説明

触覚センサ

【課題】外力を測定することができる触覚センサを提供する。
【解決手段】風速等の外力を測定するための触覚センサであって、第1導電部材11と、第1導電部材11と所定の間隔で配置された第2導電部材12と、第1導電部材11を内部に備えた弾性部材13と、弾性部材13に設けられ、外力を受ける触覚部材14と、外力を検知するための検知部とを有する。弾性部材13は、触覚部材14が受けた外力によって変形し、これにより、第1導電部材11と第2導電部材12の間の静電容量が変化する。この静電容量の変化に基づいて外力を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚センサに関し、特に、風力等の外力を検知し、風速又は風圧等の外力を測定するための触覚センサに関する。さらに、本発明は、風向等、外力の方向を検知することのできる触覚センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の触覚センサとして、例えば、特許文献1に記載されたものがある。図10は、従来の触覚センサの断面図である。
【0003】
図10に示すように、従来の触覚センサ100は、圧電フィルム等の圧電素子101と一定周波数を発振する振動子102とが絶縁部材103を介して一体的に接合されている。圧電素子101と振動子102は、それぞれ一対の電極で挟まれている。
【0004】
従来の触覚センサ100は、外力が加えられると、外力に応じた振動子102の振動が圧電素子101に伝達され、信号波形の変化となって検出される。この場合、圧覚として垂直方向の外力が加えられた場合は、信号波形の振幅が変化する。一方、すべり覚として水平方向の外力が加えられた場合は、信号波形の周波数が変化する。また、両方の外力が加えられた場合は、信号波形は振幅も周波数も変化する。
【0005】
このように従来の触覚センサ100によれば、圧覚及びすべり覚を同時に検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−31574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の触覚センサ100は、圧電素子101を用いたものであり、高感度化には限界がある。すなわち、圧電素子によって外力を検知するためには、比較的に大きい外力が要求される。
【0008】
このように、従来の触覚センサ100は、比較的に大きい外力に対しては外力を検知することができるものの、風力等の比較的に小さい外力を検知することが難しく、また、その外力の値を測定することも難しいという問題がある。
【0009】
また、従来の触覚センサは、外力の方向を検知することができないという問題もある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、風力等の比較的に小さい外力であっても外力を検知することができる触覚センサを提供することを目的とする。また、本発明は、外力の方向を検知することができる触覚センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するために、本発明に係る触覚センサの一態様は、第1導電部材と、前記第1導電部材と所定の間隔で配置された第2導電部材と、前記第1導電部材を内部に備えた弾性部材と、前記弾性部材に設けられ、外力を受けるための触覚部材と、前記外力を検知するための検知部とを有し、前記第1導電部材は、前記触覚部材が受けた前記外力による前記弾性部材の変形によって前記第2導電部材に対する位置が変位し、前記検知部は、前記第1導電部材の位置の変位によって変化した、前記第1導電部材と前記第2導電部材との間の静電容量に基づいて前記外力を検知するものである。
【0011】
このように、触覚部材が受けた外力によって弾性部材が変形することにより、弾性部材内部における第1導電部材と第2導電部材の相対的位置関係が変化する。これにより、第1導電部材と第2導電部材との間の静電容量が変化し、この静電容量の変化に基づいて外力を検知することができる。
【0012】
さらに、本発明に係る触覚センサの一態様において、前記検知部は、容量周波数変換部と、容量算出部及び外力情報算出部を有する演算部とを有し、前記容量周波数変換部は、前記第1導電部材と前記第2導電部材の間における前記静電容量に依存した所定の周波数信号を生成し、前記容量算出部は、前記容量周波数変換部によって生成された前記周波数信号に基づいて、前記静電容量の値を算出し、前記外力情報算出部は、前記容量算出部によって算出された前記静電容量の値に基づいて、前記外力に関する情報の値を算出することが好ましい。
【0013】
さらに、本発明に係る触覚センサの一態様において、前記容量周波数変換部は、前記静電容量に応じた発振周波数の信号を出力する発振器と、基準となる発振周波数である基準発振周波数の信号を出力する基準発振器とを備え、当該容量周波数変換部によって生成される前記周波数信号は、前記発振器から出力された信号の発振周波数と、前記基準発振器から出力された信号の基準発振周波数との差に相当する周波数の信号であることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係る触覚センサの一態様において、前記弾性部材のヤング率が、1MPa〜100MPaであることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係る触覚センサの一態様において、前記第2導電部材は、少なくとも、第1電極、第2電極、第3電極、第4電極及び接地電極で構成されており、前記第1電極と前記第2電極とは、前記接地電極を挟んで対向配置され、前記第3電極と前記第4電極とは、前記接地電極を挟んで対向配置されていることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係る触覚センサの一態様において、前記第1導電部材は、金属粉で構成されることが好ましい。
【0017】
さらに、本発明に係る触覚センサの一態様において、前記触覚部材は、線状部材で構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る触覚センサによれば、風力等の外力を検知し、風速又は風圧等の外力を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る触覚センサの外観斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る触覚センサの動作原理を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る触覚センサのブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る触覚センサの外観斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る触覚センサにおいて、第2導電部材を構成する電極の平面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る触覚センサのブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る触覚センサにおける、風速と静電容量の変化値に関する既知の相関データを示したものである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る触覚センサの動作を示す図である。
【図9A】本発明の変形例に係る触覚センサの外観図である。
【図9B】本発明の変形例に係る触覚センサの部分拡大図である。
【図10】従来の触覚センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る触覚センサについて、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る触覚センサについて、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る触覚センサの外観斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る触覚センサ1は、人工触覚センサであって、第1導電部材11、第2導電部材12、弾性部材13及び触覚部材14で構成される容量検出部10を有する。また、本実施形態に係る触覚センサ1は、後述する容量周波数変換部20及び演算部30を有する検知部15を備える。
【0023】
第1導電部材11は、矩形状の金属電極で構成されており、弾性部材13の内部に埋め込まれている。第1導電部材11は、弾性部材13内部に固定されているが、弾性部材13の変形に伴って、その位置が変位する。
【0024】
本実施形態では、第1導電部材11として金箔を用いた。なお、第1導電部材11の材料としては、その他、金属粉などの導電性塗料を用いることができる。また、第1導電部材11の形状としては、金箔のような薄膜状のものに限らず、金属板等の板状体で構成しても構わない。
【0025】
第2導電部材12は、第1導電部材11と所定の間隔で離間して配置されており、検知部15上に固定電極として形成されている。第2導電部材12上には、弾性部材13が設けられている。第2導電部材12は、弾性部材13が変形しても基本的にはその位置は変位しない。
【0026】
第1導電部材11と第2導電部材12とは、その間に存在する弾性部材13を誘電体として、コンデンサを形成しており、第1導電部材11と第2導電部材12との間には所定の静電容量が存在する。
【0027】
なお、本実施形態では、第2導電部材12の材料としては、アルミニウムを用いた。また、本実施形態では、第1導電部材11と第2導電部材12とは平行配置されており、第1導電部材11と第2導電部材12との距離は0.5mmとした。
【0028】
弾性部材13は、円柱体で構成されており、その内部に第1導電部材11を備える。弾性部材13内部の第1導電部材11は、弾性部材13のほぼ中央に、その主面が弾性部材13の底面と略平行となるように配置されている。また、弾性部材13の底面には、第2導電部材12が設けられている。
【0029】
弾性部材13は、低ヤング率の材料で構成されており、本実施形態では、ヤング率が2.0MPaのシリコーンゴムを用いた。本実施形態において、弾性部材13の材料としては、ヤング率が1MPa〜100MPaである低ヤング率の材料を用いることが好ましい。弾性部材13の材料として、このような低ヤング率の材料を用いることにより、触覚部材14が受けた外力が比較的に小さいものであっても、触覚部材14から伝達された当該外力によって、外力を検知できるだけの弾性部材13の変形を得ることができる。
【0030】
なお、弾性部材13の形状としては円柱体に限らず、半球体、直方体又は立方体、その他製造しやすい形体を適宜採用することができる。
【0031】
触覚部材14は、薄円板状のベース14aと、当該ベース中央に立設された線状の触覚毛14bとによって構成されており、弾性部材13の上面に設けられている。ベース14aと触覚毛14bは、剛性材料で構成されており、本実施形態では、黒鉛を用いた。触覚毛14bは、外力(外部から作用する力)を直接受けるためのものである。触覚毛14bが外力を受けることによって、当該外力が弾性部材13に伝達し、これにより弾性部材13が変形する。
【0032】
なお、本実施形態では、ベース14aを介して触覚毛14bを設けたが、ベース14aを用いずに触覚毛14bを直接弾性部材13に設けるように構成しても構わない。
【0033】
検知部15は、所定の回路素子を備える集積回路である。上述のとおり、検知部15上には第2導電部材12が設けられている。なお、本実施形態においては、集積回路として2.5mm角のLSIチップを用いた。
【0034】
次に、本発明の第1の実施形態に係る触覚センサの動作原理について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る触覚センサの動作原理を示す図である。
【0035】
図2に示すように、触覚毛14bによって風力等の外力を受けると、外力が弾性部材13に伝達し、これにより弾性部材13が変形する。そして、弾性部材13の変形に伴って、弾性部材13の内部に埋め込まれた第1導電部材11の位置が変位する。
【0036】
これにより、第2導電部材12に対する第1導電部材11の位置が変位する。すなわち、第1導電部材11と第2導電部材12の相対的位置関係が変化する。これにより、第1導電部材11と第2導電部材12との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化を検知部15によって検出することにより、外力を検知することができる。
【0037】
次に、本発明の第1の実施形態に係る触覚センサによって外力を測定するための方法について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る触覚センサのブロック図である。
【0038】
図3に示すように、本発明の第1の実施形態に係る触覚センサ1は、容量検出部10、容量周波数変換部20及び演算部30を備える。
【0039】
容量検出部10は、図1に示す構成要素からなり、この容量検出部10によって、第1導電部材11と第2導電部材12との間の静電容量が検出される。
【0040】
容量周波数変換部20は、第1導電部材11と第2導電部材12の間の静電容量に依存した所定の周波数信号を生成する機能を有し、図3に示すように、第1発振器21、基準発振器22、ミキサ23、フィルタ24及びカウンタ25で構成されている。
【0041】
第1発振器21は、第2導電部材12に接続されており、容量検出部10によって検出された静電容量に応じた発振周波数である第1発振周波数f1の信号を出力する。静電容量が変化すると第1発振周波数f1も変化する。なお、本実施形態では、第1発振器21として、リングオシレータを用いた。
【0042】
基準発振器22は、基準となる一定の発振周波数(固定周波数)である基準発振周波数frefの信号を出力する。なお、本実施形態では、基準発振器22として、リングオシレータを用いた。
【0043】
ミキサ23は、第1発振器21から第1発振周波数f1で発振された信号と、基準発振器22から基準発振周波数frefで発振された信号とが入力されることにより、乗算処理を施し、f1、fref、f1−fref、f1+fref、2f1、2frefの周波数の信号を出力する。
【0044】
フィルタ24は、高周波の信号成分を除去するLPF(Low Pass Filter)である。フィルタ24は、ミキサ23からの信号に対して、f1、fref、f1+fref、2f1、2frefの信号を除去して、第1発振周波数f1と基準発振周波数frefとの差分の周波数であるf1−frefの信号のみを出力する。
【0045】
カウンタ25は、フィルタ24からの周波数f1−frefの信号に対して、周波数のカウントを行い、単位時間当たりのカウント値、すなわち、単位時間当たりの周波数f1−frefを十進数で算出した周波数信号、を生成する周波数カウンタである。算出した周波数信号は演算部30に出力される。
【0046】
また、演算部30は、図3に示すように、容量算出部31、外力情報算出部32及びメモリ33を備える。
【0047】
容量算出部31は、カウンタ25によって生成された周波数信号を入力し、当該周波数信号に基づいて静電容量の値を算出する。この静電容量の値は、第1導電部材11と第2導電部材12との相対位置関係の変化に伴って変化した静電容量の変化値(ΔC)である。算出した静電容量の値は、外力情報算出部32に出力される。
【0048】
外力情報算出部32は、容量算出部31によって算出された静電容量の値に基づいて、外力に関する情報である外力情報の値を算出する。外力情報とは、例えば、外力が風力の場合は、風圧又は風速等がある。外力情報の値の算出は、実測して算出した静電容量に対して、外力情報と静電容量との相関が示された既知の相関データを参照することによって行うことができる。
【0049】
例えば、算出したい外力情報が風速の場合、風速と静電容量の変化値(増減値)との相関データを予め作成しておき、当該相関データと実測して算出された静電容量の変化値とによって実測の風速を算出することができる。当該既知の相関データはメモリ33に記憶されている。
【0050】
なお、本実施形態において、容量周波数変換部20と演算部30は、LSIチップで構成される検知部15に備えられる。容量周波数変換部20と演算部30の各構成要素は、LSIチップ内の所定の回路素子で構成されている。LSIチップには、その他必要な周辺回路が設けられている。
【0051】
次に、本実施形態に係る触覚センサの製造方法について説明する。
まず、シリコーンゴム等の材料を用いて薄膜を形成する。薄膜は、材料を溶媒に溶かして、薄く延ばして乾燥させることによって作製することができる。
【0052】
次に、この薄膜上に第1導電部材11として金箔を載置する。そして、その上に、同じシリコーンゴム等の薄膜を載置して、両薄膜を溶着させる。これにより、第1導電部材11が埋め込まれた弾性部材13を形成することができる。
【0053】
その後、その弾性部材13の上に、針金等で構成された触覚毛を傾かないようにして固着させる。
【0054】
次に、容量周波数変換部20及び演算部30の機能を備えるとともに上面に第2導電部材12が形成されたLSIチップを予め準備しておき、このLSIチップの第2導電部材12に第1導電部材11が対向するようにして、第1導電部材11と触覚部材14が設けられた弾性部材13をLSIチップに実装する。
【0055】
これにより、本実施形態に係る触覚センサを製造することができる。
以上、本発明の第1の実施形態に係る触覚センサ1は、容量検出部10に加えて、容量周波数変換部20及び演算部30を備えることにより、単に外力を検知するだけではなく、外力情報の値を算出することができる圧力センサとして利用することができる。しかも、本実施形態では、静電容量の変化を検出する方法として周波数を用いている。これにより、信号の伝送中にエラーが発生することが少なくなるので、測定精度が高い圧力センサを実現することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る触覚センサについて、図4を用いて説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係る触覚センサの外観斜視図である。なお、図4において、図1における本発明の第1の実施形態に係る構成と同じ構成については同じ符号を付しており、その説明は簡略化又は省略している。
【0057】
図4において、本発明の第2の実施形態に係る触覚センサ2が、本発明の第1の実施形態に係る触覚センサと異なる点は、第2導電部材12の構成である。
【0058】
本発明の第2の実施形態に係る触覚センサ2は、外力の方向を検知することができる触覚センサであって、図4に示すように、検知部15の集積回路表面に配置される第2導電部材12が、第1電極12a、第2電極12b、第3電極12c、第4電極12d及び接地電極12GNDで構成されている。なお、図4に示すように、第2導電部材12が形成される電極領域全体の面積は、第1導電部材11の面積よりも小さいことが好ましい。
【0059】
この第2導電部材12の電極構成について、図5を用いて詳述する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る触覚センサにおける第2導電部材の電極領域の平面図である。
【0060】
図5に示すように、本実施形態に係る第2導電部材12は、点線で示される正方形の電極領域において、接地電極12GNDを中心として、第1電極12a、第2電極12b、第3電極12c及び第4電極12dが点対称に配置されたものである。
【0061】
接地電極12GNDは、第1導電部材11が電気的に浮かないようにするために、集積回路のグランド配線に接続されており、接地電位となっている。
【0062】
第1電極12a、第2電極12b、第3電極12c及び第4電極12dは、接地電極12GNDの周辺に配置されている。第1電極12aと第2電極12bとは、図面左右方向において、接地電極12GNDを挟んで対向配置されている。第3電極12cと第4電極12dとは、図面上下方向において、接地電極12GNDを挟んで対向配置されている。第1電極12a〜第4電極12dは、その内側辺が接地電極12GNDの外形に沿うように形成されている。
【0063】
なお、本実施形態では、各電極間の隙間が、300μmとなるように構成した。以上、第1電極12a〜第4電極12dの各電極は、それぞれ集積回路内の発振器に接続されている。
【0064】
このように、本実施形態では、第1電極12a〜第4電極12dは、接地電極12GNDを中心として、直交する2直線が指し示す4方向に配置されている。すなわち、第1電極12aの中心と第2電極12bの中心を結ぶ直線は、第3電極12cの中心と第4電極12dの中心とを結ぶ直線と直交し、その交点が接地電極12GNDの中心を通るように構成されている。
【0065】
なお、センサの感度を向上させるために、接地電極12GNDと第1電極12a〜第4電極12dの面積比率は、発振器から見たときの静電容量の変化量が最大となるように設定することが好ましい。すなわち、発振器の周波数変化が最も大きくなるように設定することが好ましい。
【0066】
次に、本発明の第2の実施形態に係る触覚センサ2の全体構成について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る触覚センサのブロック図である。なお、図6において、図3における本発明の第1の実施形態に係る構成と同じ構成については同じ符号を付しており、その説明は簡略化又は省略している。
【0067】
図6に示すように、本実施形態に係る触覚センサ2は、容量検出部10、容量周波数変換部20及び演算部30を備える。
【0068】
容量検出部10は、図5に示す構成要素からなり、この容量検出部10によって、第1導電部材11と第2導電部材12との間の静電容量が検出される。本実施形態では、第2導電部材12における第1電極12a〜第4電極12dは、それぞれ発振器に接続されている。従って、第1電極12a〜第4電極12dの各電極と第1導電部材11との間の静電容量は、それぞれ独立して検出することができる。
【0069】
容量周波数変換部20は、第2導電部材12の各電極に対する静電容量に依存する所定の周波数信号を生成する機能を有し、図6に示すように、第1発振器21a、第2発振器21b、第3発振器21c及び第4発振器21dの4つの発振器と、1つの基準発振器22とを備える。
【0070】
また、容量周波数変換部20は、4つの発振器それぞれに接続される第1ミキサ23a、第2ミキサ23b、第3ミキサ23c及び第4ミキサ23dを備え、さらに、フィルタ24及びカウンタ25を備える。
【0071】
第1発振器21aは、第1電極12aに接続されており、第1の実施形態と同様にして、第1導電部材11と第1電極12aとの間の静電容量に応じた発振周波数である第1発振周波数f1の信号を発振し出力する。
【0072】
第2発振器21bは、第2電極12bに接続されており、第1導電部材11と第2電極12bとの間の静電容量に応じた発振周波数である第2発振周波数f2の信号を出力する。
【0073】
第3発振器21cは、第3電極12cに接続されており、第1導電部材11と第3電極12cとの間の静電容量に応じた発振周波数である第3発振周波数f3の信号を出力する。
【0074】
第4発振器21dは、第4電極12dに接続されており、第1導電部材11と第4電極12dとの間の静電容量に応じた発振周波数である第4発振周波数f4の信号を出力する。
【0075】
基準発振器22は、第1の実施形態と同様に、基準となる一定の発振周波数(固定周波数)である基準発振周波数frefの信号を発振し出力する。
【0076】
なお、本実施形態では、以上の第1発振器21a〜第4発振器21d及び基準発振器22として、リングオシレータを用いた。
【0077】
第1ミキサ23aは、第1発振器21aから第1発振周波数f1で発振された信号と、基準発振器22から基準発振周波数frefで発振された信号とが入力される。これにより、乗算処理を施して、f1、fref、f1−fref、f1+fref、2f1、2frefの周波数の信号を出力する。
【0078】
同様に、第2ミキサ23b、第3ミキサ23c及び第4ミキサ23dは、それぞれ、周波数f2〜f4の信号と基準発振周波数frefの信号とについて乗算処理を施し、f2−fref、f3−fref、f4−fref等の周波数の信号を出力する。
【0079】
フィルタ24は、第1の実施形態と同様に、高周波の信号成分を除去するLPFである。フィルタ24は、第1ミキサ23a〜第4ミキサ23dからの信号に対して、f1−fref、f2−fref、f3−fref及びf4−fref以外の信号を除去して、f1−fref、f2−fref、f3−fref及びf4−frefの信号のみを出力する。
【0080】
カウンタ25は、フィルタ24からの周波数f1−fref、f2−fref、f3−fref又はf4−frefの信号に対して、それぞれ周波数のカウントを行い、単位時間当たりのカウント値を生成する周波数カウンタである。すなわち、カウンタ25は、単位時間当たりの周波数f1−fref、f2−fref、f3−fref又はf4−frefを十進数で算出した第1周波数信号〜第4周波数信号を生成する。算出した第1周波数信号〜第4周波数信号は演算部30に出力される。
【0081】
また、図6に示すように、演算部30は、第1の実施形態と同様に、容量算出部31、外力情報算出部32及びメモリ33を備える。演算部30の各構成の機能は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。容量算出部によって、第1周波数信号〜第4周波数信号それぞれについて静電容量の値が算出され、外力情報算出部によって、当該静電容量の値に基づいて外力情報の値が算出される。
【0082】
外力情報の値の算出は、第1の実施形態と同様に、実測して算出した静電容量に対して、外力情報と静電容量との相関が示された既知の相関データを参照することによって行うことができる。
【0083】
具体的には、第1電極12a、第2電極12b、第3電極12c及び第4電極12dの静電容量から、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の静電容量変位ΔCX、ΔCY、ΔCZを算出し、静電容量変位ΔCX、ΔCY、ΔCZそれぞれと外力情報(例えば、応力σ)との相関が示された既知の相関データを参照することによって、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向における外力情報(例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の応力成分σX、σY、σZ)を算出することができる。
【0084】
この既知の相関データについて、図7を用いて説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る触覚センサにおける、風速と静電容量の変化値に関する既知の相関データを示したものである。本実施形態において、風速と静電容量の変化値に関する既知の相関データは、図7に示すように二次曲線となる。
【0085】
例えば、本実施形態では、触覚センサを構成する各構成要素の条件を以下のように設定することによって、既知の相関データを算出した。
【0086】
第1導電部材11と第2導電部材12の電界領域は、一辺の長さが1.0mmの正方形とした。第1導電部材11と第2導電部材12との距離は0.5mmとした。第2導電部材12における接地電極12GNDが第2導電部材12の電界領域全域に占める割合は0.46とした。弾性部材13のヤング率は2MPaとし、比誘電率は2とした。弾性部材13は、円柱として、その高さを1.0mmとし、直径を2.0mmとした。触覚毛14bは、円柱として、長さを10.0mmとし、直径を1.0mmとした。なお、真空の誘電率は、8.85×10-12とし、空気の密度は1.293kg/cm3とし、弾性部材13が受ける空気抵抗は0.7とした。
【0087】
以上の条件によって算出した風速に対する静電容量の変化は、以下の表1ようになる。
【0088】
【表1】

【0089】
表1の結果をプロットすることによって、図7に示す相関データを作成することができる。
【0090】
容量算出部31によって算出された静電容量の変化値(ΔC)は、この図7に示す二次曲線の相関データに基づいて、風速に換算することができる。
【0091】
次に、このように構成される本実施形態に係る触覚センサの動作について、図8を用いて説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る触覚センサの動作を示す図である。
【0092】
図8に示すように、触覚毛14bによって風力等の外力を受けると、外力が弾性部材13に伝達し、これにより弾性部材13が変形する。そして、弾性部材13の変形に伴って、第1導電部材11の位置が変位する。これにより、第1導電部材11と第2導電部材12の相対的位置関係が変化する。
【0093】
この場合、本実施形態において、第2導電部材12が、直交する2直線の4方向に配置された第1電極12a〜第4電極12dで構成されているので、第1導電部材11と第1電極12a〜第4電極12dとの間の静電容量がそれぞれ変化する。本実施形態では、この4つの静電容量の変化を検知部15によって検出することにより、外力の方向を特定することができる。
【0094】
例えば、図8に示すように弾性部材13が変形したとすると、第1導電部材11と第1電極12aとの間の距離が増加しているので、第1導電部材11と第1電極12aとの間の静電容量は減少する。一方、第1導電部材11と第2電極12bとの間の距離は減少しているので、第1導電部材11と第2電極12bとの間の静電容量は増加する。
【0095】
従って、この静電容量の変化を算出することによって、外力が第1電極12aから第2電極12bに向かって作用していることを検知することができる。例えば、外力が風力の場合は、風向を測定することができる。
【0096】
以上、本発明の第2の実施形態に係る触覚センサ2によれば、スカラ量の外力の値を算出するだけではなく、外力の方向を示すベクトル量も測定することができる応力センサとして利用することができる。しかも、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、静電容量の変化を検出する方法として周波数を用いているので、測定精度の高い応力センサを実現することができる。
【0097】
なお、風向等の外力の方向のみを検知したい場合は、第1電極12a〜第4電極12dに関する静電容量の値そのものは算出する必要はなく、第1電極12a〜第4電極12dに関する4つの静電容量の相対的なバランス変化のみを検知すればよい。
【0098】
また、風向等の外力の方向を検知する場合、触覚毛14bは線状部材等の断面が円形の部材とすることが好ましい。これにより、外力の方向を正確に弾性部材13に伝達することができ、当該方向が第1導電部材11の位置の変位として正確に伝達される。例えば、触覚毛14bを板状体にすると板状体の主面垂直方向に応力が集中して指向性の感度が悪くなる。これに対して、触覚毛14bを線状部材等の断面が円形の部材にするとことにより、360度全ての方向に対して均等に指向性を持たせることができる。
【0099】
同様の理由で、弾性部材13についても断面が円形の部材がよく、本実施形態のように円柱体を用いることが好ましい。これにより、弾性部材13が受けた外力の方向を正確に第1導電部材11に伝達することができる。
【0100】
なお、本実施形態において、外力情報の算出は、外力情報と静電容量との相関が示された既知の相関データに基づいて行ったが、外力情報の算出は、以下の数式によっても行うことができる。以下、その算出方法について詳述する。
【0101】
まず、第1電極12a、第2電極12b、第3電極12c及び第4電極12dの静電容量をそれぞれCa、Cb、Cc、Cdとし、また、弾性部材13に外力が加わっていない状態での静電容量をC0すると、以下の式が成り立つ。
【0102】
a=C0+ΔCa
b=C0+ΔCb
c=C0+ΔCc
d=C0+ΔCd
【0103】
また、第1電極12a、第2電極12b、第3電極12c及び第4電極12dのそれぞれに接続された発振器の発振周波数をそれぞれfa、fb、fc、fdとし、また、弾性部材13に外力が加わっていない状態での発振周波数をf0とすると、以下の式が成り立つ。
【0104】
ΔfX=fb−fa
ΔfY=fc−fd
ΔfZ=(fa+fb+fc+fd)/4−f0
【0105】
ここで、ΔfX、ΔfY、ΔfZは、それぞれ、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向における周波数変位を表している。
【0106】
また、発振器の発振周波数と静電容量との関係は、次式で表すことができる。
【0107】
f=Kosc×C0-n(1+ΔC/C0-n
≒Kosc×C0-n(1−n×ΔC/C0
【0108】
ここで、Koscは、容量周波数変換利得であり、回路定数によって決定される。また、nは、発振器の動作メカニズムによって決定され、LCタンク回路の場合は、n=0.5であり、リングオシレータの場合は、n=1である。
【0109】
従って、上記の3軸方向における周波数変位と静電容量との関係は、次のように表すことができる。まず、X軸方向における周波数変位ΔfXは、次式で表すことができる。
【0110】
X=fb−fa
≒Kosc×C0-(n+1)×n×(−ΔCb+ΔCa
【0111】
ここで、ΔCa=ΔCZ−ΔCX、ΔCb=ΔCZ+ΔCXとすると、上記fXは、以下の式に近似される。
【0112】
X≒−2Kosc×C0-(n+1)×n×(ΔCX
【0113】
同様に、ΔCd=ΔCZ−ΔCY、ΔCc=ΔCZ+ΔCYとすると、Y方向及びZ軸方向における周波数変位ΔfY、ΔfZは、次式で近似することができる。
【0114】
Y=fc−fd
≒Kosc×C0-(n+1)×n×(−ΔCc+ΔCd
≒−2Kosc×C0-(n+1)×n×(ΔCY
Z≒−Kosc×C0-(n+1)×n×(ΔCZ
【0115】
次に、周波数変位と応力との関係について、説明する。
まず、電極の静電容量Cについては、電極間の誘電率をεとし、電極面積をSとし、応力による電極間隔の変化をΔZとすると、以下の式で表すことができる。
【0116】
C=C0+ΔC
=ε×S×(1/(Z+ΔZ))
≒ε×S×(1/Z)×(1−ΔZ)
=C0(1−ΔZ)
【0117】
従って、ΔCは、以下のように表すことができる。
【0118】
ΔC≒−C0×ΔZ
【0119】
ここで、本実施形態において、弾性部材13に加えられる応力をσとし、弾性部材13のコンプライアンスをCPとすると、ΔZは以下の式で表すことができる。
【0120】
ΔZ=−Z×CP×σ
【0121】
従って、上記の静電容量変位ΔCは、以下の式で表すことができる。
【0122】
ΔC=−C0×ΔZ
=−ε×S×(1/Z)×ΔZ
=−ε×S×(1/Z)×(−Z×CP×σ)
= ε×S×CP×σ
【0123】
ここで、応力σのX軸方向成分、Y軸方向成分及びZ軸方向成分をそれぞれσX、σY、σZとし、σXに対する容量変化ΔCX、σYに対する容量変化ΔCY、σZに対する容量変化ΔCZは各々独立であって、それぞれσX、σY、σZに比例すると仮定すると、容量変化ΔCX、ΔCY、ΔCZは、次のように表すことができる。
【0124】
ΔCX≒ε×S×CPX×σX
ΔCY≒ε×S×CPY×σY
ΔCZ≒ε×S×CPZ×σZ
【0125】
この式を変形すると、次のように表すことができる。
【0126】
σX≒ΔCX/(ε×S×CPX
σY≒ΔCY/(ε×S×CPY
σZ≒ΔCZ/(ε×S×CPZ
【0127】
ここで、上述した周波数変位と静電容量との関係式を変形すると、以下のように表すことができる。
【0128】
ΔCX=−ΔfX/(2×KOSC×C0-(n+1)×n)
ΔCY=−ΔfY/(2×KOSC×C0-(n+1)×n)
ΔCZ=−ΔfX/(KOSC×C0-(n+1)×n)
【0129】
これを上記の式に代入すると、σX、σY、σZは、次のように表すことができる。
【0130】
σX=−ΔfX/(2×KOSC×C0-(n+1)×n×ε×S×CPX
σY=−ΔfY/(2×KOSC×C0-(n+1)×n×ε×S×CPY
σZ=−ΔfZ/(KOSC×C0-(n+1)×n×ε×S×CPZ
【0131】
このようにして、周波数変化と応力との関係を数式で表すことができる。
なお、上記関係式において、KOSC、f0、nは、回路設計によって決定される。また、C0とSは、電極の形状により決定される。また、ε、CPX、CPY、CPZは、構成材料によって決定される。
【0132】
以上のとおり、第1電極12a、第2電極12b、第3電極12c及び第4電極12dのそれぞれに接続された発振器の発振周波数fa、fb、fc、fdを算出することにより、計算式によっても応力を算出することができる。
【0133】
(変形例)
以上、本発明に係る触覚センサについて、2つの実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0134】
例えば、本実施形態では、第1導電部材11として金箔等の薄膜又は板状のものを用いたが、これに限らない。第1導電部材11として金属粉を用い、弾性部材13の中に当該金属粉を分散させるように構成しても構わない。金属粉としては、金粉を用いることができる。
【0135】
また、本実施形態では、触覚毛14bは1本にしたが、複数本設けても構わない。触覚毛14bを複数本設けることにより、より外力を受けやすくなって弾性部材13が変形しやすくなる。これにより、センサの感度を向上させることができる。
【0136】
また、触覚毛14bは線状部材としたが、線状のみの部材で構成する必要はない。例えば、触覚毛14b線状部材の上方部分に、別の部材を設けても構わない。これにより、外力を受けやすくすることができるので、センサの感度を向上させることができる。但し、外力の方向を検知する場合は、外力の指向性に影響を与えないように、別に設ける部材としては、線状部材を中心として同心円形状の部材とすることが好ましい。
【0137】
また、本実施形態において、触覚部材14の長さは、図1に示す触覚毛14bの長さのように、弾性部材13の高さと同程度か、それよりもやや長くしているが、これに限らない。例えば、図9A及び図9Bに示すように、触覚部材14’の長さを弾性部材13の高さに対して非常に長くなるように設定しても構わない。これにより、外力に対する触覚センサの感度を向上させることができる。なお、図9A及び図9Bにおいて、図1Aに示す構成と同じ構成については、同じ符号を付している。
【0138】
さらに、本実施形態では、外力として風力を例示したが、風力以外の外力であっても構わない。例えば、本発明に係る触覚センサは、水力についても適用することができる。この場合、水圧及び水流方向を検知し測定することができる。
【0139】
また、第2の実施形態において、接地電極12GNDをドーナツ状にして、当該接地電極12GNDの内側に第5電極を設けて、さらに静電容量を算出するように構成することもできる。をこの構成により、垂直方向の外力を検知することも可能となる。
【0140】
また、第2の実施形態において、外力の方向を検知するために、接地電極12GND以外の電極は4つの電極で構成したが、これに限らない。例えば、2つの電極であっても2方向を検知することができる。また、電極の数を4つ以上として4つ以上の静電容量を算出するように構成することにより、より細かな方向を検知することもできる。但し、電極数が増えると、電極同士を離間するための隙間の面積が増加することになり、静電容量が小さくなってセンサの感度が低下する。従って、本実施形態のように4つの電極とすることが最も好ましい。
【0141】
さらに、本発明に係る触覚センサを複数配列することにより、センサアレイを構成することもできる。このセンサアレイを用いることにより、風力等の外力を可視化することができる。
【0142】
なお、その他、各実施形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明に係る触覚センサは、外力を検知して測定するためのセンサとして有用である。特に、風速及び風向を測定するためのセンサとして有用である。
【符号の説明】
【0144】
1、2、100 触覚センサ
10 容量検出部
11 第1導電部材
12 第2導電部材
12a 第1電極
12b 第2電極
12c 第3電極
12d 第4電極
12GND 接地電極
13 弾性部材
14、14’ 触覚部材
14a ベース
14b 触覚毛
20 容量周波数変換部
21、21a 第1発振器
21b 第2発振器
21c 第3発振器
21d 第4発振器
22 基準発振器
23 ミキサ
23a 第1ミキサ
23b 第2ミキサ
23c 第3ミキサ
23d 第4ミキサ
24 フィルタ
25 カウンタ
30 演算部
31 容量算出部
32 外力情報算出部
33 メモリ
101 圧電素子
102 振動子
103 絶縁部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電部材と、
前記第1導電部材と所定の間隔で配置された第2導電部材と、
前記第1導電部材を内部に備えた弾性部材と、
前記弾性部材に設けられ、外力を受けるための触覚部材と、
前記外力を検知するための検知部と
を有し、
前記第1導電部材は、前記触覚部材が受けた前記外力による前記弾性部材の変形によって前記第2導電部材に対する位置が変位し、
前記検知部は、前記第1導電部材の位置の変位によって変化した、前記第1導電部材と前記第2導電部材との間の静電容量に基づいて前記外力を検知する
触覚センサ。
【請求項2】
前記検知部は、容量周波数変換部と、容量算出部及び外力情報算出部を有する演算部とを有し、
前記容量周波数変換部は、前記第1導電部材と前記第2導電部材の間における前記静電容量に依存した所定の周波数信号を生成し、
前記容量算出部は、前記容量周波数変換部によって生成された前記周波数信号に基づいて、前記静電容量の値を算出し、
前記外力情報算出部は、前記容量算出部によって算出された前記静電容量の値に基づいて、前記外力に関する情報の値を算出する
請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項3】
前記容量周波数変換部は、
前記静電容量に応じた発振周波数の信号を出力する発振器と、
基準となる発振周波数である基準発振周波数の信号を出力する基準発振器と
を備え、
当該容量周波数変換部によって生成される前記周波数信号は、前記発振器から出力された信号の発振周波数と、前記基準発振器から出力された信号の基準発振周波数との差に相当する周波数の信号である
請求項2に記載の触覚センサ。
【請求項4】
前記弾性部材のヤング率が、1MPa〜100MPaである
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の触覚センサ。
【請求項5】
前記第2導電部材は、少なくとも、第1電極、第2電極、第3電極、第4電極及び接地電極で構成されており、
前記第1電極と前記第2電極とは、前記接地電極を挟んで対向配置され、
前記第3電極と前記第4電極とは、前記接地電極を挟んで対向配置されている
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の触覚センサ。
【請求項6】
前記第1導電部材は、金属粉で構成される
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の触覚センサ。
【請求項7】
前記触覚部材は、線状部材で構成される
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の触覚センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−215000(P2011−215000A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83417(P2010−83417)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人科学技術振興機構、重点地域研究開発推進プログラム(シーズ発掘試験)に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504160781)国立大学法人金沢大学 (282)
【Fターム(参考)】