説明

記録装置、記録装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】記録媒体への画像の記録と記録媒体のカットとを行う記録装置において、カットを行うために記録動作を停止しても良好な記録品質を得られるようにする。
【解決手段】ロール紙100に印刷する印刷ヘッド31と、ロール紙100を搬送する搬送モーター及びプラテン32と、印刷ヘッド31により印刷されたロール紙100をカットするカッターユニット33と、搬送モーター、印刷ヘッド31及びカッターユニット33を制御する制御部とを備えたプリンター2は、ロール紙100を搬送しながら印刷ヘッド31によりイメージを印刷し、この印刷中にカッターユニット33によりロール紙100をカットする場合は搬送を停止し、カッターユニット33によるロール紙100のカットが完了した後に、所定長さだけロール紙100を逆方向に搬送してから印刷ヘッド31による印刷を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録を行うとともに記録媒体をカットする記録装置、この記録装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーやコンビニエンス・ストア等の小売業において利用されているPOSシステム等が備える記録装置として、レシートを記録して排出するため、ロール紙等の記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、記録後の記録媒体をカットするカッターを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−210097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された装置のようにカッターを搭載した記録装置においては、記録ヘッドとカッターの位置とが離れているため記録媒体を無駄にしないように、記録済みの部分をカットするときには、記録ヘッドとカッターの間に相当する続きの部分を記録ヘッドによって記録しておく場合がある。この場合、記録媒体への搬送及び記録を停止(中断)してカットし、カット完了後に搬送及び記録を再開することになるが、記録を停止し再開したことにより、停止した位置において搬送方向の垂直方向である紙幅方向に、筋状の空白部が形成されてしまうことがあった。このような空白はわずかな幅であっても目立つため、記録品質が損なわれたように見えてしまう。この空白は、搬送を停止及び再開することで停止時と再開時とで記録ヘッドと記録媒体との相対位置がずれてしまうことに起因し、搬送機構のギア等のバックラッシュやプラテンなどのゴム部材の弾性変形によるずれ、切断時に記録媒体に加わる引っ張り力の影響等が主な原因であり、容易に解消できるものではない。このため、空白部の発生を回避することは難しかった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、記録媒体への画像の記録と記録媒体のカットとを行う記録装置において、カットを行うために記録動作を停止しても良好な記録品質を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、画像または文字若しくは記号のいずれか一以上を含んで構成されるイメージを記録媒体に記録する記録ヘッドと、前記記録媒体を搬送する搬送部と、前記記録ヘッドにより前記イメージが記録された前記記録媒体をカットするカッターユニットと、前記記録ヘッド、前記カッターユニット及び前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記搬送部によって前記記録媒体を搬送し、前記記録ヘッドによりイメージを記録し、この記録中に前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットする場合は前記搬送部による搬送を停止し、前記カッターユニットによる前記記録媒体のカットが完了した後に、所定長さだけ前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送してから前記記録ヘッドによる記録を再開すること、を特徴とする。
この構成によれば、記録媒体を搬送し、記録ヘッドによりイメージを記録する記録装置が、記録中にカッターユニットにより記録媒体をカットする場合は搬送部による搬送を停止し、記録媒体のカットが完了した後には、所定長さだけ記録媒体を搬送方向に対して逆方向に搬送してから記録を再開する。これにより、記録を停止した位置においては所定長さだけ重ねて記録が行われ、記録を停止及び再開した場合に停止時と再開時で記録ヘッドと記録媒体との位置ずれが生じても、筋状の空白部の発生を防止できる。このため、記録を停止して記録媒体をカットしても筋状の空白部が発生せず、良好な記録品質を得ることができる。
【0006】
上記構成において、前記記録媒体に記録するイメージデータを記憶するイメージ記憶部を備え、前記制御部は、前記イメージ記憶部に記憶されたイメージデータに基づいて前記記録ヘッドにより前記記録媒体への記録を行わせ、前記記録ヘッドによる前記イメージデータの所定の記録位置で、前記搬送部による搬送を停止して前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットし、前記記録媒体のカットが完了した場合には、所定長さだけ前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送してから、搬送停止前に記録済みの前記所定長さ分のイメージデータから前記記録ヘッドによる記録を再開する構成としてもよい。
この場合、記録媒体のカットが完了すると所定長さだけ記録媒体を逆方向に搬送し、搬送停止前に記録済みの所定長さ分のイメージデータから記録をさかのぼって再開するので、所定長さだけ重ねて記録する部分には所定長さ分だけさかのぼったイメージデータが記録される。つまり、記録媒体を逆方向に搬送して、所定長さ分について同じデータを重ねて記録するので、筋状の空白部の発生を防止できるとともに、重なって記録される部分に違和感を生じることがなく、また、所定長さだけ記録媒体を逆方向に搬送したことにより全体の記録長が変化してしまうことがない。
【0007】
また、上記構成において、前記制御部は、前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送して前記記録ヘッドによる記録を再開する際に、停止前に記録済みの前記所定長さ分のイメージのみを所定長さ分より前または後に相当する他の部分よりも薄い階調で記録する構成としてもよい。
この場合、所定長さ分を重ねて記録する際には薄い階調で記録するので、重なる部分が他の部分より濃く目立ってしまうことがない。これにより、重ねて記録を行うことで空白の発生を防止し、かつ、重なり部分の見た目に違和感を生じない。
【0008】
さらに、上記構成において、前記記録ヘッドにエネルギーを与えることにより前記記録面にイメージを形成するものであり、前記制御部は、前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送して前記記録ヘッドによる記録を再開する際に、停止前に記録済みの前記所定長さ分のイメージを記録する間は、他の部分よりも前記記録ヘッドに与えるエネルギーを低くして記録する構成としてもよい。
この場合、所定長さ分を重ねて記録する際には、記録ヘッドにより記録媒体に加わるエネルギーが小さいため、この部分が薄く記録される。このため、重なる部分が他の部分より濃く目立ってしまうことがないので、重ねて記録を行うことで空白の発生を防止し、かつ、重なり部分の見た目に違和感を生じない。
【0009】
さらにまた、上記構成において、前記記録媒体は熱により発色する感熱紙(感熱シート)であり、前記記録ヘッドは前記記録媒体の記録面に接して熱を加える発熱体を前記記録媒体の幅方向に並べたラインサーマルヘッドであり、前記制御部は、前記搬送部により前記記録媒体を搬送しながら前記記録ヘッドに通電して、前記記録媒体に記録を実行し、記録中に前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットする場合は前記記録ヘッドへの通電及び前記搬送部による搬送を停止し、前記カッターユニットによる前記記録媒体のカットが完了した後に、所定長さだけ前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送してから前記記録ヘッドへの通電と前記搬送部による搬送とを再開し、再開後の最初の前記所定長さを記録する間に前記記録ヘッドに通電する電力を、通常の記録時よりも低い電力量とする構成としてもよい。
この場合、記録媒体は熱により発色する感熱シートであり、この記録媒体の記録面に接して熱を加える発熱体を幅方向に並べたラインサーマルヘッドを用いて記録を行う構成において、記録媒体をカットする場合は記録ヘッドへの通電及び搬送を停止し、カットが完了した後に、所定長さだけ記録媒体を逆方向に搬送してから記録ヘッドへの通電と搬送とを再開し、再開後の最初の所定長さを記録する間に記録ヘッドに通電する電力量を、通常の記録時よりも低い電力量とするので、カットを行うために記録ヘッドへの通電及び搬送を停止した後は所定長さ分だけ逆方向に搬送し、重ねて記録を行い、この重なりの部分を記録する間は記録ヘッドに通電する電力を抑えるので、重ねて記録する際の発色が抑えられる。このため、ラインサーマルヘッドにより感熱シートに記録を行う場合に、重なる部分が他の部分より濃く目立ってしまうことがないので、重ねて記録を行うことで空白の発生を防止し、かつ、重なり部分の見た目に違和感を生じない。
また、上記構成において、前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送する長さと、前記記録ヘッドによる記録を再開するイメージデータの長さはほぼ等しい長さとしてもよい。この場合、先の記録にちょうど重ねて記録することができる。
【0010】
本発明は、記録ヘッドにより画像または文字若しくは記号のいずれか一以上を含んで構成されるイメージを記録媒体に記録し、搬送部により前記記録媒体を搬送し、前記記録ヘッドにより前記イメージが記録された前記記録媒体をカッターユニットによりカットする記録装置を制御する記録装置の制御方法であって、前記搬送部によって前記記録媒体を搬送し、前記記録ヘッドによりイメージを記録し、この記録中に前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットする場合は前記搬送部による搬送を停止し、前記カッターユニットによる前記記録媒体のカットが完了した後に、所定長さだけ前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送してから前記記録ヘッドによる記録を再開すること、を特徴とする。
この方法によれば、記録媒体を搬送しながら記録ヘッドによりイメージを記録する記録装置が、記録中にカッターユニットにより記録媒体をカットする場合は搬送部による搬送を停止し、記録媒体のカットが完了した後には、所定長さだけ記録媒体を搬送方向に対して逆方向に搬送してから記録を再開する。これにより、記録を停止した位置においては所定長さだけ重ねて記録が行われ、記録を停止及び再開した場合に停止時と再開時で記録ヘッドと記録媒体との位置ずれが生じても、筋状の空白部の発生を防止できる。このため、記録を停止して記録媒体をカットしても筋状の空白部が発生せず、良好な記録品質を得ることができる。
【0011】
また、本発明は、記録ヘッドにより画像または文字若しくは記号のいずれか一以上を含んで構成されるイメージを記録媒体に記録し、搬送部により前記記録媒体を搬送し、前記記録ヘッドにより前記イメージが記録された前記記録媒体をカッターユニットによりカットする記録装置を制御する制御部が実行するプログラムであって、前記制御部により、前記搬送部によって前記記録媒体を搬送しながら前記記録ヘッドによりイメージを記録し、この記録中に前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットする場合は前記搬送部による搬送を停止し、前記カッターユニットによる前記記録媒体のカットが完了した後に、所定長さだけ前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送してから前記記録ヘッドによる記録を再開すること、を特徴とする。
このプログラムを制御部が実行することにより、記録媒体を搬送しながら記録ヘッドによりイメージを記録する記録装置が、記録中にカッターユニットにより記録媒体をカットする場合は搬送部による搬送を停止し、記録媒体のカットが完了した後には、所定長さだけ記録媒体を逆方向に搬送してから記録を再開する。これにより、記録を停止した位置においては所定長さだけ重ねて記録が行われ、記録を停止及び再開した場合に停止時と再開時で記録ヘッドと記録媒体との位置ずれが生じても、筋状の空白部の発生を防止できる。このため、記録を停止して記録媒体をカットしても筋状の空白部が発生せず、良好な記録品質を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録媒体のカットが完了した後に所定長さだけ記録媒体を逆方向に搬送してから記録を再開するので、記録を停止して記録媒体をカットしても筋状の空白部が発生せず、良好な記録品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るPOS端末の概略構成を示す図である。
【図2】プリンターの内部構成を模式的に示す図である。
【図3】プリンターの回路構成を示すブロック図である。
【図4】プリンターの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図5】プリンターにより印刷されるレシートの構成例を示す図である。
【図6】印刷の停止に係る動作の説明図である。
【図7】プリンターの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係るPOS端末1の概略構成を示す図である。また、図2は、POS端末1が備えるプリンター2の本体内部の構成を模式的に示す図である。
図1に示すPOS端末1は、例えば小売店等の店頭に設置され、売上げ精算を行うレジスターであり、販売時点管理システム(POSシステム)を構成する。POS端末1は、売上登録処理及び精算処理を行うホストコンピューター4に、レシート101を発行するプリンター2を接続して構成される。ここで、ホストコンピューター4は、プリンター2に対して、外部接続された装置に相当する。また、ホストコンピューター4は、売上登録した情報を収集するPOSサーバー5に、通信回線を介して接続されている。
ホストコンピューター4は、売上登録処理及び精算処理の処理内容を表示するディスプレイ41、売上登録処理時に商品に付されたバーコードを読み取るバーコードスキャナー42、売上登録キー等の各種キーを備えたキー入力部43、精算用の現金を収容するキャッシュドロワー44等を備えている。
【0015】
また、図1及び図2に示すように、記録装置としてのプリンター2は、本体11に記録媒体としての感熱ロール紙100を収容し、印刷部30によりロール紙100に画像を印刷(記録)する。印刷部30は、ロール紙100を搬送するローラー形状のプラテン32と、プラテン32に対向配置された印刷ヘッド31とを備えて構成され、ロール紙100の搬送路において印刷部30より先には、ロール紙100を切断するカッターユニット33が配置されている。
印刷ヘッド31は、発熱体(図示略)をロール紙100の幅方向に、一列または複数列で並べて構成されるラインサーマルヘッドである。例えば、80mmの有効印字長を有し、印刷解像度8ドット/mmの印刷ヘッド31は、640個の発熱体が一列に並び、この列を1乃至複数配置して構成される。各々の発熱体には後述するモータードライバー24から個別に通電される。印刷ヘッド31はプラテン32に向けてばね(図示略)により付勢され、プラテン32との間にロール紙100を所定の押圧力で挟みこむ。これにより印刷ヘッド31はロール紙100の印刷面(記録面)に密着して、ロール紙100に熱エネルギーを与えることによってロール紙100を発色させる。
ロール紙100の発色濃度すなわち印刷濃度は、印刷ヘッド31が備える各発熱体の発熱量とロール紙100の搬送速度により調整できる。発熱体の発熱量は、モータードライバー24が印刷ヘッド31の各発熱体に出力するパルス電流の電圧値(例えば、24V)、パルス幅(例えば、0.3ms)、印加周期(例えば、1ms)を変化させることで、調整できる。
【0016】
印刷ヘッド31によって印刷されたロール紙100は、本体11の上面に形成された排紙口14から外に向けて、プラテン32によって搬送され、印刷終了位置よりも搬送方向の下流側でカッターユニット33により切断され、レシート101となる。レシート101には、店名や売り上げた商品名、商品数量、金額、合計金額等の文字のほか、たとえば図1に示すように、レシート101の先頭に配置されるトップロゴ102等のロゴの画像が印刷される。
【0017】
図2に示すように、プリンター2が備えるカッターユニット33は、ロール紙100の搬送路の一方側に配置された固定刃34と、この固定刃34に対向してロール紙100の搬送路の他方側に配置された可動刃35と、可動刃35を固定刃34に向けてスライドするように駆動するカッター駆動モーター36とを備え、カッター駆動モーター36の駆動力により、駆動機構(図示略)を介して可動刃35がカッター駆動モーター36に向けて移動され、固定刃34と可動刃35との間に印刷後のロール紙100が挟まれ、切断される。
ここで、ロール紙100の搬送経路において、カッターユニット33がロール紙100を切断するカット位置Cと、印刷部30がロール紙100に印刷をする印刷位置Pとの間には、図2に示すように間隔があいている。このため、レシート101の印刷された画像が途中でカットされないように、レシート101を切断する際には、印刷位置Pで印刷された末端の文字や画像が上流側のカット位置Cより上(先端側)になるまで搬送されてから、ロール紙100がカットされる。
【0018】
また、図1に示すように、プリンター2の本体11には開閉可能なカバー12が設けられる。本体11には、カバー12を開くためのレバー13が設けられ、カバー12を開くと、ロール紙100を収容する空間が露出し、ロール紙100の補充や交換が可能になる。また、本体11には、プリンター2の電源をオン/オフさせる電源スイッチ16、ロール紙100の紙送り動作を指示し、また制御時の所定の条件下で動作モードの切り替え等を指示する操作を行うための紙送りスイッチ17、及び、プリンター2の動作状態等を表示するためのLED表示部18が設けられている。
【0019】
図3は、プリンター2の回路構成を示すブロック図である。
プリンター2は、プリンター2の全体を制御する制御部20と、制御部20の制御に従って動作する各部を備えて構成される。制御部20は、所定のプログラムを実行して各種データを処理することにより制御を行うCPU21と、CPU21が実行する基本制御プログラムを記憶したROM22と、CPU21が実行するプログラムや処理対象のデータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成するRAM23と、CPU21の制御に従ってモーター等を駆動するモータードライバー24とを備えている。そして、CPU21には、メモリースイッチや処理対象のデータ等を不揮発的に記憶する不揮発性メモリー25が接続される。不揮発性メモリー25は、具体的には、EEPROMやフラッシュメモリー等の半導体記憶素子により構成される。
【0020】
また、CPU21には、紙送りスイッチ17における操作を検出する入力部26、LED表示部18を制御して各種表示を行わせる表示部27、ロール紙100の搬送路上の所定位置に配置され、該位置におけるロール紙100の有無を検出する用紙端センサー37、ロール紙100の残量が所定量以下になったことを検出する用紙残量センサー38、及び、ホストコンピューター4に接続され、ホストコンピューター4との間のコマンドやデータの送受信を制御するインターフェース28等が接続されている。
CPU21は、用紙端センサー37及び用紙残量センサー38により検出されるロール紙100の位置やロール紙100の残量を監視しながら、インターフェース28を介してホストコンピューター4から入力される制御コマンドを実行し、モータードライバー24を介して印刷ヘッド31、カッター駆動モーター36及び搬送モーター39を動作させ、印刷ヘッド31を制御して、ロール紙100への印刷を実行する。CPU21は、入力部26によって紙送りスイッチ17の操作を検出した場合は搬送モーター39を動作させてロール紙100を所定量搬送する。また、CPU21は、プリンター2の動作状態等に合わせて表示部27を介してLED表示部18の各LEDの点灯状態を変化させる。
【0021】
モータードライバー24には、カッター駆動モーター36、及び、プラテン32を駆動する搬送モーター39が接続される。印刷ヘッド31はヘッドドライバー31a(図2)を搭載しており、CPU21はヘッドドライバー31aを制御して、印刷ヘッド31の各発熱体に対して駆動電流を供給して、ロール紙100への印刷を行わせる。また、モータードライバー24は、例えばステッピングモーターで構成されるカッター駆動モーター36及び搬送モーター39に対し、駆動電源を供給するとともに必要数の駆動パルスを出力する。搬送モーター39は、プラテン32を回転させることによりロール紙100を搬送する搬送部として機能する。
【0022】
ロール紙100の印刷面に接する印刷ヘッド31の各発熱体が通電され、発熱してロール紙100を発色させ、この間に搬送モーター39及びプラテン32によってロール紙100を搬送することにより、ロール紙100への印刷が行われる。ロール紙100の搬送速度や印刷ヘッド31に通電される電力は、プリンター2内部におけるデータ処理速度やロール紙100を発色させる濃度に応じて、モータードライバー24或いはコマンド処理部203によって決定される。
また、ロール紙100をカットする場合、モータードライバー24は、搬送モーター39をいったん停止させてロール紙100の搬送を止め、この状態でカッター駆動モーター36を駆動させてカッターユニット33によりロール紙100をカットする。カッターユニット33の可動刃35が切断位置に達した後、モータードライバー24はカッター駆動モーター36を逆転させて可動刃35を元の位置に戻し、その後、搬送モーター39の動作を再開させる。
【0023】
図4は、プリンター2の機能的構成を示す機能ブロック図である。この図4に示す各ブロックは、図3に示したプリンター2の各部のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される機能を示す。
制御部20は、インターフェース28を介してホストコンピューター4から受信したコマンドやデータを一時的に保持する受信バッファー201、受信バッファー201に保持されたコマンドを検出して、その種類や内容を判定するコマンド判定部202、コマンド判定部202により検出されたコマンドに従って処理を実行するコマンド処理部203、ロール紙100に印刷される文字やロゴ等からなる印刷イメージを一時的に記憶するイメージバッファー204(イメージ記憶部)、及び、ロール紙100への印刷を制御する印刷制御部205を有する。
また、プリンター2は、制御部20の制御に従ってロゴの画像データを記憶するロゴイメージ記憶部210を有する。ロゴイメージ記憶部210は、不揮発性メモリー25(図3)に形成される記憶領域であり、ロゴの画像データを不揮発的に記憶する。
【0024】
受信バッファー201は、RAM23(図3)により構成される揮発性の記憶部であり、インターフェース28を介して受信したデータを、コマンドやデータの区別なく、受信した順に記憶する。
コマンド判定部202は、受信バッファー201に記憶されたデータを先頭から順に参照し、各データがコマンドであるか否かを判定する。すなわち、コマンド判定部202は、受信バッファー201に記憶されたデータの中からコマンドを検出する。
コマンド処理部203は、コマンド判定部202によってコマンドであると判定されたデータを受信バッファー201から読み出して、そのコマンドを実行する。ホストコンピューター4から送信されるコマンドは、その処理対象のデータを伴っている場合があり、例えば、印刷実行のコマンドに続けて印刷データがホストコンピューター4から送信されて受信バッファー201に記憶され、ロゴ登録等のコマンドは登録すべき画像データとともにホストコンピューター4から送信され、これらのコマンドとデータは受信バッファー201に記憶される。
【0025】
また、コマンド処理部203は、ホストコンピューター4から受信した印刷実行のコマンドにより、ロゴイメージ記憶部210にロゴとして記憶された画像データの印刷が指定された場合には、その画像データをロゴイメージ記憶部210から読み出す。そして、コマンド処理部203は、印刷コマンドに続いて受信したデータと、ロゴイメージ記憶部210から読み出した画像データとに基づいて、ロール紙100に印刷する画像または文字若しくは記号のいずれか一以上を含んで構成される印刷イメージを、イメージバッファー204に展開する。イメージバッファー204は、RAM23(図3)により構成される揮発性の記憶部であり、印刷制御部205によってロール紙100に印刷されるイメージデータを展開するワークエリアを形成する。印刷制御部205は、コマンド処理部203の制御に従い、用紙端センサー37及び用紙残量センサー38の検出値に基づいて、印刷ヘッド31、搬送モーター39及びカッター駆動モーター36を制御し、イメージバッファー204に展開されたイメージデータをロール紙100に印刷する。
【0026】
図5は、プリンター2により印刷されるレシート101の例を示す図である。
この図5には、レシート101におけるカット位置をわかりやすくするため、実際にはカットされる複数枚のレシート101を、繋がった状態で示しており、通常、複数枚のレシート101が繋がって排紙口14(図1)から出力されることはない。図5には、各々のレシート101の切れ目すなわちカッターユニット33により切断される位置を、カット位置C1、C2で示す。
【0027】
図5に示すように、カット位置C1、C2を上端および下端とするレシート101は、上部にトップロゴ102が、下部にボトムロゴ103が印刷され、トップロゴ102とボトムロゴ103との間の明細印刷領域104に、POS端末1で会計処理を行った取引の明細が印刷される。
図2を参照して説明したように、カッターユニット33のカット位置Cと印刷ヘッド31による印刷位置Pとは離れているので、レシート101の下端でカットするため、レシート101を印刷した後でカット位置C1がカッターユニット33のカット位置Cに達するまで搬送する。この際、ロール紙100を無駄にしないようにするため、レシート101の下端がカット位置Cに至るまでに、印刷ヘッド31は既に次のレシート101の上端部を印刷している。例えば、図5中のカット位置C1がカッターユニット33のカット位置Cに達したときには、印刷ヘッド31は、例えば次のレシート101のトップロゴ102を印刷中である。トップロゴ102は、レシート101の上端部に印刷される定型のものなので、次のレシート101の印刷情報を受信しなくても印刷しておくことができる。上述のようにプリンター2は、ラインヘッドである印刷ヘッド31を使ってロール紙100を所定速度で搬送しながら印刷するので、印刷中は常にロール紙100が動いている。このため、カット位置C1がカッターユニット33のカット位置Cに達したときには、いったん搬送モーター39を停止させてから、カッターユニット33によりカットする。このとき、印刷ヘッド31は、例えばトップロゴ102の印刷途中の位置で止まることになり、モータードライバー24は印刷ヘッド31への通電も停止し制御する。そして、カッターユニット33によるカットが終了すると搬送モーター39による搬送が再開されるが、このカットのための停止が原因で、停止時の印刷ヘッド31の位置に空白が生じてしまう。この現象は、搬送の停止と再開をすることによって、プラテン32の表面に設けられた合成ゴム層の弾性変形、搬送モーター39の駆動力をプラテン32に伝達する機構(図示略)のギアなどのバックラッシュ、可動刃35からロール紙100に加わる引っ張り力等により、停止時と再開時とで、ロール紙100と印刷ヘッド31との相対位置がずれてしまうことが原因である。
【0028】
図6は、印刷の中断に係る動作の説明図である。図6(A)は印刷対象の画像111の全体を示し、図6(B)はカットのため印刷を中断した状態を示し、図6(C)は印刷を再開して空白部分が生じた状態の例を示し、図6(D)は空白の発生を回避する方法により印刷を再開した状態の例を示し、図6(E)は空白の発生を回避する方法を模式的に示す。
以下では、図6(A)に示すようにレシート101に楕円形の画像111を印刷する場合に、この画像111の途中で搬送と印刷を中断する例について説明する。
すなわち、図6(B)に示すように、画像111の途中まで印刷した時点で中断(停止)する場合を想定する。搬送を中断した時点で、印刷ヘッド31は、図6(B)中にPで示す位置にあり、画像111のうち既に印刷された部分111Aの末端を112Aとする。
【0029】
図6(B)に示す状態で搬送モーター39及びプラテン32による搬送を中断した後、カッターユニット33によるカットが行われ、搬送及び印刷が再開されると、図6(C)に示すように、画像111の残りの部分111Bが印刷される。この状態では、上述したように、中断前に印刷された部分111Aの末端112Aと、再開後に印刷された部分111Bの開始位置112Bとの間に、空白部分112が発生してしまう。これは、中断時に末端112Aに接していた印刷ヘッド31の位置がずれて、再開時には開始位置112Bに接していたために生じた空白である。
そこで、本実施形態に係るプリンター2の制御部20は、図6(B)に示す状態から印刷を再開する場合に、いったんレシート101を搬送方向に対し逆方向に搬送する。このときの搬送量は、例えば2乃至3ドットライン〜10ドットライン程度であるが、プラテン32の径が大きい場合、プラテン32の他にも搬送ローラーを備えている場合など搬送部の構成が複雑な場合は、より大きくしてもよい。この搬送量は予め設定されてROM22に記憶されている。レシート101を逆方向に搬送する動作は、モータードライバー24から搬送モーター39に供給する駆動電流及び駆動パルスを調整することにより容易に実現できる。
【0030】
そして、制御部20は、逆方向に数ドットライン搬送した位置から、印刷ヘッド31による印刷を再開する。この場合、例えば図6(D)に示すように、中断前に印刷された部分111Aと再開後に印刷された部分111Bとは一部が重なっている。この重なり部分113を設けることにより、部分111A、111Bの間には空白が生じない。重なり部分113と、部分111A、111Bは、それぞれ逆方向に搬送した2乃至3ドットライン〜10ドットライン程度に相当する長さである。
図6(E)には、重なり部分113の構成を詳細に示す図である。図6(E)に示す重なり部分113は、部分111Aの末端部111Cに、部分111Bの先頭部111Dを重ねて構成されるが、先頭部111Dには、末端部111Cとは同じデータが印刷される。すなわち、部分111Bの先頭部111Dでは、印刷を再開する本来の開始位置112Bよりも前に、既に印刷済みの部分111Aの末端部111Cと同じデータが印刷される。言い換えれば、末端部111Cと先頭部111Dとは同じデータが重ねて印刷される部分である。重なり部分113と、末端部111C、先頭部111Dは、それぞれ逆方向に搬送した2乃至3ドットライン〜10ドットライン程度に相当する長さである。
このため、同じデータを重ねて印刷するので、重なり部分113の見栄えは、末端部111Cのみを印刷した場合(先頭部111Dを重ねて印刷しない場合)と大きく異なる物ではない。このため、空白部分112の発生を防止できるとともに、重なり部分113が違和感を生じることがない。さらに、先頭部111Dの長さが、ロール紙100を逆方向に搬送する長さとほぼ等しい場合には、先頭部111Dを重ねて印刷しても、画像111全体の印刷長(搬送方向の長さ)は、図6(A)に示す状態と変わらない。従って、所定長さだけロール紙100を逆方向に搬送して、一部を重ねて印刷しても、全体の印刷長が変化してしまうことがないので、より違和感のない印刷品質を実現できる。
【0031】
さらに、制御部20は、先頭部111Dを印刷する間は、モータードライバー24から印刷ヘッド31の各発熱体に通電する電力量を、印刷ヘッド31に印加するパルス電流のパルス幅を短くする等の処理により、通常の電力量(部分111A等を印刷する場合の電力量)よりも少ない電力量にする。これにより、印刷ヘッド31からロール紙100の印刷面に与えられる熱エネルギーが低減されるので、先頭部111Dは薄い階調で印刷される。これにより、印刷再開時にロール紙100を逆宝庫に所定長さだけ搬送して、先頭部111Dを重ねて印刷し、この先頭部111Dを薄い階調で印刷することで、空白部分112の発生を防止するとともに、重なり部分113が他の部分より濃く目立ってしまうことがないので、違和感を生じない。
また、図6(D)及び図6(E)に示したように、ロール紙100を逆方向に所定長さ搬送して、中断前に印刷済みの部分111Aの末端部111Cに、先頭部111Dを重ねて印刷する処理は、例えば図5に示したトップロゴ102と明細印刷領域104との間の余白や、明細印刷領域104における文字の行間においては、実行する必要がない。このような余白に空白部分112が発生しても、レシート101の見栄えには何ら影響がないためである。そこで、プリンター2は、カッターユニット33がカットを行ったときの印刷ヘッド31が、イメージデータ中のオブジェクトの印刷途中であった場合に限り、先頭部111Dを重ねて印刷する処理を行う。ここで、オブジェクトとは、イメージデータを構成する画像、文字、記号、或いはその他の1つの形状を指す。
【0032】
図7は、プリンター2の動作を示すフローチャートである。
この図7に示す動作は、コマンド処理部203により印刷指示のコマンドに従って印刷を実行する動作である。
プリンター2の制御部20は、まず、印刷指示のコマンドにより指定されたロゴの画像データを予め記憶されているロゴイメージ記憶部210から取得し(ステップS1)、この画像データと、印刷指示のコマンドとともに送信された決済情報などの文字や画像のデータとに基づいてイメージデータを印刷ヘッド31で印刷できるデータにするためイメージバッファー204に展開し、印刷制御部205により印刷を開始する(ステップS2)。ここで、制御部20は、搬送モーター39を駆動してロール紙100の搬送を開始するとともに、印刷ヘッド31への通電を開始する(ステップS3)。
【0033】
印刷をしながら、制御部20は、ロール紙100をカットすべきカット位置が、カッターユニット33のカット位置C(図2)に達したか否かを常時検出し(ステップS4)、カット位置Cに達した時点で(ステップS4;Yes)、印刷ヘッド31及び搬送モーター39への通電を停止して、印刷を中断(一時停止)する(ステップS5)。ロール紙100の搬送を停止してから、制御部20は、カッター駆動モーター36を動作させてロール紙100をカットする(ステップS6)。ロール紙100がカット位置Cに達したかは、ロータリーエンコーダーなどのセンサーの他、例えばステッピングモーターで構成される搬送モーター39の場合、駆動パルス数から推定可能である。
そして、制御部20は、印刷を再開するため、中断時に印刷ヘッド31が1つのオブジェクトの印刷中であったか否かを判別する(ステップS7)。ここで、印刷ヘッド31がオブジェクトの印刷途中でなかった場合(ステップS7;No)、制御部20は、ステップS5で停止した所から搬送と印刷を再開し(ステップS8)、ステップS4に戻る。
【0034】
一方、中断時に印刷ヘッド31がトップロゴ102など1つのオブジェクトの印刷中であった場合(ステップS7;Yes)、制御部20は、先頭部111D(図6E)を印刷するため、中断前に既に印刷が済んでいる部分の末端部の2ドットライン等所定のイメージデータをイメージバッファー204から取得し(ステップS9)、先頭部111Dを印刷する間に印刷ヘッド31の発熱体に印加するパルス電流のパルス幅を設定し(ステップS10)、搬送モーター39を逆回転させて2ドットライン等所定長さだけロール紙100を逆向きに搬送させる(ステップS11)。
そして、制御部20は、搬送モーター39を駆動してロール紙100の搬送を開始し、ステップS10で設定したパルス幅の電流を印刷ヘッド31に流すことで、ステップS9で取得したデータに基づいて重なり部分を印刷ヘッド31によって印刷し(ステップS12)、続いて、中断していた箇所からの印刷を再開し(ステップS13)、ステップS4に戻る。
【0035】
また、制御部20は、印刷中にロール紙100をカットすべき箇所がカッターユニット33のカット位置Cに達したか否かを検出し、カット位置Cに達していない場合(ステップS4;No)、コマンドにより指示された印刷が完了したか否かを判別する(ステップS14)。ここで、印刷が完了していない場合はステップS4に戻って印刷を継続し、印刷が完了していれば本処理を終了する。
【0036】
以上のように、本発明を適用した実施形態に係るPOS端末1において、プリンター2は、画像または文字若しくは記号のいずれか一以上を含んで構成されるイメージをロール紙100に印刷する印刷ヘッド31と、ロール紙100を搬送するプラテン32及び搬送モーター39と、印刷ヘッド31によりイメージが印刷されたロール紙100をカットするカッターユニット33と、印刷ヘッド31、カッターユニット33及びプラテン32及び搬送モーター39を制御する制御部20と、を備え、制御部20は、プラテン32及び搬送モーター39によってロール紙100を搬送しながら印刷ヘッド31によりイメージを印刷し、この印刷中にカッターユニット33によりロール紙100をカットする場合はプラテン32及び搬送モーター39による搬送を中断し、カッターユニット33によるロール紙100のカットが完了した後に、所定長さだけプラテン32及び搬送モーター39によってロール紙100を逆方向に搬送してから印刷ヘッド31による印刷を再開する。このため、印刷中にカッターユニット33によりロール紙100をカットする場合は搬送を中断し、ロール紙100のカットが完了した後には、所定長さだけロール紙100を逆方向に搬送してから印刷を再開する。これにより、印刷を中断した位置においては所定長さだけ重ねて印刷が行われ、印刷を停止及び再開した場合に停止時と再開時で印刷ヘッド31とロール紙100との位置ずれが生じても、筋状の空白部の発生を防止できる。このため、印刷を中断してロール紙100をカットしても筋状の空白部が発生せず、良好な印刷品質を得ることができる。
【0037】
なお、上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、感熱シートをロール状に巻いたロール紙100を記録媒体として使用する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定長さで折りたたまれた連続紙を用いてもよいし、カットする長さよりも十分に長い長尺であれば定型サイズのカット紙を用いることも可能である。また、上記実施形態では1枚の固定刃と1枚可動刃とを有するカッターユニット33を例示したが、カッターユニットの構成は任意であり、また、1回の切断動作によってロール紙100を完全に切断する構成としてもよいし、一部を切り残す構成としてもよい。さらに、上記実施形態ではプラテン32が印刷ヘッド31との間にロール紙100を挟み、このプラテン32の回転によりロール紙100を搬送する構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の搬送ローラーによってロール紙100を搬送する構成としてもよいし、この場合に正方向にロール紙100を搬送するローラーと、逆方向にロール紙100を搬送するローラーとが別であってもよい。同様に、1つの搬送モーター39を正転及び逆転させる場合に限らず、搬送モーター39とは別に、逆方向にロール紙100を搬送するためのモーターを設けてもよく、具体的な機構は任意である。
さらに、上記実施形態では印刷ヘッド31による印刷濃度(階調)を薄くするために印刷ヘッド31に通電するパルス電流のパルス幅を変化させる場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、電流値や電圧値を調整してもよい。また、温度によって複数の異なる色に発色する感熱シートを記録媒体として用いた場合に、制御部20は、先頭部111Dを印刷する間は発色する色が同じで、かつ階調が低く(色が薄く)なるように、印刷ヘッド31に通電する電流値や電圧値或いはパルス電流のパルス幅を調整すればよく、その他のプリンター2の細部構成については任意に変更可能である。
また、本発明を適用可能な記録装置は、予め記憶した画像データを印刷できるプリンターであれば特に制限されず、他の装置に組み込まれるプリンターにも本発明を適用可能であり、プリンター2とは別体として設けられた印刷制御装置によって制御部20と同様にプリンター2を制御する構成に適用することも勿論可能である。シリアルプリンターなどキャリッジに記録ヘッドを搭載したものでも、記録媒体の搬送を停止することがあるプリンターに適応が可能である。
【符号の説明】
【0038】
2…プリンター(記録装置)、4…ホストコンピューター、20…制御部、30…印刷部、31…印刷ヘッド(記録ヘッド)、32…プラテン(搬送部)、33…カッターユニット、39…搬送モーター(搬送部)、100…ロール紙(記録媒体)、101…レシート、102…トップロゴ、103…ボトムロゴ、104…明細印刷領域、204…イメージバッファー(イメージ記憶部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像または文字若しくは記号のいずれか一以上を含んで構成されるイメージを記録媒体に記録する記録ヘッドと、前記記録媒体を搬送する搬送部と、前記記録ヘッドにより前記イメージが記録された前記記録媒体をカットするカッターユニットと、前記記録ヘッド、前記カッターユニット及び前記搬送部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記搬送部によって前記記録媒体を搬送し、前記記録ヘッドによりイメージを記録し、この記録中に前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットする場合は前記搬送部による搬送を停止し、前記カッターユニットによる前記記録媒体のカットが完了した後に、所定長さだけ前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送してから前記記録ヘッドによる記録を再開すること、
を特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録媒体に記録するイメージデータを記憶するイメージ記憶部を備え、
前記制御部は、前記イメージ記憶部に記憶されたイメージデータに基づいて前記記録ヘッドにより前記記録媒体への記録を行わせ、
前記記録ヘッドによる前記イメージデータの所定の記録位置で、前記搬送部による搬送を停止して前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットし、前記記録媒体のカットが完了した場合には、所定長さだけ前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送してから、搬送停止前にすでに記録済みの前記所定長さ分のイメージデータから前記記録ヘッドによる記録を再開すること、を特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送して前記記録ヘッドによる記録を再開する際に、停止前に記録済みの前記所定長さ分のイメージを他の部分よりも薄い階調で記録すること、を特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録ヘッドにエネルギーを与えることにより前記記録面にイメージを形成するものであり、
前記制御部は、前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送して前記記録ヘッドによる記録を再開する際に、停止前に記録済みの前記所定長さ分のイメージを記録する間は、他の部分よりも前記記録ヘッドに与えるエネルギーを低くして記録すること、を特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体は熱により発色する感熱紙であり、
前記記録ヘッドは前記記録媒体の記録面に接して熱を加える発熱体を前記記録媒体の幅方向に並べたラインサーマルヘッドであり、
前記制御部は、前記搬送部により前記記録媒体を搬送しながら前記記録ヘッドに通電して、前記記録媒体に記録を実行し、記録中に前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットする場合は前記記録ヘッドへの通電及び前記搬送部による搬送を停止し、前記カッターユニットによる前記記録媒体のカットが完了した後に、所定長さだけ前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送してから前記記録ヘッドへの通電と前記搬送部による搬送とを再開し、再開後の最初の前記所定長さを記録する間に前記記録ヘッドに通電する電力量を、通常の記録時よりも低い電力量とすること、
を特徴とする請求項2記載の記録装置。
【請求項6】
前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送する長さと、前記記録ヘッドによる記録を再開するイメージデータの長さはほぼ等しいこと、を特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項7】
記録ヘッドにより画像または文字若しくは記号のいずれか一以上を含んで構成されるイメージを記録媒体に記録し、搬送部により前記記録媒体を搬送し、前記記録ヘッドにより前記イメージが記録された前記記録媒体をカッターユニットによりカットする記録装置を制御する記録装置の制御方法であって、
前記搬送部によって前記記録媒体を搬送し、前記記録ヘッドによりイメージを記録し、この記録中に前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットする場合は前記搬送部による搬送を停止し、前記カッターユニットによる前記記録媒体のカットが完了した後に、所定長さだけ前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送してから前記記録ヘッドによる記録を再開すること、
を特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項8】
記録ヘッドにより画像または文字若しくは記号のいずれか一以上を含んで構成されるイメージを記録媒体に記録し、搬送部により前記記録媒体を搬送し、前記記録ヘッドにより前記イメージが記録された前記記録媒体をカッターユニットによりカットする記録装置を制御する制御部が実行するプログラムであって、
前記制御部により、前記搬送部によって前記記録媒体を搬送しながら前記記録ヘッドによりイメージを記録し、この記録中に前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットする場合は前記搬送部による搬送を停止し、前記カッターユニットによる前記記録媒体のカットが完了した後に、所定長さだけ前記搬送部によって前記記録媒体を逆方向に搬送してから前記記録ヘッドによる記録を再開すること、
を特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−101987(P2011−101987A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257797(P2009−257797)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】