説明

記録装置および液体噴射ヘッドの駆動方法

【課題】連続的に吐出されたインク滴で画像形成する高密度記録ヘッドにおいて帯電電極の信号線の本数が多く制御回路、配線のコストが高い、また、電圧が高いので高密度でピッチの狭い配線の絶縁を保つのが難しく信号線間の相互誘導作用により誘導電圧が乗ってしまうことがある。
【解決手段】ノズルを複数のグループに分けグループごとに液滴化振動の位相を変え違うグループのノズルに対応する帯電電極を接続し同一の信号線で制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置およびこれに用いる液体噴射ヘッドの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドとして、インクを噴射して記録を行うインクジェット式の記録ヘッド(以下、「ヘッド」とも称する)が知られている。ヘッドは、例えば、加圧したインクをノズルから連続的に噴出させつつこれに振動を与えて液滴化する。そして、描画に不要なインク滴は、帯電電極を用いて帯電させ偏向電極でインク滴の飛翔方向を偏向させて回収する。一方、描画に必要なインク滴は、帯電も偏向もさせずに直進させて記録媒体に着弾させ、画像を形成する。高画質で高速に印刷する印刷装置では、多数のノズルを高密度に配置する必要がある。多数のノズル毎に上記した帯電電極を配置すると、ノズル数と同数の帯電電圧の制御回路出力およびその出力と帯電電極とを接続する信号線の配線が必要となる。帯電電極の制御電圧は、通常、数十〜数百Vと高く、狭ピッチで信号線を配線すると絶縁を確保するのが困難になる、配線間の相互誘導作用で信号に誘導電圧が乗ってしまうなどの問題がある。また、帯電電極と制御回路を接続する信号線が多数存在すると、配線や制御回路のコストが高くなる。
【0003】
このため、特許文献1は、帯電電極の信号線を交互に反対方向に延長して取り出すことにより配線間隔を広げ相互誘導作用を減少させることを開示している。また、特許文献2は、帯電電極およびこれに対する制御回路のシフトレジスタとラッチ回路を単一の半導体素子内に形成して信号線および電力供給線を削減することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−022958号公報
【特許文献2】特公昭58−016379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、より高密度のヘッドでは、信号線間の相互誘導作用も減少させるため、帯電電極板より引き出す信号線の配線の間隔をさらに拡大する要求が存在する。また、制御回路の出力数および帯電電極との接続点数をさらに削減して帯電電極制御のためのコストを下げることへの要求も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、液体噴射ヘッドにおける、帯電電極の制御回路の出力数と、帯電電極と制御回路とを接続する信号配線数とを削減することにある。
【0007】
本発明に係る記録装置は、液体を噴射する複数のノズルと、前記複数のノズルの各々から噴射される液体を液滴として飛翔させるための駆動ユニットと、前記飛翔する液滴を選択的に帯電させるための複数の帯電電極と、前記複数の帯電電極の各々によって帯電された液滴を偏向するための電界を形成するための偏向電極と、を有する液体噴射ヘッドであって、前記複数のノズルは、第1グループに属する複数の第1ノズルと第2グループに属する複数の第2ノズルとを含み、前記駆動ユニットは前記複数の第1ノズルに対応する第1駆動ユニットと前記複数の第2ノズルに対応する第2駆動ユニットとを含み、
前記複数の帯電電極は前記複数の第1ノズルにそれぞれ対応する複数の第1帯電電極と前記複数の第2ノズルにそれぞれ対応する複数の第2帯電電極とを含み、前記複数の第1帯電電極のそれぞれと前記複数の第2帯電電極のそれぞれとがそれぞれ電気的に接続された複数の共通の信号配線を具える前記液体噴射ヘッドと、前記第1駆動ユニットと前記第2駆動ユニットとを互いに異なる位相で駆動させ、前記複数の共通の信号配線のそれぞれを介して前記複数の第1帯電電極のそれぞれと前記複数の第2帯電電極のそれぞれとへ帯電電圧を付与する様に制御を行うコントローラと、を具備する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る液体噴射ヘッドの駆動方法は、液体を噴射する複数のノズルと、前記複数のノズルの各々から噴射される液体を液滴として飛翔させるための駆動ユニットと、前記飛翔する液滴を選択的に帯電させるための複数の帯電電極と、前記複数の帯電電極の各々によって帯電された液滴を偏向するための電界を形成するための偏向電極と、を有する液体噴射ヘッドの駆動方法であって、前記複数のノズルは第1グループに属する複数の第1ノズルと第2グループに属する複数の第2ノズルとを含み、前記駆動ユニットは前記複数の第1ノズルに対応する第1駆動ユニットと前記複数の第2ノズルに対応する第2駆動ユニットとを含み、前記複数の帯電電極は前記複数の第1ノズルにそれぞれ対応する複数の第1帯電電極と前記複数の第2ノズルにそれぞれ対応する複数の第2帯電電極とを含み、前記複数の第1帯電電極のそれぞれと前記複数の第2帯電電極のそれぞれとがそれぞれ電気的に接続された複数の共通の信号配線を具える前記液体吐出ヘッドを提供する工程と、
前記第1駆動ユニットと前記第2駆動ユニットとを互いに異なる位相で駆動させ、前記複数の共通の信号配線のそれぞれを介して前記複数の第1帯電電極のそれぞれと前記複数の第2帯電電極のそれぞれとへ帯電電圧を付与する様に制御を行う工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、帯電電極の帯電電圧制御回路の出力数、および帯電電極との接続点数、信号線の数を減らすことができ、ヘッドのコストダウンが可能になるとともに、配線間隔が広がることで信号線間の相互誘導作用も減少する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明が適用されるプリンタの要部の概略構成図である。
【図2】本発明が適用される記録ヘッドの一例の斜視図である。
【図3】図2の記録ヘッドの上面図と側面図である。
【図4】図2の記録ヘッドのノズル構成を示す図である。
【図5】帯電電極と信号線の配線の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る帯電電圧の制御方法を説明するための図である。
【図7】帯電電極と信号線の配線の他の例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る帯電電圧の制御方法を説明するための図である。
【図9】本発明の液滴の帯電量と帯電電圧の付与タイミングを説明するための図である。
【図10】従来の液滴の帯電量と帯電電圧の付与タイミングを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明が適用される記録装置としてのプリンタの記録ヘッド(液体噴射ヘッド)の動作原理を示す図である。このプリンタは、加圧した液体としてのインクをノズル91から連続的に噴出させ、これに駆動ユニットとしてのピエゾ素子92で振動を与えて液滴化する。一方、このインク滴93を帯電電極94で選択的に帯電させて偏向電極95による電界でインクの飛跡を偏向させ、描画に必要なインク滴のみを記録媒体96に着弾させる。描画に不要なインク滴は、帯電電極94に電圧を印加して帯電させ、偏向電極95で飛跡を偏向されることにより、ガター97に回収される。描画するインク滴は、帯電電極が電圧が印加されず帯電していないので、偏向されることなく直進して記録媒体に着弾し、その結果、画像が形成される。コントローラ100は、CPU、ROM、RAM等の所要のハードウエアとソフトウエアとから構成されている。コントローラ100は、ホストPC110との間でデータを送受信し、印刷中は偏向用電源103のスイッチ104をオンにし、ホストPC110からの印刷データに応じて帯電用電源101のスイッチ102をオン/オフ制御する。これにより、帯電電極94へ付与する帯電電圧が制御される。また、コントローラ100は、インクの粘度などが変化しても液滴化の状態が一定になるようにピエゾ素子92の励振電源105を制御する。ホストPC110は、画像データを印刷データに変換してコントローラ100へ与える。なお、プリンタは、実際には、後述するような、複数のノズル、複数の帯電電極および複数のピエゾ素子を備え記録ヘッドを有する。
【0013】
図2は本発明が適用される記録ヘッドの分解斜視図である。また、図3は、図2の記録ヘッドの上面図と側面図であり、図4は、図2の記録ヘッドのノズル構成を示す図である。
【0014】
符号01はインクを滴化するための振動を与える電歪素子であるピエゾ素子を示す。符号02はピエゾ素子01の振動をインクに圧力振動として伝える振動板を示す。符号03は液室04を形成するフレームを示す。符号04はインクが満たされている液室を示す。符号05はピエゾ素子01をフレーム03中に保持する天板を示す。符号06はノズル01が形成されフレーム03に接合されているオリフィスプレートを示す。符号07はインクを噴出するノズルを示す。符号08は帯電電極と電極に印加する信号の配線が形成されている帯電電極板を示す。符号09はインク滴に電荷を与えて帯電させる帯電電極を示す。
【0015】
液室04には図示されていないポンプなどの加圧手段からインクが加圧供給され、このインクは、オリフェスプレート06のノズル07から連続的に噴出する。その際、ピエゾ素子01に印加される励振電圧によりピエゾ素子01が振動することで振動板02を振動させ液室04内のインクに圧力変動を生じさせ連続して噴出するインクに振動が生じる。インクはその振動により、帯電電極09を通過する間に飛翔方向において分離し液滴になる。液滴化は振動を生じさせるピエゾ素子01に印加される励振電圧と同じ周期で起き、液滴化の位置は噴出速度、振動の振幅、インクの粘度、表面張力などで変わりピエゾ素子01の励振電圧と液滴化のタイミングは位相差を持つ。液滴化のタイミングに影響する前記項目を一定に保つことで位相差を一定の値に保つことができる。帯電電極09中のインク柱は帯電電極09に電圧が印加されていると導電性のインクを通し電流が流れ帯電電極09と反対の極性の電荷が表面に誘導され、分離したインク滴はそのときの電荷を保持し飛翔する。帯電電極09に電圧を印加している時に滴化した電荷を持つインク滴は飛翔し図示されていない偏向電極が作る電界で偏向させられ上記したガター97で回収される。帯電電極09に電圧が印加されていない時に滴化した電荷をもたないインク滴は電界で偏向されることなく直進し記録媒体に着弾し画像を形成する。以上のようにノズル毎にある帯電電極09の帯電電圧を画像データに対応して制御することにより画像形成を行うことができる。
【0016】
次に、本発明の一実施形態に係る帯電電圧の制御方法を説明する。まず、上記した液体吐出ヘッドを提供する。ピエゾ素子01の励振電圧の位相と液滴化のタイミングは一定の位相差に保持することができ、液室04間で振動を与えるピエゾ素子01の励振電圧の位相を変えると液室04に対応するノズル07間で液滴化のタイミングが変わる。液滴化のタイミングが違うノズル07に対応する帯電電極09の間で帯電電圧を印加する信号配線を時分割で共用できる。ここでは、ノズルを2つのグループに分け帯電電圧を印加する信号線を2つの帯電電極09間において時分割で共用する例を説明する。
【0017】
図3において、共通のピエゾ素子01で振動を与えられるノズル列を同じグループとし、配列方向において交互にA列グループ(第1グループ)とB列グループ(第2グループ)とに分ける。図5に示すようにA列グループに属するノズル(第1ノズル)に対応する帯電電極09(第1帯電電極)とこれに隣り合うB列グループに属するノズル(第2ノズル)に対応する帯電電極09(第2帯電電極)は、共通の信号線10と電気的に接続され外部に引き出されている。
【0018】
各グループのピエゾ素子01の励振電圧を図6に示すように互いに180度ずらすとA列およびB列のそれぞれのノズル07から噴出したインクの液滴化タイミングも互いに180度ずれる。そして、A列のノズル07から噴出したインクが液滴化するタイミング(1)に合わせ共通の信号線10で引き出された帯電電極09にA列ノズルの画像データに対応する帯電電圧を印加する。すると、その電圧に対応した電荷をもった液滴がA列ノズル07のインク柱から分離飛翔する。その間、B列のノズル07から噴出しているインク柱にもA列ノズル07のための帯電電圧の電界が加わるが、インクは液滴化しない。その後、共通の信号線10にB列ノズル07の画像データに対応する帯電電圧を印加し液滴化タイミング(2)になるとB列のノズル07のインク柱からその帯電電圧に対応する電荷をもった液滴が分離飛翔する。要するに、複数のピエゾ素子01のうち、A列に属するノズルに対応するピエゾ素子01(第1駆動ユニット)とB列に属するノズルに対応するピエゾ素子01(第2駆動ユニット)とを互いに異なる位相で作動させつつ、共通の信号線10へ付与する帯電電圧を制御する。
【0019】
以上のようにA列、B列のノズル列に対応する帯電電極09の隣り合う2つを接続し共通の信号線10で外部に引き出し液滴には個々に帯電電荷を与えることができ外部に引き出す信号線10の数を半分にできる。これにより引き出す信号線10の配線ピッチを倍にでき絶縁を確保するのが容易になる。また帯電電圧を出力する制御回路の出力数および制御回路と帯電電極09の信号線10との接続点数も半分にできコストダウンができる。
【0020】
なお、このようにA列、B列のノズルの液滴化タイミングを180度ずらすと両列のインク滴の記録媒体への着弾位置が紙送り方向に半ドット分ずれるが、両ノズル列の位置を紙送り方向に半ドット分ずらすことで着弾位置を補正することができる。
【0021】
上記説明では、異なるノズルグループの対応する帯電電極09の隣り合う2つを接続し、共通の信号線10で外部に引き出す場合について説明をした。しかしながら、異なるグループのズルに対応する任意の位置の帯電電極09の2つを接続し共通の信号線10で引き出しそのノズル07に対応する画像データの帯電電圧を印加して制御することもできる。
【0022】
ここまではノズル列をA,Bの2つのグループに分け駆動する実施形態を説明したが、ノズル列をさらに多いグループに分けて駆動することができ分割数を増やすことで信号線をさらに削減できる。例えば、図7に示すように、ノズル列をA、B、Cの3つのグループに分け、異なるグループの3つの帯電電極09を相互に電気的に接続し、共通の信号線10で引き出す。そして、図8に示すように、それぞれのグループのピエゾ素子01を120度位相の違う励振波形で駆動する。具体的には、A列のノズル07から噴出したインクが液滴化するタイミング(1)に合わせ共通の信号線10で引き出された帯電電極09にA列ノズルの画像データ(記録データ)に対応する帯電電圧を順次印加する。すると、その電圧に対応した電荷をもった液滴がA列ノズル07のインク柱から分離飛翔する。その間、B列およびC列のノズル07から噴出しているインク柱にもA列ノズル07のための帯電電圧の電界が加わるが、インクは液滴化しない。その後、共通の信号線10にB列ノズル07の画像データに対応する帯電電圧を印加し液滴化タイミング(2)になるとB列のノズル07のインク柱からその帯電電圧に対応する電荷をもった液滴が分離飛翔する。さらに、共通の信号線10にC列ノズル07の画像データに対応する帯電電圧を印加し液滴化タイミング(3)になるとC列のノズル07のインク柱からその帯電電圧に対応する電荷をもった液滴が分離飛翔する。このような構成にすることにより、引き出す信号線10の本数を1/3に削減することができる。
【0023】
次に、ノズル07から連続的に噴出したインク柱が帯電電極09中で帯電し分離飛翔する際のインクの導電性と帯電について詳細に説明する。
【0024】
ノズル07から噴出したインク柱は、帯電電極09に電圧を印加すると、帯電電極とインク柱との間の静電容量とインクの抵抗を通し電流が流れ、インク柱は帯電電極09と反対の極性に帯電する。ピエゾ素子01に印加された励振電圧による振動により分離したインク滴はそのときの電荷を保持し飛翔する。
【0025】
従来のインクジェット記録ヘッドでは、図10に示すようにインクの滴化タイミングに合わせ帯電電極に電圧を印加する。すると、帯電電極09とインク柱間の静電容量とインクの抵抗による時定数で徐々に帯電していき液滴化するタイミングで安定した電荷を持ちインクが飛翔するようインクの抵抗値を制御する。例えば、帯電したインクを電界で曲げてガターで回収のために記録媒体の位置で液滴が500μm曲がる設計にする。すると、描画に用いるインクが液滴化する際の放電が99%で電荷が1%残っていると、直進するはずの液滴が曲がり、記録媒体への着弾位置が5μm程度ずれてしまう。
【0026】
インク滴の着弾ずれによる画質劣化の許容範囲は通常描画ドットピッチの半分までとされ、2400dpiで印刷する場合には5μm以下の着弾位置ずれにする必要がある。インク滴の帯電による記録媒体への着弾位置ずれの許容値を5μmとすると、帯電電圧を液滴化タイミングに合わせて印加する場合、液滴化周期内で充放電が99%以上に達する必要がある。これを実現するには静電容量とインクの抵抗による時定数が液滴化周期の1/4.6以下になるようにインクの抵抗値を下げる必要がある。実際には励振波形と液滴化タイミングのずれが生じるため、その分の時間を見込んでさらに抵抗値を下げる必要がある。インクに導電性を持たせ抵抗を下げるには、主に導電剤の添加を行う。これはインク内で解離してイオンとなり電荷を運ぶものであり、一例としてや硝酸リチウムなどが用いられる。
【0027】
本実施形態のように帯電電極09を時分割で使用する場合には、液滴化周期内で複数回の充放電をする必要がある。2分割駆動の場合には、図9に示すように液滴化周期の半分の時間で充放電が完了する必要がある。このため、本実施形態では、A列およびB列グループの一方のグループに属するノズルから飛翔した液滴の帯電量が所定量を越えた後に、他のグループの帯電電極のための帯電電圧を前記共通の信号線へ付与する。帯電量の所定量は、例えば、液滴が電界で偏向され記録媒体へ着弾する際の位置のずれが設定した値以下、例えば、5μmになる値である。
【符号の説明】
【0028】
01 ピエゾ素子(駆動手段)
02 振動板(駆動手段)
07 ノズル
09 帯電電極
10 帯電電圧信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する複数のノズルと、前記複数のノズルの各々から噴射される液体を液滴として飛翔させるための駆動ユニットと、前記飛翔する液滴を選択的に帯電させるための複数の帯電電極と、前記複数の帯電電極の各々によって帯電された液滴を偏向するための電界を形成するための偏向電極と、を有する液体噴射ヘッドであって、
前記複数のノズルは、第1グループに属する複数の第1ノズルと第2グループに属する複数の第2ノズルとを含み、
前記駆動ユニットは前記複数の第1ノズルに対応する第1駆動ユニットと前記複数の第2ノズルに対応する第2駆動ユニットとを含み、
前記複数の帯電電極は前記複数の第1ノズルにそれぞれ対応する複数の第1帯電電極と前記複数の第2ノズルにそれぞれ対応する複数の第2帯電電極とを含み、前記複数の第1帯電電極のそれぞれと前記複数の第2帯電電極のそれぞれとがそれぞれ電気的に接続された複数の共通の信号配線を具える前記液体噴射ヘッドと、
前記第1駆動ユニットと前記第2駆動ユニットとを互いに異なる位相で駆動させ、前記複数の共通の信号配線のそれぞれを介して前記複数の第1帯電電極のそれぞれと前記複数の第2帯電電極のそれぞれとへ帯電電圧を付与する様に制御を行うコントローラと、
を具備することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第1および第2グループの一方のグループに属するノズルから飛翔した液滴の帯電量が所定量を越えた後に、他のグループの帯電電極のための帯電電圧を前記共通の信号配線へ付与することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記液体噴射ヘッドは、複数のノズルからなるノズル列を複数有し、
前記複数のノズル列のうち、同じグループに属するノズル列が、共通の前記駆動ユニットにより振動を与えられることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記複数のノズル列は、前記複数のノズル列の配列方向にそって、交互に、前記第1グループと前記第2グループとに属していることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第1グループのノズル列の各前記第1帯電電極と、これに隣り合う前記第2グループのノズル列の対応する各前記第2帯電電極とは、それぞれ、互いに電気的に接続され、かつ、前記各共通の信号配線と電気的に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第1グループのノズル列に振動を与える駆動ユニットの液滴化タイミングと、前記第2グループのノズル列に振動を与える駆動ユニットの液滴化タイミングとを互いにずらしつつ、前記共通の信号配線により引き出された帯電電極に、前記第1グループのノズル列の記録データに対応する帯電電圧と、前記第2グループのノズル列の記録データに対応する帯電電圧とを交互に印加するように、制御することを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記複数のノズル列は、少なくとも3つのグループに分けられ、
異なる前記グループのノズル列の対応する3つの帯電電極が相互に電気的に接続され、かつ、共通の信号配線で引き出され、
前記コントローラは、それぞれの前記グループのノズル列に振動を与える複数の駆動ユニットの液滴化タイミングを互いにずらしつつ、前記共通の信号配線により引き出された各帯電電極に、順次、帯電電圧を印加するように制御することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項8】
前記駆動ユニットは、ピエゾ素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項9】
前記コントローラは、記録データに応じて、帯電用電源のスイッチおよび偏向用電源のスイッチをオン/オフ制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項10】
液体を噴射する複数のノズルと、前記複数のノズルの各々から噴射される液体を液滴として飛翔させるための駆動ユニットと、前記飛翔する液滴を選択的に帯電させるための複数の帯電電極と、前記複数の帯電電極の各々によって帯電された液滴を偏向するための電界を形成するための偏向電極と、を有する液体噴射ヘッドの駆動方法であって、
前記複数のノズルは第1グループに属する複数の第1ノズルと第2グループに属する複数の第2ノズルとを含み、前記駆動ユニットは前記複数の第1ノズルに対応する第1駆動ユニットと前記複数の第2ノズルに対応する第2駆動ユニットとを含み、前記複数の帯電電極は前記複数の第1ノズルにそれぞれ対応する複数の第1帯電電極と前記複数の第2ノズルにそれぞれ対応する複数の第2帯電電極とを含み、前記複数の第1帯電電極のそれぞれと前記複数の第2帯電電極のそれぞれとがそれぞれ電気的に接続された複数の共通の信号配線を具える前記液体吐出ヘッドを提供する工程と、
前記第1駆動ユニットと前記第2駆動ユニットとを互いに異なる位相で駆動させ、前記複数の共通の信号配線のそれぞれを介して前記複数の第1帯電電極のそれぞれと前記複数の第2帯電電極のそれぞれとへ帯電電圧を付与する様に制御を行う工程と、
を含むことを特徴とする液体噴射ヘッドの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−189735(P2011−189735A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33163(P2011−33163)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】