説明

計器照明装置

【課題】光源の数量を増大させること無く、照明ムラの少ない均質な照明光を広範囲で得られ、意匠造形の自由度を増大させることが出来る計器照明装置を提供する。
【解決手段】計器ハウジング12内底面部12aには、LED5,5が設けられ、正面側開口を覆う文字板16に回転数を表示する主目盛部8aが設けられた主照明領域11aと、温度を表示する温度計の副目盛部8bが設けられた副照明領域11bとを有する照明領域11が設けられている。
主照明領域11aは、下部を一部切り欠いた円環状を呈し、副照明領域11bは、この切り欠かれた部分を補って、照明領域が連結される。
そして、LED5,5からの照明光が、円環状の前記照明領域11全域がバックライト照明として裏面側から照光される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の計器照明装置に関し、特に光源の指向性や数量に拘わらず、ムラのない均質な発光面を得られる計器照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図8に示す様な、車両のメータ照明装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
このような計器照明装置では、車両用メータ装置1のハウジング2内に、図9に示す様な合成樹脂製の回路基板3が設けられている。
【0004】
この回路基板3の内側面側3aには、図8に示す様な円弧形状の導光板4の端面4aに対向して小片状の小基板3bが固着されている。
【0005】
この小基板3bには、前記導光板4へ入射する照明光の光源となるLED5が実装されていてて発光により、このLED5の照明光が、略全て前記導光板4の端面4aから、入光するように構成されている。
【0006】
次に、この従来の計器照明装置の作用について説明する。
【0007】
このように構成された従来の計器照明装置では、図8又は、図9に示す様に、導光板4の各端面4aから、入光したLED5の照明光が、導光板4の内部で反射されて、周方向に沿って、拡散し、図9に示す主照明領域aで、文字板16の裏面から透過照明を行う。
【0008】
この際、指向性の高いLED5の照明光が、略全て前記端面4aから、導光板4に入光して、文字板16のうち、LED5の真上に位置する直上領域bがバックライト照光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−139296号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の計器照明装置では、前記文字板の意匠造形によっては、図9に示す様に、直上領域b等以外の例えば、補助計器等の副照明領域c等でも、前記主照明範囲aと同様に、照明光量を均質に必要とする場合がある。
【0011】
そこで、この発明は、光源の数量を増大させること無く、照明ムラの少ない均質な照明光を広範囲で得られ、意匠造形の自由度を増大させることが出来る計器照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の計器照明装置では、計器ハウジング内に設けられた光源と、該計器ハウジングを覆うと共に、該光源からの照明光をバックライト照明として用いる文字板と、該光源と、文字板との間に介在する導光板とを有し、該導光板内を通過するバックライト照明光で、前記文字板の主表示に用いる主照明領域及び、該導光板と対向しない副照明領域を有する計器照明装置であって、
前記主照明領域と副照明領域との面積比に合わせて、前記光源からの照明光が、前記導光板の内部を通過する光量と、外部に分光される光量とに分けられることを特徴とする計器照明装置を特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の計器照明装置では、前記光源からの照明光が、前記導光板の内部を通過する光量と、該導光板の外部に分光される光量とに、前記主照明領域と副照明領域との面積比に合わせて、均質となるように分配される。
【0014】
このため、前記主照明領域と副照明領域との双方に、照明ムラの少ない均質な照明光を広範囲で、光源の数量を増大させること無く得られ、意匠造形の自由度を増大させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態の計器照明装置で、全体の構成を説明する車両用の計器照明装置の分解斜視図である。
【図2】実施の形態の計器照明装置で、要部の一部断面拡大斜視図である。
【図3】実施の形態の計器照明装置で、文字板を装着した導光板の正面図である。
【図4】実施の形態の計器照明装置で、導光板の正面図である。
【図5】実施の形態の実施例1の計器照明装置で、導光板と光源との位置関係を説明する正面図である。
【図6】実施の形態の実施例1の計器照明装置で、導光板と光源との位置関係を説明する縦断面である。
【図7】実施の形態の実施例2の計器照明装置で、導光板と光源との位置関係を説明する縦断面である。
【図8】一従来例の計器照明装置で、導光板と光源との位置関係を説明する正面図である。
【図9】他の従来例の計器照明装置で、導光板と光源との位置関係を説明する縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の計器照明装置を、図面に基づいて説明する。
【0017】
なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0018】
図1乃至図7は、この実施の形態の計器照明装置が適用される車両用の計器照明装置を示している。
【0019】
まず、構成から説明すると、この実施の形態の車両には、車室内の運転席前方に位置するインストルメントパネル部材には、車両の速度又は、回転数の表示を行う文字板16の目盛部8等を、回動指針9の回動位置によって指示する指針メータの計器照明装置としてのメータ計器照明装置10が設けられている。
【実施例1】
【0020】
図1乃至図6は、この実施の形態の実施例1の計器照明装置10では、図2に示す計器ハウジング12内の底面部12aには、左,右一対の光源としてのLED5,5が設けられている。
【0021】
また、この計器ハウジング12の正面側開口を覆う文字板16には、図3に示す様に、回転数を表示する主目盛部8aが設けられた主照明領域11aと、温度を表示する温度計の副目盛部8bが設けられた副照明領域11bとを有する照明領域11が設けられている。
【0022】
このうち、主照明領域11aは、下部を一部切り欠いた円環状を呈している。
【0023】
また、前記副照明領域11bは、この切り欠かれた部分を補って、連結することにより、主照明領域11a及び副照明領域11bによって、全周域で、透光可能な照明領域11が形成されている。
【0024】
そして、前記LED5,5からの照明光が、円環状の前記照明領域11全域をバックライト照明として裏面側から照光する。この際、透過された照光が、点光り等の照明ムラを発生させることが無く、前記車室内方向から、略均質と見えるように、LED5と、文字板16との間に導光板14が介在されている。
【0025】
この実施例1の導光板14は、正面視で略馬蹄形状を呈して、平坦な上面部14aを、前記主照明領域11aの裏側面に並行に沿わせて、前記ハウジング部材12内に装着されている。
【0026】
また、この導光板14の切り欠かれた部分に相当する端縁は、図6に示す様に、前記LED5の方向に約90度曲げられて、各光源側端縁部14b,14bが、底面部12aに並行となるように、下面14dを対向させている。
【0027】
この実施例1の光源側端縁部14bには、円弧状に切り落とされた切欠傾斜面部14cによって、前記下面14dの一部から、LED5の光軸Lを中心とする照明光が、前記導光板14内に入光されて、主照明領域11aを照明するように通過させると共に、一部が、直接、前記文字板16の副照明領域11bを照明するように分配される構成とされている。
【0028】
更に、この実施例1の前記切欠傾斜面部14cは、図6に示す様に光軸Lに沿う垂直方向から、光量が半分となる半値角α(ここでは、α=約60°)となるように形成されている。
【0029】
そして、この実施例1では、図5に示す様に、一対のLED5,5間は、双方の照明光量が減少する距離では、主照明領域11a及び副照明領域11bが、これらの照明光を重複させて補完可能な寸法Wに設定されている。
【0030】
次に、この実施の形態の実施例1の作用効果について説明する。
【0031】
この実施例1では、前記LED5が点灯すると、光軸Lを中心とする照明光が、前記導光板14内に前記光源側端縁部14bの下面14dから入光されて、導光板14内を通過して、前記主照明領域11aが照明される。
【0032】
また、前記切欠傾斜面部14cが、図6に示す様に光軸Lに沿う垂直方向から、光量が半分となる半値角αに形成されているので、この半値角αを上廻るLED5からの照明光は、直接、前記文字板16の副照明領域11bを照明するように分配される。
【0033】
このように、指向性の高い前記LED5,5からの照明光が、導光板14の内部を通過する光量と、導光板14の外部に分光される光量とに、前記主照明領域11aと副照明領域11bとの面積比に合わせて、均質となるように分配される。
【0034】
このため、前記主照明領域11aと副照明領域11bとの双方に、照明ムラの少ない均質な照明光を与えることが出来る。
【0035】
また、一対のLED5,5でも、補完可能な寸法Wに設定されているので、双方の照明光量が減少する主照明領域11a及び副照明領域11bでは、これらの照明光が重複されて、均質な照明光量を広範囲で得ることが出来る。
【0036】
従って、光源の数量を増大させること無く、広範囲のバックライト照明光を得られ、意匠造形の自由度を増大させることが出来る。
【0037】
更に、この実施例1の前記切欠傾斜面部14cは、切り落とし加工によって形成されているので、照明光量の分配の調整が容易に行える。
【実施例2】
【0038】
図7は、この発明の実施の形態の実施例2の計器照明装置を示すものである。
【0039】
なお、前記実施例1の計器照明装置と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0040】
この実施例2の導光板24は、光源側端縁部24bの下面24dが、略全域で、前記底面部12aと対向する様に平坦で、前記実施例1の導光板14の切欠傾斜面部14cを設けていない形状を呈している。
【0041】
そして、この光源側端縁部14bの側縁面24aが、LED5の光軸Lの真上に位置するように構成されている。
【0042】
次に、この実施例2の計器照明装置の作用効果について説明する。
【0043】
この実施例2の計器照明装置では、前記実施例1の計器照明装置の作用効果に加えて、更に、側縁面24aが、LED5の光軸Lの真上に位置することで、少なくとも光源側端縁部14bの一部が、重複して、前記導光板24の入光する照明光量と、直接、前記文字板16の副照明領域11bを照明する照明光とに分配される。
【0044】
他の構成及び作用効果については、同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【0045】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態の計器照明装置に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0046】
即ち、前記実施の形態の計器照明装置では、前記切欠傾斜面部14cは、図6に示す様に光軸Lに沿う垂直方向から、光量が半分となる半値角α(ここでは、α=約60°)となるように形成されているが、特にこれに限らず、主照明領域11a及び副照明領域11bの面積比にあわせて分配する照明光量を均質となるように何れも得られれば、前記光源側端縁部14b,24b及び前記切欠傾斜面部14c等の形状、数量、及び材質が、特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
前記実施の形態では、この発明の計器照明装置として、車両の車室に設けられた車両用のメータ計器に適用するものを用いて説明してきたが、例えば、計器照明装置に限定されること無く、車両の表示装置、液晶のバックライトに用いてもよい。
【符号の説明】
【0048】
5 LED(光源)
10 計器照明装置
11 照明領域
11a 主照明領域
11b 副照明領域
14,24 導光板
14b,24b 光源側端縁部
14d,24d 下面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器ハウジング内に設けられた光源と、該計器ハウジングを覆うと共に、該光源からの照明光をバックライト照明として用いる文字板と、該光源と、文字板との間に介在する導光板とを有し、該導光板内を通過するバックライト照明光で、前記文字板の主表示に用いる主照明領域及び、該導光板と対向しない副照明領域を有する計器照明装置であって、
前記主照明領域と副照明領域との面積比に合わせて、前記光源からの照明光が、前記導光板の内部を通過する光量と、外部に分光される光量とに分けられることを特徴とする計器照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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