法及びシステムにおいては、4つの検出器によるOCT信号の検出を同時に遂行することが可能であり、これにより、スペックル低減のための角度合成が実現されている。ジェイ.エム.シュミット(J. M. Schmitt)による「光学コヒーレンス顕微鏡法におけるスペックル低減のためのアレイ検出(Array Detection for Speckle Reduction in Optical Coherence Microscopy)」(医学及び生物学の中の物理(Physics in Medicine and Biology),42(7):1427〜1439頁,1997年)に記述されている上記のようなシステムの一例が図4に示されている。具体的には、このシステム内の基準ビームは、一般に、入射ビームよりも大きくない。従って、上記のシステムは、角度別後方散乱分布の計測には、有用ではないであろう。更には、各々の検出器要素は、異なる角度において後方散乱光を受光しているが、所定の検出器要素にて収集される光によって範囲が定まる立体角が、入射ビームによって範囲が定まる立体角の中に完全に含まれている。上記のシステムにおける検出は、時間ドメインにおいて遂行されている。
【0007】
光散乱分光法の分野においては、後方散乱光の角度別分布は、一般に、組織内における散乱粒子のサイズ分布に関する情報を含んでいることが知られている。OCTの光学分解能が制限されている場合には、反射率特性のわずかな差を有する組織間において安定したコントラストを導出する機能は、(特定の状況においては)後方散乱光の角度別分布の計測を利用することが可能である。エー.ワックス(A. Wax)らによる「光散乱分光学の低コヒーレンス干渉法を使用した角度分布の計測(Measurement of Angular Distributions by Use of Low-Coherence Interferometry for Light-Scattering Spectroscopy)」(光学レター(Optics Letters),26(6):322〜324頁,2001年)に記述されている図5(a)及び図5(b)の構成、並びに、ジェイ.ダブリュー.ピティラ(J. W. Pyhtila)らによる「改善された角度分解型の低コヒーレンス干渉法システムを使用して核形態学を決定すること(Determining Nuclear Morphology Using an Improved Angle-Resolved Low Coherence Interferometry System)」(光学エクスプレス(Optics Express),15(25):3474〜3484頁,2003年)に記述されている図6(a)及び図6(b)の構成に示されているように、高い角度分解能を有する光散乱計測のために、低コヒーレンス干渉法を使用した深さ分解型の角度別後方散乱計測(Depth-Resolved Angular Backscattering Measurements)が設計されている。
【0008】
例えば、低コヒーレンス源からの光を改良型マイケルソン(Michelson)干渉計の2つのアームに分割し、1つのビームをサンプル(又は、サンプルアーム)に入射させ、もう1つのビームをミラー(又は、基準アーム)に入射させる。前者のサンプルアーム内の様々な後方散乱角度の選択性を提供するために、基準アーム内に配置されたレンズをミラー面に対して平行に並進運動させることが可能である。干渉光の計測は、一般に、(図5(a)及び図5(b)に示されている構成を使用して)時間ドメインにおいて、又は(図6(a)及び図6(b)に示されている構成を使用して)周波数ドメインにおいて遂行される。これらの手法によれば、一般に、角度別後方散乱分布の同時計測が不可能であり、計測速度も、レンズを正確に並進運動させることが可能である速度によって制限されることになるであろう。角度、ポイントサンプリング、及び原位置計測について最適化されてはいるが、上記のような現在実施されている角度分解型のLCIは、恐らく、生体内における臨床撮像に好適ではないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、前述の欠点を克服する必要性が存在している。実際に、光干渉断層撮影法の撮像環境において複数の角度から後方散乱した光を同時に計測することにより、高度なスペックルの低減と付加的な形態の画像コントラストを実現させることが可能である。
【0010】
従って、前述の欠点を克服する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の問題及び/又は欠点に対処するために、且つ/又は、前述の問題及び/又は欠点を克服するために、フーリエドメイン光干渉断層撮影法の原理を使用して透明サンプル及び混濁サンプルからの空間分解型の角度別後方散乱分布を計測するような本発明に係るシステム、装置、及び方法の代表的な実施例が提供されている。更には、本発明の更なる代表的な実施例によれば、スペックルの低減を遂行すると共に、画像のコントラストを生成するために、後方散乱分布を利用したシステム及び方法も提供されている。
【0012】
従って、本発明の代表的な一実施例によれば、装置及び方法が提供されている。具体的には、少なくとも1つの第1電磁波を受信することが可能であり、立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送することが可能である。第2電磁波は、第1電磁波と関連付けすることが可能である。複数の第3電磁波を第2電磁波と関連付けられたサンプルから受信することが可能であり、第3電磁波の少なくとも1つの部分は、立体角の外縁の外において提供されている。第3電磁波の各々と関連付けられた信号を同時に検出することが可能であり、これらの信号は、サンプル内の複数の深さ(Depth)におけるサンプルの情報と関連付けられている。第3電磁波の中の少なくとも1つのものを使用することにより、第3電磁波の別のものを利用する必要性を伴うことなしに、サンプル内の複数の深さを判定することが可能である。
【0013】
更には、第3電磁波の中の2つのものと、第1電磁波と関連付けられた少なくとも1つの第4電磁波との間において干渉を検出することが可能であり、サンプルと関連付けられた情報を、干渉に基づいてサンプル内の深さの関数として取得することが可能である。サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを信号の関数として提供することが可能である。サンプルの少なくとも1つの部分の少なくとも1つの画像を信号の関数として生成することが可能である。サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを信号の関数として提供することも可能である。データは、画像と関連付けられたコントラストデータであってよい。又、サンプルの少なくとも1つの部分の散乱特性と関連付けられたデータを信号の組み合わせの関数として提供することも可能である。更には、第3電磁波の中の単一のものを使用して信号の深さを判定することが可能である。
【0014】
本発明の別の代表的な実施例によれば、少なくとも1つのサンプルと関連付けられたデータの生成を円滑に遂行する装置及び方法を提供することが可能である。例えば、少なくとも1つのサンプルから提供された複数の電磁波の信号と関連付けられた第1情報を受信することが可能である。電磁波の中の少なくとも第1のものを第1軸に沿って提供することが可能であり、電磁波の中の少なくとも第2のものを、第1軸とは異なる第2軸に沿って提供することが可能である。第1情報の少なくとも1つの部分内の信号の各々のデータは、サンプル内の複数の深さのデータを包含することが可能である。少なくとも1つのサンプルの画像の少なくとも1つの部分のコントラストデータと関連付けられた第2情報を、第1情報の関数として生成することが可能である。
【0015】
本発明の更に別の代表的な実施例においては、更なる装置及び方法を提供することが可能である。例えば、少なくとも1つの第1電磁波を受信することが可能であり、立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送することが可能である。第2電磁波を第1電磁波と関連付けすることが可能である。複数の第3電磁波の中の少なくとも2つのものを第2電磁波と関連付けられたサンプルから同時に受信することが可能であり、第3電磁波の中の少なくとも1つの部分を立体角の外縁の外において提供することが可能である。第3電磁波の中の少なくとも2つのものと、第1電磁波と関連付けられた少なくとも1つの第4電磁波との間の干渉を検出することが可能である。サンプルと関連付けられた情報を、干渉に基づいてサンプル内の少なくとも1つの深さの関数として取得することが可能である。
上記のような本発明の目的及びその他の目的、特徴、及び利点については、添付の特許請求の請求項との関連において、本発明の実施例に関する以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の更なる目的、特徴、及び利点については、本発明の例示用の実施例を示す添付図面との関連において提示されている以下の詳細な説明を参照することにより、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光学コヒーレンス顕微鏡法(OCM)を遂行するための従来の装置のブロック図である。
【図2】光干渉断層撮影法(OCT)のスペックルを低減させる経路長エンコーディング型の角度合成を遂行するための従来の装置のブロック図である。
【図3】スペックルの低減を遂行するための従来のOCT装置のブロック図である。
【図4】スペックル低減のためのアレイ検出を遂行する従来のOCT装置のブロック図である。
【図5(a)】角度分解型の低コヒーレンス干渉法を遂行するための従来の装置のブロック図である。
【図5(b)】角度分解型の低コヒーレンス干渉法を遂行するための従来の装置のブロック図である。
【図6(a)】角度分解型の低コヒーレンス干渉法を遂行するための更なる従来の装置のブロック図である。
【図6(b)】角度分解型の低コヒーレンス干渉法を遂行するための更なる従来の装置のブロック図である。
【図7】単一次元の検出器アレイを利用した本発明に係る角度分解型のFD−OCTシステムの代表的な実施例の概略図であって、干渉計の面に対して垂直に方向付けされた矩形の灰色の破線領域を有する概略図である。
【図8】図7に示されたシステムにおいて利用されている波長掃引型レーザー源の代表的な実施例の概略図である。
【図9】波長及び角度の同時検出のために二次元検出器アレイを利用している本発明に係る角度分解型のFD−OCTシステムの別の代表的な実施例における干渉検出の概略的な動作図である。
【図10】内視鏡プローブに対応可能である本発明に係る角度分解型のFD−OCTシステムの更なる代表的な実施例に提供されている撮像オプティクスの概略的な動作図である。
【図11(a)】1つの典型的な角度別サンプルにわたる平均のための本発明に係る角度分解型のFD−OCTシステムの代表的な実施例によって得られる組織ファントムの二次元画像である。
【図11(b)】400個の角度別サンプルにわたる平均のための本発明に係る角度分解型のFD−OCTシステムの代表的な実施例によって得られる組織ファントムの別の二次元画像である。
【図12(a)】本発明の代表的な実施例に係る組織ファントム内の1つの分解要素から得られる角度別分布のグラフである。
【図12(b)】本発明の代表的な実施例に係る対応する正規化された相互相関関数を使用した1つの分解要素から得られる角度別分布のグラフである。
【図13A】1つの角度別サンプルの合成から得られる典型的な食道組織の画像であって、上皮内の薄い散乱レイヤを指し示す矢印を有する画像である。
【図13B】3つの角度別サンプルの合成から得られる典型的な食道組織の画像であって、上皮内の薄い散乱レイヤを指し示す矢印を有する画像である。
【図13C】30個の角度別サンプルの合成から得られる典型的な食道組織の画像であって、上皮内の薄い散乱レイヤを指し示す矢印を有する画像である。
【図13D】400個の角度別サンプルの合成から得られる典型的な食道組織の画像であって、上皮内の薄い散乱レイヤを指し示す矢印を有する画像である。
【0018】
これらの図面の全体を通して、同一の参照符号及び文字は、特記されていない限り、図示の実施例の類似した特徴、要素、構成要素、又は部分を表すべく使用されている。更には、以下においては、添付図面を参照し、本発明について詳細に説明しているが、この説明は、例示用の実施例との関連において提示されている。添付の特許請求の範囲の請求項に規定されている本発明の真の範囲及び精神を逸脱することなしに、説明対象の実施例に対する変更及び変形を実施することが可能であると解釈されたい。
【0019】
(角度分解型のFD−OCTの典型的な原理)
以下、フーリエドメインOCTの環境において、角度分解型のFD−OCTについて説明する。例えば、FD−OCTにおいては、混濁媒体、半混濁媒体、又は透明媒体の深さ分解型の反射率を取得するために、基準光と撮像サンプルから後方散乱された光との間の干渉を周波数ドメインにおいて計測することが可能である。入力光源の(例えば、光やレーザービーム等の)電磁波を基準ビームとサンプルビームに分割することが可能である。サンプルビーム光を撮像対象のサンプルに導くことが可能であり、サンプルからの後方散乱光を基準ビーム光と干渉させることができる。角度分解型のFD−OCTの場合には、入射サンプルビームによって範囲が定まるものを上回る後方散乱の角度範囲との干渉を実現させるべく、サンプルビームの断面エリアよりも断面エリアを大きくすることができるように、基準ビームを空間的に拡張することが可能である。基準ビームと後方散乱光との間の干渉は、例えば、検出器アレイを使用して計測することが可能である。この検出器アレイは、(i)単一集積回路要素上に集積化された検出器、及び/又は(ii)空間内に一緒に提供された個別の検出器から構成されることが可能である。入射ビームに対する検出後方散乱光の角度依存性は、空間ドメインにおいて、検出器アレイの少なくとも1つの次元に沿った光強度の分布としてエンコーディング可能である。干渉光の波長依存性を計測することが可能であり、異なる後方散乱角度のレンジに対応するフーリエ分析軸方向反射率プロファイルを取得することが可能である。
【0020】
例えば、レーザー光の周波数νnの関数として検出器アレイのi番目のピクセルによって検出される干渉信号Siは、次の式(1)の比例式によって付与され得る。
【0021】
【数1】
【0022】
ここで、P(νn)は、供給源の合計電力である。R(z)及びφ(z)は、それぞれ、反射率プロファイルの振幅及び位相の項である。軸方向の距離zは、相対的な距離として表現することが可能であり、z=0は、サンプルアームと基準アームとの間のゼロの光学経路差に対応している。P(νn)の一部として表現されるピクセルiに到達するサンプルアーム及び基準アームの(例えば、光等の)電磁波の量は、それぞれ、γs,i及びγr,iと表記することが可能である。反射率プロファイルR(z)は、次元iに沿ってサンプリングされた干渉信号の離散フーリエ変換として次の式(2)のように取得され得る。
【0023】
【数2】
【0024】
(角度分解型のFD−OCTを使用したスペックル低減の典型的な原理)
後方散乱した波面の歪みの結果としてスペックルが生じるが、これらのスペックルは、恐らく、低角度の多様な前方散乱によって発生したものであり、且つ、互いに接近した値を有する複数の屈折率により生ずる多様な後方散乱を拡散させる。角度合成法は、一般に、上記のような干渉の結果として生成され、且つ、異なる後方散乱角度に由来する複数のフィールドが、相関関係を有していないという観察結果から得られたものである。例えば、再構築された反射率プロファイルの大きさを平均化することによる等のように、異なる散乱角度からの信号をインコヒーレントの状態で平均化することにより、低減されたスペックルを有する反射率信号を得ることができる。
【0025】
スペックルの信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio:SNR)は、次の式(3)のように、均質性の散乱特性を有する媒体内におけるピクセル強度の分散の平方根に対するピクセル強度の平均値の比の値として、スペックル低減の尺度とすることができる。
【0026】
【数3】
【0027】
ここで、山形括弧(<>)は、kによってインデックス付けされたピクセルの収集結果の平均値を表している。スペックルのSNRは、均質性のサンプルから得られる信号の分散の正規化された尺度とすることができる。従って、スペックルのSNRは、システム感度とは異なるものであって、最小検出が可能な反射率としてのスペックルの存在を伴うことなしに規定することが可能である。典型的な角度合成法においては、SNRは、次の式(4)のように、非相関インコヒーレント平均値の数Nの平方根に比例して増大させることが可能である。
【0028】
【数4】
【0029】
従って、角度合成によってSNRを増大させることができる程度は、角度別脱相関(Angular Decorrelation)のレベルに依存することが可能である。一般に、多数の散乱体を含むOCTサンプルの容積、並びに、大きな光学的深さに位置するものにおいては、相対的に高いレベルの脱相関を得ることが可能である。これとは対照的に、サンプル容積の寸法に類似した寸法を有する鮮鋭なインターフェイス及び散乱体は、角度合成によるわずかな量のコントラストの向上を示す可能性が高い。
【0030】
(角度別後方散乱分布からの画像コントラストパラメータの抽出の原理)
角度分解型のFD−OCT方法及びシステムによって計測することが可能である光の角度別後方散乱パターンは、撮像サンプルの散乱体サイズ及び密度に関する情報を包含することが可能である。この情報は、単一の角度レンジ内において後方散乱する光の反射率を計測する光学的な方法に使用可能で且つ非常に類似した散乱特性を有するような組織の異なる領域の間を互いに弁別するために、例えば、臨床における撮像環境において好適であろう。画像コントラストの尺度は、各々のピクセルにおける角度別後方散乱分布から生成することが可能であり、このような尺度は、空間的にスムージングを行うことが可能であり、且つ/又は、画像コントラストの尺度は、空間的にスムージングがなされた角度別後方散乱分布から生成することが可能である。
【0031】
(角度分解型のフーリエドメインOCT)
SD−OCT及びOFDIシステムとSD−OCT及びOFDI方法におけるFD−OCT法は、離散スペクトル干渉を計測することが可能であり、且つ、この計測の実施において異なるものであってよい。OFDIシステム及び方法は、波長掃引型供給源を使用することにより、時間の関数として干渉を記録することが可能であり、SD−OCTシステム及び方法は、一般に、分光計を使用することにより、干渉スペクトルを検出器アレイ又は検出器アレイの一部上に画像生成することが可能である。
【0032】
図7は、本発明に係る角度分解型のFD−OCT撮像システムの代表的な実施例の概略図を示している。この代表的なシステムは、波長掃引型供給源(波長掃引型レーザー源)705、干渉計707、及び対応する電子回路(コンピュータ及びデータ取得(DAQ)カード)785を有する画像捕捉カメラ(ライン走査カメラ)765といったような複数のモジュールを具備することが可能である。例えば、レーザー出力は、光を干渉計707の2つのアームに分割することが可能である光カプラ710に導くことが可能である。基準アームコリメータ725から供給されるコリメートされた光は、要素735、740及び745を有する円筒形レンズ望遠鏡に入射することが可能である。この円筒形レンズ望遠鏡は、ライン走査カメラ765の寸法にビームを拡張することが可能である。基準アーム内のコリメータ725の前に、距離が可変である自由空間カプラ712を配置することにより、基準アームの長さの調節を円滑に遂行することが可能である。サンプルアームコリメータ730からのコリメートされた光は、リニア偏光子755及びビームスプリッタ750を通してサンプルに導くことが可能であり、この場合に、上記の光は、サンプル780上に光の焦点を合わせる撮像オプティクス770、775に入射することが可能である。
【0033】
それぞれ、コリメータ725、730の前に設けられている偏光コントローラ715、720を配置することにより、波長掃引型供給源705の周波数レンジにわたってフリンジ変調(Fringe Modulation)を極大化することが可能である。撮像オプティクス770、775は、その軸が、干渉計707の面に平行であり、且つ、ビームスプリッタ750から入射するビームに垂直である検流計ミラー770と、サンプル780から1焦点距離に配置された合焦レンズ775とから構成されている。入射ビームは、検流計ミラー770の水平の中心及び垂直の中心に接触している。サンプル780から反射して戻った光は、ミラー770及び合焦レンズ775を介して戻ることが可能であり、次いで、ビームスプリッタ750において基準ビームと干渉することが可能である。この干渉光は、ライン走査カメラ765上に焦点を合わせる円筒形レンズ760に入射することが可能である。ヘリウム・ネオン(He−Ne)レーザー700からの光は、ファイバカプラ(光カプラ)710に注入することが可能であり、この光は、撮像処理手順においてガイドビームとして機能することが可能である。
【0034】
ライン走査カメラ765からの信号は、データ取得(DAQ)ボード785のアナログ/デジタル(A/D)入力ポートに送信することが可能である。例えば、1つのエーライン(a-line)に対応する期間内において、DAQボード785は、m個のデータポイントをn回の露光から取得することが可能であり、ここで、mは、ライン走査カメラ765内の検出器の数であってよく、nは、1つのエーライン当たりにサンプリングされる周波数の数であってよい。エーライン取得速度は、ライン走査カメラの読み取り速度とnとの商として判定することが可能である。DAQボード785からの読み取りは、例えば、各々の読み取り期間の開始時点におけるライン走査カメラ765によるTTLトリガ信号を使用して周波数掃引型レーザー源(波長掃引型レーザー源)705に同期化することが可能である。
【0035】
図8に示されているように、波長掃引型供給源の代表的な実施例は、利得要素としての半導体光学増幅器(Semiconductor Optical Amplifier:SOA)845と、検流計ミラーフィルタ800とを有するリング空洞レーザーとして構築可能であり、検流計ミラーフィルタは、検流計ミラー802、望遠鏡805、810、回折格子815、及びファイバコリメータ820を有することが可能である。2つの偏光コントローラ825、840を設けることにより、レーザーの偏光を最適化することが可能であり、これにより、出力カプラ835は、レーザー出力を提供している。出力カプラ835は、出力ポート836とレーザーポート837との間において、原則として光をほぼ等しく分割することが可能である。光サーキュレータ830は、偏光コントローラ840を介して、レーザーポート837から検流計ミラーフィルタ800に光を導くことが可能であり、且つ、検流計ミラーフィルタ800から戻ってきた光を、偏光コントローラ825を介してSOA845に導くことが可能である。検流計ミラーフィルタ800から反射される波長は、一般に、検流計ミラー802が回転するのに伴って変化する。光アイソレータ850を使用することにより、代表的なシステムの残りの部分からレーザーを分離することが可能である。
【0036】
(方位角及び極角の分解のための二次元(2D)検出)
本発明の第2の代表的な実施例によれば、両方の次元が後方散乱光の角度別分布に対応している検出器の二次元アレイを使用して干渉光の検出を遂行することが可能である。サンプルに入射する光は、波長の調節が可能な狭いライン幅の供給源によって供給することが可能である。撮像サンプルから後方散乱した光は、2つの空間的次元に沿って拡張された基準ビームと干渉する。各々の検出器アレイ要素は、後方散乱光の極角及び方位角の固有のレンジに対応することが可能である。検出器アレイの読み取り値を取得しつつ、レーザーをその調節されたレンジにわたって掃引することにより、各々の離散した方位角及び極角の対毎のベクトルを取得することが可能である。フーリエドメイン光干渉断層撮影再構築法をベクトルに対して適用することが可能であり、これにより、深さ分解型の反射率プロファイルを生成することが可能である。アレイの読み取り値を取得しつつ、サンプルにわたってビームを走査することにより、又は、ビームに対してサンプルを移動させることにより、組織上の異なる場所における角度分解型の反射率プロファイルを取得することが可能である。これらのプロファイルを合成することにより、二次元又は三次元の断面反射率画像を形成することが可能である。
【0037】
(角度及び波長の同時分解のための二次元(2D)検出)
本発明の代表的な第3の実施例によれば、例えば、図9の動作図及びブロック図に示されているように、一方の次元が波長に対応しており、他方の次元が後方散乱光の角度に対応している検出器の二次元アレイを使用することにより、干渉光の検出を遂行することが可能である。サンプル上に入射する光は、広帯域供給源によって供給することが可能である。サンプルから後方散乱した光は、1つの空間次元に沿って拡張された基準ビームと干渉することが可能であり、この空間次元は、後方散乱光の角度に対応可能である。干渉光900は、回折格子905に入射することが可能であり、これにより、波長に対応する別の次元に沿って光を分離することが可能である。次いで、この分離された光910は、二次元検出器アレイ915に入射することが可能である。特定の後方散乱角度レンジに対応する検出器アレイの読み取りの各々の一次元部分に沿って、フーリエドメイン光干渉断層撮影再構築法を干渉スペクトルに対して適用することにより、深さ分解型の反射率プロファイルを提供することが可能である。アレイの読み取り値を取得しつつ、サンプルにわたってビームを走査することにより、又は、ビームに対してサンプルを移動させることにより、組織上の異なる地点における角度分解型の反射率プロファイルを取得することが可能である。これらのプロファイルを合成することにより、二次元又は三次元の断面反射率画像を形成することが可能である。
【0038】
(ファイバ束光学ブローブ)
本発明に係る小さなプローブ形状を使用したアプリケーションに好適な第4の代表的な実施例は、図10の動作図及びブロック図に示されているように、ファイバ束と共に使用可能である。この代表的な実施例によれば、光ファイバのアレイ1025を使用することにより、撮像サンプル1000との間において光を送受信することが可能である。アレイ1025内の1つ又は複数のファイバは、「供給ファイバ(Delivery Fiber)」と呼ばれており、これらのファイバを通して、サンプル1000との間で光1010を送受信することが可能である。アレイ1025内の各々のファイバは、角度別後方散乱の固有の狭い角度レンジに対応可能である。ファイバの前に配置されているレンズ1020は、各々のファイバによって収集される光の量を増強するべく機能することが可能である。レンズ1020の前に配置されているレンズ1015は、サンプル1000上に光の焦点を合わせると共に、レンズ1020による収集の前にサンプル1000から後方散乱した光をコリメートするべく、機能している。
【0039】
(偏光感知式角度分解型のFD−OCT)
光干渉断層撮影法の環境における偏光計測は、生物学的な組織における複屈折の空間的な分解に有用であろう。本発明に係る第5の代表的な実施例によれば、次の各段階の中の1つ又は複数の段階を実行することにより、偏光計測を遂行することが可能である。
【0040】
a)干渉計における受信の前に光の偏光を変化させる段階、並びに、基準アーム及び/又はサンプルアームの偏光状態を固定する段階
b)時間の関数としてサンプルビームのみの偏光を変化させる段階
c)時間の関数として基準ビームのみの偏光を変化させる段階
d)偏光状態が異なる基準ビームの少なくとも2つの特徴的な部分が存在可能なように、空間の関数として基準ビームの1つ又は複数の部分の偏光状態を変化させる段階
e)偏光状態が異なるサンプルビームの少なくとも2つの特徴的な部分が存在可能なように、基準ビームとの干渉の前に、空間の関数として後方散乱光の1つ又は複数の部分の偏光状態を変化させる段階
f)偏光状態が異なる少なくとも2つの特徴的な部分が存在可能なように、空間の関数として干渉光の1つ又は複数の部分の偏光状態を変化させる段階
【0041】
前述の典型的な手法(a)、(b)、及び/又は(c)を使用し、これらの手法が由来する偏光状態が恐らくは異なるように、異なる時点において受信されたエーラインを比較することにより、サンプルの複屈折マップを取得することが可能である。前述の典型的な手法(d)、(e)、及び/又は(f)を使用し、これらの手法が由来する偏光状態が恐らくは異なるように、異なる後方散乱角度レンジから得られたエーラインを比較することにより、サンプルの複屈折マップを取得することが可能である。
【0042】
(粒子のサイジング)
平面波からのビームの逸脱を分析によって補償することができる場合には、ミー(Mie)散乱の演算フレームワークを使用し、角度分解型のFD−OCTシステム及び/又は方法から得られた角周波数コンテンツを分析することが可能である。具体的には、ミー(Mie)理論を使用して球面誘電散乱体から発生し得る角度別散乱分布を判定することが可能であることから、角度別散乱分布から散乱体のサイズ分布を判定するという逆の問題を遂行することが可能である。角度別後方散乱分布のミー散乱分析により、上皮組織内の散乱体分布の計測を実現させることが可能であり、この上皮組織内の散乱体分布を、癌病変に先行する形成不全遷移と相互に関連させることが可能である。
【0043】
(角度別脱相関)
角度分解型のFD−OCTから取得した角度別後方散乱分布を処理する別の方法は、それらの角周波数コンテンツの分析を含んでいる。画像コントラストの尺度は、最大電力を有する角周波数ビン(Angular Frequency Bin)と、最大電力を有するピークの幅とを含む。角度別後方散乱分布の電力−スペクトル密度の分析は、ウィーナー・ヒンチン(Wiener-Kinchine)の定理による自動相関関数の分析と等価である。正規化された自動相関関数Cは、次の式(5)によって提供され得る。
【0044】
【数5】
【0045】
ここで、j及びiは、角度のインデックスであってよい。例えば、第1最小値との関係において計測された自動相関関数の中央ローブ(Central Lobe)の幅は、連続した角度別サンプル間における相関の程度を示すことが可能である。角度分解型のFD−OCTシステム及び方法を使用して取得した断面画像の各々のピクセル毎に上記の典型的な幅を判定することにより、角度別後方散乱分布の脱相関のレベルのコントラストを有する画像を提供することが可能である。
【0046】
(例)
スペックルを低減させるべく使用可能な本発明に係るシステム及び方法の代表的な実施例を以下の実験によって検証した。水溶性寒天ゲル(0.5重量%(パーセント)の寒天)及び直径0.3mmのポリマーミクロスフィア(Polymer Microsphere)(デューク サイアンティフィック(Duke Scientific)から入手)によって、2つのレイヤの組織ファントム(Phantom)を形成した。この組織ファントムをシリコーンアイソレータ(Silicone Isolator)(シグマ(Sigma)から入手)内に収容した。2mmの適切な深さを有する最初の散乱レイヤ(第1散乱レイヤ)を形成した。第1散乱レイヤよりも小さな散乱係数を有するように設計された第2散乱レイヤを第1散乱レイヤの上に形成した。この第2散乱レイヤは、約450mmの深さを有していた。深さとの関係において指数的な信号減衰を分析することにより、合計散乱係数は、第1レイヤ及び第2レイヤについて、それぞれ、24cm−1及び12cm−1と推定された。
【0047】
単一の角度別サンプルから生成された二次元画像は、図11(a)に示されているように、大きなスペックルを示しており、この場合には、2つのレイヤ間の境界は、明瞭な可視状態にはない。角度合成された画像内においては、スペックルが大幅に低減されており、図11(b)に示されているように、2つのレイヤの間の境界は、明瞭な可視状態にある。定性的な検査により、図11(b)の画像内の分解能が画像11(a)の画像内の分解能よりも大幅に低くなる可能性は高くない。ファントムの表面の下500mmの地点から取得した典型的な代表的角度別分布のグラフ及びこれに対応する自動相関関数が図12(a)及び図12(b)に示されている。
【0048】
角度合成の効果は、図13A〜図13Dの画像に示されているように、食道組織に適用されたときに顕著に現れる。これらの画像は、生体外においてブタから得られたものであり、撮像対象のサンプルをカバースリップによって軽く圧縮することにより、上皮の基礎を成すレイヤの視認性を向上させている。具体的には、図13Aに示されているように、単一の角度別サンプルから生成された画像は、例えば、分解対象の特徴及びスペックルの結果としてもたらされる粒状性の観点において、最新技術の従来のOFDIシステムによって取得したものに質的に類似している。この典型的な画像においては、上皮内の散乱レイヤは、かすかに現れているのみである(矢印を参照されたい)。図13Bの画像に示されている3つの角度の合成の場合には、画像の特定の部分においてのみ、このレイヤが分解可能であるといったようなスペックルの低減レベルになっている。図13C及び図13Dの画像に示されている30個以上の角度の平均の場合には、散乱レイヤは、画像の長さにわたって明瞭に分解されている。角度合成によって実現される細部における同様の向上は、固有層及び上皮の基礎を成す粘膜下組織の領域内でも観察される。
【0049】
以上の内容は、本発明の原理を例示したものにすぎない。本願明細書の開示内容に鑑み、説明対象の実施例に対する様々な変更及び変形が当業者には明らかであろう。実際に、本発明の代表的な実施例に係る装置、システム、及び方法は、任意のOCTシステム、OFDIシステム、スペクトルドメインOCT(SD−OCT)システム、又はその他の撮像システムと共に、並びに、例えば、2004年9月8日付けで出願された国際特許出願第PCT/US2004/029148号、2005年11月2日付けで出願された米国特許出願第11/266,779号、及び2004年7月9日付けで出願された米国特許出願第10/501,276号に記述されているものと共に使用可能であり、これらの特許出願の内容は、本願明細書で言及することによって、その全ての内容が本願明細書に包含されている。従って、当業者であれば、本願明細書には明示的に図示及び説明されてはいないが、本発明の原理を実施し、且つ、本発明の精神及び範囲に属する多数のシステム、装置、及び方法を考え出すことが可能であることを理解されたい。更には、以上において、従来技術の知識は、上記の説明で引用することによって明確に包含されていない場合でも、その全ての内容が明示的に本願明細書に包含されている。以上において参照した全ての文献は、本願明細書で言及することによって、その全ての内容が本願明細書に包含されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1電磁波を受信し、且つ、立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送するべく構成された少なくとも1つの第1構成部であって、この場合に、前記少なくとも1つの第2電磁波は、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられており、この場合に、前記少なくとも1つの第1構成部は、前記少なくとも1つの第2電磁波と関連付けられた前記サンプルから複数の第3電磁波を受信するべく構成されており、且つ、この場合に、前記第3電磁波の少なくとも1つの部分は、前記立体角の外縁の外において提供されている、少なくとも1つの第1構成部と、
前記第3電磁波の各々と関連付けられた信号を同時に検出するべく構成された少なくとも1つの第2構成部であって、この場合に、前記信号は、前記サンプル内の複数の深さにおける少なくとも1つのサンプルの情報と関連付けられており、且つ、この場合に、前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第3電磁波の中の少なくとも1つのものを使用することにより、前記第3電磁波の別のものを利用する必要性を伴うことなしに、前記サンプル内の複数の深さを判定することが可能である、少なくとも1つの第2構成部とを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第3電磁波の少なくとも2つのものと、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられた少なくとも1つの第4電磁波との間の干渉を検出するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有しており、且つ、前記干渉に基づいて前記サンプル内の深さの関数として、前記サンプルと関連付けられた情報を取得している請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを提供するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の少なくとも1つの画像を生成することが可能である少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第3構成部は、前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを提供するべく更に構成されている請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記データは、前記少なくとも1つの画像と関連付けられたコントラストデータである請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記信号の組み合わせの関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の散乱特性と関連付けられたデータを提供するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第3電磁波の中の単一のものを使用して前記サンプル内の複数の深さを判定することが可能である請求項1記載の装置。
【請求項9】
信号を検出する方法において、
少なくとも1つの第1電磁波を受信する段階と、
立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送する段階であって、この場合に、前記少なくとも1つの第2電磁波は、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられている段階と、
前記少なくとも1つの第2電磁波と関連付けられた前記サンプルから複数の第3電磁波を受信する段階であって、この場合に、前記第3電磁波の少なくとも1つの部分は、前記立体角の外縁の外において提供されている段階と、
前記第3電磁波の各々と関連付けられた前記信号を同時に検出する段階であって、この場合に、前記信号は、前記サンプル内の複数の深さにおける前記少なくとも1つのサンプルの情報と関連付けられている段階と、
前記第3電磁波の中の少なくとも1つのものを使用することにより、前記第3電磁波の別のものを利用する必要性を伴うことなしに、前記サンプル内の複数の深さを判定する段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項10】
少なくとも1つのサンプルと関連付けられたデータを提供する装置において、
前記少なくとも1つのサンプルから提供された複数の電磁波の信号と関連付けられた第1情報を受信するべく構成された少なくとも1つの第1構成部であって、この場合に、前記電磁波の中の少なくとも第1のものは、第1軸に沿って提供されており、且つ、前記電磁波の中の少なくとも第2のものは、前記第1軸とは異なる第2軸に沿って提供されており、この場合に、前記第1情報の少なくとも1つの部分内の前記信号の各々のデータは、前記少なくとも1つのサンプル内の複数の深さのデータを含んでいる、少なくとも1つの第1構成部と、
前記第1情報の関数として、前記少なくとも1つのサンプルの画像の少なくとも1つの部分のコントラストデータと関連付けられた第2情報を生成するべく構成された少なくとも1つの第2構成部とを有することを特徴とする装置。
【請求項11】
前記信号の少なくとも1つの部分は、前記立体角の外縁の外において提供されている請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第1情報を使用して前記サンプル内の前記少なくとも1つの深さのパラメータを判定することが可能である請求項10記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記信号の中の単一のものと関連付けられたデータを使用して前記少なくとも1つの深さを判定することが可能である請求項10記載の装置。
【請求項14】
前記第2情報の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の少なくとも1つの画像を生成することが可能である少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項10記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第3構成部は、前記第2情報の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを提供するべく更に構成されている請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記データは、前記少なくとも1つの画像と関連付けられたコントラストデータである請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記信号の組み合わせの関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の散乱特性と関連付けられたデータを提供するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項10記載の装置。
【請求項18】
少なくとも1つのサンプルと関連付けられたデータを提供する方法において、
前記少なくとも1つのサンプルから提供された複数の電磁波の信号と関連付けられた第1情報を受信する段階であって、この場合に、前記電磁波の中の少なくとも第1のものは、第1軸に沿って提供されており、且つ、前記電磁波の中の少なくとも第2のものは、前記第1軸とは異なる第2軸に沿って提供されており、この場合に、前記第1情報の少なくとも1つの部分内の前記信号の各々のデータは、前記少なくとも1つのサンプル内の複数の深さのデータを含んでいる段階と、
前記第1情報の関数として、前記少なくとも1つのサンプルの画像の少なくとも1つの部分のコントラストデータと関連付けられた第2情報を生成する段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項19】
少なくとも1つの第1電磁波を受信し、且つ、立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに転送するべく構成された少なくとも1つの第1構成部であって、この場合に、前記少なくとも1つの第2電磁波は、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられており、この場合に、前記少なくとも1つの第1構成部は、前記少なくとも1つの第2電磁波と関連付けられた前記サンプルから複数の第3電磁波の中の少なくとも2つのものを同時に受信するべく構成されており、且つ、この場合に、前記第3電磁波の少なくとも1つの部分は、前記立体角の外縁の外において提供されている、少なくとも1つの第1構成部と、
前記第3電磁波の中の少なくとも2つのものと、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられた少なくとも1つの第4電磁波との間の干渉を検出するべく構成され、且つ、前記干渉に基づいて前記サンプル内の少なくとも1つの深さの関数として、前記サンプルと関連付けられた情報を取得するべく構成された少なくとも1つの第2構成部とを有することを特徴とする装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第3電磁波の別のものを利用する必要性を伴うことなしに、前記干渉に基づいて前記少なくとも1つの深さを判定することが可能である請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第3電磁波の各々と関連付けられた信号を同時に検出するべく構成されている請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを提供するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の少なくとも1つの画像を生成することが可能である少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項21記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つの第3構成部は、前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを提供するべく更に構成されている請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記データは、前記少なくとも1つの画像と関連付けられたコントラストデータである請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記信号の組み合わせの関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の散乱特性と関連付けられたデータを提供するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項21記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第3電磁波の中の単一のものを使用して前記少なくとも1つの深さを判定することが可能である請求項20記載の装置。
【請求項28】
信号を検出する方法において、
少なくとも1つの第1電磁波を受信する段階と、
立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送する段階であって、この場合に、前記少なくとも1つの第2電磁波は、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられている段階と、
前記少なくとも1つの第2電磁波と関連付けられた前記サンプルから複数の第3電磁波の中の少なくとも2つのものを同時に受信する段階であって、前記第3電磁波の少なくとも1つの部分は、前記立体角の外縁の外において提供されている段階と、
前記第3電磁波の中の少なくとも2つのものと、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられた少なくとも1つの第4電磁波との間の干渉を検出する段階と、
前記干渉に基づいて前記サンプル内の少なくとも1つの深さの関数として、前記サンプルと関連付けられた情報を取得する段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項1】
少なくとも1つの第1電磁波を受信し、且つ、立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送するべく構成された少なくとも1つの第1構成部であって、この場合に、前記少なくとも1つの第2電磁波は、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられており、この場合に、前記少なくとも1つの第1構成部は、前記少なくとも1つの第2電磁波と関連付けられた前記サンプルから複数の第3電磁波を受信するべく構成されており、且つ、この場合に、前記第3電磁波の少なくとも1つの部分は、前記立体角の外縁の外において提供されている、少なくとも1つの第1構成部と、
前記第3電磁波の各々と関連付けられた信号を同時に検出するべく構成された少なくとも1つの第2構成部であって、この場合に、前記信号は、前記サンプル内の複数の深さにおける少なくとも1つのサンプルの情報と関連付けられており、且つ、この場合に、前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第3電磁波の中の少なくとも1つのものを使用することにより、前記第3電磁波の別のものを利用する必要性を伴うことなしに、前記サンプル内の複数の深さを判定することが可能である、少なくとも1つの第2構成部とを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第3電磁波の少なくとも2つのものと、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられた少なくとも1つの第4電磁波との間の干渉を検出するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有しており、且つ、前記干渉に基づいて前記サンプル内の深さの関数として、前記サンプルと関連付けられた情報を取得している請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを提供するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の少なくとも1つの画像を生成することが可能である少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第3構成部は、前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを提供するべく更に構成されている請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記データは、前記少なくとも1つの画像と関連付けられたコントラストデータである請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記信号の組み合わせの関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の散乱特性と関連付けられたデータを提供するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第3電磁波の中の単一のものを使用して前記サンプル内の複数の深さを判定することが可能である請求項1記載の装置。
【請求項9】
信号を検出する方法において、
少なくとも1つの第1電磁波を受信する段階と、
立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送する段階であって、この場合に、前記少なくとも1つの第2電磁波は、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられている段階と、
前記少なくとも1つの第2電磁波と関連付けられた前記サンプルから複数の第3電磁波を受信する段階であって、この場合に、前記第3電磁波の少なくとも1つの部分は、前記立体角の外縁の外において提供されている段階と、
前記第3電磁波の各々と関連付けられた前記信号を同時に検出する段階であって、この場合に、前記信号は、前記サンプル内の複数の深さにおける前記少なくとも1つのサンプルの情報と関連付けられている段階と、
前記第3電磁波の中の少なくとも1つのものを使用することにより、前記第3電磁波の別のものを利用する必要性を伴うことなしに、前記サンプル内の複数の深さを判定する段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項10】
少なくとも1つのサンプルと関連付けられたデータを提供する装置において、
前記少なくとも1つのサンプルから提供された複数の電磁波の信号と関連付けられた第1情報を受信するべく構成された少なくとも1つの第1構成部であって、この場合に、前記電磁波の中の少なくとも第1のものは、第1軸に沿って提供されており、且つ、前記電磁波の中の少なくとも第2のものは、前記第1軸とは異なる第2軸に沿って提供されており、この場合に、前記第1情報の少なくとも1つの部分内の前記信号の各々のデータは、前記少なくとも1つのサンプル内の複数の深さのデータを含んでいる、少なくとも1つの第1構成部と、
前記第1情報の関数として、前記少なくとも1つのサンプルの画像の少なくとも1つの部分のコントラストデータと関連付けられた第2情報を生成するべく構成された少なくとも1つの第2構成部とを有することを特徴とする装置。
【請求項11】
前記信号の少なくとも1つの部分は、前記立体角の外縁の外において提供されている請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第1情報を使用して前記サンプル内の前記少なくとも1つの深さのパラメータを判定することが可能である請求項10記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記信号の中の単一のものと関連付けられたデータを使用して前記少なくとも1つの深さを判定することが可能である請求項10記載の装置。
【請求項14】
前記第2情報の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の少なくとも1つの画像を生成することが可能である少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項10記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第3構成部は、前記第2情報の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを提供するべく更に構成されている請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記データは、前記少なくとも1つの画像と関連付けられたコントラストデータである請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記信号の組み合わせの関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の散乱特性と関連付けられたデータを提供するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項10記載の装置。
【請求項18】
少なくとも1つのサンプルと関連付けられたデータを提供する方法において、
前記少なくとも1つのサンプルから提供された複数の電磁波の信号と関連付けられた第1情報を受信する段階であって、この場合に、前記電磁波の中の少なくとも第1のものは、第1軸に沿って提供されており、且つ、前記電磁波の中の少なくとも第2のものは、前記第1軸とは異なる第2軸に沿って提供されており、この場合に、前記第1情報の少なくとも1つの部分内の前記信号の各々のデータは、前記少なくとも1つのサンプル内の複数の深さのデータを含んでいる段階と、
前記第1情報の関数として、前記少なくとも1つのサンプルの画像の少なくとも1つの部分のコントラストデータと関連付けられた第2情報を生成する段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項19】
少なくとも1つの第1電磁波を受信し、且つ、立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに転送するべく構成された少なくとも1つの第1構成部であって、この場合に、前記少なくとも1つの第2電磁波は、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられており、この場合に、前記少なくとも1つの第1構成部は、前記少なくとも1つの第2電磁波と関連付けられた前記サンプルから複数の第3電磁波の中の少なくとも2つのものを同時に受信するべく構成されており、且つ、この場合に、前記第3電磁波の少なくとも1つの部分は、前記立体角の外縁の外において提供されている、少なくとも1つの第1構成部と、
前記第3電磁波の中の少なくとも2つのものと、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられた少なくとも1つの第4電磁波との間の干渉を検出するべく構成され、且つ、前記干渉に基づいて前記サンプル内の少なくとも1つの深さの関数として、前記サンプルと関連付けられた情報を取得するべく構成された少なくとも1つの第2構成部とを有することを特徴とする装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第3電磁波の別のものを利用する必要性を伴うことなしに、前記干渉に基づいて前記少なくとも1つの深さを判定することが可能である請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第3電磁波の各々と関連付けられた信号を同時に検出するべく構成されている請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを提供するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の少なくとも1つの画像を生成することが可能である少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項21記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つの第3構成部は、前記信号の関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の複屈折特性、分光特性、モーション、角度別後方散乱特性、又は弾性特性の少なくとも1つのものと関連付けられたデータを提供するべく更に構成されている請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記データは、前記少なくとも1つの画像と関連付けられたコントラストデータである請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記信号の組み合わせの関数として、前記サンプルの少なくとも1つの部分の散乱特性と関連付けられたデータを提供するべく構成された少なくとも1つの第3構成部を更に有する請求項21記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの第2構成部は、前記第3電磁波の中の単一のものを使用して前記少なくとも1つの深さを判定することが可能である請求項20記載の装置。
【請求項28】
信号を検出する方法において、
少なくとも1つの第1電磁波を受信する段階と、
立体角内の少なくとも1つの第2電磁波をサンプルに対して転送する段階であって、この場合に、前記少なくとも1つの第2電磁波は、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられている段階と、
前記少なくとも1つの第2電磁波と関連付けられた前記サンプルから複数の第3電磁波の中の少なくとも2つのものを同時に受信する段階であって、前記第3電磁波の少なくとも1つの部分は、前記立体角の外縁の外において提供されている段階と、
前記第3電磁波の中の少なくとも2つのものと、前記少なくとも1つの第1電磁波と関連付けられた少なくとも1つの第4電磁波との間の干渉を検出する段階と、
前記干渉に基づいて前記サンプル内の少なくとも1つの深さの関数として、前記サンプルと関連付けられた情報を取得する段階とを有することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図7】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図7】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【公開番号】特開2013−64747(P2013−64747A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−248356(P2012−248356)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2008−556520(P2008−556520)の分割
【原出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−248356(P2012−248356)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2008−556520(P2008−556520)の分割
【原出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】
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