解析モデル生成装置,解析モデル生成方法および解析モデル生成プログラム
【課題】解析モデルを容易に簡略化することにより、数値解析に関する処理時間を短縮し、設計作業を効率化することができるようにする。
【解決手段】形状モデルに基づいて、形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部15と、形状モデルに基づいて、形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部16と、最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部17と、詳細メッシュモデルと基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、解析モデルを生成する重ね合わせ処理部18とをそなえる。
【解決手段】形状モデルに基づいて、形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部15と、形状モデルに基づいて、形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部16と、最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部17と、詳細メッシュモデルと基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、解析モデルを生成する重ね合わせ処理部18とをそなえる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状モデルを数値解析するための解析モデルであって、特に簡略化された解析モデルを生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、設計の過程において、3次元CAD(Computer Aided Design)によって作成されたモデリングデータ(形状データ,3次元CADデータ)を用いて、設計対象物の形状等を数値解析するための解析モデル(メッシュモデル)を作成することにより、解析モデルの作成に要する時間を短縮し、設計作業を効率化することが行なわれている。
例えば、下記特許文献1に示されるVPS/Simulation-HUB(富士通)においては、3次元CADデータを解析モデル(メッシュ構造)に変換する機能をそなえている。
【0003】
図21(a),(b),(c)は従来の解析モデル生成手法によって生成される解析モデルを説明するための斜視図であり、図21(a)は3次元CADによって作成された形状モデルの例を示す斜視図、図21(b)は図21(a)に示す形状モデルに基づいて従来手法によって生成された解析モデルの例を示す斜視図、図21(c)は図21(b)の部分拡大図である。なお、これらの図21(b),(c)に示す例においては、六面体形状を有するメッシュ(直交メッシュという場合もある)によって生成された解析モデルの例を示している。
【0004】
このような従来の解析モデル生成手法によって生成された解析モデルにおいては、例えば、図21(c)に示すような曲面部分等ではメッシュ数が増大する。3次元CADによって作成されたモデリングデータに基づいて解析モデルを生成する際に、モデリングデータの形状を忠実に再現するために、曲面部分等に多数の小さなメッシュ形状が生成され、これにより、メッシュ情報(分割)が多くなるのである。
【0005】
従って、携帯電話や携帯型PC(Personal Computer)のように、デザイン上、その表面形状に曲面が多用されている製品においては解析モデルが大規模化する。
例えば、図21(b),(c)に示した解析モデルは、5000万メッシュを超える大規模なものである。
【非特許文献1】植田 晃,浦木 靖司,青木 健一郎著 「VPS/Simulation-HUBの実現と高速モデリング (PDF)」雑誌 富士通 2004-5月号(VOL.55,NO.3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般に、解析規模(解析処理時間)は、メッシュ分割数の2乗に比例すると言われており、このような従来の解析モデルの生成手法によって生成された大規模な解析モデルをソルバー(解析ツール)により解析処理(数値解析)することは、計算機のハードウェア性能や制限の観点から現実的ではなく、例えば解析モデルにおいて細かな形状変更は避けられない。
【0007】
例えば、前述した図21(b),(c)に示すような解析モデルについては、解析処理を行なうために、現実的な解析規模である500万メッシュ程度になるまで、手作業により解析モデルの簡略化を行なう必要がある。
従来、このような解析モデルの簡略化は、図21(b)に示すような詳細なメッシュが形成された解析モデルをテンプレート(見本)にして、作業者が形状修正を行なうことにより作成しており、このような解析モデルの簡略化の作業が煩雑であるという課題がある。
【0008】
また、例えば、上述したVPS/Simulation-HUBにおいては、メッシュ数の増加を低減するために、解析に影響しない微小部品や解析対象外にする部品を取り除く機能をそなえており、例えば、ユーザが指定したサイズ以下の部品を削除することにより不要部品の削除を行ない、メッシュ数を削減することができるようになっているが、解析モデルの簡略化をより効率良く行なうことが要求されている。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、解析モデルを容易に簡略化することにより、数値解析に関する処理時間を短縮し、設計作業を効率化することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明の解析モデル生成装置(請求項1)は、形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成装置であって、該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部とをそなえることを特徴としている。
【0011】
なお、該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割部をそなえ、該詳細メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、該最大外形メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、該肉厚領域生成部が、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、該重ね合わせ処理部が、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、該重ね合わせ処理部によって生成された該解析モデルを結合する結合部をそなえてもよい(請求項2)。
【0012】
そして、該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力部をそなえ、該投影面指示入力部によって指示された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されてもよい(請求項3)。
また、本発明の解析モデル生成方法(請求項4)は、形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成方法であって、該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成ステップと、該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成ステップと、該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域設定ステップと、該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理ステップとをそなえることを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明の解析モデル生成プログラム(請求項5)は、形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成機能をコンピュータに実行させるための解析モデル生成プログラムであって、該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部として、該コンピュータを機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の少なくともいずれか1つの効果ないし利点が得られる。
(1)簡略化した解析モデルを容易に作成することができ、解析モデルの作成時間を短縮することができる。
(2)解析モデル規模を抑制することにより下流工程である解析ツールにおける解析処理時間を短縮することができる。
【0015】
(3)解析に関わる処理時間を短縮することができ、又、例えば、形状モデルの良し悪しの判断等、設計上流での設計方針の決定・判断の早期化にも有効である。
(4)複雑な形状の形状モデルについても、形状モデルの形状と最大外形メッシュモデルや解析モデルとの乖離を最小限にすることができ、下流工程の解析ツールにおける解析処理の精度を向上させることができる。
【0016】
(5)解析モデルから、解析の結果に与える影響が少ないと判断できる突起を迅速かつ容易に除外することができ利便性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置の構成を模式的に示す図である。
本解析モデル生成装置10は、形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成するものであって、3次元CAD(Computer Aided Design)31等によって作成された3次元CADデータ(形状モデル)に基づいて、簡略化された解析モデルを生成するようになっている。
【0018】
そして、本解析モデル生成装置10によって生成された解析モデルは、ソルバ(solver)等の解析ツール32に渡され、この解析ツール32において種々の解析処理が行なわれるようになっている。
また、本解析モデル生成装置10は、例えば携帯電話やノートパソコンの筐体のように、特定の肉厚をそなえた板状部材を組み合わせて構成された形状モデルの解析モデルの生成に好適であり、特に中空の(箱型)の形状を有する形状モデルの解析モデルの生成に好適である。
【0019】
3次元CAD31は、設計対象物の形状に関する情報をコンピュータ上において3次元空間上の形状モデル(モデリングデータ)として生成するものであり、この3次元CAD31としては種々のものが知られている。なお、本実施形態においては、この3次元CAD31として特定のプログラムや製品等に限定されるものではなく、又、形状モデルにおいても特定のデータ形式等に限定されるものではない。
【0020】
そして、3次元CAD31によって生成された形状モデルは、LAN(Local Area Network)等の通信手段や、メモリや磁気ディスクのような記憶媒体を経由する等、種々の手法で本解析モデル生成装置10に渡されるようになっており、又、この形状モデルの本解析モデル生成装置10への受け渡しは特定の手法に限定されるものではない。
解析ツール32は、本解析モデル生成装置10によって生成された解析モデルに基づいて種々の解析処理(演算処理)を行なうものであって、本実施形態においては、例えば熱流体解析や電磁波解析を行なうようになっている。
【0021】
図2は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10として機能する情報処理装置(コンピュータシステム)のハードウェア構成を模式的に示す図である。本解析モデル生成装置10は、この図2に示すような情報処理装置100によって実現される。
情報処理装置100は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)101,ROM102,RAM103,HDD(Hard Disk Drive)104,表示制御部105,ディスプレイ106,キーボード107およびマウス108をそなえて構成されている。
【0022】
そして、情報処理装置100のCPUが、解析モデル生成プログラムを実行することにより、後述する、形状モデル分割部14,詳細メッシュモデル生成部15,最大外形メッシュモデル生成部16,肉厚領域生成部17,重ね合わせ処理部18および結合部19として機能するようになっている。又、この情報処理装置100がプログラムを実行することにより、3次元CAD31として機能してもよい。
【0023】
なお、これらの形状モデル分割部14,詳細メッシュモデル生成部15,最大外形メッシュモデル生成部16,肉厚領域生成部17,重ね合わせ処理部18および結合部19としての機能を実現するためのプログラム(解析モデル生成プログラム)は、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RW等),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RW等),磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。そして、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。又、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0024】
形状モデル分割部14,詳細メッシュモデル生成部15,最大外形メッシュモデル生成部16,肉厚領域生成部17,重ね合わせ処理部18および結合部19としての機能を実現する際には、内部記憶装置(本実施形態では情報処理装置100のRAM103やROM102)に格納されたプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサ(本実施形態ではCPU101)によって実行される。このとき、記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータが読み取って実行するようにしてもよい。
【0025】
なお、本実施形態において、コンピュータとは、ハードウェアとオペレーティングシステムとを含む概念であり、オペレーティングシステムの制御の下で動作するハードウェアを意味している。又、オペレーティングシステムが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とをそなえており、本実施形態においては、情報処理装置100がコンピュータとしての機能を有しているのである。
【0026】
さらに、本実施形態における記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク,CD,DVD,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスクのほか、ICカード,ROMカートリッジ,磁気テープ,パンチカード,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ),外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等のコンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することができる。
【0027】
本解析モデル生成装置10は、図1に示すように、分割指示入力部11,投影面指示入力部12,肉厚入力部13,形状モデル分割部14,詳細メッシュモデル生成部15,最大外形メッシュモデル生成部16,肉厚領域生成部17,重ね合わせ処理部18および結合部19をそなえて構成されている。
詳細メッシュモデル生成部15は、3次元CAD31によって作成された形状モデルに基づいて、形状モデルの詳細メッシュモデルを生成するものである。
【0028】
図3(a),(b),(c),(d),(e)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10によって生成される解析モデルを説明するための図であり、図3(a)は形状モデルの例を示す側面図、図3(b)は図3(a)に示す形状モデルに基づいて生成される詳細メッシュモデルの例を示す側面図、図3(c)は図3(a)に示す形状モデルに基づいて生成される最大外形メッシュモデルの例を示す側面図、図3(d)は図3(c)に示す最大外形メッシュモデルに基づいて生成される基本肉厚領域の例を示す側面図、図3(e)は本解析モデル生成装置10によって生成される解析モデルの例を示す側面図である。
【0029】
なお、これらの図3(a),(b),(c),(d),(e)においては、3次元形状を有する形状モデル50,詳細メッシュモデル60,最大外形メッシュモデル70,基本肉厚領域80,解析モデル90を、それぞれ一の面から見た状態(側面図)を示しており、その紙面に対する奥行き方向については便宜上省略している。
詳細メッシュモデル生成部15は、3次元CAD31によって形成された形状モデル(図3(a)参照)に基づいて要素分割を行なって数値解析用メッシュを生成するものであって、形状モデル50に基づいて、複数の直方体形状を有するメッシュ(キューボイド,直方六面体,メッシュ;以下、本明細書中においては直交メッシュという)の組み合わせとして構成された詳細メッシュモデル60(図3(b)参照)を生成するようになっている。
【0030】
この詳細メッシュモデル生成部15によって生成される詳細メッシュモデル60は、図3(b)に示すように、形状モデル50の形状を忠実に再現するように種々の大きさの直交メッシュ61を組み合わせて構成され、特に、その曲面部分等に多数の小さな直交メッシュ61が生成されている。
なお、この詳細メッシュモデル生成部15による直交メッシュの生成手法としては、既知の種々の手法を用いることができる。
【0031】
最大外形メッシュモデル生成部16は、3次元CAD31によって形成された形状モデルに基づいて、この形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデル70を生成するものである。
具体的には、最大外形メッシュモデル生成部16は、形状モデルの最大外形を調べ、この最大外形に合わせて(内包するもしくは同寸の)直方体を最大外形メッシュモデル70(図3(c)参照)として生成するようになっている。
【0032】
肉厚領域生成部17は、最大外形メッシュモデル70を構成する少なくとも一部の面から、最大外形メッシュモデル70の内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域80を生成するものである。
具体的には、肉厚領域生成部17は、最大外形メッシュモデル70を構成する各面を、最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さ(図3(d)の例ではt;肉厚)分だけ、それぞれ最大外形メッシュモデル70の内側に向かって平行移動することにより形成される領域を、基本肉厚領域80として生成する。このようにして構成された基本肉厚領域80は、所定の厚さ(肉厚)をそなえ、内部に最大外形メッシュモデル70と相似の直方体形状の空洞が形成された領域として構成される場合がある。
【0033】
なお、肉厚領域生成部17は、最大外形メッシュモデル70を構成する面のうち、少なくとも一部の面(例えば、図3(c)の面71,72)を、それぞれ所定肉厚(図3(d)の例ではt)分だけ最大外形メッシュモデルの内側に向かって平行移動することにより形成される空間を、基本肉厚領域80として生成してもよい。図3(d)に示す例においては、図3(c)の面71,72を平行移動することによって形成された基本肉厚領域80を示している。
【0034】
肉厚入力部13は、例えばオペレータが、上述した基本肉厚領域の厚さを肉厚として入力可能な手段であって、例えば、キーボード107やマウス108等によって実現される。又、この肉厚入力部13によって入力された値は、RAM103やHDD104等に格納され、上記肉厚領域生成部17により基本肉厚領域の所定厚さ(図3(d)の例ではt)として用いられる。
【0035】
重ね合わせ処理部18は、詳細メッシュモデル生成部15によって生成された詳細メッシュモデル60と肉厚領域生成部17によって生成された基本肉厚領域80とを重ね合わせることにより、解析モデル90(図3(e)参照)を生成するものである。この重ね合わせ処理部18は、肉厚領域生成部17によって生成された基本肉厚領域を複数の部分領域に分割し、これらの複数の部分領域のうち詳細メッシュモデル60との間で重合箇所がある部分領域を組み合わせることにより、解析モデル90を生成するようになっている。
【0036】
ここで、図4(a),(b),(c),図5〜図8を参照して、本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における重ね合わせ処理部18による解析モデル90の生成手法を説明する。
図4(a),(b),(c)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10の重ね合わせ処理部18の処理を説明するための図であって、図4(a)は形状モデルの例を示す側面図、図4(b)は図4(a)に示す形状モデルに基づいて生成された詳細メッシュモデルの例を示す図、図4(c)は重ね合わせ処理部18によって生成される複数の部分領域の例を示す図である。
【0037】
なお、図4(b)に示す詳細メッシュモデルにおいては、説明の便宜上、一部のメッシュを簡略化して示しており、例えば、図3(b)に示した詳細メッシュモデル60を参照することにより、ある程度簡略化して示されていることがわかる。又、各直交メッシュおよび各部分領域は直方体形状を有しているものであるが、これらの図4(a),(b),(c)においては、便宜上、Z軸方向(紙面奥行き方向)の情報を省略して示している。
【0038】
図5は図4(b)に示す詳細メッシュモデルを構成する各メッシュの形状(サイズ)や位置を示す図、図6は図4(c)に示す各部分領域の形状(サイズ)や位置を示す図、図7は本解析モデル生成装置10により生成された解析モデルの形状を示す側面図、図8は図7に示した解析モデルを構成する各部分領域の形状(サイズ)や位置を示す図である。
例えば、図4(a)に示すような、5mmの肉厚を有するL字形の断面形状の形状モデル50の解析モデル90を作成する場合について説明すると、詳細メッシュモデル生成部15は、この形状モデル50に基づいて、図4(b)に示すような詳細メッシュモデル60を作成する。
【0039】
この詳細メッシュモデル60は、直交メッシュ61の組み合わせることにより構成され、図4(a)に示す形状モデル50の形状を近似的に形成するものであって、直交メッシュ61−01,61−02,61−03,61−04,61−05,61−06の6個の直交メッシュをそなえて構成されている。なお、以下、図4(b)に示す詳細メッシュモデル60を形成する直交メッシュを示す符号としては、複数の直交メッシュのうち1つを特定する必要があるときには符号61−01〜61−06を用いるが、任意の直交メッシュを指すときには符号61を用いる。
【0040】
これらの直交メッシュ61−01,61−02,61−03,61−04,61−05,61−06の各位置やサイズは、図5に示すように表(直交メッシュ情報)として表すことができ、本解析モデル生成装置10においては、この図5に示すような直交メッシュ情報をHDD104やRAM103等の記憶装置に格納するようになっている。
なお、図5中におけるNo.は各直交メッシュ61を特定するための番号であり、各直交メッシュを表わす符号61−01〜61−06のハイフン以下の数字に対応している。又、この表中における各数値は、図4(b)における直交メッシュ61−01の左下側の頂点を原点(0,0,0)とした場合における座標値を示しており、各直交メッシュ61を構成する各面のX座標値,Y座標値およびZ座標値を示している。なお、この図5に示す例においても、便宜上、Z軸座標に関する情報を省略して示している。
【0041】
例えば、図5中において、直交メッシュ61−01は、X−Y系の平面座標において、点(0,0),点(5,0),点(5,30)および点(0,30)を各頂点とする長方形として表すことができ、又、X=0,X=5,Y=0およびY=30で表される各線に環囲される領域であることがわかる。
図4(c)においては、最大外形メッシュモデル70を構成する面71〜74を、それぞれ最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さ(図4(c)の例ではt=5mm)分だけ、最大外形メッシュモデル70の内側に向かって平行移動させ、これらの平行移動後の状態を示す面を、各平行移動前の面を示す符号の尾部に「′(ダッシュ)」を付して示している。又、これらの最大外形メッシュモデル70を構成する各面71,72,73,74とこれらの平行移動後の面71′,72′,73′,74′とによって区切られる各領域にそれぞれ符号81−1,81−2,81−3,81−4,81−5,81−6,81−7,81−8,81−9を付して示している。なお、以下、図4(c)における各領域を示す符号としては、複数の領域のうち1つを特定する必要があるときには符号81−1〜81−9を用いるが、任意の領域を指すときには符号81を用いる。
【0042】
これらの領域81−1,81−2,81−3,81−4,81−5,81−6,81−7,81−8,81−9の各位置やサイズは、図6に示すように表(領域情報)として表すことができ、本解析モデル生成装置10においては、この図6に示すような領域情報をHDD104やRAM103等の記憶装置に格納するようになっている。
なお、図6中におけるNo.は各領域81を特定するための番号であり、各領域を表わす符号81−1〜81−9のハイフン以下の数字に対応している。又、この表中における各数値は、図4(c)における領域81−1の左下側の頂点を原点(0,0,0)とした場合における座標値を示しており、各領域81を構成する各面のX座標値,Y座標値およびZ座標値を示している。なお、この図6に示す例においても、便宜上、Z軸座標に関する情報を省略して示している。
【0043】
例えば、領域81−1は、X−Y系の平面座標において、点(0,0),点(5,0),点(5,5)および点(0,5)を各頂点とする長方形として表すことができ、又、X=0,X=5,Y=0およびY=5で表される各線に環囲される領域であることがわかる。
そして、図4(c)中における領域81−1,81−2,81−3,81−4,81−6,81−7,81−8および81−9からなる領域が、肉厚領域生成部17によって生成される基本肉厚領域に相当するものであり、この基本肉厚領域を構成する領域81−1,81−2,81−3,81−4,81−6,81−7,81−8および81−9のそれぞれが部分領域に相当するものである。
【0044】
重ね合わせ処理部18は、図4(b)に示した詳細メッシュモデル60と図4(c)に示した基本肉厚領域80とを重ね合わせ、基本肉厚領域80を構成する部分領域81のうち、詳細メッシュモデル60と重合する部分のみを抽出する(データとして残す)ことにより(乗算)、解析モデル90を生成する。
なお、重ね合わせ処理部18は、図5に示した各直交メッシュ61の位置やサイズと、図6に示した各領域81の位置やサイズに基づいて、各領域81に重合する直交メッシュ61を特定することができる。
【0045】
図6中において、項目「重ね合わせ」には、上述した重ね合わせの結果、各領域81に重合する直交メッシュ61を特定する番号が登録されるようになっている。例えば、この図6に示す例においては、領域81−1に直交メッシュ61−01が、領域81−4に直交メッシュ61−01,61−02,61−03が、領域81−7に直交メッシュ61−02,61−03,61−04,61−05が、領域81−8に直交メッシュ61−05,61−06が、領域81−9に直交メッシュ61−06がそれぞれ重合していることを示している。又、図6に示す例においては、領域81−5は基本肉厚領域80が不在の空間であるので、重ね合わせの対象から除外されている。
【0046】
このように、基本肉厚領域80において詳細メッシュモデル60と重合する領域(部分領域)のみを抽出して組み合わせることにより、図7に示すような解析モデル90が生成される。又、この生成された解析モデル90を構成する各領域81の形状やサイズ,位置は、図8を参照することにより取得することができる。なお、この図8に示す情報は、図6中において項目「重ね合わせ」に直交メッシュ61が登録されているものを抽出することにより取得することができる。
【0047】
そして、本解析モデル生成装置10においては、この図8に示すような情報を、生成した解析モデル90を構成する情報として、HDD104やRAM103等の記憶装置に格納するようになっている。
分割指示入力部11は、オペレータが形状モデル50を複数の部分形状モデルに分割するための指示を入力するものであり、例えば、キーボード107やマウス108によって実現され、オペレータがこの分割指示入力部11によって入力する分割指示に従って、後述する形状モデル分割部14が形状モデルを複数の部分形状モデルに分割するようになっている。
【0048】
分割指示は、例えば、ディスプレイ106に表示された形状モデル50の画像上において、形状モデル50上での分割位置を示す分割線を入力・設定したり、分割する部分を領域を入力として入力するための選択領域を入力することにより行なう。
例えば、分割線は、水平線や垂直線の他、任意の始点と終点とからなる線分であってもよい。分割線が水平線や垂直線の場合には、オペレータは、分割指示入力部11を介してこれらの線が通過する位置を入力することが望ましく、又、分割線が任意の線分である場合には、オペレータは、分割指示入力部11を介してその線分の始点と終点とを入力することが望ましい。
【0049】
また、選択領域としては、例えば矩形形状を用いることができ(図17参照)、オペレータが、分割指示入力部11を介して、この矩形を形成する2つの対角の位置を順次入力することにより指定してもよい。又、選択領域として矩形以外の任意の形状を有する領域を用いてもよく、オペレータが、分割指示入力部11を介して、この領域の外形線が通過する位置(通過点)を順次入力することにより指定してもよい。
【0050】
なお、本実施形態においては、ディスプレイ106上等においてZ軸方向の表示を省略しているが、分割指示をディスプレイ106上において分割線や分割領域の2次元の情報として入力することにより、実際には、これらの分割線や分割領域がZ軸方向の情報を有するものとして取り扱われることは言うまでもない。
形状モデル分割部14は、形状モデルを複数の部分形状モデルに分割するものであり、分割指示入力部11によって入力された分割指示(分割位置)に従って、形状モデル50を複数の部分形状モデルに分割するようになっている。なお、この形状モデル分割部14による形状モデル50の分割手法には、既知の種々の手法を用いることができる。
【0051】
また、本実施形態においては、形状モデル50を2つの部分形状モデル501,502(図10参照)に分割する例を示しているが、これに限定されるものではなく、3以上の部分形状モデルに分割してもよい。
図9は複雑な形状モデル50の例を示す斜視図、図10は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における形状モデル50の分割例を示す図であり、図9に示した形状モデル50を2つの部分形状モデル501,502に分割する例を示す図である。なお、この図10においても、便宜上、Z軸方向(紙面奥行き方向)の情報を省略して示している。
【0052】
この図10に示す例においては、形状モデル50において突出している部分を矩形の分割領域121によって環囲することにより、この分割領域121によって環囲された部分形状モデル501と、この部分形状モデル501以外の部分である部分形状モデル502とに分割した例を示している。
図11(a),(b),(c)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における分割された形状モデル50に基づく解析モデル90の生成手法を説明するための図であり、図11(a)は部分形状モデル501,502に分割された形状モデル50の例を示す図、図11(b)は図11(a)に示した各部分形状モデル501,502に基づいてそれぞれ生成された部分解析モデル901,902の例を示す図、図11(c)は生成された解析モデル90の例を示す図である。なお、これらの図11(a),(b),(c)においても、便宜上、Z軸方向(紙面奥行き方向)の情報を省略して示している。
【0053】
本解析モデル生成装置10においては、形状モデル分割部14が形状モデル50を複数の部分形状モデル501,502に分割した場合には、詳細メッシュモデル生成部15は、これらの部分形状モデル501,502のそれぞれに基づいて、前述した手法を用いて、各部分形状モデル501,502に対応する詳細メッシュモデル(図示省略)をそれぞれ生成するようになっている。なお、以下、このように、部分形状モデルに基づいて生成された詳細メッシュモデルを部分詳細メッシュモデルという場合がある。
【0054】
同様に、最大外形メッシュモデル生成部16は、これらの部分形状モデル501,502のそれぞれに基づいて、前述した手法を用いて、各部分形状モデル501,502の外形に対応する最大外形メッシュモデル(図示省略)をそれぞれ生成するようになっており、以下、このように、部分形状モデルに基づいて生成された最大外形メッシュモデルを部分最大外形メッシュモデルという場合がある。
【0055】
さらに、肉厚領域生成部17は、これらの部分最大外形メッシュモデルに基づいて、前述した手法を用いて、各部分最大外形メッシュモデルに対応する基本肉厚領域(図示省略)をそれぞれ生成するようになっている。すなわち、肉厚領域生成部17は、部分形状モデル毎に基本肉厚領域を生成するようになっている。なお、以下、このように、部分最大外形メッシュモデルに基づいて生成された基本肉厚領域を部分基本肉厚領域という場合がある。
【0056】
そして、重ね合わせ処理部18は、これらの部分形状モデル501,502のそれぞれについて、前述した手法を用いて、部分詳細メッシュモデルと部分基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、解析モデル901,902をそれぞれ生成するようになっている。すなわち、重ね合わせ処理部18は、部分形状モデル毎に解析モデルを生成するようになっている。なお、以下、このように、部分形状モデルに基づいて生成された解析モデルを部分解析モデルという場合がある。
【0057】
なお、図11(a),(b)に示す例においては、部分形状モデル501に基づいて部分解析モデル901が生成され、部分形状モデル502に基づいて部分解析モデル902が生成された例を示している。
結合部19は、重ね合わせ処理部18によって生成された解析モデル(部分解析モデル)を結合するものであって、図11(b)に示すような、複数の部分解析モデル901,902を結合して、1つの解析モデル90を生成するようになっている。なお、この結合部19による部分解析モデル901,902の結合手法には、既知の種々の手法を用いることができる。
【0058】
投影面指示入力部12は、形状モデル50がその構成面上に部分的に突出する突起をそなえる場合であって、解析処理においてこの突起を無視する場合に、この突起の投影先の構成面を投影面として指定するものであり、例えば、キーボード107やマウス108によって実現される。そして、オペレータがこの投影面指示入力部12によって入力する投影指示に従って、指示された投影面が解析モデル90の外形を構成する面となるように解析モデル90が生成されるようになっている。
【0059】
具体的には、本実施形態においては、結合部19は、複数の部分解析モデルの結合を行なう際に、これらの部分解析モデルの大小関係を判断して、小さい方の部分解析モデルを大きい方の部分解析モデルに埋没させて、小さい方の部分解析モデルの突出している側の面(図12(c)における面911)が前記投影面(図12(a)における投影面512)と同一面上になるように、移動(データオフセット)することにより、指示された投影面が解析モデル90の外形を構成する面となるように解析モデル90が生成されるようになっている。
【0060】
これにより、解析モデル90から部分解析モデル903を単に除去することによって、部分解析モデル903の除去後に解析モデル90に穴が形成されることを防止することができる。
図12(a),(b),(c),(d)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における形状モデル50に対する投影指示によって解析モデル90の簡略化を行なう手法を説明するための図であり、図12(a)は形状モデル50における投影面の例を示す図、図12(b)は図12(a)に示した投影面によって分割することにより生成された部分形状モデル503,504および部分詳細メッシュモデル703,704の例を示す図、図12(c)は一部の部分詳細メッシュモデル903をオフセットした状態を示す図、図12(d)は生成された解析モデル90の例を示す図である。なお、これらの図12(a),(b),(c),(d)においても、便宜上、Z軸方向(紙面奥行き方向)の情報を省略して示している。
【0061】
上述した図12(a),(b),(c),(d)を参照しながら、本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における形状モデル50に対する投影指示によって解析モデル90の簡略化を行なう手法を、図13に示すフローチャート(ステップA10〜A60)に従って説明する。
オペレータが、投影面指示入力部12を用いて、形状モデル50の構成面上における突起の先端部分(図12(a)に示す例においては面511)を、投影面(構成面;図12(a)に示す例においては面512)に投影する旨の指示入力(投影面指示)を行なうと(ステップA10)、形状モデル分割部14が、この指示された投影面512を分割線として形状モデル50を複数の部分形状モデル(図12(b)の例においては部分形状モデル503,504)に分割する(ステップA20)。
【0062】
そして、このようにして生成された部分形状モデル503,504に基づいて、詳細メッシュモデル生成部15,最大外形メッシュモデル生成部16,肉厚領域生成部17,重ね合わせ処理部18等が部分解析モデル903,904を生成する(ステップA30)。
具体的には、詳細メッシュモデル生成部15が、これらの部分形状モデル503,504に基づいて部分詳細メッシュモデル(図示省略)を生成し、又、最大外形メッシュモデル生成部16が、これらの部分形状モデル503,504に基づいて部分最大外形メッシュモデル703,704を生成し、更に、肉厚領域生成部17が、基本肉厚を用いて部分基本肉厚領域(図示省略)を生成する。
【0063】
そして、重ね合わせ処理部18が、詳細メッシュモデル生成部15によって作成された詳細メッシュモデルと、肉厚領域生成部17によって生成された基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、各部分基本肉厚領域を構成する部分領域のうち、部分詳細メッシュモデルと重合する部分を抽出することにより、部分解析モデル903,904をそれぞれ作成する。
【0064】
その後、結合部19が、これらの部分解析モデル903,904の大小関係を判断して(ステップA40)、小さい方(従)の部分解析モデル903を大きい方(主)の部分解析モデル904に埋没させるように、小さい方の部分解析モデルの突出している側の面(図12(c)における面911)が前記投影面512と同一面上になるように、移動(データオフセット)した後(ステップA50;図12(c)参照)、これらの部分解析モデル903,904をマージすることにより(ステップA60;図12(d)参照)、解析モデル90を生成する。
【0065】
上述の如く構成された本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における解析モデルの生成手法を、図14に示すフローチャート(ステップB10〜B60)にしたがって説明する。
先ず、3次元CAD31によって作成された形状モデル50を取得し(ステップB10)、詳細メッシュモデル生成部15が、この形状モデル50に基づいて詳細メッシュモデル60を生成し(ステップB20)、又、最大外形メッシュモデル生成部16が、この形状モデル50に基づいて最大外形メッシュモデル70を生成する(ステップB30)。
【0066】
また、オペレータがキーボード107やマウス108を用いて基本肉厚値の入力を行なったり、予めデフォルトの値として設定された基本肉厚値を用いることにより、基本肉厚指示を行ない(ステップB40)、肉厚領域生成部17が、この基本肉厚を用いて基本肉厚領域80を生成する。
重ね合わせ処理部18は、詳細メッシュモデル生成部15によって作成された詳細メッシュモデル60と、肉厚領域生成部17によって生成された基本肉厚領域80とを重ね合わせて(ステップB50)、基本肉厚領域80を構成する部分領域81のうち、詳細メッシュモデル60と重合する部分を抽出することにより解析モデル90を作成する(ステップB60)。
【0067】
次に、本解析モデル生成装置10における、複雑な形状を有する形状モデル50の解析モデルの生成手法を、図15に示すフローチャート(ステップC10〜C80)に従って説明する。
先ず、オペレータが、例えば、ディスプレイ106に表示された複数の形状モデル50の中から、特定の形状モデル50を選択することにより、解析モデル90の生成を行なう形状モデル50の選択(部品選択)を行ない(ステップC10)、更に、この選択した形状モデル50について、分割処理を行なうか否かの判断を行なう(ステップC20)。
【0068】
分割処理を行なわない場合には(ステップC20の“無”ルート参照)、詳細メッシュモデル生成部15が、この形状モデル50に基づいて詳細メッシュモデル60を生成し(ステップC50)、又、最大外形メッシュモデル生成部16が、この形状モデル50に基づいて最大外形メッシュモデル70を生成する(ステップC60)。
また、オペレータがキーボード107やマウス108を用いて基本肉厚値の入力を行なったり、予めデフォルトの値として設定された基本肉厚値を用いることにより、基本肉厚指示を行ない(ステップC70)、肉厚領域生成部17が、この基本肉厚を用いて基本肉厚領域80を生成する。
【0069】
そして、重ね合わせ処理部18は、詳細メッシュモデル生成部15によって作成された詳細メッシュモデル60と、肉厚領域生成部17によって生成された基本肉厚領域80とを重ね合わせて(ステップC80)、基本肉厚領域80を構成する部分領域81のうち、詳細メッシュモデル60と重合する部分を抽出することにより解析モデル90を作成する。
【0070】
一方、分割処理を行なう場合には(ステップC20の“有”ルート参照)、オペレータは、キーボード107やマウス108を用いて分割領域の指示・入力を行なう(ステップC30)。又、形状モデル50において、その構成面(投影面)に投影(埋没)させる突起がある場合には、オペレータは、キーボード107やマウス108を用いて、投影面指示を行なう(ステップC40)。
【0071】
形状モデル分割部14は、入力された分割指示や投影指示に従って、複数の形状モデル50を部分形状モデルに分割し、ステップC50に移行する。なお、以下、ステップC50〜C80においては、これの複数の部分形状モデルのそれぞれに対して各処理が行なわれ、生成された部分解析モデルが、結合部19により結合され、解析モデル90が生成される。
【0072】
図16〜図18はそれぞれ本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10のディスプレイ106に表示される入力画面の例を示す図であり、図16は基本肉厚や分割指示,投影指示を入力する入力画面の例を示す図、図17は分割領域の入力画面の例を示す図、図18は投影面の指示入力画面の例を示す図である。なお、本実施形態においては、表示制御部105が、これらの画面をディスプレイ106に表示させるよう制御するようになっている。
【0073】
オペレータは、例えば図16に示すような入力画面において、基本肉厚の値を数値として入力したり、分割指示を水平線や垂直線,矩形選択のいずれの手法で入力するかを選択したり、投影面指示を行なう旨の入力を行なうことができる。
そして、オペレータが、例えば、図16に示す入力画面において、分割指示の「矩形選択」を選択した後に、決定ボタン1061を選択することにより,ディスプレイ106に図17に示すような分割領域の入力画面が表示され、オペレータは、この分割領域の入力画面において形状モデル50の一部を矩形の分割領域121によって環囲することにより分割指示が行なわれる。
【0074】
また、オペレータが、例えば、図16に示す入力画面において、面選択を行なう旨の選択を行なった後に、決定ボタン1061を選択することにより、ディスプレイ106に図18に示すような投影面512の指示入力画面が表示され、オペレータは、この投影面512の指示入力画面において形状モデル50の一部の構成面を選択することにより投影面指示が行なわれる。
【0075】
このように、本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10によれば、簡略化した解析モデル90を容易に作成することができ、解析モデル90の作成時間を短縮することができる。例えば、従来手法においては簡略化した解析モデルを製造するために2.5日かかっていたところを、本解析モデル生成装置10によれば0.3日で行なうことができ、1/8の時間に短縮することができる。
【0076】
また、本解析モデル生成装置10によれば、解析モデル規模を抑制することにより下流工程である解析ツール32における解析処理時間を短縮することができる。
図19は図9に示した形状モデルに基づいて生成された詳細メッシュモデル60の例を示す斜図、図20は図9に示した形状モデルに基づいて本解析モデル生成装置10により生成した解析モデル90の例を示す斜視図である。
【0077】
例えば、従来においては、解析ツール32において、図19に示すような詳細メッシュモデル60の解析処理に8.0時間かかっていたところを、図20に示すような、本解析モデル生成装置10によって作成された簡素化された解析モデル90では、解析ツール32はその解析処理を1.5時間で行なうことができ、1/5の時間に短縮することができる。
【0078】
このように、本解析モデル生成装置10によれば、解析に関わる処理時間を短縮することができ、又、例えば、形状モデルの良し悪しの判断等、設計上流での設計方針の決定・判断の早期化にも有効である。
また、本解析モデル生成装置10においては、例えば、凹凸を有する複雑な形状の形状モデル50については、オペレータが分割指示入力部11を介して形状モデル50を複数の部分形状モデルに分割するための指示を入力し、形状モデル分割部14が分割指示入力部11によって入力された分割指示(分割位置)に従って、形状モデル50を複数の部分形状モデルに分割したり、オペレータが投影面指示入力部12を介して形状モデル50の突起を投影する投影面を指示・入力し、指示された投影面が解析モデル90の外形を構成する面となるように解析モデル90を生成することにより、形状モデル50の形状と最大外形メッシュモデル70と生成される解析モデル90との乖離を最小限にすることができ、下流工程の解析ツール32における解析処理の精度を向上させることができる。
【0079】
さらに、オペレータが投影面指示入力部12を介して形状モデル50の突起を投影する投影面を指示・入力し、指示された投影面が解析モデル90の外形を構成する面となるように解析モデル90を生成することにより、その突起が存在しないものとして無視することができ、解析モデル90から、解析の結果に与える影響が少ないと判断できる突起を迅速かつ容易に除外することができ、利便性が高い。
【0080】
そして、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態においては、詳細メッシュモデル生成部15が、形状モデルに基づいて、立方体形状のメッシュ(直交メッシュ)を生成しているが、これに限定されるものではなく、種々の形状のメッシュを生成してもよい。
【0081】
また、上述した実施形態においては、詳細メッシュモデル60を構成する各直交メッシュ61の形状(サイズ)や位置を図5に示したような情報として保存するとともに、基本肉厚領域80を構成する部分領域81の形状(サイズ)や位置を図6に示したような情報として保存し、更に、成した解析モデル90を構成する情報を図8に示したような情報として保存しているが、これらに限定されるものではなく、これらに類する情報や他の情報を種々の形態で保存してもよい。
【0082】
さらに、上述した実施形態においては、肉厚領域生成部17が、最大外形メッシュモデル70に基づいて均一の肉厚の基本肉厚領域80を生成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、肉厚入力部13から複数種類の肉厚を入力することにより、基本肉厚領域80において部分的に異なる肉厚を設定してもよい。
そして、本発明は、以下に示すように要約することができる。
【0083】
(付記1) 形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成装置であって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部とをそなえることを特徴とする、解析モデル生成装置。
【0084】
(付記2) 該重ね合わせ処理部が、
該基本肉厚領域を複数の部分領域に分割し、当該複数の部分領域のうち該詳細メッシュモデルとの間で重合箇所がある該部分領域を組み合わせることにより、該解析モデルを生成することを特徴とする、付記1記載の解析モデル生成装置。
(付記3) 該基本肉厚領域の厚さを肉厚として入力可能な肉厚入力部をそなえ、
該肉厚領域生成部が、該肉厚入力部によって入力された該肉厚を該基本肉厚領域の該所定厚さとすることを特徴とする、付記1又は付記2記載の解析モデル生成装置。
【0085】
(付記4) 該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割部をそなえ、
該詳細メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該最大外形メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該肉厚領域生成部が、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、
該重ね合わせ処理部が、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、
該重ね合わせ処理部によって生成された該解析モデルを結合する結合部をそなえることを特徴とする、付記1〜付記3のいずれか1項に記載の解析モデル生成装置。
【0086】
(付記5) 該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、
該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力部をそなえ、
該投影面指示入力部によって指示された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されることを特徴とする、付記1〜付記3のいずれか1項に記載の解析モデル生成装置。
【0087】
(付記6) 形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成方法であって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成ステップと、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成ステップと、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域設定ステップと、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理ステップとをそなえることを特徴とする、解析モデル生成方法。
【0088】
(付記7) 該重ね合わせ処理ステップにおいて、
該基本肉厚領域を複数の部分領域に分割し、当該複数の部分領域のうち該詳細メッシュモデルとの間で重合箇所がある該部分領域を組み合わせることにより、該解析モデルを生成することを特徴とする、付記6記載の解析モデル生成方法。
(付記8) 該基本肉厚領域の厚さを肉厚として入力可能な肉厚入力ステップをそなえ、
該肉厚領域生成ステップにおいて、該肉厚入力ステップにおいて入力された該肉厚を該基本肉厚領域の該所定厚さとすることを特徴とする、付記6又は付記7記載の解析モデル生成方法。
【0089】
(付記9) 該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割ステップをそなえ、
該詳細メッシュモデル生成ステップにおいて、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該最大外形メッシュモデル生成ステップにおいて、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該肉厚領域生成部が、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、
該重ね合わせ処理ステップにおいて、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、
該重ね合わせ処理ステップにおいて生成された該解析モデルを結合する結合ステップをそなえることを特徴とする、付記6〜付記8のいずれか1項に記載の解析モデル生成方法。
【0090】
(付記10) 該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、
該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力ステップをそなえ、
該投影面指示入力ステップにおいて指示された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されることを特徴とする、付記6〜付記8のいずれか1項に記載の解析モデル生成方法。
【0091】
(付記11) 形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成機能をコンピュータに実行させるための解析モデル生成プログラムであって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部として、該コンピュータを機能させることを特徴とする、解析モデル生成プログラム。
【0092】
(付記12) 該重ね合わせ処理部として該コンピュータを機能させる際に、
該基本肉厚領域を複数の部分領域に分割し、当該複数の部分領域のうち該詳細メッシュモデルとの間で重合箇所がある該部分領域を組み合わせることにより、該解析モデルを生成するように該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記11記載の解析モデル生成プログラム。
【0093】
(付記13) 該基本肉厚領域の厚さを肉厚として入力可能な肉厚入力部として該コンピュータを機能させるとともに、
該肉厚領域生成部として該コンピュータを機能させる際に、該肉厚入力部によって入力された該肉厚を該基本肉厚領域の該所定厚さとすることを特徴とする、付記11又は付記12記載の解析モデル生成プログラム。
【0094】
(付記14) 該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割部として該コンピュータを機能させるとともに、
該詳細メッシュモデル生成部として該コンピュータを機能させる際に、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該最大外形メッシュモデル生成部として該コンピュータを機能させる際に、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該肉厚領域生成部として該コンピュータを機能させる際に、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、
該重ね合わせ処理部として該コンピュータを機能させる際に、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、
該重ね合わせ処理部によって生成された該解析モデルを結合する結合部として該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記11〜付記13のいずれか1項に記載の解析モデル生成プログラム。
【0095】
(付記15) 該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、
該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力部として該コンピュータを機能させ、
該投影面指示入力部によって指定された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されるように、該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記11〜付記13のいずれか1項に記載の解析モデル生成プログラム。
【0096】
(付記16) 形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成機能をコンピュータに実行させるための解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
該解析モデル生成プログラムが、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部として、該コンピュータを機能させることを特徴とする、解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【0097】
(付記17) 該解析モデル生成プログラムが、
該重ね合わせ処理部として該コンピュータを機能させる際に、
該基本肉厚領域を複数の部分領域に分割し、当該複数の部分領域のうち該詳細メッシュモデルとの間で重合箇所がある該部分領域を組み合わせることにより、該解析モデルを生成するように該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記16記載の解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【0098】
(付記18) 該解析モデル生成プログラムが、
該基本肉厚領域の厚さを肉厚として入力可能な肉厚入力部として該コンピュータを機能させるとともに、
該肉厚領域生成部として該コンピュータを機能させる際に、該肉厚入力部によって入力された該肉厚を該基本肉厚領域の該所定厚さとすることを特徴とする、付記16又は付記17記載の解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【0099】
(付記19) 該解析モデル生成プログラムが、
該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割部として該コンピュータを機能させるとともに、
該詳細メッシュモデル生成部として該コンピュータを機能させる際に、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該最大外形メッシュモデル生成部として該コンピュータを機能させる際に、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該肉厚領域生成部として該コンピュータを機能させる際に、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、
該重ね合わせ処理部として該コンピュータを機能させる際に、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、
該重ね合わせ処理部によって生成された該解析モデルを結合する結合部として該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記16〜付記18のいずれか1項に記載の解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【0100】
(付記20) 該解析モデル生成プログラムが、
該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、
該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力部として該コンピュータを機能させ、
該投影面指示入力部によって指定された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されるように、該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記16〜付記18のいずれか1項に記載の解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置として機能する情報処理装置(コンピュータシステム)のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図3】(a),(b),(c),(d),(e)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置によって生成される解析モデルを説明するための図である。
【図4】(a),(b),(c)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置の重ね合わせ処理部の処理を説明するための図である。
【図5】図4(b)に示す詳細メッシュモデルを構成する各メッシュの形状(サイズ)や位置を示す図
【図6】図4(c)に示す各部分領域の形状(サイズ)や位置を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置によって生成された解析モデルの形状を示す側面図である。
【図8】図7に示した解析モデルを構成する各部分領域の形状(サイズ)や位置を示す図である。
【図9】複雑な形状モデルの例を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における形状モデルの分割例を示す図である。
【図11】(a),(b),(c)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における分割された形状モデルに基づく解析モデルの生成手法を説明するための図である。
【図12】(a),(b),(c),(d)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における形状モデルに対する投影指示によって解析モデルの簡略化を行なう手法を説明するための図である。
【図13】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における形状モデルに対する投影指示によって解析モデルの簡略化を行なう手法を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における解析モデルの生成手法を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における、複雑な形状を有する形状モデルの解析モデルの生成手法を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置のディスプレイに表示される入力画面の例を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置のディスプレイに表示される入力画面の例を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置のディスプレイに表示される入力画面の例を示す図である。
【図19】図9に示した形状モデルに基づいて生成された詳細メッシュモデルの例を示す斜視図である。
【図20】図9に示した形状モデルに基づいて本解析モデル生成装置により生成した解析モデルの例を示す斜視図である。
【図21】(a),(b),(c)はそれぞれ従来の解析モデル生成手法によって生成される解析モデルを説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0102】
10 解析モデル生成装置
11 分割指示入力部
12 投影面指示入力部
13 肉厚入力部
14 形状モデル分割部
15 詳細メッシュモデル生成部
16 最大外形メッシュモデル生成部
17 肉厚領域生成部
18 重ね合わせ処理部
19 結合部
31 3次元CAD
32 解析ツール
50 形状モデル
60 詳細メッシュモデル
61,61−01〜61−06 直交メッシュ
70 最大外形メッシュモデル
71〜74 面
80 基本肉厚領域
81,81−1〜81−9 領域
90 解析モデル
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 表示制御部
106 ディスプレイ
107 キーボード
108 マウス
121 分割領域
511,911 面
512 面(投影面)
501〜504 部分形状モデル
703,704 部分最大外形メッシュモデル
901,902 部分解析モデル
1061 決定ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状モデルを数値解析するための解析モデルであって、特に簡略化された解析モデルを生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、設計の過程において、3次元CAD(Computer Aided Design)によって作成されたモデリングデータ(形状データ,3次元CADデータ)を用いて、設計対象物の形状等を数値解析するための解析モデル(メッシュモデル)を作成することにより、解析モデルの作成に要する時間を短縮し、設計作業を効率化することが行なわれている。
例えば、下記特許文献1に示されるVPS/Simulation-HUB(富士通)においては、3次元CADデータを解析モデル(メッシュ構造)に変換する機能をそなえている。
【0003】
図21(a),(b),(c)は従来の解析モデル生成手法によって生成される解析モデルを説明するための斜視図であり、図21(a)は3次元CADによって作成された形状モデルの例を示す斜視図、図21(b)は図21(a)に示す形状モデルに基づいて従来手法によって生成された解析モデルの例を示す斜視図、図21(c)は図21(b)の部分拡大図である。なお、これらの図21(b),(c)に示す例においては、六面体形状を有するメッシュ(直交メッシュという場合もある)によって生成された解析モデルの例を示している。
【0004】
このような従来の解析モデル生成手法によって生成された解析モデルにおいては、例えば、図21(c)に示すような曲面部分等ではメッシュ数が増大する。3次元CADによって作成されたモデリングデータに基づいて解析モデルを生成する際に、モデリングデータの形状を忠実に再現するために、曲面部分等に多数の小さなメッシュ形状が生成され、これにより、メッシュ情報(分割)が多くなるのである。
【0005】
従って、携帯電話や携帯型PC(Personal Computer)のように、デザイン上、その表面形状に曲面が多用されている製品においては解析モデルが大規模化する。
例えば、図21(b),(c)に示した解析モデルは、5000万メッシュを超える大規模なものである。
【非特許文献1】植田 晃,浦木 靖司,青木 健一郎著 「VPS/Simulation-HUBの実現と高速モデリング (PDF)」雑誌 富士通 2004-5月号(VOL.55,NO.3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般に、解析規模(解析処理時間)は、メッシュ分割数の2乗に比例すると言われており、このような従来の解析モデルの生成手法によって生成された大規模な解析モデルをソルバー(解析ツール)により解析処理(数値解析)することは、計算機のハードウェア性能や制限の観点から現実的ではなく、例えば解析モデルにおいて細かな形状変更は避けられない。
【0007】
例えば、前述した図21(b),(c)に示すような解析モデルについては、解析処理を行なうために、現実的な解析規模である500万メッシュ程度になるまで、手作業により解析モデルの簡略化を行なう必要がある。
従来、このような解析モデルの簡略化は、図21(b)に示すような詳細なメッシュが形成された解析モデルをテンプレート(見本)にして、作業者が形状修正を行なうことにより作成しており、このような解析モデルの簡略化の作業が煩雑であるという課題がある。
【0008】
また、例えば、上述したVPS/Simulation-HUBにおいては、メッシュ数の増加を低減するために、解析に影響しない微小部品や解析対象外にする部品を取り除く機能をそなえており、例えば、ユーザが指定したサイズ以下の部品を削除することにより不要部品の削除を行ない、メッシュ数を削減することができるようになっているが、解析モデルの簡略化をより効率良く行なうことが要求されている。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、解析モデルを容易に簡略化することにより、数値解析に関する処理時間を短縮し、設計作業を効率化することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明の解析モデル生成装置(請求項1)は、形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成装置であって、該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部とをそなえることを特徴としている。
【0011】
なお、該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割部をそなえ、該詳細メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、該最大外形メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、該肉厚領域生成部が、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、該重ね合わせ処理部が、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、該重ね合わせ処理部によって生成された該解析モデルを結合する結合部をそなえてもよい(請求項2)。
【0012】
そして、該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力部をそなえ、該投影面指示入力部によって指示された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されてもよい(請求項3)。
また、本発明の解析モデル生成方法(請求項4)は、形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成方法であって、該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成ステップと、該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成ステップと、該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域設定ステップと、該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理ステップとをそなえることを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明の解析モデル生成プログラム(請求項5)は、形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成機能をコンピュータに実行させるための解析モデル生成プログラムであって、該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部として、該コンピュータを機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の少なくともいずれか1つの効果ないし利点が得られる。
(1)簡略化した解析モデルを容易に作成することができ、解析モデルの作成時間を短縮することができる。
(2)解析モデル規模を抑制することにより下流工程である解析ツールにおける解析処理時間を短縮することができる。
【0015】
(3)解析に関わる処理時間を短縮することができ、又、例えば、形状モデルの良し悪しの判断等、設計上流での設計方針の決定・判断の早期化にも有効である。
(4)複雑な形状の形状モデルについても、形状モデルの形状と最大外形メッシュモデルや解析モデルとの乖離を最小限にすることができ、下流工程の解析ツールにおける解析処理の精度を向上させることができる。
【0016】
(5)解析モデルから、解析の結果に与える影響が少ないと判断できる突起を迅速かつ容易に除外することができ利便性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置の構成を模式的に示す図である。
本解析モデル生成装置10は、形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成するものであって、3次元CAD(Computer Aided Design)31等によって作成された3次元CADデータ(形状モデル)に基づいて、簡略化された解析モデルを生成するようになっている。
【0018】
そして、本解析モデル生成装置10によって生成された解析モデルは、ソルバ(solver)等の解析ツール32に渡され、この解析ツール32において種々の解析処理が行なわれるようになっている。
また、本解析モデル生成装置10は、例えば携帯電話やノートパソコンの筐体のように、特定の肉厚をそなえた板状部材を組み合わせて構成された形状モデルの解析モデルの生成に好適であり、特に中空の(箱型)の形状を有する形状モデルの解析モデルの生成に好適である。
【0019】
3次元CAD31は、設計対象物の形状に関する情報をコンピュータ上において3次元空間上の形状モデル(モデリングデータ)として生成するものであり、この3次元CAD31としては種々のものが知られている。なお、本実施形態においては、この3次元CAD31として特定のプログラムや製品等に限定されるものではなく、又、形状モデルにおいても特定のデータ形式等に限定されるものではない。
【0020】
そして、3次元CAD31によって生成された形状モデルは、LAN(Local Area Network)等の通信手段や、メモリや磁気ディスクのような記憶媒体を経由する等、種々の手法で本解析モデル生成装置10に渡されるようになっており、又、この形状モデルの本解析モデル生成装置10への受け渡しは特定の手法に限定されるものではない。
解析ツール32は、本解析モデル生成装置10によって生成された解析モデルに基づいて種々の解析処理(演算処理)を行なうものであって、本実施形態においては、例えば熱流体解析や電磁波解析を行なうようになっている。
【0021】
図2は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10として機能する情報処理装置(コンピュータシステム)のハードウェア構成を模式的に示す図である。本解析モデル生成装置10は、この図2に示すような情報処理装置100によって実現される。
情報処理装置100は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)101,ROM102,RAM103,HDD(Hard Disk Drive)104,表示制御部105,ディスプレイ106,キーボード107およびマウス108をそなえて構成されている。
【0022】
そして、情報処理装置100のCPUが、解析モデル生成プログラムを実行することにより、後述する、形状モデル分割部14,詳細メッシュモデル生成部15,最大外形メッシュモデル生成部16,肉厚領域生成部17,重ね合わせ処理部18および結合部19として機能するようになっている。又、この情報処理装置100がプログラムを実行することにより、3次元CAD31として機能してもよい。
【0023】
なお、これらの形状モデル分割部14,詳細メッシュモデル生成部15,最大外形メッシュモデル生成部16,肉厚領域生成部17,重ね合わせ処理部18および結合部19としての機能を実現するためのプログラム(解析モデル生成プログラム)は、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RW等),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RW等),磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。そして、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。又、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0024】
形状モデル分割部14,詳細メッシュモデル生成部15,最大外形メッシュモデル生成部16,肉厚領域生成部17,重ね合わせ処理部18および結合部19としての機能を実現する際には、内部記憶装置(本実施形態では情報処理装置100のRAM103やROM102)に格納されたプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサ(本実施形態ではCPU101)によって実行される。このとき、記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータが読み取って実行するようにしてもよい。
【0025】
なお、本実施形態において、コンピュータとは、ハードウェアとオペレーティングシステムとを含む概念であり、オペレーティングシステムの制御の下で動作するハードウェアを意味している。又、オペレーティングシステムが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とをそなえており、本実施形態においては、情報処理装置100がコンピュータとしての機能を有しているのである。
【0026】
さらに、本実施形態における記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク,CD,DVD,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスクのほか、ICカード,ROMカートリッジ,磁気テープ,パンチカード,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ),外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等のコンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することができる。
【0027】
本解析モデル生成装置10は、図1に示すように、分割指示入力部11,投影面指示入力部12,肉厚入力部13,形状モデル分割部14,詳細メッシュモデル生成部15,最大外形メッシュモデル生成部16,肉厚領域生成部17,重ね合わせ処理部18および結合部19をそなえて構成されている。
詳細メッシュモデル生成部15は、3次元CAD31によって作成された形状モデルに基づいて、形状モデルの詳細メッシュモデルを生成するものである。
【0028】
図3(a),(b),(c),(d),(e)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10によって生成される解析モデルを説明するための図であり、図3(a)は形状モデルの例を示す側面図、図3(b)は図3(a)に示す形状モデルに基づいて生成される詳細メッシュモデルの例を示す側面図、図3(c)は図3(a)に示す形状モデルに基づいて生成される最大外形メッシュモデルの例を示す側面図、図3(d)は図3(c)に示す最大外形メッシュモデルに基づいて生成される基本肉厚領域の例を示す側面図、図3(e)は本解析モデル生成装置10によって生成される解析モデルの例を示す側面図である。
【0029】
なお、これらの図3(a),(b),(c),(d),(e)においては、3次元形状を有する形状モデル50,詳細メッシュモデル60,最大外形メッシュモデル70,基本肉厚領域80,解析モデル90を、それぞれ一の面から見た状態(側面図)を示しており、その紙面に対する奥行き方向については便宜上省略している。
詳細メッシュモデル生成部15は、3次元CAD31によって形成された形状モデル(図3(a)参照)に基づいて要素分割を行なって数値解析用メッシュを生成するものであって、形状モデル50に基づいて、複数の直方体形状を有するメッシュ(キューボイド,直方六面体,メッシュ;以下、本明細書中においては直交メッシュという)の組み合わせとして構成された詳細メッシュモデル60(図3(b)参照)を生成するようになっている。
【0030】
この詳細メッシュモデル生成部15によって生成される詳細メッシュモデル60は、図3(b)に示すように、形状モデル50の形状を忠実に再現するように種々の大きさの直交メッシュ61を組み合わせて構成され、特に、その曲面部分等に多数の小さな直交メッシュ61が生成されている。
なお、この詳細メッシュモデル生成部15による直交メッシュの生成手法としては、既知の種々の手法を用いることができる。
【0031】
最大外形メッシュモデル生成部16は、3次元CAD31によって形成された形状モデルに基づいて、この形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデル70を生成するものである。
具体的には、最大外形メッシュモデル生成部16は、形状モデルの最大外形を調べ、この最大外形に合わせて(内包するもしくは同寸の)直方体を最大外形メッシュモデル70(図3(c)参照)として生成するようになっている。
【0032】
肉厚領域生成部17は、最大外形メッシュモデル70を構成する少なくとも一部の面から、最大外形メッシュモデル70の内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域80を生成するものである。
具体的には、肉厚領域生成部17は、最大外形メッシュモデル70を構成する各面を、最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さ(図3(d)の例ではt;肉厚)分だけ、それぞれ最大外形メッシュモデル70の内側に向かって平行移動することにより形成される領域を、基本肉厚領域80として生成する。このようにして構成された基本肉厚領域80は、所定の厚さ(肉厚)をそなえ、内部に最大外形メッシュモデル70と相似の直方体形状の空洞が形成された領域として構成される場合がある。
【0033】
なお、肉厚領域生成部17は、最大外形メッシュモデル70を構成する面のうち、少なくとも一部の面(例えば、図3(c)の面71,72)を、それぞれ所定肉厚(図3(d)の例ではt)分だけ最大外形メッシュモデルの内側に向かって平行移動することにより形成される空間を、基本肉厚領域80として生成してもよい。図3(d)に示す例においては、図3(c)の面71,72を平行移動することによって形成された基本肉厚領域80を示している。
【0034】
肉厚入力部13は、例えばオペレータが、上述した基本肉厚領域の厚さを肉厚として入力可能な手段であって、例えば、キーボード107やマウス108等によって実現される。又、この肉厚入力部13によって入力された値は、RAM103やHDD104等に格納され、上記肉厚領域生成部17により基本肉厚領域の所定厚さ(図3(d)の例ではt)として用いられる。
【0035】
重ね合わせ処理部18は、詳細メッシュモデル生成部15によって生成された詳細メッシュモデル60と肉厚領域生成部17によって生成された基本肉厚領域80とを重ね合わせることにより、解析モデル90(図3(e)参照)を生成するものである。この重ね合わせ処理部18は、肉厚領域生成部17によって生成された基本肉厚領域を複数の部分領域に分割し、これらの複数の部分領域のうち詳細メッシュモデル60との間で重合箇所がある部分領域を組み合わせることにより、解析モデル90を生成するようになっている。
【0036】
ここで、図4(a),(b),(c),図5〜図8を参照して、本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における重ね合わせ処理部18による解析モデル90の生成手法を説明する。
図4(a),(b),(c)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10の重ね合わせ処理部18の処理を説明するための図であって、図4(a)は形状モデルの例を示す側面図、図4(b)は図4(a)に示す形状モデルに基づいて生成された詳細メッシュモデルの例を示す図、図4(c)は重ね合わせ処理部18によって生成される複数の部分領域の例を示す図である。
【0037】
なお、図4(b)に示す詳細メッシュモデルにおいては、説明の便宜上、一部のメッシュを簡略化して示しており、例えば、図3(b)に示した詳細メッシュモデル60を参照することにより、ある程度簡略化して示されていることがわかる。又、各直交メッシュおよび各部分領域は直方体形状を有しているものであるが、これらの図4(a),(b),(c)においては、便宜上、Z軸方向(紙面奥行き方向)の情報を省略して示している。
【0038】
図5は図4(b)に示す詳細メッシュモデルを構成する各メッシュの形状(サイズ)や位置を示す図、図6は図4(c)に示す各部分領域の形状(サイズ)や位置を示す図、図7は本解析モデル生成装置10により生成された解析モデルの形状を示す側面図、図8は図7に示した解析モデルを構成する各部分領域の形状(サイズ)や位置を示す図である。
例えば、図4(a)に示すような、5mmの肉厚を有するL字形の断面形状の形状モデル50の解析モデル90を作成する場合について説明すると、詳細メッシュモデル生成部15は、この形状モデル50に基づいて、図4(b)に示すような詳細メッシュモデル60を作成する。
【0039】
この詳細メッシュモデル60は、直交メッシュ61の組み合わせることにより構成され、図4(a)に示す形状モデル50の形状を近似的に形成するものであって、直交メッシュ61−01,61−02,61−03,61−04,61−05,61−06の6個の直交メッシュをそなえて構成されている。なお、以下、図4(b)に示す詳細メッシュモデル60を形成する直交メッシュを示す符号としては、複数の直交メッシュのうち1つを特定する必要があるときには符号61−01〜61−06を用いるが、任意の直交メッシュを指すときには符号61を用いる。
【0040】
これらの直交メッシュ61−01,61−02,61−03,61−04,61−05,61−06の各位置やサイズは、図5に示すように表(直交メッシュ情報)として表すことができ、本解析モデル生成装置10においては、この図5に示すような直交メッシュ情報をHDD104やRAM103等の記憶装置に格納するようになっている。
なお、図5中におけるNo.は各直交メッシュ61を特定するための番号であり、各直交メッシュを表わす符号61−01〜61−06のハイフン以下の数字に対応している。又、この表中における各数値は、図4(b)における直交メッシュ61−01の左下側の頂点を原点(0,0,0)とした場合における座標値を示しており、各直交メッシュ61を構成する各面のX座標値,Y座標値およびZ座標値を示している。なお、この図5に示す例においても、便宜上、Z軸座標に関する情報を省略して示している。
【0041】
例えば、図5中において、直交メッシュ61−01は、X−Y系の平面座標において、点(0,0),点(5,0),点(5,30)および点(0,30)を各頂点とする長方形として表すことができ、又、X=0,X=5,Y=0およびY=30で表される各線に環囲される領域であることがわかる。
図4(c)においては、最大外形メッシュモデル70を構成する面71〜74を、それぞれ最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さ(図4(c)の例ではt=5mm)分だけ、最大外形メッシュモデル70の内側に向かって平行移動させ、これらの平行移動後の状態を示す面を、各平行移動前の面を示す符号の尾部に「′(ダッシュ)」を付して示している。又、これらの最大外形メッシュモデル70を構成する各面71,72,73,74とこれらの平行移動後の面71′,72′,73′,74′とによって区切られる各領域にそれぞれ符号81−1,81−2,81−3,81−4,81−5,81−6,81−7,81−8,81−9を付して示している。なお、以下、図4(c)における各領域を示す符号としては、複数の領域のうち1つを特定する必要があるときには符号81−1〜81−9を用いるが、任意の領域を指すときには符号81を用いる。
【0042】
これらの領域81−1,81−2,81−3,81−4,81−5,81−6,81−7,81−8,81−9の各位置やサイズは、図6に示すように表(領域情報)として表すことができ、本解析モデル生成装置10においては、この図6に示すような領域情報をHDD104やRAM103等の記憶装置に格納するようになっている。
なお、図6中におけるNo.は各領域81を特定するための番号であり、各領域を表わす符号81−1〜81−9のハイフン以下の数字に対応している。又、この表中における各数値は、図4(c)における領域81−1の左下側の頂点を原点(0,0,0)とした場合における座標値を示しており、各領域81を構成する各面のX座標値,Y座標値およびZ座標値を示している。なお、この図6に示す例においても、便宜上、Z軸座標に関する情報を省略して示している。
【0043】
例えば、領域81−1は、X−Y系の平面座標において、点(0,0),点(5,0),点(5,5)および点(0,5)を各頂点とする長方形として表すことができ、又、X=0,X=5,Y=0およびY=5で表される各線に環囲される領域であることがわかる。
そして、図4(c)中における領域81−1,81−2,81−3,81−4,81−6,81−7,81−8および81−9からなる領域が、肉厚領域生成部17によって生成される基本肉厚領域に相当するものであり、この基本肉厚領域を構成する領域81−1,81−2,81−3,81−4,81−6,81−7,81−8および81−9のそれぞれが部分領域に相当するものである。
【0044】
重ね合わせ処理部18は、図4(b)に示した詳細メッシュモデル60と図4(c)に示した基本肉厚領域80とを重ね合わせ、基本肉厚領域80を構成する部分領域81のうち、詳細メッシュモデル60と重合する部分のみを抽出する(データとして残す)ことにより(乗算)、解析モデル90を生成する。
なお、重ね合わせ処理部18は、図5に示した各直交メッシュ61の位置やサイズと、図6に示した各領域81の位置やサイズに基づいて、各領域81に重合する直交メッシュ61を特定することができる。
【0045】
図6中において、項目「重ね合わせ」には、上述した重ね合わせの結果、各領域81に重合する直交メッシュ61を特定する番号が登録されるようになっている。例えば、この図6に示す例においては、領域81−1に直交メッシュ61−01が、領域81−4に直交メッシュ61−01,61−02,61−03が、領域81−7に直交メッシュ61−02,61−03,61−04,61−05が、領域81−8に直交メッシュ61−05,61−06が、領域81−9に直交メッシュ61−06がそれぞれ重合していることを示している。又、図6に示す例においては、領域81−5は基本肉厚領域80が不在の空間であるので、重ね合わせの対象から除外されている。
【0046】
このように、基本肉厚領域80において詳細メッシュモデル60と重合する領域(部分領域)のみを抽出して組み合わせることにより、図7に示すような解析モデル90が生成される。又、この生成された解析モデル90を構成する各領域81の形状やサイズ,位置は、図8を参照することにより取得することができる。なお、この図8に示す情報は、図6中において項目「重ね合わせ」に直交メッシュ61が登録されているものを抽出することにより取得することができる。
【0047】
そして、本解析モデル生成装置10においては、この図8に示すような情報を、生成した解析モデル90を構成する情報として、HDD104やRAM103等の記憶装置に格納するようになっている。
分割指示入力部11は、オペレータが形状モデル50を複数の部分形状モデルに分割するための指示を入力するものであり、例えば、キーボード107やマウス108によって実現され、オペレータがこの分割指示入力部11によって入力する分割指示に従って、後述する形状モデル分割部14が形状モデルを複数の部分形状モデルに分割するようになっている。
【0048】
分割指示は、例えば、ディスプレイ106に表示された形状モデル50の画像上において、形状モデル50上での分割位置を示す分割線を入力・設定したり、分割する部分を領域を入力として入力するための選択領域を入力することにより行なう。
例えば、分割線は、水平線や垂直線の他、任意の始点と終点とからなる線分であってもよい。分割線が水平線や垂直線の場合には、オペレータは、分割指示入力部11を介してこれらの線が通過する位置を入力することが望ましく、又、分割線が任意の線分である場合には、オペレータは、分割指示入力部11を介してその線分の始点と終点とを入力することが望ましい。
【0049】
また、選択領域としては、例えば矩形形状を用いることができ(図17参照)、オペレータが、分割指示入力部11を介して、この矩形を形成する2つの対角の位置を順次入力することにより指定してもよい。又、選択領域として矩形以外の任意の形状を有する領域を用いてもよく、オペレータが、分割指示入力部11を介して、この領域の外形線が通過する位置(通過点)を順次入力することにより指定してもよい。
【0050】
なお、本実施形態においては、ディスプレイ106上等においてZ軸方向の表示を省略しているが、分割指示をディスプレイ106上において分割線や分割領域の2次元の情報として入力することにより、実際には、これらの分割線や分割領域がZ軸方向の情報を有するものとして取り扱われることは言うまでもない。
形状モデル分割部14は、形状モデルを複数の部分形状モデルに分割するものであり、分割指示入力部11によって入力された分割指示(分割位置)に従って、形状モデル50を複数の部分形状モデルに分割するようになっている。なお、この形状モデル分割部14による形状モデル50の分割手法には、既知の種々の手法を用いることができる。
【0051】
また、本実施形態においては、形状モデル50を2つの部分形状モデル501,502(図10参照)に分割する例を示しているが、これに限定されるものではなく、3以上の部分形状モデルに分割してもよい。
図9は複雑な形状モデル50の例を示す斜視図、図10は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における形状モデル50の分割例を示す図であり、図9に示した形状モデル50を2つの部分形状モデル501,502に分割する例を示す図である。なお、この図10においても、便宜上、Z軸方向(紙面奥行き方向)の情報を省略して示している。
【0052】
この図10に示す例においては、形状モデル50において突出している部分を矩形の分割領域121によって環囲することにより、この分割領域121によって環囲された部分形状モデル501と、この部分形状モデル501以外の部分である部分形状モデル502とに分割した例を示している。
図11(a),(b),(c)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における分割された形状モデル50に基づく解析モデル90の生成手法を説明するための図であり、図11(a)は部分形状モデル501,502に分割された形状モデル50の例を示す図、図11(b)は図11(a)に示した各部分形状モデル501,502に基づいてそれぞれ生成された部分解析モデル901,902の例を示す図、図11(c)は生成された解析モデル90の例を示す図である。なお、これらの図11(a),(b),(c)においても、便宜上、Z軸方向(紙面奥行き方向)の情報を省略して示している。
【0053】
本解析モデル生成装置10においては、形状モデル分割部14が形状モデル50を複数の部分形状モデル501,502に分割した場合には、詳細メッシュモデル生成部15は、これらの部分形状モデル501,502のそれぞれに基づいて、前述した手法を用いて、各部分形状モデル501,502に対応する詳細メッシュモデル(図示省略)をそれぞれ生成するようになっている。なお、以下、このように、部分形状モデルに基づいて生成された詳細メッシュモデルを部分詳細メッシュモデルという場合がある。
【0054】
同様に、最大外形メッシュモデル生成部16は、これらの部分形状モデル501,502のそれぞれに基づいて、前述した手法を用いて、各部分形状モデル501,502の外形に対応する最大外形メッシュモデル(図示省略)をそれぞれ生成するようになっており、以下、このように、部分形状モデルに基づいて生成された最大外形メッシュモデルを部分最大外形メッシュモデルという場合がある。
【0055】
さらに、肉厚領域生成部17は、これらの部分最大外形メッシュモデルに基づいて、前述した手法を用いて、各部分最大外形メッシュモデルに対応する基本肉厚領域(図示省略)をそれぞれ生成するようになっている。すなわち、肉厚領域生成部17は、部分形状モデル毎に基本肉厚領域を生成するようになっている。なお、以下、このように、部分最大外形メッシュモデルに基づいて生成された基本肉厚領域を部分基本肉厚領域という場合がある。
【0056】
そして、重ね合わせ処理部18は、これらの部分形状モデル501,502のそれぞれについて、前述した手法を用いて、部分詳細メッシュモデルと部分基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、解析モデル901,902をそれぞれ生成するようになっている。すなわち、重ね合わせ処理部18は、部分形状モデル毎に解析モデルを生成するようになっている。なお、以下、このように、部分形状モデルに基づいて生成された解析モデルを部分解析モデルという場合がある。
【0057】
なお、図11(a),(b)に示す例においては、部分形状モデル501に基づいて部分解析モデル901が生成され、部分形状モデル502に基づいて部分解析モデル902が生成された例を示している。
結合部19は、重ね合わせ処理部18によって生成された解析モデル(部分解析モデル)を結合するものであって、図11(b)に示すような、複数の部分解析モデル901,902を結合して、1つの解析モデル90を生成するようになっている。なお、この結合部19による部分解析モデル901,902の結合手法には、既知の種々の手法を用いることができる。
【0058】
投影面指示入力部12は、形状モデル50がその構成面上に部分的に突出する突起をそなえる場合であって、解析処理においてこの突起を無視する場合に、この突起の投影先の構成面を投影面として指定するものであり、例えば、キーボード107やマウス108によって実現される。そして、オペレータがこの投影面指示入力部12によって入力する投影指示に従って、指示された投影面が解析モデル90の外形を構成する面となるように解析モデル90が生成されるようになっている。
【0059】
具体的には、本実施形態においては、結合部19は、複数の部分解析モデルの結合を行なう際に、これらの部分解析モデルの大小関係を判断して、小さい方の部分解析モデルを大きい方の部分解析モデルに埋没させて、小さい方の部分解析モデルの突出している側の面(図12(c)における面911)が前記投影面(図12(a)における投影面512)と同一面上になるように、移動(データオフセット)することにより、指示された投影面が解析モデル90の外形を構成する面となるように解析モデル90が生成されるようになっている。
【0060】
これにより、解析モデル90から部分解析モデル903を単に除去することによって、部分解析モデル903の除去後に解析モデル90に穴が形成されることを防止することができる。
図12(a),(b),(c),(d)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における形状モデル50に対する投影指示によって解析モデル90の簡略化を行なう手法を説明するための図であり、図12(a)は形状モデル50における投影面の例を示す図、図12(b)は図12(a)に示した投影面によって分割することにより生成された部分形状モデル503,504および部分詳細メッシュモデル703,704の例を示す図、図12(c)は一部の部分詳細メッシュモデル903をオフセットした状態を示す図、図12(d)は生成された解析モデル90の例を示す図である。なお、これらの図12(a),(b),(c),(d)においても、便宜上、Z軸方向(紙面奥行き方向)の情報を省略して示している。
【0061】
上述した図12(a),(b),(c),(d)を参照しながら、本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における形状モデル50に対する投影指示によって解析モデル90の簡略化を行なう手法を、図13に示すフローチャート(ステップA10〜A60)に従って説明する。
オペレータが、投影面指示入力部12を用いて、形状モデル50の構成面上における突起の先端部分(図12(a)に示す例においては面511)を、投影面(構成面;図12(a)に示す例においては面512)に投影する旨の指示入力(投影面指示)を行なうと(ステップA10)、形状モデル分割部14が、この指示された投影面512を分割線として形状モデル50を複数の部分形状モデル(図12(b)の例においては部分形状モデル503,504)に分割する(ステップA20)。
【0062】
そして、このようにして生成された部分形状モデル503,504に基づいて、詳細メッシュモデル生成部15,最大外形メッシュモデル生成部16,肉厚領域生成部17,重ね合わせ処理部18等が部分解析モデル903,904を生成する(ステップA30)。
具体的には、詳細メッシュモデル生成部15が、これらの部分形状モデル503,504に基づいて部分詳細メッシュモデル(図示省略)を生成し、又、最大外形メッシュモデル生成部16が、これらの部分形状モデル503,504に基づいて部分最大外形メッシュモデル703,704を生成し、更に、肉厚領域生成部17が、基本肉厚を用いて部分基本肉厚領域(図示省略)を生成する。
【0063】
そして、重ね合わせ処理部18が、詳細メッシュモデル生成部15によって作成された詳細メッシュモデルと、肉厚領域生成部17によって生成された基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、各部分基本肉厚領域を構成する部分領域のうち、部分詳細メッシュモデルと重合する部分を抽出することにより、部分解析モデル903,904をそれぞれ作成する。
【0064】
その後、結合部19が、これらの部分解析モデル903,904の大小関係を判断して(ステップA40)、小さい方(従)の部分解析モデル903を大きい方(主)の部分解析モデル904に埋没させるように、小さい方の部分解析モデルの突出している側の面(図12(c)における面911)が前記投影面512と同一面上になるように、移動(データオフセット)した後(ステップA50;図12(c)参照)、これらの部分解析モデル903,904をマージすることにより(ステップA60;図12(d)参照)、解析モデル90を生成する。
【0065】
上述の如く構成された本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10における解析モデルの生成手法を、図14に示すフローチャート(ステップB10〜B60)にしたがって説明する。
先ず、3次元CAD31によって作成された形状モデル50を取得し(ステップB10)、詳細メッシュモデル生成部15が、この形状モデル50に基づいて詳細メッシュモデル60を生成し(ステップB20)、又、最大外形メッシュモデル生成部16が、この形状モデル50に基づいて最大外形メッシュモデル70を生成する(ステップB30)。
【0066】
また、オペレータがキーボード107やマウス108を用いて基本肉厚値の入力を行なったり、予めデフォルトの値として設定された基本肉厚値を用いることにより、基本肉厚指示を行ない(ステップB40)、肉厚領域生成部17が、この基本肉厚を用いて基本肉厚領域80を生成する。
重ね合わせ処理部18は、詳細メッシュモデル生成部15によって作成された詳細メッシュモデル60と、肉厚領域生成部17によって生成された基本肉厚領域80とを重ね合わせて(ステップB50)、基本肉厚領域80を構成する部分領域81のうち、詳細メッシュモデル60と重合する部分を抽出することにより解析モデル90を作成する(ステップB60)。
【0067】
次に、本解析モデル生成装置10における、複雑な形状を有する形状モデル50の解析モデルの生成手法を、図15に示すフローチャート(ステップC10〜C80)に従って説明する。
先ず、オペレータが、例えば、ディスプレイ106に表示された複数の形状モデル50の中から、特定の形状モデル50を選択することにより、解析モデル90の生成を行なう形状モデル50の選択(部品選択)を行ない(ステップC10)、更に、この選択した形状モデル50について、分割処理を行なうか否かの判断を行なう(ステップC20)。
【0068】
分割処理を行なわない場合には(ステップC20の“無”ルート参照)、詳細メッシュモデル生成部15が、この形状モデル50に基づいて詳細メッシュモデル60を生成し(ステップC50)、又、最大外形メッシュモデル生成部16が、この形状モデル50に基づいて最大外形メッシュモデル70を生成する(ステップC60)。
また、オペレータがキーボード107やマウス108を用いて基本肉厚値の入力を行なったり、予めデフォルトの値として設定された基本肉厚値を用いることにより、基本肉厚指示を行ない(ステップC70)、肉厚領域生成部17が、この基本肉厚を用いて基本肉厚領域80を生成する。
【0069】
そして、重ね合わせ処理部18は、詳細メッシュモデル生成部15によって作成された詳細メッシュモデル60と、肉厚領域生成部17によって生成された基本肉厚領域80とを重ね合わせて(ステップC80)、基本肉厚領域80を構成する部分領域81のうち、詳細メッシュモデル60と重合する部分を抽出することにより解析モデル90を作成する。
【0070】
一方、分割処理を行なう場合には(ステップC20の“有”ルート参照)、オペレータは、キーボード107やマウス108を用いて分割領域の指示・入力を行なう(ステップC30)。又、形状モデル50において、その構成面(投影面)に投影(埋没)させる突起がある場合には、オペレータは、キーボード107やマウス108を用いて、投影面指示を行なう(ステップC40)。
【0071】
形状モデル分割部14は、入力された分割指示や投影指示に従って、複数の形状モデル50を部分形状モデルに分割し、ステップC50に移行する。なお、以下、ステップC50〜C80においては、これの複数の部分形状モデルのそれぞれに対して各処理が行なわれ、生成された部分解析モデルが、結合部19により結合され、解析モデル90が生成される。
【0072】
図16〜図18はそれぞれ本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10のディスプレイ106に表示される入力画面の例を示す図であり、図16は基本肉厚や分割指示,投影指示を入力する入力画面の例を示す図、図17は分割領域の入力画面の例を示す図、図18は投影面の指示入力画面の例を示す図である。なお、本実施形態においては、表示制御部105が、これらの画面をディスプレイ106に表示させるよう制御するようになっている。
【0073】
オペレータは、例えば図16に示すような入力画面において、基本肉厚の値を数値として入力したり、分割指示を水平線や垂直線,矩形選択のいずれの手法で入力するかを選択したり、投影面指示を行なう旨の入力を行なうことができる。
そして、オペレータが、例えば、図16に示す入力画面において、分割指示の「矩形選択」を選択した後に、決定ボタン1061を選択することにより,ディスプレイ106に図17に示すような分割領域の入力画面が表示され、オペレータは、この分割領域の入力画面において形状モデル50の一部を矩形の分割領域121によって環囲することにより分割指示が行なわれる。
【0074】
また、オペレータが、例えば、図16に示す入力画面において、面選択を行なう旨の選択を行なった後に、決定ボタン1061を選択することにより、ディスプレイ106に図18に示すような投影面512の指示入力画面が表示され、オペレータは、この投影面512の指示入力画面において形状モデル50の一部の構成面を選択することにより投影面指示が行なわれる。
【0075】
このように、本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置10によれば、簡略化した解析モデル90を容易に作成することができ、解析モデル90の作成時間を短縮することができる。例えば、従来手法においては簡略化した解析モデルを製造するために2.5日かかっていたところを、本解析モデル生成装置10によれば0.3日で行なうことができ、1/8の時間に短縮することができる。
【0076】
また、本解析モデル生成装置10によれば、解析モデル規模を抑制することにより下流工程である解析ツール32における解析処理時間を短縮することができる。
図19は図9に示した形状モデルに基づいて生成された詳細メッシュモデル60の例を示す斜図、図20は図9に示した形状モデルに基づいて本解析モデル生成装置10により生成した解析モデル90の例を示す斜視図である。
【0077】
例えば、従来においては、解析ツール32において、図19に示すような詳細メッシュモデル60の解析処理に8.0時間かかっていたところを、図20に示すような、本解析モデル生成装置10によって作成された簡素化された解析モデル90では、解析ツール32はその解析処理を1.5時間で行なうことができ、1/5の時間に短縮することができる。
【0078】
このように、本解析モデル生成装置10によれば、解析に関わる処理時間を短縮することができ、又、例えば、形状モデルの良し悪しの判断等、設計上流での設計方針の決定・判断の早期化にも有効である。
また、本解析モデル生成装置10においては、例えば、凹凸を有する複雑な形状の形状モデル50については、オペレータが分割指示入力部11を介して形状モデル50を複数の部分形状モデルに分割するための指示を入力し、形状モデル分割部14が分割指示入力部11によって入力された分割指示(分割位置)に従って、形状モデル50を複数の部分形状モデルに分割したり、オペレータが投影面指示入力部12を介して形状モデル50の突起を投影する投影面を指示・入力し、指示された投影面が解析モデル90の外形を構成する面となるように解析モデル90を生成することにより、形状モデル50の形状と最大外形メッシュモデル70と生成される解析モデル90との乖離を最小限にすることができ、下流工程の解析ツール32における解析処理の精度を向上させることができる。
【0079】
さらに、オペレータが投影面指示入力部12を介して形状モデル50の突起を投影する投影面を指示・入力し、指示された投影面が解析モデル90の外形を構成する面となるように解析モデル90を生成することにより、その突起が存在しないものとして無視することができ、解析モデル90から、解析の結果に与える影響が少ないと判断できる突起を迅速かつ容易に除外することができ、利便性が高い。
【0080】
そして、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態においては、詳細メッシュモデル生成部15が、形状モデルに基づいて、立方体形状のメッシュ(直交メッシュ)を生成しているが、これに限定されるものではなく、種々の形状のメッシュを生成してもよい。
【0081】
また、上述した実施形態においては、詳細メッシュモデル60を構成する各直交メッシュ61の形状(サイズ)や位置を図5に示したような情報として保存するとともに、基本肉厚領域80を構成する部分領域81の形状(サイズ)や位置を図6に示したような情報として保存し、更に、成した解析モデル90を構成する情報を図8に示したような情報として保存しているが、これらに限定されるものではなく、これらに類する情報や他の情報を種々の形態で保存してもよい。
【0082】
さらに、上述した実施形態においては、肉厚領域生成部17が、最大外形メッシュモデル70に基づいて均一の肉厚の基本肉厚領域80を生成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、肉厚入力部13から複数種類の肉厚を入力することにより、基本肉厚領域80において部分的に異なる肉厚を設定してもよい。
そして、本発明は、以下に示すように要約することができる。
【0083】
(付記1) 形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成装置であって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部とをそなえることを特徴とする、解析モデル生成装置。
【0084】
(付記2) 該重ね合わせ処理部が、
該基本肉厚領域を複数の部分領域に分割し、当該複数の部分領域のうち該詳細メッシュモデルとの間で重合箇所がある該部分領域を組み合わせることにより、該解析モデルを生成することを特徴とする、付記1記載の解析モデル生成装置。
(付記3) 該基本肉厚領域の厚さを肉厚として入力可能な肉厚入力部をそなえ、
該肉厚領域生成部が、該肉厚入力部によって入力された該肉厚を該基本肉厚領域の該所定厚さとすることを特徴とする、付記1又は付記2記載の解析モデル生成装置。
【0085】
(付記4) 該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割部をそなえ、
該詳細メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該最大外形メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該肉厚領域生成部が、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、
該重ね合わせ処理部が、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、
該重ね合わせ処理部によって生成された該解析モデルを結合する結合部をそなえることを特徴とする、付記1〜付記3のいずれか1項に記載の解析モデル生成装置。
【0086】
(付記5) 該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、
該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力部をそなえ、
該投影面指示入力部によって指示された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されることを特徴とする、付記1〜付記3のいずれか1項に記載の解析モデル生成装置。
【0087】
(付記6) 形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成方法であって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成ステップと、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成ステップと、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域設定ステップと、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理ステップとをそなえることを特徴とする、解析モデル生成方法。
【0088】
(付記7) 該重ね合わせ処理ステップにおいて、
該基本肉厚領域を複数の部分領域に分割し、当該複数の部分領域のうち該詳細メッシュモデルとの間で重合箇所がある該部分領域を組み合わせることにより、該解析モデルを生成することを特徴とする、付記6記載の解析モデル生成方法。
(付記8) 該基本肉厚領域の厚さを肉厚として入力可能な肉厚入力ステップをそなえ、
該肉厚領域生成ステップにおいて、該肉厚入力ステップにおいて入力された該肉厚を該基本肉厚領域の該所定厚さとすることを特徴とする、付記6又は付記7記載の解析モデル生成方法。
【0089】
(付記9) 該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割ステップをそなえ、
該詳細メッシュモデル生成ステップにおいて、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該最大外形メッシュモデル生成ステップにおいて、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該肉厚領域生成部が、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、
該重ね合わせ処理ステップにおいて、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、
該重ね合わせ処理ステップにおいて生成された該解析モデルを結合する結合ステップをそなえることを特徴とする、付記6〜付記8のいずれか1項に記載の解析モデル生成方法。
【0090】
(付記10) 該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、
該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力ステップをそなえ、
該投影面指示入力ステップにおいて指示された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されることを特徴とする、付記6〜付記8のいずれか1項に記載の解析モデル生成方法。
【0091】
(付記11) 形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成機能をコンピュータに実行させるための解析モデル生成プログラムであって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部として、該コンピュータを機能させることを特徴とする、解析モデル生成プログラム。
【0092】
(付記12) 該重ね合わせ処理部として該コンピュータを機能させる際に、
該基本肉厚領域を複数の部分領域に分割し、当該複数の部分領域のうち該詳細メッシュモデルとの間で重合箇所がある該部分領域を組み合わせることにより、該解析モデルを生成するように該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記11記載の解析モデル生成プログラム。
【0093】
(付記13) 該基本肉厚領域の厚さを肉厚として入力可能な肉厚入力部として該コンピュータを機能させるとともに、
該肉厚領域生成部として該コンピュータを機能させる際に、該肉厚入力部によって入力された該肉厚を該基本肉厚領域の該所定厚さとすることを特徴とする、付記11又は付記12記載の解析モデル生成プログラム。
【0094】
(付記14) 該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割部として該コンピュータを機能させるとともに、
該詳細メッシュモデル生成部として該コンピュータを機能させる際に、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該最大外形メッシュモデル生成部として該コンピュータを機能させる際に、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該肉厚領域生成部として該コンピュータを機能させる際に、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、
該重ね合わせ処理部として該コンピュータを機能させる際に、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、
該重ね合わせ処理部によって生成された該解析モデルを結合する結合部として該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記11〜付記13のいずれか1項に記載の解析モデル生成プログラム。
【0095】
(付記15) 該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、
該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力部として該コンピュータを機能させ、
該投影面指示入力部によって指定された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されるように、該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記11〜付記13のいずれか1項に記載の解析モデル生成プログラム。
【0096】
(付記16) 形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成機能をコンピュータに実行させるための解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
該解析モデル生成プログラムが、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部として、該コンピュータを機能させることを特徴とする、解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【0097】
(付記17) 該解析モデル生成プログラムが、
該重ね合わせ処理部として該コンピュータを機能させる際に、
該基本肉厚領域を複数の部分領域に分割し、当該複数の部分領域のうち該詳細メッシュモデルとの間で重合箇所がある該部分領域を組み合わせることにより、該解析モデルを生成するように該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記16記載の解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【0098】
(付記18) 該解析モデル生成プログラムが、
該基本肉厚領域の厚さを肉厚として入力可能な肉厚入力部として該コンピュータを機能させるとともに、
該肉厚領域生成部として該コンピュータを機能させる際に、該肉厚入力部によって入力された該肉厚を該基本肉厚領域の該所定厚さとすることを特徴とする、付記16又は付記17記載の解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【0099】
(付記19) 該解析モデル生成プログラムが、
該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割部として該コンピュータを機能させるとともに、
該詳細メッシュモデル生成部として該コンピュータを機能させる際に、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該最大外形メッシュモデル生成部として該コンピュータを機能させる際に、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該肉厚領域生成部として該コンピュータを機能させる際に、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、
該重ね合わせ処理部として該コンピュータを機能させる際に、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、
該重ね合わせ処理部によって生成された該解析モデルを結合する結合部として該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記16〜付記18のいずれか1項に記載の解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【0100】
(付記20) 該解析モデル生成プログラムが、
該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、
該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力部として該コンピュータを機能させ、
該投影面指示入力部によって指定された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されるように、該コンピュータを機能させることを特徴とする、付記16〜付記18のいずれか1項に記載の解析モデル生成プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置として機能する情報処理装置(コンピュータシステム)のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図3】(a),(b),(c),(d),(e)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置によって生成される解析モデルを説明するための図である。
【図4】(a),(b),(c)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置の重ね合わせ処理部の処理を説明するための図である。
【図5】図4(b)に示す詳細メッシュモデルを構成する各メッシュの形状(サイズ)や位置を示す図
【図6】図4(c)に示す各部分領域の形状(サイズ)や位置を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置によって生成された解析モデルの形状を示す側面図である。
【図8】図7に示した解析モデルを構成する各部分領域の形状(サイズ)や位置を示す図である。
【図9】複雑な形状モデルの例を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における形状モデルの分割例を示す図である。
【図11】(a),(b),(c)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における分割された形状モデルに基づく解析モデルの生成手法を説明するための図である。
【図12】(a),(b),(c),(d)は本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における形状モデルに対する投影指示によって解析モデルの簡略化を行なう手法を説明するための図である。
【図13】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における形状モデルに対する投影指示によって解析モデルの簡略化を行なう手法を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における解析モデルの生成手法を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置における、複雑な形状を有する形状モデルの解析モデルの生成手法を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置のディスプレイに表示される入力画面の例を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置のディスプレイに表示される入力画面の例を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態としての解析モデル生成装置のディスプレイに表示される入力画面の例を示す図である。
【図19】図9に示した形状モデルに基づいて生成された詳細メッシュモデルの例を示す斜視図である。
【図20】図9に示した形状モデルに基づいて本解析モデル生成装置により生成した解析モデルの例を示す斜視図である。
【図21】(a),(b),(c)はそれぞれ従来の解析モデル生成手法によって生成される解析モデルを説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0102】
10 解析モデル生成装置
11 分割指示入力部
12 投影面指示入力部
13 肉厚入力部
14 形状モデル分割部
15 詳細メッシュモデル生成部
16 最大外形メッシュモデル生成部
17 肉厚領域生成部
18 重ね合わせ処理部
19 結合部
31 3次元CAD
32 解析ツール
50 形状モデル
60 詳細メッシュモデル
61,61−01〜61−06 直交メッシュ
70 最大外形メッシュモデル
71〜74 面
80 基本肉厚領域
81,81−1〜81−9 領域
90 解析モデル
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 表示制御部
106 ディスプレイ
107 キーボード
108 マウス
121 分割領域
511,911 面
512 面(投影面)
501〜504 部分形状モデル
703,704 部分最大外形メッシュモデル
901,902 部分解析モデル
1061 決定ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成装置であって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部とをそなえることを特徴とする、解析モデル生成装置。
【請求項2】
該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割部をそなえ、
該詳細メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該最大外形メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該肉厚領域生成部が、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、
該重ね合わせ処理部が、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、
該重ね合わせ処理部によって生成された該解析モデルを結合する結合部をそなえることを特徴とする、請求項1記載の解析モデル生成装置。
【請求項3】
該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、
該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力部をそなえ、
該投影面指示入力部によって指示された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の解析モデル生成装置。
【請求項4】
形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成方法であって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成ステップと、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成ステップと、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域設定ステップと、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理ステップとをそなえることを特徴とする、解析モデル生成方法。
【請求項5】
形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成機能をコンピュータに実行させるための解析モデル生成プログラムであって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部として、該コンピュータを機能させることを特徴とする、解析モデル生成プログラム。
【請求項1】
形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成装置であって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部とをそなえることを特徴とする、解析モデル生成装置。
【請求項2】
該形状モデルを複数の部分形状モデルに分割可能な形状モデル分割部をそなえ、
該詳細メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該最大外形メッシュモデル生成部が、前記複数の部分形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルをそれぞれ生成し、
該肉厚領域生成部が、該部分形状モデル毎に該基本肉厚領域を生成し、
該重ね合わせ処理部が、該部分形状モデル毎に該解析モデルを生成し、
該重ね合わせ処理部によって生成された該解析モデルを結合する結合部をそなえることを特徴とする、請求項1記載の解析モデル生成装置。
【請求項3】
該形状モデルが、その構成面上に突起をそなえる場合において、
該突起の投影先の該構成面を投影面として指定可能な投影面指示入力部をそなえ、
該投影面指示入力部によって指示された該投影面が該解析モデルの外形を構成する面となるように該解析モデルが生成されることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の解析モデル生成装置。
【請求項4】
形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成方法であって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成ステップと、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成ステップと、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域設定ステップと、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理ステップとをそなえることを特徴とする、解析モデル生成方法。
【請求項5】
形状モデルを数値解析するための解析モデルを生成する解析モデル生成機能をコンピュータに実行させるための解析モデル生成プログラムであって、
該形状モデルに基づいて、該形状モデルの詳細メッシュモデルを生成する詳細メッシュモデル生成部と、
該形状モデルに基づいて、当該形状モデルの外形に対応する最大外形メッシュモデルを生成する最大外形メッシュモデル生成部と、
該最大外形メッシュモデルを構成する少なくとも一部の面から、該最大外形メッシュモデルの内側に向かって所定厚さの基本肉厚領域を生成する肉厚領域生成部と、
該詳細メッシュモデルと該基本肉厚領域とを重ね合わせることにより、該解析モデルを生成する重ね合わせ処理部として、該コンピュータを機能させることを特徴とする、解析モデル生成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−206792(P2007−206792A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22243(P2006−22243)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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