説明

計測表示装置

【課題】本発明の目的は、糖尿病の病状を認識できる程度に血糖値の変化を把握できるとともに、患者が血糖値と自分の生活習慣、食事量、日の経過との関連を正確に認識できる計測表示装置を提供することにある。
【解決手段】本発明の計測表示装置10を、筐体12と、ディスプレイ14と、バイオセンサ100を取り付ける取付部16と、血液(検体)の血糖値(基質成分量)を計測する計測手段18と、基質成分量の計測値を計測日毎に記憶する計測値メモリ20と、計測日毎に計測値を表示する分布グラフAを作成する分布グラフ作成手段22と、ディスプレイ14に分布グラフAを表示させる分布グラフ表示手段24と、複数の計測値区分毎に計測値の度数を表示する度数グラフBを作成する度数グラフ作成手段26と、ディスプレイ14に度数グラフBを表示させる度数グラフ表示手段28と、を備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサが取り付けられて検体の基質成分量を計測して表示する計測表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生活習慣病である糖尿病が増加しつつあり、日本では数百万人の患者が存在すると言われている。このような糖尿病患者に対する療法としては、食事療法、運動療法、薬物療法、インスリン療法等があるが、いずれの場合においても日々の血糖値管理が極めて重要で、その患者にとって、在宅での毎日の血糖値計測は欠かせないものである。その血糖値計測には、少量の血液で血糖値を計測できる携帯用のバイオセンサ及び計測表示装置が市販されており、広く使用されている。
【0003】
血糖値を計測するバイオセンサ100は、図9に示すように、計測表示装置102に取り付けられる。計測表示装置102は、筐体104と、ディスプレイ106と、バイオセンサ100を取り付ける取付部108とを備える。バイオセンサ100が取り付けられた計測表示装置102は、バイオセンサ100の反応部110に導入された血液の血糖値(基質成分量)を計測手段により計測し、ディスプレイ106において基質成分量を表示する。
【0004】
しかし、患者の夫々がこのような計測表示装置102を使用して、自分の血糖値を計測しても、その血糖値が増加する傾向にあるのか又は減少する傾向にあるのかという血糖値の変化の情報を把握するのは容易ではない。さらに、多くの患者は、計測した血糖値が高くなったり低くなったりすると一喜一憂するのみで、それが自分の生活習慣、食事量、時間の経過とどのように関連しているかを正確に認識できているとは限らない。
【0005】
外泊の際等では、血糖値計測はしても、そのデータの記録管理がおろそかになりやすい。また、近年のパーソナルコンピューター(以下「パソコン」と言う。)の発達普及によって、それに入力することでデータ管理することもできるが、入力作業の負担や計測値の入力間違いの可能性等もあり、データ管理に手間がかかる。さらに、データ管理は患者自身で行い、そのデータを通院する医療機関で見てもらうことも手間がかかる。
【0006】
一方、血糖値の計測値をグラフ化して表示する計測表示装置について案出されて出願されている。例えば、特許文献1には、一日における時刻毎の血糖値を表示するグラフを表示器に表示させる血糖値測定装置について記載されている。また、特許文献2には、一定時間内における血糖値の測定値をソフトウエアによってグラフ化できる旨について記載されている。特許文献3には、時間毎の血糖値を表示するグラフを表示装置に表示させる血糖値管理システムについて記載されている。
【0007】
しかし、時間毎の血糖値をグラフで表示することのみによっては、糖尿病の病状を認識できる程度に血糖値の変化を把握するのは容易ではない。さらに、患者は、計測した血糖値が自分の生活習慣、食事量、日の経過とどのように関連しているかを正確に認識できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3768436号公報
【特許文献2】特開2003−302406号公報
【特許文献3】国際公開第2006/009199号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、糖尿病の病状を認識できる程度に血糖値の変化を把握できるとともに、患者が血糖値と自分の生活習慣、食事量、日の経過との関連を正確に認識できる計測表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の計測表示装置は、筐体と、ディスプレイと、バイオセンサを取り付ける取付部と、前記取付部に取り付けたバイオセンサに導入された検体の基質成分量を計測する計測手段と、少なくとも前記計測した日付を認識するタイマーと、前記基質成分量の計測値を計測日毎に記憶する計測値メモリと、前記計測日毎に前記計測値を表示する分布グラフを作成する分布グラフ作成手段と、前記ディスプレイに前記分布グラフを表示させる分布グラフ表示手段と、複数の計測値区分毎に各計測値の頻度を表示する度数グラフを作成する度数グラフ作成手段と、前記ディスプレイに前記度数グラフを表示させる度数グラフ表示手段と、を備えたことを特徴とする。計測値区分とは、計測値の数値を、一定の計測値の範囲毎に区分けした場合の各区分を言う。計測値の頻度とは、その計測値が生じた回数を言う。
【0011】
また、前記計測表示装置において、計測値の指標上限値及び指標下限値を記憶する指標メモリを備え、前記分布グラフがプロットグラフであり、前記分布グラフ表示手段は、指標上限値以上の計測値を示すプロット、及び指標下限値以下の計測値を示すプロットを、他のプロットと異なる色彩で表示することを特徴とする。
【0012】
また、前記計測表示装置において、前記度数グラフが棒グラフであり、前記度数グラフ表示手段は、指標上限値以上の計測値を示す棒、及び指標下限値以下の計測値を示す棒を、他の棒と異なる色彩で表示することを特徴とする。
【0013】
また、前記計測表示装置において、前記度数グラフ表示手段は、指標上限値以上の計測値を示す棒及び指標下限値以下の計測値を示す棒を、指標上限値以上の計測値を示す前記プロット及び指標下限値以下の計測値を示す前記プロットと同一の色彩で表示することを特徴とする。
【0014】
また、前記計測表示装置において、前記計測値の最大値、最小値及び平均値を算出する演算手段と、算出した最大値、最小値及び平均値を前記分布グラフ及び前記度数グラフと共に前記ディスプレイに表示させる演算値表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、前記計測表示装置において、前記指標上限値及び指標下限値を設定する指標設定手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の計測表示装置によれば、計測日毎に計測値を表示する分布グラフを表示することにより、患者又は医師は、計測値である血糖値の変化の傾向を目視により容易に認識できる。また、度数グラフを表示することにより、患者等は、計測値の分布の傾向を目視により容易に認識できる。このため、パソコン等の装置を用いることなく、計測表示装置のみによって、糖尿病の病状を認識できる程度に血糖値の変化を把握できるとともに、日の経過との関連を正確に認識できる。また、過去の生活習慣及び食事量と血糖値の変化とを照合することにより、血糖値の変化と生活習慣及び食事量との関連を正確に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の計測表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の計測表示装置に使用するデータベースの一例を示す構成図である。
【図3】本発明の計測表示装置によって表示する分布グラフを示す正面図である。
【図4】本発明の計測表示装置によって表示する度数グラフを示す正面図である。
【図5】本発明の計測表示装置に使用するデータベースの他の一例を示す構成図である。
【図6】本発明の計測表示装置のディスプレイを示す図であり、同図(a)はグラフ表示画面を示す正面図であり、同図(b)は指標設定画面において指標上限値を設定する画面を示す正面図であり、同図(c)は指標設定画面において指標下限値を設定する画面を示す正面図である。
【図7】本発明の計測表示装置によって表示するメニュー画面を示す正面図である。
【図8】本発明の計測表示装置のディスプレイを示す図であり、同図(a)は「過去記録」を選択する記録画面を示す正面図であり、同図(b)は「グラフ表示」を選択する記録画面を示す正面図であり、同図(c)は「分布グラフ」を選択するグラフ表示画面を示す正面図であり、同図(d)は「度数グラフ」を選択するグラフ表示画面を示す正面図である。
【図9】従来の計測表示装置の使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の計測表示装置について図面を使用して説明する。バイオセンサの種類は任意であり、説明では従来技術で説明した図9のバイオセンサ100を使用して説明する。
【0019】
図1、図3、図4及び図7において、符号10は本発明の計測表示装置を示す。本発明の計測表示装置10は、筐体12と、ディスプレイ14と、バイオセンサ100を取り付ける取付部16と、取付部16に取り付けたバイオセンサ100に導入された血液(検体)の血糖値(基質成分量)を計測する計測手段18と、計測した日付及び時刻を認識できるタイマー19と、基質成分量の計測値を計測日及び計測時刻毎に記憶する計測値メモリ20と、計測日毎に計測値を表示する分布グラフAを作成する分布グラフ作成手段22と、ディスプレイ14に分布グラフAを表示させる分布グラフ表示手段24と、複数の計測値区分毎に計測値の頻度を表示する度数グラフBを作成する度数グラフ作成手段26と、ディスプレイ14に度数グラフBを表示させる度数グラフ表示手段28と、を備えている。また、計測表示装置10のオン/オフ等、計測表示装置10を操作するためのボタン30を備える。
【0020】
また、計測表示装置10は、入力された指標上限値及び指標下限値を記憶する指標メモリ32と、指標上限値及び指標下限値を設定する指標設定手段34と、を備えている。また、計測表示装置10は、計測値の最大値、最小値及び平均値を算出する演算手段36と、算出した最大値、最小値及び平均値を分布グラフA及び度数グラフBと共にディスプレイ14に表示させる演算値表示手段38と、を備えている。
【0021】
筐体12は、手のひらに収まって握りやすい大きさや形状が好ましいが、限定されない。筐体12は樹脂で構成され、ディスプレイ14の配設部や取付部16が空間になっている。
【0022】
ディスプレイ14の種類としては、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイが挙げられる。ディスプレイ14の形状は正方形又は長方形であることが好ましいが、他の形状であってもよい。ディスプレイ14は、血糖値を表示するものであり、時刻表示等を行っても良い。
【0023】
計測手段18は、バイオセンサ100の反応部110まで延びる図示しない電極に所定電圧を印加し、電極間に流れた電流から血液の基質成分量である血糖値を計測するものである。反応部110と血液が反応しているとき、電極間に所定の電圧を印加することによって反応部110を介して電流が流れる。この電流は血液の血糖値に応じて異なるため、電流から血糖値を求めることができる。なお、計測値(血糖値)は、小数点以下が四捨五入、切り捨て又は切り上げることにより、自然数で計測される。
【0024】
計測値メモリ20は、計測手段18が計測した計測値を、各計測日及び計測時刻毎に記憶する。計測日及び計測時刻は、タイマー19が認識した日付及び時刻に基づいて記憶する。計測値メモリ20が記憶する計測値は、例えば、図2に示すデータベースDB1の体系で記憶される。データベースDB1は、一組の計測日、計測時刻及び計測値により一の計測データD1を形成し、この計測データD1を、同一の計測日についてX軸方向に少なくとも一個以上配列して日毎計測データD2を形成し、この日毎計測データD2をY軸方向に複数個配列して構成されている。なお、図2は、計測データD1が各計測日についてX軸方向に二個配列された場合について示しているが、X軸方向に配列される個数については限定されない。
【0025】
分布グラフ作成手段22は、計測値メモリ20が記憶する計測値に基づいて図3に示す分布グラフAを作成する。分布グラフAはプロットグラフである。例えば、図2に示すデータベースDB1に基づいて分布グラフAを作成する場合には、最新の計測日から30日前までの各計測データD1の計測日及び計測値に基づいて、横軸を計測日とし縦軸を計測値(血糖値)とするグラフにプロットしていくことにより、分布グラフAを作成する。
【0026】
分布グラフ表示手段24は、分布グラフ作成手段22が作成した分布グラフAを、図3に示すように、ディスプレイ14に表示させる。分布グラフ表示手段24は、指標メモリ32が記憶する指標上限値及び指標下限値に基づいて、指標上限値以上の計測値を示すプロット、及び指標下限値以下の計測値を示すプロットを、他のプロットと異なる色彩で表示する。例えば、指標上限値が200mg/dLであり指標下限値が100mg/dLである場合には、200mg/dL以上の計測値及び100mg/dL以下の計測値については異常値として赤色でプロットし、他の計測値については目標値として青色でプロットする。分布グラフ表示手段24は、指標上限値の200mg/dLを表示する破線H1、及び指標下限値の100mg/dLを表示する破線H2を、分布グラフAに記載する。なお、各計測日について、計測回によりプロットの色彩を変えてもよい。例えば、1回目の計測値についてのプロットを青色で表示し、2回目の計測値についてのプロットを緑色で表示してもよい。
【0027】
度数グラフ作成手段26は、計測値メモリ20が記憶する計測値に基づいて図4に示す度数グラフBを作成する。度数グラフBは棒グラフである。例えば、図2に示すデータベースDB1に基づいて、「〜99mg/dL」、「〜100mg/dL」、「101〜133mg/dL」、「134〜166mg/dL」、「167〜199mg/dL」及び「200mg/dL〜」なる計測値区分毎に計測値の頻度を表示する場合には、最新の計測日から30日前までの各計測データD1の計測値の頻度を計測値区分毎に算出することにより、度数グラフBを作成する。
【0028】
なお、度数グラフBを作成するために、図5に示すデータベースDB2を利用してもよい。データベースDB2は、日付毎に、「〜99mg/dL」、「〜100mg/dL」、「101〜133mg/dL」、「134〜166mg/dL」、「167〜199mg/dL」及び「200mg/dL〜」なる計測値区分の頻度を記載して構成されている。このデータベースDB2によれば、最新の計測日から30日前までの各計測値区分の頻度を累積することにより、各計測値区分の頻度を容易に計算して度数グラフBを容易に作成できる。
【0029】
度数グラフ表示手段28は、度数グラフ作成手段26が作成した度数グラフBを、図4に示すように、ディスプレイ14に表示させる。度数グラフ表示手段28は、指標メモリ32が記憶する指標上限値及び指標下限値に基づいて、指標上限値以上の計測値を示す棒、及び指標下限値以下の計測値を示す棒を、他の棒と異なる色彩で表示する。例えば、指標上限値が200mg/dLであり指標下限値が100mg/dLである場合には、200mg/dL以上の頻度を示す棒及び100mg/dL以下の頻度を示す棒については、異常値である計測値を示す棒として赤色で表示し、他の計測値については目標値である計測値を示す棒として青色で表示する。すなわち、度数グラフ表示手段28は、指標上限値以上の計測値を示す棒及び指標下限値以下の計測値を示す棒を、指標上限値以上の計測値を示すプロット及び指標下限値以下の計測値を示すプロットと同一の色彩である赤色で表示する。
【0030】
指標メモリ32は、指標設定手段34から設定された指標上限値及び指標下限値を記憶する。指標設定手段34は、図6(a)に示すグラフ表示画面Gから「指標設定」を選択して図6(b)に示す指標設定画面Sを開いて指標上限値を入力することにより、又は図6(c)に示すように指標設定画面Sから指標下限値を入力することにより、指標上限値又は指標下限値を設定できるように構成されている。なお、この指標上限値から指標下限値までの範囲は、日本糖尿病学会等が定める正常基準値ではなく、目標範囲である。
【0031】
演算手段36は、例えば、図2に示すデータベースDB1が含む全ての計測値の中の最新の計測日から30日前までの全ての計測値を順次検索して計測値の最大値及び最小値を算出する。また、演算手段36は、最新の計測日から30日前までの全ての計測値の総和を計測値の数量で除算することにより平均値を算出する。演算値表示手段38は、演算手段36が算出した最大値、最小値及び平均値を、図3に示す分布グラフA及び図4に示す度数グラフBと共にディスプレイ14に表形式で表示させる。
【0032】
このような構成の本発明に係る計測表示装置10の作用の一例について、以下に説明する。なお、以下の処理は、CPUを用いた制御手段により、自動的に又は手動で行われる。
【0033】
まず、血糖値の計測を行う患者等によってバイオセンサ100が計測表示装置10に取り付けられ、計測表示装置10がオン状態にされ、指先から出血させた血液が図9に示す反応部110へ導入された状態で、計測手段18は血糖値を計測する。このような計測が、毎日行われ、計測値は計測値メモリ20に順次記憶されていく。
【0034】
このような計測が30日以上に渡って行われた後、患者等が血糖値の変化の傾向を医師に伝達したい時に、又は自ら確認したい時に、計測表示装置10をオン状態にし、図7に示すメニュー画面Mを開いて「記録」を選択する。患者等が「記録」を選択すると、図8(a)に示す記録画面Kが開かれるため、患者等は、図8(b)に示すように、「グラフ表示」を選択する。患者等が「グラフ表示」を選択すると、図8(c)に示すグラフ表示画面Gが開かれる。
【0035】
このグラフ表示画面Gにおいて、図8(c)に示すように、患者等が「分布グラフ」を選択すると、図3に示す分布グラフAが表示される。分布グラフAには、過去30日間における各計測日の計測値についてプロットされており、患者又は医師は、計測値である血糖値の変化の傾向を目視により容易に認識できる。例えば、図3に示す分布グラフAの場合には、患者等は、過去30日間に渡って、血糖値が減少している傾向にあることを認識できる。また、指標上限値以上を示すプロットが、過去30日間の前期に集中していることからも、患者等は、血糖値が減少している傾向にあることを認識できる。また、指標上限値以上を示すプロットが、過去30日間の前期に集中し、指標下限値以下を示すプロットが、過去30日間の中期の1個のみであることから、患者等は、血糖値が目標値の範囲に収まりつつあることを認識できる。さらに、血糖値が減少している傾向にあるとともに血糖値が目標値の範囲に収まりつつあることは、指標上限値以上及び指標下限値以下を示すプロットが赤色で表示されていることにより、容易に認識される。さらに、各計測日について複数個プロットされるため、一日における血糖値の変化も認識される。
【0036】
なお、分布グラフAには、各計測日における計測値の平均値を示すプロットを付記してもよい。この場合、各計測日における計測値の平均値の変化を目視することにより、血糖値の変化の傾向を容易に認識できる。また、その平均値を示すプロットに基づく折れ線グラフを分布グラフAに表示してもよい。
【0037】
ここで、分布グラフAを表示する状態から度数グラフBを表示する状態への切替、又は逆の切替は、分布グラフA又は度数グラフBを表示する状態から、「戻る」を選択してグラフ表示画面Gを開いた後に、「度数グラフ」又は「分布グラフ」を選択することにより行える。なお、一のアイコンの選択又は一のボタンを押すことにより、ワンタッチで、分布グラフAを表示する状態から度数グラフBを表示する状態への切替、又は逆の切替が行えるようにしてもよい。
【0038】
一方、グラフ表示画面Gにおいて、図8(d)に示すように、「度数グラフ」を選択すると、図4に示す度数グラフBが表示される。度数グラフBには、過去30日間における各計測日の計測値の度数が計測値区分毎に表示されており、患者等は、計測値の分布の傾向を目視により容易に認識できる。例えば、図8(d)に示す度数グラフBの場合には、患者等は、指標上限値より少し小さい血糖値が多いことを認識できる。
【0039】
また、分布グラフA及び度数グラフBにおいて、指標上限値以上及び指標下限値以下を示すプロットが赤色で表示されていることにより、血糖値管理の有無が容易に把握される。さらに、分布グラフA及び度数グラフBにおいて、血糖値の最大値、最小値及び平均値を表示することにより、患者等は、血糖値の状態を、目視によって主観的に認識できるだけでなく、数値によって客観的に認識できる。
【0040】
さらに、分布グラフA及び度数グラフBの両方を表示することにより、様々な観点から血糖値の変化を観察して、血糖値の傾向を正確且つ客観的に認識できる。例えば、分布グラフAにより血糖値の時系列的な変化を認識するとともに、度数グラフBによりどの程度の計測値が多く計測されたのかを認識することにより、血糖値の傾向を正確且つ客観的に認識できる。また、認識した過去30日間の血糖値の傾向と過去30日間の生活習慣及び食事量とを照合することにより、血糖値の傾向と生活習慣及び食事量との関連を正確に認識できる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、本願発明は図示したものに限定されない。例えば、本発明の計測表示装置において、分布グラフのプロット及び度数グラフの棒の色彩を設定できる色彩設定手段を備えてもよい。例えば、指標上限値以上の計測値についての色彩、指標上限値未満であり指標下限値よりも大きな計測値の色彩、及び、指標下限値以下の計測値についての色彩を、夫々別個に設定できる色彩設定手段を備えてもよい。なお、色彩設定手段により色彩を設定することにより、分布グラフのプロットの色彩及び度数グラフの棒の色彩が、同時且つ同一の色彩に設定されることが好ましい。また、過去30日間について分布グラフ、度数グラフ、最大値、最少値及び平均値を表示することに限定されず、過去1週間、過去1年間、過去2年間等について表示してもよい。
【0042】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0043】
10:計測表示装置
12:筐体
14:ディスプレイ
16:取付部
18:計測手段
20:計測値メモリ
22:分布グラフ作成手段
24:分布グラフ表示手段
26:度数グラフ作成手段
28:度数グラフ表示手段
30:ボタン
32:指標メモリ
34:指標設定手段
36:演算手段
38:演算値表示手段
A:分布グラフ
B:度数グラフ
S:指標設定画面
M:メニュー画面
K:記録画面
G:グラフ表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
ディスプレイと、
バイオセンサを取り付ける取付部と、
前記取付部に取り付けたバイオセンサに導入された検体の基質成分量を計測する計測手段と、
少なくとも前記計測した日付を認識するタイマーと、
前記基質成分量の計測値を計測日毎に記憶する計測値メモリと、
前記計測日毎に前記計測値を表示する分布グラフを作成する分布グラフ作成手段と、
前記ディスプレイに前記分布グラフを表示させる分布グラフ表示手段と、
複数の計測値区分毎に各計測値の頻度を表示する度数グラフを作成する度数グラフ作成手段と、
前記ディスプレイに前記度数グラフを表示させる度数グラフ表示手段と、
を備えた計測表示装置。
【請求項2】
計測値の指標上限値及び指標下限値を記憶する指標メモリを備え、
前記分布グラフがプロットグラフであり、前記分布グラフ表示手段は、指標上限値以上の計測値を示すプロット、及び指標下限値以下の計測値を示すプロットを、他のプロットと異なる色彩で表示する請求項1に記載する計測表示装置。
【請求項3】
前記度数グラフが棒グラフであり、前記度数グラフ表示手段は、指標上限値以上の計測値を示す棒、及び指標下限値以下の計測値を示す棒を、他の棒と異なる色彩で表示する請求項2に記載する計測表示装置。
【請求項4】
前記度数グラフ表示手段は、指標上限値以上の計測値を示す棒及び指標下限値以下の計測値を示す棒を、指標上限値以上の計測値を示す前記プロット及び指標下限値以下の計測値を示す前記プロットと同一の色彩で表示する請求項3に記載する計測表示装置。
【請求項5】
前記計測値の最大値、最小値及び平均値を算出する演算手段と、
算出した最大値、最小値及び平均値を前記分布グラフ及び前記度数グラフと共に前記ディスプレイに表示させる演算値表示手段と、
を備えた請求項1〜請求項4のいずれかに記載する計測表示装置。
【請求項6】
前記指標上限値及び指標下限値を設定する指標設定手段を備えた請求項2又は請求項3に記載する計測表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−247338(P2012−247338A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120079(P2011−120079)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】