説明

計量コンベア装置

【課題】搬送面の低床化とフルフラット化とを実現した計量コンベア装置を提供する。
【解決手段】天板23の両側面を固定支持するとともに、ローラ21、22の回転軸を回転可能に支持するフレーム部材25と、フレーム部材25を、荷重検出部26を介して支持する枠状ベース部材27と、フレーム部材25に固定されたモータケース28と、を備え、枠状ベース部材27の下面からモータケース28の下端までの距離が、枠状ベース部材27の厚さよりも短く設定され、モータケース28の取り出しを可能にするため、枠状ベース部材27の枠体の一部が取り外せるように構成されている。モータケース28がフレーム部材25の剛性を強め、固有振動数を高く保った状態で搬送面の低床化及びフルフラット化が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物を搬送しながら計量する計量コンベア装置に関し、特に、搬送面の高さを低く抑え、且つ、搬送面の周囲に搬送面より高い部材が存在しないように構成したものである。
【背景技術】
【0002】
被計量物を搬送しながら計量する計量コンベア装置は、例えば搬送コンベアのライン中に配置され、上流の搬送コンベアから送り込まれた物品を下流側に送り出す過程で、その物品の重量を測定する。
また、計量コンベア装置には、下記特許文献1に記載されているように、複数の計量コンベアを縦列配置した多連秤装置が含まれる。多連秤装置は、移動中の被計量物が一つの計量コンベアに単独で載る状態のとき、その計量コンベアで被計量物の重量を測定し、また、被計量物が複数の計量コンベアに跨る長さを有するとき、複数の計量コンベアの測定値を加算して被計量物の重量を算出する。
【0003】
近年、計量コンベア装置は、搬送面の高さを低く抑える「搬送面の低床化」が求められている。これは、物流分野などで使用されている物品搬送ベルトの多くが、30cm程度と、かなり低い高さに設置されているためである。
下記特許文献2には、搬送面の低床化を実現した計量コンベア装置が記載されている。図19には、特許文献2に図示された、二つの計量コンベア81、82から成る多連秤の側面図を示している。
このように、低床化した計量コンベア装置は、仮に、上流及び下流の物品搬送ベルトの搬送面が高くても、設置台などを下に敷いて搬送面を合わることができるが、搬送面が高い計量コンベア装置は、物品搬送ベルトの搬送面が低い場合に、搬送面を揃えることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−122940公報
【特許文献2】特開2010−66016公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図19の計量コンベア装置では、コンベアの脇に駆動モータ811、812が位置し、この駆動モータ811、812の一部が搬送面より上方に出っ張っている。
そのため、搬送面の幅方向の寸法がコンベア幅を超える物品は、コンベアからはみ出た部分が移動中に駆動モータ811、812に衝突し、搬送が妨げられる。従って、この計量コンベア装置では、被計量物の幅方向の寸法が、コンベア幅以下に制限される。
また、計量コンベア装置が配置される物流現場では、例えば、作業員が搬送する物品に手を添えてコンベアに沿って移動する場合があるが、コンベアの脇に突出している駆動モータ811、812は、コンベアに沿って移動するときの邪魔になる。
【0006】
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、「搬送面の低床化」と共に、搬送面の側方や上方に出っ張った部材が存在しない「搬送面のフルフラット化」を図ることにより、被計量物の寸法制限を緩和し、物流現場での作業を遣り易くした計量コンベア装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被計量物を搬送するためにローラの対の間に掛け渡された無終端ベルトと、被計量物を無終端ベルトの裏から支えるためにローラ間に配置された天板と、を有する計量コンベア装置であって、天板の搬送方向に平行な両側面を固定支持するとともに、ローラの回転軸を回転可能に支持する並行な一対のフレーム部材と、このフレーム部材を、荷重検出部を介して支持する枠状ベース部材と、天板の下側で、一対のフレーム部材の一方に前端が固定され、他方に後端が固定されたモータケースと、モータケースの前端側の面から回転軸を突き出した状態でモータケース内に固定されたモータと、を備え、枠状ベース部材の下面からモータケースの下端までの距離が、枠状ベース部材の厚さよりも短く設定されており、モータケースの取り出しを可能にするため、枠状ベース部材の枠体の一部が取り外せるように構成されていることを特徴とする。
この計量コンベア装置は、モータを天板の下側に配置して、搬送面のフルフラット化を図っている。モータを収納するモータケースは、モータよりも長い形状を有し、モータを収納するだけでなく、一対のフレーム部材間を強固に固定する補強部材の役割を果たしている。フレーム部材は、モータケースを固定することで剛性が強まり、固有振動数が上昇する。そのため、計量データをフィルタ処理して不要成分を除去する際の処理時間が短縮できる。また、低床化のため、モータケースの取付け位置を低く設定しているが、モータのメンテナンス時には、枠状ベース部材の枠体の一部を取り外してモータケースを引き出すことができる。
【0008】
また、本発明の計量コンベア装置では、枠状ベース部材とフレーム部材との間の空間に、計量データの信号処理部品と、電源回路部品と、制御回路部品とを分けて収納する複数の電装箱を配置し、これらの電装箱を支持する支持部材を枠状ベース部材に固定している。
計量コンベア装置の駆動制御や計量の演算に必要な回路部品を複数の電装箱に分割して収納したため、これらの電装箱を天板の下側の狭い空間に配置することができる。
【0009】
また、本発明の計量コンベア装置では、計量データの信号処理部品を収納した電装箱と他の電装箱との間にモータケースが介在するように、枠状ベース部材とフレーム部材との間の収容空間に配置することが望ましい。
こうすることで、計量データの信号処理部品に悪影響を与えるノイズが信号処理部品に及ぶのを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明の計量コンベア装置では、モータケースの前端側の面における上縁をフレーム部材に当接すると、モータケースのフレーム部材への固定角度が決まるように構成している。
そのため、モータケースの固定角度を簡単且つ高精度に設定できる。
【0011】
また、本発明の計量コンベア装置は、フレーム部材と直交するように一対のフレーム部材に固定された基準桟を有し、この基準桟とモータケースとの間隔を規定するボルトを調整して、モータケースのフレーム部材への固定位置を規定するように構成している。
そのため、モータの駆動ベルトに所要の張力を与えるためのモータケースの固定位置を簡単且つ高精度に設定できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の計量コンベア装置により、搬送面の低床化及びフルフラット化が実現され、そのため、物流現場での作業が遣り易くなり、また、コンベアの幅からはみ出す物品の計量が可能になる。
また、送り込まれて来る被計量物を次々と計量する計量コンベア装置では、短時間の計量演算処理が求められているが、本発明の計量コンベア装置は、固有振動数を高く保って搬送面の低床化及びフルフラット化を図っているため、計量データのフィルタ処理を短時間で終えることができ、計量演算処理を短い時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る多連秤装置の斜視図
【図2】図1の計量コンベア装置20の分解斜視図
【図3】図2の計量コンベア装置の組立図
【図4】図2の計量コンベア装置のフレーム部材、天板及びモータケースを示す斜視図
【図5】図2の計量コンベア装置のモータケースとフレーム部材との結合形態を示す断面図
【図6】図2の計量コンベア装置のモータケースとフレーム部材との結合形態を示す平面図
【図7】図2の計量コンベア装置のモータケースと基準桟との関係を示す平面図
【図8】図2の計量コンベア装置のフレーム部材に対するモータケース及び基準桟の取付け状態を示す斜視図
【図9】図2の計量コンベア装置のモータケースと枠状ベース部材との関係を示す断面図
【図10】図2の計量コンベア装置に収容する電装箱を示す図
【図11】図10の電装箱の配置位置を示す平面図
【図12】図10の電装箱の取付け状態を示す側面図
【図13】図1の計量コンベア装置10の分解斜視図
【図14】図13の計量コンベア装置の組立図
【図15】図1の多連秤装置の連結枠状ベース部材を示す図
【図16】図15の連結枠状ベース部材の取付け足の位置を示す図
【図17】図1の多連秤装置の側面図
【図18】図1の多連秤装置に設けた歩路を示す図
【図19】従来の多連秤装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る多連秤装置の全体形状を示している。この多連秤装置は、搬送距離が短い計量コンベア装置10と、搬送距離が長い計量コンベア装置20とが縦列配置されている。
計量コンベア装置20は、図2の分解斜視図及び図3の組立図に示すように、駆動ローラ21及び従動ローラ22の間に掛け渡された無終端ベルト23と、被計量物を無終端ベルト23の裏から支えるためにローラ間に配置された天板24と、天板24の搬送方向に平行な両側面を固定支持するとともに、ローラ21、22の回転軸を回転可能に支持する並行な一対のフレーム部材25と、一対のフレーム部材25の間に固定されたモータケース28と、フレーム部材25に対するモータケース28の固定位置を規定する基準桟29と、ロードセル(荷重検出部)26を介してフレーム部材25を支持する枠状ベース部材27と、電装箱(図10)を支持するために枠状ベース部材27に掛け渡された電装箱支持部材30、31とを有している。
【0015】
なお、フレーム部材25のロードセル26への当接箇所には、フレーム部材25の撓みで生じる水平方向の分力を逃がすため、分力緩衝装置32が取り付けられる。
フレーム部材25には、ローラ21、22の軸受211、221が固定され、この軸受211、221にローラ21、22の回転軸が回転可能に支持される。駆動ローラ21の回転軸212は、フレーム部材25から突出する。
図3、図4に示すように、フルフラット化を図るため、天板24は、その上面がフレーム部材25の上に出るようにフレーム部材25に取り付けられる。
また、図4、図5、図6に示すように、モータケース28は、前端側の面281の上縁282をフレーム部材25に当接させると、モータケース28のフレーム部材25に対する角度が決まる。
【0016】
また、図5、図6に示すように、モータ32は、モータケース28の前端側の面281から駆動軸321が突出するようにモータケース28内に固定される。モータの駆動軸321と駆動ローラ21の回転軸212との間には、駆動ベルトが掛け渡されるが、駆動ベルトに所定の張力を与えるため、フレーム部材25に対するモータケース28の固定位置を調整する必要がある。
この調整は、図7に示すように、モータケース28の基準桟29側の側面に螺合された固定位置調整用のボルト283によって行われ、ボルト283の突出長さを調整し、このボルト283の先端を基準桟29に当接させると、モータケース28のフレーム部材25に対する固定位置が決まる。モータケース28は、ボルト283によって決まる固定位置でフレーム部材25の長孔251(図6)に固定される。
【0017】
図8は、フレーム部材25に固定された基準桟29及びモータケース28を示している。
モータ32に比べて長いモータケース28は、一対のフレーム部材25を強固に結合する補強部材を兼ねており、モータケース28の存在でフレーム部材25の剛性が強まり、ロードセル26で荷重検出される被荷重検出部(ローラ21、22、無終端ベルト23、天板24、フレーム部材、モータ及びモータケース28、基準桟29など)の固有振動数が上昇する。
【0018】
図3に示すように、ロードセル26を介してフレーム部材25と枠状ベース部材27とを組み立てたとき、モータケース28の下端は、枠状ベース部材27の上面より下側に位置する(換言すれば、枠状ベース部材27の下面からモータケース28の下端までの距離が、枠状ベース部材27の厚さよりも短い)。枠状ベース部材27の前側のフレーム271は、ボルト273の結合を解除して取り外すことが可能であり、モータ32のメンテナンスは、前側フレーム271を取り外し、モータケース28を引き出して行われる。
図9は、前側フレーム271とモータケース28との高さの関係を示している。前側フレーム271を取り外しても、枠状ベース部材27の枠形状が維持できるように、枠状ベース部材27には、形状維持横桟272(図9、図15)が溶接されている。
【0019】
図10に示すように、計量コンベア装置の駆動や計測に必要な回路部品を被荷重検出部の下の収納空間に納めるため、これらの回路部品が、三つの電装箱51、52、53に分割して収容される。電装箱51には、インバータやブレーカなどの電源系の部品が収容され、電装箱52には、制御基板が収容され、電装箱53には、計量値の演算処理を行う部品が収容される。
演算系の電装箱53は、電装箱支持部材30(図2、図3)で支持されて、収納空間に配置され、電源系の電装箱51及び制御系の電装箱52は、モータケース28を間に挟んで、電装箱支持部材30の反対側にある電装箱支持部材31に支持されて、収納空間に配置される。
【0020】
図11は、演算系の電装箱53、電源系の電装箱51及び制御系の電装箱52の収容位置を示している。また、図12に、その側面図を示している。ここでは、図12に示すように、スライドレール301、311を設けて、電装箱51、52、53が収納空間から引き出せるように構成している。
このように、回路部品を複数の電装箱51、52、53に分けて収容したため、これらの回路部品を被荷重検出部の下の狭い収納空間に配置することができる。また、演算系の電装箱53と、電源系及び制御系の電装箱51、52との間にモータケース28を介在させているため、電源系や制御系の回路部品からノイズが発生しても、そのノイズによる演算系統への悪影響を抑えることができる。
【0021】
搬送距離が短い計量コンベア装置10は、図13の分解斜視図及び図14の組立図に示すように、被荷重検出部の下の収納空間に余裕が無いため、電装箱を収納していないが、その他の構成は、搬送距離が長い計量コンベア装置20と変わりがない。計量コンベア装置10の駆動制御や計測処理は、計量コンベア装置20の収納空間に収納された電装箱51、52、53の回路部品によって行われる。
【0022】
図15は、搬送距離が長い計量コンベア装置20及び搬送距離が短い計量コンベア装置10を支えるために連結した枠状ベース部材を示している。この連結枠状ベース部材は、固有振動を高く保つため、図16に示すように、8箇所に足を設けて支えている。
また、図17は、連結枠状ベース部材の上に計量コンベア装置20及び計量コンベア装置10を縦列配置した多連秤装置の側面図を示している。
この装置では、被計量物の搬送面が低く、且つ、搬送面の周囲は、搬送面の高さより一段低くなっている。
そのため、図18に示すように、計量コンベア装置の側方に、搬送面の高さよりも低い歩路60を配置することが可能になる。歩路60は、作業員がコンベアに沿って移動する場合に便利であり、物流現場の作業性が向上する。
なお、ここでは、多連秤装置について説明したが、本発明は、勿論、単一の計量コンベア装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の計量コンベア装置は、各種形状の物品を搬送しながら計量することが可能であり、物流施設や、荷物を仕分ける輸送施設、原材料の搬入や製品の搬出を行う製造工場など、幅広い分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
10 搬送距離が短い計量コンベア装置
20 搬送距離が長い計量コンベア装置
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
23 無終端ベルト
24 天板
25 フレーム部材
26 ロードセル
27 枠状ベース部材
28 モータケース
29 基準桟
30 電装箱支持部材
31 電装箱支持部材
32 分力緩衝装置
51 電装箱
52 電装箱
53 電装箱
60 歩路
211 軸受
221 軸受
251 長孔
271 前側フレーム
272 形状維持横桟
273 ボルト
281 モータケースの前端側の面
282 上縁
283 固定位置調整用ボルト
301 スライドレール
311 スライドレース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物を搬送するためにローラの対の間に掛け渡された無終端ベルトと、被計量物を前記無終端ベルトの裏から支えるためにローラ間に配置された天板と、を有する計量コンベア装置であって、
前記天板の搬送方向に平行な両側面を固定支持するとともに、前記ローラの回転軸を回転可能に支持する並行な一対のフレーム部材と、
前記フレーム部材を、荷重検出部を介して支持する枠状ベース部材と、
前記天板の下側で、前記一対のフレーム部材の一方に前端が固定され、他方に後端が固定されたモータケースと、
前記モータケースの前端側の面から回転軸を突き出した状態でモータケース内に固定されたモータと、
を備え、
前記枠状ベース部材の下面から前記モータケースの下端までの距離が、前記枠状ベース部材の厚さよりも短く設定されており、前記モータケースの取り出しを可能にするため、前記枠状ベース部材の枠体の一部が取り外せるように構成されていることを特徴とする計量コンベア装置。
【請求項2】
請求項1に記載の計量コンベア装置であって、前記枠状ベース部材と前記フレーム部材との間の空間に、計量データの信号処理部品と、電源回路部品と、制御回路部品とを分けて収納する複数の電装箱が配置され、前記複数の電装箱を支持する支持部材が前記枠状ベース部材に固定されていることを特徴とする計量コンベア装置。
【請求項3】
請求項2に記載の計量コンベア装置であって、前記複数の電装箱が、計量データの信号処理部品を収納した電装箱と他の電装箱との間に前記モータケースが介在するように、前記枠状ベース部材と前記フレーム部材との間の空間に配置されていることを特徴とする計量コンベア装置。
【請求項4】
請求項1に記載の計量コンベア装置であって、前記モータケースの前端側の面における上縁が前記フレーム部材に当接して、前記モータケースの前記フレーム部材への固定角度が規定されることを特徴とする計量コンベア装置。
【請求項5】
請求項4に記載の計量コンベア装置であって、前記フレーム部材と直交するように一対の前記フレーム部材に固定された基準桟を有し、前記基準桟と前記モータケースとの間隔を規定するボルトを調整して前記モータケースの前記フレーム部材への固定位置が規定されることを特徴とする計量コンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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