説明

計量ホッパー

【課題】重量を正確に測定できる計量ホッパーを提供する。
【解決手段】上端部および下端部にそれぞれ上部開口部12および下部開口部13を有し、側壁から外側へ向けてロードセル取り付け具6が設けられた容器11と、ロードセル取り付け具6に着脱可能なロードセル8と、容器11の下部開口部13を開閉する底板2と、下部開口部13を閉じる方向に底板2を付勢する付勢手段と、容器11から離して配置され、物体の排出時に付勢手段を解除して下部開口部13を開放する開放手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された粉粒体等の内容物の重量を正確に計るための計量ホッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホッパー内に供給された粉体等の物体の重量を計るために、ホッパーにロードセル等の荷重測定器が設置されている(例えば特許文献1参照)。ホッパーに粉体等の物体が投入されると、投入された物体の重量が、ロードセル等の荷重測定器によって測定される。このようなホッパーにおいては、予め設定された重量で供給を停止するように投入側のフィーダを制御すれば、物体の定量供給が可能となる。
【0003】
ホッパーに供給された物体は、ホッパーの底面が開放された際に排出される。底面の開閉は、ホッパーに付帯したシリンダなどの伸縮機構又は電動機などの回転機構により行われている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−309244号公報
【特許文献2】登録実用新案第3116436号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の計量ホッパー装置においては、ホッパーの底面を開閉するためのシリンダもしくは電動機が、ホッパーに直接取り付けられている。ところが、シリンダもしくは電動機を駆動させるためには、チューブもしくは電線を結線しなければならない。その場合、チューブもしくはケーブルを介して計量ホッパーに外力がかかり、重量表示が正確でなくなるという問題点があった。
【0006】
本発明は、重量を正確に測定できる計量ホッパーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、供給された物体の重量を計測する計量ホッパーにおいて、上端部および下端部にそれぞれ上部開口部および下部開口部を有し、側壁から外側へ向けてロードセル取り付け具が設けられた容器と、前記ロードセル取り付け具に着脱可能なロードセルと、前記容器の下部開口部を開閉する底板と、前記下部開口部を閉じる方向に前記底板を付勢する付勢手段と、
前記容器から離して配置され、前記物体の排出時に前記付勢手段を解除して前記下部開口部を開放する開放手段と、を備えたことを特徴とする。本発明により、計量時、即ち底板が閉じられているときには、開放手段が離れて配置されているので、外力を受けない状態になっている。したがって、計量時に外力の影響を受けることなく、正確に物体の重量を計測することができる。
【0008】
また、前記容器を移動させて前記ロードセルと前記ロードセル取り付け具とを離間させる移動手段を、移動時以外は前記容器から離れた位置に備えることが好ましい。これにより、計量しないとき、即ち、底板が下部開口部を開放して容器内の物体を排出するときに、容器とロードセルを離間させることにより、底板への付勢を解除する際に発生する水平方向の荷重のロードセルへの影響を防ぐことができる。また、移動手段は移動時以外には容器から離れているので、計量時に、移動手段を介して容器に外力が作用することがない。
【0009】
前記移動手段は、前記容器を上方へ持ち上げる上昇用シリンダであり、前記ロードセルは前記ロードセル取り付け具の下方に設置されているものでもよい。
【0010】
前記付勢手段は、ブラケット部材を介して前記底板に連結されたガススプリングであり、前記ガススプリングの伸張により、前記ブラケット部材を介して前記下部開口部を閉じる方向に前記底板を付勢するものでもよい。
【0011】
前記開放手段は開放用シリンダであり、前記開放用シリンダの伸張により、前記ブラケット部材を介して前記ガススプリングが収縮して前記底板への付勢が解除され、前記下部開口部が開放するものでもよい。
【0012】
さらに、前記底板に樹脂のコーティングが施されていることが好ましい。樹脂でコーティングすることにより、容器の底部と底板がより密着しやすくなるため、隙間から粉体等の内容物が漏れるのを防いで正確な計量を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外力の影響を受けることなく、正確に容器内の物体の重量を計量できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。図1〜図4は、本発明にかかる計量ホッパー1の構成を示す。
【0015】
粉粒体等の物体を収容する容器11は、四角柱の底部を水平面に対して斜めに切断した形状であり、上端には水平面状の上部開口部12、下端には斜め方向の下部開口部13を有している。
【0016】
上部開口部12の外周部には、フランジ14が形成されている。また、上部開口部12の近傍の、容器11と離れた位置に、上昇用シリンダ9が設けられている。上昇用シリンダ9は、例えば対向する二個所に配置され、伸張時には容器11に接触していない。上昇用シリンダ9が収縮すると、係止部9aがフランジ14の下面に係止され、図2に示すように、容器11が上方へ持ち上げられる。下部開口部13は、通常時には、下部開口部13全体を覆う底板2で塞がれている。
【0017】
容器11の側壁に、容器11の外側へ向けて、ロードセル取り付け具6が設けられている。ロードセル8は、容器11の外側、且つロードセル取り付け具6の下側に配置され、ロードセル8の先端がロードセル取り付け具6に当接している。ロードセル取り付け具6とロードセル8とは着脱可能である。
【0018】
また、図1に示すように、容器11には、ブラケット4を介して、ガススプリング3の一方の端部が取り付けられている。ガススプリング3のもう一方の端部は、ブラケット部材5に連結されている。
【0019】
ブラケット部材5は、図5に示すように、ガススプリング用ブラケット5a、シリンダ用ブラケット5b、底板用ブラケット5cを有し、これらは、同一のシャフト15を介して連動する。また、平面方向に見ると、例えば図4に示すように、シャフト15の中央にシリンダ用ブラケット5bが1つ設けられ、ガススプリング用ブラケット5aおよび底板用ブラケット5cは、対称位置に一対ずつ配置される。ガススプリング用ブラケット5aは、一端がガススプリング3の先端に軸支されている。底板用ブラケット5cは、底板2に固定されている。
【0020】
このように、ガススプリング3は、互いに連動するガススプリング用ブラケット5aおよび底板用ブラケット5cを介して底板2に連結されている。ガススプリング3が伸張した状態で、底板2は、底板用ブラケット5cを介して容器11の底部に向けて付勢され、下部開口部13が閉じた状態になる。さらに、底板2には樹脂コーティングが施され、粉体等の滑りをよくすることができる。かかる樹脂としては、例えばポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂が挙げられる。樹脂以外にもTiNなどの摺動材料を被覆できる。
【0021】
開放用シリンダ7は、シリンダ用ブラケット5bの先端付近の下方の、容器11から離れた位置に配置されている。開放用シリンダ7が伸張した際に、シリンダ用ブラケット5bの先端が上方に持ち上がる。これにより、シリンダ用ブラケット5bと連動するガススプリング用ブラケット5aを介してガススプリング3が収縮し、底板用ブラケット5cを介した底板2の付勢が解除されるため、底板2が容器11の底面から離れ、下部開口部13が開放される。開放用シリンダ7が伸張している間は、下部開口部13の開放状態が保持される。
【0022】
以上の構成を有する計量ホッパー1の計量時の動作を、図1から図3に基づいて説明する。
【0023】
図1は計量時の状態を示し、底板2が下部開口部13を塞ぎ、ロードセル8がロードセル取り付け具6に接触している。このときには、容器11には、底板2の開閉機構等からの外力がかかっていないため、ロードセル8により計量される値は、計量ホッパー1の構成部材のうち、容器11から離して設置された開放用シリンダ7、上昇用シリンダ9、およびロードセル8を除いたものと、投入された内容物の重量のみである。
【0024】
計量が完了すると、図2に示すように、上昇用シリンダ9が収縮し、係止部9aがフランジ14の下面に係止される。ロードセル取り付け具6とロードセル8は連結されていないので、上昇用シリンダ9の収縮に伴って、容器11、底板2、ガススプリング3、ブラケット部材5、ロードセル取り付け具6が持ち上げられ、ロードセル8がロードセル取り付け具6から離れた状態となる。
【0025】
容器11内の内容物を排出する際には、図3に示すように、開放用シリンダ7が伸張して、シリンダ用ブラケット5bが押し上げられる。これにより、ガススプリング用ブラケット5aを介してガススプリング3が収縮し、底板用ブラケット5cを介した底板2の付勢が解除される。この際、容器11には水平方向に荷重が発生するが、ロードセル8がロードセル取り付け具6から離れているため、ロードセル8にその水平荷重が作用することはない。
【0026】
容器11内の内容物の排出完了後、開放用シリンダ7が収縮すると、ガススプリング3が伸張し、再び、図2に示すように底板2が容器11の底部に付勢された状態となる。
【0027】
さらに、上昇用シリンダ9が伸張することにより、図1に示すように上昇用シリンダ9の係止部9aが容器11のフランジ14から離れ、容器11に外力がかからなくなった状態でロードセル8とロードセル取り付け具6が接触する。
【0028】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。例えば、ブラケット部材5の形状や配置は、図示した例に限らない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、粉粒体等の内容物の重量を計測して供給量を制御する計量供給装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にかかる計量ホッパーの計量時の側面図である。
【図2】図1の計量ホッパーの容器が持ち上がった状態の側面図である。
【図3】図1の計量ホッパーの内容物排出時の側面図である。
【図4】図1の計量ホッパーを上方から見た平面図である。
【図5】図1のブラケット5の拡大図である。
【符号の説明】
【0031】
1 計量ホッパー
2 底板
3 ガススプリング
4 ブラケット
5 ブラケット部材
5a ガススプリング用ブラケット
5b シリンダ用ブラケット
5c 底板用ブラケット
6 ロードセル取り付け具
7 開放用シリンダ
8 ロードセル
9 上昇用シリンダ
11 容器
12 上部開口部
13 下部開口部
14 フランジ
15 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された物体の重量を計測する計量ホッパーにおいて、
上端部および下端部にそれぞれ上部開口部および下部開口部を有し、側壁から外側へ向けてロードセル取り付け具が設けられた容器と、
前記ロードセル取り付け具に着脱可能なロードセルと、
前記容器の下部開口部を開閉する底板と、
前記下部開口部を閉じる方向に前記底板を付勢する付勢手段と、
前記容器から離して配置され、前記物体の排出時に前記付勢手段を解除して前記下部開口部を開放する開放手段と、
を備えたことを特徴とする計量ホッパー。
【請求項2】
前記容器を移動させて前記ロードセルと前記ロードセル取り付け具とを離間させる移動手段を、移動時以外は前記容器から離れた位置に備えたことを特徴とする請求項1に記載の計量ホッパー。
【請求項3】
前記移動手段は、前記容器を上方へ持ち上げる上昇用シリンダであり、前記ロードセルは前記ロードセル取り付け具の下方に設置されていることを特徴とする請求項2に記載の計量ホッパー。
【請求項4】
前記付勢手段は、ブラケット部材を介して前記底板に連結されたガススプリングであり、前記ガススプリングの伸張により、前記ブラケット部材を介して前記下部開口部を閉じる方向に前記底板を付勢することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の計量ホッパー。
【請求項5】
前記開放手段は開放用シリンダであり、前記開放用シリンダの伸張により、前記ブラケット部材を介して前記ガススプリングが収縮して前記底板への付勢が解除され、前記下部開口部が開放することを特徴とする請求項4に記載の計量ホッパー。
【請求項6】
前記底板に樹脂のコーティングが施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の計量ホッパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−236527(P2009−236527A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79847(P2008−79847)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(507027162)DOWAテクノロジー株式会社 (11)
【Fターム(参考)】