説明

触媒としてイオン液体を用いる異性化によるm−置換アルキルトルエンの製造方法

本発明は、式(I)[R1はC1〜C5-アルキルである]のm-置換アルキルトルエンの調製方法に関し、式(II)[式中、R1は式(I)で示した意味を有する]のp-置換アルキルトルエンをイオン液体の存在下で異性化して式(I)のm-置換アルキルトルエンを形成することを特徴とする。本発明により得ることができるm-置換アルキルトルエンは、香料および香味料を製造するための出発化合物である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、p-置換アルキルトルエンの異性化によるm-置換アルキルトルエンの調製方法に関する。置換アルキルトルエンは、例えばLysmeral(登録商標)(BASF SE)などの2-メチル-3-フェニルプロパナール型の香料の合成における重要な中間物質である。
【背景技術】
【0002】
本発明に使用される、好ましくはアンモニウム塩またはイミダゾリウム塩および金属ハロゲン化物を含むイオン液体は文献に記載されており、とりわけフリーデル・クラフツアルキル化に使用される(概要:P. Wasserscheid, T. Welton, Ionic Liquids in Synthesis, Wiley-VCH, 2003, p. 174ff.)。
【0003】
JP 2738093には、触媒としてAlCl3を使用する4-tert-ブチルトルエンの3-tert-ブチルトルエンへの異性化が記載されている。4-tert-ブチルトルエンと比較して、3-tert-ブチルトルエンは熱力学的に有利な生成物である。触媒としてAlCl3を使用すると、室温で1時間の反応時間の後に、m/p異性体混合物が、約2/1のm/p比を有する平衡状態で形成される。この平衡の他に、トルエンおよび3,5-ジ-tert-ブチルトルエンの形成につながる別の競合する平衡が存在する。3,5-ジ-tert-ブチルトルエンの量を減少させるために、トルエン(重量で1当量)を添加することがJP 2738093に記載されている。
【0004】
Olahらは、4-tert-ブチルトルエンの3-tert-ブチルトルエンへの異性化および塩化tert-ブチルによるトルエンのアルキル化を報告している(J. Am. Chem. Soc. 1988, 110, 2560-2565)。ここで使用された触媒は、ホウ素、アルミニウムおよびガリウムのトリス(トリフルオロメタンスルホネート)(トリフレート)[B(OTf)3、Ga(OTf)3およびAl(OTf)3]であった。ここでも、約2/1の3-tert-ブチルトルエン/4-tert-ブチルトルエンの平衡が確立された。
【0005】
これらの方法を工業用に転換する場合、触媒を複雑な固液分離操作により分離しなければならないこと、または触媒を水性の後処理により加水分解しなければならないことは不利である。これにより著しい量の塩素含有廃棄物および金属塩が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】JP 2738093
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】P. Wasserscheid, T. Welton, Ionic Liquids in Synthesis, Wiley-VCH, 2003, p. 174ff.
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc. 1988, 110, 2560-2565
【発明の概要】
【0008】
これと比較して、本発明の方法は、イオン液体の存在下でp-置換アルキルトルエンを異性化することによりm-置換アルキルトルエンを効率的に調製することを可能にする。本発明の方法の利点は、
1) 触媒の分離が、技術的に複雑さのより少ない、液/液分離操作によりおこなわれる点;
2) 触媒が簡単に再利用できる点(固体のAlCl3の場合に触媒を破壊する水性の後処理が必要ないため);
3) イオン液体を使用した結果、固体のAlCl3による触媒と比較して触媒の反応速度が高い点である。
【0009】
本発明は、p位を置換されたアルキルトルエンの異性化により得ることができるm位を置換されたアルキルトルエンの調製方法に関する。異性化は触媒としてイオン液体を用いておこなわれる。したがって、本発明は、式(I)
【化1】

【0010】
[式中、R1はC1〜C5-アルキルである]
のm-置換アルキルトルエンの調製方法であって、式(II)
【化2】

【0011】
[式中、R1は式(I)について与えた意味を有する]
のp-置換アルキルトルエンをイオン液体の存在下で異性化して式(I)のm-置換アルキルトルエンを得る、前記調製方法を提供する。
【0012】
驚くべきことに、イオン液体が異性化を触媒することが見いだされた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に好適な活性イオン液体は、例えば、成分(a)および(b)を含む混合物であり、ここで、
(a)は、式MX3またはMX2 [式中、Mは、例えばAl、In、Zn、Feなどの金属であり、Xは、例えば塩素、臭素またはヨウ素などのハロゲンである]の第1の成分であり、
(b)は、次の群:アルキルアンモニウムハライド、イミダゾリウムハライド、ピリジニウムハライド、ホスホニウムハライドおよびこれらの化合物の混合物より選択される第2の成分である。
【0014】
成分(a)および(b)の混合物からなるイオン液体が好ましい。
【0015】
2種の成分の比(a)/(b)は1/1よりも大きい。
【0016】
用語「イオン液体」は、上記の通りの化合物(a)および(b)の混合物であって、それらを均質化し、場合により溶融し、再度冷却した後に、100℃未満の温度で液体であるものを指す。
【0017】
好ましい成分(a)は、AlCl3、AlBr3、ZnCl2、FeBr3およびFeCl3である。成分(a)は、特に好ましくはAlCl3である。成分(b)は、好ましくは、イミダゾリウムハライド、例えばC1〜C10-アルキルにより一もしくは多置換されたイミダゾリウムハライド、またはアルキルアンモニウムハライド、例えばC1〜C6-アルキルにより二、三もしくは四置換されたアルキルアンモニウムハライドである。特に好ましい化合物(b)の具体的な例として、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムクロリド、トリエチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、1-ブチルピリジニウムクロリドおよび1-メチルピリジニウムクロリドが使用される。
【0018】
成分の比(a)/(b)は1/1よりも大きい。1/1よりも大きく、3/1よりも小さい比が好ましい。1.5/1よりも大きく、2.1/1よりも小さい比が特に好ましい。2/1の比がとりわけ好ましい。
【0019】
触媒は、典型的には、まず成分(a)または成分(b)を溶媒中に導入し、次に成分(b)または成分(a)を計量添加することにより調製される。20〜100℃の温度で1〜12時間の反応時間の後にイオン液体が形成される。イオン液体は、相分離により溶媒相から分離することも、溶媒中の触媒の均質な溶液として全体を異性化に使用することも可能である。好ましい溶媒は芳香族炭化水素または塩素化溶媒である。ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、4-tert-ブチルトルエンおよびジクロロメタンが特に好ましい。トルエンがとりわけ好ましい。
【0020】
触媒としてのイオン液体は、式(II)の出発物質に対して0.1〜100 mol%の量で異性化に使用される。好ましい触媒量は0.1〜10 mol%である。0.5〜5 mol%が特に好ましい。
【0021】
異性化は、0℃〜100℃の温度でおこなう。10℃〜50℃の温度が特に好ましい。反応時間は1分〜10時間である。30分〜3時間の反応時間が特に好ましい。
【0022】
異性化は溶媒なしで、または溶媒中でおこなうことができる。好適な溶媒は、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタンである。トルエンが特に好ましい。
【0023】
本発明の方法において、出発物質として式(II)のp-置換アルキルトルエンを使用する。アルキル基R1は、例えばメチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチルまたはイソペンチル基などのC1〜C5-アルキル基である。
【0024】
本発明の方法の好ましい実施形態は、式(II)における基R1が好ましくはC1〜C4-アルキル、特に好ましくはエチル、イソプロピルまたはtert-ブチルであるものである。
【0025】
異性化のための好ましい出発物質は、次の基質:4-tert-ブチルトルエン、4-イソプロピルトルエン、4-エチルトルエンである。これらは、反応の主生成物(異性体比m/p > 1/1)として次のm-異性体:3-tert-ブチルトルエン、3-イソプロピルトルエン、3-エチルトルエンを生成する。基質4-tert-ブチルトルエンが特に好ましい。
【0026】
反応は、一般に、トルエン、p-アルキル-置換トルエンおよびジアルキル-置換トルエンからなる混合物をイオン液体と反応させるように実施する。反応が完了した時に相を分離する。触媒相は次のバッチに再使用することができる。第2の相は価値のある生成物(m-置換アルキルトルエン)、ならびにトルエン、p-置換アルキルトルエンおよびジアルキル-置換アルキルトルエンを含む。さらなる後処理のために、この相を水で洗浄した後に蒸留するか、直接蒸留する。m-置換アルキルトルエンは一般に蒸留により単離される。反応中に形成される成分トルエンおよびジアルキルトルエンは副生成物であり、蒸留により分離して異性化反応に戻すことが可能である。これらの生成物を反応塊(reaction mass)に戻すことにより、m-置換アルキルトルエンとp-置換アルキルトルエンとの間の平衡が繰り返し再確立され、その結果として目的とするm-置換生成物の留分が増大する。
【0027】
本発明はさらに、式(I)のm-置換アルキルトルエンから、酸化、アルドール縮合および水素化からなる一連の反応により得ることができる、香料および芳香化学物質として価値を有する式(V)
【化3】

【0028】
[式中、R1は式(I)について与えた意味を有し、R2は水素またはC1〜C5-アルキル、好ましくは水素またはメチルである]
の生成物の調製を提供する。
【0029】
アルキル基R2は、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、イソブチル、tert-ブチル、n-ブチル、n-ペンチルまたはイソペンチル基などのC1〜C5-アルキル基である。好ましくは、基R2は水素またはメチルである。
【0030】
本発明により得ることができる式(I)
【化4】

【0031】
[式中、R1はC1〜C5-アルキル、好ましくはエチル、イソプロピルまたはtert-ブチルである]
のm-置換アルキルトルエンから、公知の方法による酸化(例えば、DE2948455による置換トルエンから置換ベンズアルデヒドへの電気化学的酸化)により、式(III)
【化5】

【0032】
[式中、R1は式(I)について与えた意味を有する]
のm-アルキル置換ベンズアルデヒドを形成することが可能である。次いで、式(III)の置換ベンズアルデヒドと例えば式(IIIa)
【化6】

【0033】
[式中、R2は水素またはC1〜C5-アルキルである]
のアルデヒドとのアルドール縮合により、例えばDE19949672に記載されるような式(IV)
【化7】

【0034】
[式中、R1は式(III)について与えた意味を有し、R2は水素またはC1〜C5-アルキル、好ましくは水素またはメチルである]
の置換シンナムアルデヒドを得る。式(IV)の置換シンナムアルデヒドを水素化して式(V)
【化8】

【0035】
[式中、R1およびR2は式(IV)について与えた意味を有する]
の置換フェニルプロパナールを得る反応は、例えばDE102005049568に記載されている。
【0036】
本発明の方法により得られる式(V)のアルデヒドのいくつかは公知であり、いくつかは新規の香料および芳香物質である。
【0037】
タイプ(III)、(IV)および(V)の化合物において、R1はm位でフェニル環に結合し、C1〜C5-アルキル、好ましくはC1〜C4-アルキル、特に好ましくはエチル、イソプロピルおよびtert-ブチルであり、R2は水素またはC1〜C5-アルキル、好ましくは水素またはメチルである。R1は、とりわけ好ましくはtert-ブチルである。
【0038】
以下の実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されない。実施例において、%で表されるデータはすべて重量%を意味すると理解されるべきである。(略語:BMIM = 1,3-ブチルメチルイミダゾリウム;EMIM = 1,3-エチルメチルイミダゾリウム;HMIM = 1-メチルイミダゾリウム;TEA = トリエチルアンモニウム;TMA = トリメチルアンモニウム;BuPy = 1-ブチルピリジニウム;m-TBT = m-tert-ブチルトルエン;p-TBT = p-tert-ブチルトルエン;o-TBT = o-tert-ブチルトルエン;DTBT = ジ-tert-ブチルトルエン;PhMe = トルエン)。
【実施例】
【0039】
実施例1
最初に3500 gのトルエンを7 lのジャケット付き反応器に導入して50℃に加熱し、次いで175 g (1 mol)の1,3-ブチルメチルイミダゾリウムクロリドを加えた。267 g (2 mol)の塩化アルミニウムを15分間かけて少しずつ加えた。次に、混合物を50℃で1時間、25℃でさらに1.5時間攪拌した。相分離の後、875 gの黒緑色の触媒相(濃度50.5%のトルエン溶液であるBMIM [Al2Cl7]からなる)および3281 gの緑色がかったトルエン相が得られた。
【0040】
実施例2
最初に2500 gのトルエンを7 lのジャケット付き反応器に導入して、267 g (2 mol)の塩化アルミニウムを加えた。次に、138 g(1 mol)のトリエチルアンモニウムクロリドを10分間かけて加えた。次に、混合物を25℃で2時間、45℃で2時間攪拌した。相分離の後、895 gの黒緑色の触媒相(濃度45.3%のトルエン溶液であるEt3NH [Al2Cl7]からなる)および2008 gの緑色がかったトルエン相が得られた。
【0041】
実施例3
最初に1807 gのトルエンを7 lのジャケット付き反応器に導入して50℃に加熱し、147 g (1 mol)のエチルメチルイミダゾリウムクロリドを加えた。264 g (1.98 mol)の塩化アルミニウムを15分間かけて少しずつ加えた。次に混合物を50℃で1時間、25℃でさらに1.5時間攪拌した。相分離の後、864 gの黒緑色の触媒相(濃度47.6%のトルエン溶液であるEMIM [Al2Cl7]からなる)および1333 gの緑色がかったトルエン相が得られた。
【0042】
実施例4
最初に437 g (4.7 mol)のトルエンおよび4.6 kg (31.3 mol)の4-tert-ブチルトルエンを7 lのジャケット付き反応器に導入した。Et3NH Al2Cl7(濃度45%、トルエン中;4-tert-ブチルトルエンに対して3.2 mol%)を加えて、混合物を20℃で1時間攪拌した。反応が終了した後、相を分離した。下相として、631 gの触媒Et3NH Al2Cl7(濃度64%、トルエン/3-tert-ブチルトルエン/4-tert-ブチルトルエン/3,5-ジ-tert-ブチルトルエン中)が得られた。5265 gの生成物混合物(上相)が得られた。
【0043】
表1に上相の組成を示す。
【0044】
実施例5〜10
実施例4と同様に反応をおこなった。実施例4において分離した触媒(Et3NH Al2Cl7;濃度64%、トルエン/3-tert-ブチルトルエン/4-tert-ブチルトルエン/3,5-ジ-tert-ブチルトルエン中)を再使用した。824 gのトルエンおよび4.1 kgの4-tert-ブチルトルエンを使用した。同様にして6回反応をおこなった。表1に上相の組成を示す。
【0045】
表1
【表1】

【0046】
実施例11〜35
実施例4と同様に反応をおこなった。使用した触媒、触媒量、反応時間、温度およびトルエンの使用量を変化させた。表2に実験結果を示す。略語eqは当量であり、面積%はガスクロマトグラフィーによる評価の面積パーセンテージである。
【0047】
表2
【表2】

BMIM Al2Cl7 = 1; HMIM Cl = 2; BMIM Cl = 3; EMIM Cl = 4
EMIM OAc = 5; EMIM Al2Cl7 = 6; TEA Al2Cl7 = 7; TMA Al2Cl7 = 8;
BuPy Al2Cl7 = 9; BMIM InCl4 = 10; EMIM InCl4 = 11;
HMIM Al2Cl7 = 12; HMIM AlCl4 = 13; HMIM InCl4 = 14;
BMIM AlCl4 = 15
【0048】
実施例36
最初に4.2 gのトルエンおよび3.0 gの4-tert-ブチルトルエンを導入し、EMIM Al2Cl7(濃度45%、トルエン中;4-tert-ブチルトルエンに対して3 mol%)を加えて、混合物を20℃で3分間攪拌した。相を分離し、上相の価値のある生成物の相からサンプルを取って分析した。サンプルは次の組成:トルエン 57%;3-tert-ブチルトルエン 27%;4-tert-ブチルトルエン 13%;3,5-ジ-tert-ブチルトルエン 1.7%を有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、R1はC1〜C5-アルキルである]
のm-置換アルキルトルエンの調製方法であって、式(II)
【化2】

[式中、R1は式(I)について与えた意味を有する]
のp-置換アルキルトルエンをイオン液体の存在下で異性化して式(I)のm-置換アルキルトルエンを得る、前記方法。
【請求項2】
成分(a)および(b)の混合物を含むイオン液体を使用し、ここで、
(a)は、式MX3またはMX2 [式中、Mは金属であり、Xはハロゲンである]の第1の成分であり、
(b)は、アルキルアンモニウムハライド、イミダゾリウムハライド、ピリジニウムハライド、ホスホニウムハライドおよびこれらの化合物の混合物からなる群より選択される第2の成分である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分(a)および(b)からなるイオン液体を使用する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
成分の比(a)/(b)が1/1よりも大きい、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
成分(a)がAlCl3、AlBr3、ZnCl2、FeBr3およびFeCl3、特にAlCl3であるイオン液体を使用する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
成分(b)がイミダゾリウムハライドまたはアルキルアンモニウムハライドであるイオン液体を使用する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
成分(b)として、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムクロリド、トリエチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、1-ブチルピリジニウムクロリドまたは1-メチルピリジニウムクロリドを使用する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
成分の比(a)/(b)が1.5/1よりも大きく、2.1/1よりも小さい、請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
異性化が0℃〜100℃の温度でおこなわれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
異性化が溶媒中、好ましくはトルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ヘキサンもしくはヘプタン、またはこれらの溶媒の混合物中でおこなわれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
式(II)
【化3】

[式中、R1はC1〜C4-アルキル、好ましくはエチル、イソプロピルまたはtert-ブチルである]
のp-置換アルキルトルエンを使用する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
式(II)の化合物として4-tert-ブチルトルエンを選択する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
一般式(V)
【化4】

[式中、R1はC1〜C5-アルキル、好ましくはC1〜C4-アルキル、特に好ましくはエチル、イソプロピルまたはtert-ブチルであり、R2は水素またはC1〜C5-アルキル、特に水素またはメチルである]
の香料および芳香化学物質の調製方法であって、
a) 式(II)
【化5】

[式中、R1は請求項1で与えた意味を有する]
のp-置換アルキルトルエンをイオン液体の存在下で異性化して、式(I)
【化6】

[式中、R1は請求項1で与えた意味を有する]
のm-置換アルキルトルエンを得る段階、
b) 式(I)のm-アルキル置換トルエンを酸化して、式(III)
【化7】

[式中、R1は式(I)について与えた意味を有する]
のm-アルキル置換ベンズアルデヒドを得る段階、
c) 式(III)のベンズアルデヒドと式(IIIa)
【化8】

[式中、R2は水素またはC1〜C5-アルキルである]
のアルデヒドとのアルドール縮合により、式(IV)
【化9】

[式中、R1は式(III)について与えた意味を有し、R2は式(IIIa)について与えた意味を有する]
のシンナムアルデヒドを得る段階、および
d) 式(IV)のシンナムアルデヒドを水素化して、式(V)
【化10】

[式中、R1およびR2は式(IV)について与えた意味を有する]
のアルキル置換フェニルプロパナールを得る段階
を含む、前記方法。

【公表番号】特表2013−519637(P2013−519637A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552353(P2012−552353)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051732
【国際公開番号】WO2011/098418
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】