説明

記録制御装置、制御方法、及び、プログラム

【課題】記録装置の文字の記録形態に関する設定と、この記録装置を制御する制御装置における文字の記録形態に関する設定とを確実に、かつ容易に一致させる。
【解決手段】文字の印刷形態を指定する設定値52に従って文字を印刷するプリンター4に接続されたホストコンピューター1が、ドライバー設定プログラム23の機能により、印刷形態に係る仕様が異なるプリンター4と同等または近似した印刷結果を得るために対応付けられた一組のMOTファイル28(記録装置設定用データ)とINFファイル27(制御装置設定用データ)とを取得し、取得したINFファイル27に基づいてプリンタードライバー22が参照するレジストリー29の設定を行うとともに、ファームウェアセットアッププログラム24の機能により、MOTファイル28に基づいて設定値52を生成または更新させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録を行う記録装置に接続された記録制御装置、この記録制御装置に係る制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、記録装置を制御するコンピューター等の制御装置には、制御対象の記録装置に対応したドライバープログラムがインストールされている(例えば、特許文献1参照)。ドライバープログラムは、インストール時に設定ファイルに従って設定がなされており、この設定に従って記録装置を制御し、記録を行わせる。設定される内容としては、例えば、記録装置が記録する文字サイズが含まれる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−077228号公報
【特許文献2】特開2002−014786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、制御装置に設定される文字サイズ等の情報は、記録装置が実際に記録する文字サイズを反映している必要があるが、例えば記録解像度や文字サイズを変更可能な記録装置を用いた場合に、記録装置と制御装置の設定状態が一致しないおそれがあった。
特に、記録解像度が異なる複数の記録装置を用いて、よく似た記録結果を得ようとする場合、各々の記録装置の記録解像度と文字を構成するドット数とを適宜設定する必要があるが、このような場合に記録装置と制御装置の設定状態の不一致が起きやすいという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、記録装置の文字の記録形態に関する設定と、この記録装置を制御する制御装置における文字の記録形態に関する設定とを確実に、かつ容易に一致させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、文字の記録形態を指定する記録形態情報を記憶し当該記録形態情報に従って文字を記録する記録装置に接続され、前記記録装置の記録動作を制御する制御部と、前記制御部が前記記録装置を制御するための、前記記録装置による文字の記録形態に係る設定を行う設定部と、文字の記録形態に係る仕様が異なる記録装置と同等または近似した記録結果を得るために対応付けられた少なくとも一組の記録装置設定用データと制御装置設定用データを記憶する記憶部と、を備え、前記設定部は、前記記憶部から前記記録装置設定用データと前記制御装置設定用データとを取得し、取得した前記制御装置設定用データに基づいて前記制御部の設定を行うとともに、前記記録装置設定用データに基づいて前記記録装置の記録形態情報を生成または更新させること、を特徴とする。
この構成によれば、記録装置が記憶する設定値等の記録形態情報、及び、この記録装置を制御する記録制御装置を設定するため、文字の記録形態に係る仕様が異なる記録装置と同等または近似した記録結果を得るために対応付けられた少なくとも一組の記録装置設定用データと制御装置設定用データが用いられる。これにより、異なる仕様の記録装置を用いた場合と同等または近似した見栄えで記録を行えるようになり、かつ、記録装置と記録制御装置とにおける設定状態の不一致を防止できる。
【0006】
また、本発明は、上記の記録制御装置において、互いに対応付けられた前記記録装置設定用データ及び前記制御装置設定用データは、前記記録装置が記録する文字のサイズを指定する情報をともに含み、前記設定部は、前記制御部に対して前記記録装置が記録する文字サイズを設定すること、を特徴とする。
この構成によれば、記録装置と記録制御装置とにおいて文字サイズに関する設定の不一致を防止することができ、記録制御装置が指定した通りの見栄えの記録結果を得られるようになる。
【0007】
また、本発明は、上記の記録制御装置において、前記記録装置は、記録媒体にドットを形成することによって、複数のドットで構成される文字を記録する装置であり、前記記録装置設定用データ及び前記制御装置設定用データは、前記記録装置によって、記録解像度が異なる別の記録装置と同等または近似した配置で文字を記録するための文字の記録ドット数を指定する情報を含み、前記設定部は、前記制御部に対して、前記記録装置が記録する文字の記録ドット数、或いは、前記記録装置の記録解像度と文字の記録ドット数から求められる文字サイズを設定すること、を特徴とする。
この構成によれば、記録解像度が異なる記録装置で記録した場合と同様に文字を配置して記録して、同等の見栄えの記録結果を得ることができる。
【0008】
また、本発明は、上記の記録制御装置において、前記制御部は、アプリケーションプログラムの動作に基づいて、前記設定部により設定された文字サイズで記録を行うための記録ジョブを生成すること、を特徴とする。
この構成によれば、記録装置が記憶している記録形態情報と一致した設定がなされた制御部が、アプリケーションプログラムの動作により記録を行う場合の記録ジョブを生成するので、アプリケーションプログラムにおいて期待される記録結果の通りに記録を行うことができる。
【0009】
また、上記課題を解決するため、本発明は、文字の記録形態を指定する記録形態情報を記憶して当該記録形態情報に従って文字を記録する記録装置に接続され、前記記録装置の記録動作を制御する制御部を備えた記録制御装置を制御して、文字の記録形態に係る仕様が異なる記録装置と同等または近似した記録結果を得るために対応付けられた設定用のデータを取得し、この設定用のデータに基づいて、前記制御部が前記記録装置を制御するための前記記録装置による文字の記録形態に係る設定を行うとともに、取得した設定用のデータに基づいて前記記録装置の記録形態情報を生成または更新させる制御方法であること、を特徴とする。
この方法によれば、記録装置が記憶する記録形態情報、及び、この記録装置を制御する記録制御装置を設定するため、文字の記録形態に係る仕様が異なる記録装置と同等または近似した記録結果を得るために対応付けられた設定用のデータが用いられる。これにより、異なる仕様の記録装置を用いた場合と同等または近似した見栄えで記録を行えるようになり、かつ、記録装置と記録制御装置とにおける設定状態の不一致を防止できる。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本発明は、文字の記録形態を指定する記録形態情報を記憶し当該記録形態情報に従って文字を記録する記録装置に接続され、前記記録装置の記録動作を制御する制御部を備えた制御装置が実行するプログラムであって、文字の記録形態に係る仕様が異なる記録装置と同等または近似した記録結果を得るために対応付けられた設定用のデータを取得し、この設定用のデータに基づいて、前記制御部が前記記録装置を制御するための前記記録装置による文字の記録形態に係る設定を行うとともに、取得した設定用のデータに基づいて前記記録装置の記録形態情報を生成または更新させること、を特徴とする。
このプログラムを制御装置が実行することにより、記録装置が記憶する記録形態情報、及び、この記録装置を制御する記録制御装置を設定するため、文字の記録形態に係る仕様が異なる記録装置と同等または近似した記録結果を得るために対応付けられた設定用のデータが用いられる。これにより、異なる仕様の記録装置を用いた場合と同等または近似した見栄えで記録を行えるようになり、かつ、記録装置と記録制御装置とにおける設定状態の不一致を防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、異なる仕様の記録装置を用いた場合と同等または近似した見栄えで記録を行えるようになり、かつ、記録装置と記録制御装置とにおける設定状態の不一致を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係るプリントシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】プリントシステムの動作のシーケンスを模式的に示す図である。
【図3】設定ファイルの構成を模式的に示す図である。
【図4】印刷解像度、文字サイズ及び桁数の関係の例を示す図表である。
【図5】ホストコンピューターの動作を示すフローチャートである。
【図6】ホストコンピューターの動作を示すフローチャートである。
【図7】文字サイズの設定に係る具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係るプリントシステム100の構成を示すブロック図である。
この図1に示すように、プリントシステム100は、ホストコンピューター1と、ホストコンピューター1に対して通信可能に接続されたプリンター4をと、を備える。ホストコンピューター1は、例えば、小売店等の店頭に設置され、売上登録処理及び精算処理を行う販売時点管理システム(POSシステム)を搭載したPOS端末装置であり、取引毎にプリンター4によってレシートを印刷(記録)させる。なお、ホストコンピューター1には、売上登録処理及び精算処理の処理内容を表示するディスプレイ、売上登録処理時に商品に付されたバーコードを読み取るバーコードスキャナー、売上登録キー等の各種キーを備えた入力部、精算用の現金を収容するキャッシュドロワー等を備えているが、これらの各部については図示及び説明を省略する。
【0014】
記録制御装置としてのホストコンピューター1は、各種プログラムを実行するCPU11、CPU11により実行される基本制御プログラム等を記憶したROM12、CPU11が実行するプログラムや処理対象のデータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成するRAM13、プリンター4に対して有線または無線接続され、所定の通信プロトコルを実行してプリンター4との間で制御コマンド等を送受信するインターフェース14、及び、情報を不揮発的に記憶する磁気的または光学的記憶装置で構成され、プログラムやデータを記憶する記憶部2を備え、これらの各部はバス19を介して相互に接続されている。
記憶部2には、CPU11が実行するプログラムとして、POSシステムとして売上登録処理及び精算処理を行うアプリケーションプログラム21、プリンター4を制御して印刷を実行させるプリンタードライバー22、プリンタードライバー22の動作に係る各種の値を設定するドライバー設定プログラム23、プリンター4における各種の値を設定するファームウェアセットアッププログラム24等が記憶される。
また、記憶部2には、設定ファイル26が記憶されている。設定ファイル26には、ドライバー設定プログラム23の実行時に使用されるデータであるINFファイル27(制御装置設定用データ)と、ファームウェアセットアッププログラム24の実行時に使用されるデータであるMOTファイル28(記録装置設定用データ)とが含まれる。さらに、記憶部2には、レジストリー29が記憶されている。レジストリー29は、ホストコンピューター1の基本動作に係る各種設定値を格納しており、プリンタードライバー22の実行時に参照される印刷形態に係るデータも含まれている。
【0015】
記録装置としてのプリンター4は、ホストコンピューター1の制御に従って、取引毎にレシートを出力する。プリンター4は、例えば、ロール状に巻かれた感熱記録紙である感熱ロール紙を、ローラー状のプラテン(図示略)により搬送し、この感熱ロール紙の記録面に、発熱素子を備えたラインサーマルヘッド(図示略)によって熱を与えることによりモノクロまたは多色で文字や画像を印刷(記録)するサーマルラインプリンターである。
プリンター4は、制御プログラムを実行することによりプリンター4の各部を制御するCPU41、ホストコンピューター1に有線または無線接続され、所定の通信プロトコルを実行してホストコンピューター1との間で制御コマンド等を送受信するインターフェース42、プリンター4の動作状態等を表示するLED等を備えたディスプレイ(図示略)やプリンター4の動作に係る設定等を行うための操作部(図示略)を備えたコントロールパネル43、上述したラインサーマルヘッド及びプラテンを含む各部により感熱ロール紙への印刷を実行するプリントエンジン45、CPU41から入力される文字や画像のデータに基づいて、プリントエンジン45を制御して文字や画像を印刷させるエンジンコントローラー44、及び、フラッシュメモリー等の書換え可能な不揮発性メモリーで構成されるプログラムデバイス5を備え、これらの各部はバス49により相互に接続されている。
【0016】
プログラムデバイス5は、CPU41により実行される制御プログラムとして、ファームウェアモジュール51を記憶している。ファームウェアモジュール51は、CPU41が実行する実行形式のプログラムであり、このプログラムの実行時に参照される設定値52(記録形態情報)がともに記憶されている。設定値52はファームウェアモジュール51の一部に含まれていても、ファームウェアモジュール51とともにプログラムデバイス5に記憶されてもよい。ファームウェアモジュール51は、プリンター4の機能の一部をモジュール化したものであり、プログラムデバイス5に複数のファームウェアモジュール51を記憶し、CPU41が、ホストコンピューター1から受信したコマンドに対応するファームウェアモジュール51をプログラムデバイス5からロードして実行する。
【0017】
図2は、プリントシステム100の動作のシーケンスを模式的に示す図であり、図2(A)は印刷時の動作を示し、図2(B)は設定時の動作を示す。
図2(A)に示すように、ホストコンピューター1のCPU11は、記憶部2に記憶されたアプリケーションプログラム21をロードして実行することにより、POS端末装置としての各種機能を実現する。
このアプリケーションプログラム21の実行中に、印刷が必要になった場合、CPU11は、アプリケーションプログラム21の機能によって印刷対象の文字や画像を含む文書データを生成し、この文書データに基づいて、プリンタードライバー22の機能によって、プリンター4を制御する制御コマンドと印刷するデータとを含む印刷ジョブを生成し、プリンター4に送信する。ここで、プリンタードライバー22は、予めINFファイル27に基づき設定されたレジストリー29を参照し、レジストリー29におけるプリンター4の文字サイズ(フォントサイズ)、文字間、改行幅、用紙サイズ、マージン等の設定値に従って文字等を配置し、この配置通りに印刷を行うために文字間、改行幅、マージンを指定するコマンドを含む印刷ジョブを生成する。
プリンター4は、ホストコンピューター1から送信された印刷ジョブを受信して解析し、制御コマンドに基づいてファームウェアモジュール51を実行して、エンジンコントローラー44を制御することにより印刷を実行する。
このプリンタードライバー22の実行時、CPU11は制御部として機能する。
【0018】
プリンタードライバー22が印刷ジョブを生成する際に参照するレジストリー29の設定値は、実際にプリンター4において設定されている文字サイズ、プリンター4で使用可能な文字間、改行幅及びマージン、プリンター4にセットされている用紙サイズに適合している必要がある。仮に、これらの設定値がプリンター4の現状と異なっていると、プリンター4が印刷出力する印刷結果の見栄えが、プリンタードライバー22が生成した印刷ジョブとは違ったものになってしまう。そこで本実施形態のプリントシステム100では、設定ファイル26を用いて設定を行う。
【0019】
図3は、記憶部2に記憶される設定ファイル26の構成を模式的に示す図であり、図3(A)はINFファイル27の構成を示し、図3(B)はMOTファイル28の構成を示す。
図3(A)に示すように、INFファイル27は、プリンター4が文字を印刷する場合の印刷形態に関する値を含んでおり、具体的には、縦横のドット数で表される文字サイズを示す「フォントサイズ」、文字と文字との間に形成する空白部分の幅をドット数で表す「文字間」、行と行との間に形成する空白部分の幅(高さ)をドット数で表す「改行幅」、プリンター4が使用する感熱ロール紙の幅方向のサイズを示す「用紙サイズ」、及び、感熱ロール紙の両側端に設けられる非印刷部分(マージン)の幅を示す「マージン」を含んでいる。
また、図3(B)に示すように、MOTファイル28は、プリンター4が文字を印刷する場合の印刷形態に関する値として、INFファイル27と同様の「フォントサイズ」の値を含んでいるものであり、例えば「A」「B」などのフォントの実データ(フォントデータ)を含むものである。MOTファイル28の値は、プリンター4の設定値52(図1)に設定され、ファームウェアモジュール51は、設定値52に設定されたフォントデータで文字を印刷する。
【0020】
図3(A)に示すINFファイル27と、図3(B)に示すMOTファイル28とは予め対応付けられており、この対応関係を崩して他のINFファイル27やMOTファイル28と組み合わせて使用されることはない。例えば、対応するINFファイル27とMOTファイル28に同一の識別符号が付されるようにして、この識別符号の一致/不一致に基づいて、INFファイル27とMOTファイル28とが対応しているか否かが判別できるようにしてもよい。図3では、12X24(dot)のフォントに関するものとして、互いに対応付けられている。
【0021】
INFファイル27及びMOTファイル28は、図2(B)に示すシーケンスに従って設定を行う際に用いられる。
この設定時には、CPU11がファームウェアセットアッププログラム24をロードして実行し、このファームウェアセットアッププログラム24の機能によって、設定ファイル26のMOTファイル28を読み出し、MOTファイル28に含まれる値(本実施形態では文字サイズを含むフォントデータ)を、プリンター4の設定値52に設定する。ここで、設定値52は、記録形態情報に相当する。
【0022】
また、CPU11がファームウェアセットアッププログラム24をロードして実行すると、ファームウェアセットアッププログラム24の機能によって、ドライバー設定プログラム23が呼び出される。つまり、基本的にファームウェアセットアッププログラム24だけが単独で実行されることはなく、必ず、ファームウェアセットアッププログラム24の実行時にはドライバー設定プログラム23が実行される。
CPU11は、ドライバー設定プログラム23の機能によって、INFファイル27を参照し、INFファイル27の各設定値を、プリンタードライバー22が参照するレジストリー29に設定する。これにより、プリンタードライバー22は、INFファイル27の値に従って印刷ジョブを生成するようになる。
レジストリー29に設定されたINFファイル27の値は、このINFファイル27に対応するMOTファイル28に基づいて、プリンター4の設定値52にも設定される。このため、レジストリー29の設定値と設定値52とが常に一致し、望み通りの印刷結果を得られる。
これらドライバー設定プログラム23及びファームウェアセットアッププログラム24の実行時、CPU11は設定部として機能する。
【0023】
また、INFファイル27及びMOTファイル28は、プリンター4の機種に依存する設定値を含んでいるため、これらINFファイル27及びMOTファイル28を適用可能なプリンタードライバー22及びプリンター4は限られている。通常、対応していない設定ファイル26が記憶部2に記憶されている可能性は低く、プリントシステム100を操作するオペレーターが確認すれば良いが、設定ファイル26の対応状態をホストコンピューター1が自動的に確認する構成としてもよい。具体的には、ドライバー設定プログラム23及びファームウェアセットアッププログラム24に、それぞれ、使用するINFファイル27及びMOTファイル28が、設定対象のプリンタードライバー22及びファームウェアモジュール51の対象となるプリンター4の機種に適用可能であるかどうかを判別する機能を持たせてもよい。
【0024】
ここで、設定ファイル26により文字サイズ等を設定する目的および利点を説明する。
図4は、印刷解像度、文字サイズ及び桁数の関係の例を示す図表である。
この図4に示す例1のように、印刷解像度が180dpi(dot per inch)のプリンターが80mm幅の感熱ロール紙を使用した場合、1行に印刷可能なドット数は512ドットとなる。この例で、横12ドット×縦24ドットのフォントを印刷する場合には、1行に42桁の文字が印刷され、横11ドット×縦22ドットのフォントを用いると1行に46桁の文字が印刷される。
また、例2のように印刷解像度が203dpiのプリンターが80mm幅の感熱ロール紙を使用すると、1行のドット数は576ドットとなる。この例2のプリンターが横12ドット×縦24ドットのフォントを用いると、1行に46桁の文字を印刷できる。
【0025】
仮に、例2のプリンター(203dpi)を使った場合と同じような見栄えの印刷結果を、例1のプリンターを得たい場合、1行あたりの桁数を一致させると、同等または近似した印刷結果となる。この場合には、例1のプリンターにおいて、使用するフォントを、横12ドット×縦24ドットのフォントから、横11ドット×縦22ドットのフォントに変更すればよい。
また、例3のように、96dpiのプリンターを用いて、例2のプリンターと同じような見栄えの印刷結果を得たい場合は、例3のプリンターにおいて使用するフォントを、横6ドット×縦12ドットのフォントに設定すれば、1行に46桁の文字が印字されるようになるため、同等または近似した印刷結果が得られる。
【0026】
通常、プリンターの印刷解像度はプリンターの機種によって決まっており、本実施形態のプリンター4の印刷解像度は変更できない。本実施形態では、設定ファイル26のINFファイル27及びMOTファイル28は、プリンター4の印刷解像度に合わせて、印刷解像度が異なる他の機種のプリンターと同等または近似した印刷結果を得られるように文字サイズとフォントデータを設定するためのデータである。例えば上述した例1のプリンター(180dpi)で、例2のプリンター(203dpi)と同等の印刷結果を得られるように、例1のプリンター(180dpi)の文字サイズとフォントデータを横11ドット×縦22ドットのものに更新、または生成する。
そして、このMOTファイル28に対応するINFファイル27を用いて、レジストリー29にも同様の設定が行われるので、プリンター4の設定値とホストコンピューター1の設定値とが食い違うことがない。
【0027】
図5は、ホストコンピューター1の動作を示すフローチャートである。
ホストコンピューター1のCPU11は、図示しない入力部の操作等によりファームウェアセットアッププログラム24の実行が指示されると、記憶部2からファームウェアセットアッププログラム24をロードして実行を開始する(ステップS1)。CPU11は、記憶部2に記憶されている設定ファイル26の中から、図示しない入力部の操作等により指定された設定ファイル26、すなわちINFファイル27とMOTファイル28の組を取得する(ステップS2)。
CPU11は、インターフェース14を介してプリンター4に制御コマンドを送信し、プリンター4のプログラムデバイス5に記憶されているファームウェアモジュール51を呼び出す(ステップS3)。このステップS3では、プリンター4のCPU41がファームウェアモジュール51を読み出す。
【0028】
CPU11は、プリンター4に対して、ファームウェアモジュール51が参照する設定値52の更新を指示する制御コマンドと、MOTファイル28から抽出したデータとを送信し、ファームウェアモジュール51(設定値52)を更新または生成させる(ステップS4)。CPU41は、ホストコンピューター1から受信した制御コマンドに従い、受信したデータに従って設定値52の設定値を更新してプログラムデバイス5に記憶させる。
続いて、CPU11は、ドライバー設定プログラム23をロードして実行を開始する(ステップS5)。CPU11は、ステップS2で取得したINFファイル27から設定すべきデータを抽出し、このデータに基づいて、プリンタードライバー22が参照するレジストリー29の設定値を更新する(ステップS6)。
【0029】
このように設定ファイル26に基づいてレジストリー29及び設定値52が設定された後、ホストコンピューター1は、互いに対応する一組のINFファイル27及びMOTファイル28が用いられたかどうかを確認することもできる。
図6は、プリンタードライバー22の実行時におけるホストコンピューター1の動作を示すフローチャートである。
この図6に示すように、ホストコンピューター1のCPU11は、アプリケーションプログラム21により印刷が指示された場合にプリンタードライバー22をロードして実行する(ステップS11)。ここで、CPU11は、レジストリー29の設定値のもとになったINFファイル27と、プリンター4の設定値52の設定に使用されたMOTファイル28とを検出する(ステップS12)。この検出を行う方法は、例えば、現在の設定値と一致するINFファイル27及びMOTファイル28を、記憶部2に記憶されたINFファイル27及びMOTファイル28の中から検索する方法や、ドライバー設定プログラム23及びファームウェアセットアッププログラム24の実行時に、設定に使用したINFファイル27及びMOTファイル28の識別情報をレジストリー29に設定しておく方法、設定に使用されたINFファイル27及びMOTファイル28を示す情報を、INFファイル27及びMOTファイル28とともに記憶部2に記憶しておく方法などがある。
【0030】
そして、CPU11は、検出したINFファイル27とMOTファイル28の識別情報を比較し(ステップS13)、これらの識別情報が一致するか否かを判別する(ステップS14)。ここで、INFファイル27とMOTファイル28の識別情報が一致しない場合には(ステップS14;No)、CPU11は図示しないディスプレイにおける表示等により、エラーを報知するとともに、ファームウェアセットアッププログラム24に実行を推奨するメッセージを出力して(ステップS15)、本処理を終了して、通常のプリンタードライバー22の動作に移行する。また、INFファイル27とMOTファイル28の識別情報が一致した場合(ステップS14;Yes)、そのまま本処理を終了して通常のプリンタードライバー22の動作に移行する。
この処理によって、互いに対応していないINFファイル27とMOTファイル28とが使用され、プリンタードライバー22とファームウェアモジュール51に一致しない値が設定された場合に、これらの不一致を印刷実行前に検出して、報知を行える。
【0031】
設定値52の変更は、1つの文字サイズを使用するプリンター4だけでなく、複数の文字サイズで印刷を行うプリンター4においても有効である。
図7は、文字サイズの設定に係る具体例を示す説明図である。図7(A)及び図7(B)はいずれもプリンター4が備えるフォントに係る設定値52の構成を示し、図7(A)は更新前、図7(B)は更新後の状態である。
【0032】
図7に例示するプリンター4は、4種類或いはそれ以上の文字サイズで印刷が可能である。このプリンター4は、1つのフォント(フォントデータ)を拡大縮小して擬似的に4つ以上のフォントを生成し、これらのフォントを使い分ける。
図7(A)に示す例では、基本となる文字サイズで印刷する場合には、「FontA11」が指定される。「FontA12」は基本のフォント「FontA11」の横サイズを2倍にしたもので、「FontA21」は基本のフォント「FontA11」の縦サイズを2倍にしたもので、「FontA22」は基本のフォント「FontA11」の縦サイズ及び横サイズを2倍にしたものである。これらの倍率は、図7(A)中に「縦倍率」及び「横倍率」として示されている。
このように、1つの基準のフォントを用いて、文字サイズが異なる複数のフォントを使用可能なプリンター4に対し、ファームウェアセットアッププログラム24は、MOTファイル28に基づいて、基本となるフォント「FontA11」のサイズを変更する。
【0033】
例えば、「FontA11」のサイズが、縦8ドット×横12ドットから、図7(B)に示すように縦10ドット×横10ドットに変更されると、この「FontA11」から生成される他のフォント「FontA12」、「FontA21」、「FontA22」のサイズも同様の比率で変化する。
図7(A)及び図7(B)に示す例では、例えば、印刷解像度が異なる他のプリンターと同じ見栄えで印刷しようとする場合に、基本となるフォント「FontA11」の文字サイズを変更することで、印刷解像度の違いに合わせ割合で文字サイズを変更できる。そして、この基本となるフォント「FontA11」の文字サイズの変更に伴い、サイズが異なる他のフォント「FontA12」、「FontA21」、「FontA22」のサイズも変更されるので、結果として全てのフォントが、印刷解像度の違いに対応する。これらは、INFファイル27とMOTファイル28に反映される。このように、複数のサイズのフォントを使用するプリンター4においても、ファームウェアセットアッププログラム24の動作によって設定値52を更新することで、異なる印刷解像度のプリンターと同様の見栄えの印刷結果が得られるように、容易に設定を変更できる。
【0034】
以上のように、本発明を適用した実施形態に係るプリントシステム100によれば、文字の印刷形態として文字サイズ等のフォントの仕様情報とフォントデータを指定する設定値52を記憶し、この設定値52に従って文字を印刷するプリンター4に接続されたホストコンピューター1が、プリンター4の印刷動作を制御するプリンタードライバー22と、プリンタードライバー22がプリンター4を制御するための、プリンター4による文字の印刷形態に係る設定を行うドライバー設定プログラム23及びファームウェアセットアッププログラム24と、を備え、ドライバー設定プログラム23の機能により、文字の印刷形態に係る仕様としての印刷解像度が異なるプリンター4と同等または近似した印刷結果を得るために対応付けられた一組のMOTファイル28とINFファイル27とを取得し、取得したINFファイル27に基づいてプリンタードライバー22が参照するレジストリー29の設定を行うとともに、ファームウェアセットアッププログラム24の機能により、MOTファイル28に基づいて設定値52を生成または更新させる。
この構成によれば、プリンター4が記憶する設定値52、及び、このプリンター4を制御するプリンタードライバー22が参照するレジストリー29が、印刷解像度が異なるプリンターと同等または近似した印刷結果を得るために対応付けられた一組のMOTファイル28とINFファイル27とを用いて設定される。これにより、異なる仕様のプリンターを用いた場合と同等または近似した見栄えで印刷を行えるようになり、かつ、プリンター4とホストコンピューター1とにおける設定状態の不一致を防止できる。
【0035】
また、互いに対応付けられたMOTファイル28及びINFファイル27は、プリンター4が印刷する文字のサイズを指定する情報をともに含み、ドライバー設定プログラム23及びファームウェアセットアッププログラム24は、プリンター4が印刷する文字サイズを設定するので、プリンター4とホストコンピューター1とにおいて文字サイズに関する設定の不一致を防止することができ、ホストコンピューター1が指定した通りの見栄えの印刷結果を得られるようになる。
【0036】
また、プリンター4は、感熱ロール紙にドットを形成することによって複数のドットで構成される文字を印刷するプリンターであり、MOTファイル28及びINFファイル27は、プリンター4によって、印刷解像度が異なる別のプリンターと同等または近似した配置で文字を印刷するための文字の印刷ドット数を指定する情報を含み、ドライバー設定プログラム23は、プリンタードライバー22に対して、プリンター4が印刷する文字の印刷ドット数、或いは、プリンター4の印刷解像度と文字の印刷ドット数から求められる文字サイズを設定する。この場合、印刷解像度が異なるプリンターで印刷した場合と同様に文字を並べて、同等の見栄えの印刷結果を得ることができる。
【0037】
さらに、プリンタードライバー22は、アプリケーションプログラム21の動作に基づいて、レジストリー29に設定された文字サイズで印刷を行うための印刷ジョブを生成するので、アプリケーションプログラム21において期待される印刷結果の通りに印刷を行うことができる。
【0038】
なお、上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、ファームウェアモジュール51及び設定値52を更新する機能は、ホストコンピューター1で実行されるファームウェアセットアッププログラム24が提供するものであってもよいし、この機能に加えて、プリンター4が備えるファームウェアメンテナンスプログラムによって行われる構成としてもよい。また、他の装置や、プリンター4のCPU41自身が実行するプログラムにより、設定値52を更新できる構成としてもよい。
また、上述した実施形態では、プログラムデバイス5は、書き換え可能な不揮発性メモリー、例えばフラッシュメモリーであるが、別の種類の書き換え可能な記録媒体、例えば書き換え可能な不揮発性メモリーの一つであるハードディスクドライブ、或いは、書き換え可能なメモリーの一つであるRAMなどであってもよい。
さらに、上記実施形態では、同等または近似した印刷結果を得る例として、1行あたりの印刷桁数を一致させる場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、設定ファイル26に基づく設定を行うことにより感熱ロール紙の行方向における単位長さあたりの行数、感熱ロール紙の幅方向のマージンの大きさ、文字間の空白の大きさ、行間の空白の大きさ等を一致あるいは近い値に調整して、同等または近似した印刷結果になるようにしてもよい。この場合、設定ファイル26のINFファイル27及びMOTファイル28に含まれる情報は、上述したようなフォントサイズやフォントの実データに限らず、他の各種の情報を含んでいてもよいし、これらINFファイル27及びMOTファイル28に対応づけて別種の設定用ファイルが記憶された構成としてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、プリンター4が、感熱ロール紙を記録媒体として使用する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定長さで折りたたまれた連続紙や定型サイズのカット紙を用いることも可能である。また、上記実施形態では、プリンター4が、発熱素子を備えたラインサーマルヘッドにより感熱ロール紙に印刷するサーマルプリンターである場合を例に挙げて説明したが、本発明を適用可能な記録装置は、予め記憶した画像データを印刷できるプリンターであれば特に制限されず、ドットインパクトプリンターやインクジェット式プリンター、レーザープリンター等にも本発明を適用可能であり、他の装置に組み込まれるプリンターにも本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…ホストコンピューター(記録制御装置)、2…記憶部、4…プリンター(記録装置)、21…アプリケーションプログラム、11…CPU、22…プリンタードライバー(制御部)、23…ドライバー設定プログラム(設定部)、24…ファームウェアセットアッププログラム(設定部)、26…設定ファイル、27…INFファイル(制御装置設定用データ)、28…MOTファイル(記録装置設定用データ)、41…CPU、52…設定値(記録形態情報)、100…プリントシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字の記録形態を指定する記録形態情報を記憶し当該記録形態情報に従って文字を記録する記録装置に接続され、
前記記録装置の記録動作を制御する制御部と、
前記制御部が前記記録装置を制御するための、前記記録装置による文字の記録形態に係る設定を行う設定部と、
文字の記録形態に係る仕様が異なる記録装置と同等または近似した記録結果を得るために対応付けられた少なくとも一組の記録装置設定用データと制御装置設定用データを記憶する記憶部と、を備え、
前記設定部は、前記記憶部から前記記録装置設定用データと前記制御装置設定用データとを取得し、取得した前記制御装置設定用データに基づいて前記制御部の設定を行うとともに、前記記録装置設定用データに基づいて前記記録装置の記録形態情報を生成または更新させること、
を特徴とする記録制御装置。
【請求項2】
互いに対応付けられた前記記録装置設定用データ及び前記制御装置設定用データは、前記記録装置が記録する文字のサイズを指定する情報をともに含み、
前記設定部は、前記記録装置が記録する文字サイズを示す情報を前記制御部に対して設定すること、
を特徴とする請求項1記載の記録制御装置。
【請求項3】
前記記録装置は、記録媒体にドットを形成することによって、複数のドットで構成される文字を記録する装置であり、
前記記録装置設定用データ及び前記制御装置設定用データは、前記記録装置によって、記録解像度が異なる別の記録装置と同等または近似した配置で文字を記録するための文字の記録ドット数を指定する情報を含み、
前記設定部は、前記制御部に対して、前記記録装置が記録する文字の記録ドット数、或いは、前記記録装置の記録解像度と文字の記録ドット数から求められる文字サイズを設定すること、
を特徴とする請求項1記載の記録制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、アプリケーションプログラムの動作に基づいて、前記設定部により設定された文字サイズで記録を行うための記録ジョブを生成すること、
を特徴とする請求項2または3記載の記録制御装置。
【請求項5】
文字の記録形態を指定する記録形態情報を記憶して当該記録形態情報に従って文字を記録する記録装置に接続され、前記記録装置の記録動作を制御する制御部を備えた記録制御装置を制御して、
文字の記録形態に係る仕様が異なる記録装置と同等または近似した記録結果を得るために対応付けられた一組の記録装置設定用データと制御装置設定用データとを取得し、取得した前記制御装置設定用データに基づいて、前記制御部が前記記録装置を制御するための前記記録装置による文字の記録形態に係る設定を行うとともに、前記記録装置設定用データに基づいて前記記録装置の記録形態情報を生成または更新させること、
を特徴とする制御方法。
【請求項6】
文字の記録形態を指定する記録形態情報を記憶し当該記録形態情報に従って文字を記録する記録装置に接続され、前記記録装置の記録動作を制御する制御部を備えた制御装置が実行するプログラムであって、
文字の記録形態に係る仕様が異なる記録装置と同等または近似した記録結果を得るために対応付けられた一組の記録装置設定用データと制御装置設定用データとを取得し、取得した前記制御装置設定用データに基づいて、前記制御部が前記記録装置を制御するための前記記録装置による文字の記録形態に係る設定を行うとともに、前記記録装置設定用データに基づいて前記記録装置の記録形態情報を生成または更新させること、
を特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−108133(P2011−108133A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264594(P2009−264594)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】