説明

言語学習方法、言語学習装置、プログラムおよび記憶媒体

【課題】効果的に言語の学習を行うことができる言語学習方法、言語学習装置、プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】単語抽出制御部15は、漢字抽出部13から入力された漢字および漢字情報に基づいて単語抽出条件を設定し、単語抽出条件に含まれる漢字の読み方全てを網羅するように、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる。この抽出された単語(群)が、単語情報に含まれる漢字の読み方を全て網羅している場合、単語抽出制御部15は、その単語(群)を単語リスト出力部17に入力させ、単語リストを作成させる。これにより漢字の複数の読み方を含む単語のリストが自動的に作成されるので、学習者は効果的に言語の学習を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率的に言語を学習するための言語学習方法、言語学習装置、プログラムおよびこのプログラムを記憶した記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、言語の学習を効率的に行い、学習者の負担を軽減するための各種技術が提案されている。例えば、漢字学習の効率を上げるために、予め定めた漢字の難易度に応じて漢字や漢字を含む文章を漢字辞書記憶部から抽出し、抽出した漢字や文章をディスプレイに表示したり紙面にプリントアウトしたりする学習装置が提案されている。このような従来の装置では、文部科学省の学習指導要領に定められた漢字の学年別配当表における「学年」等を、漢字の難易度に適用している。すなわち、「学年」が低いほど漢字の難易度が低くて易しく、逆に「学年」が高いほど難易度が高くて難しいとみなしている。
【0003】
ところが、上記学年別配当表は、1学年から6学年までの6段階しかなく、同一段階内に含まれる漢字は全て同一の難易度と見なされてしまうため、同一段階内では難易度を制御できないという問題があった。さらに、学年別配当表の対象は教育漢字に限られるため、教育漢字以外の漢字は適用できないという問題もあった。
【0004】
このような問題を解決するために、漢字の難易度を表す指標として親密度を用いる技術が存在する(例えば、特許文献1参照。)。この親密度とは、漢字または単語の主観的ななじみの程度を表す数値であり、1から7の範囲の実数値で表され、1に近いほどなじみがなく、7に近いほどなじみがあることを意味する。例えば、「会」や「本」という漢字の親密度は6.5以上であり、「魑」や「龠」という単語の親密度は2.0以下である。また、例えば「太陽」や「父親」という単語の親密度は6.5以上であり、「刮目」や「撒播」という単語の親密度は2.0以下である。このような親密度は、各漢字のなじみの程度を1,2,3,4,5,6,7の数値で多人数に評価させ、この評価値を平均することにより求められる。このような方法で日本語における漢字6300字について求められた親密度はデータベース化されている。親密度は、信頼性の高い科学的な数値であり、言語に関わる学術研究に利用されるばかりではなく、語彙数推定装置(例えば、特許文献2参照。)等の応用技術にも広く利用されている。
【0005】
このように、親密度は、各漢字または各単語毎に求まる実数値であり、教育漢字以外にも求まる値である。したがって、親密度に基づいて漢字や漢字を含む文章を漢字辞書記憶部から無作為に抽出し、抽出した漢字や文章をディスプレイに表示したり紙面にプリントアウトしたりすることにより、教育漢字以外の漢字にも適用することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−107483号公報
【特許文献2】特許第3331286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、世界中で用いられている言語の中には、1つの単語に複数の読み方がある言語が存在する。例えば、日本語で用いられる漢字は、例えば「年」という漢字に「ねん」と「とし」という2つの読み方があるように、読み方が複数ある場合が多い。このような漢字の読み方は、前後の文字、すなわち文脈によって読み方が定まる。例えば、「年」という漢字は、「学年」という単語においては「ねん」と読み、「年増」という単語においては「とし」と読む。したがって、日本語のように単語に複数の読み方がある言語を学習する者は、単語の単純な読み方のみならず、文脈に応じた読み方を学習しなければならない。
【0008】
しかしながら、従来技術では、単語の複数の読み方を想定していなかったので、学習すべき単語の読み方が一度も学習者に示されない場合があり、結果として言語の学習を効果的に行うことができなかった。
【0009】
そこで本願発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、効果的に言語の学習を行うことができる言語学習方法、言語学習装置、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述したような課題を解決するために、本発明にかかる言語学習方法は、複数の単語と、各単語の少なくとも読み方とを記憶した単語辞書を用いた言語学習方法であって、複数の読み方を有する第1の文字列を取得する取得ステップと、第1の文字列の読み方毎に単語辞書から第1の文字列を含む第2の文字列を抽出する抽出ステップと、この抽出ステップにより抽出された第2の文字列を学習者に提示する提示ステップとを備えることを特徴とする。上記属性情報としては、少なくとも文字列の読み方に関する情報が含まれる。ここで、第1および第2の文字列は、テキストデータなどから構成されるようにしてもよい。
【0011】
上記言語学習方法において、抽出ステップは、第1の文字列の読み方毎に単語辞書から抽出する第2の文字列の数を最小にするようにしてもよい。
【0012】
また、上記言語学習方法において、単語辞書は、各単語の主観的ななじみの程度を示す値である親密度を記憶しており、抽出ステップは、単語辞書から第1の文字列の読み方毎に抽出された第2の文字列の親密度の平均を最大とするようにしてもよい。ここで、上記属性情報としては、親密度に関する情報もさらに含まれる。
【0013】
また、上記言語学習方法において、第2の文字列における第1の文字列の読み方に関する解答情報を学習者から受け付ける受付ステップと、解答情報に含まれる第1の文字列の読み方が正解か否かを判定する判定ステップと、判定手段の判定結果に基づいて、提示ステップにより提示する第2の文字列を選択する選択ステップとをさらに備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、単語辞書から第1の文字列の読み方毎に第1の文字列を含む第2の文字列を抽出することにより、第1の文字列の全ての読み方が網羅されるので、効果的に言語の学習を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。図1に示すように、本実施の形態にかかる言語学習装置1は、漢字辞書記憶部11と、漢字抽出条件設定部12と、漢字抽出部13と、単語辞書記憶部14と、単語抽出制御部15と、単語抽出部16と、単語リスト出力部17と、解答受付部18と、解答分析部19と、出力制御部20とからなる。このような言語学習装置1は、CPU等の演算装置と、メモリ、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置と、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、タッチパネル等の外部から情報の入力を検出する入力装置と、プリンタ等の各種情報の送受信を行うI/F装置と、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)またはFED(Field Emission Display)等の表示装置を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。すなわちハードウェア装置とソフトウェアとが協働することによって、上記ハードウェア資源がプログラムによって制御され、上述した漢字辞書記憶部11、漢字抽出条件設定部12、漢字抽出部13、単語辞書記憶部14、単語抽出制御部15、単語抽出部16、単語リスト出力部17、解答受付部18、解答分析部19および出力制御部20が実現される。なお、上記プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体に記録された状態で提供されるようにしてもよい。
【0016】
漢字辞書記憶部11は、第1の文字列に相当する漢字と、この漢字の読み方、親密度、画数等に関する漢字情報とを記憶したデータベース(Data Base)である。
【0017】
漢字抽出条件設定部12は、ユーザの操作入力に基づいて漢字辞書記憶部11から抽出する漢字の条件(以下、「漢字抽出条件」と呼ぶ。)を設定し、この漢字抽出条件を漢字抽出部13に入力する演算処理部である。この漢字抽出条件とは、例えば、抽出する漢字の親密度、抽出する漢字の数量、抽出する漢字の読み方の数量、抽出する漢字の画数等から構成される。なお、漢字抽出条件設定部12は、ユーザにより特定の漢字が指定された場合、この指定された漢字そのものを漢字抽出条件として設定するようにしてもよい。
【0018】
漢字抽出部13は、漢字抽出条件に基づいて、漢字辞書記憶部11から漢字およびこの漢字の漢字情報を抽出する演算処理部である。抽出した漢字および漢字情報は、単語抽出制御部15に入力される。なお、漢字抽出条件として特定の漢字が設定されている場合、漢字抽出部13は、その漢字と、この漢字の漢字情報とを漢字辞書記憶部11から抽出する。
【0019】
単語辞書記憶部14は、第2の文字列に相当する単語または文章と、この単語または文章に含まれる漢字の読み方、その単語または文章に含まれる単語の親密度、その単語または文章に含まれる文字の数量等に関する情報(以下、「単語情報」と呼ぶ。)とを記憶したデータベースである。
【0020】
単語抽出制御部15は、漢字抽出部13から入力された漢字および漢字情報に基づいて、単語辞書記憶部14から抽出する単語の条件(以下、「単語抽出条件」と呼ぶ。)を設定し、この単語抽出条件を単語抽出部16に入力し、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる演算処理部である。具体的には、単語抽出制御部15は、単語抽出条件に含まれる漢字の読み方を全て網羅するように、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)または文章(群)を抽出させる。なお、単語抽出条件には、漢字抽出部13から入力された漢字と、この漢字の全ての読み方とが少なくとも含まれる。
【0021】
単語抽出部16は、単語抽出条件に基づいて、単語辞書記憶部14から第2の文字列に対応する単語(群)または文章(群)を抽出する演算処理部である。抽出された単語(群)または文章(群)は、単語リスト出力部17に入力される。
【0022】
単語リスト出力部17は、後述する単語リスト作成動作の場合、単語抽出部16から入力された単語(群)をリスト化したもの(以下、「単語リスト」と呼ぶ)をユーザに出力するインターフェース装置である。ここで、単語リスト出力部17は、後述する学習動作の場合、単語リストの中から一部を出力する。なお、単語(群)の出力方法としては、例えば、ディスプレイに表示したり紙面にプリントアウトしたりするようにしてもよい。なお、学習動作の場合、提示した単語(群)は、解答分析部19にも出力される。
【0023】
解答受付部18は、単語リスト出力部17から出力された単語に対して、学習者からのその単語の読み方に関する情報(以下、「解答情報」と呼ぶ)を受け付けるインターフェース装置である。この解答情報を受け付ける方法としては、例えば、キーボードや光学的読み取り装置により行うことができる。学習者から受け取った解答情報は、解答分析部19に入力される。
【0024】
解答分析部19は、解答受付部18から入力された解答情報と、単語リスト出力部17が出力した単語とに基づいて、上記解答情報の正誤を判断する演算処理部である。この判断結果は、出力制御部20に入力される。
【0025】
出力制御部20は、解答分析部19から入力された判断結果に基づいて、単語リスト出力部17の単語リストから出力する単語、出力する単語に含まれる漢字の読み方、および、その単語の出力順等を変更する演算処理部である。
【0026】
このような言語学習装置1は、設定された漢字抽出条件に基づいて、複数の単語や文章からなる単語リストを生成する単語リスト生成動作を行う。また、言語学習装置1は、生成した単語リストの中から一部の単語や文章を紙面や表示画面に出力し、この出力した単語や文章に含まれる漢字の読み方に対する解答をユーザから受け付け、この解答の正誤により出力する単語や文章を変更することにより、学習者に単語リストの単語や文章に含まれる漢字の全ての読み方を学習させる学習動作を行う。上記単語リスト生成動作および学習動作の詳細について、以下に説明する。
【0027】
[単語リスト作成動作]
まず、単語リスト作成動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。ユーザの操作入力に基づいて漢字抽出条件設定部12により漢字抽出条件が設定されると(ステップS201)、漢字抽出部13は、その漢字条件に基づいて漢字辞書記憶部11から漢字および漢字情報を抽出し、単語抽出制御部15に入力する(ステップS202)。ここで、漢字抽出条件としては、例えば、抽出する漢字の親密度が6.0以上というように親密度について条件を設定するようにしてもよい。また、例えば、漢字の抽出数が100というように抽出する漢字の数量について条件を設定するようにしてもよい。また、例えば、複数の読み方を有する漢字というように漢字の読み方の数量について条件を設定するようにしてもよい。また、例えば、画数が10画以上というように抽出する漢字の画数について条件を設定するようにしてもよい。これにより、単語抽出制御部15には、少なくとも1つ以上の漢字と、この漢字の読み方、親密度、画数等の情報からなる漢字情報とが入力される。
【0028】
次いで、単語抽出制御部15は、入力された漢字および漢字情報に基づいて、単語抽出条件を設定する(ステップS203)。例えば、漢字抽出部13から「山」という漢字が入力された場合、抽出条件には、「山」という漢字と、「山」の全ての読み方、すなわち、「やま」、「さん」、「ざん」、「せん」という読み方に関する情報とが含まれる。
【0029】
次いで、単語抽出部16は、入力された単語抽出条件に基づいて、単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出する(ステップS204)。ここで、単語抽出部16は、単語条件に含まれる各漢字の読み方毎に1つ以上の単語が抽出されるように、単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出する。例えば、単語抽出条件に「山」という漢字が含まれていた場合、単語抽出部16は、「山猫(やまねこ)」、「富士山(ふじさん)」、「登山(とざん)」、「大山(だいせん)」など、「山」という漢字の読み方を全て網羅するように複数の単語を抽出する。
【0030】
単語辞書記憶部14から単語(群)が抽出されると、単語抽出制御部15は、抽出された単語(群)が、単語抽出条件に含まれる漢字の読み方を全て網羅しているか否かを確認する(ステップS205)。この確認は、単語抽出条件に含まれる漢字およびこの漢字の読み方と、単語辞書記憶部14から抽出した単語(群)およびこの単語に含まれる漢字の読み方とを比較することにより行われる。
【0031】
全ての読み方を網羅していない場合(ステップS205:NO)、単語抽出制御部15は、ステップS203の処理に戻り、単語情報の再設定を行う。この再設定動作では、例えば、単語抽出条件に含まれる漢字およびこの漢字の読み方の確認等が行われる。
【0032】
一方、全ての読み方を網羅している場合(ステップS205:YES)、単語抽出制御部15は、単語抽出部16に抽出した単語(群)を単語リスト出力部17に入力させる。
【0033】
次いで、単語リスト出力部17は、単語抽出部16から入力された単語(群)の一覧をリスト化し、表示画面に表示したり紙面にプリントアウトしたりする(ステップS206)。このように単語リストを提示することより、言語学習装置1のユーザは、所定の漢字の全ての読み方を網羅した単語を確認することができる。なお、単語リストには、単語抽出部16により抽出された全ての単語と、この単語に含まれる漢字の読み方とが少なくとも含まれる。
【0034】
このように、本実施の形態によれば、漢字の複数の読み方を含む単語のリストが自動的に作成されるので、学習者は効果的に言語の学習を行うことができる。
【0035】
[学習動作]
次に、図3を参照して、言語学習装置1による学習動作について説明する。学習者の操作入力により、言語学習装置1を用いて学習を行う旨の指示を検出すると、単語リスト出力部17は、予め定められた一度に提示する単語の数量、単語を出力する順番などを定めた出力条件に基づいて、単語抽出部16から入力された単語の中から一部を出力する(ステップS301)。
【0036】
次いで、単語リスト出力部17が出力した単語の読み方について、解答受付部18が学習者から解答を受け付けると(ステップS302)、解答分析部303は、その解答が正しいか否か判定する(ステップS303)。この判定は、単語リスト出力部17から出力した単語に含まれる漢字の読み方と、解答受付部18が学習者から受け付けたその漢字の読み方とを比較することにより行われる。
【0037】
解答が正しい場合(ステップS303:YES)、出力制御部20は、単語リスト出力部17の単語リストの中から、その解答に対応する単語を削除する(ステップS304)。これにより、同じ単語が重複して出力されるのを防ぐことができる。
【0038】
単語リストに含まれる全ての単語の読み方を正解した場合(ステップS305:YES)、言語学習装置1は、動作を終了する。これに対して、全ての単語の読み方を正解していない場合(ステップS305:NO)、出力制御部20は、単語リスト出力部17の単語リストの中からまだ正解していない単語を出力するように出力条件を設定し(ステップS306)、ステップS301に戻る。
【0039】
一方、解答が間違っている場合(ステップS303:NO)、出力制御部20は、単語リスト出力部17の単語リストの中からまだ正解していない単語を出力するように出力条件を設定し(ステップS306)、ステップS301に戻る。
【0040】
このように、本実施の形態によれば、学習者に提示する単語リスト内の単語が学習者の解答に基づいて制御されるので、学習者は、自分の理解の度合いに合わせた学習を行うことができる。結果として、本実施の形態によれば、学習者は効果的に言語の学習を行うことができる。
【0041】
[第2の実施の形態]
次に、本発明にかかる第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、上述した第1の実施の形態にかかる言語学習装置1と単語抽出制御部15および単語抽出部16の構成および動作が異なるもののその他は同一である。したがって、本実施の形態において、第1の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し適宜説明を省略する。同様に、学習動作についても、上述した第1の実施の形態と同等であるので、適宜説明を省略する。
【0042】
単語抽出制御部15は、漢字抽出部13から入力された漢字および漢字情報に基づいて単語抽出条件を設定し、この単語抽出条件を単語抽出部16に入力し、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる演算処理部である。具体的には、単語抽出制御部15は、単語抽出条件に含まれる漢字の読み方を全て網羅するように単語(群)または文章(群)が抽出され、かつ、抽出された単語(群)または文章(群)の数量が最小となるように、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)または文章(群)を抽出させる。
【0043】
単語抽出部16は、単語抽出条件に基づいて、単語辞書記憶部14から第2の文字列に相当する単語(群)または文章(群)を抽出する演算処理部である。抽出された単語(群)または文章(群)は、単語リスト出力部17に入力される。
【0044】
次に、本実施の形態にかかる言語学習装置1の単語リスト作成動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、図4において、図2に示したフローチャートと同等のステップについては、図2と同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0045】
まず、漢字抽出条件設定部12により漢字条件が設定されると(ステップS201)、漢字抽出部13は、その漢字条件に基づいて漢字辞書記憶部11から漢字および漢字情報を抽出し、単語抽出制御部15に入力する(ステップS202)。
【0046】
次いで、単語抽出制御部15は、入力された漢字および漢字情報に基づいて、単語抽出条件を設定し、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる(ステップS203〜402)。ここで、単語抽出制御部15は、単語抽出条件に含まれる漢字の読み方を全て網羅するように、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる。
【0047】
単語辞書記憶部14から単語(群)が抽出されると、単語抽出制御部15は、抽出された単語(群)が、単語情報に含まれる漢字の読み方を全て網羅しているか否か確認する(ステップS401)。全ての読み方を網羅していない場合(ステップS401:NO)、単語抽出制御部15は、ステップS203の処理に戻り、単語情報の再設定を行う。この再設定動作では、例えば、単語情報に含まれる漢字およびこの漢字の読み方の確認などが行われる。
【0048】
一方、全ての読み方を網羅している場合(ステップS401:YES)、単語抽出制御部15は、抽出された単語(群)の中から、単語情報に含まれる全ての漢字の読み方の組み合わせ毎に1つの単語を単語抽出部16に抽出させる(ステップS402)。
【0049】
抽出された単語(群)の数が最小ではない、すなわち、単語情報に含まれる全ての漢字の読み方の組み合わせ毎に1つの単語が抽出されない場合(ステップS402:NO)、単語抽出制御部15は、ステップS203の処理に戻り、単語情報の再設定を行う。この再設定動作では、例えば、単語情報に含まれる漢字およびこの漢字の読み方の確認などが行われる。
【0050】
抽出された単語(群)の数が最小、すなわち、単語情報に含まれる全ての漢字の読み方の組み合わせ毎に1つの単語が抽出された場合(ステップS402:YES)、単語抽出制御部15は、単語抽出部16に抽出した単語(群)を単語リスト出力部17に入力させる。
【0051】
次いで、単語リスト出力部17は、単語抽出部16から入力された単語(群)の一覧をリスト化して出力する(ステップS206)。
【0052】
このように、本実施の形態によれば、漢字の複数の読み方を含む単語のリストが自動的に作成されるので、効果的に言語の学習を行うことができる。また、本実施の形態によれば、抽出される単語の数が最小となるので、単語の不要な繰り返し使用を避けることができ、結果として、効果的に言語の学習を行うことができる。
【0053】
[第3の実施の形態]
次に、本発明にかかる第3の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、上述した第1,2の実施の形態と単語抽出制御部15および単語抽出部16の構成および動作が異なるもののその他は同一である。したがって、本実施の形態において、第1,2の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し適宜説明を省略する。同様に、学習動作についても、上述した第1の実施の形態と同等であるので、適宜説明を省略する。
【0054】
単語抽出制御部15は、漢字抽出部13から入力された漢字および漢字情報に基づいて単語抽出条件を設定し、この単語抽出条件を単語抽出部16に入力し、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる演算処理部である。具体的には、単語抽出制御部15は、単語抽出条件に含まれる漢字の読み方を全て網羅するように単語(群)または文章(群)が抽出され、かつ、抽出された単語(群)または文章(群)に含まれるように、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)または文章(群)を抽出させる。
【0055】
単語抽出部16は、単語抽出条件に基づいて、単語辞書記憶部14から第2の文字列に対応する単語(群)または文章(群)を抽出する演算処理部である。抽出された単語(群)または文章(群)は、単語リスト出力部17に入力される。
【0056】
次に、本実施の形態にかかる言語学習装置1の単語リスト作成動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、図4において、図2に示したフローチャートと同等のステップについては、図2と同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0057】
まず、漢字抽出条件設定部12により漢字抽出条件が設定されると(ステップS201)、漢字抽出部13は、その漢字抽出条件に基づいて漢字辞書記憶部11から漢字および漢字情報を抽出し、単語抽出制御部15に入力する(ステップS202)。
【0058】
次いで、単語抽出制御部15は、入力された漢字および漢字情報に基づいて、単語抽出条件を設定し、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる(ステップS203〜S502)。ここで、単語抽出制御部15は、単語(群)が単語抽出条件に含まれる漢字の読み方を全て網羅し、かつ、抽出する単語(群)の単語親密度の平均が最大となるように、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる。
【0059】
具体的には、単語辞書記憶部14から単語(群)が抽出されると、単語抽出制御部15は、まず抽出された単語(群)が、単語情報に含まれる漢字の読み方を全て網羅しているか否か確認する(ステップS501)。全ての読み方を網羅していない場合(ステップS501:NO)、単語抽出制御部15は、ステップS203の処理に戻り、単語情報の再設定を行う。この再設定動作では、例えば、単語情報に含まれる漢字およびこの漢字の読み方の確認などが行われる。
【0060】
一方、全ての読み方を網羅している場合(ステップS501:YES)、単語抽出制御部15は、抽出された単語(群)の親密度の平均が最大となる組み合わせを抽出する(ステップS502)。
【0061】
上述したようなステップS203〜S502を繰り返して演算を行うことにより、単語抽出制御部15は、単語(群)の親密度の平均が最大となる組み合わせを抽出する。この演算としては、漢字の全ての読み方が現れるという制約条件の下で、抽出単語数をnとし、抽出単語の親密度Fiの平均ΣFi/nを最大化する組み合わせ最適化問題を解くことが行われる。この解は、動的計画法や分岐限定法により得ることができる。なお、漢字の数や読み方の数が大きいために、組み合わせ最適化問題の規模が大きくなり、動的計画法や分岐限定法では現実的に解が得られない場合であっても、greedy法、stingy法、ランダム法、緩和法、分割法、部分列挙法、反復改善法、焼鈍法等の近似解法を用いることにより、解を得ることができる。
【0062】
親密度の平均が最大となる単語(群)が抽出されると(ステップS502:YES)、単語抽出制御部15は、単語抽出部16に抽出した単語(群)を単語リスト出力部17に入力させる。
【0063】
次いで、単語リスト出力部17は、単語抽出部16から入力された単語(群)の一覧をリスト化して出力する(ステップS206)。
【0064】
このように、本実施の形態によれば、漢字の複数の読み方を含む単語のリストが自動的に作成されるので、効果的に言語の学習を行うことができる。また、本実施の形態によれば、親密度の平均が最大となる単語(群)が抽出されるので、簡単かつ重要な単語や文章を選択的に使用でき、簡単かつ重要な単語や文章の学習を並行して行うことができる。
【0065】
[第4の実施の形態]
次に、本発明にかかる第4の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、上述した第1〜3の実施の形態と単語抽出制御部15および単語抽出部16の構成および動作が異なるもののその他は同一である。したがって、本実施の形態において、第1〜3の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し適宜説明を省略する。同様に、学習動作についても、上述した第1の実施の形態と同等であるので、適宜説明を省略する。
【0066】
単語抽出制御部15は、漢字抽出部13から入力された漢字および漢字情報に基づいて単語抽出条件を設定し、この単語抽出条件を単語抽出部16に入力し、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる演算処理部である。具体的には、単語抽出制御部15は、単語抽出条件に含まれる漢字の読み方を全て網羅するように単語(群)または文章(群)が抽出され、抽出する単語(群)または文章(群)の数量が最小となり、かつ、抽出された単語(群)または文章(群)の単語親密度の平均が最大となるように、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)または文章(群)を抽出させる。
【0067】
単語抽出部16は、単語抽出条件に基づいて、単語辞書記憶部14から第2の文字列に相当する単語(群)または文章(群)を抽出する演算処理部である。抽出された単語(群)または文章(群)は、単語リスト出力部17に入力される。
【0068】
次に、本実施の形態にかかる言語学習装置1の単語リスト作成動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、図4において、図2に示したフローチャートと同等のステップについては、図2と同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0069】
まず、漢字抽出条件設定部12により漢字抽出条件が設定されると(ステップS201)、漢字抽出部13は、その漢字抽出条件に基づいて漢字辞書記憶部11から漢字および漢字情報を抽出し、単語抽出制御部15に入力する(ステップS202)。
【0070】
次いで、単語抽出制御部15は、入力された漢字および漢字情報に基づいて、単語抽出条件を設定し、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる(ステップS203〜S603)。ここで、単語抽出制御部15は、単語(群)が単語抽出条件に含まれる漢字の読み方を全て網羅し、抽出する単語(群)の数量が最小となり、かつ、抽出する単語(群)の単語親密度の平均が最大となるように、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる。
【0071】
具体的には、単語辞書記憶部14から単語(群)が抽出されると、単語抽出制御部15は、まず抽出された単語(群)が、単語情報に含まれる漢字の読み方を全て網羅しているか否か確認する(ステップS601)。全ての読み方を網羅していない場合(ステップS601:NO)、単語抽出制御部15は、ステップS203の処理に戻り、単語情報の再設定を行う。この再設定動作では、例えば、単語情報に含まれる漢字およびこの漢字の読み方の確認などが行われる。
【0072】
一方、全ての読み方を網羅している場合(ステップS601:YES)、単語抽出制御部15は、抽出された単語(群)の中から、単語情報に含まれる全ての漢字の読み方の組み合わせ毎に1つの単語を単語抽出部16に抽出させる(ステップS402)。
【0073】
抽出された単語(群)の数が最小ではない、すなわち、単語情報に含まれる全ての漢字の読み方の組み合わせ毎に1つの単語が抽出されない場合(ステップS602:NO)、単語抽出制御部15は、ステップS203の処理に戻り、単語情報の再設定を行う。この再設定動作では、例えば、単語情報に含まれる漢字およびこの漢字の読み方の確認などが行われる。
【0074】
抽出された単語(群)の数が最小、すなわち、単語情報に含まれる全ての漢字の読み方の組み合わせ毎に1つの単語が抽出された場合(ステップS602:YES)、単語抽出制御部15は、抽出された単語(群)の親密度の平均が最大となる組み合わせを抽出する(ステップS603)。
【0075】
上述したようなステップS203〜603を繰り返して演算を行うことにより、単語抽出制御部15は、単語(群)が単語抽出条件に含まれる漢字の読み方を全て網羅し、抽出する単語(群)の数量が最小となり、かつ、抽出する単語(群)の単語親密度の平均が最大となるように、単語抽出部16に単語辞書記憶部14から単語(群)を抽出させる。上記演算としては、漢字の全ての読み方が現れるという制約条件の下で、抽出単語数nを最小化し、かつ、抽出単語の親密度Fiの平均ΣFi/nを最大化する組み合わせ最適化問題を解くことが行われる。この解は、動的計画法や分岐限定法により得ることができる。なお、漢字の数や読み方の数が大きいために、組み合わせ最適化問題の規模が大きくなり、動的計画法や分岐限定法では現実的に解が得られない場合であっても、greedy法、stingy法、ランダム法、緩和法、分割法、部分列挙法、反復改善法、焼鈍法等の近似解法を用いることにより、解を得ることができる。
【0076】
親密度の平均が最大となる単語(群)が抽出されると(ステップS603:YES)、単語抽出制御部15は、単語抽出部16に抽出した単語(群)を単語リスト出力部17に入力させる。
【0077】
次いで、単語リスト出力部17は、単語抽出部16から入力された単語(群)の一覧をリスト化して出力する(ステップS206)。
【0078】
このように、本実施の形態によれば、漢字の複数の読み方を含む単語のリストが自動的に作成されるので、効果的に言語の学習を行うことができる。また、本実施の形態によれば、抽出される単語の数が最小となるので、単語の不要な繰り返し使用を避けることができる。さらに、本実施の形態によれば、親密度の平均が最大となる単語(群)が抽出されるので、簡単かつ重要な単語や文章を選択的に使用でき、簡単かつ重要な単語や文章の学習を並行して行うことができる。
【0079】
なお、上述した第1〜4の実施の形態に示す言語学習装置は、第1の文字列として漢字、第2の文字列としてその漢字を含む単語または文章を適用した日本語の漢字を学習する例について説明したが、同じ文字列について読み方が複数ある言語であるならば日本語の漢字に限定されず、各種言語の学習に適用することができる。例えば、英語において、「the」や「bow」などの単語は、文脈や意味によって読み方が異なる。このような英語についても、上述した第1〜4の実施の形態に示す言語学習装置を適用することができる。
【0080】
また、上述した第1〜4の実施の形態に示す言語学習装置では、漢字辞書記憶部11から抽出した漢字に基づいて単語リストを作成するようにしたが、ユーザが入力した漢字に基づいて単語リストを作成するようにしてもよい。これにより、ユーザが所望する漢字について学習を行うことが可能となる。
【0081】
また、上述した第1〜4の実施の形態に示す言語学習装置では、単語リスト作成動作および学習動作において、単語辞書記憶部14から単語(群)抽出するように説明したが、単語(群)のみならず、文章(群)も抽出するようにしてもよい。これにより、文章の文脈に沿った漢字の読み方の学習を効果的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の言語学習装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる言語学習装置の単語リスト作成動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の言語学習装置の学習動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかる言語学習装置の単語リスト作成動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかる言語学習装置の単語リスト作成動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第4の実施の形態にかかる言語学習装置の単語リスト作成動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1…言語学習装置、11…漢字辞書記憶部、12…漢字抽出条件設定部、13…漢字抽出部、14…単語辞書記憶部、15…単語抽出制御部、16…単語抽出部、17…単語リスト出力部、18…解答受付部、19…解答分析部、20…出力制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単語と、各単語の少なくとも読み方とを記憶した単語辞書を用いた言語学習方法であって、
複数の読み方を有する第1の文字列を取得する取得ステップと、
前記第1の文字列の読み方毎に前記単語辞書から前記第1の文字列を含む第2の文字列を抽出する抽出ステップと、
この抽出ステップにより抽出された第2の文字列を学習者に提示する提示ステップと
を備えることを特徴とする言語学習方法。
【請求項2】
前記抽出ステップは、前記第1の文字列の読み方毎に前記単語辞書から抽出する前記第2の文字列の数を最小にする
ことを特徴とする請求項1記載の言語学習方法。
【請求項3】
前記単語辞書は、各単語の主観的ななじみの程度を示す値である親密度を記憶しており、
前記抽出ステップは、前記単語辞書から前記第1の文字列の読み方毎に抽出された前記第2の文字列の親密度の平均を最大とする
ことを特徴とする請求項1または2記載の言語学習方法。
【請求項4】
前記第2の文字列における前記第1の文字列の読み方に関する解答情報を前記学習者から受け付ける受付ステップと、
前記解答情報に含まれる前記第1の文字列の読み方が正解か否かを判定する判定ステップと、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記提示ステップにより提示する第2の文字列を選択する選択ステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の言語学習方法。
【請求項5】
複数の単語と、各単語の少なくとも読み方とを記憶した単語辞書を用いた言語学習装置であって、
複数の読み方を有する第1の文字列を取得する取得手段と、
前記第1の文字列の読み方毎に前記単語辞書から前記第1の文字列を含む第2の文字列を抽出する抽出手段と、
この抽出手段により抽出された第2の文字列を学習者に提示する提示手段と
を備えることを特徴とする言語学習装置。
【請求項6】
複数の単語と、各単語の少なくとも読み方とを記憶した単語辞書を用いた言語学習装置のプログラムであって、
コンピュータに、
複数の読み方を有する第1の文字列を取得する取得ステップと、
前記第1の文字列の読み方毎に前記単語辞書から前記第1の文字列を含む第2の文字列を抽出する抽出ステップと、
この抽出ステップにより抽出された第2の文字列を学習者に提示する提示ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載されたプログラムを記憶した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−17568(P2007−17568A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197123(P2005−197123)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】