説明

計装用オペレータズコンソール

【課題】グラフィック画面を作画する際に、視覚的に登録内容を明確にすることができ、登録・変更を容易に行えてドキュメント作成効率・エンジニアリング効率向上を図ることができる計装用オペレータズコンソールを提供する。
【解決手段】プロセス監視制御システムに用いられ、プロセス状態を表す表示形態を表示してプラント制御装置の運転状態を監視するためのグラフィック画面の作画と表示に用いられる計装用オペレータズコンソールにおいて、表示形態を構成する構成要素と構成要素の詳細情報であるプロパティについての登録情報、及び構成要素とプロパティとの対応を表す関連情報を格納する記憶装置を備える。グラフィック画面250上で構成要素が選択されると、登録情報と関連情報に基づき、選択された構成要素と関連付けて、選択された構成要素のプロパティ260をグラフィック画面上で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィードバック制御やシーケンス制御、プロセス状態監視等を行うプロセス監視制御システムに関する。より詳細には、プラントのプロセス監視制御システムに用いるグラフィック画面の作画及び作成したグラフィック画面の表示を行う計装用オペレータズコンソールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロセス監視制御システムに用いるグラフィック画面の作画装置(計装用オペレータズコンソール)では、特許文献1などに記載されているように、グラフィックの表示形態(表現パターン)とプロセスデータ(表示データ、プラントの運転情報)との組合せにより、表示する画面を作画していく。
【0003】
表示形態には、数値表現、グラフ表現、色替え表現、動画表現などの各種表現パターンがある。これらの表現パターンを画面上のどの位置に配置するかを登録し、これらの表現パターンと組み合わせるプロセスデータの取込先を登録することで、グラフィック画面を作画していく。プロセスデータの取込先とは、プロセスデータを取り込むプラント制御装置の端子名称のことである。
【0004】
作画する上で登録したこれらの情報は、ファイルとして格納される。グラフィック画面の表示装置(計装用オペレータズコンソール)では、このファイルを解析し、プロセスデータの取込先(データ端子名称)からデータを集め、表現パターンとプロセスデータとを組み合わせて表示することで、グラフィック画面の表示を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−81870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上説明したように、計装用オペレータズコンソールでグラフィック画面を作画する際には、作画する上で必要な情報を登録するが、一度登録した情報の内容は、個別に呼び出して確認する必要がある。従来の計装用オペレータズコンソールでは、登録した情報の内容を検索して部分的にピックアップすることは可能であるが、対象となる内容は登録した内容の中の1項目だけである。さらに、全登録内容の一覧を表示・印字することも可能であるが、登録した内容とグラフィック画面に実際に表示される表示形態との関連付けがわかりづらい。
【0007】
本発明の目的は、グラフィック画面を作画する際に、視覚的に登録内容を明確にすることができ、登録・変更を容易に行えてドキュメント作成効率・エンジニアリング効率向上を図ることができる計装用オペレータズコンソールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による計装用オペレータズコンソールは、基本的には次のような特徴を有する。
【0009】
プロセス監視制御システムに用いられ、プロセス状態を表す表示形態を表示してプラント制御装置の運転状態を監視するためのグラフィック画面の作画と表示に用いられる計装用オペレータズコンソールにおいて、前記表示形態を構成する構成要素と前記構成要素の詳細情報であるプロパティについての登録情報、及び前記構成要素と前記プロパティとの対応を表す関連情報を格納する記憶装置を備える。前記グラフィック画面上で前記構成要素が選択されると、前記登録情報と前記関連情報に基づき、選択された前記構成要素と関連付けて、選択された前記構成要素のプロパティを前記グラフィック画面上で表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による計装用オペレータズコンソールでは、プラントの運転監視を行うためのグラフィック画面の作画を行う際、視覚的に登録内容が確認できて効率良く作画が行えるので、情報の登録・変更を容易に行えるという効果がある。これにより、プロセス監視用グラフィック画面作画の高効率化とドキュメント作成効率・エンジニアリング効率向上を図ることができ、コスト削減の効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プロセス監視制御システムの構成例を示す図。
【図2】グラフィック画面作画例を示す図。
【図3】もう1つのグラフィック画面作画例を示す図。
【図4】構成要素とプロパティとを関連付けて表示する例を示す図。
【図5】グラフィック画面ウインドウとプロパティ表示ウインドウを印字出力した例を示す図。
【図6】グラフィック画面作画処理フローを示す図。
【図7】グラフィック画面登録ファイル構成例を示す図。
【図8】関連付けファイル作成処理フローを示す図。
【図9】グラフィック画面の表示処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
プロセス監視制御システムでは、プラント制御装置の運転状態を監視するためのグラフィック画面を、作画装置で作画して表示する。グラフィック画面の作画と表示には、一般的に、計装用オペレータズコンソールが用いられる。
【0013】
一般に、プロセス監視制御システムに用いるグラフィック画面の作画装置(計装用オペレータズコンソール)では、グラフィックの表示形態(表現パターン)とプロセスデータ(表示データ、プラントの運転情報)の取込先とを組み合わせて画面を作画していく。プロセスデータには、温度や流量といった数値データ(アナログデータ)と状態を示すON−OFFデータ(デジタルデータ)とがある。表示形態に使われるプロセスデータの種類は、表示形態ごとに決まっている。
【0014】
この点に着目すると、表示形態を登録すると、自動的にダミー取込先(ダミー端子)を表示形態に割付けることが可能となる。具体的には、表示形態の登録順に、アナログデータの場合は、アナログデータ1(A001)、アナログデータ2(A002)、デジタルデータの場合は、デジタルデータ1(D001)、デジタルデータ2(D002)というようにダミー取込先(ダミー端子)を割付ける。ダミー端子は、表示形態に一時的に割付けられる。
【0015】
従って、表示形態は、表示形態を作画するための情報(作画情報)と、割付けられたプロセスデータに関する情報を持ち、これらの情報に基づいて作画される。
【0016】
これらの情報は、画面上には表示形態しか表示されないので、画面からは、表示位置と表示形態のイメージしか得ることができない。従って、表示形態のイメージを得ることはできるが、表示形態を構成する要素(構成要素)の詳細情報(例えば、データの属性や可変情報の仕様)などは、呼び出して確認するしかない。
【0017】
本発明による計装用オペレータズコンソールでは、画面上の表示部分(表示形態のイメージ、構成要素)と表示仕様(表示形態の構成要素の詳細情報、プロパティ)を関連付けし、これらの情報を組み合わせて表示・印字する。メモのようなコメントなども組み合わせることができる。これにより、登録内容が容易に確認できるとともに、高効率で登録内容の追加・変更が可能である。
【0018】
以下、本発明の実施例を図1から図9を用いて説明する。
【0019】
まず、本発明による計装用オペレータズコンソールを有するプロセス監視制御システムについて、図1を用いて説明する。図1はプロセス監視制御システムの構成例を示す図である。本実施例でのプロセス監視制御システムは、プラント制御装置10、12、タンク20、30、流量計22、24、28、プロセスバルブ26、32、34、通信回線40、計装用オペレータズコンソール50、52を備える。本実施例において、計装用オペレータズコンソール50、52は、演算処理装置、キーボードやマウスなどの入力装置、表示装置(ディスプレイ)、印字装置、及び記憶装置を備え、グラフィック画面の作画や表示、情報やデータの入出力や印字、及び必要な情報や登録ファイルの格納などを行うことができる。
【0020】
プラント制御装置10は、タンク20に流れ込む流体、例えば2系統の油の流量を、センサである流量計22、24からの検出信号により検出して取り込む。流量計22、24によって検出されたタンク20に流れ込んだ油の総量が所定量になると、プロセスバルブ26に制御信号を出力してプロセスバルブ26を開き、タンク20からタンク30に油を流出させる。プロセスバルブ26は、初期状態では閉じている。さらに、プラント制御装置10は、プロセスバルブ26を開いてから所定時間経過後に、プロセスバルブ26を閉じるように制御する。プロセスバルブ26の後段にも、流量計28が設けられており、タンク20からタンク30に流れる油の流量が計測され、プラント制御装置10に取り込まれる。
【0021】
プラント制御装置12は、タンク30の流出側配管に備えられたプロセスバルブ32、34の開閉を制御する。初期状態としてプロセスバルブ32、34は、いずれも閉じている。
【0022】
この状態で、タンク20には、その右側に接続された2本の配管から2種類の流体、例えば油類が流入する。その流量は、流量計22、24で検出される。検出された流量の総量が所定量、例えば10tになると、プロセスバルブ26が開かれ、タンク20からタンク30に油が移動する。移動開始して所定時間、例えば10分経過すると、プロセスバルブ26を閉じる。その後、プロセスバルブ32を開くことにより、タンク30の上部に溜まった上澄み分の清浄な油を取り出す。また、その油を取り出した後、プロセスバルブ34を開くことにより、沈澱している汚濁された油をドレインとして排出する。
【0023】
プラント制御装置10、12は、通信回線40を介して、計装用オペレータズコンソール50、52に接続されている。本実施例では、計装用オペレータズコンソール50についてのみ説明するが、計装用オペレータズコンソール52も同様の機能を持ち、同様の処理を実行することができる。
【0024】
流量計22、24、28によって検出されたタンク20の流入出量は、プラント制御装置10を介して計装用オペレータズコンソール50に取り込まれ、計装用オペレータズコンソール50のディスプレイ上にそれらの流量値が表示される。また、プラント制御装置10によるプロセスバルブ26の開閉状態、及びプラント制御装置12によるプロセスバルブ32、34の開閉状態も、通信回線40を介して計装用オペレータズコンソール50のディスプレイ上に表示される。故に、オペレータは、計装用オペレータズコンソール50のディスプレイ画面をモニターすることにより、タンク20、30の流体の流入・流出状況を把握することができる。
【0025】
また、マニュアル操作でプロセスバルブ32、34の開閉制御をしようとする場合には、計装用オペレータズコンソール50からその開閉制御を行える。プラント制御装置12は、タンク30の後段に接続されるプラント(図示せず)の状況を把握し、マニュアル制御を行うものである。
【0026】
計装用オペレータズコンソール50のディスプレイ上に表示されるデータを、プラントの構成などに合わせて表示するのがグラフィック画面60である。このように、プラントのイメージ(表示形態)を表示して運転監視に用いる画面をグラフィック画面としている。当然のことであるが、このような画面は、プラント設計の一つとして作画されなければならない。
【0027】
図2はグラフィック画面の作画例を示す図である。グラフィック画面60(図1)の登録は、計装用オペレータズコンソール50を用いて、図2に示すグラフィック画面作画例のように行う。すなわち、グラフィック画面作画100に対して、表示形態登録情報110、120、130を登録していく。具体的には、表示形態の構成要素180に、データ取込先(ダミー端子の名称)、表示部品(バーグラフ、数値表示、ボタン表示など)、座標、色などを登録する。表示部品は、表示形態登録情報110がバーグラフ、表示形態登録情報120が数値表示、表示形態登録情報130がボタン表示である。バーグラフにはグラフの形状、数値表示にはフォントやスケール変換、ボタン表示には画素番号などもそれぞれ登録する。このように、表示形態の構成要素180を順に作画し、目的のグラフィック画面を作画・構築していく。
【0028】
本実施例での計装用オペレータズコンソールでは、このグラフィック画面の作画登録時にデータの取込先を自動で割付けることで、データ取込先が正式に決定されていなくても表示形態の構成要素180を登録・作画する。データの取込先は、各構成要素180に、アナログデータの1番目(A001)やデジタルデータの1番目(D001)というように順に割付けていく。図2の例では、それぞれの構成要素180にデータ取込先(ダミー端子)として、表示形態登録情報110にはA001、表示形態登録情報120にはA002、表示形態登録情報130にはD001が自動的に割付けられる。割付けられたダミー端子は、ダミー端子割付け表330に記録される。
【0029】
ダミー端子割付け表330は、ダミー端子を記録し、ダミー端子とプロセス情報取込先(データ取込先)とを結びつけるためのもので、計装用オペレータズコンソールで生成され、計装用オペレータズコンソールの記憶装置(後述する図9の記憶装置550)に格納される。また、計装用オペレータズコンソールのディスプレイ(後述する図9の表示装置520)に表示することもできる。
【0030】
プロセス監視制御システム構築の後段階などプロセスデータの取込先が決定した時点で、ダミー端子割付け表330を呼び出し、ダミー端子とプロセスデータとの対応を入力することで、正式にプロセス情報取込先(データ取込先)を表示形態の構成要素180に割付けることができる。図2のダミー端子割付け表330は、ダミー端子A001〜A003にプロセス情報取込先情報を入力して割付けた例を示している。図2は、ダミー端子A002に対するプロセスデータが入力されているところであり、ダミー端子割付け表330の上から2行目のプロセス情報取込先情報の入力部150が選択されている。入力部150が選択されると、図2のように選択された行が強調表示160され、グラフィック画面上の対応する表示形態の構成要素180も強調表示170される。
【0031】
また、グラフィック画面上の構成要素180を選択し、ダミー端子とプロセスデータとの対応を入力することもできる。構成要素180は、選択されると強調表示170されて選択されたことを示し、ダミー端子割付け表330上の対応する入力部150も強調表示160される。
【0032】
図3は、もう1つのグラフィック画面作画例を示す図である。最近のグラフィック画面の作画装置では、図3に示すグラフィック画面作画例のように、グラフィック画面200に対し、表示形態を構成する要素(構成要素)を作画構成要素表示部210に用意されたアイコン群から選択して配置するとともに、配置した構成要素の詳細情報をプロパティとしてプロパティ表示部220に登録する方式のものが多い。このような方式の場合、イメージ先行でグラフィック画面200を作成することができ、表示形態の構成要素を新規に登録する上では効率的である。しかしながら、この場合、複数の構成要素のプロパティを同時に確認することはできない。
【0033】
なお、プロパティとは、表示形態の構成要素に関する詳細情報である。例えば、構成要素を作画するための情報(作画情報)や、割付けられたプロセスデータに関する情報など、構成要素の属性や構成要素が持つデータのことである。
【0034】
本発明による計装用オペレータズコンソールでは、複数の構成要素と各構成要素のプロパティとを、それぞれ関連付けて同時に表示することができる。
【0035】
図4は、複数の構成要素と各構成要素のプロパティとを関連付けて表示する例を示す図である。グラフィック画面ウインドウ250は構成要素を表示し、プロパティ表示ウインドウ260には、各構成要素のプロパティを表示する。グラフィック画面ウインドウ250とプロパティ表示ウインドウ260は、計装用オペレータズコンソールのディスプレイに同時に表示することができるので、オペレータは、画面を切り替えることなく、両者をモニターすることができる。
【0036】
グラフィック画面ウインドウ250に表示された構成要素を、ポインティングデバイス(例えばマウス)等の入力装置を利用して指定すると、指定した構成要素のプロパティがプロパティ表示ウインドウ260に表示される。このとき、グラフィック画面ウインドウ250では、プロパティ参照表示251〜254に示すように、構成要素に割り当てられた番号と、この番号がどの構成要素に対応しているかを指し示す引き出し線(矢印)が表示される。プロパティ表示ウインドウ260では、構成要素参照表示261〜264に示すように、指定した構成要素に割り当てられた番号が、その構成要素のプロパティに対して表示される。
【0037】
図4に示した例では、例えば、グラフィック画面ウインドウ250のプロパティ参照表示251で示された番号1の構成要素のプロパティは、プロパティ表示ウインドウ260の構成要素参照表示261で示された番号1のプロパティである。このようにして、構成要素には番号と引き出し線を、プロパティには対応する番号をそれぞれ割付けて表示することで、相互の関連付けを表現する。
【0038】
グラフィック画面ウインドウ250で複数の構成要素を指定すると、それぞれの構成要素に対してプロパティ参照表示251〜254が表示されるとともに、プロパティ表示ウインドウ260にそれぞれの構成要素のプロパティと構成要素参照表示261〜264が表示される。従って、複数の構成要素と各構成要素のプロパティとを、それぞれ関連付けて同時に表示することが可能である。
【0039】
構成要素のプロパティは、構成要素を選択すると、対応するプロパティが構成要素に割り当てられた番号とともに表示されるので、視覚的に分かりやすい。構成要素とその構成要素が持つプロパティとの対応が一目瞭然となるので、プロパティを変更する際には、どの構成要素のプロパティを変更しているのかが明らかになり、容易にプロパティを変更することができる。
【0040】
また、グラフィック画面ウインドウ250には、任意の位置にコメント255を付加することができる。
【0041】
以上のように構成要素と各構成要素のプロパティとを関連付けて表示したものを、ドキュメントとして印字出力する場合には、グラフィック画面ウインドウ250とプロパティ表示ウインドウ260を別々のドキュメントに印字する方法と、1枚のドキュメントとして印字する方法がある。
【0042】
図5は、グラフィック画面ウインドウとプロパティ表示ウインドウを、1枚のドキュメントとして印字出力した例を示す図である。
【0043】
グラフィック画面ドキュメント280は、印字出力したドキュメントの例である。図4のグラフィック画面ウインドウ250は、グラフィック作画部284として、図4のプロパティ表示ウインドウ260は、プロパティ印字部283として、印字されている。また、図4のコメント255は、コメント部281として印字されている。
【0044】
図5に示すように、1枚のドキュメントとして印字する場合には、予め定めたレイアウトに従って印字する。図5の例では、各構成要素のプロパティを、プロパティ印字部283に纏めて配置している。また、グラフィック作画部284上の個々の構成要素とそれぞれに対応するプロパティとを線(矢印)で結んで関連付け表示をすることで、構成要素とプロパティとの対応が分かりやすいドキュメントを作成することができる。このようにして、構成要素とプロパティとを対応付けて示すことが容易に可能である。
【0045】
図6は、グラフィック画面の作画処理フローを示す図である。図6を用いて、本発明による計装用オペレータズコンソールの画面作画処理について説明する。
【0046】
作画開始後、まず、ステップ301で作画を終了するか継続するかを判定する。作画を継続する場合は、ステップ302に進み、作画する表示形態を選択する。
【0047】
さらに、ステップ303で、選択した表示形態に対し、プロセス情報取込先以外の登録情報(座標、色、形状など)を入力する。このとき、表示形態の構成要素に対し、構成要素に固有の番号(構成要素の番号)が自動的に割り当てられる。これらの入力が終わったら、ステップ305に進む。
【0048】
ステップ305では、ダミー端子を自動的に割付ける。この自動割付けの方法としては、例えば、表示形態が扱うデータの種類に応じてアナログ端子とデジタル端子とに分けて、登録順に自動的に番号(A001、D001など)を順に割付ける。割付けた結果は、ダミー端子割付け表330(図2参照)に格納される。
【0049】
次に、ステップ307で、プロセス情報取込先を登録する。プロセス情報取込先の入力が不可(プロセス情報取込先が未決定)の場合は、ダミー端子のままにしておき、登録しない。
【0050】
以上のステップをグラフィック画面作画処理のたびに繰返し行い、最終的に作画終了ならば、ステップ308に進み、登録内容をグラフィック画面登録ファイル320に格納して作画を終了する。グラフィック画面登録ファイル320は、計装用オペレータズコンソールが備える記憶装置(後述する図9の記憶装置550)に格納される。
【0051】
図7は、グラフィック画面登録ファイルの構成例を示す図である。図7を用いて、グラフィック画面登録ファイル320の構成について説明する。グラフィック画面登録ファイル320は、表示形態登録情報部400とプロセス情報取込先情報部410とからなる。
【0052】
表示形態登録情報部400には、表示形態の登録順に、それぞれの表示形態の登録情報401が格納されている。この表示形態の登録情報401には、表示形態の構成要素の番号と、データ取込先としてのダミー端子が登録されている。図7に示した表示形態登録情報2の例では、構成要素の番号2と、アナログのダミー端子A002と、デジタルのダミー端子D003が登録されている。
【0053】
プロセス情報取込先情報部410には、表示形態の登録順に、それぞれのダミー端子と実際のプロセス情報取込先情報との関連付け411が登録される。図7に示したプロセス情報取込先情報2の例では、プロセス情報取込先としてアナログのダミー端子A002にはFIC001.PVが、デジタルのダミー端子D003にはDI500S01がそれぞれプロセス情報取込先として関連付けられて登録されている。
【0054】
このようにして、表示形態登録情報とプロセス情報取込先情報とは、ダミー端子割付け表330を介して関連付けられる。
【0055】
また、表示形態の構成要素と各構成要素のプロパティとの関連(対応関係)は、関連付けファイル340に、関連情報1〜nとして記録される。各関連情報1〜nには、関連付け登録番号(構成要素の番号及び種別(表示部品の種類))と、関連付け座標(構成要素の座標、プロパティの表示座標)が含まれる。また、構成要素やプロパティに付随する情報を付帯情報として記録することもでき、各構成要素に固有の情報を追加することができる。関連付けファイル340は、計装用オペレータズコンソールの記憶装置(後述する図9の記憶装置550)に格納される。
【0056】
ここで、図8を用いて、関連付けファイル340を作成する手順について説明する。図8は、関連付けファイル作成処理フローを示す図である。
【0057】
まず、ステップ501で、関連付けファイル340の作成を終了するか継続するかを判定する。作成を継続する場合は、ステップ502に進む。
【0058】
ステップ502では、ポインティングデバイス(例えばマウス)等の入力装置を用いて、計装用オペレータズコンソールに表示されたグラフィック画面ウインドウから、関連付けを行う構成要素を選択する。
【0059】
ステップ503では、選択した構成要素の登録情報(プロパティ)を、グラフィック画面登録ファイル320の表示形態登録情報部400に格納された表示形態の登録情報401(図7)から参照する。選択した構成要素の番号及び種別(表示部品の種類)は、関連付けファイル340の関連情報に含まれる関連付け登録番号のデータとなる。
【0060】
ステップ504では、選択した構成要素とそのプロパティに、表示位置と印字位置を予め定めたレイアウトに従って自動的に割付ける。この割付け情報は、関連付けファイル340の関連情報に含まれる関連付け座標のデータとなる。
【0061】
ステップ505では、必要であれば、選択した構成要素やそのプロパティに、付帯情報を設定する。この付帯情報は、関連付けファイル340の関連情報に含まれる付帯情報のデータとなる。
【0062】
以上のステップを、プロパティとの関連付けが必要な構成要素について行う。必要な構成要素の全てについて関連付けが終了したら、ステップ506に進み、関連付けた内容を関連付けファイル340に格納する。このようにして、関連付けファイル340を作成することができる。
【0063】
先に説明したとおり、グラフィック画面登録ファイル320と関連付けファイル340を用意することで、構成要素とそのプロパティとを関連付けて表示し印字することが可能である。また、構成要素の付帯情報も表示と印字が可能である。
【0064】
図9は、計装用オペレータズコンソールのグラフィック画面の表示処理を示す図である。計装用オペレータズコンソールは、表示処理部510と表示装置520を備えており、表示処理を行うことができる。
【0065】
グラフィック画面を表示装置520に表示するには、まず、表示処理部510は、グラフィック画面登録ファイル320の表示形態登録情報部に格納された表示形態の登録情報を解析し、そして関連付けファイル340に格納された関連情報を解析する。以上の解析結果に基づき、表示処理部510は、グラフィック画面を表示する。次に、表示処理部510は、ダミー端子割付け表330からダミー端子のデータを取り出し、表示する。
【0066】
テスト時には、テストデータ530として構成要素とプロパティをオペレータが入力すると、このテストデータ530からダミー端子にデータを設定して、テストデータ530を含めたドキュメントを作成することも可能である。
【0067】
本発明による計装用オペレータズコンソールでは、以上説明したように、構成要素(表示形態)に関する情報をグラフィック画面登録ファイル320の表示形態登録情報部とプロセス情報取込先情報部とに分けて保存することで、構成要素を部品化することが可能である。また、これらの情報を表示・印字出力することで、構成要素の管理・確認をすることが可能となる。
【0068】
従来のプロセス監視制御システムにおけるグラフィック画面作画では、作画することが目的となり、登録時における構成要素のプロパティ(詳細情報)は、一項目ごとの作画情報として管理されるだけである。本発明による計装用オペレータズコンソールでは、作画画面をワンタッチで呼び出し、構成要素のプロパティを画面余白部分に自動レイアウトして表示・印字できるように内部データを関連付けて管理する。従って、構成要素のプロパティを容易に確認することができ、ドキュメントとして管理することが可能になる。これらの関連付け情報は、通常の運転監視には不要であるが、テスト・ドキュメント化の時には、呼び出して利用することが可能である。またプロセスデータの情報も必要に応じて組み込みが可能なため、作画テストの効率も向上する。
【符号の説明】
【0069】
10,12…プラント制御装置、50,52…計装用オペレータズコンソール、60…グラフィック画面、100…グラフィック画面作画、110,120,130…表示形態登録情報、150…入力部、160,170…強調表示、180…構成要素、200…グラフィック画面、210…作画構成要表示部、220…プロパティ表示部、250…グラフィック画面ウインドウ、251〜254…プロパティ参照表示、255…コメント、260…プロパティ表示ウインドウ、261〜264…構成要素参照表示、280…グラフィック画面ドキュメント、281…コメント部、283…プロパティ印字部、284…グラフィック作画部、320…グラフィック画面登録ファイル、330…ダミー端子割付け表、340…関連付けファイル、400…表示形態登録情報部、401…表示形態の登録情報、410…プロセス情報取込先情報部、411…ダミー端子と実際のプロセス情報取込先情報との関連付け、520…表示装置、550…記憶装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス監視制御システムに用いられ、プロセス状態を表す表示形態を表示してプラント制御装置の運転状態を監視するためのグラフィック画面の作画と表示に用いられる計装用オペレータズコンソールにおいて、
前記表示形態を構成する構成要素と前記構成要素の詳細情報であるプロパティについての登録情報、及び前記構成要素と前記プロパティとの対応を表す関連情報を格納する記憶装置を備え、
前記グラフィック画面上で前記構成要素が選択されると、前記登録情報と前記関連情報に基づき、選択された前記構成要素と関連付けて、選択された前記構成要素のプロパティを前記グラフィック画面上で表示する、
ことを特徴とする計装用オペレータズコンソール。
【請求項2】
請求項1記載の計装用オペレータズコンソールにおいて、
選択された前記構成要素のプロパティは、前記グラフィック画面上で、前記構成要素を表示しているウインドウとは別のウインドウに表示される計装用オペレータズコンソール。
【請求項3】
請求項1記載の計装用オペレータズコンソールにおいて、
前記グラフィック画面上で複数の前記構成要素が選択されると、それぞれの前記構成要素に対してそれぞれの前記プロパティを関連付けて、前記グラフィック画面上で表示する計装用オペレータズコンソール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の計装用オペレータズコンソールにおいて、
選択された前記構成要素と選択された前記構成要素のプロパティとに同一の番号をつけ、この同一の番号を前記グラフィック画面上に表示することで、選択された前記構成要素と選択された前記構成要素のプロパティとを関連付けて表示する計装用オペレータズコンソール。
【請求項5】
請求項1記載の計装用オペレータズコンソールにおいて、
選択された前記構成要素と選択された前記構成要素のプロパティとを関連付けて、予め定めたレイアウトに従い、1枚のドキュメントに印字する計装用オペレータズコンソール。
【請求項6】
請求項5記載の計装用オペレータズコンソールにおいて、
選択された前記構成要素と選択された前記構成要素のプロパティとを線で結んで表示することで、選択された前記構成要素と選択された前記構成要素のプロパティとを関連付けて印字する計装用オペレータズコンソール。
【請求項7】
請求項1記載の計装用オペレータズコンソールにおいて、
テストデータが入力可能であり、前記テストデータが入力されると、前記プロパティには、入力された前記テストデータの値が出力される計装用オペレータズコンソール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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