説明

記録装置、記録方法および記録プログラム

【課題】ディスク媒体(例えば、CD)からデータ(例えば、音楽データ)を読み取って記憶媒体(例えば、メモリカード)に記録するまでの操作を簡単にする。
【解決手段】CPUは、メモリカードから読み込んだ記録状態データに基づいてメモリカードに記録できるか否か判定し、更に他の条件も考慮してメモリカードへの記録を開始するための記録開始条件が成立するか否かを判定する(ステップST1、2)。CPUがメモリカードへの記録を開始するための記録開始条件が成立すると判定すると(ステップST2;Yes)、CDユニットのCDトレイをオープンする(ステップST3)。オープン/クローズキー等の操作キーが押下されると、CPUは、CDユニットのCDトレイを閉め、操作キーに応じてCDから音楽データを読み込む(ステップST4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、記録方法および記録プログラムに関する。特に、ディスク媒体から音楽データや映像データを読み込み、着脱可能な記憶媒体に記録する記録装置、記録方法および記録プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)を再生して得られる音楽データ(音声データを含む。)をMD(MiniDisc)に録音することのできる録音再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、映像データを記録・再生できるディスク媒体として、例えば、DVD(Digital Versatile DiscまたはDigital Video Disc)、HD−DVD(High Definition DVD)やブルーレイディスク(Blu−ray Disc)がある。
【0004】
SDメモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリスティック(商標)等のメモリカードや着脱可能なハードディスクに音楽データや映像データを記録することも可能である。
【0005】
【特許文献1】特開2002−100107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CD等のディスク媒体から、そのディスク媒体に記録されている音楽データや映像データのようなデータを読み取って、メモリカード等の着脱可能な記憶媒体(以下、記憶媒体という。)に記録するための操作は複雑である。
【0007】
利用者は、まず記憶媒体の残り記憶容量や記憶媒体に存在するフォルダの書き込み許可等を調べて記録可能か否かチェックする。
次に、ディスクユニットのオープン/クローズキーを押してディスクユニットのトレイをオープンさせてディスク媒体を装着する。その後、再度オープン/クローズキーを押してディスクユニットのトレイを閉める。
更に、音楽を録音する場合には、録音したい曲等の選択キーを押して、録音する曲を選択した後、録音キーを押して録音を開始する。
【0008】
そこで、ディスク媒体からデータを読み込み、記憶媒体に記録するまでの操作手順が簡単な記録装置、記録方法および記録プログラムが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の記録装置は、ディスク媒体からデータを読み込み、当該データを記憶媒体に記録する記録装置であって、
ディスク媒体が装着されるディスク媒体装着部と、
記憶媒体が接続される接続部と、
前記接続部に接続された前記記憶媒体の記録状態を読み出し、当該記録状態に基づいて当該記憶媒体に記録可能か否かを判定する記録状態判定手段と、
前記記録状態判定手段の判定結果も用いて、前記記憶媒体に記録を開始する条件が成立するか否かを判定する記録開始条件判定手段と
を有し、
前記記録開始条件判定手段が、前記記録を開始する条件は成立すると判定した場合に、前記ディスク媒体装着部が前記ディスク媒体を装着できるように動作することを特徴とする。
【0010】
好ましくは、本発明の記録装置は、前記ディスク媒体装着部が、ディスクを装着するトレイを含み、
前記記録開始条件判定手段が、前記記録を開始する条件は成立すると判定した場合に、前記ディスク媒体装着部が、前記トレイをオープンし、ディスクを装着できるように動作することを特徴とする。
【0011】
好ましくは、本発明の記録装置は、前記記録開始条件判定手段は、記憶媒体が前記接続部に接続された際に、記録を開始する条件が成立するか否かを判定することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、本発明の記録装置は、操作を指示する操作指示情報が入力される入力部と、
記憶媒体に記録されるデータを出力する、前記ディスク媒体装着部とは異なる出力部と、
操作指示情報に応じて、前記ディスク媒体装着部または前記出力部を選択する選択部と
を有し、
前記記録開始条件判定手段が、前記選択部に前記ディスク媒体装着部を選択させる操作指示情報が入力されており、かつ、前記記録状態判定手段の判定結果が記憶媒体に記録可能であり、かつ、前記ディスク媒体装着部にディスク媒体が装着されていない場合に、記録を開始する条件は成立すると判定する
ことを特徴とする。
【0013】
好ましくは、本発明の記録装置は、操作を指示する操作指示情報が入力される入力部を有し、
前記記録開始条件判定手段は、ディスク媒体から記憶媒体にデータを転送する操作指示情報が前記入力部に入力され、かつ、前記接続部に記憶媒体が接続されている場合に、記録を開始する条件が成立するか否かを判定する
ことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、本発明の記録装置は、操作を指示する操作指示情報が入力される入力部と、
前記記録開始条件判定手段が、記録を開始する条件は成立すると判定し、かつ、前記トレイを閉める操作指示情報が前記入力部に入力された場合に、前記トレイを閉め、前記ディスク媒体からデータを読み込むデータ読込手段と
を有する。
【0015】
また、本発明の記録方法は、ディスク媒体が装着されるディスク媒体装着部と、記憶媒体が接続される接続部とを含む記録装置における記録方法であって、
前記接続部に接続された前記記憶媒体の記録状態を読み出し、当該記録状態に基づいて当該記憶媒体に記録可能か否かを判定する記録状態判定工程と、
前記録状態判定工程の判定結果も用いて、前記記憶媒体に記録を開始する条件が成立するか否かを判定する記録開始条件判定工程と、
前記記録開始条件判定工程において、前記記録を開始する条件は成立すると判定された場合に、前記ディスク媒体装着部が前記ディスク媒体を装着できる状態に動作するディスク媒体装着部動作工程と
を有する。
【0016】
また、本発明の記録プログラムは、ディスク媒体が装着されるディスク媒体装着部と、記憶媒体が接続される接続部とを備えるコンピュータに、
前記接続部に接続された前記記憶媒体の記録状態を読み出し、当該記録状態に基づいて当該記憶媒体に記録可能か否かを判定する記録状態判定手順と、
前記記録状態判定手順の判定結果も用いて、前記記憶媒体に記録を開始する条件が成立するか否かを判定する記録開始条件判定手順と、
前記記録開始条件判定工程において、前記記録を開始する条件は成立すると判定された場合に、前記ディスク媒体装着部が前記ディスク媒体を装着できる状態に動作するディスク媒体装着部動作手順と
を実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ディスク媒体からデータを読み込み、記憶媒体に記録するまでの操作手順を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る記録装置について説明する。本発明の実施の形態に係る記録装置1は、図1に示すように、CDユニット21と、メモリカードスロット31と、入力部41と、表示部42と、制御部5と、DSP(Digital Signal Processor)6と、入力セレクタ7と、出力部8と、ADC(Analog−Digital Converter)9とを有している。
【0019】
記録装置1は、CDユニット21に装着されたCD23から音楽データを再生し、メモリカードスロット31に装着されたメモリカード32に記録するものである。
【0020】
CDユニット21は、CDトレイ22を有する。CDトレイ22は、通常はCDユニット21の中に引き込まれている。例えば、後述する入力部41のオープン/クローズキーが押下されると、CDトレイ22はCDユニット21から引き出される。
CDトレイ22がCDユニット21から引き出されると、CD23を装着可能な状態となり、CD23をCDトレイ22に装着することができる。
例えば、再度オープン/クローズキーが押下されると、CDトレイ22はCDユニット21に引き込まれる。CDトレイ22がCDユニット21に引き込まれ、CD23を着脱できない状態で、CD23に記録されている音楽データが再生される。
以下、CDトレイ22をCDユニット21から引き出す操作を、「CDトレイ22をオープンする」という。逆に、CDトレイ22をCDユニット21に引き込む操作を、「CDトレイ22を閉める」という。
【0021】
メモリカードスロット31は、例えば、メモリカード32が装着されると、メモリカード32からこのメモリカード32に音楽データを記録できるか否かを判定するために記録状態データを読み込む。
なお、記録状態データとは、例えば、音楽データを記録するためのフォルダの有無を示すデータ、存在するフォルダの容量を示すデータ、フォルダに記録されている音楽データの有無を示すデータおよびメモリカード32へ記録が許可されているか否かを示すデータである。
【0022】
入力部41は、操作キーを有しており、操作キーを押下することによって利用者の操作が入力される。例えば、CDトレイ22をオープンし、または閉める操作を行うためのオープン/クローズキー、CD23に記録されている音楽データの再生を行うためのCDプレイキー、CD23に複数の音楽データが記録されている場合に再生する音楽データを選択するための数字キー、入力セレクタ7にCDユニット21またはADC9のいずれを選択するかを指示するための選択キー、メモリカード32への記録を開始させるための録音キー、およびCD23に記録されている音楽データをメモリカード32に転送することを指示するための転送キーを有している。
【0023】
表示部42は、ディスプレイを有しており、例えば、CD23に記録されている音楽データの内容や、メモリカード32の記録状態データを表示する。
【0024】
制御部5は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、図示しないメモリを含むプログラマブルなプロセサである。メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Ramdom Access Memory)である。制御部5のCPUは、メモリに記憶されているプログラムによって、記録状態判別手段と、記録開始条件判定手段と、データ読込手段を実現する。
【0025】
記録状態判別手段は、後述するように、メモリカード32の記録状態データを読み出し、メモリカード32に音楽データを記録できるか否かを判定する。記録開始条件判定手段は、この判定に基づいて、メモリカード32に記録を開始する条件が成立するか否かを判定する。記録開始条件判定手段が、メモリカード32に記録を開始する条件は成立すると判定した場合に、制御信号c21をCDユニット21に送ってCDトレイ22をオープンする。
メモリカード32に音楽データを記録できるか否か判定するための記録状態データは、後述するDSP6が読み取り、制御信号c6によって制御部5に送る。ただし、制御部5のCPUが直接メモリカードスロット31にアクセスしてメモリカード32の記録状態データを読み込む構成としても良い。
【0026】
データ読込手段は、後述するように、記録開始条件判定手段が、記録を開始する条件は成立すると判定し、かつ、オープン/クローズキー、CDプレイキー、または数字キーが押下されると、CDトレイ22を閉める。データ読込手段は、CDトレイ22が閉まったことがCDユニット21から通知されると、押下された操作キーに応じて制御信号c21を送り、CDユニット21を制御してCD23から音楽データを読み込む。
【0027】
DSP6は、図示しない乗算器、図示しない加算器および図示しないROMやRAMのようなメモリを含む。DSP6は、デジタル信号処理機能が強化されたプログラマブルなプロセサである。
DSP6は、メモリカード32の記録状態データを読み取り、その記録状態データを制御信号c6によって制御部5に送る。
また、CDユニット21から後述する入力セレクタ7を介して送信される音楽データをメモリカード32に記録する。
【0028】
DSP6は、メモリに記憶されているプログラムを実行し、エンコーダとデコーダとして動作する。DSP6は、後述するように、CD23から読み込まれた音楽データの符号化条件をチェックし、メモリカード32に記録する音楽データの符号化条件と異なる場合、CD23から読み込まれた音楽データを復号し、復号された音楽データをメモリカード32に記録する音楽データの符号化条件で符号化する。
【0029】
入力セレクタ7は、選択キーの指示に応じて複数の入力先から一つを選択し、選択された入力先の出力するデータをDSP6に送る。例えば、CDユニット21の出力とADC9の出力のうち、いずれかを選択し、DSP6に送る。
【0030】
出力部8は、DAC(Digital−Analog Converter)81と、アンプ82と、スピーカ83を含む。DAC81は、DSP6が復号した音楽データをデジタル信号からアナログ信号に変換する。アンプ82は、DAC81が出力するアナログ信号を増幅する。スピーカ83は、増幅されたアナログ信号を音楽として出力する。
なお、CD23に記録された音楽データをメモリカード32に記録するとき、必ずしもスピーカ83から音楽を出力する必要はない。例えば、CD23の音楽データを高速にメモリカード32に記録するときにはスピーカ83から音楽を流しても耳障りである。この場合には、出力部8をオフにして、音楽を出力しないようにしても良い。
【0031】
ADC9は、アナログ信号で入力される音声や音楽をデジタル信号に変換する。
【0032】
なお、CD23は本発明のディスク媒体の一例であり、CDユニット21は本発明のディスク媒体装着部の一例であり、メモリカード32は本発明の記録媒体の一例であり、メモリカードスロット31は本発明の接続部の一例であり、入力部41は本発明の入力部の一例であり、ADC9は本発明の出力部の一例であり、入力セレクタ7は本発明の選択部の一例である。
また、選択キーによって入力セレクタ7にCDユニット21を選択するように指示することは、本発明における選択部にディスク媒体装着部を選択させる操作指示情報を入力することの一例である。
【0033】
以下、図2〜図9のフローチャートを参照して、記録装置1の動作について詳細に説明する。なお、図2〜図9のフローチャートにおいて、符号が同一のステップは処理内容が同じであることを示す。
【0034】
図2は、本発明の実施の形態に係る記録方法の一例を示すフローチャートの図である。図1の記録装置は、図2に示す記録方法を実現する。
【0035】
図2のステップST1とステップST2は、記録開始条件判定手段の実現する処理の内容を示す。
【0036】
メモリカードスロット31は、メモリカード32に記録可能か否かを判定するための記録状態データをメモリカード32から読み込む(ステップST1)。
【0037】
図3に詳細を示すように、ステップST1では、メモリカードスロット31は2つの場合に記録状態データをメモリカード32から読み込む(ステップST14)。
まず、メモリカードスロット31にメモリカード32が装着された場合である(ステップST11;Yes)。すなわち、メモリカードスロット31は、メモリカード32が装着された瞬間を検出して記録状態データを読み込む(ステップST14)。
次に、CD23に記録されている音楽データをメモリカード32に転送することを指示する入力部41の転送キーが押下された場合である(ステップST12;Yes)。入力部41の転送キーが押下されると、制御部5のCPUは、メモリカードスロット31にメモリカード32が装着されているか否かを確認し、装着されている場合(ステップST13;Yes)、記録状態データをメモリカード32から読み込む(ステップST14)。
【0038】
転送キーが押下されない場合(ステップST12;No)および転送キーは押下されたが、メモリカードスロット31にメモリカード32が装着されていない場合(ステップST12;Yes、ステップST13;No)には、制御部5のCPUはステップST1を繰り返す。このとき、記録装置1は待機状態になる。
【0039】
記録状態データが読み込まれると、図2に示すように、制御部5のCPUは、記録状態データに基づいてメモリカード32に記録できるか否か判定し、更に他の条件も考慮してメモリカード32への記録を開始することが可能か否か判定する(ステップST2)。記録を開始することが可能な場合には、CDユニット21は装着可能な状態に変化する。すなわち、CDユニット21はCDトレイ22をオープンする(ステップST2;Yes)。
【0040】
図4と図5は、ステップST2の2通りの実施形態を示す。
【0041】
一つの実施形態では、図4に示すように、制御部5のCPUは、入力セレクタ7が入力先としてCDユニット21を選択しており(ステップST21;Yes)、かつ、後述するように、記録状態データに基づいてメモリカード32に記録可能と判定し(ステップST22;Yes)、かつ、CDユニット21にCD23が装着されていない(ステップST23;No)場合に、メモリカード32への記録を開始できると判定する(ステップST2;Yes)。
【0042】
一方、制御部5のCPUは、入力セレクタ7が入力先としてCDユニット21以外、例えばADC9を選択している(ステップST21;No)か、または、記録状態データに基づいてメモリカード32に記録できないと判定する(ステップST22;No)か、または、CDユニット21にCD23が装填されている(ステップST23;Yes)場合には、メモリカード32への記録を開始できないと判定する(ステップST2;No)。この場合、制御部5のCPUはメモリカード32への記録を中止し、例えば、表示部42にメモリカード32に記録されているデータの内容を表示する。
【0043】
別の実施形態では、図5に示すように、制御部5のCPUは、入力セレクタ7が入力先としてCDユニット21以外を選択している(ステップST21;No)場合には、入力セレクタ7の入力先をCDユニット21に切り換える(ステップST24)。そして、制御部5のCPUは、後述するように、記録状態データに基づいてメモリカード32に記録可能と判定し(ステップST22;Yes)、かつ、CDユニット21にCD23が装填されていない(ステップST23;No)場合に、メモリカード32への記録を開始できると判定する(ステップST2;Yes)。
一方、制御部5のCPUは、記録状態データに基づいてメモリカード32に記録できないと判定する(ステップST22;No)か、または、CDユニット21にCD23が装填されている(ステップST23;Yes)場合には、メモリカード32への記録を開始できないと判定する(ステップST2;No)。
【0044】
上述した通り、ステップST22では、記録状態データに基づいてメモリカード32に記録可能か否か判定する。ステップST22は、記録状態判別手段の実現する処理の内容を示す。
図6と図7は、ステップST22の2通りの実施形態を示す。
【0045】
一つの実施形態では、図6に示すように、制御部5のCPUは、メモリカード32にデータを記録するためのフォルダが存在せず(ステップST221;No)、かつ、メモリカード32への記録が許可されている(ステップST224;Yes)場合に、記録状態データに基づいてメモリカード32に記録すると判定する(ステップST22;Yes)。
一方、メモリカード32にデータを記録するためのフォルダが存在するか(ステップST221;Yes)、または、メモリカード32への記録が許可されていない(ステップST224;No)場合に、記録状態データに基づいてメモリカード32には記録しないと判定する(ステップST22;No)。この場合、他の条件を考慮するまでもなく、制御部5のCPUはメモリカード32への記録を中止する。
【0046】
別の実施形態も、図7に示すように、制御部5のCPUが、メモリカード32にデータを記録するためのフォルダが存在せず(ステップST221;No)、かつ、メモリカード32への記録が許可されている(ステップST224;Yes)場合に、記録状態データに基づいてメモリカード32に記録すると判定する(ステップST22;Yes)点では図6の実施形態と同一である。
図7の実施形態では、制御部5のCPUは、メモリカード32にデータを記録するためのフォルダが存在する場合であっても(ステップST221;Yes)、そのフォルダにデータを記憶するために十分な空き容量が存在し(ステップST222;Yes)、かつ、そのフォルダの中に音楽データが存在せず(ステップST223;No)、かつ、メモリカード32への記録が許可されている(ステップST224;Yes)場合には、記録状態データに基づいてメモリカード32に記録すると判定する(ステップST22;Yes)。
【0047】
一方、図7の実施形態では、制御部5のCPUは、フォルダは存在するが、そのフォルダにデータを記憶するために十分な空き容量が存在しないか(ステップST222;No)、または、フォルダの中に音楽データが存在するか(ステップST223;Yes)、または、メモリカード32への記録が許可されていない(ステップST224;No)場合には、記録状態データに基づいてメモリカード32に記録しないと判定する(ステップST22;No)。
【0048】
図2に示すように、制御部5のCPUは、メモリカード32へ記録を開始する条件が成立すると判定すると(ステップST2;Yes)、CDユニット21のCDトレイ22をオープンする(ステップST3)。
【0049】
一方、制御部5のCPUは、メモリカード32への記録を開始する条件が成立しないと判定すると(ステップST2;No)、メモリカード32への記録を中止し、例えば、表示部42にメモリカード32に記録されているデータの内容を表示し、ステップST1に戻る。
記録装置1がこの状態にあるとき、利用者は、入力部41から操作し、メモリカード32に記録されているデータを削除する等、ステップST2においてメモリカード32への記録を開始するための記録開始条件が成立するように設定することができる。この設定を行った後、CD23に記録されている音楽データをメモリカード32に転送することを指示する転送キーを押下することにより、メモリカード32に音楽データを記録することができる。
【0050】
図2のステップST4は、データ読込手段の実現する処理の内容を示す。
【0051】
CDユニット21にCD23が装着され、オープン/クローズキー等の操作キーが押下されると、制御部5のCPUは、CDユニット21のCDトレイ22を閉め、操作キーに応じてCD23から音楽データを読み込む(ステップST4)。
【0052】
図8と図9は、ステップST4の2通りの実施形態を示す。
【0053】
一つの実施形態では、図8に示すように、制御部5のCPUは、入力部41でオープン/クローズキー、CDプレイキーまたは数字キーが押下されるのを待つ(ステップST41;No、ステップST42;NO、ステップST43;No)。
【0054】
オープン/クローズキーの押下(ステップST41;Yes)は、CD23がCDトレイ22に装着され、CDトレイ22を閉める操作が指示されたことを意味する。この場合、制御部5のCPUは、CDユニット21のCDトレイ22を閉める(ステップST44)。そして、制御部5のCPUは、曲数や演奏時間等のCD23の内容を記録した部分であるTOC(Table of Contents)をCD23から読み込み(ステップST45−1)、メモリカード32への録音を開始させることを意味する録音キーが押下されるのを待つ(ステップST46;No)。
録音キーが押下されると(ステップST46;Yes)、制御部5のCPUは、CD23に記録されている全曲の音楽データを読み込む(ステップST47−1)。
【0055】
CDプレイキーの押下(ステップST42;Yes)は、CD23がCDトレイ22に装着され、CD23を再生する操作が指示されたことを意味する。この場合、制御部5のCPUは、CDユニット21のCDトレイ22を閉め(ステップST44)、CD23からTOCを読み込み、先頭の曲の読込準備をして(ステップST45−2)録音キーが押下されるのを待つ(ステップST46;No)。なお、先頭の曲の読込準備とは、例えば、先頭の曲の音楽データが記録されているトラックに光ピックアップを移動させることである。
録音キーが押下されると(ステップST46;Yes)、制御部5のCPUは、CD23に記録されている先頭の曲の音楽データを読み込む(ステップST47−2)。
【0056】
数字キーの押下(ステップST43;Yes)は、CD23がCDトレイ22に装着され、CD23の選択された曲を再生する操作が指示されたことを意味する。この場合、制御部5のCPUは、CDユニット21のCDトレイ22を閉め(ステップST44)、CD23からTOCを読み込み、数字キーに対応する曲の読込準備をして(ステップST45−3)録音キーが押下されるのを待つ(ステップST46;No)。なお、数字キーに対応する曲の読込準備とは、例えば、数字キーに対応する曲の音楽データが記録されているトラックに光ピックアップを移動させることである。
録音キーが押下されると(ステップST46;Yes)、制御部5のCPUは、CDユニット21にCD23に記録されている数字キーに対応した曲の音楽データを読み込む(ステップST47−3)。
【0057】
図9に示す別の実施形態でも、制御部5のCPUは、入力部41でオープン/クローズキー、CDプレイキーまたは数字キーが押下されるのを待つ(ステップST41;No、ステップST42;No、ステップST43;No)点では図8の実施形態と同様である。
【0058】
図9の実施形態では、オープン/クローズキー、CDプレイキーまたは数字キーが押下されると(ステップST41;Yes、ステップST42;Yes、ステップST43;Yes)、制御部5のCPUは、CDユニット21のCDトレイ22を閉め(ステップST44)、押下されたキーに応じて、直ちにCD23に記録されている全曲の音楽データを読み込むか(ステップST48−1)、先頭の曲の音楽データを読み込むか(ステップST48−2)、または選択された曲の音楽データを読み込む(ステップST48−3)。
【0059】
なお、オープン/クローズキー、CDプレイキーまたは数字キーが押下されたことは、本発明におけるトレイを閉める操作指示情報が入力部に入力されたことの一例である。
【0060】
音楽データが記録されたメモリカード32が使用される携帯電話機や携帯型音楽再生装置等の仕様によっては、CD23から読み込んだ音楽データの符号化条件とメモリカード32に記録される音楽データの符号化条件が異なる場合がある。
このため、DSP6は、メモリカード32に音楽データを記録する(ステップST7)前に、CD23から読み込まれる音楽データの符号化条件とメモリカード32に記録される音楽データの符号化条件が同一であるか否か判定する(ステップST5)。
【0061】
符号化条件とは、例えば、PCM(Pulse Code Modulation)、MP3(MPEG Audio Layer−3)またはAAC(Advanced Audio Coding)等の符号化規格や符号化ビットレートである。
CD23から読み込まれる音楽データの符号化条件は、例えば、音楽データのビットストリームのヘッダを解析することによって知ることができる。
一方、メモリカード32に記録する音楽データの符号化条件は、例えば制御部5やDSP6内のメモリに予め記憶させておくか、または入力部41から操作キーによって入力される。
【0062】
CD23から読み込んだ音楽データの符号化条件とメモリカード32に記録される音楽データの符号化条件が異なる場合(ステップST5;No)、DSP6は、CD23から読み込んだ音楽データを復号し、復号された音楽データをメモリカード32に記録される音楽データの符号化条件で符号化する(ステップST6)。
一方、CD23から読み込んだ音楽データの符号化条件とメモリカード32に記録される音楽データの符号化条件が同一である場合(ステップST5;Yes)、ステップST6は実行されず、スキップされる。
【0063】
ステップST5とステップST6が実行されることによって、メモリカード32が使用される携帯電話機や携帯型音楽再生装置等で再生できる音楽データが得られる。メモリカードスロット31は、この音楽データをメモリカード32に記録する(ステップST7)。
ステップST7が終了すると、制御部5のCPUはステップST1に戻り、記録装置1は待機状態になる。
【0064】
なお、CD23から音楽データを読み込むステップST4と、CD23から読み込んだ音楽データを復号し、メモリカード32に記録するために符号化するステップST6と、メモリカード32に音楽データを記録するステップST7は平行して実行しても良い。すなわち、CD23からメモリカード32に記録する全ての音楽データが読み出されるのを待って、ステップST6とステップST7の実行を開始するのではなく、CD23から音楽データを読み出しながら、平行して音楽データを復号・符号化し、音楽データをメモリカード32に記録しても良い。
【0065】
また、CD23から読み込んだ音楽データの符号化条件とメモリカード32に記録される音楽データの符号化条件が同一であることが予め分かっている場合には、ステップST5とステップST6は実行せずに、ステップST4に続けて直ちにステップST7を実行しても良い。
【0066】
また、例えば、タイマ録音やタイマ再生のように、予め設定した時刻に所定の動作を行う処理が、入力セレクタ7の入力先としてCDユニット21以外を指定して実行されているとき、入力セレクタ7の入力先がCDユニット21に切り換わると、タイマ録音やタイマ再生の設定が無効となる。
このため、制御部5のCPUは、タイマ録音やタイマ再生の実行をメモリカード32に録音を開始するか否かを判定する条件(図2のステップST2)に加えても良い。すなわち、タイマ録音やタイマ再生が実行されているときには、制御部5のCPUは、メモリカード32が装着されてもCDユニット21にCDトレイ22をオープンさせる処理(図2のステップST3)を行わず、ステップST1に戻っても良い(図2のステップST2;No)。
【0067】
これまで、音楽データを対象として説明したが、映像データについても本発明を適用することができる。
映像データについては、例えば、MPEG−2、MPEG−4、VC−1、H.264等の符号化規格が存在する。また、映像を再生する装置によって画面サイズやフレームレートが異なる場合がある。このため、DSP6は、符号化規格と画面サイズとフレームレートと符号化ビットレートを変更して符号化できることが望ましい。
【0068】
また、ディスク媒体は、例えば、DVD、HD−DVDやブルーレイディスクであっても良い。
【0069】
記憶媒体は、例えばUSBメモリカード、MDや着脱可能なハードディスクで有っても良い。また、延長ケーブルでUSBコネクタに接続される外付けのハードディスクのように、記憶媒体はケーブルで記録装置1に接続されるものであっても良い。
【0070】
必ずしも、記録装置1はDSP6を含まなくても良い。
例えば、制御部5のCPUが、高い処理能力を有しており、音楽データや映像データのような圧縮されたデータを復号し、符号化することが可能である場合、圧縮されたデータの復号と符号化を制御部5のCPUで実行しても良い。
また、映像の符号化・復号のように膨大な演算能力を必要とする処理は専用回路で実現し、ディスク媒体から読み込んだデータの符号化条件と記憶媒体に記録されるデータの符号化条件の同一性の判定を制御部5のCPUで実現しても良い。
【0071】
以上のように、本発明によれば、制御部5のCPUが記録開始条件が成立すると判定した場合に、制御部5のCPUがCDトレイ22をオープンさせるため、CDトレイ22をオープンする操作が不要になり、操作手順が簡略化される。
また、CDトレイ22を閉める操作指示情報またはCD23からデータの読込を指示する操作指示情報が入力されると、制御部5のCPUがCDトレイ22を閉めるため、CDトレイ22を閉める操作が不要になり、操作手順が簡略化される。
更に、制御部5のCPUが記録状態データに基づく判定を含めて記録開始条件が成立すると判定した場合にCDユニット21のCDトレイ22が自動的にオープンするため、装着したメモリカード32が記録可能なものであるか否かが容易に判断できる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態に係る記録装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る記録方法の一例を示すフローチャートの図である。
【図3】図2のステップST1の処理の一例を示すフローチャートの図である。
【図4】図2のステップST2の処理の一例を示すフローチャートの図である。
【図5】図2のステップST2の処理の別の例を示すフローチャートの図である。
【図6】図4と図5のステップST22の処理の一例を示すフローチャートの図である。
【図7】図4と図5のステップST22の処理の別の例を示すフローチャートの図である。
【図8】図2のステップST4の処理の一例を示すフローチャートの図である。
【図9】図2のステップST4の処理の別の例を示すフローチャートの図である。
【符号の説明】
【0074】
1…記録装置
21…CDユニット
22…CDトレイ
23…CD
31…メモリカードスロット
32…メモリカード
41…入力部
5…制御部
6…DSP
7…入力セレクタ
9…ADC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク媒体からデータを読み込み、当該データを記憶媒体に記録する記録装置であって、
ディスク媒体が装着されるディスク媒体装着部と、
記憶媒体が接続される接続部と、
前記接続部に接続された前記記憶媒体の記録状態を読み出し、当該記録状態に基づいて当該記憶媒体に記録可能か否かを判定する記録状態判定手段と、
前記記録状態判定手段の判定結果も用いて、前記記憶媒体に記録を開始する条件が成立するか否かを判定する記録開始条件判定手段と
を有し、
前記記録開始条件判定手段が、前記記録を開始する条件は成立すると判定した場合に、前記ディスク媒体装着部が前記ディスク媒体を装着できるように動作することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記ディスク媒体装着部が、ディスクを装着するトレイを含み、
前記記録開始条件判定手段が、前記記録を開始する条件は成立すると判定した場合に、前記ディスク媒体装着部が、前記トレイをオープンし、ディスクを装着できるように動作することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録開始条件判定手段は、記憶媒体が前記接続部に接続された際に、記録を開始する条件が成立するか否かを判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
操作を指示する操作指示情報が入力される入力部と、
記憶媒体に記録されるデータを出力する、前記ディスク媒体装着部とは異なる出力部と、
操作指示情報に応じて、前記ディスク媒体装着部または前記出力部を選択する選択部と
を有し、
前記記録開始条件判定手段が、前記選択部に前記ディスク媒体装着部を選択させる操作指示情報が入力されており、かつ、前記記録状態判定手段の判定結果が記憶媒体に記録可能であり、かつ、前記ディスク媒体装着部にディスク媒体が装着されていない場合に、記録を開始する条件は成立すると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
操作を指示する操作指示情報が入力される入力部を有し、
前記記録開始条件判定手段は、ディスク媒体から記憶媒体にデータを転送する操作指示情報が前記入力部に入力され、かつ、前記接続部に記憶媒体が接続されている場合に、記録を開始する条件が成立するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
【請求項6】
操作を指示する操作指示情報が入力される入力部と、
前記記録開始条件判定手段が、記録を開始する条件は成立すると判定し、かつ、前記トレイを閉める操作指示情報が前記入力部に入力された場合に、前記トレイを閉め、前記ディスク媒体からデータを読み込むデータ読込手段と
を有することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項7】
ディスク媒体が装着されるディスク媒体装着部と、記憶媒体が接続される接続部とを含む記録装置における記録方法であって、
前記接続部に接続された前記記憶媒体の記録状態を読み出し、当該記録状態に基づいて当該記憶媒体に記録可能か否かを判定する記録状態判定工程と、
前記録状態判定工程の判定結果も用いて、前記記憶媒体に記録を開始する条件が成立するか否かを判定する記録開始条件判定工程と、
前記記録開始条件判定工程において、前記記録を開始する条件は成立すると判定された場合に、前記ディスク媒体装着部が前記ディスク媒体を装着できる状態に動作するディスク媒体装着部動作工程と
を有することを特徴とする記録方法。
【請求項8】
ディスク媒体が装着されるディスク媒体装着部と、記憶媒体が接続される接続部とを備えるコンピュータに、
前記接続部に接続された前記記憶媒体の記録状態を読み出し、当該記録状態に基づいて当該記憶媒体に記録可能か否かを判定する記録状態判定手順と、
前記記録状態判定手順の判定結果も用いて、前記記憶媒体に記録を開始する条件が成立するか否かを判定する記録開始条件判定手順と、
前記記録開始条件判定工程において、前記記録を開始する条件は成立すると判定された場合に、前記ディスク媒体装着部が前記ディスク媒体を装着できる状態に動作するディスク媒体装着部動作手順と
を実行させるための記録プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−176350(P2009−176350A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12349(P2008−12349)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】