説明

計数検出器

パルス成形器124は、前記検出された光子を示す電荷パルスの積分された電荷を記憶する帰還キャパシタ208を有する積分器202を備える。積分器の出力パルスは、検出された光子を示すピーク振幅を有する。エンドパルス識別器214は、電荷パルスのエンドを識別する。コントローラ216は、パルスのエンドが識別されると、積分器202のリセットを駆動する制御信号を生成する。エネルギー弁別器128は、直列接続された比較器のチェーン132を有する。比較器702、704の各々の出力は、当該比較器702、704の直前の比較器の出力によって影響を及ぼされる。決定コンポーネント706は、比較器702、704の出力を決定し、コントローラコンポーネント708は、電荷収集時間の経過の後、比較器702、704の出力を記憶するように、決定コンポーネント706をトリガする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、粒子計数検出器に関する。本発明は、コンピュータトモグラフィ(CT)に関連する光子計数の特定のアプリケーションによって説明されるが、本発明は、粒子を計数することが望ましい他のアプリケーションにも関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータトモグラフィ(CT)システムは、検査領域を横断する多エネルギーのイオン化光子を発する放射線源を有する。光子を計数するように構成されるシステムは更に、検査領域の放射線源と反対側に位置するマルチスペクトル検出器、例えば放射線感受性ピクセルのアレイを有するCZT検出器、を有することができ、かかる検出器は、検査領域を横断する光子を検出する。検出器アレイの各ピクセルは、それが検出する各光子について電気信号を生成し、電気信号は、当該光子のエネルギーを示す。システムは更に、電気信号に基づいて検出された光子をエネルギー分解するためのエレクトロニクスを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エレクトロニクスはパルス成形器を含み、パルス成形器は、ピクセルからの到来電荷を処理し、検出された光子のエネルギーを示すピーク振幅をもつ電圧パルスを生成する。エレクトロニクスは更に、電圧パルスの振幅を、異なるエネルギーレベルに従ってセットされる1又は複数の閾値と比較する弁別器を含む。従来、弁別器は、各閾値ごとに異なる比較器を含んでいる。図11は、N個の閾値/比較器に関する例を示す。比較器の入力電圧が、対応する基準電圧を上回る場合、比較器の出力電圧が変化し、この変化が、対応するカウンタのインクリメントをトリガする。付加の論理が、計数の正確な数を正しいエネルギーウインドウに割り当てるために必要である。
【0004】
残念ながら、従来のパルス成形器は、相対的に長い減衰時間を伴って電圧パルスを生成することがあり、これは、パルスの長い伸長を生じさせ、ゆえにパルスの積み重ねを減らすように最大計数レートを低減させ、その結果、パルスの間違ったビニングをもたらすことがある。更に、エレクトロニクスのための制限された面積ある。従って、各閾値ごとに異なる比較器を使用する従来のアプローチの場合、制限された面積が、使用されることができる比較器の数を制限し、ゆえにエネルギーウインドウの数を比較器の数に制限する。更に、各比較器は、電力を消費し、熱を放散させる。
【0005】
現在のアプリケーションの見地は、上述した問題その他に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの見地によれば、医学的イメージングシステムの光子計数検出器のパルス成形器は、帰還キャパシタを有する積分器を備える。積分器は、検出された光子を示す電荷パルスを積分し、積分された電荷を帰還キャパシタに記憶し、それによって、検出された光子のエネルギーを示すピーク振幅をもつ出力電圧パルスを生じさせる。エンドパルス識別器は、電荷パルスのエンドを識別し、それを示す出力信号を生成する。コントローラは、出力信号に応じて制御信号を生成し、制御信号は、積分器のリセットを駆動する。
【0007】
別の見地において、医学的イメージングシステムの光子計数検出器のエネルギー弁別器は、直列接続された比較器のチェーンを含み、各比較器の出力は、当該比較器の直前の比較器の出力によって影響される。決定コンポーネントは、検出された光子のエネルギーを示す比較器の出力を決定する。コントローラコンポーネントは、電荷収集時間の経過の後、比較器の出力を記憶するように、決定コンポーネントをトリガする。
【0008】
別の見地においては、医学的イメージングシステムの光子計数検出器は、検査領域を横断する送信放射線を検出する検出器ピクセルを含み、検出器ピクセルは、検出器ピクセルによって検出される光子のエネルギーを示す信号を生成する。パルス成形器は、信号を受信し、検出された光子のエネルギーを示す信号を生成する積分器を含み、パルス成形器は、選択的に積分器をリセットする回路を含む。エネルギー弁別器は、直列接続された比較器のチェーンを含み、比較器のチェーンは、所望の光子エネルギーに対応する少なくとも1つの電圧閾値に基づいて前記信号をエネルギー弁別し、検出された光子のエネルギーを示す出力信号を生成する。
【0009】
本発明の更に別の見地は、以下の詳細な説明を読み、理解することによって当業者に理解される。
【0010】
本発明は、さまざまなコンポーネント及びコンポーネントの取り合わせ並びにさまざまなステップ及びステップの取り合わせの形をとりうる。図面は、好適な実施形態を説明するためにあり、本発明を制限するものとして解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】イメージングシステムを示す図。
【図2】例示のパルス成形器を示す図。
【図3】例示の電荷、電圧及びリセットパルスを示す図。
【図4】例示のパルス成形器を示す図。
【図5】例示のパルス成形器を示す図。
【図6】例示のパルス成形器を示す図。
【図7】例示のエネルギー弁別器を示す図。
【図8】例示のエネルギー弁別器を示す図。
【図9】検出器ピクセルからのパルスを成形する方法を示す図。
【図10】成形されたパルスをエネルギー弁別する方法を示す図。
【図11】従来技術の弁別器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、コンピュータトモグラフィ(CT)システム100は、縦軸又はz軸を中心に検査領域108の周りを回転する回転ガントリ104を含む。例えばX線管のようなX線源112が、回転ガントリ104によって支持され、検査領域108を横断する多エネルギー放射線ビームを発する。放射線感受性検出器116は、放射線源112によって発せられた光子を検出する少なくとも1つのピクセル又はセンサ120を含む。ピクセル120は、検出された光子ごとに、例えば電流又は電圧のような対応する電気信号を生成する。適切な検出器116の例として、直接変換検出器(例えばテルル化カドミウム亜鉛(CZT))、及びフォトセンサと光学的に通信するシンチレータを含むシンチレータに基づくセンサがあげられる。前置増幅器122が、電気信号を増幅する。
【0013】
パルス成形器124は、電気信号を処理して、例えば検出された光子のエネルギーを示す電圧又は他のパルスのようなパルスを生成する。後で詳しく述べるように、パルス成形器124は、到来電荷パルスのエンドが識別された後に成形器124をリセットするリセット回路を含むことができる。非限定的な例として、回路は、到来電荷パルスのエンドを識別するといつも、積分された電荷を記憶する帰還キャパシタを交換して外し、等しい大きさであるが反対の符号をもつ電荷を印加することによって記憶された電荷を打ち消し、又は記憶された電荷をリリースすることができる。一例において、これは、到来電荷パルスのエンドの後、成形器124の高速なリセットを生じさせ、その結果、より短いパルステールを生じさせ、記憶された電荷が成形器124の減衰時定数を経て減衰することを可能にすることによって帰還キャパシタが放電される構成と比べて、より高い計数レートを与える。当然ながら、高速なリセットを用いないパルス成形器が、代替として使用されることができる。
【0014】
少なくとも1つの比較器132を有するエネルギー弁別器128は、成形器124からのパルスをエネルギー弁別する。これは、成形器124の出力パルスのピーク振幅を、特定のエネルギーレベルにそれぞれ対応する1又は複数の閾値と比較し、光子のエネルギーが分類されるエネルギーレンジを示す出力信号を生成することを含む。より詳しく以下に記述されるように、弁別器128は、直列接続される比較器132のチェーンを含むことができ、各比較器は、直前の比較器の出力によって影響を及ぼされる。一例において、これは、スペクトル感度を損なうことなく、所与の数のエネルギーウインドウ(2―1)について使用される比較器の数の低減(2―1からNへ)を可能にする。これは更に、所与の数のエネルギーウインドウについてのチップ面積、電力消費及び/又は熱放散の低減をもたらすことができる。代替として、エネルギーウインドウの数は、所与の数の比較器、チップ面積、電力消費及び/又は熱放散のために増大されることができる。当然ながら、直列接続された比較器132のチェーンを用いないエネルギー弁別器が、代替として使用されてもよい。
【0015】
カウンタ136は、エネルギー弁別器128の出力に基づいて、閾値ごとに又はエネルギーウインドウごとに計数値をインクリメントする。計数値は、検出された光子をエネルギー分解するために使用される情報を提供する。再構成器140は、検出器ピクセル(120)によって出力された信号をエネルギー分解することによって決定されるスペクトル特性に基づいて、検出器116によって生成された信号を選択的に再構成する。寝台のような対象支持体144が、検査領域108において患者又は他の対象を支持する。対象支持体144は、走査プロシージャを実施する際、検査領域108に対して対象をガイドするように移動可能である。汎用コンピュータが、オペレータコンソール118として働く。コンソール118は、モニタ又はディスプレイのような人間可読の出力装置、及びキーボード及びマウスのような入力装置を有する。コンソール118上に常駐するソフトウェアは、オペレータが、例えばグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を通じて、スキャナ100を制御し、スキャナ100と対話することを可能にする。
【0016】
上述したように、パルス成形器124は、検出器ピクセル(120)からの到来電荷を処理し、検出された光子のエネルギーを示すピーク振幅をもつ電圧パルスを生成する。図2及び図4―図6は、適切なパルス成形器の例を示し、図3は、例示の電荷パルス、電圧パルス及びリセットパルスを示す。
【0017】
図2をまず参照して、パルス成形器124は、増幅器204及び帰還キャパシタバンク206を含む積分器202を有する。増幅器204は、演算増幅器又は他の増幅器でありうる。帰還キャパシタバンク206は、第1のキャパシタ208及び第2のキャパシタ208(ここでは集合的にキャパシタ208と呼ばれる)を有する。キャパシタ208は、増幅器204と選択的に電気結合され、帰還ループにおいて増幅器204と電気的に通信する。
【0018】
この例において、キャパシタ208は、キャパシタ208を交互に増幅器204と結合する個々のスイッチ210及び212を介して、増幅器204と結合される。このように、スイッチ210が閉じている場合、スイッチ212は開いており、キャパシタ208が、増幅器204と電気的に通信する。スイッチ212が閉じている場合、スイッチ210は開いており、キャパシタ208は、増幅器204と電気的に通信する。レジスタが、キャパシタ208と直列になるように加えられることができ、これはスルーイング(slewing)を低減することができ、ゆえに、より緩和したセトリング時間を与える。
【0019】
エンドパルス識別器214は、前置増幅器122からの到来電荷パルスのエンドを識別する。さまざまな技法が、これを行うために使用されることができる。非限定的な例として、エンドパルス識別器214は、到来パルスの零導関数、電荷パルスの開始からの時間間隔のエンド等を決定することによって、パルスのエンドを識別することができる。エンドパルス識別器214の出力信号は、パルスのエンドが生じたかどうかを示す。
【0020】
コントローラ216は、エンドパルス識別器214の出力に基づいて、制御信号を生成する。コントローラ216は、Tフリップフロップ、又はエンドパルス識別器214の出力に基づいて状態をトグルする(切り換える)出力信号を供給する他のコンポーネントを有することができることが理解されるべきである。制御信号が、弁別器128に供給され、パルスのピークが生じたことを弁別器128に通知する。それに応じて、弁別器128の出力は、例えばサンプルアンドホールド又は他の回路を介して、読み取られ及び/又は記憶される。
【0021】
制御信号は更に、スイッチ210及び212の状態をトグルために使用され、これは、キャパシタ208を交換し、それによって、帯電したキャパシタ208を外し、それを放電したキャパシタ208と置き換えることによって、積分器202を効果的にリセットする。コントローラ216からキャパシタバンク206への経路における遅延コンポーネント220が、キャパシタバンク206への制御信号を遅延させる。一例において、遅延は、キャパシタ208を交換する前に増幅器204の出力値が読み込まれることができるように、セットされる。
【0022】
動作中、キャパシタ208のうち放電した又はベースライン帯電したものが、積分器202の帰還ループに電気的に結合される。電荷が積分器202に入ると、ループ内の帰還キャパシタ208は、それと関連する電荷を蓄積し、記憶し、それによって積分器202の出力部にその電荷を示す電圧を生成する。エンドパルス識別器214は、上述したように到来電荷パルスのエンドを識別し、それを示す信号を生成する。コントローラ216は、この信号に基づいて、積分器202の出力値を読み込むように弁別器128を駆動する制御信号を生成する。
【0023】
遅延コンポーネント220を介した予め規定された遅延の後、制御信号は、キャパシタバンク206にも供給されて、スイッチ210及び212の状態をトグルし、それによって帰還ループのキャパシタ208を交換する。このように、帯電したキャパシタは、キャパシタ208のうち放電した又はベースライン帯電したものと置き換えられる。一例において、これは、本質的に、予め規定された初期状態にキャパシタを実質的に瞬時に放電することに等しい。このように、積分器202は、キャパシタ208を交換せずにキャパシタ208を放電する場合よりも短い持続時間内に、次の到来パルスのための迅速なリセットを行う。一例において、次の到来電荷パルスが積分器202によって受け取られる前に、そのように帰還ループ内のキャパシタ208をリセットすることは、むだ時間を軽減するに十分速いものでありうる。
【0024】
図3を参照して、図3aは、積分器202によって受け取られた電荷パルスのストリーム中の例示の電荷パルス302及び304を示す。図3bは、記憶された電荷が時定数を経て減衰(310及び312)することを許すことによってキャパシタ208を交換するのではなく、キャパシタ208を交換してキャパシタ208を放電することによって積分器202をリセットする場合の、電荷パルス302及び304の各々に対する積分器202の出力電圧パルス(306及び308)をそれぞれ示す。この例において、電圧パルス310は、電圧パルス312に重なる長い減衰テールをもつ長いパルスである。テールから寄与は、パルス312のピーク振幅を誤って増大させうる。電荷パルスのエンドのタイミングを適切に計り、キャパシタを交換することを通じて積分器202をリセットすることによって、相対的により高速な計数チャネルが達成される。図3cは、コントローラ216からの例示の制御信号314を示す。316及び318に示すように、制御信号314の状態は、電荷パルスのエンドにおいて変化し、これは、キャパシタ208の交換及びゆえに積分器202のリセットを駆動する。
【0025】
ここで図4を参照して、パルス成形器124は、キャパシタバンク206内の帰還キャパシタ208のうちの1つを含む。パルス成形器124は更に、第1及び第2のリセットキャパシタ402及び402(集合的にキャパシタ402と呼ばれる)を含み、これらのリセットキャパシタは、スイッチ404及び406を介して、積分器202の入力部と入力ベースレベル電圧の間に、及び積分器202の出力部と出力ベースレベル電圧との間に、それぞれ電気的に結合される。このように、(図示されるように、)キャパシタ402が、スイッチ404を介して入力部に結合されるとき、キャパシタ402は、スイッチ406を介して出力部に結合され、その逆もまた同様である。この例において、キャパシタ208、402及び402の容量は実質的に等しい。制御信号は、リセットキャパシタ402のうちどちらが入力部に結合されるか及びどちらが出力部に結合されるか決定する。
【0026】
動作中、キャパシタ402は積分器202に結合され、キャパシタの一方が入力部に結合され、他方が出力部に結合される。図示される例において、キャパシタ402が入力部に結合され、キャパシタ402が出力部に結合される。電荷が、積分器202に入ると、帰還キャパシタ208は、それに関連付けられる電荷を蓄積し、記憶し、それによって、積分器202の出力部に電荷を示す電圧を生成する。エンドパルス識別器214は、到来電荷パルスのエンドを識別し、それを示す信号を生成する。コントローラ216は、この信号に基づいて、積分器202の出力値を読み込むように弁別器128を駆動する制御信号を生成する。
【0027】
制御信号は、遅延コンポーネント220を介した予め規定された遅延の後、スイッチ404及び406のトグリングを駆動し、これは、キャパシタ402が出力部に結合され、第2のキャパシタ402が入力部に結合されるように、キャパシタ402を交替する。結果として、帰還キャパシタ208に記憶された電荷に実質的に等しいが、符号が反対である電荷パルスが、積分器202の入力部に供給され、従って、キャパシタ208を放電し、積分器202をリセットする。このように、積分器202は、記憶された電荷を減衰させることによってキャパシタ208をリセットする場合よりも速くリセットされる。再び、レジスタが、スルーイングを低減するように、キャパシタ208に直列に加えられることができる。放電が、積分器202に流れ込む電流によって達成されるので、積分器202は、次の到来電荷パルスを積分するとともに、リセットされることができる。
【0028】
図5は、図2及び図4に関連して記述された例の一方又は両方と共に使用されることができる変形例を示す。簡潔さ及び明確さのために、図4のキャパシタバンク206が示されている。転送ゲート502が、電荷パルスの経路に置かれる。エンドパルス識別器214の出力信号が、転送ゲート502の状態をトグルする。この例において、エンドパルス識別器214は、到来電荷パルスのエンドを識別すると、出力信号の状態が、転送ゲート502を開かせ、積分器202が、上述したようにリセットする。転送ゲート502が開くと、電荷は積分器202に供給されない。リセットに応じて、制御信号の状態が変化し、転送ゲート502を閉じさせ、次の到来電荷パルスの電荷が積分器202へと流れることを許す。
【0029】
図示される例において、キャパシタ504が、電荷パルスと転送ゲート502の間に配置される。キャパシタ504は、転送ゲート502が開かれているときは到来電荷を蓄積し、転送ゲート502が閉じているときは積分器202に電荷をリリースする。図2の成形器により、転送ゲート502は、キャパシタ交換の少し前に開かれる。その結果、外部ソースからキャパシタ208にいかなる電流も流れず、零電荷は零出力電圧を意味するので、出力の完全なリセットを強いる。リセット検知回路又は時間を計られた遅延によって決定されるように、完全なリセットが達成されると、転送ゲート502は、開かれることができ、記憶された電荷が、積分器202にリリースされる。図4の成形器により、転送ゲート502は再び、リセットが行われる前に開かれ、従って、電荷は、帰還キャパシタ208から逃げることができず、転送ゲート502は、リセット検知回路に応じて又は時間を計られた遅延によって、閉じるようにトリガされることができる。
【0030】
次に図6を参照して、成形器124は更に、積分器202の前の電荷パルスの経路にチャージポンプ602を含む。この例において、エンドパルス識別器214は、積分器202の出力によって、電荷パルスのエンド及び積分器202のリセットを識別する。エンドパルス識別器214の出力は、チャージポンプ602及び転送ゲート502の両方を作動させ、停止させる。
【0031】
エンドパルス識別器214が電荷パルスのエンドを識別すると、チャージポンプ602が作動され、転送ゲート502が開く。転送ゲート502が開かれ、チャージポンプ602が作動されると、チャージポンプ602は、積分器202の帰還キャパシタ208から電荷をリリースする。帰還キャパシタが放電したことをエンドパルス識別器214が識別すると、チャージポンプ602が停止され、転送ゲート502が閉じられる。転送ゲート502が閉じられ、チャージポンプ602が停止されると、積分器202は、到来電荷を再び積分することができる。チャージポンプ602によって使用される電流は、信号の振幅に比例して変化することができ、それゆえ、正確なレベルリセットを保証することが理解されるべきである。
【0032】
別の実施形態において、チャージポンプ602は、制御されたチャージポンプである。この例において、大きい電圧ギャップが出力部に存在する場合、大きい電流が、迅速な放電を生成するために使用されることができる。ギャップが閉じている場合、電流が減少され、実質的に零電荷へのリセットを可能にする。これは、チャージポンプ602に増幅器の差電流を供給することによって達成されることができ、その出力電圧が完全なリセットを決定する。
【0033】
上述したように、弁別器128は、成形器124からのパルスを弁別する。図7及び図8は、適切な弁別器128の例を示す。概して、以下の例において、弁別器128は、互いに直列に接続される複数の比較器132を含む。一例において、これは、閾値決定の直列化を可能にする。その結果、2―1個のエネルギーウインドウのための比較器132の数はN個であり、これは、比較器132が各閾値ごとに使用されて2―1比較器132をもたらす構成と比較して、比較器132の数の低減である。このように、弁別器128のフットプリントは、所与の数のエネルギーウインドウのために低減されることができる。比較器132の数の低減は更に、電力消費及び/又は熱放散を低減することができる。代替として、所与のフットプリント当たりのエネルギーウインドウの数が増大されることができる。
【0034】
図7をまず参照して、弁別器128は、3つのエネルギーウインドウ、Ebin3、Ebin2及びEbin1を含む。上述したように、検出された光子のエネルギーと、検出された光子に関する成形器124からの電圧パルスのピーク振幅との間に、相関がある。このように、関心のある光子エネルギーウインドウが、対応する電圧レンジに関して記述されることができる。この例において、最も高いエネルギーウインドウEbin3は、V2から電圧上限までの電圧に対応する;中間のエネルギーウインドウEbin2は、V1からV2までの電圧に対応し、下側のエネルギーウインドウEbin1は、V0からV1までの電圧に対応する。V0は、ノイズレベルを上回るベースライン電圧レベルを表す。
【0035】
弁別器128は、第1及び第2の比較器702及び704、決定コンポーネント706、制御コンポーネント708及びカウンタ136を含む。成形器124からの電圧パルスは、比較器702及び704の両方への入力として供給される。第2の基準電圧V1は、第1の比較器702への他方の入力として供給される。第1及び第3の基準電圧V0及びV2が、第1の比較器702の出力に基づいて、第2の比較器704への他方の入力として交互に供給される。この例において、スイッチ712は、第1及び第3の基準電圧V0及びV2を交互に第2の比較器704に電気的に結合する。
【0036】
第1の比較器702の出力が、スイッチ712を制御する。例えば、電圧パルスの振幅がV1を下回る場合、第1の比較器702の出力は、スイッチ712を第1の位置に変え、それにより基準電圧V0又はV2の一方を第2の比較器704と結合する。電圧パルスの振幅がV1を超える場合、第1の比較器702の出力は、スイッチ712を第2の位置に変え、それにより基準電圧V0又はV2の他方を第2の比較器704と結合する。
【0037】
比較器702及び704の両方からの出力は、決定コンポーネント706に供給される。決定コンポーネント706は、出力の双方に基づいて、カウンタ136の対応するサブカウンタ714、716又は718のインクリメントを駆動する。この例において、カウンタ714は、Ebin1に対応し、カウンタ716は、Ebin2に対応し、カウンタ718は、Ebin3に対応する。制御コンポーネント708は、比較器702及び704の出力値が記憶され、サブカウンタがインクリメントされるときを制御する。
【0038】
制御コンポーネント708は、電荷収集時間の経過の後、比較器132からの値を記憶することをトリガする。電荷収集時間は、電圧パルスが積み重なるために要する評価された時間量を示し、到来電圧パルスの振幅がV0を超えると開始する。電圧パルスが積み重なるとき、第1及び第2の比較器702及び704の出力が変化することができ、スイッチ712がそれぞれの位置の間で遷移することができるので、決定コンポーネント706のトリガは、充電時間に基づいて、到来パルスのピーク振幅が、出力値の記憶及びカウンタのインクリメントの前に受け取られ、それによって誤った計数を軽減することを確実にする。
【0039】
動作中、電圧パルスは、成形器124から受け取られる。電圧パルスは、第1及び第2の比較器702及び704に供給される。第1の比較器702は、電圧パルスのピーク振幅及び基準電圧に基づいて、第1の信号を出力する。第1の信号は、スイッチ712がそのような位置にない場合、第1又は第2の位置に遷移するようにスイッチ712を駆動する。スイッチ712は、適切な基準電圧を第2の比較器704に結合する。第2の比較器704は、電圧パルスのピーク振幅及び基準電圧に基づいて、第2の信号を出力する。検出された光子のエネルギーを示す情報を共に提供する第1及び第2の信号が、決定コンポーネント706に供給される。第1及び第2の信号に基づいて、電荷収集時間の後、カウンタ136は、その値が、検出された光子のエネルギーが分類されるエネルギーウインドウを示すように、インクリメントする。これは、各検出された光子ごとに繰り返される。
【0040】
弁別器128は、2又はそれより少ないエネルギーウインドウに関して縮小されることができ、3より多くのエネルギーウインドウに関して拡大されることができることが理解されるべきである。上述したように、直列の比較器を有する弁別器は、2―1のエネルギーウインドウについてNの比較器を有する。Nの比較器128の各々は、到来電圧パルス、及び基準電圧又は複数の基準電圧のうちの選択的な1つ、を受け取る。一例において、比較器128のための基準電圧の数は、概して、直前の比較器128の基準電圧の数の2倍であり、直列チェーンの第1の比較器128は、単一の基準電圧を有する。同様に、スイッチの数は、連続する比較器128について2倍になる。但し、第1の比較器128はスイッチを有しないので、チェーンの第2の比較器128は除く。例えば、図8の弁別器128は、7(2―1、ここでN=3)のエネルギーウインドウについて直列の3の比較器(N=3)を有する。
【0041】
図9は、検出器ピクセルからのパルスを成形する方法を示す。902において、検出された光子を示す電荷パルスは、積分器によって受け取られ、積分される。904において、電荷パルスのエンドが識別される。906において、積分器の出力が記憶される。908において、積分器は、ここに記述されたリセット技法を介してリセットされる。上述の動作は、各検出された光子ごとに繰り返される。
【0042】
図10は、成形されたパルスをエネルギー弁別する方法を示す。1002において、パルス成形器からの電圧パルスが受け取られる。1004において、電圧パルスのピーク振幅は、直列に接続された複数の比較器を使用して比較される。1006において、電荷収集時間が経過したあと、チェーンの出力が保存される。1008において、検出された光子のエネルギーに対応する計数が、インクリメントされる。上記の動作は、各検出された光子ごとに繰り返される。
【0043】
成形器124は、ある時間にわたる電流の積分(電荷)が所望の情報である任意のアナログ処理チャンネルに関して使用されることができることが理解されるべきである。具体的には、成形器124は、到来パルスのレートが非常に高いチャネルに関して使用されることができる。弁別器128は、小さいピクセルサイズによって単一X線光子を計数することに基づくアプリケーションにおいて使用されることができ、そのようなアプリケーションでは高いエネルギー分解能が重要であり、例えば高い光子束のスペクトル情報に基づく医学X線及び/又はX線CTアプリケーションに適用できる。
【0044】
本発明は、好適な実施形態を参照して説明されている。変形及び変更が、先行する詳細な説明を読み理解することにより、当業者によって見い出される。このような変形及び変更が添付の請求項又はそれと等価なものの範囲内である限り、本発明は、すべてのそのような変形及び変更を含むものとして構成されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学的イメージングシステムの光子計数検出器のパルス成形器であって、
帰還キャパシタを有する積分器であって、検出された光子を示す電荷パルスを積分し、前記積分された電荷を前記帰還キャパシタに記憶し、それによって前記検出された光子のエネルギーを示すピーク振幅をもつ出力パルスを生成する、積分器と、
前記電荷パルスのエンドを識別し、それを示す出力信号を生成するエンドパルス識別器と、
前記出力信号に応じて制御信号を生成するコントローラであって、前記制御信号は、前記積分器の高速なリセットを駆動する、コントローラと、
を有するパルス成形器。
【請求項2】
前記制御信号によって駆動される前記リセットは、前記帰還キャパシタに記憶される電荷が前記積分器の減衰時定数に基づいて減衰することを可能にする場合と比較して、より速く前記積分器をリセットする、請求項1に記載のパルス成形器。
【請求項3】
第2の帰還キャパシタと、
前記制御信号に基づいて、前記帰還キャパシタの異なるものをそれぞれ交互に前記積分器に電気的に結合する第1及び第2のスイッチと、
を更に有し、前記リセットは、前記第1及び前記第2のスイッチのトグリングを含み、前記トグリングによって前記帰還キャパシタのうち帯電したものを前記帰還キャパシタのうち放電したものと交換する、請求項1に記載のパルス成形器。
【請求項4】
前記帰還キャパシタのうち放電したものは、ベースライン電荷に放電される、請求項3に記載のパルス成形器。
【請求項5】
第1及び第2の放電キャパシタと、
前記制御信号に基づいて、前記放電キャパシタのうち一方を前記積分器の入力部に、及び前記放電キャパシタのうち他方を前記積分器の出力部に、選択的に交互に電気結合するスイッチと、
を有し、前記リセットは、前記スイッチのトグリングを含み、前記トグリングによって前記第1及び前記第2の放電キャパシタが交替される、請求項1に記載のパルス成形器。
【請求項6】
前記放電キャパシタの前記交替は、前記帰還キャパシタに記憶された電荷と比べて実質的に大きさが等しく、符号が反対である電荷を、前記積分器の入力部に供給し、それによって前記帰還キャパシタが放電される、請求項5に記載のパルス成形器。
【請求項7】
前記積分器の入力部に結合されるチャージポンプを更に有し、前記エンドパルス識別器は、前記積分器の出力に基づいて前記到来電荷パルスのエンドを識別し、前記エンドパルス識別器の出力信号が、前記チャージポンプの状態を制御する、請求項1に記載のパルス成形器。
【請求項8】
前記電荷パルスの前記エンドが識別されると、前記チャージポンプが作動されて、前記帰還キャパシタに記憶された電荷をリリースし、それによって前記積分器をリセットする、請求項7に記載のパルス成形器。
【請求項9】
前記リセットのために前記積分器に電荷パルスを供給するように電気経路を開き、前記積分のために電気経路を閉じる転送ゲートを更に有する、請求項1に記載のパルス成形器。
【請求項10】
前記制御信号は、前記リセットの前に前記積分器の出力をエネルギー弁別するように前記弁別器を駆動する、請求項1に記載のパルス成形器。
【請求項11】
医学的イメージングシステムの光子計数検出器のエネルギー弁別器であって、
直列接続される比較器のチェーンであって、各比較器の出力が、当該比較器の直前の比較器の出力によって影響を及ぼされる、比較器のチェーンと、
前記検出された光子のエネルギーを示す前記比較器の出力を決定する決定コンポーネントと、
電荷収集時間の経過の後、前記比較器の出力を記憶するように、前記決定コンポーネントをトリガするコントローラコンポーネントと、
を有する、エネルギー弁別器。
【請求項12】
前記比較器の各々は、前記検出された光子を示すパルス成形器からの電荷パルスを受け取り、複数の閾値の異なるものが、それぞれ異なるエネルギーレベルに対応する、請求項11に記載の弁別器。
【請求項13】
前記チェーンにおける前記比較器の数は、エネルギーウインドウの数より少ない、請求項11に記載の弁別器。
【請求項14】
前記チェーンは、2―1のエネルギーウインドウについてNの比較器を有し、Nは正の整数である、請求項11に記載の弁別器。
【請求項15】
前記電荷収集時間は、前記電荷パルスのエンドまでの時間の評価量である、請求項11に記載の弁別器。
【請求項16】
前記比較器の出力は、前記チェーンの次の比較器の基準電圧を決定する、請求項11に記載の弁別器。
【請求項17】
前記比較器のうちの1つの出力は、前記比較器うちの次のものを基準電圧に電気的に結合するスイッチをトグルする、請求項11に記載の弁別器。
【請求項18】
前記比較器の全ての出力に基づいて1又は複数のサブカウンタをインクリメントするカウンタを有する、請求項11に記載の弁別器。
【請求項19】
前記カウンタの値は、前記検出された光子をエネルギー分解するために使用される、請求項18に記載の弁別器。
【請求項20】
医学的イメージングシステムの光子計数検出器であって、
検査領域を横断する送信放射線を検出する検出器ピクセルであって、前記検出器ピクセルによって検出された光子のエネルギーを示す信号を生成する検出器ピクセルと、
前記信号を受信し、前記検出された光子のエネルギーを示す信号を生成する積分器を有するパルス成形器であって、前記積分器を選択的にリセットする回路を有するパルス成形器と、
直列接続された比較器のチェーンを有するとともに、所望の光子エネルギーに対応する少なくとも1つの電圧閾値に基づいて前記信号をエネルギー識別し、前記検出された光子のエネルギーを示す出力信号を生成するエネルギー弁別器と、
を有する光子計数検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)−3(c)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−521212(P2011−521212A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506800(P2011−506800)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/IB2009/051192
【国際公開番号】WO2009/133481
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】