説明

計量装置

【課題】床面の振動の影響を低減して高精度な計量を実施することが可能な計量装置を提供する。
【解決手段】重量チェッカ1は、コンベア3ba〜3bc上を搬送される被計量物Xの計量を行うロードセル5の両端に、床面とつながる側の固定端5bと被計量物Xが載置されるコンベア3ba〜3bc側につながる自由端5cとを配置している。固定端5bに対して非接触の状態であって、かつ固定端5bに隣接する位置に重量物である駆動モータM2を設けている。駆動モータM2を、アーム部材21,23等を用いて自由端5c側に連結している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵されたロードセル等の計量センサによって被計量物の計量を行う計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被計量物の重量値が所定範囲内にあるか否かを判定する重量チェッカとして、被計量物を所定の方向へ搬送する搬送コンベアや搬送コンベアにおいて搬送中の被計量物の計量を行う計量センサ等を備えた計量装置が用いられている。
このような計量装置では、一般的に、搬送コンベアを駆動するための駆動モータ等の重量物を計量センサに近接して配置しているため、計量センサにおける慣性モーメントを小さくして精度の高い計量を行うことができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、搬送コンベアの駆動モータをロードセル(計量センサ)の近傍であって、その自由端側に取り付けた計量コンベア(計量装置)が開示されている(特許文献1の図4参照)。
【特許文献1】特開2001−317986号公報(平成13年11月16日公開)
【特許文献2】特開2002−39845号公報(平成14年2月6日公開)
【特許文献3】米国特許4570729号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の計量装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された計量装置では、計量センサの近傍に駆動モータ等の重量物を配置することで、計量センサにおける慣性モーメントを小さくしている。しかし、床面の振動に関しては固定端の下方から伝達されることになるため、計量装置の床面との接触位置からの距離が大きくなると計量センサが床面における振動の影響を受け易くなってしまう。
【0005】
ここで、上記公報に開示された構成では、駆動モータのような重量物が計量センサから見て固定端とは反対側の自由端側に取り付けられているために、計量装置の重心位置が自由端側へ形成される。このため、床面における振動は、固定端側から計量センサへと伝達されるが、重量物である駆動モータが床面と装置との接触部分と装置の重心とに距離が離れているため、計量センサが床面の振動の影響を受け易くなって高精度な計量を行うことができなくなるおそれがある。そして、計量コンベアに被計量物が載置されている状態での振動についても同様であるため、計量精度が低下してしまう。
【0006】
本発明の課題は、床面の振動の影響を低減し、かつ計量時の振動や固有振動数の低下を防止して高精度な計量を実施することが可能な計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る計量装置は、被計量物の計量を行う計量センサと、固定端と、自由端と、重量物と、連結部と、を備えている。固定端は、計量センサが取り付けられる固定側の端部である。自由端は、計量センサにおける固定端とは反対側の端部であって、被計量物が載置される。重量物は、計量センサとの間に固定端を挟み込むような位置に固定端とは非接触の状態で配置される。連結部は、自由端と重量物とを連結する。
【0008】
ここでは、被計量物の計量を行うロードセルやフォースバランス等の計量センサの固定端および自由端と、計量装置に含まれる重量物との位置関係を特定することで、装置の重心距離を固定端側へと移動させて床振動の影響を低減して高精度な計量が可能な計量装置を提供している。
ここで、上記重量物とは、例えば、被計量物を搬送する搬送コンベアやこれを駆動する搬送モータ、被計量物を振分けるために搬送コンベアの一部を上下方向に回動させるシリンダ、計量ホッパ、計量皿等が含まれる。
【0009】
これにより、計量センサの固定端を中心にして両側に計量センサの自由端と重量物とがそれぞれ配置されることになるため、重量物が配置される側に計量装置の重心位置を移動させることできる。この結果、被計量物が自由端側に載置された状態で計量を行う際には、従来よりも、装置の重心位置を自由端側から床と接触する固定端側へと移動しているため、計量センサにおける計量精度が床での振動の影響を受けて低下してしまうことを回避して従来よりも高精度な計量を実施することができる。
【0010】
第2の発明に係る計量装置は、第1の発明に係る計量装置であって、重量物は、熱を放出する部材である。
ここでは、固定端を計量センサとともに挟み込むように配置された重量物が、外部に対して熱を放出する熱源となっている。
ここで、熱源となりうる重量物としては、例えば、被計量物を搬送する搬送コンベアを駆動する搬送モータや、被計量物を振分けるために搬送コンベアの一部を上下方向に回動させるシリンダ等が含まれる。
【0011】
これにより、計量センサからみて固定端側に熱源となる重量物が設けられている場合でも、計量センサと熱源となる重量物とは直接接触していないため、計量センサにおいて熱源から放出される熱によって一部のみが加熱される等の悪影響を低減することができる。この結果、計量センサとしてロードセルを用いた場合でも、センサ起歪体のヤング率や電気抵抗の変化によって、いわゆる計量センサにおける四隅誤差や温度ドリフトが大きくなって計量精度が低下することを回避することができる。また、計量センサとしてフォースバランスを用いた場合でも、差動トランスの変化によって、いわゆる計量センサにおける四隅誤差が大きくなって計量精度が低下することを回避することができる。
【0012】
第3の発明に係る計量装置は、第2の発明に係る計量装置であって、重量物から放出され、計量センサに対して伝達される熱の量を調整する調整機構をさらに備えている。
ここでは、調整機構によって、熱源となった重量物から計量センサに対して伝達される熱量を調整する。
ここで、調整機構には、熱源となる重量物と固定側の固定端との間に設けられた断熱材や放熱材、あるいは熱源となるモータ等の部分が固定端から遠ざかるように配置した構成等が含まれる。
このように、調整機構を設けることにより、固定端を介して計量センサに熱が伝達されることを回避することができるため、計量センサにおける計量精度が低下してしまうことを回避することができる。
【0013】
第4の発明に係る計量装置は、第3の発明に係る計量装置であって、固定端および連結部は、熱伝導率が高い材料によって形成されている。
ここでは、計量センサが取り付けられた固定端と、自由端と重量物とを連結する連結部とが、装置に搭載された重量物から発せられる熱を効率よく伝達する材料によって形成されている。
【0014】
ここで、熱伝導率が高い材料としては、例えば、アルミニウム合金等が挙げられる。
これにより、重量物から発せられる熱は、直接接続された連結部と、非接触状態ながら近接配置された固定端とにそれぞれ伝達される。このとき、直接熱が伝達される連結部よりも空気を介して間接的に熱が伝達される固定端の方が距離的に近いため、計量センサに対して伝達される熱は計量センサの両端(固定端、自由端)においてほぼ均等になる。この結果、計量センサにおける一部が加熱された結果、温度ムラが生じて計量誤差が大きくなることを防止することができる。さらに、装置の立ち上げ(パワーオン)時における熱の伝達が早くなるため、立ち上がり(ウォームアップ)時間を短縮することができる。
【0015】
第5の発明に係る計量装置は、第3の発明に係る計量装置であって、固定端および連結部は、熱伝導率が低い材料によって形成されている。
ここでは、計量センサが取り付けられた固定端と、自由端と重量物とを連結する連結部とが、装置に搭載された重量物から発せられる熱を伝達しにくい材料によって形成されている。
【0016】
ここで、熱伝導率が低い材料としては、例えば、樹脂等が挙げられる。
これにより、重量物から発せられる熱は、直接接続された連結部と、非接触状態ながら近接配置された固定端とに対しては伝達されにくい。このため、固定端等を断熱壁として機能させることができるため、計量センサに対して伝達される熱はほとんどなく、計量センサの両端(固定端、自由端)における温度分布はほぼ均等になる。この結果、計量センサにおける一部が加熱された結果、温度ムラが生じて計量誤差が大きくなることを防止することができる。さらに、固定端を熱源に近づけて配置したり、上方へ広げる等することにより、計量センサに対して伝達される熱量をコントロールして熱的な安定状態を形成できる。
【0017】
第6の発明に係る計量装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る計量装置であって、固定端は、重量物の動きによって生じて計量センサの方へ流れる空気の流れを遮る防風壁を有している。
ここでは、計量センサの固定端が、重量物の駆動によって生じて計量センサの方へ流れていく空気の流れを遮る防風壁としても機能する。
【0018】
これにより、重量物がモータやシリンダのように駆動時に動きを伴うものである場合でも、計量センサにおけるその動きによって生じる空気の流れの影響を排除することができる。この結果、駆動時に空気の流れを生じさせる重量物を搭載している場合でも、別途部品を設けることなく、空気の流れの影響を排除して高精度な計量を実施することができる。
【0019】
第7の発明に係る計量装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る計量装置であって、重量物と計量センサとは、同一の筐体内に収納されている。
ここでは、上記のように配置された各構成部材のうち、重量物および計量センサを同じ筐体内に収納する。
これにより、防塵性や防水性、あるいは清掃性に優れた計量装置を提供することができる。
【0020】
第8の発明に係る計量装置は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る計量装置であって、被計量物を所定方向へ搬送する搬送コンベアをさらに備えており、重量物は、搬送コンベアを駆動する駆動モータである。
ここでは、重量チェッカ等の搬送装置に設けられる被計量物を搬送するための搬送コンベアを駆動する駆動モータを重量物として搭載している。
【0021】
これにより、この駆動モータが、重量物としてだけでなく熱源として機能する場合でも、床からの振動による影響や駆動モータから発せられる熱による影響を低減して、高精度な計量を実施することが可能な計量装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の計量装置によれば、計量センサにおける計量精度が床での振動や熱の影響を受けて低下してしまうことを回避して従来よりも高精度な計量を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る重量チェッカ(計量装置)1について、図1〜図8を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の説明で使用する「前後」方向については、図1に示す搬送方向Aの上流側を「後」側、下流側を「前」側とする。
[重量チェッカ1全体の構成]
本実施形態に係る重量チェッカ1は、図1に示すように、主に、平ベルト式のコンベア装置3と、被計量物Xの計量を行うロードセル(計量センサ、第1計量センサ)5(図3参照)と、床面の振動による影響を検出するロードセルであるAFV(Anti Floor Vibration)(第2計量センサ)6(図3参照)と、ロードセル5およびAFV6を収納する筐体7と、筐体7を固定する前後一対の脚部10,11と、AFV6を内部空間に収納するフレーム(支持部材)20(図3参照)と、を備えている。また、重量チェッカ1は、生産ラインを構成する最後部の装置として配置されており、コンベア装置3において矢印A方向に搬送しながら、例えば、図示しない製袋包装機から供給された被計量物Xの計量を行い、良品か不良品かの判定を行った後、良品と判定された被計量物Xだけを下流側に配置された図示しない金属検知機等に搬送する。
【0024】
コンベア装置3は、図1に示すように、被計量物Xの搬送方向Aにおける上流側から順に、第1搬送部3a、第2搬送部3b、第3搬送部3cを設けている。これらの第1〜第3搬送部3a〜3cは、図2に示すように、さらにそれぞれ搬送方向に対して直交する方向に並んだ3連のコンベア3aa〜3ac,3ba〜3bc,3ca〜3ccを含むように構成されている。そして、各コンベア3aa〜3ccは、前後一対のローラ13,15間に搬送用ベルトとしての無端状の搬送ベルトが巻き掛けられている。
【0025】
搬送方向Aにおける下流側のローラ13は、後述する駆動モータM1,M2(図3参照)によって回転駆動力が伝達される駆動ローラである。一方、上流側のローラ15は、駆動ローラであるローラ13からの回転駆動力が搬送ベルトを介して伝達されて回転する従動ローラである。
第1搬送部3aは、搬送方向Aにおける最上流側に配置されており、重量チェッカ1の上流側に配置された図示しない製袋包装機から送られてくる被計量物Xを受け取って搬送方向Aに向かって搬送し、第2搬送部3bに対して被計量物Xを受け渡す。
【0026】
第2搬送部3bは、第1搬送部3aと第3搬送部3cとの間に配置されており、ここで被計量物Xを搬送しながら、上記ロードセル5およびAFV6を用いて計量が行われる。なお、この第2搬送部3bにおける被計量物Xの計量については、後段にて詳述する。
第3搬送部3cは、搬送方向Aにおける最下流側に配置されており、図1に示すように、上流側の端部を中心として回動する。これにより、第2搬送部3bにおける計量結果に基づいて被計量物Xの振り分けを行う。具体的には、第2搬送部3bにおける計量結果が所定の重量範囲内である場合には、第3搬送部3cを図1に実線で示す略水平状態とし、被計量物X(良品)をそのまま下流側へと搬送する。一方、第2搬送部3bにおける計量結果が所定の重量範囲外であった場合には、図1に点線で示す斜め下方状態まで第3搬送部3cを回動させて、規定の搬送路外へと被計量物X(不良品)を搬送する。
【0027】
駆動モータM1は、図3に示すように、最上流側の3つのコンベア3aa〜3acごとにそれぞれ設けられており、各コンベア3aa〜3acの下部に配置されており、各コンベア3aa〜3acのローラ13に対して駆動ベルトを介して回転駆動力を伝達する。
駆動モータ(重量物、熱源)M2は、図4に示すように、最上流側のコンベア3aa〜3acと最下流側のコンベア3ca〜3ccの間に設けられた3つのコンベア3ba〜3bcの下部に配置されており、各コンベア3ba〜3bcのローラ13に対して駆動ベルトを介して回転駆動力を伝達する。また、駆動モータM2は、ローラ13に対して回転駆動力を伝達する際に熱を放出する熱源となる。
【0028】
ロードセル5は、図1および図3等に示すように、重量物である駆動モータM2と同じ筐体7の内部において、長手方向が搬送方向Aに沿う向きで配置されている。また、ロードセル5は、図4に示すように、駆動モータM2に隣接するように固定端(調整機構、防風壁)5bに対して取付けられており、自由端5c側に接続されたアーム部材(連結部)21を介してコンベア3ba〜3bc上に被計量物Xが載置されて生じる歪みの変化を検出して被計量物Xの計量を行う。
【0029】
固定端5bおよび自由端5cは、図4に示すように、ロードセル5の前後方向に位置している。固定端5bは、剛性が高く軽量で熱伝導率の高いアルミ合金等の材料によって形成されており、上述した一対の脚部10,11に図示しない複数の部品を介して接続されている。このため、駆動モータM2から放出される熱が固定端5bに対して伝達された場合でも、その熱を脚部10,11を介して逃がすことができる。そして、固定端5bは、ロードセル5と重量物である駆動モータM2との間に配置されていることで、駆動モータM2の駆動中に生じる風がロードセル5の方へ流れ込まないようにするための防風壁として機能する。一方、自由端5cは、固定端5bと同様に、剛性が高く軽量で熱伝導率の高いアルミ合金等の材料によって形成されており、アーム部材21を介してコンベア3ba〜3bcにそれぞれ連結されている。このため、コンベア3ba〜3bc上に被計量物Xが載置されると、ロードセル5の自由端5c側に鉛直方向下向きの荷重が掛かることで生じた歪みを検出して電気信号に変換し、この電気信号に基づいて計量を行う。
【0030】
AFV6は、図3および図4に示すように、フレーム20の内部空間において、長手方向が搬送方向Aに沿う向きで取り付けられており、床面からの振動を検出する。より詳細には、AFV6は、図8に示すように、固定用金具41,42,43にねじによって固定された後、固定用ブロック46に対して固定される。そして、この状態で、カバー部材47の内部に収納された後、フレーム20の内部空間における上面に対して吊り下げられるようにして固定される。
【0031】
フレーム20は、図3および図5に示すように、搬送方向Aに直交する方向に延伸しており、搬送方向Aに対して直交する方向に配置された3つのAFV6を内部空間に収納している。
なお、上述した駆動モータM2、ロードセル5、AFV6およびフレーム20を含む計量機構30の取付構造に関しては、後段にて詳述する。
【0032】
[計量機構30の取付構造]
計量機構30は、上述のように、第2搬送部3bのコンベア3ba〜3bc、駆動モータM2、ロードセル5(固定端5b、自由端5c)、AFV6およびフレーム20を含むように構成されている。
ここで、計量機構30に含まれるAFV6およびフレーム20を除く各部材を模式的に示した図7および上段にて説明した図3を用いて、各部材の配置について説明すれば以下の通りである。
【0033】
ロードセル5の固定端5bと自由端5cとは、図4および図7に示すように、ロードセル5の搬送方向Aにおける前端部と後端部とにそれぞれ形成されており、重量物である駆動モータM2は、その固定端5bに対して非接触の状態で固定端5bの前方に隣接するように配置されている。そして、駆動モータM2は、アーム部材21、フレーム部材(連結部)22およびアーム部材(連結部)23を介して自由端5c側に接続されている。このように、重量物である駆動モータM2を固定端5b側に配置することで、計量機構30の重心位置を、自由端5c側から固定端5bに近い側へと移動させることができる。この結果、床面につながる固定端5bの近傍に計量機構30の重心を置くことができるため、床面からの振動の影響によって計量精度が低下してしまうことを回避することができる。
【0034】
アーム部材21,23およびフレーム部材22は、固定端5bおよび自由端5cと同様に、熱伝導率の高い材料によって形成されている。このため、運転中に熱源となる駆動モータM2から放出される熱は、直接接続されたアーム部材23、フレーム部材22、アーム部材21を経由して自由端5c側へと伝達される。一方、同じく駆動モータM2から放出される熱は、非接触状態であるが隣接するように配置された固定端5bに対しては空気を介して伝達されるとともに、輻射熱としても伝達される。このとき、ロードセル5に対して、アーム部材21,23等を介して直接的に伝達される熱と、近距離から空気を介して伝達される熱とは、熱が伝達される経路長の差等によってほぼ同程度の熱となって伝達されるため、ロードセル5に対して熱が均一に伝達される。
【0035】
次に、AFV6およびフレーム20を含む計量機構30全体の配置について、上段にて説明した図2、図3、図5および図6を用いて説明すれば以下の通りである。
ロードセル5およびAFV6が取り付けられたフレーム20は、図2に示すように、上述した前後一対の脚部10,11に接続されている。このため、このフレーム20の内部空間に取り付けられたAFV6は、床面からの振動を脚部10,11を介して効果的に検出することができる。そして、ロードセル5は、図3に示すように、フレーム20の上部に固定されている。つまり、ロードセル5とAFV6とは、共通の部材(フレーム20)の上面の表裏面にそれぞれ取り付けられている。これにより、ロードセル5に伝達される床面の振動をAFV6において正確に検出することができる。この結果、AFV6における検出結果をロードセル5の重量値から差し引くことで、高精度な計量を実施することができる。また、このときロードセル5およびAFV6を含む計量機構は、フレーム20の屈曲部分の近傍に取付けられている。これにより、比較的重量が大きい計量機構を剛性が高いフレーム20の部分に対して取り付けることができる。
【0036】
さらに、ロードセル5およびAFV6のフレーム20に対する取付位置5a,6aは、図5および図6に示すように、平面視において搬送方向Aに沿った同一直線L1,L2,L3上に配置される。換言すれば、搬送方向Aにおける前方から見て、ロードセル5およびAFV6のフレーム20に対する取付位置5a,6aが同一の鉛直線上になるように取付けられる。これにより、搬送方向Aに直交する方向における振動を、ロードセル5およびAFV6において同じ条件下で検出することができるため、高精度な計量を実施することが可能になる。
【0037】
[重量チェッカ1の特徴]
(1)
本実施形態の重量チェッカ1は、図4および図7に示すように、コンベア3ba〜3bc上を搬送される被計量物Xの計量を行うロードセル5の両端に、床面とつながる側の固定端5bと被計量物Xが載置されるコンベア3ba〜3bc側につながる自由端5cとを配置している。そして、固定端5bに対して非接触の状態であって、かつ固定端5bに隣接する位置に重量物である駆動モータM2を設けている。さらに、この駆動モータM2を、アーム部材21,23等を用いて自由端5c側に連結している。
【0038】
このように、ロードセル5の固定端5bを挟み込むように、重量物である駆動モータM2とロードセル5(自由端5c)とを配置するとともに、駆動モータM2をアーム部材21,23等の連結部材を介して自由端5c側に連結することで、計量機構30全体の重心位置を、従来の構成よりも固定端5b側へと移動させることができる。このため、計量機構30全体の重心位置は、振動源となる床面に近い場所に位置することになる。
【0039】
これにより、各部品の配置を変更するだけで、自由端5c側へ被計量物Xを載置して計量を行う場合でも、床面からの振動によるモーメントの影響を低減して高精度な計量を実施することができる。
(2)
本実施形態の重量チェッカ1では、重量物である駆動モータM2が、運転中に熱を放出する熱源となる。
【0040】
ここで、この駆動モータM2は、アーム部材21,23等の連結部材を介して自由端5c側へとつながっている。一方、固定端5b側については、その間に空気層が介在するものの近接して配置されている。
これにより、ロードセル5の近傍に熱源となる駆動モータM2が配置されている場合でも、ロードセル5と熱源となる駆動モータM2とが非接触状態で配置されているため、熱源から放出される熱によってロードセル5の一部のみが加熱される等の悪影響を低減することができる。この結果、ヒートパイプやヒートシンク等の新たな部品を追加することなく、センサ起歪体のヤング率や電気抵抗の変化によって、ロードセル5における四隅誤差が大きくなって計量精度が低下することを回避することができる。
【0041】
また、ロードセル5を用いた温度補償を行う場合でも、センシングする場所にかかわらず温度状態が均一になっているため、装置が設置された室温の変動と駆動モータM2の熱の影響とを受けても誤差が小さくなって補償計算をより正確に行うことができる。
(3)
本実施形態の重量チェッカ1では、ロードセル5の両側に配置された固定端5bおよび自由端5c、連結部材としてのアーム部材21,23およびフレーム部材22を熱伝導率の高い材料によって形成している。
【0042】
ここで、熱源となる駆動モータM2の隣接する位置に配置された固定端5bは、近距離に配置されているものの駆動モータM2とは直接接触していないため、空気を介して熱が伝達される。一方、自由端5cの方は、固定端5bよりも遠距離に配置されているものの、熱伝導率の高いアルミ合金等によって形成されたアーム部材21,23等を介して直接熱が伝達される。
【0043】
これにより、ロードセル5に対する熱の伝達を調整する調整機構として各部材を用いることができるため、ロードセル5に対して、固定端5b側と自由端5c側とに均一に熱を伝達することができる。このため、ロードセル5における温度勾配をほぼ均一にして、いわゆるロードセル5における四隅誤差を低減して、より高精度な計量を実施することができる。
【0044】
さらに、固定端5b、自由端5c、アーム部材21,23等として熱伝導率が高い材料を用いることで、装置全体における熱的平衡状態に至るまでの時間が短くなるため、立ち上がり時間を短縮することができる。
(4)
本実施形態の重量チェッカ1では、図3および図7に示すように、重量物である駆動モータM2とロードセル5との間に、防風壁としての固定端5bが配置されている。
【0045】
これにより、駆動モータM2において空気の流れが生じた場合でも、その空気の流れがロードセル5にあたって計量に影響することを防止することができる。この結果、より高精度な計量を実施することができる。
(5)
本実施形態の重量チェッカ1では、重量物である駆動モータM2とロードセル5とを同一の筐体7の内部に収納している。
【0046】
これにより、外部からの埃や塵、水分等を防ぐことができるとともに、清掃性に優れた計量装置を得ることができる。
(6)
本実施形態の重量チェッカ1では、コンベア3ba〜3bcの搬送ベルトを回転駆動させる駆動モータM2を重量物として搭載している。
【0047】
これにより、駆動モータM2が、重量物および熱源として機能する場合でも、床面からの振動による影響や駆動モータM2から放出される熱による影響を低減して、高精度な計量を実施することが可能な計量装置を得ることができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0048】
(A)
上記実施形態では、計量装置に含まれる重量物として、駆動モータM2を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、駆動モータ以外にも、被計量物を振分けるために搬送コンベアの一部を上下方向に回動させるシリンダや計量ホッパ(図9参照)、計量皿等であってもよい。この場合でも、計量センサ(ロードセル)の固定端を中心にして両側に計量センサの自由端と重量物とがそれぞれ配置されることになるため、重量物が配置される側に計量装置の重心位置を移動させることできる。この結果、従来よりも、装置の重心位置を自由端側から床と接触する固定端側へと移動させて、計量センサにおける計量精度が床での振動の影響を受けて低下してしまうことを回避して従来よりも高精度な計量を実施することができるという上記と同様の効果を得ることができる。
【0049】
また、上記実施形態では、熱源となる重量物としても駆動モータM2を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、熱源となる重量物としては、上述したシリンダ等を用いることもできる。この場合でも、ロードセルに対して均一に熱を伝達することで、ロードセルにおける四隅誤差を低減して高精度な計量を実施することができる。
【0050】
(B)
上記実施形態では、計量センサとして、ロードセル5を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ロードセルの替わりに、フォースバランスを計量センサとして用いてもよい。
この場合には、被計量物を計量位置に載せた際に生じるフォースバランスにおける差動トランスによって発生する電流値を検出することで、フォースバランスの特性により、ロードセルを計量センサとして用いた場合よりもさらに高精度な計量を実施することができる。
【0051】
(C)
上記実施形態では、図4および図7等に示すように、駆動モータM2、固定端5b、ロードセル5、自由端5c、アーム部材21,23等を水平方向に配置した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図9に示すように、ロードセル55、その固定端55b、自由端55cおよび重量物M53を鉛直方向に配置した構成であってもよい。この場合には、壁60に対して固定端55b側を固定し、連結部材51を介して計量ホッパ52および重量物M53を取り付けることで、装置の重心位置を壁60に接続された固定端55b側へと移動させて、計量ホッパ52に貯留されている被計量物の計量を高精度に実施することが可能になるという上記と同様の効果を得ることができる。
【0052】
(D)
上記実施形態では、図4および図7等に示すように、側面視において駆動モータM2、固定端5b、ロードセル5、自由端5c、アーム部材21,23等を水平方向に配置した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、正面視において、上記各部材が水平方向に並ぶように各部材を配置してもよい。この場合には、コンベアの搬送方向における長さを、上記実施形態のコンベア3ba〜3bcよりも短いものにすることができるため、コンベアの小型化に対応可能となる。
【0053】
(E)
上記実施形態では、ロードセル(計量センサ)5に対して伝達される熱の量を調整する調整機構として、熱伝導率が高い材料によって形成されたアーム部材21,23およびフレーム部材22、固定端5b、自由端5cを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
例えば、アーム部材21,23およびフレーム部材22、固定端5b、自由端5cを熱伝導率が低い材料によって形成することでこれらを調整機構としてもよい。この場合でも、固定端5bによって熱源となる駆動モータから放出される熱を遮断するとともに、アーム部材21,23等を介してロードセル5に伝達される熱もほとんどないため、ロードセルにおける四隅誤差を低減して高精度な計量を実施することができる。
【0055】
また、ロードセル(計量センサ)5に対して伝達される熱の量を調整する調整機構として、固定端5bにおける熱源側の面に貼り付けた断熱材や放熱板等の部材を用いてもよい。さらには、駆動モータM2の熱を放出する部分が固定端5bから遠ざかるように駆動モータM2を配置してやることで、調整機構としてもよい。これらのいずれの場合でも、ロードセルにおける四隅誤差を低減して高精度な計量を実施することが可能になる。
【0056】
(F)
上記実施形態では、ロードセル5の両側に配置された固定端5bおよび自由端5c、連結部材としてのアーム部材21,23およびフレーム部材22を、アルミ合金等の熱伝導率の高い材料によって形成した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
例えば、互いに連結部分について部分的に熱伝導率の高い材料を用いて各部材を形成してもよい。この場合でも、ロードセル等の計量センサに対して固定端側および自由端側において均一に熱源からの熱を伝達することができるため、いわゆる四隅誤差を低減して高精度な計量を実施することが可能になる。
また、熱伝導率が高い材料としては、アルミ合金以外にも、ステンレスや銅等のような熱伝導率の高い他の金属を用いてもよい。
【0058】
(G)
上記実施形態では、本発明を重量チェッカ1に対して適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、重量チェッカ以外にも、計量ホッパや各種計量センサ等を搭載して計量を行う計量装置に対して本発明を適用することもできる。この場合でも、床面からの振動や熱源からの熱による悪影響を低減して、常に高精度な計量を実施することが可能な計量装置を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の計量装置は、床面の振動の影響を低減して高精度な計量を実施することができるという効果を奏することから、ロードセルやフォースバランス等の計量センサを搭載した各種計量機器に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る重量チェッカの外観を示す正面図。
【図2】図1の重量チェッカを示す平面図。
【図3】図1の重量チェッカに含まれる計量機構周辺の構造を示す拡大図。
【図4】図3の計量機構の部分をさらに拡大した図。
【図5】図4の計量機構の取付位置を示す平面図。
【図6】図4の計量機構を搬送方向からみた図。
【図7】図4の計量機構の取付構造を模式的に示した図。
【図8】図4の計量機構に含まれるロードセルの吊り下げ取付構造を示す斜視図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る計量装置に含まれる各部材の配置を示す模式図。
【符号の説明】
【0061】
1 重量チェッカ(計量装置)
3 コンベア装置
3a 第1搬送部
3b 第2搬送部
3c 第3搬送部
3aa〜3ac コンベア
3ba〜3bc コンベア
3ca〜3cc コンベア
5 ロードセル(計量センサ、第1計量センサ)
5a 取付位置
5b 固定端(調整機構、防風壁)
5c 自由端
6 AFV(ロードセル、第2計量センサ)
6a 取付位置
7 筐体
10,11 脚部
13 ローラ(駆動ローラ)
15 ローラ(従動ローラ)
20 フレーム(支持部材)
21 アーム部材(連結部)
22 フレーム部材(連結部)
23 アーム部材(連結部)
30 計量機構
52 計量ホッパ
55 ロードセル(計量センサ)
55b 固定端
55c 自由端
60 壁
M1 駆動モータ
M2 駆動モータ(重量物、熱源)
M53 重量物
X 被計量物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物の計量を行う計量センサと、
前記計量センサが取り付けられる固定端と、
前記計量センサにおける前記固定端とは反対側の端部であって、前記被計量物が載置される自由端と、
前記計量センサとの間に前記固定端を挟み込むような位置に、前記固定端とは非接触の状態で配置される重量物と、
前記自由端と前記重量物とを連結する連結部と、
を備えている計量装置。
【請求項2】
前記重量物は、熱を放出する部材である、
請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記重量物から放出され、前記計量センサに対して伝達される熱の量を調整する調整機構をさらに備えている、
請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記固定端および前記連結部は、熱伝導率が高い材料によって形成されている、
請求項3に記載の計量装置。
【請求項5】
前記固定端および前記連結部は、熱伝導率が低い材料によって形成されている、
請求項3に記載の計量装置。
【請求項6】
前記固定端は、前記重量物の動きによって生じて前記計量センサの方へ流れる空気の流れを遮る防風壁を有している、
請求項1から5のいずれか1項に記載の計量装置。
【請求項7】
前記重量物と前記計量センサとは、同一の筐体内に収納されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の計量装置。
【請求項8】
前記被計量物を所定方向へ搬送する搬送コンベアをさらに備えており、
前記重量物は、前記搬送コンベアを駆動する駆動モータである、
請求項1から7のいずれか1項に記載の計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−101462(P2007−101462A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294299(P2005−294299)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)