説明

記録媒体処理装置

【課題】書き込み処理に異常が発生した場合にもこれを容易に確認すること。
【解決手段】リーダライタ13を通じてマネーカードに対するデータの読み書き処理を行う読み書き制御部102と、マネーカードに対する読み書き処理の履歴を含む履歴データをメモリ110に格納する履歴管理部104と、集計指令を受信した場合にメモリ110に格納された履歴データに基づいて集計処理を実施する集計処理部105とを備えた電子マネーカードチャージ機であって、マネーカードに対する読み書き処理に異常が発生した場合、その異常に関わる異常情報をメモリ110に格納する異常情報管理部106と、メモリ110に異常情報が格納されている状態において集計指令を受信した場合、該異常情報の出力処理を行う主制御部100とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップ等の記憶素子を搭載したカードや携帯電話機等の記録媒体に対して、電子マネー情報等の有価データの読み書き処理を行う記録媒体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップを搭載したICカードや携帯電話機等の記録媒体に電子マネー情報を記録し、この記録媒体に記録された電子マネー情報を用いて商品の購入やサービスの提供に関する決済を行う電子決済システムが普及している。
【0003】
このような電子決済システムでは、電子マネーチャージ機と称される記録媒体処理装置が用意されており、この記録媒体処理装置を通じて記録媒体に対する電子マネー情報のチャージ処理が実施可能である。実施した記録媒体に対するチャージ(積み増し)処理に関しては、プリンタからのレシートの発行により、利用者がこれを確認し、かつ証明することができる(例えば、特許文献1もしくは特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−036466号公報
【特許文献2】特開2005−284359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような電子マネーチャージ機では、記録媒体に対して電子マネー情報の書き込み処理に異常が発生した場合、具体的には異常が発生したことを検知した場合、あるいは正常に終了したか否かを確認できなかった場合、それらの異常情報を記憶部に格納するようにしたものもある。こうした電子マネーチャージ機では、記憶部に格納した異常情報をプリンタを通じて出力することで電子マネーチャージ機の管理者側においても記録媒体に対する電子マネー情報の書き込み処理に異常があったか否かを確認することができ、その対応を行うことが可能となる。
【0006】
しかしながら、管理者側において記憶部に格納された異常情報を確認するためには、都度出力操作を実施しなければならず、操作性の点で必ずしも好ましいとはいえない。複数の電子マネーチャージ機を設置している場合には、上述した問題が一層顕著となる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、書き込み処理に異常が発生した場合にもこれを容易に確認することのできる記録媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る記録媒体処理装置は、リーダライタを通じて記録媒体に対するデータの読み書き処理を行う読み書き制御手段と、記録媒体に対する読み書き処理の履歴を含む履歴データを記憶部に格納する履歴管理手段と、集計指令を受信した場合に前記記憶部に格納された履歴データに基づいて集計処理を実施する集計処理手段とを備えた記録媒体処理装置であって、記録媒体に対する読み書き処理に異常が発生した場合、その異常に関わる異常情報を記憶部に格納する異常情報管理手段と、前記記憶部に異常情報が格納されている状態において集計処理を実施した場合、該異常情報の出力処理を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る記録媒体処理装置は、リーダライタを通じて記録媒体に対するデータの読み書き処理を行う読み書き制御手段と、記録媒体に対する読み書き処理の履歴を含む履歴データを記憶部に格納する履歴管理手段と、集計指令を受信した場合に前記記憶部に格納された履歴データに基づいて集計処理を実施する集計処理手段とを備えた記録媒体処理装置であって、操作者に対して認証処理を実施し、該認証処理によって特定された操作者と予め設定した可否条件とに従って実施可能となる操作を設定する許容操作設定手段と、印字データが与えられた場合に該印字データに従った印字出力を行うべくプリンタに印字指令を与える印字制御手段と、少なくとも印字出力している間に前記プリンタの動作を監視し、該プリンタに異常が発生した場合、印字出力すべき印字データを現在実施している操作に対応付けた再印字データとして記憶部に格納する印字データ格納処理手段と、前記記憶部に再印字データが格納され、かつこの再印字データが前記許容操作設定手段によって現在実施可能と設定されている操作と同じ操作に対応付けたものである場合、前記プリンタに異常がないことを条件に該再印字データを印字データとして前記印字制御手段に送出する再印字処理手段と、記録媒体に対する読み書き処理に異常が発生した場合、その異常に関わる異常情報を記憶部に格納する異常情報管理手段と、前記記憶部に異常情報が格納されている状態において集計処理を実施した場合、該異常情報を印字データとして前記印字制御手段に送出する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る記録媒体処理装置は、上述した請求項1または請求項2において、前記リーダライタは、通信可能領域に配置された記録媒体に対して非接触通信によりデータの読み書きを行うものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に係る記録媒体処理装置は、上述した請求項1において、印字データが与えられた場合に該印字データに従った印字出力を行うべくプリンタに印字指令を与える印字制御手段を備え、前記制御手段は、前記記憶部に異常情報が格納されている状態において集計処理を実施した場合、該異常情報を印字データとして前記印字制御手段に送出するものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項5に係る記録媒体処理装置は、上述した請求項2において、前記許容操作設定手段は、複数の操作を含んだ操作群を単位として実施可能であるか否かを設定するものであり、前記印字データ格納処理手段は、前記プリンタに異常が発生した場合、印字データを現在実施可能と設定されている操作群に対応した識別名のファイルとして記憶部に格納するものであり、前記再印字処理手段は、前記許容操作設定手段が現在設定している実施可能な操作群に対応した識別名のファイルが前記記憶部に格納されている場合、該ファイルを印字データとして前記印字制御手段に送出するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記録媒体に対する読み書き処理に異常が発生した場合には、集計処理の際にこの異常に関わる異常情報の出力も同時に行われることになる。従って、異常情報の確認を行う場合に都度の操作が不要となり、操作性の点で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る記録媒体処理装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1及び図2は、本発明の実施の形態である記録媒体処理装置を示したものである。ここで例示する記録媒体処理装置は、入金操作が行われた場合にICチップを搭載した記録媒体であるICカードや携帯電話機(以下ではこれらの記録媒体を単に「マネーカード」と称して説明する)に対して、非接触通信により電子マネー情報の読み書き処理を行う入金処理装置として適用される電子マネーチャージ機である。本実施の形態では、特に、紙幣を用いた現金決済によるチャージ処理の他、クレジットカードを用いたクレジット決済によるチャージ処理やデビットカードを用いたデビット決済によるチャージ処理が可能なものを例示している。尚、以下においては便宜上、これらクレジットカードやデビットカードを総称する場合に「決済カード」とし、決済カードによる決済を総称する場合に「カード決済」として説明を行う。
【0016】
図からも明らかなように、電子マネーチャージ機は、本体キャビネット1及び前扉2を備えている。本体キャビネット1は、鋼材を適宜組み合わせることにより前面が開口した箱状に構成したものである。前扉2は、本体キャビネット1の前面開口1aを開閉するように本体キャビネット1の一側部に配設したもので、閉動作させた場合に本体キャビネット1の前面開口1aを完全に閉塞することが可能である。
【0017】
これら本体キャビネット1と前扉2との間には、前扉施錠手段3が設けてある。前扉施錠手段3は、前扉2によって本体キャビネット1の前面開口1aを閉塞した状態において施錠した場合に前扉2の開放移動を阻止するものである。図には明示していないが、前扉施錠手段3としては、キー操作によってキーシリンダを動作させることで施錠/解錠することができるものを適用することができる。
【0018】
前扉2の前面には、表示部4、入力部5、紙幣挿入口6、決済カード挿入口7、印字出力口8及びマネーカード載置台9が設けてある。表示部4は、利用者もしくは電子マネーチャージ機の管理者に対して各種案内表示を行うためのもので、例えば液晶パネルによって構成してある。入力部5は、電子マネーチャージ機に対して各種情報を入力するためのもので、例えば押ボタンスイッチ及びキーボードを備えて構成してある。尚、本実施の形態では、上述した表示部4としてタッチパネル式のものを適用しており、このタッチパネルを入力部5として各種の情報を入力することも可能である。
【0019】
紙幣挿入口6は、現金決済のための紙幣を挿入するための開口であり、また決済カード挿入口7は、カード決済に用いるクレジットカードやデビットカードを挿入するための開口である。印字出力口8は、後述するプリンタ21によって印字された記録紙を排出するためのものである。マネーカード載置台9は、電子マネー情報のチャージ対象となるマネーカードを載置するための台状部である。このマネーカード載置台9は、その上面が後述するリーダライタの通信可能領域となるように構成してある。尚、図2中の符号20は、紙幣挿入口6から挿入された紙幣を収容するための金庫である。
【0020】
図3は、上述した電子マネーチャージ機の制御系を示すブロック図である。図3に示すように、電子マネーチャージ機は、通信処理部11、入金処理部12、リーダライタ13、プリンタ21及び主制御部(制御手段)100を備えている。
【0021】
通信処理部11は、インターネットや専用回線を介して電子マネーサーバ200、クレジットサーバ300、デビットサーバ400と接続され、これらのサーバ装置200,300,400との間においてデータの送受信処理を行うものである。
【0022】
入金処理部12は、利用者によって入金操作された場合にその入金情報を主制御部100に送信するものである。図には明示していないが、本実施の形態では、紙幣鑑別器及び決済カード読取機を備えて入金処理部12が構成してある。この入金処理部12では、例えば紙幣挿入口6から紙幣が挿入された場合、挿入された紙幣の真偽及び金種を鑑別し、鑑別結果を現金入金情報として主制御部100に送信する。一方、決済カード挿入口7から決済カードが挿入され、かつ入力部5を通じて入金額が指定された場合には、決済カードの記録情報を読み取り、この読取結果に入力部5からの入金額を含めてカード入金情報として主制御部100に送信する。
【0023】
リーダライタ13は、マネーカードがマネーカード載置台9に載置された場合に、マネーカードに搭載されたICチップとの間において非接触通信によりデータの読み取り及び書き込みを行うものである。プリンタ21は、印字指令に従って記録紙に印字を行うものである。
【0024】
主制御部100は、予め与えられたプログラムに従って処理を行い、入金処理部12、通信処理部11、入力部5、リーダライタ13からの入力情報に応じて電子マネーチャージ機の動作を統括的に制御するものである。この主制御部100は、許容操作設定部101、読み書き制御部102、チャージ処理部103、履歴管理部104、集計処理部105、異常情報管理部106、印字制御部107、印字データ格納処理部108、再印字処理部109を備えている。
【0025】
許容操作設定部101は、予め設定した可否条件に従って操作者毎に実施可能となる操作を設定し、これを選択メニューとして表示部4に表示するものである。本実施の形態の許容操作設定部101は、起動初期状態においては利用者用操作群を実施可能に設定する一方、管理モードへの移行操作が実施された場合には、パスワードによる認証処理を実施し、認証によって操作者が管理者であると特定できた場合に管理者用操作群を実施可能に設定するものである。利用者用操作群は、主に利用者がマネーカードを使用する上で必要となる複数の操作であり、例えば利用者がマネーカードの電子マネー情報にチャージを行うためのチャージ処理やマネーカードに記録された電子マネー情報の残高を確認するための残高確認処理、さらにはチャージ処理や残高処理の結果をレシートとして出力するためのレシート発行処理等である。管理者用操作群は、主に電子マネーチャージ機の保守点検を行う際に必要となる複数の操作である。特に、本実施の形態では、管理者用操作群を一般管理者用操作群と特定管理者用操作群とに区別して設定してある。一般管理者用操作群は、管理者であればすべてのものが実施可能な処理であり、例えばプリンタ21のテスト印字、レシートの再発行処理等である。一般管理者用操作群には、利用者用操作群の操作をすべて含めるようにしても良い。特定管理者用操作群は、電子マネーチャージ機を設置した店舗の店長等、特別な権限を有した特定管理者にのみ許容される操作であり、例えば一日の集計を行う精算処理等である。特定管理者用操作群には、一般管理者用操作群の操作をすべてを含めるようにしても良い。尚、以下においては便宜上、実施可能な操作群をユーザ変数Uで表現し、利用者用操作群がU=「0」、特定管理者用操作群がU=「1」、一般管理者用操作群がU=「2」に対応するものとする。
【0026】
読み書き制御部102は、読み出し指令が与えられた場合にリーダライタ13を通じてマネーカードに記録されたデータの読み取りを行う一方、書き込み指令が与えられた場合にリーダライタ13を通じてデータの書き込みを行うものである。
【0027】
チャージ処理部103は、入金処理部12から入金情報が与えられ、かつ読み書き制御部102を通じてマネーカード載置台9にマネーカードが載置されたことを確認した場合、上述したサーバ装置200,300,400との間において適宜処理を実施し、電子マネーサーバ200からのチャージ許可に従って入金額に応じた電子マネー情報をマネーカードに積み増しすべく、読み書き制御部102に対して書き込み指令を送信するものである。
【0028】
具体的には、マネーカード載置台9にマネーカードが載置された状態で入金処理部12から現金入金情報が与えられた場合、チャージ処理部103は、電子マネーサーバ200に対してチャージ要求を送信し、電子マネーサーバ200からのチャージ許可を待つ。この間、電子マネーチャージ機からチャージ要求を受信した電子マネーサーバ200では、チャージ要求に含まれるマネーカードの識別情報に基づいてマネーカードが正規のものであるか否かが判断され、正規のものであると判断した場合、チャージ要求の送信元である電子マネーチャージ機に対してチャージ許可を送信することになる。
【0029】
これに対してマネーカード載置台9にマネーカードが載置された状態で入金処理部12からカード入金情報が与えられた場合、チャージ処理部103は、決済カードの発行元であるサーバ装置300,400に対して決済要求を送信し、電子マネーサーバ200からのチャージ許可を待つ。この間、電子マネーチャージ機から決済要求を受信したサーバ装置300,400では、入金処理部12との間において認証処理が実施される。認証によって正規の決済カードによる決済要求であると判断した場合には、サーバ装置300,400から電子マネーサーバ200に対してチャージ要求が送信される。サーバ装置300,400からチャージ要求を受信した電子マネーサーバ200では、先と同様、チャージ要求に含まれるマネーカードの識別情報に基づいてマネーカードが正規のものであるか否かが判断され、正規のものであると判断した場合、決済要求の送信元である電子マネーチャージ機に対してチャージ許可を送信することになる。
【0030】
履歴管理部104は、読み書き制御部102の実施したマネーカードに対する読み書き処理の履歴、及び入金処理部12を通じて取得した入金の履歴を含む履歴データをメモリ(格納部)110に順次格納するものである。またこの履歴管理部104は、履歴データの集計履歴を管理しており、集計処理部105からの読み出し指令が与えられた場合、メモリ110に格納された履歴データの中から未集計の履歴データを抽出し、これを集計処理部105に返送する処理を行う。
【0031】
集計処理部105は、集計指令を受信した場合にメモリ110に格納された履歴データに基づいて精算処理を実施するものである。
【0032】
異常情報管理部106は、読み書き制御部102の実施したマネーカードに対する読み書き処理を監視し、読み書き処理に異常が発生した場合、その異常に関わる異常情報をアラームデータとしてメモリ110に格納するものである。読み書き処理の異常とは、直接異常を検知したもののみならず、読み書き処理が正常終了したか否かを確認できない場合を含むものである。
【0033】
印字制御部107は、印字データが与えられた場合にこの印字データに従った印字出力を行うべくプリンタ21に印字指令を与えるものである。
【0034】
印字データ格納処理部108は、少なくとも印字出力している間にプリンタ21の動作を監視するもので、プリンタ21に異常が発生した場合、印字制御部107から現在印字出力していた印字データを再印字データとして取得する。さらに印字データ格納処理部108は、許容操作設定部101を通じて現在実施可能に設定されている操作群の情報を取得し、この操作群に対応したファイル名で再印字データをメモリ110に格納する処理を行う。本実施の形態では、操作可能な操作群として利用者用操作群が設定されている場合、プリンタ21に異常が発生すると印字データ格納処理部108により、File0というファイル名で再印字データがメモリ110に格納される。同様に、特定管理者用操作群が設定されている場合にはFile1というファイル名、一般管理者用操作群が設定されている場合にはFile2というファイル名で印字データ格納処理部108により、それぞれ再印字データがメモリ110に格納される。
【0035】
再印字処理部109は、メモリ110に再印字データが格納されている場合、許容操作設定部101を通じて現在実施可能に設定されている操作群の情報を取得し、再印字データがこの操作群に対応付けられたものである場合、当該再印字データを印字制御部107に送出するものである。具体的には、操作可能な操作群として利用者用操作群が設定されている場合、再印字処理部109によりFile0というファイル名の再印字データが印字制御部107に送出される。同様に、特定管理者用操作群が設定されている場合にはFile1というファイル名、一般管理者用操作群が設定されている場合にはFile2というファイル名の再印字データが印字制御部107に送出されることになる。
【0036】
図4は、上述した電子マネーチャージ機の主制御部100において所定のサイクルタイム毎に繰り返し実施されるメイン処理の内容を示したフローチャートである。以下、この図を参照しながら電子マネーチャージ機の動作について説明する。
【0037】
<メイン処理>
上述した電子マネーチャージ機では、図示せぬ電源が投入されると、まず、主制御部100の許容操作設定部101によって利用者用操作群が設定され(ステップS1)、この利用者用操作群に含まれる操作が利用者用メニューとして表示部4に表示される(ステップS2)。この結果、電子マネーチャージ機の利用者は、表示部4に表示された利用者メニューから自身の所望とする操作を選択し、入力部5を通じてこれを指示することができるようになる。
【0038】
利用者用メニューを表示した主制御部100は、メモリ110に再印字用データが存在するか否かを確認し(ステップS3)、さらには利用者からの操作入力の有無(ステップS4)、管理者からの操作入力の有無を監視する(ステップS5)。尚、初回の起動時においては再印字用データが存在しないため、実質的には利用者及び管理者からの操作入力の有無を監視することになる。
【0039】
利用者用メニューを表示した状態において利用者が入力部5を通じて処理を選択すると(ステップS4:Yes)、主制御部100は、選択された処理を実行し(ステップS6)、さらに印字処理Aを実施する(ステップS200)。
【0040】
一方、利用者用メニューを表示した状態において管理者が入力部5を通じて管理モード移行操作を行うと(ステップS5:Yes)、主制御部100は、管理モード処理を実施する(ステップS300)。尚、管理モード移行操作は、管理者のみが知り得るように管理することが好ましい。
【0041】
<チャージ処理(利用者用操作群処理)>
例えば、ステップS4において選択された処理がチャージ処理である場合、主制御部100は、マネーカードに対して電子マネー情報をチャージするための処理を実施する。図5は、主制御部100が実施するチャージ処理の内容を示したフローチャートである。
【0042】
チャージ処理において主制御部100のチャージ処理部103は、予め設定した時間が経過するまでの間、読み書き制御部102を通じてリーダライタ13によりマネーカード載置台9にマネーカードが載置されているか否かを判断する(ステップS601,ステップS602)。尚、ステップS4においてチャージ処理が選択された場合には、チャージ処理を開始する旨の表示を行うとともに、マネーカードをマネーカード載置台9に載置させる操作を促すための表示を行うことが好ましい。予め設定した時間が経過するまでの間に、マネーカード載置台9にマネーカードが載置されない場合、あるいはリーダライタ13を通じてマネーカードが載置されていることを検出できなかった場合、主制御部100は、手順をリターンして今回の処理を終了する(ステップS601:No→ステップS602:Yes)。
【0043】
マネーカード載置台9にマネーカードが載置されたことを検出すると(ステップS601:Yes)、主制御部100のチャージ処理部103は、読み書き制御部102を通じてリーダライタ13によりマネーカードに対して記録情報の読み取りを実施し(ステップS603)、読み書きが可能なマネーカードか否かを判断する(ステップS604)。リーダライタ13によって読み書きを実施できないと判断した場合、主制御部100は、手順をリターンして今回の処理を終了する(ステップS604:No)。
【0044】
一方、マネーカード載置台9に載置されたマネーカードが正常なものであると判断した場合(ステップS604:Yes)、主制御部100は、表示部4に入金を行うための画面を表示し(ステップS605)、その後、予め設定した時間が経過するまでの間、入金待ちとなる(ステップS606,ステップS607)。設定時間までに入金操作が行われなかった場合、主制御部100は、手順をリターンして今回の処理を終了する(ステップS606:No→ステップS607:Yes)。
【0045】
これに対して設定時間までに利用者によって入金操作が行われ、これに伴って入金処理部12から入金情報が与えられると、主制御部100は、チャージ処理部103を通じて入金情報を適宜処理することにより、サーバ装置200,300,400に対してチャージ(決済)要求を送信し(ステップS608)、その後、サーバ装置200,300,400からの応答受信待ちとなる(ステップS609)。
【0046】
サーバ装置200,300,400から受信した応答がチャージ許可であった場合(ステップS609:Yes→ステップS610:Yes)、主制御部100は、チャージ処理部103を通じて読み書き制御部102に書き込み指令を送信し、入金額分を積み増した電子マネー情報をマネーカードに書き込む処理を実施する(ステップS611)。
【0047】
リーダライタ13によってマネーカードに電子マネー情報を書き込む間、主制御部100は、異常情報管理部106を通じてその処理を監視し、正常終了したか否かを判断する(ステップS612)。電子マネー情報の書き込み処理に異常を検知した場合、あるいは正常終了したか否かを判断できなかった場合(ステップS612:No)、主制御部100は、その異常に関わる異常情報をアラームデータとしてメモリ110に格納し(ステップS613)、その後に手順をステップS614に進める。
【0048】
これに対して電子マネー情報の書き込み処理が正常終了したと判断した場合(ステップS612:Yes)、主制御部100は、上述したステップS613の処理を経ることなく手順をステップS614に進める。この結果、メモリ110には、マネーカードに対する読み書き処理に異常が発生した場合にのみアラームデータが格納されることになる。
【0049】
尚、サーバ装置200,300,400からの応答がチャージ許可でない場合(ステップS609:Yes→ステップS610:No)、主制御部は、手順をリターンして今回の処理を終了する。
【0050】
上述した一連の処理が終了すると、主制御部100は、履歴管理部104を通じて履歴データの更新処理を実施する(ステップS614)。具体的には、ステップS614において主制御部100は、上述したように読み書き制御部102の実施したマネーカードに対する読み書き処理の履歴、及び入金処理部12を通じて取得した入金の履歴をメモリ110の履歴データに順次追加する処理を実施する。
【0051】
履歴管理部104を通じた履歴データの更新処理を終了した主制御部100は、利用者によるレシート発行の指示があるか否かを判断し(ステップS615)、指示があった場合にのみレシートデータを印字データとしてセットする処理を行い(ステップS616)、手順をリターンさせる。
【0052】
<印字処理A(U=0)>
上述のチャージ処理を終了した後、主制御部100の実施する印字処理Aでは、図6に示す処理が実施される。すなわち、図6の印字処理Aにおいて主制御部100は、まず、印字データがセットされている否かを判断する(ステップS201)。印字データは、例えば上述のチャージ処理の場合、ステップS615においてレシート発行の指示をした場合にのみセットされるレシートデータである。従って、チャージ処理においてレシート発行を指示しない場合には、ステップS201において直ちに手順がリターンされることになる。
【0053】
一方、チャージ処理においてレシート発行を指示した場合には、手順がステップS202に移行し、印字データに従った印字出力を行うべく印字制御部107によってプリンタ21に印字指令が与えられることになる。
【0054】
プリンタ21においてレシートを印字出力している間、主制御部100は、印字データ格納処理部108を通じてプリンタ21の動作を監視し、印字出力が正常に終了したか否かを判断する(ステップS203)。印字出力が正常に終了した場合、主制御部100は、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる(ステップS203:Yes)。この結果、前扉2の印字出力口8からレシートが排出され、今回のチャージ処理に関する内容が印字出力として利用者の手に渡ることになる。
【0055】
一方、印字出力している間に紙切れや紙詰まり等の異常が発生し、印字出力が正常終了していないと判断した場合(ステップS203:No)、主制御部100は、印字制御部107から現在印字出力していた印字データを再印字データとして取得し、この再印字データを現在のユーザ変数に対応するファイル名でメモリ110に格納する処理を実施する(ステップS204〜ステップS209)。今回は、チャージ処理のレシートを発行するための印字処理であるため、ユーザ変数Uは「0」のままである。すなわち、ステップS204において手順がステップS207に移行し、File0というファイル名で再印字データがメモリ110に格納されることになる。
【0056】
以下、同様の手順により、利用者用メニューが表示された状態において利用者が処理を選択すると、ステップS6→ステップS200の手順で処理が実施されることになる。尚、利用者が実施可能となる操作は、利用者用メニューに表示されたもののみ、つまり主制御部100の許容操作設定部101によって設定された利用者用操作群の操作のみであり、ユーザ変数Uは常に「0」である。
【0057】
<管理モード処理>
一方、管理モード処理において主制御部100は、図7に示すように、まず、パスワードの入力を促すべくパスワード入力画面を表示し(ステップS301)、その後、予め設定した時間が経過するまでの間、パスワードの入力待ちとなる(ステップS302,ステップS303)。設定時間が経過するまでの間にパスワードの入力がなかった場合、主制御部100は、手順をリターンして今回の処理を終了する(ステップS302:No→ステップS303:Yes)。
【0058】
これに対して設定時間内にパスワードが入力され(ステップS302:Yes)、認証が成立して管理者が特定された場合(ステップS304:Yes)、主制御部100は、特定された管理者が特定管理者であるか否かを判断する(ステップS305)。管理者の認証や特定管理者であるか否かの判断は、予めパスワードと管理者の種別とを対応付けて設定した管理者データベースとの比較によって実施すれば良い。尚、入力されたパスワードによって操作者を特定できなかった場合、主制御部100は、以降の処理を実施することなく手順をリターンさせる(ステップS304:No)。
【0059】
パスワードによって特定された管理者が特定管理者であった場合(ステップS305:Yes)、主制御部100は、許容操作設定部101を通じて特定管理者用操作群を設定し(ステップS306)、この特定管理者用操作群に含まれる操作を特定管理者用メニューとして設定する(ステップS308)。一方、パスワードによって特定された管理者が一般管理者であった場合(ステップS305:No)、主制御部100は、許容操作設定部101を通じて一般管理者用操作群を設定し(ステップS307)、この一般管理者用操作群に含まれる操作を一般管理者用メニューとして設定する(ステップS309)。その後、主制御部100は、設定されたメニューを表示部4に表示する(ステップS310)。この結果、電子マネーチャージ機の管理者は、表示部4に表示された特定管理者用メニュー及び一般管理者用メニューのいずれか対応するメニューから、自身の所望とする操作を選択し、入力部5を通じてこれを指示することができるようになる。
【0060】
特定管理者用メニューもしくは一般管理者用メニューを表示した主制御部100は、メモリ110に再印字用データが存在するか否かを確認し(ステップS311)、さらには管理者からの操作入力の有無を監視する(ステップS312,ステップS314)。再印字用データが存在した場合の処理については後述する。
【0061】
特定管理者用メニューもしくは一般管理者用メニューが表示された状態において管理者が入力部5を通じて処理を選択すると(ステップS312:Yes)、主制御部100は、選択された処理を実行し(ステップS313)、さらに印字処理Bを実行する(ステップS400)。
【0062】
<テスト印字処理(一般管理者用操作群処理)>
いま、パスワードで特定された管理者が一般管理者であるとし、ステップS312で選択された処理がテスト印字処理であった場合、主制御部100は、プリンタ21のテストを行うための処理を実施する。図8は、主制御部100が実施するテスト印字処理の内容を示したフローチャートである。
【0063】
テスト印字処理において主制御部100は、表示部4にテスト印字実行確認画面を表示し(ステップS701)、その後、予め設定した時間が経過するまでの間、一般管理者からの指示待ちとなる(ステップS702,ステップS703)。
【0064】
テスト印字実行確認画面が表示された状態において一般管理者が入力部5を通じて印字実行指令を与えると(ステップS702:Yes)、主制御部100は、予めメモリ110に格納されていたテスト印字用データを印字データとしてセットする処理を行い(ステップS704)、手順をリターンさせる。尚、予め設定した時間内に印字実行指令が入力されなかった場合には、印字データがセットされることなく今回の処理を終了する(ステップS702:No→ステップS703:Yes)。
【0065】
<精算処理(特定管理者用操作群処理)>
一方、パスワードで特定された管理者が特定管理者であるとし、ステップS312で選択された処理が特定管理者にのみ許容されている精算処理であった場合、主制御部100は、履歴データを集計するための処理を実施する。図9は、主制御部100が実施する精算処理の内容を示したフローチャートである。
【0066】
精算処理において主制御部100は、集計処理部105を通じてメモリ110に格納されている履歴データの読み出しを行う(ステップS801)。ステップS801で読み出される履歴データは、上述したように、履歴管理部104によって抽出された未集計のものである。その後、主制御部100は、読み出した履歴データの履歴を集計し(ステップS802)、さらに集計結果を印字データとしてセットする(ステップS803)。
【0067】
<印字処理B(精算処理直後以外)>
上述したテスト印字処理もしくは精算処理を終了した後、主制御部100の実施する印字処理Bでは、図10に示す処理が実施される。すなわち、図10の印字処理Bにおいて主制御部100は、まず、精算処理を実施した直後であるか否かを判断する(ステップS401)。精算処理を実施した直後でない場合(ステップS401:No)、主制御部100は、手順をステップS200に進め、上述した印字処理Aを実施する。
【0068】
<印字処理A(U=1もしくはU=2)>
上述のテスト印字処理を終了した後、主制御部100の実施する印字処理Aにおいても、主制御部100は、図6に示すように、まず、印字データ、つまりテスト印字用データがあるか否かを判断する(ステップS201)。テスト印字用データがセットされている場合、手順がステップS202に移行し、印字データに従った印字出力を行うべく印字制御部107によってプリンタ21に印字指令が与えられることになる。
【0069】
プリンタ21において印字出力している間、主制御部100は、印字データ格納処理部108を通じてプリンタ21の動作を監視し、印字出力が正常に終了したか否かを判断する(ステップS203)。印字出力が正常に終了した場合、主制御部100は、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる(ステップS203:Yes)。この結果、前扉2の印字出力口8からテスト印字結果が管理者の手に渡ることになり、プリンタ21の印字状態を確認することができるようになる。
【0070】
一方、印字出力している間に紙切れや紙詰まり等の異常が発生し、印字出力が正常終了していないと判断した場合(ステップS203:No)、主制御部100は、印字制御部107から現在印字出力していた印字データを再印字データとして取得し、この再印字データを現在のユーザ変数に対応するファイル名でメモリ110に格納する処理を実施する(ステップS204〜ステップS209)。今回は、テスト印字処理であるため、ユーザ変数Uは「2」となる。すなわち、ステップS206において手順がステップS209に移行し、File2というファイル名で再印字データがメモリ110に格納されることになる。
【0071】
尚、管理モード処理において特定管理者が精算処理以外の処理を実施した後の印字処理BにおいてもステップS401の判断がNoである場合、手順がステップS200に進み、上記と同様の印字処理Aが実施されることになる。但し、特定管理者が実施した処理に係る印字処理Aにおいては、ユーザ変数Uが「1」となる。従って、印字出力している間に紙切れや紙詰まり等の異常が発生し、印字出力が正常終了していないと判断した場合には(ステップS203:No)、ステップS205において手順がステップS208に移行し、File1というファイル名で再印字データがメモリ110に格納されることになる。
【0072】
<再印字処理>
ここで、上記のように種々の処理においてメモリ110に再印字データが格納された場合、これを従前のごとく、単にプリンタ21の正常復帰とともに直ちに印字出力したのでは、異なる操作者に対して再印字結果を出力する虞れがある。例えば、特定管理者が実施した処理であるにも関わらず、再印字の出力結果が一般管理者の手に渡った場合には、情報の管理上からも好ましいものとはいえない。
【0073】
そこで、本実施の形態の再印字処理では、図11に示す処理を実施している。すなわち、再印字処理において主制御部100の再印字処理部109は、まず、プリンタ21の異常が解消されるまで待機し(ステップS101)、プリンタ21の異常が解消された時点で(ステップS101:Yes)、現在のユーザ変数を確認する(ステップS102,ステップS103,ステップS104)。すなわち、主制御部100は、再印字処理を実施するに当たり、現在実施可能と設定されている操作群が何であるかを判断するようにしている。
【0074】
現在実施可能と設定されている操作群が利用者用操作群である場合、ステップS102において手順がステップS105に移行し、File0のというファイル名の再印字データが印字データとしてセットされ、これが印字制御部107に送出される。同様に、現在実施可能と設定されている操作群が特定管理者用操作群である場合、ステップS103において手順がステップS106に移行し、File1のというファイル名の再印字データが印字データとしてセットされて印字制御部107に送出される一方、現在実施可能と設定されている操作群が一般管理者用操作群である場合、ステップS104において手順がステップS107に移行し、File2のというファイル名の再印字データが印字データとしてセットされて印字制御部107に送出されることになる。
【0075】
上述したように、メモリ110に格納されている再印字データは、それぞれのファイル名が実施可能と設定されている操作群に対応付けたものである。従って、図4に示したメイン処理のステップS3の判断後において再印字処理を実施した場合には、利用者用操作群の操作で実施した処理に関わる再印字結果のみが出力される。同様に、図7に示した管理モード処理のステップS311の判断後において再印字処理を実施した場合にも、現在実施可能に設定されている操作群が特定管理者用操作群であれば、特定管理者用操作群の操作で実施した処理に関わる再印字結果のみが出力され、一般管理者用操作群が実施可能に設定されていれば、一般管理者用操作群の操作で実施した処理に関わる再印字結果のみが出力されることになる。これにより、同じ再印字処理を実施する場合であっても、異なる操作者に対して再印字結果が出力される虞れがなくなる。
【0076】
尚、再印字出力を実施した後、主制御部100は、該当するファイルをメモリ110から削除する処理を実施して今回の処理を終了する(ステップS109)。
【0077】
<印字処理B(精算処理直後)>
一方、図10に示した印字処理BのステップS401において主制御部100は、精算処理を実施した直後であると判断した場合(ステップS401:Yes)、手順をステップS402に進め、印字データがセットされているか否かを判断する。この場合の印字データは、精算処理を実施した際の集計結果である。
【0078】
印字データがセットされている場合(ステップS402:Yes)、主制御部100は、印字データに従った印字出力を行うべく印字制御部107を通じてプリンタ21に印字指令を与える(ステップS403)。プリンタ21において印字出力している間、主制御部100は、印字データ格納処理部108を通じてプリンタ21の動作を監視し、印字出力が正常に終了したか否かを判断する(ステップS404)。
【0079】
印字出力が正常に終了した場合、主制御部100は、次いでメモリ110にアラームデータが存在するか否かを判断する(ステップS405)。アラームデータは、上述したように、チャージ処理においてマネーカードに対する読み書き処理に異常が発生した場合にのみメモリ110に格納されるものである。アラームデータが存在しない場合(ステップS405:No)、主制御部100は、以降の処理を実施することなく今回の処理を終了する。この結果、特定管理者は、精算処理を実施した後の集計結果を印字出力として受け取ることができるようになる。
【0080】
これに対してアラームデータが存在した場合(ステップS405:Yes)、主制御部100は、アラームデータに従った印字出力を行うべく印字制御部107を通じてプリンタ21にアラームデータを与える(ステップS406)。この間においても主制御部100は、印字データ格納処理部108を通じてプリンタ21の動作を監視し、印字出力が正常に終了したか否かを判断する(ステップS407)。印字出力が正常に終了した場合(ステップS407:Yes)、主制御部100は、今回の処理を終了する。
【0081】
この結果、特定管理者は、利用者の実施したチャージ処理においてマネーカードに対する読み書き処理に異常が発生していた場合、精算処理の実施により、別途操作を要することなく精算処理を実施した後の集計結果とともに、読み書き処理の異常に係る情報を印字出力として受け取ることになる。従って、管理者側においてもマネーカードに対する電子マネー情報の書き込み処理に異常があったか否かを容易に、かつ確実に確認することができるようになる。
【0082】
ところで、印字処理Bにおいて印字出力している間に紙切れや紙詰まり等の異常が発生し、上述したステップS404もしくはステップS407において印字出力が正常終了していないと判断した場合(ステップS404:No、ステップS407:No)、主制御部100は、それぞれ手順をステップS500に進め、精算後再印字処理を実行する。
【0083】
<精算後再印字処理>
図12は、主制御部100が実施する精算後再印字処理の内容を示すものである。特定管理者用操作群の精算処理を実施した後に実施する集計結果もしくはアラームデータの印字出力が正常に終了していない場合、主制御部100の再印字処理部109は、印字制御部107から現在印字出力していた印字データを再印字データとして取得し、この再印字データを特定管理者用操作群に対応したファイル名File1でメモリ110に格納する(ステップS501)。再印字データをメモリ110に格納した後において主制御部100は、特定管理者からの再印字指令待ちとなる(ステップS502)。
【0084】
この状態から特定管理者が入力部5を通じて再印字指令を入力すると(ステップS502:Yes)、主制御部100は手順を進め、再印字処理を実行する(ステップS100)。
【0085】
精算後再印字処理において実施する再印字処理は、上述したものと同様である。すなわち、再印字処理において主制御部100の再印字処理部109は、まず、プリンタ21の異常が解消されるまで待機し(ステップS101)、プリンタ21の異常が解消された時点で(ステップS101:Yes)、現在のユーザ変数を確認する(ステップS102,ステップS103,ステップS104)。
【0086】
精算後再印字処理において現在実施可能と設定されている操作群は特定管理者操作群である。従って、ステップS103において手順がステップS106に移行し、File1のというファイル名の再印字データが印字データとしてセットされ、これが印字制御部107に送出される。これにより、精算処理直後の印字処理Bにおいて印字出力すべき集計結果、さらにはアラームデータが特定管理者に印字出力されることになる。尚、再印字出力を実施した後、主制御部100は、該当するFile1の再印字用データをメモリ110から削除する処理を実施して今回の処理を終了する(ステップS109)。
【0087】
このように精算後再印字処理においては、通常の再印字処理を実施する際に操作者である特定管理者に対して再印字の指令を入力させるようにしている。従って、例えばこの再印字の指令を入力するための操作を特定管理者のみが知り得るように管理すれば、仮にプリンタ21の異常が解消された状況下にあっても、精算処理の集計結果が誤って一般管理者に印字出力される事態を可及的に防止できるようになり、情報の管理上、きわめて有利となる。
【0088】
以上説明したように、上記電子マネーチャージ機によれば、チャージ処理においてマネーカードに対する読み書き処理に異常が発生していた場合、精算処理を実施することにより、別途操作を要することなく精算処理を実施した後の集計結果とともに、読み書き処理の異常に係る情報を印字出力として受け取ることになる。これにより、管理者側においてもマネーカードに対する電子マネー情報の書き込み処理に異常があったか否かを容易に、かつ確実に確認することができ、利用者に対して適正な対応を行うことが可能となる。
【0089】
尚、上述した実施の形態では、記録媒体処理装置としてマネーカードに電子マネーカード情報をチャージする電子マネーチャージ機を例示しているが、記録媒体に対してデータの書き込み処理を行うものであれば、その他のものにも適用することが可能である。
【0090】
また、上述した実施の形態では、非接触通信によってデータの読み書き処理を行うものを例示しているが、必ずしも非接触通信によってデータの読み書き処理を行うものである必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の形態である記録媒体処理装置の外観を概念的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した記録媒体処理装置において前扉2を開放した状態を概念的に示す斜視図である。
【図3】図1に示した記録媒体処理装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】図3に示した主制御部が実施するメイン処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】図3に示した主制御部が実施するチャージ処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】図3に示した主制御部が実施する印字処理Aの内容を示すフローチャートである。
【図7】図4に示した管理モード処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】図3に示した主制御部が実施するテスト印字処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】図3に示した主制御部が実施する精算処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】図7に示した印字処理Bの内容を示すフローチャートである。
【図11】図3に示した主制御部が実施する再印字処理の内容を示すフローチャートである。
【図12】図10に示した精算後再印字処理の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
13 リーダライタ
21 プリンタ
100 主制御部
102 読み書き制御部
103 チャージ処理部
104 履歴管理部
105 集計処理部
106 異常情報管理部
107 印字制御部
108 印字データ格納処理部
109 再印字処理部
110 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダライタを通じて記録媒体に対するデータの読み書き処理を行う読み書き制御手段と、記録媒体に対する読み書き処理の履歴を含む履歴データを記憶部に格納する履歴管理手段と、集計指令を受信した場合に前記記憶部に格納された履歴データに基づいて集計処理を実施する集計処理手段とを備えた記録媒体処理装置であって、
記録媒体に対する読み書き処理に異常が発生した場合、その異常に関わる異常情報を記憶部に格納する異常情報管理手段と、
前記記憶部に異常情報が格納されている状態において集計処理を実施した場合、該異常情報の出力処理を行う制御手段と
を備えることを特徴とする記録媒体処理装置。
【請求項2】
リーダライタを通じて記録媒体に対するデータの読み書き処理を行う読み書き制御手段と、記録媒体に対する読み書き処理の履歴を含む履歴データを記憶部に格納する履歴管理手段と、集計指令を受信した場合に前記記憶部に格納された履歴データに基づいて集計処理を実施する集計処理手段とを備えた記録媒体処理装置であって、
操作者に対して認証処理を実施し、該認証処理によって特定された操作者と予め設定した可否条件とに従って実施可能となる操作を設定する許容操作設定手段と、
印字データが与えられた場合に該印字データに従った印字出力を行うべくプリンタに印字指令を与える印字制御手段と、
少なくとも印字出力している間に前記プリンタの動作を監視し、該プリンタに異常が発生した場合、印字出力すべき印字データを現在実施している操作に対応付けた再印字データとして記憶部に格納する印字データ格納処理手段と、
前記記憶部に再印字データが格納され、かつこの再印字データが前記許容操作設定手段によって現在実施可能と設定されている操作と同じ操作に対応付けたものである場合、前記プリンタに異常がないことを条件に該再印字データを印字データとして前記印字制御手段に送出する再印字処理手段と、
記録媒体に対する読み書き処理に異常が発生した場合、その異常に関わる異常情報を記憶部に格納する異常情報管理手段と、
前記記憶部に異常情報が格納されている状態において集計処理を実施した場合、該異常情報を印字データとして前記印字制御手段に送出する制御手段と
を備えることを特徴とする記録媒体処理装置。
【請求項3】
前記リーダライタは、通信可能領域に配置された記録媒体に対して非接触通信によりデータの読み書きを行うものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録媒体処理装置。
【請求項4】
印字データが与えられた場合に該印字データに従った印字出力を行うべくプリンタに印字指令を与える印字制御手段を備え、
前記制御手段は、前記記憶部に異常情報が格納されている状態において集計処理を実施した場合、該異常情報を印字データとして前記印字制御手段に送出するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体処理装置。
【請求項5】
前記許容操作設定手段は、複数の操作を含んだ操作群を単位として実施可能であるか否かを設定するものであり、
前記印字データ格納処理手段は、前記プリンタに異常が発生した場合、印字データを現在実施可能と設定されている操作群に対応した識別名のファイルとして記憶部に格納するものであり、
前記再印字処理手段は、前記許容操作設定手段が現在設定している実施可能な操作群に対応した識別名のファイルが前記記憶部に格納されている場合、該ファイルを印字データとして前記印字制御手段に送出するものである
ことを特徴とする請求項2に記載の記録媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−110307(P2009−110307A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282359(P2007−282359)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】