説明

記録媒体

【課題】本発明は、従来の記録媒体よりも保存安定性に優れた記録媒体を実現すること課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明は、基板上に少なくとも、反射層、第1誘電体層、記録層、第2誘電体層、光透過層、をこの順に備え、上記記録層が記録時の加熱により分解することによって記録がなされる光記録媒体において、上記第2誘電体層と上記光透過層との間に第3誘電体層を有することを特徴とする光記録媒体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録層を加熱することにより記録を行う記録媒体に関する。特には、上記記録媒体がレーザー照射により記録を行い、かつ、記録層がレーザー加熱による記録層の到達温度において分解する物質を含有する追記型光記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
文書、音声、画像等の情報を記録するための記録媒体として、磁気材料、光磁気材料、有機色素材料、無機材料からなる相変化材料、等を記録層に用いる記録媒体が従来から知られている。
【0003】
これら記録媒体は、光照射や通電(電流を流すこと)に伴う記録層の加熱や、記録層への磁界の印加等の外部因子を記録層に与えることにより、記録層の物理的パラメータ、例えば、屈折率、電気抵抗、形状、体積、密度等を変化させる。そして、これらの記録媒体は、通常、上記外部因子を記録層に与える前後での上記物理的パラメータ値の差分を利用して情報の記録ひいては再生を行うものである。
【0004】
このような記録媒体の一例として、レーザー光の照射により記録を行う光記録媒体がある。この光記録媒体は、さらに、1回のみ記録が可能で書き換えが不可能な追記型光記録媒体と、繰り返し記録が可能な書き換え型光記録媒体に大別できる。このような光記録媒体のうち、近年、追記型光記録媒体が、情報の改竄が不可能な公文書等の記録に適していること、高速記録に適していること、また製造コストを安価にすることが可能であること等から注目されている。
【0005】
追記型光記録媒体の記録層には有機化合物を用いたものや、無機材料を用いた相変化型、合金化型、穴あけ型など多数の方式が提案されているが、これらの中で、特許文献1で開示されているような、記録層薄膜にガスを発生する無機物質を含有させ、レーザー照射による加熱でガスを発生させ、その時に生じる変形により記録を行う方式が、信号振幅が大きくとれること、また繰り返し記録を防止する不可逆性が高いことから有望である。
【0006】
特許文献1によれば、記録層として、記録時の加熱により記録層が到達する温度において分解する物質と化学反応又は相変化を起こすことのない物質とを含有していることで、良好な記録信号特性を得られる記録パワー範囲の広い追記型光記録媒体が得られる。
【0007】
【特許文献1】特開2006−18981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、上記追記型光記録媒体において、長時間の動画等の大容量データを記録・再生するために、従来と比較してさらなる情報の高密度化が可能となる追記型光記録媒体の開発が望まれている。
【0009】
本発明者の検討によれば、上記したさらなる高密度化が可能となる追記型光記録媒体を得ようとして、上記特許文献1に記載された技術を用いても、特に保存安定性において十分な特性を有する記録媒体が得られない場合があることが判明した。すなわち、記録層として記録時の加熱により分解する材料を用いた場合、記録層の光学変化と物理的形状変化の両方が同時に生じるため大きな信号振幅が得られ良好な信号特性が得られる一方で、記録層の物理的な形状変化が過度に大きいと、その変形部に局所的な応力がかかり高温高湿の環境下などで膜間の剥離が生じやすくなる傾向にあるのである。
【0010】
本発明の課題は、以上のような問題点を解決し、従来の記録媒体よりも保存安定性に優れた記録媒体を実現することにある。特に、従来の追記型光記録媒体よりも高密度記録が必要となる追記型光記録媒体において、優れた保存安定性と良好な記録信号特性の両立が可能な追記型光記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、記録層から見て反射層と反対側にある誘電体層を2層化することにより、優れた保存安定性と良好な記録信号特性の両立が可能な追記型光記録媒体の提供が可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、基板上に少なくとも、反射層、第1誘電体層、記録層、第2誘電体層、光透過層、をこの順に備え、前記記録層が記録時の加熱により分解することによって記録がなされる光記録媒体において、前記第2誘電体層と前記光透過層との間に第3誘電体層を有することを特徴とする光記録媒体を提供する。
【0013】
本発明においては、記録層を加熱することにより情報の記録を行う記録媒体において、記録層から見て反射層と反対側にある誘電体層を2層化する。具体的には、従来用いられている第2誘電体層に加え、所定の特性を有する第3誘電体層を記録層と反対側に新たに設けることにより、記録層の物理的な形状変化を抑制することが出来、保存安定性を向上させることが出来る。
【0014】
ここで、上記第3誘電体層の硬度が、上記第2誘電体層の硬度よりも高いことが好ましい。これにより、記録媒体の保存安定性を向上させることが出来る。
【0015】
また本発明においては、光記録に用いる光の波長において上記第3誘電体層の屈折率が、上記第2誘電体層の屈折率よりも低いことが好ましい。上記のようにすることにより、記録媒体の反射率の均一性を良好に保つことが出来るからである。
【0016】
さらに、本発明の記録媒体は、記録層が、記録時の加熱によって前記記録層が到達する温度において分解する物質Aと、化学反応又は相変化を起こさない物質Bを含有することが好ましい。高密度な光記録媒体においても広い範囲での記録パワーに対して良好な記録信号特性を得ることが可能となるからである。
【0017】
また、前記第3誘電体層が、Si、Y、Ce、Zr、Nb、Ta、Zn、Al、In、Snの群から選ばれる元素の酸化物、Si、Ge、Alの群から選ばれる元素の窒化物、もしくはこれらの混合物を含有することが好ましい。特に、前記第3誘電体層が、Siの酸化物とSiの窒化物との混合物を含有することがより好ましい。
【0018】
また、前記第3誘電体層のナノインデンテーション法を用いた硬度が8GPa以上であることが好ましい。このような硬度を有する第3誘電体層を用いることにより、良好な保存安定性を実現することが出来るからである。
【0019】
また、光記録に用いる光の波長において、前記第3誘電体層の屈折率と前記光透過層の屈折率との差が0.5以下であることが好ましい。これにより、記録媒体の反射率の均一性を良好に保つことが出来るからである。
【0020】
なお、本発明において「化学反応」とは、物質がそれ自身あるいは他の物質との相互作用によってほかの物質に変化する現象をいう。具体的には、「物質Bが化学反応を起こす」とは、物質Bが分解すること、又は、物質Bが他の物質と化合することをいう。ここで、「化合」とは、2種以上の元素の原子が互いに化学結合力によって結合することをいう。従って、「物質Bが化合する」とは、物質Bが他の元素の原子や物質等と結合することをいう。
【0021】
また、相変化における「相」とは、固相、液相、及び気相のいずれかを指す。従って、「相変化」とは、固相、液相、及び気相のうちのいずれか2つの相において、いずれか一方の相から他方への相への変化をいう。
さらに、「物質」とは、単一の元素又は複数の元素で構成される化合物をいい、常温(25℃)、常湿(50%RH)で通常固体となる性質を有するものをいう。
また、物質が「分解する」とは、物質が複数の元素で構成される化合物である場合においては「物質が2種以上のより簡単な物質に変化すること」をいう。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、優れた保存安定性と良好な記録信号特性の両立が可能な追記型光記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができることはいうまでもない。
【0024】
本発明の記録媒体は、基板上に少なくとも、反射層、第1誘電体層、記録層、第2誘電体層、光透過層、をこの順に備え、前記記録層が記録時の加熱により分解することによって記録がなされる光記録媒体において、前記第2誘電体層と前記光透過層との間に第3誘電体層を有することを特徴としている。
記録層が記録時の加熱により分解することによって記録がなされることを特徴とする記録媒体自体は、前述した通り既に提案されている(例えば、特許文献1に記載の記録媒体)。
【0025】
このような記録媒体は、記録層を加熱することにより屈折率や形状等の記録層の物理的パラメータを変化させ、この物理的パラメータの変化前後の差分を利用して情報の記録ひいては再生を行うものである。
【0026】
記録層の加熱は、例えば、記録媒体に局所的に光照射を行い、光照射によって発生する熱により記録層を加熱する方法(例えば、レーザー光の照射により記録媒体の記録層の加熱を行う方法)がある。また、記録層の加熱は、例えば、記録媒体に局所的に電圧を印加し、そのジュール熱により記録層を加熱する方法によって行ってもよい。記録層の加熱方法は特に限定されない。そして、記録層の加熱により到達した温度において記録層に含まれる物質を分解させて、屈折率、電気抵抗、形状、密度等の記録層の物理的なパラメータ値を変化させる。
【0027】
記録層として記録時の加熱により分解する材料を用いた場合、記録層の光学変化と物理的形状変化の両方が同時に生じるため大きな信号振幅が得られ良好な信号特性が得られる。一方で記録層の物理的な形状変化が過度に大きいと、その変形部に局所的な応力がかかり高温高湿の環境下などで膜間の剥離が生じやすくなる傾向にあり、結果として記録媒体の保存安定性が劣化することがある。
【0028】
[1]本発明に用いられる第2誘電体層及び第3誘電体層の特性
上記物理的形状変化を抑えるには、従来の記録媒体に対し、所定の特性を有する新たな誘電体層を設けることで可能となる。特に、硬度の高い材料からなる誘電体層を設けることが好ましい。このような誘電体層を新たに設けることで、記録層の物理形状の過度な変化を抑制することが可能であり、結果として膜間の剥離を防止し、保存安定性を向上させることが出来る。
【0029】
ただし、硬度の高い材料からなる誘電体層を記録層に直に接するように設けると、逆に記録層の記録時の変形を抑えすぎて振幅の低下や記録感度の低下など記録特性を悪化させてしまう傾向にある。
また、比較的硬度の低い材料を誘電体層に用いた場合でも、その膜厚を十分に厚くすることにより、物理的形状変化を抑え、保存安定性を向上させることは可能ではあるが、膜厚を過度に厚くした場合には膜厚の不均一から反射率の不均一が生じ現実的には使用できない。
【0030】
そのため、記録層上に比較的硬度の低い第2誘電体層を設け記録信号特性を維持し、さらに第2誘電体層上に比較的硬度が高く屈折率の低い第3誘電体層を適切な膜厚で設置することで、反射率の不均一を生じることなく過度の変形を抑制し記録信号の保存安定性を維持することが好ましい。すなわち誘電体層の2層化により記録信号特性と記録信号の保存安定性を併せ持つことが可能となる。
【0031】
第2誘電体層の好ましい硬度の範囲は、ナノインデンテーション硬度で2GPa以上8GPa以下、より好ましくは2.5GPa以上7.5GPa以下、最も好ましくは3GPa以上7GPa以下である。この範囲であれば良好な記録特性を得ることができる。
第3誘電体層の好ましい硬度の範囲は、ナノインデンテーション硬度で8GPa以上30GPa以下、より好ましくは9GPa以上25GPa以下、最も好ましくは10GPa以上20GPa以下である。この範囲であれば良好な記録信号の保存安定性が得られる。
第3誘電体層のナノインデンテーション硬度は、第2誘電体層のナノインデンテーション硬度の1.5倍以上が好ましい。また、通常は10倍以下である。
【0032】
本発明において硬度測定はナノインデンテーション法を用いた。硬度測定には一般にマイクロビッカース硬度測定法が使用されることが多いが、マイクロビッカース硬度測定法ではスパッタリングにより成膜された厚さ1μm以下の無機物の硬度を正確に測定することは困難である。これは下地の影響を強く受けてしまうことや薄膜に割れが生じやすいことによる。
【0033】
それに比して、ナノインデンテーション法は、微小なダイヤモンド圧子をAFM(Atomic Force Microscope 原子間力顕微鏡)と組み合わせて、薄膜に押し込みながら変形中の荷重と変位を精密に測定することができる方法である。圧子の押し込み深さを数十nmとごく微小な深さにしても測定が可能であるため、押し込み深さを膜厚の1/10程度とすることで基板の影響なく薄膜硬度の測定が可能である。
【0034】
本発明におけるナノインデンテーション法による硬度は、Siウェハー上にスパッタリングにより400nm程度の膜厚で成膜した試料を用意し、この試料に対してHysitron社製Triboscopeを用いて、押し込み深さが40nm以下となるように荷重を設定して測定をおこなった。
【0035】
また第2、3誘電体層の光学的特性については、第3誘電体層が第2誘電体層より屈折率の低い材料からなることが好ましい。第2、3誘電体層はその厚みを変化させると光学干渉効果により媒体の反射率が変化する。
一般に媒体内で各層の膜厚を厳密に均一とすることは製造上困難であり、膜厚の不均一から媒体内の反射率の不均一が生じる。屈折率の低い材料は膜厚変化に対する反射率変化の比率が小さいため反射率の不均一を低減するのに有効である。
【0036】
しかしながら、記録層と接する第2誘電体層においては、硬度の他、膜応力の低さ、断熱性、温度による体積膨張率の低さなど求められる機能が多く、これらの機能を満足する材料を選択するとZnSとSiOの混合物(屈折率2.3)など2.1〜2.7程度の屈折率となることが多い。
これに対して、第3誘電体層に求められる機能は硬度が主であり、適切な屈折率をもつ材料の選択が可能である。従って第3誘電体層の屈折率は好ましくは2.1以下、より好ましくは1.9以下である。この範囲であれば媒体内の反射率均一性を維持することが可能である。なお第3誘電体層の屈折率の下限については特に限定はないが通常1.3以上となる。
【0037】
第3誘電体層の屈折率は第2誘電体層の屈折率より小さいことが好ましく、その差が0.3以上であることが好ましく、0.4以上であることがさらに好ましい。
また、第3誘電体層の屈折率と光透過層との屈折率の差は0.5以下であることが好ましい。第3誘電体層の屈折率と光透過層の屈折率とが近い値であると光学干渉の効果が小さくなり、第3誘電体層の膜厚変化による反射率変化が小さく、媒体内の反射率均一性を維持できる。
なお本発明においては、屈折率の測定はSiウェハー上に20nmから60nmの膜厚で成膜した試料をエリプソメトリー(偏光解析)によって測定した。
【0038】
本発明に用いられる第3誘電体層の材料は、上記特性を有する物質であれば特に限定されるものではない。このため、記録層や第2誘電体層、光透過層等の材料、あるいはこれらの膜厚など、記録媒体全体の設計に応じて種々選択することができる。好ましい記録媒体の設計については、後述する追記型光記録媒体の例としてさらに詳しく説明する。
【0039】
なお、追記型光記録媒体は、本発明に用いる記録媒体の好ましい一例である。従って、以下における本発明に関する説明は、追記型光記録媒体への適用に限定されるものではない。つまり、本願発明の光記録媒体が、追記型光記録媒体以外の記録媒体への適用が可能であることはいうまでもない。
【0040】
[2]追記型光記録媒体の実施態様の一例
本発明において好ましい態様である追記型光記録媒体は、基板上に少なくとも、反射層、第1誘電体層、記録層、第2誘電体層、第3誘電体層、光透過層、をこの順に備える光記録媒体において、前記記録層が記録時の加熱により分解することによって記録がなされることを特徴とする光記録媒体である。以下、追記型光記録媒体の層構成について具体例を挙げて詳しく説明するが、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
【0041】
図1は本発明に用いることができる追記型光記録媒体の一例を示す拡大断面図である。図1に示すようにこの追記型光記録媒体は基板1上に反射層2、第1誘電体層3、記録層4、第2誘電体層5、第3誘電体層6、光透過層7をこの順序で順次積層して構成されており、光透過層7側からレーザー光を入射して記録及び再生を行うものである。
【0042】
層構成は図1の構成に限定する必要はない。例えば、図2に示すように、図1の構成から反射層2と第1誘電体層3との間に拡散防止層8を設けた層構成を採用することもできる。あるいは基板1と反射層2の間に下地層9を設けた層構成を採用することもできる。あるいは記録層4と第1誘電体層3との間に密着層10を設けた層構成を採用することもできる。さらには、図3に示すように第1誘電体層3を密着層10で置き換える層構成(当然ながら、第2誘電体層5を密着層10で置き換えてもよいことはいうまでもない。)を採用することもできる。ここで、求められる性能に応じて上記層構成と適宜組み合わせてよいことはいうまでもない。
【0043】
また図4に示すように図1で示す層構成を基板に対して逆順に積層することにより、基板面入射型光記録媒体とした層構成を採用することもできる。この場合、基板最表面には光透過層の代わりに保護コート層11を設ける構成となる。また、基板面入射型光記録媒体において、上記拡散防止層8や上記密着層10等を適宜用いてもよいことはいうまでもない。以下、各層について詳しく説明する。
【0044】
(1)基板1
本発明の追記型光記録媒体に用いられる基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィンなどの樹脂;ガラス;アルミニウム等の金属;を用いることができる。通常、基板には深さ15〜250nm程度の案内溝が設けられているので、案内溝を成形によって形成できる樹脂製の基板が好ましい。また、記録再生用の集束光ビームが基板側から入射する、いわゆる基板面入射(図4参照)の場合は、基板は透明であることが好ましい。
このような基板の厚さは、用途に応じて適宜決定されるものであり、通常下限が0.3mm以上、好ましくは0.5mm以上であり、上限が通常3mm以下、好ましくは2mm以下である。
【0045】
(2)反射層2
反射層2は、Ag又はAg合金の他、例えばAl、Au及びこれらを主成分とする合金など種々の材料を用いることができる。
反射層の材料としては、熱伝導率が高く放熱効果が大きいAgあるいはAlを主成分とする合金を用いるのが好ましい。
【0046】
本発明に適した反射層の材料をより具体的に述べると、純Ag、又はAgにTi、V、Ta、Nb、W、Co、Cr、Si、Ge、Sn、Sc、Hf、Pd、Rh、Au、Pt、Mg、Zr、Mo、Cu、Nd、Bi及びMnからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むAg合金を挙げることができる。経時安定性をより重視する場合には、添加成分としてTi、Mg、Au、Cu、Nd、Bi又はPdを1種類以上用いることが好ましい。
【0047】
また、反射層の材料の他の好ましい例としては、AlにTa、Ti、Co、Cr、Si、Sc、Hf、Pd、Pt、Mg、Zr、Mo及びMnからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むAl合金を挙げることができる。これらの合金は、耐ヒロック性が改善されることが知られているので、耐久性、体積抵抗率、成膜速度等を考慮して用いることができる。
【0048】
上記AgやAlに含有させる他の元素の量は、通常0.1原子%以上、好ましくは0. 2原子%以上である。Al合金に関しては、上記元素の含有量が少なすぎると、成膜条件にもよるが、耐ヒロック性が不十分であることが多い。一方、上記元素の含有量は、通常5原子%以下、好ましくは2原子%以下、より好ましくは1原子%以下である。多すぎると反射層の抵抗率が高くなる(熱伝導率が小さくなる)場合がある。
【0049】
Al合金を用いる場合は、Siを0〜2重量%、Mgを0.5〜2重量%、Tiを0〜0.2重量%含有するAl合金を使用することもできる。Siは微細剥離欠陥を抑制するのに効果があるが、含有量が多すぎると経時的に熱伝導率が変化することがあるので、通常2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下とする。またMgは、反射層の耐食性を向上させるが、含有量が多すぎると経時的に熱伝導率が変化することがあるので、通常2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下とする。Tiの含有量は、通常0.2重量%以下とする。Tiは、スパッタリングレートの変動を防ぐという効果がある。但し、Tiの 含有量が多すぎると、反射層の熱伝導率が低下するとともに、Tiがミクロレベルで均一に固溶したバルクの鋳造が困難となり、ターゲットコストを上昇させる傾向がある。このため、Tiの含有量を上記範囲とすることが好ましい。
【0050】
反射層の厚さは、通常40nm以上、好ましくは50nm以上、一方、通常300nm以下、好ましくは200nm以下とする。膜厚が厚すぎると、面積抵抗率を下げることはできても十分な放熱効果は得られないのみならず、記録感度が悪化しやすい。これは、単位面積当たりの熱容量が増大しそれ自体の放熱に時間がかかってしまい、放熱効果がかえって小さくなるためと考えられる。また、膜厚を厚くするに従って成膜に時間がかかり、材料費も増える傾向にある。また、膜厚が薄すぎると、膜成長初期の島状構造の影響が出やすく、反射率や熱伝導率が低下することがある。
【0051】
反射層は通常スパッタリング法や真空蒸着法で形成されるが、ターゲットや蒸着材料そのものの不純物量や成膜時に混入する水分や酸素量も含めて、全不純物量を2原子%未満とするのが好ましい。このために反射層をスパッタリング法によって形成する際、プロセスチャンバの到達真空度は1×10−3Pa未満とすることが望ましい。
【0052】
また、10−4Paより悪い到達真空度で成膜する場合、成膜レートを1nm/秒以上、好ましくは10nm/秒以上として不純物が取り込まれるのを防ぐことが望ましい。あるいは、意図的な添加元素を1原子%より多く含む場合は、成膜レートを10nm/秒以上として付加的な不純物混入を極力防ぐことが望ましい。
【0053】
さらなる高熱伝導と高信頼性を得るために反射層を多層化することも有効である。この場合、少なくとも1層は全反射層膜厚の50%以上の膜厚を有する上記材料とするのが好ましい。通常、この層は実質的に放熱効果を司り、他の層が耐食性や保護層との密着性、耐ヒロック性の改善に寄与するように構成される。
【0054】
(3)第1誘電体層3
第1誘電体層3は、通常、以下の3つの役割を有する。すなわち、記録層での記録時に発生する熱が基板などの他の層に拡散するのを防止する役割、光記録媒体の反射率を干渉効果により制御する役割、及び、高温・高湿環境下での水分を遮断するバリア層としての役割である。
【0055】
第1誘電体層を形成する材料としては、例えば、Sc、Y、Ce、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、Al、Cr、In、Si、Ge、Sn、Sb、及びTe等の酸化物;Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Sb、及びPb等の窒化物;Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Zn、B、Al、Ga、In、及びSi等の炭化物;を挙げることができる。さらに、これら酸化物、窒化物及び炭化物の混合物を挙げることができる。また、誘電体材料としては、Zn、Y、Cd、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、及びBi等の硫化物、セレン化物もしくはテルル化物、Mg、Ca等のフッ化物、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0056】
これら材料の中でも、ZnS−SiO、SiN、Ta、YS等が成膜速度の速さ、膜応力の小ささ、温度変化による体積変化率の小ささ及び優れた耐候性から広く利用される。
【0057】
第1誘電体層3の膜厚は、通常2nm以上、好ましくは4nm以上、より好ましくは6nm以上とする。一方、第1誘電体層3の膜厚は、通常100nm以下、好ましくは80nm以下である。この範囲とすれば、上記機能を確保しやすくなる。
【0058】
第1誘電体層は通常スパッタリング法で形成されるが、ターゲットそのものの不純物量や成膜時に混入する水分や酸素量も含めて、全不純物量を2原子%未満とするのが好ましい。このために第1誘電体層をスパッタリング法によって形成する際、プロセスチャンバの到達真空度は1×10−3Pa未満とすることが望ましい。
【0059】
(4)記録層4
本発明に用いられる記録層は、記録時の加熱により分解することが必要とされる。好ましくは、記録時の加熱によって記録層が到達する温度において分解する物質Aと、記録時の加熱によって記録層が到達する温度において化学反応又は相変化を起こすことのない物質Bとを含有するものである。
【0060】
本発明においては、記録層に含有させる物質A及び物質Bの関係を以下のようにすることが好ましい。すなわち、物質Aを1200℃以下に分解温度をもつ物質とし、物質Bを1500℃以下には分解温度及び融点をもたない物質とすることが好ましい。
【0061】
物質A及び物質Bとして用いる材料は、本発明における所定の性質を満足するものであれば特に限定されない。上記性質を満足しやすいという理由から、物質A、物質Bともに無機物質を用いることが好ましい。無機物質は、記録層の昇温によって分解する物質及び記録層の昇温によって分解することなく安定に存在する物質がそれぞれ得やすい利点がある。
【0062】
より具体的には、物質A及び物質Bはそれぞれ、窒化物及び/又は酸化物であることが好ましい。窒化物及び酸化物は、粒径が小さく記録信号のノイズを低減可能である点、適切な光学定数(屈折率及び消衰係数)をもつものが選択できる点で優れているからである。
【0063】
また物質Aとして、分解温度に達すると気体窒素又は気体酸素を放出する窒化物及び/又は酸化物を用いれば、このときの体積変化により記録層に大きな変形を生じさせること、また同時に大きな光学変化を生じさせることにより大きな信号振幅が得られるようになる。
【0064】
また物質Bとして、記録時の加熱によって記録層が到達する温度において化学反応又は相変化を起こすことのない(好ましくは、分解温度及び融点が1500℃以上の)酸化物及び/又は窒化物を用いれば、極めて安定な物質を選択することが可能となる。さらに、これらの物質は他の物質との反応性も低いため、極めて安定な記録媒体の作製が可能となる。
【0065】
上述したように物質A及び物質Bとしては、窒化物及び/又は酸化物を用いることが好ましい。物質Aとしては窒化物のみ、酸化物のみ、窒化物及び酸化物の混合物、いずれかを選択することができる。同様に、物質Bとしては窒化物のみ、酸化物のみ、窒化物及び酸化物の混合物、いずれかを選択することができる。
【0066】
物質Aとしては、記録時の加熱によって記録層が到達する温度(例えば、1200℃)以下に分解温度をもつ金属の窒化物又は半導体の窒化物を用いることが好ましい。このような窒化物としては、Cr、Mo、W、Fe、Ge、Sn、及びSbからなる群から選ばれる1つの元素の窒化物を挙げることができる。これらの中で、安定性、記録後のノイズの低さといった点から、Mo、Ge、Sn、及びSbの窒化物が好ましく、Sn、Sbの窒化物が特に好ましい。
【0067】
また、物質Aとしては、記録時の加熱によって記録層が到達する温度(例えば、1200℃)以下に分解温度をもつ金属の酸化物又は半導体の酸化物を挙げることもできる。このような酸化物としては、Ir、Au、Ag、及びPtからなる群から選ばれる1つの元素の酸化物を用いることが好ましい。これらの中で、Au、Ag、Ptの酸化物が安定性、記録後のノイズの低さといった点で特に好ましい。
【0068】
これら、金属の窒化物、半導体の窒化物、金属の酸化物、半導体の酸化物は、記録時に記録層が到達する温度において、窒素又は酸素を放出し、金属又は半導体単体に分解する。
【0069】
一方、物質Bとしては、記録時の加熱によって記録層が到達する温度において化学反応又は相変化を起こすことのない(好ましくは、1500℃以下には分解温度及び融点をもたない)金属の窒化物又は半導体の窒化物を用いることが好ましい。このような窒化物としては、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Al、及びSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素の窒化物を挙げることができる。これらの中で、安定性や安価である点から、Ti、V、Nb、Ta、Al、及びSiの窒化物が好ましく、Ti、V、Nb、Ta、Siの窒化物が特に好ましい。最も好ましくは、V、Nbである。
【0070】
また、物質Bとしては、記録時の加熱によって記録層が到達する温度において化学反応又は相変化を起こすことのない(好ましくは、1500℃以下には分解温度及び融点をもたない)金属の酸化物又は半導体の酸化物を挙げることもできる。このような酸化物としては、Zn、Al、Y、Zr、Ti、Nb、Ni、Mg、及びSiからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物を用いることが好ましい。これらの中で、Zn、Al、Y、Zr、Nb、Siの酸化物が安定性、記録後のノイズの低さといった点で特に好ましい。
【0071】
物質A及び物質Bが、それぞれ窒化物及び/又は酸化物で構成される場合には、物質Aの構成元素のうち窒素及び酸素以外の元素αと、物質Bの構成元素のうち窒素及び酸素以外の元素βとが、0.03≦(βの原子数)/((αの原子数)+(βの原子数))≦0.95の関係を満たすことが好ましい。つまり、記録層中に存在する元素βの原子数が、元素αの原子数と元素βの原子数との合計に対して、0.03以上、0.95以下となることが好ましい。(βの原子数)/((αの原子数)+(βの原子数))は、0.03以上とするのが好ましいが、0.05以上とすることがより好ましい。この範囲とすることにより、物質Bを添加した効果が十分にあらわれるようになる。一方、(βの原子数)/((αの原子数)+(βの原子数))は、0.95以下とすることが好ましいが、0.9以下とすることがより好ましく、0.8以下とすることがさらに好ましく、0.7以下とすることが特に好ましい。この範囲とすることにより記録信号の振幅が十分にとれるようになる。
【0072】
本発明において、記録層の消衰係数は、用途に応じて適宜決定されるものであるが、記録層の消衰係数の下限は、記録再生に用いるレーザーの波長において、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上とする。この範囲とすれば、記録層での入射レーザー光の吸収が十分となり記録感度が良好になる。一方、上記消衰係数の上限は、好ましくは1.6以下、より好ましくは1.4以下、特に好ましくは1.2以下とする。この範囲とすれば、記録層での光吸収が大きすぎて十分な反射率を得ることができなくなるということがなくなる。
なお、本発明において、消衰係数の測定は、屈折率とともにエリプソメトリーにより測定することができる。
【0073】
また、記録層の膜厚は、用途に応じて適宜決定されるものである。記録層の膜厚の下限は、通常4nm以上、好ましくは6nm以上とする。この範囲とすることにより、入射したレーザー光の吸収が大きくなり感度が良好となる上、記録信号の振幅も十分にとれるようになる。一方、記録層の膜厚の上限は、通常30nm以下、好ましくは25nm以下、より好ましくは20nm以下とする。この範囲とすることにより、記録層での吸収が大きくなりすぎて反射率が低下するということがなくなる、あるいは、ガス放出量が大きくなりすぎて物質B(好ましくは、1500℃以下に分解温度及び融点をもたない窒化物あるいは酸化物)を添加した効果が小さくなるということがなくなる。
【0074】
本発明において記録層は、通常スパッタリング法によって製造される。例えば、真空チャンバー内で微量のArガスを流して所定の真空圧力にして、物質Aからなるターゲットと物質Bからなるターゲットとに、電圧を加え放電させ成膜するスパッタリング法によって製造することができる。また、例えば、真空チャンバー内で微量のArガスを流して所定の真空圧力にして、物質Aと物質Bとの混合物からなるターゲットに、電圧を加え放電させ成膜するスパッタリング法によって製造することができる。
【0075】
物質A及び物質Bとして、金属の窒化物や酸化物、又は半導体の窒化物や酸化物を用いる場合には、以下の反応性スパッタリング法による製造方法を用いることもできる。すなわち、真空チャンバー内で微量のAr、N又はOの混合ガスを流し、所定の真空圧力にする。そして、その窒化物又は酸化物が物質Aとなるような金属又は半導体と、その窒化物又は酸化物が物質Bとなるような金属又は半導体との混合物からなるターゲットに電圧を加え放電させる。そして、弾きだされた金属又は半導体の複合をNまたはOにて反応させて窒化物又は酸化物にして成膜することにより、反応性スパッタリングを行う。
また、混合物のターゲットを用いず、複数の単体のターゲットから同時に放電させるコスパッタリング法により形成してもよい。
【0076】
(5)第2誘電体層5及び第3誘電体層6
本発明に用いられる第2誘電体層及び第3誘電体層の特性については上記[1]で述べた通りである。第2誘電体層に用いられる具体的な材料は、上記第1誘電体層の場合(3)と同様である。第3誘電体層の材料については、第2誘電体層の材料を適宜選択した後に、前記所定の特性を有する材料を選択すれば良い。具体的には、例えば上記第1誘電体層の場合に挙げられている材料の中から選択することが可能であり、Si、Y、Ce、Zr、Nb、Ta、Zn、Al、In、Snの群から選ばれる元素の酸化物、Si、Ge、Alの群から選ばれる元素の窒化物、もしくはこれらの混合物が好ましく、特に好ましい材料としてはSiの酸化物と窒化物の混合からなるSi−O−Nが挙げられる。
【0077】
Si−O−N膜も通常スパッタリング法によって製造される。例えば、真空チャンバー内で微量のArガスを流して所定の真空圧力にして、Si−O−Nからなるターゲットに、電圧を加え放電させ成膜するスパッタリング法によって製造することができる。
また、反応性スパッタリング法による製造方法を用いることもできる。すなわち、真空チャンバー内で微量のAr、N又はOの混合ガスを流し、所定の真空圧力にする。そして、Siからなるターゲットに電圧を加え放電させる。そして、弾きだされた金属又は半導体の複合をN又はOにて反応させて窒化物又は酸化物にして成膜することにより、反応性スパッタリングを行う。
【0078】
Si−O−Nの組成比については(SiO(2−x)(Si(4−y)(1−z)と表したとき、0≦x≦0.4、0≦y≦0.6、0≦z≦1の範囲内であることが好ましい。
【0079】
第2誘電体層の好ましい膜厚の範囲は5nm以上55nm以下、さらに好ましくは10nm以上50nm以下、最も好ましくは15nm以上45nm以下である。第3誘電体層の好ましい膜厚の範囲は2nm以上30nm以下、より好ましくは3nm以上25nm以下、最も好ましくは4nm以上20nm以下である。この範囲であれば記録信号の保存安定性と反射率均一性の両立が可能である。
【0080】
(6)光透過層7
光透過層7は、スパッタ膜を水分や塵埃から保護すると同時に薄い入射基板としての役割も必要とされる。したがって、記録・再生に用いられるレーザー光に対して透明であると同時にその厚さは50μm以上150μm以下が好ましい。また、光透過層7の膜厚分布は、光記録媒体内で5μm以内の均一な厚み分布を実現することが好ましい。光透過層7は、通常、紫外線硬化樹脂をスピンコート法により塗布した後硬化することで、あるいは透明シートを貼り合せることで形成される。
【0081】
(7)拡散防止層8
拡散防止層8は、第1誘電体層3に用いられる誘電体の成分の金属反射層2への拡散 を防止することを一目的とする。反射層2には優れた熱伝導性や経済性の点から銀または銀合金が広く利用されている。一方で第1誘電体層3としては成膜後の膜応力が小さいこと、耐熱性に優れていること、成膜レートが速いこと、等からZnS−SiOが広く利用されている。この両者を図2に示すように反射層2、第1誘電体層3と直接に接して設けた場合、第1誘電体層3のZnS−SiO中の硫黄が銀または銀合金からなる反射層2へと拡散し、反射率の低下、あるいは反射層の熱伝導度の低下といった弊害を招くおそれがある。このため拡散防止層8を設けることで、上記拡散を防止し保存安定性を向上させることが好ましい。
【0082】
したがって、拡散防止層8の材料は、それ自身が極めて安定であり、反射層材料(特に銀又は銀合金)に対して拡散しにくい(特に銀又は銀合金との物質や固溶体を形成しにくい)材料を用いる。他方で、拡散防止層8の材料は、第1誘電体層に含まれる硫黄との反応性が低いか、その硫化物が化学的に安定なものが用いられる。
【0083】
拡散防止層8の材料としては、反射層内に拡散しにくい、反射層との密着性がよい、誘電体層材料を拡散しにくい、誘電体層との密着性がよい、等の条件を満たすものが好ましい。これらの条件を満たす限り、拡散防止層8の材料は、金属、半導体、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、半導体酸化物、半導体窒化物、半導体炭化物、フッ化物、非晶質カーボン等などの単体もしくは混合物から適宜選択して用いることができる。上記条件を満たす金属及び半導体としては、例えばSi、Ti、Cr、Ta、Nb、Pd、Ni、Co、Mo、W等が挙げられる。これらの中でCr、Ta、Nb、Ni、Moが密着性及び反射層と反応性が低い点で好ましい。また化合物としてはSiN、SiO、SiC、GeN、ZnO、Al、Ta、TaN、Nb、ZrO、希土類元素酸化物、TiN、CrN、CaF、MgF等が挙げられる。これらの中ではSiN、GeN、ZnO、Nbが密着性及び反射層と反応性が低い点で好ましい。
【0084】
以上単体からなる例を挙げたが、これらの混合物を挙げることもできる。このような物質の代表例としてGe−Nを用いた例を示すと、Ge−Si−N、Ge−Sb−N、Ge−Cr−N、Ge−Al−N、Ge−Mo−N、Ge−Ti−N等が挙げられる。すなわち、Geとともに、Al、B、Ba、Bi、C、Ca、Ce、Cr、Dy、Eu、Ga、In、K、La、Mo、Nb、Ni、Pb、Pd、Si、Sb、Sn、Ta、Te、Ti、V、W、Yb、Zn、及びZr等を含有したものが挙げられる。
【0085】
拡散防止層8は1層のみから構成されていても、2層以上からなる多層構造であってもよい。また、拡散防止層8は通常スパッタリング法又は反応性スパッタリング法により形成される。
このような拡散防止層8の厚さは、用途に応じて適宜決定されるものであり、通常下限が1nm以上、好ましく2nm以上であり、上限が20nm以下、好ましくは10nm以下である。
【0086】
(8)下地層9
下地層9は、通常、基板1と反射層2の間の剥離を抑制する効果がある。このため、より耐候性に優れた記録媒体を得ることが可能となるので、下地層9を基板1と反射層2との間に設けることが好ましい。前述のとおり、下地層9は、温度変化時に生じる基板1と反射層2の界面で膜剥離を抑制する目的で形成されている。
【0087】
下地層9の材料は、上記目的を満たすものであれば特に制限されない。例えば、下地層9の材料としては、基板1及び反射層2に対し良好な密着性をもち、反射層2を腐蝕させず、また反射層2に対して拡散せず、成膜表面の平坦性に優れたものが好ましい。下地層9の材料は、上記条件を満たす限り、金属、半導体、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、半導体酸化物、半導体窒化物、半導体炭化物、フッ化物、非晶質カーボン等などの単体もしくは混合物から適宜選択して用いることができる。上記を満たす金属及び半導体としては、例えばSi、Ti、Cr、Ta、Nb、Pd、Ni、Co、Mo、W等が挙げられる。これらの中でCr、Ta、Nb、Niが密着性及び反射層と反応性が低い点で好ましい。また、化合物としてはSiN、SiO、SiC、GeN、ZnO、Al、Ta、TaN、Nb、ZrO、希土類元素酸化物、TiN、CrN、CaF、MgF等が挙げられる。これらの中ではSiN、GeN、ZnO、Nbが密着性及び反射層と反応性が低い点で好ましい。
【0088】
以上単体からなる例を挙げたが、これらの混合物を挙げることもできる。このような物質の代表例としてGe−Nを用いた例を示すと、Ge−Si−N、Ge−Sb−N、Ge−Cr−N、Ge−Al−N、Ge−Mo−N、Ge−Ti−N等を挙げることができる。すなわち、Geとともに、Al、B、Ba、Bi、C、Ca、Ce、Cr,Dy、Eu、Ga、In、K、La、Mo、Nb、Ni、Pb、Pd、Si、Sb、Sn、Ta、Te、Ti、V、W、Yb、Zn、及びZr等を含有したものが挙げられる。
【0089】
また下地層9は必ずしも単一材料の1層構成である必要はなく、複数の材料を積層した多層構造であってもよい。例えば基板上にZnS−SiOの混合物、Ge−Ce−Nを積層した2層構成が考えられる。この構成ではZnS−SiOが基板との密着性に優れ、さらにGe−Cr−Nが存在することで反射層に銀や銀合金を用いた場合においてもZnS−SiO中の硫黄による腐蝕を防止することができる。
【0090】
下地層9は基板1上に均一に形成される厚さで十分であり、逆に厚くなると製造コスト・製造時間の増大の他、基板1の溝形状の変化などが生じる。よって膜厚は2nm以上20nm以下が好ましい。また他の層と同じくスパッタリング法又は反応性スパッタリング法により作製する。
【0091】
(9)保護コート層11
基板面入射型の追記型光記録媒体とする場合は、図4に示すように、その最表面側に、空気との直接接触及び異物との接触による傷を防ぐため、保護コート層11を設けるのが好ましい。保護コート層11の材料は、上記機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機材料や、SiO、SiN、MgF、SnO等の無機材料を用いることができる。
【0092】
保護コート層11は、通常スピンコート法やキャスト法等の塗布法、又はスパッタリング法等により形成される。保護コート層11の材料として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いる場合は、適当な溶剤に溶解して塗布し、乾燥することにより形成される。UV硬化性樹脂を用いる場合は、そのままか、適当な溶剤に溶解して塗布し、UV光を照射して硬化させることにより形成される。これらの材料は1種単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。また、保護コート層11を2層以上からなる多層膜とすることもできる。保護コート層11の厚さは、用途に応じて適宜決定されるものであり、通常下限が0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上であり、上限が通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。
【0093】
(10)密着層10
記録層4と第1誘電体層3及び/又は第2誘電体層5との間に密着層を設けてもよい。本発明の記録媒体に用いる記録層においては、記録時に記録層が到達する温度において物質Aが分解するが、この物質Aの分解時に、記録層4とそれに接する層(図1〜4においては第1誘電体層3又は第2誘電体層5)とが剥がれる場合がある。具体的には、追記型光記録媒体に対してレーザーを照射して記録を行うと第1誘電体層3又は第2誘電体層5が記録層4から剥離する場合がある。このような場合、記録層4に接して密着層10を設けることが好ましい。そして、この密着層10に接して第1誘電体層3及び/又は第2誘電体層5を設けることが好ましい。具体的には、図2に示すように密着層10を、記録層4と保護層3との間、及び/又は、記録層4と保護層5との間に設けることが好ましい。特に、記録層4とその前に成膜される誘電体層(図2では第1誘電体層3となる。)との間において記録後の剥離が起きやすい傾向にあるため、記録層4と第1誘電体層3との間に密着層10を挿入することがより好ましい。
【0094】
また、密着層10の材料として第1誘電体層3又は第2誘電体層5としても用いることができる材料を用いる場合には、第1誘電体層3又は第2誘電体層5の代わりに密着層10を用いてもよい。このような光記録媒体の一例として、図3に、第1誘電体層3の代わりに密着層10を用いた光記録媒体を示す。
【0095】
密着層10の材料としては、通常、誘電体材料を挙げることができる。誘電体材料としては、例えば、Sc、Y、Ce、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、 Al、Cr、In、Si、Ge、Sn、Sb、及びTe等の酸化物;Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Sb、及びPb等の窒化物;Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Zn、B、Al、Ga、In、及びSi等の炭化物;を挙げることができる。さらに、上記酸化物、上記窒化物、及び上記炭化物の混合物を挙げることができる。また、誘電体材料としては、Zn、Y、Cd、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、及びBi等の硫化物、セレン化物もしくはテルル化物、Mg、Ca等のフッ化物、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0096】
これらの材料のうち、耐熱性や記録層4と第1誘電体層3及び第2誘電体層5との接着性や工業的な得やすさの点から好ましい材料は以下の通りである。すなわち、Y、Zr、Nb、Zn、Al、Si、及びSnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物;Ge及び/又はCrの窒化物;Siの炭化物;である。無論、上記酸化物、窒化物、炭化物の混合物を用いることも好ましい。工業的により好ましいのは、Sn−Nbの酸化物(Sn酸化物とNb酸化物との混合物であってもよい)、Zrの酸化物、Yの酸化物、Siの酸化物、Znの酸化物、Alの酸化物、Geの窒化物、Ge−Crの窒化物(Ge窒化物とCr窒化物との混合物であってもよい)、Siの炭化物である。特に好ましいのは、GeN、ZrO、ZnO、およびSiCからなる群から選択される少なくとも1種類を主成分(密着層全体の50原子%以上含有)とすることである。また、混合物として用いる場合の工業的に特に好ましい組み合わせは、Zrの酸化物、Yの酸化物、及びSiの酸化物の組み合わせ、又は、Znの酸化物とAlの酸化物との組み合わせである。
【0097】
無論、上記材料は任意の組み合わせ及び比率で複数用いてもよいことはいうまでもない。
密着層10に用いる材料として特に好ましいのは、記録層に用いる物質Aよりも分解温度の高い物質を用いることである。つまり、密着層10に用いる材料の分解温度が物質Aの分解温度以下である場合には、室温において、密着層10の材料の分解が一部起こり追記型光記録媒体の保存安定性が低下する傾向となる。また、記録時に記録層が到達する温度において、物質Aが分解する以前又は物質Aが分解すると同時に密着層10に含有される材料が分解すると、所望の記録状態を得ることができない場合もある。この場合、密着層10に用いる材料は、記録層に用いる物質Aに比較して相対的に分解温度が高い材料であればよい。例えば、物質AとしてSn窒化物(分解温度が340℃程度)を用いる場合には、Ge窒化物(分解温度は700℃程度)やCr窒化物(分解温度は1080℃程度)のように、物質Aとして一般的に用いることができる材料も密着層10に用いることができる。
【0098】
上記材料の密着層10中での含有量は、通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上とする。記録層4と第1誘電体層3又は第2誘電体層5との接着性を確保する観点から、上記材料の含有量は多ければ多いほど好ましいが、密着層形成時に不可避的に含有される不純物(例えば酸素)が存在するため、上記材料の含有量の上限は99.9重量%程度となるのが通常である。
【0099】
密着層10の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは2nm以上、より好ましくは3nm以上、一方、通常50nm以下、好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下とする。膜厚を上記範囲とすれば、記録層4と第1誘電体層3又は第2誘電体層5との接着性を良好に確保することができ、記録層へのレーザーの透過率を十分確保することもできる。
【0100】
密着層10の製法としては、公知のスパッタリング法を用いればよい。具体的には、真空チャンバー内で微量のArガスを流し、所定の真空圧力にして、密着層に含有させる所定の材料からなるターゲットに電圧を加え放電させ成膜するスパッタリング法によって製造することができる。
【0101】
また、密着層10が酸化物、窒化物、窒酸化物から形成される場合には、以下に示すような反応性スパッタリング法を用いることができる。すなわち、真空チャンバー内で微量のAr、N及び/又はOの混合ガスを流し、所定の真空圧力にする。そして、所定の材料からなるターゲットに電圧を加え放電させる。そして、ターゲットから弾きだされた元素単体または複数の元素の複合をN及び/又はOで反応させ窒化物、酸化物、窒酸化物にして成膜するのである。上記反応性スパッタリングを用いると、真空チャンバー内に流すAr、N及び/又はO混合ガスのN分圧及び/又はO分圧(具体的には、ArとN及び/又はOとの混合ガス全体に対する、N及び/又はO混合ガスの流量)を変化させることで窒化量、酸化量を変化させることが可能となる。
【0102】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0103】
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
本発明の実施形態の例として、図2に示した構成の光記録媒体を作成した。基板1には厚さ1.1mm、直径120mmのディスク状ポリカーボネート樹脂を用いた。下地層9及び拡散防止層8にはNb、反射層2にはAg−Bi−Ndからなる合金、第1誘電体層3及び第2誘電体層5にはZnS−SiOからなる混合物、記録層4にはSn−Nb−Nからなる窒化物、密着層10にはGe−N、第3誘電体層6にはSi−O−N、をそれぞれ用いた。光透過層7については、粘度3000mPa・sの未硬化(未重合)のアクリル酸エステル系紫外線硬化剤を、基板中央付近に2.5g滴下し、1500rpmで6秒間回転延伸した後に、紫外線を照射し硬化(重合)することで作成した。光透過層の膜厚は97〜103μmの範囲となるようにした。
【0104】
基板1と光透過層7以外の多層膜製作にはスパッタリング法を用いた。装置としてはUNAXIS社のDVD−SPRINTERを用い、各層の成膜条件及び膜厚は表1のとおりとした。
【0105】
【表1】

【0106】
第2誘電体層ZnS−SiO、第3誘電体層Si−O−Nについてナノインデンテーション法による硬度を測定したところ、それぞれ、5.2GPa、13.8GPaであった。また第2誘電体層ZnS−SiO、第3誘電体層Si−O−N、光透過層7についてエリプソメーターを用いて波長405nmの屈折率を測定したところそれぞれ2.3、1.8、1.5であった。
【0107】
(実施例2)
さらに実施例1において第3誘電体層Si−O−Nの膜厚を10nmに変えた他は同じ構成をもつ実施例2を作成した。
【0108】
(比較例1)
比較例として実施例1において第3誘電体層Si−O−Nを設けない他は同じ構成をもつ比較例1を作成した。
【0109】
(比較例2)
さらに詳細な比較をおこなうため比較例1において第2誘電体層ZnS−SiOの膜厚を35nmに変えた他は同じ構成をもつ比較例2を作成した。
【0110】
(評価)
実施例1、2及び比較例1、2の光記録媒体に対して、反射率の媒体内の均一性と記録信号の保存安定性を評価した。
反射率の媒体内の均一性は、光源波長405nm、開口数0.85の評価機を使用して媒体の半径24mm、40mm、55mm、57mm、58mm、58.3mmの各半径位置での1周分の平均反射率を測定し、その最大値と最小値の比率を求めた。
記録信号の保存安定性については同じく光源波長405nm、開口数0.85の評価機を使用して、線速度4.92m/sec.、RLL1−7変調、チャンネルクロック66MHzからなる条件でランダム信号の記録をおこない、その記録部の保存安定性を測定した。
まず記録パワーを変えながら記録、ジッタ−測定をおこない、ジッタ−が最小となる最適記録パワーを求めた。次に最適パワーに対して85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%の各記録パワーで記録領域を作成した。
【0111】
その後、80℃/80%Rhの環境下にて100時間保存した。そして、環境試験の前後で各記録パワーにおける記録領域のジッタ−を測定した。
なお、ジッタ−は記録信号をリミットイコライザーにより波形等化した後、2値化を行い、2値化した信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジと、周期信号の立ち上がりエッジ、との時間差を分布をタイムインターバルアナライザにより測定した(データ・トゥー・クロック・ジッタ− Data to Clock Jitter)。表2に評価結果を示す。
【0112】
【表2】

【0113】
反射率均一性については比較例1が最小反射率に対する最大反射率の比が1.08ともっとも良好であるが、これにSi−O−Nを5nm及び10nm付け加えた構成の実施例1,2においても反射率比は1.09、1.11と大きな悪化はなかった。これと比較して比較例1にZnS−SiO膜をさらに5nm付け加えた構成となる比較例2においては反射率比が1.14とその悪化の程度が大きい。
【0114】
一方で記録領域の保存安定性については、実施例1において、最適記録パワーの115%の記録パワーで記録した領域でジッタ−が2%悪化しているが他の記録領域においてはジッタ−の変化は0.3%以内とごくわずかであり、実施例2においてはすべての記録領域でジッタ−の変化が0.3%以内と良好であった。これに対して比較例1では、最適パワーの95%以上の記録パワーで記録をおこなった全ての領域において剥離によりジッタ−が測定不可能になり、比較例2においても最適記録パワー以上の記録パワーで記録をおこなったすべての領域において剥離によりジッタ−が測定不可能になった。
【0115】
以上により、高硬度、低屈折率のSi−O−Nからなる第3誘電体層をもうけることで反射率均一性を悪化させることなく保存安定性を改善できることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の追記型光記録媒体の一例を示す拡大断面図である。
【図2】本発明の追記型光記録媒体の他の例を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の追記型光記録媒体の他の例を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の追記型光記録媒体の他の例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0117】
1 … 基板
2 … 反射層
3 … 第1誘電体層
4 … 記録層
5 … 第2誘電体層
6 … 第3誘電体層
7 … 光透過層
8 … 拡散防止層
9 … 下地層
10 … 密着層
11 … 保護コート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に少なくとも、反射層、第1誘電体層、記録層、第2誘電体層、光透過層、をこの順に備え、前記記録層が記録時の加熱により分解することによって記録がなされる光記録媒体において、前記第2誘電体層と前記光透過層との間に第3誘電体層を有することを特徴とする光記録媒体。
【請求項2】
前記第3誘電体層の硬度が前記第2誘電体層の硬度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
【請求項3】
光記録に用いる光の波長において前記第3誘電体層の屈折率が、前記第2誘電体層の屈折率よりも低いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光記録媒体。
【請求項4】
前記記録層が、記録時の加熱によって前記記録層が到達する温度において分解する物質Aと、記録時の加熱によって前記記録層が到達する温度において化学反応及び相変化を起こすことのない物質Bを含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の光記録媒体。
【請求項5】
前記第3誘電体層が、Si、Y、Ce、Zr、Nb、Ta、Zn、Al、In、Snの群から選ばれる元素の酸化物、Si、Ge、Alの群から選ばれる元素の窒化物、もしくはこれらの混合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の光記録媒体。
【請求項6】
前記第3誘電体層が、Siの酸化物とSiの窒化物との混合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の光記録媒体。
【請求項7】
前記第3誘電体層のナノインデンテーション法を用いた硬度が8GPa以上であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の光記録媒体。
【請求項8】
光記録に用いる光の波長において、前記第3誘電体層の屈折率と前記光透過層の屈折率との差が0.5以下であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の光記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−335020(P2007−335020A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166970(P2006−166970)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(501495237)三菱化学メディア株式会社 (105)
【Fターム(参考)】