説明

計測信号を音声信号として出力するセンサ装置、システム及び変換装置

【課題】センサ装置によって検知される計測信号を端末のマイクロフォン用端子へ接続することができるセンサ装置等を提供する。
【解決手段】センサ装置は、計測対象を計測し、当該素子の出力特性に基づくセンサ出力信号を出力するセンサ(プローブ)素子と、センサ出力信号を音声信号へ変調する第1の信号変換手段と、第1の信号変換手段から出力された音声信号を、外部装置へ出力する音声出力インタフェース手段とを有する。特に、音声信号の電気的特性は、人間の可聴範囲内にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータの周辺機器としてのセンサ装置との接続技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、人間活動や自然活動の様々な情報を電子化し記録した情報を活用する応用ソフトウェア(ライフログなどと称される)が求められているが、様々な情報を自動的に電子化するには、主にセンサ装置によって計測し電子化される。
【0003】
携帯電話などの携帯情報端末は、利用する人間と共に持ち歩かれることが多く、その人間自身や周囲の計測情報を記録するためのネットワーク・ゲートウェイとして期待されている。
【0004】
しかし、センサ装置の計測結果を携帯情報端末へ取り込むには、センサ装置にデジタル回路(例.シリアルインタフェース(Bluetooth(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、IrDA、RS-232C等))が必要か、または、携帯情報端末自身へセンサ装置を搭載する必要があった。
【0005】
このように、携帯情報端末へセンサ装置を搭載するか、センサ装置と携帯情報端末の両方にシリアルインタフェース等のデジタル回路を搭載する必要があったため、コスト高になるといった課題があった。
【0006】
また、携帯情報端末は、応用アプリケーションをネットワーク上のサーバからダウンロードして実装できることが一般的である。
【0007】
センサ装置の一例として、以下のような技術がある。
【0008】
人の自律神経活動を計測するモニタ装置、血液処理装置及び採血装置の技術がある(例えば特許文献1参照)。生体の心拍又は脈拍を計測することによって、血圧低下、めまいや失神等の症状の発生を予測することができる。
【0009】
脈拍検出機能を備えたヘッドフォンの技術がある(例えば特許文献2参照)。この技術によれば、音楽を聴いて運動しながら、耳たぶに挟まれたセンサ装置によって脈拍が検出される。
【0010】
また、携帯情報端末として代表的な携帯電話機を用いて、血圧、血流量、皮膚温度等の生体情報を計測し、その人のストレス状態の変化を認識する技術がある(例えば特許文献3参照)。
【0011】
これに対し、センサ装置によって検知された計測信号を、携帯電話機のマイクロフォン端子(アナログ端子)に入力する技術もある(例えば特許文献4参照)。携帯電話機は、ディスプレイ及びキーパッドのユーザインタフェース以外に、音声信号を入力するマイクロフォン用端子を搭載する。そこで、センサ装置は、検知した脈動及び心拍のアナログ信号をそのまま、携帯電話機のマイクロフォン用端子へ出力する。この技術によれば、携帯電話機に既に搭載されているマイクロフォン用端子を用いるために、一般家庭で簡易に血管の力学健全性を計測することができる。
【0012】
更に、ヘッドフォンのマイクによって計測された脈音を、マイクロフォンを介して携帯機器へ転送する技術もある(例えば非特許文献1参照)。この技術は、対象者の嘘発見に用いられる。その対象者に対して質問がなされると共に、その対象者の脈音から心拍数を計測することによって、その嘘を発見する。人は嘘をつくことによって体が緊張状態になり、交感神経が働くために、上昇した心拍数によって嘘を発見する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−261777号公報
【特許文献2】特開2008−161429号公報
【特許文献3】特開2003−153905号公報
【特許文献4】特開2008−73088号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「FEYNMAN、iPhone3G向け嘘発見器アプリ「True or Lie」の販売を開始」、2009年1月6日、[online]、[平成21年5月12日検索]、インターネット<URL:http://journal.mycom.co.jp/news/2009/01/06/052/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
計測対象が生体又は環境である場合、センサ装置によって検知される計測信号は、例えば電圧の変化で表されるアナログ信号である。しかしながら、このアナログ信号は、センサ装置によっては可聴周波数帯域に収まるとは限らない。特許文献4及び非特許文献1に記載された技術によれば、センサ装置によって検知されたアナログ信号をそのまま、端末のマイクロフォン用端子に出力している。
【0016】
計測信号には、脈拍変動のような脈動信号(時系列的に変化する脈動信号)である場合と、体温のような直流的信号(時系列に変化する直流的な信号)である場合とがある。
【0017】
計測信号が脈動的信号である場合、計測信号を「振幅変調」し、音声搬送波に乗せることができる。これにより、脈拍変動の成分である脈拍や脈の強さを伝達することができる。脈動的信号には、例えば、脈拍計又は回転数計からの出力がある。
【0018】
一方で、計測信号が直流的信号である場合、計測信号を「周波数変調」又は「パルス幅変調」等をすることで音声搬送波に乗せることができる。この変換の際に、基準値や測定値範囲を合わせるとより測定精度を高めることができる。直流的信号には、例えば、温度計又は湿度計からの出力がある。
【0019】
そこで、本発明は、センサ装置によって検知される計測信号が、携帯情報端末のマイクロフォン用端子へ音声信号として出力することができるセンサ装置と、そのセンサ装置から出力される音声信号をソフトウェア処理し計測結果を得る端末と、それらを組み合わせたシステムと、センサ出力信号を音声信号へ変換する変換装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のセンサ装置によれば、
計測対象を計測し、当該素子の出力特性に基づくセンサ出力信号を出力するセンサ素子と、
センサ出力信号を音声信号へ変換する第1の信号変換手段と、
第1の信号変換手段から出力された音声信号を、外部装置へ出力する音声出力インタフェース手段と
を有することを特徴とする。
【0021】
本発明のセンサ素子における実施形態によれば、音声信号の電気的特性は、人間の可聴範囲内にあることも好ましい。一般的な携帯情報端末が搭載するマイクロフォン端子へ入力するために、そのマイクロフォン端子の電気的特性と一致させるためである。
【0022】
本発明のセンサ素子における他の実施形態によれば、第1の信号変換手段は、センサ出力信号を、周波数変調、パルス幅変調、パルス振幅変調、パルス密度変調、パルス位置変調、パルス符号変換又は振幅変調によって変換することも好ましい。
【0023】
本発明のセンサ素子における他の実施形態によれば、
複数のセンサ素子を搭載し、複数種類の計測信号が出力され、
複数の第1の信号変換手段を有し、計測信号毎に音声信号に変換し、
複数の音声信号を、周波数分割、時分割又は切替によって多重化し、その多重化音声信号を音声出力インタフェース手段へ出力する音声信号多重化手段を更に有することも好ましい。
【0024】
本発明によれば、前述したセンサ装置に接続される端末であって、
センサ装置の音声出力インタフェース手段に、ケーブルを介して接続される音声入力インタフェース手段と、
音声入力インタフェース手段から出力された音声信号を、デジタル音声信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
センサ出力信号に対して計測信号の物理量を対応付けた信号変換テーブルと、
変換されたデジタル音声信号を復調し、そのセンサ出力信号から、信号変換テーブルを用いて、計測信号の物理量を導出する第2の信号変換手段と、
計測信号の物理量によってアプリケーション処理を実行するアプリケーション処理手段と
を有することを特徴とする。信号変換テーブルは、センサ素子の出力特性をソフトウェア的に表したものである。
【0025】
本発明によれば、前述したセンサ装置と、前述した端末とを有するシステムであって、
センサ装置のセンサ素子は、計測対象として人の脈拍を計測するものであり、
センサ装置は、人の耳に装着可能であって、通話の受話信号を発声するスピーカと通話の送話信号を入力するマイクとを有するヘッドセットに搭載され、
端末は、携帯電話機であって、
端末の音声入力インタフェース手段は、携帯電話機のマイクロフォンジャックであり、
センサ装置の音声出力インタフェース手段と、端末の音声入力インタフェース手段とは、マイクロフォンケーブルによって接続され、
センサ装置は、携帯電話機の通話を開始する際に、マイクロフォンケーブルに、送話信号を出力するか、又は、センサ素子に基づく音声信号を出力するかを切り替える切替手段を更に有することも好ましい。
【0026】
本発明によれば、前述したセンサ装置と、前述した端末とを有するシステムであって、
センサ装置は、音声信号としてセンサ装置を端末が識別するためのプロファイル信号を含めるべく、音声出力インタフェース手段へプロファイル信号を出力するプロファイル信号出力手段を更に有し、
端末は、その機能によりアナログ/デジタル変換された音声信号からプロファイル信号を抽出するプロファイル信号抽出手段を更に有し、
端末のアプリケーション処理手段は、プロファイル信号に応じて起動するアプリケーションを切り替えることも好ましい。
【0027】
本発明のシステムにおける他の実施形態によれば、
端末からネットワークを介して接続されるセンサアプリケーションサーバを更に有し、
プロファイル信号は、センサ装置の識別子であり、
端末は、
センサアプリケーションサーバへ、プロファイル信号を送信するプロファイル信号送信手段と、
センサアプリケーションサーバから、アプリケーション処理手段によって起動すべきアプリケーションプログラムを受信するアプリケーション受信手段と
を有し、
センサアプリケーションサーバは、
プロファイル信号に応じたアプリケーションプログラムを蓄積するアプリケーション蓄積手段と、
端末から受信したプロファイル信号に応じてアプリケーション蓄積手段を検索し、検索されたアプリケーションプログラムを端末へ送信するアプリケーション検索手段と
を有することも好ましい。
【0028】
本発明によれば、計測対象を計測し、当該素子の出力特性に基づくセンサ出力信号を出力するセンサ素子と、音声入力インタフェース手段を有する端末と、の間に接続される変換装置であって、
センサ素子から前記センサ出力信号を入力する計測信号入力インタフェース手段と、
センサ出力信号を音声信号へ変換する第1の信号変換手段と、
第1の信号変換手段から出力された音声信号を、外部装置へ出力する音声出力インタフェース手段と
を有することを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、前述した変換装置に接続される端末であって、
変換装置の音声出力インタフェース手段に、ケーブルを介して接続される音声入力インタフェース手段と、
音声入力インタフェース手段から出力された音声信号を、デジタル音声信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
センサ出力信号に対して計測信号の物理量を対応付けた信号変換テーブルと、
変換されたデジタル音声信号を復調し、そのセンサ出力信号から、信号変換テーブルを用いて、計測信号の物理量を導出する第2の信号変換手段と、
計測信号の物理量によってアプリケーション処理を実行するアプリケーション処理手段と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明のセンサ装置、端末、システム及び変換装置によれば、センサ装置によって計測された計測信号を、携帯情報端末のマイクロフォン用端子へ音声信号として出力することができ、端末に実装されたプログラムによって計測された物理量を得ることができ、計測情報サーバへ計測した物理量を蓄積し更に高度な応用アプリケーションプログラムに利用することができる。また、センサ装置から出力されるプロファイル信号によって、端末に実装されたプログラムによってセンサ装置に対応したアプリケーションプログラムをセンサアプリケーションサーバからダウンロードし実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明におけるシステム構成図である。
【図2】本発明におけるセンサ装置及び携帯電話機の基本的な機能構成図である。
【図3】本発明における信号変換の説明図である。
【図4】計測情報サーバ及びセンサアプリケーションサーバを用いる携帯電話機の機能構成図である。
【図5】ヘッドセットに搭載されたセンサ装置の機能構成図である。
【図6】本発明における変換装置の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0034】
図1のシステムによれば、センサ装置1は、センサ素子(センサプローブとも称される)101を搭載し、人に装着されている。また、センサ装置1は、ケーブルを介して端末(携帯電話機)2に接続されている。ケーブルは、端末2のマイクロフォン用端子に接続される。尚、以下では、端末は、代表的な携帯電話機として説明するが、勿論、PDA(Personal Digital Assistant)又はパーソナルコンピュータであってもよい。また、センサ装置は、人に装着されないような別のセンサ装置(例えば自転車のタイヤの回転計センサなど)であってもよい。
【0035】
一般に、マイクロフォン用端子は、機器毎の回路特性に応じて、音声信号に対応する電気的特性で歪や増減衰などが生じる。しかしながら、可聴範囲内の周波数については、可聴周波数の中心域ほど原音声信号の周波数を忠実に再現できる性能を有しているのが一般的である。従って、センサ出力信号を可聴範囲内の周波数特性の音声信号に変換することによって、その計測信号の物理量を、端末へ伝達することができる。
【0036】
図1によれば、センサ装置1に搭載されたセンサ素子101は、計測対象の物理量を計測する。センサ素子の出力は、センサ素子の出力特性曲線に基づいて、計測された物理量と関係している。計測対象は、例えば人の生体情報であって、センサ装置1は、人の手又は耳等に装着されるとする。勿論、センサ装置1は、例えば赤外線センサのように、計測対象に直接的に装着しないものであってもよい。
【0037】
携帯電話機2は、音声信号(アナログ信号)を入力するアナログ端子を有する。アナログ端子は、例えば既存のマイクロフォン端子である。
【0038】
また、携帯電話機2は、通信インタフェースを有し、ネットワーク(例えば携帯電話網及びインターネットなど)を介して、計測情報サーバ3及びセンサアプリケーションサーバ4と通信することができる。
【0039】
計測情報サーバ3は、センサ装置1によって検知された計測情報を、携帯電話機2から受信し且つ蓄積することができる。センサ装置1毎の計測情報を蓄積することによって、利用者毎に、計測情報を管理することができる。
【0040】
センサアプリケーションサーバ4は、携帯電話機2で実行可能なアプリケーションプログラムと、そのアプリケーションプログラムをダウンロードするためのアプリケーションプログラムに関連する情報とを蓄積する。これによって、携帯電話機2は、センサ装置に応じた、異なるアプリケーションプログラムをダウンロードすることができる。
【0041】
図2は、本発明におけるセンサ装置及び携帯電話機の基本的な機能構成図である。
【0042】
センサ装置1は、基本的な構成として、音声出力インタフェース部100と、センサ素子101と、第1の信号変換部102と、搬送波出力部103と、多重化部104とを有する。また、付加的な実施形態として、プロファイル信号出力部105も有する。
【0043】
センサ素子101は、検知した計測信号をセンサ素子の出力特性に基づいて電気的信号へ変換したセンサ出力信号を出力する。センサ出力信号は、バッファアンプを介して第1の信号変換部102へ出力される。バッファアンプを介することにより、微弱電流を増幅することや、次段の回路の入力に対する電気的特性を合わせることができる。センサ装置1には、複数のセンサ素子101が搭載されていてもよく、その場合、複数種類の計測信号毎に、第1の信号変換部102と、搬送波出力部103とが備えられる。
【0044】
第1の信号変換部102は、センサ素子101から出力されたセンサ出力信号を音声信号に変換する。は、搬送波出力部103から出力される搬送波を用いて、音声信号に変調される。この音声信号は、人間の可聴範囲内に収まる周波数特性を有する。そして、音声信号は、多重化部104へ出力される。
【0045】
プロファイル信号出力部105は、当該センサ装置1のプロファイル信号を、多重化部104へ出力する。プロファイル信号とは、当該センサ装置1を識別するための信号であって、例えば計測信号の種別や、当該センサ装置の識別子ID(IDentifier)を特定する。
【0046】
プロファイル信号自体は、数秒間の音声信号であって、録音した音声を再生することによっても実現できる。勿論、モールス信号的なパルス符号信号でもよいし、特定の周波数のトーン信号の組み合わせでもよいし、それら信号の組み合わせであってもよい。また、プロファイル信号の始まりを示す一定のプリフィックス信号を含むことも好ましい。
【0047】
また、プロファイル信号で特定されるプロファイル情報は、センサ装置を識別するための「センサID」のみでもよい。また、プロファイル情報は、例えば「計測信号の種別」、「メーカID」、「製品ID」及び/又は「製品のバージョン」を含むことも好ましい。
【0048】
多重化部104は、プロファイル信号を出力中には音声信号を抑制したり、複数の音声信号をミキシングする。又は、音声信号とプロファイル信号とを、切り替えずに周波数分割又は時分割によって多重化してもよい。尚、周波数分割の場合、共鳴の影響を受けないように、周波数の倍数に重ならないように搬送波出力部103の周波数をずらすことも好ましい。多重化された音声信号は、バッファアンプを介して、音声出力インタフェース部100へ出力される。
【0049】
音声出力インタフェース部100は、多重化部104から出力された音声信号を、ケーブルを介して携帯電話機2へ出力する。
【0050】
携帯電話機2は、音声入力インタフェース部200と、アプリケーション処理部201と、第2の信号変換部202と、A/D変換部203と、逆多重化部204と、プロファイル信号抽出部205とを有する。アプリケーション処理部201と、第2の信号変換部202と、プロファイル信号抽出部205とは、携帯電話機に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによっても実現できる。
【0051】
音声入力インタフェース部200は、センサ装置1からケーブルを介して、センサ装置1から出力された音声信号を入力する。音声入力インタフェース部200は、例えば、携帯電話機のマイクロフォン端子(ジャック)である。その音声信号は、A/D変換部203へ出力される。
【0052】
A/D変換部203は、アナログ音声信号をデジタル音声信号へ変換する。入力された音声信号をソフトウェアで処理するためである。変換されたデジタル音声信号は、逆多重化部204へ出力される。
【0053】
逆多重化部204は、センサ装置1の多重化部104に対する逆多重化処理を実行することによって多重化前の音声信号を取り出し、対応するそれぞれの第2の信号変換部202へ出力される。
【0054】
第2の信号変換部202は、A/D変換部203から出力されたデジタル音声信号を、ソフトウェア処理によってセンサ装置1の第1の信号変換部とは逆変換処理を実行し、センサ出力信号を取り出す。次に、信号変換テーブルを用いて、センサ出力信号から計測信号の物理量が導出される。信号変換テーブルは、センサ出力信号と、計測信号の物理量とを対応付けた表又は関数である。その計測信号の物理量は、アプリケーション処理部201へ出力される。
【0055】
図3は、本発明における信号変換の説明図である。
【0056】
センサ装置1の第1の信号変換部102は、センサ素子101からセンサ出力信号を入力する。第1の信号変換部102は、時間経過に応じたセンサ出力信号を、周波数変調、パルス幅変調、パルス振幅変調、パルス密度変調、パルス位置変調、パルス符号変換又は振幅変調の何れかによって音声信号に変換する。その音声信号は、人間の可聴範囲内に収まる周波数とすることも好ましい。
【0057】
携帯電話機2のA/D変換部203は、アナログ音声信号をデジタル音声信号へ変換する。入力されたアナログ音声信号をソフトウェア処理するためである。変換されたデジタル音声信号は、第2の信号変換部202へ出力される。
【0058】
第2の信号変換部202は、時間経過に応じたデジタル音声信号を入力する。また、第2の信号変換部202は、デジタル音声信号に対する計測信号の物理量を記録した信号変換テーブルを予め有する。第2の信号変換部202は、デジタル音声信号をソフトウェアによって復調し、そのセンサ出力信号を取り出す。次に、第2の信号変換部202は、信号変換テーブルを用いて、時間経過に応じた計測信号の物理量を導出する。計測信号の物理量とは、例えば、ある時刻におけるセンサが計測した物理量を数値で表した値である。
【0059】
図4は、計測情報サーバ及びセンサアプリケーションサーバを用いる携帯電話機の機能構成図である。
【0060】
A/D変換部203によってデジタル化された音声信号は、逆多重化部204によって判定され、プロファイル信号については、プロファイル信号抽出部205へ出力する。
【0061】
プロファイル信号抽出部205は、プロファイル信号を解析し、センサ装置1におけるプロファイル情報を抽出する。そのプロファイル情報は、アプリケーション処理部201へ出力される。
【0062】
アプリケーション処理部201は、センサ装置1のプロファイル信号を処理する。ここで、プロファイル情報に基づいて、センサ装置1に対応したアプリケーションプログラムが選択され、例えば自動的に起動することもできるし、ユーザに選択させて実行することもできる。
【0063】
センサ装置1に対応するアプリケーションプログラムが携帯情報端末に実装されていない場合、携帯情報端末は、センサアプリケーションサーバからアプリケーションプログラムの一覧をダウンロードすることもできる。この一覧をディスプレイに表示し、ユーザが欲するアプリケーションプログラムを選択させダウンロードさせることもできる。
【0064】
尚、センサアプリケーションサーバ4は、センサ装置のプロファイル情報に対応したアプリケーションプログラム及びその関連情報(センサ情報テーブル・アプリケーション情報テーブルのこと)を蓄積している。これらのアプリケーションプログラムは、センサ装置の販売者・製造者等によるアプリケーション提供者によってセンサアプリケーションサーバに予め登録されている。センサアプリケーションサーバ4は、受信したプロファイル情報に応じて、アプリケーションプログラムを検索する。
【0065】
センサアプリケーションサーバ4は、アプリケーションプログラムの他に、センサ情報テーブルと、アプリケーション情報テーブルとを有するものであってもよい。センサ情報テーブルは、例えば「センサID」「製品名」「センサ説明」及び「提供者」を含む。また、アプリケーション情報テーブルは、例えば「アプリケーションID」「アプリケーション名」「アプリケーション説明」「提供者」を含む。両テーブルを用いることによって、携帯電話機2から受信したセンサIDによって、センサ情報及びアプリケーション情報を検索することができる。
【0066】
そして、検索されたアプリケーションプログラムは、インターネット及び携帯電話網等を介して、携帯電話機2へ送信される。
【0067】
図5は、ヘッドセットに搭載されたセンサ装置の機能構成図である。
【0068】
図5のセンサ装置は、ヘッドセットに搭載され、人の耳に装着可能である。このセンサ装置は、図2と比較して、スイッチ111と、切替部112と、通話の受話信号を発声するスピーカ113と、通話の送話信号を入力するマイク114とを更に有する。また、そのセンサ装置に対応する携帯電話機2は、通話機能部213を有すると共に、切替部212を更に有する。
【0069】
利用者によるスイッチ111の押下によって、切替部112は、ケーブルに、マイク114からの送話信号を出力するか、又は、多重化部104から出力される音声信号を出力するかを切り替える。この操作は、携帯電話機2で通話を開始する際に有効である。センサ装置1における生体情報の計測中に、携帯電話機2が着呼した場合、利用者によるスイッチ111の押下によって、マイク114の送話信号を携帯電話機2へ出力することができる。
【0070】
センサ装置1の音声インタフェース部110は、携帯電話機2から受話信号を入力する入力端子と、携帯電話機2へ送話信号又は音声信号を出力する出力端子とを有する。これに対して、携帯電話機2の音声インタフェース210は、センサ装置1へ受話信号を出力するイヤホン端子と、センサ装置2から送話信号又は音声信号を入力するマイク端子とを有する。
【0071】
図6は、本発明における変換装置の機能構成図である。
【0072】
図6によれば、ケーブルの間に備えられた変換装置5を介して、センサ装置1と携帯電話機2とが接続されている。図6の変換装置は、図2と比較して、センサ素子101の部分が、センサ装置1に接続される計測信号入力インタフェース部501に置き換えられている。
【0073】
変換装置が、携帯情報端末のマイクロフォン接続規格に対応することによって、種々のセンサ素子(プローブ)を携帯情報端末に繋ぎ込むことができる。
【0074】
以上、詳細に説明したように、本発明のセンサ装置、端末、システム及び変換装置によれば、センサ装置を携帯情報端末のマイクロフォン用端子へ接続することができる。
【0075】
前述した本発明の種々の実施形態において、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0076】
1 センサ装置
100 音声出力インタフェース部
101 センサ素子
102 第1の信号変換部
103 搬送波出力部
104 多重化部
105 プロファイル信号出力部
110 音声インタフェース部
111 スイッチ
112 切替部
113 ヘッドセットのスピーカ
114 ヘッドセットのマイク
2 携帯電話機(端末)
200 音声入力インタフェース部
201 アプリケーション処理部
202 第2の信号変換部
203 A/D変換部
204 逆多重化部
205 プロファイル信号抽出部
206 計測情報送信部
207 プロファイル送信部
208 アプリケーション受信部
209 通信インタフェース部
210 音声インタフェース部
212 切替部
213 通話機能部
3 計測情報サーバ
4 センサアプリケーションサーバ
5 変換装置
500 音声出力インタフェース部
501 計測信号入力インタフェース部
502 第1の信号変換部
503 搬送波出力部
504 多重化部
505 プロファイル信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象を計測し、当該素子の出力特性に基づくセンサ出力信号を出力するセンサ素子と、
前記センサ出力信号を音声信号へ変調する第1の信号変換手段と、
第1の信号変換手段から出力された前記音声信号を、外部装置へ出力する音声出力インタフェース手段と
を有することを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記音声信号の電気的特性は、人間の可聴範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
第1の信号変換手段は、前記センサ出力信号を、周波数変調、パルス幅変調、パルス振幅変調、パルス密度変調、パルス位置変調、パルス符号変換又は振幅変調によって変換することを特徴とする請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
複数の前記センサ素子を搭載し、複数種類のセンサ出力信号が出力され、
複数の第1の信号変換手段を有し、前記センサ出力信号毎に音声信号に変換し、
複数の前記音声信号を、周波数分割、時分割又は切替によって多重化し、その多重化音声信号を前記音声出力インタフェース手段へ出力する音声信号多重化手段を更に有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサ装置に接続される端末であって、
前記センサ装置の前記音声出力インタフェース手段に、ケーブルを介して接続される音声入力インタフェース手段と、
前記音声入力インタフェース手段から出力された前記音声信号を、デジタル音声信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
センサ出力信号に対して計測信号の物理量を対応付けた信号変換テーブルと、
変換されたデジタル音声信号を復調し、そのセンサ出力信号から、前記信号変換テーブルを用いて、計測信号の物理量を導出する第2の信号変換手段と、
前記計測信号の物理量によってアプリケーション処理を実行するアプリケーション処理手段と
を有することを特徴とする端末。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサ装置と、請求項5に記載の端末とを有するシステムであって、
前記センサ装置の前記センサ素子は、計測対象として人の生体情報を計測するものであり、
前記センサ装置は、人の耳に装着可能であって、通話の受話信号を発声するスピーカと通話の送話信号を入力するマイクとを有するヘッドセットに搭載され、
前記端末は、携帯電話機であって、
前記端末の前記音声入力インタフェース手段は、前記携帯電話機のマイクロフォンジャックであり、
前記センサ装置の前記音声出力インタフェース手段と、前記端末の前記音声入力インタフェース手段とは、マイクロフォンケーブルによって接続され、
前記センサ装置は、前記携帯電話機の通話を開始する際に、前記マイクロフォンケーブルに、前記送話信号を出力するか、又は、前記センサ素子に基づく前記音声信号を出力するかを切り替える切替手段を更に有することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサ装置と、請求項5に記載の端末とを有するシステムであって、
前記センサ装置は、前記音声信号にプロファイル信号を含めるべく、前記音声出力インタフェース手段へ前記プロファイル信号を出力するプロファイル信号出力手段を更に有し、
前記端末は、前記デジタル音声信号から前記プロファイル信号を抽出するプロファイル信号抽出手段を更に有し、
前記端末の前記アプリケーション処理手段は、前記プロファイル信号に応じて起動するアプリケーションを切り替える
ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記端末からネットワークを介して接続されるセンサアプリケーションサーバを更に有し、
前記プロファイル信号は、前記センサ装置の識別子であり、
前記端末は、
前記センサアプリケーションサーバへ、前記プロファイル信号を送信するプロファイル信号送信手段と、
前記センサアプリケーションサーバから、前記アプリケーション処理手段によって起動すべきアプリケーションプログラムを受信するアプリケーション受信手段と
を有し、
前記センサアプリケーションサーバは、
前記プロファイル信号に応じたアプリケーションプログラムを蓄積するアプリケーション蓄積手段と、
前記端末から受信したプロファイル信号に応じて前記アプリケーション蓄積手段を検索し、検索されたアプリケーションプログラムを前記端末へ送信するアプリケーション検索手段と
を有することを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
計測対象を計測し、当該素子の出力特性に基づくセンサ出力信号を出力するセンサ素子と、音声入力インタフェース手段を有する端末と、の間に接続される変換装置であって、
前記センサ素子から前記センサ出力信号を入力する計測信号入力インタフェース手段と、
前記センサ出力信号を音声信号へ変換する第1の信号変換手段と、
第1の信号変換手段から出力された前記音声信号を、外部装置へ出力する音声出力インタフェース手段と
を有することを特徴とする変換装置。
【請求項10】
請求項9に記載の前記変換装置に接続される端末であって、
前記変換装置の前記音声出力インタフェース手段に、ケーブルを介して接続される音声入力インタフェース手段と、
前記音声入力インタフェース手段から出力された前記音声信号を、デジタル音声信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
センサ出力信号に対して計測信号の物理量を対応付けた信号変換テーブルと、
変換されたデジタル音声信号を復調し、そのセンサ出力信号から、前記信号変換テーブルを用いて、計測信号の物理量を導出する第2の信号変換手段と、
前記計測信号の物理量によってアプリケーション処理を実行するアプリケーション処理手段と
を有することを特徴とする端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−279498(P2010−279498A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134292(P2009−134292)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】