説明

記録メディア搬送装置及びインクジェット記録装置

【課題】シワや浮きを発生させずに記録メディアを搬送することができる記録メディア搬送装置及びインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】ドラム方式で用紙(記録メディア)Pを搬送する用紙搬送装置において、用紙Pの先端を把持する把持爪300をドラムの回転方向に沿って移動可能に設ける。把持爪300は、バネでドラムの回転方向下流側に付勢し、原点位置でロックする。用紙Pを把持後、ロックを解除すると、バネの付勢力で把持爪300が前進し、用紙Pが引っ張られる。これにより、用紙Pにテンションが付与され、用紙Pの変形が矯正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録メディア搬送装置及びインクジェット記録装置に係り、特に枚葉紙をドラム搬送する技術、及び、ドラム搬送される枚葉紙にインクジェット方式で記録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用の印刷用紙(一般のオフセット印刷などで使用される用紙(いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする用紙))に水性インク(水及び水に可溶な溶媒に染料、顔料などの色材を溶解又は分散させたインク)を用いてインクジェット方式で画像を記録すると、用紙に変形(カールやコックリング(波打ち))が生じるという問題がある。このように用紙に変形が生じると、裏面への印刷時にシワや浮きが発生しやすくなり、画像品質が低下したり、用紙がヘッドに接触したりするという問題が発生する。
【0003】
特許文献1には、用紙をドラム搬送するインクジェット記録装置において、ドラムからドラムに用紙を受け渡す際、吸引機能を有するガイド板で用紙の裏面をガイドすることにより、用紙にバックテンションを付与して、用紙にシワや浮きの発生を防止する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、用紙を給紙部に給紙するスイング装置において、用紙を加えて搬送する爪を湾曲可能な爪軸に搭載し、爪軸を湾曲させた状態で用紙を受け取り、給紙する段階で爪軸を真っ直ぐな状態に戻すことにより、用紙の歪みを補正する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−220954号公報
【特許文献2】特開2006−341435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ガイド板でガイドする際、用紙の裏面が擦られながら搬送されるため、両面印刷すると、印刷済みの画像を傷付けてしまうという欠点がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術では、用紙を搬送する過程で用紙の歪みを補正しているため、用紙を給紙した後、その歪みが元に戻るおそれがある。また、爪が搭載された爪軸の全体を撓ませているため、局所的に発生している個々の歪みは補正できないという欠点もある。さらに、全体を強制的に変形させるため、必要以上の力が用紙に作用するという問題もある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、シワや浮きを発生させずに用紙を搬送することができる記録メディア搬送装置及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するための手段は、次のとおりである。
【0010】
[1]記録メディア搬送装置の第1の態様は、枚葉の記録メディアが周面に巻き付けられるドラムと、前記記録メディアを前記ドラムの周面上で保持する保持手段と、前記ドラムを回転駆動するドラム駆動手段と、前記ドラムの周面に幅方向に沿って一列に配置され、前記記録メディアの先端を把持する複数の把持爪と、前記保持手段で前記記録メディアを保持した状態で前記各把持爪を前記ドラムの回転方向に沿って前進させて、前記記録メディアに前記ドラムの回転方向に沿う方向のテンションを付与するテンション付与手段と、を備える。
【0011】
本態様によれば、記録メディアがドラムの周面に巻き付けられて、保持手段に保持されると、記録メディアの先端を把持した把持爪が、ドラムの回転方向に沿って前進(ドラムの回転方向に対して下流側に移動)して、記録メディアにテンションを付与する。これにより、記録メディアの先端がドラムの回転方向に引っ張られ、記録メディアの先端部に生じている変形(歪み)が除去される。また、これにより、記録メディアがドラムの周面に密着して、シワや浮きの発生が防止される。
【0012】
[2]記録メディア搬送装置の第2の態様は、上記第1の態様の記録メディア搬送装置において、前記保持手段が、前記記録メディアを前記ドラムの周面に吸着させて保持する。
【0013】
本態様によれば、記録メディアは吸着によりドラムの周面に保持される。吸着は、たとえば、空気圧(負圧)を利用する方式(真空吸着方式)、静電気を利用する方式(静電吸着方式)を採用することができる。
【0014】
[3]記録メディア搬送装置の第3の態様は、上記第1の態様の記録メディア搬送装置において、前記保持手段が、前記記録メディアを前記ドラムの周面に押し付けて保持する。
【0015】
本態様によれば、記録メディアはドラムの周面に押し付けられて、ドラムの周面に保持される。たとえば、ローラで記録メディアの表面を押圧して、記録メディアをドラムの周面に保持する。ローラで押圧することにより、ドラムへの密着性をより高めることができる。
【0016】
[4]記録メディア搬送装置の第4の態様は、上記第1から3のいずれか1の態様の記録メディア搬送装置において、前記テンション付与手段が、前記各把持爪を前記ドラムの回転方向に沿って前後移動可能に支持する把持爪支持手段と、前記各把持爪を前記ドラムの回転方向の下流側に向けて付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢力に抗して前記各把持爪を原点位置にロックするロック手段と、を備え、前記ロック手段によるロックを解除することにより、前記各把持爪を前記ドラムの回転方向に沿って前進させて、前記記録メディアに前記ドラムの回転方向に沿う方向のテンションを付与する。
【0017】
本態様によれば、各把持爪がドラムの回転方向に沿って移動可能に支持されるとともに、付勢手段によってドラムの回転方向の下流側(記録メディアの搬送方向の前側)に付勢される。各把持爪は、ロック手段によって、原点位置で保持され、ロック手段によるロックを解除(アンロック)すると、付勢手段の付勢力でドラムの回転方向下流側に移動する(ドラムの回転方向(記録メディアの搬送方向)に沿って前進する。)。したがって、原点位置に位置させた状態で記録メディアを把持し、所定位置でロックを解除すれば、所定位置で把持爪をドラムの回転方向に沿って前進させることができる。そして、これにより、ドラムの回転方向に沿う方向のテンションを記録メディアに付与することができる。
【0018】
[5]記録メディア搬送装置の第5の態様は、上記第4の態様の記録メディア搬送装置において、前記把持爪支持手段が、前記各把持爪を個別に前後移動可能に支持し、前記付勢手段が、前記各把持爪を個別に付勢する。
【0019】
本態様によれば、各把持爪が、個別に前後移動可能に支持され、かつ、個別に付勢される。これにより、部分的に発生している記録メディアの変形に併せて、個々の把持爪で適切に記録メディアを引っ張ることができ、記録メディアに生じている変形を適切に是正することができる。
【0020】
[6]記録メディア搬送装置の第6の態様は、上記第4又は5の態様の記録メディア搬送装置において、前記ロック手段が、カム機構で構成され、前記ドラムの回転に連動して、所定位置で前記各把持爪をロック/アンロックするように構成される。
【0021】
本態様によれば、ロック手段がカム機構で構成され、ドラムの回転に連動して、把持爪をロック/アンロックする。これにより、所定位置で確実に把持爪をロック、アンロックさせることができる。
【0022】
[7]記録メディア搬送装置の第7の態様は、上記第1から6のいずれか1の態様の記録メディア搬送装置において、前記各把持爪が、カム機構で開閉され、前記ドラムの回転に連動して、所定位置で開閉するように構成される。
【0023】
本態様によれば、各把持爪が、カム機構で開閉し、ドラムの回転に連動して、開閉するように構成される。これにより、所定位置で確実に記録メディアの受け取り、受け渡しを行うことができる。
【0024】
[8]記録メディア搬送装置の第8の態様は、上記第1から7のいずれか1の態様の記録メディア搬送装置において、前記把持爪が、前記ドラムの幅方向の中心を挟んで左右対称に配置され、前記テンション付与手段は、前記ドラムの幅方向の中心部に配置される前記把持爪を除いて、前記各把持爪を前記ドラムの回転方向に沿って前進させることにより、前記記録メディアに前記ドラムの回転方向に沿う方向のテンションを付与し、前記ドラムに巻き付けられて搬送される前記記録メディアの幅方向の中心部の先端位置を検出する先端検出手段を更に備える。
【0025】
本態様によれば、ドラムによって搬送される記録メディアの先端位置が先端検出手段によって検出される。これにより、ドラムによって搬送される記録メディアの先端の位置を把握することができる。この際、記録メディアは、幅方向の中心部が被検出部とされる。この被検出部の位置が変化するのを防止するため、記録メディアの中心部を把持する把持爪が固定される。これにより、安定して記録メディアの先端を検出することができる。
【0026】
[9]記録メディア搬送装置の第9の態様は、上記第1から8のいずれか1の態様の記録メディア搬送装置において、前記テンション付与手段が、前記ドラムの幅方向の両端部に配置される前記各把持爪を前記ドラムの回転方向に沿って前進させて、前記記録メディアに前記ドラムの回転方向に沿う方向のテンションを付与する。
【0027】
本態様によれば、ドラムの幅方向の両端部に配置される把持爪のみが前後移動可能に設けられ、記録メディアの幅方向の両端部でのみテンションが付与される。シワや浮きは、記録メディアの幅方向の両端部で顕著に現れるので、記録メディアの幅方向の両端部で記録メディアにテンションを付与することにより、簡単な構成で記録メディアに生じるシワや浮きを効果的に防止することができる。
【0028】
[10]インクジェット記録装置の一態様は、上記1から9のいずれか1の態様の記録メディア搬送装置と、前記記録メディア搬送装置の前記ドラムによって搬送される前記記録メディアにインクを吐出して画像を記録するインクジェットヘッドと、を備える。
【0029】
本態様によれば、記録メディアにシワや浮きを生じさせずに搬送することができるので、高品質な画像を記録することができる。また、インクジェットヘッドへの記録メディアの接触も防止することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、シワや浮きを発生させずに記録メディアを搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】インクジェット記録装置の一実施形態を表す全体構成図
【図2】インクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図
【図3】画像記録部の構成を示す側面図
【図4】画像記録ドラムの構成を示す斜視図
【図5】把持爪及びその開閉機構の構成を示す側面断面図
【図6】爪開閉用カムの構成を示す側面図
【図7】把持爪及びそのテンション付与機構の構成を示す側面断面図
【図8】爪台ロック用カムの構成を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0033】
《インクジェット記録装置の全体構成》
図1は本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態を表す全体構成図である。
【0034】
このインクジェット記録装置10は、紫外線硬化性の水性インクを用いて枚葉の用紙Pにインクジェット方式で印刷する装置であり、用紙Pを給紙する給紙部20と、用紙Pの印刷面(表面)に所定の処理液を塗布する処理液塗布部30と、用紙Pの印刷面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインク滴をインクジェットヘッドで打滴して、カラー画像を記録する画像記録部40と、画像が記録された用紙Pを乾燥処理するインク乾燥部50と、画像を定着させる定着部60と、用紙Pを回収する回収部70とを備えて構成される。
【0035】
処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部には、それぞれ用紙Pの搬送手段として、搬送ドラム31、41、51、61が備えられる。用紙Pは、この搬送ドラム31、41、51、61によって、処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部を搬送される。
【0036】
各搬送ドラム31、41、51、61は、用紙幅に対応した円筒状に形成され、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、反時計回りに回転)。用紙Pは、各搬送ドラム31、41、51、61の周面に巻き付けられて搬送される。各搬送ドラム31、41、51、61の周面にはグリッパが備えられる。用紙Pは、このグリッパに先端部を把持されて搬送される。
【0037】
処理液塗布部30と画像記録部40の間、画像記録部40とインク乾燥部50の間、インク乾燥部50と定着部60の間には、それぞれ渡し胴80、90、100が配置される。用紙Pは、この渡し胴80、90、100によって、各部の間(各搬送ドラムの間)を搬送される。
【0038】
各渡し胴80、90、100は、用紙幅に対応した円筒状の枠体で構成され、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、時計回りに回転)。各渡し胴80、90、100の外周部には、グリッパが備えられる。用紙Pは、このグリッパに先端部を把持されて搬送される。
【0039】
各渡し胴80、90、100の下部には、用紙Pの搬送経路に沿って円弧状のガイド板82、92、102が配設される。渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、このガイド板82、92、102に裏面(印刷面の反対側の面)をガイドされながら搬送される。
【0040】
また、各渡し胴80、90、100の内部には、熱風送風機84、94、104が配置される(本例では、用紙Pの搬送経路に沿って3台配置されている。)。熱風送風機84、94、104は、渡し胴80によって搬送される用紙Pに向けて熱風を吹き出す。このため、用紙Pは、各渡し胴80、90、100によって搬送される過程で乾燥処理が施される。
【0041】
給紙部20から給紙された用紙Pは、搬送ドラム31→渡し胴80→搬送ドラム41→渡し胴90→搬送ドラム51→渡し胴100→搬送ドラム61の順で搬送され、最後に回収部70で回収される。用紙Pは、回収部70で回収されるまでの間に所要の処理が施されて、印刷面に画像が記録される。
【0042】
以下、本実施の形態のインクジェット記録装置10の各部の構成について詳説する。
【0043】
〈給紙部〉
給紙部20は、枚葉の用紙Pを1枚ずつ周期的に給紙する。この給紙部20は、主として、給紙装置21と、給紙トレイ22と、渡し胴23とを備えて構成される。
【0044】
給紙装置21は、図示しないマガジンにスタックされた用紙Pを上側から順に1枚ずつ給紙トレイ22に給紙する。
【0045】
給紙トレイ22は、給紙装置21から給紙された用紙Pを渡し胴23に向けて送り出す。
【0046】
渡し胴23は、給紙トレイ22から送り出された用紙Pを受け取り、回転して、処理液塗布部30の搬送ドラム31に受け渡す。
【0047】
枚葉の記録メディアとしての用紙Pは、特に限定されないが、一般のオフセット印刷などで使用される汎用の印刷用紙(いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする用紙)を用いることができる。本例では塗工紙が用いられる。塗工紙は、一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙などが好適に用いられる。
【0048】
ここで、一般の印刷用紙に水性インクを用いてインクジェット方式で画像を記録すると、フェザリングやブリーディング等が発生し、画像の品位が損なわれるという問題がある。本実施の形態のインクジェット記録装置10では、次の処理液塗布部30で所定の処理液を用紙Pに塗布して、これを防止する。
【0049】
〈処理液塗布部〉
処理液塗布部30は、用紙Pの印刷面に所定の処理液を塗布する。この処理液塗布部30は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「処理液塗布ドラム」という。)31と、その処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に所定の処理液を塗布する塗布装置32とを備えて構成される。
【0050】
処理液塗布ドラム31は、給紙部20の渡し胴23から用紙Pを受け取り(グリッパで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
【0051】
塗布装置32は、たとえば、ローラ塗布装置で構成され、用紙Pの印刷面に処理液をローラ塗布する。具体的には、周面に処理液が付与された塗布ローラを処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に押圧当接させて、用紙Pの印刷面に一定の厚さで処理液を塗布する。なお、塗布装置32は、この他、インクジェットヘッドを用いて塗布する方式や、スプレーで塗布する方式なども採用することができる。
【0052】
塗布装置32で塗布する処理液は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む液体で構成される。凝集剤としては、インク組成物のpHを変化させることができる化合物であっても、多価金属塩であっても、ポリアリルアミン類であってもよい。pHを低下させ得る化合物としては、水溶性の高い酸性物質(リン酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、若しくは、これらの化合物の誘導体、又は、これらの塩等)が好適に挙げられる。酸性物質は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。これにより、凝集性を高め、インク全体を固定化することができる。また、インク組成物のpH(25℃)は、8.0以上であって、処理液のpH(25℃)は、0.5〜4の範囲が好ましい。これにより、画像濃度、解像度及びインクジェット記録の高速化を図ることができる。また、処理液には、添加剤を含有することができる。たとえば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤を含有することができる。
【0053】
このような処理液を用紙Pの印刷面に事前に塗布して印刷することにより、フェザリングやブリーディング等の発生を防止でき、一般の印刷用紙を使用しても、高品位な画像を記録することができる。
【0054】
以上の構成の処理液塗布部30において、用紙Pは、処理液塗布ドラム31に保持されて、所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で塗布装置32によって印刷面に処理液が塗布される。
【0055】
印刷面に処理液が塗布された用紙Pは、その後、所定位置で処理液塗布ドラム31から渡し胴80に受け渡される。そして、渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、画像記録部40の搬送ドラム41に受け渡される。
【0056】
ここで、上記のように、渡し胴80には、その内部に熱風送風機84が設置されており、ガイド板82に向けて熱風が吹き出されている。用紙Pは、この渡し胴80によって処理液塗布部30から画像記録部40に搬送される過程で印刷面に熱風が吹き当てられて、乾燥処理される(印刷面に塗布された処理液中の溶媒成分が蒸発除去される。)。
【0057】
〈画像記録部〉
画像記録部40は、用紙Pの印刷面にC、M、Y、Kの各色のインク滴を打滴して、用紙Pの印刷面にカラー画像を描画する。この画像記録部40は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「画像記録ドラム」という。)41と、用紙Pの印刷面を押圧して、用紙Pの裏面を画像記録ドラム41の周面に密着させる用紙押さえローラ42と、用紙Pの浮きを検出する用紙浮き検出センサ43と、用紙PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出して、画像を描画するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kと、用紙Pの先端位置を検出する先端検出センサ45とを備えて構成される。
【0058】
画像記録ドラム41は、渡し胴80から用紙Pを受け取り(グリッパで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
【0059】
ここで、この画像記録ドラム41には、用紙Pの平坦性を向上させるため、吸着保持機能が備えられる。すなわち、用紙Pを周面に吸着して保持する機能が備えられる。用紙Pを周面に吸着させる方法は、静電気を利用して吸着する方法や、空気圧(負圧)を利用する方法などの公知の方法を用いることができる。ここでは空気圧(負圧)を用いる方法が採用される。この場合、画像記録ドラム41は、周面に多数の吸着穴が形成され、吸引機構(内部を吸引(バキューム)する機構)が備えられる。画像記録ドラム41は、この吸着穴から内部に空気を吸引することにより、周面に巻き付けられる用紙Pを周面に吸着保持する。
【0060】
また、この画像記録ドラム41には、用紙Pの先端部の歪みを矯正するため、テンション付与機構が備えられる。テンション付与機構は、用紙Pの先端を前方(画像記録ドラム41の回転方向の下流方向)に引っ張ることにより、用紙Pにテンションを付与する。このように、用紙Pの先端を引っ張ることにより、用紙Pの先端部の歪みが矯正され、シワや浮きの発生を防止することができる。このテンション付与機構については、後に詳述する。
【0061】
用紙押さえローラ42は、画像記録ドラム41の幅とほぼ同じ幅で構成され、画像記録ドラム41の用紙の受取位置X1(渡し胴80から用紙Pを受け取る位置)の近傍に配置される。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、この用紙押さえローラ42にニップされることにより、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着される。
【0062】
用紙浮き検出センサ43は、用紙押さえローラ42を通過した用紙Pの浮きを検出する(画像記録ドラム41の外周面からの一定以上の浮きを検出する。)。この用紙浮き検出センサ43は、レーザ光を投光するレーザ投光器と、そのレーザ光を受光するレーザ受光器とで構成される。
【0063】
レーザ投光器は、画像記録ドラム41の一端から他端に向けて画像記録ドラム41の軸と平行なレーザ光を画像記録ドラム41の外周面から所定高さの位置(浮きの許容範囲の上限の高さの位置)に投光する。
【0064】
レーザ受光器は、画像記録ドラム41による用紙Pの走行経路を挟んでレーザ投光器と対向して配置され、レーザ投光器から投光されたレーザ光を受光する。
【0065】
画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pに許容値以上の浮きが生じていると、レーザ投光器から投光されたレーザ光が用紙Pに遮光される。この結果、レーザ受光器で受光されるレーザ光の受光量が低下する。用紙浮き検出センサ43は、このレーザ受光器で受光されるレーザ光の受光量を検出して、用紙Pの浮きを検出する。すなわち、レーザ受光器で受光されたレーザ光の受光量と閾値とを比較して、閾値以下の場合に浮き(許容値以上の浮き)が発生したと判定する。
【0066】
許容値以上の浮きが検出されると、画像記録ドラム41の回転が停止され、用紙Pの搬送が停止される。
【0067】
なお、用紙浮き検出センサ43は、レーザ投光器から投光するレーザ光の高さ(画像記録ドラム41の外周面からの高さ)を調整することができるように構成される。これにより、浮きの許容範囲を任意に設定することができる。
【0068】
4台のインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙浮き検出センサ43の後段に配されており、用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔で配置されている。このインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙幅に対応したラインヘッドで構成されており、そのノズル面に形成されたノズル列から、画像記録ドラム41に向けて対応する色のインク滴を吐出する。
【0069】
本実施の形態のインクジェット記録装置10で使用するインクは、紫外線硬化型の水性インクであり、顔料、ポリマー粒子及び活性エネルギー線により重合する水溶性の重合性化合物を含有する。紫外線硬化型の水性インクは、紫外線(UV)を照射することで硬化することができ、耐察性に優れ、膜強度が高いという性質を有する。
【0070】
顔料は、その表面の少なくとも一部がポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料が用いられる。ポリマー分散剤は、酸価が25〜1000(KOHmg/g)のポリマー分散剤が用いられる。自己分散性の安定性が良好、かつ、処理液が接触したときの凝集性が良好になる。ポリマー粒子は、酸価が20〜50(KOHmg/g)の自己分散性ポリマー粒子が用いられる。自己分散性の安定性が良好、かつ、処理液が接触したときの凝集性が良好になる。重合性化合物としては、凝集剤と顔料、ポリマー粒子との反応を妨げない点でノニオン性又はカチオン性の重合性化合物が好ましく、水に対する溶解度が10質量%以上(更には15質量%以上)の重合性化合物を用いることが好ましい。
【0071】
また、インクは、活性エネルギー線により重合性化合物の重合を開始する開始剤を含有する。開始剤は、活性エネルギー線により重合反応を開始し得る化合物を適宜選択して含有することができ、たとえば、放射線若しくは光又は電子線により活性種(ラジカル、酸、塩基など)を発生する開始剤(たとえば、光重合開始剤等)を用いることができる。なお、開始剤は処理液に含有させることもでき、インクと処理液の少なくとも一方に含有させればよい。
【0072】
また、インクは水を50〜70質量%含有する。また、インクには添加剤を含有することができる。たとえば、水溶性有機溶媒や乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤を含有することができる。
【0073】
先端検出センサ45は、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pの先端位置を検出する。具体的には、先端検出センサ45は、光学式のセンサで構成され、所定の基準ラインを通過する用紙Pの先端を非接触で検出する。基準ラインは、用紙Pの受取位置X1(渡し胴80から用紙Pを受け取る位置)と用紙押さえローラ42の設置位置X3との間に設定され、画像記録ドラム41の軸と平行に設定される。先端検出センサ45は、用紙Pの先端が、この基準ラインを通過したことを検出する。これにより、印刷位置を正確に合わせることができる。
【0074】
ここで、先端検出センサ45は、画像記録ドラム41の幅方向の中心において、用紙Pが基準ラインを通過したことを検出する。すなわち、先端検出センサ45が、用紙Pを検出するスポット(検出箇所)は、画像記録ドラム41の幅方向の中央に設定される。したがって、用紙Pは、幅方向の中心を基準にして先端が検出される。
【0075】
以上の構成の画像記録部40において、用紙Pは、画像記録ドラム41によって所定の搬送経路を搬送される。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、基準ラインを通過することにより、先端検出センサ45で先端が検出される。次に、用紙押さえローラ42でニップされて、画像記録ドラム41の周面に密着される。次に、用紙浮き検出センサ43によって、浮きの有無が検出される。その後、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインク滴が印刷面に打滴されて、印刷面にカラー画像が描画される。
【0076】
ここで、上記のように、画像記録ドラム41にはテンション付与機構が備えられており、用紙Pにテンションを付与することができる。テンション付与機構は、用紙Pの先端が用紙押さえローラ42を通過後、用紙浮き検出センサ43の検出箇所に到達する前に用紙Pの先端を前方(搬送方向下流側)に引っ張ることにより、用紙Pにテンションを付与する。これにより、用紙浮き検出センサ43で用紙Pの浮きを検出する前に用紙Pの先端部で生じるシワや浮きを矯正することができる。
【0077】
なお、用紙浮き検出センサ43によって用紙Pの浮きが検出されると、搬送が停止される。これにより、浮いた用紙Pが、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのノズル面に接触するのを防止することができる。
【0078】
上記のように、本例のインクジェット記録装置10では、各色ともに水性インクが使用される。このような水性インクを用いた場合であっても、上記のように、用紙Pには処理液が塗布されているので、一般の印刷用紙を用いた場合であっても、高品位な印刷を行うことができる。
【0079】
画像が描画された用紙Pは、渡し胴90に受け渡される。そして、渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50の搬送ドラム51に受け渡される。
【0080】
ここで、上記のように、渡し胴90には、その内部に熱風送風機94が設置されており、ガイド板92に向けて熱風が吹き出されている。画像記録後の用紙Pの乾燥処理は、後段のインク乾燥部50で行われるが、用紙Pは、この渡し胴90による搬送時にも乾燥処理が施される。
【0081】
なお、図示されていないが、この画像記録部40には、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのメンテナンスを行うメンテナンス部が備えられており、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、必要に応じてメンテナンス部に移動して、所要のメンテナンスができるように構成されている。
【0082】
〈インク乾燥部〉
インク乾燥部50は、画像記録後の用紙Pを乾燥処理する。すなわち、用紙Pに残存する液体成分を乾燥させて除去する。このインク乾燥部50は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「インク乾燥ドラム」という。)51と、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに対して乾燥処理を施すインク乾燥装置52とで構成される。
【0083】
インク乾燥ドラム51は、渡し胴90から用紙Pを受け取り(グリッパで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
【0084】
インク乾燥装置52は、たとえば、熱風送風機で構成され(本例では用紙Pの搬送経路に沿って配設された3台の熱風送風機で構成)、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに向けて熱風(たとえば、80℃)を吹き付ける。
【0085】
以上の構成のインク乾燥部50において、用紙Pは、インク乾燥ドラム51によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で印刷面にインク乾燥装置52から熱風が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される(溶媒成分が蒸発除去される。)。
【0086】
インク乾燥装置52を通過した用紙Pは、その後、所定位置でインク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、渡し胴100によって所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の搬送ドラム61に受け渡される。
【0087】
なお、上記のように、渡し胴100には、その内部に熱風送風機104が設置されており、ガイド板102に向けて熱風が吹き出されている。したがって、用紙Pは、この渡し胴100での搬送時にも乾燥処理が施される。
【0088】
〈定着部〉
定着部60は、用紙Pを加熱加圧して、印刷面に画像記録された画像を定着させる。この定着部60は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「定着ドラム」という。)61と、用紙Pの印刷面に紫外線を当てる紫外線照射光源62と、印刷後の用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、印刷された画像を撮像するインラインセンサ64とで構成される。
【0089】
定着ドラム61は、渡し胴100から用紙Pを受け取り(グリッパで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
【0090】
紫外線照射光源62は、定着ドラム61によって搬送される用紙Pの印刷面に紫外線(UV)を照射して、処理液とインクとの凝集体を固化させる。
【0091】
インラインセンサ64は、温度計、湿度計、CCDラインセンサ等を備え、定着ドラム61によって搬送される用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、用紙Pに印刷された画像を読み取る。このインラインセンサ64の検出結果に基づいて、装置の異常やヘッドの吐出不良等がチェックされる。
【0092】
以上の構成の定着部60において、用紙Pは、定着ドラム61によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で紫外線照射光源62から印刷面に紫外線が照射され、処理液とインクとの凝集体が固化される。
【0093】
定着処理が施された用紙Pは、この後、所定位置で定着ドラム61から回収部70へと受け渡される。
【0094】
〈回収部〉
回収部70は、一連の印刷処理が行われた用紙Pをスタッカ71に積み重ねて回収する。この回収部70は、主として、用紙Pを回収するスタッカ71と、定着部60で定着処理された用紙Pを定着ドラム61から受け取り、所定の搬送経路を搬送して、スタッカ71に排紙する排紙コンベア72とで構成される。
【0095】
定着部60で定着処理された用紙Pは、定着ドラム61から排紙コンベア72に受け渡され、その排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に回収される。
【0096】
《制御系》
図2は、本実施の形態のインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0097】
同図に示すように、インクジェット記録装置10は、システムコントローラ200、通信部201、画像メモリ202、搬送制御部203、給紙制御部204、処理液塗布制御部205、画像記録制御部206、インク乾燥制御部207、定着制御部208、回収制御部209、操作部210、表示部211等を備えている。
【0098】
システムコントローラ200は、インクジェット記録装置10の各部を統括制御する制御手段として機能するとともに、各種演算処理を行う演算手段として機能する。このシステムコントローラ200は、CPU、ROM、RAM等を備えており、所定の制御プログラムに従って動作する。ROMには、このシステムコントローラ200が、実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが格納されている。
【0099】
通信部201は、所要の通信インターフェースを備え、その通信インターフェースと接続されたホストコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
【0100】
画像メモリ202は、画像データを含む各種データの一時記憶手段として機能し、システムコントローラ200を通じてデータの読み書きが行われる。通信部201を介してホストコンピュータから取り込まれた画像データは、この画像メモリ202に格納される。
【0101】
搬送制御部203は、処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部における用紙Pの搬送手段である搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動を制御する。すなわち、各搬送ドラム31、41、51、61を駆動するモータを制御するとともに、各渡し胴80、90、100を駆動するモータを制御する。また、各渡し胴80、90、100には、熱風送風機84、94、104が備えられているので、その駆動(加熱量と送風量)を制御する。この搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動は、システムコントローラ200からの指令に応じて制御される。
【0102】
給紙制御部204は、システムコントローラ200からの指令に応じて給紙部20を構成する各部(給紙装置21、渡し胴23等)の駆動を制御する。
【0103】
処理液塗布制御部205は、システムコントローラ200からの指令に応じて処理液塗布部30を構成する各部(塗布装置32等)の駆動を制御する。
【0104】
画像記録制御部206は、システムコントローラ200からの指令に応じて画像記録部40を構成する各部(用紙浮き検出センサ43、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44K等)の駆動を制御する。
【0105】
インク乾燥制御部207は、システムコントローラ200からの指令に応じてインク乾燥部50を構成する各部(インク乾燥装置52等)の駆動を制御する。
【0106】
定着制御部208は、システムコントローラ200からの指令に応じて定着部60を構成する各部(紫外線照射光源62、インラインセンサ64等)の駆動を制御する。
【0107】
回収制御部209は、システムコントローラ200からの指令に応じて回収部70を構成する各部(排紙コンベア72等)の駆動を制御する。
【0108】
操作部210は、所要の操作手段(たとえば、操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備えており、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ200に出力する。システムコントローラ200は、この操作部210から入力された操作情報に応じて各種処理を実行する。
【0109】
表示部211は、所要の表示装置(たとえば、LCDパネル等)を備えており、システムコントローラ200からの指令に応じて所要の情報を表示装置に表示させる。
【0110】
上記のように、用紙に記録する画像データは、ホストコンピュータから通信部201を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、画像メモリ202に格納される。システムコントローラ200は、この画像メモリ202に格納された画像データに所要の信号処理を施してドットデータを生成し、生成したドットデータに従って画像記録部40の各インクジェットヘッドの駆動を制御することにより、その画像データが表す画像を用紙に記録する。
【0111】
ドットデータは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置10で使用するインクの各色のインク量データに変換する処理である(本例では、C、M、Y、Kの各色のインク量データに変換する。)。ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色のインク量データに対して誤差拡散等の処理で各色のドットデータに変換する処理である。
【0112】
システムコントローラ200は、画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って各色のドットデータを生成する。そして、生成した各色のドットデータに従って、対応するインクジェットヘッドの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を用紙に記録する。
【0113】
《印刷動作》
次に、上記のインクジェット記録装置10による印刷動作について概説する。
【0114】
システムコントローラ200から給紙装置21に給紙指令が出力されると、給紙装置21から給紙トレイ22に用紙Pが給紙される。給紙トレイ22に給紙された用紙Pは、渡し胴23を介して処理液塗布部30の処理液塗布ドラム31に受け渡される。
【0115】
処理液塗布ドラム31に受け渡された用紙Pは、処理液塗布ドラム31によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程で塗布装置32によって印刷面に処理液が塗布される。
【0116】
処理液が塗布された用紙Pは、処理液塗布ドラム31から渡し胴80に受け渡される。そして、その渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、画像記録部40の画像記録ドラム41に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴80による搬送過程で渡し胴80の内部に設置された熱風送風機84から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に塗布された処理液が乾燥される。
【0117】
渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、先端検出センサ45によって先端が検出された後、用紙押さえローラ42にニップされて、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着される。
【0118】
用紙押さえローラ42を通過した用紙Pは、グリッパGによって先端部が引っ張られて、先端部の歪みが矯正された後、用紙浮き検出センサ43によって浮きの有無が検出される。ここで、用紙Pの浮きが検出されると、搬送が停止される。一方、浮きが検出されない場合は、そのままインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kに向けて搬送される。そして、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの下を通過する際、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインク滴が吐出されて、印刷面にカラー画像が描画される。
【0119】
画像が描画された用紙Pは、画像記録ドラム41から渡し胴90に受け渡される。そして、その渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50のインク乾燥ドラム51に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴90による搬送過程で渡し胴90の内部に設置された熱風送風機94から印刷面に熱気が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される。
【0120】
インク乾燥ドラム51に受け渡された用紙Pは、インク乾燥ドラム51によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程でインク乾燥装置52から熱風が印刷面に吹き付けられて、印刷面に残存する液体成分が乾燥される。
【0121】
乾燥処理された用紙Pは、インク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、その渡し胴100によって所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の定着ドラム61に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴100による搬送過程で渡し胴100の内部に設置された熱風送風機104から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に付与されたインクが、さらに乾燥される。
【0122】
定着ドラム61に受け渡された用紙Pは、定着ドラム61によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で印刷面に紫外線が照射され、描画された画像が用紙Pに定着される。用紙Pは、この後、定着ドラム61から回収部70の排紙コンベア72に受け渡され、排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に排紙される。
【0123】
以上のように、本例のインクジェット記録装置10では、用紙Pをドラム搬送し、その搬送過程で用紙Pに対し、処理液の塗布、乾燥、インク滴の打滴、乾燥、定着の各処理を施して、用紙Pに所定の画像を記録する。
【0124】
《画像記録部における用紙搬送機構の詳細》
[用紙搬送機構の構成]
図3は、画像記録部の構成を示す側面図である。上記のように、画像記録部40は、用紙Pを搬送する画像記録ドラム41と、その画像記録ドラム41に搬送される用紙Pをニップして、画像記録ドラム41の周面に密着させる用紙押さえローラ42と、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pの浮きを検出する用紙浮き検出センサ43と、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pにインク滴を吐出するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kと、用紙Pの先端を検出する先端検出センサ45とを構成される。
【0125】
画像記録ドラム41は、渡し胴80によって搬送される用紙Pを所定の受取位置X1で受け取り、軸回りに回転して、用紙Pを円弧状の搬送経路に沿って搬送する。この際、用紙Pを外周面上に吸着保持して搬送する。すなわち、画像記録ドラム41の周面には、多数の吸着穴が形成されており、この吸着穴を介して内部から空気を吸引することにより、外周面上に巻き掛けられた用紙Pを吸着保持する。
【0126】
なお、本実施の形態の画像記録ドラム41では、吸着の作動範囲が限定されており、所定の吸着開始位置から吸着終了位置の範囲でのみ吸着が作動する。ここで、吸着開始位置は、受取位置X1から一定距離離れた位置(一定角度回転した位置)に設定され、吸着終了位置は用紙Pの受渡位置X2(渡し胴90に用紙Pを受け渡す位置)に設定される。したがって、用紙Pは、受取位置X1から一定距離搬送された後、吸着が開始される。
【0127】
また、画像記録ドラム41は、図4に示すように、その外周部にグリッパGを備える。グリッパGは、開閉可能な複数の把持爪300で構成される。把持爪300は、画像記録ドラム41の幅方向に沿って1列に並んで配置(画像記録ドラム41の軸と平行に配置)されるとともに、画像記録ドラム41の幅方向の中心を挟んで左右対称に配置される。用紙Pは、この把持爪300で先端部を把持される。
【0128】
また、画像記録ドラム41は、グリッパGで把持された用紙Pの先端を引っ張って、用紙Pにテンションを付与するテンション付与機構を備える。テンション付与機構は、用紙Pを把持した把持爪300を前方に移動させることにより、用紙Pの先端部を引っ張り、用紙Pにテンションを付与する。
【0129】
このグリッパG及びテンション付与機構の構成については、後に詳述する。
【0130】
用紙押さえローラ42は、画像記録ドラム41の幅とほぼ同じ幅を有するゴムローラ(外周部がゴムで被覆されたローラ)で構成され、所定のニップ位置に設置される。ニップ位置は受取位置X1の近傍に設置される。本例では吸着開始位置に設定されている。また、用紙押さえローラ42は、その軸が画像記録ドラム41の軸と平行に設置され、図示しない付勢手段によって、その外周面を画像記録ドラム41の外周面に押圧当接させて設置される。
【0131】
受取位置X1で画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、吸着開始位置まで搬送されると、用紙押さえローラ42にニップされて、画像記録ドラム41の外周面に密着される。また、これと同時に吸引が開始される。
【0132】
用紙浮き検出センサ43は、用紙押さえローラ42を通過した用紙Pの浮きを検出する。したがって、用紙浮き検出センサ43は、用紙押さえローラ42の後段(画像記録ドラム41による用紙Pの搬送方向の下流側)に設置される。
【0133】
この用紙浮き検出センサ43は、レーザ光を投光するレーザ投光器と、そのレーザ光を受光するレーザ受光器とで構成される。
【0134】
レーザ投光器は、画像記録ドラム41の幅方向の一端から他端に向けて画像記録ドラム41の軸と平行なレーザ光を画像記録ドラム41の外周面から所定高さの位置(浮きの許容範囲の上限の高さの位置)に投光する。
【0135】
レーザ受光器は、画像記録ドラム41による用紙Pの走行経路を挟んでレーザ投光器と対向して配置され、レーザ投光器から投光されたレーザ光を受光する。レーザ受光器は、受光したレーザ光の受光量を検出し、その検出結果をシステムコントローラ200に出力する。
【0136】
システムコントローラ200は、得られた受光量の情報に基づいて、用紙Pの浮きを検出する。すなわち、用紙Pに許容値以上の浮きが生じると、レーザ投光器から投光されるレーザ光が用紙Pに遮られる。この結果、レーザ受光器で受光されるレーザ光の受光量が低下する。システムコントローラ200は、このレーザ受光器で受光されるレーザ光の受光量と閾値とを比較し、受光量が閾値以下になった場合に浮き(許容値以上の浮き)が発生したと判定する。
【0137】
システムコントローラ200は、許容値以上の浮きを検出すると、画像記録ドラム41の回転を停止し、用紙Pの搬送を停止する。これにより、浮いた用紙Pが、インクジェットヘッドのノズル面に接触するのを防止することができる。
【0138】
なお、用紙浮き検出センサ43は、レーザ投光器とレーザ受光器との間で投光・受光するレーザ光の高さ(画像記録ドラム41の外周面からの高さ)を調整可能に構成される。これにより、用紙Pの厚さ等に応じて、浮きの許容範囲を任意に設定することができる。
【0139】
投光・受光するレーザ光の高さの調整は、たとえば、レーザ投光器とレーザ受光器の設置高さを変えることにより行われる。この他、レーザ投光器とレーザ受光器の前に角度調整可能な透明平行平板(たとえば、硝子平行平板)を設置し、屈折を利用して、投光・受光するレーザ光の高さの調整を調整することもできる(透明平行平板をレーザ光に対して直交して配置すれば、レーザ光は直進するが、傾けて設置することにより、入射時と出射時に屈折して、高さの調整を行うことができる。)。
【0140】
また、レーザ投光器とレーザ受光器の前段にアパーチャを設置することにより、不要な光を排除でき、より高精度な検出を行うことができる。
【0141】
先端検出センサ45は、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pの先端位置を検出する。上記のように、先端検出センサ45は、光学式のセンサで構成され、所定の基準ラインを通過する用紙Pの先端を非接触で検出する。基準ラインは、用紙の受取位置X1と用紙押さえローラ42の設置位置X3との間に設定され、画像記録ドラム41の軸と平行に設定される。先端検出センサ45は、用紙Pの先端が、この基準ラインを通過したことを検出する。この際、先端検出センサ45は、画像記録ドラム41の幅方向の中心部を用紙Pの先端の検出箇所とし、用紙Pの先端を検出する。すなわち、用紙Pは、幅方向の中心を基準にして、先端が検出される。
【0142】
〈グリッパ及びテンション付与機構の構成〉
図3及び図4に示すように、画像記録ドラム41は、周面の一部に凹部41Aが形成される。凹部41Aは、溝状に形成され、画像記録ドラム41の軸と平行に形成される。グリッパGは、この凹部41Aに収容して設置される。
【0143】
上記のように、グリッパGは、用紙Pの先端を把持する開閉可能な複数の把持爪300で構成される。把持爪300は、画像記録ドラム41の幅方向(軸方向)に1列に並んで配置され、画像記録ドラム41の幅方向の中心を挟んで左右対称に配置される。
【0144】
把持爪300は、爪台302と爪304とで構成され、爪台302に対して爪304が進退移動することにより開閉する。把持爪300は、この爪台302と爪304との間に用紙Pの先端を挟んで把持する。この把持爪300の開閉はカム機構によって行われる。
【0145】
図5は、把持爪及びその開閉機構の構成を示す側面断面図である(図4において、右側から見た側面断面図)。なお、同図(a)は、把持爪が閉じた状態、同図(b)は、把持爪が開いた状態を示している。
【0146】
爪台302は、主として、爪台基部302Aと、爪台胴部302Bと、爪台頭部302Cとで構成される。
【0147】
爪台基部302Aは、所定の内径、外径を有する円筒状に形成され、軸方向に所定の幅をもって形成される。
【0148】
爪台胴部302Bは、爪台基部302Aと同じ幅を有する角柱状に形成される。爪台胴部302Bは、その基端部が爪台基部302Aの外周部に連結されて、爪台基部302Aに一体的に形成される。爪台基部302Aに連結された爪台胴部302Bは、爪台基部302Aの中心軸に対して直交して配置される。
【0149】
爪台頭部302Cは、爪台胴部302Bと同じ幅を有する直方体状に形成される。爪台頭部302Cは、爪台胴部302Bの先端に配置されて、爪台胴部302Bの先端に一体的に形成される。爪台頭部302Cは、その後端部(画像記録ドラム41の回転方向の上流側の端部)が、爪台胴部302Bの背面(画像記録ドラム41の回転方向の上流側の端面)から所定量突出して設けられる。
【0150】
また、爪台頭部302Cの前面(画像記録ドラム41の回転方向の下流側の端面)は、爪台胴部302Bの前面(画像記録ドラム41の回転方向の下流側の端面)と同じ面を成すように形成される。
【0151】
爪台302は、爪台頭部302Cの上面(先端の端面)302C1が用紙Pの載置面とされる。爪台302は、この載置面302C1の上に用紙Pが載置される。そして、この載置面302C1に載置された用紙Pの先端を爪304との間で挟んで把持する。
【0152】
爪台302は、画像記録ドラム41の軸と平行に配置された爪台揺動軸306に取り付けられる。爪台302は、爪台基部302Aの内周部に爪台揺動軸306を通すことにより、爪台揺動軸306に取り付けられる。
【0153】
爪304は、主として、爪脚部304Aと、爪胴部304Bと、爪把持部304Cとで構成される。
【0154】
爪脚部304Aは、爪台302と同じ幅を有するブロック状に形成され、その底面(下面)304A1は水平に形成される。また、その先端部(上端部)には、傾斜面304A2が形成される。
【0155】
爪胴部304Bは、爪脚部304Aと同じ幅を有する角柱状に形成される。爪胴部304Bは、その基端部が爪脚部304Aの先端部に連結されて、爪脚部304Aに一体化される。爪胴部304Bの背面(画像記録ドラム41の回転方向の上流側の端面)は、爪脚部304Aの背面(画像記録ドラム41の回転方向の上流側の端面)と同じ面を成すように形成される。
【0156】
爪把持部304Cは、板状に形成され、爪胴部304Bの先端に配置されて、爪胴部304Bに一体化される。爪把持部304Cは、爪胴部304Bの背面側に突出して配置される。
【0157】
爪304は、突出した爪把持部304Cの裏面(下面)304C1が、用紙Pの挟持面とされる。爪304は、この爪把持部304Cの挟持面304C1が、爪台302の爪台頭部302Cに形成された載置面302C1と平行に形成される。爪304は、爪台302の載置面302C1の上に載置された用紙Pの先端を、この挟持面304C1で挟んで用紙Pを把持する。
【0158】
爪304は、爪台302から伸びる爪ガイド軸308に沿って移動自在に設けられる。爪ガイド軸308は、爪台302の爪台胴部302Bの前面(画像記録ドラム41の回転方向の下流側の端面)から画像記録ドラム41の回転方向(用紙Pの搬送方向)に沿って突出して設けられ、かつ、上方に向けて所定の傾斜角度(爪台胴部302Bの前面に対する傾斜角度)で傾斜して設けられる。
【0159】
爪304の爪脚部304Aには、この爪ガイド軸308が挿通される爪ガイド穴310が形成される。爪ガイド穴310は、画像記録ドラム41の回転方向(用紙Pの搬送方向)に沿って形成されるとともに、爪ガイド軸308と同じ傾斜角度(爪脚部304Aの背面に対する傾斜角度)をもって傾斜して形成される。
【0160】
爪304は、爪ガイド穴310が爪ガイド軸308に挿通されることにより、爪ガイド軸308に沿って移動自在に設けられる。爪304は、この爪ガイド軸308に沿って前後に移動することにより、爪台302に対して進退移動する。これにより、把持爪300が開閉する。
【0161】
把持爪300は、図5(a)に示すように、閉状態において、爪304が爪台302に密着する。すなわち、爪304の爪把持部304Cが、爪台302の爪台頭部302Cに重なるとともに、爪304の爪脚部304A及び爪胴部304Bの背面が、爪台302の爪台胴部302B及び爪台頭部302Cの前面に当接する。爪304の爪把持部304Cが、爪台302の爪台頭部302Cに重なることにより、爪把持部304Cの挟持面304C1と爪台頭部302Cの載置面302C1とが重なり、その間に配置される用紙Pが挟持される。
【0162】
一方、開状態にいて、把持爪300は、図5(b)に示すように、爪304が爪台302から離間する。すなわち、爪304が爪台302に対して上方に平行移動し、爪304と爪台302との間隔が開く。この結果、爪304の爪把持部304Cが、爪台302の爪台頭部302Cから離間し、その間に配置される用紙Pが開放される。
【0163】
このように、把持爪300は、爪304を爪ガイド軸308に沿って前後に移動させることにより開閉する。そして、この開閉が、次のカム機構によって、画像記録ドラム41の回転に連動して自動的に行われる。
【0164】
図4に示すように、爪ガイド軸308には、爪付勢バネ312が装着される。爪付勢バネ312は、コイルバネで構成され、その内周部に爪ガイド軸308が挿入される。これにより、爪付勢バネ312が爪ガイド軸308に装着される。爪ガイド軸308に装着された爪付勢バネ312は、一端が爪304の爪脚部304Aの傾斜面304A2に係止される。また、他端が爪ガイド軸308の先端に取り付けられたバネ止め314に係止される。爪304は、この爪付勢バネ312に付勢されて、爪台302に密着する。すなわち、閉状態となる。
【0165】
爪304は、この爪付勢バネ312の付勢力に抗して移動させることにより、爪台302から離間する。すなわち、開状態となる。
【0166】
また、爪304には、爪脚部304Aの背面に回り止めピン316が突出して設けられる。一方、爪台302には、爪台胴部302Bの前面に回り止め穴318が設けられる。回り止め穴318は、回り止めピン316の外径に対応した幅を有する長穴状に形成される。回り止めピン316は、この回り止め穴318に嵌入される。爪304は、回り止めピン316が回り止め穴318に嵌入されることにより、回転が規制される(爪ガイド軸308を中心とした回転が規制される。)。これにより、爪304を爪ガイド軸308に沿って移動させると、爪台302に対して平行移動する。
【0167】
上記のように、爪台302は、画像記録ドラム41の軸と平行に配置された爪台揺動軸306に取り付けられる。この爪台揺動軸306は、画像記録ドラム41の幅に対応した長さをもって形成される。また、この爪台揺動軸306は、パイプ軸320の内部に収容されて、所定位置に配置される。
【0168】
パイプ軸320は、円筒状に形成され、画像記録ドラム41の幅に対応した長さをもって形成される。パイプ軸320の内部には、一対の軸受(図示せず)が設けられる。爪台揺動軸306は、この一対の軸受に両端近傍の部位が軸支されて、パイプ軸320の内部で回動自在に支持される。
【0169】
パイプ軸320の内径は、爪台302の爪台基部302Aの外径に対応して形成され、爪台基部302Aを収容可能に形成される。爪台302の爪台基部302Aは、このパイプ軸320の内部に収容される。
【0170】
パイプ軸320は、画像記録ドラム41の周面に形成された凹部41Aに収容されて、所定位置に配置される。凹部41Aの幅方向の両端部及び中央部には、支持部322が設けられる。パイプ軸320は、この支持部322に設けられた軸受(図示せず)に回動自在に支持される。パイプ軸320は、この支持部322に支持されて、画像記録ドラム41の軸と平行に配置される。また、これにより、爪台揺動軸306も画像記録ドラム41の軸と平行に配置される。
【0171】
パイプ軸320には、軸方向に沿ってスリット324が形成される。爪台302は、このスリット324を通して、爪台胴部302Bがパイプ軸320の外周部に突出して配置される。
【0172】
また、スリット324には、爪台揺動軸306に取り付けられる各爪台302の設置位置に対応して切欠き326が形成される。この切欠き326は、画像記録ドラム41の回転方向に沿って前方(画像記録ドラム41の回転方向の下流方向)に延びるように形成される。
【0173】
切欠き326の内側にはコロ328が配置される。コロ328は、爪台揺動軸306と平行な回転軸328Aを有し、その回転軸328Aの両端をスリット324の内側に設けられた軸受部(図示せず)に軸支されて回転自在に支持される。
【0174】
爪台302を固定した状態でパイプ軸320を回転させると、コロ328は、爪304の爪脚部304Aの底面に当接する。さらに、パイプ軸320を回転させると、コロ328が、爪付勢バネ312の付勢力に抗して、爪304を押し上げる。これにより、爪304が爪台302から離間し、把持爪300が開かれる。
【0175】
パイプ軸320には、その一方側の端部の周面にパイプ軸ギア(図示せず)が形成される。このパイプ軸ギアには、爪開閉用カムフォロア330に形成された爪開閉用ギア338が噛み合わされる。
【0176】
爪開閉用カムフォロア330は、爪開閉用レバー332と、爪開閉用カムローラ334とで構成される。
【0177】
爪開閉用レバー332は、長尺状に形成され、爪開閉用レバー軸336を中心に揺動自在に支持される。爪開閉用レバー軸336は、爪開閉用レバー332に一体的に形成され、画像記録ドラム41の軸と平行に配置される。この爪開閉用レバー軸336は、凹部41Aに配置された支持部322に軸受(図示せず)を介して軸支される。
【0178】
爪開閉用レバー332は、爪開閉用レバー軸336から一方側(画像記録ドラム41の回転方向の下流側)に延びる基部332Aと、爪開閉用レバー軸336から他方側(画像記録ドラム41の回転方向の上流側)に延びるギア部332Bとで構成される。
【0179】
ギア部332Bの先端部は、円弧状に形成され(爪開閉用レバー軸336を中心とする円の一部を構成)に形成され、その端面には爪開閉用ギア338が形成される。この爪開閉用ギア338が、パイプ軸320の周面に形成されたパイプ軸ギアに噛み合わされる。爪開閉用レバー332を揺動させると、この爪開閉用ギア338が上下に揺動する。この結果、パイプ軸320が回動する。そして、このパイプ軸320が回動することにより、把持爪300が開閉する。
【0180】
一方、基部332Aの先端には爪開閉用カムローラ軸340が取り付けられる。この爪開閉用カムローラ軸340は、画像記録ドラム41の軸と平行に配置される。爪開閉用カムローラ334は、この爪開閉用カムローラ軸340に回動自在に支持される。
【0181】
爪開閉用カムローラ334は、画像記録ドラム41の片側に配置された爪開閉用カム342の外周面上を転動する。
【0182】
爪開閉用カム342は、所定幅を有するリング状に形成され、図示しない支持部材に支持されて、インクジェット記録装置10の本体フレーム(図示せず)に固定して設置される。この爪開閉用カム342は、画像記録ドラム41の幅方向の片側(図4において左側)に配置されるとともに、画像記録ドラム41の同軸上に配置される。
【0183】
爪開閉用カム342の外形(プロファイル形状)は、図6に示すように、大径の爪開閉用カム大径部342Aと、小径の爪開閉用カム小径部342Bと、その爪開閉用カム大径部342Aと爪開閉用カム小径部342Bとの間を繋ぐ2つの爪開閉用カム傾斜部342C1、342C2とで構成される。この爪開閉用カム大径部342Aと爪開閉用カム小径部342Bは、用紙Pの搬送領域に対応して形成される。すなわち、爪開閉用カム大径部342Aは、用紙Pの受取位置X1から受渡位置X2に向かう間の領域に対応して形成され、爪開閉用カム小径部342Bは、用紙Pの受渡位置X2から受取位置X1に向かう間の領域に対応して形成される。そして、爪開閉用カム傾斜部342C1、342C2は、用紙Pの受取位置X1と受渡位置X2とに対応して形成される。すなわち、一方の爪開閉用カム傾斜部342C1は、用紙Pの受取位置X1に対応して形成され、他方の爪開閉用カム傾斜部342C2は、用紙Pの受渡位置X2に対応して形成される。
【0184】
爪開閉用カムローラ334は、爪開閉用カム大径部342Aを転動することにより、図5(a)に示す第1の高さ位置に移動(上昇)する。また、爪開閉用カム小径部342Bを転動することにより、図5(b)に示す第2の高さ位置に移動(下降)する。
【0185】
爪開閉用カムローラ334が、爪開閉用カム大径部342Aから爪開閉用カム小径部342Bに移動して、第1の高さ位置から第2の高さ位置に移動(下降)すると、爪開閉用レバー332が、図5において反時計回りに揺動する。この結果、パイプ軸320が、図5において、時計回りに回転する。そして、パイプ軸320が時計回りに回転することにより、図5(b)に示すように、パイプ軸320に備えられたコロ328が、爪304を押し上げ、爪台302から離間する。これにより、把持爪300が開かれる。
【0186】
一方、爪開閉用カムローラ334が、爪開閉用カム小径部342Bから爪開閉用カム大径部342Aに移動して、第2の高さ位置から第1の高さ位置に移動(上昇)すると、爪開閉用レバー332が、図5において時計回りに揺動する。この結果、パイプ軸320が、図5において、反時計回りに回転する。そして、パイプ軸320が反時計回りに回転することにより、図5(a)に示すように、パイプ軸320に備えられたコロ328が、爪304から退避するように移動する。この結果、爪304が爪付勢バネ312の付勢力で押し戻されて、爪台302に当接する。これにより、把持爪300が閉じられる。
【0187】
以上にように、把持爪300は、カム機構により開閉され、受取位置X1から受渡位置X2に向かう間の領域で閉じられるとともに、受渡位置X2から受取位置X1に向かう間の領域で開かれる。
【0188】
次に、テンション付与機構について説明する。
【0189】
図7は、把持爪及びそのテンション付与機構の構成を示す側面断面図である(図4において、左側から見た側面断面図)。なお、同図(a)は、テンションを付与していない時の状態を示し、同図(b)は、テンションを付与している時の状態を示している。
【0190】
同図に示すように、爪台302の爪台頭部302Cは、背面(画像記録ドラム41の回転方向上流側の端面)302C2にバネ収容穴350が形成される。このバネ収容穴350には、爪台付勢バネ352が収容される。
【0191】
爪台付勢バネ352は、コイルバネで構成される。この爪台付勢バネ352の一端はバネ収容穴350の底面に係止され、他端は、画像記録ドラム41の凹部41Aの内壁面(回転方向上流側の内壁面)に係止される。爪台302は、この爪台付勢バネ352によって、前方(画像記録ドラム41の回転方向の下流方向)に付勢される。
【0192】
また、爪台302の爪台基部302Aには、周方向に沿って長穴354が形成される。一方、爪台揺動軸306には、この長穴354に嵌入される爪台係止ピン356が径方向外側に突出して形成される。この爪台係止ピン356の径は、長穴354の幅に対応して形成される。
【0193】
上記のように、爪台揺動軸306は、パイプ軸320の内側に配置され、軸受(図示せず)を介して回動自在に支持される。図7において、爪台揺動軸306を反時計回りに回転させると、爪台係止ピン356が、長穴354の内周部上端に係合し、爪台付勢バネ352の付勢力に抗して、爪台302を反時計回りに回転させる。一方、爪台揺動軸306を時計回りに回転させると、爪台付勢バネ352の付勢力で爪台302が時計回りに回転する。このように、爪台302は、爪台揺動軸306を正逆回転させることにより、揺動する。
【0194】
爪台揺動軸306を反時計回りに回転させて、爪台302を反時計回りに回転させると、図7(a)に示すように、爪台302は、その爪台頭部302Cの背面302C2が、画像記録ドラム41の凹部41Aの内壁面(回転方向上流側の内壁面)41A1に当接してロックされる。
【0195】
ここで、爪台頭部302Cの背面302C2と、画像記録ドラム41の凹部41Aの内壁面41A1は、ともに平坦に形成され、爪台頭部302Cの背面302C2は、画像記録ドラム41の凹部41Aの内壁面41A1に隙間なく当接する。
【0196】
爪台頭部302Cの背面302C2が、画像記録ドラム41の凹部41Aの内壁面41A1に当接する位置を爪台302の原点位置とする。この原点位置に位置した状態で爪台302は、その爪台頭部302Cの上面(載置面)302C1が、画像記録ドラム41の外周面と同一面上に位置する(画像記録ドラム41の周面の一部を構成する。)。
【0197】
そして、この原点位置に位置した状態から爪台揺動軸306を図7において時計回りに回転させると、爪台係止ピン356による押圧が解除される。すなわち、爪台係止ピン356によるロックが解除される。これにより、爪台付勢バネ352の付勢力で爪台302が時計回りに回転し、原点位置から前進する(画像記録ドラム41の回転方向の下流側に移動する。)。したがって、爪304で用紙Pを把持した状態で前進させれば、用紙Pを前方(画像記録ドラム41の回転方向の下流方向)に引っ張ることができる。
【0198】
この爪台揺動軸306の回転(揺動)は、次のカム機構によって、画像記録ドラム41の回転に連動して自動的に行われる。
【0199】
図7に示すように、爪台揺動軸306の一端には、爪台ロック用カムフォロア358が連結される。
【0200】
爪台ロック用カムフォロア358は、爪台ロック用レバー360と爪台ロック用カムローラ362とで構成される。
【0201】
爪台ロック用レバー360は、長尺状に形成される。爪台ロック用レバー360は、爪台揺動軸306に直交して配置され、その一端に爪台揺動軸306が連結される。
【0202】
爪台ロック用レバー360の他端には、爪台ロック用カムローラ軸364が取り付けられる。爪台ロック用カムローラ軸364は、爪台ロック用レバー360に直交して取り付けられ、画像記録ドラム41の軸と平行に配置される。
【0203】
爪台ロック用カムローラ362は、この爪台ロック用カムローラ軸364に回動自在に支持される。
【0204】
爪台ロック用カムローラ362は、画像記録ドラム41の片側(爪開閉用カム342の反対側)に配置された爪台ロック用カム366の外周面上を転動する。
【0205】
爪台ロック用カム366は、所定幅を有するリング状に形成され、図示しない支持部材に支持されて、インクジェット記録装置10の本体フレーム(図示せず)に固定して設置される。この爪台ロック用カム366は、画像記録ドラム41の幅方向の片側(図4において右側)に配置されるとともに、画像記録ドラム41の同軸上に配置される。
【0206】
この爪台ロック用カム366の外形(プロファイル形状)は、図8に示すように、爪台ロック用カム大径部366Aと、爪台ロック用カム小径部366Bと、その爪台ロック用カム大径部366Aと爪台ロック用カム小径部366Bとの間を繋ぐ2つの爪台ロック用カム傾斜部366C1、366C2とで構成される。
【0207】
ここで、爪台ロック用カム小径部366Bの始点、すなわち、一方の爪台ロック用カム傾斜部366C1の形成位置は、画像記録ドラム41の回転方向に対して、用紙押さえローラ42の設置位置X3よりも下流側、かつ、最上流部に位置するインクジェットヘッド44Cの設置位置よりも上流側に設定される。
【0208】
また、爪台ロック用カム小径部366Bの終点、すなわち、他方の爪台ロック用カム傾斜部366C2の形成位置は、画像記録ドラム41の回転方向に対して、最下流部に位置するインクジェットヘッド44Kの設置位置よりも下流側、かつ、用紙Pの受渡位置X2よりも上流側に設定される。
【0209】
さらに、爪台ロック用カム小径部366Bの始点は、用紙押さえローラ42の設置位置X3から爪台ロック用カム小径部366Bの始点までの長さ(距離)が、用紙Pの搬送方向の長さよりも短くなる位置に設定される。
【0210】
爪台ロック用カムローラ362は、爪台ロック用カム大径部366Aを転動することにより、図7(a)に示す第1の高さ位置に移動(上昇)する。また、爪台ロック用カム小径部366Bを転動することにより、図7(b)に示す第2の高さ位置に移動(下降)する。
【0211】
爪台ロック用カムローラ362が、第1の高さ位置から第2の高さ位置に移動(下降)すると、爪台ロック用レバー360が、図7において時計回りに揺動する。この結果、爪台揺動軸306が、図7において、時計回りに回転する。そして、爪台揺動軸306が時計回りに回転することにより、図7(b)に示すように、爪台係止ピン356によるロックが解除され、爪台302が爪304とともに、爪台付勢バネ352の付勢力によって前進する(画像記録ドラム41の回転方向の下流側に移動する。)。
【0212】
一方、爪台ロック用カムローラ362が第2の高さ位置から第1の高さ位置に移動(上昇)すると、爪台ロック用レバー360が、図7において反時計回りに揺動する。この結果、爪台揺動軸306が、図7において、反時計回りに回転する。そして、爪台揺動軸306が反時計回りに回転することにより、図7(a)に示すように、爪台係止ピン356が、爪台付勢バネ352の付勢力に抗して、長穴354の内周部上端を押圧し、爪台302を原点位置に押し戻す。そして、原点位置で爪台302をロックする。
【0213】
このように、爪台302のロック/アンロックは、カム機構で動作し、画像記録ドラム41の回転に連動して、ロック/アンロックされる。
【0214】
ここで、上記のように、爪台ロック用カム小径部366Bの始点は、画像記録ドラム41の回転方向に対して、用紙押さえローラ42の設置位置X3よりも下流側、かつ、最上流部に位置するインクジェットヘッド44Cの設置位置よりも上流側に設定され、終点は、最下流部に位置するインクジェットヘッド44Kの設置位置よりも下流側、かつ、用紙Pの受渡位置X2よりも上流側に設定される。したがって、爪台302は、用紙Pの先端が、用紙押さえローラ42の設置位置X3を通過し、最上流部に位置するインクジェットヘッド44Cに到達する前にロックが解除(アンロック)される。また、用紙Pの先端が、最下流部に位置するインクジェットヘッド44Kを通過後、用紙Pの受渡位置X2に到達する前にロックされる。したがって、少なくとも用紙Pの先端が、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの下を通過する間は、爪台302のロックが解除される。また、爪台ロック用カム小径部366Bの始点は、用紙押さえローラ42の設置位置X3から爪台ロック用カム小径部366Bの始点までの長さ(距離)が、用紙Pの搬送方向の長さよりも短くなる位置に設定されるので、爪台302は、用紙Pが用紙押さえローラ42に抑えられた状態でロックが解除される。
【0215】
なお、以下において、ロックが解除される位置(爪台ロック用カム小径部366Bの始点)を「アンロック位置L1」とし、ロックされる位置(爪台ロック用カム小径部366Bの終点)を「ロック位置L2」とする。この場合、上記のように、アンロック位置L1は、画像記録ドラム41の回転方向に対して、用紙押さえローラ42の設置位置X3よりも下流側、かつ、最上流部に位置するインクジェットヘッド44Cの設置位置よりも上流側に設定され、ロック位置L2は、最下流部に位置するインクジェットヘッド44Kの設置位置よりも下流側、かつ、用紙Pの受渡位置X2よりも上流側に設定される。また、アンロック位置L1は、用紙押さえローラ42の設置位置X3からアンロック位置L1までの長さ(距離)が、用紙Pの搬送方向の長さよりも短くなる位置に設定される。
【0216】
把持爪300は、用紙押さえローラ42を通過後、アンロック位置L1に到達すると、爪台302のロックが解除される。そして、さらに回転して、ロック位置L2に到達すると、再び爪台302がロックされる。
【0217】
[用紙搬送機構の作用]
以上のように構成される本実施の形態の画像記録部の用紙搬送機構の作用は、次のとおりである。
【0218】
〈把持爪の開閉〉
まず、把持爪300の開閉動作について説明する。
【0219】
上記のように、画像記録ドラム41は、受取位置X1で前段の渡し胴80から用紙Pを受け取り、そのまま回転して受渡位置X2で後段の渡し胴90に用紙Pを受け渡す。したがって、把持爪300は、用紙Pの受取位置X1で閉じられ、そのまま閉じた状態が継続されて、受渡位置X2で開かれる。また、受渡位置X2で開かれた把持爪300は、そのまま開かれた状態が継続されて、受取位置X1で再度閉じられる。
【0220】
把持爪300が、受取位置X1に到達する前、爪開閉用カムローラ334は、爪開閉用カム小径部342Bを転動する。このとき、爪開閉用カムローラ334は、図5(b)に示すように、第2の高さ位置に位置する。
【0221】
爪開閉用カムローラ334が、第2の高さ位置に位置しているとき、図5(b)に示すように、把持爪300は、爪304が、コロ328に押されて、開かれた状態にある。
【0222】
画像記録ドラム41が回転して、把持爪300が受取位置X1に到達すると、爪開閉用カムローラ334は、爪開閉用カム傾斜部342C1を介して爪開閉用カム小径部342Bから爪開閉用カム大径部342Aに乗り上げる。この結果、図5(a)に示すように、爪開閉用カムローラ334が、第2の高さ位置から第1の高さ位置に移動(上昇)する。
【0223】
爪開閉用カムローラ334が、第2の高さ位置から第1の高さ位置に移動(上昇)すると、爪開閉用レバー332が、図5において時計回りに揺動する。この結果、パイプ軸320が、図5において、反時計回りに回転する。そして、パイプ軸320が反時計回りに回転することにより、図5(a)に示すように、パイプ軸320に備えられたコロ328が、爪304から退避するように移動する。この結果、爪304が爪付勢バネ312の付勢力で押し戻されて、爪台302に当接する。これにより、把持爪300が閉じられる。
【0224】
把持爪300は、閉じた状態で受渡位置X2まで移動する。そして、把持爪300が受渡位置X2に到達すると、爪開閉用カムローラ334が、図5(b)に示すように、爪開閉用カム傾斜部342C2を介して、爪開閉用カム大径部342Aから爪開閉用カム小径部342Bに移動する。この結果、爪開閉用カムローラ334が、第1の高さ位置から第2の高さ位置に移動(下降)する。
【0225】
爪開閉用カムローラ334が、第1の高さ位置から第2の高さ位置に移動(下降)すると、爪開閉用レバー332が、図5において反時計回りに揺動する。この結果、パイプ軸320が、図5において、時計回りに回転する。そして、パイプ軸320が時計回りに回転することにより、図5(b)に示すように、パイプ軸320に備えられたコロ328が、爪304を押し上げ、爪台302から離間する。これにより、把持爪300が開かれる。
【0226】
このように、把持爪300は、用紙Pの受取位置X1で閉じられ、受渡位置X2で開かれる。そして、この開閉動作が、カム機構によって、画像記録ドラム41の回転に連動して自動的に行われる。
【0227】
〈爪台のロック/アンロック〉
次に、爪台302のロック/アンロックについて説明する。
【0228】
上記のように、把持爪300の爪台302は、回転してアンロック位置L1に到達すると、ロックが解除され、ロック位置L2に到達すると、ロックされる。
【0229】
把持爪300が、アンロック位置L1に到達する前、爪台ロック用カムローラ362は、爪台ロック用カム大径部366Aを転動する。この状態において、爪台ロック用カムローラ362は、図7(a)に示すように、第1の高さ位置に位置する。そして、爪台ロック用カムローラ362が第1の高さ位置に位置すると、爪台302を原点位置に位置して、ロックされる。
【0230】
画像記録ドラム41が回転して、把持爪300が、アンロック位置L1に到達すると、爪台ロック用カムローラ362が、爪台ロック用カム傾斜部366C1を介して、爪台ロック用カム大径部366Aから爪台ロック用カム小径部366Bに移動する。この結果、爪台ロック用カムローラ362が、第1の高さ位置から第2の高さ位置に移動(下降)する。
【0231】
爪台ロック用カムローラ362が、第1の高さ位置から第2の高さ位置に移動(下降)すると、爪台ロック用レバー360が、図7において時計回りに揺動する。この結果、爪台揺動軸306が、図7において、時計回りに回転する。そして、爪台揺動軸306が時計回りに回転することにより、図7(b)に示すように、爪台係止ピン356によるロックが解除され、爪台302が爪304とともに、爪台付勢バネ352の付勢力によって前進する(画像記録ドラム41の回転方向の下流側に移動する。)。
【0232】
ここで、各把持爪300は、個別に爪台付勢バネ352に付勢されているため、個別に前進する。また、各把持爪300は、閉じた状態で前進する。
【0233】
画像記録ドラム41が、さらに回転して、把持爪300が、ロック位置L2に到達すると、爪台ロック用カムローラ362が、爪台ロック用カム傾斜部366C2を介して、爪台ロック用カム小径部366Bから爪台ロック用カム大径部366Aに移動する。この結果、爪台ロック用カムローラ362が、第2の高さ位置から第1の高さ位置に移動(上昇)する。
【0234】
爪台ロック用カムローラ362が第2の高さ位置から第1の高さ位置に移動(上昇)すると、爪台ロック用レバー360が、図7において反時計回りに揺動する。この結果、爪台揺動軸306が、図7において、反時計回りに回転する。そして、爪台揺動軸306が反時計回りに回転することにより、図7(a)に示すように、爪台係止ピン356が、爪台付勢バネ352の付勢力に抗して、長穴354の内周部上端を押圧し、爪台302を原点位置に押し戻す。そして、原点位置で爪台302をロックする。この際、各把持爪300は、一括して爪台302がロックされる。
【0235】
上記のように、アンロック位置L1は、画像記録ドラム41の回転方向に対して、用紙押さえローラ42の設置位置X3よりも下流側、かつ、最上流部に位置するインクジェットヘッド44Cの設置位置よりも上流側に設定され、ロック位置L2は、最下流部に位置するインクジェットヘッド44Kの設置位置よりも下流側、かつ、用紙Pの受渡位置X2よりも上流側に設定される。
【0236】
把持爪300は、用紙押さえローラ42を通過後、アンロック位置L1に到達すると、爪台302のロックが解除される。そして、さらに回転して、ロック位置L2に到達すると、再び爪台302がロックされる。
【0237】
〈用紙の搬送及びテンションの付与〉
上記のように、把持爪300は、用紙Pの受取位置X1で閉じられ、受渡位置X2で開かれる。また、把持爪300は、アンロック位置L1で爪台302のロックが解除され、ロック位置L2で爪台302がロックされる。
【0238】
画像記録ドラム41が回転して、把持爪300が受取位置X1に到達すると、前段の渡し胴80から用紙Pが受け渡される。この際、把持爪300は開いた状態にあり、用紙Pは、爪台302の載置面302C1の上に先端が載置される。
【0239】
画像記録ドラム41が更に回転して、把持爪300が受取位置X1を通過すると、把持爪300が閉じられ、用紙Pの先端が把持爪300に把持される。すなわち、爪台302の載置面302C1と爪304の挟持面304C1とが重なり、爪台302の載置面302C1の上に載置された用紙Pの先端が、爪304の挟持面304C1に挟まれる。これにより、用紙Pの先端が把持爪300に把持される。
【0240】
画像記録ドラム41が更に回転して、把持爪300が用紙押さえローラ42の設置位置X3を通過すると、用紙Pの表面が用紙押さえローラ42に押圧される。これにより、用紙Pが画像記録ドラム41の周面に押し付けられ、画像記録ドラム41の周面に密着する。また、これと同時に裏面の吸着が開始される。
【0241】
画像記録ドラム41が更に回転して、把持爪300が、アンロック位置L1に到達すると、爪台302のロックが解除される。これにより、把持爪300が、爪台付勢バネ352の付勢力によって前進する(画像記録ドラム41の回転方向の下流側に移動する。)。
【0242】
ここで、用紙Pは、用紙押さえローラ42に抑えられた状態にあるため、把持爪300が、爪台付勢バネ352の付勢力によって前進すると、先端部が搬送方向に沿って前側(画像記録ドラム41の回転方向の下流側)に引っ張られる(テンションが付与される。)。これにより、用紙Pの先端部分に生じている変形(歪み)が矯正される。
【0243】
この際、各把持爪300は、個別に付勢されているため、用紙Pに生じている変形に応じて前進する。すなわち、変形量が多い部位ほど前進量が多くなる(したがって、変形がない場合、把持爪300は、ほとんど前進しない。)。これにより、用紙Pが部分的に変形している場合などであっても、その変形の状態に応じて適切に変形を矯正することができる。これにより、先端部分の全域にわたって、用紙Pを画像記録ドラム41の周面に密着させることができる。
【0244】
画像記録ドラム41の周面に密着することにより、用紙Pは平坦化され、この状態で各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの下を通過して、表面に画像が記録される。
【0245】
画像記録ドラム41が回転して、把持爪300がロック位置L2に到達すると、爪台302がロックされる。すなわち、爪304が原点位置に復帰し、固定される。
【0246】
さらに画像記録ドラム41が回転して、把持爪300が、受渡位置X2に到達すると、把持爪300が開かれる。これにより、用紙Pの先端が開放される。用紙Pは、この後、後段の渡し胴90に受け渡され、後段の渡し胴90によって搬送される。
【0247】
この後、把持爪300は、開いた状態、かつ、ロックされた状態で受取位置X1に向かって移動し、受取位置X1で閉じられて、次の用紙Pを搬送する。
【0248】
以上のように、本実施の形態の用紙搬送機構によれば、用紙Pの先端を把持する把持爪300が、用紙Pの搬送方向に沿って移動可能に設けられ、用紙Pにテンションを付与することができる。これにより、用紙Pに生じているシワや浮きなどの変形を矯正でき、用紙Pを画像記録ドラム41の周面に密着させて搬送することができる。これにより、高品質な画像を記録することができる。また、用紙Pがインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのノズル面に接触するのを防止することができ、安定した用紙搬送を行うことができる。
【0249】
<他の実施の形態>
上記実施の形態では、グリッパGを構成する個々の把持爪300を個別に付勢し、個別に移動させる構成としているが、一括して移動させる構成とすることもできる。また、複数個をまとめて1つのグループとし、グループ単位で移動させる構成とすることもできる。ただし、上記実施の形態のように、個々の把持爪300を個別に付勢して、個別に移動させる構成とすることにより、個々の用紙Pに生じている変形に応じて適切に変形を矯正することができる。
【0250】
上記実施の形態では、すべての把持爪300を移動可能とし、すべての把持爪300でテンションを付与できる構成としているが、部分的に把持爪300を移動可能とし、部分的にテンションを付与できる構成とすることもできる。一般に、用紙Pをドラム搬送する場合、シワや浮きは用紙Pの幅方向の両端部で発生しやすい。したがって、幅方向の両端領域の把持爪300についてのみ移動可能とし、テンションを付与できる構成とすることもできる。
【0251】
また、テンションを付与できる把持爪300を任意に選択できるようにしてもよい。上記実施の形態の構成の場合、爪台302を凹部41Aの内壁面に固定すれば、把持爪300は、常にロックされる。したがって、爪台302を任意に固定/固定解除できるようにすれば、テンションを付与できる把持爪300を任意に選択することができる。これにより、たとえば、用紙Pの幅方向の両端部にのみテンションを付与する場合、用紙サイズに応じて、テンションを付与させる把持爪300を切り換えることができる。爪台302の固定は、たとえば、ネジ等で固定する構成とすることができる。
【0252】
上記実施の形態では、カム機構によって、把持爪300の開閉を行う構成としているが、他の機構で実現することもできる。たとえば、モータやシリンダ等のアクチュエータを利用して、各把持爪300を開閉させる構成とすることもできる。ただし、上記実施の形態のように、カム機構によって、把持爪300の開閉を行う構成とすることにより、構成を簡素化することができるとともに、所定の位置で正確かつ確実に開閉させることができる。
【0253】
同様に、上記実施の形態では、カム機構によって、把持爪300のロック/アンロック(爪台302のロック/アンロック)を行う構成としているが、モータやシリンダ等のアクチュエータを利用して、ロック/アンロックする構成とすることもできる。ただし、上記実施の形態のように、カム機構によって、把持爪300のロック/アンロック開閉を行う構成とすることにより、構成を簡素化することができるとともに、所定の位置で正確かつ確実にロック/アンロックさせることができる。
【0254】
上記実施の形態では、用紙Pの密着性を高めるために、用紙押さえローラ42を設置しているが、用紙押さえローラ42を設置しない態様とすることもできる。ただし、用紙Pにテンションを付与する際、用紙Pを保持する必要があるので、この場合は、吸着により用紙Pを保持する構成とする。すなわち、用紙Pを画像記録ドラム41の周面に保持した状態で把持爪300のロックを解除する構成とする。したがって、この場合、アンロック位置L1は、用紙Pの吸着開始位置よりも下流側に設定される。これにより、用紙Pを吸着保持した状態で引っ張ることができ、用紙Pに生じている変形を矯正することができる。
【0255】
上記実施の形態では、先端検出センサ45によって用紙Pの先端を検出する構成としている。この場合、用紙Pの先端を引っ張ると、用紙Pの先端の位置が変動するおそれがある。したがって、上記実施の形態のように、搬送に際して、用紙Pの先端を検出する構成の場合、その検出対象部位については、用紙Pを引っ張らない構成とすることが、より好ましい。上記実施の形態では、用紙Pの幅方向の中央部分を検出対象部位としているので、用紙Pの幅方向の中央部分については、引っ張らない構成とすることが好ましい。この場合、検出対象部位を挟んで両側に位置する把持爪300については固定し、開閉のみ行う構成とする。すなわち、常に原点位置に位置させ、開閉のみ行う構成とする(爪台302を凹部41Aの内壁面に固定する。)。これにより、安定した用紙Pの先端検出を行うことができる。上記実施の形態では、用紙Pの幅方向の中央部分(画像記録ドラム41の幅方向の中央部分)が、用紙先端の検出対象部位とされているので、画像記録ドラム41の幅方向の中央部分の両側に位置する2つの把持爪300については固定とし、開閉のみ行う構成とする。
【0256】
上記実施の形態では、浮き検出センサ43によって用紙Pの浮きを検出する構成としている。この場合、アンロック位置L1は、浮き検出センサ43の設置位置(浮き検出位置)の上流側に設置することが、より好ましい。これにより、より正確な浮き検出を行うことができる。すなわち、テンションを付与しても浮きが除去されない場合のみ浮きを検出することができる。
【0257】
上記実施の形態では、爪台付勢バネ352の付勢力(用紙Pを引っ張る力)については、特に言及していないが、用紙Pが薄紙の場合は、引っ張り力が強いと、引きちぎれる可能性があるので、引きちぎられない限度で設定することが必要とされる。この場合、付勢力(バネ力)を弱くするため、把持爪300は強度を確保した上で、可能な限り軽量化することが好ましい。
【0258】
上記実施の形態では、グリッパGが画像記録ドラム41の周面の1カ所に設置されているが、グリッパGの設置数は、これに限定されるものではない。画像記録ドラム41の径、搬送する用紙Pのサイズ等に応じて、適宜増減させて設置することができる。この場合、グリッパGは、画像記録ドラム41の周面に等間隔に配置する。したがって、2カ所にグリッパGを設置する場合は、画像記録ドラム41の周面に180度の間隔で設置する。
【0259】
上記実施の形態では、一般の印刷用紙に水性インクを用いて印刷するインクジェット記録装置に本発明を適用した場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。一般の印刷用紙以外の用紙にインクジェット方式で記録する印刷装置にも同様に適用することができる。また、水性インク以外のインクを用いて記録する印刷装置にも同様に適用することができる。さらに、使用する記録メディアも印刷用紙には限定されず、他の種類の記録メディアに画像を記録する場合にも同様に使用することができる。
【符号の説明】
【0260】
P…用紙、10…インクジェット記録装置、20…給紙部、21…給紙装置、22…給紙トレイ、23…渡し胴、30…処理液塗布部、31…処理液塗布ドラム、32…塗布装置、40…画像記録部、41…画像記録ドラム、41A…凹部、41A1…凹部の内壁面、42…用紙押さえローラ、43…用紙浮き検出センサ、44C、44M、44Y、44K…インクジェットヘッド、45…先端検出センサ、50…インク乾燥部、51…インク乾燥ドラム、52…インク乾燥装置、60…定着部、61…定着ドラム、62…紫外線照射光源、64…インラインセンサ、70…回収部、71…スタッカ、72…排紙コンベア、80…渡し胴、82…ガイド板、84…熱風送風機、90…渡し胴、92…ガイド板、94…熱風送風機、100…渡し胴、102……ガイド板、104…熱風送風機、200…システムコントローラ、201…通信部、202…画像メモリ、203…搬送制御部、204…給紙制御部、205…処理液塗布制御部、206…画像記録制御部、207…インク乾燥制御部、208…定着制御部、209…回収制御部、210…操作部、211…表示部、G…グリッパ、300…把持爪、302…爪台、302A…爪台基部、302B…爪台胴部、302C…爪台頭部、302C1…載置面、302C2…爪台頭部の背面、304…爪、304A…爪脚部、304A1…爪脚部の底面、304A2…爪脚部の傾斜面、304B…爪胴部、304C…爪把持部、304C1…挟持面、306…爪台揺動軸、308…爪ガイド軸、310…爪ガイド穴、312…爪付勢バネ、314…バネ止め、316…回り止めピン、318…回り止め穴、320…パイプ軸、322…支持部、324…スリット、326…切欠き、328…コロ、328A…コロの回転軸、330…爪開閉用カムフォロア、332…爪開閉用レバー、332A…爪開閉用レバーの基部、332B…爪開閉用レバーのギア部、334…爪開閉用カムローラ、336…爪開閉用レバー軸、338…爪開閉用ギア、340…爪開閉用カムローラ軸、342…爪開閉用カム、342A…爪開閉用カム大径部、342B…爪開閉用カム小径部、342C1、342C2…爪開閉用カム傾斜部、350…バネ収容穴、352…爪台付勢バネ、354…長穴、356…爪台係止ピン、358…爪台ロック用カムフォロア、360…爪台ロック用レバー、362…爪台ロック用カムローラ、364…爪台ロック用カムローラ軸、366…爪台ロック用カム、366A…爪台ロック用カム大径部、366B…爪台ロック用カム小径部、366C1、366C2…爪台ロック用カム傾斜部、L1…アンロック位置、L2…ロック位置、X1…受取位置、X2…受渡位置、X3…用紙押さえローラの設置位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉の記録メディアが周面に巻き付けられるドラムと、
前記記録メディアを前記ドラムの周面上で保持する保持手段と、
前記ドラムを回転駆動するドラム駆動手段と、
前記ドラムの周面に幅方向に沿って一列に配置され、前記記録メディアの先端を把持する複数の把持爪と、
前記保持手段で前記記録メディアを保持した状態で前記各把持爪を前記ドラムの回転方向に沿って前進させて、前記記録メディアに前記ドラムの回転方向に沿う方向のテンションを付与するテンション付与手段と、
を備えることを特徴とする記録メディア搬送装置。
【請求項2】
前記保持手段が、前記記録メディアを前記ドラムの周面に吸着させて保持することを特徴とする請求項1に記載の記録メディア搬送装置。
【請求項3】
前記保持手段が、前記記録メディアを前記ドラムの周面に押し付けて保持することを特徴とする請求項1に記載の記録メディア搬送装置。
【請求項4】
前記テンション付与手段が、
前記各把持爪を前記ドラムの回転方向に沿って前後移動可能に支持する把持爪支持手段と、
前記各把持爪を前記ドラムの回転方向の下流側に向けて付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力に抗して前記各把持爪を原点位置にロックするロック手段と、
を備え、前記ロック手段によるロックを解除することにより、前記各把持爪を前記ドラムの回転方向に沿って前進させて、前記記録メディアに前記ドラムの回転方向に沿う方向のテンションを付与することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録メディア搬送装置。
【請求項5】
前記把持爪支持手段が、前記各把持爪を個別に前後移動可能に支持し、前記付勢手段が、前記各把持爪を個別に付勢することを特徴とする請求項4に記載の記録メディア搬送装置。
【請求項6】
前記ロック手段が、カム機構で構成され、前記ドラムの回転に連動して、所定位置で前記各把持爪をロック/アンロックするように構成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の記録メディア搬送装置。
【請求項7】
前記各把持爪が、カム機構で開閉され、前記ドラムの回転に連動して、所定位置で開閉するように構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の記録メディア搬送装置。
【請求項8】
前記把持爪が、前記ドラムの幅方向の中心を挟んで左右対称に配置され、
前記テンション付与手段は、前記ドラムの幅方向の中心部に配置される前記把持爪を除いて、前記各把持爪を前記ドラムの回転方向に沿って前進させることにより、前記記録メディアに前記ドラムの回転方向に沿う方向のテンションを付与し、
前記ドラムに巻き付けられて搬送される前記記録メディアの幅方向の中心部の先端位置を検出する先端検出手段を更に備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の記録メディア搬送装置。
【請求項9】
前記テンション付与手段が、前記ドラムの幅方向の両端部に配置される前記各把持爪を前記ドラムの回転方向に沿って前進させて、前記記録メディアに前記ドラムの回転方向に沿う方向のテンションを付与することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の記録メディア搬送装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の記録メディア搬送装置と、
前記記録メディア搬送装置の前記ドラムによって搬送される前記記録メディアにインクを吐出して画像を記録するインクジェットヘッドと、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−67495(P2013−67495A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207638(P2011−207638)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】