記録用紙、サーマルプリンタ装置およびサーマルプリンタ装置のクリーニング方法
【課題】低コストでサーマルヘッドをクリーニングできるロール紙を得る。
【解決手段】サーマルヘッド1によって印刷を行うサーマルプリンタ装置100に用いられるロール状に巻回された記録用紙7において、記録用紙7には、サーマルヘッド1をクリーニングするための複数のクリーニング孔8が設けられ、複数のクリーニング孔8は、サーマルヘッドの発熱部1aが複数のクリーニング孔8に接触することによりサーマルヘッド1をクリーニングするよう配置する。
【解決手段】サーマルヘッド1によって印刷を行うサーマルプリンタ装置100に用いられるロール状に巻回された記録用紙7において、記録用紙7には、サーマルヘッド1をクリーニングするための複数のクリーニング孔8が設けられ、複数のクリーニング孔8は、サーマルヘッドの発熱部1aが複数のクリーニング孔8に接触することによりサーマルヘッド1をクリーニングするよう配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録用紙、サーマルプリンタ装置およびサーマルプリンタ装置のクリーニング方法に関し、特にサーマルヘッドに付着した異物を除去するものに関する。
【背景技術】
【0002】
熱昇華式記録を行うサーマルプリンタは、ロール状の記録用紙とYMC(Yellow-Magenta-Cyan)の三原色を塗布したインクリボンとを、サーマルヘッドとプラテンローラーとで挟み込み、サーマルヘッドの発熱部でインクを加熱して気化させることにより記録用紙に印刷している。
【0003】
このようなサーマルプリンタにおいて、印刷を連続して行っていると、サーマルヘッドには埃やインクリボンの背面カスが付着してしまう。これらの異物がサーマルヘッドの発熱部に付着すると、発熱部とインクリボンとの接触性が低下し、結果として記録画像には白筋状の記録抜けが生じて印刷不良が発生してしまう。このため、サーマルヘッドをクリーニングして付着した異物を取り除き、印刷品位を保つ必要がある。
【0004】
従来のサーマルヘッドのクリーニング方法として、クリーニング液を含浸したクリーニングリボンを備えるクリーニングカセットを装着し、サーマルヘッドをクリーニングリボンに加圧した状態で、クリーニングリボンを巻き取ることによりクリーニングするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、他の方法として、表面に砥粒がコーティングされているクリーニングシートを用意し、サーマルヘッドを当該クリーニングシートに加圧した状態で、サーマルヘッドとプラテンローラーとの間にクリーニングシートを通過させることによりクリーニングするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−278339号公報
【特許文献2】特開平5−138992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のようなクリーニングリボンによるクリーニング方法においては、別装置であるクリーニングカセットを必要とするため、クリーニングのコストが高いという問題点があった。また、特許文献2のようなクリーニングシートによるクリーニング方法においても同様に、別部材であるクリーニングシートを必要とするため、クリーニングのコストが高いという問題点があった。
【0008】
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、低コストでサーマルヘッドをクリーニングできる記録用紙を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の記録用紙は、サーマルヘッドによって印刷を行うサーマルプリンタ装置に用いられるロール状に巻回された記録用紙において、記録用紙には、サーマルヘッドをクリーニングするための複数のクリーニング孔が設けられ、複数のクリーニング孔は、サーマルヘッドの発熱部が複数のクリーニング孔に接触することによりサーマルヘッドをクリーニングするよう配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、別装置や別部材を必要とせず、簡単な構成でサーマルヘッドをクリーニングすることができるので、クリーニングのコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置の構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1に係る記録用紙を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【図4】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【図5】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【図6】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【図7】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【図8】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置においてサーマルヘッドの発熱部とクリーニング孔との位置関係を示す図である。
【図9】実施の形態1に係る記録用紙の変形例を示す図である。
【図10】実施の形態1に係る記録用紙の変形例を示す図である。
【図11】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部の変形例を示断面図である。
【図12】実施の形態2に係る記録用紙を示す斜視図である。
【図13】実施の形態2に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作前の状態を示す断面図である。
【図14】実施の形態2に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
まず、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置の構成を説明する。図1は、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置の構成を示す断面図である。
【0013】
サーマルプリンタ装置100は、熱昇華式記録により記録用紙7に印刷を行うものであり、図1に示すように、インクリボン2に塗布されているインクを加熱し、記録用紙7に印刷を行うサーマルヘッド1と、サーマルヘッド1に対向する位置に設けられたプラテンローラー4とを備えている。また、サーマルプリンタ装置100は、記録用紙7を搬送する搬送手段としてのグリップローラー5と、グリップローラー5に対向して配置されたピンチローラー6とを備えている。記録用紙7は、グリップローラー5とピンチローラー6とで挟み込まれており、グリップローラー5を回転させることにより搬送される。
【0014】
インクリボン2は、印刷に合わせて供給ボビン3bから繰り出され、巻き取りボビン3aにより巻き取られる。1巻のインクリボン2は、1巻の記録用紙7を印刷できる分の長さを有しており、1巻の記録用紙7を使い終わるのとほぼ同時に、1巻のインクリボン2を使い終わる。
【0015】
サーマルヘッド1には、インクリボン2のインクを加熱する発熱部1aが、ヘッドの長手方向、すなわち記録用紙7の幅方向と平行な方向に沿って形成されている。サーマルプリンタ装置100は、記録用紙7とインクリボン2とを、サーマルヘッド1とプラテンローラー4とで挟み込み、発熱部1aを発熱させてインクリボン2のインクを気化することで、記録用紙7に文字や画像を印刷する。
【0016】
また、サーマルプリンタ100装置は、サーマルヘッド1、グリップローラー5および巻き取りボビン3aを制御する制御部(図示せず)を備えている。実施の形態1のサーマルプリンタ装置100において、サーマルヘッド1の動作の制御や、巻き取りボビン3aを回転させる制御、グリップローラー5を回転させる制御は、この制御部によって行われる。
【0017】
次に、図2を用いて実施の形態1の記録用紙7を説明する。図2は、実施の形態1に係る記録用紙を示す斜視図である。
【0018】
記録用紙7は、図2に示すように、その終端7bが巻芯16に固定されており、巻芯16の周りにロール状に巻回されて構成されている。記録用紙7の終端7bから所定長さの領域を終端領域13と定義すると、終端領域13にはサーマルヘッド1をクリーニングするための複数のクリーニング孔8と、サーマルプリンタ装置100にクリーニング動作の開始を指示するためのエンド検知孔9b(マーク)とが設けられている。クリーニング孔8は、円形の孔が6列にわたって配置されており、各列において隣り合う孔同士の間隔は等しく、奇数列と偶数列の孔は互いに1孔分ずれた千鳥状に配置されている。
【0019】
なお、実施の形態1の記録用紙7は、サーマルヘッドによって印刷を行うサーマルプリンタ装置に用いられる記録用紙に、穴あけパンチを用いたパンチ加工によってクリーニング孔8を開口することで製造する。このように、クリーニング孔8をパンチ加工によって形成することで、簡易且つ低コストに記録用紙7を製造することができ、さらには、孔の形状を容易に変更することができる。
【0020】
次に、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置100のクリーニング動作を、図3〜図7を用いて説明する。図3〜図7は、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【0021】
まず、図3に示すように、上述したマークを検知する検知手段としての検知孔センサー(図示せず)により記録用紙7に設けられたエンド検知孔9bが検知されると、制御部は記録用紙7を1巻使い切ったと判断する。このとき、上述のようにインクリボン2も1巻使い切った状態にある。
【0022】
次に、図4に示すように巻き取りボビン3aを回転させる。このとき、インクリボン2の終端を供給ボビン3bに固定しないようにすることで、インクリボン2は巻き取りボビン3aに巻き取られる。また、インクリボン2の巻き取りと同時に、グリップローラー5を回転させることで記録用紙7を所定の長さ分だけ排出方向17へ移動させ、クリーニング孔8の1列目をサーマルヘッド1の発熱部1aの直下に位置させる。このようにして、サーマルヘッド1とプラテンローラー4との間には、記録用紙7のみが挟みこまれている状態になり、サーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させることができる状態になる。
【0023】
次に、図5に示すように、サーマルヘッド1とプラテンローラー4とで記録用紙7を挟持する。インクリボン2は既に巻き取られているので、サーマルヘッド1の発熱部1aはクリーニング孔8に直接接触する。
【0024】
この状態において、図6に示すように、グリップローラー5を回転させることにより、記録用紙7を巻き取り方向18に向けて所定の長さ分だけ移動させる。クリーニング孔8がサーマルヘッド1の発熱部1aを通過する際に、発熱部1aに付着した埃やインクリボン2の背面カスなどの異物が、クリーニング孔8の縁によって削ぎ落とされて絡み取られる。
【0025】
最後に、図7に示すように、サーマルヘッド1を開放することでクリーニング動作が完了する。
【0026】
ここで、図8を用いて上述したクリーニング動作におけるサーマルヘッド1の発熱部1aとクリーニング孔8との位置関係を説明する。図8は、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置においてサーマルヘッドの発熱部とクリーニング孔との位置関係を示す図である。上述のように、記録用紙7の終端領域13には円形のクリーニング孔8が奇数列と偶数列とで互いに1孔分ずれた千鳥状に配置されているので、サーマルヘッド1の発熱部1aが接触した状態で記録用紙7を移動させると、孔に接触する発熱部1aの位置は、1列目の孔(図8(a))と2列目の孔(図8(b))とでは1孔分ずれる。この結果、サーマルヘッド1の発熱部1aを所定幅にわたってクリーニングすることができる。
【0027】
また、クリーニング孔8は円形であるので、サーマルヘッド1の発熱部1aとクリーニング孔8とが接触した状態で記録用紙7を移動させると、発熱部1aとクリーニング孔8の縁との接触位置は、円弧をたどるように徐々に変化していく。すなわち、発熱部1aと孔の縁との接触位置が徐々に変化するようにして異物が削ぎ落とされる。
【0028】
実施の形態1のサーマルプリンタ装置100によれば、複数のクリーニング孔8が設けられた記録用紙7をサーマルヘッド1とプラテンローラー4とで挟持し、サーマルヘッドの発熱部1aがクリーニング孔8に接触した状態で、記録用紙7を移動させるようにしているので、別装置であるクリーニングカセットや、別部材であるクリーニングシートを用意する必要もなく、簡単な構成でサーマルヘッド1をクリーニングすることができ、クリーニングのコストを低減できる。
【0029】
さらに、クリーニングした後の記録用紙7はクリーニングで取り去った異物と共に捨て去られ、次のクリーニングの際には新たに取り付けられる記録用紙7のクリーニング孔8でクリーニングが行われるので、クリーニング機能を劣化させることなく、定期的にサーマルヘッド1をクリーニングすることができる。
【0030】
また、インクリボン2を介さずに、サーマルヘッド1をクリーニング孔8に直接接触させた状態で記録用紙7を移動させるようにしているので、サーマルヘッド1の発熱部1aに付着した異物は、クリーニング孔8の縁に直接接触するようにして削ぎ落とされ、高いクリーニング効果が得られる。
【0031】
また、実施の形態1の記録用紙7によれば、円形のクリーニング孔8を奇数列と偶数列とで1孔分ずれた千鳥状に配置しているので、サーマルヘッド1の発熱部1aを所定幅にわたってクリーニングすることができる。
【0032】
また、クリーニング孔8は円形に形成されているので、サーマルヘッド1のクリーニング動作の際には、発熱部1aと孔の縁との接触位置が徐々に変化するようにして異物が削ぎ落とされる。これにより、発熱部1aと孔の縁との間に瞬間的に大きな摩擦が働き、サーマルヘッド1の発熱部1aが損傷してしまうことを防止することができる。
【0033】
また、クリーニング孔8を記録用紙7の終端領域13に設けるようにしているので、サーマルプリンタ装置100のクリーニング動作を行う際には記録用紙7およびインクリボン2は既に使い終わった状態である。よって、インクリボン2を簡単に巻き取ることができ、容易にサーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させることができる。
【0034】
なお、実施の形態1では円形のクリーニング孔8を示したが、クリーニング孔8の形状はこれに限るものではない。図9は、実施の形態1に係る記録用紙のクリーニング孔の変形例を示しており、図9(a)は楕円形のクリーニング孔を、図10(b)は菱形のクリーニング孔を示している。図9(a)に示すように、クリーニング孔8の形状を楕円形としても、円形の場合と同様にクリーニングの際に発熱部1aと孔の縁との間に働く摩擦によってサーマルヘッド1の発熱部1aが損傷してしまうことを防止することができる。
【0035】
また、図9(b)に示すように、クリーニング孔8の形状を孔の縁が記録用紙7の幅方向に対して傾斜する菱形としても、サーマルヘッド1の発熱部1aとクリーニング孔8の縁との接触位置は徐々に変化するので、上述の円形の場合と同様の効果を得ることができる。なお、クリーニング孔8の縁が記録用紙7の幅方向に対して傾斜する形状であれば、その他の形状においても、クリーニング動作の際にサーマルヘッド1の発熱部1aとクリーニング孔8の縁との接触位置は徐々に変化するので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0036】
また、記録用紙7にサーマルヘッド1をクリーニングするための切欠き部15をさらに設けるようにしても良い。図10は、実施の形態1に係る記録用紙の変形例を示す図である。このようにすることで、サーマルヘッド1の発熱部1aの記録用紙7と接触する部分の全てをクリーニングすることができる。
【0037】
また、実施の形態1では、クリーニング孔8を奇数列と偶数列とで1孔分ずれた千鳥状に配置したものを示したが、クリーニング孔8の配置の仕方はこれに限るものではない。サーマルヘッド1の発熱部1aのクリーニングすべき部分が、孔の縁と接触するようにクリーニング孔8を配置すれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0038】
なお、実施の形態1では、インクリボン2の終端を供給ボビン3bに固定せずに巻き取りボビン3aを回転させることで、インクリボン2を巻き取りボビン3aに巻き取ってサーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させることができる状態にするものを示したが、サーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させることができる状態にする方法はこれに限らない。図11は、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部の変形例を示す断面図である。この変形例においては、供給ボビン3bに固定されたインクリボン2の終端付近にミシン目10を形成しておき、巻き取りボビン3aの巻き取り動作により、インクリボン2をミシン目10の位置で供給ボビン3bから切り離して巻き取りボビン3aに巻き取るようにしている。このようにしても、サーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させることができる状態にすることができる。
【0039】
また、図3〜図7に示したサーマルプリンタ装置100のクリーニング動作は、複数回繰り返し行うようにしても良い。クリーニング動作を繰り返し行うことによってサーマルヘッド1の発熱部1aをより効果的にクリーニングすることができる。
【0040】
実施の形態2.
サーマルプリンタ装置において、使用済みの記録用紙を新たな記録用紙へと交換する際には、交換作業を行う作業者が記録用紙の始端領域に手で触れるため、記録用紙の始端領域には指紋などの汚れが付着してしまう。記録用紙の印刷を行う領域に汚れが付着すると印刷品位が劣化してしまうので、汚れが付着した領域は廃棄しなければならない。このため、サーマルプリンタ装置は、新たな記録用紙が取り付けられた場合に記録用紙の始端領域を切断して廃棄する初期動作を行う。実施の形態2のサーマルプリンタ装置は、この初期動作と同時にクリーニング動作を行うものである。
【0041】
図12は、実施の形態2に係る記録用紙を示す図である。実施の形態1では、クリーニング孔8を記録用紙7の終端領域13に形成する構成を示したが、記録用紙7の始端7aから所定の長さの領域を始端領域12と定義すると、実施の形態2では、クリーニング孔8を記録用紙7の始端領域12に形成するようにしている。また、始端領域12には、サーマルプリンタ装置100にクリーニングの開始を指示するためのスタート検知孔9aが設けられている。なお、上記以外の構成については実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0042】
また、実施の形態2のサーマルプリンタ装置100は、実施の形態1に示した構成に加えて、記録用紙7が取り付けられたことを検知する記録用紙検知手段(図示せず)と、インクリボン2が取り付けられたことを検知するインクリボン検知手段(図示せず)とを備え、これらの検知信号が制御部に送られるように構成されている。なお、上記以外の構成については実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0043】
次に、実施の形態2のサーマルプリンタ装置の動作を説明する。図13は、実施の形態2に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作前の状態を示す断面図、図14は、実施の形態2に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【0044】
まず、インクリボン2および記録用紙7の交換を行う作業者が、サーマルプリンタ装置100から使用済みのインクリボン2および記録用紙7を取り外し、サーマルプリンタ装置100に新しい記録用紙7を取り付ける。
【0045】
図13に示すように、サーマルプリンタ装置100に記録用紙7が取り付けられると、記録用紙検知手段は記録用紙7が取り付けられたことを検知し、検知信号を制御部へ出力する。一方、インクリボン2は取り付けられていないため、インクリボン検知手段からの検知信号は出力されない。これにより、制御手段には記録用紙検知手段からの検知信号のみが入力され、制御手段はサーマルプリンタ装置100に記録用紙のみが取り付けられたことを判断する。
【0046】
サーマルプリンタ装置100に記録用紙7のみが取り付けられたことが判断されると、制御部は、グリップローラー5を回転させて記録用紙7を排出方向へ移動させる。そして、図14に示すように、検知孔センサー(図示せず)によりスタート検知孔9aが検知されると、サーマルプリンタ装置100のクリーニング動作が開始される。なお、クリーニング動作は実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0047】
クリーニング動作が完了すると、記録用紙7の始端領域12はカッター(図示せず)で切断され、廃棄される。最後に、作業者がサーマルプリンタ装置100にインクリボン2を搭載してサーマルプリンタ装置100の初期動作が完了する。
【0048】
実施の形態2のサーマルプリンタ装置100によれば、指紋などの汚れが付着した記録用紙7の始端領域12を切断して廃棄するのと同時に、サーマルプリンタ装置100のクリーニング動作を行うようにしている。これにより、サーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させるためにインクリボン2を巻き取る動作を省略することができるので、実施の形態1の効果に加えて、さらに簡単にクリーニングすることができる効果が得られる。
【0049】
また、指紋などの汚れが付着しているため廃棄しなければならない始端領域12にクリーニング孔8を設けるようにしているので、クリーニングで取り去った異物は廃棄時に捨て去ることができる。
【0050】
以上、実施の形態1および2について説明した。これらの実施の形態は組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 サーマルヘッド
1a 発熱部
2 インクリボン
3a 巻き取りボビン
3b 供給ボビン
4 プラテンローラー
5 グリップローラー
6 ピンチローラー
7 記録用紙
7a 始端
7b 終端
8 クリーニング孔
9a スタート検知孔(マーク)
9b エンド検知孔(マーク)
10 ミシン目
12 始端領域
13 終端領域
15 切欠き部
16 巻き芯
17 排出方向
18 巻き取り方向
20 切欠き部
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録用紙、サーマルプリンタ装置およびサーマルプリンタ装置のクリーニング方法に関し、特にサーマルヘッドに付着した異物を除去するものに関する。
【背景技術】
【0002】
熱昇華式記録を行うサーマルプリンタは、ロール状の記録用紙とYMC(Yellow-Magenta-Cyan)の三原色を塗布したインクリボンとを、サーマルヘッドとプラテンローラーとで挟み込み、サーマルヘッドの発熱部でインクを加熱して気化させることにより記録用紙に印刷している。
【0003】
このようなサーマルプリンタにおいて、印刷を連続して行っていると、サーマルヘッドには埃やインクリボンの背面カスが付着してしまう。これらの異物がサーマルヘッドの発熱部に付着すると、発熱部とインクリボンとの接触性が低下し、結果として記録画像には白筋状の記録抜けが生じて印刷不良が発生してしまう。このため、サーマルヘッドをクリーニングして付着した異物を取り除き、印刷品位を保つ必要がある。
【0004】
従来のサーマルヘッドのクリーニング方法として、クリーニング液を含浸したクリーニングリボンを備えるクリーニングカセットを装着し、サーマルヘッドをクリーニングリボンに加圧した状態で、クリーニングリボンを巻き取ることによりクリーニングするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、他の方法として、表面に砥粒がコーティングされているクリーニングシートを用意し、サーマルヘッドを当該クリーニングシートに加圧した状態で、サーマルヘッドとプラテンローラーとの間にクリーニングシートを通過させることによりクリーニングするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−278339号公報
【特許文献2】特開平5−138992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のようなクリーニングリボンによるクリーニング方法においては、別装置であるクリーニングカセットを必要とするため、クリーニングのコストが高いという問題点があった。また、特許文献2のようなクリーニングシートによるクリーニング方法においても同様に、別部材であるクリーニングシートを必要とするため、クリーニングのコストが高いという問題点があった。
【0008】
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、低コストでサーマルヘッドをクリーニングできる記録用紙を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の記録用紙は、サーマルヘッドによって印刷を行うサーマルプリンタ装置に用いられるロール状に巻回された記録用紙において、記録用紙には、サーマルヘッドをクリーニングするための複数のクリーニング孔が設けられ、複数のクリーニング孔は、サーマルヘッドの発熱部が複数のクリーニング孔に接触することによりサーマルヘッドをクリーニングするよう配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、別装置や別部材を必要とせず、簡単な構成でサーマルヘッドをクリーニングすることができるので、クリーニングのコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置の構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1に係る記録用紙を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【図4】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【図5】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【図6】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【図7】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【図8】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置においてサーマルヘッドの発熱部とクリーニング孔との位置関係を示す図である。
【図9】実施の形態1に係る記録用紙の変形例を示す図である。
【図10】実施の形態1に係る記録用紙の変形例を示す図である。
【図11】実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部の変形例を示断面図である。
【図12】実施の形態2に係る記録用紙を示す斜視図である。
【図13】実施の形態2に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作前の状態を示す断面図である。
【図14】実施の形態2に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
まず、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置の構成を説明する。図1は、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置の構成を示す断面図である。
【0013】
サーマルプリンタ装置100は、熱昇華式記録により記録用紙7に印刷を行うものであり、図1に示すように、インクリボン2に塗布されているインクを加熱し、記録用紙7に印刷を行うサーマルヘッド1と、サーマルヘッド1に対向する位置に設けられたプラテンローラー4とを備えている。また、サーマルプリンタ装置100は、記録用紙7を搬送する搬送手段としてのグリップローラー5と、グリップローラー5に対向して配置されたピンチローラー6とを備えている。記録用紙7は、グリップローラー5とピンチローラー6とで挟み込まれており、グリップローラー5を回転させることにより搬送される。
【0014】
インクリボン2は、印刷に合わせて供給ボビン3bから繰り出され、巻き取りボビン3aにより巻き取られる。1巻のインクリボン2は、1巻の記録用紙7を印刷できる分の長さを有しており、1巻の記録用紙7を使い終わるのとほぼ同時に、1巻のインクリボン2を使い終わる。
【0015】
サーマルヘッド1には、インクリボン2のインクを加熱する発熱部1aが、ヘッドの長手方向、すなわち記録用紙7の幅方向と平行な方向に沿って形成されている。サーマルプリンタ装置100は、記録用紙7とインクリボン2とを、サーマルヘッド1とプラテンローラー4とで挟み込み、発熱部1aを発熱させてインクリボン2のインクを気化することで、記録用紙7に文字や画像を印刷する。
【0016】
また、サーマルプリンタ100装置は、サーマルヘッド1、グリップローラー5および巻き取りボビン3aを制御する制御部(図示せず)を備えている。実施の形態1のサーマルプリンタ装置100において、サーマルヘッド1の動作の制御や、巻き取りボビン3aを回転させる制御、グリップローラー5を回転させる制御は、この制御部によって行われる。
【0017】
次に、図2を用いて実施の形態1の記録用紙7を説明する。図2は、実施の形態1に係る記録用紙を示す斜視図である。
【0018】
記録用紙7は、図2に示すように、その終端7bが巻芯16に固定されており、巻芯16の周りにロール状に巻回されて構成されている。記録用紙7の終端7bから所定長さの領域を終端領域13と定義すると、終端領域13にはサーマルヘッド1をクリーニングするための複数のクリーニング孔8と、サーマルプリンタ装置100にクリーニング動作の開始を指示するためのエンド検知孔9b(マーク)とが設けられている。クリーニング孔8は、円形の孔が6列にわたって配置されており、各列において隣り合う孔同士の間隔は等しく、奇数列と偶数列の孔は互いに1孔分ずれた千鳥状に配置されている。
【0019】
なお、実施の形態1の記録用紙7は、サーマルヘッドによって印刷を行うサーマルプリンタ装置に用いられる記録用紙に、穴あけパンチを用いたパンチ加工によってクリーニング孔8を開口することで製造する。このように、クリーニング孔8をパンチ加工によって形成することで、簡易且つ低コストに記録用紙7を製造することができ、さらには、孔の形状を容易に変更することができる。
【0020】
次に、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置100のクリーニング動作を、図3〜図7を用いて説明する。図3〜図7は、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【0021】
まず、図3に示すように、上述したマークを検知する検知手段としての検知孔センサー(図示せず)により記録用紙7に設けられたエンド検知孔9bが検知されると、制御部は記録用紙7を1巻使い切ったと判断する。このとき、上述のようにインクリボン2も1巻使い切った状態にある。
【0022】
次に、図4に示すように巻き取りボビン3aを回転させる。このとき、インクリボン2の終端を供給ボビン3bに固定しないようにすることで、インクリボン2は巻き取りボビン3aに巻き取られる。また、インクリボン2の巻き取りと同時に、グリップローラー5を回転させることで記録用紙7を所定の長さ分だけ排出方向17へ移動させ、クリーニング孔8の1列目をサーマルヘッド1の発熱部1aの直下に位置させる。このようにして、サーマルヘッド1とプラテンローラー4との間には、記録用紙7のみが挟みこまれている状態になり、サーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させることができる状態になる。
【0023】
次に、図5に示すように、サーマルヘッド1とプラテンローラー4とで記録用紙7を挟持する。インクリボン2は既に巻き取られているので、サーマルヘッド1の発熱部1aはクリーニング孔8に直接接触する。
【0024】
この状態において、図6に示すように、グリップローラー5を回転させることにより、記録用紙7を巻き取り方向18に向けて所定の長さ分だけ移動させる。クリーニング孔8がサーマルヘッド1の発熱部1aを通過する際に、発熱部1aに付着した埃やインクリボン2の背面カスなどの異物が、クリーニング孔8の縁によって削ぎ落とされて絡み取られる。
【0025】
最後に、図7に示すように、サーマルヘッド1を開放することでクリーニング動作が完了する。
【0026】
ここで、図8を用いて上述したクリーニング動作におけるサーマルヘッド1の発熱部1aとクリーニング孔8との位置関係を説明する。図8は、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置においてサーマルヘッドの発熱部とクリーニング孔との位置関係を示す図である。上述のように、記録用紙7の終端領域13には円形のクリーニング孔8が奇数列と偶数列とで互いに1孔分ずれた千鳥状に配置されているので、サーマルヘッド1の発熱部1aが接触した状態で記録用紙7を移動させると、孔に接触する発熱部1aの位置は、1列目の孔(図8(a))と2列目の孔(図8(b))とでは1孔分ずれる。この結果、サーマルヘッド1の発熱部1aを所定幅にわたってクリーニングすることができる。
【0027】
また、クリーニング孔8は円形であるので、サーマルヘッド1の発熱部1aとクリーニング孔8とが接触した状態で記録用紙7を移動させると、発熱部1aとクリーニング孔8の縁との接触位置は、円弧をたどるように徐々に変化していく。すなわち、発熱部1aと孔の縁との接触位置が徐々に変化するようにして異物が削ぎ落とされる。
【0028】
実施の形態1のサーマルプリンタ装置100によれば、複数のクリーニング孔8が設けられた記録用紙7をサーマルヘッド1とプラテンローラー4とで挟持し、サーマルヘッドの発熱部1aがクリーニング孔8に接触した状態で、記録用紙7を移動させるようにしているので、別装置であるクリーニングカセットや、別部材であるクリーニングシートを用意する必要もなく、簡単な構成でサーマルヘッド1をクリーニングすることができ、クリーニングのコストを低減できる。
【0029】
さらに、クリーニングした後の記録用紙7はクリーニングで取り去った異物と共に捨て去られ、次のクリーニングの際には新たに取り付けられる記録用紙7のクリーニング孔8でクリーニングが行われるので、クリーニング機能を劣化させることなく、定期的にサーマルヘッド1をクリーニングすることができる。
【0030】
また、インクリボン2を介さずに、サーマルヘッド1をクリーニング孔8に直接接触させた状態で記録用紙7を移動させるようにしているので、サーマルヘッド1の発熱部1aに付着した異物は、クリーニング孔8の縁に直接接触するようにして削ぎ落とされ、高いクリーニング効果が得られる。
【0031】
また、実施の形態1の記録用紙7によれば、円形のクリーニング孔8を奇数列と偶数列とで1孔分ずれた千鳥状に配置しているので、サーマルヘッド1の発熱部1aを所定幅にわたってクリーニングすることができる。
【0032】
また、クリーニング孔8は円形に形成されているので、サーマルヘッド1のクリーニング動作の際には、発熱部1aと孔の縁との接触位置が徐々に変化するようにして異物が削ぎ落とされる。これにより、発熱部1aと孔の縁との間に瞬間的に大きな摩擦が働き、サーマルヘッド1の発熱部1aが損傷してしまうことを防止することができる。
【0033】
また、クリーニング孔8を記録用紙7の終端領域13に設けるようにしているので、サーマルプリンタ装置100のクリーニング動作を行う際には記録用紙7およびインクリボン2は既に使い終わった状態である。よって、インクリボン2を簡単に巻き取ることができ、容易にサーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させることができる。
【0034】
なお、実施の形態1では円形のクリーニング孔8を示したが、クリーニング孔8の形状はこれに限るものではない。図9は、実施の形態1に係る記録用紙のクリーニング孔の変形例を示しており、図9(a)は楕円形のクリーニング孔を、図10(b)は菱形のクリーニング孔を示している。図9(a)に示すように、クリーニング孔8の形状を楕円形としても、円形の場合と同様にクリーニングの際に発熱部1aと孔の縁との間に働く摩擦によってサーマルヘッド1の発熱部1aが損傷してしまうことを防止することができる。
【0035】
また、図9(b)に示すように、クリーニング孔8の形状を孔の縁が記録用紙7の幅方向に対して傾斜する菱形としても、サーマルヘッド1の発熱部1aとクリーニング孔8の縁との接触位置は徐々に変化するので、上述の円形の場合と同様の効果を得ることができる。なお、クリーニング孔8の縁が記録用紙7の幅方向に対して傾斜する形状であれば、その他の形状においても、クリーニング動作の際にサーマルヘッド1の発熱部1aとクリーニング孔8の縁との接触位置は徐々に変化するので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0036】
また、記録用紙7にサーマルヘッド1をクリーニングするための切欠き部15をさらに設けるようにしても良い。図10は、実施の形態1に係る記録用紙の変形例を示す図である。このようにすることで、サーマルヘッド1の発熱部1aの記録用紙7と接触する部分の全てをクリーニングすることができる。
【0037】
また、実施の形態1では、クリーニング孔8を奇数列と偶数列とで1孔分ずれた千鳥状に配置したものを示したが、クリーニング孔8の配置の仕方はこれに限るものではない。サーマルヘッド1の発熱部1aのクリーニングすべき部分が、孔の縁と接触するようにクリーニング孔8を配置すれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0038】
なお、実施の形態1では、インクリボン2の終端を供給ボビン3bに固定せずに巻き取りボビン3aを回転させることで、インクリボン2を巻き取りボビン3aに巻き取ってサーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させることができる状態にするものを示したが、サーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させることができる状態にする方法はこれに限らない。図11は、実施の形態1に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部の変形例を示す断面図である。この変形例においては、供給ボビン3bに固定されたインクリボン2の終端付近にミシン目10を形成しておき、巻き取りボビン3aの巻き取り動作により、インクリボン2をミシン目10の位置で供給ボビン3bから切り離して巻き取りボビン3aに巻き取るようにしている。このようにしても、サーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させることができる状態にすることができる。
【0039】
また、図3〜図7に示したサーマルプリンタ装置100のクリーニング動作は、複数回繰り返し行うようにしても良い。クリーニング動作を繰り返し行うことによってサーマルヘッド1の発熱部1aをより効果的にクリーニングすることができる。
【0040】
実施の形態2.
サーマルプリンタ装置において、使用済みの記録用紙を新たな記録用紙へと交換する際には、交換作業を行う作業者が記録用紙の始端領域に手で触れるため、記録用紙の始端領域には指紋などの汚れが付着してしまう。記録用紙の印刷を行う領域に汚れが付着すると印刷品位が劣化してしまうので、汚れが付着した領域は廃棄しなければならない。このため、サーマルプリンタ装置は、新たな記録用紙が取り付けられた場合に記録用紙の始端領域を切断して廃棄する初期動作を行う。実施の形態2のサーマルプリンタ装置は、この初期動作と同時にクリーニング動作を行うものである。
【0041】
図12は、実施の形態2に係る記録用紙を示す図である。実施の形態1では、クリーニング孔8を記録用紙7の終端領域13に形成する構成を示したが、記録用紙7の始端7aから所定の長さの領域を始端領域12と定義すると、実施の形態2では、クリーニング孔8を記録用紙7の始端領域12に形成するようにしている。また、始端領域12には、サーマルプリンタ装置100にクリーニングの開始を指示するためのスタート検知孔9aが設けられている。なお、上記以外の構成については実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0042】
また、実施の形態2のサーマルプリンタ装置100は、実施の形態1に示した構成に加えて、記録用紙7が取り付けられたことを検知する記録用紙検知手段(図示せず)と、インクリボン2が取り付けられたことを検知するインクリボン検知手段(図示せず)とを備え、これらの検知信号が制御部に送られるように構成されている。なお、上記以外の構成については実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0043】
次に、実施の形態2のサーマルプリンタ装置の動作を説明する。図13は、実施の形態2に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作前の状態を示す断面図、図14は、実施の形態2に係るサーマルプリンタ装置のクリーニング動作の一部を示す断面図である。
【0044】
まず、インクリボン2および記録用紙7の交換を行う作業者が、サーマルプリンタ装置100から使用済みのインクリボン2および記録用紙7を取り外し、サーマルプリンタ装置100に新しい記録用紙7を取り付ける。
【0045】
図13に示すように、サーマルプリンタ装置100に記録用紙7が取り付けられると、記録用紙検知手段は記録用紙7が取り付けられたことを検知し、検知信号を制御部へ出力する。一方、インクリボン2は取り付けられていないため、インクリボン検知手段からの検知信号は出力されない。これにより、制御手段には記録用紙検知手段からの検知信号のみが入力され、制御手段はサーマルプリンタ装置100に記録用紙のみが取り付けられたことを判断する。
【0046】
サーマルプリンタ装置100に記録用紙7のみが取り付けられたことが判断されると、制御部は、グリップローラー5を回転させて記録用紙7を排出方向へ移動させる。そして、図14に示すように、検知孔センサー(図示せず)によりスタート検知孔9aが検知されると、サーマルプリンタ装置100のクリーニング動作が開始される。なお、クリーニング動作は実施の形態1と同様であるのでその説明を省略する。
【0047】
クリーニング動作が完了すると、記録用紙7の始端領域12はカッター(図示せず)で切断され、廃棄される。最後に、作業者がサーマルプリンタ装置100にインクリボン2を搭載してサーマルプリンタ装置100の初期動作が完了する。
【0048】
実施の形態2のサーマルプリンタ装置100によれば、指紋などの汚れが付着した記録用紙7の始端領域12を切断して廃棄するのと同時に、サーマルプリンタ装置100のクリーニング動作を行うようにしている。これにより、サーマルヘッド1の発熱部1aをクリーニング孔8に直接接触させるためにインクリボン2を巻き取る動作を省略することができるので、実施の形態1の効果に加えて、さらに簡単にクリーニングすることができる効果が得られる。
【0049】
また、指紋などの汚れが付着しているため廃棄しなければならない始端領域12にクリーニング孔8を設けるようにしているので、クリーニングで取り去った異物は廃棄時に捨て去ることができる。
【0050】
以上、実施の形態1および2について説明した。これらの実施の形態は組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 サーマルヘッド
1a 発熱部
2 インクリボン
3a 巻き取りボビン
3b 供給ボビン
4 プラテンローラー
5 グリップローラー
6 ピンチローラー
7 記録用紙
7a 始端
7b 終端
8 クリーニング孔
9a スタート検知孔(マーク)
9b エンド検知孔(マーク)
10 ミシン目
12 始端領域
13 終端領域
15 切欠き部
16 巻き芯
17 排出方向
18 巻き取り方向
20 切欠き部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドによって印刷を行うサーマルプリンタ装置に用いられるロール状に巻回された記録用紙において、
前記記録用紙には、前記サーマルヘッドをクリーニングするための複数のクリーニング孔が設けられ、
前記複数のクリーニング孔は、前記サーマルヘッドの発熱部が前記複数のクリーニング孔に接触することにより前記サーマルヘッドをクリーニングするよう配置されていることを特徴とする記録用紙。
【請求項2】
前記クリーニング孔は、円形または楕円形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録用紙。
【請求項3】
前記クリーニング孔は、孔の縁が前記記録用紙の幅方向に対して傾斜する多角形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録用紙。
【請求項4】
前記複数のクリーニング孔は、千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の記録用紙。
【請求項5】
前記記録用紙の端部には、前記サーマルヘッドをクリーニングするための切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の記録用紙。
【請求項6】
前記複数のクリーニング孔は、前記記録用紙の終端領域に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の記録用紙。
【請求項7】
前記複数のクリーニング孔は、前記記録用紙の始端領域に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の記録用紙。
【請求項8】
前記記録用紙には、前記サーマルプリンタ装置にクリーニングの開始を指示するためのマークが設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の記録用紙。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の記録用紙を用いてクリーニングを行うサーマルプリンタ装置であって、
当該サーマルプリンタ装置は、
前記サーマルヘッドに対向する位置に設けられたプラテンと、
前記記録用紙を搬送する搬送手段と、
前記サーマルヘッドおよび前記搬送手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記記録用紙を前記サーマルヘッドと前記プラテンとで挟持し、前記サーマルヘッドの発熱部が前記複数のクリーニング孔に接触した状態で、前記搬送手段により前記記録用紙を移動させるよう制御することを特徴とするサーマルプリンタ装置。
【請求項10】
請求項8に記載の記録用紙を用いてクリーニングを行うサーマルプリンタ装置であって、
当該サーマルプリンタ装置は、
前記サーマルヘッドに対向する位置に設けられたプラテンと、
前記記録用紙を搬送する搬送手段と、
前記記録用紙に設けられた前記マークを検知する検知手段と、
前記サーマルヘッド、前記搬送手段および前記検知手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記検知手段が前記マークを検知した際に、前記記録用紙を前記サーマルヘッドと前記プラテンとで挟持し、前記サーマルヘッドの発熱部が前記複数のクリーニング孔に接触した状態で、前記搬送手段により前記記録用紙を移動させるよう制御することを特徴とするサーマルプリンタ装置。
【請求項11】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の記録用紙を用いてクリーニングを行うサーマルプリンタ装置のクリーニング方法であって、
前記記録用紙をサーマルヘッドとプラテンとで挟持し、前記サーマルヘッドの発熱部が前記複数のクリーニング孔に接触した状態で、前記記録用紙を移動させることを特徴とするサーマルプリンタ装置のクリーニング方法。
【請求項1】
サーマルヘッドによって印刷を行うサーマルプリンタ装置に用いられるロール状に巻回された記録用紙において、
前記記録用紙には、前記サーマルヘッドをクリーニングするための複数のクリーニング孔が設けられ、
前記複数のクリーニング孔は、前記サーマルヘッドの発熱部が前記複数のクリーニング孔に接触することにより前記サーマルヘッドをクリーニングするよう配置されていることを特徴とする記録用紙。
【請求項2】
前記クリーニング孔は、円形または楕円形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録用紙。
【請求項3】
前記クリーニング孔は、孔の縁が前記記録用紙の幅方向に対して傾斜する多角形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録用紙。
【請求項4】
前記複数のクリーニング孔は、千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の記録用紙。
【請求項5】
前記記録用紙の端部には、前記サーマルヘッドをクリーニングするための切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の記録用紙。
【請求項6】
前記複数のクリーニング孔は、前記記録用紙の終端領域に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の記録用紙。
【請求項7】
前記複数のクリーニング孔は、前記記録用紙の始端領域に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の記録用紙。
【請求項8】
前記記録用紙には、前記サーマルプリンタ装置にクリーニングの開始を指示するためのマークが設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の記録用紙。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の記録用紙を用いてクリーニングを行うサーマルプリンタ装置であって、
当該サーマルプリンタ装置は、
前記サーマルヘッドに対向する位置に設けられたプラテンと、
前記記録用紙を搬送する搬送手段と、
前記サーマルヘッドおよび前記搬送手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記記録用紙を前記サーマルヘッドと前記プラテンとで挟持し、前記サーマルヘッドの発熱部が前記複数のクリーニング孔に接触した状態で、前記搬送手段により前記記録用紙を移動させるよう制御することを特徴とするサーマルプリンタ装置。
【請求項10】
請求項8に記載の記録用紙を用いてクリーニングを行うサーマルプリンタ装置であって、
当該サーマルプリンタ装置は、
前記サーマルヘッドに対向する位置に設けられたプラテンと、
前記記録用紙を搬送する搬送手段と、
前記記録用紙に設けられた前記マークを検知する検知手段と、
前記サーマルヘッド、前記搬送手段および前記検知手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記検知手段が前記マークを検知した際に、前記記録用紙を前記サーマルヘッドと前記プラテンとで挟持し、前記サーマルヘッドの発熱部が前記複数のクリーニング孔に接触した状態で、前記搬送手段により前記記録用紙を移動させるよう制御することを特徴とするサーマルプリンタ装置。
【請求項11】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の記録用紙を用いてクリーニングを行うサーマルプリンタ装置のクリーニング方法であって、
前記記録用紙をサーマルヘッドとプラテンとで挟持し、前記サーマルヘッドの発熱部が前記複数のクリーニング孔に接触した状態で、前記記録用紙を移動させることを特徴とするサーマルプリンタ装置のクリーニング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−56433(P2013−56433A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195066(P2011−195066)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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