説明

記録及び/又は再生装置

【課題】ディスクの記録再生を行うと共に、ディスクの印刷面に印刷をする。
【解決手段】装置本体2に配設される一方の面を記録再生面10bとし他方の面を印刷面10cとした光ディスク10を回転可能な状態で保持するディスクトレイ3と、ディスクトレイ3を装置本体2の開口部12を介して装置本体2の内外に亘って移動するトレイ移動機構4と、ディスクトレイ3が装置本体2に収納された記録再生位置にあるとき、ディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の記録再生面10bと向き合う側に配設され、この光ディスク10の記録再生を行う記録再生部5と、装置本体2内の開口部12に沿った位置であって、ディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の印刷面10cと向き合う側に配設され、光ディスク10の印刷面10cに、可視データを印刷する印刷部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクの印刷面に、ディスクに記録したデータの関連情報等を印刷することができる印刷機能を備えた記録及び/又は再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ用周辺機器として使用されているプリンタ装置には、例えばシリアル型印刷ヘッドを備えたものがある。このシリアル型印刷ヘッドを備えたプリンタ装置は、用紙の送り方向(以下、X方向ともいう。)に対してシリアル型印刷ヘッドが直交する方向(以下、Y方向ともいう。)に移動するように構成され、用紙をX方向に移動させながら、シリアル型印刷ヘッドをY方向に移動させて、印刷を行うようにしている。
【0003】
コンパクトディスク、ディジタル・バーサタイル・ディスクといった再生専用の光ディスクは、通常、光ディスクを内接円とする程度の大きさの略矩形の収納ケースに、光ディスクに記録されたコンテンツデータに対応したレーベル等の印刷物と共に収納されている。また、再生専用の光ディスクには、印刷面に、記録されたコンテンツデータに関連した関連情報が印刷されている。かくして、コンテンツデータが記録された光ディスクは、光ディスクの印刷面に関連情報を印刷すると共に、レーベル等の印刷物を共に収納することによって、ユーザが光ディスクの識別を容易に行うことができるようにしている。
【0004】
追記又は書換型の光ディスクにあっても、ユーザが再生専用の光ディスクと同様な取り扱いを行うことができるように、一方の面が記録するコンテンツデータに関連した関連情報を記入又は印刷することができるように無地の印刷面とされており、略同様の収納ケースに、無地のレーベルを収納して取り扱うようになっている。
【0005】
高容量化の図られた光ディスクは、テレビジョン放送の番組データ等のコンテンツデータを記録することが可能であり、光ディスクの印刷面やレーベルに、EPG(Electronic Program Guide)等のプログラムデータを記入したり、印刷することが行われるようになってきている。したがって、コンテンツデータを光ディスクに記録するのと略同時に、プログラムデータが光ディスクの印刷面やレーベルに印刷されると、ユーザにとって極めて使い勝手が良い。
【0006】
そこで、ディスク記録及び/又は再生装置にプリンタ装置を内蔵して、追記又は書換型の光ディスクの印刷面に、記録するコンテンツデータに関連した関連情報を印刷することができるようにしたものがある。例えば、ディスク記録及び/又は再生装置に上述したシリアル型印刷ヘッドを備えたプリンタ装置を内蔵することによって、追記又は書換型の光ディスクに印刷を行うことができる記録及び/又は再生装置を実現することができる。しかしながら、この場合には、ディスク記録及び/又は再生装置内に、シリアル型印刷ヘッドの他にもシリアル型印刷ヘッドを移動するヘッド移動機構等を設ける必要がある。このヘッド移動機構は、光ディスクの印刷面全体に亘って関連情報を印刷するために、Y方向の他にも、X方向にもシリアル型印刷ヘッドを移動するための機構も設ける必要がある。このため、このようなディスク記録及び/又は再生装置は、装置全体が大型化し、更に、複雑なものになってしまう。
【0007】
そこで、例えば特許文献1には、光ディスクを回転させつつ、光ディスクの半径方向にシリアル型印刷ヘッドを動かして光ディスクの印刷面にコンテンツデータの関連情報を印刷する記録装置が提案されている。しかしながら、光ディスクディスクを回転させながら関連情報の印刷を行う場合、従来のパーソナルコンピュータの周辺機器として用いられているプリンタ装置のシリアル型印刷ヘッドでは、充分な印画品質を得ることは難しく、このため、専用のヘッドが必要となる。このため、この種の記録装置では、パーソナルコンピュータ用に大量に生産されたシリアル型印刷ヘッドを使用する場合と比べると、製造コストの削減を図ることが困難である。
【0008】
更に、通常パーソナルコンピュータ等で取り扱われる画像データや動画データは、デカルト座標系、すなわち直交座標系を前提としたデータであることから、特許文献1の記録装置に用いるには、デカルト座標系を回転座標系に変換する必要が生じ、このため、座標変換のため装置が複雑化してしまう。
【0009】
また、特許文献2には、印刷対象物の形状等に関係なく印刷可能なインクジェットプリンタとして、ラインヘッドを用い、トレイに搭載された印刷対象物をトレイ毎ラインヘッドへ搬送することにより印刷を行う装置が提案されている。この特許文献2の装置では、ディスク用専用アダプタを用いて光ディスクをトレイに搭載し、トレイの搬送によりディスクに印刷することが記載されている。しかしながら、この特許文献2の装置では、光ディスクの印刷面への印刷しか行うことができず、光ディスクへのコンテンツデータの記録を行うことができない。光ディスクへのコンテンツデータの記録は、他の記録装置で行う必要がある。
【0010】
【特許文献1】特開平5−238005号公報
【特許文献2】特開2001−158087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成でディスクの記録及び/又は再生を行うことができると共に、ディスクの印刷面に印刷をすることができると記録及び/又は再生装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、ディスクに付属するレーベル印刷をディスクの記録及び/又は再生と共に行うことができる記録及び/又は再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る記録及び/又は再生装置は、装置本体と、一方の面を記録及び/又は再生面とし他方の面を印刷面としたディスクを回転可能な状態で保持するディスク保持凹部を有し、上記装置本体に配設されるディスクトレイと、上記ディスクトレイを上記装置本体の一側面に設けられた開口部を介して上記装置本体の内外に亘って移動するトレイ移動手段と、上記ディスクトレイが上記装置本体に収納された記録及び/又は再生位置にあるとき、上記ディスクトレイに保持されているディスクの記録及び/又は再生面と向き合う側に配設され、このディスクを上記ディスク保持凹部より持ち上げ回転して記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生手段と、上記装置本体内の上記開口部に沿った位置であって、上記ディスクトレイに保持されているディスクの印刷面と向き合う側に配設され、上記ディスクの印刷面に、可視データを印刷する印刷手段とを備える。そして、上記ディスクを保持したディスクトレイを上記トレイ移動手段で移動しながら上記印刷手段で上記ディスク保持凹部に載置された上記ディスクの印刷面に可視データを印刷する。
【0014】
ここで、印刷手段としては、シリアル型印刷ヘッドやライン型印刷ヘッドを用いることができる。
【0015】
また、上記ディスクトレイが上記装置本体の記録及び/又は再生位置にあるとき、上記ディスクと上記印刷手段との衝突を防止するため、上記ディスクトレイと上記ディスクトレイに保持されたディスクと印刷手段との関係は、DHGAP>DDGAPとなるようにする。ここで、DHGAPは、上記印刷手段が上記ディスクトレイのディスク保持凹部に載置されたディスクの印刷面に印刷するときの上記ディスクの印刷面と上記印刷手段との間隔であり、DDGAPは、上記記録及び/又は再生手段が上記ディスクを上記ディスク保持凹部より持ち上げているときの上記ディスクの記録及び/又は再生面と上記ディスク保持凹部の底面との間隔である。
【0016】
また、上記ディスクトレイと上記ディスクトレイに保持されたディスクと印刷手段との関係がDHGAP≦DDGAPのときには、上記印刷手段が上記ディスクの外側に位置させることによって、ディスクと印刷手段との衝突を防止することができる。
【0017】
また、上記ディスクトレイの移動時に上記ディスクトレイや上記ディスクと印刷手段との衝突を防止するため、上記ディスクトレイと上記ディスクトレイに保持されたディスクと印刷手段との関係は、DDISC+DHGAP>DTRAYとなっている。ここで、DDISCは、上記ディスクの厚みであり、DTRAYは、上記ディスクトレイのディスク保持凹部の深さである。この関係は、例えば、印刷手段がシリアル型印刷ヘッドやライン型印刷ヘッドのときに、好適である。
【0018】
また、上記ディスクトレイと上記ディスクトレイに保持されたディスクと印刷手段との関係がDDISC+DHGAP≦DTRAYのときには、上記ディスクトレイの移動時、上記印刷ヘッドと重なる上記ディスクトレイに、DDISC+DHGAP>DTRAYとなる溝部を形成すればよい。この関係は、例えば、印刷手段がライン型印刷ヘッドのときに用いることができる。
【0019】
更に、上記ディスクトレイは、装置本体への挿入端側及び/又は装置本体からの排出端側に貫通孔を設けるようにし、これを、ヘッドクリーニングや捨てインク処理に用いるようにしても良い。クリーニング手段や捨てインク手段は、ディスクトレイを挟んだ印刷手段との対向位置に設けられる。また、印刷手段は、非使用時、キャップによって閉塞されるようにして保護するようにしても良い。
【0020】
更に、ディスクトレイには、ディスク保持凹部の外側にレーベル用印刷媒体を保持する印刷媒体用保持部を形成し、印刷手段でレーベル用印刷媒体に印刷を行うことができるようにしても良い。この場合、ディスク保持凹部に支持体を配置して、レーベル用印刷媒体を支持するようにして、印刷時、レーベル用印刷媒体の反り等を防止するようにしても良い。レーベル用印刷媒体は、印刷媒体用保持部に保持されたときの印刷面の高さがディスク保持凹部に保持されたディスクの印刷面の高さと同じになるように保持される。これにより、印刷手段は、ディスクの印刷面への印刷のときと同じ高さ設定でレーベル用印刷媒体に印刷することができる。印刷対象がディスクであるかレーベル用印刷媒体であるかの判別は、例えば、記録及び/又は再生手段である光ピックアップを用い、ディスクとレーベル用印刷媒体での反射光量の違いを検出して行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ディスクに対するデータの記録及び/又は再生を行うことができると共に、ディスクトレイでディスクを搬送する際に、ディスクの印刷面に印刷手段で印刷することができる。印刷媒体となるディスクを保持したディスクトレイは、印刷時にも直線的に移動することから、従来から使用されている印刷ヘッドを用いることができ、構成の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を適用した記録再生装置について図面を参照して説明する。
【0023】
本発明が適用された記録再生装置1は、図1乃至図5に示すように、ディスクトレイに光ディスクを保持し、光ディスク10の記録再生を行うと共に、ディスクトレイによって光ディスク10が搬送される際に、搬送される光ディスク10の印刷面に光ディスク10に記録するコンテンツデータに関連した関連情報を印刷するものであり、光ディスク10の記録再生と光ディスク10の印刷面への印刷を略同時に行うことによって、利便性の向上を図ったものである。
【0024】
具体的に、記録再生装置1は、装置本体2を有し、この装置本体2内に、光ディスク10を保持するディスクトレイ3と、このディスクトレイを移動するトレイ移動機構4と、光ディスク10を記録再生する記録再生部5と、光ディスク10に記録するコンテンツデータに関連した関連情報を印刷する印刷部6とが設けられている。
【0025】
装置本体2には、前面の操作面11に、ディスクトレイ3が挿脱される開口部12が形成されていると共に、動作状況を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部13が形成されている。更に、操作面11には、操作部14が設けられている。操作部14は、例えば、光ディスク10の再生開始釦14a、停止釦14b、光ディスク10のイジェクト釦14c、印刷開始釦14d、光ディスク10にコンテンツデータ等のデータを記録するための記録開始釦14e等で構成されている。更に、操作面11には、ディスクトレイ3を装置本体2の外に移動させる際に、障害物を検出するためのセンサ15が設けられている。センサ15は、例えば検出光を出射して障害物で反射された反射光を検出するか否かによって障害物の有無を検出する。
【0026】
ここで、図4を用いて光ディスク10について説明すると、光ディスク10は、例えば記録層に有機色素材料を用いる追記型、記録層に相変化材料を用いる書換型であり、情報信号を記録することができるCD(Compact Disc)−R(Recordable)、CD−RW(ReWritable)、DVD−R、DVD(Digital Versatile Disc)−RW、DVD−RAM(Random Access Memory)、ブルーレイディスクと言った光ディスクである。この光ディスク10は、中央部にセンタ孔10aが形成されていると共に、一方の面が光ビームが照射される記録再生面10bとされ、他方の面が記録するコンテンツデータに関連した関連情報が印刷される印刷面10cとされている。
【0027】
この光ディスク10を保持するディスクトレイ3は、図5に示すように、全体が略矩形をなすと共に光ディスク10が内接する程度の大きさの板体であり、一方の面に、光ディスク10を回転可能に保持するディスク保持凹部21が形成されている。このディスク保持凹部21の底面部には、記録再生部5を構成する光ピックアップを臨ませる切欠部22は形成されている。このディスク保持凹部21には、光ディスク10が記録再生面10bを底面側にして載置される。
【0028】
また、ディスクトレイ3の各コーナ部には、貫通孔28a,28b,28c,28dが設けられている。ディスクトレイ3の排出端側の貫通孔28a,28bには、ディスクトレイ3が装置本体2内の記録再生位置にあるとき、印刷部6を構成するシリアル型印刷ヘッド41が捨てインク、ヘッドクリーニング等の動作を行うため位置し、ディスクトレイ3の挿入端側の貫通孔28c,28dは、ディスクトレイ3が装置本体2外のディスク交換位置のあるとき、印刷部6を構成するシリアル型印刷ヘッド41が捨てインク、ヘッドクリーニング等の動作を行うため位置する。
【0029】
更に、このディスクトレイ3には、装置本体2に対する移動方向の両側縁部に直線移動する際のガイドとなるガイドレールが形成されており、一対のガイドレールの一方には、ディスクトレイ3を移動するためのラックギヤ23が形成されている。このラックギヤ23には、ディスクトレイ3を装置本体2の内外に亘って移動させるトレイ移動機構4の駆動ギヤ25が噛合される。駆動ギヤ25は、駆動源となるステッピングモータ等の駆動モータ26に複数のギヤ列で構成された伝達機構を介して接続されている。ディスクトレイ3は、このトレイ移動機構4によって、装置本体2内の光ディスク10に対して記録再生を行う記録再生位置と装置本体2外の光ディスク10の交換を行う交換位置とに亘って、ガイドレールによってガイドされながら直線的に移動される。また、ディスクトレイ3は、例えば、ディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の交換を行うとき、トレイ移動機構4によって第1の速度で移動され、ディスクトレイ3に保持されている光ディスク10印刷面10cに対して印刷を行うとき、第1の速度より遅い第2の速度で、すなわち印刷速度に同期させた速度で移動される。
【0030】
装置本体2の内部には、図3に示すように、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持された光ディスク10に対してコンテンツデータの記録再生を行う記録再生部5が配設されている。この記録再生部5は、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の記録再生を行うため、記録再生位置にあるディスクトレイ3の下側、すなわち光ディスク10の記録再生面10bと向き合う位置に配設されている。この記録再生部5は、具体的に、装置本体2の内部に配設されるベース31を有する。このベース31には、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている光ディスク10を持ち上げ回転するディスク回転駆動部30を有する。このディスク回転駆動部は、ベース31に配設されたスピンドルモータの駆動軸に一体的に取り付けられるディスクテーブル33を有する。このディスクテーブルは、中央部に、光ディスク10のセンタ孔10aに係合するセンタリング部32aを有すると共に、センタリング部32aの周囲に光ディスク10のセンタ孔10aの周辺部を支持するディスク支持部32bを有する。また、このディスク回転駆動部30は、ディスクテーブル32と対応する位置に、ディスクテーブル32と離間して、すなわち記録再生位置にあるディスクトレイ3の上側に位置してディスクトレイ3を跨ぐように配設された取付部材33に回転自在に取り付けられたクランピングプレート34を有する。ディスク回転駆動部30は、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の記録再生を行うとき、例えばベース31が記録再生位置のディスクトレイ3側に上昇することによって、ディスクトレイ3の切欠部22より、ディスクテーブル32を光ディスク10側に進入させる。すると、光ディスク10は、センタ孔10aにディスクテーブル32のセンタリング部32aが係合すると共に、ディスク支持部32bで持ち上げられ、更に、ディスクテーブル32とディスクトレイ3の上側のクランピングプレート34によって回転自在に挟持され、ディスクテーブル32と一体的に回転可能な状態となる。
【0031】
ベース31には、記録再生部5として、更に、開口部38より光ディスク10側に臨まされる光ピックアップ35が配設されている。光ピックアップ35は、対物レンズ35aが記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の記録再生面10bと対向するように配設されている。光ピックアップ35は、ディスク回転駆動部30によって回転されている光ディスク10に対して光源から出射された光ビームを対物レンズ35aで集光して照射し、光ディスク10で反射された戻りの光ビームを光検出器で検出することによって、トラッキングサーボ、フォーカシングサーボ等の制御を行いながら光ディスク10に対してコンテンツデータのデータを書き込み、また、光ディスク10に記録されているコンテンツデータ等のデータの読み出しを行う。
【0032】
また、この光ピックアップ35は、ディスクテーブル32に回転可能に支持されている光ディスク10の径方向に送り操作される。光ピックアップ35を光ディスク10の径方向に送り操作するスレッド機構36は、図3に示すように、光ピックアップ35を光ディスク10の径方向に移動可能に支持するガイド軸37を有する。また、この光ピックアップ35は、この光ピックアップ35に設けられたラックギヤにスレッドモータを駆動源とする複数のギヤ列が接続され、ディスクテーブル32に回転可能に支持されている光ディスク10の径方向に送り操作される。なお、この光ピックアップ35のスレッド機構36は、リニアモータ機構等を用いても良い。
【0033】
また、図1及び図2に示すように、装置本体2の内部であって、ディスクトレイ12の上側の開口部12の沿う位置に印刷部6が配設されている。この印刷部6は、シリアル型印刷ヘッド41を有する。このシリアル型印刷ヘッド41は、インクジェット型であって、液室に供給されたインクを発熱抵抗体、圧電素子等によって圧力を発生させてノズルより吐出させる。シリアル型印刷ヘッド41には、ヘッド本体上又は装置本体2内の何れかに装着されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等のインクカートリッジよりインクが供給される。このシリアル型印刷ヘッド41は、ヘッド移動機構42によってディスクトレイ3の移動方向と直交する方向に直線的に移動される。このヘッド移動機構42は、シリアル型印刷ヘッド41を移動可能に支持するガイド軸43と、シリアル型印刷ヘッド41をガイド軸43に沿って移動するリードスクリュー44とを有する。ガイド軸43は、シリアル型印刷ヘッド41のヘッド本体に形成されたガイド孔に挿通され、リードスクリュー44は、シリアル型印刷ヘッド41のヘッド本体に形成された駆動孔に挿通されると共に、駆動孔側に形成された係合突起がリードスクリュー44の周面に形成されたねじ溝に係合されている。ヘッド移動機構42に取り付けられたシリアル型印刷ヘッド41のディスクトレイ3の移動方向の位置は、少なくとも、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持された光ディスク10の印刷面10cの装置本体2の前面側の端部を印刷できる位置で固定となっており、この位置で、ディスクトレイ3の移動方向に対して直交する方向に移動できる。すなわち、直径が120mmの光ディスク10を想定したとき、シリアル型印刷ヘッド41は、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の中心から装置本体2の前面側に60mmの位置に、ディスクトレイ3の移動方向に対して直交する方向に移動可能に取り付けられることになる。この固定位置で、シリアル型印刷ヘッド41は、リードスクリュー44が駆動源となるステッピングモータ等の駆動モータ45によって回転されることによって、ディスクトレイ3の移動方向と直交する方向に直線的に移動されることになる。ここで、シリアル型印刷ヘッド41の移動範囲は、例えば、直径を120mmとする光ディスク10の印刷面10c全体に亘って印刷を行うことができる範囲、すなわち120mm程度とされている。なお、シリアル型印刷ヘッド41のヘッド移動機構42としては、リードスクリュー44を用いるほか、無端の駆動ベルトにシリアル型印刷ヘッド41を取り付け、駆動ベルトを回転させることによってシリアル型印刷ヘッド41を移動させるようにしても良い。また、シリアル型印刷ヘッド41は、リニアモータ機構によって直線的に移動しても良い。
【0034】
以上のような印刷部6による印刷は、ディスクトレイ3の移動時、すなわち光ディスク10を保持したディスクトレイ3がトレイ移動機構4によって装置本体2内の記録再生位置から装置本体2外のディスク交換位置に移動されるとき、又は、ディスク交換位置から記録再生位置に移動されるときに、被印刷媒体となる光ディスク10がディスクトレイ3のディスク保持凹部21に載置され安定した状態で行われる。
【0035】
ここで、図6は、以上のようなシリアル型印刷ヘッド41を用いて直径が120mmの光ディスク10の印刷面10cに印刷を行うときの動作を示す図であり、(A)は、印刷開始時、(B)は、印刷時、(C)は、印刷終了時を示す。図6(A)に示すように、ディスクトレイ3が記録再生位置にあるとき、シリアル型印刷ヘッド41の位置は、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の印刷面10cの装置本体2の前面側の端部、すなわち光ディスク10の中心から60mmの位置にあり、光ディスク10の印刷面10cの同部分を印刷できるようになっている。そして、図6(B)に示すように、記録再生位置にあるディスクトレイ3が装置本体2外の交換位置の方向に移動されると、シリアル型印刷ヘッド41は、徐々に印刷面10cの広がりに伴って移動範囲を広げ、光ディスク10の最大外形部分に至ったとき、最も移動範囲が広くなる。シリアル型印刷ヘッド41の移動範囲Xは、上述のように、光ディスク10の直径と略一致するようにされていることから光ディスク10の最大外形部分においても、印刷面10cを両端部まで印刷することができる。この後、図6(C)に示すように、ディスクトレイ3が交換位置まで移動されると、光ディスク10の印刷面10cが徐々に狭まり、これに伴って、シリアル型印刷ヘッド41の移動範囲Xも徐々に狭くなる。そして、シリアル型印刷ヘッド41は、ディスクトレイ3が交換位置に至ったとき、光ディスク10の印刷面10cの反対側の端部の印刷を終了することになる。
【0036】
なお、光ディスク10には、直径を12cmとするものの他に、直径を80mmとした光ディスク10もある。図7は、直径が80mmの光ディスク10の印刷面10cに合わせてシリアル型印刷ヘッド41の移動範囲を80mmに設定した例である。また、図7の例では、シリアル型印刷ヘッド41の位置は、直径が120mmの光ディスク10の場合と同様、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の中心から60mmの位置にある。この図7の例によって直径が120mmの光ディスク10の印刷面10cを印刷するときには、直径120mmの光ディスク10の印刷面10cに、両側20mmに余白が形成され、これら余白の間に帯状の印刷領域が形成されることになる。また、直径80mmの光ディスク10の印刷面10cを印刷するときには、印刷面10cの全体を印刷することができる。
【0037】
また、図8の例は、直径が80mmの光ディスク10の印刷面10cに合わせてシリアル型印刷ヘッド41の移動範囲を80mmに設定し、シリアル型印刷ヘッド41の位置を、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている直径が80mmの光ディスク10の中心から40mmの位置にした例を示す。この図8の例によって直径が120mmの光ディスク10の印刷面10cを印刷するときには、直径120mmの光ディスク10の印刷面10cに、両側20mmと装置本体2の前面側20mmを余白とし、これらの余白の内側に印刷領域が形成されることになる。また、直径80mmの光ディスク10の印刷面10cを印刷するときには、印刷面10cの全体を印刷することができる。
【0038】
すなわち、シリアル型印刷ヘッド41は、装置本体2の前面の開口部12に沿う位置、すなわち記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている80mm又は120mmの光ディスク10の装置本体2の前面側端部上に位置するように配置することになる。
【0039】
ここで、ディスクトレイ3と光ディスク10とシリアル型印刷ヘッド41との相互の関係について説明する。図9は、ディスク回転駆動部30がディスクテーブル32で光ディスク10をチャッキングし回転可能な状態になったときのディスクトレイ3と光ディスク10とシリアル型印刷ヘッド41との関係を示す。また、同図中点線は、ディスク保持凹部21に載置された光ディスク10を示す。上述のように、シリアル型印刷ヘッド41は、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の端部上に位置していることから、光ディスク10の記録再生時に、光ディスク10と接触しないようにする必要がある。そこで、ディスクトレイ3と光ディスク10を回転するディスク回転駆動部30とシリアル型印刷ヘッド41とは、
HGAP>DDGAP
の関係が成り立つように設けるようにし、光ディスク10の回転時に、光ディスク10の印刷面10cがシリアル型印刷ヘッド41のノズル面に衝突しないようにしている。
【0040】
DGAP:記録再生部5のディスク回転駆動部30がディスクテーブル32でディスクトレイ3のディスク保持凹部21より持ち上げたときの光ディスク10の記録再生面10bとディスク保持凹部21の底面との間隔
HGAP:シリアル型印刷ヘッド41がディスクトレイ3のディスク保持凹部21に載置された光ディスク10の印刷面10cに印刷するときの印刷面10cとシリアル型印刷ヘッド41のノズル面との間隔(約1mm〜2mm)
仮に、DHGAP≦DDGAPであると、光ディスク10の回転時に、光ディスク10の印刷面10cがシリアル型印刷ヘッド41のノズル面に衝突してしまうからである。
【0041】
なお、DHGAP≦DDGAPのときには、シリアル型印刷ヘッド41を、ディスクトレイ3の排出端の一方のコーナ部に待避させることによって、シリアル型印刷ヘッド41のノズル面とディスクテーブル32によって持ち上げられた光ディスク10の印刷面10cとの衝突を回避することができる。
【0042】
また、ディスクトレイ3の移動時にあって、ディスクトレイ3とシリアル型印刷ヘッド41とが衝突しないようにする必要がある。そこで、図10(A)及び図10(B)に示すように、ディスクトレイ3に、移動時に、シリアル型印刷ヘッド41のノズル面の逃げとなる溝部27a,27bを設け、溝部27a,27b以外がDDISC+DHGAP≦DTRAYであったとしても、少なくとも溝部27a,27bだけはDDISC+DHGAP>DTRAYとなるようにする。シリアル型印刷ヘッド41は、常にDDISC+DHGAP>DTRAYの関係が成り立つ場所に位置されることによって、ディスクトレイ3との衝突を回避することができる。
【0043】
HGAP:シリアル型印刷ヘッド41がディスクトレイ3のディスク保持凹部21に載置された光ディスク10の印刷面10cに印刷するときの印刷面10cとシリアル型印刷ヘッド41との間隔
DISC:光ディスク10の厚み(1.2mm)
TRAY:ディスクトレイ3のディスク保持凹部21の深さ
ここで、溝部27a,27bは、装置本体2からの排出端及び装置本体2への挿入端に沿って設けられている。次に、このようなディスクトレイ3とシリアル型印刷ヘッド41との関係について図11を参照して説明する。
【0044】
図11(A)に示すように、ディスクトレイ3が装置本体2内の記録再生位置にあるとき、シリアル型印刷ヘッド41は、ディスクトレイ3の排出端側の一方のコーナ部にある貫通孔28a上に位置している。この状態で、光ディスク10の記録再生は行われることになる。記録再生位置にあるディスクトレイ3が装置本体2外のディスク交換位置への移動を開始すると、図11(B)に示すように、シリアル型印刷ヘッド41は、ヘッド移動機構42よって、一端、中央側に移動され、貫通孔28aと連続した溝部27a上に移動する。ここで、図11(C)に示すように、シリアル型印刷ヘッド41がヘッド移動機構42によって溝部27a側に移動しないとすると、溝部27aが無い位置は、DDISC+DHGAP≦DTRAYであるため、ノズル面は、ディスク交換位置へと移動するディスクトレイ3と衝突してしまう。そこで、図11(B)に示すように、シリアル型印刷ヘッド41は、ディスクトレイ3がディスク交換位置へと移動を開始すると、先ず、溝部27a上に移動され停止する。溝部27a上で停止したシリアル型印刷ヘッド41に対して、ディスクトレイ3は、更に、装置本体2外のディスク交換位置へと移動を続ける。このとき、シリアル型印刷ヘッド41は、ディスクトレイ3のディスク保持凹部21に保持されている光ディスク10の印刷面10c上を移動する。そして、図11(D)に示すように、ディスクトレイ3がディスク交換位置に至ると、シリアル型印刷ヘッド41は、ディスクトレイの挿入端側の溝部27bに位置し、この後、溝部27bと連続した挿入端側の一方のコーナ部の貫通孔28c上へと移動する。
【0045】
かくして、シリアル型印刷ヘッド41は、ディスクトレイ3に、DDISC+DHGAP>DTRAYの関係が成り立つ溝部27a,27bを設けることによって、移動するディスクトレイ3と衝突することを防止することができる。なお、以上のディスクトレイ3では、溝部27a,27bを設けることによって、DDISC+DHGAP>DTRAYの関係が成り立つようにしたが、このように部分的ではなく全体がDDISC+DHGAP>DTRAYの関係が成り立つディスクトレイ3を用いても良い。
【0046】
以上、印刷部6にシリアル型印刷ヘッド41を用いた例を説明したが、本発明では、図12及び図13に示すように、印刷部6にライン型印刷ヘッド51を用いても良い。このラインヘッド51は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の各色に対応したノズルがディスクトレイ3の移動方向と直交する方向に、光ディスク10の最大外形に対応した範囲で並んで設けられたインクジェット型のヘッドである。このライン型印刷ヘッド51にあっても、装置本体2の内部であって、ディスクトレイ12の上側の開口部12の沿う位置に配設されている。
【0047】
このライン型印刷ヘッド51を用いた印刷も、シリアル型印刷ヘッド41の場合と同様に、ディスクトレイ3の移動時、すなわち光ディスク10を保持したディスクトレイ3がトレイ移動機構4によって装置本体2内の記録再生位置から装置本体2外のディスク交換位置に移動されるとき、又は、ディスク交換位置から記録再生位置に移動されるときに、被印刷媒体となる光ディスク10がディスクトレイ3のディスク保持凹部21に載置され安定した状態で行われる。そして、このライン型印刷ヘッド51では、光ディスク10の最大外形に対応した範囲を1ラインずつ印刷できることから、上述したシリアル型印刷ヘッド41と異なりヘッド移動機構42を必要とせず、これにより、構成の簡素化を図ることができる。
【0048】
なお、印刷部6では、ライン型印刷ヘッド51として、インクジェット型に代わってサーマルヘッドを用いても良い。サーマルヘッドを用いる場合には、光ディスク10の印刷面に感熱記録層を設けることによって、例えば白黒印刷が可能とり、また、インクリボンの色素を熱転写することで、印刷面10cにカラー印刷を行うことができる。
【0049】
また、詳細は省略するが、ライン型印刷ヘッド51の印刷範囲については、図6乃至図8に示したシリアル型印刷ヘッド41の移動範囲をライン型印刷ヘッド51のインクの吐出範囲、すなわち駆動範囲とすることによって、同様な印刷範囲の印刷を実現することができる。
【0050】
ここで、ディスクトレイ3とライン型印刷ヘッド51との相互の関係について説明する。図14は、ディスク回転駆動部30がディスクテーブル32で光ディスク10をチャッキングし回転可能な状態になったときのディスクトレイ3と光ディスク10とライン型印刷ヘッド51との関係を示す。また、同図中点線は、ディスク保持凹部21に載置された光ディスク10を示す。ライン型印刷ヘッド51は、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の端部上に位置していることから、光ディスク10の記録再生時に、光ディスク10と接触しないようにする必要がある。そこで、ライン型印刷ヘッド51の場合でも、シリアル型印刷ヘッド41と同様に、ディスクトレイ3と光ディスク10を回転するディスク回転駆動部30との関係が、
HGAP>DDGAP
の関係が成り立つように設けるようにし、光ディスク10の回転時に、光ディスク10の印刷面10cと衝突しないようにしている。
【0051】
DGAP:記録再生部5のディスク回転駆動部30がディスクテーブル32でディスクトレイ3のディスク保持凹部21より持ち上げたときの光ディスク10の記録再生面10bとディスク保持凹部21の底面との間隔
HGAP:ライン型印刷ヘッド51がディスクトレイ3のディスク保持凹部21に載置された光ディスク10の印刷面10cに印刷するときの印刷面10cとライン型印刷ヘッド51のノズル面との間隔(約1mm〜2mm)
また、ディスクトレイ3の移動時にあって、ディスクトレイ3とライン型印刷ヘッド51とが衝突しないようにする必要がある。そこで、図15(A)及び図15(B)に示すように、ディスク保持凹部21の周囲の領域を従来より薄く形成することによって、DDISC+DHGAP>DTRAYとなるようにし、ディスクトレイ3の移動時にディスクトレイ3とライン型印刷ヘッド51とが衝突しないようにしている。
【0052】
HGAP:ライン型印刷ヘッド51がディスクトレイ3のディスク保持凹部21に載置された光ディスク10の印刷面10cに印刷するときの印刷面10cとライン型印刷ヘッド51との間隔
DISC:光ディスク10の厚み(1.2mm)
TRAY:ディスクトレイ3のディスク保持凹部21の深さ
なお、ライン型印刷ヘッド51は、シリアル型印刷ヘッド41のようにヘッド移動機構42によってディスクトレイ3の移動方向と直交する方向に移動しないことから、シリアル型印刷ヘッド41の場合のディスクトレイ3のように溝部27a,27bを設け部分的にDDISC+DHGAP>DTRAYの関係が成り立つようにするのではなく、ディスクトレイ3の全体がDDISC+DHGAP>DTRAYの関係が成り立つようになっている。
【0053】
次に、印刷部6にシリアル型印刷ヘッド41又はライン型印刷ヘッド51を用いた記録再生装置1の回路構成について図16を参照して説明する。なお、この図16では、シリアル型印刷ヘッド41を例にすると共に、記録再生部5及び印刷部6は、装置本体2の正面から見た図となっている。
【0054】
この記録再生装置1は、図16に示すように、光ディスク10へ記録するコンテンツデータ等のデータが他の機器、ネットワーク等入力されると共に光ディスク10で再生されたコンテンツデータ等のデータを可聴音や画像又は動画として出力する光ディスクデータ入出力部61を有する。例えば、光ディスクデータ入出力部61は、テレビジョン受像機に接続され、光ディスク10への記録データとして、テレビジョン受像機よりHD(High-Definition)データが入力され、また、このようなHDデータを再生したとき、テレビジョン受像機にHDデータを出力し、テレビジョン受像機で表示できるようにする。
【0055】
また、この記録再生装置1は、光ディスク10へデータを記録する記録系回路として、光ディスクデータ入出力部61から入力されたアナログ信号のデータをディジタル信号に変換するA/Dコンバータ62と、ディジタル信号に変換されたデータに対してCIRC(Cross Interleave Reed-solomon Code)、RS−PC方式等のエラー訂正符号化処理を施すと共に8−14変調、8−16変調等の変調処理を行う記録処理部63とを備える。なお、記録処理部63では、MPEG規格に準拠した画像、動画、音声圧縮処理を行っても良い。また、記録再生装置1は、再生系回路として、光ディスク10より読み出したディジタル信号のデータを復調処理し、更に、エラー訂正復号化処理をする再生処理部64と、再生処理の施されたディジタル信号をアナログ信号に変換し、光ディスクデータ入出力部61に出力するD/Aコンバータ65とを備える。なお、再生処理部64では、MPEG規格に準拠した圧縮データの伸長処理を行っても良い。
【0056】
更に、記録再生装置1は、記録再生時の駆動系回路として、光ピックアップ35の光検出器からの出力を増幅するRF部66と、ディスク回転駆動部30のディスクテーブル32を回転するスピンドルモータ30a、光ピックアップ35の対物レンズ35aのフォーカシング制御やトラッキング制御をする対物レンズ駆動装置等を制御するドライバ制御部67と、スピンドルモータ30a、光ピックアップ35の対物レンズ駆動装置等を駆動するドライバ68とを備える。RF部66は、フォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号を生成し、ドライバ制御部67に出力し、ドライバ制御部67は、フォーカシングエラー信号やトラッキングエラー信号が0となるようなフォーカシングサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、ドライバ68に出力し、ドライバ68は、これらのサーボ信号に基づいて光ピックアップ35の対物レンズ駆動装置を制御する。また、ドライバ制御部67は、光ディスク10から読み出された同期信号等に基づいて光ディスク10の回転がCLV(Constant Linear Velocity)、CAV(Constant Angula Velocity)、ZCLV(Zone Constant Linear Velocity)、ZCAV(Zone Constant Angular Velocity)等となるように制御信号を生成し、この制御信号をドライバ68に出力し、ドライバ68は、入力された制御信号に基づいてスピンドルモータ30aを駆動制御する。
【0057】
更に、記録再生装置1は、全体の動作を制御する制御部69を備える。この制御部69は、上述した光ディスク10の再生開始釦14a、停止釦14b、光ディスク10のイジェクト釦14c、印刷開始釦14d、記録開始釦14e等でなる操作部14からの操作信号が入力されることで、入力された操作信号に応じて装置全体を駆動制御する。また、制御部69は、装置本体2の前面に設けられた表示部13が接続され、動作状況等を表示できるようにする。また、制御部69は、インターネット等のネットワーク71aと有線又は無線で接続される通信部71が接続されている。通信部71は、例えば放送された番組データを光ディスク10に記録するとき、ネットワーク71aよりEPG(Electronic Program Guide)等のプログラムデータをダウンロードし、制御部69は、ハードディスク、半導体メモリ等で構成されたメモリ70に保存する。また、メモリ70には、通信部71を介して又は再生した他の光ディスク10より入力された光ディスク10に記録したコンテンツデータに関連した関連情報である画像データ、音声データ等が保存される。そして、制御部69は、メモリ70の保存されているデータを印刷する際には、印刷のためのデータ読み出し、次に説明する印刷データ入力部72に出力する。また、制御部69は、ディスクトレイ3を移動するトレイ移動機構4の駆動モータ26を駆動制御する。
【0058】
更に、記録再生装置1には、印刷を行うための印刷回路として、印刷するデータが入力される印刷データ入力部72と、印刷データ入力部72より入力された印刷するデータに基づいてシリアル型印刷ヘッド41の駆動信号等を生成する印刷制御部73と、印刷制御部73から入力された駆動信号に基づいてシリアル型印刷ヘッド41の発熱抵抗体、圧電素子等の圧力発生素子を駆動制御するヘッド駆動部74と、ディスクトレイ3のトレイ移動機構4の駆動モータ26を制御部69と印刷制御部73とで選択的に行うための切換部75とを有する。
【0059】
印刷データ入力部72は、通信部71でダウンロードしたEPG(Electronic Program Guide)等のプログラムデータに対応した印刷データ等光ディスク10に記録するデータに関連した関連データが入力される。なお、印刷データ入力部72に入力されるデータとしては、ネットワークを介して接続された他の電子機器から入力されるデータであっても良い。
【0060】
印刷制御部73は、具体的に、印刷データ入力部72より入力されたデータに基づいて印刷データを生成する。ここでの印刷データは、通常の印刷と同様、デカルト座標系、すなわち直交座標系を前提としたデータとなり、データの変換処理を容易に行うことができる。そして、印刷制御部73は、生成された印刷データに基づいてシリアル型印刷ヘッド41の発熱抵抗体、圧電素子等の圧力発生素子を駆動させるための駆動信号を生成する。また、印刷制御部73は、光ディスク10の印刷面10cの全面に亘って印刷をするためのヘッド移動機構42の駆動モータ45の駆動信号を印刷データに基づいて生成する。更に、印刷制御部73は、シリアル型印刷ヘッド41の駆動及び移動とディスクトレイ3の移動を同期させるためのトレイ移動機構4の駆動モータ26の駆動信号を生成する。更に、印刷制御部73は、センサ15が装置本体2に収納されたディスクトレイの前に障害物があることを検出したとき、ディスクトレイ3の移動を禁止する。
【0061】
切換部75は、制御部69からのトレイ移動機構4の駆動モータ26を制御するための駆動信号が入力される第1の入力端子75aと、印刷制御部73からの駆動モータ26を制御するための駆動信号が入力される第2の入力端子75bと、第1の入力端子75a又は第2の入力端子75bからの駆動信号をトレイ移動機構4の駆動モータ26に出力する出力端子75cとを有している。切換部75は、光ディスク10の印刷面10cに印刷を行うことなくディスクトレイ3を移動させるとき、第1の入力端子75aと出力端子75cとを接続して制御部69がディスクトレイ3の移動を制御できるようにする。例えば、制御部69は、ディスクトレイ3の移動を速めの第1の速度で移動するようにトレイ移動機構4の駆動モータ26を駆動制御し、光ディスク10の交換を速やかに行うことができるようにする。また、切換部75は、光ディスク10の印刷面10cに印刷を行うとき、第2の入力端子75bと出力端子75cとを接続し、第1の速度より遅い第2の速度で駆動モータ26を駆動制御し、シリアル型印刷ヘッド41の印刷動作に同期させてディスクトレイ3を移動させるようにする。すなわち、この記録再生装置1では、切換部75を設けることによって、印刷を行うときと行わないときとでディスクトレイ3の移動速度を異ならせるようにし、印刷時にはシリアル型印刷ヘッド41の駆動に同期させた第2の速度でディスクトレイ3を移動させるようにして、ディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の印刷面10cへの印刷を可能としている。
【0062】
次に、光ディスク10の印刷面10cに印刷を行うときの動作を図16及び図17を参照して説明する。先ず、光ディスク10の印刷面10cに印刷するデータが指定されて操作部14の印刷開始釦14dが押されると、切換部75は、第2の入力端子75bと出力端子75cとを接続し、印刷制御部73によってディスクトレイ3の移動を制御できるようにする。このとき、ここでは、放送された番組データ等が光ディスク10に記録され、この記録済み光ディスク10をイジェクトする際に合わせて印刷面10cにEPGデータを印刷することにする。したがって、図17(A)に示すように、ディスクトレイ3は、装置本体2内の記録再生位置にある。そして、印刷制御部73は、センサ15が障害物を検出しなかったとき、印刷を開始する。具体的に、印刷データ入力部72にEPGデータが入力されると、印刷制御部73は、入力されたEPGの印刷データに基づいて、シリアル型印刷ヘッド41の発熱抵抗体、圧電素子等の圧力発生素子を駆動させるための駆動信号、ヘッド移動機構42の駆動モータ45の駆動信号及びシリアル型印刷ヘッド41の駆動及び移動とディスクトレイ3の移動を同期させるためのトレイ移動機構4の駆動モータ26の駆動信号を生成する。そして、印刷制御部73は、印刷制御部73は、ヘッド駆動部74でシリアル型印刷ヘッド41の圧力発生素子を駆動させると共にヘッド移動機構42の駆動モータ45を駆動し、ディスクトレイ3の移動方向とは直交する方向に移動させる。これと同時に、印刷制御部73は、シリアル型印刷ヘッド41の駆動及び移動とディスクトレイ3の移動に同期させる第2の速度でディスクトレイ3のトレイ移動機構4の駆動モータ26を駆動し、ディスクトレイ3の装置本体2内の記録再生位置から装置本体2側のディスク交換位置への移動を開始させる。これにより、図17(C)に示すように、ディスクトレイ3が記録再生位置からディスク交換位置へと移動するに伴って、光ディスク10の印刷面10cのディスクトレイ3の排出端側から挿入端側へと印刷が進むことになる。そして、印刷制御部73は、印刷データを全て印刷面10cに印刷すると、最後に、ディスク交換位置までディスクトレイ3を移動させる。
【0063】
ところで、この記録再生装置1の装置本体2には、図18及び図19に示すように、シリアル型印刷ヘッド41のクリーニング機構81、シリアル型印刷ヘッド41のヘッドキャップ機構91及びシリアル型印刷ヘッド41の捨てインクを貯留する捨てインク機構101とが設けられている。
【0064】
クリーニング機構81は、装置本体2の前面側であって、記録再生位置にあるディスクトレイ3の排出端側の一方のコーナ部の下側に設けられている。すなわち、クリーニング機構81は、記録再生位置にあるディスクトレイ3の排出端側の一方のコーナ部に設けられた貫通孔28aに対応して設けられており、シリアル型印刷ヘッド41のノズル面をクリーニングするクリーニングヘッド82と、クリーニングヘッド82を回転駆動するモータ等でなるクリーニング駆動部83と、クリーニングヘッド82を昇降させる昇降機構84と、クリーニング駆動部83や昇降機構84を制御するクリーニング制御部85とを備えている。
【0065】
クリーニングヘッド82は、例えば、複数のゴム製のワイパブレードが放射状に形成され、また、ブラシが放射状に形成されてなり、モータで構成されたクリーニング駆動部83によって、シリアル型印刷ヘッド41のノズル面と平行な面内を回転することによって、ノズル面をクリーニングする。
【0066】
このクリーニング機構81は、上述のように、ディスクトレイ3の移動の障害とならないように、ディスクトレイ3の下側に配設されていることから、ディスクトレイ3の上側にあるシリアル型印刷ヘッド41のノズル面まで、上昇させる必要がある。そこで、このクリーニングヘッド82が取り付けられているクリーニング駆動部83には、これを昇降させるための昇降機構84が設けられている。この昇降機構84は、例えばクリーニング駆動部83に設けられたスライダに、駆動源となるモータに接続されたギヤ84aが噛合されることによって、クリーニングヘッド82が取り付けられているクリーニング駆動部83に駆動力が伝達され、クリーニングヘッド82が取り付けられているクリーニング駆動部83をギヤ84aの回転方向に従って昇降させる。
【0067】
クリーニングヘッド82が取り付けられているクリーニング駆動部83を昇降機構84で昇降させるに当たっては、ディスクトレイ3が間に介在するため、ディスクトレイ3に設けられた貫通孔28a,28cを介して行う必要がある。そこで、クリーニング制御部85は、貫通孔28a,28cを介してクリーニングヘッド82の昇降を行うため、ディスクトレイ3が記録再生位置又はディスク交換位置の何れかに位置にあるときに限って、昇降機構84によるクリーニングヘッド82の昇降を許可する。これにより、ディスクトレイ3が記録再生位置にあるとき、装置本体2からの排出端側の貫通孔28aを介してクリーニングヘッド82を昇降させることができ、また、ディスクトレイ3がディスク交換位置にあるとき、装置本体2への挿入端側の貫通孔28cを介してクリーニングヘッド82を昇降させることができる。
【0068】
また、ヘッドクリーニングを行うに当たっては、クリーニングヘッド82とシリアル型印刷ヘッド41のノズル面とが対峙している必要がある。そこで、クリーニング機構81には、シリアル型印刷ヘッド41のクリーニング位置を検出する例えば押圧スイッチで構成された検出部86が設けられている。検出部86は、シリアル型印刷ヘッド41がクリーニング位置、すなわちディスクトレイ3の貫通孔28a又は貫通孔28cに対応する位置であって、クリーニングヘッド82と対峙する位置にあるとき、ヘッド移動機構42によって移動されたシリアル型印刷ヘッド41によって押圧されることで、シリアル型印刷ヘッド41がクリーニング位置にあることを検出し、この検出信号をクリーニング制御部85に出力する。クリーニング制御部85は、この検出信号が入力されたとき、ヘッドクリーニングの動作を行うことになる。すなわち、クリーニング制御部85は、昇降機構84を駆動し、クリーニングヘッド82を、記録再生位置にあるディスクトレイ3の貫通孔28a又はディスク交換位置にあるディスクトレイ3の貫通孔28cを介して、クリーニング位置にあるシリアル型印刷ヘッド41のノズル面に近接するように上昇させる。
【0069】
このヘッドクリーニングのタイミングは、印刷後ノズル面に付着したインク液滴を払拭するため、印刷直後に行っても良く、また、インクを正確に吐出することができるように、印刷直前に行うようにしても良く、更に、これら2つのタイミングの両方であっても良い。また、ディスクトレイ3が記録再生位置にあるときであれば、クリーニングヘッド82の昇降を貫通孔28aを介して行うことができることから、光ディスク10の記録再生動作中であっても可能となる。更に、ユーザによってヘッドクリーニングのコマンドが入力されたときであっても良い。
【0070】
次に、図20を参照して以上のように構成されたクリーニング機構81の動作について説明する。シリアル型印刷ヘッド41のノズル面のクリーニングを行うとき、先ず、印刷制御部73は、ステップS1において、ヘッド移動機構42の駆動モータ45を駆動することによって、シリアル型印刷ヘッド41をクリーニング位置に移動させる。クリーニング制御部85は、検出部86がシリアル型印刷ヘッド41がクリーニング位置に移動したことを検出すると、ヘッドクリーニングを許可し、ステップS2において、昇降機構84のモータを駆動してクリーニングヘッド82が取り付けられたクリーニング駆動部83を上昇させる。そして、クリーニングヘッド82は、ディスクトレイ3の貫通孔28a又は28cを介してディスクトレイ3の上側に移動し、クリーニング位置にあるシリアル型印刷ヘッド41のノズル面に接触する。
【0071】
ステップS3において、クリーニング制御部85は、クリーニング駆動部83を駆動してクリーニングヘッド82を回転し、ノズル面をクリーニングする(図19中点線で示す状態)。クリーニング制御部85は、所定期間クリーニングヘッド82を回転させてノズル面のクリーニングを行うと、クリーニング駆動部83の駆動を停止し、ステップS4において、昇降機構84のモータを駆動してクリーニングヘッド82をディスクトレイ3より下側の待機位置まで下降させる。
【0072】
また、シリアル型印刷ヘッド41は、インクジェット型であるから、非使用時にノズル面が露出していると、ノズル内のインクが増粘してしまい、印刷時に正確にインクを吐出することができなくなってしまう。また、ノズル面に塵埃等が付着することにとっても、印刷時にインクを正確に吐出することができなくなってしまう。そこで、この記録再生装置1では、ヘッドキャップ機構91で、シリアル型印刷ヘッド41の非使用時に、ノズル面をで覆うようにしている。このヘッドキャップ機構91は、図19に示すように、クリーニング機構81の上側で、更に、ディスクトレイ3とシリアル型印刷ヘッド41との間に設けられており、非使用時のシリアル型印刷ヘッド41のノズル面を被覆するヘッドキャップ92と、このヘッドキャップ92を移動させるキャップ駆動部93とを有する。
【0073】
シリアル型印刷ヘッド41のノズル面を閉塞するヘッドキャップ92は、シリアル型印刷ヘッド41のノズル面と略同じ高さに設けられており、ノズル面と平行な面内をキャップ駆動部93によって回転されることによって、ノズル面を開閉する。このキャップ駆動部93は、例えば回転モータを駆動源とし、駆動軸の回転方向にヘッドキャップ92を回転させる。キャップ駆動部93は、印刷の直前にシリアル型印刷ヘッド41のノズル面を開放するようにし、印刷の直後にノズル面を閉塞するようにし、インクの増粘やノズル面への塵埃等の異物の付着を防止するようにしている。具体的に、シリアル型印刷ヘッド41のノズル面をヘッドキャップ92で閉塞するタイミングとしては、ディスクトレイ3が記録再生位置にある光ディスク10の記録再生時や待機時、更に、ディスクトレイ3がディスク交換位置にあるときに行うようにすると良い。
【0074】
また、キャップ駆動部93は、シリアル型印刷ヘッド41のノズル面を閉塞しているとき、ヘッドキャップ92がクリーニング機構81のクリーニングヘッド82が昇降機構84によって上昇され、下側から押圧されるようにし、ヘッドキャップ92がノズル面に密着し、ノズル面の気密性が確保されるようにしている。
【0075】
次に、図21(A)及び図21(B)を参照して以上のように構成されたヘッドキャップ機構91の動作について説明する。先ず、図21(A)を用いてヘッドキャップ92でシリアル型印刷ヘッド41のノズル面を閉塞する場合について説明する。先ず、印刷制御部73は、ステップS11において、ヘッド移動機構42の駆動モータ45を駆動することによって、シリアル型印刷ヘッド41をクリーニング位置でもあるキャッピング位置に移動させる。印刷制御部73は、検出部86がキャッピング位置に移動したことを検出すると、ヘッドキャップ動作を許可し、ステップS12において、キャップ駆動部93を駆動して、ノズル面から外れた待機位置にあるヘッドキャップ92をノズル面を閉塞した位置に移動する。次いで、ステップS13において、印刷制御部73は、クリーニング制御部85を介してクリーニング機構81の昇降機構84を駆動してクリーニングヘッド82を上昇させ、ヘッドキャップ92を下側から押圧するようにし、ヘッドキャップ92がノズル面に密着し、ノズル面の気密性が確保するようにする。
【0076】
また、図21(B)を用いて、ヘッドキャップ92をノズル面から外すときの動作について説明する。先ず、ステップS21において、印刷制御部73は、クリーニング制御部85を介してクリーニング機構81の昇降機構84を駆動してクリーニングヘッド82を下降させ、クリーニングヘッド82によるヘッドキャップ92の下側からの押圧を解除する。次いで、ステップS22において、印刷制御部73は、キャップ駆動部93を駆動して、ヘッドキャップ92をノズル面を閉塞した位置からノズル面から外れた待機位置に移動し、ステップS23において、ヘッドキャップ92の待機位置への移動を完了する。
【0077】
更に、シリアル型印刷ヘッド41は、常に新規なインクで印刷を行うことができるようにするため、印刷の直前やユーザによってヘッドクリーニングのコマンドが入力されたとき、増粘したインクを捨てるため空吐出や予備吐出を行う必要がある。そこで、装置本体2には、図18及び図19に示すように、装置本体2の前面側であって、記録再生位置にあるディスクトレイ3の排出端側の他方のコーナ部の下側に捨てインク機構101が設けられている。すなわち、捨てインク機構101は、記録再生位置にあるディスクトレイ3の排出端側の他方のコーナ部に設けられた貫通孔28bに対応して設けられており、ディスクトレイ3の下側に設けられたインク受け部102と、シリアル型印刷ヘッド41の位置を検出する検出部103とを有する。検出部103は、例えば押圧スイッチであり、シリアル型印刷ヘッド41が捨てインクを行う位置、すなわちディスクトレイ3の貫通孔28b,28dに対応した位置にあるとき、ヘッド移動機構42によって移動されたシリアル型印刷ヘッド41によって押圧されることで、シリアル型印刷ヘッド41が捨てインクを行う位置にあることを検出し、この検出信号を印刷制御部73に出力する。印刷制御部73は、この検出信号が入力されたとき、インク受け部102へのインクを吐出することになる。すなわち、印刷制御部73は、記録再生位置にあるディスクトレイ3の貫通孔28b又はディスク交換位置にあるディスクトレイ3の貫通孔28dを介してインク受け部102へインクを吐出する。
【0078】
次に、以上のように構成された印刷部6にシリアル型印刷ヘッド41を用いた光ディスク10の記録再生装置1の動作について図22及び図23を参照して説明する。
【0079】
先ず、光ディスク10を記録再生装置1にロードするときについて、図16乃至図22を参照して説明する。装置本体2の操作部14のイジェクト釦14cがユーザによって押圧操作されると、ステップS31において、制御部69には、ディスクトレイ3を装置本体2内の記録再生位置から装置本体2外のディスク交換位置へと移動させるトレイオープン要求が入力される。すると、ステップS32において、印刷制御部73は、上記図21(B)に示した処理に従ってキャップ駆動部93を駆動して、ヘッドキャップ92をノズル面を閉塞した位置からノズル面から外れた待機位置に移動する。これにより、ディスクトレイ3とクリーニングヘッド82とがディスクトレイ3の貫通孔28aで交わった状態が解除されて、ディスクトレイ3が装置本体2内の記録再生位置から装置本体2外のディスク交換位置への移動が可能な状態になる。
【0080】
ステップS33において、制御部69は、切換部75の第1の入力端子75aと出力端子75cとを接続し、トレイ移動機構4の駆動モータ26を駆動し、ディスクトレイ3を記録再生位置からディスク交換位置へと移動を開始させる。このとき、印刷制御部73は、ヘッド移動機構45の駆動モータ45を駆動して図11(A)乃至図11(E)に示すように、シリアル型印刷ヘッド41をディスクトレイ3の移動方向と直交する方向に移動させ、ディスク交換位置へと移動するディスクトレイ3とシリアル型印刷ヘッド41とが衝突することを防止する。また、制御部69は、光ディスク10の印刷面10cへの印刷を行わないことから、通常の速度、すなわち印刷を行わないときの移動速度である第1の速度でディスクトレイ3を移動する。
【0081】
ディスクトレイ3がディスク交換位置に移動すると、制御部69は、ステップS34において、所定期間が経過しタイマがタイムアウトしたかどうかを判断し、タイムアウトしていないとき、ステップS35において、ユーザによってイジェクト釦14cが再度押されてディスクトレイ3のクローズ要求、すなわち記録再生位置への移動要求が入力されたかを判断する。また、制御部69は、ステップS34において、タイムアウトしたと判断したとき、印刷制御部73は、ステップS36において、上記図21(A)に示した処理に従ってキャップ駆動部93を駆動して、ヘッドキャップ92をノズル面から外れた待機位置からノズル面を閉塞した位置へ移動する。このとき、クリーニングヘッド82は、ディスクトレイ3がディスク交換位置にあることから、装置本体2への挿入側の貫通孔28cを介してシリアル型印刷ヘッド41側に移動することになる。所定期間が経過してもディスクトレイ3のクローズ要求が入力されない状態は、ディスクトレイ3がディスク交換位置で長時間放置されている状態であり、長時間シリアル型印刷ヘッド41のノズル面が開放された状態が長時間続くことになる。そうすると、ノズルのインクが増粘したりノズル面に塵埃等の異物が付着してしまう虞が生じる。そこで、印刷制御部73は、所定期間ディスクトレイ3のクローズ要求が入力されないときには、ヘッドキャップ92でノズル面を閉塞するキャッピング処理を行ってインクが増粘したりノズル面に塵埃等の異物が付着する不具合を防止するようにしている。
【0082】
そして、制御部69は、ステップS37において、ユーザがイジェクト釦14cが再度押してディスクトレイ3の記録再生位置への移動のための操作が行われたかどうかの判断を繰り返し、クローズ要求が入力されたとき、ステップS38に進む。
【0083】
ステップS38において、制御部69は、ヘッドキャップ92がノズル面を閉塞した位置にあるかを判断する。ステップS36で、所定期間ディスクトレイ3がディスク交換位置に放置されているときに、シリアル型印刷ヘッド41のキャッピング処理が行われていることがあり、キャッピング処理が行われているときには、ディスク交換位置にあるディスクトレイ3の貫通孔28cとクリーニングヘッド82とが交わり、ディスクトレイ3が記録再生位置へ移動不能な状態になっているからである。ヘッドキャップ92がノズル面を閉塞した位置にあるとき、印刷制御部73は、ステップS39において、上記図21(B)に示した処理に従ってキャップ駆動部93を駆動して、ヘッドキャップ92をノズル面を閉塞した位置からノズル面から外れた待機位置に移動する。これにより、ディスクトレイ3とクリーニングヘッド82とがディスクトレイ3の貫通孔28cで交わった状態が解除されて、ディスクトレイ3が装置本体2内の記録再生位置への移動が可能な状態になる。また、制御部69は、ステップS38において、ヘッドキャップ92がノズル面を閉塞した位置にないとき、ステップS40に進む。
【0084】
ステップS40において、制御部69は、切換部75の第1の入力端子75aと出力端子75cとを接続し、トレイ移動機構4の駆動モータ26を駆動し、ディスクトレイ3をディスク交換位置から記録再生位置へと移動を開始させる。このとき、印刷制御部73は、ヘッド移動機構45の駆動モータ45を駆動して図11(A)乃至図11(E)に示すように、シリアル型印刷ヘッド41をディスクトレイ3の移動方向と直交する方向に移動させ、記録再生位置へと移動するディスクトレイ3とシリアル型印刷ヘッド41とが衝突することを防止する。このとき、制御部69は、光ディスク10の印刷面10cへの印刷を行わないことから、通常の速度、すなわち印刷を行わないときの移動速度である第1の速度でディスクトレイ3を移動する。
【0085】
次いで、制御部69は、ステップS41において、ディスクトレイ3が記録再生位置に至ると、ベース31を記録再生位置のディスクトレイ3側に上昇することによって、ディスクトレイ3の切欠部22より、ディスクテーブル32を光ディスク10側に進入させ、ディスクテーブル32で光ディスク10を支持し、ディスクテーブル32とクランピングプレート34とで回転可能に挟持させる。これにより、記録再生装置1は、光ディスク10の記録再生が可能な状態となる。
【0086】
次いで、制御部69は、ステップS42において、光ディスク10の記録再生動作に移行したかどうかにかかわらず、所定期間が経過しタイマがタイムアウトしたかどうかを判断し、タイムアウトしていないとき、ステップS43において、ユーザによって操作部14の印刷開始釦14dが押され、印刷要求があったかの判断を繰り返す。また、制御部69は、ステップS42において、タイムアウトしたと判断したとき、印刷制御部73は、ステップS44において、上記図21(A)に示した処理に従ってキャップ駆動部93を駆動して、ヘッドキャップ92をノズル面から外れた待機位置からノズル面を閉塞した位置へ移動する。このとき、クリーニングヘッド82は、ディスクトレイ3が記録再生位置にあることから、ディスクトレイ3の貫通孔28aを介してシリアル型印刷ヘッド41側に移動することになる。所定期間が経過しても印刷が開始されないとき、長時間シリアル型印刷ヘッド41のノズル面が開放された状態が続いてしまうことになり、ノズルのインクが増粘したりノズル面に塵埃等の異物が付着してしまう虞が生じる。そこで、印刷制御部73は、所定期間印刷が開始されないときには、ヘッドキャップ92でノズル面を閉塞するキャッピング処理を行ってインクが増粘したりノズル面に塵埃等の異物が付着する不具合を防止するようにしている。そして、制御部69は、ステップS45において、ユーザが印刷開始釦14dを押して、印刷要求が入力されたかの判断を繰り返す。
【0087】
次に、上記ステップS45において、印刷要求が入力されたときの動作を図23を参照して説明する。
【0088】
ステップS51において、制御部69は、操作部14より印刷要求が入力されると、ステップS52において、ディスク回転駆動部30が光ディスク10を記録再生のためチャッキング状態にあるかどうかを判断し、ディスク回転駆動部30がチャッキング状態にあるとき、ステップS53において、ベース31を記録再生位置のディスクトレイ3の上側より下側に下降させ、ディスクトレイ3の切欠部22よりディスクテーブル32を待避させ、光ディスク10がディスクトレイ3のディスク保持凹部21に載置保持された状態にする。
【0089】
次いで、制御部69は、上述したステップS44でシリアル型印刷ヘッド41のノズル面をヘッドキャップ92で閉塞し、記録再生位置のディスクトレイの貫通孔28aでクリーニングヘッド82がディスクトレイ3と交わった状態になっていることから、ディスクトレイ3を移動可能な状態にするため、ステップS54において、印刷制御部73を介して上記図21(B)に示した処理に従ってキャップ駆動部93を駆動して、ヘッドキャップ92をノズル面を閉塞した位置からノズル面から外れた待機位置に移動する。これにより、ディスクトレイ3とクリーニングヘッド82とがディスクトレイ3の貫通孔28cで交わった状態が解除されて、ディスクトレイ3が装置本体2外へ移動が可能な状態になる。
【0090】
ステップS55において、ヘッドクリーニングを行うため、上記図20のクリーニング処理に従ってクリーニングヘッド82をシリアル型印刷ヘッド41のノズル面に接触させ回転させることによって、ノズル面をクリーニングし、所定時間経過の後、クリーニングヘッド82を下降させて、クリーニング処理を終了する。これにより、印刷直前にシリアル型印刷ヘッド41のノズル面がクリーニングされ、インクを正確に吐出することができるようになり、また、混色を防止することができる。
【0091】
ステップS56において、シリアル型印刷ヘッド41を捨てインクを行う位置、すなわちディスクトレイ3の貫通孔28bに対応した位置に移動する。そして、印刷制御部73は、検出部103より捨てインクの位置にあることを示す検出信号が入力されると、ステップS57において、所定時間、シリアル型印刷ヘッド41を駆動してインク受け部102に対してインクを吐出し、捨てインクの処理を行う。すなわち、シリアル型印刷ヘッド41から吐出されるインクは、ディスクトレイ3の貫通孔28bを介してインク受け部102に吐出されることになる。
【0092】
制御部69は、ステップS58において、光ディスク10のチャッキングを解除してから所定時間経過したかを判断し、所定期間経過したとき、ステップS59に進む。これは、光ディスク10がチャッキングを解除された際、ディスクトレイ3のディスク保持凹部21に載置されることになるが、この際に加わる衝撃に伴う光ディスク10の振動が収まるのを待つためである。光ディスク10が振動した状態で印刷が開始されると、シリアル型印刷ヘッド41のノズル面と光ディスク10の印刷面10cとの距離が定まらず、正確な印画を行うことができなくなるからである。
【0093】
所定時間が経過すると、切換部75は、光ディスク10の印刷面10cに印刷を行うとき、第2の入力端子75bと出力端子75cとを接続し、印刷制御部73によって、ディスクトレイ3の移動を制御できるようにし、印刷制御部73は、ステップS59において、トレイ移動機構4の駆動モータ26を駆動し、ディスクトレイ3の記録再生位置からディスク交換位置への移動を開始させる。ここで、印刷制御部73は、ディスクトレイ3を、印刷を行わず、ディスクトレイ3をディスク交換位置に移動させる際の第1の速度より遅く印刷データに応じた第2の速度でトレイ移動機構4の駆動モータ26を駆動する。
【0094】
ステップS60において、印刷制御部73は、ディスクトレイ3の移動速度を、トレイ移動機構4の駆動モータ26の回転数、所定期間におけるディスクトレイ3の移動量等を検出して、ディスクトレイ3の移動速度が安定するまで印刷を待機する。トレイ移動機構4は、駆動モータ26の駆動力を複数のギヤ列を介してディスクトレイ3のラックギヤ23に伝達するものであるから、ギヤの遊び等によって、ディスクトレイ3の移動開始時において移動速度が安定しないからである。
【0095】
ディスクトレイ3の移動速度が安定すると、ステップS61において、印刷制御部73は、メモリ70等から読み出され印刷データ入力部72より入力されたEPG等のプログラムデータを直交座標系を前提としたデータに変換し印刷データを生成する。そして、印刷制御部73は、印刷データに応じてヘッド駆動部74を介してシリアル型印刷ヘッド41を駆動すると共に、ヘッド移動機構42の駆動モータ45を駆動し、シリアル型印刷ヘッド41をディスクトレイ3の移動方向と直交する方向に移動させる。また、印刷制御部73は、ディスクトレイ3を、シリアル型印刷ヘッド41の移動と同期させるようにしてトレイ移動機構4の駆動モータ26を駆動する。かくして、印刷制御部73は、印刷データを光ディスク10の印刷面10cに対して1ラインずつインクを吐出して印刷する。
【0096】
印刷制御部73は、ステップS62において、印刷データの全てを印刷したかどうかを判断し、終了していないとき、ステップS61からの処理を繰り返し、終了したとき、ステップS63に進む。そして、印刷データの印刷終了と略同時に、ディスクトレイ3は、ディスク交換位置に移動することになる。
【0097】
次いで、印刷制御部73は、ステップS63において、クリーニング制御部85を介して図20に示した処理に従ってヘッド移動機構42の駆動モータ45を駆動することによって、シリアル型印刷ヘッド41をクリーニング位置に移動させ、クリーニング位置に移動したことが検出された後、昇降機構84のモータを駆動してクリーニングヘッド82が取り付けられたクリーニング駆動部83を上昇させる。この際、ディスクトレイ3の下側にあるクリーニングヘッド82は、ディスク交換位置にあるディスクトレイ3の装置本体2への挿入端側の貫通孔28cを介してディスクトレイ3の上側にあるシリアル型印刷ヘッド41の方へ上昇する。そして、印刷制御部73は、クリーニング制御部85を介して、クリーニング駆動部83を駆動してクリーニングヘッド82を回転し、ノズル面をクリーニングし(図19中点線で示す状態)、クリーニングヘッド82を回転停止後降下させる。
【0098】
ヘッドクリーニングが終了すると、印刷制御部73は、ステップS64において、上記図21(A)に示した処理に従ってキャップ駆動部93を駆動して、ヘッドキャップ92をノズル面から外れた待機位置からノズル面を閉塞した位置へ移動する。このとき、クリーニングヘッド82は、ディスクトレイ3がディスク交換位置にあることから、装置本体2への挿入側の貫通孔28cを介してシリアル型印刷ヘッド41側に移動することになる。これにより、印刷制御部73は、光ディスク10の交換作業等を行っている間にシリアル型印刷ヘッド41のノズル面が乾燥してしまうことを防止する。
【0099】
また、記録再生装置1の光ディスク10のロードから光ディスク10へのデータの記録、更に、光ディスク10の印刷面10cへの印刷に亘る一連の動作の更なる具体例を図24を参照して説明する。
【0100】
装置本体2の操作部14のイジェクト釦14cがユーザによって押圧操作されると、ステップS71において、制御部69には、ディスクトレイ3を装置本体2内の記録再生位置から装置本体2外のディスク交換位置へと移動させるトレイオープン要求が入力される。すると、制御部69は、ステップS72において、トレイオープン要求が図20に示すヘッドクリーニング動作中又は上述した捨てインク動作中であるかどうかを判断する。クリーニング動作中は、ディスク交換位置にあるディスクトレイ3の貫通孔28aとクリーニングヘッド82とが交差しディスクトレイ3が移動不能の状態にあり、また、捨てインク動作中は、シリアル型印刷ヘッド41からインクが吐出されている最中であり、ディスクトレイ3又はディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の印刷面10cが汚損してしまうからである。そして、制御部69は、ヘッドクリーニング動作中又は上述した捨てインク動作中であるとき、ステップS73に進み、ヘッドクリーニング動作中又は上述した捨てインク動作中でないとき、ステップS74に進む。
【0101】
ヘッドクリーニング動作中又は上述した捨てインク動作中であるとき、制御部69は、ステップS73において、表示部13にユーザに対する警告表示を行う。具体的に、制御部69は、直ちに動作中のヘッドクリーニング動作、捨てインク動作の何れかを中断させ、ディスクトレイ3の移動を開始するまでの間、ディスクトレイ3の移動が行われない旨を表示部13に表示する。この場合、制御部69は、直ちに、クリーニング制御部85を介して昇降機構84のモータを駆動してクリーニングヘッド82をディスクトレイ3より下側の待機位置まで下降させ、ディスクトレイ3とクリーニングヘッド82とがディスクトレイ3の貫通孔28aの位置で交差した状態を解除するようにする。また、制御部69は、捨てインクの処理を行っているとき、印刷制御部73を介してインクの吐出動作を停止する。そして、ステップS74の処理に進む。
【0102】
また、制御部69は、動作中のヘッドクリーニング動作、捨てインク動作が完了するまでディスクトレイの移動が禁止又は待機する旨を表示部13に表示する。この場合、制御部69は、ヘッドクリーニングの動作完了を待って、クリーニング制御部85を介して昇降機構84のモータを駆動してクリーニングヘッド82をディスクトレイ3より下側の待機位置まで下降させ、ディスクトレイ3とクリーニングヘッド82とがディスクトレイ3の貫通孔28aの位置で交差した状態を解除するようにする。また、捨てインク吐出の動作の完了を待って、印刷制御部73を介してインクの吐出動作を停止する。
【0103】
ステップS74において、制御部69は、ディスクトレイ3を記録再生位置からディスク交換位置へと移動を開始させる。このとき、制御部69は、光ディスク10の印刷面10cへの印刷を行わないことから、通常の速度、すなわち印刷を行わないときの移動速度である第1の速度でディスクトレイ3を移動する。そして、ステップS75において、ディスクトレイ3がディスク交換位置に至ると、このディスク交換位置において、新たな光ディスク10がディスク保持凹部21に、印刷面10cを上にして載置される。なお、ここで、上記ステップS34乃至ステップS36で示したように、制御部69は、所定時間以上ディスクトレイ3がディスク交換位置にあるかどうかを判断し、所定時間以上ディスクトレイ3がディスク交換位置にあるとき、シリアル型印刷ヘッド41のノズル面をヘッドキャップ92で閉塞するようにしても良い。
【0104】
そして、制御部69は、ステップS76において、ユーザがイジェクト釦14cが再度押してディスクトレイ3の記録再生位置への移動のための操作が行われると、次いで、ステップS77において、トレイ移動機構4の駆動モータ26を駆動して、通常の第1の速度でディスクトレイ3をディスク交換位置から記録再生位置へと移動する。
【0105】
次いで、制御部69は、ステップS78において、ディスクトレイ3が記録再生位置に至ると、ベース31を記録再生位置のディスクトレイ3側に上昇することによって、ディスクトレイ3の切欠部22より、ディスクテーブル32を光ディスク10側に進入させ、ディスクテーブル32で光ディスク10を支持し、ディスクテーブル32とクランピングプレート34とで回転可能に挟持させる。これにより、記録再生装置1は、光ディスク10の記録再生が可能な状態となる。
【0106】
ステップS79において、制御部69は、記録再生位置にあるディスクトレイ3に保持されている光ディスク10の記録操作が行われたかどうかを判断する。具体的に、制御部69は、操作部14で記録開始釦14eが押されたかをを判断し、記録を行うとき、ステップS80に進み、操作部14の印刷開始釦14dが押されたとき、ステップS84に進む。そして、光ディスク10の記録を行うとき、ステップS80において、制御部69は、光ディスク10への記録処理を行う。具体的に、制御部69は、光ディスクデータ入出力部61から入力されたHDデータ等のアナログのコンテンツデータを、A/Dコンバータ62でディジタル信号に変換し、記録処理部63でエラー訂正符号化処理や変調処理を行い、ディスク回転操作部30で光ディスク10を回転しながら、光ピックアップ35で記録データに応じた光ビームを光ディスク10の記録再生面10bに照射し反射された光ビームを検出することによって、フォーカシング制御やトラッキング制御を行いながら、記録データを光ディスク10に記録する。
【0107】
記録データの光ディスク10への記録が完了すると、制御部69は、ステップS81において、操作部14の印刷開始釦14dが押されたを判断し、押されなかったとき、ステップS82において、例えばネットワーク71aを介して通信部71よりダウンロードしたEPG等のプログラムデータをメモリ70に格納し、何時でもEPG等のプログラムデータを光ディスク10の印刷面10cに印刷できるようにする。
【0108】
また、制御部69は、ステップS81で印刷開始釦14dが押されたとき、次いで、ステップS83において、印刷の準備を開始する。具体的に、制御部69は、メモリ70よりEPG等のプログラムデータを読み出し印刷データ入力部72に入力し、印刷制御部73で入力されたデータを例えばデカルト座標系、すなわち直交座標系を前提としたデータに変換し、印刷データを生成する。
【0109】
また、ステップS79において、光ディスク10への記録データの記録を行わず印刷面10cに印刷を行うことにしたとき、制御部69は、ステップS84において、メモリ70よりEPG等のプログラムデータを読み出す又はネットワーク71aを介して通信部71よりEPG等のプログラムデータをダウンロードし、印刷データ入力部72に入力し、印刷制御部73で入力されたデータを例えばデカルト座標系を前提としたデータに変換し、印刷データを生成する。
【0110】
光ディスク10の印刷面10cに対して印刷を行うとき、制御部69は、先ず、ステップS85において、ベース31を記録再生位置のディスクトレイ3の上側より下側に下降させ、ディスクトレイ3の切欠部22よりディスクテーブル32を待避させ、光ディスク10がディスクトレイ3のディスク保持凹部21に載置保持された状態にする。
【0111】
次いで、制御部69は、ステップS86において、光ディスク10のチャッキング解除時、すなわち光ディスク10がディスクテーブル32に持ち上げられた状態からディスクトレイ3のディスク保持凹部21に載置される際に発生する光ディスク10の振動の減衰を待つため、ディスクトレイ3を記録再生位置からディスク交換位置へ移動させることなく所定期間待機する。そして、制御部69は、ステップS87において、印刷制御部73で印刷データ入力部72から入力されたデータの印刷データへの変換処理が終了したかを判断し、終了していないとき、処理を繰り返し、終了したとき、ステップS88に進む。また、ここで、ディスクトレイ3をシリアル型印刷ヘッド41の移動と同期させて制御できるように、切換部75は、第2の入力端子75bと出力端子75cとを接続し、印刷制御部73がディスクトレイ3の移動を制御できるようにする。
【0112】
ステップS88において、制御部69は、印刷制御部73を介してセンサ15が装置本体2に収納されたディスクトレイの前に障害物があるかどうかを判断し、センサ15が障害物を検出したとき、表示部13に、装置本体2の前面よりディスクトレイ3の移動に当たって障害となる障害物の移動を促す警告表示を行う。
【0113】
ステップS89において、印刷制御部73は、上記図23の処理に従ってディスクトレイ3を記録再生位置からディスク交換位置に移動させながらディスクトレイ3のディスク保持凹部21に載置保持されている光ディスク10の印刷面10cに対してEPG等のデータを可視情報として印刷する。そして、印刷制御部73は、ステップS90において、ディスクトレイ3がディスク交換位置に移動し終わると、印刷処理を終了する。
【0114】
かくして、この記録再生装置1では、ステップS79で光ディスク10へのコンテンツデータ等の記録を選択し、ステップS81でコンテンツデータを記録した光ディスク10の印刷面10cに対する印刷を実行したときには、光ディスク10にコンテンツデータの記録作業の最後に印刷面10cへの印刷を行い、データ記録のための一連の作業の中で印刷面10cへの印刷を完了することができる。これにより、ユーザは、光ディスク10に記録された不可視の電子データと印刷面10cに印刷される可視情報とを常に対応付けることができ、例えば、再生するときにも、所望の光ディスク10を容易に選択することができる。
【0115】
なお、光ディスク10に記録されたデータの再生を行うとき、制御部69は、操作部14の再生開始釦14aが押されて、再生開始コマンドが入力されると、記録再生位置にあるディスクトレイ3よりディスクテーブル32で光ディスク10を持ち上げ回転し、光ピックアップ35で光ビームを光ディスク10の記録再生面10bに照射し反射された光ビームを検出することによって、フォーカシング制御やトラッキング制御を行いながら、RF信号を抽出し、再生処理部64で再生データを復調し、エラー訂正復号か処理を行い、更に、D/Aコンバータ65でディジタル信号をアナログ信号に変換し、光ディスクデータ入出力部61に接続された映像表示装置に映像データを可視情報で出力し、また、スピーカを介して可聴音で出力する。
【0116】
また、以上の例では、記録再生装置1がクリーニング機構81,ヘッドキャップ機構91,捨てインク機構101の備える場合を説明したが、本発明では、必ずしも全ての機構を備える必要はない。また、ディスクトレイ3の貫通孔28a〜28dの有無も、クリーニング機構81,捨てインク機構101の有無や処理を行うタイミングに合わせて適宜決められるものであり、必ずしも全てを必要とするものはない。
【0117】
ところで、以上の例では、シリアル型印刷ヘッド41のクリーニング機構81、ヘッドキャップ機構91及び捨てインク機構101を設けた場合を説明したが、図12及び図13に示したライン型印刷ヘッド51を用いた場合は、ディスクトレイ3は、次のように構成される。すなわち、図25(A)及び図25(B)に示すように、ディスクトレイ3には、装置本体2からの排出端側に貫通孔52aが形成され、装置本体2への挿入端側に貫通孔52bが形成されている。これら貫通孔52a,52bは、ライン型印刷ヘッド51の駆動範囲、すなわちインクの吐出範囲に対応させ略矩形に形成されている。これら貫通孔52a,52bは、ライン型印刷ヘッド51のヘッドクリーニングや捨てインク処理の際に用いられる。
【0118】
装置本体2には、ライン型印刷ヘッド51のノズル面をクリーニングするクリーニング機構53、捨てインクを吐出する捨てインク機構54の何れかが設けられている。クリーニング機構53、捨てインク機構54の何れかは、装置本体2内側であってディスクトレイ3が挿脱する開口部12に沿う位置であって、更に、ディスクトレイ3の下側に位置するように設けられている。この位置は、ディスクトレイ3が記録再生位置にあるとき、ディスクトレイ3の装置本体2からの排出端側の貫通孔52aに対応する位置であり、ライン型印刷ヘッド51のノズル面と対向する位置でもある。
【0119】
ここで、クリーニング機構53、捨てインク機構54の構成を説明する。クリーニング機構53は、例えば、上述したシリアル型印刷ヘッド41用のクリーニング機構81のクリーニングヘッド82を、ライン型印刷ヘッド51のインクの吐出範囲と略同じ長さのゴム製のワイパブレードとし、このワイパブレードをディスクトレイ3の移動方向と同方向に移動させることで、ライン型印刷ヘッド51のノズル面をクリーニングすることができる。なお、クリーニング機構53のその他の構成は、クリーニング機構81と同じとし、クリーニング駆動部74や昇降機構84やクリーニング制御部85を備えるようにすれば良い。クリーニングは、図25(A)に示すように、ディスクトレイ3が記録再生位置にあるとき、貫通孔52aを介して行い、ディスクトレイ3がディスク交換位置にあるとき、図25(B)に示すように、貫通孔52bを介して行うことになる。そして、ヘッドクリーニング時、昇降機構84によってクリーニングヘッド82を貫通孔52a,52bを介して上昇させることによって、ライン型印刷ヘッド51ノズル面のクリーニングが可能となり、また、クリーニングヘッド82を貫通孔52a,52bを介して下降させることによって、ディスクトレイ3を移動させることができる。
【0120】
また、捨てインク機構54は、シリアル型印刷ヘッド41用の捨てインク機構101と同様な構成を有しており、ディスクトレイ3の下側に設けられたインク受け部102を有している。このインク受け部102は、ライン型印刷ヘッド51のインクの吐出範囲と略同じ長さに形成されている。このような捨てインク機構54では、図25(A)に示すように、ディスクトレイ3が記録再生位置にあるとき、貫通孔52aを介してディスクトレイ3の上側のライン型印刷ヘッド51のノズル面からディスクトレイ3の下側のインク受け部102にインクを吐出し、ディスクトレイ3がディスク交換位置にあるとき、図25(B)に示すように、貫通孔52bを介してディスクトレイ3の上側のライン型印刷ヘッド51のノズル面からディスクトレイ3の下側のインク受け部102にインクを吐出することになる。
【0121】
このような図25に示したディスクトレイ3では、ディスクトレイ3の移動方向の両側に、貫通孔52a,52bが形成されていることから、記録再生位置、ディスク交換位置の何れの位置にあっても、ヘッドクリーニングの処理や捨てインクの処理を行うことができる。
【0122】
また、ライン型印刷ヘッド51に用いるディスクトレイ3は、装置本体2への挿入端側にのみ貫通孔52bを形成するようにしても良い。このディスクトレイ3では、図25に示した例より貫通孔の数が少ないことから機械的強度を高めることができる。また、このディスクトレイ3では、装置本体2からの排出端側に貫通孔を設けていないことから、従来のディスクトレイ、すなわち印刷部6を有しない記録再生装置に用いられているディスクトレイと外観を同じにすることができる。この例では、図26(A)に示すように、装置本体2からの排出端側に貫通孔が設けられていないことから、記録再生位置にあるとき、クリーニング機構53によるヘッドクリーニングの処理や捨てインク機構54による捨てインクの処理は行われない。そして、図26(B)に示すように、ディスクトレイ3がディスク交換位置に移動したとき、クリーニング機構53によるヘッドクリーニングの処理や捨てインク機構54による捨てインクの処理が行われることになる。
【0123】
なお、貫通孔の位置は、装置本体2からの排出端側にのみ貫通孔52aを設けるようにしても良い。この場合、ディスクトレイ3が記録再生位置あるとき、クリーニング機構53によるヘッドクリーニングの処理や捨てインク機構54による捨てインクの処理が行われることになる。
【0124】
なお、以上の説明では、光ディスク10の印刷面10cへの印刷を、ディスクトレイ3が記録再生位置からディスク交換位置へ移動する過程で行う例を説明したが、印刷面10cへの印刷は、ディスクトレイがディスク交換位置から記録再生位置に移動する過程で行うようにしても良い。
【0125】
ところで、記録済みの光ディスク10は、収納ケースに記録済みの光ディスク10と共に、光ディスク10に記録したデータに関連したデータを記録したレーベル用印刷媒体を収納することが多い。そこで、本発明を適用した記録再生装置1では、光ディスク10の印刷面10cの他に、記録済みの光ディスク10と共に収納ケースに収納するレーベル用印刷媒体の印刷を行うことができるようになっている。
【0126】
図27及び図28に示すように、このディスクトレイ3は、上述したディスク保持凹部21の外側に更に、レーベル用印刷媒体112を保持する印刷媒体用保持部111が形成されている。光ディスク10の収納ケースは、上述のように、光ディスクを内接円とする程度の大きさで略矩形をなしているため、この収納ケースに収納されるレーベル用印刷媒体112も、収納ケースと略同じ大きさで略矩形をなした厚紙等で形成されている。そこで、ディスクトレイ3に形成される印刷媒体用保持部111も、レーベル112の形状に合わせ略矩形をなす凹部で形成されている。
【0127】
図29は、ディスク保持凹部21に光ディスク10が保持されたときの印刷面10cの高さと印刷媒体用保持部111に保持されたレーベル用印刷媒体112の印刷面112aとの関係を示す。図29(A)に示すように、通常、光ディスク10は、厚さが1.2mmである。したがって、ディスク保持凹部21に保持された光ディスク10の印刷面10cの高さは、ディスク保持凹部21の底面から1.2mmの高さである。そこで、図29(B)に示すように、レーベル用印刷媒体112を保持する印刷媒体用保持部111の深さは、レーベル用印刷媒体112が保持されたとき、レーベル用印刷媒体112の印刷面112aがディスク保持凹部21の底面から1.2mmに位置するように、すなわち光ディスク10の印刷面10cと同じ高さに位置するようになっている。これにより、記録再生装置1は、光ディスク10の印刷面10cに印刷をするときとレーベル用印刷媒体112の印刷面112aに印刷するときとで、印刷ヘッドのノズル面と印刷面との間隔が同じになり、印刷部6の高さ等を変更する必要が無くなり、構成の簡素化を図ることができる。
【0128】
図30(A)に示すように、光ディスク10を保持するディスク保持凹部21の深さは、レーベル用印刷媒体112を保持する印刷媒体用保持部111の深さより深い。このため、印刷媒体用保持部111にレーベル用印刷媒体112を保持させたとき、ディスク保持凹部21が設けられた部分が支持されなくなり、反りが発生する虞がある。
【0129】
そこで、図30(B)に示すように、ここでは、レーベル用印刷媒体112を印刷するときには、ディスク保持凹部21に、印刷媒体用保持部111に保持されたレーベル用印刷媒体112を下側から支持する支持体113を載置することがきるようになっている。この支持体113は、光ディスク10と略同じ大きさに形成され、厚さが、レーベル用印刷媒体112の厚さを考慮して光ディスク10より薄く形成されている。すなわち、ディスク保持凹部21に保持された支持体113の厚さとレーベル用印刷媒体112の厚さを合わせたディスク保持凹部21の底面からの寸法が1.2mmとなるように形成されている。この支持体113をディスク保持凹部111に載置し、更に、印刷媒体用保持部111にレーベル用印刷媒体112を保持させたときには、ディスク保持凹部21の部分が支持体113によって支持されることになり、図30(B)に示すように、レーベル用印刷媒体112の反りの発生を防止することができる。これにより、印刷ヘッドのノズル面とレーベル用印刷媒体112の印刷面112aとの距離は常に一定となり、データに応じた印刷データ鮮明に印刷することができる。
【0130】
なお、このレーベル用印刷媒体112に印刷される情報は、上述したEPGデータであっても良く、また、メモリ70に保存されている光ディスク10に記録したデータに関連した画像データ、テキストデータ等となる。
【0131】
以上のように、この記録再生装置1には、ディスクトレイ3に光ディスク10とレーベル用印刷媒体112とが選択的に保持されることになる。したがって、記録再生装置1では、ディスクトレイ3に保持されたものが光ディスク10であるのか、レーベル用印刷媒体112であるのかを判別する必要がある。そこで、記録再生装置1では、図31に示すような構成によってディスクトレイ3に保持された媒体が光ディスク10であるのかレーベル用印刷媒体112であるのかを判別している。すなわち、図31に示すように、記録再生部5を構成する光ピックアップ35は、上述のように、半導体レーザ等の光源35bより出射された光ビームを対物レンズ35aで集光し、光ディスク10の記録再生面10bで反射された戻りの光ビームをビームスプリッタ35c等の光学素子で偏光して光検出器35dで検出する。そこで、記録再生装置1は、ディスクトレイ3にある印刷媒体の種類を判別するに当たっては、光検出器35dが検出した光ビームの光量に応じた識別信号を判別部121で判別するようにしている。すなわち、光検出器35dでは、光ディスク10のとき、光ビームが記録再生面10bで反射された光ビームを検出することから、その出力である識別信号は、厚紙等で形成されているレーベル用印刷媒体112で反射された光ビームを検出したときの識別信号より明らかに大きくなる。判別部121では、光ピックアップ35の光検出器35dから入力される識別信号の大小によって、ディスクトレイ3に保持されている印刷媒体が光ディスク10であるかレーベル用印刷媒体112であるかを判別するようにしている。
【0132】
判別部121は、ディスクトレイ3に保持された印刷媒体の種類を判別すると、印刷媒体に応じた印刷データを生成するための印刷制御データを印刷制御部73に出力する。そして、印刷制御部73は、印刷媒体の種類に応じた印刷データを生成し、生成した印刷データに基づいてヘッド駆動部74を介してシリアル型印刷ヘッド41を駆動すると共に、ヘッド移動機構42の駆動モータ45を駆動する。また、印刷制御部73は、ディスクトレイ3のトレイ移動機構4の駆動モータ26を駆動し、ディスクトレイ3を移動する。
【0133】
また、レーベル用印刷媒体112の印刷を行うときには、上述したような光ディスク10のチャッキング動作は必要としない。そこで、判別部121は、レーベル用印刷媒体112がディスクトレイ3に保持されているときには、トレイ移動機構4と印刷部6のみを駆動するようにし、記録再生部5を駆動しないようにする。
【0134】
以上のような記録再生装置1では、光ディスク10の印刷面10cへの印刷の他に、光ディスク10と共に収納されるレーベル用印刷媒体112を、ディスクトレイ3を用いて印刷することができ、利便性の向上を図ることができる。また、この記録再生装置1では、ディスクトレイ3に保持されている印刷媒体の種類を判別することによって、印刷媒体の特性に応じた印刷データを生成し、印刷することができ、光ディスク10の印刷面10c、レーベル用印刷媒体112の何れにも鮮明な印刷を行うことができる。また、レーベル用印刷媒体112を印刷するときには、ディスク回転駆動部30や光ピックアップ35等の記録再生部5を起動させることが無い、すなわち光ディスク10のチャッキング動作等を行わないことから、記録再生部5の故障等を防止することができる。更に、レーベル用印刷媒体112を印刷するときには、ディスクトレイ3のディスク保持凹部21に支持体113を配置することから、レーベル用印刷媒体112を支持し反り等を防止することができ、これにより、印刷データに応じた正確な印刷を行うことができる。
【0135】
なお、以上説明した、ディスクトレイ3にレーベル用印刷媒体112を保持する印刷媒体用保持部111を設ける構成や判別部121を設ける構成は、印刷部6にシリアル型印刷ヘッド41を用いる装置の他、ライン型印刷ヘッド51を用いる装置にも適用することができる。また、レーベル用印刷媒体112への印刷は、ディスクトレイ3が記録再生位置からディスク交換位置に移動する過程で行っても良く、また、ディスクトレイ3がディスク交換位置から記録再生位置に移動する過程で行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】印刷部にシリアル型印刷ヘッドを用いた記録再生装置の斜視図であり、ディスクトレイを装置本体に収納した状態を示す。
【図2】図1と同様な記録再生装置の斜視図であり、ディスクトレイが装置本体より突出した状態を示す。
【図3】図1の記録再生装置の記録再生部を示す斜視図である。
【図4】光ディスクの斜視図である。
【図5】ディスクトレイの斜視図である。
【図6】シリアル型印刷ヘッドによって光ディスクの印刷面に画像を印刷する状態を示す平面図であり、(A)は、ディスクトレイが記録再生位置にある印刷前の状態を示し、(B)は、印刷中を示し、(C)は、印刷後を示す。
【図7】シリアル型印刷ヘッドの移動範囲を80mmとしたときの印刷範囲を示す平面図である。
【図8】シリアル型印刷ヘッドの移動範囲を80mmとしたときの印刷範囲の他の例を示す平面図である。
【図9】記録再生時におけるシリアル型印刷ヘッドと光ディスクとディスクトレイとの関係を示す図である。
【図10】(A)は、シリアル型印刷ヘッド用のディスクトレイの平面図であり、(B)は、(A)のA−A断面図である。
【図11】ディスクトレイの移動時におけるシリアル型印刷ヘッドとディスクトレイとの関係を示す平面図であり、(A)は、ディスクトレイが記録再生位置にあるときのシリアル型印刷ヘッドの位置を示し、(B)は、ディスクトレイがディスク交換位置への移動を開始したときのシリアル型印刷ヘッドの位置を示し、(C)は、ディスクトレイが移動開始したときにシリアル型印刷ヘッドが移動しなかったときを参考例として示すものであり、(D)は、ディスクトレイがディスク交換位置に移動したときのシリアル型印刷ヘッドの位置を示し、(E)は、ディスクトレイがディスク交換位置に移動しシリアル型印刷ヘッドもディスク交換時の定位置に移動した状態を示す。
【図12】印刷部にライン型印刷ヘッドを用いた記録再生装置の斜視図であり、ディスクトレイを装置本体に収納した状態を示す。
【図13】図1と同様な記録再生装置の斜視図であり、ディスクトレイが装置本体より突出した状態を示す。
【図14】記録再生時におけるライン型印刷ヘッドと光ディスクとディスクトレイとの関係を示す図である。
【図15】(A)は、ライン型印刷ヘッド用のディスクトレイの平面図であり、(B)は、(A)のC−C断面図である。
【図16】本発明が適用された記録再生装置のブロック図である。
【図17】光ディスクの印刷面に印刷する印刷動作を示す側面図であり(A)は印刷開始前、(B)は印刷中、(C)は印刷終了時を示す。
【図18】シリアル型印刷ヘッドのクリーニング機構、シリアル型印刷ヘッドのヘッドキャップ機構及びシリアル型印刷ヘッドの捨てインクを貯留する捨てインク機構とディスクトレイとの位置関係を示す平面図であり、(A)はディスクトレイが記録再生位置にある状態を示し、(B)はディスクトレイの移動途中の状態を示し、(C)はディスクトレイがディスク交換位置にある状態を示す。
【図19】シリアル型印刷ヘッドのクリーニング機構、シリアル型印刷ヘッドのヘッドキャップ機構及びシリアル型印刷ヘッドの捨てインクを貯留する捨てインク機構の構成を示す図であり、(A)は、ヘッドキャップをしていない状態、(B)は、ヘッドキャップ時を示す。
【図20】シリアル型印刷ヘッドのクリーニング処理のフローチャートである。
【図21】(A)は、ヘッドキャップのキャッピング処理のフローチャートであって、(B)は、キャッピング解除時のフローチャートである。
【図22】光ディスクをロードする際の一連の動作を示すフローチャートである。
【図23】印刷処理時の一連の動作を示すフローチャートである。
【図24】記録再生装置の光ディスクのロードから光ディスクへのデータの記録、更に、光ディスクの印刷面への印刷に亘る一連の動作の更なる具体例を示すフローチャートである。
【図25】ライン型印刷ヘッドに用いるディスクトレイの構成を示す平面図であり、(A)は、ディスクトレイが記録再生位置にある状態を示し、(B)は、ディスクトレイがディスク交換位置にある状態を示す。
【図26】ライン型印刷ヘッドに用いるディスクトレイの変形例を示す平面図であり、(A)は、ディスクトレイが記録再生位置にある状態を示し、(B)は、ディスクトレイがディスク交換位置にある状態を示す。
【図27】印刷媒体用保持部が形成されたディスクトレイと印刷部を示す斜視図である。
【図28】印刷媒体用保持部にレーベルが保持された状態を示す斜視図である。
【図29】(A)は、ディスク保持凹部に光ディスクが保持された状態を示す要部断面図であり、(B)は、印刷媒体用保持部にレーベルが保持された状態を示す要部断面図である。
【図30】(A)は、印刷媒体用保持部にレーベルが保持されたときにレーベルが反った状態を示す断面図であり、(B)は、レーベルを支持する支持体がディスク保持凹部に配置された状態を示す断面図である。
【図31】光ディスクとレーベル用印刷媒体の判別する判別部を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0137】
1 記録再生装置、2 装置本体、3 ディスクトレイ、4 トレイ移動機構、5 記録再生部、6 印刷部、10 光ディスク、10a センタ孔、10b 記録再生面、10c 印刷面、12 開口部、13 表示部、14 操作部、15 センサ、21 ディスク保持凹部、22 切欠部、23 ラックギヤ、25 駆動ギヤ、26 駆動モータ、27a,27b 溝部、28a〜28d 貫通孔、30 ディスク回転駆動部、30a スピンドルモータ、31 ベース、32 ディスクテーブル、33 取付部材、34 クランピングプレート、35 光ピックアップ、35a 対物レンズ、35b 光源、35d 光検出器、36 スレッド機構、37 ガイド軸、41 シリアル型印刷ヘッド、42 ヘッド移動機構、43 ガイド軸、44 リードスクリュー、45 駆動モータ、51 ライン型印刷ヘッド、52a,52b 貫通孔、81 クリーニング機構、82 クリーニングヘッド、83 クリーニング駆動部、84 昇降機構、84a ギヤ、85 クリーニング制御部、86 検出部、91 ヘッドキャップ機構、92 ヘッドキャップ、93 キャップ駆動部、101 捨てインク機構、102 インク受け部、103 検出部、111 印刷媒体用保持部、112 レーベル用印刷媒体、112a 印刷面、113 支持体、121 判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
一方の面を記録及び/又は再生面とし他方の面を印刷面としたディスクを回転可能な状態で保持するディスク保持凹部を有し、上記装置本体に配設されるディスクトレイと、
上記ディスクトレイを上記装置本体の一側面に設けられた開口部を介して上記装置本体の内外に亘って移動するトレイ移動手段と、
上記ディスクトレイが上記装置本体に収納された記録及び/又は再生位置にあるとき、上記ディスクトレイに保持されているディスクの記録及び/又は再生面と向き合う側に配設され、このディスクを上記ディスク保持凹部より持ち上げ回転して記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生手段と、
上記装置本体内の上記開口部に沿った位置であって、上記ディスクトレイに保持されているディスクの印刷面と向き合う側に配設され、上記ディスクの印刷面に、可視データを印刷する印刷手段とを備える記録及び/又は再生装置。
【請求項2】
上記印刷手段は、上記ディスクトレイに保持されたディスクの印刷面に印刷するシリアル型印刷ヘッドと、
上記シリアル型印刷ヘッドを上記ディスクトレイの移動方向に対して略直交する方向に移動するヘッド移動手段とを有し、
上記シリアル型印刷ヘッドは、上記ヘッド移動手段によって上記ディスクトレイに保持されたディスクの直径に略相当する範囲で移動される請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項3】
上記印刷手段は、上記ディスクトレイに保持されたディスクの直径に略相当する範囲を印刷範囲とした上記装置本体に固定されたライン型印刷ヘッドを有する請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項4】
上記ディスクトレイが上記記録及び/又は再生位置にある状態において、上記印刷手段が上記ディスクトレイのディスク保持凹部に載置されたディスクの印刷面に印刷するときの上記ディスクの印刷面と上記印刷手段との間隔をDHGAPとし、上記記録及び/又は再生手段が上記ディスクを上記ディスク保持凹部より持ち上げているときの上記ディスクの記録及び/又は再生面と上記ディスク保持凹部の底面との間隔DDGAPとしたとき、
HGAP>DDGAP
である請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項5】
上記印刷手段が上記ディスクトレイのディスク保持凹部に載置されたディスクの印刷面に印刷するときの上記ディスクの印刷面と上記印刷手段との間隔をDHGAPとし、上記記録及び/又は再生手段が上記ディスクを上記ディスク保持凹部より持ち上げているときの上記ディスクの記録及び/又は再生面と上記ディスク保持凹部の底面との間隔DDDGAPとしたとき、
HGAP≦DDGAP
であり、
上記ディスクトレイが上記装置本体の記録及び/又は再生位置にあるとき、上記印刷手段は、上記ディスクの外側に位置している請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項6】
上記印刷手段が上記ディスクトレイのディスク保持凹部に載置されたディスクの印刷面に印刷するときの上記ディスクの印刷面と上記印刷手段との間隔をDHGAPとし、上記ディスクの厚みをDDISCとし、上記ディスクトレイのディスク保持凹部の深さをDTRAYとしたとき、
DISC+DHGAP>DTRAY
である請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項7】
上記印刷手段が上記ディスクトレイのディスク保持凹部に載置されたディスクの印刷面に印刷するときの上記ディスクの印刷面と上記印刷手段との間隔をDHGAPとし、上記ディスクの厚みをDDISCとし、上記ディスクトレイのディスク保持凹部の深さをDTRAYとしたとき、
DISC+DHGAP≦DTRAY
であり、
上記ディスクトレイの移動時、上記印刷ヘッドと重なる上記ディスクトレイに、
DISC+DHGAP>DTRAY
となる溝部を形成した請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項8】
上記ディスクトレイは、全体が略矩形をなし、中央部に、上記ディスクと直径を略同じくするディスク保持凹部が形成されてなり、
上記装置本体からの排出端の少なくとも一方のコーナ部に貫通孔が形成されている請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項9】
更に、上記ディスクトレイには、上記装置本体への挿入端の少なくとも一方のコーナ部に貫通孔が形成されている請求項8記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項10】
上記ディスクトレイが上記装置本体の記録及び/又は再生位置にあるとき、上記ディスクトレイの貫通孔の深さ方向の一方の側に上記印刷手段が位置し、他方の側に上記印刷手段をクリーニングするクリーニング手段が設けられている請求項8記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項11】
上記ディスクトレイが上記装置本体の記録及び/又は再生位置にあるとき、上記ディスクトレイの貫通孔の深さ方向の一方の側に上記印刷手段が位置し、他方の側に、捨てインク用のインク受け部が設けられている請求項8記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項12】
上記装置は、更に、上記印刷手段を閉塞するキャップを備え、
上記キャップは、非使用時に上記印刷手段を閉塞する請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項13】
上記ディスクトレイは、上記ディスク保持凹部と連続した外側に、上記印刷手段により印刷できるようにレーベル用印刷媒体を保持する印刷媒体用保持部が形成されている請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項14】
更に、上記ディスク保持用凹部には、上記印刷媒体用保持部に保持されたレーベル用印刷媒体を支持する支持体が着脱可能である請求項13記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項15】
上記印刷媒体用保持部は、上記印刷媒体用保持部に上記レーベル用印刷媒体を保持したときの上記レーベル用印刷媒体の印刷面が上記ディスク保持凹部に保持したときの上記ディスクの印刷面と同じ高さとなるように形成されている請求項1記載の記録及び/又は再生装置。
【請求項16】
更に、上記ディスクと上記レーベル用印刷媒体とを判別する判別手段を備え、
上記判別手段は、光ビームを上記ディスク又は上記レーベル用印刷媒体に出射する光源と、上記ディスク又は上記レーベル用印刷媒体で反射された光ビームを検出する検出器とを有し、上記検出器で検出した光量に基づいて上記ディスクトレイに保持されているものが上記ディスクである上記レーベル用印刷媒体であるかを判別する請求項13記載の記録及び/又は再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−149173(P2007−149173A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339206(P2005−339206)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】