説明

記憶媒体用の防犯ケース

【課題】 円盤状記憶媒体とカード式記憶媒体を収容してロックプレートを挿入した防犯ケースの提供。
【解決手段】 防犯ケースは本体1に設けた開閉軸を中心として蓋体2を開閉可能に取付け、本体1の中央に設けたヘソ5には円盤状記憶媒体6が取付けられ、そして本体1及び蓋体2の各辺には上記ロックプレート挿入口を除いて縁7,7・・、8,8・・を起立して設け、又、円盤状記憶媒体6が存在しない蓋体2のコーナーにはカード式記憶媒体18を収容したカードケース10を着脱可能に取付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は円盤状記憶媒体の他にカード式記憶媒体を収容した防犯ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
音楽を再生する機器としては従来からCDプレーヤーが用いられ、映像を再生する機器としてはDVDプレーヤーが知られている。また、CDプレーヤーの小型機器としては、持運び出来るサイズに構成したウォークマン(登録商標)が販売されて来ている。一方、映像を記憶したDVDはテレビに接続して再生するDVDプレーヤーの他に、パソコンを用いて再生することも可能である。
【0003】
ところで、CD、DVD等の円盤状記憶媒体を購入する場合もあるが、レンタルショップにおいて一時的に借りて使うことも多い。むしろ、色々な音楽を聴いたり、色々な映画を見たりする場合にはレンタルした方が便利であり、我国では所々にCDやDVDなどのレンタルショップが数多く存在している。
【0004】
CDやDVDは一般にその外径が120mmあり、これを再生する機器はCDやDVDが収容出来る大きさが必要であり、常に携帯するには不便を感じることも多い。又、CD、DVDを再生するには、該CD、DVDを回転する為のドライブモータ及び光を照射して読み取る為のピックアップ機構も必要であり、外形サイズは大きくなると共にコストも高くなる。近年では「アイポッド」(登録商標)と称される再生機器が使用され、この機器を洋服の胸ポケットに入れてイヤホンで音楽を聴いたり、又は手のひらサイズの機器の表示面から映像を見ることが出来る。
【0005】
この再生機器にセットする記憶カードはCDやDVDに比較して非常に小さく、しかし記憶容量は非常に大きい。再生手段としては、何も「アイポッド」に限ることはなく、パソコンに該カードを挿入することで映像を見ることが出来、又はテレビの画面に映しだすことも可能である。
【0006】
ところで、最近では小さいカード式記憶媒体をCDやDVDの場合と同じようにレンタルすることが求められている。しかし、大きさが小さい為に盗難され易く、その為に盗難防止対策が一段と重要になる。CDやDVDの場合には、貸出しケースが開かないようにロックプレートが挿入されていて、該ロックプレートにはタグシールが貼着されている為に、ロックプレートを外さないで店から持ち出すならば、ゲートが反応して警報音が鳴るようにしている。
【0007】
盗難防止機能を備えた従来のCDやDVDの貸出しケースに関しては、特許第3459997号に係る「盗難防止機能を備えたDVD等の貸出しケース」、
特許第3978686号に係る「盗難防止機能を備えたDVD等の貸出しケース及び解錠具」を参照すれば明らかである。しかし、カード式記憶媒体のように小さいものは、ケースをこじ開けて盗まれる虞があり、CD,DVDと同じような防犯構造では十分でない。
【0008】
特開2007−241581号に係る「メモリーカード用収納体」は、サイズの小さなSDメモリーカードやプレイステーション2用のメモリーカードなどを保管するに際し、紛失しにくくしたメモリーカード用収納体であり、平板状の盤体にSDメモリーカードを盤体の一方の面より嵌め込むためにSDメモリーカードの外形に合う形の孔部が形成されている。しかし、盗難防止を考える場合、このようなメモリーカード用収納体を貸出しケースとしてそのまま店に展示することは出来ない。
【特許文献1】特許第3459997号に係る「盗難防止機能を備えたDVD等の貸出しケース」
【特許文献2】特許第3978686号に係る「盗難防止機能を備えたDVD等の貸出しケース及び解錠具」
【特許文献3】特開2007−241581号に係る「メモリーカード用収納体」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、カード式記憶媒体を貸出しケースに収容して貸出すには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、円盤状記憶媒体とカード式記憶媒体をセットにして収容し、しかも盗難に遭うことのない記憶媒体用の防犯ケースを提供する。この記憶媒体用の防犯ケースは貸出し用として、又は販売用として使用することが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る記憶媒体用の防犯ケースは、カード式記憶媒体と円盤状記憶媒体が共に収容することが出来るように構成している。ここで、カード式記憶媒体とは音楽又は映像が記憶されているカード(チップ)であり、具体的な記憶内容を限定するものではない。そして、カードの形状は厚さは薄くて概略四角形をしているが、具体的な形状及びサイズも限定しないことにする。
【0011】
円盤状記憶媒体は、従来のケースと同じく本体中央に設けたヘソに中央穴が嵌って取付けられる。又は円盤状記憶媒体の外周が位置決めされて取付けられることもある。そして、カード式記憶媒体は本体に取付けた円盤状記憶媒体の周囲であって、ケースのコーナー部などに取付けられる。すなわち、このコーナー部などにカード式記憶媒体を収容したカードケースが取付けられる。カードケースは着脱可能な取付け構造としている。
【0012】
カードケースを取付ける具体的な場所は限定しないが、一般には円盤状記憶媒体が取付けられる本体の外周部、又は蓋体の外周部が使用される。そして、円盤状記憶媒体の下側又は上側に取付けることも出来る。すなわち、本体の底と円盤状記憶媒体との間に形成される隙間、又は蓋体と円盤状記憶媒体との間に形成される隙間に取付け可能である。
【0013】
上記カードケースは小さいカード式記憶媒体を収容することが出来る容器であり、該カードケースは防犯ケースの本体又は蓋体にツメなどの止着手段を介して着脱自在に取付けられる。ここで、該カードケースは内部にカード式記憶媒体を収容する空間を有し、該空間を閉じる蓋(ケースカバー)を備えている。蓋は軸を中心として開閉したり、スライドしたり、着脱可能であったり、その具体的な開閉構造は限定しない。また、蓋を備えることなくカード式記憶媒体がカードケースから外れないようにバネなどで止着する場合もある。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る記憶媒体用の防犯ケースは内部に円盤状記憶媒体とカード式記憶媒体が収容されている。従って、音楽や映画を収録した円盤状記憶媒体を購入するならば、また、レンタルショップで音楽や映画を収録した円盤状記憶媒体を借りるならば、カード式記憶媒体が付いている為に、顧客は何れの記憶媒体をも自由に選択して使用出来る。すなわち、手持ちの再生機器に応じて使い分けることが可能となる。
【0015】
ところで、本発明の記憶媒体用防犯ケースは本体と開閉可能な蓋体を有し、本体の中央に円盤状記憶媒体が取付けられ、そしてカード式記憶媒体はカードケースに収容されて円盤状記憶媒体の外周に取付けられる。カードケースは着脱自在であることからカードケースごと取外し、その後、カードケースからカード式記憶媒体を取出すことが出来る。カード式記憶媒体に比較して大きなカードケースは比較的簡単に取外すことが出来、着脱に際してカード式記憶媒体をキズ付けることはない。
【0016】
記憶媒体用防犯ケースの蓋体はロックプレートによってロックされ、該ロックプレートを解錠して取外さない限り開かないようにしている為に、円盤状記憶媒体及びカードケースに収容されたカード式記憶媒体が盗難に遭うことはない。また、カードケースの蓋(ケースカバー)は蓋体が閉じられることで開くことは出来ず、二重の防犯構造となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】蓋体が閉じた場合の記憶媒体用防犯ケース。
【図2】ロックプレートを外して蓋体が一部開いた場合の記憶媒体用防犯ケース。
【図3】蓋体が開いた場合の記憶媒体用防犯ケース。
【図4】蓋体が開いてカードケースを蓋体から取外した場合の記憶媒体用防犯ケース。
【図5】カードケースの具体例。
【図6】ケース本体の収容部にカード式記憶媒体が収容されているカードケース。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明に係る記憶媒体用の防犯ケースを示し、蓋体が閉じた状態であるが、内部に収容されている円盤状記憶媒体、カード式記憶媒体を収容しているカードケース、ロックプレートを透かして表している。中央には大きな円盤状記憶媒体がヘソに取付けられ、カードケースは開閉軸側のコーナー部に設けた取付け部に取付けられている。
【0019】
図2はロックプレートを取外して蓋体を開く場合を示しているが、同図において1は本体、2は蓋体、3は開閉軸、4はロックプレートを表している。記憶媒体用防犯ケースは、厚さの薄い四角形をしたケースであり、本体1の中央にはヘソ5が底から突出して設けられ、このヘソ5に円盤状記録媒体6の中心穴が嵌って取付けられる。そして、四角形をした本体1の側辺には縁7,7・・・が起立し、同じく蓋体2の側辺にも縁8,8・・・が起立している。
【0020】
そして、ロックプレート4が挿入される部分には縁7,8がなく、蓋体2を閉じた場合にロックプレート4の挿入口が形成される。このように、本体1及び蓋体2の側辺に縁7,7・・、8,8・・を起立することで、ヘソ5に嵌って取付けられている円盤状記録媒体6が抜取られることはない。円盤状記録媒体6の盗難防止に関しては従来通りであり、上記ロックプレート4を解錠して取外さない限り蓋体2を開くことは出来ない。
そこで、ロックプレート4を取外さないで記憶媒体用防犯ケースごと店から持ち出すならば、ロックプレート4に貼着しているダグシール9が店の出入口に設置しているゲートに反応して警報音が発生する。従って、円盤状記憶媒体6及びカード式記憶媒体を貸出す場合には、タグシール9が貼着されているロックプレート4が所定の手続を経て取外されることで、防犯ケースを持ち出すことが出来る。
【0021】
ところで、本発明の記憶媒体用防犯ケースには上記円盤状記憶媒体6の他にカード式記憶媒体が取付けられている。このカード式記憶媒体には円盤状記憶媒体とほぼ同じ内容が記憶されており、顧客の選択によって使い分けることが出来る。パソコンであれば円盤状記憶媒体6又はカード式記憶媒体の何れであってもセットして再生することが出来るが、何れか片方の記憶媒体のみしか使えない再生機器も存在している。
【0022】
例えば、最近の若者の間で人気があるアイポッド(ipod)であれば、カード式記憶媒体しか使えない。また、家庭にあるDVD等の記憶媒体再生装置(DVDプレーヤー)であれば、カード式記憶媒体を使うことは出来ない。そこで、本発明では同じ情報(記憶内容)を記憶した2種類の記憶媒体(円盤状記憶媒体6とカード式記憶媒体)を同一ケースに収容して客の便益に供している。
【0023】
ところで、本発明の記憶媒体用防犯ケースは、この小さいカード式記憶媒体を取出し易く、しかも盗難に遭わない取付け構造としている。本発明では小さいカード式記憶媒体は防犯ケースに直接取付けられることなく、一旦カードケースに収容され、このカードケースが防犯ケースに取付けられる。しかも着脱自在な取付け構造としている。
【0024】
図3はロックプレート4を取外して蓋体2が開いている状態であり、該蓋体2の開閉軸側にはカードケース10が取付けられている。この部位は蓋体2が閉じた際に円盤状記憶媒体6に接しない領域であり、また、開閉軸3の付近であることから蓋体2をこじ開け難い領域と成っている。そして、蓋体2の縁8に面していることでカードケース10が抜取られることはない。
【0025】
図4はカードケース10を蓋体2から取外した場合を示している。このように、カードケース10は取外され、その後、ケースカバーを開いて収容されているカード式記憶媒体を取出すことが出来る。カード式記憶媒体は一般に小さく、その為に防犯ケースに直接取付けたり、取外すことは不便を感じることが多く、しかも着脱に際してキズ付けたり、損傷する虞もある。本発明ではカードケース10に収容することで着脱に際してカード式記憶媒体に直接接しないことで、キズ付けたり損傷したりすることはなくなる。
【0026】
ところで、カードケース10は防犯ケースの本体側、又は蓋体側に取付けられるが、その取付け手段は比較的簡単に取付け出来、また、取外し出来る構造としている。例えば、起立したツメに係止することで簡単に取付けられ、ツメを解除することで取外すことが出来る。図4において11は蓋体2から起立している小さいツメを表し、12は縁8の内側面に形成している係合溝を示している。
【0027】
図5はケースカバー14が開いた状態のカードケース10の具体例であり、該カードケース10はケース本体13とケースカバー14から成り、該ケースカバー14は継手15を介して開閉自在としている。そしてケース本体13にはカード式記憶媒体が入る収容部16を有し、ケース本体13の先端にはロックツメ17を突出している。
【0028】
図6はケース本体13の収容部16にカード式記憶媒体18を収容した場合であり、該収容部16を構成する側縁の一部には樹脂バネ19が設けられて、収容したカード式記憶媒体18の側部をバネ力を付勢して軽く止め付けしている。従って、ケースカバー14を開く際に、該カード式記憶媒体18が落下することはなく、しかも取出しは開口21に指を入れて簡単に行うことが出来る。そして、ケースカバー14を閉じる際、該ケースカバー14の先端が上記ロックツメ17に係合することでケースカバー14は軽くロックされる。
【0029】
ところで、該カードケース10はケースカバー14を閉じて上記防犯ケースの蓋体2に取付けられる。ケース本体13の側面には小さい係合片(図示なし)が突出し、ケースカバー14には切欠き部20を形成している。そこで、上記係合片を蓋体2の縁8に設けた係合溝12に係合し、蓋体2に起立して設けたツメ11を切欠き部20に係止することで、カードケース10は蓋体2に取付けられる。
【0030】
この取付け構造はあくまでも1具体例に過ぎない。例えば、ツメ11や係合溝12ではなく、蓋体2にカードケース10が嵌る収容空間を枠組みして設けることも出来る。ところで、前記図5に示しているカードケース10の形態もあくまでも1具体例に過ぎず、ケースカバー14を本体ケース13にスライド式で開閉可能に取り付けることも出来る。又、ケース本体13から独立してケースカバーを製作し、このケースカバーをケース本体13に被せるように構成することも可能である。更には、挿入口を設けたカードケース10とし、この挿入口からカード式記憶媒体を入れて収容することも出来る。
【符号の説明】
【0031】
1 本体
2 蓋体
3 開閉軸
4 ロックプレート
5 ヘソ
6 円盤状記憶媒体
7 縁
8 縁
9 タグシール
10 カードケース
11 ツメ
12 係合溝
13 ケース本体
14 ケースカバー
15 継手
16 収容部
17 ロックツメ
18 カード式記憶媒体
19 樹脂バネ
20 切欠き部
21 開口




【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状記憶媒体とカード式記憶媒体を収容してロックプレートを挿入した防犯ケースにおいて、該ケースは本体の1辺に設けた開閉軸を中心として蓋体を開閉可能に取付け、本体には上記円盤状記憶媒体が取付けられ、そして本体及び蓋体の各辺には上記ロックプレート挿入口を除いて縁を起立して設け、又、円盤状記憶媒体が存在しない蓋体又は本体にはカードケースを着脱自在に取付け、そしてこのカードケースにはカード式記憶媒体を収容したことを特徴とする記憶媒体用防犯ケース。
【請求項2】
円盤状記憶媒体とカード式記憶媒体を収容してロックプレートを挿入した防犯ケースにおいて、該ケースは本体の1辺に設けた開閉軸を中心として蓋体を開閉可能に取付け、本体には上記円盤状記憶媒体が取付けられ、そして本体及び蓋体の各辺には上記ロックプレート挿入口を除いて縁を起立して設け、又、本体と円盤状記憶媒体の間に形成される空間、又は蓋体と円盤状記憶媒体の間に形成される空間にはカードケースを着脱自在に取付け、そしてこのカードケースにはカード式記憶媒体を収容したことを特徴とする記憶媒体用防犯ケース。
【請求項3】
本体又は蓋体に起立したツメを介してカードケースを着脱可能に取付けた請求項1、又は請求項2記載の記憶媒体用防犯ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−25445(P2012−25445A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166585(P2010−166585)
【出願日】平成22年7月24日(2010.7.24)
【出願人】(595049622)株式会社ジャストコーポレーション (44)
【Fターム(参考)】