説明

触媒構造体

構造体が屈曲することができるように間隔を置いた関係にある1つ以上の部材に担持された複数の触媒成形物を含むアンモニア酸化法で使用するのに適する触媒構造体が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定床配置物に使用される触媒構造体に関し、特にアンモニア酸化法で使用される触媒及び固定床配置物に関する。
【背景技術】
【0002】
貴金属金網触媒を用いて硝酸及びシアン化水素を生産するアンモニア酸化法は確立されている。硝酸の製造では、アンモニアを空気で酸化して一酸化窒素とし、またシアン化水素の製造では、アンモニアとメタン(天然ガスとしてのことが多い)の混合物を空気で酸化する。このいずれも、通常、多くの場合は白金又は白金合金から作製した金網の形状の貴金属触媒に気体を接触させることによって実施する。いずれの方法でも、このガス混合物を、高温(例えば800〜1000℃)で触媒を通過させ、酸化を実施する。
【0003】
最近では、卑金属触媒の改良によって、強力な温室ガスである亜酸化窒素の生成量が少ないという付加価値を有する貴金属代替物が提供されている。
国際特許出願WO98/28073に記載のあるような、コバルト混合金属酸化物に基づいた粒状アンモニア酸化触媒は、この任務を効率よく、所望の選択性で遂行できることが実証されている。アンモニアの接触酸化は非常に速く、粒子床は通常は500mm未満の厚みである。このような床では、ペレットの均一な分布、従って床を通過するガス流の均一な分布を維持することが困難となる場合がある。これは、プラントの振動や触媒全体で変動する温度プロファイル等の様々な要因から生じるが、主には、室温から操業条件の850℃を超え、次いで操業停止と同時に元に戻る反応槽の温度変化に伴って反応槽の直径が相当大きく変化することが原因である。そのような操業停止の頻度は、比較的高くなることがあり、その結果、サイクル毎に累積する可能性のある影響を受ける。床が極端に薄くなる影響が特に触媒床の周辺部で起ることがあり、その結果生成するアンモニアのバイパスにより、処理効率が落ちて採算水準を下回り、温室効果ガスの排出量も増え、深刻な場合には爆発の危険を招く。
【0004】
この問題は、例えば、国際特許出願WO03/011448に記載のあるような特別な触媒担持かごの使用で解決されている。これらのかごは、触媒床構造体の膨張及び収縮の悪影響を軽減する。しかしながら、それらを製作するのは複雑であり、ガスのバイパスを助長する可能性がある間隙を、かご自身が発生させるのを防ぐため、かごを反応槽内に注意深く密封しておく必要がある。
【発明の概要】
【0005】
従って、所望の酸化生成物に対する高い選択性を達成でき、全体にわたる過度な圧力低下もなく、その周囲や中を通過するバイパスもない安定な薄いペレット触媒床は、極めて望ましい。
【0006】
また、金属酸化物系アンモニア酸化触媒に関しては、ライトオフ(活性化)としても知られている始動過程に十分注意して接触反応が確実に床の頂上又は頂上にごく近い位置で行われるようにすることが必要で、それにより貴金属金網より比較的熱伝導率が低いために生じる急冷(クエンチ)の危険性が軽減することが分かっている。同様の急冷効果は、供給原料ガスがコバルト系触媒を被毒する相当な量の硫黄化合物を含んでいる場合にも観察される。これは、状況によっては、例えば、国際特許出願WO04/096703及びWO04/096702に記載されているような粒状アンモニア酸化触媒及び/又は亜酸化窒素削減触媒と組み合わせた貴金属金網のハイブリッド配置物を用いて解決することができるが、金属酸化物触媒の活性化能力と被毒耐性を向上させる必要性は依然として存在する。
【0007】
従って、本発明は、アンモニア酸化法で使用するのに適する、構造体が屈曲することができるように間隔を置いた関係にある1つ以上の部材に担持された複数の触媒成形物を含む触媒構造体を提供する。
【0008】
本発明は、更に、アンモニア酸化法における柔軟な触媒構造体の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、複数の触媒成形物が各ペレットの貫通孔を通したワイヤに担持された本発明による線状触媒構造体を示す。
【図2】図2は、図1の触媒成形物の1つの断面図を示す。
【図3】図3は、コイル状にして鋼鉄網に置かれた図1の線状触媒構造体を示す。
【図4】図4は、疎で緩い粒状亜酸化窒素分解触媒と組み合わせた図2の担持網に担持されたコイル構造中にアンモニア酸化触媒を含む固定床を示す。
【図5】図5は、図1の複数の線状構造体から形成されるマット構造体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
担持触媒成形物は、ペレット、球、輪、円柱、押出品等があり、それらは単孔若しくは複数孔及び耳状突起付き若しくは溝付きでもよい。ペレット触媒は高い強度を有するので好ましい。成形物は、通常、最大値と最小値の寸法、即ち幅と長さを有し、1.5〜20mm、特に3〜10mmの範囲にある。成形物の縦横比、即ち、最大寸法の最小寸法に対する比は、好ましくは、3未満である。2種以上の異なる触媒粒子径を、ガスの触媒床を通過する流れの制御、あるいは触媒構造体の柔軟性を変えるために有利に使用することができる。これらの特性は、また、互いに噛み合うように設計可能な耳状突起付き又は溝付きの形状によっても制御することができる。担持成形物が強度を最大にするように、対称に配置された1つ以上、例えば最大10の貫通孔を有するのが最も望ましい。貫通孔は、触媒の幾何学的表面積を増加させ、また、触媒成形物が、1つ以上の担持部材上に「1列に配列される」ことを可能にする。触媒成形物は、細長い担持部材に沿って自由に動くことができ、あるいは、不活性なセメントや他の手段を用いて、その場に固定することもできる。1つから5つの貫通孔を有し、所望により、円柱の外面の長さに沿って延びる3つから5つの耳状突起や溝を有する円柱形ペレットが最も好ましい。
【0011】
本発明は、いかなる粒状触媒にも適用可能である。しかしながら、粒状触媒は、好ましくはアンモニア酸化触媒、亜酸化窒素分解触媒、又はそれらの混合物である。更に、α−アルミナ又は他の不活性耐火性酸化物等の粒状不活性材料が構造体に含まれてもよい。
【0012】
一態様において、粒状触媒はアンモニア酸化触媒である。アンモニア酸化触媒は、Rh系及び/又はIr系触媒等の白金族金属(PGM)触媒を含んでよく、あるいは、特に卑金属が遷移金属若しくは希土類金属の場合は、卑金属単体若しくは卑金属酸化物であるか又はこれらを含んでもよく、例えば、鉄、ニッケル、銅、コバルト、マンガン、銀、若しくは担持白金、担持パラジウム若しくは担持ルテニウムの1種以上を含んでもよい。触媒はまた、1種以上の卑金属と1種以上の貴金属との混合物を含んでもよい。従って、本発明での使用に適したアンモニア酸化触媒としては、コバルト含有アンモニア酸化触媒及びコバルト非含有アンモニア酸化触媒及びこれらの混合物が挙げられる。これらに含まれるものとしては、担持PGM触媒、La、Co(所望により少量のLiOを含む)、スピネル(例えば、CoAl)、置換ABO物質、ペロブスカイト(例えば、LaCoOであり、A−部位の部分置換(例えば、最大で20モル%)がSr若しくはCe等で行われているLaCoO、あるいはB−部位の部分置換(例えば最大で50モル%)がCu等で行われているLaCoOを含む)、LaCoO;アルミナ、トリア、セリア、酸化亜鉛、若しくは酸化カルシウム表面に担持されたCo;希土類元素若しくはトリウムによって促進され、所望によりMn、Fe、Mg、Cr、若しくはNbの酸化物の1種以上を含有するCo又はBi、及び担体表面にPtを含んだCoOが挙げられる。特に適切な触媒担体としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、及びそれらの混合物等の耐火性酸化物が挙げられる。
【0013】
別の態様では、触媒構造体は粒状亜酸化窒素分解触媒を含む。好ましくは、粒状亜酸化窒素分解触媒を、アンモニア酸化段階で反応槽に供給し、次式に従って、亜酸化窒素を、(a)接触還元により窒素に転換するか、(b)接触酸化により一酸化窒素に転換することによって、亜酸化窒素を分解する。
【0014】
(a)NO→2N+1/2O
(b)2NO+O→4NO
亜酸化窒素分解触媒は担持金属、純金属酸化物若しくは混合金属酸化物、又はゼオライト系(例えば、Kapteijnら、Applied Catalysis B:Environmental、9巻、1996年、25〜64頁の中の30〜32頁、及びその中の参考文献に記載されたもの)でもよい。本発明で使用することができる担持金属亜酸化窒素低減触媒としては、マグネシウム(Mg)若しくはカルシウム(Ca)等のアルカリ土類金属の酸化物、アルミナ、シリカ、チタニア、又はジルコニアの成形物に担持されたロジウム、ルテニウム、パラジウム、クロム、コバルト、ニッケル、鉄及び銅のうちの1種以上が挙げられる。担持金属亜酸化窒素分解触媒への金属の担持量は金属の活性と用いる担体の性質に依存する。金属の担持量は1重量%以下でもよいが、20重量%を超えてもよい。担持金属触媒は、反応条件で担体に酸化物相を形成することができる。従って、適切な亜酸化窒素分解触媒としては、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu(II))、ランタン(La)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バナジウム(V(III))、ハフニウム(Hf),マンガン(Mn(III))、セリウム(Ce)、トリウム(Th)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、及びカドミウム(Cd)の酸化物が挙げられ、好ましくは、Rh、Ir、Co、Fe、及びNiの酸化物が挙げられる。本発明に使用することができる担持金属酸化物としては、上記の純酸化物のいずれでもよく、特に、マグネシウム若しくはカルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア又はセリア表面に担持されたFe、Cr(III)、Mn(III)、Rh、Cu、及びCoの酸化物が挙げられる。好ましくは、担持酸化物は、0.5と50重量%の間の純金属酸化物触媒を含む。
【0015】
亜酸化窒素分解触媒として効果のある混合金属酸化物としては、ドープ酸化物または固溶体、スピネル、パイロクロア及びペロブスカイトが挙げられる。本発明の方法に使用することができるその他の有用な混合酸化物触媒としては、Co、Ni、Cu、La、Mg、Pd、Rh、及びRuを含む遷移金属変性ハイドロタルサイト構造体、及びマグネシア若しくはアルミナ中にCo(II)酸化物及びMn(III)酸化物を含む固溶体が挙げられる。但し、好ましい混合酸化物の亜酸化窒素分解触媒は、スピネル及びペロブスカイトである。本発明で使用することができるスピネル触媒は、式Mであってもよく、式中、MはCo、Cu、Ni、Mg、Zn及びCaから選択され、Mは、Al、Cr又はCo(従って、Coも含まれる)から選択され、CuCo3−x(式中、x=0〜1である)、Cox′Mg1−x′Al(式中、x′=0〜1である)、Co3−x″Fex″又はCo3−x″Alx″(式中、x″=0〜2である)。好ましい亜酸化窒素低減触媒はWO02/02230に記載されている。この触媒は、酸化セリウム担体表面に0.1〜10mol%Co3−xを含み、式中、MはFe又はAlであり、x=0〜2である。この触媒は、また、0.01〜2重量%のZrOを含有してもよい。適切なコバルト非含有のスピネル触媒はCuAlである。
【0016】
ペロブスカイト亜酸化窒素分解触媒は、一般式ABOにより表すことができ、式中、AはLa、Nd、Sm及びPrから選択することができ、BはCo、Ni、Cr、Mn、Cu、Fe及びYから選択することができる。A−部位の一部(例えば、最大で20mol%)を2価又は4価カチオン、例えばSr2+又はCe4+で置換して、更に有用な亜酸化窒素分解触媒を提供することができる。更に、所望により、B−部位元素を別のB−部位元素の一部(例えば、最大で50mol%)で置換して、更に有用な亜酸化窒素分解触媒を提供することができる。適切なペロブスカイト触媒としては、LaCoO、La1−xSrCoO、La1−xCeCoO(式中、x≦0.2)及びLaCuCo1−y(式中、y≦0.5)が挙げられる。
【0017】
好ましい亜酸化窒素分解触媒は、担持Rh触媒、及びスピネル又はペロブスカイト構造のCo、Mn、Fe、Cu、Cr及びNiの1種以上、好ましくはCoの担持又は非担持の純金属酸化物及び混合金属酸化物である。
【0018】
好ましい態様では、亜酸化窒素分解触媒は効果的なアンモニア酸化触媒でもある。従って、アンモニア酸化触媒及び亜酸化窒素分解触媒のいずれとしても作用する触媒の使用が触媒組立装置の設計及び構築で実用面の利点をもたらす。従って、特に好ましい触媒は、例えば、欧州特許第0946290号に記載されているような、コバルトや他の金属、特に希土類の酸化物を含む粒状組成物である。好ましい触媒は、(a)セリウム及びプラセオジムから選択される少なくとも一つの元素Vv及び価数が変化しない希土類及びイットリウムから選択される少なくとも一つの元素Vn並びに(b)コバルトとの酸化物を含み、前記コバルト並びに元素Vv及びVnは、(元素Vv+元素Vn)のコバルトに対する原子比が0.8〜1.2の範囲の割合であり、前記酸化物の少なくともいくらかは遊離コバルト酸化物として存在する30原子%未満のコバルトを含む混合酸化物相として存在する。コバルトの25原子%未満が遊離コバルト酸化物として存在するのが好ましく、コバルトの15原子%未満がコバルト一酸化物CoOとして存在するのが特に好ましい。種々の相の割合は、X線回折(XRD)又は熱重量分析(TGA)により決定することができ、熱重量分析の場合には、空気中にて約930℃で起こるCoの特徴的な熱分解に伴う重量損失を利用する。好ましくは、組成物の10重量%未満、特に5重量%未満が、遊離コバルト・コバルト酸化物であり、2重量%未満が遊離コバルト一酸化物である。
【0019】
従って、Vv、Vn、(VvVn1−x又はVvVn1−x等の他の相と混合したVnCoO又はVvCoO等のペロブスカイト相が存在してもよい。特に好ましい触媒は、La1−xCeCoO物質である。そのような触媒は、本明細書中に参照として含まれる欧州特許第0946290号の実施例2及び3に従って調製することができる。
【0020】
触媒成形物は、構造体が屈曲することができるように間隔を置いた関係にある1つ以上の部材に担持されている。
触媒成形物は、構造体が屈曲可能なように適度に柔軟な1つ以上の細長い担持部材に担持されている。適切な可撓性部材は、触媒担体として使用するのに適切な直径のケーブルに巻くことができる金属線又はセラミック線である。触媒成形物は、担持部材に間隔を置いて「一列に配列する」ことで、内部でうまく担持され、担持部材が触媒成形物を通る線状の(例えば真珠の数珠に似た)構造を形成する。担持部材は、内部及び外部の両方を通ってもよい。例えば、単孔のペレットの場合、鋼鉄担持線はペレットの孔の内部を通るが、所望により、更に、1種以上の貴金属線をペレットの外部表面の周り、例えば、ペレットの外部表面に沿った1つ以上の溝に巻きつけてもよい。更には、強度の向上やもっと複雑な構造体の作製を可能にするために、2つ以上の担持部材を複数孔有する触媒の隣りあう孔に通してもよい。
【0021】
細長い触媒形状を用いる場合、触媒成形物は、好ましくは、最も長い方を担体と同軸にして、担持部材に担持される。従って、円柱状触媒成形物は、好ましくは隣りあう成形物の末端同士が対向して、長さ方向に沿って担持される。
【0022】
用語「間隔を置いた関係にある」とは、隣りあう触媒成形物が、触媒構造体が屈曲、即ち、曲がることができる距離だけ離れていることを意味する。隣りあう成形物間の距離は、成形物の大きさに依存するが、1〜10mmの範囲にあってよい。触媒成形物が互いに極めて接近している、例えば、隣りあう成形物との間隔が成形物の直径よりも短い場合は、例えば円柱形の成形物のへりの面取りをする、或いは球を含むドーム形を使用することにより、構造体が屈曲することができる触媒形状を利用することができる。このようにして、触媒成形物の損傷を負う危険性及び微粉/粉塵の形成を軽減することができる。
【0023】
この線状構造、即ち「触媒糸」は、反応器内で様々な方法で用いて既存の触媒床の問題を克服することができる。
2つ以上の線状触媒構造体を互いに接続してシート構造体若しくはマット構造体を形成することができ、また2つ以上のマット構造体を層状に配置して3次元の「床」構造体を形成することができる。同一又は異なる触媒を、種々の特性を有する線状構造体と組み合わせて様々な配置で連結することができる。このように、混合触媒構造体を新たな、向上した性能で使用することができるが、疎で緩い混合床よりも容易にバラバラに分かれてしまう。
【0024】
シート構造体では、担持部材を互いに垂直又は平行になるように配列してもよく、それにより更に強度を高めることができる。所望により、線状構造体を織り込むことで触媒構造体の強度を更に高めることもできる。その代りあるいはそれに加えて、シート構造体及び床構造体の担持部材をワイヤステープル等の接合具で相互に接続して更に構造体を強化することができる。
【0025】
担持部材、及び接合具(使用されている場合)は触媒床装置の作製に一般に使用される高温安定鋼から適切に作ることができる。その代わりあるいはそれに加えて、アンモニア酸化触媒では、1種以上の貴金属又は貴金属合金が担持部材中に存在してもよい。金属担体と接合具とを使用することで、触媒構造体内の熱伝導が向上する。昇温が速く、熱を担持触媒成形物に伝達する金属担持部材の露出領域を残すように触媒構造体を設計することができる。これにより、アンモニア酸化における運転開始時の触媒の活性化と活性/選択性を向上することができる。特に、さらなる迅速な活性化は、ワイヤ又はケーブルのいずれかの形態で白金合金を含んだ担持部材に、少なくともいくつかの触媒成形物を担持することによって達成することができる。白金合金の担体及び接合具の使用により、特に硫黄による被毒への耐性も向上することができる。従って、白金又は白金合金を含む担体及び接合具の使用により、触媒活性が増加する可能性がある。パラジウム又はパラジウム合金を含む担持部材を使用することにより、触媒構造体が上流の白金網(使用されている場合)からの白金を捕獲することも可能である。
【0026】
触媒ペレットの線状構造体又はマットは、反応槽内に直接配置して既存の疎で緩い触媒固定床の触媒配置におけるバイパスの制御を行うことができるが、薄層床触媒反応の場合には、容易な取り付けを可能にする十分な強度及び触媒を使用した後に取り外しを可能にする安定性を有する担持網に、ワイヤステープル等の接合具を用いて固定するのが望ましい。適切な網は、鋼鉄、白金、白金合金、又はパラジウム合金で作られ、単層でも複層で構成されてもよい。
【0027】
線状構造体又はマットを担持網に固定するのに用いるステープル又はワイヤも、活性化の容易さと被毒に対する耐性とを向上する触媒活性を有する白金合金であってもよい。
線状構造体は、密に又は間隔を開けて(これは他の機能によって決まる)コイル状で配置されてもよい。この設計の1つの主要な属性として、アンモニア酸化に通常使用する、編まれた又は織られた白金網包みと同じ方法で担持網を反応槽に設置することが可能であることが挙げられる。従って、この網の熱膨張は反応槽の熱膨張に追随し、その結果、固定具により、触媒成形物の線状構造体もまたプラント操業の開始、操業中及び操業停止の様々な膨張と収縮のサイクルに確実に追随し、全体の運転操作に対する触媒の均等な間隔と分布を確保し、ガスのバイパスやガス流に起因する不完全な反応を排除するための土台を提供する。あるいは、触媒ペレットの2次元又は3次元のマットを反応槽の内壁又は触媒床担持構造体に固定して、床の周辺部の触媒密度を維持する同様の簡易手段を確保することができる。中実金属の縁を反応槽又は触媒床担持構造体の内側の中心方向に伸ばして固定して組み込むことによって、バイパス生成を更により確実に阻止することができる。
【0028】
本発明の触媒構造体によって反応槽から触媒成形物をより容易に回収することができ、また異なる触媒を用いていた場合には、それらを分離して金属を回収及び/又は再利用することができる。
【0029】
更に、触媒構造体の触媒活性担持網の使用により、アンモニア酸化反応槽内での「フェイルセーフ(fail safe)」触媒配置が提供される。粒状触媒床の厚みが、所望の化学反応を完全に完了するのに必要な最小の厚みを超えると、下層の金属触媒は主反応に殆ど、又は全く関与せず、従って影響を受けない。通常、白金族金属合金の金網を用いたアンモニア酸化の場合には、反応を活発に触媒する金網は、極端に再構造化され、活性が弱まり、重量が低下し、寿命が限定される。たとえ、これらの白金族金属合金又は類似の合金が、担持網の一部若しくは全体として粒状触媒の下流に存在したとしても、通常は、触媒活性はなく、従って劣化することはない。従って、化学プラントの下流部分で未反応のアンモニアを流すという危険性の高い行為を避けるために「緊急触媒作用」を要求される迄は、実行可能で強力な状態を維持している。その結果、操業コストを大幅に低減することができる。このシステムは、このように、粒状アンモニア酸化触媒床全体が劇的で徹底した被毒/劣化が起った際に必要になる可能性のある、最適なプラント操業に適した緊急フェイルセーフ状態を提供する。
【0030】
本発明は、更に、構造体が屈曲可能なように間隔を置いて1つ以上の部材に担持された複数の触媒成形物で構成される1つ以上の触媒構造体を含む固定触媒床を含む。
固定床においては、網あるいは網包みに束縛することができる触媒糸は、網に縛り付けた、あるいは縛り付けていない多層の糸で覆うことも、又は2次元若しくは3次元のマットあるいは疎で緩いペレットで覆うこともできる。後者のシナリオにおいては、間隔が疎で緩いペレットの運動を制限し、全触媒領域にわたりペレット床の密度を制御・維持し、従って床全体にわたる均一なガス流と最適触媒挙動とを維持する所定の束縛糸構造体若しくはマット構造体の間隔に合致するペレットのサイズを選択することができる。このように固定床は1つ以上の線状触媒構造体及び複数の疎で緩い触媒ペレットを含むことができる。疎で緩い触媒ペレットは、組成及び/又は形状及び/又はサイズの点で担持触媒成形物と同じでも異なってもよい。疎で緩い触媒ペレットは中実か、又は1つ以上の貫通孔を有し、通常は、1.5〜20mm、特に、3〜10mmの範囲の最大寸法と最小寸法、即ち、幅と長さを有する。疎で緩い触媒ペレットの縦横比、即ち、最大寸法の最小寸法に対する比は、好ましくは3より小さい。固定床の設計を利用し、ガスが床を通過する際にガスの圧力低下が最小で接触反応を最大とすることが可能である。一態様において、直径が0.5〜2D(ここで、Dは担持触媒成形物の直径である)の範囲の直径を有する中実円柱形触媒ペレットは、触媒構造体と一体化して触媒床を形成する。
【0031】
本発明の触媒構造体を使用することによって、疎で緩い粒状触媒単独で通常使用する床よりも薄い床を組み立てることができる。薄層床(300mm未満の厚み、好ましくは150mm未満の厚み)は、圧力低下が少なく、また既存のアンモニア酸化反応槽に設置し易い。
【0032】
担持粒状触媒の線状構造体又はマットの配備は、疎で緩い触媒ペレット床に比べ、更に大きな利点を有している。疎で緩い触媒ペレット床は、下層の担持格子によって定位置に保持されるが、触媒床の薄化を促進する撓みを受ける対象である。また、構成する個々の金属線が力学的かつ熱機械的な影響を受けてバラバラになるということも起こり易い。その結果、極端な場合は、局所的であるが、いずれ広範囲で生成する可能性のある穴が生成し、疎で緩いペレットは、それらの穴を通って反応槽内の奥に入り込んで失われてしまう可能性もある。このことは、汚染の観点から、また触媒ペレットが主要反応区域の下流で、好ましくない化学反応を促進する可能性があるという事実の両方の観点から望ましくない。触媒の局所的消失は、ガス流(即ち、触媒床のバイパス)を促進し、反応効率の大きな低下をもたらす。担体の構造変化が特に起り易い領域に糸やマットを用いることで、この問題を大幅に軽減でき、変換効率と網包みの相対的長寿命の両方を維持することができる。この同じ利点、特に、周辺部が薄くならずに膨張・収縮するこの床の能力は、全床が線状及び/又はマットの触媒構造体からなる場合に、むしろ、より明確な形で現われる。
【0033】
触媒構造体は、粒状アンモニア酸化触媒及び/又は粒状亜酸化窒素分解触媒のみを有する反応槽で使用してもよいが、粒状触媒は貴金属アンモニア酸化触媒と組み合わせて使用するのが好ましい。従って、本発明は、貴金属アンモニア酸化触媒金網、並びに構造体が屈曲することができるように間隔を置いて1つ以上の部材に担持された複数の成形アンモニア酸化触媒粒子及び/又は亜酸化窒素分解触媒粒子を含む触媒構造体を含む触媒の組合せを含む。
【0034】
貴金属金網は、貴金属フィラメントを織る又は編む、あるいは別の方法で金網様構造体に成形することによって形成することができる。そのような触媒金網は十分に確立されており、0.02〜0.15mmの太さの白金若しくは白金合金フィラメントから成ることができ、織って長方形の隙間を提供、編んで規則正しいループ構造の提供、あるいは単に塊にして不織の不規則構造体の提供をする。本明細書において、「フィラメント」という用語は、実質的に円形の断面を有するワイヤ、及び扁平又は別の形状に成形された非円形断面を有するワイヤも含むものとする。織り金網は十分に確立されており、通常、直径0.076mmのワイヤを含み、1平方センチメートル当たり1024個の狭い隙間を提供するように織られ、かつワイヤ組成に応じた単位面積当たりの比重量で作製される。編み金網は、触媒物理特性、触媒活性及び寿命に関して多くの利点を提供する。編み金網は、規則正しいループ構造を含み、織った材料と同じ範囲内の直径を有するワイヤを使用して、トリコット、ジャカード、サテンステッチ(平滑な沈みループ)及びラッシェル等の種々の編み方を用いて、様々な形状及び厚さに形成することができる。欧州特許第0364153号、3頁、第5行〜第56行には、本発明の特別な用途の編み金網が記載されている。不織金網も、イギリス特許第2064975号及び同第2096484号に記載されている。
【0035】
貴金属アンモニア酸化触媒は、好ましくは、白金(Pt)、又は白金合金、例えば、白金のロジウム(Rh)及び/若しくはパラジウム(Pd)との合金である。そのような合金は、白金を重量で50%以上、好ましくは85%以上を含有する。例えば、硝酸又はシアン化水素の製造におけるアンモニア酸化でよく使用される合金としては、10%Rh90%Pt、8%Rh92%Pt、5%Pd5%Rh90%Pt、及び5%Rh95%Ptが挙げられる。最大で約5%までのイリジウム(Ir)を含有する合金も本発明で使用することができる。貴金属触媒は、亜酸化窒素副生成物の形成を減らすように配合するのが望ましく、従って、ロジウム(Rh)又はパラジウム(Pd)含有量が多くてもよく、又はコバルト(Co)等の他の成分を含んでもよい。特に、金網包みの少なくとも一部に、35〜45wt%Pd、65%〜55wt%Pt及び0〜5wt%Rhを含む高含量Pd合金を使用して、安定な低NO触媒配置物を提供することができる。
【0036】
通常の硝酸プラントにおいて、使用する金網の数はこの方法を操作する圧力によって決まる。例えば、低圧、例えば約5絶対バール以下で操作するプラントでは、通常は10枚未満、多くの場合には3〜6枚の金網が使用されるのに対し、高圧、例えば20絶対バール以下では、より多くの金網が使用され、通常は20枚超、多くの場合には35〜45枚が使用される。通常は円形である金網は、反応槽に個々に組み込んでもよく、あるいは外周で溶接することができる何枚かの金網を含むパッドとして予め形成しておいてもよい。このパッドは、織り金網と編み金網、あるいは場合によっては不織金網との組み合わせを含むこともでき、元素組成は同一又は異なっていてもよい。織り金網が隣り合って存在する場合、取り替え易くするために、これらの縦糸又は横糸が互いに45゜の角度になるようにするのが好ましい。ガス流路形成の機会を減らすために、隣り合う織り金網間の角変位を好適には90゜としてもよい。
【0037】
パラジウムを主成分とする捕獲金網をアンモニア酸化プラントで使用し、化学作用、蒸発あるいは機械的損失によって貴金属触媒から失われた「気化した」白金のいわゆる「ゲッター」、即ち収集器として機能させるのもまた望ましい。そのような捕獲金網は、貴金属触媒に関して上述したものと類似の織り金網若しくは編み金網又は凝集不織金網の形状であってもよい。金網に存在する全てのパラジウムは、そこを通過する気化した白金を捕獲することができ、従って捕獲金網のパラジウム含有量は重量で10〜95%以上、好ましくは50%超、より好ましくは70%超であってもよい。パラジウムを主成分とする1枚以上の捕獲金網を使用することができる。捕獲金網は、個別に貴金属触媒金網の下に設けるか、あるいは貴金属触媒パッドの一部として下部若しくは最終金網を形成してもよい。捕獲金網は、例えば、上記欧州特許第0364153号に従って編んでもよく、あるいは編みパッド内の層等の貴金属触媒の編み構造内の1つ又は複数の層を形成してもよい。あるいは、このパラジウムを主成分とする保護材料を、織る工程又は編む工程でフィラメントとして使用して織るか編むことで貴金属アンモニア酸化触媒金網にする。金網構造に織るか編むのに適するパラジウムを主成分とする保護材料は、パラジウム単体又は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)若しくは金(Au)とのパラジウム合金である。例えば、捕獲金網は、PdとNiが重量%比で95:5の合金から作製することができる。更に、このパラジウムを主成分とする保護材料は、亜酸化窒素副生成物の形成を減少させるように配合するのが望ましく、従って好ましくは少量の、例えば5%未満のロジウム(Rh)を含むのが好ましい。特に、ある量の白金とロジウムとを含むパラジウム金網を使用することができる。そのような金網は、例えば、92重量%超のパラジウム、2〜4重量%のロジウム、及び残りは白金を含む、あるいは82〜83重量%パラジウム、2.5〜3.5重量%ロジウム、及び残りは白金を含んでもよい。パラジウムを主成分とする材料以外にも、アルミナやジルコニア等の不活性耐熱材料を含むセラミック繊維を織るか編んで捕獲金網にすることもできる。
【0038】
金網の支持構造は現在使用されているものであればどれでもよく、槽内全体に広がる単純な桁支持配置物及びアンモニア酸化槽内に懸垂された円柱状成形物の基部に貴金属金網が担持されているいわゆる「かご」等が挙げられる。
【0039】
本発明は、アンモニア、空気等の酸素含有ガスと、所望によりメタン含有ガスを含むガス混合物を、アンモニア酸化触媒及び/又は亜酸化窒素分解触媒を含む本明細書に記述された触媒構造体に通す工程を含むアンモニア酸化法を更に提供する。
【0040】
硝酸製造におけるアンモニアの一酸化窒素への酸化で、酸化工程は、750〜1000℃、特に850〜950℃の温度、1(低圧)〜15(高圧)絶対バールの圧力、体積で7〜13%、多くの場合には約10%の空気中のアンモニア濃度で操業することができる。シアン化水素の製造のためのメタン存在下でのアンモニアの空気酸化、即ちアンドリュッソー法でも、操業温度は最大1100〜1150℃の可能性はあるが、操業条件は類似している。本発明は、通常は中圧及び大気圧のプラントでは金網の直下にある熱回収手段を移動や調節する必要がなく、格納装置を反応槽に容易に設置することができるので、6〜15絶対バール、特に7〜15バール(いわゆる高圧プラント)の範囲で操作する方法及びアンモニア酸化反応槽に適している。
【0041】
触媒の線状構造体若しくはマットのみを触媒床と共に局在化した場所で用いることは、ガス流路形成や疎で緩いペレットの消失等が深刻な性能低下をもたらす可能性のある亜酸化窒素低減触媒床においても有用である。担持触媒ペレットは、アンモニア酸化床に使用されるペレットと同じでもよく、あるいは、組成、サイズ及び形状で、若しくはこれらのいかなる組み合わせで異なっていてもよい。亜酸化窒素分解触媒の使用によって、本発明の方法では、NOレベルは、1600ppm未満、好ましくは600ppm未満、もっと好ましくは500ppm未満、最も好ましくは200ppm未満にできる。
【0042】
一態様では、反応槽内の触媒配置物は、白金合金網包み(この下は、鋼鉄、白金合金、又はパラジウムの捕獲金網であってもよい更なる担持網に担持された柔軟な亜酸化窒素低減触媒構造体である)を含む担持網表面のアンモニア酸化触媒の複数の柔軟な線状構造体及び/又はマット構造体を、所望によりその上に配置した疎で緩い粒状アンモニア触媒と共に含む。好ましくは、柔軟な構造体における粒状アンモニア酸化触媒及び亜酸化窒素分解触媒は同じであり、欧州特許第0946290号に記載の混合金属希土類コバルトペロブスカイト触媒の成形物を含む。
【0043】
あるいは、例えば、前述の国際特許出願WO04/096703及びWO04/096702に記載の粒状アンモニア酸化触媒又は亜酸化窒素削減触媒に加えて貴金属金網を含むハイブリッド触媒配置物を使用することができ、そこでは、疎で緩い粒状触媒が本発明による触媒構造体に置き換えられる。
【0044】
本発明は、以下を含む多くの課題の解決策を提供する。
1.工業的に実現可能な反応物変換効率を達成しつつ、工業用アンモニア酸化プラントで一般に直面する熱的及び機械的工程の有害となり得る影響に対して、粒状触媒の薄層床を安定させる方法
2.粒状触媒の移動を制御する方法
3.触媒の分布密度の変化の進行を阻止する方法
4.非金属アンモニア酸化触媒に共通する通常活性化に固有の問題を軽減する可能性
5.圧力低下の少ない、より薄い触媒床を提供する可能性
6.フェイルセーフのアンモニア酸化触媒配置物を提供する方法
7.担持網に障害が生じた場合の粒状触媒損失を最小限に抑える方法
8.現在利用可能なNO低減触媒床の縁部での触媒保持力を維持する方法
9.金属回収及び/又は再利用のために反応槽から混合触媒を簡単に回収・分離する方法
本発明について、更に以下の図を参照して説明する。
【0045】
図1は、複数の触媒成形物が各ペレットの貫通孔を通したワイヤに担持された本発明による線状触媒構造体を示す。
図2は、図1の触媒成形物の1つの断面図を示す。
【0046】
図3は、コイル状にして鋼鉄網に置かれた図1の線状触媒構造体を示す。
図4は、疎で緩い粒状亜酸化窒素分解触媒と組み合わせた図2の担持網に担持されたコイル構造中にアンモニア酸化触媒を含む固定床を示す。
【0047】
図5は、図1の複数の線状構造体から形成されるマット構造体を示す。
図1において、線状触媒構造物10は、鋼鉄合金から形成した金属ワイヤ14を通し、1列に配列されたコバルト系アンモニア酸化触媒の複数のアンモニア酸化触媒ペレット12を含む。亜酸化窒素分解触媒としても機能するアンモニア酸化触媒は、欧州特許第0946290号の実施例2及び3に従って調製したCoペロブスカイトである。ペレットは、約10mmの直径を有する。本態様の触媒は、ワイヤがコイル状になった時にバラバラに離れるようにワイヤに沿って自由に移動できる。
【0048】
図2において、ペレット12の断面図は、対称な4つの孔と耳状突起とを有する円柱形状である。孔13は、正方形のパターンに配置され、耳状突起は、円柱の壁で、隣り合う孔と孔の間から等距離に4つの同軸流路15によって形成される。1つの孔13を通る1本の担持ワイヤ14のみが図示されているが、1本以上のワイヤを各貫通孔に通してもよい。
【0049】
図3において、担持ワイヤ14に付けた複数のペレット12を含む線状構造体は、コイル状にして、ワイヤステープル(不図示)によって固定して鋼鉄網16に配置される。
図4において、亜酸化窒素低減触媒の疎で緩い円柱形ペレット18を図3の網担持コイル状構造体と組み合わせて固定床配置物を形成する。床内のコイル状触媒構造体の位置を破線で図に示している。ワイヤステープル20は、担持網の所定の位置にコイル状構造体を固定するために使用されている。
【0050】
図5において、図1の複数の線状構造体10は、平行な担持ワイヤ14及び14′に沿って一列に並べられ、マット構造体22を形成する。触媒ペレット12は、触媒ペレットの4つの孔13の内の2つに担持ワイヤ14及び14′を通すことによって連結するレンガパターンに配置される。担持ワイヤ14及び14′の位置を破線で図に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア酸化法で使用するのに適する触媒構造体であって、該構造体が屈曲することができるように間隔を置いた関係にある1つ以上の部材に担持された複数の触媒成形物を含む触媒構造体。
【請求項2】
触媒成形物が、アンモニア酸化触媒、亜酸化窒素分解触媒、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の触媒構造体。
【請求項3】
粒状不活性材料が構造体に含まれる、請求項1又は請求項2に記載の触媒構造体。
【請求項4】
触媒成形物が、最大寸法及び最小寸法が1.5〜20mmの範囲にあり、縦横比が3未満のペレット又は押出物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項5】
2種以上の異なる触媒粒子径が存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項6】
触媒成形物が1個乃至10個の貫通孔を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項7】
触媒成形物が半球形である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項8】
触媒成形物が1つから5つの貫通孔及び、所望により、円柱の外面の長さに沿って延びる3つから5つの耳状突起又は溝を有する半球円柱形ペレットである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項9】
担持部材がケーブル状に巻くことができる金属又はセラミックワイヤである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項10】
担持部材が鋼鉄又は白金合金を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項11】
担持部材が触媒成形物に関して、内部及び外部の両方を通る、請求項1〜10のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項12】
隣り合う触媒成形物の間隔が1〜10mmの範囲にある、請求項1〜11のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項13】
触媒成形物が同じ又は異なっている2つ以上の線状触媒構造体が互いに連結しマット構造体を形成する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項14】
2つ以上のマット構造体を層状に配置し、3次元床構造体を形成する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項15】
マット構造体又は床構造体における担持部材が連結器によって互いに連結している、請求項13または請求項14に記載の触媒構造体。
【請求項16】
担持網に配置された請求項1〜15のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項17】
担持網が、鋼鉄、白金、白金合金、又はパラジウム合金で作られ、1層又は複数の層で構成される、請求項16に記載の触媒構造体。
【請求項18】
触媒構造体が担持網に連結器を使用して固定されている、請求項16又は請求項17に記載の触媒構造体。
【請求項19】
疎で緩い触媒ペレットを更に含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項20】
1つ以上の貴金属アンモニア酸化触媒金網を更に含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の触媒構造体。
【請求項21】
アンモニア、酸素含有ガス、及び所望によりメタン含有ガスを含むガス混合物を、アンモニア酸化触媒及び/又は亜酸化窒素分解触媒を含む請求項1〜20のいずれか一項に記載の触媒構造体に通す工程を含むアンモニア酸化法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−519501(P2013−519501A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552464(P2012−552464)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050047
【国際公開番号】WO2011/098779
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】