説明

記録装置、記録装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】制御装置に対する改変をできるだけ行うことなく、記録媒体への記録に際し、所定のタイミングで所定の動作を実行することが可能となるようにする。
【解決手段】プリンター2の記録制御部60は、記録データに、特定の文字列を含む文字列を指定した前記文字列記録指示コマンドが含まれている場合には、当該文字列記録指示コマンドに係る動作の実行と対応させて、当該特定の文字列と対応する動作として予め定められた動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に接続可能な記録装置、当該記録装置の制御方法、及び、当該記録装置を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御装置(ホストPC)に接続可能に構成され、記録ヘッド(印字ヘッド)に記録媒体への記録を行う記録装置(プリンター)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−59502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、記録装置が、記録媒体へ記録している際に、適宜、所定のタイミングで所定の動作を実行するようにできれば、記録装置のパフォーマンスが向上し、商品としての価値が向上する。一方で、従来は、記録装置における記録媒体への記録に係る動作を変更するためには、制御装置から記録装置へ出力するデータを変更する必要があり、これに伴って制御装置に対して所定の改変を行う必要があった。しかしながら、制御装置に対する改変は、相当な煩雑な作業を伴う場合があったり、また、記録装置と制御装置との開発の主体が異なる等の理由により制御装置に改変を行えない場合があったりする等の理由のため、できるだけ行わないようにしたい、とうするニーズがあった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、制御装置に対する改変をできるだけ行うことなく、記録媒体への記録に際し、所定のタイミングで所定の動作を実行することが可能となるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、制御装置に接続可能な記録装置であって、記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記制御装置から、文字列を含む記録データを受信する受信部と、前記受信部により受信した前記記録データに基づいて、前記記録ヘッド、及び、前記搬送部を制御して、前記記録媒体への記録を行う記録制御部と、特定の文字列と、所定の動作とを対応付ける設定部と、を備え、前記記録制御部は、前記受信部で受信した前記記録データに、前記特定の文字列が含まれている場合には、当該特定の文字列の記録に対応した所定のタイミングで、前記設定部により前記特定の文字列と対応付けられた前記所定の動作を実行することを特徴とする。
この構成によれば、記録装置は、記録データに特定の文字列が含まれている場合には、当該文字列の記録に対応した所定のタイミングで、所定の動作を実行するため、記録媒体への記録中に、記録データにおける文字列の態様に応じて、各文字列に対応した所定のタイミングで所定の動作を実行することが可能となる。特に、制御装置は、記録装置に対して通常どおり、記録データを出力すれば、記録装置側で、自動で、特定の文字列の記録と対応させて、所定のタイミングで所定の動作を行われることとなるため、制御装置に対して、改変を行う必要がない。
【0006】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記記録媒体を切断する切断部をさらに備え、前記設定部は、1の特定の文字列と、前記切断部による前記記録媒体の切断とを対応付けし、前記記録制御部は、前記受信部で受信した前記記録データに、前記1の特定の文字列が含まれている場合には、当該1の特定の文字列の記録に対応した所定のタイミングで、前記切断部による前記記録媒体の切断をすることを特徴とする。
この構成によれば、記録装置は、記録データにおける文字列の態様に応じて、適切なタイミングで、記録媒体の切断を行うことが可能である。
【0007】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記切断部は、前記記録ヘッドの搬送方向下流に配置され、前記受信部により受信した前記記録データに基づいて、前記記録媒体の所定の領域に記録される1又は複数行の文字列を記憶する先頭画像情報記憶部をさらに備え、前記設定部は、前記先頭画像情報記憶部により記憶された前記1又は複数行の文字列に含まれる1の特定の文字列と、前記切断部による前記記録媒体の切断とを対応付けし、前記記録制御部は、前記切断部により前記記録媒体を切断する場合、前記記録媒体の切断位置の搬送方向上流側に、前記記録ヘッドにより前記先頭画像情報記憶部により記憶された前記1又は複数行の文字列を記録させつつ、前記搬送部により前記記録媒体を搬送方向に搬送し、前記1の特定の文字列の記録をトリガーとして、前記切断部による前記記録媒体の切断をすることを特徴とする。
この構成によれば、記録媒体の切断に際し、記録ヘッドと切断部との搬送方向における離間に起因して発生する記録媒体の先端と、記録媒体に記録される画像の先端とのマージンを縮小しつつ、以下のことが可能となる。すなわち、先頭画像情報記憶部により記憶された1又は複数行の文字列のうち、1の特定の文字列の記録をトリガーとして、切断部による記録媒体の切断を行う構成であるため、切断のトリガーとなる文字列を適切に指定しておくことにより、適切なタイミングで記録媒体の切断を行うことが可能となる。
【0008】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記記録媒体を切断する切断部をさらに備え、前記設定部は、1の特定の文字列と、前記搬送部により前記記録媒体を所定の搬送量搬送した後、前記切断部により前記記録媒体を切断することとを対応付けし、前記記録制御部は、前記受信部により受信した前記記録データに前記1の特定の文字列が含まれている場合、前記記録データに基づいて前記記録媒体への記録を行うと共に、前記1の特定の文字列の記録をトリガーとして、前記搬送部により前記記録媒体を所定の搬送量搬送した後、前記切断部により前記記録媒体を切断することを特徴とする。
この構成によれば、記録装置は、記録データにおける文字列の態様に応じて、適切なタイミングで、記録媒体を所定の搬送量搬送した後、切断することが可能となる。
【0009】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記切断部は、前記記録ヘッドの搬送方向下流に配置され、前記設定部は、1の特定の文字列と、前記記録ヘッドにより所定の画像を記録しつつ前記搬送部により前記記録媒体を所定の搬送量搬送した後、前記切断部により前記記録媒体を切断することとを対応付けし、前記記録制御部は、前記受信部により受信した前記記録データに前記1の特定の文字列が含まれている場合、前記記録データに基づいて前記記録媒体への記録を行うと共に、前記1の特定の文字列の記録をトリガーとして、前記記録ヘッドにより所定の画像を記録しつつ前記搬送部により前記記録媒体を所定の搬送量搬送した後、前記切断部により前記記録媒体を切断することを特徴とする。
この構成によれば、記録媒体の切断に際し、記録ヘッドと切断部との搬送方向における離間に起因して発生する記録媒体の先端と、記録媒体に記録される画像の先端とのマージンを縮小しつつ、適切なタイミングで、記録媒体を所定の搬送量搬送した後、切断することが可能となる。
【0010】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記所定の搬送量は、前記搬送方向における前記記録ヘッドと前記切断部との間の距離に相当することを特徴とする。
この構成によれば、記録ヘッドと切断部との搬送方向における離間に起因して発生する記録媒体の先端と、記録媒体に記録される画像の先端とのマージンを縮小しつつ、切断位置の下流側に記録すべき画像と、切断位置の上流側に記録すべき画像との間の適切な位置で記録媒体を切断することが可能となる。
【0011】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記設定部は、1の特定の文字列と、前記搬送部による前記記録媒体の搬送とを対応付けし、前記記録制御部は、前記受信部で受信した前記記録データに、前記1の特定の文字列が含まれている場合には、当該1の特定の文字列の記録に対応した前記所定のタイミングで、前記搬送部により前記記録媒体を搬送することを特徴とする。
この構成によれば、記録装置は、記録データにおける文字列の態様に応じて、適切なタイミングで、記録媒体を搬送することが可能となる。これにより、例えば、所定の文字列の後にスペースを形成すること等が可能となる。
【0012】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、周囲に報知する報知部をさらに備え、前記設定部は、1の特定の文字列と、前記報知部による報知とを対応付けし、前記記録制御部は、前記受信部で受信した前記記録データに、前記1の特定の文字列が含まれている場合には、当該1の特定の文字列の記録に対応した前記所定のタイミングで、前記報知部により報知することを特徴とする。
この構成によれば、記録装置は、記録データにおける文字列の態様に応じて、適切なタイミングで、報知部による報知を行うことが可能となる。
【0013】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記報知部は、音の出力、又は、情報の表示により、周囲に報知することを特徴とする。
この構成によれば、記録データにおける文字列の態様に応じて、適切なタイミングで、音を出力し、又は、情報を表示することが可能となる。
【0014】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記設定部は、前記制御装置から受信した所定のコマンドに基づいて、前記特定の文字列と、所定の動作とを対応付けることを特徴とする。
この構成によれば、制御装置を利用して、特定の文字列と、所定の動作とを対応付けることが可能となり、利便性が向上する。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明は、制御装置に接続可能であり、記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記制御装置から、文字列を含む記録データを受信する受信部と、特定の文字列と所定の動作とを対応付ける設定部と、を備える記録装置の制御方法であって、前記受信部により前記記録データを受信し、受信した前記記録データに、前記特定の文字列が含まれている場合には、当該特定の文字列の記録に対応した所定のタイミングで、前記設定部により前記特定の文字列と対応付けられた前記所定の動作を実行することを特徴とする。
この制御方法によれば、記録装置は、記録データに特定の文字列が含まれている場合には、当該文字列の記録に対応した所定のタイミングで、所定の動作を実行するため、記録媒体への記録中に、記録データにおける文字列の態様に応じて、各文字列に対応した所定のタイミングで所定の動作を実行することが可能となる。特に、制御装置は、記録装置に対して通常どおり、記録データを出力すれば、記録装置側で、自動で、特定の文字列の記録と対応させて、所定のタイミングで所定の動作を行われることとなるため、制御装置に対して、改変を行う必要がない。
【0016】
また、上記目的を達成するために、本発明は、制御装置に接続可能であり、記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記制御装置から、文字列を含む記録データを受信する受信部と、特定の文字列と所定の動作とを対応付ける設定部と、を備える記録装置の各部を制御する制御部により実行されるプログラムであって、前記制御部を、前記受信部で受信した前記記録データに、前記特定の文字列が含まれている場合には、当該特定の文字列の記録に対応した所定のタイミングで、前記設定部により前記特定の文字列と対応付けられた前記所定の動作を実行する記録制御部として機能させることを特徴とする。
このプログラムを実行すれば、記録装置は、記録データに特定の文字列が含まれている場合には、当該文字列の記録に対応した所定のタイミングで、所定の動作を実行するため、記録媒体への記録中に、記録データにおける文字列の態様に応じて、各文字列に対応した所定のタイミングで所定の動作を実行することが可能となる。特に、制御装置は、記録装置に対して通常どおり、記録データを出力すれば、記録装置側で、自動で、特定の文字列の記録と対応させて、所定のタイミングで所定の動作を行われることとなるため、制御装置に対して、改変を行う必要がない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、制御装置に対する改変をできるだけ行うことなく、記録媒体への記録に際し、所定のタイミングで所定の動作を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係るPOS端末の概略構成を示す図である。
【図2】プリンターの本体内部の構成を模式的に示す図である。
【図3】POS端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】記録データ、及び、レシートを模式的に示す図である。
【図5】従来のホストコンピューターとプリンターとのシーケンス図である。
【図6】記録ヘッドと、カッターユニットとの関係を模式的に示す図である。
【図7】レシートの様子を模式的に示す図である。
【図8】ホストコンピューターとプリンターとの動作を示すフローチャート。
【図9】レシートと先頭画像との関係を模式的に示す図である。
【図10】先頭画像に係る描画データを所定の座標系に展開した様子を示す図。
【図11】第2実施形態に係る記録データ、及び、レシートを模式的に示す図。
【図12】プリンターの動作の説明に使用する図である。
【図13】第3実施形態に係るレシートを模式的に示す図である。
【図14】第3、4、5実施形態に係るPOS端末の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明を適用した実施形態に係るPOS端末1の概略構成を示す図である。
また、図2は、POS端末1が備えるプリンター2(記録装置)の本体内部の構成を模式的に示す図である。
図1に示すPOS端末1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に構築された販売時点管理システム(POSシステム)上に設けられた端末であり、売上登録処理及び精算処理を行うホストコンピューター3と、このホストコンピューター3に接続され、ホストコンピューター3の制御の下、レシート10を発行するプリンター2と、を備えている。
ホストコンピューター3は、売上登録処理及び精算処理の処理内容を表示するディスプレー12、売上登録処理時に商品に付されたバーコードを読み取るバーコードスキャナー13、売上登録キー等の各種キーを備えたキー入力部14、精算用の現金を収容するキャッシュドロワー15等を備えている。また、ホストコンピューター3には、売上登録した情報を収集するPOSサーバー16が接続されている。
レシート10の発行に際し、ホストコンピューター3は、バーコードスキャナー13からの入力値や、キー入力部14からの入力値に基づいて、適宜、POSサーバー16にアクセスしてレシート10を発行するために必要な情報を取得し、プリンター2にレシート10の発行に係る各種動作を行わせる制御コマンドを生成し、プリンター2に出力する。プリンター2は、ホストコンピューター3から入力された制御コマンドに基づいて、各部を動作させ、レシート10を発行する。
【0020】
また、図1及び図2に示すように、記録装置としてのプリンター2は、本体20に記録媒体としての感熱ロール紙22を収容し、感熱ロール紙22を搬送するローラー形状のプラテン23(搬送部)と、プラテン23に対向配置された記録ヘッド24と、感熱ロール紙22を切断するカッターユニット25(切断部)とを備えている。
プリンター2は、搬送モーター26(図3)を駆動して、プラテン23を回転して、感熱ロール紙22を搬送方向Y1に搬送しながら、発熱素子が並べて設けられた記録ヘッド24によって、感熱ロール紙22の記録面に熱を与えて、感熱ロール紙22の記録面にドットを形成することにより、画像を記録するサーマルラインプリンターである。後述する制御部50や、搬送モーター26、プラテン23等が協働して搬送部として機能する。
画像が記録された感熱ロール紙22は、本体20の上面に形成された排紙口28から外に向けて搬送され、この排紙口28よりも搬送方向Y1上流側でカッターユニット25により切断され、レシート10となる。
【0021】
図2に示すように、プリンター2が備えるカッターユニット25は、感熱ロール紙22の搬送路の一方側に配置された固定刃30と、この固定刃30に対向して感熱ロール紙22の搬送路の他方側に配置された可動刃31と、可動刃31を固定刃30に向けてスライドさせるカッター駆動モーター32とを備え、カッター駆動モーター32の駆動力により、駆動機構(図示略)を介して可動刃31がカッター駆動モーター32に向けて移動され、固定刃30と可動刃31との間に印刷後の感熱ロール紙22が挟まれ、切断される。
また、図1に示すように、プリンター2の本体20には開閉可能なカバー35が設けられる。本体20には、カバー35を開くためのレバー36が設けられ、カバー35を開くと、感熱ロール紙22を収容する空間が露出し、感熱ロール紙22の補充や交換が可能になる。また、本体20には、プリンター2の電源をオン/オフさせる電源スイッチ37、手動による感熱ロール紙22の搬送等の操作を行うための紙送りスイッチ38、及び、所定の態様で点灯/消灯することによりプリンター2の状態や、エラーの発生の有無等を表示するLED39が設けられている。
【0022】
図3は、POS端末1の機能的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、ホストコンピューター3は、ホスト側制御部40と、ホスト側入力部41と、ホスト側表示部42と、ホスト側記憶部43と、ホスト側インターフェイス部44と、を備えている。
ホスト側制御部40は、ホストコンピューター3を中枢的に制御するものであり、各種プログラムを実行するCPU、CPUにより実行される基本制御プログラム等を記憶するROM、CPUが実行するプログラムや処理対象のデータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成するRAM、その他周辺回路等を備えている。ホスト側制御部40は、POSアプリケーション実行部40aと、プリンタードライバー実行部40bと、を備えているが、これらについては後述する。
ホスト側入力部41は、上述したキー入力部14を含めた各種入力デバイスに接続され、入力デバイスに対する操作を検出し、ホスト側制御部40に出力する。
ホスト側表示部42は、上述したディスプレー12に接続され、ホスト側制御部40の制御の下、売上登録処理及び精算処理の処理内容等の各種情報をディスプレー12に表示する。
なお、上述したように、ホストコンピューター3は、バーコードスキャナー13や、キャッシュドロワー等の各種レジスター周辺デバイスが接続されているが、ホストコンピューター3には、これらデバイスを接続するためのインターフェイスが実装されると共に、これらデバイスを制御するためのデバイスドライバーが予めインストールされている。
ホスト側記憶部43は、ハードディスクや、EEPROM等の不揮発性メモリーを備え、各種データを書き換え可能に、不揮発的に記憶する。
ホスト側インターフェイス部44は、ホスト側制御部40の制御の下、プリンター2との間で通信規格に準拠した通信を行う。
【0023】
プリンター2は、上述したようにレシート10を発行するサーマルラインプリンターであり、図3に示すように、制御部50と、プリントエンジン51と、入力部52と、表示部53と、記憶部54と、インターフェイス部55と、を備えている。
制御部50は、プリンター2の各部を中枢的に制御するものであり、上述したホスト側制御部40と同様、CPUや、ROM、RAM、その他の周辺回路等を備えている。
プリントエンジン51は、制御部50が備える記録制御部60の制御の下、記録ヘッド24や、搬送モーター26、カッター駆動モーター32等を動作させて、感熱ロール紙22に画像を記録し、画像を記録した感熱ロール紙22を切断することによりレシート10を発行する。この記録制御部60の機能は、CPUや、ファームウェアとのプログラムを読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
入力部52は、電源スイッチ37、及び、紙送りスイッチ38に接続され、これら操作スイッチに対する操作を検出し、制御部50に出力する。
表示部53は、制御部50の制御の下、LED39に駆動信号を出力し、所定の態様でLED39を点灯/消灯させる。
記憶部54は、EEPROMや、ハードディスク等の不揮発性メモリーを備え、各種データを書き換え可能に、不揮発的に記憶する。記憶部54に記憶される各データについては、後述する。
インターフェイス部55は、ホストコンピューター3との間で、通信規格に準拠した通信を行う。このインターフェイス部55と、制御部50とが協働して、ホストコンピューター3から制御コマンドを受信する受信部として機能する。
放音部57は、電子ブザーを備え、制御部50の制御の下、所定の音を所定の態様で出力する。
【0024】
次いで、POSアプリケーション実行部40a、及び、プリンタードライバー実行部40bの説明を通して、1つのレシート10を発行する際のPOS端末1の基本的な動作について説明する。
POSアプリケーション実行部40aは、ホストコンピューター3に予めインストールされたPOSアプリケーションを実行することにより、取引毎に、POSサーバー16にアクセスして必要な情報を取得した上で、購入された商品を示す情報や、商品の単価を示す情報、合計購入金額を示す情報等のレシート10(図4(B))に記載すべき情報を取得し、取得した情報に基づいて、レシート10に記録すべき画像の情報を含む印刷データを生成し、プリンタードライバー実行部40bに出力する。
プリンタードライバー実行部40bは、ホストコンピューター3に予めインストールされたプリンタードライバーを実行することにより、POSアプリケーション実行部40aから入力された印刷データに基づいて、プリンター2のコマンド仕様に対応した制御コマンドを生成し、プリンター2に出力する。
制御コマンドとは、プリンター2にレシート10の発行に係る各種動作を行わせるためのコマンド群のことであり、所定の搬送量だけ感熱ロール紙22の搬送を指示する搬送指示コマンドHCや、カッターユニット25によるによる切断を指示する切断指示コマンドSCのほか、記録データ80が含まれている。
記録データ80(図4(A))とは、感熱ロール紙22に記録すべき画像の情報、具体的には、記録すべき画像の内容(文字列や、所定のグラフィック、バーコード等)や、その順序を具体的に指定し、記録させる情報のことである。この記録データ80の具体的な態様については、後に詳述する。
ホストコンピューター3からプリンター2に出力された制御コマンドは、順次、受信バッファー56に格納される。プリンター2の制御部50の記録制御部60は、受信バッファー56に格納された制御コマンドを、順次、読み出して実行することにより、プリントエンジン51を制御して、レシート10の発行に係る各種動作を実行する。特に、記録制御部60は、記録データ80に基づいてプリントエンジン51を制御することにより、感熱ロール紙22への所定の画像の記録、及び、画像の記録に伴う必要な搬送を行う。
【0025】
次いで、記録データ80、及び、記録データ80に基づいて画像が記録されたレシート10の具体例について、説明する。
【0026】
図4(A)は、記録データ80の内容の一例を示す図であり、図4(B)は、図4(A)の記録データ80に基づいて画像が記録されたレシート10の一例を示す図である。
図4(B)のレシート10では、図中上に向かう方向が、搬送方向Y1に対応する方向である。従って、レシート10の発行の際には、感熱ロール紙22が切断されて先端10aが形成された後、記録ヘッド24によってレシート10の先端10a側から後端10b側へ向かって、順次、ドットが形成されて画像が記録され、その後、感熱ロール紙22が切断されて後端10bが形成される。
【0027】
本実施形態では、プリンター2が発行するレシート10のレイアウトは、所定の例外を除き、いずれのレシート10についても基本的に同一である。
すなわち、図4(B)に示すように、レシート10では、先端10aから後端10bへ向かって順番に、換言すれば、記録ヘッド24による記録が行われる順番に、先頭画像エリアA1、レシート情報エリアA2、グラフィックエリアA3、及び、バーコードエリアA4が形成される。
先頭画像エリアA1には、所定の文字列が所定の態様で定型的に記録されるエリアである。図4(B)の例では、「AAA△Store」(△はスペース。以下同じ。)という文字列が、基準の大きさの2倍の大きさで、中央寄せ(レシート10の幅方向の中央部に文字列が記録されるようにすること。)で記録され、次の行に「at△BBB△Area」という文字列が、基準の大きさで、中央寄せで記憶される。
本実施形態では、所定の例外を除き、プリンター2が発行する全てのレシート10について、先頭画像エリアA1には、同一の文字列が同一の態様で記録される。以下、先頭画像エリアA1に記録される上記の2行の文字列のことを「先頭画像」と表現するものとする。すなわち、先頭画像とは、レシート10の先端部に定型的に記録される文字列に係る画像のことである。
レシート情報エリアA2は、レシート10を発行した日時や、購入した商品の名称、商品の単価、合計購入金額、その他の付加的な情報が文字列として記録されるエリアである。
グラフィックエリアA3は、所定のグラフィック画像が記録されるエリアである。グラフィック画像については、後述する。
バーコードエリアA4は、バーコードが記録されるエリアである。
【0028】
記録データ80は、上述したように、感熱ロール紙22に記録すべき画像の情報を含むデータであるが、具体的には、感熱ロール紙22に所定の画像を所定の態様で記録させることを指示するコマンドが、記録させる順番に並んで構成されたデータである。プリンター2の制御部50の記録制御部60は、記録データ80を構成する各コマンドを、順次、読み出して実行することにより、感熱ロール紙22への画像の記録、及び、画像の記録に伴う必要な搬送を行う。
図4(A)において、コマンド群H1は、レシート10の先頭画像を構成する2行の文字列のうち、「AAA△Store」の文字列を所定の態様で記録させるコマンド群であり、文字列装飾コマンドMS1、及び、文字列記録指示コマンドMK1の2つのコマンドが含まれている。
文字列装飾コマンドMS1は、「AAA△Store」の文字列に施す装飾を指定するコマンドであり、具体的には、当該文字列の大きさを基準の2倍の大きさとすること、及び、当該文字列を中央寄せすることを指定するコマンドである。なお、装飾とは、記録する文字列に対して描画に関する何らかの処理を行うことを意味し、例えば、上述した文字列の拡大や、文字列の位置の移動のほか、例えば、縮小、回転、強調、太字化、装飾文字又は装飾記号の付加等が装飾に該当する。
文字列記録指示コマンドMK1は、「AAA△Store」の文字列を記録することを指示するコマンドである。本実施形態では、基本的に、文字列記録指示コマンドは、命令コードと、所定の文字コード(例えば、アスキーコード。)で表現された文字の組み合わせからなる文字列と、が組み合わされて構成されている。例えば、文字列記録指示コマンドMK1は、「XXX△“AAA△Store”」(ただし、XXXは、文字列を記録することを指示する命令コード。また、ダブルクォーテーション内の文字列は、アスキーコードで表現された文字の組み合わせによって構成された文字列。)という構成となっている。
【0029】
記録制御部60は、プリントエンジン51を制御して、文字列装飾コマンドMS1により指定された装飾を施した上で、文字列記録指示コマンドMK1に記述された文字列を記録媒体に記録する。これにより、図4(B)に示すように、基準の2倍の大きさで、中央寄せされた「AAA△Store」の文字列が記録される。
詳述すると、プリンター2の記憶部54には、フォントテーブル70が記憶されている。フォントテーブル70とは、フォントデータを集合して記憶するテーブルであり、また、フォントデータとは、文字を感熱ロール紙22に記録可能な態様で表現する実データのことである。本実施形態では、フォントデータの態様は、ビットマップフォントデータである。フォントデータの態様としては、ビットマップデータのほか、スケイラブルフォントデータや、ベクトルフォントデータ、アウトラインフォントデータ等がある。
なお、本実施形態では、感熱ロール紙22に記録する「文字」は、言語で使用される意味を持った文字のみならず、記憶部54に記憶されたフォントデータに基づいて感熱ロール紙22に記録可能な「図形」の全てを指す概念である。
アスキーコードで表現された文字のそれぞれは、フォントテーブル70に記憶されたいずれかのフォントデータと対応関係にあり、この対応関係を示す情報が記憶部54に予め記憶されている。例えば、各アスキーコードと、各アスキーコードに対応するフォントデータの位置(フォントテーブル70における記憶領域のアドレス)とが対応づけて記憶されたテーブルが記憶部54に予め記憶されている。
そして、文字列装飾コマンドMS1、及び、文字列記録指示コマンドMK1に基づいて、「AAA△Store」の文字列を記録する際、記録制御部60は、フォントテーブル70、及び、アスキーコードとフォントデータとの対応関係を示す情報を参照して、当該文字列を構成する各文字のフォントデータを取得し、文字列装飾コマンドMS1が指定する装飾を反映した上で、取得したフォントデータに基づいて、プリントバッファー(不図示)に文字列に係る画像データ(ビットマップデータ)を展開する。次いで、記録制御部60は、プリントバッファーに展開した当該文字列に係る画像データに基づいて、記録ヘッド24や、搬送モーター26等を駆動して、感熱ロール紙22に文字列に係る画像を構成するドットを形成することにより、「AAA△Store」の文字列を記録する。
【0030】
コマンド群H1に続く、コマンド群H2は、「at△BBB△Area」の文字列を所定の態様で記録させるコマンド群であり、当該文字列の大きさを基準の大きさとすること、及び、当該文字列を中央寄せすることを指定する文字列装飾コマンドMS2、及び、「at△BBB△Area」の文字列を記録することを指示する文字列記録指示コマンドMK2を含んで構成されている。
記録制御部60は、コマンド群H2に含まれる各コマンドに基づいて、プリントエンジン51を制御して、図4(B)に示すように、基準の大きさで、中央寄せされた「at△BBB△Area」の文字列を記録する。
コマンド群H2の後には、2つの改行コマンドLFが続いている。これにより、図4(B)に示すように、「at△BBB△Area」の文字列の後には、改行が2つ挿入される。
【0031】
2つの改行コマンドLFの後には、コマンド群H3が続いている。このコマンド群H3は、レシート10のレシート情報エリアA2に画像を記録させるコマンド群であり、上述した文字列装飾コマンド、文字列記録指示コマンド、及び、改行コマンドが組み合わされて構成されている。このコマンド群H3の詳細については省略する。
【0032】
コマンド群H3の後には、グラフィック記録指示コマンドGSが続いている。
記録制御部60は、このグラフィック記録指示コマンドGSに基づいて感熱ロール紙22にグラフィック画像を記録する。
詳述すると、プリンター2の記憶部54には、登録グラフィックテーブル71が記憶されている。この登録グラフィックテーブル71では、複数のグラフィック画像データと、各グラフィック画像に一意に付与された識別コードとが対応づけて記憶されている。グラフィック画像データとは、フォントデータに基づいて記録される画像ではない、所定の画像(グラフィック画像)を表現するビットマップデータのことであり、例えば、図4(B)のレシート10のグラフィックエリアA3のグラフィック画像(強調用の飾り枠の中に「10%Off」という文字列が描画された画像)を表現するビットマップデータである。
そして、グラフィック記録指示コマンドGSには、記録すべきグラフィック画像の識別コードを特定する情報が含まれており、グラフィック記録指示コマンドGSに基づいてグラフィック画像を記録する際、記録制御部60は、登録グラフィックテーブル71を参照して、当該識別コードに対応するグラフィック画像データを取得し、取得したグラフィック画像データをプリントバッファーに展開し、展開したグラフィック画像データに基づいてプリントエンジン51を制御して、グラフィック画像の記録を行う。
なお、グラフィック記録指示コマンドGSを、グラフィックエリアA3に記録すべき画像のビットマップデータを含んだ構成とし、当該ビットマップデータに係る画像を記録させるコマンドとすること可能である。この場合、記録制御部60は、グラフィック記録指示コマンドGSに含まれるビットマップデータをプリントバッファーに展開して画像を記録する。
【0033】
グラフィック記録指示コマンドGSの後には、バーコード記録指示コマンドBSが続いている。
バーコード記録指示コマンドBSは、HRI文字に関する各種設定(HRI文字を記録するか否か、HRI文字をバーコードとの関係でどこに記録するか等)を指定するコマンドや、バーコードを記録する際のサイズを指定するコマンド、バーコードに変換しようとしている文字列(以下、「変換前文字列」という。)を指定すると共に当該変換前文字列に基づくバーコードの画像を記録することを指示するコマンド等が含まれて構成されている。
バーコード記録指示コマンドBSに基づいてバーコードを記録する際、記録制御部60は、バーコード記録指示コマンドBSに含まれる変換前文字列を取得し、取得した変換前文字列を、ファームウェアに実装された所定の機能により、画像としてのバーコードを表現するビットマップデータに変換し、HRI文字に関する各種設定や、バーコードのサイズに関する各種設定を反映した上で、画像としてのバーコードを表現するビットマップデータをプリントバッファーに展開し、展開したビットマップデータに基づいて、プリントエンジン51を制御して、バーコード、及び、HRI文字に係る画像を感熱ロール紙22に記録する。
【0034】
図5は、本願発明を適用する前の従来のPOS端末1におけるプリンター2、及び、ホストコンピューター3の動作を説明するためのシーケンス図である。
従来は、複数のレシート10を発行する場合、プリンター2、及び、ホストコンピューター3は、以下のような手順で各種処理を行っていた。
すなわち、図5に示すように、まず、ホストコンピューター3は、プリンター2に記録データ80を送信する(ステップSA1)。
次いで、プリンター2の記録制御部60は、受信した記録データ80に基づいて、感熱ロール紙22に記録データ80の内容に準拠した画像の記録を行う(ステップSA2)。
次いで、ホストコンピューター3は、感熱ロール紙22の切断位置(レシート10を発行すべく感熱ロール紙22を切断すべき位置であり、以下、「紙切断位置」という。)が、カッターユニット25のカット位置T2(カッターユニット25によって切断が行われる位置。すなわち、固定刃30と、可動刃31とが対峙した位置。)に至るまで、所定量だけ感熱ロール紙22を搬送することを指示する搬送指示コマンドHCをプリンター2に送信する(ステップSA3)。
【0035】
図6は、記録ヘッド24と、カッターユニット25との位置関係を説明するため、これら装置を模式的に示す図である。
図2、及び、図6に示すように、本実施形態では、感熱ロール紙22が搬送される搬送経路(図6)K上の所定の位置に記録ヘッド24が設けられ、この記録ヘッド24の搬送方向Y1下流に感熱ロール紙22を切断するためのカッターユニット25が設けられている。
図6に示すように、記録ヘッド24によって画像が記録される記録位置T1(発熱素子が配置された位置)と、カッターユニット25のカット位置T2との間には、ギャップGが形成されている。
【0036】
ステップSA3において、ホストコンピューター3からプリンター2に搬送指示コマンドHCが送信された後、プリンター2の記録制御部60は、受信した搬送指示コマンドHCに基づいて、プリントエンジン51を制御して、感熱ロール紙22を所定量だけ搬送する(ステップSA4)。
次いで、ホストコンピューター3は、カッターユニット25による感熱ロール紙22の切断を指示する切断指示コマンドSCをプリンター2に送信する(ステップSA5)。
次いで、プリンター2の記録制御部60は、受信した切断指示コマンドSCに基づいて、プリントエンジン51を制御して、感熱ロール紙22を切断する(ステップSA6)。
このようにして1のレシート10を発行した後、さらに、次のレシート10を発行する場合、ホストコンピューター3は、記録データ80、搬送指示コマンドHC、及び、切断指示コマンドSCを順次送信し、プリンター2は受信したコマンドを順次実行する(ステップSA7〜ステップSA12)。
【0037】
以上のようなシーケンスで、複数のレシート10を発行していた従来では、以下のような問題があった。
【0038】
図7(A)は、従来の問題点を説明するため、感熱ロール紙22を模式的に示す図である。
図6で説明したように、従来のシーケンスによれば、1のレシート10に係る記録データ80に基づく画像の記録が終了した後、感熱ロール紙22の紙切断位置が、カット位置T2に至るまで感熱ロール紙22が搬送された上で感熱ロール紙22が切断され、その後、次のレシート10に係る記録データ80に基づく画像の記録が開始されるという手順であった。このため、図7に示すように、記録ヘッド24の記録位置T1と、カッターユニット25のカット位置T2との搬送方向Y1におけるギャップGに起因して、レシート10の先端10aと、当該レシート10に記録される先頭画像の先端との間に形成されるマージンMが拡大化する傾向にあった。
【0039】
そして、このマージンMは、何ら画像が記録されない無駄な領域であるため、できるだけ当該マージンMを縮小し、感熱ロール紙22の無駄な消費を抑制したいとするニーズがある。
特に、ホストコンピューター3に対する改変、例えば、プログラム修正や、プログラムの書き換え、ホストコンピューター3自体の交換、各種機構の改変等を行うことなく、マージンMを縮小したいとするニーズがあった。これは、例えば、本発明をPOS端末1に適用する際に、ホストコンピューター3に対する改変が必要ない分、作業性がよいからである。さらに、ある店舗において、当該店舗に設置された既存のホストコンピューター3にプリンター2を接続することによりPOS端末1を構築するような状況の場合に、既存のホストコンピューター3に対する改変を行う必要がないため、プリンター2を購入し、導入する店舗側にとっては作業の容易性、接続の確実性の面でメリットがあり、また、プリンター2を販売、提供する主体(例えば、製造メーカー)にとっては、プリンター2の商品価値を向上できるという点でメリットがあるからである。
以上を踏まえ、本実施形態に係るプリンター2は、以下の動作を実行する。
【0040】
図8は、本実施形態に係るプリンター2、及び、ホストコンピューター3の動作を示すフローチャートであり、(A)はホストコンピューター3の動作を、(B)はプリンター2の動作をそれぞれ示している。
図8では、1つのレシート10を発行する場合におけるプリンター2、及び、ホストコンピューター3の動作を示している。
また、以下の説明において、制御部50、記録制御部60、及び、先頭画像情報記憶部61の機能は、CPUがファームウェア等のプログラムを読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
図8に示すように、まず、ホストコンピューター3が記録データ80を送信する(ステップSB1)。
次いで、プリンター2は、ホストコンピューター3が送信した記録データ80を受信する(ステップSC1)。受信した記録データ80は、一旦、受信バッファー56に格納される。
次いで、先頭画像情報記憶部61は、記憶部54に先頭画像データ72(後述)が既に記憶されているか否かを判別する(ステップSC2)。
以下、まず、ステップSC2において先頭画像データ72(後述)が未だ記憶部54に記憶されていない場合(ステップSC2:NO)の、プリンター2の動作を説明する。
なお、ステップSC2で「NO」と判別される場合は、感熱ロール紙22の先端部に、先頭画像が記録されていない状態を想定している。従って、記憶部54に先頭画像データ72が記憶されていない場合のほか、感熱ロール紙22の交換のタイミングや、エラー等の何らかの原因により、先頭画像データ72が記憶部54に記憶されている場合であっても、感熱ロール紙22の先端部に、先頭画像が記録されていない状態である場合には、ステップSC2で「NO」と判別される。
先頭画像データ72が未だ記憶部54に記憶されていない場合(ステップSC2:NO)、先頭画像情報記憶部61は、記憶部54に記憶されたキーワード文字列データ73を参照し、キーワード文字列を取得する(ステップSC3)。キーワード文字列については後述する。
次いで、先頭画像情報記憶部61は、ステップSC3で取得したキーワード文字列を利用して、ステップSC1で受信した記録データ80に含まれる画像の情報から、先頭画像の情報を抽出する(ステップSC4)。
以下、ステップSC4の動作について図4を援用して詳述する。
【0041】
上述したように、本実施形態では、プリンター2によって発行される全てのレシート10について、レシート10の先端部(先頭)に、先頭画像として、所定の文字列が、所定の態様で記録される。具体的には、レシート10の先端部に「AAA△Store」の文字列と、当該文字列に続く「at△BBB△Area」の文字列とが定型的に記録される。
そして、キーワード文字列とは、先頭画像を構成する文字列の末尾に該当する文字列のことであり、上記例では、「Area」がこのキーワード文字列に該当する。
ステップSC4において、先頭画像情報記憶部61は、受信バッファー56に格納されている記録データ80を分析し、各文字列記録指示コマンド(所定の命令コードと、所定の文字コードからなる文字の組み合わせで表現された文字列とを含んで構成されるコマンド)に含まれた文字列の中から、キーワード文字列を検索する。上述したように、文字列記録指示コマンドにおいて、文字列は、所定の文字コードからなる文字の組み合わせによって表現されているため、既存の文字列検索用のアルゴリズムを用いて、記録データ80から、キーワード文字列の検索が可能である。
次いで、先頭画像情報記憶部61は、記録データ80に基づいて画像を記録した場合に、その先頭に記録される文字列から、検索されたキーワード文字列に至るまでの一連の文字列が、先頭画像、すなわち、レシート10の先端部に定型的に記録される文字列であるものとし、記録データ80から、当該一連の文字列の記録に係る一連のコマンドを抽出する。図4(A)の例では、「AAA△Store」の文字列の記録に係る一連のコマンドを含むコマンド群H1の各コマンド、及び、「at△BBB△Area」の文字列の記録に係る一連のコマンドを含むコマンド群H2の各コマンドを抽出する。このように、先頭画像情報記憶部61は、文字列記録指示コマンドのみならず、文字列に施す装飾を指定するコマンドである文字列装飾コマンドも併せて抽出する。
以上のようにして抽出した一連のコマンド(上記例では、コマンド群H1及びコマンド群H2に含まれるコマンド)が、「先頭画像の情報」に該当する。
【0042】
ステップSC4において先頭画像の情報を抽出した後、先頭画像情報記憶部61は、当該抽出した先頭画像の情報(一連のコマンド)を、先頭画像データ72として記憶部54に記憶する(ステップSC5)。
次いで、記録制御部60は、先頭画像を構成する文字列の行うち、切断のための搬送に伴って記録する文字列の行、換言すれば、切断のための搬送を開始した後、感熱ロール紙22が切断される前に、記録すべき文字列の行、及び、記録すべき文字列の行のうち、切断を行うトリガーとなる文字列、及び、先頭画像に係る文字列の記録を開始する感熱ロール紙22における位置を決定する(ステップSC6)。
以下、ステップSC6の動作について詳述する。
【0043】
図9は、ステップSC6の動作を説明するために、所定の態様で、先頭画像を感熱ロール紙22に記録した様子を示す図である。
上述したように、本願発明は、記録ヘッド24の記録位置T1と、カッターユニット25のカット位置T2との搬送方向Y1におけるギャップGに起因して、レシート10の先端10aと、当該レシート10に記録される先頭画像の先端との間に形成されるマージンMを縮小することをその目的の1つとしている。
当該目的を達成するために、プリンター2は、図7(B)に示すように、記録データ80に基づく画像の記録が終了した後、感熱ロール紙22を切断するために、感熱ロール紙22を搬送方向Y1に搬送する際に、当該搬送と並行して、先頭画像を記録するにようにし、これによりマージンMを縮小する。
これを踏まえ、ギャップGと、感熱ロール紙22における先頭画像との関係が図9(A)のような状態であるものとする。この図9(A)では、感熱ロール紙22の先端と、先頭画像の先端との距離が、マージンMminとなっている。このマージンMminは、レシート10の枠と、画像とのバランスを考慮して、レシート10の見栄え上の観点から、最低限必要とされるマージンである。従って、マージンMをマージンMminとすれば、マージンMを最も縮小させることができる。
そして図9(A)に示す状態の場合、「at△BBB△Area」の文字列を感熱ロール紙22に記録している途中で、一旦記録が中断され、感熱ロール紙22の切断が行われ、切断の終了後、再び、「at△BBB△Area」の文字列の残りの部分の記録が行われることとなる。この場合、文字列の記録の一時的な中断が、記録された文字列の白スジ、ドットずれの要因となり、印刷品質の低下を招く可能性がある。特に、感熱ロール紙22の切断の際、カッターユニット25の物理的な接触に伴って感熱ロール紙22に一定の圧力が加わるため、切断の前後で、感熱ロール紙22に多少のずれが生じていることがあり、白スジやドットずれが生じる可能性があると言える。
【0044】
また、ギャップGと、感熱ロール紙22における先頭画像との関係が図9(B)のような状態であるものとする。
図9(B)では、「AAA△Store」の文字列と、「at△BBB△Area」の文字列との間が、記録データ80により想定されている離間量よりも大きい状態である。
この場合、図9(A)のような印刷品質の低下は生じないものの、「AAA△Store」の文字列と、「at△BBB△Area」の文字列との想定以上の離間に起因して、レシート10に記録された画像の見た目が悪くなる可能性がある。
また、ギャップGと、感熱ロール紙22における先頭画像との関係が図9(C)のような状態であるものとする。
この場合、図9(A)における印刷品質の低下を防止でき、かつ、図9(B)のような見た目の悪さを防止できる。
以上を踏まえ、ステップSC6では、先頭画像が図9(C)に示す態様で記録されるように、先頭画像を構成する複数行の文字列のうち、感熱ロール紙22の切断の前に記録すべき文字列の行、及び、先頭画像の記録を開始するタイミングを決定する。
以下、さらに詳述する。
【0045】
図10は、仮想的に、感熱ロール紙22の全域に、プリンター2の解像度に準拠した画素を配置したとした場合の各画素を、所定の座標系に展開した様子を示す図である。座標系において各画素は、感熱ロール紙22の形状に準拠してドットマトリクス上に配置されており、各画素は、原点に対する位置により特定可能である。
図9(C)、及び、図10を参照し、図9(C)における点Q0が、座標系の原点P0(0、0)に対応しており、また、点Q1がx軸上の点である点P1(x1、y1)に、点Q2がy軸上の点である点P2(x2、y2)に、点Q3が点P3(x3、y3)にそれぞれ対応している。点P1は、原点P0から、感熱ロール紙22の幅に対応するドット数分、x軸(+)方向に離間した点であり、点P2は、原点P0から、プリンター2における記録ヘッド24の記録位置T1と、カッターユニット25のカット位置T2との搬送方向Y1におけるギャップGに対応するドット数分、y軸(−)方向に離間した点である。また、点P3は、点P1からギャップGに対応するドット数分、y軸(−)方向に離間し、かつ、点P2から感熱ロール紙22の幅に対応するドット数分、x軸(+)方向に離間した点である。
ステップSC6において、まず、制御部50は、所定の記憶領域に図10に示す座標系を定義する。
次いで、制御部50は、以下の手順で、記憶部54に記憶された先頭画像データ72に基づいて、所定の装飾を施した先頭画像の画素のデータ(以下、「描画データ」という。)を座標系に展開する。
すなわち、制御部50は、定義した座標系において、文字列間のスペースのドット数を変更することなく、かつ、いずれの文字列の描画データも仮想直線KT2を跨がない状態(=いずれかの文字列の描画データと、当該文字列の次の文字列の描画データとの間に仮想直線KT2が延在している状態、又は、先頭画像を構成する複数行の文字列のうち、最後の行の文字列の描画データのy軸(−)方向の端よりも、y軸(−)方向側に仮想直線KT2が位置している状態)で、マージンMminに対応するドット数分x軸から離間した仮想直線KT1と、点P2と点P3とを結ぶ仮想直線KT2とで囲まれる範囲に、できるだけ多くの行の文字列の描画データが展開された状態となるように、座標系に先頭画像の描画データを展開する。
【0046】
例えば、先頭画像の描画データが、所定の装飾を施した「AAA△Store」の文字列に係る描画データと、当該描画データから予め定められたスペースに対応するドット数分離間した、所定の装飾を施した「at△BBB△Area」の文字列に係る描画データとからなる場合において、文字列間のスペースに対応するドット数を変更することなく、仮想直線KT1と仮想直線KT2とで囲まれる範囲に、全ての文字列に係る描画データを展開可能な場合は、当該範囲に、全ての文字列に係る描画データを展開する。一方、仮想直線KT1と仮想直線KT2とのy軸方向のドット数に比して、文字列間のスペースを含めた先頭画像の描画データのy軸方向のドット数が大きく、全ての文字列に係る描画データを仮想直線KT1と仮想直線KT2とで囲まれる範囲に展開することができず、かつ、仮想直線KT1と仮想直線KT2とのy軸方向のドット数に比して、「AAA△Store」の文字列に係る描画データのy軸方向のドット数が小さく、「AAA△Store」の文字列に係る描画データは当該範囲に展開可能な場合は、図10に示すように、「AAA△Store」の文字列に係る描画データと、「at△BBB△Area」の文字列に係る描画データとの間のスペースに、仮想直線KT2が延在するような状態で、各文字列に係る描画データを座標系に展開する。ここで、仮想直線KT1と仮想直線KT2とで挟まれた範囲に展開された文字列は、切断のための搬送の開始後、切断を行う前に、記録される文字列であり、仮想直線KT2よりy軸(−)方向に展開された文字列は、当該切断後に記録される文字列である。制御部50は、座標系を利用して、感熱ロール紙22の切断のための搬送の開始後、切断を行う前に、記録を完了することが可能な文字列について、できるだけ多くの文字列を記録するとした場合に、先頭画像を構成する文字列の行のうち、当該切断前に記録すべき行を特定している。
【0047】
次いで、制御部50は、座標系に展開した文字列に係る描画データのうち、先頭の文字列に係る描画データのy軸(+)側の端と、x軸との離間量D1(図10参照)のドット数を検出する。
図10の例では、「AAA△Store」の文字列に係る描画データと、「at△BBB△Area」の文字列に係る描画データとの間のスペースに仮想直線KT2が延在するような状態で、先頭画像に係る描画データが座標系に展開されているが、この場合、図9(C)に示すように、離間量D1に対応する距離L1分、感熱ロール紙22の切断位置(先端)から離間した位置から先頭画像の記録を始めれば、「AAA△Store」の文字列の記録が完了した後、「at△BBB△Area」の文字列の記録を開始する前に、カッターユニット25による感熱ロール紙22の切断が行われ、その後、「at△BBB△Area」の文字列の記録が開始されることとなり、図9(A)を用いて説明した印刷品質の低下を防止できる。
【0048】
ステップSC6において、制御部50は、以上のようにして座標系に先頭画像に係る描画データを展開した後、仮想直線KT1と仮想直線KT2とで囲まれた範囲に展開した文字列の行を、切断のための搬送の開始後、切断前に感熱ロール紙22に記録する行と決定する。
さらに、ステップSC6において、制御部50は、これら切断前に記録すべき文字列の行のうち、切断前に記録する最後の行の文字列を、切断を行うトリガーとなる文字列として、決定する。
さらに、ステップSC6において、制御部50は、離間量D1(図10)に対応する距離L1(図9(C))だけ、感熱ロール紙22の先端から離間した位置を、先頭画像の記録を開始する位置(記録開始位置Z1、図9(C)参照)として決定する。
なお、座標系における離間量D1のドット数と、感熱ロール紙22における距離L1の長さとを対応づけて記憶するテーブルが事前に所定の記憶領域に記憶されており、制御部50は、当該テーブルに基づいて、離間量D1を距離L1へと変換する。距離L1の値は、例えば、搬送モーター26がステッピングモーターで構成されている場合において、ステップ数によって表現された値であっても良い。
ここで、「切断を行うトリガーとなる文字列」について説明する。
例えば、座標系に展開された先頭画像の描画データの状態が、図10に示す状態であるものとする。この場合、切断のための搬送の開始後、切断前に感熱ロール紙22に記録する行は、「AAA△Store」の文字列となる。さらに、この場合、実際に先頭画像が記録された感熱ロール紙22の状態は、図9(C)に示す状態となる。すなわち、切断のための搬送の開始後、切断前に「AAA△Store」の文字列が記録され、「AAA△Store」の文字列の記録の完了後、「at△BBB△Area」の文字列の記録が開始される前に、感熱ロール紙22の切断が実行され、その後、「at△BBB△Area」の文字列が記録されることとなる。
このように、本実施形態では、感熱ロール紙22の切断の前に記録すべき文字列のうち、最後の文字列の記録が完了した後、感熱ロール紙22を切断する構成となっており、上述したように当該構成を実現するために、ステップSC6において、切断前に記録すべき文字列の行を決定すると共に、記録開始位置Z1を決定している。そして、ステップSC6では、感熱ロール紙22の切断の前に記録すべき文字列のうち、最後の文字列、換言すれば、切断を行う直前に記録される文字列を、切断を行うトリガーとなる文字列として決定している。なお、後述するが、記録制御部60は、当該文字列を記録したことをトリガーとして、換言すれば、当該文字列に係る文字列記録指示コマンドを実行したことをトリガーとして、感熱ロール紙22の切断を実行する。
【0049】
さて、前掲図8に戻り、先頭画像情報記憶部61は、ステップSC6で決定した、切断前に記録する文字列の行、切断のトリガーとなる文字列、及び、先頭画像の記録を開始する位置を示す情報を先頭画像データ72と対応づけて記憶する(ステップSC7)。
なお、後述するように、切断のトリガーとなる文字列を記録したことをトリガーとして、カッターユニット25による切断が行われる。従って、ステップSC7において、切断のトリガーとなる文字列が記憶されることにより、特定の文字列(切断のトリガーとなる文字列)と、所定の動作(カッターユニット25による感熱ロール紙22の切断)とが対応付けられたこととなる。この場合、記憶部54は、特定の文字列(切断のトリガーとなる文字列)を、所定の動作(カッターユニット25による感熱ロール紙22の切断)と対応付けて記憶する設定部として機能する。
次いで、記録制御部60は、記録データ80に基づいて、プリントエンジン51を制御して、感熱ロール紙22に画像の記録を行う(ステップSC8)。
次いで、ホストコンピューター3は、従来と同様、搬送指示コマンドHCをプリンター2に送信する(ステップSB2)。プリンター2の記録制御部60は、受信した搬送指示コマンドHCを読み飛ばす(ステップSC9)。また、ホストコンピューター3は、切断指示コマンドSCをプリンター2に送信するが(ステップSB3)、プリンター2の記録制御部60は、受信した切断指示コマンドSCを読み飛ばす(ステップSC10)。
ホストコンピューター3には、何ら改変が加えられていないため、ホストコンピューター3は、従来と同様、記録データ80、搬送指示コマンドHC、切断指示コマンドSCの順に、順次、コマンドをプリンター2に送信するが、本実施形態に係るプリンター2は、ホストコンピューター3の制御によることなく、マージンMを縮小するための所定の手順により切断のための搬送、切断を実行するため、これらコマンドを読み飛ばしている。また、プリンター2側で、これらコマンドを読み飛ばすという処理を行うため、ホストコンピューター3は、従来と同様の手順でコマンドを送信すればよく、ホストコンピューター3に対する改変が必要ない。
【0050】
次いで、プリンター2の記録制御部60は、切断のための感熱ロール紙22の搬送を開始する(ステップSC11)。
感熱ロール紙22の搬送中、記録制御部60は、感熱ロール紙22における記録開始位置Z1(図9(C)参照)が、記録ヘッド24の記録位置T1に至ったか否かを監視する(ステップSC12)。なお、プリンター2では、感熱ロール紙22の搬送量を、例えば、ステッピングモーターとして構成された搬送モーター26のステップ数等により管理しており、この搬送量や、感熱ロール紙22の位置を検出する所定のセンター等の検出値に基づいて、記録開始位置Z1や、切断位置のプリンター2における位置を管理しており、記録開始位置Z1や切断位置が、記録位置T1やカット位置T2に至ったことを検出可能である。
感熱ロール紙22における記録開始位置Z1が、記録ヘッド24の記録位置T1に至った場合、記録制御部60は、記憶部54の先頭画像データ72、及び、ステップSC7において先頭画像データ72と対応づけて記憶された、切断前に記録すべき行の情報に基づいて、先頭画像を構成する複数行の文字列のうち、切断前に記録すべき行の文字列に係る制御コマンドを読み出して、実行することにより、当該行の文字列を記録する(ステップSC13)。
例えば、図9(C)を参照し、「AAA△Store」の文字列と、「at△BBB△Area」の文字列のうち、「AAA△Store」の文字列が、切断前に記録すべき行の文字列に該当する場合、記録制御部60は、記憶部54の先頭画像データ72に含まれるコマンドのうち、コマンド群H1に係るコマンドである文字列装飾コマンドMS1、及び、文字列記録指示コマンドMK1を取得し、これらコマンドを読み出して実行することにより、所定の装飾を施した上で、「AAA△Store」の文字列を感熱ロール紙22の搬送量に記録する。
このようにしてステップSC6において切断の前に記録すべき行と決定された行の文字列を順次記録していく間、記録制御部60は、ステップSC7において先頭画像データ72と対応づけて記憶した情報に基づいて、ステップSC6において切断のトリガーとなる文字列(=切断前に最後に記録する文字列)と決定された文字列に係る文字列記録指示コマンドに基づく、当該文字列の記録が完了したか否かを監視する(ステップSC14)。
当該文字列記録指示コマンドに基づく当該文字列の記録が完了した場合(ステップSC14:YES)、記録制御部60は、感熱ロール紙22の搬送を停止し、カッターユニット25により感熱ロール紙22を切断する(ステップSC15)。これにより、切断前に記録すべき文字列の全ての記録が完了した後、新たな文字列の記録が開始される前に、感熱ロール紙22が切断されることとなり、図9(A)を用いて説明した印刷品質の劣化を防止できる。
つまり、本実施形態に係る記録制御部60は、制御装置たるホストコンピューター3から受信した記録データ80に含まれていた文字列記録指示コマンドに基づいて生成され、記憶された先頭画像データ72のうち、所定の条件を満たす特定の文字列の記録に係る文字列記録指示コマンドを実行した場合、感熱ロール紙22の切断という予め定められた特定のメカ動作を実行する構成となっている。
【0051】
次いで、記録制御部60は、先頭画像のうち、未だ記録されていない行の文字列が存在するか否かを判別し(ステップSC16)、存在する場合(ステップSC16:YES)、先頭画像データ72における当該行の文字列に係る制御コマンドに基づいて、所定の装飾を施した上で、当該行の文字列を記録する(ステップSC17)。
【0052】
さて、ステップSC2に戻り、先頭画像データ72が記憶部54に既に記憶されている場合(ステップSC2:YES)について、説明する。
なお、ステップSC2で「YES」と判別される場合は、記憶部54に記憶された先頭画像データ72に基づいて、感熱ロール紙22の先端部に、既に、先頭画像が記録されている状態を想定している。感熱ロール紙22の切断のための搬送に伴って先頭画像が記録されているか否かをフラグによって管理したり、光学的な検出手段で検出するようにしたりするようにしても良い。これにより、感熱ロール紙22の交換のタイミングや、何らかのエラーにより感熱ロール紙22に先頭画像が記録されていない場合に、そのことを適切に検出可能である。
さて、先頭画像データ72が記憶部54に既に記憶されている場合(ステップSC2:YES)、記録制御部60は、受信バッファー56に記憶された記録データ80のうち、先頭画像に係るコマンドを除くコマンドに基づいて、画像の記録を行う(ステップSC18)。例えば、記録データ80の状態が、図4(A)が示す状態である場合、記録制御部60は、コマンド群H1、及び、コマンド群H2を除くコマンドを順次読み出して実行することにより、画像の記録を行う。これにより、先頭画像を重複して記録することなく、画像の記録を行うことができる。
なお、ステップSC18では、記録制御部60は、記憶部54に先頭画像データ72と、受信バッファー56記憶された記録データ80との比較結果に基づいて、記録データ80に含まれるコマンドのうち、先頭画像に係るコマンド以外のコマンドを特定する。
ステップSC18において、感熱ロール紙22に画像を記録した後、記録制御部60は、処理手順をステップSC9へ移行し、切断のための搬送に伴う先頭画像の記録を行う。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、記録制御部60は、記録データ80に、特定の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドが含まれている場合には、当該文字列記録指示コマンドに係る動作の実行と対応させて、当該特定の文字列と対応する動作として予め定められた動作を実行する。
より詳細には、本実施形態に係る記録制御部60は、制御装置たるホストコンピューター3から受信した記録データ80に含まれていた文字列記録指示コマンドに基づいて生成され、記憶された先頭画像データ72のうち、所定の条件を満たす特定の文字列の記録に係る文字列記録指示コマンドを実行した場合、感熱ロール紙22の切断という予め定められた特定のメカ動作を実行する構成となっている。
これによれば、プリンター2は、記録データ80に、特定の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドが含まれている場合には、当該文字列記録指示コマンドに係る動作の実行と対応させて、当該特定の文字列と対応する動作として予め定められた動作を実行するため、感熱ロール紙22への記録中に、記録データ80における文字列記録指示コマンドの態様に応じて、各文字列記録指示コマンドに対応した所定のタイミングで所定の動作を実行することが可能となる。特に、ホストコンピューター3は、プリンター2に対して通常どおり、記録データ80を出力すれば、プリンター2側で、自動で、文字列記録指示コマンドの実行と対応させて、所定のタイミングで所定の動作を行われることとなるため、ホストコンピューター3に対して、改変を行う必要がない。
【0054】
また、本実施形態では、プリンター2は、ホストコンピューター3から受信した記録データ80に基づいて、感熱ロール紙22の先端部に定型的に記録される1又は複数行の文字列の記録に係る文字列記録指示コマンドを先頭画像データ72として記憶する先頭画像情報記憶部61をさらに備えている。そして、記録制御部60は、カッターユニット25により感熱ロール紙22を切断する場合、先頭画像情報記憶部に61より記憶された先頭画像データ72に基づいて、感熱ロール紙22の切断位置の搬送方向上流側に、記録ヘッド24により文字列を記録させつつ、感熱ロール紙22を搬送方向Y1に搬送し、先頭画像データ72に含まれる1又は複数の文字列の記録に係る文字列記録指示コマンドのうち、記録前に記録すべ文字列のうち最後の文字列(特定の文字列)の記録に係る文字列記録指示コマンドに基づいて当該文字列を記録した後、カッターユニット25により感熱ロール紙22を切断する。
これによれば、感熱ロール紙22の切断に際し、記録ヘッド24とカッターユニット25との搬送方向における離間に起因して発生する感熱ロール紙22の先端と、感熱ロール紙22に記録される先頭画像の先端とのマージンMを縮小できる。
特に、先頭画像データ72に含まれる1又は複数の文字列の記録に係る文字列記録指示コマンドのうち、指定された文字列の記録に係る文字列記録指示コマンドに基づいて当該指定された文字列を記録した後に、感熱ロール紙22の切断を行う構成であるため、切断のトリガーとなる文字列を適切に決定しておくことにより、適切なタイミングで感熱ロール紙22の切断を行うことが可能となる。
【0055】
<第2実施形態>
次いで、第2実施形態について説明する。
図11は、本実施形態に係る記録データ80と、当該記録データ80に基づいて画像が記録されたレシート10とを示す図である。
図11と、図4との比較で明らかなように、第1実施形態に係るレシート10と、本実施形態に係るレシート10とでは、そのレイアウトが異なっている。すなわち、本実施形態に係るレシート10では、エリアとして、先頭画像エリアA1、及び、レシート情報エリアA2が形成されており、グラフィックエリアA3、及び、バーコードエリアA4が形成されていない。そして、本実施形態に係るレシート10では、図11(B)に示すように、その末端に「Thank△you」という文字列が記録される。当該文字列は、全てのレシート10について、同一の態様で記録される。
このため、図11(A)に示すように、レシート情報エリアA2の画像の記録に係るコマンド群H3には、「Thank△you」の文字列の記録に係る文字列装飾コマンドMS3、及び、文字列記録指示コマンドMK3を含んで構成されるコマンド群H4が含まれている。
【0056】
本実施形態に係るプリンター2は、レシート10の末端に定型的に「Thank△you」の文字列が記録されることを活用し、以下の処理を行う。
【0057】
図12は、本実施形態に係るプリンター2の動作の説明に利用する図である。
本実施形態では、プリンター2の記憶部54には、「Thank△you」の文字列と、「Thank△you」の文字列を記録した後、先頭画像を記録しつつ、感熱ロール紙22を、記録位置T1とカット位置T2とのギャップGに対応する距離分搬送した後、カッターユニット25により感熱ロール紙22を切断することを示す情報とが対応付けて記憶されている。この場合、記憶部54は、1の特定の文字列と、記録ヘッド24により所定の画像を記録しつつ搬送部により記録媒体を所定の搬送量搬送した後、切断部により記録媒体を切断することとを対応付けて記憶する設定部として機能する。
そして、記録データ80に基づく感熱ロール紙22への画像の記録に際し、プリンター2の記録制御部60は、文字列記録指示コマンドを実行して所定の文字列を記録する場合、当該文字列記録指示コマンドが指定する文字列に「Thank△you」という文字列が含まれているか否かを、既存の文字列検索を利用して判別する。文字列記録指示コマンドが指定する文字列に「Thank△you」という文字列が含まれている場合、記録制御部60は、当該文字列記録指示コマンドに基づいて「Thank△you」の文字列を記録した後、プリンター2の記憶部54に記憶された情報に基づいて、以下の動作を実行する。
すなわち、記録制御部60は、図12に示すように、「Thank△you」の文字列を記録した後(図12(A)の状態)、当該文字列の搬送方向上流側の所定の位置に先頭画像を記録しつつ、ギャップGに対応する搬送量分、感熱ロール紙22を搬送する(図12(B)の状態)。これにより、「Thank△you」の文字列の搬送方向上流側であり、かつ、先頭画像の先端の搬送方向下流側に位置する感熱ロール紙22の紙切断位置に、カット位置T2が位置した状態となる。そして、記録制御部60は、カッターユニット25を駆動して、感熱ロール紙22を切断する。なお、記録制御部60は、感熱ロール紙22の切断のための搬送、及び、切断に際し、ホストコンピューター3から受信した搬送指示コマンドHC、及び、切断指示コマンドSCは、読み捨てる。
このように、本実施形態に係る記録制御部60は、レシート10の末端に定型的に記録される「Thank△you」の文字列を記録したことをトリガーとして、当該文字列と対応付けられた所定の処理、具体的には、先頭画像を記録しつつ、感熱ロール紙22をギャップGに対応する距離分搬送した後、カッターユニット25により感熱ロール紙22を切断するという処理を実行する。これにより、第1実施形態と同様、マージンMを縮小できる、さらに、「Thank△you」の文字列がレシート10の末端に定型的に記録されることを最大限活用して、「Thank△you」の文字列と、先頭画像の先端との間の適切な位置で感熱ロール紙22を切断することが可能となる。
【0058】
なお、本実施形態では、マージンMの縮小を目的として、切断のための搬送と並行して、先頭画像を記録する構成であったが、先頭画像を記録しない構成であってもよい。
この場合、設定部として機能する記憶部54には、「Thank△you」の文字列と、「Thank△you」の文字列を記録した後、感熱ロール紙22を、記録位置T1とカット位置T2とのギャップGに対応する距離分搬送した後、カッターユニット25により感熱ロール紙22を切断することを示す情報とが対応付けて記憶される。
このような構成であっても、「Thank△you」の文字列を記録した後、「Thank△you」の文字列の上流側の適切な位置で、カッターユニット25によって感熱ロール紙22を切断することが可能となる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態では、設定部として機能する記憶部54には、「Thank△you」の文字列(1の特定の文字列)と、記録ヘッド24により先頭画像を記録しつつ搬送部により感熱ロール紙22をギャップGに相当する所定の搬送量搬送した後、カッターユニット25により感熱ロール紙22を切断することを示す情報とが対応付けて記憶されている。そして、記録制御部60は、「Thank△you」の文字列に係る文字列記録指示コマンドに基づく当該文字列の記録をトリガーとして、記録ヘッド24により先頭画像を記録しつつ感熱ロール紙22をギャップGに相当する所定の搬送量搬送した後、カッターユニット25により感熱ロール紙22を切断する。
これによれば、マージンMを縮小しつつ、「Thank△you」の文字列と、先頭画像の先端との間の適切な位置で感熱ロール紙22を切断することが可能となる。
【0060】
<第3実施形態>
次いで、第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るプリンター2は、ホストコンピューター3から受信した記録データ80に、ある特定の文字列を指定した文字列記録指示コマンドが含まれている場合は、当該文字列記録指示コマンドと対応させて、感熱ロール紙22の搬送方向Y1への搬送を行うことが可能に構成されている。
【0061】
図13は、本実施形態に係るプリンター2の動作を説明するため、レシート10を模式的に示す図である。
従来のレシート10のレイアウトが、図13(A)に示す状態であったとする。そして、その後の変更により、図13(B)に示すように、レシート情報エリアA2における購入商品エリアA21と、合計金額エリアA22との間に、1行分のスペースを加えることとなったとする。なお、購入商品エリアとは、顧客が購入した商品の名称、及び、その単価の一覧が記録されるエリアであり、合計金額エリアA22とは、合計購入金額が記録されるエリアである。この合計金額エリアA22には、必ず「Total」の文字列が記録される。従って、記録データ80には、「XXX△“Total△○○○”」(ただし、○○○は任意の文字列)と記述された文字列記録指示コマンドが含まれている。
本実施形態では、ホストコンピューター3に対して、一切の改変を行うことなく、上述したレイアウトの変更に対応可能である。
【0062】
図14は、図13で示したレイアウトの変更があった後においてレシート10を発行する際の、ホストコンピューター3とプリンター2との動作を示すフローチャートである。(A)は、ホストコンピューター3の動作を示し、(B)は、プリンター2の動作を示している。
レシート10の発行に際し、ホストコンピューター3は、プリンター2に対して、制御コマンドに含まれる記録データ80を送信する(ステップSD1)。
プリンター2は、記録データ80を受信する(ステップSE1)。受信した記録データ80は、受信バッファー56に格納される。
次いで、プリンター2の記録制御部60は、記憶部54に記憶された所定のデータを参照する(ステップSE2)。この所定のデータは、特定の文字列と、当該特定の文字列を含む文字列を指定した前記文字列記録指示コマンドの実行と対応させて行うべき特定の動作と、が対応づけて記憶されたデータである。この場合、記憶部54は、特定の文字列と所定の動作とを対応付けて記憶する設定部として機能する。本実施形態では、「Total」という文字列と、「Total」の文字列を含む文字列の記録に係る文字列記録指示コマンドの実行の「前」に、1行分、感熱ロール紙22の搬送を行う旨を示す情報と、が対応づけて記憶される。図13(B)に示すように、「Total」の文字列が記録される前に、1行分、感熱ロール紙22が搬送されることにより、購入商品エリアA21と、合計金額エリアA22との間に1行分のスペースが形成されることとなる。
レシート10のレイアウトの変更があった場合は、上述した所定のデータを新たにプリンター2に記憶させる必要が生じる。ただし、ホストコンピューター3に対する改変は必要ない。
次いで、プリンター2の記録制御部60は、記録データ80に基づいて、感熱ロール紙22に画像の記録を行う(ステップSE3)。その際、プリンター2は、参照した所定のデータの内容に基づいて、文字列記録指示コマンドを実行して所定の文字列を記録する場合、当該文字列記録指示コマンドが指定する文字列に「Total」という文字列が含まれているか否かを、既存の文字列検索を利用して判別し、含まれている場合は、当該文字列記録指示コマンドを実行する前に、1行分、感熱ロール紙22の搬送を行う。これにより、購入商品エリアA21と、合計金額エリアA22との間に、1行分のスペースが形成されることとなる。
つまり、本実施形態に係るプリンター2は、記録データ80に、「Total」の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドが含まれている場合には、当該文字列記録指示コマンドに係る動作の実行と対応させて、当該コマンドの実行前に、予め定められた1行分の搬送というメカ動作を実行しており、このような動作を行うことにより、ホストコンピューター3に対する改変を行うことなく、レシート10のレイアウトの変更に対応している。
【0063】
以上説明したように、記録制御部60は、記録データ80に、1の特定の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドが含まれている場合には、当該文字列記録指示コマンドに係る動作の実行と対応させて、感熱ロール紙22を搬送する。
これによれば、プリンター2は、特定の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドに基づいて、適切なタイミングで、感熱ロール紙22の搬送を行うことが可能である。
【0064】
<第4実施形態>
次いで、第4実施形態について説明する。
本実施形態に係るプリンター2は、ホストコンピューター3から受信した記録データ80に、ある特定の文字列を指定した文字列記録指示コマンドが含まれている場合は、当該文字列記録指示コマンドと対応させて、放音部57による音の出力を実行する。
放音部57は、音の出力により、周囲に報知する報知部として機能する。
一例を挙げて具体的に説明すると、図13を参照し、「ItemC」が、酒や煙草等の未成年者に販売できない商品等、販売に制限がかかる商品であるものとする。この場合、「ItemC」が購入商品に含まれていることを音によって報知し、レジを担当する者等に認識させることができれば、年齢確認等の適切な処理の実行へとつながることとなり、利便性が向上する。
図14を援用して本実施形態に係るプリンター2の動作について説明すると、プリンター2は、ホストコンピューター3が送信した記録データ80(ステップSD1)を受信する(ステップSE1)。受信した記録データ80は、受信バッファー56に格納される。
次いで、プリンター2の記録制御部60は、記憶部54に記憶された所定のデータを参照する(ステップSE2)。この所定のデータは、「ItemC」の文字列と、「ItemC」の文字列を含む文字列の記録に係る文字列記録指示コマンドの実行と併せて、放音部57により所定の態様で所定の音を出力する旨の情報と、が対応づけて記憶されたデータである。この場合、記憶部54は、特定の文字列と所定の動作とを対応付けて記憶する設定部として機能する。次いで、プリンター2の記録制御部60は、記録データ80に基づいて、感熱ロール紙22に画像の記録を行う(ステップSE3)。その際、プリンター2は、参照した所定のデータの内容に基づいて、文字列記録指示コマンドを実行して所定の文字列を記録する場合、当該文字列記録指示コマンドが指定する文字列に「ItemC」という文字列が含まれているか否かを、既存の文字列検索を利用して判別し、含まれている場合は、当該文字列記録指示コマンドの実行と併せて、放音部57により所定の態様で所定の音を出力する。これにより、ItemCが購入されたことを報知可能となる。
つまり、本実施形態に係るプリンター2は、記録データ80に、「ItemC」の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドが含まれている場合には、当該文字列記録指示コマンドに係る動作の実行と対応させて、当該コマンドの実行前に、予め定められた音の出力というメカ動作を実行しており、このような動作を行うことにより、ホストコンピューター3に対する改変を行うことなく、ItemCの購入と併せて所定の音を出力可能となる。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る記録制御部60は、記録データ80に、1の特定の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドが含まれている場合には、当該文字列記録指示コマンドに係る動作の実行と対応させて、放音部57により音を出力する。
これによれば、プリンター2は、特定の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドに基づいて、適切なタイミングで、音の出力が可能である。
【0066】
<第5実施形態>
次いで、第5実施形態について説明する。
本実施形態に係るプリンター2は、ホストコンピューター3から受信した記録データ80に、ある特定の文字列を指定した文字列記録指示コマンドが含まれている場合は、当該文字列記録指示コマンドと対応させて、表示部53を制御して、ディスプレー12に所定の情報を表示させる。
以下の説明では、表示部53は、情報の表示により周囲に報知する報知部として機能する。
一例を挙げて具体的に説明すると、図13を参照し、「ItemC」が、酒や煙草等の未成年者に販売できない商品等、販売に制限がかかる商品であったり、また、「ItemC」を使用するためには他の商品も購入する必要がある等の何らかの注意点がある商品であったりするものとする。この場合、「ItemC」が購入商品に含まれていることをディスプレー12に表示し、レジを担当する者等に認識させることができれば、適切な処理の実行へとつながることとなり、利便性が向上する。
図14を援用して本実施形態に係るプリンター2の動作について説明すると、プリンター2は、ホストコンピューター3が送信した記録データ80(ステップSD1)を受信する(ステップSE1)。受信した記録データ80は、受信バッファー56に格納される。
次いで、プリンター2の記録制御部60は、記憶部54に記憶された所定のデータを参照する(ステップSE2)。この所定のデータは、「ItemC」の文字列と、「ItemC」の文字列を含む文字列の記録に係る文字列記録指示コマンドの実行と併せて、購入商品に「ItemC」が含まれている旨の情報をディスプレー12に表示する旨の情報と、が対応づけて記憶されたデータである。この場合、記憶部54は、特定の文字列と所定の動作とを対応付けて記憶する設定部として機能する。
次いで、プリンター2の記録制御部60は、記録データ80に基づいて、感熱ロール紙22に画像の記録を行う(ステップSE3)。その際、プリンター2は、参照した所定のデータの内容に基づいて、文字列記録指示コマンドを実行して所定の文字列を記録する場合、当該文字列記録指示コマンドが指定する文字列に「ItemC」という文字列が含まれているか否かを、既存の文字列検索を利用して判別し、含まれている場合は、当該文字列記録指示コマンドの実行と併せて、ディスプレー12に「ItemC」が購入された旨表示する。これにより、ItemCが購入されたことを報知可能となる。
つまり、本実施形態に係るプリンター2は、記録データ80に、「ItemC」の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドが含まれている場合には、当該文字列記録指示コマンドに係る動作の実行と対応させて、当該コマンドの実行前に、予め定められたディスプレー12への情報の表示という動作を実行しており、このような動作を行うことにより、ホストコンピューター3に対する改変を行うことなく、ItemCの購入と併せて所定の情報を表示可能となる。
なお、プリンター2が、ディスプレー12への表示に代えて、又は、ディスプレー12の表示と併せて、このLED39を所定の態様で点灯/消灯させるようにしてもよい。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係る記録制御部60は、記録データ80に、1の特定の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドが含まれている場合には、当該文字列記録指示コマンドに係る動作の実行と対応させて、表示部53により所定の表示動作を行う。
これによれば、プリンター2は、特定の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドに基づいて、適切なタイミングで、所定の表示動作を行うことが可能である。
【0068】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、ユーザーが、ホストコンピューター3に対して入力を行うことにより、特定の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドの実行と対応させて、プリンター2が実行すべき動作を自由に設定できる構成としても良い。この構成を実現するために、例えば、ホストコンピューター3を、ユーザーの入力に対応させて、その入力内容を示す情報を含む所定のコマンドを送信可能な構成とする。当該所定のコマンドを受信したプリンター2は、当該所定のコマンドの内容に基づいて、例えば、特定の文字列と、当該特定の文字列を含む文字列を指定した文字列記録指示コマンドの実行と対応して実行すべき動作を示す情報とを対応づけて記憶した所定のデータを記憶部54に記憶する。そして、プリンター2の記録制御部60は、文字列記録指示コマンドを実行する場合、当該文字列記録指示コマンドが指定する文字列に、上記特定の文字列が含まれているか否かを、既存の文字列検索により判別し、含まれている場合は、当該コマンドの実行と対応して、定められた所定の動作を実行する。
この場合、ホストコンピューター3に対する改変が必要となるものの、ホストコンピューター3を利用して簡易な手段で、プリンター2に、文字列記録指示コマンドの実行と対応させて所定の動作を行わせることが可能となり、非常に利便性が向上する。
【0069】
また例えば、図3に示す各機能部はハードウェアとソフトウェアの協働により任意に実現可能であり、特定のハードウェア構成を示唆するものではない。
また、上記実施形態では、プリンター2自身が記録制御部60や、先頭画像情報記憶部61等を有する制御部50を備えていたが、例えば、制御部50の機能を、プリンター2に外部接続される別の装置に持たせるようにしても良い。
また、本発明は、サーマル式のプリンターに限らず、インクジェット式プリンター、ドットインパクト式プリンター、レーザープリンター、熱昇華型プリンター等の任意の形式のプリンターに適用可能である。また、ATMにおけるプリンター等、他の装置に組み込まれるプリンターであってもよい。また、CDのレーベル面や、DVDのレーベル面等の紙以外の媒体に記録するものでもよい。
また、本発明を適用可能なプログラムは、ホストコンピューター3に搭載されるプリンタードライバーに含むものであってもよい。
また、上記のフローチャートの各ステップを実行するプログラムを、プリンター2の外部の記憶媒体に記憶させたものを読み出して、制御部50により実行させることもできる。
【符号の説明】
【0070】
2…プリンター(記録装置)、3…ホストコンピューター(制御装置)、10…レシート、22…感熱ロール紙(記録媒体)、23…プラテン(搬送部)、24…記録ヘッド、25…カッターユニット(切断部)、50…制御部、51…プリントエンジン、53…表示部(報知部)、54…記憶部(設定部)、57…放音部(報知部)、60…記録制御部、61…先頭画像情報記憶部、80…記録データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置に接続可能な記録装置であって、
記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記制御装置から、文字列を含む記録データを受信する受信部と、
前記受信部により受信した前記記録データに基づいて、前記記録ヘッド、及び、前記搬送部を制御して、前記記録媒体への記録を行う記録制御部と、
特定の文字列と、所定の動作とを対応付ける設定部と、を備え、
前記記録制御部は、
前記受信部で受信した前記記録データに、前記特定の文字列が含まれている場合には、当該特定の文字列の記録に対応した所定のタイミングで、前記設定部により前記特定の文字列と対応付けられた前記所定の動作を実行することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録媒体を切断する切断部をさらに備え、
前記設定部は、1の特定の文字列と、前記切断部による前記記録媒体の切断とを対応付けし、
前記記録制御部は、
前記受信部で受信した前記記録データに、前記1の特定の文字列が含まれている場合には、当該1の特定の文字列の記録に対応した所定のタイミングで、前記切断部による前記記録媒体の切断をすることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記切断部は、前記記録ヘッドの搬送方向下流に配置され、
前記受信部により受信した前記記録データに基づいて、前記記録媒体の所定の領域に記録される1又は複数行の文字列を記憶する先頭画像情報記憶部をさらに備え、
前記設定部は、前記先頭画像情報記憶部により記憶された前記1又は複数行の文字列に含まれる1の特定の文字列と、前記切断部による前記記録媒体の切断とを対応付けし、
前記記録制御部は、
前記切断部により前記記録媒体を切断する場合、
前記記録媒体の切断位置の搬送方向上流側に、前記記録ヘッドにより前記先頭画像情報記憶部により記憶された前記1又は複数行の文字列を記録させつつ、前記搬送部により前記記録媒体を搬送方向に搬送し、前記1の特定の文字列の記録をトリガーとして、前記切断部による前記記録媒体の切断をすることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録媒体を切断する切断部をさらに備え、
前記設定部は、1の特定の文字列と、前記搬送部により前記記録媒体を所定の搬送量搬送した後、前記切断部により前記記録媒体を切断することとを対応付けし、
前記記録制御部は、
前記受信部により受信した前記記録データに前記1の特定の文字列が含まれている場合、前記記録データに基づいて前記記録媒体への記録を行うと共に、前記1の特定の文字列の記録をトリガーとして、前記搬送部により前記記録媒体を所定の搬送量搬送した後、前記切断部により前記記録媒体を切断することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記切断部は、前記記録ヘッドの搬送方向下流に配置され、
前記設定部は、1の特定の文字列と、前記記録ヘッドにより所定の画像を記録しつつ前記搬送部により前記記録媒体を所定の搬送量搬送した後、前記切断部により前記記録媒体を切断することとを対応付けし、
前記記録制御部は、
前記受信部により受信した前記記録データに前記1の特定の文字列が含まれている場合、前記記録データに基づいて前記記録媒体への記録を行うと共に、前記1の特定の文字列の記録をトリガーとして、前記記録ヘッドにより所定の画像を記録しつつ前記搬送部により前記記録媒体を所定の搬送量搬送した後、前記切断部により前記記録媒体を切断することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記所定の搬送量は、前記搬送方向における前記記録ヘッドと前記切断部との間の距離に相当することを特徴とする請求項4又は5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記設定部は、1の特定の文字列と、前記搬送部による前記記録媒体の搬送とを対応付けし、
前記記録制御部は、
前記受信部で受信した前記記録データに、前記1の特定の文字列が含まれている場合には、当該1の特定の文字列の記録に対応した前記所定のタイミングで、前記搬送部により前記記録媒体を搬送することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の記録装置。
【請求項8】
周囲に報知する報知部をさらに備え、
前記設定部は、1の特定の文字列と、前記報知部による報知とを対応付けし、
前記記録制御部は、
前記受信部で受信した前記記録データに、前記1の特定の文字列が含まれている場合には、当該1の特定の文字列の記録に対応した前記所定のタイミングで、前記報知部により報知することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の記録装置。
【請求項9】
前記報知部は、
音の出力、又は、情報の表示により、周囲に報知することを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記設定部は、前記制御装置から受信した所定のコマンドに基づいて、前記特定の文字列と、所定の動作とを対応付けることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の記録装置。
【請求項11】
制御装置に接続可能であり、記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記制御装置から、文字列を含む記録データを受信する受信部と、特定の文字列と所定の動作とを対応付ける設定部と、を備える記録装置の制御方法であって、
前記受信部により前記記録データを受信し、受信した前記記録データに、前記特定の文字列が含まれている場合には、当該特定の文字列の記録に対応した所定のタイミングで、前記設定部により前記特定の文字列と対応付けられた前記所定の動作を実行することを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項12】
制御装置に接続可能であり、記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記制御装置から、文字列を含む記録データを受信する受信部と、特定の文字列と所定の動作とを対応付ける設定部と、を備える記録装置の各部を制御する制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部を、
前記受信部で受信した前記記録データに、前記特定の文字列が含まれている場合には、当該特定の文字列の記録に対応した所定のタイミングで、前記設定部により前記特定の文字列と対応付けられた前記所定の動作を実行する記録制御部として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−232431(P2012−232431A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101049(P2011−101049)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】