説明

記録装置、記録装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】必要なときに動作モードを移行できるようにした上で、コストの削減を実現する。
【解決手段】プリンター1は、記録に係る動作の制御に利用するリアルエンドセンサー41と、カッターセンサー25と、これらセンサーから入力された検出値に応じて、ファーム書換モードへの移行を実行する制御部40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録を行う記録装置、当該記録装置の制御方法、及び、当該記録装置を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファームウェアを記憶し、このファームウェアの機能により、各種動作に係る制御を実行する記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、ファームウェアは、機能拡張や、プログラム修正を目的として、書き換えを行う必要が生じることがある一方で、記録装置の基本動作を制御するためのプログラムであり、書き換えが正常に行われなかった場合、記録装置の以後の動作に多大な悪影響を与えることがある。このため、ファームウェアの書き換えは、必要なときにだけ実行されることが求められる。これを踏まえ、従来の記録装置では、動作モードのひとつとして、ファームウェアの書き換えを実行可能な動作モード(以下、「ファーム書換モード」という)を設け、動作モードがファーム書換モードに移行している間のみ、ファームウェアの書き換えを実行できる構成とし、これにより、必要なときにだけファームウェアの書き換えを実行できるようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−310783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した記録装置のように、動作モードとして、ファーム書換モードを備えるものでは、例えば、基板上に動作モード移行用のディップスイッチを設ける等、記録装置の所定の位置に物理的なスイッチを設け、当該スイッチの状態に応じて、ファーム書換モードを移行するようにしていた。
この場合、スイッチを設ける分、製造コストが増大してしまう、という問題があった。特に、ファーム書換モードへの移行はほとんど行われない処理であり、ファーム書換モードへの移行に係る部材等に起因して製造コストが増大することは、できるだけ避けたいとするニーズがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、記録装置において、必要なときに動作モードを移行できるようにした上で、コストの削減を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体に記録を行う記録装置であって、記録に係る動作の制御に利用するセンサーと、前記センサーから入力された検出値に応じて、動作モードの移行を実行する制御部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、専用のスイッチ等を設けることなく、既存のセンサーを利用して動作モードを移行できるため、コストの削減を実現しつつ、必要なときに動作モードを移行することが可能となる。
【0006】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記制御部は、予め定められた所定の状況下で、前記センサーから所定の検出値が入力された場合に、動作モードの移行を実行することを特徴とする。
この構成によれば、所定の状況下において通常はあり得ない検出値が入力された場合に、意図的にセンサーの検出値が調整されたものとして、動作モードの移行を実行するようにすることができ、偶発的に動作モードが移行してしまうことを極力防止できる。
【0007】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、開閉カバーと、前記開閉カバーの開閉を検出するカバーセンサーと、前記開閉カバーが閉じているときに前記記録媒体が所定の位置に位置している場合は第1検出値を出力し、一方、前記記録媒体が当該所定の位置に位置していない場合は第2検出値を出力すると共に、前記開閉カバーが開いているときは前記記録媒体の状態にかかわらず前記第2検出値を出力するエンドセンサーと、を備え、前記制御部は、前記カバーセンサーの検出値により、前記開閉カバーが開いていることが検出されているときに、前記エンドセンサーから前記第1検出値が入力された場合に、動作モードの移行を実行することを特徴とする。
この構成によれば、開閉カバーが開いているときはエンドセンサーから制御部に対して第2検出値が入力されることを利用して、開閉カバーが開いているときにエンドセンサーから第1検出値が入力されたときに動作モードを移行することにより、エンドセンサーを用いて必要なときに動作モードを移行可能となる。
【0008】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記制御部は、前記カバーセンサーの検出値により、前記開閉カバーが開いていることが検出されているときに、前記エンドセンサーから前記第1検出値が所定の態様で入力された場合に、動作モードの移行を実行することを特徴とする。
この構成によれば、エンドセンサーから制御部に対して所定の態様で第1検出値が入力されたことをトリガーとして動作モードの移行を実行するため、例えば、所定の態様を、エンドセンサーに対して意図的に所定の複雑な操作を行った場合にエンドセンサーから制御部に対して出力される第1検出値の態様とすることにより、偶発的に動作モードが移行してしまうことを極力防止できる。
【0009】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、開閉カバーと、前記開閉カバーの開閉を検出するカバーセンサーと、可動刃により前記記録媒体を切断する切断部と、前記可動刃が所定の位置に位置していることを検出するカッターセンサーと、を備え、前記開閉カバーが開いている場合は、前記可動刃の動作を停止して前記切断部による前記記録媒体の切断を停止する構成とし、前記制御部は、前記カバーセンサーの検出値により、前記開閉カバーが開いていることが検出されているときにおける前記カッターセンサーから入力された検出値に応じて、動作モードの移行を実行することを特徴とする。
この構成によれば、開閉カバーが開いているときは可動刃の動作が停止し、これに伴いカッターセンサーの検出値が変化しないことを利用して、開閉カバーが開いているときにカッターセンサーから入力された検出値に応じて動作モードを移行することにより、カッターセンサーを用いて必要なときに動作モードを移行可能となる。
【0010】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記制御部は、前記カバーセンサーの検出値により、前記開閉カバーが開いていることが検出されているときに、前記カッターセンサーから所定の態様で検出値が入力された場合に、動作モードの移行を実行することを特徴とする。
この構成によれば、カッターセンサーから制御部に対して所定の態様で検出値が入力されたことをトリガーとして動作モードの移行を実行するため、例えば、所定の態様を、カッターセンサーに対して意図的に所定の複雑な操作を行った場合にカッターセンサーから制御部に対して出力される検出値の態様とすることにより、偶発的に動作モードが移行してしまうことを極力防止できる。
【0011】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、開閉カバーと、前記開閉カバーの開閉を検出するカバーセンサーと、前記開閉カバーが閉じているときに前記記録媒体が所定の位置に位置している場合は第1検出値を出力し、一方、前記記録媒体が当該所定の位置に位置していない場合は第2検出値を出力すると共に、前記開閉カバーが開いているときは前記記録媒体の状態にかかわらず前記第2検出値を出力するエンドセンサーと、可動刃により前記記録媒体を切断する切断部と、前記可動刃が所定の位置に位置していることを検出するカッターセンサーと、を備え、前記開閉カバーが開いている場合は、前記可動刃の動作を停止して前記切断部による前記記録媒体の切断を停止する構成とし、前記制御部は、前記カバーセンサーの検出値により、前記開閉カバーが開いていることが検出されているときの、前記エンドセンサーから入力された検出値、及び、前記カッターセンサーから入力された検出値の組み合わせに応じて、動作モードの移行を実行することを特徴とする。
この構成によれば、開閉カバーが開いているときはエンドセンサーから制御部に対して第2検出値が入力されること、及び、開閉カバーが開いているときは可動刃の動作が停止し、これに伴いカッターセンサーの検出値が変化しないことを利用して、カッターセンサー、及び、エンドセンサーを用いて、必要なときに動作モードを移行することが可能となる。さらに、動作モードを移行するトリガーとして、複数のセンサーの検出値を利用するため、偶発的に動作モードが移行してしまうことをより防止できる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録に係る動作の制御に利用するセンサーを備え、記録媒体に記録を行う記録装置の制御方法であって、前記センサーから入力された検出値に基づいて、動作モードを移行するか否かを判別し、動作モードを移行すると判別した場合、動作モードの移行を実行することを特徴とする。
この制御方法によれば、専用のスイッチ等を設けることなく、既存のセンサーを利用して動作モードを移行できるため、コストの削減を実現しつつ、必要なときに動作モードを移行することが可能となる。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録に係る動作の制御に利用するセンサーを備え、記録媒体に記録を行う記録装置を制御する制御部により実行されるプログラムであって、前記制御部を、前記センサーから入力された検出値に応じて、動作モードの移行を実行する手段として機能させることを特徴とする。
このプログラムを実行すれば、専用のスイッチ等を設けることなく、既存のセンサーを利用して動作モードを移行できるため、コストの削減を実現しつつ、必要なときに動作モードを移行することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、必要なときに動作モードを移行できるようにした上で、コストの削減を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】プリンターの内部構造を示す斜視図である。
【図2】プリンターの内部構造を示す斜視図である。
【図3】プリンターの側面図である。
【図4】プリンターの上面図である。
【図5】プリンターの側面を模式的に示す図である。
【図6】プリンターの機能的構成を示すブロック図である。
【図7】プリンターの動作を示すフローチャートである。
【図8】プリンターの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1及び図2は、本実施形態に係るプリンター1(記録装置)の内部構成を示す斜視図であり、特に、図1は、カッターユニット4の内部がわかるように、カッターユニットフレーム11のカバー11aを開けた状態を示し、図2は、カッターユニット4のカッターユニットフレーム11のカバー11aを閉じた状態を示している。図3は、プリンター1にロール紙S(記録媒体)をセットするために、カバーフレーム8を開いた状態を示す側面図である。図4は、カッターユニット4(切断部)の可動刃9の動きを示す上面図である。
【0017】
本実施形態に係るプリンター1は、ホストコンピューター等の外部機器に接続され、当該外部機器の制御に従って、ロール紙Sに画像を記録し、所定の長さでロール紙Sを切断することにより、レシートを発行するサーマルプリンターである。
図2に示すように、本実施形態に係るプリンター1は、例えば金属等からなる本体フレーム7の上方に、開閉自在のカバーフレーム8と、後述する可動刃9及びその駆動手段10を収容するためのカッターユニットフレーム11を備えるカッターユニット4と、が設けられている。
図3に示すように、カバーフレーム8は、本体フレーム7の後方の上端部の両側に設けられた支軸12を中心として、本体フレーム7に対して開閉自在に取り付けられている。
図1及び図2に示すように、本体フレーム7の内部には、ロール紙Sを収容する収納部3が形成されている。図示は省略したが、カバーフレーム8には、カバーフレーム8を覆うように板状の蓋体が取り付けられており、カバーフレーム8が開いたときに、収納部3の上面に形成された開口が露出し、一方、カバーフレーム8が閉じたときに、収納部3の開口が塞がれる構成となっている。すなわち、カバーフレーム8は蓋体が取り付けられた状態において、プリンター1本体の開口(収納部3の開口)を開閉する開閉カバーとして機能する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係るプリンター1では、カバーフレーム8の上面におけるカッターユニット4側の端部に、固定刃14が配置されている。この固定刃14は、例えば金属製の長板状の板状部材からなるものである。固定刃14は、カバーフレーム8の端部において、その刃部14aがカッターユニット4に対向するように配置される。
図1及び図2に示すように、固定刃14の両端部には、カッター位置決め部16が形成されている。カッター位置決め部16では、固定刃14の両端部に形成された凹みと、カバーフレーム8の両端部において上記凹みと対応する位置に設けられた支持部材とが嵌合し、これにより、カバーフレーム8に対して固定刃14が位置決めされる。固定刃14は、カバーフレーム8に固定された2つの押さえバネ17によって、カバーフレーム8の表面に対して押さえつけられ、これにより、カバーフレーム8に対して固定されている。
また、固定刃14の刃部14aとカッターユニットフレーム11の本体11bとの間には、ロール紙Sを搬送し排出する為のスリット状の排紙口15が設けられている。
【0019】
一方、カッターユニットフレーム11の本体11bの底部110には、固定刃14と交差し、ロール紙Sを切断するための可動刃9が設けられる。可動刃9は、カッターユニットフレーム11の一方の端部に設けた支軸18を中心として、図1の矢印A方向又はその反対である矢印B方向へ回動自在に取り付けられる。
また、可動刃9は、この支軸18の周囲に設けれ、上端を支軸18に取り付けられたプッシュナットで係止されたコイルばね19によって、カッターユニットフレーム11の本体11bの底部110に押し付けられる。可動刃9のほぼ中央部には、可動刃9を駆動するための長孔20が設けられている。
【0020】
図1に示すように、カッターユニットフレーム11のカバー11aの裏面には、可動刃9を駆動するための駆動手段10が設けられる。詳細には、駆動手段10において、カバー11aの裏面に駆動モーター21が取り付けられるとともに、駆動モーター21の回転軸にウォーム歯車22が取り付けられている。そして、このウォーム歯車22と噛み合うようにウォームホイール23が配置され、このウォームホイール23には可動刃9の長孔20と係合するクランクピン24が設けられている。
これにより、図4に示すように、可動刃9が待機位置(図4において二点鎖線で示す位置)に位置している場合において、ウォームホイール23が所定の方向に1回転すると、可動刃9が矢印A方向へ向かって回動して、最も収納部3に近い位置(図4において実線で示す位置)に至った後、矢印B方向へ向かって回動し、再び、待機位置に至る。この一連の動作に伴って、可動刃9と固定刃14とが交差し、これら刃の交差に伴ってロール紙Sが切断される。
【0021】
ウォームホイール23とカバー11aとの間には、ウォームホイール23の状態を検出することにより、可動刃9が待機位置に位置しているか否かを検出するためのカッターセンサー25が設けられている。カッターセンサー25は、リード線26を介して回路基板27に接続されており、ウォームホイール23の位置が、可動刃9を待機位置に位置させるような位置の場合、回路基板27に実装された制御部40に対してその旨の信号(検出値)を出力し、一方、ウォームホイール23の位置が、可動刃9を待機位置以外の位置に位置させるような位置の場合、制御部40に対してその旨の信号(検出値)を出力する。
なお、ウォーム歯車22の基端部には平歯車部29が形成されており、図2に示すように、この平歯車部29は、カッターユニットフレーム11のカバー11aから露出するように構成される。これにより、手動によって駆動モーター21の回転軸を回転させ、固定刃14を移動させることが可能となっている。
【0022】
図2に示すように、カッターユニットフレーム11のカバー11aには、窓部111が設けられている。そして、ウォームホイール23の上面には、可動刃9が待機位置にある場合において窓部111に対応する位置に目印が設けられている。これにより、可動刃9が待機位置にあるときには、窓部111を介して、ウォームホイール23に設けられた目印が視認可能な構成となっており、ユーザーは、窓部111を介して目印が視認できるか否かを確認することにより、可動刃9が待機位置に位置しているか否かを迅速かつ容易に把握でき、また、必要な場合には、平歯車部29を操作して、可動刃9を待機位置へ移動させることができる。
【0023】
図1及び図2を参照し、矢印L1で示す位置に対応する位置には、リアルエンドセンサー41(エンドセンサー)が設けられている。
リアルエンドセンサー41は、ロール紙Sが完全に消費されたことを検出するためのセンサーである。
【0024】
図5は、リアルエンドセンサー41を説明するため、プリンター1の要部を模式的に示す図である。
図5に示すように、リアルエンドセンサー41は、スイッチ式のセンサーであり、何も力が加わっていない状態(図5(B)に示す状態)のときはオフであり、押し下げられた状態(図5(A)に示す状態)のときにオンとなる。リアルエンドセンサー41は、後述する制御部40と信号通信可能に接続されており、オンのときはその旨の信号(第1検出値)を制御部40に対し出力し、また、オフのときはその旨の信号(第2検出値)を制御部40に対し出力する。
図5(A)に示すように、ロール紙Sが正常にセットされている状態において、カバーフレーム8(開閉カバー)が閉じた状態の場合、リアルエンドセンサー41付近のロール紙Sがカバーフレーム8により下方へ向かって押圧され、これに伴ってロール紙Sによりリアルエンドセンサー41が下方へ向かって押し下げられ、オンとなる。この場合、リアルエンドセンサー41から制御部40に対して第1検出値が出力される。一方、ロール紙Sが完全に消費され、いわゆる紙切れの状態となった場合、より詳細には、ロール紙Sの末端が、リアルエンドセンサー41を通過した場合、ロール紙Sによるリアルエンドセンサー41の押圧が解除され、リアルエンドセンサー41に力が加わっていない状態となり、オフとなる。この場合、リアルエンドセンサー41から制御部40に対して第2検出値が出力される。
また、図5(B)に示すように、カバーフレーム8(開閉カバー)が開いた状態の場合、リアルエンドセンサー41に対してカバーフレーム8を介して力が加わることがないため、リアルエンドセンサー41付近にロール紙Sが存在するか否かにかかわらず、リアルエンドセンサー41は、オフとなる。この場合、リアルエンドセンサー41から制御部40に対して第2検出値が出力される。
リアルエンドセンサー41は、上記構成を有するため、プリンター1の通常使用時においては、カバーフレーム8が開いた状態のときに、リアルエンドセンサー41がオンとなることはない。
なお、リアルエンドセンサー41は、押下可能なスイッチ式センサーであるため、ユーザーは、カバーフレーム8を開いた状態とした後、リアルエンドセンサー41を押下することにより、リアルエンドセンサー41をオンすることができる。
【0025】
図6は、プリンター1の機能的構成を示すブロック図である。
制御部40は、CPU43や、ファームウェア44を含む各種制御プログラムや、各種データを書き換え可能に記憶するROM45、ワークエリアとして機能するRAM46、その他の周辺回路を備え、プリンター1の各部を中枢的に制御する。また、制御部40は、図示せぬ発振器が生成した基準クロックに基づいて各種計時動作を実行可能である。
カバーセンサー47は、カバーフレーム8が閉じられた状態(カバーセンサー47が本体フレーム7に対して正常に嵌合した状態)であるか否かを検出するためのセンサーであり、カバーフレーム8が閉じられた状態のときは、その旨の信号(検出値)を、また、開いた状態のときは、その旨の信号(検出値)を制御部40に出力する。
制御部40は、このカバーセンサー47や、上述したカッターセンサー25、リアルエンドセンサー41を含む各種センサーの検出値に基づいて、駆動モーター21を含むプリンター1の各部を制御する。
入力部50は、プリンター1に設けられた電源スイッチや、紙送り用のスイッチ等に接続され、スイッチに対する操作を検出し、制御部40に出力する。
表示部51は、プリンター1に設けられたLEDに接続され、制御部40の制御の下、LEDに対して制御信号を出力して、LEDを所定の態様で点灯/消灯させる。液晶表示パネル等の表示パネルを設け、表示部51により表示パネルに各種情報を表示する構成としてもよい。
プリントエンジン52は、制御部40の制御の下、接続された外部機器から送信された印刷用データやコマンドに基づき、プリンター1が備える記録機構を制御して、ロール紙Sに記録を行う。詳細には、プリンター1は、ロール紙Sの記録面に熱を与える記録ヘッド、ロール紙Sに対して記録ヘッドを移動させる記録ヘッド駆動機構、ロール紙Sを搬送する搬送機構等を有する記録機構を備えており、この記録機構がプリントエンジン52によって制御される。
【0026】
本実施形態に係るプリンター1は、カバーフレーム8が開いた状態の場合、カッターユニット4の駆動モーター21の駆動を停止し、可動刃9の移動が行われない構成としている。
詳述すると、プリンター1の制御部40は、カバーセンサー47の検出値に基づいて、カバーフレーム8の状態を監視する。そして、カバーセンサー47が閉じている状態であることが検出されている間は、必要に応じて、駆動モーター21を駆動して、可動刃9を移動する。一方、カバーセンサー47が開いている状態であることが検出されている場合は、制御部40は、駆動モーター21の駆動を停止し、可動刃9の移動を停止する。特に、可動刃9が移動している途中に、カバーフレーム8が閉じた状態から開いた状態となったことが検出された場合、制御部40は、その時点で駆動モーター21の駆動を停止することにより可動刃9の移動を停止する。
このように、プリンター1の通常使用時においては、カバーフレーム8が開いた状態のときは可動刃9が必ず停止した状態となるため、カバーフレーム8が開いた状態のときに、カッターセンサー25の検出値が、可動刃9が待機位置に位置していることを示す信号(以下、「待機位置検出値」という)から、可動刃9が待機位置に位置していないことを示す信号(以下、「移動位置検出値」という)へ変位することも、また、その逆に変位することも基本的には、ない。
【0027】
また、制御部40は、リアルエンドセンサー41の検出値に基づいて、ロール紙Sの紙切れが発生したか否かを検出する。
詳述すると、制御部40は、カバーセンサー47の検出値に基づいて、カバーフレーム8が閉じているか否かを判別する。そして、制御部40は、カバーフレーム8が閉じている場合に、リアルエンドセンサー41から第1検出値が入力されている場合は、紙切れが発生していないと判別し、一方、リアルエンドセンサー41から第2検出値が入力されている場合は、紙切れが発生していると判別する。本実施形態では、紙切れが発生していることを検出した場合、制御部40は、表示部51を制御して、プリンター1に設けられたLEDを所定の態様で点灯/消灯させ、その旨報知する。
なお、上述したように、カバーセンサー47が開いた状態のときは、ロール紙Sに紙切れが発生しているか否かにかかわらず、リアルエンドセンサー41から制御部40に対して第2検出値が入力されるため、制御部40は、カバーセンサー47が開いているときには、ロール紙Sの紙切れの検出を行わない。
【0028】
ところで、上述したように、ROM45には、プリンター1の基本的な制御するためのプログラム群であるファームウェア44が記憶されている。ファームウェア44は、機能拡張や、プログラム修正を目的として、書き換えを行う必要が生じることがある一方で、プリンター1の基本動作を制御するためのプログラムであり、書き換えが正常に行われなかった場合、プリンター1の以後の動作に多大な悪影響を与えることがある。
このため、ファームウェア44の書き換えは、必要なときにだけ実行されることが求められており、本実施形態に係るプリンター1では、動作モードのひとつとして、ファームウェアの書き換えを実行可能な動作モード(以下、「ファーム書換モード」という)が設けられ、プリンター1側で、動作モードが、ファーム書換モードに移行しない限り、ファームウェア44の一切の書き換えが実行できない構成となっている。
ここで、従来は、回路基板27に、動作モードをファーム書換モードへ移行させるための専用のディップスイッチを設ける等、物理的なスイッチを設け、スイッチの状態に応じて、動作モードをファーム書換モードへ移行していた。この場合、物理的なスイッチを設ける必要がある分、製造コストが増大してしまうという問題があり、さらに、例えば、回路基板27のディップスイッチが設けられた面が露出する程度に、プリンター1を解体する必要があり、ファーム書換モードへ移行させる際に行う作業が非常に煩雑であるという問題があった。
以上を踏まえ、本実施形態に係るプリンター1は、以下の動作を実行することにより、製造コストの増大を抑制しつつ、必要なときにファーム書換モードへ移行できるようにしており、特に、偶発的にファーム書換モードに移行してしまうことを極力防止した上で、これらのことを実現している。
【0029】
図7は、プリンター1のファーム書換モードの移行に係る動作を示すフローチャートである。
なお、図7の動作の開始時点では、カバーフレーム8は閉じられた状態であるものとする。
図7を参照し、プリンター1の制御部40は、カバーセンサー47から入力された検出値に基づいて、カバーフレーム8が開いた状態となったか否かを監視する(ステップSA1)。
カバーフレーム8が開いた状態となった場合(ステップSA1:YES)、制御部40は、リアルエンドセンサー41から第1検出値が所定の態様(後述)で入力されたか否かを判別する(ステップSA2)。所定の態様で第1検出値が入力された場合は(ステップSA2:YES)、制御部40は、動作モードをファーム書換モードへ移行し(ステップSA3)、処理を終了する。
一方、ステップSA2において、所定の態様で第1検出値が入力されていない場合(ステップSA2:NO)、制御部40は、カッターセンサー25から所定の態様(後述)で検出値が入力されたか否かを判別する(ステップSA4)。所定の態様で検出値が入力された場合(ステップSA4:YES)、制御部40は、動作モードをファーム書換モードへ移行し(ステップSA3)、所定の態様で検出値が入力されていない場合(ステップSA4:NO)、制御部40は、処理手順をステップSA2へ戻す。
すなわち、本実施形態では、カバーフレーム8が開いた状態となった後、制御部40は、リアルエンドセンサー41から第1検出値が所定の態様で入力されたか否か、及び、カッターセンサー25から検出値が所定の態様で入力されたか否かを監視し、いずれかのセンサーから所定の態様で検出値が入力された場合は、動作モードをファーム書換モードへ移行する一方、入力されない場合は、入力される検出値の監視を継続して行う。
以下、ステップSA2〜SA4について、詳細に説明する。
【0030】
ステップSA2では、制御部40は、リアルエンドセンサー41から第1検出値が所定の態様(後述)で入力されたか否かを判別している。
上述したように、プリンター1の通常の使用時は、カバーフレーム8が開いている限り、リアルエンドセンサー41から制御部40に対して第2検出値が入力される。一方で、カバーフレーム8が開いている状態のときに、リアルエンドセンサー41が意図的に押下された場合は、リアルエンドセンサー41から制御部40に対して第1検出値が入力されることとなる。
これを踏まえ、本実施形態では、ファーム書換モードへ移行するトリガーの1つとして「カバーフレーム8が開いているときにリアルエンドセンサー41が押下されること」が、予め定められ、かつ、ファーム書換モードへ移行する権限を有する者に当該トリガーが予め知らされている。そして、ステップSA2において、制御部40は、カバーフレーム8が開いた状態でリアルエンドセンサー41から第1検出値が入力されたか否かを判別し、第1検出値が入力された場合(ステップSA2:YES)、動作モードをファーム書換モードへ移行することを意図した者が、意識的にカバーフレーム8を開いた上でリアルエンドセンサー41を押下したものとして、ファーム書換モードへの移行を実行する(ステップSA3)。これにより、ディップスイッチ等の専用のスイッチを設けることなく、既存のリアルエンドセンサー41を利用して、必要なときにファーム書換モードへ移行できるようにしている。
【0031】
なお、カバーフレーム8が開いた状態で、偶発的にリアルエンドセンサー41が押下されてしまうことがある。
これを踏まえ、本実施形態では、所定の態様で第1検出値が入力された場合に初めてファーム書換モードへ移行する構成となっている。
所定の態様とは、動作モードをファーム書換モードへ移行することを意図した者(以下、単に「作業者」という)が、意識的に所定の操作したときに初めて現出するような第1検出値の態様のことである。これにより、作業者が、動作モードをファーム書換モードへ移行する意図で、リアルエンドセンサー41に対して所定の複雑な動作を行った場合にのみ、動作モードがファーム書換モードへ移行することとなり、偶発的に、動作モードがファーム書換モードへ移行してしまうことが極力防止される。
所定の態様として、例えば、作業者が所定の時間(例えば5秒)内で所定の回数(例えば5回)以上、リアルエンドセンサー41を押下したときに出力される信号に対応する態様や、作業者が所定の時間以上の間継続してリアルエンドセンサー41を押下したときに出力される信号に対応する態様等を設定可能である。
なお、ファーム書換モードへ移行するためにユーザーがリアルエンドセンサー41に対して行うべき動作を複雑化すればするほど、偶発的に動作モードがファーム書換モードへ移行してしまうことを防止できるものの、ユーザーが行うべき作業が煩雑化してしまうため、所定の態様は、ユーザーの利便性を考慮して適切に定められる。
【0032】
また、ステップSA4では、制御部40は、カッターセンサー25から所定の態様の検出値が入力されたか否かを判別する。
上述したように、プリンター1の通常の使用時は、駆動モーター21の駆動が停止されることにより可動刃9の移動が停止されるため、カッターセンサー25から制御部40に出力される検出値は変位しない。すなわち、可動刃9が待機位置に位置している場合は、カバーフレーム8が開いた状態の間、可動刃9が待機位置に位置している状態が維持され、カッターセンサー25から制御部40に対して上述した待機位置検出値が出力され、また、可動刃9が待機位置に位置していない場合は、カバーフレーム8が開いた状態の間、可動刃9が待機位置に位置していない状態が維持され、カッターセンサー25から制御部40に対して上述した移動位置検出値が出力される。
これを踏まえ、本実施形態では、ファーム書換モードへ移行するトリガーの1つとして「カバーフレーム8が開いているときに、可動刃9が待機位置と、待機位置以外の位置との間で移動すること」が、予め定められ、かつ、ファーム書換モードへ移行する権限を有する者に当該トリガーが予め知らされている。なお、上述したように、ユーザーは、カッターユニットフレーム11のカバー11aに形成された窓部111を介して、ウォームホイール23の上面に設けられた目印を確認しつつ、ウォーム歯車22の基端部に設けられた平歯車部29を操作することにより、待機位置に位置する可動刃9を待機位置以外の位置へ移動でき、また、待機位置以外の位置に位置する可動刃9を待機位置へ移動することができる。
そして、ステップSA4において、制御部40は、カバーフレーム8が開いた状態で、待機位置検出値と移動位置検出値との間で検出値が変位したか否かを検出し、当該変位が検出された場合(ステップSA4:YES)、動作モードをファーム書換モードへ移行することを意図した者が、意識的にカバーフレーム8を開いた上で可動刃9を移動させたものとして、ファーム書換モードへの移行を実行する(ステップSA3)。これにより、ディップスイッチ等の専用のスイッチを設けることなく、既存のカッターセンサー25を利用して、必要なときにファーム書換モードへ移行できるようにしている。
【0033】
なお、可動刃9の位置を修正すべく、カバーフレーム8が開いた状態で、可動刃9が移動されることがある。
これを踏まえ、本実施形態では、カッターセンサー25から所定の態様で検出値が入力された場合に初めてファーム書換モードへ移行する構成となっている。
所定の態様とは、上記作業者が、動作モードをファーム書換モードへ移行することを意図して、意識的に可動刃9を移動させたときに初めて現出するような検出値の態様のことである。これにより、作業者が、動作モードをファーム書換モードへ移行する意図で、可動刃9を複雑に移動させた場合にのみ、動作モードがファーム書換モードへ移行することとなり、偶発的に、動作モードがファーム書換モードへ移行してしまうことが極力防止される。
所定の態様として、例えば、作業者が所定の時間(例えば5秒)内で所定の回数(例えば3回)以上、待機位置と、待機位置以外の位置との間を行き来するように可動刃9を移動させたときに出力される信号に対応する態様や、作業者が所定の間隔(例えば3秒ごと)で所定の回数(例えば5回)以上、待機位置と、待機位置以外の位置との間を行き来するように可動刃9を移動させたときに出力される信号に対応する態様等を設定可能である。
なお、ファーム書換モードへ移行するためにユーザーが可動刃9に対して行うべき動作を複雑化すればするほど、偶発的に動作モードがファーム書換モードへ移行してしまうことを防止できるものの、ユーザーが行うべき作業が煩雑化してしまうため、所定の態様は、ユーザーの利便性を考慮して適切に定められる。
【0034】
以上のように、図7示す動作では、カバーフレーム8が開いた状態となった後、制御部40は、リアルエンドセンサー41から第1検出値が所定の態様で入力されたか否か、及び、カッターセンサー25から検出値が所定の態様で入力されたか否かを監視し、いずれかのセンサーから所定の態様で検出値が入力された場合は、動作モードをファーム書換モードへ移行する一方、入力されない場合は、入力される検出値の監視を継続して行っていた。
しかしながら、これに限らず、カバーフレーム8が開いた状態となった後に、制御部40は、リアルエンドセンサー41から第1検出値が所定の態様で入力されたか否かのみを監視するようにしてもよく、また、カッターセンサー25から検出値が所定の態様で入力されたか否かのみを監視するようにしてもよい。また、いずれのセンサーの検出値を監視するのかを切り替え可能に構成してもよい。
また、リアルエンドセンサー41の検出値と、カッターセンサー25の検出値との組み合わせに応じて、動作モードをファーム書換モードへ移行するか否か判別する構成としてもよい。例えば、制御部40は、カバーフレーム8が開いている状態において、リアルエンドセンサー41から第1検出値が入力されている間に、カッターセンサー25から入力された検出値が変位したことが検出された場合に、動作モードをファーム書換モードへ移行する構成としてもよい。また例えば、制御部40は、リアルエンドセンサー41から所定の態様で検出値が入力された直後に、カッターセンサー25から所定の態様で検出値が入力された場合に、動作モードをファーム書換モードへ移行する構成としてもよい。このように、リアルエンドセンサー41の検出値、及び、カッターセンサー25の検出値の2つのセンサーの検出値の組み合わせを利用して、動作モードをファーム書換モードへ移行するか否かを判別する構成とすることにより、ファーム書換モードに移行する際に作業者が行うべき作業がより複雑化し、偶発的に動作モードがファーム書換モードへ移行してしまうことをより防止できる。
また、既存のスイッチをさらに利用してファーム書換モードへ移行するか否かを判別する構成としてもよい。
【0035】
図8は、既存のスイッチを利用してファーム書換モードへ移行するか否かを判別する場合におけるプリンター1の動作の一例を示すフローチャートである。
なお、図8の例では、動作モードをファーム書換モードへ移行するトリガーとして「電源投入時に、カバーフレーム8が開いた状態でかつリアルエンドセンサー41が押下されていること」が予め定められ、かつ、ファーム書換モードへ移行する権限を有する者に当該トリガーが予め知らされているものとする。
また、図8のフローチャートの動作の開始時点では、ユーザーにより、電源がオフからオンへと移行されたものとする。
【0036】
プリンター1の電源がオンされたことを検出すると(ステップSB1)、制御部40は、カバーフレーム8が開いた状態であるか否かを判別する(ステップSB2)。カバーフレーム8が開いていない場合(ステップSB2:NO)、制御部40は、動作モードの移行を行うことなく処理を終了する。
一方、カバーフレーム8が開いている場合(ステップSB2:YES)、制御部40は、リアルエンドセンサー41から第1検出値が入力されているか否かを判別する(ステップSB3)。
第1検出値が入力されていない場合(ステップSB3:NO)、制御部40は、動作モードの移行を行うことなく処理を終了する。
一方、第1検出値が入力されている場合(ステップSB3:YES)、制御部40は、動作モードをファーム書換モードへ移行する(ステップSB4)。なお、第1検出値が入力されているということは、電源投入時に、カバーフレーム8が開けられた状態で、リアルエンドセンサー41が押下されているということである。
このような動作をすることにより、作業者は、動作モードをファーム書換モードへ移行したいと考えた場合、一旦、プリンター1の電源をオフした後、カバーフレーム8を開き、リアルエンドセンサー41を押下した状態で、電源を投入すればよい。すなわち、図8の例では、ディップスイッチ等の専用のスイッチを設けることなく、既存のスイッチ、及び、既存のセンサーを利用して、必要なときに動作モードをファーム書換モードへ移行することができる。
なお、図8の例では、「電源投入時にカバーフレーム8が開いた状態でかつリアルエンドセンサー41が押下されていること」が、動作モードをファーム書換モードへ移行するトリガーであったが、プリンター1に各種リセット動作の実行を指示するためのリセットスイッチを設け、「リセットスイッチが操作されたときに、リアルエンドセンサー41が押下されていること」をトリガーとするようにしてもよい。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るプリンター1は、記録に係る動作の制御に利用するリアルエンドセンサー41、及び、カッターセンサー25を備え、制御部40は、これらセンサーから入力された検出値に応じて、ファーム書換モードへの移行を実行する。
これによれば、専用のスイッチ等を設けることなく、既存のセンサーを利用してファーム書換モードへの移行を実行できるため、コストの削減を実現しつつ、必要なときにファーム書換モードへ移行への移行を実行することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態では、制御部40は、予め定められた所定の状況下で、リアルエンドセンサー41、及び、カッターセンサー25から所定の検出値が入力された場合に、ファーム書換モードへの移行を実行する。
詳細には、制御部40は、カバーセンサー47の検出値により、カバーフレーム8(開閉カバー)が開いていることが検出されているときに、リアルエンドセンサー41から第1検出値が所定の態様で入力された場合に、ファーム書換モードへの移行を実行する。
これによれば、カバーフレーム8が開いているときはリアルエンドセンサー41から制御部40に対して第2検出値が入力されることを利用して、リアルエンドセンサー41を用いて必要なときにファーム書換モードへの移行が可能となる。
ここで、所定の態様とは、動作モードをファーム書換モードへ移行することを意図した者が、意識的に所定の操作したときに初めて現出するような第1検出値の態様のことである。そして、リアルエンドセンサー41から第1検出値が所定の態様で入力された場合に、ファーム書換モードへの移行を実行する構成とすることにより、作業者が、動作モードをファーム書換モードへ移行する意図で、リアルエンドセンサー41に対して所定の複雑な動作を行った場合にのみ、動作モードがファーム書換モードへ移行することとなり、偶発的に、動作モードがファーム書換モードへ移行してしまうことが極力防止される。
【0039】
また、本実施形態では、制御部40は、カバーセンサー47の検出値により、カバーフレーム8が開いていることが検出されているときに、カッターセンサー25から所定の態様で検出値が入力された場合に、ファーム書換モードへの移行を実行する。
これによれば、カバーフレーム8が開いているときは可動刃9の動作が停止し、これに伴いカッターセンサー25の検出値が変化しないことを利用して、カッターセンサー25を用いて必要なときに動作モードをファーム書換モードへ移行できる。
ここで、所定の態様とは、動作モードをファーム書換モードへ移行することを意図した者が、動作モードをファーム書換モードへ移行することを意図して、意識的に可動刃9を移動させたときに初めて現出するような検出値の態様のことである。これにより、作業者が、動作モードをファーム書換モードへ移行する意図で、可動刃9を複雑に移動させた場合にのみ、動作モードがファーム書換モードへ移行することとなり、偶発的に、動作モードがファーム書換モードへ移行してしまうことが極力防止される。
【0040】
また、一例として説明したように、本実施形態に係るプリンター1において、リアルエンドセンサー41の検出値と、カッターセンサー25の検出値との組み合わせに応じて、動作モードをファーム書換モードへ移行するか否か判別する構成としてもよい。例えば、制御部40は、カバーフレーム8が開いている状態において、リアルエンドセンサー41から第1検出値が入力されている間に、カッターセンサー25から入力された検出値が変位したことが検出された場合に、動作モードをファーム書換モードへ移行する構成としてもよい。また例えば、制御部40は、リアルエンドセンサー41から所定の態様で検出値が入力された直後に、カッターセンサー25から所定の態様で検出値が入力された場合に、動作モードをファーム書換モードへ移行する構成としてもよい。このように、リアルエンドセンサー41の検出値、及び、カッターセンサー25の検出値の2つのセンサーの検出値を利用して、動作モードをファーム書換モードへ移行するか否かを判別する構成とすることにより、ファーム書換モードに移行する際に作業者が行うべき作業がより複雑化し、偶発的に動作モードがファーム書換モードへ移行してしまうことをより防止できる。
【0041】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、本実施形態では、既存のセンサーを用いて、動作モードをファーム書換モードへ移行する場合を例にして、発明を説明したが、移行する動作モードは、ファーム書換モードに限らず、例えば、所定のテストが可能なテストモードや、所定のメンテナンスが可能なメンテナンスモードであってもよい。すなわち、記録装置において、動作モードを移行する場合に、広く本発明を適用可能である。
また、本実施形態に係るプリンター1は、サーマルプリンターであったが、本発明が適用される記録装置は、サーマルプリンターに限らず、例えば、インクジェット式プリンターや、ドットインパクト式プリンターであってもよい。すなわち、本発明は、記録媒体に記録を行う記録装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…プリンター(記録装置)、4…カッターユニット(切断部)、8…カバーフレーム(開閉カバー)、9…可動刃、25…カッターセンサー(センサー)、40…制御部、41…リアルエンドセンサー(センサー、エンドセンサー)、S…ロール紙(記録媒体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録を行う記録装置であって、
記録に係る動作の制御に利用するセンサーと、
前記センサーから入力された検出値に応じて、動作モードの移行を実行する制御部と、を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、
予め定められた所定の状況下で、前記センサーから所定の検出値が入力された場合に、動作モードの移行を実行することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
開閉カバーと、前記開閉カバーの開閉を検出するカバーセンサーと、
前記開閉カバーが閉じているときに前記記録媒体が所定の位置に位置している場合は第1検出値を出力し、一方、前記記録媒体が当該所定の位置に位置していない場合は第2検出値を出力すると共に、前記開閉カバーが開いているときは前記記録媒体の状態にかかわらず前記第2検出値を出力するエンドセンサーと、を備え、
前記制御部は、
前記カバーセンサーの検出値により、前記開閉カバーが開いていることが検出されているときに、前記エンドセンサーから前記第1検出値が入力された場合に、動作モードの移行を実行することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記カバーセンサーの検出値により、前記開閉カバーが開いていることが検出されているときに、前記エンドセンサーから前記第1検出値が所定の態様で入力された場合に、動作モードの移行を実行することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
開閉カバーと、前記開閉カバーの開閉を検出するカバーセンサーと、
可動刃により前記記録媒体を切断する切断部と、
前記可動刃が所定の位置に位置していることを検出するカッターセンサーと、を備え、
前記開閉カバーが開いている場合は、前記可動刃の動作を停止して前記切断部による前記記録媒体の切断を停止する構成とし、
前記制御部は、
前記カバーセンサーの検出値により、前記開閉カバーが開いていることが検出されているときにおける前記カッターセンサーから入力された検出値に応じて、動作モードの移行を実行することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記カバーセンサーの検出値により、前記開閉カバーが開いていることが検出されているときに、前記カッターセンサーから所定の態様で検出値が入力された場合に、動作モードの移行を実行することを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
開閉カバーと、前記開閉カバーの開閉を検出するカバーセンサーと、
前記開閉カバーが閉じているときに前記記録媒体が所定の位置に位置している場合は第1検出値を出力し、一方、前記記録媒体が当該所定の位置に位置していない場合は第2検出値を出力すると共に、前記開閉カバーが開いているときは前記記録媒体の状態にかかわらず前記第2検出値を出力するエンドセンサーと、可動刃により前記記録媒体を切断する切断部と、前記可動刃が所定の位置に位置していることを検出するカッターセンサーと、を備え、
前記開閉カバーが開いている場合は、前記可動刃の動作を停止して前記切断部による前記記録媒体の切断を停止する構成とし、
前記制御部は、
前記カバーセンサーの検出値により、前記開閉カバーが開いていることが検出されているときの、前記エンドセンサーから入力された検出値、及び、前記カッターセンサーから入力された検出値の組み合わせに応じて、動作モードの移行を実行することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項8】
記録に係る動作の制御に利用するセンサーを備え、記録媒体に記録を行う記録装置の制御方法であって、
前記センサーから入力された検出値に基づいて、動作モードを移行するか否かを判別し、動作モードを移行すると判別した場合、動作モードの移行を実行することを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項9】
記録に係る動作の制御に利用するセンサーを備え、記録媒体に記録を行う記録装置を制御する制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部を、
前記センサーから入力された検出値に応じて、動作モードの移行を実行する手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−101430(P2012−101430A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251566(P2010−251566)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】