記録ヘッド駆動方法、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置
【課題】データ転送に従来のケーブルを用いつつ、記録ヘッドのノズルから正常にインクを吐出可能で、単位時間あたりのインク吐出回数の高速化に対応することが可能な記録ヘッドを提供する。
【解決手段】記憶ヘッド8は、転送タイミングを規定するデータ転送クロックclを逓倍するクロック逓倍部87と、各データd1、d2、…に固定データ0を付与して逓倍されたデータ転送クロックCLに割り当てる固定データ付与部88と、逓倍されたデータ転送クロックCLに割り当てられた各データd1、0、d2、0、…を一時的に記憶するデータレジスタ部85と、データレジスタ部85から出力された各データd1、0、d2、0、…に基づいて各ノズル81に対する各ノズル駆動信号D1、0、D2、0、…を生成するノズル駆動部86とを備え、各ノズル81とデータレジスタ部85の各レジスタとがノズル駆動部86を介してそれぞれ配線で電気的に接続されている。
【解決手段】記憶ヘッド8は、転送タイミングを規定するデータ転送クロックclを逓倍するクロック逓倍部87と、各データd1、d2、…に固定データ0を付与して逓倍されたデータ転送クロックCLに割り当てる固定データ付与部88と、逓倍されたデータ転送クロックCLに割り当てられた各データd1、0、d2、0、…を一時的に記憶するデータレジスタ部85と、データレジスタ部85から出力された各データd1、0、d2、0、…に基づいて各ノズル81に対する各ノズル駆動信号D1、0、D2、0、…を生成するノズル駆動部86とを備え、各ノズル81とデータレジスタ部85の各レジスタとがノズル駆動部86を介してそれぞれ配線で電気的に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッド駆動方法、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置に係り、特に、データ転送クロックを逓倍することが可能で高速記録を実現可能な記録ヘッド駆動方法、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙や布帛等の通常の記録媒体のみならず、樹脂フィルムや金属類等のインク吸収性の乏しい記録媒体に対しても画像を記録することができる画像記録装置として、記録ヘッドの一端面に設けられた複数のノズルからインクを吐出して記録媒体上に着弾させて画像を記録するインクジェット記録装置が開発されており、現在、その技術は種々の技術分野で応用されている。
【0003】
このようなインクジェット記録装置100では、図12に示すように、通常、記録媒体に記録するための画像のデータが図示しないホストコンピュータ等から送信されてくると、インクジェット記録装置100に付属するコンピュータやメモリ等の画像記憶部102に画像データを一旦保存する。そして、制御部101による制御のもと、画像処理部103で、画像データを記録ヘッドの並び方に変換する。
【0004】
そして、画像処理部103から記録ヘッド105の並び方に変換されたデータd1、d2、…が送信されてくると、ヘッド駆動部104で各データd1、d2、…に基づいて記録ヘッド105の各ノズルを吐出制御するためのノズル駆動信号D1、D2、…がそれぞれ生成されて記録ヘッド105の各ノズルに出力され、ノズル駆動信号D1、D2、…に従って各ノズルのピエゾ素子が駆動されて、各ノズルからそれぞれインクが吐出される。
【0005】
その際、ヘッド駆動部104では、図13に示すように、記録ヘッド105の各ノズル109ごとのデータd1、d2、…が、画像処理部103からクロック同期されてシリアル転送されてくると、それらのデータd1、d2、…は、一旦、シフトレジスタ106に順次蓄積される。そして、この記録ヘッド105の全ノズル109に対応する各データd1、d2、…、dnがシフトレジスタ106に蓄積されると、各データd1、d2、…は、データを一時的に記憶するデータレジスタ部107に出力される。
【0006】
シフトレジスタ106がデータレジスタ部107にデータd1、d2、…を出力して空になると、シフトレジスタ106には、次の吐出タイミングで記録ヘッド105の各ノズル109からインクを吐出するための各データが順次送信されて蓄積されていく。
【0007】
また、データレジスタ部107にデータラッチ(Data Latch)信号Lが入力されると、そのタイミングでシフトレジスタ106に蓄積されたデータd1、d2、…を取り込み、各データの順番を入れ替える等の処理が必要に応じて適宜行われる。また、データレジスタ部107に取り込まれた各データd1、d2、…は、ノズル駆動部108に吐出タイミング信号Tが送信されると、そのタイミングでデータレジスタ部107からノズル駆動部108に一斉にノズル駆動部108に出力される。
【0008】
そして、ノズル駆動部108はデータd1、d2、…に基づいてノズル駆動信号D1、D2、…をそれぞれ生成して各ノズル109に出力し、各ノズル109のピエゾ素子がノズル駆動信号Dに従って変形して各ノズル109からそれぞれインクが吐出される。
【0009】
記録ヘッド105のノズル部分は、図14に示すように、各ノズル109の背後、すなわち各ノズル109に接続する記録ヘッド105の内部側は、それぞれピエゾ素子111が設けられた側壁112により区画されたチャネル110がそれぞれ設けられている。そして、ノズル駆動部108はデータdに基づいて例えば図15のような駆動波形を有するノズル駆動信号Dを生成し、各チャネル110のピエゾ素子111にノズル駆動信号Dを印加する。
【0010】
ピエゾ素子111は、ノズル駆動信号Dの駆動波形が基準電位V0から高電位V+に上昇すると、図16(A)に示すように、チャネル110の容積を拡げるように側壁112を外側に湾曲させ、ノズル駆動信号Dの駆動波形が高電位V+から低電位V−に減少すると、図16(B)に示すように、今度はチャネル110の容積を縮小するように側壁112を内側に湾曲させて、チャネル110内のインクを押圧する。それにより、各ノズル109からそれぞれインクが吐出される。
【0011】
図14や図16(A)、(B)に示した記録ヘッド105のノズル部分のピエゾ素子111の変形のしかたからも分かるように、このようなタイプの記録ヘッド105では、インクを吐出するノズル109aのチャネル110aが拡大している際には、それに隣接するノズル109bのチャネル110bは縮小し、チャネル110aが縮小している際にはチャネル110bは拡大せざるを得ない。そのため、隣接するノズル109a、109bから同時にインクを吐出することができない。
【0012】
そのため、図17に示すように、例えば、各ノズル109を2つおきにそれぞれ配線でつないで周期ごとにA相、B相、C相の各印字パルスを印加し、印字パルスが印加されている期間だけノズル109がノズル駆動部108から出力されたノズル駆動信号D1、D2、…を受け付けるようにして、例えば、2つおきの各ノズル109からインクを順次吐出するように構成することで、全てのノズル109からインクを吐出させることができる(特許文献1、2等参照)。
【0013】
しかし、この場合、1つのノズル109から連続してインクを吐出できないことや、インクを吐出したノズル109のチャネル110が拡大した後、縮小するのを待ってからでなければそれに隣接するノズル109のチャネル110の拡大、縮小を行うことができないこと等の制約があるため、1つのノズル109からの単位時間あたりのインク吐出回数をある程度のレベルまでしか高速化することができない。
【0014】
近年、インクジェット記録装置に対しては、この単位時間あたりのインク吐出回数の高速化の要求が高まっているが、このような多相(3相)駆動の場合、その要求に応えることが難しいという問題があった。
【0015】
一方、上記のようなタイプの記録ヘッド105で、1つおきのノズル109のみからインクを吐出させ、その間の部分のノズル109からはインクを吐出させないように構成することが可能である。なお、この場合、インクを吐出しないノズル(いわゆる無効ノズル)も1つおきに存在することになる。また、無効ノズルのチャネル110には、そもそもノズルが形成されない場合もある。
【0016】
このように構成すれば、無効ノズルのチャネル110部分がいわばバッファとなり、インクの吐出を行うノズル109については、インクを吐出する他のノズル109のチャネル110の側壁112の拡大、縮小の動きに関係なく、チャネル110の側壁112を自らのインクの吐出のためだけに拡大、縮小させることが可能となり、インクの吐出を行うノズル109については、それぞれ独立にインクの吐出を行うことが可能となる。
【0017】
そして、1つのノズル109からインクを連続して吐出させることが可能となるため、多相駆動する場合とは異なり、1つのノズル109からの単位時間あたりのインク吐出回数の高速化を図ることが可能となる。
【0018】
このように、1つおきのノズル109からインクを吐出させてノズル109を独立に駆動することで高速駆動することが可能な記録ヘッド105は存在するため、このような記録ヘッド105へのデータ転送も高速駆動に対応するように構成する必要がある。
【0019】
図12に示したように、画像処理部103からヘッド駆動部104にデータd1、d2、…をシリアル転送する場合、図18に示すように、データd1、d2、…は、データ転送クロックclで規定される転送タイミングで転送されるが、その際、特許文献3に記載されているように、データ転送クロックclを逓倍し、逓倍されたデータ転送クロックに基づいてデータd1、d2、…を転送するように構成すれば、データd1、d2、…をより高速にヘッド駆動部104にシリアル転送することが可能となると考えられ、1つのノズル109からの単位時間あたりのインク吐出回数がさらに高速化されることが期待される。
【特許文献1】特開2001−301163号公報
【特許文献2】特開2004−181789号公報
【特許文献3】特開2002−370361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところが、上記のようなタイプの記録ヘッド105で1つおきのノズル109からインクを吐出させるように構成した場合は、このデータ転送クロックclを逓倍しただけでは、無効なノズルに対しても吐出を行うデータが入力されてしまうため、1つおきの各ノズル109からのインクの吐出量が異常になり(すなわち、正しく吐出されなくなり)、或いは、ノズル109からインクが全く吐出されなくなる。
【0021】
このように、1つおきのノズル109からインクを吐出させてノズル109を独立に駆動することで高速駆動することが可能な記録ヘッド105は存在するため、このような記録ヘッド105へのデータ転送も高速駆動に対応するように構成する必要があるが、上記のようなタイプの記録ヘッド105のノズル109を独立して吐出させるためには、無効ノズルに対しては吐出をしないデータも余分に転送しなければならないため、データ転送量が増大し、さらには無効ノズル分だけデータ転送量が多くなった分、データ転送クロックclを高速にしてデータ転送をより高速にすると、画像処理部103からヘッド駆動部104へのノイズ放射が多くなってしまう。
【0022】
また、高速にデータ転送を行うことができる高価なケーブルを画像処理部103からヘッド駆動部104までの長距離にわたって設置すると、ケーブルの設置に費用がかかり、画像処理部103の構成も図示しないメモリ領域などを大きくしなければならないなど、システムのコストアップにつながるという問題があった。
【0023】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、記録ヘッドのノズルから正常にインクを吐出可能で、かつ、1つのノズルからの単位時間あたりのインク吐出回数の高速化に対応することが可能な記録ヘッド駆動方法、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記の問題を解決するために、本発明の記録ヘッド駆動方法は、
複数のノズルを有するインクジェット記録装置の記録ヘッドを駆動する記録ヘッド駆動方法であって、
前記複数のノズルにそれぞれ対応するデータを転送する転送タイミングを規定するデータ転送クロックを逓倍するクロック逓倍ステップと、
前記各データに、前記逓倍されたデータ転送クロックの逓倍数に対応して設定された数の固定データを付与して、前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てる固定データ付与ステップと、
前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てられた前記固定データが付与された前記各データをデータレジスタ部の各レジスタに入力する入力ステップと、
前記データレジスタ部の各レジスタから前記固定データが付与された前記各データをノズル駆動部に出力する出力ステップと、
前記ノズル駆動部で前記固定データが付与された前記各データに基づいて生成された各ノズル駆動信号に基づいて前記各ノズルからインクを吐出する吐出ステップと、
を有することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の記憶ヘッドは、
複数のノズルを有するインクジェット記録装置の記録ヘッドであって、
前記複数のノズルにそれぞれ対応するデータを転送する転送タイミングを規定するデータ転送クロックを逓倍するクロック逓倍部と、
前記各データに、前記逓倍されたデータ転送クロックの逓倍数に対応して設定された数の固定データを付与して、前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てる固定データ付与部と、
前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てられた前記固定データが付与された前記各データを一時的に記憶するデータレジスタ部と、
前記データレジスタ部の各レジスタから出力された前記固定データが付与された前記各データに基づいて前記各ノズルに対する各ノズル駆動信号を生成して前記各ノズルを吐出駆動させるノズル駆動部と、
前記データレジスタ部にデータラッチ信号を送信して前記データレジスタ部に前記固定データが付与された前記各データを取り込ませるとともに、前記ノズル駆動部に対して吐出タイミング信号を送信する吐出制御部と、
を備え、
前記各ノズルと、前記データレジスタ部の各レジスタとが、前記ノズル駆動部を介してそれぞれ配線で電気的に接続されていることを特徴とする。
【0026】
さらに、本発明のインクジェット記録装置は、上記の本発明の記録ヘッドを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の記録ヘッド駆動方法、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置によれば、データ転送クロックを逓倍し、かつ、逓倍されたデータ転送クロックに対して、各データに固定データを付与して生成された各データを割り当てるように構成した。そのため、記録ヘッドの1つおきのノズルからインクを吐出させてノズルを独立に駆動することが可能となり、高速駆動、すなわち、1つのノズルからの単位時間あたりのインク吐出回数の高速化に対応することが可能となる。
【0028】
しかも、インクを吐出しないノズルに対応するデータとして固定データ(例えば0)が的確に付与されるため、インクを吐出しないノズルには値が例えば0のノズル駆動信号が的確に印加される。そのため、画像処理部からヘッド駆動部へのノイズ放射が遮断され、インクを吐出しないノズルからは確実にインクが吐出されず、インクを吐出すべきノズルからは正常にインクが吐出されるようにすることが可能となる。さらに、高速にデータ転送を行うことができる高価なケーブルを画像処理部からヘッド駆動部までの長距離にわたって設置する必要がないため、インクジェット記録装置のコストアップを防止することが可能となる。また、高速にデータ転送を行うことが可能な高価なケーブルを用いず、従来から用いられている、上記の高速転送可能なケーブルに比べれば低速の配線を用いても、上記の効果を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る記録ヘッド駆動方法、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、本実施形態に係る記録ヘッド駆動方法が適用される本発明のインクジェット記録装置および記録ヘッドの構成等について説明する。
【0030】
本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、図1に示すように、主に、搬送ユニット2と、スキャンユニット3と、インクラック4と、コンピュータ5とで構成されている。
【0031】
搬送ユニット2の上部には、図示しない記録媒体を裏面側(図中では下面側)から支持しながら図中矢印Yで示される副走査方向Yに搬送するための無端状の搬送ベルト21が配設されている。搬送ベルト21の代わりに、平板状のプラテンを用いることも可能である。なお、本実施形態では、搬送ユニット2とスキャンユニット3とは別体として形成されているが、一体的に形成することも可能である。
【0032】
記録媒体としては、前述したように、紙や布帛のほか、樹脂フィルムや金属類等を用いることが可能であり、特に限定されない。
【0033】
搬送ユニット2の搬送ベルト21上方には、スキャンユニット3が配設されているが、スキャンユニット3の背後には、後述する複数の記録ヘッド8にそれぞれ供給する各色のインク(液体)を貯蔵するインクタンク41を備えるインクラック4が配置されている。各インクタンク41からは、後述する配管15を介して各記録ヘッド8にインクがそれぞれ供給されるようになっている。
【0034】
また、スキャンユニット3の下方には、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されて構成されたコンピュータ5が配設されており、後述する配線11を介してコンピュータ5から各記録ヘッド8に前述したデータd1、d2、…や電気信号等を伝達するようになっている。
【0035】
本実施形態では、コンピュータ5は、前述した図12における制御部101や画像記憶部102、画像処理部103としても機能するように構成されている。すなわち、コンピュータ5には、画像記憶部としてHDD(Hard Disk Drive)等の図示しない記憶装置が接続されており、コンピュータ5は、図示しないホストコンピュータ等から、記録媒体に記録するための画像データが送信されてくると、記憶装置に画像データを一旦保存するようになっている。
【0036】
また、コンピュータ5は、画像処理部として、送信されてきた画像データを記録ヘッド8の並び方に変換して記録ヘッド8の各ノズル81に対する各データd1、d2、…をそれぞれ生成して、それらのデータd1、d2、…を後述する記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送するようになっている。
【0037】
さらに、コンピュータ5は、制御部として、インクジェット記録装置1を構成する各部を制御するとともに、画像処理部としてのコンピュータ5から記録ヘッド8のヘッド駆動部83にデータd1、d2、…をシリアル転送する際の転送タイミングを規定するデータ転送クロックclを設定して出力するようになっている。
【0038】
図2は、スキャンユニット内部の主要部を表す図である。なお、実際にはスキャンユニット3の図中左側の台座部上には、インクジェット記録装置1の稼働停止中に記録ヘッド8のノズル面81aをキャップして保湿するヘッド保湿ユニットがあり、図中右側の台座部上には、記録ヘッド8のメンテナンスを行うヘッドクリーニング機構等が配置されたメンテナンスユニットがあるが、図2中では図示が省略されている。
【0039】
スキャンユニット3の内部には、棒状のキャリッジレール6が副走査方向Yに直交し図中矢印Xで示される主走査方向Xに延在するように配設されており、キャリッジレール6には、略筐体状のキャリッジ7がキャリッジレール6に沿って主走査方向Xに往復移動自在に支持されている。
【0040】
キャリッジ7には、図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の各色のインクを吐出する複数のノズル81が配列されたノズル面81aを有する記録ヘッド8の本体部82が複数搭載されており、各記録ヘッド8の本体部82のノズル81から前述した搬送ユニット2の搬送ベルト21上の記録媒体Sに対して各色のインクの液滴が吐出されるようになっている。
【0041】
また、図4に示すように、キャリッジ7の上端部分には、主走査方向Xに往復移動するキャリッジ7の動きにフレキシブルに変形して追従し、内部に収容した配線11や配管15を保護するケーブルベア9が連結されている。
【0042】
なお、前述したように、配管15は、各インクタンク41から各記録ヘッド8の本体部82にインクをそれぞれ供給するためのものであり、本実施形態では、ジョイント14を介してインク供給管13に連結されている。図示を省略するが、インク供給管13がそれぞれ所定の記録ヘッド8の本体部82に連結されており、配管15やインク供給管13を介して所定の色インクが記録ヘッド8の本体部82に供給されるようになっている。
【0043】
また、本実施形態では、各配管15は所定の本数ごとにそれぞれ樹脂製のチューブ16に収容されており、ケーブルベア9内には、配管15と配線11とが擦れ合わないようにそれらを区画する隔壁18が設けられている。さらに、配線11として、高速なデータ転送が可能なケーブルではなく、従来から用いられている、上記の高速転送可能なケーブルに比べれば低速でデータ転送を行うケーブル等が用いられている。
【0044】
キャリッジ7の上端には、各記録ヘッド8の本体部82の各ノズル81からのインクの液滴の吐出を制御するための各記録ヘッド8のヘッド駆動部83が基板上に構成されて配置されており、コンピュータ5から送信されてきたデータd1、d2、…やデータ転送クロックcl等が配線11やコネクタ12等を介して各ヘッド駆動部83に伝達されるようになっている。なお、図4では、記録ヘッド8のヘッド駆動部83におけるIC等の電子部品等の図示が省略されている。
【0045】
本実施形態に係る記録ヘッド8は、図5に示すように、記録ヘッド8の本体部82とヘッド駆動部83とで構成されており、ヘッド駆動部83には、図13に示したものと同様のシフトレジスタ84やデータレジスタ部85、ノズル駆動部86のほか、クロック逓倍部87や固定データ付与部88、吐出制御部89が設けられている。
【0046】
本実施形態では、シフトレジスタ84の各レジスタと、データレジスタ85の各レジスタと、記録ヘッド8の本体部82の各ノズル81とが、ノズル駆動部86を介してそれぞれ配線で電気的に接続されている。
【0047】
以下、記録ヘッド8のヘッド駆動部83における各部の構成について説明するとともに、本実施形態に係る記録ヘッド8の記録ヘッド駆動方法を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0048】
まず、ユーザによりコンピュータ5に対してインクジェット記録装置1による記録媒体Sへの画像の記録の開始が指示されると、コンピュータ5から記録ヘッド8のヘッド駆動部83に記録開始信号Tsが送信され、ヘッド駆動部83の吐出制御部89に入力される。吐出制御部89は、記録開始信号Tsが入力されると、固定データ付与部88の動作の監視を開始する。
【0049】
また、前述したように、インクジェット記録装置1のコンピュータ5から配線11を介してデータ転送クロックclが記録ヘッド8のヘッド駆動部83に送信されてくると、データ転送クロックclはクロック逓倍部87に入力される。データ転送クロックclは、前述したように、記憶ヘッド8の複数のノズル81にそれぞれ対応するデータを転送する転送タイミングを規定するクロックである。
【0050】
データ転送クロックclが入力されると、クロック逓倍部87では、そのデータ転送クロックclを逓倍するようになっている(クロック逓倍ステップS1)。本実施形態では、クロック逓倍部87には、PLL(Phase-locked loop)周波数シンセサイザ等が内蔵されており、クロック逓倍部87は、図7(A)に示すような入力されたデータ転送クロックclが入力されると、その信号周波数を2倍に逓倍して、図7(B)に示すような逓倍されたデータ転送クロックCLを固定データ付与部88とシフトレジスタ84に出力するようになっている。
【0051】
固定データ付与部88には、クロック逓倍部87から送信されてきた逓倍されたデータ転送クロックCLと、コンピュータ5から送信されてきた前記各データd1、d2、…が入力されるようになっている。そして、固定データ付与部88では、各データd1、d2、…に、逓倍されたデータ転送クロックCLの逓倍数に対応して設定された数の固定データを付与して、逓倍されたデータ転送クロックCLに割り当てるようになっている(固定データ付与ステップS2)。
【0052】
具体的には、本実施形態では、固定データは、インクを吐出しないことを意味する0に設定されており、また、固定データ付与部88は、逓倍されたデータ転送クロックCLの逓倍数(上記の場合は2)に対応して固定データの数を、逓倍数(2)から1を減算した1(=2−1)に設定する。
【0053】
すなわち、上記の場合は、各データdにそれぞれ1個ずつ0が付与されるため、固定データ付与部88は、入力された各データd1、d2、d3、…を、各データd1、0、d2、0、d3、0、…の形にする。そして、図8に示すように、固定データ(すなわち0)を付与した各データを、逓倍されたデータ転送クロックCLに割り当てるようになっている。
【0054】
そして、逓倍されたデータ転送クロックLCに割り当てられた各データおよび固定データd1、0、d2、0、d3、0、…は、固定データ付与部88から出力されてシリアル転送され、クロック逓倍部87から出力される逓倍されたデータ転送クロックLCに同期されて、一旦、シフトレジスタ84に順次格納される。
【0055】
そして、この記録ヘッド8の本体部83の全ノズル81に対応する各データd1、0、d2、0、…がシフトレジスタ84に蓄積された段階で、各データd1、0、d2、0、…がシフトレジスタ84からデータレジスタ部85に出力されて、データレジスタ部85の各レジスタに入力されるようになっている(入力ステップS3)。
【0056】
なお、データレジスタ部85では入力された各データd1、0、d2、0、…が一時的に蓄積されるようになっているが、その際、各データの順番を入れ替える等の処理が必要に応じて適宜行われる。また、シフトレジスタ84がデータレジスタ部85にデータd1、0、d2、0、…を出力して空になると、シフトレジスタ84、次の吐出タイミングで記録ヘッド8の各ノズル81からインクを吐出するための各データd1、0、d2、0、…が順次送信されて蓄積されていく。
【0057】
吐出制御部89は、前述したように、固定データ付与部88の動作を監視し、固定データ付与部88が記録ヘッド8の本体部83の全ノズル81に対応する各データd1、0、d2、0、…を出力し終わったことを確認すると、各データd1、0、d2、0、…がシフトレジスタ84の各レジスタに蓄積されたタイミングでデータレジスタ部85にデータラッチ信号Lを送信するようになっている。
【0058】
データレジスタ部85は、データラッチ信号Lを受信すると、そのタイミングでシフトレジスタ84に蓄積された固定データ0が付与された各データd1、0、d2、0、…を取り込むようになっている。そして、必要に応じて各データの順番を入れ替える等の処理が行われる。
【0059】
また、吐出制御部89は、データレジスタ部85にデータラッチ信号Lを送信した後、適宜のタイミングでノズル駆動部86に吐出タイミング信号Tを送信するようになっている。
【0060】
ノズル駆動部86は、吐出タイミング信号Tを受信すると、データレジスタ部85が取り込んだ各データd1、0、d2、0、…を一斉に、すなわちパラレルに送信させるようになっている。
【0061】
ノズル駆動部86は、各データd1、0、d2、0、…が入力されると、それらに基づいて、図15に示したような駆動波形を有するノズル駆動信号D1、0、D2、0、…を生成する。この場合、ノズル駆動信号0とは、図15に示した駆動波形においてV+、V−がともにV0に等しい波形、すなわち一定値V0(通常は0[V]に設定される。)から値が変動しない駆動波形をいい、一定値V0が印加されても、ノズル81のピエゾ素子は何ら変形しないため、そのノズル81からインクは吐出されない。
【0062】
そして、ノズル駆動部86は、記録ヘッド8の本体部82の各ノズル81の図5では図示しない各ピエゾ素子に対して生成したノズル駆動信号D1、0、D2、0、…を印加して、各ノズル81を吐出駆動させる(吐出ステップS5)。
【0063】
固定データではない各データd1、d2、…に基づいて生成されたノズル駆動信号D1、D2、…が印加されたノズル81では、ピエゾ素子が図15に示したノズル駆動信号Dの駆動波形に従って図16(A)、(B)に示したように変形して、ノズル81からノズル駆動信号D1、D2、…に応じてインクを吐出させる。しかし、前述したように、各固定データ(本実施形態では0)の各データに基づいて生成されたノズル駆動信号0、すなわち一定値V0のノズル駆動信号が印加されたノズル81では、ピエゾ素子が変形せず、ノズル81からはインクが吐出されない。
【0064】
そのため、ノズル駆動信号D1、0、D2、0、…が印加された記録ヘッド8では、インクが吐出されるノズル81と吐出されないノズル81が交互に並び、結局、1つおきのノズル81からそれぞれインクが吐出されるようになっている。
【0065】
なお、記録媒体Sに所定の画像が形成されるまで、或いは、ユーザにより画像記録の停止の指示が入力されるまで、上記の処理が繰り返される。
【0066】
次に、本実施形態に係る上記の記録ヘッド駆動方法、記録ヘッド8およびインクジェット記録装置1の作用について説明する。
【0067】
前述したように、本実施形態の記録ヘッド8のノズル81から同時に、すなわち同一の吐出タイミングでインクを吐出させる場合、図14や図16(A)、(B)に示した記録ヘッドのノズル部分のピエゾ素子の変形のしかたからも分かるように、隣接するノズル81から同時にインクを吐出することができないため、少なくとも1つおきの各ノズル81からインクを吐出させることになる。
【0068】
そして、インクを吐出する各ノズル81の間の部分のインクを吐出しない各ノズル81に対して、0でない有意なノズル駆動信号Dを印加すると、すなわち図15に示したノズル駆動信号Dの駆動波形においてV+やV−がV0でない値の波形をノズル81に印加すると、それに応じてそのノズル81のピエゾ素子が変形しようとする。そのため、それに隣接するインクを吐出するノズル81におけるピエゾ素子の正常な変形を阻害してしまい、インクを吐出すべきノズル81からの吐出異常を生じてしまう。
【0069】
そのため、インクを吐出しない各ノズル81に対して、値が0のノズル駆動信号、すなわち一定値V0のノズル駆動信号を印加するために、ノズル駆動信号の生成の基となる各データd1、d2、…の、インクを吐出しない各ノズル81に対応する部分に固定データ0を付与することが必要となる。
【0070】
その際、図9に示すように、固定データ0が付与された各データd1、0、d2、0、…をデータ転送クロックclに割り当てて記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送すれば、1つおきの各ノズル81からインクを吐出させることが可能となる。しかし、データ転送クロックclを逓倍せずに、各データd1、0、d2、0、…をデータ転送クロックclに割り当てると、図9に示したように、記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送される各データd1、0、d2、0、…が冗長になり、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数を高速化させることができない。
【0071】
そこで、データ転送クロックclを逓倍し、逓倍されたデータ転送クロックCLに各データd1、d2、…を割り当てれば1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数が高速化することが期待されるが、前述したように、単にデータ転送クロックclを逓倍するだけでは、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数は高速化されず、異常吐出が生じたり、ノズル81からインクが全く吐出されないという現象が発生する。
【0072】
これは、図10に示すように、逓倍されたデータ転送クロックCLに各データd1、d2、…を割り当てると、各データd1、d2、…がいわば2クロック分に分割されて、データd1、d1、d2、d2、d3、d3、…のように同じ値のデータが2つずつ連続するように割り当てられるためである。
【0073】
このようなデータd1、d1、d2、d2、d3、d3、…が逓倍されたデータ転送クロックCLに割り当てられて記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送されると、インクを吐出しない各ノズル81に0でない有意なノズル駆動信号Dが印加される。そのため、上記と同様に、本来変形すべきでないピエゾ素子が変形しようとして、隣接するインクを吐出するノズル81におけるピエゾ素子の正常な変形を阻害してしまい、インクを吐出すべきノズル81からの吐出異常を生じてしまう。
【0074】
一方、本実施形態のように、データ転送クロックclを逓倍し、しかも、逓倍されたデータ転送クロックCLに対して、各データd1、d2、…に固定データ0を付与して生成された各データd1、0、d2、0、…を割り当てるように構成すれば(図8参照)、図9に示したように、逓倍されないデータ転送クロックclに固定データ0が付与された各データd1、0、d2、0、…を割り当てて記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送する場合と比較して、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数を少なくとも2倍高速化することが可能となる。
【0075】
また、インクを吐出しないノズル81に対応するデータとして固定データ0が的確に付与されるため、インクを吐出しないノズル81には値が0のノズル駆動信号が的確に印加される。そのため、図10に示したように、インクを吐出しないノズル81に0でない有意なノズル駆動信号Dが印加されて、インクを吐出すべきノズル81からの吐出異常を生じてしまうことを的確に防止することが可能となる。
【0076】
なお、インクを吐出しないノズル81のチャネル(図14等のチャネル110参照)にはインクを供給せずに空にするようにすれば、そのノズル81からインクが誤って吐出されることを防止することが可能となる。また、それとともに、空のチャネルが存在することで、インクを吐出するノズル81のピエゾ素子が、他のピエゾ素子の変形の影響を受けずに互いに独立に変形することが可能となり、インクの吐出性能が向上する。
【0077】
また、上記の本実施形態のような作用は、例えば、逓倍されたデータ転送クロックCLに対して固定データ0を付与しない各データd1、d2、…を割り当てた図10に示したような各データd1、d1、d2、d2、d3、d3、…を記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送し、図11に示すように、ノズル駆動部86と各ノズル81を結ぶ配線のうち、インクを吐出しない各ノズル81の各配線を接地しておくことによっても実現することができる。
【0078】
この場合、ノズル駆動部86からは、各ノズル81に対してノズル駆動信号D1、D1、D2、D2、D3、D3、…が出力されるが、インクを吐出しない各ノズル81の各配線が接地されているため、各ノズル81には、ノズル駆動信号D1、0、D2、0、D3、0、…が印加される。そのため、インクを吐出すべき各ノズル81からはノズル駆動信号D1、D2、D3、…に応じてインクがそれぞれ吐出され、インクを吐出しない各ノズル81には値が0のノズル駆動信号が印加されるため、インクが吐出されない。
【0079】
なお、図11では、ノズル駆動部86と各ノズル81とを結ぶ各配線の一部を接地する場合を示したが、データレジスタ部85とノズル駆動部86とを結ぶ各配線の一部や、シフトレジスタ84とデータレジスタ部85とを結ぶ各配線の一部を接地するように構成しても、同様に作用させることが可能となる。
【0080】
しかし、記録ヘッド8のヘッド駆動部83の少なくともシフトレジスタ84やデータレジスタ部85、ノズル駆動部86は1つのIC内に設けられることが多いため、このように構成するためには、図11に示すようにICを改造したり、専用のICを設けることが必要となるが、ICを改造することは事実上困難であり、また、図11に示すようにICを改造したり専用のICを設けると、所定のノズル81には必ず値が0のノズル駆動信号しか印加されなくなる。
【0081】
そのため、そのような改造されたICや専用のICでは、前述したような多相(3相)駆動によって位相をずらしながら隣接する各ノズル81からインクを吐出させることができなくなり、多相(3相)駆動を行う場合には、いちいち記録ヘッド8のヘッド駆動部83のICを交換して配線しなければならなくなり、画像記録の作業が非常に煩雑になる。
【0082】
また、図8に示したように、データ転送クロックclを逓倍する処理や、逓倍されたデータ転送クロックCLに対して、各データd1、d2、…に固定データ0を付与して生成された各データd1、0、d2、0、…を割り当てる処理を、インクジェット記録装置1のコンピュータ5で行うように構成することも可能であり、その場合も本実施形態と同様に作用させることが可能となる。しかし、この場合、コンピュータ5と記録ヘッド8のヘッド駆動部83とのインターフェース等の問題があり、必ずしも容易に構成することができない。
【0083】
その点、本実施形態のように、記録ヘッド8のヘッド駆動部83側にクロック逓倍部87や固定データ付与部88等を設ければ、コンピュータ5からは、通常の場合の処理と同様に、逓倍されないデータ転送クロックclと各データd1、d2、…等を送信すればよいため、上記のような問題は生じない。また、図4に示した記録ヘッド8のヘッド駆動部83の基板を手直しして、基板上にクロック逓倍部87や固定データ付与部88等を設けて配線し直すだけでよいため、本実施形態の構成を容易に実現することが可能となる。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る記録ヘッド駆動方法、記録ヘッド8およびインクジェット記録装置1によれば、データ転送クロックclを逓倍し、かつ、逓倍されたデータ転送クロックCLに対して、各データd1、d2、…に固定データ0を付与して生成された各データd1、0、d2、0、…を割り当てるように構成した
【0085】
そのため、記録ヘッド8の1つおきのノズル81からインクを吐出させてノズル81を独立に駆動することが可能となり、高速駆動、すなわち、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数の高速化に対応することが可能となる。
【0086】
しかも、インクを吐出しないノズル81に対応するデータとして固定データ0が的確に付与されるため、インクを吐出しないノズル81には値が0のノズル駆動信号が的確に印加される。そのため、画像処理部としてのコンピュータ5から記録ヘッド8のヘッド駆動部83へのノイズ放射が遮断され、インクを吐出しないノズル81からは確実にインクが吐出されず、インクを吐出すべきノズル81からは正常にインクが吐出されるようにすることが可能となる。
【0087】
さらに、高速にデータ転送を行うことができる高価なケーブルを画像処理部であるコンピュータ5から記録ヘッド8のヘッド駆動部83までの長距離にわたって設置する必要がないため、インクジェット記録装置1のコストアップを防止することが可能となる。
【0088】
また、画像処理部であるコンピュータ5と記録ヘッド8のヘッド駆動部83とをつなぐ配線11として、高速にデータ転送を行うことが可能な高価なケーブルを用いず、従来から用いられている、上記の高速転送可能なケーブルに比べれば低速の配線11を用いても、上記のように、記録ヘッド8の1つおきのノズル81からインクを吐出させてノズル81を独立に駆動することが可能となるため、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数の高速化に十分対応することが可能となる。
【0089】
なお、コンピュータ5から記録ヘッド8のヘッド駆動部83に送信するデータ転送クロックcl自体の周波数を上げることにより、逓倍されたデータ転送クロックCLも高周波数化され、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数を高速化させることが可能となる。
【0090】
また、本実施形態では、1つおきのノズル81からインクを吐出させる場合について説明したが、この他にも、例えば2つおき等のノズル81からインクを吐出させるように構成することも可能である。
【0091】
例えば、2つおきのノズル81からインクを吐出させる場合、データ転送クロックclを3倍に逓倍し、各データd1、d2、…に逓倍数(3)から1を減算した2(=3−1)個の固定データ0を付与してデータをd1、0、0、d2、0、0、…として記録ヘッド8のシフトレジスタ84に送信することにより、本実施形態と同様にして、2つおきのノズル81からインクを吐出させるとともに、その間の2つのノズル81からはインクを吐出させず、しかも、それを高速に行うように構成することが可能となる。
【0092】
さらに、本実施形態では、上記のように、図11に示したようにノズル駆動部86と各ノズル81とを結ぶ各配線の一部等を接地するものではなく、図5に示したように、インクを吐出しないノズル81とノズル駆動部86とが配線で結ばれ、ノズル駆動部86からノズル駆動信号Dが出力されれば、そのノズル駆動信号Dがノズル81に印加されるものである。
【0093】
そのため、上記の実施形態のように1つおきのノズル81からインクを吐出させるのではなく、図17に示したような多相(3相)駆動を行いたい場合には、構造上、多相駆動を行うことも可能である。多相駆動を行う場合には、各データd1、d2、…に固定データ0は付与されず、また、その状態でデータ転送クロックclを逓倍すると図10に示した状況が生じてしまうため、逓倍しないデータ転送クロックclに各データd1、d2、…を割り当てる通常の処理に戻す必要がある(図18参照)。
【0094】
そこで、記録ヘッド8のヘッド駆動部83の基板上に図示しない転送制御部を設けてクロック逓倍部87や固定データ付与部88(図5参照)と接続するように構成することが可能である。
【0095】
そして、転送制御部からクロック逓倍部87と固定データ付与部88に信号を送信して、クロック逓倍部87でデータ転送クロックclを逓倍し、固定データ付与部88で逓倍されたデータ転送クロックCLに固定データが付与された各データd1、0、d2、0、…を割り当てて各データd1、0、d2、0、…に基づいて各ノズル81からインクを吐出させる上記の実施形態のクロック逓倍転送モードと、多相駆動等に用いるために、クロック逓倍部87ではデータ転送クロックclを逓倍せずにデータ転送クロックclをそのまま出力し、固定データ付与部88では逓倍されていないデータ転送クロックclに固定データ0が付与されていない各データd1、d2、…をそのまま割り当てて(図18参照)、各データd1、d2、…に基づいて各ノズル81からインクを吐出させる通常転送モードとを切り替えるように制御するように構成することが可能である。
【0096】
また、記録ヘッド8のヘッド駆動部83に転送制御部を設ける代わりに、インクジェット記録装置1のコンピュータ5にその機能を持たせて、コンピュータ5でクロック逓倍転送モードと通常転送モードとを切り替えるように制御するように構成することも可能である。
【0097】
このように構成すれば、転送制御部やコンピュータ5でデータの転送モードをクロック逓倍転送モードと通常転送モードとの間で切り替えて、記録ヘッド8やインクジェット記録装置1で上記の実施形態に係る記録ヘッド駆動方法と、通常の多相(3相)駆動によるノズル81からのインクの吐出方法の両方を実現することが可能となる。
【0098】
そして、高速に画像を記録することや、高精細に画像記録を行うこと等の画像記録に要求される諸条件を満たす転送モードを適宜選択して切り替えることで、的確にユーザの要求に適合する画像記録を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を表す図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置のスキャンユニット内部の主要部を表す図である。
【図3】図2のスキャンユニットにおけるキャリッジ部分の構成を表す図である。
【図4】キャリッジの上端部分に設けられた記録ヘッドのヘッド駆動部の基板や連結されたケーブルベア等の構成を表す図である。
【図5】本実施形態に係る記録ヘッドの構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る記録ヘッド駆動方法における各ステップを示すフローチャートである。
【図7】(A)逓倍される前のデータ転送クロックを示すタイミングチャートであり、(B)逓倍されたデータ転送クロックを示すタイミングチャートである。
【図8】逓倍されたデータ転送クロックとそれに割り当てられた固定データが付与された各データを示すタイミングチャートである。
【図9】逓倍されていないデータ転送クロックとそれに割り当てられた固定データが付与された各データを示すタイミングチャートである。
【図10】逓倍されたデータ転送クロックとそれに割り当てられた各データを示すタイミングチャートである。
【図11】図5の記録ヘッドにおいてノズル駆動部と各ノズルを結ぶ配線の一部が接地された構成例を示す図である。
【図12】インクジェット記録装置の構成およびデータ等の流れを示すブロック図である。
【図13】従来のヘッド駆動部を含む記録ヘッドの構成を示すブロック図である。
【図14】チャネル側すなわち内部側からノズルを見た場合の記録ヘッドのノズル部分の構成を示す図である。
【図15】ノズル駆動信号の駆動波形の例を示す図である。
【図16】インクを吐出する際のピエゾ素子の変形のしかたを表す図であり、(A)チャネルの容積が拡大した状態、(B)チャネルの容積が縮小した状態を示す。
【図17】ノズルを3相駆動する際の配線の接続状態を示す図である。
【図18】データ転送クロックとそれに割り当てられた各データを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0100】
0 固定データ
1 インクジェット記録装置
5 コンピュータ
8 記録ヘッド
81 ノズル
85 データレジスタ部
86 ノズル駆動部
87 クロック逓倍部
88 固定データ付与部
89 吐出制御部
cl データ転送クロック
CL 逓倍されたデータ転送クロック
d、d1、d2、… データ
d1、0、d2、0、… 固定データが付与された各データ
D、D1、D2、… ノズル駆動信号
L データラッチ信号
T 吐出タイミング信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッド駆動方法、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置に係り、特に、データ転送クロックを逓倍することが可能で高速記録を実現可能な記録ヘッド駆動方法、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙や布帛等の通常の記録媒体のみならず、樹脂フィルムや金属類等のインク吸収性の乏しい記録媒体に対しても画像を記録することができる画像記録装置として、記録ヘッドの一端面に設けられた複数のノズルからインクを吐出して記録媒体上に着弾させて画像を記録するインクジェット記録装置が開発されており、現在、その技術は種々の技術分野で応用されている。
【0003】
このようなインクジェット記録装置100では、図12に示すように、通常、記録媒体に記録するための画像のデータが図示しないホストコンピュータ等から送信されてくると、インクジェット記録装置100に付属するコンピュータやメモリ等の画像記憶部102に画像データを一旦保存する。そして、制御部101による制御のもと、画像処理部103で、画像データを記録ヘッドの並び方に変換する。
【0004】
そして、画像処理部103から記録ヘッド105の並び方に変換されたデータd1、d2、…が送信されてくると、ヘッド駆動部104で各データd1、d2、…に基づいて記録ヘッド105の各ノズルを吐出制御するためのノズル駆動信号D1、D2、…がそれぞれ生成されて記録ヘッド105の各ノズルに出力され、ノズル駆動信号D1、D2、…に従って各ノズルのピエゾ素子が駆動されて、各ノズルからそれぞれインクが吐出される。
【0005】
その際、ヘッド駆動部104では、図13に示すように、記録ヘッド105の各ノズル109ごとのデータd1、d2、…が、画像処理部103からクロック同期されてシリアル転送されてくると、それらのデータd1、d2、…は、一旦、シフトレジスタ106に順次蓄積される。そして、この記録ヘッド105の全ノズル109に対応する各データd1、d2、…、dnがシフトレジスタ106に蓄積されると、各データd1、d2、…は、データを一時的に記憶するデータレジスタ部107に出力される。
【0006】
シフトレジスタ106がデータレジスタ部107にデータd1、d2、…を出力して空になると、シフトレジスタ106には、次の吐出タイミングで記録ヘッド105の各ノズル109からインクを吐出するための各データが順次送信されて蓄積されていく。
【0007】
また、データレジスタ部107にデータラッチ(Data Latch)信号Lが入力されると、そのタイミングでシフトレジスタ106に蓄積されたデータd1、d2、…を取り込み、各データの順番を入れ替える等の処理が必要に応じて適宜行われる。また、データレジスタ部107に取り込まれた各データd1、d2、…は、ノズル駆動部108に吐出タイミング信号Tが送信されると、そのタイミングでデータレジスタ部107からノズル駆動部108に一斉にノズル駆動部108に出力される。
【0008】
そして、ノズル駆動部108はデータd1、d2、…に基づいてノズル駆動信号D1、D2、…をそれぞれ生成して各ノズル109に出力し、各ノズル109のピエゾ素子がノズル駆動信号Dに従って変形して各ノズル109からそれぞれインクが吐出される。
【0009】
記録ヘッド105のノズル部分は、図14に示すように、各ノズル109の背後、すなわち各ノズル109に接続する記録ヘッド105の内部側は、それぞれピエゾ素子111が設けられた側壁112により区画されたチャネル110がそれぞれ設けられている。そして、ノズル駆動部108はデータdに基づいて例えば図15のような駆動波形を有するノズル駆動信号Dを生成し、各チャネル110のピエゾ素子111にノズル駆動信号Dを印加する。
【0010】
ピエゾ素子111は、ノズル駆動信号Dの駆動波形が基準電位V0から高電位V+に上昇すると、図16(A)に示すように、チャネル110の容積を拡げるように側壁112を外側に湾曲させ、ノズル駆動信号Dの駆動波形が高電位V+から低電位V−に減少すると、図16(B)に示すように、今度はチャネル110の容積を縮小するように側壁112を内側に湾曲させて、チャネル110内のインクを押圧する。それにより、各ノズル109からそれぞれインクが吐出される。
【0011】
図14や図16(A)、(B)に示した記録ヘッド105のノズル部分のピエゾ素子111の変形のしかたからも分かるように、このようなタイプの記録ヘッド105では、インクを吐出するノズル109aのチャネル110aが拡大している際には、それに隣接するノズル109bのチャネル110bは縮小し、チャネル110aが縮小している際にはチャネル110bは拡大せざるを得ない。そのため、隣接するノズル109a、109bから同時にインクを吐出することができない。
【0012】
そのため、図17に示すように、例えば、各ノズル109を2つおきにそれぞれ配線でつないで周期ごとにA相、B相、C相の各印字パルスを印加し、印字パルスが印加されている期間だけノズル109がノズル駆動部108から出力されたノズル駆動信号D1、D2、…を受け付けるようにして、例えば、2つおきの各ノズル109からインクを順次吐出するように構成することで、全てのノズル109からインクを吐出させることができる(特許文献1、2等参照)。
【0013】
しかし、この場合、1つのノズル109から連続してインクを吐出できないことや、インクを吐出したノズル109のチャネル110が拡大した後、縮小するのを待ってからでなければそれに隣接するノズル109のチャネル110の拡大、縮小を行うことができないこと等の制約があるため、1つのノズル109からの単位時間あたりのインク吐出回数をある程度のレベルまでしか高速化することができない。
【0014】
近年、インクジェット記録装置に対しては、この単位時間あたりのインク吐出回数の高速化の要求が高まっているが、このような多相(3相)駆動の場合、その要求に応えることが難しいという問題があった。
【0015】
一方、上記のようなタイプの記録ヘッド105で、1つおきのノズル109のみからインクを吐出させ、その間の部分のノズル109からはインクを吐出させないように構成することが可能である。なお、この場合、インクを吐出しないノズル(いわゆる無効ノズル)も1つおきに存在することになる。また、無効ノズルのチャネル110には、そもそもノズルが形成されない場合もある。
【0016】
このように構成すれば、無効ノズルのチャネル110部分がいわばバッファとなり、インクの吐出を行うノズル109については、インクを吐出する他のノズル109のチャネル110の側壁112の拡大、縮小の動きに関係なく、チャネル110の側壁112を自らのインクの吐出のためだけに拡大、縮小させることが可能となり、インクの吐出を行うノズル109については、それぞれ独立にインクの吐出を行うことが可能となる。
【0017】
そして、1つのノズル109からインクを連続して吐出させることが可能となるため、多相駆動する場合とは異なり、1つのノズル109からの単位時間あたりのインク吐出回数の高速化を図ることが可能となる。
【0018】
このように、1つおきのノズル109からインクを吐出させてノズル109を独立に駆動することで高速駆動することが可能な記録ヘッド105は存在するため、このような記録ヘッド105へのデータ転送も高速駆動に対応するように構成する必要がある。
【0019】
図12に示したように、画像処理部103からヘッド駆動部104にデータd1、d2、…をシリアル転送する場合、図18に示すように、データd1、d2、…は、データ転送クロックclで規定される転送タイミングで転送されるが、その際、特許文献3に記載されているように、データ転送クロックclを逓倍し、逓倍されたデータ転送クロックに基づいてデータd1、d2、…を転送するように構成すれば、データd1、d2、…をより高速にヘッド駆動部104にシリアル転送することが可能となると考えられ、1つのノズル109からの単位時間あたりのインク吐出回数がさらに高速化されることが期待される。
【特許文献1】特開2001−301163号公報
【特許文献2】特開2004−181789号公報
【特許文献3】特開2002−370361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところが、上記のようなタイプの記録ヘッド105で1つおきのノズル109からインクを吐出させるように構成した場合は、このデータ転送クロックclを逓倍しただけでは、無効なノズルに対しても吐出を行うデータが入力されてしまうため、1つおきの各ノズル109からのインクの吐出量が異常になり(すなわち、正しく吐出されなくなり)、或いは、ノズル109からインクが全く吐出されなくなる。
【0021】
このように、1つおきのノズル109からインクを吐出させてノズル109を独立に駆動することで高速駆動することが可能な記録ヘッド105は存在するため、このような記録ヘッド105へのデータ転送も高速駆動に対応するように構成する必要があるが、上記のようなタイプの記録ヘッド105のノズル109を独立して吐出させるためには、無効ノズルに対しては吐出をしないデータも余分に転送しなければならないため、データ転送量が増大し、さらには無効ノズル分だけデータ転送量が多くなった分、データ転送クロックclを高速にしてデータ転送をより高速にすると、画像処理部103からヘッド駆動部104へのノイズ放射が多くなってしまう。
【0022】
また、高速にデータ転送を行うことができる高価なケーブルを画像処理部103からヘッド駆動部104までの長距離にわたって設置すると、ケーブルの設置に費用がかかり、画像処理部103の構成も図示しないメモリ領域などを大きくしなければならないなど、システムのコストアップにつながるという問題があった。
【0023】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、記録ヘッドのノズルから正常にインクを吐出可能で、かつ、1つのノズルからの単位時間あたりのインク吐出回数の高速化に対応することが可能な記録ヘッド駆動方法、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記の問題を解決するために、本発明の記録ヘッド駆動方法は、
複数のノズルを有するインクジェット記録装置の記録ヘッドを駆動する記録ヘッド駆動方法であって、
前記複数のノズルにそれぞれ対応するデータを転送する転送タイミングを規定するデータ転送クロックを逓倍するクロック逓倍ステップと、
前記各データに、前記逓倍されたデータ転送クロックの逓倍数に対応して設定された数の固定データを付与して、前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てる固定データ付与ステップと、
前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てられた前記固定データが付与された前記各データをデータレジスタ部の各レジスタに入力する入力ステップと、
前記データレジスタ部の各レジスタから前記固定データが付与された前記各データをノズル駆動部に出力する出力ステップと、
前記ノズル駆動部で前記固定データが付与された前記各データに基づいて生成された各ノズル駆動信号に基づいて前記各ノズルからインクを吐出する吐出ステップと、
を有することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の記憶ヘッドは、
複数のノズルを有するインクジェット記録装置の記録ヘッドであって、
前記複数のノズルにそれぞれ対応するデータを転送する転送タイミングを規定するデータ転送クロックを逓倍するクロック逓倍部と、
前記各データに、前記逓倍されたデータ転送クロックの逓倍数に対応して設定された数の固定データを付与して、前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てる固定データ付与部と、
前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てられた前記固定データが付与された前記各データを一時的に記憶するデータレジスタ部と、
前記データレジスタ部の各レジスタから出力された前記固定データが付与された前記各データに基づいて前記各ノズルに対する各ノズル駆動信号を生成して前記各ノズルを吐出駆動させるノズル駆動部と、
前記データレジスタ部にデータラッチ信号を送信して前記データレジスタ部に前記固定データが付与された前記各データを取り込ませるとともに、前記ノズル駆動部に対して吐出タイミング信号を送信する吐出制御部と、
を備え、
前記各ノズルと、前記データレジスタ部の各レジスタとが、前記ノズル駆動部を介してそれぞれ配線で電気的に接続されていることを特徴とする。
【0026】
さらに、本発明のインクジェット記録装置は、上記の本発明の記録ヘッドを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の記録ヘッド駆動方法、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置によれば、データ転送クロックを逓倍し、かつ、逓倍されたデータ転送クロックに対して、各データに固定データを付与して生成された各データを割り当てるように構成した。そのため、記録ヘッドの1つおきのノズルからインクを吐出させてノズルを独立に駆動することが可能となり、高速駆動、すなわち、1つのノズルからの単位時間あたりのインク吐出回数の高速化に対応することが可能となる。
【0028】
しかも、インクを吐出しないノズルに対応するデータとして固定データ(例えば0)が的確に付与されるため、インクを吐出しないノズルには値が例えば0のノズル駆動信号が的確に印加される。そのため、画像処理部からヘッド駆動部へのノイズ放射が遮断され、インクを吐出しないノズルからは確実にインクが吐出されず、インクを吐出すべきノズルからは正常にインクが吐出されるようにすることが可能となる。さらに、高速にデータ転送を行うことができる高価なケーブルを画像処理部からヘッド駆動部までの長距離にわたって設置する必要がないため、インクジェット記録装置のコストアップを防止することが可能となる。また、高速にデータ転送を行うことが可能な高価なケーブルを用いず、従来から用いられている、上記の高速転送可能なケーブルに比べれば低速の配線を用いても、上記の効果を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る記録ヘッド駆動方法、記録ヘッドおよびインクジェット記録装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、本実施形態に係る記録ヘッド駆動方法が適用される本発明のインクジェット記録装置および記録ヘッドの構成等について説明する。
【0030】
本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、図1に示すように、主に、搬送ユニット2と、スキャンユニット3と、インクラック4と、コンピュータ5とで構成されている。
【0031】
搬送ユニット2の上部には、図示しない記録媒体を裏面側(図中では下面側)から支持しながら図中矢印Yで示される副走査方向Yに搬送するための無端状の搬送ベルト21が配設されている。搬送ベルト21の代わりに、平板状のプラテンを用いることも可能である。なお、本実施形態では、搬送ユニット2とスキャンユニット3とは別体として形成されているが、一体的に形成することも可能である。
【0032】
記録媒体としては、前述したように、紙や布帛のほか、樹脂フィルムや金属類等を用いることが可能であり、特に限定されない。
【0033】
搬送ユニット2の搬送ベルト21上方には、スキャンユニット3が配設されているが、スキャンユニット3の背後には、後述する複数の記録ヘッド8にそれぞれ供給する各色のインク(液体)を貯蔵するインクタンク41を備えるインクラック4が配置されている。各インクタンク41からは、後述する配管15を介して各記録ヘッド8にインクがそれぞれ供給されるようになっている。
【0034】
また、スキャンユニット3の下方には、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されて構成されたコンピュータ5が配設されており、後述する配線11を介してコンピュータ5から各記録ヘッド8に前述したデータd1、d2、…や電気信号等を伝達するようになっている。
【0035】
本実施形態では、コンピュータ5は、前述した図12における制御部101や画像記憶部102、画像処理部103としても機能するように構成されている。すなわち、コンピュータ5には、画像記憶部としてHDD(Hard Disk Drive)等の図示しない記憶装置が接続されており、コンピュータ5は、図示しないホストコンピュータ等から、記録媒体に記録するための画像データが送信されてくると、記憶装置に画像データを一旦保存するようになっている。
【0036】
また、コンピュータ5は、画像処理部として、送信されてきた画像データを記録ヘッド8の並び方に変換して記録ヘッド8の各ノズル81に対する各データd1、d2、…をそれぞれ生成して、それらのデータd1、d2、…を後述する記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送するようになっている。
【0037】
さらに、コンピュータ5は、制御部として、インクジェット記録装置1を構成する各部を制御するとともに、画像処理部としてのコンピュータ5から記録ヘッド8のヘッド駆動部83にデータd1、d2、…をシリアル転送する際の転送タイミングを規定するデータ転送クロックclを設定して出力するようになっている。
【0038】
図2は、スキャンユニット内部の主要部を表す図である。なお、実際にはスキャンユニット3の図中左側の台座部上には、インクジェット記録装置1の稼働停止中に記録ヘッド8のノズル面81aをキャップして保湿するヘッド保湿ユニットがあり、図中右側の台座部上には、記録ヘッド8のメンテナンスを行うヘッドクリーニング機構等が配置されたメンテナンスユニットがあるが、図2中では図示が省略されている。
【0039】
スキャンユニット3の内部には、棒状のキャリッジレール6が副走査方向Yに直交し図中矢印Xで示される主走査方向Xに延在するように配設されており、キャリッジレール6には、略筐体状のキャリッジ7がキャリッジレール6に沿って主走査方向Xに往復移動自在に支持されている。
【0040】
キャリッジ7には、図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の各色のインクを吐出する複数のノズル81が配列されたノズル面81aを有する記録ヘッド8の本体部82が複数搭載されており、各記録ヘッド8の本体部82のノズル81から前述した搬送ユニット2の搬送ベルト21上の記録媒体Sに対して各色のインクの液滴が吐出されるようになっている。
【0041】
また、図4に示すように、キャリッジ7の上端部分には、主走査方向Xに往復移動するキャリッジ7の動きにフレキシブルに変形して追従し、内部に収容した配線11や配管15を保護するケーブルベア9が連結されている。
【0042】
なお、前述したように、配管15は、各インクタンク41から各記録ヘッド8の本体部82にインクをそれぞれ供給するためのものであり、本実施形態では、ジョイント14を介してインク供給管13に連結されている。図示を省略するが、インク供給管13がそれぞれ所定の記録ヘッド8の本体部82に連結されており、配管15やインク供給管13を介して所定の色インクが記録ヘッド8の本体部82に供給されるようになっている。
【0043】
また、本実施形態では、各配管15は所定の本数ごとにそれぞれ樹脂製のチューブ16に収容されており、ケーブルベア9内には、配管15と配線11とが擦れ合わないようにそれらを区画する隔壁18が設けられている。さらに、配線11として、高速なデータ転送が可能なケーブルではなく、従来から用いられている、上記の高速転送可能なケーブルに比べれば低速でデータ転送を行うケーブル等が用いられている。
【0044】
キャリッジ7の上端には、各記録ヘッド8の本体部82の各ノズル81からのインクの液滴の吐出を制御するための各記録ヘッド8のヘッド駆動部83が基板上に構成されて配置されており、コンピュータ5から送信されてきたデータd1、d2、…やデータ転送クロックcl等が配線11やコネクタ12等を介して各ヘッド駆動部83に伝達されるようになっている。なお、図4では、記録ヘッド8のヘッド駆動部83におけるIC等の電子部品等の図示が省略されている。
【0045】
本実施形態に係る記録ヘッド8は、図5に示すように、記録ヘッド8の本体部82とヘッド駆動部83とで構成されており、ヘッド駆動部83には、図13に示したものと同様のシフトレジスタ84やデータレジスタ部85、ノズル駆動部86のほか、クロック逓倍部87や固定データ付与部88、吐出制御部89が設けられている。
【0046】
本実施形態では、シフトレジスタ84の各レジスタと、データレジスタ85の各レジスタと、記録ヘッド8の本体部82の各ノズル81とが、ノズル駆動部86を介してそれぞれ配線で電気的に接続されている。
【0047】
以下、記録ヘッド8のヘッド駆動部83における各部の構成について説明するとともに、本実施形態に係る記録ヘッド8の記録ヘッド駆動方法を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0048】
まず、ユーザによりコンピュータ5に対してインクジェット記録装置1による記録媒体Sへの画像の記録の開始が指示されると、コンピュータ5から記録ヘッド8のヘッド駆動部83に記録開始信号Tsが送信され、ヘッド駆動部83の吐出制御部89に入力される。吐出制御部89は、記録開始信号Tsが入力されると、固定データ付与部88の動作の監視を開始する。
【0049】
また、前述したように、インクジェット記録装置1のコンピュータ5から配線11を介してデータ転送クロックclが記録ヘッド8のヘッド駆動部83に送信されてくると、データ転送クロックclはクロック逓倍部87に入力される。データ転送クロックclは、前述したように、記憶ヘッド8の複数のノズル81にそれぞれ対応するデータを転送する転送タイミングを規定するクロックである。
【0050】
データ転送クロックclが入力されると、クロック逓倍部87では、そのデータ転送クロックclを逓倍するようになっている(クロック逓倍ステップS1)。本実施形態では、クロック逓倍部87には、PLL(Phase-locked loop)周波数シンセサイザ等が内蔵されており、クロック逓倍部87は、図7(A)に示すような入力されたデータ転送クロックclが入力されると、その信号周波数を2倍に逓倍して、図7(B)に示すような逓倍されたデータ転送クロックCLを固定データ付与部88とシフトレジスタ84に出力するようになっている。
【0051】
固定データ付与部88には、クロック逓倍部87から送信されてきた逓倍されたデータ転送クロックCLと、コンピュータ5から送信されてきた前記各データd1、d2、…が入力されるようになっている。そして、固定データ付与部88では、各データd1、d2、…に、逓倍されたデータ転送クロックCLの逓倍数に対応して設定された数の固定データを付与して、逓倍されたデータ転送クロックCLに割り当てるようになっている(固定データ付与ステップS2)。
【0052】
具体的には、本実施形態では、固定データは、インクを吐出しないことを意味する0に設定されており、また、固定データ付与部88は、逓倍されたデータ転送クロックCLの逓倍数(上記の場合は2)に対応して固定データの数を、逓倍数(2)から1を減算した1(=2−1)に設定する。
【0053】
すなわち、上記の場合は、各データdにそれぞれ1個ずつ0が付与されるため、固定データ付与部88は、入力された各データd1、d2、d3、…を、各データd1、0、d2、0、d3、0、…の形にする。そして、図8に示すように、固定データ(すなわち0)を付与した各データを、逓倍されたデータ転送クロックCLに割り当てるようになっている。
【0054】
そして、逓倍されたデータ転送クロックLCに割り当てられた各データおよび固定データd1、0、d2、0、d3、0、…は、固定データ付与部88から出力されてシリアル転送され、クロック逓倍部87から出力される逓倍されたデータ転送クロックLCに同期されて、一旦、シフトレジスタ84に順次格納される。
【0055】
そして、この記録ヘッド8の本体部83の全ノズル81に対応する各データd1、0、d2、0、…がシフトレジスタ84に蓄積された段階で、各データd1、0、d2、0、…がシフトレジスタ84からデータレジスタ部85に出力されて、データレジスタ部85の各レジスタに入力されるようになっている(入力ステップS3)。
【0056】
なお、データレジスタ部85では入力された各データd1、0、d2、0、…が一時的に蓄積されるようになっているが、その際、各データの順番を入れ替える等の処理が必要に応じて適宜行われる。また、シフトレジスタ84がデータレジスタ部85にデータd1、0、d2、0、…を出力して空になると、シフトレジスタ84、次の吐出タイミングで記録ヘッド8の各ノズル81からインクを吐出するための各データd1、0、d2、0、…が順次送信されて蓄積されていく。
【0057】
吐出制御部89は、前述したように、固定データ付与部88の動作を監視し、固定データ付与部88が記録ヘッド8の本体部83の全ノズル81に対応する各データd1、0、d2、0、…を出力し終わったことを確認すると、各データd1、0、d2、0、…がシフトレジスタ84の各レジスタに蓄積されたタイミングでデータレジスタ部85にデータラッチ信号Lを送信するようになっている。
【0058】
データレジスタ部85は、データラッチ信号Lを受信すると、そのタイミングでシフトレジスタ84に蓄積された固定データ0が付与された各データd1、0、d2、0、…を取り込むようになっている。そして、必要に応じて各データの順番を入れ替える等の処理が行われる。
【0059】
また、吐出制御部89は、データレジスタ部85にデータラッチ信号Lを送信した後、適宜のタイミングでノズル駆動部86に吐出タイミング信号Tを送信するようになっている。
【0060】
ノズル駆動部86は、吐出タイミング信号Tを受信すると、データレジスタ部85が取り込んだ各データd1、0、d2、0、…を一斉に、すなわちパラレルに送信させるようになっている。
【0061】
ノズル駆動部86は、各データd1、0、d2、0、…が入力されると、それらに基づいて、図15に示したような駆動波形を有するノズル駆動信号D1、0、D2、0、…を生成する。この場合、ノズル駆動信号0とは、図15に示した駆動波形においてV+、V−がともにV0に等しい波形、すなわち一定値V0(通常は0[V]に設定される。)から値が変動しない駆動波形をいい、一定値V0が印加されても、ノズル81のピエゾ素子は何ら変形しないため、そのノズル81からインクは吐出されない。
【0062】
そして、ノズル駆動部86は、記録ヘッド8の本体部82の各ノズル81の図5では図示しない各ピエゾ素子に対して生成したノズル駆動信号D1、0、D2、0、…を印加して、各ノズル81を吐出駆動させる(吐出ステップS5)。
【0063】
固定データではない各データd1、d2、…に基づいて生成されたノズル駆動信号D1、D2、…が印加されたノズル81では、ピエゾ素子が図15に示したノズル駆動信号Dの駆動波形に従って図16(A)、(B)に示したように変形して、ノズル81からノズル駆動信号D1、D2、…に応じてインクを吐出させる。しかし、前述したように、各固定データ(本実施形態では0)の各データに基づいて生成されたノズル駆動信号0、すなわち一定値V0のノズル駆動信号が印加されたノズル81では、ピエゾ素子が変形せず、ノズル81からはインクが吐出されない。
【0064】
そのため、ノズル駆動信号D1、0、D2、0、…が印加された記録ヘッド8では、インクが吐出されるノズル81と吐出されないノズル81が交互に並び、結局、1つおきのノズル81からそれぞれインクが吐出されるようになっている。
【0065】
なお、記録媒体Sに所定の画像が形成されるまで、或いは、ユーザにより画像記録の停止の指示が入力されるまで、上記の処理が繰り返される。
【0066】
次に、本実施形態に係る上記の記録ヘッド駆動方法、記録ヘッド8およびインクジェット記録装置1の作用について説明する。
【0067】
前述したように、本実施形態の記録ヘッド8のノズル81から同時に、すなわち同一の吐出タイミングでインクを吐出させる場合、図14や図16(A)、(B)に示した記録ヘッドのノズル部分のピエゾ素子の変形のしかたからも分かるように、隣接するノズル81から同時にインクを吐出することができないため、少なくとも1つおきの各ノズル81からインクを吐出させることになる。
【0068】
そして、インクを吐出する各ノズル81の間の部分のインクを吐出しない各ノズル81に対して、0でない有意なノズル駆動信号Dを印加すると、すなわち図15に示したノズル駆動信号Dの駆動波形においてV+やV−がV0でない値の波形をノズル81に印加すると、それに応じてそのノズル81のピエゾ素子が変形しようとする。そのため、それに隣接するインクを吐出するノズル81におけるピエゾ素子の正常な変形を阻害してしまい、インクを吐出すべきノズル81からの吐出異常を生じてしまう。
【0069】
そのため、インクを吐出しない各ノズル81に対して、値が0のノズル駆動信号、すなわち一定値V0のノズル駆動信号を印加するために、ノズル駆動信号の生成の基となる各データd1、d2、…の、インクを吐出しない各ノズル81に対応する部分に固定データ0を付与することが必要となる。
【0070】
その際、図9に示すように、固定データ0が付与された各データd1、0、d2、0、…をデータ転送クロックclに割り当てて記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送すれば、1つおきの各ノズル81からインクを吐出させることが可能となる。しかし、データ転送クロックclを逓倍せずに、各データd1、0、d2、0、…をデータ転送クロックclに割り当てると、図9に示したように、記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送される各データd1、0、d2、0、…が冗長になり、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数を高速化させることができない。
【0071】
そこで、データ転送クロックclを逓倍し、逓倍されたデータ転送クロックCLに各データd1、d2、…を割り当てれば1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数が高速化することが期待されるが、前述したように、単にデータ転送クロックclを逓倍するだけでは、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数は高速化されず、異常吐出が生じたり、ノズル81からインクが全く吐出されないという現象が発生する。
【0072】
これは、図10に示すように、逓倍されたデータ転送クロックCLに各データd1、d2、…を割り当てると、各データd1、d2、…がいわば2クロック分に分割されて、データd1、d1、d2、d2、d3、d3、…のように同じ値のデータが2つずつ連続するように割り当てられるためである。
【0073】
このようなデータd1、d1、d2、d2、d3、d3、…が逓倍されたデータ転送クロックCLに割り当てられて記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送されると、インクを吐出しない各ノズル81に0でない有意なノズル駆動信号Dが印加される。そのため、上記と同様に、本来変形すべきでないピエゾ素子が変形しようとして、隣接するインクを吐出するノズル81におけるピエゾ素子の正常な変形を阻害してしまい、インクを吐出すべきノズル81からの吐出異常を生じてしまう。
【0074】
一方、本実施形態のように、データ転送クロックclを逓倍し、しかも、逓倍されたデータ転送クロックCLに対して、各データd1、d2、…に固定データ0を付与して生成された各データd1、0、d2、0、…を割り当てるように構成すれば(図8参照)、図9に示したように、逓倍されないデータ転送クロックclに固定データ0が付与された各データd1、0、d2、0、…を割り当てて記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送する場合と比較して、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数を少なくとも2倍高速化することが可能となる。
【0075】
また、インクを吐出しないノズル81に対応するデータとして固定データ0が的確に付与されるため、インクを吐出しないノズル81には値が0のノズル駆動信号が的確に印加される。そのため、図10に示したように、インクを吐出しないノズル81に0でない有意なノズル駆動信号Dが印加されて、インクを吐出すべきノズル81からの吐出異常を生じてしまうことを的確に防止することが可能となる。
【0076】
なお、インクを吐出しないノズル81のチャネル(図14等のチャネル110参照)にはインクを供給せずに空にするようにすれば、そのノズル81からインクが誤って吐出されることを防止することが可能となる。また、それとともに、空のチャネルが存在することで、インクを吐出するノズル81のピエゾ素子が、他のピエゾ素子の変形の影響を受けずに互いに独立に変形することが可能となり、インクの吐出性能が向上する。
【0077】
また、上記の本実施形態のような作用は、例えば、逓倍されたデータ転送クロックCLに対して固定データ0を付与しない各データd1、d2、…を割り当てた図10に示したような各データd1、d1、d2、d2、d3、d3、…を記録ヘッド8のヘッド駆動部83にシリアル転送し、図11に示すように、ノズル駆動部86と各ノズル81を結ぶ配線のうち、インクを吐出しない各ノズル81の各配線を接地しておくことによっても実現することができる。
【0078】
この場合、ノズル駆動部86からは、各ノズル81に対してノズル駆動信号D1、D1、D2、D2、D3、D3、…が出力されるが、インクを吐出しない各ノズル81の各配線が接地されているため、各ノズル81には、ノズル駆動信号D1、0、D2、0、D3、0、…が印加される。そのため、インクを吐出すべき各ノズル81からはノズル駆動信号D1、D2、D3、…に応じてインクがそれぞれ吐出され、インクを吐出しない各ノズル81には値が0のノズル駆動信号が印加されるため、インクが吐出されない。
【0079】
なお、図11では、ノズル駆動部86と各ノズル81とを結ぶ各配線の一部を接地する場合を示したが、データレジスタ部85とノズル駆動部86とを結ぶ各配線の一部や、シフトレジスタ84とデータレジスタ部85とを結ぶ各配線の一部を接地するように構成しても、同様に作用させることが可能となる。
【0080】
しかし、記録ヘッド8のヘッド駆動部83の少なくともシフトレジスタ84やデータレジスタ部85、ノズル駆動部86は1つのIC内に設けられることが多いため、このように構成するためには、図11に示すようにICを改造したり、専用のICを設けることが必要となるが、ICを改造することは事実上困難であり、また、図11に示すようにICを改造したり専用のICを設けると、所定のノズル81には必ず値が0のノズル駆動信号しか印加されなくなる。
【0081】
そのため、そのような改造されたICや専用のICでは、前述したような多相(3相)駆動によって位相をずらしながら隣接する各ノズル81からインクを吐出させることができなくなり、多相(3相)駆動を行う場合には、いちいち記録ヘッド8のヘッド駆動部83のICを交換して配線しなければならなくなり、画像記録の作業が非常に煩雑になる。
【0082】
また、図8に示したように、データ転送クロックclを逓倍する処理や、逓倍されたデータ転送クロックCLに対して、各データd1、d2、…に固定データ0を付与して生成された各データd1、0、d2、0、…を割り当てる処理を、インクジェット記録装置1のコンピュータ5で行うように構成することも可能であり、その場合も本実施形態と同様に作用させることが可能となる。しかし、この場合、コンピュータ5と記録ヘッド8のヘッド駆動部83とのインターフェース等の問題があり、必ずしも容易に構成することができない。
【0083】
その点、本実施形態のように、記録ヘッド8のヘッド駆動部83側にクロック逓倍部87や固定データ付与部88等を設ければ、コンピュータ5からは、通常の場合の処理と同様に、逓倍されないデータ転送クロックclと各データd1、d2、…等を送信すればよいため、上記のような問題は生じない。また、図4に示した記録ヘッド8のヘッド駆動部83の基板を手直しして、基板上にクロック逓倍部87や固定データ付与部88等を設けて配線し直すだけでよいため、本実施形態の構成を容易に実現することが可能となる。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る記録ヘッド駆動方法、記録ヘッド8およびインクジェット記録装置1によれば、データ転送クロックclを逓倍し、かつ、逓倍されたデータ転送クロックCLに対して、各データd1、d2、…に固定データ0を付与して生成された各データd1、0、d2、0、…を割り当てるように構成した
【0085】
そのため、記録ヘッド8の1つおきのノズル81からインクを吐出させてノズル81を独立に駆動することが可能となり、高速駆動、すなわち、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数の高速化に対応することが可能となる。
【0086】
しかも、インクを吐出しないノズル81に対応するデータとして固定データ0が的確に付与されるため、インクを吐出しないノズル81には値が0のノズル駆動信号が的確に印加される。そのため、画像処理部としてのコンピュータ5から記録ヘッド8のヘッド駆動部83へのノイズ放射が遮断され、インクを吐出しないノズル81からは確実にインクが吐出されず、インクを吐出すべきノズル81からは正常にインクが吐出されるようにすることが可能となる。
【0087】
さらに、高速にデータ転送を行うことができる高価なケーブルを画像処理部であるコンピュータ5から記録ヘッド8のヘッド駆動部83までの長距離にわたって設置する必要がないため、インクジェット記録装置1のコストアップを防止することが可能となる。
【0088】
また、画像処理部であるコンピュータ5と記録ヘッド8のヘッド駆動部83とをつなぐ配線11として、高速にデータ転送を行うことが可能な高価なケーブルを用いず、従来から用いられている、上記の高速転送可能なケーブルに比べれば低速の配線11を用いても、上記のように、記録ヘッド8の1つおきのノズル81からインクを吐出させてノズル81を独立に駆動することが可能となるため、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数の高速化に十分対応することが可能となる。
【0089】
なお、コンピュータ5から記録ヘッド8のヘッド駆動部83に送信するデータ転送クロックcl自体の周波数を上げることにより、逓倍されたデータ転送クロックCLも高周波数化され、1つのノズル81からの単位時間あたりのインク吐出回数を高速化させることが可能となる。
【0090】
また、本実施形態では、1つおきのノズル81からインクを吐出させる場合について説明したが、この他にも、例えば2つおき等のノズル81からインクを吐出させるように構成することも可能である。
【0091】
例えば、2つおきのノズル81からインクを吐出させる場合、データ転送クロックclを3倍に逓倍し、各データd1、d2、…に逓倍数(3)から1を減算した2(=3−1)個の固定データ0を付与してデータをd1、0、0、d2、0、0、…として記録ヘッド8のシフトレジスタ84に送信することにより、本実施形態と同様にして、2つおきのノズル81からインクを吐出させるとともに、その間の2つのノズル81からはインクを吐出させず、しかも、それを高速に行うように構成することが可能となる。
【0092】
さらに、本実施形態では、上記のように、図11に示したようにノズル駆動部86と各ノズル81とを結ぶ各配線の一部等を接地するものではなく、図5に示したように、インクを吐出しないノズル81とノズル駆動部86とが配線で結ばれ、ノズル駆動部86からノズル駆動信号Dが出力されれば、そのノズル駆動信号Dがノズル81に印加されるものである。
【0093】
そのため、上記の実施形態のように1つおきのノズル81からインクを吐出させるのではなく、図17に示したような多相(3相)駆動を行いたい場合には、構造上、多相駆動を行うことも可能である。多相駆動を行う場合には、各データd1、d2、…に固定データ0は付与されず、また、その状態でデータ転送クロックclを逓倍すると図10に示した状況が生じてしまうため、逓倍しないデータ転送クロックclに各データd1、d2、…を割り当てる通常の処理に戻す必要がある(図18参照)。
【0094】
そこで、記録ヘッド8のヘッド駆動部83の基板上に図示しない転送制御部を設けてクロック逓倍部87や固定データ付与部88(図5参照)と接続するように構成することが可能である。
【0095】
そして、転送制御部からクロック逓倍部87と固定データ付与部88に信号を送信して、クロック逓倍部87でデータ転送クロックclを逓倍し、固定データ付与部88で逓倍されたデータ転送クロックCLに固定データが付与された各データd1、0、d2、0、…を割り当てて各データd1、0、d2、0、…に基づいて各ノズル81からインクを吐出させる上記の実施形態のクロック逓倍転送モードと、多相駆動等に用いるために、クロック逓倍部87ではデータ転送クロックclを逓倍せずにデータ転送クロックclをそのまま出力し、固定データ付与部88では逓倍されていないデータ転送クロックclに固定データ0が付与されていない各データd1、d2、…をそのまま割り当てて(図18参照)、各データd1、d2、…に基づいて各ノズル81からインクを吐出させる通常転送モードとを切り替えるように制御するように構成することが可能である。
【0096】
また、記録ヘッド8のヘッド駆動部83に転送制御部を設ける代わりに、インクジェット記録装置1のコンピュータ5にその機能を持たせて、コンピュータ5でクロック逓倍転送モードと通常転送モードとを切り替えるように制御するように構成することも可能である。
【0097】
このように構成すれば、転送制御部やコンピュータ5でデータの転送モードをクロック逓倍転送モードと通常転送モードとの間で切り替えて、記録ヘッド8やインクジェット記録装置1で上記の実施形態に係る記録ヘッド駆動方法と、通常の多相(3相)駆動によるノズル81からのインクの吐出方法の両方を実現することが可能となる。
【0098】
そして、高速に画像を記録することや、高精細に画像記録を行うこと等の画像記録に要求される諸条件を満たす転送モードを適宜選択して切り替えることで、的確にユーザの要求に適合する画像記録を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を表す図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置のスキャンユニット内部の主要部を表す図である。
【図3】図2のスキャンユニットにおけるキャリッジ部分の構成を表す図である。
【図4】キャリッジの上端部分に設けられた記録ヘッドのヘッド駆動部の基板や連結されたケーブルベア等の構成を表す図である。
【図5】本実施形態に係る記録ヘッドの構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る記録ヘッド駆動方法における各ステップを示すフローチャートである。
【図7】(A)逓倍される前のデータ転送クロックを示すタイミングチャートであり、(B)逓倍されたデータ転送クロックを示すタイミングチャートである。
【図8】逓倍されたデータ転送クロックとそれに割り当てられた固定データが付与された各データを示すタイミングチャートである。
【図9】逓倍されていないデータ転送クロックとそれに割り当てられた固定データが付与された各データを示すタイミングチャートである。
【図10】逓倍されたデータ転送クロックとそれに割り当てられた各データを示すタイミングチャートである。
【図11】図5の記録ヘッドにおいてノズル駆動部と各ノズルを結ぶ配線の一部が接地された構成例を示す図である。
【図12】インクジェット記録装置の構成およびデータ等の流れを示すブロック図である。
【図13】従来のヘッド駆動部を含む記録ヘッドの構成を示すブロック図である。
【図14】チャネル側すなわち内部側からノズルを見た場合の記録ヘッドのノズル部分の構成を示す図である。
【図15】ノズル駆動信号の駆動波形の例を示す図である。
【図16】インクを吐出する際のピエゾ素子の変形のしかたを表す図であり、(A)チャネルの容積が拡大した状態、(B)チャネルの容積が縮小した状態を示す。
【図17】ノズルを3相駆動する際の配線の接続状態を示す図である。
【図18】データ転送クロックとそれに割り当てられた各データを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0100】
0 固定データ
1 インクジェット記録装置
5 コンピュータ
8 記録ヘッド
81 ノズル
85 データレジスタ部
86 ノズル駆動部
87 クロック逓倍部
88 固定データ付与部
89 吐出制御部
cl データ転送クロック
CL 逓倍されたデータ転送クロック
d、d1、d2、… データ
d1、0、d2、0、… 固定データが付与された各データ
D、D1、D2、… ノズル駆動信号
L データラッチ信号
T 吐出タイミング信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有するインクジェット記録装置の記録ヘッドを駆動する記録ヘッド駆動方法であって、
前記複数のノズルにそれぞれ対応するデータを転送する転送タイミングを規定するデータ転送クロックを逓倍するクロック逓倍ステップと、
前記各データに、前記逓倍されたデータ転送クロックの逓倍数に対応して設定された数の固定データを付与して、前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てる固定データ付与ステップと、
前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てられた前記固定データが付与された前記各データをデータレジスタ部の各レジスタに入力する入力ステップと、
前記データレジスタ部の各レジスタから前記固定データが付与された前記各データをノズル駆動部に出力する出力ステップと、
前記ノズル駆動部で前記固定データが付与された前記各データに基づいて生成された各ノズル駆動信号に基づいて前記各ノズルからインクを吐出する吐出ステップと、
を有することを特徴とする記録ヘッド駆動方法。
【請求項2】
複数のノズルを有するインクジェット記録装置の記録ヘッドであって、
前記複数のノズルにそれぞれ対応するデータを転送する転送タイミングを規定するデータ転送クロックを逓倍するクロック逓倍部と、
前記各データに、前記逓倍されたデータ転送クロックの逓倍数に対応して設定された数の固定データを付与して、前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てる固定データ付与部と、
前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てられた前記固定データが付与された前記各データを一時的に記憶するデータレジスタ部と、
前記データレジスタ部の各レジスタから出力された前記固定データが付与された前記各データに基づいて前記各ノズルに対する各ノズル駆動信号を生成して前記各ノズルを吐出駆動させるノズル駆動部と、
前記データレジスタ部にデータラッチ信号を送信して前記データレジスタ部に前記固定データが付与された前記各データを取り込ませるとともに、前記ノズル駆動部に対して吐出タイミング信号を送信する吐出制御部と、
を備え、
前記各ノズルと、前記データレジスタ部の各レジスタとが、前記ノズル駆動部を介してそれぞれ配線で電気的に接続されていることを特徴とする記録ヘッド。
【請求項3】
さらに、前記データ転送クロックを逓倍し、前記逓倍されたデータ転送クロックに前記固定データが付与された前記各データを割り当てて前記固定データが付与された前記各データに基づいて前記各ノズルからインクを吐出させるクロック逓倍転送モードと、前記データ転送クロックを逓倍せずに、前記データ転送クロックに前記各データを割り当てて前記各データに基づいて前記各ノズルからインクを吐出させる通常転送モードとを切り替えるように制御する転送制御部を備えることを特徴とする請求項2に記載の記録ヘッド。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の記録ヘッドを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項2に記載の記録ヘッドを備え、
さらに、前記データ転送クロックを逓倍し、前記逓倍されたデータ転送クロックに前記固定データが付与された前記各データを割り当てて前記固定データが付与された前記各データに基づいて前記各ノズルからインクを吐出させるクロック逓倍転送モードと、前記データ転送クロックを逓倍せずに、前記データ転送クロックに前記各データを割り当てて前記各データに基づいて前記各ノズルからインクを吐出させる通常転送モードとを切り替えるように制御するコンピュータを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項1】
複数のノズルを有するインクジェット記録装置の記録ヘッドを駆動する記録ヘッド駆動方法であって、
前記複数のノズルにそれぞれ対応するデータを転送する転送タイミングを規定するデータ転送クロックを逓倍するクロック逓倍ステップと、
前記各データに、前記逓倍されたデータ転送クロックの逓倍数に対応して設定された数の固定データを付与して、前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てる固定データ付与ステップと、
前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てられた前記固定データが付与された前記各データをデータレジスタ部の各レジスタに入力する入力ステップと、
前記データレジスタ部の各レジスタから前記固定データが付与された前記各データをノズル駆動部に出力する出力ステップと、
前記ノズル駆動部で前記固定データが付与された前記各データに基づいて生成された各ノズル駆動信号に基づいて前記各ノズルからインクを吐出する吐出ステップと、
を有することを特徴とする記録ヘッド駆動方法。
【請求項2】
複数のノズルを有するインクジェット記録装置の記録ヘッドであって、
前記複数のノズルにそれぞれ対応するデータを転送する転送タイミングを規定するデータ転送クロックを逓倍するクロック逓倍部と、
前記各データに、前記逓倍されたデータ転送クロックの逓倍数に対応して設定された数の固定データを付与して、前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てる固定データ付与部と、
前記逓倍されたデータ転送クロックに割り当てられた前記固定データが付与された前記各データを一時的に記憶するデータレジスタ部と、
前記データレジスタ部の各レジスタから出力された前記固定データが付与された前記各データに基づいて前記各ノズルに対する各ノズル駆動信号を生成して前記各ノズルを吐出駆動させるノズル駆動部と、
前記データレジスタ部にデータラッチ信号を送信して前記データレジスタ部に前記固定データが付与された前記各データを取り込ませるとともに、前記ノズル駆動部に対して吐出タイミング信号を送信する吐出制御部と、
を備え、
前記各ノズルと、前記データレジスタ部の各レジスタとが、前記ノズル駆動部を介してそれぞれ配線で電気的に接続されていることを特徴とする記録ヘッド。
【請求項3】
さらに、前記データ転送クロックを逓倍し、前記逓倍されたデータ転送クロックに前記固定データが付与された前記各データを割り当てて前記固定データが付与された前記各データに基づいて前記各ノズルからインクを吐出させるクロック逓倍転送モードと、前記データ転送クロックを逓倍せずに、前記データ転送クロックに前記各データを割り当てて前記各データに基づいて前記各ノズルからインクを吐出させる通常転送モードとを切り替えるように制御する転送制御部を備えることを特徴とする請求項2に記載の記録ヘッド。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の記録ヘッドを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項2に記載の記録ヘッドを備え、
さらに、前記データ転送クロックを逓倍し、前記逓倍されたデータ転送クロックに前記固定データが付与された前記各データを割り当てて前記固定データが付与された前記各データに基づいて前記各ノズルからインクを吐出させるクロック逓倍転送モードと、前記データ転送クロックを逓倍せずに、前記データ転送クロックに前記各データを割り当てて前記各データに基づいて前記各ノズルからインクを吐出させる通常転送モードとを切り替えるように制御するコンピュータを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−131764(P2010−131764A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307129(P2008−307129)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(305002394)コニカミノルタIJ株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
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