説明

記録媒体および記録装置

【課題】 記録セルのパターンが高度に配列化し、作製が簡単で、高速で読み出し読み出
しが可能な、記録媒体、記録媒体の作製方法、および記録装置を提供する。
【解決手段】 互いに分離して形成された複数の記録セル(11)を含む記録トラック帯
(1)を有し、記録セル(1)はトラック方向に沿ってピッチPで周期的に配列してサブ
トラックを形成し、記録トラック帯(1)は複数列のサブトラック(1a〜1d)を含み
、記録トラック帯(1)内で隣り合うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録セル
は、互いの中心がトラック方向に沿ってピッチPの1/n(ここで2≦n≦5)だけ離れ
ている記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度記録が可能な記録媒体および記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンなど情報機器の飛躍的な機能向上により、ユーザーの扱う情報は著しく増大し
てきている。このような状況の下で、これまでより飛躍的に記録密度の高い情報記録再生
装置に対する期待は高まるばかりである。記録密度を向上させるためには、記録媒体にお
いて記録の書き込み単位である1つの記録セルまたは記録マークの大きさを微小化するこ
とが必要である。しかし、従来の記録媒体において記録セルまたは記録マークの微小化は
大きな困難に直面している。
【0003】
例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体では、記録層に粒度分布の広い多結晶体を
用いている。しかし、結晶の熱揺らぎのために、小さい多結晶体では記録が不安定となる
。このため、記録セルが大きい場合は問題ないが、記録セルが小さいと記録の不安定性や
ノイズの増大が生じる。これは、記録セルに含まれる結晶粒の数が少なくなることと、記
録セル間の相互作用が相対的に大きくなることが要因になっている。
【0004】
相変化材料を用いた光記録媒体においても状況は同様であり、記録マークサイズが相変
化材料の結晶サイズと同程度となる1インチ平方当たり数百ギガビット以上の記録密度で
は、記録が不安定になるとともに媒体ノイズが大きくなる。
【0005】
これらの問題を回避するため、磁気記録の分野においては、あらかじめ記録材料を非記
録材料により分断し、単一の記録材料粒子を単一の記録セルとして記録再生を行うパター
ンドメディアが提案されている(S.Y.Chou et al.,J.Appl.Ph
ys.,76(1994)pp6673;US Patent 5,820,768およ
び5,956,216;R.H.M.New et al.,J.Vac.Sci.Te
chnol.,B12(1994)pp3196;荻野谷他,特開平10−233015
号公報)。
【0006】
しかし、従来は記録材料粒子を孤立させた構造を形成する方法として、リソグラフィー
技術が用いられている。光リソグラフィーは一括露光であるためスループットの面で高密
度化には対応できるものの、加工サイズの面では十分微小な記録セルを加工するのは困難
である。電子線リソグラフィーや集束イオンビームなどは数10nmの微細な加工が可能
であるものの、加工コスト、加工スピードの点から鑑みて実現性は乏しい。
【0007】
特開平10−320772号公報には、基板上に二次元に配列した直径数ナノメートル
から数マイクロメートルの微粒子をマスクとして用い、リソグラフィー技術によって、基
板上に孤立した磁性微粒子が形成された磁気記録媒体を作製する方法が開示されている。
この方法は、安価なパターンドメディアの作製方法といえる。
【0008】
微粒子を基板上に二次元的に配列させる方法としては、長鎖アルキル基で被覆した微粒
子を基板上に塗布し、乾燥時の微粒子間の自己凝集を利用して大面積に比較的均一な単粒
子層を形成する方法が報告されている(S.Hung et al.,Jpn.J.Ap
pl.Phys.,38(1999)pp.L473−L476)。
【0009】
また、ブロックコポリマーが形成する自己組織的な相分離構造を利用して、基板に規則
配列構造を形成する方法が知られている(例えば、M.Park et al.,Sci
ence 276(1997)1401)。ポリスチレン/ポリブタジエンやポリスチレ
ン/ポリイソプレンなどのブロックコポリマーでは、オゾン処理によりポリスチレンブロ
ックのみを残すことができ、これをエッチングマスクとして用いて孔やラインアンドスペ
ースなどの構造を基板上に形成できることが報告されている。
【0010】
基板上に微粒子やブロックコポリマーといった自己組織化粒子を二次元的に配列させる
成膜方法では、ミクロには自己組織化粒子が格子状に配列した構造が得られる。しかし、
マクロには欠陥や粒界が多く存在し、ランダムに向いた格子が形成されるため実用的な記
録再生を行うことができない。
【0011】
また、従来の一様な構造を有する磁気記録媒体では、一定の間隔で信号を書き込んでい
る。このため、書き込みエラーが起きた場合でも、一部の記録セルが欠損するのみで、全
体では同じ時間間隔で読み取ることができる。これに対して、あらかじめ記録セルを作り
込むパターンドメディアでは各記録セルの間隔が一定となるように加工する必要がある。
仮に、自己組織化粒子の規則配列によりパターンドメディアを作製できたとしても、すべ
ての領域で内部に乱れや欠陥のない単一の規則配列が形成される必要がある。しかし、同
じ領域内で異なる2つの場所から規則配列化が起こった場合、各々の自己組織配列の内部
ではそれぞれ規則正しい三角格子が形成されるが、これら2つの自己組織配列は互いの格
子位置に整合性がない。このため、それぞれの自己組織配列同士の隣接地点に格子の不連
続が生じる。格子の不連続な部分では記録セルの読み出し間隔が異なるため、情報の再生
が困難になる。このように、自己組織配列を利用した記録媒体には特有の欠陥として配列
の乱れた領域が生じるため、こうした記録媒体を用いるには読み取りエラーの回避方法を
確立することも必要になる。
【0012】
また、記録密度が向上するとトラック密度も向上し、トラッキング用のサーボマークを
書き込むことも非常に困難になる。高トラック密度を実現する方法の一つとして、トラッ
キング用のサーボパターンを物理的な凹凸パターンとして予めディスクに作り込む方法が
提案されている(特開平6−111502号公報)。この方法では、もともと真円度の高
いトラックが形成されているため、従来のHDDに比較するとトラック密度を向上できる
。しかし、100G〜1Tbpsiの記録密度となると、やはり安価なリソグラフィーで
は描画することが困難である。さらに、自己組織化を利用した記録媒体では、トラックに
自己組織化粒子に特有の規則配列構造が形成される。したがって、従来のトラッキング方
法では自己組織化粒子からなる記録セルにアクセスすることは不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、Tbpsiの記録密度を実現するために、パターンドメディアは有効
な手段であるが、安価でスループットの高いパターンの作製方法が確立されていない。ま
た、材料の自己組織化を用いる方法は、安価でスループットの高いパターン作製方法であ
るが、記録データへのアクセスを可能とするような媒体全面が配列化した構造は得られて
いない。
【0014】
本発明の目的は、記録セルのパターンが高度に配列化し、作製が簡単で、高速で読み出
し読み出しが可能な、記録媒体、記録媒体の製造方法、および記録装置を提供することに
ある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の記録媒体は、互いに分離して形成された複数の記録セルをトラック方向に沿っ
てピッチPで周期的に配列した複数列のサブトラックを含む記録トラック帯と、前記記録
トラック帯を互いに分離する分離領域とを有し、前記記録トラック帯中の前記複数の記録
セルを互いに分離する領域を構成する材料と前記分離領域を構成する材料とはそれぞれ異
なっており、前記記録トラック帯内で隣り合うサブトラック上に位置する最近接の2つの
記録セルは、互いの中心がトラック方向に沿って前記ピッチPの1/2だけ離れている。
【0016】
本発明の記録装置は、書き込みヘッドと、読み出しヘッドと、互いに分離して形成された
複数の記録セルを含む記録トラック帯と、前記記録トラック帯を互いに分離する分離領域
とを有し、前記記録セルはトラック方向に沿ってピッチPで周期的に配列してサブトラッ
クを形成し、前記記録トラック帯は複数列のサブトラックを含み、前記記録トラック帯中
の前記複数の記録セルを互いに分離する領域を構成する材料と前記分離領域を構成する材
料とはそれぞれ異なっており、前記記録トラック帯内で隣り合うサブトラック上に位置す
る最近接の2つの記録セルは、互いの中心がトラック方向に沿って前記ピッチPの1/2
だけ離れている記録媒体とを具備したことを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様にかかる記録装置は、互いに分離して形成された複数の記録セルを含む
記録トラック帯と、前記記録トラック帯を互いに分離する分離領域とを有し、前記記録セ
ルはトラック方向に沿ってピッチPで周期的に配列してサブトラックを形成し、前記記録
トラック帯は複数列のサブトラックを含み、前記記録トラック帯中の前記複数の記録セル
を互いに分離する領域を構成する材料と前記分離領域を構成する材料とはそれぞれ異なっ
ており、前記記録トラック帯内で隣り合うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録
セルは、互いの中心がトラック方向に沿って前記ピッチPの1/2だけ離れている記録媒
体に対して記録・再生を行う記録装置であって、書き込みヘッドと、読み出しヘッドと、
読み出しヘッドから出力される信号に応じて書き込みヘッドへの書き込みタイミング信号
を制御する手段とを具備したことを特徴とする。
【0018】
本発明のさらに他の態様にかかる記録装置は、互いに分離して形成された複数の記録セル
を含む記録トラック帯と、前記記録トラック帯を互いに分離する分離領域とを有し、前記
記録セルはトラック方向に沿ってピッチPで周期的に配列してサブトラックを形成し、前
記記録トラック帯は複数列のサブトラックを含み、前記記録トラック帯中の前記複数の記
録セルを互いに分離する領域を構成する材料と前記分離領域を構成する材料とはそれぞれ
異なっており、前記記録トラック帯内で隣り合うサブトラック上に位置する最近接の2つ
の記録セルは、互いの中心がトラック方向に沿って前記ピッチPの1/2だけ離れている
記録媒体に対して記録・再生を行う記録装置であって、書き込みヘッドと、読み出しヘッ
ドと、トラック方向に沿って規則配列した記録セル間の間隔とヘッドの走行スピードによ
り決定される時間間隔と読み出しヘッドにより出力される信号の時間間隔とを比較し、書
き込みヘッドへの信号を制御する手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、記録セルのパターンが高度に配列化し、作製が簡単で、高速で読み出し読
み出しが可能な、記録媒体、記録媒体の作製方法、および記録装置を提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1に本発明の一実施形態に係る記録媒体の記録層の平面図を示す。図1に示す記録層
には、複数の記録トラック帯1が帯状の分離領域2によって互いに分離されて形成されて
いる。記録媒体全体の形状はディスクでもカードでもよく、特に形状は限定されない。デ
ィスク状の記録媒体では、記録トラック帯1を同心円状またはスパイラル状に形成するこ
とが好ましい。カード状の記録媒体では、記録トラック帯1を直線状に形成することが好
ましい。
【0021】
記録トラック帯1内には規則的に配列した複数の記録セル11が、非記録材料からなる
マトリックス12によって互いに分断されて形成されている。マトリックス12の材料は
記録セル11に書き込まれた情報を破壊しないものであれば特に限定されない。マトリッ
クス12の材料としては、例えばSiO2、Al23などの無機絶縁材料、ポリマーなど
の有機絶縁材料を用いることができるが、これらに限定されない。
【0022】
記録セル11はトラック方向に沿ってピッチPをもって周期的に配列してサブトラック
を形成し、1つの記録トラック帯1内には複数列のサブトラックが含まれる。図1では記
録トラック帯1内に4列のサブトラック1a〜1dが含まれている。記録トラック帯1内
で隣り合うサブトラック例えば1a上と1b上に位置する最近接の2つの記録セル11は
、トラック方向で見て互いの中心間の間隔が1つのサブトラック例えば1a内でのピッチ
Pの1/n(ただし2≦n≦5)だけ離れている。図1では、記録セル11は最も安定な
構造である六方細密充填構造をなして三角格子を形成しているので、隣り合うサブトラッ
ク上に位置する最近接の2つの記録セル11のトラック方向におけるずれはP/2である

【0023】
このような記録媒体は、記録セル11が記録トラック帯1内において規則配列して密に
充填されていればよいので、自己組織化する粒子を用いて安定かつ安価に製造することが
できる。
【0024】
記録セル幅は5〜100nmが好ましく、10〜50nmがさらに好ましい。記録セル
の形状は密に充填できる円形、楕円形、長方形、正方形が好ましく、特に自己組織化によ
り形成しやすい円形が好ましい。記録セルは六方細密充填構造を有することが好ましい。
これは、微粒子の自己組織化では六方細密充填構造が最も安定な構造であり、最も欠陥が
少なくかつ安価に作製することができるためである。
【0025】
記録トラック帯1間の分離領域2は非記録材料からなっていてもよいし、記録セルと同
一の記録材料からなっていてもよい。
【0026】
分離領域が非記録材料からなる場合、読み出しヘッドが複数の記録トラック帯を横切る
度に、周期的に信号がない領域が現れることを利用して記録トラック帯のシークが容易に
なる。
【0027】
分離領域が記録セルと同一の記録材料からなる場合、分離領域からトラッキング信号を
検出することや、分離領域に記録トラック帯のアドレス情報を記録することが可能となる

【0028】
本発明の記録媒体は、記録が書き込まれる領域のすべてに記録セルの規則配列が形成さ
れていてもよいし、アドレス信号領域等があらかじめ形成されデータ領域として記録セル
の規則配列が形成されていてもよい。また、トラッキング用のサーボマーク領域のみに記
録セルの規則配列があらかじめ形成されていてもよい。この場合、記録の書き込み読み出
しがされる領域は、多粒子系の磁性薄膜などの媒体を形成してもよい。最近ではサーボラ
イトに長時間を要するようになってきており、サーボマークをあらかじめ作りこんでおく
方法は非常に有効である。
【0029】
本発明に用いられる記録媒体は特に限定されず、様々な記録原理に基づくものが挙げら
れる。例えば、磁気記録媒体、相変化光記録媒体、強誘電媒体、電荷蓄積媒体、有機色素
もしくは蛍光化合物などを含有する記録媒体がある。これらのうち、磁気記録媒体および
相変化光記録媒体が特に好ましく、さらに高密度化が可能な垂直磁気記録媒体が好ましい

【0030】
磁気記録材料としては、例えばNi−Fe、Fe−Al−Si等の結晶材料、Co−Z
r−Nb等のCo基アモルファス材料、Fe−Ta−N等のFe系微結晶材料、Fe、C
o、Fe−Co、Co−Cr、Co−Ni、Baフェライト、Co酸化物等が好ましい。
【0031】
無機の相変化光記録材料としては、例えばSb−Se、Sb−Te、Ga−Se、Te
−Se−Sb、Te−Ga−Se、Te−Ge−Sn、Te−As−Ge、Cs−Te、
Ge−Sb−Te、Ag−In、In−Sb−Teなどが挙げられる。
【0032】
有機色素としては、電荷記録用色素、相変化記録用色素、ライトワンス型の記録用色素
、フォトクロミック色素、蛍光色素、フォトリフラクティッブ色素などがある。有機色素
媒体で、電荷の有無により記録する場合は、ドナー性またはアクセプタ性の色素分子が用
いられる。一方、結晶−非晶質の相変化により記録する場合は、結晶化速度が大きい色素
分子が用いられる。ライトワンス型色素は光を吸収して非可逆的に変化するか、または光
を吸収して周囲を非可逆的に変化させる材料である。読み出しに蛍光を用いる場合には蛍
光強度の大きいことが好ましい。光により吸収が変化するフォトクロミック化合物も使用
することができる。有機色素の具体例は、例えば特開平11−328725に開示されて
いる。
【0033】
蛍光化合物は、有機蛍光化合物でも無機蛍光化合物でもよい。一般に、無機化合物の蛍
光寿命は有機化合物の蛍光寿命と比べて長いので、高速の読み出しのためには有機化合物
の方が好ましい。
【0034】
フォトクロミック化合物としては例えば、スピロオキサジン類、ジアリールエテン類、
フルギド類、インジゴ類、スピロピラン類、シクロファン類、カルコン類、縮合多環化合
物などがある。
【0035】
本発明の記録媒体の製造方法は、基板上に記録トラック帯に対応する、連続的または断
続的な溝領域または特定の化学成分を含む帯領域を形成する工程と、前記溝領域または帯
領域に、自己組織化分子または微粒子の2次元的な規則配列構造を形成する工程と、前記
規則配列構造に対応する記録セルを形成する工程とを具備したことを特徴とする。
【0036】
凹凸を有する溝構造を用いる場合には、凹凸の段差の部分により自己組織化粒子の結晶
ドメインを断つことにより、溝に沿った規則配列を実現することができる。
【0037】
特定の化学成分をパターニングした帯領域を用いる場合には、自己組織化粒子の化学的
な表面状態と帯領域の化学成分の表面状態を適当に選択することにより、自己組織化粒子
が吸着する部分としない部分を形成することができる。自己組織化粒子が吸着する部分に
おいてのみ規則配列化が起こり、帯構造に沿った規則配列が得られる。また、化学パター
ンにより自己組織化粒子と表面との相互作用を変えることにより、ある相互作用が起こる
化学パターン上でのみ所望の規則配列が得られ、別の化学パターン上では規則配列が得ら
れずランダムな配列などになるようにすることも可能である。帯構造の幅は、自己組織化
粒子が自然に(つまり帯構造が存在しない場合に)形成する規則配列の大きさより十分小
さくする必要がある。このような条件を満たせば、自己組織化粒子は帯構造の幅方向には
規則正しく列が並んだ構造を形成することが可能である。
【0038】
自己組織化粒子の大きさは、径として3〜100nmが好ましく、10〜50nmさら
に好ましい。自己組織化粒子の形状は、上述した記録セルの形状に対応して円形、楕円形
、長方形、正方形が好ましく、特に自己組織化により形成しやすい円形が好ましい。
【0039】
本発明の記録媒体によってTbpsiの記録密度を実現しようとする場合、溝構造また
は帯構造の幅は以下のようにして決定される。例えば、1つの記録トラック帯内に2列の
記録セル列が存在する場合には、溝構造または帯構造の幅はおよそ40nm程度となる。
これは通常の電子線リソグラフィーにより作製可能な大きさである。実際には、1本の記
録トラック帯に2列より多くのサブトラックを形成することができるので、分解能は低い
がより安価でスループットの高いリソグラフィー手段を利用することが可能である。リソ
グラフィーとしては、光リソグラフィー、電子線リソグラフィー、原子間力顕微鏡、走査
型トンネル顕微鏡、近接場光顕微鏡などの走査型プローブを用いる方法、ナノインプリン
トリソグラフィー(P.R.Krauss,et al.,J.Vac.Sci.Tec
hnol.B13(1995),pp.2850)などが利用可能である。
【0040】
自己組織化粒子としては、ブロックコポリマー、またはポリマー、金属、半導体、酸化
物などからなる数nm〜100nm径の微粒子などが利用可能である。
【0041】
ブロックコポリマーを利用する場合には、自己組織化粒子を形成した後、2種類以上の
ブロックのうち1つを選択的に除去できるものを用いる。この場合、ブロックどうしの間
でのRIEまたはその他のエッチングなどに対するエッチングレートの差を利用すること
が好ましい。
【0042】
例えば、ポリスチレンとポリブタジエンからなるブロックコポリマーを用いた場合には
、オゾン処理によりポリスチレンブロックのみを残すように現像処理が可能である。ポリ
スチレンとポリメチルメタクリレートからなるブロックコポリマーでは、ポリスチレンの
方がポリメチルメタクリレートよりCF4をエッチャントとして用いるリアクティブイオ
ンエッチング(RIE)に対するエッチング耐性が高い。このため、RIEによりポリメ
チルメタクリレートおよびその下の記録層のみを選択的に除去することが可能である(K
.Asakawa et al.;APS March Meeting,2000)。
【0043】
このようなブロックコポリマーとしては例えばポリブタジエン−ポリジメチルシロキサ
ン、ポリブタジエン−4−ビニルピリジン、ポリブタジエン−メチルメタクリレート、ポ
リブタジエン−ポリ−t−ブチルメタクリレート、ポリブタジエン−t−ブチルアクリレ
ート、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリ−4−ビニルピリジン、ポリエチレン−ポ
リメチルメタクリレート、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリ−2−ビニルピリジン
、ポリエチレン−ポリ−2−ビニルピリジン、ポリエチレン−ポリ−4−ビニルピリジン
、ポリイソプレンーポリー2−ビニルピリジン、ポリメチルメタクリレート−ポリスチレ
ン、ポリ−t−ブチルメタクリレート−ポリスチレン、ポリメチルアクリレート−ポリス
チレン、ポリブタジエンーポリスチレン、ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン
−ポリ−2−ビニルピリジン、ポリスチレン−ポリ−4−ビニルピリジン、ポリスチレン
−ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン−ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポ
リブタジエン−ポリアクリル酸ナトリウム、ポリブタジエン−ポリエチレンオキシド、ポ
リ−t−ブチルメタクリレート−ポリエチレンオキシド、ポリスチレン−ポリアクリル酸
、ポリスチレン−ポリメタクリル酸等がある。これらはAB型ジブロックポリマーの例で
あるがABA型のトリブロックコポリマーであってもよい。
【0044】
ブロックコポリマーを用いる場合、基板表面においてミセル構造またはシリンダ構造を
形成するような成分比の分子を用いることが好ましい。これにより、互いに分離され規則
配列した円形の記録セルを形成することが可能となる。ブロックコポリマーはトルエンな
どの適当な溶媒に溶解したものをスピンコートなどにより製膜することが可能である。ブ
ロックコポリマーの自己組織的な配列への相分離は、一般的には材料のガラス転移点温度
以上の温度でアニール処理することにより得られる。
【0045】
ポリマーや金属などからなる数十nm径の微粒子を用いる場合には、微粒子を分散させ
た溶液を、帯構造を形成したディスクの上から展開して乾燥し溶媒を除去した後、適当な
溶媒を用いて過剰に吸着した微粒子を取り除くことにより、自己組織的な規則配列を形成
することができる。また、微粒子を分散させた溶液中にディスク基板をある時間浸して微
粒子をディスク基板に吸着させ、規則配列させることも可能である。
【0046】
以上のような方法により自己組織化粒子の規則配列を形成した後、自己組織化粒子をマ
スクとして、あらかじめ形成しておいた下地の記録層をイオンミリングなどにより削り、
所望の規則配列した記録セル列を形成することができる。記録層をより高いアスペクト比
で削るためには、記録層と自己組織化粒子膜との間にSiO2やSiなどの膜を形成し、
RIEなどにより自己組織化粒子の規則配列パターンをSiO2やSiに転写(パターン
トランスファー)した後、記録層を加工することも有効である。SiO2やSiはRIE
により高いアスペクト比で削ることができるため、これをマスクにして加工することによ
り、記録層をより高いアスペクト比でエッチングすることができる。
【0047】
上記のようにして作製した記録セルの規則配列をマトリックス材料で被覆し、表面を研
磨により平坦化することにより、マトリックスに埋め込まれた記録セルを有するパターン
ドメディアを製造することができる。
【0048】
また、自己組織化粒子をマスクにして、マトリックスに規則配列した微細孔アレイを形
成した後、孔を記録材料で埋めることによっても記録セルを形成することができる。この
場合、ディスク基板上にマトリックス材料からなる膜を製膜する。次に、自己組織化粒子
の配列を制御するための溝構造または特定の化学成分をパターニングした帯構造を形成す
るためのレジストを形成する。リソグラフィーによりレジストに溝構造または帯構造を形
成する。自己組織化粒子を製膜した後、アニール処理などにより規則配列化させる。自己
組織化粒子をマスクとしてエッチングを行い、マトリックスに孔を形成する。レジストを
除去した後、孔に記録材料を埋め込む。レジストは記録材料を埋め込んだ後に除去しても
よい。また、レジストを除去せずに残したまま使用してもよい。
【0049】
レジスト材料は、記録層を破壊することがなく、リソグラフィーにより構造形成が可能
であり、自己組織化粒子の製膜、規則配列化処理によりダメージを受けないものであれば
よい。自己組織化粒子としては、ブロックコポリマー、またはポリマー、金属、半導体、
酸化物などからなる数十nm径の微粒子などのほかにも、Alの陽極酸化により形成され
るAl23の微細孔アレイなども利用可能である。
【0050】
ブロックコポリマーを利用する場合には、マトリックス材料に孔を形成するために、ミ
セルまたはシリンダを形成するブロックを選択的に除去できるものを用いる。
【0051】
ポリマーや金属などからなる微粒子を用いる場合には、マトリックス材料に孔を形成す
るために、微粒子からなるパターンのネガパターンをマスクとして利用する。すなわち、
微粒子配列の上に金属などのエッチングマスクとなりうる材料を堆積した後、微粒子を除
去し、微粒子のあった部分のみで下地のマトリックスを露出させてその部分を加工する。
【0052】
Alの陽極酸化により形成されるAl23の微細孔アレイを利用する場合には、以下の
ような方法が可能である。まず、凹部においてマトリックスが露出した膜の帯構造の上に
Alを製膜した後、膜を取り除くことによりAlの帯構造を得る。これを陽極酸化するこ
とにより、帯構造内で規則配列したAl23の微細孔アレイを得ることができ、これをマ
スクにして下地のマトリックスに微細孔アレイを転写する。
【0053】
また、Al23の微細孔アレイを用いる場合には、Alの微細孔アレイ自体をマトリッ
クスとして用いるもできる。この場合、Alを製膜した後、溝構造の凹部においてAlが
露出した膜のパターンを形成する。これを陽極酸化すると、Alが露出した部分において
のみ反応が進み、帯構造に沿って配列したAl23微細孔アレイが得られる。
【0054】
また、Alの陽極酸化においては、あらかじめ陽極酸化される表面に微小な孔を付けて
おくことにより、位置制御された微細孔アレイを形成できる。Al膜上に溝構造を形成し
、ブロックコポリマーなどのマスクを用いたエッチングにより規則配列した微小な孔をA
l表面に形成し、自己組織化膜を取り除いた後にAlを陽極酸化することにより、規則配
列したAl23微細孔アレイを作製することもできる。
【0055】
以上のようにしてマトリックスに形成した微細孔の規則配列の上に記録材料を製膜した
後、研磨することにより分断された記録セルを得ることができる。
【0056】
さらに、自己組織化粒子を用いた方法により、凹凸の形状を持つスタンプ原盤を作製し
、このスタンプ原盤を利用して、ナノインプリントリソグラフィーによりディスク基板に
パターンを転写する方法を用いてもよい。
【0057】
まず、基板上に自己組織化粒子の配列を制御するための溝構造または特定の化学成分を
パターニングした帯構造を形成するためのレジストを製膜する。リソグラフィーによりレ
ジストに溝構造または帯構造を作りこむ。自己組織化粒子を製膜した後、アニール処理な
どにより規則配列化させる。自己組織化粒子をマスクにしてエッチングを行い、スタンプ
原盤とする。一方、記録層またはマトリックス膜を製膜した基板上に、マスクとなるレジ
スト膜を形成する。加熱しながらスタンプ原盤を押し付けることにより、レジストにスタ
ンプ原盤のパターンを転写する。次いで、エッチングにより記録セルアレイまたはマトリ
ックス中の微細孔アレイを形成する工程を経て記録媒体を得る。
【0058】
記録材料からなる微粒子を直接、帯構造により配列化させて記録セルとして用いる製造
方法を用いることもできる。記録材料からなる微粒子を分散させた溶液を、帯構造を形成
した基板の上から展開し乾燥し溶媒を取り除いた後、適当な溶媒により過剰に吸着した微
粒子を取り除くことにより、自己組織的な規則配列を形成することができる。また、微粒
子を分散させた溶液中に基板をある時間浸すことにより微粒子を基板に吸着させ、規則配
列を形成させることも可能である。このようにして記録セルを形成した後、微粒子が基板
から剥離しないように、バインダーまたは保護膜となる材料で被覆することにより記録媒
体を作製することができる。
【0059】
上記のような方法では、アニール処理などの再配列化処理により、帯構造に沿って大面
積で自己組織化粒子を規則配列させることが可能である。このような再配列化が困難な場
合には、帯の長手方向にも凹凸構造または化学的なパターンを断続的に形成し、小面積の
帯構造内で完全に方向が揃って配列した規則配列構造を得ることも可能である。つまり、
ある長さの帯構造内で粒界のない完全に単一の自己組織化粒子の2次元結晶構造を形成す
ることが可能である。
【0060】
本発明の一実施形態に係る記録装置は、書き込みヘッドと、読み出しヘッドと、互いに
分離して形成された複数の記録セルを含む記録トラック帯を有し、前記記録セルはトラッ
ク方向に沿ってピッチPで周期的に配列してサブトラックを形成し、前記記録トラック帯
は複数列のサブトラックを含み、前記記録トラック帯内で隣り合うサブトラック上に位置
する最近接の2つの記録セルは、互いの中心がトラック方向に沿って前記ピッチPの1/
n(ここで2≦n≦5)だけ離れている記録媒体とを有する。
【0061】
この記録装置では、隣り合うサブトラック上の記録セルのずれを利用して、記録セルか
らの検出信号自体をトラッキング信号として用いることができるため、トラッキングサン
プリング周波数を高くすることができる。このため、トラッキング方向の記録セル幅が1
00nm以下になっても読み出しヘッドによるトラッキングが可能となる。また、エラー
レートを低くすることができるため、実際のデータ領域を広くすることができる。
【0062】
自己組織化による規則配列は、細密充填された構造となるので、多くの場合に三角格子
状の規則配列を形成する。このようにトラック方向に三角格子状の規則配列が形成される
と、隣り合う2つのサブトラック上の記録セルは、中心どうしの間隔がトラック方向に沿
ってサブトラック内のピッチPの1/2のピッチでずれる。したがって、2つのサブトラ
ックの両方をカバーする大きさの読み出しヘッドを用いても、それぞれのサブトラックか
らの再生信号が交互に検出され、それぞれを識別できる。このことは、実効的なトラック
密度を2倍にすることができることを意味するため、高トラック密度化に対して有効であ
る。
【0063】
本発明の他の実施形態に係る記録装置は、互いに分離して形成された複数の記録セルを
含む記録トラック帯を有し、前記記録セルはトラック方向に沿ってピッチPで周期的に配
列してサブトラックを形成し、前記記録トラック帯は複数列のサブトラックを含み、前記
記録トラック帯内で隣り合うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録セルは、互い
の中心がトラック方向に沿って前記ピッチPの1/n(ここで2≦n≦5)だけ離れてい
る記録媒体に対して記録・再生を行う記録装置であって、書き込みヘッドと、読み出しヘ
ッドと、読み出しヘッドから出力される信号に応じて書き込みヘッドへの書き込みタイミ
ング信号を制御する手段とを有する。
【0064】
この記録装置では、記録セルがないところに書き込みヘッドが書き込みを行うことを防
ぐことができる。
【0065】
本発明のさらに他の実施形態に係る記録装置は、互いに分離して形成された複数の記録
セルを含む記録トラック帯を有し、前記記録セルはトラック方向に沿ってピッチPで周期
的に配列してサブトラックを形成し、前記記録トラック帯は複数列のサブトラックを含み
、前記記録トラック帯内で隣り合うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録セルは
、互いの中心がトラック方向に沿って前記ピッチPの1/n(ここで2≦n≦5)だけ離
れている記録媒体に対して記録・再生を行う記録装置であって、書き込みヘッドと、読み
出しヘッドと、トラック方向に沿って規則配列した記録セル間の間隔とヘッドの走行スピ
ードにより決定される時間間隔と読み出しヘッドにより出力される信号の時間間隔とを比
較し、書き込みヘッドへの信号を制御する手段とを有する。
【0066】
この記録装置では、自己組織化による規則配列に欠陥領域が存在し、記録トラック帯内
のサブトラックに断裂が存在する場合でも、その欠陥領域を回避して書き込むことができ
る。
【0067】
すなわち、この記録装置では、記録セルが規則配列している領域では、記録セルの格子
間隔とヘッドの走行スピード(読み出しヘッドと記録媒体との相対速度)により決定され
る時間間隔Tで記録情報が読み出される。しかし、記録セルの欠陥領域では、読み出しヘ
ッドから読み出される信号の時間間隔が乱れるので、その場合には一時的にヘッドから読
み出される信号を情報として処理しない。再び時間間隔Tで信号が生じ始めたら、その時
点で読み出される信号を情報として処理再開し、書き込みも再開する。
【0068】
読み出しヘッドにより出力される信号の時間間隔の乱れに基づいて、読み出しヘッドが
欠陥領域を走行していることを判定するために基準は任意に設定できる。例えば、2回ま
たは3回以上不当な時間間隔で信号が検出されて読み取りエラーが起きた場合に欠陥領域
を走行していると判定する。また、基準となる時間間隔Tよりも30%以上短い時間間隔
で読み出しヘッドから信号が生じる場合や、時間間隔Tよりも30%以上長い時間経過し
ても信号が生じない場合を判定基準としてもよい。この場合、これらの現象が一度起きた
場合を判定基準としてもよいし、2Tまたは3T時間の間に信号が複数回乱れた場合を判
定基準としてもよい。
【0069】
読み出しヘッドが再び規則配列領域を走行しはじめたことを判定するために基準も任意
に設定できる。例えばある信号が帰ってきた瞬間から時間間隔Tの±30%以内の間隔で
信号が生じた場合に規則配列領域を走行していると判定する。この場合、この現象が一度
起きた場合を判定基準としてもよいし、2Tまたは3T時間の間に時間間隔Tで信号が得
られた場合を判定基準としてもよい。
【0070】
情報を書き込む場合には、書き込み前に欠陥領域を認識して、その欠陥領域を回避し、
その後の規則配列領域から書き込みを再開する。したがって、ある記録セルに情報を書き
込みヘッドが書き込む前に、読み出しヘッドが記録セルの位置を把握しておくことが必要
である。このためには、書き込みヘッドのトラック方向前方に記録読み出しヘッドを設け
てもよいし、読み書き兼用ヘッドの場合には同じトラック位置で記録媒体に複数回アクセ
スして記録セル位置を読み取った後に書き込みを行うようにしてもよい。
【0071】
以上の記録装置では、記録セルの形状と書き込みヘッドの形状をほぼ相似形にしてもよ
い。これらを相似形にすると記録セル間のクロス書き込みを防止できるとともに、書き込
みを効率よく行うことができる。記録セルの形状は円形が好ましいため、書き込みヘッド
も同様の大きさの円形が好ましいが、記録セルの円に含まれるような角が丸くなった正方
形や、面取りしていない正方形でもよい。
【0072】
本発明の他の実施形態に係る記録装置は、読み出しヘッドとは別に、トラッキング用の
読み出しヘッドを設けてもよい。トラッキング用の読み出しヘッドは、読み出している領
域以外からの検出信号をトラッキング信号として用い、読み出しヘッドや書き込みヘッド
のトラッキングを行うもので、より精密にかつ高速なトラッキングを実現できる。
【0073】
磁気記録装置の場合には、読み出しヘッドはGMRなどの磁気センサー、書き込みヘッ
ドは磁気ヘッドなどである。相変化光記録装置の場合には、読み出しヘッドは反射率の違
いを検出する光センサーであり、書き込みヘッドは光ヘッドや電子線ヘッドなどの熱源ヘ
ッドである。
【0074】
また、光(熱)アシスト磁気記録装置の場合には、書き込み用の磁気ヘッドの補助とし
て、電子線または近接場光を照射する手段が用いられる。電子線または近接場光は、照射
スポットを特に小さくできるため、高密度記録にとって特に有用である。
【0075】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例
に限定されるものではない。
【実施例1】
【0076】
本実施例では、基板上に形成した溝領域においてブロックコポリマーを規則配列化させ
ることにより記録トラック帯を形成した。図2(A)〜(D)を参照して本実施例に係る
磁気記録媒体の製造方法を説明する。
【0077】
図2(A)に示すように、以下のようにして基板上に溝構造を形成した。直径2.5イ
ンチのガラスディスク基板21上に、厚さ約30nmのPd下地層と厚さ約50nmの垂
直磁気記録材料CoCrPtを製膜して磁性層22を形成し、さらに磁性層22上に厚さ
約50nmのSiO2膜23を製膜した。SiO2膜23上にレジスト24をスピンコート
した。光リソグラフィーによりレジスト24を加工し、幅約200nmの凸部によって幅
約200nmのスパイラル形状の溝25を規定するようにレジストパターンを形成した。
このレジストパターンをマスクとして、RIEにより磁性層22に達するまでSiO2
23をエッチングしてSiO2膜23に溝25を転写した。このようにして形成された溝
領域が記録トラック帯となる。また、レジストパターン下部の磁性層が分離領域として用
いられる。
【0078】
図2(B)に示すように、以下のようにして溝領域内にブロックコポリマーを埋め込ん
で微粒子の規則配列構造を形成した。磁性層22の表面をヘキサメチルジシラザンにより
疎水化処理した。その後、レジストパターンの残渣をアッシングした。ポリスチレン−ポ
リブタジエンのブロックコポリマー(PSの分子量Mw=10000、PBの分子量Mw
=40000)をトルエンに1%w/wの濃度で溶解した溶液を調製した。試料上に溶液
をスピンコートしてSiO2膜23に転写された溝領域内にブロックコポリマー26を埋
め込んだ。試料を真空中において150℃で30時間アニールして、ブロックコポリマー
26を規則配列化させた。この結果、島状のポリスチレン粒子27が海状のポリブタジエ
ン部分28によって囲まれた構造が形成される。
【0079】
図2(C)に示すように、以下のようにして規則配列した微粒子をマスクとして記録セ
ルを形成した。ブロックコポリマー26をオゾン処理してポリブタジエン部分28を除去
した後、水洗した。残ったポリスチレン粒子27をマスクとしてArイオンミリングによ
り磁性層22をエッチングして記録セル29を形成した。
【0080】
図2(D)に示すように、以下のようにして記録セル間のマトリックスを形成し、表面
を平坦化した。ポリスチレン粒子の残渣をアッシングした。全面に厚さ約50nmのSi
2膜を製膜して記録セル29間に埋め込んでマトリックス30を形成した。SiO2膜の
表面をケミカルメカニカルポリッシング(CMP)により研磨して平坦化した。その後、
全面にダイアモンドライクカーボンを製膜して保護膜31を形成した。
【0081】
図3に、製造した磁気記録媒体を磁気力顕微鏡により観察した結果を模式的に示す。図
3に示すように、幅約200μmの記録トラック帯1と幅約200nmの磁性層からなる
分離領域2とが交互に形成されている。1つの記録トラック帯1内で記録セル29はマト
リックス30によって互いに分離され、六方細密充填構造をなして三角格子を形成してい
る。記録セル29は30nm径でトラック方向に沿ってピッチPをもって周期的に形成さ
れてサブトラックを形成しており、記録トラック帯1内には6列のサブトラック1a〜1
fが含まれている。上記のように記録セル29は三角格子を形成しているため、記録トラ
ック帯1内で隣り合うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録セル29はトラック
方向に沿う中心間の間隔がサブトラック内のピッチPの1/2だけずれている。
【実施例2】
【0082】
本実施例では、基板上に形成した特定の化学物質を含む帯領域においてブロックコポリ
マーを規則配列化させることにより記録トラック帯を形成した。
【0083】
実施例1と同様に基板上に磁性層を製膜し、その上に厚さ約10nmのSiO2膜を製
膜し、さらにその上にレジストを形成した。実施例1と同様に、光リソグラフィーにより
レジストを加工し、幅約200nmの凸部によって幅約200nmのスパイラル形状の溝
を規定するようにレジストパターンを形成した。露出したSiO2膜の表面をオクタデシ
ルトリメトキシシランにより疎水化処理した後、レジストパターンを除去した。この結果
、SiO2膜表面には、疎水化処理されていない親水性の帯領域(分離領域)と、疎水化
処理によりアルキル鎖で修飾された疎水性の帯領域(記録トラック帯)とが形成される。
実施例1と同様に、ポリスチレン−ポリブタジエンのブロックコポリマーの溶液をスピン
コートして、疎水性の帯領域上に選択的にブロックコポリマーを吸着させた。ブロックコ
ポリマーをアニールして規則配列化させた。この結果、島状のポリスチレン粒子が海状の
ポリブタジエン部分によって囲まれた構造が形成される。
【0084】
ブロックコポリマーをオゾン処理してポリブタジエン部分を除去した後、水洗した。残
ったポリスチレン粒子をマスクとしてリアクティブイオンエッチングによりSiO2膜を
エッチングしてポリスチレン粒子のパターンを転写した。残ったSiO2膜のパターンを
マスクとしてArイオンミリングにより磁性層をエッチングして記録セルを形成した。
【0085】
実施例1と同様に、全面にSiO2膜を製膜して記録セル間に埋め込んでマトリックス
を形成した。SiO2膜の表面をケミカルメカニカルポリッシング(CMP)により研磨
して平坦化した。その後、全面にダイアモンドライクカーボンを製膜して保護膜を形成し
た。
【0086】
製造した磁気記録媒体を磁気力顕微鏡により観察した。幅約200μmの記録トラック
帯と幅約200nmのSiO2膜からなる分離領域とが交互に形成され、1つの記録トラ
ック帯内で記録セルが六方細密充填して三角格子を形成している。記録セルは30μm径
でトラック方向に沿って所定のピッチPで周期的に形成されてサブトラックを形成してお
り、記録トラック帯内には6列のサブトラックが含まれている。記録トラック帯内で隣り
合うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録セルはトラック方向に沿う中心間の間
隔がサブトラック内のピッチPの1/2だけずれている。
【実施例3】
【0087】
ガラス基板上にノボラック樹脂をベース樹脂とするレジストをスピンコートした。光リ
ソグラフィーにより露光およびTMAH水溶液による現像を行ってレジストを加工し、1
50℃でベークして樹脂を硬化させることにより、幅約200nm、高さ約40nmの凸
部によって幅約200nmのスパイラル形状の溝を規定するようにレジストパターンを形
成した。
【0088】
ポリスチレン−ポリメチルメタクリレートのブロックコポリマー(PSの分子量Mw=
65000、PMMAの分子量Mw=13500、Mw/Mn=1.04)をエチルセロ
ソルブアセテートに2重量部だけ溶解させた溶液を調製した。試料上に溶液をスピンコー
トしてレジストパターン間の溝領域にブロックコポリマーを埋め込んだ。試料をアニール
して、ブロックコポリマーを規則配列化させた。この結果、島状のPMMA粒子が海状の
PS部分によって囲まれた構造が形成される。この試料に対して、CF4ガスを用い、出
力100W、30sccm、0.1torrで25秒間リアクティブイオンエッチング(
RIE)を行った。この条件では、PMMAが選択的にエッチングされ、さらに残存した
PSのパターンをマスクとして露出したガラス基板がエッチングされる。この試料に対し
て、O2ガスを用い、出力100W、30sccm、0.1torrでアッシングを行い
、PSマスクを除去した。この結果、ガラス基板上の幅約200nmの帯領域内に直径1
7nmの孔が細密充填構造で配列したパターンが形成されているのが確認できた。
【0089】
上記の予備実験に基づいて、上記と同様にCF4ガスを用いたRIEにより、PMMA
を選択的にエッチングし、さらに残存したPSのパターンをマスクとして露出したガラス
基板をエッチングした後、スパッタリングによりCoCrPtを製膜した。その後、O2
ガスを用いてアッシングを行い、PSマスクを除去した。
【0090】
製造した磁気記録媒体を磁気力顕微鏡により観察したところ、ガラス基板上の幅約20
0nmの帯領域内に直径17nmの孔が細密充填構造で配列したパターンが形成されてい
るのが確認できた。
【実施例4】
【0091】
本実施例では、基板上に形成した溝領域において金属微粒子を規則配列化させることに
より記録トラック帯を形成した。
【0092】
ガラス基板上に、磁性層、厚さ約20nmのSiO2膜、および電子線レジストを形成
した。電子線リソグラフィーによりレジストを加工し、幅約150nmの凸部によって、
幅約100nmのスパイラル形状の溝を規定するようにレジストパターンを形成した。こ
の試料を、粒径40nmの金微粒子を含む金コロイド水溶液に浸した後、純水でリンスし
た。この結果、レジストパターン間の溝内で金微粒子が規則配列する。金微粒子をマスク
として、RIEによりSiO2膜を磁性層に達するまでエッチングし、さらにArイオン
ミリングにより磁性層をエッチングした。SiO2膜を除去した後、電子顕微鏡により観
察した。その結果、幅約100nmの記録トラック帯内で直径40nmの記録セルが細密
充填構造
をなし、2列のサブトラックを形成しているのが確認できた。
【実施例5】
【0093】
本実施例では、基板上に形成した溝領域においてブロックコポリマーを規則配列化させ
て孔を有するマトリックスを形成し、孔に磁気記録材料を埋め込むことにより記録トラッ
ク帯を形成した。図4(A)〜(D)を参照して本実施例に係る磁気記録媒体の製造方法
を説明する。
【0094】
図4(A)に示すように、以下のようにして基板上に溝構造を形成した。直径2.5イ
ンチのガラスディスク基板上41に、厚さ約30nmのPd下地層、マトリックスおよび
分離領域となる厚さ約50nmのAl23膜42、および厚さ約50nmのSiO2膜4
3を製膜した。SiO2膜43上にレジストをスピンコートした後、光リソグラフィーに
よりレジストを加工し、幅約200nmの凸部によって幅約200nmのスパイラル形状
の溝を規定するようにレジストパターンを形成した。このレジストパターンをマスクとし
てSiO2膜43をエッチングし、溝44を転写した。
【0095】
図4(B)に示すように、以下のようにして溝領域内にブロックコポリマーを埋め込ん
で微粒子の規則配列構造を形成した。ポリスチレン−ポリメチルメタクリレートのブロッ
クコポリマー(PSの分子量Mw=80000、PMMAの分子量Mw=20000)を
トルエンに1%w/wの濃度で溶解した溶液を調製した。試料上に溶液をスピンコートし
てSiO2膜43に転写された溝領域内にブロックコポリマー45を埋め込んだ。試料を
真空中において150℃で30時間アニールして、ブロックコポリマー45を規則配列化
させた。この結果、島状のポリメチルメタクリレート粒子46が海状のポリスチレン部分
47によって囲まれた構造が形成される。
【0096】
図4(C)に示すように、以下のようにして記録セルのための孔構造を形成した。ブロ
ックコポリマー45を紫外線で処理してポリメチルメタクリレート鎖を分解した後、水洗
し除去した。次に、斜め蒸着によりCr層48を形成した。Cr層をマスクとしてRIE
によりAl23膜42に達する孔を形成し、さらにArイオンミリングによりAl23
42に孔49を転写し、Al23膜42からなるマトリックスを形成した。
【0097】
図4(D)に示すように、以下のようにして記録セルを形成し、表面を平坦化した。厚
さ約50nmの垂直磁気記録材料CoCrPtを製膜して孔49に埋め込み、記録セル5
0を形成した。表面をCMPにより研磨して平坦化した。その後、全面にダイアモンドラ
イクカーボンを製膜して保護膜51を形成した。
【0098】
図5に、製造した磁気記録媒体を磁気力顕微鏡により観察した結果を模式的に示す。図
5に示すように、幅約200nmの記録トラック帯1と幅約200nmのAl23膜42
からなる分離領域2とが交互に形成されている。1つの記録トラック帯1内で記録セル5
0は六方細密充填構造をなして三角格子を形成している。記録セル50は30nm径でト
ラック方向に沿ってピッチPをもって周期的に形成されてサブトラックを形成しており、
記録トラック帯1内には6列のサブトラック1a〜1fが含まれている。記録トラック帯
1内で隣り合うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録セル50はトラック方向に
沿う中心間の間隔がサブトラック内のピッチPの1/2だけずれている。
【実施例6】
【0099】
本実施例では、実施例5と同様の方法を用い、さらにトラック方向に沿って記録トラッ
ク帯を所定の長さで分離して断続的な記録トラック帯を形成した。
【0100】
実施例5と同様に、ガラスディスク基板上に、厚さ約50nmのAl23膜、および厚
さ約50nmのSiO2膜を製膜した。SiO2膜上にレジストをスピンコートした後、光
リソグラフィーによりレジストを加工し、幅約200nmの凸部によって幅約140nm
のスパイラル形状の溝を規定するとともに、幅約100nmの凸部によって溝内部を長さ
100μmごとに分離するようにレジストパターンを形成した。このレジストパターンを
マスクとしてSiO2膜をエッチングし、溝を転写した。
【0101】
実施例5と同様に、SiO2膜の溝領域内にPS−PMMAブロックコポリマーを埋め
込み、アニールして規則配列化させ、RIEによりAl23膜に達する孔を形成した。さ
らにArイオンミリングによりAl23膜に孔を転写し、Al23膜からなるマトリック
スを形成した。
【0102】
電子顕微鏡により観察した結果、長さ100μm、幅約140nmの断続的な記録トラ
ック帯内で、孔が完全に配列化して4列のサブトラックが形成されていた。このように完
全に配列化した記録セルはディスク全面において形成されていることが確認された。その
後、磁気記録材料の製膜、平坦化、保護膜の形成を行い、磁気記録媒体を製造した。
【実施例7】
【0103】
本実施例では、基板上に形成した溝領域においてブロックコポリマーを規則配列化させ
、かつAlの陽極酸化を利用して孔を有するマトリックスを形成し、孔に磁気記録材料を
埋め込むことにより記録トラック帯を形成した。
【0104】
ガラスディスク基板上に、厚さ約50nmのAl膜を50nm、および厚さ約50nm
のSiO2膜を製膜した。SiO2膜上にレジストをスピンコートした後、光リソグラフィ
ーによりレジストを加工し、幅約300nmの凸部によって幅約200nmのスパイラル
形状の溝を規定するようにレジストパターンを形成した。このレジストパターンをマスク
としてSiO2膜をエッチングし、溝を転写した。
【0105】
SiO2膜の溝領域内にPS−PMMAブロックコポリマー(PSの分子量Mw=12
0000、PMMAの分子量Mw=30000)を埋め込み、アニールして規則配列化さ
せた。そのまま直接Arイオンミリングを行い、ブロックコポリマーに孔を設け、さらに
Al膜の表面をわずかにエッチングして陽極酸化の開始点となる凹部を形成した。アセト
ンにより残ったブロックコポリマーを取り除いた。その後、硫酸浴中25Vで陽極酸化を
行い、Al23からなるマトリックスを形成した。電子顕微鏡により観察した結果、幅約
200nmの記録トラック帯内で、直径30nmの孔が配列化して4列のサブトラックが
形成されていた。その後、磁気記録材料の製膜、平坦化、保護膜の形成を行い、磁気記録
媒体を製造した。
【実施例8】
【0106】
本実施例では、マスターディスクを作製し、ナノインプリンティングにより記録媒体を
製造した。図6(A)〜(C)を参照してマスターディスクの作製方法を説明する。図7
(A)〜(D)を参照して本実施例に係る磁気記録媒体の製造方法を説明する。
【0107】
図6(A)に示すように、以下のようにして基板上に溝構造を形成した。シリコンディ
スク基板61上に厚さ約50nmのTi膜62および厚さ約50nmのSiO2膜63を
製膜した。SiO2膜63をパターニングして、幅約200nmの凸部によって幅約20
0nmのスパイラル形状の溝64を規定した。
【0108】
図6(B)に示すように、以下のようにして溝領域内にブロックコポリマーを埋め込ん
で微粒子の規則配列構造を形成した。SiO2膜63の溝領域内にPS−PBブロックコ
ポリマー65(PSの分子量Mw=30000、PBの分子量Mw=120000)を埋
め込んだ。試料をアニールして、ブロックコポリマー65を規則配列化させた。この結果
、島状のポリスチレン粒子66が海状のポリブタジエン部分67によって囲まれた構造が
形成される。
【0109】
図6(C)に示すように、以下のようにして規則配列した微粒子をマスクとして記録セ
ルを形成した。ブロックコポリマー65をオゾン処理してポリブタジエン部分67を除去
した後、水洗した。残ったポリスチレン粒子66をマスクとしてArイオンミリングによ
りTi層62をエッチングした。さらに、フッ酸によりSiO2膜63を除去した。この
ようにして作製したマスターディスクを電子顕微鏡で観察したところ、溝領域内で直径3
0nmのTiピラー68が規則配列して6列になっているのが確認できた。
【0110】
図7(A)に示すように、ガラスディスク基板71上にレジスト72をスピンコートし
た。このガラスディスク基板71に対してマスターディスク61を200℃で加熱しなが
ら圧着した。原子間力顕微鏡により観察したところ、図7(B)に示すように、レジスト
72中に直径30nmの孔が規則配列して6列になっているのが確認できた。図7(C)
に示すように、Arイオンミリングによりガラスディスク基板71エッチングして孔73
を形成した。図7(D)に示すように、垂直磁気記録材料CoCrPtを製膜して孔73
に埋め込むことにより記録セル74を形成し、CMPで表面を平坦化した後、全面にダイ
アモンドライクカーボンを製膜して保護膜75を形成した。
【0111】
磁気力顕微鏡により観察したところ、1つの記録トラック帯内で直径30nmの記録セ
ル74が規則配列して6列のサブトラックを形成していることが確認できた。
【実施例9】
【0112】
本実施例では、磁性体の微粒子を直接的に規則配列させて記録セルを形成した。図8(
A)〜(C)を参照して本実施例に係る磁気記録媒体の製造方法を説明する。
【0113】
公知の方法(S.Sun et al.,Science,287(2000)pp.
1989)に従って、予め粒径10nmのCoPt微粒子コロイドを作製しておいた。
【0114】
図8(A)に示すように、ガラスディスク基板81を電子線リソグラフィーにより加工
して、幅約150nm、高さ約10nmの凸部によって幅約110nmのスパイラル形状
の溝82を規定した。
【0115】
図8(B)に示すように、ガラスディスク基板81の全面にCoPt微粒子コロイドを
均一に展開し溶媒を気化した後に純水でリンスして、CoPt微粒子からなる記録セル8
3を形成した。
【0116】
図8(C)に示すように、全面にSiO2膜をスパッタしてマトリックス84を形成し
、表面をCMPで平坦化した後、ダイアモンドライクカーボンを製膜して保護膜85を形
成した。
【0117】
磁気力顕微鏡により観察したところ、1つの記録トラック帯内で直径10nmの記録セ
ル83が規則配列して六方細密充填しており、10列のサブトラックを形成していること
が確認できた。
【実施例10】
【0118】
図9(A)〜(D)を参照して本実施例に係る磁気記録媒体の製造方法を説明する。
【0119】
図9(A)に示すように、以下のようにして基板上に溝構造を形成した。直径2.5イ
ンチのガラスディスク基板上91に、厚さ約30nmのPd下地層と厚さ約50nmの垂
直磁気記録材料CoCrPtを製膜して磁性層92を形成し、さらに磁性層92上に厚さ
約50nmのSiO2膜93を製膜した。SiO2膜93上にレジスト94をスピンコート
した。ナノインプリンティングリソグラフィーによりレジスト94を加工し、幅約20n
mの凸部によって幅約40nmのスパイラル形状の溝95を規定するようにレジストパタ
ーンを形成した。このレジストパターンをマスクとして、RIEにより磁性層92に達す
るまでSiO2膜93をエッチングして溝95を転写した。
【0120】
図9(B)に示すように、以下のようにして溝領域内にブロックコポリマーを埋め込ん
で微粒子の規則配列構造を形成した。磁性層92の表面をヘキサメチルジシラザンにより
疎水化処理した。その後、レジストパターンの残渣をアッシングした。PS−PBブロッ
クコポリマー(PSの分子量Mw=5000、PBの分子量Mw=20000)をトルエ
ンに1%w/wの濃度で溶解した溶液を調製した。試料上に溶液をスピンコートしてSi
2膜93に転写された溝領域内にブロックコポリマー96を埋め込んだ。試料を真空中
において50℃で30時間アニールして、ブロックコポリマー96を規則配列化させた。
この結果、島状のポリスチレン粒子97が海状のポリブタジエン部分98によって囲まれ
た構造が形成される。
【0121】
図9(C)に示すように、以下のようにして規則配列した微粒子をマスクとして記録セ
ルを形成した。ブロックコポリマー96をオゾン処理してポリブタジエン部分98を除去
した後、水洗した。残ったポリスチレン粒子97をマスクとしてArイオンミリングによ
り磁性層92をエッチングして記録セル99を形成した。
【0122】
図9(D)に示すように、以下のようにして記録セル間のマトリックスを形成し、表面
を平坦化した。ポリスチレン粒子の残渣をアッシングした。全面に厚さ約50nmのSi
2膜を製膜して記録セル99間に埋め込んでマトリックス100を形成した。SiO2
の表面をケミカルメカニカルポリッシング(CMP)により研磨して平坦化した。その後
、全面にダイアモンドライクカーボンを製膜して保護膜101を形成した。
【0123】
図10に、製造した磁気記録媒体を磁気力顕微鏡により観察した結果を模式的に示す。
図10に示すように、幅約40nmの記録トラック帯1と幅約20nmの磁性層からなる
分離領域2とが交互に形成されている。1つの記録トラック帯1内で記録セル99はマト
リックス100によって互いに分離され、六方細密充填構造をなして三角格子を形成して
いる。記録セル99はトラック方向に沿ってピッチPをもって周期的に形成されてサブト
ラックを形成しており、記録トラック帯1内には2列のサブトラック1a、1bが含まれ
ている。上記のように記録セル99は三角格子を形成しているため、記録トラック帯1内
で隣り合うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録セル99はトラック方向に沿う
中心間の間隔がサブトラック内のピッチPの1/2だけずれている。
【実施例11】
【0124】
図11〜図14を参照して本実施例に係る磁気記録装置を説明する。
図11は磁気ディスク装置の内部構造を示す斜視図である。磁気ディスク201はスピ
ンドルモーター202に装着され、図示しない制御部からの制御信号により回転する。軸
211にはアクチュエータアーム212が保持され、アクチュエータアーム212はサス
ペンション213およびその先端のヘッドスライダ220を支持している。磁気ディスク
201が回転すると、ヘッドスライダ220の媒体対向面は磁気ディスク201の表面か
ら所定量浮上した状態で保持され、情報の記録再生を行う。アクチュエータアーム212
の基端にはボイスコイルモーター215が設けられ、アクチュエータアーム212はボイ
スコイルモーター215により回動できるようになっている。
【0125】
図12は磁気ディスクおよびヘッドスライダを示す断面図である。磁気ディスク201
は実施例1で作製したものであり、ガラス基板21上に記録セル28が規則配列した記録
トラック帯を有する記録層および保護層30が形成されている。分離領域を形成している
磁性層には各記録トラック帯のアドレス番号およびセクター番号に相当する情報が予め書
き込まれている。
【0126】
ヘッドスライダ220の先端には、読み出しヘッド221と書き込みヘッド222が搭
載されている。ヘッドスライダ220は2段アクチュエータ(図示せず)によって位置決
めされる。
【0127】
図13はヘッドスライダの平面構造を示す概略図である。GMR読み出しヘッド221
の寸法は縦約40nm、幅約20nm、単磁極書き込みヘッド222の寸法は縦60nm
、幅約10nmである。
【0128】
図14に記録トラック帯に対する読み出しヘッドの配置を示す。図14のように、記録
トラック帯1内で所定のピッチで規則配列した6列のサブトラックのうち、2列のサブト
ラック上の直径30nmの記録セル28を1つの読み出しヘッド221で読み出す。上述
した読み出しヘッド221の寸法は以下の条件を満たすように設計されている。すなわち
、読み出しヘッド221のトラック方向の長さ(幅)20nmは、2列のサブトラックに
おける最も近接した記録セルの中心間の間隔より小さい。読み出しヘッド212のディス
ク半径方向の長さ(縦)40nmは、2列のサブトラックにおける最も近接した記録セル
の中心間の間隔より大きく、2列のサブトラックの最大幅より小さい。
【0129】
図15(A)〜(C)を参照して本実施例に係る磁気記録装置におけるトラッキング方
法を説明する。本実施例では、三角格子状に規則配列した記録セルによって形成される、
隣り合った2列のサブトラックからの信号強度が同レベルになるようにヘッドスライダ位
置を制御する。
【0130】
図15(A)は読み出しヘッドと記録セルとの幾何学的な位置関係の変動を示す図であ
る。図15(A)のような読み出しヘッドの走行に応じて、図15(B)のような検出出
力が得られる。読み出しヘッド221が2列のサブトラックの中心を走行している場合に
は、検出出力(絶対値)には、サブトラック上の記録セルの周期の倍に相当する周波数成
分f1のみが現れる。しかし、読み出しヘッド221の位置が中心からずれると、検出出
力(絶対値)にサブトラック上の記録セルの周期に相当する周波数成分f2が増大する。
この周波数成分f2の位相は、記録セル列1方向にずれている場合と記録セル列2方向に
ずれている場合とで異なる。このため、図15(C)に示すように、読み出しヘッドの走
行の変動に応じた信号が得られる。したがって、周波数成分f2が検出された場合には、
その位相に応じて半径方向に読み出しヘッドの位置を動かし、周波数成分f2が検出され
なくなるように制御することにより、トラッキングが可能になる。
【0131】
次に、図16を参照して規則配列の欠陥領域が存在する場合に欠陥領域への書き込みを
回避する方法を説明する。
【0132】
自己組織化を利用して製造される磁気記録媒体には、記録セルが規則配列した領域の間
に、配列が乱れた領域が存在することがある。図16に示すように記録セルが規則配列し
た領域をAおよびCとし、その中間の配列の乱れた欠陥領域をBとする。
【0133】
本実施例の磁気記録装置では、書き込みヘッドの前方に読み出しヘッドが位置し、読み
出しヘッドによる検出信号に応じて以下のように書き込みの制御が行われる。トラック方
向に沿って規則配列した記録セル間の間隔と、ヘッドの走行スピードにより、読み出しヘ
ッドによる検出信号が現れると想定される時間間隔Tが決定される。時間間隔Tと、実際
に読み出しヘッドにより出力される信号の時間間隔とが制御器により比較される。
【0134】
読み出しヘッドが規則配列領域A上を走行している間は、記録セルから時間間隔Tに近
いほぼ一定の時間間隔で規則的に信号が出力される。なお、実際に信号が出力される時間
間隔が、時間間隔Tに対してしきい値(例えば±30%)以内であれば、記録セルが規則
配列していると判定するようにしてもよい。この場合、読み出しヘッドによる信号の検出
時を基準として、所定のタイミングで制御器から書き込みヘッドへ書き込み信号が送られ
、書き込みヘッドにより規則配列領域Aへの書き込みが行われる。
【0135】
しかし、読み出しヘッドが欠陥領域B上を走行するようになると、記録セルから読み出
される信号の時間間隔は、時間間隔Tと比較してしきい値(例えば±30%)を超えてず
れるため、記録セルの配列が乱れていると判定される。この場合、制御器から書き込みヘ
ッドへの書き込み信号が停止され、欠陥領域Bへの書き込みは行われない。
【0136】
読み出しヘッドが規則配列領域Cを走行するようになると、記録セルが規則配列してい
ると判定される。この場合、読み出しヘッドによる信号の検出時を基準として、所定のタ
イミングで制御器から書き込みヘッドへ書き込み信号が送られ、書き込みヘッドにより規
則配列領域Cへの書き込みが再開される。
【0137】
なお、記録セルの配列が乱れているか規則的であるかの判定基準は任意に設定できる。
例えば、読み出しヘッドからの検出信号の時間間隔の乱れが3T時間以上連続して生じた
場合に、記録セルが乱れていると判定するようにしてもよい。また、読み出しヘッドから
の検出信号の時間間隔が3回連続でしきい値以内の時間間隔で規則正しい場合に、記録セ
ルが規則配列していると判定するようにしてもよい。
【0138】
図15を参照して説明した読み出しヘッドのトラッキング、および図16を参照して説
明した欠陥領域への書き込みの回避動作は、図17に示すように、読み出しヘッド221
、書き込みヘッド222、ボイスコイルモーター215に接続された制御器(LSI)2
25によってなされる。
【実施例12】
【0139】
図18〜図20を参照して本実施例に係る磁気記録装置を説明する。
【0140】
図18は磁気ディスクおよびヘッドスライダを示す断面図である。磁気ディスク201
はスピンドルモーター202に装着され、図示しない制御部からの制御信号により回転す
る。磁気ディスク201は実施例10で作製したものであり、ガラス基板91上に記録セ
ル99が規則配列した2列のサブトラックを含む記録トラック帯1を有する記録層および
保護層101が形成されている。磁気ディスクの全面にわたって、記録トラック帯1は一
方向に磁化されている。分離領域2を形成している磁性層には各記録トラック帯のアドレ
ス番号およびセクター番号に相当する情報が予め書き込まれている。
【0141】
ヘッドスライダ220の先端には、読み出しヘッド221および書き込みヘッド222
に加えて、トラッキングヘッド223が搭載されている。ヘッドスライダ220は2段ア
クチュエータ(図示せず)によって位置決めされる。
【0142】
図19はヘッドスライダの平面構造を示す概略図である。GMR読み出しヘッド221
の寸法は縦約20nm、幅約15nm、単磁極書き込みヘッド222の寸法は直径約20
nmの円形、GMRトラッキングヘッド223の寸法は縦約40nm、幅約20nmであ
る。
【0143】
図20(A)および(B)に記録トラック帯に対する読み出しヘッド、書き込みヘッド
およびトラッキングヘッドの配置を示す。図20のように、トラッキングヘッド223を
磁気ディスクの分離領域2を形成している磁性体膜上に配置し、分離領域2からの信号を
読み出してトラッキングを行い、ヘッドの位置決めを行う。この場合、トラッキングヘッ
ド223の検出信号の変動が、読み出しヘッド221のサブトラックからのずれに対応し
ていることを利用している。
【実施例13】
【0144】
図21(A)〜(D)を参照して本実施例に係る相変化光記録媒体の製造方法を説明す
る。
【0145】
図21(A)に示すように、以下のようにして基板上に溝構造を形成した。2.5イン
チのガラスディスク基板111上に、厚さ約30nmのPt反射膜112、マトリックス
となる厚さ約50nmのAl23膜113、および厚さ約50nmのSiO2膜114を
製膜した。SiO2膜114上にレジストをスピンコートした後、光リソグラフィーによ
りレジストを加工し、幅約200nmの凸部によって幅約200nmのスパイラル形状の
溝を規定するようにレジストパターンを形成した。このレジストパターンをマスクとして
SiO2膜114をエッチングし、溝145を転写した。
【0146】
図21(B)に示すように、以下のようにして溝領域内にブロックコポリマーを埋め込
んで微粒子の規則配列構造を形成した。ポリスチレン−ポリメチルメタクリレートのブロ
ックコポリマー(PSの分子量Mw=80000、PMMAの分子量Mw=20000)
をトルエンに1%w/wの濃度で溶解した溶液を調製した。試料上に溶液をスピンコート
してSiO2膜114に転写された溝領域内にブロックコポリマー116を埋め込んだ。
試料を真空中において150℃で30時間アニールして、ブロックコポリマー116を規
則配列化させた。この結果、島状のPMMA粒子117が海状のPS部分118によって
囲まれた構造が形成される。
【0147】
図21(C)に示すように、以下のようにして記録セルのための孔構造を形成した。ブ
ロックコポリマー116を紫外線で処理した後、水洗した。次に、斜め蒸着によりCr層
119を形成した。RIEによりAl23膜113に達する孔を形成し、さらにArイオ
ンミリングによりAl23膜113に孔120を転写し、Al23膜113からなるマト
リックスを形成した。
【0148】
図21(D)に示すように、以下のようにして記録セルを形成し、表面を平坦化した。
厚さ約30nmの相変化材料In−Sb−Teを製膜して孔120に埋め込み、記録セル
121を形成した。表面をCMPにより研磨して平坦化した。その後、全面にSiO2
製膜して保護膜122を形成した。
【0149】
図22に、製造した相変化光記録媒体を近接場光顕微鏡により観察した結果を模式的に
示す。図22に示すように、幅約200nmの記録トラック帯1と幅約200nmのAl
23膜113からなる分離領域2とが交互に形成されている。1つの記録トラック帯1内
で記録セル121は六方細密充填構造をなして三角格子を形成している。記録セル121
はトラック方向に沿ってピッチPをもって周期的に形成されており、記録トラック帯1内
には6列のサブトラック1a〜1fが含まれている。記録トラック帯1内で隣り合うサブ
トラック上に位置する最近接の2つの記録セル121はトラック方向に沿って中心間の間
隔がサブトラック内のピッチPの1/2だけずれている。
【実施例14】
【0150】
図23および図24を参照して本実施例に係る相変化光記録装置を説明する。
【0151】
図23は相変化光ディスクおよびヘッドスライダを示す断面図である。光ディスク30
1はスピンドルモーター302に装着され、図示しない制御部からの制御信号により回転
する。光ディスク301は実施例13で作製したものであり、ガラス基板111上に記録
セル121が規則配列した記録トラック帯を有する記録層および保護層122が形成され
ている。
【0152】
ヘッドスライダ310の先端には、レーザー共振型の光検出読み出しヘッド311、面
発振型レーザー書き込みヘッド312が搭載されている。ヘッドスライダ220は2段ア
クチュエータ(図示せず)によって位置決めされる。
【0153】
図24はヘッドスライダの各ヘッドの前面に設けられた微小開口の平面構造を示す概略
図である。読み出しヘッド311の微小開口の寸法は縦約40nm、幅約20nm、書き
込みヘッド312の微小開口の寸法は縦60nm、幅約10nmである。
【0154】
本実施例では実施例11と同様な方法で、読み出しヘッドのトラッキング、および欠陥
領域への書き込みの回避動作を行うことができた。
【実施例15】
【0155】
図25〜図27を参照して本実施例に係る磁気記録装置を説明する。図25は磁気ディ
スクおよびヘッドスライダを示す断面図である。図26はヘッドスライダの平面構造を示
す概略図である。図27は記録トラック帯に対する読み出しヘッド、書き込みヘッドおよ
びトラッキングヘッドの配置を示す図である。
【0156】
図25において、磁気ディスク201はスピンドルモーター202に装着され、図示し
ない制御部からの制御信号により回転する。磁気ディスク201は実施例5で作製したも
のであり、ガラス基板41上に記録セル50が規則配列した6列のサブトラックを含む記
録トラック帯1を有する記録層および保護層51が形成されている。
【0157】
ヘッドスライダ220の先端には、読み出しヘッド231、トラッキングヘッド232
および書き込みヘッド233が搭載されている。ヘッドスライダ220は2段アクチュエ
ータ(図示せず)によって位置決めされる。
【0158】
図26に示すように、本実施例では、5列のサブトラックに対応して縦約20nm、幅
約15nmのGMR読み出しヘッド231が5つ設けられ、6列目のサブトラックに対応
して縦20nm、幅約15nmのGMRトラッキングヘッド232が設けられ、読み出し
ヘッド231と同様に5列のサブトラックに対応して直径20nmの円形の単磁極書き込
みヘッド233が5つ設けられたマルチチャネルヘッドを用いた。
【0159】
図27のように、本実施例では、トラッキングヘッド232により記録トラック帯1の
端にある6列目のサブトラックからトラッキング信号を検出してヘッドの位置決めを行う
。本実施例では書き込み信号を即座に読み出しヘッド233で確認することができる。
【実施例16】
【0160】
図28〜図30を参照して本実施例に係る磁気記録装置を説明する。図28は磁気ディ
スクおよびヘッドスライダを示す断面図である。図29はヘッドスライダの平面構造を示
す概略図である。図30は記録トラック帯に対する読み出しヘッド、書き込みヘッドおよ
びトラッキングヘッドの配置を示す図である。
【0161】
図28において、磁気ディスク201はスピンドルモーター202に装着され、図示し
ない制御部からの制御信号により回転する。この磁気ディスク201は、実施例8と同様
にして作製したマスターディスクを用いてナノインプリンティングにより作製した。図3
0に示すように、この磁気ディスク201では、記録トラック帯1内において規則配列し
た縦30nm、幅15nmの矩形の記録セル150によって3列のサブトラックが形成さ
れている。記録トラック帯1内で隣り合うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録
セル150はトラック方向に沿って中心間の間隔がサブトラック内のピッチPの1/3だ
けずれている。
【0162】
ヘッドスライダ220の先端には、読み出しヘッド241および書き込みヘッド242
が搭載されている。ヘッドスライダ220は2段アクチュエータ(図示せず)によって位
置決めされる。
【0163】
図29に示すように、読み出しヘッド241の寸法は縦約90nm、幅約15nm、書
き込みヘッド242の寸法は縦110nm、幅約15nmである。
【0164】
図30のように、記録トラック帯1内で所定のピッチで規則配列した3列のサブトラッ
ク上の記録セル150を1つの読み出しヘッド241で読み出す。上述した読み出しヘッ
ド241の寸法は以下の条件を満たすように設計されている。すなわち、読み出しヘッド
241のトラック方向の長さ(幅)15nmは、隣り合う2列のサブトラックにおける最
も近接した記録セルの中心間の間隔より小さい。読み出しヘッド241のディスク半径方
向の長さ(縦)90nmは、隣り合う2列のサブトラックにおける最も近接した記録セル
の中心間の間隔より大きく、3列のサブトラックの最大幅より小さい。
【0165】
本実施例では、3列のサブトラックのうち、2列のサブトラックからの信号強度が同じ
になるようにヘッドスライダ位置を制御することによりトラッキングが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録媒体の平面図。
【図2】実施例1における磁気記録媒体の製造方法を示す断面図。
【図3】実施例1における磁気記録媒体の平面図。
【図4】実施例5における磁気記録媒体の製造方法を示す断面図。
【図5】実施例5における磁気記録媒体の平面図。
【図6】実施例8における磁気記録媒体の製造に用いられるマスターディスクの製造方法を示す断面図。
【図7】実施例8における磁気記録媒体の製造方法を示す断面図。
【図8】実施例9における磁気記録媒体の製造方法を示す断面図。
【図9】実施例10における磁気記録媒体の製造方法を示す断面図。
【図10】実施例10における磁気記録媒体の平面図。
【図11】実施例11における磁気ディスク装置の内部構造を示す斜視図。
【図12】実施例11における磁気ディスクおよびヘッドスライダを示す断面図。
【図13】実施例11におけるヘッドスライダの平面構造を示す概略図。
【図14】実施例11における記録トラック帯に対する読み出しヘッドの配置を示す図。
【図15】実施例11におけるトラッキング方法を説明するための図。
【図16】実施例11における欠陥領域への書き込みを回避する方法を説明するための図。
【図17】実施例11における読み出しヘッド、書き込みヘッド、ボイスコイルモーターに対する制御器を示すブロック図。
【図18】実施例12における磁気ディスクおよびヘッドスライダを示す断面図。
【図19】実施例12におけるヘッドスライダの平面構造を示す概略図。
【図20】実施例12における記録トラック帯に対する読み出しヘッド、書き込みヘッドおよびトラッキングヘッドの配置を示す図。
【図21】実施例13における相変化光記録媒体の製造方法を示す断面図。
【図22】実施例13における相変化光記録媒体の平面図。
【図23】実施例14における相変化光ディスクおよびヘッドスライダを示す断面図。
【図24】実施例14におけるヘッドスライダの平面構造を示す概略図。
【図25】実施例15における磁気ディスクおよびヘッドスライダを示す断面図。
【図26】実施例15におけるヘッドスライダの平面構造を示す概略図。
【図27】実施例15における記録トラック帯に対する読み出しヘッド、書き込みヘッドおよびトラッキングヘッドの配置を示す図。
【図28】実施例16における磁気ディスクおよびヘッドスライダを示す断面図。
【図29】実施例16におけるヘッドスライダの平面構造を示す概略図。
【図30】実施例16における記録トラック帯に対する読み出しヘッド、書き込みヘッドおよびトラッキングヘッドの配置を示す図。
【符号の説明】
【0167】
1…記録トラック帯
2…分離領域
11…記録セル
12…マトリックス
21…ガラスディスク装置
22…磁性層
23…SiO2
24…レジスト
25…溝
26…ブロックコポリマー
27…ポリスチレン粒子
28…ポリブタジエン部分
29…記録セル
30…マトリックス
31…保護膜
41…ガラスディスク装置
42…Al23
43…SiO2
44…溝
45…ブロックコポリマー
46…ポリメチルメタクリレート粒子
47…ポリスチレン部分
48…Cr層
49…孔
50…記録セル
51…保護膜
52…非磁性体領域
61…シリコンディスク基板
62…Ti膜
63…SiO2
64…溝
65…ブロックコポリマー
66…ポリスチレン粒子
67…ポリブタジエン部分
68…Tiピラー
71…ガラスディスク基板
72…レジスト
73…孔
74…記録セル
75…保護膜
81…ガラスディスク基板
82…溝
83…記録セル
84…マトリックス
85…保護膜
91…ガラスディスク基板
92…磁性層
93…SiO2
94…レジスト
95…溝
96…ブロックコポリマー
97…ポリスチレン粒子
98…ポリブタジエン部分
99…記録セル
100…マトリックス
101…保護膜
201…磁気ディスク
202…スピンドルモーター
211…軸
212…アクチュエータアーム
213…サスペンション
215…ボイスコイルモーター
220…ヘッドスライダ
221…読み出しヘッド
222…書き込みヘッド
223…トラッキングヘッド
225…制御器
231…読み出しヘッド
232…トラッキングヘッド
233…書き込みヘッド
241…読み出しヘッド
242…書き込みヘッド
111…ガラスディスク基板
112…Pt反射膜
113…Al23
114…SiO2
115…溝
116…ブロックコポリマー
117…PMMA粒子
118…PS部分
119…Cr層
120…孔
121…記録セル
122…保護膜
301…光ディスク
302…スピンドルモーター
310…ヘッドスライダ
311…読み出しヘッド
312…書き込みヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに分離して形成された複数の記録セルをトラック方向に沿ってピッチPで周期的に配
列した複数列のサブトラックを含む記録トラック帯と、前記記録トラック帯を互いに分離
する分離領域とを有し、前記記録トラック帯中の前記複数の記録セルを互いに分離する領
域を構成する材料と前記分離領域を構成する材料とはそれぞれ異なっており、前記記録ト
ラック帯内で隣り合うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録セルは、互いの中心
がトラック方向に沿って前記ピッチPの1/2だけ離れていることを特徴とする記録媒体

【請求項2】
前記分離領域を構成する材料は前記記録セルを構成する材料と同一であることを特徴と
する請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
前記分離領域の幅は、前記記録トラック帯内の隣り合うサブトラック間の距離よりも大き
いことを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の記録媒体。
【請求項4】
前記分離領域の幅は20〜200nmの範囲の長さであることを特徴とする請求項1〜3
のいずれかに記載の記録媒体。
【請求項5】
書き込みヘッドと、
読み出しヘッドと、
互いに分離して形成された複数の記録セルを含む記録トラック帯と、前記記録トラック帯
を互いに分離する分離領域とを有し、前記記録セルはトラック方向に沿ってピッチPで周
期的に配列してサブトラックを形成し、前記記録トラック帯は複数列のサブトラックを含
み、前記記録トラック帯中の前記複数の記録セルを互いに分離する領域を構成する材料と
前記分離領域を構成する材料とはそれぞれ異なっており、前記記録トラック帯内で隣り合
うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録セルは、互いの中心がトラック方向に沿
って前記ピッチPの1/2だけ離れている記録媒体とを具備したことを特徴とする記録装
置。
【請求項6】
前記分離領域を構成する材料は前記記録セルを構成する材料と同一であることを特徴と
する請求項5記載の記録装置。
【請求項7】
前記読み出しヘッドは複数列のサブトラック上に位置する記録セルの信号を読み出すよう
に形成されており、さらに読み出された複数列のサブトラック上に位置する記録セルの信
号に基づいて読み出しヘッドのトラッキングを制御する手段を具備したことを特徴とする
請求項5、6のいずれかに記載の記録装置。
【請求項8】
前記読み出しヘッドは、複数列のサブトラック上に位置する記録セルの信号を読み出せる
幅を有することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の記録装置。
【請求項9】
前記分離領域の幅は、前記記録トラック帯内の隣り合うサブトラック間の距離よりも大き
いことを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載の記録装置。
【請求項10】
前記分離領域の幅は20〜200nmの範囲の長さであることを特徴とする請求項5ない
し9のいずれかに記載の記録装置。
【請求項11】
互いに分離して形成された複数の記録セルを含む記録トラック帯と、前記記録トラック帯
を互いに分離する分離領域とを有し、前記記録セルはトラック方向に沿ってピッチPで周
期的に配列してサブトラックを形成し、前記記録トラック帯は複数列のサブトラックを含
み、前記記録トラック帯中の前記複数の記録セルを互いに分離する領域を構成する材料と
前記分離領域を構成する材料とはそれぞれ異なっており、前記記録トラック帯内で隣り合
うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録セルは、互いの中心がトラック方向に沿
って前記ピッチPの1/2だけ離れている記録媒体に対して記録・再生を行う記録装置で
あって、
書き込みヘッドと、読み出しヘッドと、読み出しヘッドから出力される信号に応じて書き
込みヘッドへの書き込みタイミング信号を制御する手段とを具備したことを特徴とする記
録装置。
【請求項12】
互いに分離して形成された複数の記録セルを含む記録トラック帯と、前記記録トラック帯
を互いに分離する分離領域とを有し、前記記録セルはトラック方向に沿ってピッチPで周
期的に配列してサブトラックを形成し、前記記録トラック帯は複数列のサブトラックを含
み、前記記録トラック帯中の前記複数の記録セルを互いに分離する領域を構成する材料と
前記分離領域を構成する材料とはそれぞれ異なっており、前記記録トラック帯内で隣り合
うサブトラック上に位置する最近接の2つの記録セルは、互いの中心がトラック方向に沿
って前記ピッチPの1/2だけ離れている記録媒体に対して記録・再生を行う記録装置で
あって、
書き込みヘッドと、読み出しヘッドと、トラック方向に沿って規則配列した記録セル間の
間隔とヘッドの走行スピードにより決定される時間間隔と読み出しヘッドにより出力され
る信号の時間間隔とを比較し、書き込みヘッドへの信号を制御する手段とを具備したこと
を特徴とする記録装置。
【請求項13】
前記分離領域を構成する材料は前記記録セルを構成する材料と同一であることを特徴と
する請求項11、12のいずれかに記載の記録装置。
【請求項14】
さらに、トラッキング用の読み出しヘッドを有することを特徴とする請求項11〜13の
いずれかに記載の記録装置。
【請求項15】
前記分離領域の幅は、前記記録トラック帯内の隣り合うサブトラック間の距離よりも大き
いことを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の記録装置。
【請求項16】
前記分離領域の幅は20〜200nmの範囲の長さであることを特徴とする請求項11〜
15のいずれかに記載の記録装置。
【請求項17】
前記書き込みヘッドまたは前記読み出しヘッドをアシストする手段として、電子線または
近接場光を照射する手段を有することを特徴とする請求項5〜16のいずれかに記載の記
録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2006−79827(P2006−79827A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351049(P2005−351049)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【分割の表示】特願2001−82436(P2001−82436)の分割
【原出願日】平成13年3月22日(2001.3.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】