説明

記録再生装置、記録再生方法及びプログラム

【課題】調整に必要な記録量を抑制しながら、光記録媒体の外周部分の記録再生のための調整を精度良く実現することが可能な記録再生装置、記録再生方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録する第一の記録部と、記録したデータが外周領域に記録されていることを示す外周情報を光記録媒体の内周領域に記録する第二の記録部と、外周情報を内周領域から探索する探索部と、探索された外周情報に基づいて、外周領域に記録されたデータを再生し、再生されたデータに基づいて光記録媒体の記録又は再生のための調整を行う調整部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録再生装置、記録再生方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光記録媒体(光ディスク)は、同じ速さで回転している場合、外周に行くほど線速度が速くなる。したがって、同じ線速度を維持するためには、外周のほうが内周に比べて低速の回転でよい。よって、外周では内周に比べて、より高速な記録又は再生が可能となる。そのため、光ディスクドライブ装置において、光ディスクにデータを記録したり、光ディスク上のデータを再生する際、外周と内周では異なる調整(例えば、チルト調整、球面収差調整、フォーカスバイアス調整など)がなされることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、内周調整位置と外周調整位置それぞれで最適となるチルト角を取得して、チルト調整を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−95126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光ディスクの外周に対して、チルト調整、球面収差(SA)調整、フォーカスバイアス(FB)調整など各種調整をする際、外周領域にはRF信号を再生できるデータがないため、RF信号を用いないで調整しなければならない。そのため、トラッキングエラー(TE)信号やウォブル信号を使用して、外周の各種調整をすることになり、外周の調整はRF信号を用いた調整に比べて精度が確保できないという問題がある。
【0006】
また、高次の収差がある場合、収差がない場合に比べて、TE信号の振幅が最大となる傾き(チルト)角度と、RF信号の品質が良くなる傾き(チルト)角度のギャップが大きくなる。そのため、TE信号を使用した各種調整は、高次の収差がある場合、精度が低くなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、調整に必要な記録量を抑制しながら、光記録媒体の外周部分の記録再生のための調整を精度良く実現することが可能な、新規かつ改良された記録再生装置、記録再生方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録する第一の記録部と、記録したデータが外周領域に記録されていることを示す外周情報を光記録媒体の内周領域に記録する第二の記録部と、外周情報を内周領域から探索する探索部と、探索された外周情報に基づいて、外周領域に記録されたデータを再生し、再生されたデータに基づいて光記録媒体の記録又は再生のための調整を行う調整部とを備える記録再生装置が提供される。
【0009】
上記第一の記録部は、外周情報が内周領域に記録されていないとき、RF信号を再生できるデータを外周領域に新たに記録し、第二の記録部は、新たに記録したデータが外周領域に記録されていることを示す外周情報を内周領域に新たに記録してもよい。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録する第一の記録部と、外周領域に記録されたデータを再生し、再生されたデータに基づいて光記録媒体の表面状態を推測する推測部と、記録したデータが外周領域に記録されていること、及び第一の記録部が外周領域にデータを記録して推測部が光記録媒体の表面状態を推測した時のRF信号品質を含む外周情報を光記録媒体の内周領域に記録する第二の記録部と、外周情報を内周領域から探索する探索部とを備え、推測部は、探索された外周情報に基づいて、外周領域に記録されたデータを再生し、再生されたデータと、外周情報のRF信号品質に基づいて光記録媒体の表面状態を推測する記録再生装置が提供される。
【0011】
上記第一の記録部は、外周情報が内周領域に記録されていないとき、RF信号を再生できるデータを外周領域に新たに記録し、推測部は、新たに記録したデータを再生し、再生されたデータに基づいて光記録媒体の表面状態を推測してもよい。
【0012】
上記第二の記録部は、新たに記録したデータが外周領域に記録されていること、及び第一の記録部が外周領域にデータを新たに記録して推測部が光記録媒体の表面状態を推測した時のRF信号品質を含む外周情報を内周領域に新たに記録してもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録するステップと、記録したデータが外周領域に記録されていることを示す外周情報を光記録媒体の内周領域に記録するステップと、外周情報を内周領域から探索するステップと、探索された外周情報に基づいて、外周領域に記録されたデータを再生し、再生されたデータに基づいて光記録媒体の記録又は再生のための調整を行うステップとを備える記録再生方法が提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録するステップと、外周領域に記録されたデータを再生し、再生されたデータに基づいて光記録媒体の表面状態を推測するステップと、記録したデータが外周領域に記録されていること、及び第一の記録部が外周領域にデータを記録して推測部が光記録媒体の表面状態を推測した時のRF信号品質を含む外周情報を光記録媒体の内周領域に記録するステップと、外周情報を内周領域から探索するステップと、探索された外周情報に基づいて、外周領域に記録されたデータを再生し、再生されたデータと、外周情報のRF信号品質に基づいて光記録媒体の表面状態を推測するステップとを備える記録再生方法が提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録する手段、記録したデータが外周領域に記録されていることを示す外周情報を光記録媒体の内周領域に記録する手段、外周情報を内周領域から探索する手段、探索された外周情報に基づいて、外周領域に記録されたデータを再生し、再生されたデータに基づいて光記録媒体の記録又は再生のための調整を行う手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムが提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録する手段、外周領域に記録されたデータを再生し、再生されたデータに基づいて光記録媒体の表面状態を推測する手段、記録したデータが外周領域に記録されていること、及び第一の記録部が外周領域にデータを記録して推測部が光記録媒体の表面状態を推測した時のRF信号品質を含む外周情報を光記録媒体の内周領域に記録する手段、外周情報を内周領域から探索する手段、探索された外周情報に基づいて、外周領域に記録されたデータを再生し、再生されたデータと、外周情報のRF信号品質に基づいて光記録媒体の表面状態を推測する手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、調整に必要な記録量を抑制しながら、光記録媒体の外周部分の記録再生のための調整を精度良く実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスクドライブ装置のハードウェア回路ブロックによるハードウェア回路構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係るシステムコントローラを示すブロック図である。
【図3】BD−Rの記録領域を説明する説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク記録又は再生時の各種調整方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る記録又は再生時の光ディスクの表面状態の評価方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
2.第2の実施形態
【0021】
<1.第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光ディスクドライブ装置1のハードウェア回路ブロックによるハードウェア回路構成を示す。光ディスクドライブ装置1は、内部に光ディスク2を装填できる。そして光ディスクドライブ装置1には、内部に装填された光ディスク2のデータ記録面と対向するように光ピックアップ3が設けられている。また光ピックアップ3は、スレッド機構部4により光ディスク2の半径方向(以下、これをディスク半径方向と呼ぶ)へ移動可能に保持されている。
【0022】
ここで光ディスクドライブ装置1においてデータの再生に用いられる光ディスク2は、データ記録面に例えば予め一定の線速度で一定の周波数となるようにウォブリング(すなわち、蛇行)されたグルーブ(すなわち、案内溝)が形成され、そのグルーブ(及びグルーブ間のランド)がデータの記録されたトラックになる。また光ディスク2は、グルーブのウォブリングに対しADIP(Address In Pre Groove)と呼ばれるデータ記録面内のアドレス情報(以下、これをディスクアドレス情報と呼ぶ)が埋め込まれている。
【0023】
かかる光ディスクドライブ装置1において例えばマイクロコンピュータでなるシステムコントローラ5は、外部のAV(Audio Visual)システムAVS1から与えられる読出命令(すなわち、リードコマンド)等の各種命令に応じて装置全体を統括制御すると共に、各種処理を実行する。これによりシステムコントローラ5は、光ディスクドライブ装置1に光ディスク2が装填された状態で電源オン命令が入力され起動したときや、起動完了後の動作可能な状態(すなわち、電源オン状態)で光ディスクドライブ装置1に対し光ディスク2が装填(又は、交換)されると、立上モードとなる。
【0024】
この際、サーボ回路6は、システムコントローラ5の制御のもと、スレッド機構部4を駆動して光ピックアップ3を光ディスク2の例えば最内周と対向する位置まで移動させる。またスピンドル駆動回路7は、システムコントローラ5の制御のもと、スピンドルモータ8を駆動することにより光ディスク2を一定速度で回転させる。さらにレーザドライバ9は、光ディスク2が回転すると、システムコントローラ5の制御のもと、レーザ光を連続的に発射させるためのレーザ制御信号を生成し、これを光ピックアップ3に送出する。
【0025】
光ピックアップ3は、レーザドライバ9からレーザ制御信号が与えられると、そのレーザ制御信号に基づきレーザダイオードからレーザ光を連続的に発射させ、当該発射させたレーザ光を対物レンズで集光させて光ディスク2のデータ記録面に照射する。また光ピックアップ3は、光ディスク2のデータ記録面でレーザ光が反射して得られる反射光を例えば複数の受光素子によって受光して光電変換する。これにより光ピックアップ3は、これら複数の受光素子によりそれぞれ受光した反射光の光量に応じた電流値の信号(以下、これを光電信号と呼ぶ)を生成してマトリクス回路10に送出する。
【0026】
マトリクス回路10は、光ピックアップ3から複数の受光素子によって生成された光電信号が与えられると、これら光電信号をそれぞれ電圧値に変換した後、選択的に用いてマトリクス演算処理や増幅処理等を実行する。これによりマトリクス回路10は、これら光電信号に基づき、光ディスク2のデータ記録面に対しレーザ光の焦点がどの程度合っているかを示すフォーカスエラー信号を生成する。
【0027】
またマトリクス回路10は、これら光電信号に基づき、光ディスク2のデータ記録面のトラックに対しレーザ光の照射位置がどの程度合っているかを示すトラッキングエラー信号を生成する。そしてマトリクス回路10は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ回路6に送出する。
【0028】
ところでサーボ回路6は、このときシステムコントローラ5の制御のもと、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光の焦点を合せるような対物レンズの所望位置を探索するためのフォーカス探索信号を生成して、これを光ピックアップ3に送出する。これによりサーボ回路6は、光ピックアップ3においてフォーカス探索信号により対物レンズを光軸に沿って、例えば光ディスク2のデータ記録面に徐々に近づけるように移動させながら、その際にマトリクス回路10から与えられるフォーカスエラー信号に基づき、当該データ記録面にレーザ光の焦点を合せるようにフォーカス引込動作を行う。
【0029】
そしてサーボ回路6は、このようなフォーカス引込動作が完了すると、引き続きマトリクス回路10から与えられるフォーカスエラー信号に基づきフォーカス制御信号を生成し、これを光ピックアップ3に送出する。これによりサーボ回路6は、フォーカス制御信号により光ピックアップ3において対物レンズを光軸に沿って光ディスク2のデータ記録面に接近させる(すなわち、近づける)方向(以下、これを接近方向と呼ぶ)及びこれとは逆のデータ記録面から離間させる(すなわち、引き離す)方向(以下、これを離間方向と呼ぶ)へ適宜移動させて光ディスク2のデータ記録面にレーザ光の焦点を合せるようにする。このようにしてサーボ回路6は、光ピックアップ3及びマトリクス回路10と共にフォーカスサーボループを形成し、かくして光ディスク2のデータ記録面に対しレーザ光の焦点を追従させる。
【0030】
またサーボ回路6は、システムコントローラ5の制御のもと、光ディスク2のデータ記録面においてトラックにレーザ光の照射位置を合せるためのトラック探索信号を生成して、これを光ピックアップ3に送出する。これによりサーボ回路6は、光ピックアップ3においてトラック探索信号により例えば対物レンズをディスク半径方向へ徐々に移動させながら、その際にマトリクス回路10から与えられるトラッキングエラー信号に基づき、当該データ記録面のトラックにレーザ光の照射位置を合せるようにレーザ光のトラック引込動作を行う。
【0031】
そしてサーボ回路6は、このようなレーザ光のトラック引込動作が完了すると、引き続きマトリクス回路10から与えられるトラッキングエラー信号に基づきトラッキング制御信号を生成し、これを光ピックアップ3に送出する。これによりサーボ回路6は、トラッキング制御信号により光ピックアップ3において対物レンズをディスク半径方向に適宜移動させて光ディスク2のトラックにレーザ光を照射させる。このようにしてサーボ回路6は、光ピックアップ3及びマトリクス回路10と共にトラッキングサーボループも形成し、かくして光ディスク2のトラックに対しレーザ光の照射位置を追従させる。
【0032】
さらにマトリクス回路10は、フォーカス引込動作及びトラック引込動作が完了すると、光ピックアップ3から与えられる複数の光電信号をそれぞれ電圧値に変換した後、選択的に用いてマトリクス演算処理や増幅処理等を実行する。これによりマトリクス回路10は、これら光電信号に基づきフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号と共に、光ディスク2に形成されたグルーブのウォブリングの振幅(以下、これをウォブル振幅と呼ぶ)を示すウォブル信号も生成する。そしてマトリクス回路10は、そのウォブル信号をウォブル回路11に送出する。
【0033】
ウォブル回路11は、マトリクス回路10から与えられたウォブル信号を復調して、ディスクアドレス情報を検出するためのストリームデータを生成し、これをアドレス生成回路12に送出する。そしてアドレス生成回路12は、ウォブル回路11から与えられたストリームデータをデコード処理し、その結果得られたディスクアドレス情報をシステムコントローラ5に送出する。
【0034】
これによりシステムコントローラ5は、アドレス生成回路12から与えられるディスクアドレス情報に従い、光ディスク2のデータ記録面においてレーザ光の照射位置を検出することができる。ところでシステムコントローラ5は、例えば、光ディスク2のデータ記録面におけるレーザ光の照射位置をディスクアドレス情報として検出し得る状態となり、引き続きAVシステムAVS1から読出命令が与えられると、立上モードから再生モードへ移行する。
【0035】
この際、システムコントローラ5は、AVシステムAVS1によりデータの読出開始位置を示すアドレス情報が指定されると、このときアドレス生成回路12から与えられたディスクアドレス情報(すなわち、その時点における光ディスク2のデータ記録面へのレーザ光の照射位置)を当該読出開始位置を示すアドレス情報と比較するようにして、適宜シーク指示信号を生成する。そしてシステムコントローラ5は、かかるシーク指示信号をサーボ回路6に送出する。
【0036】
サーボ回路6は、システムコントローラ5からシーク指示信号が与えられると、トラッキングサーボループを一時的に解除する。そしてサーボ回路6は、シーク指示信号に基づきシーク制御信号を生成し、これをスレッド機構部4に送出する。これによりサーボ回路6は、シーク制御信号によりスレッド機構部4を駆動して光ピックアップ3をディスク半径方向へ複数のトラックを飛び越すようにシークさせる。
【0037】
因みにシステムコントローラ5は、光ピックアップ3をディスク半径方向へシークさせると、トラックジャンプ指示信号を生成し、これをサーボ回路6に送出する。そしてサーボ回路6は、システムコントローラ5からトラックジャンプ指示信号が与えられると、トラッキングサーボループを解除したまま、そのトラックジャンプ指示信号に基づきジャンプ制御信号を生成し、これをスレッド機構部4に送出する。
【0038】
これによりサーボ回路6は、ジャンプ制御信号によりスレッド機構部4を駆動して光ピックアップ3をディスク半径方向へ僅かに移動させ、かくして光ディスク2において再生対象のデータの読出開始位置を含むトラックにレーザ光の照射位置を引き込むようにする。なおサーボ回路6は、トラックに対するレーザ光の照射位置の引き込みが完了すると、再びトラッキングサーボループを形成する。
【0039】
またシステムコントローラ5は、このときレーザドライバ9に対し、レーザ光に対する読出用出力の値を指示する。よってレーザドライバ9は、システムコントローラ5の指示に応じて、レーザ光を読出用出力で連続的に発射させるためのレーザ制御信号を生成し、これを光ピックアップ3に送出する。
【0040】
これにより光ピックアップ3は、レーザドライバ9から与えられたレーザ制御信号に基づきレーザダイオードからレーザ光を読出用出力で連続的に発射させ、当該発射させたレーザ光を対物レンズで集光させて光ディスク2のデータ記録面に照射する。また光ピックアップ3は、光ディスク2のデータ記録面でレーザ光が反射して得られる反射光を複数の受光素子によって受光して光電変換し、これにより光電信号を生成してマトリクス回路10に送出する。
【0041】
マトリクス回路10は、光ピックアップ3から複数の光電信号が与えられると、これら光電信号をそれぞれ電圧値に変換した後、選択的に用いてマトリクス演算処理や増幅処理等を実行する。これによりマトリクス回路10は、これら光電信号に基づきフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号及びウォブル信号と共に、再生対象のデータに相当する高周波信号(以下、これをRF信号と呼ぶ)も生成する。そしてマトリクス回路10は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ回路6に送出し、かつウォブル信号をウォブル回路11に送出すると共に、RF信号をリーダ回路13に送出する。
【0042】
リーダ回路13は、マトリクス回路10から与えられたRF信号に対し2値化処理を施し、その結果得られた変調データを復調回路14に送出する。またリーダ回路13は、このときRF信号を用いたPLL(Phased Lock Loop)処理を実行することにより、再生処理用の動作クロック(以下、これを再生処理用動作クロックと呼ぶ)を生成する。そしてリーダ回路13は、かかる再生処理用動作クロックを各部に供給する。
【0043】
復調回路14は、このときリーダ回路13から与えられている再生処理用動作クロックに同期して動作する。そして復調回路14は、リーダ回路13から与えられた変調データに対し、ランレングスリミテッド復号処理のような復調処理を施し、その結果得られたエンコードデータをデコーダ15に送出する。
【0044】
デコーダ15も、このときリーダ回路13から与えられている再生処理用動作クロックに同期して動作する。そしてデコーダ15は、復調回路14から与えられたエンコードデータについて例えば、誤り訂正符号(Error Correcting Code)が付加されている単位ブロック毎に、誤り検出訂正処理やデインタリーブ等のデコード処理を施して再生対象のデータを生成し、当該生成したデータを内部のバッファに格納する。
【0045】
またデコーダ15は、AVシステムAVS1の指示に応じて、バッファに対し例えば4つの単位ブロック分のような所定単位ブロック分のデータを格納する毎に、当該バッファから所定単位ブロック分のデータを読み出してAVシステムAVS1に転送する。このようにしてシステムコントローラ5は、光ディスク2のデータ記録面に記録されていたデータを再生してAVシステムAVS1に転送することができる。
【0046】
因みにスピンドル駆動回路7は、この際、例えばリーダ回路13から与えられる再生処理用動作クロックをもとに、現在のスピンドルモータ8の回転速度を検出する。またスピンドル駆動回路7は、その回転速度を、予め設定された例えば、光ディスク2を線速度一定(Constant Linear Velocity)で回転させるための規準速度と比較するようにして、スピンドルモータ8の回転速度が基準速度にどの程度合っているかを示すスピンドルエラー信号を生成する。
【0047】
そしてスピンドル駆動回路7は、かかるスピンドルエラー信号に基づきスピンドル制御信号を生成し、これをスピンドルモータ8に送出する。これによりスピンドル駆動回路7は、スピンドル制御信号によりスピンドルモータ8を回転駆動させ、かくして光ディスク2を線速度一定で回転させる。
【0048】
また光ピックアップ3は、レーザ光の出力監視用の受光素子(以下、これを特に監視用受光素子と呼ぶ)を有している。このため光ピックアップ3は、光ディスク2のデータ記録面でレーザ光が反射して得られる反射光の一部を監視用受光素子によって受光して光電変換する。これにより光ピックアップ3は、レーザ光の出力監視用の信号(以下、これを出力監視用信号と呼ぶ)を生成してレーザドライバ9に送出する。
【0049】
そしてレーザドライバ9は、APC(Auto Power Control)回路を有している。このためレーザドライバ9は、光ピックアップ3のレーザダイオードを制御しながら、その光ピックアップ3から与えられた出力監視用信号をAPC回路に取り込む。これによりレーザドライバ9は、APC回路により出力監視用信号に基づきレーザ光の出力を監視するようにしてレーザ制御信号の値を適宜調整し、かくしてレーザ光の出力を周囲の温度の変化等によらずに一定の読出用出力となるように制御する。
【0050】
さらにサーボ回路6は、光ディスク2のデータ記録面にレーザ光が照射されている間、例えばトラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号に基づきスレッド制御信号を生成し、これをスレッド機構部4に送出する。これによりサーボ回路6は、スレッド制御信号によりスレッド機構部4を駆動して光ピックアップ3をディスク半径方向へ徐々に移動させる。このようにしてサーボ回路6は、光ディスク2のデータ記録面からトラックに沿って再生対象のデータを読み出させることができるようになされている。
【0051】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る光ディスクドライブ装置1のシステムコントローラ5について説明する。図2は、本実施形態に係るシステムコントローラを示すブロック図である。
【0052】
システムコントローラ5は、図2に示すように、テストゾーン記録部102と、結果記録部104と、結果探索部106と、調整部108と、SER測定部112を含む。なお、SER測定部112は第2の実施形態で使用され、第1の実施形態でシステムコントローラ5に含まれなくてもよい。光ディスクドライブ装置1は、後述する第2の実施形態と第1の実施形態を組み合わせてもよく、この場合、図2に示すようにシステムコントローラ5にSER測定部112が含まれる。
【0053】
テストゾーン記録部102は、第一の記録部の一例であり、光ディスク2の外周のTest Zoneに調整用データを記録する。調整用データは、光ディスクドライブ装置1によって読み取られることによって、各種調整のために使用されるRF信号を再生できるデータである。
【0054】
結果記録部104は、第二の記録部の一例であり、調整用データがTest Zoneに記録されていることを示す外周情報を、光ディスク2の内周のDrive Areaに記録する。外周情報は、例えば、調整用データが記録されている位置を示すアドレス情報(外周記録アドレス)、調整用データが記録されている事実を示すフラグ情報等である。
【0055】
結果探索部106は、探索部の一例であり、光ディスク2の内周のDrive Areaから、結果記録部104によって記録された外周情報を探索する。
【0056】
調整部108は、結果探索部106によって探索され読み出された外周情報に基づいて、Test Zoneに記録された調整用データを再生し、再生された調整用データに基づいて光ディスク2の記録又は再生のための各種調整を行う。各種調整とは、光ディスク2に対してデータを記録したり、光ディスク2上のデータ再生する際に行われる調整であり、例えばチルト調整、球面収差調整、フォーカスバイアス調整などである。なお、チルト調整、球面収差調整、フォーカスバイアス調整など各種調整の方法は、一般的な技術を使用することができ、本明細書では詳細な説明は省略する。また、各種調整は、光ディスク2に対してデータを記録したり、光ディスク2上のデータ再生する際に必要な調整全般を指しており、ここで例示した調整方法に限定されない。
【0057】
次に、図3を参照して、光ディスク2、例えばBD−Rの記録領域について説明する。図3は、BD−Rの記録領域を説明する説明図である。
【0058】
光記録媒体のBD−Rでは、図3に示すように、内周側から外周にかけて、OPC Area、Drive Area、User Area、Test Zoneが配置される。
【0059】
OPC Areaは、光ディスク2の内周領域にあり、OPCのためのデータが書き込まれる領域である。OPC(Optimum Power Control)は、光ディスク2にデータを書き込む際のレーザ記録パワーを決定する処理である。OPCは、OPC Areaにパワーを段階的に変化させながらデータを記録し、この記録データに基づいて、記録に最適なパワーを決定する。OPC Areaには、光ディスク2のUser Areaにデータを記録する前に、記録のたびにOPCのためのデータが記録される。
【0060】
Drive Areaは、光ディスク2の内周領域にあり、例えばその光ディスク2に関するメタデータが書き込まれる領域である。本実施形態では、外周に記録した調整用データのアドレス、調整用データを記録した光ディスクドライブ装置1の機種名(又は機種IDなど)等が記録される。
【0061】
User Areaは、光ディスク2のうちユーザが自由に使用できる領域であり、ユーザによって画像データ、音声データ等の各種データが記録される。
【0062】
Test Zoneは、光ディスク2の外周領域にあり、各種調整のための調整用データが書き込まれる領域である。
【0063】
調整用データは、1枚の光ディスク2に対して1回のみ記録される。又は調整用データは、光ディスクドライブ装置1が変わる毎に記録されてもよいが、1機種の光ディスクドライブ装置1に対して1回のみ記録される。外周のTest Zoneは、内周のDrive Area等に比べて領域が狭い。そのため、本実施形態では、調整用データをTest Zoneに1回のみ記録することとし、Drive Areaに、調整用データのアドレス、光ディスクドライブ装置1の機種名(又は機種IDなど)等を記録することとした。
【0064】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る光ディスク記録又は再生時の各種調整方法について説明する。本実施形態は、特に外周における調整に関する方法である。
【0065】
まず、光ディスクドライブ装置1に光ディスク2が挿入される(ステップS101)。そして、光ディスク2が挿入されたとき、内周領域のDrive Areaを検索する。このとき、Drive Areaから光ディスクドライブ装置1と同じ機種の最新情報があるか否かが検索される(ステップS102)。次に、Drive Areaに外周情報(例えば外周記録アドレス)があるか否かが判断される(ステップS103)。外周記録アドレスとは、外周領域のTest Zoneに記録された調整用データの位置を示す情報である。
【0066】
Drive Areaに外周記録アドレスがある場合は、光ディスク2が今回挿入される以前に、Test Zoneに調整用データが記録されていることを示す。外周記録アドレスがある場合は、外周記録アドレスに基づいて、外周のTest Zoneに記録された調整用データを再生する。そして、再生された調整用データを使用して、光ディスク2の記録又は再生のための各種調整が行われる(ステップS106)。これにより、光ディスク2の外周のチルト調整、球面収差調整、フォーカスバイアス調整などができる。
【0067】
一方、Drive Areaに外周記録アドレスがない場合は、光ディスク2が今回挿入される以前に、Test Zoneに調整用データが記録されていないことを示す。そこで、外周のTest Zoneに調整用データを記録する(ステップS104)。そして、内周のDrive Areaに光ディスクドライブ装置1自身の機種名(又は機種IDなど)と、ステップS104で記録した調整用データの外周記録アドレスを記録する(ステップS105)。
【0068】
次に、外周のTest Zoneに新たに記録された調整用データを再生する。そして、再生された調整用データを使用して、光ディスク2の記録又は再生のための各種調整が行われる(ステップS106)。これにより、新たに調整用データを記録した場合でも、光ディスク2の外周のチルト調整、球面収差調整、フォーカスバイアス調整などができる。なお、ステップS105で、機種名と調整用データの外周記録アドレスを記録しておくことで、次に光ディスク2を挿入した時に外周記録アドレスを参照して、各種調整を実行できる。
【0069】
従来、光ディスク2の外周に対して各種調整をする際、外周領域にはRF信号を再生できるデータがなかったため、RF信号を用いないで、例えば、トラッキングエラー(TE)信号やウォブル信号を使用して調整していた。一方、本実施形態によれば、外周に記録されたRF信号を再生できるデータ(調整用データ)を使用して各種調整ができるため、光ディスク2の外周における調整精度を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、外周のTest Zoneには、1回のみ調整用データを記録し、その調整用データを参照する外周記録アドレスを内周のDrive Areaに記録する。そして、光ディスク2の挿入時に外周記録アドレスを参照して調整用データを再生し、各種調整をする。これにより、毎回調整用データを書き込むことがないため、光ディスク2のTest Zoneを枯渇させることがない。
【0071】
<2.第2の実施形態>
外周領域にRF信号を再生できるデータが書き込まれている場合、そのデータを読み出してRF信号を再生することで、RF信号の品質を評価できる。例えば、RF信号の品質が、以前との比較で低くなっていると評価したときは、光ディスク2の表面がユーザの指紋等で汚れたと判断できる。また、RF信号の品質が相対的にではなく絶対的に低い場合も、ディスクの表面が指紋跡等で汚れていると判断できる。
【0072】
従来、光ディスク2の外周には、RF信号を再生できるデータが常に書き込まれている領域がなかった。そのため、光ディスクドライブ装置1に光ディスク2を挿入して記録又は再生する際、以前光ディスク2が挿入された時との比較で、外周でRF信号の品質が評価されることはなかった。また、RF信号の品質がそもそも絶対的に低いかどうかが評価されることもなった。
【0073】
一方、本実施形態によれば、RF信号を再生できるデータが外周に必ず書き込まれているため、最初に外周のRF信号を再生した時の品質を記録しておけば、新たに光ディスク2を挿入した時のRF信号の品質と比較することができ、光ディスク2表面の汚れを検出できる。特に光ディスク2の外周の表面はユーザの指紋によって汚れる可能性が高く、光ディスク2表面の指紋跡等の汚れを確実に検出できる。
【0074】
本発明の第2の実施形態に係る光ディスクドライブ装置1のハードウェア回路ブロックによるハードウェア回路構成は、図1で示した第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0075】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る光ディスクドライブ装置1のシステムコントローラ5について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係るシステムコントローラを示すブロック図である。
【0076】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、システムコントローラ5は、テストゾーン記録部102と、結果記録部104と、結果探索部106と、SER測定部112が使用される。なお、第1の実施形態で使用した調整部108は第2の実施形態でシステムコントローラ5に含まれなくてもよい。光ディスクドライブ装置1は、第2の実施形態と、前述した第1の実施形態を組み合わせてもよく、この場合、図2に示すようにシステムコントローラ5の調整部108が使用される。
【0077】
テストゾーン記録部102は、第一の記録部の一例であり、光ディスク2の外周のTest Zoneに評価用データを記録する。評価用データは、光ディスクドライブ装置1によって読み取られることによって、評価のために使用されるRF信号を再生できるデータである。
【0078】
結果記録部104は、第二の記録部の一例であり、外周情報を、光ディスク2の内周のDrive Areaに記録する。外周情報は、評価用データがTest Zoneに記録されていることと、評価用データを記録してSER測定部112が光ディスク2の表面状態を推測した時のRF信号品質を含む。評価用データがTest Zoneに記録されていることは、例えば、評価用データが記録されている位置を示すアドレス情報(外周記録アドレス)又は評価用データが記録されている事実を示すフラグ情報等で表される。また、RF信号品質は、例えば評価用データを実際に再生した時に測定されるSERである。SERは、以前の値と今回の値を比較して品質が良いほうを判断するのに向いている。
【0079】
結果探索部106は、探索部の一例であり、光ディスク2の内周のDrive Areaから、結果記録部104によって記録された外周情報を探索する。
【0080】
SER測定部112は、Test Zoneに記録された評価用データを再生し、SERを測定する。なお、SERの測定方法は、一般的な技術を使用することができ、本明細書では詳細な説明は省略する。また、RF信号品質は、光ディスクの表面状態を推測する指標であり、SER以外でもよい。また、SER測定部112は、推測部の一例であり、測定されたSERに基づいて、光ディスク2の表面状態を推測する。SER測定部112が光ディスク2の表面状態を推測する際、Drive ZoneにSERが記録されていれば、SER測定部112は、Drive Zoneに記録されたSERを参照する。
【0081】
次に、図3を参照して、光ディスク2、例えばBD−Rの記録領域について説明する。図3は、BD−Rの記録領域を説明する説明図である。
【0082】
光記録媒体のBD−Rでは、図3に示すように、内周側から外周にかけて、OPC Area、Drive Area、User Area、Test Zoneが配置される。OPC AreaとUser Areaについては、第1の実施形態で説明した内容と同じであるため、説明は省略する。
【0083】
Drive Areaは、光ディスク2の内周領域にあり、例えばその光ディスク2に関するメタデータが書き込まれる領域である。本実施形態では、外周に記録した評価用データのアドレス、評価用データを記録した光ディスクドライブ装置1の機種名(又は機種IDなど)、最初に評価した時のSER(Symbol Error Rate)等が記録される。
【0084】
Test Zoneは、光ディスク2の外周領域にあり、評価用データが書き込まれる領域である。ここで、評価とは、光ディスク2の表面状態を推測し、評価することである。例えば、光ディスク2の表面がユーザの指紋によって汚れているかどうかを評価する。
【0085】
評価用データは、1枚の光ディスク2に対して1回のみ記録される。又は評価用データは、光ディスクドライブ装置1が変わる毎に記録されてもよいが、1機種の光ディスクドライブ装置1に対して1回のみ記録される。外周のTest Zoneは、内周のDrive Area等に比べて領域が狭い。そのため、本実施形態では、評価用データをTest Zoneに1回のみ記録することとし、Drive Areaに、評価用データのアドレス、光ディスクドライブ装置1の機種名(又は機種IDなど)等を記録することとした。
【0086】
次に、図5を参照して、本実施形態に係る記録又は再生時の光ディスク2の表面状態の評価方法について説明する。本実施形態は、特に外周における評価に関する方法である。
【0087】
まず、光ディスクドライブ装置1に光ディスク2が挿入される(ステップS201)。そして、光ディスク2が挿入されたとき、内周領域のDrive Areaを検索する。このとき、Drive Areaから光ディスクドライブ装置1と同じ機種の最新情報があるか否かが検索される(ステップS202)。次に、Drive Areaに外周情報(例えば外周記録アドレスと、最初にデータを記録して光ディスク2を評価した時のSER)があるか否かが判断される(ステップS203)。外周記録アドレスとは、外周領域のTest Zoneに記録された評価用データの位置を示す情報である。
【0088】
Drive Areaに外周記録アドレスがある場合は、光ディスク2が今回挿入される以前に、Test Zoneに評価用データが記録されていることを示す。外周記録アドレスがある場合は、外周記録アドレスに基づいて、外周のTest Zoneに記録された評価用データを再生する。そして、再生された評価用データを使用してSERを測定する(ステップ204)。
【0089】
そして、今回測定して得られたSERが、最初にデータを記録して光ディスク2を評価した時のSERと比較して、大きく悪化したかどうかを判断する(ステップS205)。SERが大きく悪化している場合は、内周のDrive Areaに、今回使用した光ディスクドライブ装置1自身の機種名(又は機種IDなど)と外周記録アドレスが「無効」であるとして記録する(ステップS206)。そして、光ディスク2の表面には指紋などの汚れがあると推測し、例えば「指紋あり」と判定する(ステップS207)。
【0090】
その後、光ディスク2は、光ディスクドライブ装置1から排出される。これにより、ユーザは光ディスク2の表面状態を確認でき、必要に応じて表面を清掃できる。なお、ステップS206で、機種名と外周記録アドレスが無効であるとして記録しておくことで、次回ディスク挿入時つまりディスク清掃後において、外周の記録から始めることができる。例えば、表面に傷が付いている場合などの汚れを拭いても取れない場合には何度清掃をしても指紋ありと判定されて、2度と使えないディスクとなってしまうが、ステップS206によってディスクへの記録ができなくなる処理を避けることができる。
【0091】
一方、ステップS205でSERが大きく悪化していないと判断された場合は、光ディスク2の表面には指紋などの汚れがないと推測し、例えば「指紋なし」と判定する(ステップS208)。
【0092】
また、ステップS203において、Drive Areaに外周記録アドレスがないと判断された場合は、光ディスク2が今回挿入される以前に、Test Zoneに評価用データが記録されていないことを示す。そこで、外周のTest Zoneに評価用データを記録する(ステップS211)。
【0093】
そして、記録した評価用データを再生して、光ディスク2の外周のSERを測定する(ステップS212)。次に、測定されたSERが予め設定した閾値以下か否かが判断される(ステップS213)。予め設定した閾値は、光ディスク2の表面が汚れている場合に測定されるようなSERの値である。
【0094】
測定されたSERが予め設定した閾値以下になるような場合は、内周のDrive Areaに、今回使用した光ディスクドライブ装置1自身の機種名(又は機種IDなど)と外周記録アドレスが「無効」であるとして記録する(ステップS216)。そして、測定されたSERが予め設定した閾値以下になるような場合は、光ディスク2の表面には指紋などの汚れがあると推測し、例えば「指紋あり」と判定する(ステップS217)。ステップS216で、機種名と外周記録アドレスが無効であるとして記録しておくことで、次に、光ディスク2を挿入した際、無効の外周記録アドレスを参照することなく、新たに評価用データを記録する処理に移行することができる。なお、ステップS216はなくてもよい。Drive Areaに記録しなければ、次回挿入時に有効な外周記録アドレスやSERや同機種IDがないと判断するため、上述したステップS203からステップS211へ移行する処理と同じように、新たに評価用データを記録する処理に移行することができる。また、Drive Areaの書き込み可能な領域は有限であるため、Drive Areaを使用する領域を減らすことができるというメリットもある。
【0095】
一方、測定されたSERが予め設定した閾値を超えている場合は、内周のDrive Areaに光ディスクドライブ装置1自身の機種名(又は機種IDなど)と、ステップS211で記録した評価用データの外周記録アドレスと、ステップS211で光ディスク2を評価した時のSERを記録する(ステップS214)。
【0096】
そして、光ディスク2の表面には指紋などの汚れがないと推測し、例えば「指紋なし」と判定する(ステップS208)。
【0097】
なお、ステップS214で、機種名と調整用データの外周記録アドレスを記録しておくことで、次に光ディスク2を挿入した時に外周記録アドレスとSERを参照して、各種調整を実行できる。これにより、新たに評価用データを記録した場合でも、SERを測定でき、SERの絶対的な値によって光ディスク2の表面状態を推測できる。
【0098】
以上、本実施形態によれば、RF信号を再生できるデータが外周に必ず書き込まれているため、最初に外周のRF信号を再生した時の品質を記録しておけば、新たに光ディスク2を挿入した時のRF信号の品質と比較することができ、光ディスク2表面の汚れを検出できる。また、また、RF信号の品質が相対的にではなく絶対的に低い場合も、ディスクの表面が指紋跡等で汚れていると判断できる。
【0099】
更に、本実施形態では、外周のTest Zoneには、1回のみ評価用データを記録し、その評価用データを参照する外周記録アドレスを内周のDrive Areaに記録する。そして、光ディスク2の挿入時に外周記録アドレスを参照して評価用データを再生し、各種調整をする。これにより、毎回調整用データを書き込むことがないため、光ディスク2のTest Zoneを枯渇させることがない。
【0100】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0101】
例えば、上述した第1及び第2の実施形態においては、本発明に係る記録再生装置を、光ディスクドライブ装置1に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、光ディスクに対しデータを記録し、又はデータを再生可能なパーソナルコンピュータやゲーム機器、カーナビゲーション装置、テレビジョン受像機等の情報処理装置のように、この他種々の構成の記録再生装置に広く適用することができる。
【0102】
また上述した第1及び第2の実施形態においては、システムコントローラ5が各種プログラムに従って各種処理を実行する。光ディスクドライブ装置1においては、ROMに予めプログラムを記憶していてもよいし、プログラム格納媒体によってプログラムがインストールされるようにしてもよい。そして、プログラム格納媒体は、プログラムを光ディスクドライブ装置1にインストールして実行可能な状態にする。プログラム格納媒体は、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、DVD等のパッケージメディアのみならず、各種プログラムが一時的もしくは永続的に格納される半導体メモリや磁気ディスク等で実現してもよい。また、これらプログラム格納媒体にプログラムを格納する手段としては、ローカルエリアネットワークやインターネット、デジタル衛星放送等の有線及び無線通信媒体を利用してもよく、ルータやモデム等の各種通信インタフェースを介して格納するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 光ディスクドライブ装置
2 光ディスク
3 光ピックアップ
4 スレッド機構部
5 システムコントローラ
6 サーボ回路
7 スピンドル駆動回路
8 スピンドルモータ
9 レーザドライバ
10 マトリクス回路
11 ウォブル回路
12 アドレス生成回路
13 リーダ回路
14 復調回路
15 デコーダ
102 テストゾーン記録部
104 結果記録部
106 結果探索部
108 調整部
112 SER測定部
AVS1 AVシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録する第一の記録部と、
記録した前記データが前記外周領域に記録されていることを示す外周情報を前記光記録媒体の内周領域に記録する第二の記録部と、
前記外周情報を前記内周領域から探索する探索部と、
探索された前記外周情報に基づいて、前記外周領域に記録された前記データを再生し、再生された前記データに基づいて前記光記録媒体の記録又は再生のための調整を行う調整部と、
を備える、記録再生装置。
【請求項2】
前記第一の記録部は、前記外周情報が前記内周領域に記録されていないとき、RF信号を再生できるデータを前記外周領域に新たに記録し、
前記第二の記録部は、新たに記録した前記データが前記外周領域に記録されていることを示す外周情報を前記内周領域に新たに記録する、請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録する第一の記録部と、
前記外周領域に記録された前記データを再生し、再生された前記データに基づいて前記光記録媒体の表面状態を推測する推測部と、
記録した前記データが前記外周領域に記録されていること、及び前記第一の記録部が前記外周領域に前記データを記録して前記推測部が前記光記録媒体の表面状態を推測した時のRF信号品質を含む外周情報を前記光記録媒体の内周領域に記録する第二の記録部と、
前記外周情報を前記内周領域から探索する探索部と、
を備え、
前記推測部は、探索された前記外周情報に基づいて、前記外周領域に記録された前記データを再生し、再生された前記データと、前記外周情報の前記RF信号品質に基づいて前記光記録媒体の表面状態を推測する、記録再生装置。
【請求項4】
前記第一の記録部は、前記外周情報が前記内周領域に記録されていないとき、RF信号を再生できるデータを前記外周領域に新たに記録し、
前記推測部は、新たに記録した前記データを再生し、再生された前記データに基づいて前記光記録媒体の表面状態を推測する、請求項3に記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記第二の記録部は、新たに記録した前記データが前記外周領域に記録されていること、及び前記第一の記録部が前記外周領域に前記データを新たに記録して前記推測部が前記光記録媒体の表面状態を推測した時のRF信号品質を含む外周情報を前記内周領域に新たに記録する、請求項4に記載の記録再生装置。
【請求項6】
RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録するステップと、
記録した前記データが前記外周領域に記録されていることを示す外周情報を前記光記録媒体の内周領域に記録するステップと、
前記外周情報を前記内周領域から探索するステップと、
探索された前記外周情報に基づいて、前記外周領域に記録された前記データを再生し、再生された前記データに基づいて前記光記録媒体の記録又は再生のための調整を行うステップと、
を備える、記録再生方法。
【請求項7】
RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録するステップと、
前記外周領域に記録された前記データを再生し、再生された前記データに基づいて前記光記録媒体の表面状態を推測するステップと、
記録した前記データが前記外周領域に記録されていること、及び前記第一の記録部が前記外周領域に前記データを記録して前記推測部が前記光記録媒体の表面状態を推測した時のRF信号品質を含む外周情報を前記光記録媒体の内周領域に記録するステップと、
前記外周情報を前記内周領域から探索するステップと、
探索された前記外周情報に基づいて、前記外周領域に記録された前記データを再生し、再生された前記データと、前記外周情報の前記RF信号品質に基づいて前記光記録媒体の表面状態を推測するステップと、
を備える、記録再生方法。
【請求項8】
RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録する手段、
記録した前記データが前記外周領域に記録されていることを示す外周情報を前記光記録媒体の内周領域に記録する手段、
前記外周情報を前記内周領域から探索する手段、
探索された前記外周情報に基づいて、前記外周領域に記録された前記データを再生し、再生された前記データに基づいて前記光記録媒体の記録又は再生のための調整を行う手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項9】
RF信号を再生できるデータを光記録媒体の外周領域に記録する手段、
前記外周領域に記録された前記データを再生し、再生された前記データに基づいて前記光記録媒体の表面状態を推測する手段、
記録した前記データが前記外周領域に記録されていること、及び前記第一の記録部が前記外周領域に前記データを記録して前記推測部が前記光記録媒体の表面状態を推測した時のRF信号品質を含む外周情報を前記光記録媒体の内周領域に記録する手段、
前記外周情報を前記内周領域から探索する手段、
探索された前記外周情報に基づいて、前記外周領域に記録された前記データを再生し、再生された前記データと、前記外周情報の前記RF信号品質に基づいて前記光記録媒体の表面状態を推測する手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−14775(P2012−14775A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149580(P2010−149580)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】